JP5074768B2 - インビトロにおけるタンパク質合成の改良された方法 - Google Patents

インビトロにおけるタンパク質合成の改良された方法 Download PDF

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Description

発明の背景
操作された生物学的高分子の合成は、生化学の多大な功績の一つである。組換えDNA(rDNA)技術の到来により、所望のタンパク質を作製するために細胞の触媒機構を活用することが可能となった。これは、細胞環境において、または細胞に由来する抽出物を使用してインビトロで達成され得る。
無細胞タンパク質合成には、従来のインビボのタンパク質発現法を超えるいくつかの利点がある。無細胞系は、細胞の代謝資源のうちの全てではないにしても大部分を、一つのタンパク質の排他的な産生へ指し向けることができる。さらに、インビトロにおける細胞壁および細胞膜成分の欠如は、合成環境の調節を可能にするため、有利である。例えば、tRNAレベルを、発現される遺伝子のコドン使用頻度を反映するよう変化させることが可能である。細胞の増殖または生存可能性に関する懸念がないため、酸化還元電位、pH、またはイオン強度も、インビボより大きな柔軟性をもって改変させることが可能である。さらに、精製され適切に折り畳まれたタンパク質産物の直接回収が、容易に達成され得る。
インビトロ翻訳は、非天然の同位体標識されたアミノ酸を組み込む能力、およびインビボでは不安定、不溶性、または細胞障害性であるタンパク質を作製する能力に関しても認識されている。さらに、無細胞タンパク質合成は、タンパク質工学技術およびプロテオミック・スクリーニング技術の革新において役割を果たし得る。無細胞法は、インビボでの新たな遺伝子産物の発現のため細胞をクローニングし形質転換するために必要とされる面倒な過程を迂回し、そして、この領域のためのプラットフォーム技術となりつつある。
無細胞タンパク質合成の全ての有望な特色にも関わらず、その実際の使用および大規模な履行は、いくつかの障害により制限されている。これらのうちの最たるものは、タンパク質合成の乏しい収率および過度の試薬コストへ至る、短い反応時間および低いタンパク質産生速度である。さらに、高価な試薬が必要とされ、従来の方法は、これらの高価な試薬の使用において非効率的である。
特に有用な反応は、インビトロの転写および翻訳を組み合わせ、それにより、DNAコーディング配列とタンパク質産物との直接連結を提供するものである。しかしながら、mRNAを生成させるための試薬がさらに必要であるため、全体としての反応コストが増す。最近の刊行物は、DNA鋳型の再使用および流加式プロトコルの利用を含む、インビトロ転写反応のコスト削減のための多くの異なる戦略を考察している。例えば、Kern and Davis (1997)「インビトロRNA転写への溶液平衡分析の適用」(Application of Solution Equilibrium Analysis to in-Vitro RNA Transcription), Biotechnology Progress 13:747-756;Kern and Davis (1999)「インビトロ転写によりRNAを生成させるための流加系の適用」(Application of a Fed-Batch System to Produce RNA by In-Vitro Transcription), Biotechnology Progress 15:174-184を参照されたい。
インビトロ転写/翻訳系を最適化するための改良が必要とされている。阻害性の(一つまたは複数の)副産物の連続的な除去、および合成のための基質の連続的な供給は、連続的または半連続的な反応系が、長い反応時間にわたり合成を支持することを可能にする。しかしながら、これらのアプローチは、また、非効率的な基質の使用をもたらし、従って、高いコストをもたらし得る。阻害性産物の解明およびそれらの合成の防止は、インビトロ合成系の開発にとって極めて重要である。また、試薬コストの削減も重要である。現在の技術を用いた場合、主要な試薬コストには、化学的エネルギー源、酵素、DNA鋳型、およびNTPが含まれる。収率を増強しつつこれらのコストを減少させる方法は、極めて重要である。
関連文献
Swartz et al.、米国特許第6,337,191 B1号。Kim and Swartz(2000)Biotechnol Prog. 16: 385-390;Kim and Swartz(2000)Biotechnol Lett. 22:1537-1542;Kim and Choi (2000)J Biotechnol.84:27-32;Kim et al.(1996)Eur J Biochem.239:881-886;Kim and Swartz (2001)Biotechnol Bioeng 74:309-316;Davanloo et al., Proc Nat'l Acad Sci USA 81:2035-2039 (1984);Datsenko et al., Proc Nat'l Acad Sci USA 97:6640-6645(2000);「遺伝子クローニングおよび発現技術」(Gene Cloning and Expression Technologies)(Weiner,M.P. and Lu,Q.: eds.), Eaton Publishing, Westborough, MA. 391-411頁のJewett et al.(2002)「インビトロ発現のための原核生物系」(Prokaryotic systems for in vitro expression);Spirin et al., Science 242:1162-1164(1988)。
Cunningham and Ofengand(1990)Biotechniques 9:713-714は、無機ピロリン酸の添加が、蓄積されるピロリン酸を加水分解することにより、比較的大きい反応収率をもたらすことを示唆している。ピロリン酸は、遊離マグネシウムイオンと複合体を形成し、転写反応に使用可能な分を減少させるため、阻害性である。
Breckenridge and Davis(2000)Biotechnology Bioengineering 69:679-687は、アガロース・ビーズのような固体支持体上に固定化されたDNA鋳型からの転写により、伝統的な液相転写と比較可能な収率で、RNAが作製され得ことを示唆している。固定化されたDNAの利点は、鋳型が反応から回収され、複数回再使用され得るため、不要な廃棄物が排除され、DNA鋳型のコストが削減される点である。
米国特許第6,337,191号は、解糖中間体をエネルギー源として使用するインビトロ・タンパク質合成を記載しており;米国特許第6,168,931号は、新規のATP再生系を使用した増強された生物学的高分子のインビトロ合成を記載している。
発明の概要
改良された収率、低下したコスト、および増強された利用可能性を提供する、生物学的分子のインビトロ合成のための改良された方法が提供される。改良された無細胞タンパク質合成反応は、例えば、グルコース、グルタミン酸、ピルビン酸等を含む、無リン酸エネルギー源をATP生成のために利用する。任意で、ヌクレオシド三リン酸がヌクレオシド一リン酸に交換される。これらの改良は、劇的にコストを減少させ、無細胞タンパク質合成反応の頑強さを増加させる。反応は、外因性リン酸の添加により実質的に改良される。
態様の詳細な説明
改良された収率、低下したコスト、および増強された利用可能性を提供する、生物学的高分子のインビトロ合成のための改良された方法が提供される。改良された収率および低下したコストは、以下に制限はされないが、無リン酸エネルギー源の使用、外因性ヌクレオシド三リン酸の欠如、ヌクレオシド一リン酸および外因性有機リン酸の存在を含む、反応条件の組み合わせにより入手される。
無細胞反応におけるタンパク質合成にはATPが必要とされる。伝統的には、ホスホエノールピルビル酸(PEP)のような高エネルギーリン酸結合を有する化合物が、この目的のため反応に添加される。しかしながら、細胞抽出物中には解糖酵素も存在するため、グルコース、およびグルタミン酸、ピルビン酸等のようなその他の代謝中間体が、はるかに低いコストで、そして酸化的リン酸化も活性化する方法を利用したATP生成のより高い可能性をもって、無細胞反応を駆動するために使用され得る。この、より天然の環境を生成させる反応条件は、下記のような因子の組み合わせを提供することにより生じる。この系は、インビトロ回分反応において、最大6時間にわたり、有意にタンパク質を作製し得る。細胞環境を模倣することにより、増強された合成能力が提供される。
本発明の好ましい態様において、本明細書に記載されたような反応混合物は、グルコース、グルタミン酸、ピルビン酸等をエネルギー源として使用することにより、そして従来の外因性ヌクレオシド三リン酸をヌクレオシド一リン酸に交換することにより、生物学的高分子のインビトロ合成のために使用される。
改良された収率は、外因性リン酸、例えば、有機リン酸等の添加により提供される。一般的には、リン酸は、少なくとも約1mM、好ましくは少なくとも約5mM、かつ約20mM以下、一般的には約15mM以下の濃度で、好ましくは約10mMで提供される。有用なリン酸(PO4)源には、生物学的反応と適合性の多様な塩および酸、例えば、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウム等が含まれる。別の態様において、リン酸は、反応中に、例えば酵素的放出により、少量のリン酸が放出されるよう、適切な量のリン酸含有化合物を添加することにより提供される。
反応は、好ましくは、ポリエチレングリコールを実質的に含まない。ポリエチレングリコールの実質的な非存在下における合成の実施は、酸化的リン酸化の活性化を可能にし、改良された折り畳みを提供し;例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,548,276号に記載された方法とさらに組み合わせられ得る。
本発明の方法は、無リン酸のもの、例えば、グルコース、ピルビン酸、グルタミン酸等であるエネルギー源の、合成を補足するための添加により、タンパク質の作製を可能にする。起源には、アミノ酸、例えば、グルタミン酸、トリカルボン酸(TCA)回路内の化合物、クエン酸、cis-アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、スクシニル-CoA、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、グリオキシル酸、グリセロール、および酢酸のような中心的な代謝に向けられ得るその他の化合物等が含まれる。エネルギー源は、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、より一般的には少なくとも約30mMの濃度で供給され得る。そのような化合物は、一般的には約250mMよりも高い濃度、より一般的には約150mMよりも高い濃度では添加されない。例えば、エネルギー源は、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸アンモニウム等であり得る。いくつかの態様において、起源のカクテル、例えば、グルタミン酸カリウムとグルタミン酸アンモニウムとの混合物;またはグルコース源とグルタミン酸源との組み合わせ等が使用される。反応時間を延長するため、タンパク質発現の間に付加的な量のエネルギー源が反応混合物に添加されてもよい。または、比較的小さい初期濃度、それに続く連続的または断続的な投入が利用されてもよい。
インビトロ合成とは、本明細書において使用されるように、生物学的抽出物および/または画定された試薬を含む反応混合物における生物学的高分子の無細胞合成をさす。反応混合物は、高分子、例えば、DNA、mRNA等の作製のための鋳型;合成すべき高分子のためのモノマー、例えば、アミノ酸、ヌクレオチド等、並びに合成に必要な補因子、酵素、およびその他の試薬、例えば、リボソーム、tRNA、ポリメラーゼ、転写因子等を含むであろう。そのような合成反応系は、当技術分野において周知であり、文献に記載されている。無細胞合成反応は、当技術分野において既知のように、回分、連続流、または半連続流として実施され得る。生物学的高分子のインビトロ合成は、ポリペプチドを産生するためのmRNAの翻訳を含んでもよく、または、DNA鋳型からのmRNAの転写を含んでもよい。
好ましくは、反応は、グルコースが少なくとも約0.25%(重量/容量)、より一般的には少なくとも約1%;かつ一般的には約4%以下、より一般的には約2%以下の濃度で存在する、グルコースおよびリン酸を含有している培地において培養された細菌細胞に由来する細胞抽出物を利用する。そのような培地の一例は、2YTPG培地であるが、画定されたおよび画定されていない栄養素源を使用した、大腸菌のような細菌の増殖のための適当な培地は多く発表されているため、多くの培養培地、特に画定された培地がこの目的に適合し得ることを、当業者は認識するであろう(グルコース含有培地の例に関しては、Sambrook, J., E.F. Fritsch, and T. Maniatis. 1989. Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor University Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい)。
この新技術の開発のために利用される特定の細菌株、例えば、大腸菌は、最適化され得る。特に、タンパク質合成を増強し得る遺伝学的修飾が株に対してなされ得る。例えば、前記の実験において利用された株は、speA、tnaA、sdaA、sdaB、tonA、およびendA遺伝子が染色体から欠失している。最初の4個の変異は、反応中、アルギニン、トリプトファン、およびセリンの濃度を安定化するのに役立つ。後者の2個の変異は、バクテリオファージ感染から防御し、系内のDNAを安定化する。または、望ましくない酵素活性に対する代謝的阻害剤が、反応混合物に添加されてもよい。
従来の反応混合物(例えば、Kim and Swartz, 2001を参照されたい)は、約2%のポリエチレングリコール8000を含有しているが、これによって収率が減損することが見出されている。本法においては、分子スペルミジンおよびプトレシンがPEGの代わりに使用される。スペルミンまたはスペルミジンは、少なくとも約0.5mM、一般的には少なくとも約1mM、好ましくは約1.5mM、かつ約2.5mM以下の濃度で存在する。プトレシンは、少なくとも約0.5mM、好ましくは少なくとも約1mM、好ましくは約1.5mM、かつ約2.5mM以下の濃度で存在する。これらの濃度は、無細胞反応において使用される全体的な抽出物濃度に高度に依存している。当業者であれば、抽出物の濃度を改変した場合には、スペルミジンおよびプトレシンの濃度も、典型的な反応条件について本明細書に記載されたものから外れた範囲へと改変され得ることを認識するであろう。
反応混合物中のマグネシウムの濃度は、合成全体に影響を与える。しばしば、細胞抽出物中にはマグネシウムが存在し、その場合には、それが濃度を最適化するために付加的なマグネシウムにより調整され得る。そのような方法において有用なマグネシウム塩の供給源は、当技術分野において既知である。本発明の一つの態様において、マグネシウムの供給源は、グルタミン酸マグネシウムである。好ましいマグネシウムの濃度は、少なくとも約5mM、一般的には少なくとも約10mM、好ましくは約12mM;かつ約20mM以下、一般的には約15mM以下の濃度である。グルタミン酸マグネシウムの使用に起因するグルタミン酸濃度の若干の変動は、収率に影響を及ぼさない。
系は、好気条件および嫌気条件の下で実行され得る。特に、15μlより大きな反応の場合には、合成収率を増加させるため、酸素が供給され得る。反応チャンバーのヘッドスペースに酸素を充填する;反応混合物に酸素を注入する;等が可能である。より長い反応時間のためには、酸素は、連続的に供給されてもよいし、またはタンパク質発現の途中で反応チャンバーのヘッドスペースに再充填されてもよい。必要とされる酵素が細胞抽出物中で活性であるよう、硝酸、硫酸、またはフマル酸のようなその他の電子受容体が、細胞抽出物の調製と併せて供給されてもよい。
外因性の補因子を添加することは必要でない。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、NAD、または補酵素Aのような化合物は、タンパク質合成収率を補足するために使用されてもよいが、必要とはされない。
無細胞タンパク質合成のための鋳型は、好ましくはDNAである。転写翻訳共役(coupled transcription and translation)は、大腸菌系において一般に利用されており、認識可能なプロモーターによりDNA鋳型からmRNAを連続的に生ずる。内因性のRNAポリメラーゼが使用されるか、または外因性のファージRNAポリメラーゼ、典型的にはT7もしくはSP6が、反応混合物へ直接添加される。または、mRNAは、QBレプリカーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼのための鋳型へとメッセージを挿入することにより連続的に増幅され得る。ヌクレアーゼは、mRNAレベルの安定化を補助するために抽出物から除去され得る。鋳型は、任意の特定の目的の遺伝子をコードし得る。
その他の塩、特に、マンガンのような生物学的に関連したものも、添加され得る。カリウムは、一般に、少なくとも約50mM、かつ約250mM以下の濃度で存在する。アンモニウムは、一般的には200mM以下の濃度、より一般的には約100mM以下の濃度、かつ好ましくは約20mM以下の濃度で存在し得る。一般的に、反応物は、pH5〜10および温度約20〜50℃の範囲;より一般的には、pH6〜9および温度約25〜40℃の範囲で維持される。これらの範囲は、特定の目的の条件のため拡大されてもよい。
宿主生物から精製されるか(Muller and Blobel(1984)「インビトロにおける大腸菌の原形質膜を介した細菌タンパク質の転移(in vitro translocation of bacterial proteins across the plasma membrane of Escherichia coli)」、PNAS 81:7421-7425を参照されたい)、または合成物である小胞が、系へ添加されてもよい。これらは、タンパク質の合成および折り畳みを増強するために使用され得る。本明細書に記載された技術は、細胞質膜(cytoplasmic membrane)成分を利用する酸化的リン酸化過程を活性化することが示されている。酸化的リン酸化の活性化のためには、呼吸鎖成分およびF1F0ATPaseを含有している反転膜小胞が存在しなければならない。本法は、無細胞反応物が、その他の膜タンパク質のセットを活性化するため;例えば、タンパク質を挿入するためもしくは転移させるため、またはその他の化合物を転移させるためにも、使用され得る。
グルコース系においては、緩衝剤がpHの安定化のため重要である。例えば、グルコース反応におけるビス−トリス緩衝剤は、約10〜150mM、一般的には約50mMで存在し得る。その他の緩衝剤も、それらのpKaが反応にとって適切(おそらく、6.8〜7.2の間)である限り、使用され得る。pHは、反応中に塩基を直接添加することによっても安定化され得る。
増強されたインビトロ合成のための方法
目的の合成系には、DNAの増幅、DNAまたはRNAの鋳型からのRNAの転写、RNAのポリペプチドへの翻訳、および単糖からの複合糖質の合成を含み得る、バイオポリマーの複製のための系が含まれる。増強された合成には、系中で合成されたポリペプチドの総量または相対量の増加;時間単位当たりに合成されたポリペプチドの総量または相対量の増加;系中で合成された生物学的に活性なポリペプチドの総量または相対量の増加;系中で合成された可溶性ポリペプチドの総量または相対量の増加等が含まれる。
反応は、大規模リアクター、小規模を利用してもよいし、または複数の同時合成を実施するために多重化されてもよい。連続反応は、試薬流を導入するために投入機構を使用し、過程の一部として最終産物を単離し得る。活発な合成のための時間を延長するため、付加的な試薬が導入され得る回分系も、重要である。リアクターは、回分、拡張型回分(extended batch)、半回分、半連続、流加、および連続のような任意の様式で実行されることができ、適用目的に応じて選択されるであろう。
反応は、任意の容量であり得るが、小規模において、一般的には少なくとも約1μl、かつ約15μl以下であるか、または規模拡大された反応において、反応容量は、少なくとも約15μl、一般的には少なくとも約50μl、より一般的には少なくとも約100μlであり、500μl、1000μl、もしくはそれ以上であってもよい。複数の反応が平行して実行されてもよいが、大部分の場合、個々の反応は約10mlを超えない。しかしながら、原則として、十分な酸素(またはその他の電子受容体)が供給される限り、反応は任意の規模で実施され得る。
特に重要であるのは、タンパク質を作製するためのmRNAの翻訳であり、その翻訳は、DNA鋳型からのmRNAのインビトロ合成と共役させられ得る。そのような無細胞系は、mRNAの翻訳に必要な因子、例えば、リボソーム、アミノ酸、tRNA、アミノアシル合成酵素、伸長因子、開始因子、リボソーム再生因子(ribosome recycling factors)を全て含有しているであろう。当技術分野において既知の無細胞系には、活性内因性mRNAを排除するため適当なヌクレアーゼにより処理され得る、大腸菌抽出物等が含まれる。
無細胞抽出物、遺伝学的鋳型、およびアミノ酸のような上記の成分に加え、タンパク質合成に特に必要とされる材料が、反応へ添加されてもよい。これらの材料には、塩、フォリン酸、サイクリックAMP、タンパク質または核酸を分解する酵素の阻害剤、タンパク質合成の阻害剤または制御剤、(一つまたは複数の)酸化/還元電位の調整剤、非変性界面活性剤、緩衝液成分、スペルミン、スペルミジン、プトレシン等が含まれる。
塩には、好ましくは、(例えば、酢酸または硫酸の)カリウム塩、マグネシウム塩、およびアンモニウム塩が含まれる。そのような塩のうちの一つまたは複数は、対アニオンとしてのアミノ酸、例えばグルタミン酸を有するかもしれない。最適濃度のためのイオン種間の相互依存が存在する。これらのイオン種は、典型的には、タンパク質作製に関して最適化される。反応培地の特定の成分の濃度を変化させる際、もう一つの成分の濃度を相応させ変化させ得る。例えば、ヌクレオチドおよびエネルギー源化合物のようないくつかの成分の濃度が、その他の成分の濃度の変化に応じて同時に調節され得る。また、リアクター内の成分の濃度レベルは、時間と共に変動させられ得る。酸化/還元電位の調整剤は、ジチオスレイトール、アスコルビン酸、グルタチオン、および/またはそれらの酸化型であり得る。また、トリトン(Triton)X-100のような非変性界面活性剤が、約500mM以下、より一般的には約250mM以下の濃度で、場合により含まれる。
連続作動様式でタンパク質単離手段を使用する場合、リアクターからの産物出力は、膜を通ってタンパク質単離手段へと流入する。半連続作動様式においては、膜の外側または外面が、予定された順序で周期的に変化する予定された溶液と接触させられる。これらの溶液は、アミノ酸およびヌクレオチドのような基質を含有している。この時、リアクターは、透析、透析ろ過(diafiltration)回分または流加様式で作動させられる。投入溶液は、同じ膜または別々の注入単位を通ってリアクターへ供給され得る。合成されたタンパク質は、リアクター内に蓄積され、次いで、システム作動の完了の後にタンパク質精製のための一般的な方法に従って単離され精製される。
試薬の流れが存在する場合、液流の方向は、膜に対して垂直かつ/または接線方向であり得る。接線方向流は、ATPの再利用および膜閉塞の防止のため有効であり、垂直流に重ね合わせられ得る。膜に対して垂直な流れは、陽圧ポンプまたは真空吸引ポンプにより引き起こされ得るか、または達成され得る。膜の外面と接している溶液は、周期的に変化させることができ、膜に対する一定の正接流であり得る。リアクターは、適切な撹拌手段により内的または外的に撹拌され得る。
リアクターにおけるタンパク質合成において、所望のタンパク質を選択的に単離するためのタンパク質単離手段は、抗体分子または合成された所望のタンパク質を吸着するための成分が固定化されたその他の分子でコーティングされた粒子がパックされた単位、および適切なサイズの孔を有する膜を含み得る。好ましくは、タンパク質単離手段は、交互に使用するための2個のカラムを含む。
翻訳反応において産生されたタンパク質の量は、様々な方式で測定され得る。一つの方法は、翻訳されている特定のタンパク質の活性を測定するアッセイの利用可能性に依存する。タンパク質活性を測定するためのアッセイの例は、ルシフェラーゼ・アッセイ系またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ・アッセイ系である。これらのアッセイは、翻訳反応から産生された機能的に活性なタンパク質の量を測定する。活性アッセイは、不適切なタンパク質の折り畳みまたはタンパク質活性にとって必要なその他の翻訳後修飾の欠如のため不活性である全長タンパク質は測定しないであろう。
インビトロ転写翻訳共役反応において産生されたタンパク質の量を測定するもう一つの方法は、既知量の35S-メチオニン、3H-ロイシン、または14C-ロイシンのような放射標識されたアミノ酸を使用して反応を実施し、その後、新たに翻訳されたタンパク質へ取り込まれた、放射標識されたアミノ酸の量を測定することである。取り込みアッセイは、短縮型タンパク質産物を含むインビトロ翻訳反応において産生された全てのタンパク質の中の放射標識されたアミノ酸の量を測定するであろう。放射標識されたタンパク質は、さらに、タンパク質ゲル上で分離され、オートラジオグラフィーにより、産物が適切なサイズであること、および二次的なタンパク質産物が産生されていないことが確認され得る。
本発明は、記載された特定の方法論、プロトコル、細胞系、動物の種または属、構築物、および試薬に制限されず、従って、当然変動し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用された用語法は、特定の態様を記載するためだけのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるであろう本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似しているかまたは等価である任意の方法、装置、および材料が、本発明の実施または試行において使用され得るが、好ましい方法、装置、および材料が、以下に記載される。
本明細書において言及された出版物は、全て、ここに記載された発明と関連して使用され得る、その出版物に記載された、例えば、細胞系、構築物、および方法論を記載し開示する目的で、参照として本明細書に組み込まれる。上記および本文全体に記された出版物は、本願の出願日より以前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書は、先行発明のため、本発明者らがそのような開示に先行している資格を有しないことの承認として解釈されるべきではない。
以下の実施例は、いかにして本発明を作成し使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、本発明と見なされるものの範囲を制限するためのものではない。使用された数(例えば、量、温度、濃度等)に関しては、正確さを保証すべく努力がなされたが、いくつかの実験誤差および偏差は斟酌されるべきである。他に示されない限り、部分は重量部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり;かつ圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
実験
実施例1
エネルギー源としてのグルコース
方法および材料
合成のための標準細胞模倣(Cytomim)環境は、以下の成分を含有している:1.2mM ATP、各0.85mMのGTP、UTP、およびCTP、1mM DTT、130mMグルタミン酸カリウム、10mMグルタミン酸アンモニウム、8 mMグルタミン酸マグネシウム、34μg/mlフォリン酸、170.6μg/ml大腸菌tRNA混合物、13.3μg/mlプラスミド、100μg/ml T7 RNAポリメラーゼ、各2mMの20種の未標識アミノ酸、11μM [14C]ロイシン、1.5mMスペルミジンおよび1mMプトレシン、0.33mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、0.26mM補酵素A、2.7mMシュウ酸ナトリウム、および0.24倍容量のS30抽出物。原核生物無細胞タンパク質合成は、Pratt, J.M. 1984のプロトコル、「転写および翻訳:実際のアプローチ」(Transcription and translation:a practical approach), Hanes, B.D., and S.J. Higgins. (Eds.), IRL Press, New Yorkの179〜209頁の、「原核生物無細胞系における転写翻訳共役」(Coupled transcription-translation in prokaryotic cell-free systems)をわずかに改変した変法により、大腸菌K12(Michel-Reydellet et al.(2004)Met Eng(6)197-203に記載されたKC1株、遺伝子型A19ΔtonAΔtnaAΔspeAΔendAΔsdaAΔsdaB met+)に由来する粗製S30抽出物を使用して実施される。抽出物のための細胞は、規定培地で培養される(Saha B編、「発酵バイオテクノロジー」(Fermentation Biotechnology)(Washington, DC:ACS Press)の142-156頁のZawada et al.(2003)「大腸菌細胞抽出物の作製のための高密度の規定培地培養」(High-density, defined media culture for the production of Escherichia coli cell extracts))。T7 RNAポリメラーゼは、Davanloo et al. 1984、「バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼの遺伝子のクローニングおよび発現」(Cloning and expression of the gene for bacteriophage T7 RNA polymerase)Proc Nat'l Acad. Sci.USA 81:2035-2039)の手法に従って、大腸菌BL21株(pAR1219)から調製された。33mMピルビン酸ナトリウムの添加は、必要ではないが、これによって系が増強され得る。各反応物中には、細胞抽出物に起因するおよそ3.3mMのマグネシウム、14.4mMのカリウム、2.4mMのトリス、および23.5mMの酢酸が、さらに存在した。
本発明の方法による合成のための修飾された細胞模倣環境は、以下の通りである:10mMリン酸カリウムおよび50mMビス−トリス(pH7.0)が添加され、11μMではなく5μMの[14C]ロイシンが使用された。さらに、30mMグルコースが添加され、1.2mM ATPが1.2mM AMPに置換され、各0.85mMのGTP、UTP、およびCTPが各0.85mMのGMP、UMP、およびCMPに置換された。さらに、シュウ酸が省略された。
反応物は37℃で3〜6時間インキュベートされた。合成されたタンパク質の量は、液体シンチレーション・カウンター(Beckman LS3801)を使用して測定されたTCA不溶性放射能から推定される(Kim et al. 1996)。可溶性タンパク質収率は、以前に記載されたようにして決定された(Kim and Swartz 2000)。
結果
転写翻訳共役反応のための標準的な反応混合物は、Kim and Swartz(2001)により記載されている。標準的な反応におけるエネルギー源は、ホスホエノールピルビン酸(PEP)である。以前にPEPをグルコースに直接置換したところ、事実上タンパク質合成は生じなかった。しかしながら、PEPをグルコース-6-リン酸(G6P)に交換した場合、228±13μg/mLという有意なタンパク質収率が観察された(Kim and Swartz 2001)。グルコース-6-リン酸は解糖反応経路においてグルコースから一工程離れているだけであり、このことから、最初のリン酸化の工程が律速性であることが示唆される。ヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼの反応物への添加、または緩徐なグルコース投入を含む、いくつかの実験が、この律速を軽減するために実施された。いずれのアプローチも成功しなかった。
G6P反応は、このエネルギー源を使用したタンパク質収率が平均700μg/mLを超えるようになるまで、標準的な反応混合物の修飾により最適化され続けた。これらのタンパク質収率を得るため、新たなpH緩衝剤が使用され、シュウ酸が除去された。さらに、G6P反応においては、NTPをNMPに交換しても、類似の収率を与えることが示された。この置換は、反応コストを劇的に減少させた。これらの前進にも関わらず、最適化された条件は、G6Pがグルコースに交換された場合、有意なタンパク質合成を可能にしなかった。
ポリエチレングリコールを天然のカチオンであるプトレシンおよびスペルミジンに交換し、付加的なリン酸を最適化された反応物に添加した場合、そしてシュウ酸ナトリウムを省略した場合、グルコースをNMPと共にエネルギー源として使用することに成功した。リン酸は、(グルコースからG6Pへの)解糖の最初の工程にも、NMPからNTPへのリン酸化にも重要である。グルコースをエネルギー源として使用した場合、無細胞反応はリン酸律速性であった。この律速は、PEP、クレアチンリン酸、またはG6Pのようなリン酸化されたエネルギー源を典型的に利用する伝統的な無細胞反応には存在しなかった。グルコース+リン酸を使用した実験は、800μg/mLを超えるタンパク質収率を生じたG6Pを使用した実験と比較して、400μg/mLを超えるタンパク質収率を与えることが見出された。グルコースおよびNMPの反応は、これらの試薬の減少したコストおよび増加した安定性のため、有益である。
もう一つの非リン酸化エネルギー源であるピルビン酸も、付加的なリン酸が添加された場合にのみ、NMPと共に無細胞タンパク質合成反応において使用することに成功した。前記の混合物の3時間回分反応を、グルコースをピルビン酸に交換し、NTPをNMPに交換した後、実施した。リン酸の最適化は、数分の一のコストで、NTPで得られた量に近いタンパク質収率をもたらした(図1)。付加的なリン酸がない場合、タンパク質合成収率は実質的に低かった。
この新たな反応のための要件をさらに決定するため、反応成分を個々に調査した。エネルギー源としてNTPおよびグルコースを使用する反応も、付加的なリン酸から利益を得て(図2)、NMP反応と類似した収率をもたらすことが決定された。反応の成功にとって重要なその他の工程を決定するため、さらなる実験も実施した。適切な緩衝剤の使用による注意深いpH調節と共に、PEGおよびシュウ酸の除去も、タンパク質収率に有意な影響を及ぼすことが見出された(図3)。
従来、無細胞タンパク質合成反応は、リン酸化エネルギー源およびヌクレオチド三リン酸の使用に制限されていた。これらの化合物は、無細胞反応における比較的高価な試薬である。さらに、リン酸化されている分子は、分解に対してより感受性であり、無機リン酸濃度に関して可変性の反応環境を作出する。グルコースおよびヌクレオチド一リン酸の使用は、コストを劇的に減少させつつ、反応の頑強さおよびホメオスタシスを増加させるであろう。実際、エネルギー源およびヌクレオチドのコストを比較すると、グルコースおよびNMPは、PEPおよびNTPよりほぼ2桁安価である(表1、1行目)。
エネルギー源としてのグルコースおよびNMPを使用するインビトロ合成反応のタンパク質合成収率は、伝統的な反応のおよそ60%である。しかしながら、グルコースおよびNMPを使用した場合のコスト的な大きな利点が、収率のわずかな減少を補うため、相対産物収率は、コストを基準とすると、ほぼ90倍優れている(表1、3行目)。
(表1)様々なエネルギー源およびヌクレオチドを用いた無細胞反応の比較
Figure 0005074768
(Michel-Reydellet et al.(2004)Metab Eng 6(3):197-203により記載された)大腸菌KC1株を抽出物の起源として使用した反応条件に関して既に記載されたようにして、さらなる無細胞反応を実施した。ATP濃度に関するデータを、無細胞反応中の様々な時点で試料を採取することにより入手した。試料を等しい容量(1:1)の5%トリクロロ酢酸(TCA)により沈殿させ、14000gで10分間遠心分離する。上清を収集し、ATP濃度を決定するため、ホタル・ルシフェラーゼ・アッセイにおいて分析する(Kim and Swartz(2001)、前記)。
図4は、リン酸を含む、または含まない、NMPおよびNTPを用いた、前記のようなグルコース系の比較である。図4中のデータは、10mMリン酸がグルコース系にとって有益であることを証明している。さらに、これらのデータは、タンパク質合成収率に影響を及ぼすことなく、NTPをNMPに交換し得ることを示す。
図5中のデータは、NMPを使用した無細胞系が、転写/翻訳に必要なATPを再生させ得ることを示す。実際、NMPを用いた場合、ATP濃度は、グルコース/NTP反応において見られるのと同じレベルにまで迅速に到達する。
実施例2
エネルギー源としてのグルタミン酸
下記の組み合わせられた転写−翻訳反応のための反応混合物は、以下の成分を含有している:1.2mM ATP、各0.85mMのGTP、UTP、およびCTP、130mMグルタミン酸カリウム、10mMグルタミン酸アンモニウム、10mMグルタミン酸マグネシウム、1.5mMスペルミジン、1mMプトレシン、34μg/mlフォリン酸、170.6μg/ml大腸菌tRNA混合物、13.3μg/mlプラスミド、100μg/ml T7 RNAポリメラーゼ、各2mMの20種の未標識アミノ酸、5μM L-[U-14C]-ロイシン、0.33mMニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド、0.26mM補酵素A、4.0mMシュウ酸ナトリウム、および0.24倍容量のS30抽出物。
エネルギー源としてのピルビン酸は省略された。この情況において、10mMリン酸カリウム、pH7.2(氷酢酸による)の補足は、タンパク質発現にとって有益である。NTP(ATP、GTP、UTP、およびCTP)の使用に加え、前記と同じ出発濃度でNMP(AMP、GMP、UTP、およびCMP)を用いた反応も実施され得る。各反応物中には、細胞抽出物に起因するおよそ3.3mMのマグネシウム、14.4mMのカリウム、2.4mMのトリス:pH8.2、および23.5mMの酢酸が存在する。抽出物は、反応容量の24%を占め、それは、マグネシウム、カリウム、およびトリス酢酸から作成された固有の緩衝液の中に存在する。従って、この緩衝液は、反応物へ添加された場合、これらの要素の濃度を増加させる。上に示された濃度(3.3mM、14.4mM等)は、抽出物が既に添加された後の最終濃度である。大腸菌全tRNA混合物は、Roche Molecular Biochemicals(Indianapolis, IN)より購入される。L-[U-14C]-ロイシンは、Amersham Pharmacia Biotechnology (Uppsala, Sweden)製である。その他の全ての試薬は、Sigma (St.Louis, MO)より入手される。
無細胞タンパク質合成反応は、大腸菌K12(KC1株、遺伝子型A19ΔtonAΔtnaAΔspeAΔendAΔsdaAΔsdaB met+)に由来する粗製S30抽出物を使用して実施された。抽出物の調製は、以前に記載されたようにして実施された(Balbas P, Lorence A編の「組換えタンパク質プロトコル:分子生物学の方法シリーズ」(Recombinant Protein Protocols: Methods in Molecular Biology Series):第267巻, Totowa, NJ:Humana Press Inc.の169〜182頁のSwartz et al.(2004)、「原核生物転写翻訳共役による無細胞タンパク質合成」(Cell-free protein synthesis with prokaryotic coupled transcription-translation))。プラスミドpK7CATをタンパク質合成のための鋳型として使用した。pK7CATは、T7プロモーターおよびターミネーターを使用して、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の配列をコードする。Swartz et al.(2004)により記載されたようにして調製されたT7ポリメラーゼを、反応物へ添加した。合成されたタンパク質の量を、液体シンチレーションカウンターを使用して測定されたTCA不溶性放射能から、かつ酵素活性により計算する(Shaw (1975) Methods Enzymol. 43:737-755)。
リン酸補足が、グルタミン酸代謝および酸化的リン酸化によりエネルギー供給された細胞模倣系において、タンパク質産生収率に有意に利益を与えることをここで示す。これを、NTPまたはNMPの使用に関して記載する。NTPの場合、本発明者らは、リン酸添加のない反応と比べた、6時間の発現の後の(14C-ロイシン取り込みとして査定されるような)クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)産生の有意な増加を観察した(図6)。ヌクレオシド三リン酸が利用された場合にも、リン酸添加によって収率が増加した。
グルタミン酸/リン酸系におけるCAT発現を最適化するため、(ピルビン酸ナトリウムを含まない)細胞模倣無細胞反応に対するリン酸濃度の効果を試験した。一連の初期リン酸濃度で、6時間の発現の後に、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)産生を14C-ロイシン取り込みにより査定した。CATの最も良好な収率は、10mMリン酸の添加により観察された(表2)。
(表2)
Figure 0005074768
表2 相対全CAT発現に基づく細胞模倣系におけるリン酸最適化研究。全ての実験が、ピルビン酸ナトリウムを含まずNTPを含む細胞模倣系からの条件を使用して実行された。15マイクロリットルの反応物が37℃で6時間インキュベートされた。氷酢酸によりpH7.25に調整されたリン酸カリウム(二塩基性、Mallinckrodt:Phillipsburg, NJ)が使用された。
グルタミン酸代謝、NTP、およびリン酸補足を活用するこの新たなアプローチをさらに特徴決定するため、TCAにより沈殿可能な放射能および酵素活性により決定されるようなCAT蓄積を経時的に定量した。6時間のインキュベーションの後のCATの最終収率は、802±48μg/mLであった(図7)。CATの可溶性活性画分は、およそ70±3%であった(図2)。リン酸カリウム添加の低いコストのため(10mMリン酸カリウムの場合、反応容量1mL当たり$0.00016)、10mMリン酸が補足されたタンパク質産生収率は、反応物の原材料コストに影響を与えることなく33%増加する。
新たなグルタミン酸およびリン酸の系の利用可能性を証明するため、1mLジャケット付き気泡カラム反応を実施した。0.007%(v/v)シグマ0-30消泡剤を反応物に補足した以外は、細胞模倣条件(ピルビン酸なし、NTP使用、10mMリン酸補足)を使用して、37℃に維持された組み合わせ転写翻訳反応を5時間実施した。この薬剤は、起泡を調節するために使用された。さらに、ATP再生に必要な酸素を送達するため、直径およそ0.25cmの純酸素気泡を、毎秒2泡の速度で無細胞反応チャンバーの底部へ供給した。各時点において、全CATの量を定量するために試料を採取し、それを、14C-ロイシン取り込みにより決定した。図8は、二つの別々の実験からの平均CAT蓄積(およそ900μg/mL)を示す。15μL回分反応物(図7)と比較して、気泡カラムフォーマットは、より速いタンパク質合成速度を有している。
NTPをNMPに交換することの影響を定量するため、標準的な初期濃度でNMPまたはNTPのいずれかを含む新たな系(グルタミン酸/10mMリン酸)においてCAT発現を測定した。タンパク質合成反応を6時間実施し、CAT蓄積を定量するために試料を採取した。NMPを使用した場合、NTPと比べて、22%のCAT収率の減少が観察された(図9)。NTPを用いた反応と比較して、ヌクレオシド一リン酸を使用した場合、全体のタンパク質収率は低下するが、コスト的な利益が、有意に高い産生収率(エネルギー源およびヌクレオチド1ドル当たりのタンパク質のミリグラム数)をもたらす(表3)。
NMP反応におけるタンパク質発現収率に対する一連のリン酸濃度の効果も調査した。NMPを活用する無細胞タンパク質合成反応がリン酸律速性であることを証明する以前のデータと一致して、リン酸補足は高収率にとって重大であった。最適リン酸濃度は10mMであった。10mMリン酸の添加により、収率は、リン酸を含まない無細胞反応に比べて400%超増加した(図10)。
(表3)現時点での価格によりこれらの数字を更新した。現在、それらは表1と一致する。
Figure 0005074768
表3 PANOx-SP系(NTP使用)、細胞模倣系(ピルビン酸なし、リン酸およびNTP使用)、および細胞模倣系(ピルビン酸なし、リン酸およびNMP使用)の産物収率(mgタンパク質/$エネルギー源およびヌクレオチドのコスト)。
ここで、リン酸補足は、グルタミン酸によりエネルギー供給された無細胞タンパク質合成反応においてタンパク質合成収率を33%増加させることが示された。収率の増強によるこの系の利用可能性の増加に加え、これは、全体の原材料の経済性(試薬コスト)に影響を与えることなく、収率を増強する。特に、グルタミン酸代謝によりエネルギー供給された無細胞反応は、リン酸を含まない反応と比べて4倍超増加する。
リン酸補足による収率増加の結果として、適度のリン酸濃度の補足、およびNTPのNMPへの置換と共に、グルタミン酸代謝および酸化的リン酸化によりエネルギー供給された無細胞反応を使用することにより、無細胞試薬に関連した二つの優勢な試薬コスト(エネルギー基質およびヌクレオチド)が、従来のPANOx-SPアプローチから2桁超(160倍の増加(59/0.37))、削減され得る(表3)。これらの結果は、無細胞rDNAタンパク質合成の経済的な実行可能性を証明している。この新技術のため、外因性補因子の添加は必要でない。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、NAD、またはアセチル補酵素Aのような化合物が、タンパク質合成収率を補足するために使用されてもよいが、必要とはされない。
様々な濃度でエネルギー源としてのピルビン酸およびヌクレオシド一リン酸+リン酸を使用した本発明の成分系を用いたインビトロ・タンパク質合成のレベルを比較する棒グラフである。CAT発現は、14C-ロイシン取り込みから決定された。エラーバーは、2回の別々の実験からの範囲を表す。 ヌクレオシド三リン酸および変動する量のリン酸と共にエネルギー源としてのグルコースを使用した本発明の成分系を用いたインビトロ・タンパク質合成のレベルを比較する棒グラフである。CAT発現は、14C-ロイシン取り込みから決定された。エラーバーは、3回の別々の実験からの標準偏差を表す。 無細胞反応の成功のためのエネルギー源としてのグルコースおよび様々な成分を使用した本発明の成分系を用いたインビトロ・タンパク質合成のレベルを比較する棒グラフである。CAT発現は、14C-ロイシン取り込みから決定された。エラーバーは、3回の別々の実験からの標準偏差を表す。 NTPまたはNMPのいずれかと共にエネルギー源としてのグルコースを使用した無細胞タンパク質合成反応に対する付加的な10mMリン酸の効果。エラーバーは、9回の実験からの標準偏差を表す(n=9)。 NTPまたはNMPのいずれかと共にエネルギー源としてのグルコースを使用した無細胞反応におけるATP濃度。エラーバーは、3回の実験の標準偏差を表す(n=3)。 リン酸添加を含むまたは含まない細胞模倣系を使用したCATの発現。反応(15μL)が6時間実施され、14C-ロイシン取り込みによりCAT発現が決定された。エラーバーは、11回の個々の実験に関する標準偏差を表す。全ての反応が、ピルビン酸ナトリウムを含まず、NTPを含む細胞模倣系を使用して実施された。リン酸濃度はx軸上に示されている。 ピルビン酸を含まず、付加的な10mMリン酸を含む細胞模倣系(NTPあり)を使用した経時的なCAT発現。反応が37℃で6時間実施され、14C-ロイシン取り込みおよび酵素活性アッセイによりCAT発現が決定された。各時点で15マイクロリットルの反応混合物が異なるチューブで調製された。各時点で、発現されたタンパク質の量を決定するため、一つのチューブを犠牲にした。エラーバーは、7回の別々の実験についての標準偏差を表す。(黒四角)細胞模倣系において14C-ロイシン取り込みによりモニタリングされた全CAT収率。(黒丸)細胞模倣系において14C-ロイシン取り込みによりモニタリングされた可溶性CAT収率。(黒三角)酵素アッセイにより決定された活性CAT収率。 1mL気泡カラムにおける、ピルビン酸を含まず10mMリン酸を含む細胞模倣系を使用したCATの発現。反応(1mL)は37℃で5時間実施された。CAT発現が14C-ロイシン取り込みにより決定された。エラーバーは、2回の個々の実験の高低を表す。およそ3.5時間目にリアクターが起泡し始め、その後の1×10-4(v/v)のシグマ0-30消泡剤の添加によりこの問題が調節された。 NMPを使用した場合、NTPと比べて、22%のCAT収率の減少が観察された。 相対全CAT発現に基づく細胞模倣系におけるリン酸最適化研究。全ての実験が、ピルビン酸ナトリウムを含まずNMPを含む細胞模倣系からの条件を使用して実行された。15マイクロリットルの反応物が37℃で6時間インキュベートされた。氷酢酸によりpH7.25に調整されたリン酸カリウム(二塩基性、Mallinckrodt:Phillipsburg, NJ)が使用された。

Claims (16)

  1. 細菌細胞抽出物、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド作製のための鋳型、合成されるポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドのためのモノマー、および合成に必要な補因子、酵素、およびその他の試薬等を初めに含む、無細胞反応混合物における、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを合成するための方法であって、
    少なくとも10 mMの無リン酸エネルギー源、外因性ヌクレオシド三リン酸の非存在下においてヌクレオシド一リン酸、および少なくとも1 mMの濃度の外因性リン酸を含むように改変された無細胞反応混合物において、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを合成する段階を含む、前記方法。
  2. 無リン酸エネルギー源がグルコースである、請求項1記載の方法。
  3. 無リン酸エネルギー源がグルタミン酸である、請求項1記載の方法。
  4. 無リン酸エネルギー源がピルビン酸である、請求項1記載の方法。
  5. リン酸が1mM〜20mMの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
  6. リン酸が、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、またはリン酸アンモニウムとして提供される、請求項5記載の方法。
  7. 合成が、ポリペプチドを生成させるためのmRNAの翻訳を含む、請求項1記載の方法。
  8. 合成が、DNA鋳型からのmRNAの転写をも含む、請求項7記載の方法。
  9. ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの合成が回分反応として実施される、請求項1記載の方法。
  10. ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの合成が連続反応として実施される、請求項1記載の方法。
  11. 反応混合物がグルコース含有培地で培養された大腸菌からの抽出物を含む、請求項1記載の方法。
  12. 大腸菌が、グルコースおよびリン酸を含有する培地で培養される、請求項11記載の方法。
  13. 反応混合物が、5mM〜20mMの濃度のマグネシウムを含む、請求項1記載の方法。
  14. 反応混合物がポリエチレングリコールを含まない、請求項1記載の方法。
  15. 反応混合物が、スペルミン、スペルミジン、およびプトレシンのうちの一つまたは複数を含む、請求項14記載の方法。
  16. 反応混合物が、400μg/mLを超える合成されたポリペプチド収率を与える、請求項1記載の方法。
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