JP5079164B2 - 炭化フィルムの製造方法およびグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

炭化フィルムの製造方法およびグラファイトフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子の熱分解を利用して高分子フィルムから炭化フィルムを製造する方法、および、当該炭化フィルムの製造方法を利用したグラファイトフィルムの製造方法に関する。
グラファイトフィルムは特に高熱伝導性の点で優れた特性を有する素材であり、その特性を活かし、例えば電子部品において広く使用されている。
一般に入手可能な高熱伝導性のグラファイトフィルムの製造法としては、膨張黒鉛を圧延してシート状にするエキスパンド法、および、高分子フィルムの熱分解(炭化)、続いて黒鉛化を行なう高分子熱分解法が知られている。
特許文献1では、高分子熱分解法を利用したグラファイトフィルムの製造方法において、巻芯である円筒状グラファイト質炭素に高分子フィルムを巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中で、1800℃以上で加熱することが開示されている。
特開昭63−256508号公報
特許文献1記載の方法において、高分子フィルムの巻数を増加させて生産性を上げようとすると、高分子フィルムの炭化過程において、巻き重ねられたフィルム同士が融着するという問題が発生することが判明した。
本発明は、上記現状に鑑み、フィルム同士の融着が発生することなく、巻物状の炭化フィルムを効率よく製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討したところ、フィルム同士の融着は、炭化過程で高分子フィルムから発生する分解ガスがフィルム間から十分に排出されず、フィルム間に滞留する結果、冷却後にタール分となって固着し、炭化フィルム同士を接着する役割を果たすことが原因と考えられた。このため、炭化過程で高分子フィルムから発生する分解ガスがフィルム間から十分に排出されるよう炭化工程の実施条件を検討したところ、予想外なことに、高分子の熱分解が始まる以前の段階で、加熱系内を減圧下に置くことで、フィルム同士の融着を抑制できることを見出した。
すなわち本発明は、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する準備工程と、前記高分子フィルムを加熱炉の内部に配置し、熱処理に付すことで炭化し、前記巻芯に巻き付けられた炭化フィルムを与える炭化工程と、を含む、炭化フィルムの製造方法であって、前記炭化工程は、前記熱処理の温度を、初期温度から熱分解開始温度を経て熱分解完了温度まで温度を上昇させることで行なわれ、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度未満である時に、前記加熱炉内の減圧が行なわれ、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後は、前記加熱炉内の減圧が行なわれない、炭化フィルムの製造方法に関する。
また本発明は、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する準備工程と、前記高分子フィルムを加熱炉の内部に配置し、熱処理に付すことで炭化し、前記巻芯に巻き付けられた炭化フィルムを与える炭化工程と、を含む、炭化フィルムの製造方法であって、前記炭化工程は、前記熱処理の温度を、初期温度から熱分解開始温度を経て熱分解完了温度まで温度を上昇させることで行なわれ、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度未満である時に、前記加熱炉内の減圧が行なわれ、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後は、前記加熱炉内の絶対圧力が21.3kPa〜101.29kPaの範囲となるよう減圧が行なわれる、炭化フィルムの製造方法に関する。
好ましくは、前記熱分解開始温度未満での前記減圧時における前記加熱炉内の絶対圧力は、70kPa以下であり、より好ましくは10kPa以下である。
好ましくは、前記熱分解開始温度未満での前記減圧は、前記熱処理の温度が100〜450℃の範囲にある時に行なわれる。
好ましくは、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達するまで、前記熱処理における昇温速度は5℃/分以下である。
好ましくは、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後、前記加熱炉内に、不活性ガスが導入される。
好ましくは、前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後、前記加熱炉内に、不活性ガスが1L/min以上の流量で導入される。
好ましくは、前記不活性ガスを導入している際に、前記加熱炉内の絶対圧力が21.3kPa〜101.29kPaの範囲となるよう第二減圧が行なわれる。
好ましくは、前記巻芯に巻き付けられた前記高分子フィルムは、外筒の内部に収納された状態で前記炭化工程に付される。
好ましくは、前記外筒が、通気性を有する。
好ましくは、前記外筒が、通気孔を有する。
好ましくは、(前記外筒の内径−前記巻芯の直径)を2で除した値をa(mm)、前記高分子フィルムの巻き厚みをb(mm)とした場合に、a/bが1.8以上3.8以下である。

好ましくは、前記準備工程は、前記高分子フィルムに40N/m以上の張力を与えつつ、前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程である。
好ましくは、前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける際の巻き付け速度が1m/min以上である。
好ましくは、巻き始めのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Psと、巻き終わりのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Psの張力比Pe/Psが、1.1以上である。
好ましくは、前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程は、前記巻芯に巻き付けられた前記高分子フィルムを、ニップローラを用いて70N/m以下の圧力で押さえながら行なわれる。
好ましくは、前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程は、ニップローラによる圧力を前記高分子フィルムに与えることなく行なわれる。
好ましくは、前記高分子フィルムを巻芯に巻き付ける工程は、前記高分子フィルムを除電しつつ行なう。 また本発明は、以上の製造方法により炭化フィルムを製造する工程と、前記炭化フィルムを黒鉛化することによりグラファイトフィルムを製造する工程と、を含む、グラファイトフィルムの製造方法にも関する。
本発明の製造方法によれば、巻芯に巻き付けられた長尺の高分子フィルムを加熱炭化して炭化フィルムを製造するにあたって、フィルム同士の融着を抑制することができる。これは、高分子フィルムの熱分解が始まる以前の段階で加熱系内を減圧下に置くことで、フィルム間に巻き込まれていた気体が膨張し、これにより、フィルム間に適度な隙間が生じるためと考えられる。隙間が生じてから高分子フィルムの熱分解が始まるので、この隙間を通って、高分子フィルムの熱分解により発生する分解ガスが排出されやすくなり、これによって、フィルム同士の融着を抑制できるものと考えられる。
炭化工程の昇温過程でのフィルムの緩みと炭化が起こる過程を示す図である。 フィルムが緩み過ぎた状態で炭化が進行した状態を示す図である。 実施例における、フィルム片面の除電を伴う高分子フィルムの巻き替えの様子を示す概念図である。 実施例で用いた、外筒とその内部に巻芯とを有する容器の側断面図および上面図である。 実施例で、容器を電気炉内に設置した様子を示す図である。 巻物状の炭化フィルムで波打ちが発生している状態を示す図である。 実施例における、フィルム両面の除電を伴う高分子フィルムの巻き替えの様子を示す概念図である。 実施例における、ニップローラによる押さえを伴う高分子フィルムの巻き替えの様子を示す概念図である。 実施例における、フィルムの除電を伴わない高分子フィルムの巻き替えの様子を示す概念図である。
本発明は、巻芯に高分子フィルムを巻き付けた状態で加熱処理を行なうことで高分子フィルムを炭化して炭化フィルムを製造する方法である。これにより得られた炭化フィルムをさらに高温で加熱処理を行なうことで、炭化フィルムを黒鉛化してグラファイトフィルムを製造する方法も、本発明を構成する。
本発明の炭化フィルムの製造方法は、(1)巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する準備工程、および、(2)準備工程の後、加熱処理により炭化フィルムを得る炭化工程、を含む。本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、さらに、(3)炭化工程の後、加熱処理によりグラファイトフィルムを得る黒鉛化工程、を含む。
(高分子フィルム)
本発明で用いる高分子フィルムは、巻芯に巻き付けられた長尺で帯状のフィルムである。高分子フィルムの長さは特に制限されないが、30m以上が好ましく、50m以上がより好ましく、100m以上が更に好ましい。高分子フィルムが長くなると、高分子フィルムの巻数が多くなるため、巻物の中央部(巻芯に近い部分)で緩みが生じにくく、炭化フィルム同士の融着が発生しやすい傾向がある。高分子フィルムの幅は特に制限されないが、250mm以上が好ましく、500mm以上がより好ましい。高分子フィルムの幅が広くなると、巻物の中央部で発生する分解ガスが巻物の外部に排出されにくくなり、フィルム同士の融着が発生しやすい傾向がある。また、高分子フィルムの厚みは特に制限されないが、50μm以上が好ましい。高分子フィルムが厚くなると、単位時間あたりの分解ガスの発生量が増大するため、フィルム同士の融着が発生しやすい傾向がある。本発明では、後述する条件で炭化工程を実施することでフィルム同士の融着を抑制することができるので、従来の製法と比較して、高分子フィルムを長く、幅を広く、厚くすることが可能となる。
高分子フィルムを構成する高分子としては特に限定されないが、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムが得られることから、ポリイミドが特に好ましい。
(準備工程)
準備工程は、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する工程である。この際、高分子フィルムは2以上の巻数で巻芯に巻き付けられており、フィルム間に間紙は挟み込まれていないので、フィルム同士が直接接触している。巻芯は、例えば、円筒形の部材であり、その高さは、高分子フィルムの幅より長く設定される。しかし、本発明は部材としての巻芯を使用することなく実施することもできる。すなわち、本発明で「巻芯に巻き付けられた」とは、部材としての巻芯に対してフィルムを巻き付けている場合と、部材としての巻芯を使用せずに、フィルムが巻物状に巻かれ、その巻物の最内周に位置するフィルムが巻芯としての役割を果たす場合も含む。
巻芯への高分子フィルムの巻き付けは気体(通常、空気または窒素)が存在する雰囲気下で行なわれる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際には、高分子フィルムに40N/m以上の張力を与えつつ巻き付けることが好ましい。より好ましくは100N/m以上の張力である。高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際に40N/m以上の張力をかけると、フィルムの巻き戻ろうとする反発力が大きくなり、後述する炭化工程でフィルムの巻き戻りを促進することになり、気体の膨張によってフィルムが緩みやすくなる。その結果、炭化工程で効果的にフィルム間に隙間を生じさせることができ、その隙間を通って、分解ガスが容易に巻物状のフィルムの外部に排出されることになるので、炭化フィルム同士の融着を抑制することができる。さらに、高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際に40N/m以上の張力をかけることで、巻き付けの際にフィルム間に巻き込まれる気体の量を抑制することができるので、気体の巻き込み過ぎによるフィルムの過剰な緩みが生じるのを防止することができる。その結果、炭化フィルムの波打ち発生を抑制することができる。なお、波打ち発生の詳細なメカニズムについては後述する。さらに、高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の張力を100N/m以上とすると、巻物状のフィルムの半径方向および接線方向への応力分布を均一にできるため、フィルムが緩む際に巻物全体で均一に緩みが生じ、また、炭化時のフィルム収縮も巻物全体で均一に進行することになる。その結果、炭化フィルムの波打ち発生をより効果的に抑制することができる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の張力は、400N/m以下であることが好ましく、300N/m以下がより好ましく、200N/m以下が更に好ましい。400N/m以下の張力をかけて高分子フィルムを巻芯に巻き付けることで、フィルム間に効果的な量の気体を巻き込むことができ、巻き込まれた気体の膨張でフィルムの巻きが緩み、フィルム間に隙間が生じるので、炭化後の融着を抑制することが容易になる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の巻き付け速度は、1m/min以上であることが好ましく、3m/min以上であることがより好ましく、10m/min以上であることが更に好ましく、30m/min以上であることが特に好ましい。このような高速で高分子フィルムを巻芯に巻き付けることで、フィルム間に気体を巻き込みやすく、気体の巻き込み量を増やすことができるため、当該気体の膨張によりフィルムの巻きが緩みやすくなり、炭化後の融着を抑制することが容易になる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の張力は、巻き始めのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Psと、巻き終わりのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Peとの張力比Pe/Psが、1.1以上であることが好ましい。巻芯に巻き付けられた高分子フィルムは外周部から緩む。そのため、巻物の外周部では、巻き付け時の張力を大きくし、フィルムの巻き戻ろうとする反発力を大きくすることで、緩み易さを向上させる。一方、巻物の中央部では、外周部のフィルムからの抵抗が増え、外周部に比べて反発力が低下する傾向がある。よって、中央部ではより多くの気体が巻き込まれるように巻き付け時の張力を低めに設定することで、炭化後の融着をより効果的に抑制することができる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際は、巻芯に巻き付けられている高分子フィルムを、ニップローラを用いて押さえながら行なうことが好ましい。この際、ニップローラにかける圧力は、好ましくは70N/m以下、より好ましくは50N/m以下、さらに好ましくは20N/m以下である。このような圧力を高分子フィルムにかけながら巻き付けを実施することで、フィルム間に気体を効果的に巻き込むことができるため、融着抑制の効果を向上させることができる。
しかしながら、ニップローラによる圧力をかけることなく、高分子フィルムを巻芯に巻き付けてもよい。この際も、融着抑制の効果を達成することができる。
高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際は、高分子フィルムを除電しつつ巻き付けを行なうことが好ましい。高分子フィルムの除電を行なうことで、フィルム表面の滑り性を向上させることができるため、高分子フィルムがより緩み易くなる。その結果、融着抑制の効果を向上させることができる。
この除電により、巻芯に巻き付けられている高分子フィルムの帯電量を、20kV以下とすることが好ましい。帯電量は、15kV以下がより好ましく、8kV以下が更に好ましく、3kV以下が特に好ましい。また、除電は、高分子フィルムの両面に対して行なうことができるが、高分子フィルムの片面だけに行なうこともできる。これにより、高分子フィルムの表面と裏面間で帯電量の差を持たせることで、フィルムの緩み過ぎを抑制し、波打ちを効果的に抑制することもできる。
巻芯に巻き付けられた高分子フィルムは、次の炭化工程に付するにあたって、拘束されていないことが好ましい。拘束とは、フィルムの緩みを阻害する処理のことをいい、例えば、高分子フィルムの端部を粘着テープで固定したり、高分子フィルムに重しをかけたりすることが挙げられる。高分子フィルムが拘束されていないと、高分子フィルムは容易に緩むことができるので、炭化後の融着抑制に効果的である。
本発明では、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムは、外筒の内部に収納し、その状態で次の炭化工程に付することが好ましい。外筒は、高分子フィルムの巻物全体を内部に収納するものであってもよいし、前記巻物の一部を内部に収納するものであってもよい。高分子フィルムの巻物を外筒の内部に収納して炭化工程を実施することで、フィルムの緩み過ぎによる波打ちの発生、または、割れの発生を抑制することができる。外筒は、通気性を有していることがより好ましく、具体的には、少なくとも一部分に通気孔が設けられていることがさらに好ましい。外筒に通気性を持たせることで、高分子の熱分解により発生した分解ガスが排出されやすくなるため、炭化後の融着をより効果的に抑制することができる。
外筒を構成する素材としては、500℃以上の温度での連続使用に耐えられる素材を用いることが好ましい。このような素材としては、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、石英(SiO)、炭化珪素(SiC)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)、窒化珪素(Si)、窒化アルミ(AlN)、イットリア(Y)、ムライト(3Al・2SiO)、コージライト(2MgO・2Al・5SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)などのセラミックスが挙げられる。また、炭化工程と黒鉛化工程を連続で実施する場合は、2000℃以上、好ましくは2800℃以上での連続使用に耐えられる素材を用いることが好ましい。このような素材としては、例えば、黒鉛を炭素繊維で補強してなるC/Cコンポジット、押出成型品、型込成型品、冷間等方圧加圧品などの等方性黒鉛等が挙げられる。なお、巻芯を構成する素材としても同様のものを使用できる。
外筒の形状に関しては特に制限はない。外筒の内表面は緩んだフィルムと接触することになるので、その点を考慮して外筒内部の形状を決定する。また、外筒内部の形状は、フィルムの緩みを制限しないような形状であることが好ましい。さらに、外筒の内表面は、凹凸が少ないことが好ましい。
具体的には、外筒内部の形状は、円筒形でもよいし、直方体でもよい。また、内表面は連続した平面を有する必要はない。例えば、内表面において、巻芯の軸と垂直な方向に複数の部材(例えばリング状の部材)が設けられ、当該複数の部材によって高分子フィルムの外周が囲まれた形状でもよい。また、巻芯の軸に平行な方向に、高分子フィルムの巻物の外周面に沿って複数の棒状部材が設けられていてもよい。外筒内部の断面形状(巻芯の軸に垂直な方向での断面)はフィルムの巻き緩みがスムーズに進行するよう、円形に近い形であることが好ましく、真円または楕円がより好ましく、真円が特に好ましい。
本発明で外筒を用いるにあたって、外筒の内表面と、まだ巻きが緩んでいない高分子フィルムの巻物の外周面との間に隙間があることが好ましい。この隙間が存在するために、フィルムの巻きが緩むことが可能になる。具体的には、外筒内部の断面形状、および、巻芯の断面形状(いずれも、巻芯の軸に垂直な方向での断面)が円である場合、(外筒の内径−巻芯の直径)を2で除した値をa(mm)、高分子フィルムの巻き厚みをb(mm)とした場合に、a/bが1.8以上3.8以下の関係を有することが好ましい。a/bが1.8以上であると、フィルムが緩むための隙間が十分に確保できるため、融着抑制に効果的である。また、a/bが3.8以下であると、フィルムの緩み過ぎを防止できるため、炭化フィルムの波打ちまたは割れの抑制に効果的である。
(炭化工程)
炭化工程とは、高分子の熱分解(炭化)は進行するが、黒鉛化は充分に進行しない温度範囲(例えば1000℃程度以下)で高分子フィルムを加熱処理する工程である。この工程により、高分子フィルムを構成する高分子が熱分解して分解ガス(窒素、酸素、水素、炭素等を含むガス)を放出し、炭化フィルムを形成する。得られる炭化フィルムは、原料である高分子フィルムの約6割程度の重さとなり、ガラス状のフィルムである。
本発明の炭化工程は、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを加熱炉の内部に配置して、そこで加熱処理に付する。これにより、巻芯に巻き付けられた炭化フィルムを得る。炭化工程では、初期温度から熱分解開始温度を経て熱分解完了温度まで温度を上昇させることで高分子フィルムの炭化を実施する。
ここで、初期温度とは、高分子フィルムを構成する高分子の熱分解が始まらない低温のことをいう。具体的には、特に限定されないが、室温である。
熱分解開始温度とは、高分子フィルムを構成する高分子の熱分解が始まって、当該フィルムが分解ガスを放出し始めることにより、当該フィルムの重量が実質的に減少し始める温度のことをいう。より具体的にいうと、高分子フィルムの重量減少量が2%を超える温度のことをいう。特に限定されないが、高分子フィルムがポリイミドフィルムの場合には、550℃程度である。
熱分解完了温度とは、高分子フィルムを構成する高分子の熱分解が実質的に終了して、当該フィルムの重量の減少が実質的に終了する温度のことをいう。具体的には、特に限定されないが、例えば1000℃−1400℃程度である。
本発明の炭化工程では、炭化を実施するための昇温をする際に、初期温度から熱分解開始温度に至るまでの過程で前記加熱炉内を減圧することで、巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを減圧下に置く。これにより、巻芯に巻き付けられた炭化フィルムにおいてフィルム同士の融着が発生するのを抑制することができる。
本発明の課題である融着は、高分子フィルムの炭化過程で発生する分解ガスが、フィルム間から十分に排出されず、フィルム間に滞留する結果、冷却した後にフィルムに固着し、炭化フィルム同士を接着する作用を果たすことが原因と考えられる。
巻芯に巻き付けられた高分子フィルムは、その準備段階で巻芯に高分子フィルムを巻き取る際に、フィルム間に気体(通常、空気または窒素)が巻き込まれる。本発明では当該フィルムを減圧下に置くため、フィルム間に存在する気体の膨張を促進することができる。これにより、フィルム間に適度な隙間が生じるものと考えられる。すなわちフィルムの巻きが、巻物中央部(巻芯に近い部分)まで緩むことになる。本発明ではフィルムの巻き緩みが生じた後に、高分子フィルムの熱分解が始まるので、高分子の分解によって発生する分解ガスはフィルム間の隙間を通って容易に巻物状のフィルムの外部に排出されることになる。このため、分解ガスがフィルム間に滞留することなく、炭化フィルムの融着を抑制することができる。
図1は、以上説明した昇温過程でのフィルムの緩みと炭化が起こる過程を示す図である。符号10は、巻芯100に巻き付けられた高分子フィルム50を示す。高分子フィルムは、外筒200の内部に収納されている。符号20は、熱分解開始温度未満の温度で加熱炉内を減圧下に置くことで、フィルムの巻きが緩んだ状態を示す。ここでは、高分子フィルムの熱分解は始まっていない。符号30は、熱処理の温度が熱分解開始温度を超え、フィルムの巻きが緩んだ状態で炭化が進行して、炭化フィルム80が得られている状態を示す。
本発明の炭化工程で減圧を開始する時の温度は、熱分解開始温度未満であれば特に制限されない。当該減圧は、熱分解開始温度未満の温度領域の全域で実施してもよいが、必ずしも全域で実施する必要はない。熱分解開始温度未満の温度領域のうち一部領域で減圧を実施し、他の領域では減圧を実施しないことでも、本発明の効果を発揮することができる。
炭化工程のための昇温は通常、室温から開始するので、室温以上で減圧を開始することが好ましい。減圧開始時の温度は、100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、300℃以上が更に好ましく、400℃以上が特に好ましい。熱分解開始温度未満において行う減圧を終了する時の温度は特に制限されないが、例えば高分子フィルムがポリイミドフィルムである場合には、500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。
図2は、炭化工程の昇温過程においてフィルムが緩み過ぎた状態で炭化が進行した状態を示す図である。符号21は減圧により高分子フィルム100が緩み過ぎた場合を示している。この場合、フィルムの自由度が高くなるために、炭化時のフィルム収縮によりフィルムが変形しやすくなる。その結果、符号31で示すように、炭化フィルム80に波打ちが発生しやすくなる。しかしながら、500℃以下で前記減圧を終了することで、フィルムの緩み過ぎを抑制することができるので、炭化フィルムの波打ち発生も抑制できる。
熱分解開始温度未満で行なう減圧時の減圧度は、絶対圧力で70kPa以下が好ましく、50kPa以下がより好ましく、10kPa以下が更に好ましく、1kPa以下がより更に好ましく、0.1kPa以下が特に好ましい。減圧度を70kPa以下と低くすることで、フィルム間に巻き込まれた気体を効果的に膨張させることができるため、分解ガスが十分に排出できる程度にフィルムを緩ませることが可能となり、炭化フィルム同士の融着を効果的に抑制することができる。ここで、絶対圧力とは、完全真空状態の圧力を0kPaとした場合の圧力のことである。
本発明の炭化工程で、熱分解開始温度未満の温度範囲での昇温速度は特に制限されないが、10℃/min以下が好ましく、5℃/min以下がより好ましく、2℃/min以下が更に好ましい。高分子フィルムの巻物は外周部から徐々に巻きが緩んでいくため、熱分解が始まる温度に到達するまでの昇温を比較的ゆっくりと行なうことで、緩みにくい巻物中央部(巻芯に近い部分)の巻きも緩ませることができ、全体的に融着を防止することができる。
熱分解開始温度未満の温度範囲での減圧は、熱処理の温度が、熱分解開始温度に到達するまでに行なわれ、熱分解開始温度に到達した時点以後は行なわれないことが好ましい。これにより、炭化フィルムに割れが生じることを防止できる。高分子フィルムの炭化が進行すると、フィルムが極めて脆くなる。フィルムの炭化が進行した状態で、上述のように例えば10kPa以下という低圧に減圧を行なうと、フィルムに負荷がかかるため、フィルムに割れが生じやすくなる。そこで、熱分解開始温度に到達した時点以後は低圧への減圧を行なわないことで、フィルムへの負荷が少ない雰囲気下で熱処理を行なうことが可能となり、炭化フィルムの割れ発生を防止することができる。
本発明の炭化工程では、熱処理の温度が熱分解開始温度に到達した時点以後は、加熱炉内に不活性ガスを導入することが好ましい。導入する不活性ガスの流量としては特に制限されないが、1L/min以上が好ましく、3L/min以上がより好ましく、5L/min以上が更に好ましい。熱分解開始温度以上になると、融着の原因である分解ガスが発生するところ、不活性ガスを系中に導入すると、フィルム間の隙間に不活性ガスが進入し、分解ガスをその隙間から巻物の外部に押し出すことになるので、より効果的に融着を抑制することができる。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えば窒素やアルゴンを用いることができる。
熱処理の温度が熱分解開始温度に到達した時点以後、比較的高めの圧力で2回目の減圧を実施することもできる。この2回目の減圧は、特に、不活性ガスを導入しながら、同時に実施することが好ましい。この2回目の減圧時の減圧度は、絶対圧力で21.3kPa〜101.29kPa(相対圧力では−0.01kPa〜−80kPa)の範囲であることが好ましく、絶対圧力で61.3kPa〜101.3kPa(相対圧力で−1kPa〜−40kPa)であることがより好ましい。この2回目の減圧を実施する時の温度条件としては、熱処理の温度が、分解ガスが発生する熱分解開始温度以上であることが好ましく、例えば高分子フィルムがポリイミドフィルムである場合は、500℃以上が好ましい。分解ガスの発生する温度領域で不活性ガスを導入しながら絶対圧力において21.3kPa以上に減圧することで、フィルム間からの分解ガスの排出をより効率的に行えるため、融着を効果的に抑制することができる。同時に、この減圧度は比較的高いものであり、炭化が進行して脆くなったフィルムに過剰な負荷をかけることがないので、炭化フィルムの割れ発生を防止することができる。
ここで、相対圧力とは、大気圧を0kPaとした場合の圧力のことであり、減圧下ではマイナスの数値となる。
炭化工程では、上述のとおり、高分子フィルムの巻物を外筒に収納した状態で加熱処理を実施することが好ましい。その場合、加熱方法は特に限定されないが、外筒の外側から加熱することが好ましい。このようにすると、最初に高分子フィルムの巻物の外周部で炭化が進行し、続いて中央部で炭化が進行するようになる。その場合には、炭化フィルムは高分子フィルムの6割程度の重さであるため、中央部で炭化が進行する時には、外周部のフィルムから中央部にかかる荷重が減少している。巻物の中央部の高分子フィルムで炭化が進行する際に中央部のフィルムにかかる荷重を小さくすると、中央部のフィルムに過剰な負荷がかからず、結果、炭化後の融着または割れの発生を効果的に防止することができる。
炭化工程で加熱炉内にフィルムの巻物を設置する際の方向は特に限定されないが、横向きで設置する(すなわち巻芯の軸が水平になるよう設置する)ことが好ましい。横向きでフィルムの巻物を設置することで、フィルムの幅方向端部に荷重がかかることを回避できる。これにより、フィルムが緩みやすくなるので、融着抑制に効果的である。また、フィルムが緩んだ後も、フィルムの面方向で均一に荷重がかかるため、熱分解時にフィルムに均一に収縮力がかかり、炭化フィルムの変形を抑制することができる。
(黒鉛化工程)
グラファイトフィルムを製造する場合、炭化工程の後に黒鉛化工程を行なう。黒鉛化工程とは、炭化工程で作製された炭化フィルムを2400℃以上の温度で加熱処理する工程である。この工程により、炭化フィルムが黒鉛化されて、高熱伝導性を有するグラファイトフィルムを得ることができる。炭化フィルムがグラファイトフィルムに変化すると、熱伝導率が大幅に向上し、サイズが1割程度大きくなる。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを製造する場合には、炭化工程と黒鉛化工程を連続して行なってもよいし、炭化工程が完了した後、別途、黒鉛化工程のみを単独で行なってもよい。
炭化工程で得られた、巻芯に巻き付けられた炭化フィルムをそのまま黒鉛化工程に付してもよいし、炭化フィルムを巻芯から外して適度な大きさにカットした後、必要により積み重ねて、黒鉛化工程に付してもよい。
また、得られたグラファイトフィルムは、プレス工程に付することで優れた柔軟性を付与することもできる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図3は、実施例で行なった、高分子フィルムの巻き替え(巻き取り)の様子を示す概念図である。高分子フィルム50は最初に円柱90に巻かれているが、図3では、円柱90から、炭化工程に適した巻芯100に高分子フィルム50を巻き取っている。円柱90と巻芯100の間に2つのガイドローラ310を配置し、高分子フィルムを支持している。2つのガイドローラ310の間にはピックアップローラ300を設置し、当該ピークアップローラにより高分子フィルムに所定の張力を与えている。高分子フィルムの片面を除電できるよう、巻芯100に巻き取られる前のフィルムの片面に向けて除電機400を配置している。除電機400の通過直後で巻芯100に巻き取られる直前に、帯電量測定場所450を設定している。
図7は、高分子フィルムの両面を除電できるよう、フィルムの両面それぞれに向けて除電機400を配置したこと以外は図3と同様である。
図8は、巻芯100に巻き取られている高分子フィルムに対しニップローラ350による押さえを行なっていること、および、除電機400の図示を省略したこと以外は図3と同様である。
図9は、高分子フィルムの除電を実施しないよう、除電機を配置しなかったこと以外は図3と同様である。
図4は、各実施例で用いた、外筒とその内部に巻芯とを有する容器a−fの概略図である。左図は容器a−fの長さ方向断面図、右図は容器a−fの側面図である。
(容器a)
容器aは、内径130mm×高さ570mm、厚み5mmの円筒210の両端に、直径130mm×厚さ10mmの円板220を嵌合してなる外筒200と、その内部に配置される直径100mm×高さ550mm、厚み5mmの巻芯100と、から構成されている。2枚の円板220には通気のため直径7mmの穴がそれぞれ8個設けられている。外筒200および巻芯100は全て等方性黒鉛で作製した。
(容器b)
容器bは、円筒210の内径を125mmに変更したことと、円板220の直径を125mmにしたこと以外は、容器aと同じである。
(容器c)
容器cは、円筒210の内径を140mmに変更したことと、円板220の直径を140mmにしたこと以外は、容器aと同じである。
(容器d)
容器dは、円筒210の内径を150mmに変更したことと、円板220の直径を150mmにしたこと以外は、容器aと同じである。
(容器e)
容器eは、円筒210の内径を160mmに変更したことと、円板220の直径を160mmにしたこと以外は、容器aと同じである。
(容器f)
容器fは、円筒210の内径を180mmに変更したことと、円板220の直径を180mmにしたこと以外は、容器aと同じである。
図5は、各実施例で、容器を電気炉(加熱炉)内に設置した様子を示す図である。巻芯100に巻き付けられた高分子フィルムを外筒200の内部に配置し、さらに、インナーケース55の内部に配置する。インナーケース55は、ヒーター500内部の台60上に設置する。インナーケース55およびヒーター500には、内部にガスを導入できる導入孔65およびガスを排気できる排気口70を設けている。
(帯電量の計測)
実施例61以降では、図3、7および8の帯電量測定場所450において、巻芯100に巻き取られる直前の高分子フィルム50両面の帯電量を(株)キーエンス製 高精度静電気センサSKを用いて計測した。
(巻き張力の計測)
巻き張力は、図3、7および8のピックアップローラ300にひずみエイコー測器(株)製ゲージ式張力検出器をつけて計測した。
なお、実施例61以降で、巻き始めの張力Psとは、所定の速度にて巻き取りを開始してから巻き始めのフィルム端部から3mの地点が計測地点を通過した時に測定された張力のことをいい、巻き終わりの張力Peとは、巻き終わりのフィルム端部から3mの地点が計測地点を通過した時に測定された張力のことをいう。
<評価方法>
(融着)
炭化工程後に得られた巻物状の炭化フィルムの側面において、フィルム間の融着の個数を計測して、以下の基準で評価した。「A」〜「D」の評価を合格とする。
A:まったく融着が無かった場合
B:2周〜3周の融着が存在した場合
C:4周〜9周の融着が存在した場合
D:10周〜19周の融着が存在した場合
E:20周以上の融着が存在した場合
(波打ち)
図6は、巻物状の炭化フィルムで波打ちが発生している状態を示す概念図である。左図は、巻物状の炭化フィルムの側面図、右図は、前記側面図の一部を拡大した拡大側面図である。拡大側面図では、炭化フィルムの一部に波打ちが生じており、その波打ちの振幅を符号1で示している。
炭化工程後に得られた巻物状の炭化フィルムの側面を観察し、フィルムの波打ちの振幅および個数を計測して、以下の基準で評価した。「A」および「B」の評価を合格とする。
A:3.1mm以上の振幅の波打ちが存在せず、且つ、1.0mm〜3.0mmの振幅の波打ち部分が15周以下で存在する場合
B:1.0mm〜3.0mmの振幅の波打ちが16周〜30周存在する場合、もしくは3.1mm以上の振幅の波打ちが1周〜10周存在する場合
C:1.0mm〜3.0mmの振幅の波打ちが31周以上存在する場合、もしくは3.1mm以上の振幅の波打ちが10周以上存在する場合
(割れ)
炭化工程後に得られた炭化フィルムを観察し、フィルムの割れを計測して、以下の基準で評価した。「A」〜「C」の評価を合格とする。
A:割れがなかった場合
B:割れが1周〜5周存在する場合
C:割れが6周〜10周存在する場合
D:割れが11周以上存在する場合
(実施例1)
高分子フィルムとして、幅500mm、長さ50mのポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を準備し、直径100mmの巻芯の中央部に巻き替えを行い、フィルムを巻き付けた巻芯を外筒に入れた。容器としては、容器aを用いた。巻き替え(巻き取り)は、図3で示したように行い、フィルムの片面を除電機400で除電しながら、巻き張力100N/m、巻き速度10m/minで行った。
高分子フィルムをセットした容器aは、図5で示したように、電気炉内に横向き(水平)に設置した。外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行うことで、炉内温度が室温から450℃になるまで1℃/minの速度で昇温した。その際、炉内圧力が0.04kPa(絶対圧力)になるように減圧を行なった。次いで、窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら炉内温度が1000℃になるまで1℃/minの速度で昇温することで、炭化処理を行なった。ここで、窒素ガスは導入孔65から導入され、排気は排気口70を通じて行なった。結果を表1に示す。
(実施例2)
窒素ガスの流量を1L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
窒素ガスの流量を1L/minに変更したことと、外筒を用いなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
外筒を用いなかったことと、減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
炉内温度が室温から1000℃になるまで窒素を導入せず、0.04kPa(絶対圧力)の炉内圧力で熱処理したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
高分子フィルムとして、幅500mm、長さ50mのポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を準備し、直径100mmの巻芯の中央部に巻き替えを行った。巻芯に巻いた高分子フィルムは外筒に入れなかった。巻き替えは、図3で示したように行い、フィルムの片面を除電機400で除電しながら、張力100N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力は、図3のピックアップローラ300を用いて検出した。
高分子フィルムを巻き付けた巻芯は、電気炉内に横向きに設置した。外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行うことで、炉内温度が室温から1000℃になるまで1℃/minの速度で昇温することで、炭化処理を行なった。この際、窒素ガスを流さず、炉内圧力が絶対圧力で103.3kPa(相対圧力で+2kPa)になるように調整した。結果を表1に示す。
(比較例2)
巻芯に巻いた高分子フィルムを容器aの外筒に入れたこと以外は、比較例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
炉内温度が1000℃になるまでの炉内圧力を絶対圧力で101.3kPa(相対圧力で±0kPa)に変更したことと、巻芯に巻いた高分子フィルムを容器aの外筒に入れたこと以外は、比較例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
窒素ガスを流さず、炉内圧力が絶対圧力で103.3kPa(相対圧力で+20kPa)になるように炉内温度が室温から450℃になるまで1℃/minの速度で昇温した後、窒素ガスを1L/minの流量で流入しながら炉内温度が1000℃になるまで同速度で昇温することで、炭化処理を行なった。巻芯に巻いた高分子フィルムを容器aの外筒に入れた。その他の条件は、比較例1と同様である。結果を表1に示す。
(比較例5)
窒素ガスを流さず、炉内圧力が絶対圧力で101.3kPa(相対圧力で±0kPa)になるように炉内温度が室温から550℃になるまで1℃/minの速度で昇温した後、炉内圧力が絶対圧力で0.04kPaになるように減圧をしながら炉内温度が1000℃になるまで同速度で昇温することで、炭化処理を行なった。巻芯に巻いた高分子フィルムを容器aの外筒に入れた。その他の条件は、比較例1と同様である。結果を表1に示す。
Figure 0005079164
比較例1〜比較例4のように炭化工程中、減圧をまったく行わなかった場合、融着が多く発生した。しかし、実施例5のように炭化分解開始前の温度領域において減圧を行うことで、融着の発生が大幅に低減した。
融着発生は、高分子フィルムの熱分解時に発生する分解ガスが、フィルム間に滞留し、冷却した際に固着し、フィルム間で接着剤のような作用をすることで起こる。
高分子フィルムをロール状に巻く場合、巻き取りの際に、フィルム間に気体(通常、空気または窒素)が巻き込まれる。このため加熱および減圧を行うと、フィルム間に存在する気体が膨張し、フィルムを押し上げ、フィルムの巻きが緩むため、フィルム間に隙間ができる。熱分解により発生した分解ガスは、このフィルム間の隙間を通じてロール状の高分子フィルムの外部への排出が容易になり、冷却後もフィルム間で固着することがないので、融着の発生を抑制することができる。
つまり、熱分解が始まる前までの段階で、フィルムの巻きを緩め、フィルム間に隙間を設けておくことにより本発明の目的を達成できる。
しかし、比較例1〜比較例4のように減圧を行わず、加熱だけを行った場合、気体の膨張力が十分ではない。フィルムの巻きは外周部から徐々に緩むため、巻物の中央部は十分に緩むことができない。このため、比較例1〜4では、特に巻物の中央部でフィルム間からの分解ガスの排出が困難となり、冷却した際に融着を引き起こしてしまったと考えられる。一方、実施例5のように炭化分解開始前の温度領域において減圧することで、フィルム間の気体の膨張力を向上させることができ、中央部付近まで十分に巻きが緩み、融着の発生を抑制できたものと考えられる。
実施例4では外筒を設けたことで、実施例5に比べて炭化フィルムの波打ちおよび割れの発生についても低減することができた。熱分解が起こり炭化が進行すると、フィルムが収縮する。この収縮時にフィルムの自由度が高い状態であると、フィルムの変形を引き起こし、波打ちが発生しやすい。よって、外筒を設けることで、高分子フィルムの自由度を抑制して、フィルムの緩み過ぎを防止することで、波打ちの発生が低減したものと考えられる。また、外周部付近のフィルムは本来自由度が高い状態であるために、炭化収縮の応力によって動き回りやすいので、外筒を設けることで、自由度を抑制することができ、割れの発生も低減したものと考えられる。一方、外筒を設けた場合、外筒を設けなかった場合に比べて、融着数がわずかに増加した。これは、外筒を設けたことで、フィルムの緩みが抑制されためと考えられる。
実施例3では減圧後に窒素ガスを炉内に流すことで、実施例4および5に比べて、融着の発生をさらに低減することができた。熱分解により発生した分解ガスはフィルム間に滞留しやすいために融着が発生する。そのため、熱分解が開始した後に窒素ガスを流すことで、フィルム間に滞留する分解ガスをフィルム外に誘導することができ、融着の発生が低減したものと考えられる。
実施例2では、外筒を設け、さらに減圧後に窒素ガスを炉内に流すことで、実施例5に比べて、融着、割れ、および波打ちいずれの発生も低減することができた。
さらに実施例1では、窒素ガスの流量を増やすことで、実施例2に対してさらに融着の発生を低減することができた。
比較例5では、熱分解開始温度未満の温度領域では減圧を行なわず、熱分解開始温度以上の温度領域でのみ減圧を行ったところ、熱分解前にフィルムの巻きが十分に緩まず、融着の発生数が多くなった。更に、熱分解の進行中に減圧を行ったことで、分解ガスが一気にフィルム間から飛び出そうとするために、フィルムに負荷がかかり過ぎ、作成した炭化フィルムに割れが多く発生した。これは、高分子フィルムが熱分解により炭化フィルムに変化しつつある過程で脆くなりつつあるため、この状態で、減圧による負荷がフィルムにかかったことが原因と考えられる。
実施例6では、実施例5の熱分解開始温度未満の温度領域に加えて熱分解開始温度以上の温度領域でも減圧を行なったところ、融着の発生を低減することができた。
(実施例7)
窒素ガスの流量を10L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例8)
窒素ガスの流量を3L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例9)
炉内圧力を10kPaに変更したことと、窒素ガスの流量を10L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例10)
炉内圧力を10kPaに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例11)
炉内圧力を10kPaに変更したことと、窒素ガスの流量を3L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例12)
炉内圧力を10kPaに変更したことと、窒素ガスの流量を1L/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例13)
炉内圧力を10kPaに変更したことと、減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
Figure 0005079164
表2の結果から、熱分解開始温度未満の温度領域で減圧した後に流す窒素ガスは、流量を多くするほど、融着の発生を低減することができることが分かる。これは、窒素ガスの流量を多くすることで、フィルム間から分解ガスをより効率よく排出できたものと考えられる。ただし、窒素ガスの流量が5L/min以上になると、融着抑制効果がさらに改善されることはなかった。
(実施例14)
炉内圧力を1kPaに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例15)
炉内圧力を3kPaに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例16)
炉内圧力を50kPaに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例17)
炉内圧力を1kPaに変更したことと、減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例18)
減圧を炉内温度が室温の時のみ行い、室温での減圧時間を10minとしたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例19)
減圧を炉内温度が室温から100℃になるまで行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例20)
減圧を炉内温度が室温から200℃になるまで行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例21)
減圧を炉内温度が室温から300℃になるまで行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例22)
減圧を炉内温度が室温から400℃になるまで行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例23)
減圧を炉内温度が室温から500℃になるまで行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例24)
炉内温度が室温から100℃になるまで窒素雰囲気下で大気圧にて昇温した後、炉内温度が100℃から200℃になるまで減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例25)
炉内温度が室温から200℃になるまで窒素雰囲気下で大気圧にて昇温した後、炉内温度が200℃から300℃になるまで減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例26)
炉内温度が室温から300℃になるまで窒素雰囲気下で大気圧にて昇温した後、炉内温度が300℃から400℃になるまで減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(実施例27)
炉内温度が室温から400℃になるまで窒素雰囲気下で大気圧にて昇温した後、炉内温度が400℃から500℃になるまで減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
Figure 0005079164
実施例1、14、15、11、および16の比較から、熱分解開始温度未満の温度領域で減圧する際の真空度を高くすることで、融着抑制効果が向上することが分かる。真空度を高くすることで、フィルム間の気体の膨張が促進され、フィルムが緩みやすくなったことが原因と考えられる。また、実施例4、17、および13の比較から、減圧後に窒素ガスを流さない場合でも、減圧時の真空度を高くすることで、融着抑制効果が向上することが分かる。
実施例1、および18〜23の比較、並びに、実施例24〜27の比較から、減圧を行う際の温度領域は、熱分解開始温度未満の温度領域のなかでより高い温度領域のほうが融着抑制効果が大きいことが分かる。これは、より高い温度領域で減圧することで、フィルム間の気体を膨張させる効果が向上することが原因と考えられる。特に、減圧を行なう際の温度領域が200℃以上の場合に、融着抑制効果が大きいことが分かる。
なお、炉内温度が500℃になるまで減圧を継続した実施例23では、融着は抑制されているものの、若干波打ちが発生した。これは、高温での減圧により高分子フィルムに添加されている添加剤などの揮発が促進され、高分子フィルムの巻きが緩み過ぎ、フィルムの自由度が高くなってしまった結果、炭化時のフィルムの収縮によってフィルムが変形したことが原因と考えられる。
(実施例28)
炉内温度が450℃になるまでの昇温速度を2℃/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
(実施例29)
炉内温度が450℃になるまでの昇温速度を5℃/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
(実施例30)
炉内温度が450℃になるまでの昇温速度を10℃/minに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
Figure 0005079164
表4の結果から、熱分解開始温度未満の温度領域での昇温速度は遅いほうが融着抑制効果が大きいことが分かる。フィルムの巻きの緩みは、巻物の外周部から進行し、徐々に内側へと進行することから、巻物の中央部が緩むには多少の時間を要する。そのため、熱分解開始温度未満の温度領域での昇温速度を遅くすることで、融着をより抑制できるものと考えられる。
(実施例31)
容器として容器bを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例32)
容器として容器cを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例33)
容器として容器dを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例34)
容器として容器eを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例35)
容器として容器fを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例36)
容器として容器bを用いたことと、減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(実施例37)
容器として容器dを用いたことと、減圧後に窒素を導入することで炉内の圧力を大気圧に戻した後は、窒素ガスを流さなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
Figure 0005079164
表5の結果から、高分子フィルムを収納する容器において、外筒の内径から巻芯の直径を引いて2で除した値(a)をフィルムの巻き厚み(b)で除した値(a/b)が大きいほど、融着抑制効果が大きいことが分かる。すなわち、外筒と巻芯との間の隙間が大きいほど、融着抑制効果が大きくなる。本発明では融着抑制のために熱分解開始前にフィルムの巻きを緩ませるものであり、巻きが緩むことで、フィルムの巻き厚みは最初の巻き厚み(b)よりも大きくなる。そのため、外筒と巻芯との間の隙間が小さい場合(実施例31および36)には、フィルムの巻物全体が緩むためのスペースがなく、緩みが十分でないために融着が発生しやすくなるものと考えられる。
しかし、外筒と巻芯との間の隙間が大きい場合(実施例34および35)は、フィルムの巻きが緩み過ぎるために、フィルムの自由度が大きくなり、波打ちが発生しやすくなると考えられる。
(実施例38)
容器aを炉内に縦置きに設置した(円板220が底面となるように設置した)こと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表6に示す。
(実施例39)
巻芯に巻き付けた高分子フィルムの最外周の端部を市販のセロハンテープ10mmで固定したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表6に示す。
Figure 0005079164
実施例1と38の比較から、容器は縦置きよりも横置きにて設置したほうが、融着が起こりにくいことが分かる。縦置きに設置した場合、下方の端部は容器の底面との間で接触しているため、減圧によりフィルムの巻きが緩む際に、摩擦により緩みが阻害され、結果、融着の発生が多くなったと考えられる。
実施例39では、フィルムの最外周の端部をセロハンテープで拘束しため、フィルムの緩みが阻害され、融着の発生が多くなった。しかし、加熱によりセロハンテープは剥がれたため、全面が融着することはなかった。
(実施例40)
巻芯に直接通電加熱を行うことで巻芯側から加熱を行い、外側に設置されたヒーター500からの加熱を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表7に示す。
(実施例41)
高分子フィルムの長さを100mに変更し、容器として容器eを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表7に示す。
(実施例42)
高分子フィルムの長さを150mに変更し、容器として容器fを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表7に示す。
(実施例43)
高分子フィルムの幅を250mmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表7に示す。
(実施例44)
厚み75μm(カネカ社製、商品名:アピカル75AH)のポリイミドフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表7に示す。
Figure 0005079164
実施例1と実施例40の比較から、加熱は、フィルムの巻物の外側から行なうほうが融着が起こりにくいことが分かる。内部の巻芯から加熱すると、巻物の中央部から炭化が進行するため、巻芯付近のフィルムの炭化は、外周部の高分子フィルムの荷重を受けながら進行することになる。高分子フィルムは炭化フィルムよりも重いため、外周部の高分子フィルムの荷重を受けた中央部のフィルムは融着しやすく、また、割れやすくなるものと考えられる。実施例41−44の結果から、本発明の製造方法を使用すると、高分子フィルムを長くした場合、高分子フィルムの幅を広くした場合、高分子フィルムを厚くした場合でも良好に炭化フィルムが得られることが分かる。
(実施例45)
炉内温度が450℃から1000℃になるまで窒素ガスを流す際に、炉内圧力が絶対圧力で100.3kPa(相対圧力計で−1kPa)になるように減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例46)
炉内温度が450℃から1000℃になるまでの炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例47)
炉内温度が450℃から1000℃になるまでの窒素ガスの流量を1L/minに変更したことと、その際の炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例48)
炉内温度が室温から450℃になるまでの炉内圧力を50kPa(絶対圧力)に変更したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例49)
炉内温度が室温から450℃になるまでの炉内圧力を50kPa(絶対圧力)に変更したことと、炉内温度が450℃から1000℃になるまでの炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例50)
炉内温度が室温から450℃になるまでの炉内圧力を50kPa(絶対圧力)に変更したことと、炉内温度が450℃から1000℃になるまでの窒素ガスの流量を1L/minに変更し、その際の炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例51)
炉内温度が室温から450℃になるまでの炉内圧力を50kPa(絶対圧力)に変更したことと、炉内温度が450℃から1000℃になるまでの窒素ガスを流さず、その際の炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。ただし、炉内圧力を50kPaから91.3kPaに上げるために、炉内温度が450℃になった時点で窒素を導入した。結果を表8に示す。
(実施例52)
炉内温度が室温から450℃になるまでの炉内圧力を50kPa(絶対圧力)に変更したことと、炉内温度が450℃から1000℃になるまでの窒素ガスの流量を1L/minに変更し、その際の炉内圧力を絶対圧力で61.3kPa(相対圧力計で−40kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
(実施例53)
高分子フィルムの長さを150mに変更したことと、炉内温度が450℃から1000℃になるまでの炉内圧力を絶対圧力で91.3kPa(相対圧力計で−10kPa)になるように調整したこと以外は実施例45と同様の方法で行った。結果を表8に示す。
Figure 0005079164
表8の結果から、熱分解開始温度未満の温度領域での減圧を行なった後、熱分解開始温度以上の温度領域でわずかに減圧をすることで、融着抑制効果が向上することが分かる。これは、フィルム間に滞留するガスが減圧により引き出され、フィルム間で分解ガスが滞留するのを防止しためと考えられる。実施例50と51の比較から、この2回目の減圧の際には、上述した窒素ガスの流入もあわせて行なうことで、融着抑制効果がさらに向上することが分かる。実施例48と49の比較から、2回目の減圧の際の真空度を下げることで、融着抑制効果が向上したことが分かる。しかし、実施例51と52の比較から、2回目の減圧の際の真空度が高くなると、減圧により炭化フィルムに負荷がかかり、割れが若干発生したことが分かる。
実施例49と50の比較から、2回目の減圧の際に流す窒素ガスの流量は、1L/minの場合も、5L/minの場合と同等の効果が得られたことが分かる。
(実施例61)
図9で示すように巻き替えの際に除電を実施しなかったこと、巻き速度を1m/minに変更したこと、および、巻き張力について、巻き始めの張力(Ps)を40N/mとし、Pe/Ps=1となるように巻き終わりの張力(Pe)を調節したこと以外は、実施例1と同様の方法で行なった。つまり、本実施例においては、巻き始めから巻き終わりまで40N/mの張力で巻いたことになる。結果を表9に示す。
(実施例62)
巻き始めの張力(Ps)を100N/mに変更したこと以外は、実施例61と同様である。つまり、本実施例においては、巻き始めから巻き終わりまで100N/mの張力で巻いたことになる。結果を表9に示す。
(実施例63)
巻き始めの張力(Ps)を200N/mに変更したこと以外は、実施例61と同様である。つまり、本実施例においては、巻き始めから巻き終わりまで200N/mの張力で巻いたことになる。結果を表9に示す。
(実施例64)
巻き始めの張力(Ps)を400N/mに変更したこと以外は、実施例61と同様である。つまり、本実施例においては、巻き始めから巻き終わりまで400N/mの張力で巻いたことになる。結果を表9に示す。
(実施例65)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表9に示す。
(実施例66)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は実施例62と同様である。結果を表9に示す。
(実施例67)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は実施例63と同様である。結果を表9に示す。
Figure 0005079164
実施例61〜64の比較から、高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の巻き張力を大きくすることで、製造された炭化フィルムで波打ちが発生するのを抑制できることが分かる。これは、張力をかけながら高分子フィルムを巻き付けることで、高分子フィルムの巻物の半径方向および接線方向への応力分布がより均一になったために、フィルムが炭化により収縮する際にフィルム全体が均一に収縮したことが原因と考えられる。これに加えて、張力をかけながら高分子フィルムを巻き付けることで、巻物への気体の巻き込み量が抑制され、減圧による巻きの緩みが過度に進行するのを防止できたことも原因と考えられる。また、融着については、巻き張力を40N/mから100N/mに変更することで、気体の巻き込み量は減少するものの、フィルムの反発力が大きくなるため、融着の発生が抑制されたと考えられる。一方、巻き張力を200N/mから400N/mに変更した場合は、気体の巻き込み量が減少し過ぎたために、巻物の中央部付近では巻きが緩みにくくなった結果、融着の発生数が若干増加したものと考えられる。
(実施例69)
図8を参照して、巻芯100側にニップローラ350を50N/mの圧力で接触させながら高分子フィルムの巻き取りを行なったこと以外は、実施例61と同様である。結果を表10に示す。
(実施例70)
図8を参照して、巻芯100側にニップローラ350を20N/mの圧力で接触させながら高分子フィルムの巻き取りを行なったこと以外は、実施例61と同様である。結果を表10に示す。
(実施例71)
巻き始めの張力(Ps)を40N/mとし、Pe/Ps=0.8となるように巻き張力を一定の変化率で減少させながら巻き替えを行った。その他の条件については、実施例61と同様である。結果を表10に示す。
(実施例72)
巻き始めの張力(Ps)を40N/mとし、Pe/Ps=1.1となるように巻き張力を一定の変化率で増加させながら巻き替えを行った。その他の条件については、実施例61と同様である。結果を表10に示す。
(実施例73)
巻き始めの張力(Ps)を40N/mとし、Pe/Ps=1.3となるように巻き張力を一定の変化率で増加させながら巻き替えを行った。その他の条件については、実施例61と同様である。結果を表10に示す。
Figure 0005079164
実施例61、69および70の結果から、巻き取り時の高分子フィルムにかかるニップ圧力は小さいほど、融着発生を抑制できたことが分かる。これは、ニップ圧力が小さいほど気体の巻き込み量を増加させることができるためと考えられる。また、実施例61、71〜73の比較から、巻き終わりの張力Peは巻き始めの張力Psよりも大きいほうが融着発生を抑制できることが分かる。巻芯に巻かれた高分子フィルムは外周部から緩むので、外周側でフィルムの反発力を大きくすることで、巻きの緩み易さを向上させ、一方、中央部付近では、外側のフィルムからの抵抗が増え、巻きが緩みにくいことから、より多くの気体を巻き込ませるように、巻き張力を低めに設定することで、融着の発生をより抑制できたと考えられる。
(実施例74)
巻き始めの張力(Ps)を100N/mとし、Pe/Ps=1となるように、巻き終わりまで100N/mの張力で巻いたことと、巻き速度を3m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様に行った。結果を表11に示す。
(実施例75)
巻き始めの張力(Ps)を100N/mとし、Pe/Ps=1となるように、巻き終わりまで100N/mの張力で巻いたことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様に行った。結果を表11に示す。
(実施例76)
巻き始めの張力(Ps)を100N/mとし、Pe/Ps=1となるように、巻き終わりまで100N/mの張力で巻いたことと、巻き速度を20m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様に行った。結果を表11に示す。
(実施例77)
巻き始めの張力(Ps)を100N/mとし、Pe/Ps=1となるように、巻き終わりまで100N/mの張力で巻いたことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様に行った。結果を表11に示す。
(実施例78)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表11に示す。
(実施例79)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を3m/minに変更したこと以外は実施例1と同様である。結果を表3に示す。
(実施例80)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は実施例1と同様である。結果を表3に示す。
(実施例81)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、高分子フィルムの長さを150mに変更したことと、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表11に示す。
(実施例82)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、高分子フィルムの長さを150mに変更したことと、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表11に示す。
Figure 0005079164
実施例62、74〜77の比較から、高分子フィルムを巻芯に巻き付ける際の巻き付け速度を速くすることで、融着の発生を抑制できることが分かる。これは、巻き付け速度が速くなることで、気体の巻き込み量が増加するためと考えられる。実施例81、82より、高分子フィルムを長くした場合にも、巻き付け速度を速くすることで、融着の発生を抑制できたことが分かる。実施例78−80より、高分子フィルムの帯電量を1kVと小さくした場合でも巻き付け速度を速くすることで融着の発生が抑制されたことが分かる。ただし、帯電量を1kVとした場合、高分子フィルムの滑り性が向上するためにフィルムの巻きが緩み易く、巻き付け速度が30m/minでは緩み過ぎるため、フィルムの自由度が大きくなり、若干波打ちが発生した。
(実施例83)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例84)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が8kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例85)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が3kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例86)
巻き取られた高分子フィルムの片面の帯電量が1kV、反対側の面の帯電量が25kVとなるように、図3で示すように高分子フィルムの片面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例87)
巻き取られた高分子フィルムの片面の帯電量が1kV、反対側の面の帯電量が8kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら除電を行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例88)
巻き取られた高分子フィルムの片面の帯電量が1kV、反対側の面の帯電量が3kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら除電を行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例89)
巻き取られた高分子フィルムの片面の帯電量が1kV、反対側の面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら除電を行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例90)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が8kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例91)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を30m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例92)
巻き取られた高分子フィルムの片面の帯電量が1kV、反対側の面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら除電を行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例93)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら除電を行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例101)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、図8を参照して、巻芯100側にニップローラ350を50N/mの圧力で接触させながら高分子フィルムの巻き取りを行なったことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
(実施例102)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が15kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、巻き始めの張力(Ps)を100N/mとし、Pe/Ps=1.3となるように巻き張力を一定の変化率で増加させながら巻き替えを行ったことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は実施例61と同様である。結果を表12に示す。
Figure 0005079164
実施例62、83〜85の比較から、高分子フィルムの帯電量を低下させることで、融着の発生を抑制できることが分かる。これは、フィルムの滑り性が向上し、巻きが緩み易くなるためと考えられる。また、実施例86〜88で示すように、フィルムの帯電量は表面と裏面で異なっていても、融着の発生を抑制できることが分かる。また、実施例80、89〜91や実施例66、92、93の比較から、巻き速度が10m/minまたは30m/minと速い場合でも、高分子フィルムの帯電量を減少させることで、融着の発生を抑制できることが分かる。
(実施例94)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、高分子フィルムの長さを100mに変更したことと、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表13に示す。
(実施例95)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、高分子フィルムの幅を250mmに変更したことと、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表13に示す。
(実施例96)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。その他の条件については、高分子フィルムの厚みを75μm(商品名:アピカル75AHフィルム)に変更したことと、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表13に示す。
(実施例97)
巻き取られた高分子フィルムの両面の帯電量が1kVとなるように、図7で示すように高分子フィルムの両面を除電しながら巻き替えを行った。また、巻芯に巻き付けた高分子フィルムの最外周の端部を市販のセロハンテープ10mmで固定した。その他の条件については、巻き張力を100N/mに変更したことと、巻き速度を10m/minに変更したこと以外は、実施例61と同様である。結果を表13に示す。
Figure 0005079164
表13から、本発明の製造方法を使用すると、高分子フィルムを長くした場合、高分子フィルムの幅を広くした場合、高分子フィルムを厚くした場合でも良好に炭化フィルムが得られることが分かる。実施例97では、フィルムの最外周の端部をセロハンテープで拘束しため、フィルムの緩みが阻害され、融着の発生が多くなった。しかし、加熱によりセロハンテープは剥がれため、全面が融着することはなかった。
(実施例103)
炉内圧力を70kPaに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表14に示す。
(比較例6)
窒素ガスの流量を5L/minに変更したこと以外は比較例4と同様の方法で行った。結果を表14に示す。
Figure 0005079164
熱分解開始温度未満の温度領域での真空度を70kPaにした場合(実施例103)、減圧を行わなかった比較例6に比べて、融着を抑制する効果が現れ、真空度を高くすることで融着をさらに抑制できることが分かる。
1 波打ちの振幅
10 熱処理前の高分子フィルムの巻物
20 適度に緩んだ高分子フィルムの巻物
21 緩み過ぎた高分子フィルムの巻物
30 波打ちのない炭化フィルムの巻物
31 波打ちの発生した高分子フィルムの巻物
50 高分子フィルム
55 インナーケース
60 台
65 導入孔
70 排気口
80 炭化フィルム
90 円柱
100 巻芯
150 通気孔
200 外筒
210 外筒における円筒形状部材
220 外筒における円板形状部材
300 ピックアップローラ
310 ガイドローラ
350 ニップローラ
400 除電機
450 帯電量測定場所
500 ヒーター

Claims (18)

  1. 巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する準備工程と、
    前記高分子フィルムを加熱炉の内部に配置し、熱処理に付すことで炭化し、前記巻芯に巻き付けられた炭化フィルムを与える炭化工程と、を含む、炭化フィルムの製造方法であって、
    前記炭化工程は、前記熱処理の温度を、初期温度から熱分解開始温度を経て熱分解完了温度まで温度を上昇させることで行なわれ、
    前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度未満である時に、前記加熱炉内の減圧が行なわれ、前記熱分解開始温度未満での前記減圧時における前記加熱炉内の絶対圧力は、70kPa以下であり、
    前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後は、前記加熱炉内の減圧が行なわれない、炭化フィルムの製造方法。
  2. 巻芯に巻き付けられた高分子フィルムを準備する準備工程と、
    前記高分子フィルムを加熱炉の内部に配置し、熱処理に付すことで炭化し、前記巻芯に巻き付けられた炭化フィルムを与える炭化工程と、を含む、炭化フィルムの製造方法であって、
    前記炭化工程は、前記熱処理の温度を、初期温度から熱分解開始温度を経て熱分解完了温度まで温度を上昇させることで行なわれ、
    前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度未満である時に、前記加熱炉内の減圧が行なわれ、前記熱分解開始温度未満での前記減圧時における前記加熱炉内の絶対圧力は、70kPa以下であり、
    前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後は、前記加熱炉内の絶対圧力が21.3kPa〜101.29kPaの範囲となるよう減圧が行なわれる、炭化フィルムの製造方法。
  3. 前記熱分解開始温度未満での前記減圧時における前記加熱炉内の絶対圧力は、10kPa以下である、請求項1又は2記載の炭化フィルムの製造方法。
  4. 前記熱分解開始温度未満での前記減圧は、前記熱処理の温度が100〜450℃の範囲にある時に行なわれる、請求項1〜のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  5. 前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達するまで、前記熱処理における昇温速度は5℃/分以下である、請求項1〜のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  6. 前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後、前記加熱炉内に、不活性ガスが導入される、請求項1〜のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  7. 前記熱処理の温度が前記熱分解開始温度に到達した時点以後、前記加熱炉内に、不活性ガスが1L/min以上の流量で導入される、請求項記載の炭化フィルムの製造方法。
  8. 前記巻芯に巻き付けられた前記高分子フィルムは、外筒の内部に収納された状態で前記炭化工程に付される、請求項1〜のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  9. 前記外筒が、通気性を有する、請求項記載の炭化フィルムの製造方法。
  10. 前記外筒が、通気孔を有する、請求項記載の炭化フィルムの製造方法。
  11. (前記外筒の内径−前記巻芯の直径)を2で除した値をa(mm)、前記高分子フィルムの巻き厚みをb(mm)とした場合に、a/bが1.8以上3.8以下である、請求項10のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  12. 前記準備工程は、前記高分子フィルムに40N/m以上の張力を与えつつ、前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程である、請求項1〜11のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  13. 前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける際の巻き付け速度が1m/min以上である、請求項12に記載の炭化フィルムの製造方法。
  14. 巻き始めのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Psと、巻き終わりのフィルム端部から3mの地点で前記高分子フィルムに与えられている張力Peの張力比Pe/Psが、1.1以上である、請求項12又は13記載の炭化フィルムの製造方法。
  15. 前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程は、前記巻芯に巻き付けられた前記高分子フィルムを、ニップローラを用いて70N/m以下の圧力で押さえながら行なわれる、請求項1214のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  16. 前記高分子フィルムを前記巻芯に巻き付ける工程は、ニップローラによる圧力を前記高分子フィルムに与えることなく行なわれる、請求項1214のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  17. 前記高分子フィルムを巻芯に巻き付ける工程は、前記高分子フィルムを除電しつつ行なう、請求項1216のいずれかに記載の炭化フィルムの製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の製造方法により炭化フィルムを製造する工程と、前記炭化フィルムを黒鉛化することによりグラファイトフィルムを製造する工程と、を含む、グラファイトフィルムの製造方法。
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