JP5074761B2 - ガラスペースト、及び、プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
背面ガラス基板にはプラズマから電極を保護する目的で電極上に誘電体層が形成され、更にその表面に蛍光体層を塗工するガラスリブが形成されている。また、蛍光体層の表面積を稼ぐために、ガラスリブは、サンドブラストを用いて凹型ストライプ状に成形されている。背面ガラス基板表面に誘電体層とガラスリブとが形成されたものを背面板という。
特許文献2には、背面ガラス基板表面に誘電体ペーストを塗工し、熱重合を用いて硬化させた誘電体前駆層にガラスリブ用ペーストを塗工し、誘電体前駆層とガラスリブ前駆体とを焼成し、誘電体層及びガラスリブを製造する方法が開示されているが、熱重合を短時間で完全に終了させることは難しく、また、硬化後溶剤を蒸発させることが難しいため、後のプロセスで基材からの剥がれや気泡が発生するという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
ガラス転移温度が20℃未満であると、サンドブラスト時に問題が発生することがある。また、塗工できるほどの粘度を得るために大量の樹脂を必要とするため、脱脂・焼成の際に時間がかかる。
なかでも、少ない樹脂の量で高い粘度を得ることができることから、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ、低温で速やかに脱脂できることから、メチルメタクリレートの共重合体であるポリメチルメタクリレート(Tg108℃)が好適である。
また、重量平均分子量が1万〜2万であると、サンドブラスト作業も良好であり、塗工、乾燥後のガラスペーストの表面も平滑であり、糸曳性も優れているので特に好ましい。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量の測定は、カラムとして例えばSHOKO社製カラムLF−804を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
また、本発明のガラスペーストに用いるバインダー樹脂として(メタ)アクリル樹脂重合反応の後の反応溶液をそのまま用いる場合には、重合後の重合溶液には、モノマーやオリゴマー等の低分子量成分が実質的に含まれていないことが好ましい。
上記ガラス粉末の組成としては特に限定されず、例えば、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、CaO・Al2O3・SiO2系無機ガラス、MgO・Al2O3・SiO2系無機ガラス、LiO2・Al2O3・SiO2系無機ガラス等の各種ガラスが挙げられる。特に、融点が600℃以下の低融点ガラスであることが好ましい。
下記に例示として挙げられている溶剤のなかには、従来公知のものも挙げられるが、実際に脱脂・焼成工程を考慮すると、比重が0.95以上、1.35未満の溶剤は蒸発しにくいため用いられていないのが現状であった。しかし、本発明者らはこのような比重かつ沸点の溶剤をあえて用いることにより、シートアタックを防ぐことができるということを初めて見出した。
なかでも、特にシートアタックを生じにくいことから誘電率が25以上であることが好ましく、誘電率が25以上の溶剤としては、1,2−エタンジオール、1、2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、ホルムアミドが挙げられる。特に、200℃以下で乾燥させることができるため、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好適である(「溶剤ハンドブック」参照)。
なお、これらの溶剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明のガラスペーストがポリビニルアセタール樹脂を含有する場合には、ポリビニルアセタール樹脂をガラスペーストに充分に溶解させることができることから、上記溶剤としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好適に用いられる。
すなわち、シートアタックを生じないという特徴を活かし、今まで個別に焼結プロセスが必要であったグリーンシート上に導電ペーストでパターンを描く工程、電極シート上に誘電体ペーストをカバーする工程、リブシート上に蛍光体ペーストをスクリーン印刷する工程等を簡略化することが可能である。
また、未焼結リブ上にインクジェットで蛍光体ペーストを印刷したり、オフセット印刷で電極を印刷した上に誘電体層をスクリーン印刷する等、異なる印刷法を組み合わせるときにも応用することができる。例えば、サンドブラストレジストパターンをフォトリソ工程で描く工程をスクリーン印刷に置き換える等である。
背面ガラス基板にセルロース樹脂をバインダー主成分とする誘電体層用ペーストを塗工し、乾燥させることにより誘電体前駆層を形成させる誘電体前駆層形成工程と、脱脂工程を行わずに上記誘電体前駆層の表面に本発明のガラスペーストを塗工し、乾燥させることによりガラスリブ前駆体を形成させるガラスリブ前駆体形成工程と、サンドブラストにより上記ガラスリブ前駆体に凹型形状を形成させる凹型形状形成工程と、上記誘電体前駆層及び上記ガラスリブ前駆体を加熱して脱脂・焼成する脱脂・焼成工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法もまた、本発明の1つである。
また、背面ガラス基板に本発明のガラスペーストを塗工し、乾燥させることにより誘電体前駆層を形成させる誘電体前駆層形成工程と、脱脂工程を行わずに上記誘電体前駆層の表面にセルロース樹脂をバインダー主成分とするガラスリブ用ペーストを塗工し、乾燥させることによりガラスリブ前駆体を形成させるガラスリブ前駆体形成工程と、サンドブラストにより上記ガラスリブ前駆体に凹型形状を形成させる凹型形状形成工程と、上記誘電体前駆層及び上記ガラスリブ前駆体を加熱して脱脂・焼成する脱脂・焼成工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法もまた、本発明の1つである。
ここで、上記セルロース樹脂とは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。
なお、各工程については、本発明のガラスペーストを用いることと、脱脂工程を減らすこと以外は、従来のプラズマディスプレイパネルの製造方法と同様の操作を行うことができる。また、上記誘電体層用ペースト、ガラスリブ用ペーストとしては、本発明のガラスペーストに含有される溶剤と反応しにくいものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン、溶剤として炭酸プロピレン100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られた(メタ)アクリル樹脂の炭酸プロピレン溶液に対し、表1に記載した組成比になるように炭酸プロピレンを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
連鎖移動剤の添加量を調整したこと以外は、実施例1と同様に重合を行い、メタクリル樹脂の炭酸プロピレン溶液を得た。重量平均分子量は、表1のとおりであった。表1の組成比になるように各成分を調整し、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
用いるモノマーをイソブチルメタクリレート(IBMA)に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
用いるモノマーをシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
用いるモノマーをメチルメタクリレート80重量部、ラウリルメタクリレート(LMA)20重量部の2種のモノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
用いるモノマーをメチルメタクリレート80重量部、プロピレンオキサイドユニットを持つアクリルモノマー(日本油脂社製、ブレンマーPP1000)20重量部の2種のモノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
エチルセルロース(シグマアルドリッチ社製STD46又はSTD100)の10重量%テルピネオール(比重0.93(溶剤20℃/水4℃))溶液を作製し、表2に記載した組成比になるよう各成分を調整し、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
連鎖移動剤の添加量を調整し、溶剤としてテルピネオールを用いたこと以外は、実施例1と同様に重合を行い、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートPMMA)を得た。重量平均分子量は、表2のとおりであった。表2の組成比になるように各成分を調整し、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
エチルセルロース(シグマアルドリッチ社製STD100)の10重量%炭酸プロピレン溶液を作製し、表2に記載した組成比になるよう各成分を調整し、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
しかし、エチルセルロース樹脂が溶剤に溶解しなかったためペーストを作製できなかった。
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られたバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストについて以下の評価を行った。結果を表1〜表3に示した。
比較例1と同じ方法で作製したガラスペーストを10ミルに設定したアプリケーターを用いてガラス基板(2cm×5cm)上に塗工した。120℃オーブンで30分養生してペーストに含まれるテルピネオールを蒸発させ、エチルセルロース含有誘電体前駆層を形成した。厚みは10ミクロンで緻密でガラスペーストの塗工表面は平滑であった。
実施例1〜7及び比較例1〜3の界面活性剤及びガラス粉末を含まない、バインダー樹脂組成物を5ミルに設定したアプリケーターを用いて誘電体前駆層に塗工した。120℃オーブンで30分養生して溶剤成分を蒸発させ誘電体前駆層の状態を顕微鏡観察して確認した。誘電体前駆層に穴が見られた場合を×、変化がなかった場合を○とした。
比較例1と同じ方法で作製したガラスペーストを7ミルに設定したアプリケーターを用いてガラス基板(2cm×5cm)上に塗工した。120℃オーブンで30分養生してペーストに含まれるテルピネオールを蒸発させ、エチルセルロース含有誘電体前駆層を形成した。厚みは50ミクロンで緻密でガラスペーストの塗工表面は平滑であった。実施例1〜7及び比較例1〜3のガラスペーストを誘電体前駆層上に塗工後、ナイフコーターで400ミクロンの厚みに成形し、120℃オーブンで1時間乾燥させ厚み180ミクロンのガラスリブ前駆体を成形した。
ガラスリブ前駆体上にサンドブラスト用ドライフィルムレジスト(東京応化工業社製、BF603)を50℃でラミネート後、露光マスクをセットし、300mJ/cm2で露光した。0.2%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、幅100ミクロン幅のライン&スペースのパターンを形成した。
ガラスリブ前駆体上へのドライレジストフィルムの密着が良好な場合をリブ表面性○とし、細かな気泡が抜けなかった場合をリブ表面性×とした。
パターンを形成した面に不二製作所社製サンドブラスト機(ニューマブラスターSMC−1ADE−NE−401)を用い、研磨剤(不二製作所製S4#1000)を噴出圧力0.15MPaで吹き付け、サンドブラスト処理を行った。
切削が速やかに進み、リブ形状にも問題がなかった場合を◎、誘電体前駆層まで切削が進んだ場合を○、切削が終了する前にドライフィルムレジストが剥がれた場合を△、底まで切削が進まなかった場合を×とした。
(ポリビニルアセタール樹脂の合成)
重合度360、けん化度98mol%のポリビニルアルコール180gを純水3000mLに加え、90℃で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を28℃まで冷却し、35重量%の塩酸200gとn−ブチルアルデヒド110gとを添加し、液温を15℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃に5時間保持して反応を完了させ、中和、水洗、及び、乾燥を経てポリビニルアセタール樹脂の白色の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度(ブチラール化度)を測定したところ、アセタール化度(ブチラール化度)は38mol%であった。また、用いたポリビニルアルコール樹脂の水酸基価は98mol%であるため、得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化反応後の残された水酸基は60mol%である。
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)30重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)(単独重合体のTg55℃)70重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、溶剤として1,2−エタンジオール100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたメタクリル樹脂の1,2−エタンジオール溶液に対し、表4に記載した組成比になるように1,2−エタンジオールを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
メチルメタクリレート(MMA)と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)との組成比を表4の組成比になるように変更し連鎖移動剤の添加量を調整したこと以外は、実施例1と同様に重合を行い、メタクリル樹脂を得た。重量平均分子量は表4のとおりであった。
また、n−ブチルアルデヒドの添加量、反応温度、反応時間を調整し、実施例8と同様に反応−中和−乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂を得た。用いたポリビニルアルコールの水酸基価はいずれも98mol%であり、重合度は表4のとおりであった。また、得られたポリビニルアセタール樹脂の水酸基価は表4のとおりであった。
表4の組成比になるように各成分を調整し、実施例8と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
溶剤をテルピネオールに変えたこと以外は、実施例9と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
実施例8〜10及び比較例5で得られたバインダー樹脂組成物、並びに、ガラスペーストについて実施例1〜7、比較例1〜3と同様の評価を行った。結果を表4〜表5に示した。
比較例5については、溶剤としてテルピネオールを用いたため、耐シートアタック性の評価において誘電体前駆層に亀裂が見られ、サンドブラスト性の評価においてもガラスリブ前駆体下部まで切削を進めることができない領域が生じた。
実施例8と同様のメチルメタクリレート(MMA)と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)の組成比を用いて重合溶液を調整し、連鎖移動剤の添加量を調整して、実施例8と同様に重合を行い、メタクリル樹脂を得た。重量平均分子量は、表6のとおりであった。
n−ブチルアルデヒドの添加量、反応温度、反応時間を調整し、実施例8と同様に反応−中和−乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂を得た。用いたポリビニルアルコールの水酸基価はいずれも98mol%であり、重合度は表6のとおりであった。また、得られたポリビニルアセタール樹脂の水酸基価は表6のとおりであった。得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表6の組成比になるように各成分を調整し、実施例8と同様にしてポリビニルアセタール樹脂を得た。
表6の組成比になるように各成分を調整し、実施例8と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
n−ブチルアルデヒドの添加量、反応温度、反応時間を調整し、実施例8と同様に反応−中和−乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂を得た。用いたポリビニルアルコールの水酸基価はいずれも98mol%であり、重合度は表6のとおりであった。また、得られたポリビニルアセタール樹脂の水酸基価は表6のとおりであった。バインダー樹脂としてエチルセルロースSTD100(シグマアルドリッチ社製)と得られたポリビニルアセタール樹脂とを用い、表6の組成比になるように各成分を調整し、実施例8と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
実施例11〜12及び比較例6で得られたバインダー樹脂組成物、並びに、ガラスペーストについて以下の評価を行った。結果を表6〜表7に示した。
実施例11〜12、及び、比較例6で作成したガラスペーストを10ミルに設定したアプリケーターを用いてガラス基板(2cm×5cm)上に塗工した。120℃オーブンで30分養生してペーストに含まれる溶剤を蒸発させ、誘電体前駆層を形成した。厚みは10ミクロンで緻密でガラスペーストの塗工表面は平滑であった。
比較例6と同じ方法で作製した、界面活性剤及びガラス粉末を含まないバインダー樹脂組成物を5ミルに設定したアプリケーターを用いて誘電体前駆層上に塗工した。120℃オーブンで30分養生して溶剤成分を蒸発させ誘電体前駆層の状態を顕微鏡観察した。誘電体前駆層に穴が見られた場合を×、変化がなかった場合を○とした。
実施例11〜12、及び、比較例6で作製したガラスペーストを10ミルに設定したアプリケーターを用いてガラス基板(2cm×5cm)上に塗工した。120℃オーブンで30分養生してガラスペーストに含まれる溶剤を蒸発させ、誘電体前駆層を形成した。厚みは10ミクロンで緻密でガラスペーストの塗工表面は平滑であった。
比較例6と同じ方法で作製した、ガラスペーストを誘電体前駆層上に塗工後、ナイフコーターで400ミクロンの厚みに成形し、120℃オーブンで1時間乾燥させ厚み180ミクロンのガラスリブ前駆体を成形した。
ガラスリブ前駆体上にサンドブラスト用ドライフィルムレジスト(東京応化工業社製、BF603)を50℃でラミネート後、露光マスクをセットし、300mJ/cm2で露光した。0.2%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、幅100ミクロン幅のライン&スペースのパターンを形成した。
ガラスリブ前駆体上へのドライフィルムレジストの密着が良好な場合をリブ表面性○とし、細かな気泡が抜けなかった場合をリブ表面性×とした。
パターンを形成した面に不二製作所社製サンドブラスト機(ニューマブラスターSCM−1ADE−NE−401)を用い、研磨剤(不二製作所製S4#1000)を噴出圧力0.15MPaで吹き付け、サンドブラスト処理を行った。
切削が速やかに進み、リブ形状にも問題がなかった場合を◎、誘電体前駆層まで切削が進んだ場合を○、切削が終了する前にドライフィルムレジストが剥がれた場合を△、底まで切削が進まなかった場合を×とした。
比較例6については溶剤にテルピネオールを用いたため、耐シートアタック性の評価において誘電体前駆層に亀裂が見られ、サンドブラスト性の評価においてもガラスリブ前駆体下部まで切削を進めることができない領域が生じた。
(メタクリル樹脂合成)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、溶剤として炭酸プロピレン50重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたメタクリル樹脂の炭酸プロピレン溶液に対し、表8に記載した組成比になるように炭酸プロピレンを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
連鎖移動剤をメルカプトコハク酸に変更し、添加量を調整した以外は、実施例13と同様にして重合を行い、メタクリル樹脂の炭酸プロピレン溶液を得た。重量平均分子量は、表8のとおりであった。表8の組成比になるように各成分を調整し、実施例13と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
溶剤にテルピネオールを用い、連鎖移動剤をドデシルメルカプタンに変更し、添加量を調整したこと以外は、実施例13と同様に重合を行い、メタクリル樹脂のテルピネオール溶液を得た。重量平均分子量は、表8のとおりであった。表8の組成比になるように各成分を調整し、実施例13と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
実施例13〜14及び比較例7で得られたバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストについて実施例1〜7、比較例1〜3と同様の評価を行った。結果を表8〜表9に示した。
比較例7については、溶剤にテルピネオールを用い樹脂分子量を高め、バインダー樹脂量を低減したが耐シートアタック性の評価において誘電体前駆層に亀裂が見られ、基板及びドライフィルムレジストの剥がれが見られ、サンドブラスト性評価においてリブ形状崩れが見られた。
実施例8にて作製したガラスペーストをガラス基板(2cm×5cm)上に10ミルに設定したアプリケーターを用いてガラス基板上に塗工した。120℃オーブンで30分養生してペーストに含まれる溶剤を蒸発させ、メタクリル樹脂及びポリビニルアセタール樹脂含有誘電体前駆層を形成した。厚みは10ミクロンで緻密でガラスペーストの塗工表面は平滑であった。テルピネオールの10重量%エチルセルロース(STD46)溶液を乾燥した誘電体前駆層上に13ミルに設定したアプリケーターを用いて塗工し、オーブンで120℃、30分乾燥させた。
(メタクリル樹脂合成)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、溶剤として1,2−エタンジオール100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたメタクリル樹脂の1,2−エタンジオール溶液に対し、表10に記載した組成比になるように1,2−エタンジオールを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
テルピネオールのエチルセルロース(STD46)10重量%溶液を作製し、表10に記載した組成比になるよう各成分を調整し、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、ガラスペーストを作製した。
このガラスペーストを用いて実施例15と同様に誘電体前駆層を形成し、エチルセルロース溶液を塗布した。
実施例15〜16及び比較例8で得られた誘電体前駆層が塗工されたガラス基板の誘電体前駆層の状態を顕微鏡を用いて背面から光を透過させて、亀裂やボイドの有無を観察した。また、誘電体前駆層とエチルセルロース樹脂層の積層断面があらわれるように、ガラス基板を切断して、誘電体前駆層とエチルセルロース樹脂層間の断面を顕微鏡にて観察した。
結果を表10〜表11に示した。
誘電体前駆層にエチルセルロース樹脂を用いた比較例8は、背面から光をあてた観察では、誘電体前駆層に亀裂が発生しており、切断面観察では誘電体前駆層とエチルセルロース樹脂層の境界線は不明確で、エチルセルロース樹脂が誘電体前駆層を膨潤させていることが観察された。
Claims (5)
- 少なくとも、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以上のモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂と、ガラス粉末と、比重が0.95以上1.35未満、かつ、沸点が140℃以上300℃未満の溶剤と、ポリビニルアセタール樹脂とを含有し、前記溶剤は炭酸プロピレンであることを特徴とするガラスペースト。
- (メタ)アクリル樹脂は、ポリスチレン換算による重量平均分子量が5000〜20万であることを特徴とする請求項1記載のガラスペースト。
- ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基価が40mol%以上、かつ、ポリスチレン換算による重量平均分子量が5000〜10万であることを特徴とする請求項1記載のガラスペースト。
- 背面ガラス基板にセルロース樹脂をバインダー主成分とする誘電体層用ペーストを塗工し、乾燥させることにより誘電体前駆層を形成させる誘電体前駆層形成工程と、脱脂工程を行わずに前記誘電体前駆層の表面に請求項1、2又は3記載のガラスペーストを塗工し、乾燥させることによりガラスリブ前駆体を形成させるガラスリブ前駆体形成工程と、サンドブラストにより前記ガラスリブ前駆体に凹型形状を形成させる凹型形状形成工程と、前記誘電体前駆層及び前記ガラスリブ前駆体を加熱して脱脂・焼成する脱脂・焼成工程とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 背面ガラス基板に請求項1、2又は3記載のガラスペーストを塗工し、乾燥させることにより誘電体前駆層を形成させる誘電体前駆層形成工程と、脱脂工程を行わずに前記誘電体前駆層の表面にセルロース樹脂をバインダー主成分とするガラスリブ用ペーストを塗工し、乾燥させることによりガラスリブ前駆体を形成させるガラスリブ前駆体形成工程と、サンドブラストにより前記ガラスリブ前駆体に凹型形状を形成させる凹型形状形成工程と、前記誘電体前駆層及び前記ガラスリブ前駆体を加熱して脱脂・焼成する脱脂・焼成工程とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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