JP5070991B2 - 捲縮を有する導電糸 - Google Patents

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Description

本発明は、導電層と繊維形成性を有する非導電層とがサイドバイサイド複合もしくは偏心芯鞘複合を形成しており、かつ導電層が繊維表面の少なくとも一部を形成した複合繊維から構成されたマルチフィラメントであって、該マルチフィラメントがコイル捲縮を有する導電糸に関するものである。さらに詳しくは、該導電糸の微細なコイル捲縮により、画像形成装置(複写機、プリンター等)の導電性ブラシに用いた場合には、優れた除電性能やトナー清掃性を呈するとともに、布帛の一部に用いた場合には、従来品よりも優れた帯電防止性能を有する導電糸を提供するものである。
画像形成装置の導電性ブラシとして提案されている従来の導電繊維は、熱可塑性ポリマーにカーボンブラックを含有させたものを導電層としているが、カーボンブラックの含有量が多いほどポリマーの流動性が低下(変形し難くなる)するため、曳糸性も低下することが知られている。合成繊維として汎用的に用いられるポリエステル、例えば主たる繰り返し構造単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル成分にカーボンブラックを含有させた場合は、カーボンブラックを高濃度(20重量%以上)に含有させると曳糸性が極端に低下し、糸切れが多発して安定して引き取ることができない。そこで、曳糸性を補う目的で非導電層に繊維形成性ポリマーを配し、繊維表面の一部に導電層を露出させた複合繊維がいくつか提案されている。
例えば、カーボンブラックを25重量%含有させたポリエチレンテレフタレートを鞘成分とし、カーボンブラックを含有しないポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘複合繊維が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の導電繊維は、導電層のみからなる繊維よりは曳糸性が改善されるものの、糸切れの頻度が高いもので、繊維長手方向の導電斑も大きく、画像形成装置の導電性ブラシに加工しても、印刷の鮮明性、トナー清掃性が劣るものであった。
一方、ポリアミドはカーボンブラックを高濃度(20〜35重量%)に含有させても流動性の低下がポリエステルほど顕著ではなく、比較的良好な曳糸性を示すため、数多くの導電繊維に用いられている。例えば、カーボンブラックを35重量%含有したポリアミドを鞘成分とし、融点170℃以上の熱可塑性ポリマーを芯成分とする芯鞘複合繊維が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献2の導電繊維は導電層に吸湿性を有するポリアミドを用いているため、温湿度変化に伴う導電性の変化が大きいという問題を有している。そのため、画像形成装置に搭載されている感光体を清掃するためのブラシに用いた場合、長時間のランニングにて、徐々にトナー清掃性が低下し、記録画質が低下するといった問題があった。
さらに、いずれの技術においても、導電性ブラシとして用いた際に、ブラシの軸方向で帯電斑に起因するスジ状汚れが出やすく、均一性の高い除電性能、すなわち優れたトナー清掃性を呈することが困難であった。
そこでトナー清掃性を高めるべく、画像形成装置の感光体との接触面積を大きくすることを目的として、仮撚加工を行い捲縮を付与させ、繊維を偏平化した導電繊維が提案されている(特許文献3)。しかしながら、特許文献3の導電繊維はカーボンブラックを高濃度含有した場合には特許文献1と同様に延性が低いために糸切れしやすく、さらに仮撚加工時の加工張力が安定しないために低品位の捲縮糸しか得られなかった。そのため、画像形成装置の導電性ブラシに加工してもブラシの品位が悪く、印刷の鮮明性、トナー清掃性が劣るものであった。また、ポリアミドを用いた場合には特許文献2と同様に、温湿度変化に伴う導電性の変化が大きいという問題を有しており、画像形成装置に搭載されている感光体を清掃するためのブラシに用いた場合、徐々にトナー清掃性が低下し、記録画質が低下するといった問題があった。
WO2002/075030(実施例) 特開2002−235245号公報(特許請求の範囲) 特開2006−336142号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、糸長さ方向に高い導電性と環境適応性(導電特性の温・湿度依存性が小さい)を有するだけでなく、繊維に微細なコイル捲縮を持たせることで長時間ランニングでの感光体上のトナー清掃性の低下を抑制することができる導電糸を提供することにある。
カーボンブラックを含有した、主たる繰り返し構造単位がプロピレンテレフタレートであるポリエステルからなる導電層と、繊維形成性を有するポリエステルからなる非導電層とがサイドバイサイド複合もしくは偏心芯鞘複合を形成しており、かつ導電層が繊維表面の少なくとも一部を形成した複合繊維から構成されたマルチフィラメントであって、糸長さ方向の体積固有抵抗Pが10−1〜10Ω・cm、CR値が3〜50%であることを特徴とする導電糸である。
カーボンブラックを含有した、主たる繰り返し構造単位がプロピレンテレフタレートであるポリエステルからなる導電層を繊維表面に露出させることで、糸長さ方向に高い導電性と環境適応性(導電特性の温・湿度依存性が小さい)を有するだけでなく、さらに繊維に微細なコイル捲縮を持たせることで長時間ランニングでの感光体上のトナー清掃性を向上させることができる導電糸を提供することにある。
本発明の繊維は、カーボンブラックを含有した、主たる繰り返し構造単位がプロピレンテレフタレートであるポリエステル(以下、「ポリプロピレンテレフタレート」又は「PPT」と記載)からなる導電層を有しており、該導電層が繊維表面の少なくとも一部を形成している。従来のポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と記載)にカーボンブラックを高濃度含有させた場合は、曳糸性が極めて悪く、糸長手方向の導電斑が大きい導電糸しか得られなかった。これに対し、本発明のPPTを導電層のマトリックスポリマーに用いることにより、曳糸性が飛躍的に向上し、糸長手方向の繊維径の均一性が高く、カーボンブラックの分散斑も小さくなることを本発明者らは見出したのである。これは、ポリエステルの中でもPPTが特異的にカーボンブラックとの親和性が高いためである。このようにPPTがカーボンブラックと高い親和性を示す原因は定かではないが、該ポリエステルの分子形態に起因したものであると考えている。すなわち、PPTはメチレン鎖が大きく屈曲し、分子鎖が螺旋を形成した構造を有していることが知られており、この螺旋構造によりベンゼン環同士のスタッキングが起きにくく、分子鎖間での拘束性が低いために、カーボンブラックが分子鎖間に入りやすいのではないかと考えられる。さらに、ある一定以上の重量平均分子量のポリエステル、すなわち、重量平均分子量Mwが75,000〜500,000であるPPTを用いることで、過大な紡糸張力が負荷されても粘性破断しにくく、糸長手方向にほとんど太細が生じない、すなわち糸長手方向に均一な導電性が得られるため好ましい。より好ましくは80,000〜400,000であり、さらに好ましくは90,000〜300,000である。分子量が500,000を越えると重合時間が長く製造コストが高くなることや、溶融粘度が高いことに起因する紡糸装置の配管設計が困難になるため、コストパフォーマンスが著しく低下する。さらに重量平均分子量Mwが500,000以下であれば、延伸工程での分子配向性を高くすることができるため、実用性のある強度の導電繊維が得られる。より高い繊維強度とするために好ましくは400,000以下であり、さらに好ましくは300,000以下である。
カーボンブラックを添加しない溶融紡糸では、一般には重量平均分子量を高くするとともに伸長粘度も増大するが、カーボンブラックを高濃度に添加した場合には、重量平均分子量を高くしても伸長粘度はほとんど上がらないという特異挙動を初めて見出したのである。そのため、本発明の繊維は伸長粘度を変えることなく、粘性破断に対する耐久性のみが向上し、糸長手方向の導電の均一性が向上するのである。
また、重量平均分子量Mwと、数平均分子量Mnとの比をとった分散度Mw/Mnは、1.5〜6であることが好ましい。分散度Mw/Mnを6以下にすることで、カーボンブラックの分散性が高くなり、溶融紡糸時の溶融粘度を安定化させ、良好な紡糸性を与える。すなわち糸長手方向に均一な導電性が得られる。分散度Mw/Mnは好ましくは1.6〜5、より好ましくは1.8〜4である。該導電層に用いられるポリエステル成分は、主としてPPTから構成される。該PPTは、カルボン酸であるテレフタル酸とアルコールであるトリメチレングリコールのエステル化反応により形成されるポリマーであり、プロピレンテレフタレート単位が50モル%以上である。カーボンブラックとの親和性を持たせるために、該プロピレンテレフタレート単位は80モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい
PPTには、本発明の趣旨、すなわち高濃度でカーボンブラックを含有した場合の高い溶融紡糸性を損ねない範囲で他の成分が共重合されていてもよく、例えばジカルボン酸化合物を共重合せしめることができる。該ジカルボン酸化合物として例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらジカルボン酸化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジオール化合物を共重合せしめることができ、該ジオール化合物として例えば、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらジオール化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、または本発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、共重合成分としては、1つの化合物に水酸基とカルボン酸を具有する化合物、すなわち、ヒドロキシカルボン酸を挙げることができ、該ヒドロキシカルボン酸としては、例えば乳酸、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートバリレート、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらヒドロキシカルボン酸のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。 また本発明の繊維は、該導電層と繊維形成性を有するポリエステルからなる非導電層とが複合構造を形成している。なお、ここでいう「導電層」及び「非導電層」とは、別々に用意した「導電成分」(カーボンブラック含有ポリマー)と「非導電成分」(カーボンブラック非含有ポリマー。1成分に限定されず、2成分以上であってもよい)から構成される複合繊維において、複合界面を境界として、導電成分からなる部分を「導電層」、非導電成分からなる部分を「非導電層」と呼ぶ。本発明の導電層の主成分であるPPTの融点が225〜230℃であることから、良好な曳糸性が得られる温度範囲、すなわち該ポリエステルの融点に近い温度で溶融紡糸することが好ましい。そのため、芯部を形成する非導電成分は、融点が210〜250℃である繊維形成性ポリエステルであることが好ましく、220〜245℃であることがより好ましい。ここで繊維形成性ポリエステルとは、例えばジカルボン酸化合物とジオール化合物のエステル結合から形成される重合体を挙げることができ、これらにかかるポリマーとしては、その主たる繰り返し構造単位がエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、プロピレンナフタレート、テトラメチレンナフタレートあるいはシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、であるポリエステル、あるいは芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とする溶融液晶性を有する液晶ポリエステル、などが挙げられる。
そして、特に制限されるものではないものの、ジカルボン酸化合物とジオール化合物のエステル結合から形成されるポリエステル系ポリマーには、本発明の趣旨を損ねない範囲で他の成分が共重合されていてもよく、例えばジカルボン酸化合物を共重合せしめることができる。該ジカルボン酸化合物として例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらジカルボン酸化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエステル系ポリマーの共重合成分としては、ジオール化合物を共重合せしめることができ、該ジオール化合物として例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらジオール化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエステル系ポリマーの共重合成分としては、1つの化合物に水酸基とカルボン酸を具有する化合物、すなわち、ヒドロキシカルボン酸を挙げることができ、該ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートバリレート、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体および光学異性体を挙げることができ、これらヒドロキシカルボン酸のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の趣旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエステル系ポリマーとしては、芳香族、脂肪族、脂環族などの1つの化合物がカルボン酸と水酸基を両方有したヒドロキシカルボン酸化合物を主たる繰り返し単位とする重合体であってもよく、これらヒドロキシカルボン酸からなる重合体としては、例えば乳酸、3−ヒドロキシプロピオネート)、3−ヒドロキシブチレート)、3−ヒドロキシブチレートバリレート)、といったヒドロキシカルボン酸を主たる繰り返し構造単位とするポリエステルを挙げることができ、その他にも、これらヒドロキシカルボン酸としては、本発明の趣旨を損ねない範囲で芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸、あるいは芳香族、脂肪族、脂環族ジオール成分が用いられていてもよく、あるいは複数種のヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよい。
本発明の導電層の主成分がPPTであることから、該導電層との接着性を良好にするためには、非導電層となる芯部も繊維形成性ポリエステルであることが好ましい。その中でも、特に優れた接着性を有するポリエステルとして、PPTを主成分とするポリエステルや、イソフタル酸(以下「IPA」と記載)や2・2ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン(以下「BPA−EO」と記載)、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸を共重合したポリエステル(以下、「共重合PET」と記載)が好ましく用いられる。共重合PETとしては、特にBPA−EOや、アジピン酸を共重合することで導電層との接着性を高めることができ好ましい。共重合比率としては、1〜15モル%が好ましく、2〜10モル%がより好ましい。また、前記BPA−EOやアジピン酸と併せ、IPAを共重合してもよい。前記共重合成分をポリエステルと共重合することで、ポリマーの融点を下げることができる。すなわち、紡糸温度を下げることが可能になる。ここで、導電層をコイル捲縮の外側に配するためには、非導電層を高収縮にする必要があるため、この場合は非導電層の結晶性を下げることが有効である。すなわち、IPA共重合や、BPA−EOを共重合成分として用いることが好ましい。一方で、導電成分をコイルの内側に配する場合には、非導電層を低収縮にする必要があるため、この場合は、非導電層の結晶性を高くすることが有効である。すなわち、アジピン酸やアゼライン酸を共重合成分として用いることが好ましい。導電層をコイルの内側に配した場合の利点として、寸法安定性が向上するとともに、導電層(PPT)の弾性回復性が高いため、捲縮がへたり難く、画像形成装置の導電性ブラシとして長時間ランニングで使用しても、良好な清掃性を維持することが可能になる。該導電層に用いるカーボンブラックとして、例えば、ファーネス法により得られるファーネスブラック、ケッチェン法により得られるケッチェンブラック、アセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどがある。その他にはグラファイト、炭素繊維なども好適に用いられる。本発明の導電層には、導電性カーボンブラックであるファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックを用いることがより好ましい。該導電性カーボンブラックの中でも、カーボンブラックの導電性能の基本的性質である粒子径(比表面積)、ストラクチャー、表面性状(粒子表面の化学的性質)の制御範囲が広いファーネスブラックや、表面官能基が少なく、分散性に優れるアセチレンブラックが特に好ましい。該導電性カーボンブラックの導電性能は、体積固有抵抗として低いほど好ましく、5.0×10Ω・cm以下のものであることがより好ましく、1.0×10−6〜5.0×10Ω・cmであることがさらに好ましい。また、本発明の繊維に含有させた場合に、繊維の力学特性を損ねることなく、導電回路としてのストラクチャーを形成させるために、該導電性カーボンブラックの一次粒子の平均粒径を1〜100nmの範囲とすることが好ましく、またストラクチャーのジブチルフタレート吸収量が30〜600cm/100gの範囲のものが好ましく、35〜400cm/100gのものがより好ましい。該ジブチルフタレート吸収量は、ストラクチャーが大きく発達するほど高くなり、600cm/100gを超えると導電性は向上するが、導電層の流動性が悪化して曳糸性が低下する。また、カーボンブラック表面の官能基はカーボンブラック製造過程での雰囲気に由来し、例えば水素量は製造時の温度と時間に関係する。本発明に用いるファーネスブラックの水素量は、0.1〜0.4%であることが好ましい。表面の官能基を同定あるいは定量するためには、揮発分組成や揮発分量、pHなどを調べることで可能である。
また本発明の繊維は、繊維に微細なコイル捲縮を持たせるために、導電層と非導電層とがサイドバイサイド複合もしくは偏心芯鞘複合を形成している。粘度が異なる重合体を前記複合形態にすることによって、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、各成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および高次加工の熱処理工程での熱収縮率差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差と熱収縮率差を足し合わせた値)によって決まるといってもよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。該収縮差の制御は、前記共重合成分を選択してポリエステルの結晶性を制御することで可能になる。
さらに本発明の繊維は、繊維表面での導電性を高くするために、繊維表面の少なくとも一部に導電層が露出した複合繊維である。繊維表面に導電層を露出させることで、繊維表面で導電パスが形成され、低電圧でも電子の受け渡しが速やかに行われる。
また本発明の繊維がサイドバイサイド複合である場合は、導電層をコイル捲縮の外側に配置させれば高導電性となり、内側に配することで低導電性とすることができる。
本発明に用いる導電糸の導電性能は、体積固有抵抗が10−1〜10Ω・cmであることが必要である。体積固有抵抗は小さければ小さいほど導電性が高く、電気を流しやすいため、用途によっては高い導電性(低体積固有抵抗)が要求される。本発明においては、PPT、PBTに最大限含有させることが可能なカーボンブラックの量が40重量%であることから、体積固有抵抗の下限としては10−1Ω・cmである。該体積固有抵抗の範囲であることで、導電性ブラシとしての除電性能あるいは帯電防止が可能となる導電レベルを充分到達することができる。画像形成装置の導電性ブラシに本発明の導電糸を用いる際には10〜10Ω・cmの範囲の体積固有抵抗であることが好ましく、装置の特性および導電性ブラシの役割に応じて最適な体積固有抵抗の導電繊維を用いればよい。
該体積固有抵抗は、カーボンブラックの種類(主として導電特性)、カーボンブラックの濃度、単繊維繊度、繊維横断面における導電層の露出長の比率、導電層の厚さなどで制御することが可能である。体積固有抵抗を得るためのカーボンブラック含有量は15〜40重量%が好ましく、20〜35重量%がより好ましい。15重量%以上とすることでカーボンストラクチャーの形成により導電性能が顕在化し、20重量%以上で急激に導電性能が向上し、35重量%を超えると導電性能が頭打ち傾向になる。また、カーボンブラックの含有量を40重量%以下とすることで良好な曳糸性が得られ、糸長手方向に均一な導電性が得られる
カーボンブラックによる導電性付与にあたっては、カーボンブラックの連鎖構造であるストラクチャーの形成が肝要である。高い導電性を得るためには、該ストラクチャーを破壊せずにポリマー中に分散させ、長い繋がりを保持しつつ高密度に存在させなくてはならない。この手段として、延伸工程において、未延伸糸の自然延伸比(以下、「NDR」と記載)近傍で延伸することで、ストラクチャーの破壊を抑制しつつ、繊維長手方向へストラクチャーを引き伸ばすことが可能となる。また、コイル捲縮の程度、すなわち本願でのCR値を制御するためにも延伸倍率が有効である。我々の検討においては、NDR×0.9〜NDR×1.3倍が好ましい。すなわち、NDRが2倍であれば1.8〜2.6倍、自然延伸比が3倍であれば2.7〜3.9倍で延伸すればよい。より好ましい延伸倍率は、NDR×0.95〜1.25倍、さらに好ましくはNDR×1.0〜1.2倍である。なお、NDRは定張力伸長域伸度から下式により求めることができる。
NDR(倍)=1+(定張力伸長域伸度(%)/100)
また、熱処理温度を制御することによってもカーボンストラクチャーを制御することができる。熱処理温度を高くする、もしくは熱処理時間を長くすることにより、導電層におけるポリエステル成分の結晶化を促進させ、結晶部からのカーボンブラックの排除によりストラクチャーの局在化および高密度化が進み、導電性が向上する。熱処理方法は特に制限されるものではないが、延伸時のホットロールや熱板、未延伸糸や延伸糸のパッケージを乾燥機にてエージングする方法、ブラシや布帛にしてから熱処理してもよい。
また本発明の導電糸は、糸長さ方向の体積固有抵抗Pとその標準偏差Qとの比ESR(ESR=Q/P)が、0.3以下であることが好ましい。ESRは糸長さ方向の導電性斑の指標であり、小さい値であるほど導電性斑が小さいため、高品質の導電糸であるといえる。特に画像形成装置の導電性ブラシに用いた場合には、ESRと印刷斑との相関性が高いことがわかっており、より高品位の印刷特性を得るためにESRは0.2以下がより好ましく、0.08以下がさらに好ましい。ESRを小さくするためには、糸長さ方向の繊度斑を小さくすることが有効である。
本発明のPPTを導電層のマトリックスポリマーに用いることにより繊維形成能が向上し、糸長手方向の繊維径の均一性が高くなるため、カーボンブラックの分散斑が小さくなる。すなわち、該ポリエステルが特異的にカーボンブラックとの親和性が高いため、糸長さ方向の導電斑を小さくすることができる。
本発明の導電糸は、コイル捲縮を有する繊維から構成されるマルチフィラメントであることが必要である。従来、カーボンブラックを添加したポリエステル系導電糸は捲縮加工することが困難であった。また、捲縮糸にしても、その捲縮品位に斑があったために、導電性ブラシ等の製品にしても導電性能が安定したものしか得られなかった。これは、従来のポリエステル系導電糸で用いられている導電層のマトリックスポリマーでは、カーボンブラックとの親和性が低いためにカーボンブラックの分散性が悪く、カーボンブラックが高濃度に局在化した部分で変形不良となるために延伸が不均一になり(延伸斑や熱処理斑が大きい)、捲縮斑が生じるためである。それに対し、本発明のPPTを用いることで、前記した様にカーボンブラックとの親和性が高いために、延伸性が飛躍的に向上する。さらに、本発明の繊維は導電層と非導電層とがサイドバイサイド複合もしくは偏心芯鞘複合を形成しているため、仮撚加工を施すことなく潜在的に捲縮を発現させることを可能にし、ブラシにした後に熱処理を加えることで、高品位かつカバーリング性に優れた捲縮糸が得られるのである。
本発明の導電糸は、高品位で微細なコイル捲縮を有することで、糸同士の会合を抑制することができ、導電性ブラシとして用いた際に、優れたカバーリング性能により均一性の高い除電性能やトナー清掃性を呈することが可能になる。さらに、コイル捲縮糸にすることで見掛けの弾性率を大幅に下げることができるため、感光体を傷つけることがない。また、トナーを保持するトラップ・スポットが非捲縮糸よりも多く存在するため、長時間ランニングでの感光体上のトナー清掃性の低下を抑制することができる。
本発明の捲縮糸は、熱処理によりコイル捲縮が発現するか、あるいは熱処理前より微細なコイル捲縮が発現する能力を有するものであり、通常の仮撚加工糸とは区別されるものである。すなわち、本発明の導電糸は、通常の延伸工程を施すことにより潜在捲縮発現性ポリエステルとすることが可能であり、前記したようにNDRの0.9〜1.3倍で延伸することで、残留伸度20〜50%となる。なお、一般に残留伸度が小さいほど、捲縮を顕在化させた時のコイル径は小さくなり、単位繊維長当たりのコイル数は多くなるが、構造弾性回復は小さくなる傾向がある。また、残留伸度を20%よりも小さくすると、延伸工程での毛羽、糸切れ等のトラブルが増加する傾向にある。一方、残留伸度が50%を超える場合には、捲縮を顕在化させた時のコイル径は大きくなり、単位繊維長当たりのコイル数は少なくなり、捲縮特性が低下する。
また、本発明の繊維が偏心芯鞘複合の場合は、偏心度によっても発現する捲縮の大きさを制御することができる。ここで、偏心度について図1を用いて詳細に説明する。図1は本発明の偏心芯鞘型複合繊維の横断面の一例を示したもので、鞘部がA、芯部がBである。また、複合繊維全体の断面から求められる重心がaであり、芯部のみの断面から求められる重心がbである。ここで、重心を求める際の前提として、芯部および鞘部の密度差はないものとした。さらにこの重心間の距離と複合繊維の直径Dより下式により偏心度を求める。
偏心度=(重心aと重心bとの間隔)/(1/2×D)
偏心芯鞘複合繊維の場合は、偏心度が大きいほどコイル径が小さくなり、単位繊維長当たりのコイル数は多くなるが、構造弾性回復は小さくなる傾向がある。一方、偏心度が小さいとコイル径は大きくなり、単位繊維長当たりのコイル数は少なくなり、捲縮特性が低下する。したがって、偏心度は0.04〜0.6であることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.5であり、さらに好ましくは0.15〜0.45である。
捲縮糸の特性は多くの指標により現すことが可能であるが、我々の検討では導電性ブラシの印写特性との相関性において、CR値が最も好ましい指標であると判断した。本発明の導電糸は、糸が絡み合わない程度の捲縮を有することが重要であり、CR値は3%以上であることが好ましい。一方、CR値が50%を越えると、コイル径が小さくなり過ぎてトラップ・スポットが小さくなり、清掃性が低下したり、導電性ブラシにする際の高次加工性が低下してしまう。そのため、CR値は3〜50%が好ましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。なお、CR値とは捲縮の伸長・回復特性を現す指標である。
本発明の導電糸は、沸騰水収縮率が0〜15%であることが好ましい。導電性ブラシとして用いる際、ブラシ加工過程や使用時の環境によっては高温にさらされる場合があり、加工前・後での寸法変化を極力小さくする必要がある。また、導電糸に寸法変化があると、繊維内部のカーボンストラクチャーも変化して導電性能が変わることが判っている。環境変化に対して優れた安定性を有する導電糸を提供するために、沸騰水収縮率は0〜10%であることがより好ましく、0〜6%であることがさらに好ましい。収縮率を小さくするための手段としては、延伸時の熱処理温度や延伸倍率、リラックス率等が挙げられる。
また本発明の導電糸は、熱収縮前後の体積固有抵抗の比が100以下であることが好ましい。一般に、画像形成装置の導電性ブラシは導電糸をパイルとして製織した後、円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシとするが、パイルを整えるために、熱水処理によるヒートセットを行っている。また画像形成装置で使用すると、使用環境が厳しく、大きな温湿度変化を受ける。したがって、熱収縮前後の体積固有抵抗の比が小さいほど、熱処理工程や長時間の使用における温湿度変化に対して安定した体積固有抵抗を示すため好ましい。熱処理前後の体積固有抵抗の比が100を超えるものであると、導電性ブラシにして使用するうちに体積固有抵抗が低下すると同時にブラシを構成する繊維間で体積固有抵抗にもバラツキが生じ、画像の鮮明さが低下する。熱処理前後の体積固有抵抗の比は、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
複合形態がサイドバイサイド複合である場合、導電層と帯電物との接触効率を向上させるために、本発明の繊維は、繊維横断面における周長に対する導電層の露出長の比率が50%以上であり、かつ導電層がコイル捲縮の外側であることが好ましい。すなわち、非導電層を形成するポリエステルの熱収縮率よりも低い熱収縮率を有するポリエステルを導電層のマトリックスポリマーとして選択する。一方、非導電層である繊維形成性ポリエステルは紡糸、延伸性を向上させるとともに、繊維の力学特性を高くするための補完的役割を担う。さらに、導電層との収縮差を利用して繊維に捲縮を付与させるため、非導電層の比率は少なくとも20%以上であることが好ましい。すなわち、繊維横断面における周長に対する導電層の露出長の比率は50〜80%であることが好ましい。
複合形態が偏心芯鞘複合である場合、非導電層が芯部である偏心芯鞘複合構造とすることで、繊維長手方向に高い導電性を付与することができる。繊維表面全体に導電層を露出させることで、導電性ブラシとして用いた際に印刷斑を抑制し、高品位の印刷特性が得られる。
また偏心芯鞘複合繊維の非導電層である芯部は、繊維横断面積の60%以下を占有することが好ましい。非導電層である繊維形成性ポリエステルが、紡糸、延伸性を向上させるとともに、繊維の力学特性を高くするための補完的役割を担う。さらに、鞘部との収縮差を利用して繊維に捲縮を付与させるため、芯部は繊維横断面積の20%以上であることが好ましく、かつ高い導電性を付与させるために、60%以下であることが好ましい。より好ましくは40〜60%である。
本発明の繊維の外周形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、偏平断面、中空断面、その他公知の異形断面であってもよく、発明の趣旨を損ねない範囲であれば限定されるものではない。糸長手方向に高い導電性と捲縮発現性を付与させることから、図2に示すような偏心芯鞘型(a)、(b)、(f)、円形サイドバイサイド型(c)〜(e)、中空サイドバイサイド型(g)、偏平サイドバイサイド型(h)、(i)、三角サイドバイサイド型(j)の断面形状が好ましく用いられる。
また本発明における繊維は、長繊維(フィラメント)であっても短繊維(ステープル)であってもよい。短繊維の場合は用途に応じて所望の長さにすればよいが、紡績工程あるいは電気植毛加工などに用いる場合には、長さ0.05〜150mmであることが好ましく、0.1〜120mmであることがより好ましい。
本発明の繊維の太さ、すなわち、単繊維直径に関しては特に制限されるものではないが、後述するような様々な用途に採用が可能であるという点で単繊維直径は50μm以下であることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。特に画像形成装置の導電性ブラシに用いられる場合には、清掃性能、あるいは帯電性能が優れるという点で繊維直径は5〜25μmであることが特に好ましい。衣服の裏地や防塵衣など、あるいはその他各種衣類に用いられる場合では、5〜30μmであることが好ましい。また衣料用途以外の、車両内装材、建造物の壁材などの内装材、カーペットや床材など敷物などの非衣料用途に用いられる場合には、10〜50μmであることが好ましい。
該体積固有抵抗の範囲においては、画像形成装置の導電性ブラシのみならず、多様な用途、例えば帯電防止素材としてストッキング、タイツ、防塵衣などの衣料、または屋内外、車両内に敷くカーペットやマット、床材などの様々な製品において展開可能であり、所望の導電性が付与できる。
本発明の導電糸からなる短繊維を少なくとも一部に用いてなる植毛体を、少なくとも一部に用いてなる繊維ブラシに形成して用いることができる。特に、棒状物体に直接植設された繊維ブラシローラーであることが好ましい。ここで用いられる短繊維は、棒状物体に植設される際に、気体により短繊維を吹き付けても良く、あるいは電気植毛加工を行ってもよいが、棒状物体の表面に概ね直立したものが効率よく得られることから電気植毛加工により得られることが好ましい。 このとき短繊維は、その50%以上が棒状物体の表面において10度から垂直(すなわち90度)の概ね直立状態に接着される。ここで、発明の趣旨を損ねない範囲で、用いる短繊維には本発明の導電糸からなる短繊維以外に、本発明の導電糸ではない他の繊維からなる短繊維を混用して植設してもよい。また接着して植設する際の接着剤は特に制限されるものではなく、例えばアクリル系、ウレタン系、またはエステル系の接着剤が用途あるいは目的に応じて種々選択されて用いられ、ここで接着剤の層の厚さは1〜500μmであることが好ましく、単層あるいは必要に応じて、複数種の接着剤を混合してもしくは複数層に分けて用いてもよい。また本発明のポリエステル繊維からなる短繊維を少なくとも一部に用い、棒状物体に植設してなる前記ポリエステル繊維ブラシローラーの繊維ブラシローラー自体の体積固有抵抗は10−1〜10Ω・cmであることが好ましい。
前述の棒状物体の芯となる主たる材質は、用いられる用途あるいは目的に応じて適切なものを採用すればよく、金属、合成樹脂、天然樹脂、木材、鉱物などから単独で、もしくは複数種を組み合わせて選ばれるが、後述する画像形成装置に組み込む部材として用いる場合には、主として金属からなることが好ましい。さらに該棒状物体が金属である場合には、該金属の少なくとも一部もしくは必要とする部分の全面を中間層が覆い、その上に前記織物および/または編物および/または不織布が接着されるか、あるいは短繊維が接着して植設されることが好ましい。この中間層として用いられる素材は主としてクッション性を棒状物体に付与する、あるいはブラシ状の繊維の弾性・剛性のみでは達成し得ない場合に補助的に弾性・剛性を担うものであり、後述される例えば清掃装置におけるトナー清掃性能、あるいは現像装置におけるトナー付与性能を格段に向上せしめる。そして特に制限されるものではないものの、該中間層には例えばウレタン系素材、エラストマー素材、ゴム素材あるいはエチレン−ビニルアルコール系素材などが好適に用いられる。そして該中間層の厚さは0.05〜10mmであることが好ましく、さらに必要に応じて前述の導電性制御剤あるいは磁性制御剤が添加されていてもよい。
本発明の導電糸を少なくとも一部に用いてなる前述の織物、編物あるいは不織布は、基盤と接合して布帛複合体とすることができる。この場合、織物であればパイル織りあるいは処理により織物表面に起毛や糸端があるもの、また編物であればパイル状の繊維起毛があるものもしくは起毛処理してパイルあるいは糸端が編物表面にあるものが後述するポリエステル繊維ブラシローラーにおいてより機能が高められる場合があり好ましい。接合する際に接着して形成させる場合には例えばアクリル系、ウレタン系、またはエステル系の接着剤を用いて接着されることが好ましい。ここで接着剤の層の厚さは1〜500μmであることが好ましく、単層あるいは必要に応じて、複数種の接着剤を混合してもしくは複数層に分けて用いてもよい。
また、接着される基盤としては特に制限されるものではなく、該布帛複合体を組み込む装置や用いる接着剤に応じて適宜採用すればよいが、合成樹脂、天然樹脂、合成繊維、天然繊維、木材、鉱物あるいは金属からなるフィルム、シート、紙、板、あるいは他の布帛などが好適に採用でき、あるいは各種用途の部材そのものである金属加工体、合成もしくは天然樹脂加工体もしくは成形体の基盤に直接接着してもよい。ここで特に前記接着剤との親和性を高めるために、親水化処理してなる合成もしくは天然樹脂あるいは金属からなるシートが好ましい。そして該基盤が前記フィルム、シート、紙、板、布帛など表裏を形成している素材であれば用途あるいは目的に応じてその表面および裏面の両面に前述の織物、編物あるいは不織布を接着して布帛複合体となすことができる。該布帛複合体は、その使用方法あるいは用途として、別の基盤に貼り付けて用いてもよいし、あるいは例えば次に示す導電性を有するため導電性のポリエステル繊維ブラシとして用いることができる。
本発明のポリエステル繊維からなる前記織物および/または編物および/または不織布は、少なくとも一部に用いられるかあるいは全部に用いて、ポリエステル繊維ブラシを形成できる。特に形態が安定している点では織物を用いることが好ましい。ここで用いられる織物および/または編物および/または不織布は、棒状物体に接合してポリエステル繊維ブラシローラーを形成する際に、棒状物体の機能的に必要とされる長さ(すなわち巻き幅)分だけカットしたものを一周で巻き付け接合しても良く、あるいは棒状物体の長さの数分の一〜数十分の一の長さの幅にスリット状にカットしたものを棒状物体にスパイラル状に巻き付けて接合してもよい。接合する際にはあらかじめ凹凸を棒状物質に付けるなどして嵌合してもよいが、確実に接合するという点では接着剤を用いて接着することが好適である。
ここで用いられる接着剤は、用途あるいは目的に応じて適宜採用すればよく、アクリル系、エステル系あるいはウレタン系など種々のものを採用でき、また必要に応じてカーボンブラックや金属などの導電性制御剤あるいは鉄、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの金属あるいはこれら金属の酸化物あるいはこれらの混合物などの磁性制御剤などが添加されていてもよい。ここで接着剤の層の厚さは1〜500μmであることが好ましく、単層あるいは必要に応じて、複数種の接着剤を混合してもしくは複数層に分けて用いてもよい。さらに織物および/または編物および/または不織布は接着される以前の段階で接着面に10−1〜10Ω・cmの体積固有抵抗を有する導電処理剤もしくは導電性シートあるいは導電性膜などの素材を張り合わせてもよい。
本発明の導電糸は、例えば、織物、編み物、不織布といった布帛とするほか、それらを用いた繊維ブラシ、衣料、敷物や、短繊維を用いた植毛体、あるいは電気を流すことが可能な配線物、などにおいて、少なくとも一部に用いてなるポリエステル繊維製品となすことができる。
また、本発明の導電糸はコイル捲縮を有する繊維の集合体であるが、このコイル捲縮は、単繊維間で「会合」と「非会合」を繰り返すため、そのままブラシに用いると捲縮糸の長手方向で会合部と非会合部で導電斑が発生することがある。これを回避する手段として、適度な撚りを与えることが有効であることがわかった。撚係数KはCR値に合わせて適宜調整することが好ましく、CR値が低い場合には撚係数が低い方がよく、CR値が高い場合には撚係数を高くすることがよい。撚係数Kは400〜20,000の範囲が好ましいが、例えばCR値が3〜10の場合は撚係数は400〜2,000の範囲が好ましく、CR値が10〜30の場合は1,000〜10,000、CR値が30を越える場合には5,000〜20,000にすることが好ましい。
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、D:糸条の繊度(dtex)
ここで、糸長1m当たりの撚数Tとは電動検撚機にて90×10−3cN/dtexの荷重下で解撚し、完全に解撚したときの解撚数を解撚した後の糸長で割った値である。
A.溶融粘度
(株)東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、窒素雰囲気下、バレル径9.55mm、ノズル長10mm,ノズル内径1mmで、ポリマー押出ピストン速度1mm/分(剪断速度12.16(1/秒))で、サンプル充填直後から10分経過したのち測定した。5回測定した値の平均値を各剪断速度での溶融粘度とした。
B.融点
Perkin elmer社製DSC−7を用いて2nd runで結晶融解のピーク温度を融点として測定した。この時、試料重量を約10mg、昇温速度を10℃/分とした。なお、導電層と非導電層とが複合された繊維の場合は、それぞれの層を分離する必要がある。非導電層の融点を測定する場合には、繊維を表面エッチング(例えばアルカリ溶液による溶解)して導電層を取り除くことで、非導電層のみ取り出すことができる。また、導電層の融点を測定する場合には、OCPを用いて繊維表層の導電層のみを溶解し、溶解後のOCP溶液を揮発させることで導電層のみを取り出すことができる。
C.繊度および単繊維繊度
糸を長さ100m分カセ取りし、そのカセ取りした試料の重量(g)に100を掛けて求める。3回測定した値の平均値をその糸の繊度(dtex)とし、繊度を構成フィラメント数で割った値を単繊維繊度(dtex)とした。
D.強度、残留伸度、初期引張抵抗度
JIS L1013(1992年)「化学繊維フィラメント糸試験方法」に準じ、オリエンテック社製テンシロン引張試験機(TENSILON UCT−100)を用い、未延伸糸であれば初期試料長50mm、引張速度400mm/分で、捲縮糸であれば初期試料長200mm、引張速度200mm/分で荷重−伸長曲線(以下、「S−Sカーブ」と記載)を求めた。S−Sカーブの最大点張力を繊度で割り返した値を強度、最大点張力を示したときの伸びを初期試料長で割り返した値を残留伸度とし、5回測定した平均値を測定値とした。初期引張抵抗度は、初期試料長200mm、引張速度200mm/分、チャート速度100cm/分、応力フルレンジ500gとして記録し、引張初期曲線の最大の傾きから求めた。
E.定張力伸長域伸度
上記E項の未延伸糸の測定で得られるS−Sカーブより、図3に示すように原点(a点)からネッキングが形成され(b点)一定張力で伸長する領域が完結する点(c点)が求められる。このc点までの伸びを初期試料長で割り返した値を定張力伸長域伸度(%)とした。
F.体積固有抵抗P、体積固有抵抗Pと標準偏差Qとの比ESR(ESR=Q/P)
中温中湿度(25℃湿度65%RH)で少なくとも1時間保持した試料を、送糸ローラーと巻取ローラーからなる1対の鏡面ローラー間にて、東亜DKK製絶縁抵抗計SM−8220に接続された2本の棒端子からなるプローブと接するように走行させる。棒端子の太さφ2mm、測定距離2.0cm、印加電圧100V、送糸速度60cm/分、ローラー間の糸張力0.05〜0.1cN/dtexの範囲となるようにして、絶縁抵抗計でのサンプリングレート5Hzで120cmの長さ分を測定し、得られた値(600点)の平均抵抗値(Ω)を棒端子間で接する糸の距離(2.0cm)で割った値を平均抵抗率(Ω/cm)とし、その値に試料の糸断面積(cm)を掛けて体積固有抵抗P(Ω・cm)を求めた。また同時に得られた全ての体積固有抵抗(600点)の標準偏差Qを求め、PとQとの比ESR(ESR=Q/P)を算出した。なお、収縮後の体積固有抵抗P’は、試料を乾熱150℃オーブン中で5分間処理した後に測定して求めた。
ガット状のものである場合は、テスターを用いて2本の端子を10cmの間隔でガットに押しつけ、抵抗値R(Ω)を測定し、下式により体積固有抵抗Pを求めた。5本の異なるガットについて体積固有抵抗を求め、その平均値をガットの体積固有抵抗Pとした。
体積固有抵抗P(Ω・cm)=R×(D/2)×π/10
G.重量平均分子量、数平均分子量
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、WATERS社製GPC−244を用いて測定した。測定条件は、カラムとしてShodex HFIP 806M(内径8.0mm/長さ30cm、カラム2本)、溶媒としてとしてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、温度23℃、流量0.5ml/分で実施した。標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いて検量線を作成し測定した。さらに分散度Mw/Mnを求めた。なお、導電層中のポリマーの平均分子量Mw及びMnを測定する場合には、予めカーボンブラックとポリマーを分離する必要がある。その場合、導電層の試料を一旦オルソクロロフェノール(以下、OCPと記載。溶解温度は溶解状態により常温〜160℃で実施)に溶かし、遠心分離機(通常6,000〜30,000rpm)にてカーボンブラックを取り除いた後、OCPを揮発させることで試料を得ることができる。
H.沸騰水収縮率
検尺機を用いて初荷重:(0.088×繊度(dtex))cNで、カセ長50cm、巻き数10回のカセを作り、規定の荷重を掛けた状態で試料長L1を測る。これを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中15分間処理し、1昼夜風乾した後、束の長さL2を測定して下式により沸騰水収縮率を算出した。なお、荷重は下式により求めたものを使用した。
沸騰水収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
荷重(cN)=(繊度(dtex)/1.111)×0.1×0.9807×巻取回数×2
I.CR値
捲縮糸をカセ長50cm、巻き数10回でカセ取りし、実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、24時間風乾した。このサンプルに0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重をかけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L3を測定した。次に、水中で0.088cN/dtex相当のカセを除き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重に交換し、2分後のかせ長L4を測定した。そして下式によりCR値を計算した。
CR(%)=[(L3−L4)/L3]×100(%)
J.カーボンブラックの平均粒径
繊維または樹脂をエポキシ樹脂中に包埋したブロックに、酸化ルテニウム溶液を用いて染色し、ウルトラミクロトームにて切削して60nm〜100nmの厚さの超薄切片を作製する。この試料を透過型電子顕微鏡(TEM)観察装置(日立製作所製H−7100FA型)にて、加速電圧75kV、倍率2万〜10万倍の任意の倍率で観察し、得られた写真を白黒にデジタル化した。コンピュータソフトウェアの三谷商事社製WinROOF(バージョン2.3)において、黒で見えるカーボンブラックを画像解析することによって平均粒径を確認した。平均粒径は写真上に存在する全てのカーボンブラックの面積を計算し、該面積値から略円形と判断して計算したカーボンブラックの直径の平均値によって算出した。
K.ジブチルフタレート吸収量の測定
JIS K6217−4:2001の「DBP吸収量の求め方」に準じ、アブソープトメータを用いて測定した。
L.複合比率、繊維横断面における周長に対する導電層の露出長の比率、偏心度
繊維をエポキシ樹脂中に包埋したブロックを作製し、ミクロトームにて繊維軸方向に垂直な繊維横断面方向に切削して薄切片をつくる。これを光学顕微鏡200倍で透過光にて観察・撮影し、得られた繊維横断面写真を、前述の三谷商事株式会社製WinROOFにて画像解析することで、複合比率は導電層と非導電層の面積から比率を算出した。繊維横断面における周長に対する導電層の露出長の比率は、繊維横断面における周長と導電層の露出長を計測して比率を算出した。また、偏心芯鞘複合断面の偏心度は、図1に示すとおり複合繊維全体の断面から求められる重心aと、芯部のみの断面から求められる重心b、繊維直径Dを三谷商事株式会社製WinROOFにて画像解析することで求め、下式により偏心度を算出した。なお、重心を求める際の前提として、芯部および鞘部の密度差はないものとした。
偏心度=(重心aと重心bとの間隔)/(1/2×D)
M.単繊維直径の測定
FEI Company社製 走査型電子顕微鏡(SEM) STRATA DB235を用いて、加速電圧2kVで、白金−パラジウム蒸着(蒸着膜圧:25〜50オングストローム)処理を行った後、繊維外径が全て視野に入る倍率(単繊維直径が25μm〜50μmであれば5千倍、15μm〜25μmであれば1万倍、5μm〜15μmであれば2万倍)で確認した。なおこの際、単繊維直径は少なくとも該測定を同一繊維において3cm以上の間隔をおいた任意の5点について観察、測定して得た平均値を単繊維直径とする。N.画像評価方法
導電糸をブラシ加工し、清掃装置に組み込んで配設したモノクロレーザープリンターにて、長時間連続印刷を行った。初期および2万枚印刷後の画像評価を以下に示す基準で評価した。
(1)初期性能評価
◎:鮮明均一な画像が得られる。
○:異常放電跡は認められないが、画像がやや不鮮明である。
△:異常放電跡が若干認められる。
×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。
(2)繰り返し(2万枚)画像評価
◎:初期と同様な鮮明均一な画像が得られる。
○:異常放電跡は認められないが、画像がやや不鮮明である。
△:異常放電跡が若干認められる。
×:画像が不鮮明であり、スジ斑が目立つ。
実施例1
重量平均分子量83000、分散度Mw/Mn3.4、融点(Tm)229℃のPPTペレットを150℃10時間真空乾燥した後、窒素雰囲気下で粉粒体とし、カーボンブラックとしてDegussa社製ファーネスブラック(タイプL、平均粒径23nm、ジブチルフタレート吸収量116cm/100g、以下「FCB」と記載)を窒素雰囲気下で粉体同士混ぜ合わせた。続いて東芝機械(株)製2軸エクストルーダTEM35B(軸長L:1440mm、軸径D:37mm、L/D:38.9)にて軸回転数:300rpm、混練温度C1〜C4およびH:250℃、吐出量:15kg/hr、ベント:約5Torrにて溶融混練した。ここで、FCBの濃度は混練終了後に得られるPPT/FCB混練物に対して25重量%となるように調製した。混練した後、吐出されたガット状の樹脂組成物を15℃の水道水で冷却したのちカッターで切断して導電層用のペレット(以下、「PPT−CB」と記載)を得た。該ペレットの溶融粘度を測定したところ、2010(Pa・秒)(測定温度260℃、12.16(1/秒))であった。ペレタイズ前のガットの比抵抗値を測定したところ101.4Ω・cmであった。
上記PPT−CB(融点228℃)を鞘部(B成分)とし、IPAを7モル%、BPA−EOを4モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(表中、「共重合PET」と記載)(融点228℃)を芯部(A成分)として、それぞれ図4に示す紡糸機に付属のA成分ホッパー1及びB成分ホッパー1’に仕込み押出混練機2及び2’にて別々に溶融し、計量ポンプ3にて計量し、紡糸パック5に導き、紡糸ブロック4の温度260℃で口金6(吐出孔直径0.5mm/孔深度1.0mm)を用い、芯鞘複合比(芯/鞘 重量%)50/50で吐出した。吐出後の糸条8は冷却装置7によって0.4m/秒の冷却風で冷却・固化され、口金下2mの位置で給油ガイド9にて集束させながら油剤を付与し、周速度1500m/分の第1ゴデットローラー10および11にて引き取り、巻取機12にて485dtex、54フィラメントの偏心芯鞘複合構造の未延伸糸を2kg巻いた巻取糸パッケージ13とした。なお、巻き取り時の面圧は10kg/mとし、綾角は5°とした。また、紡糸油剤には平滑剤として重量平均分子量2000のポリエーテルを70重量%、重量平均分子量6000のポリエーテルを8重量%、エーテルエステルを12重量%、その他添加剤(制電剤、抗酸化剤、防錆剤)を10重量%調整し、さらにこの油剤を濃度10重量%になるように水エマルジョンとして調整し、純油分として繊維に約1.5重量%付着させた。紡糸性は良好であり、未延伸糸40kgのサンプリングで糸切れは発生しなかった。
さらに該未延伸糸を供給ローラー、第1ホットローラー、第2ホットローラー、ドローローラーの4ローラータイプ延伸機を用い、第1ホットローラー温度80℃、第2ホットローラー温度140℃、供給ローラーと第1ホットローラー間の倍率1.005倍、第1ホットローラーと第2ホットローラー間の倍率2.2倍(NDR×1.05)、第2ホットローラーとドローローラー間の倍率1.0倍で延伸した。なお、延伸速度(ドローローラーの周速度)は500m/分として、繊度220dtex、54フィラメントの導電糸パッケージを得た。糸掛け性、工程通過性は良好であり、糸切れは発生しなかった。また得られた糸の捲縮特性を示す伸縮復元率(CR値)は23%であり、力学特性、捲縮特性ともに良好な導電糸が得られた。繊維横断面は図2(a)に示すとおりであり、偏心度は0.3であった。
実施例1で得られた導電糸の強度は2.4cN/dtex、残留伸度35%、初期引張抵抗度55cN/dtex、沸騰水収縮率4.8%、体積固有抵抗2.7×10Ω・cm、ESR値0.03であった。
該導電糸を撚糸数100T/m(撚係数:1483)した後、パイル織物を作製して、パイルを起毛させ、更に1cm幅のスリット状にしたものをSUS304からなる金属棒状物体に巻き付けて、ブラシローラーを得た。得られたブラシローラーを清掃装置に組み込んで配設したモノクロレーザープリンターにて、長時間連続印刷(1分間あたり10枚印刷・排出)を行い、プリンター中の湿度変化と共に印刷性を確認したところ、印刷開始1000枚程度でプリンター中の湿度は初期の67%から34%まで低下し、さらに1万枚程度印刷した時点では26%まで低下した。実施例1のブラシは、前記の湿度環境の変化の中でも、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず優れていた。
実施例2および参考例3
カーボンブラックの含有量を17重量%および37重量%にした以外は、実施例1と同様の方法で評価し、実施例2および参考例3の導電糸を得た。実施例2の体積固有抵抗は1.2×10Ω・cmであり、実施例1に比べて除電性能がやや劣るものであったが、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、実用上問題ないレベルであった。参考例3の体積固有抵抗は3.4×10Ω・cmであり、高い導電性能を示したが、カーボンブラックの含有量が多いことから、紡糸性が若干低下した。ESR値は0.32となり、糸長手方向の導電斑が実施例1よりも高くなった。また導電糸の強度が0.9cN/dtexと低く、実施例1に比べて耐久性が低下し、印刷回数とともにトナー清掃性がやや低下した。
比較例1および比較例2
カーボンブラックの含有量を12重量%および45重量%にした以外は、実施例1と同様の方法で評価し、比較例1および比較例2の導電糸を得た。比較例1の体積固有抵抗は2.1×10Ω・cmであり、体積固有抵抗が高すぎて、除電性能を得ることができなかった。また比較例2は、カーボンブラックの含有量が多いために曳糸性が悪く、紡糸の際に糸切れが多発して引き取ることができなかった。
Figure 0005070991
参考例4〜7
導電層のマトリックスポリマーとして重量平均分子量Mwが55,000、90,000、130,000、350,000のPBTを各々用いた以外は実施例1と同様の方法で評価した。参考例4は紡糸性がやや低下してESR値が0.09となり、糸長手方向の導電斑が実施例1よりもやや高くなったが、実用上問題ないレベルであった。体積固有抵抗は5.6×10Ω・cmであり、印刷初期の除電性能は良好であったが、導電糸の強度が1.9cN/dtexと若干低く、実施例1に比べて耐久性が低下し、印刷回数とともにトナー清掃性がやや低下した。参考例5の体積固有抵抗は1.5×10Ω・cm、ESR値0.04、CR値16%であり、実施例1と同様、優れた除電性能を有し、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず優れていた。参考例6の体積固有抵抗は5.2×10Ω・cm、ESR値0.04、CR値14%であり、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は良好であった。参考例7の体積固有抵抗は9.4×10Ω・cm、ESR値0.08であり、初期の除電性能は良好であったが、CR値が10%と実施例1に比べて若干低く、捲縮特性の低いものであり、印刷回数とともにトナー清掃性がやや低下した。
参考例8
導電層のマトリックスポリマーとして重量平均分子量Mwが480,000のPBTを用い、延伸倍率を2.1倍(NDR×1.00)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。参考例8の体積固有抵抗は7.8×10Ω・cm、ESR値0.11、CR値9%であり、実施例1に比べて除電性能が劣るものであったが、実用上問題ないレベルであった。
参考例9
導電層のマトリックスポリマーとして重量平均分子量Mwが600,000のPBTを用い、延伸倍率を1.9倍(NDR×0.90)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。参考例9の体積固有抵抗は4.3×10Ω・cm、ESR値0.19、CR値7%であり、実施例1に比べて除電性能が劣るものであったが、実用上問題ないレベルであった。
参考例10
非導電層の繊維形成性ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(表中、「PET」と記載)(融点255℃)を用いて、紡糸温度を285℃にした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。参考例10は曳糸性が低下して糸切れが実施例1に比べてやや多いものであった。得られた導電糸のESR値は0.35であり、異常放電跡が若干認められた。
比較例3
導電層のマトリックスポリマーとして、IPAを10モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(表中、「共重合PET」と記載)(融点227℃)、非導電層としてポリエチレンテレフタレート(表中、「PET」と記載)(融点255℃)を用いて、紡糸温度を285℃にした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。比較例3は曳糸性が低く、紡糸の際に糸切れが多発した。導電性のばらつきを示すESR値は0.60であり、これに伴い、画像が不鮮明であり、スジ斑が目立った。
実施例11
非導電層の繊維形成性ポリエステルとして、アジピン酸を5モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(表中、「共重合PET」と記載)(融点243℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施例11の導電糸は非導電層がコイル捲縮の外側を形成しており、体積固有抵抗は4.6×10Ω・cm、ESR値0.12であり、実施例1に比べて除電性能が若干劣るものであったが、捲縮堅牢度が優れており、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず良好であった。
Figure 0005070991
参考例12および実施例13
芯鞘複合比率を10/90および30/70にした以外は、実施例1と同様の方法で評価し、参考例12および実施例13の導電糸を得た。参考例12は繊維形成性能を担う非導電層の比率が10%であるため紡糸性がやや低下し、ESR値は0.31であった。またCR値は8%、強度は1.6cN/dtexであり、初期の除電性能は優れていたものの、実施例1に比べて耐久性が低下し、印刷回数とともにトナー清掃性がやや低下した。実施例13の体積固有抵抗は1.9×10Ω・cm、ESR値0.05、CR値17%であり、実施例1と同様、優れた除電性能を有し、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず優れていた。
参考例14および参考例15
芯鞘複合比率を70/30および90/10、複合口金を変更して偏心度を変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価し、参考例14および参考例15の導電糸を得た。繊維横断面は図2(b)に示すとおりであり、偏心度は0.15であった。参考例14の体積固有抵抗は3.2×10Ω・cm、ESR値0.07、CR値25%であり、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は良好であった。参考例15は導電性能を担う導電層の比率が10%であるため体積固有抵抗は4.1×10Ω・cm、ESR値0.15と実施例1に比べてやや高くなり、除電性能が若干劣ったが、実用上問題ないレベルであった。
Figure 0005070991
参考例16、実施例17、18、参考例19
複合比率(非導電層/導電層 重量%)を12/88、25/75、50/50、70/30、さらに複合口金を変更してサイドバイサイド型に変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価し、参考例15、16、実施例17、18の導電糸を得た。参考例16の導電層の露出長の比率は85%、実施例17の断面は図2(c)、導電層の露出長の比率は70%、実施例18の断面は図2(d)、導電層の露出長の比率は45%、参考例19の断面は図2(e)、導電層の露出長の比率は35%に示すとおりであった。
参考例16は繊維形成性能を担う非導電層の比率が12%であるため紡糸性がやや低下し、ESR値は0.33であった。また強度は1.7cN/dtexであり、初期の除電性能は優れていたものの、実施例1に比べて耐久性が低下し、印刷回数とともにトナー清掃性がやや低下した。実施例17の体積固有抵抗は7.6×10Ω・cm、ESR値0.08、CR値22%であり、実施例1に比べると若干劣るものであったが、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、実用上問題ないレベルであった。実施例18の体積固有抵抗は1.4×10Ω・cm、ESR値0.10、CR値38%であり、実施例1に比べるとやや劣るものの印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は優れていた。参考例19は導電性能を担う導電層の比率が30%であるため体積固有抵抗は2.1×10Ω・cm、ESR値0.30と実施例1に比べてやや高くなり、除電性能が若干劣ったが、実用上問題ないレベルであった。
実施例20
非導電層の繊維形成性ポリエステルとして、アジピン酸を5モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(表中、「共重合PET」と記載)(融点243℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施例20の導電糸は非導電層がコイル捲縮の外側を形成しており、体積固有抵抗は5.3×10Ω・cm、ESR値0.25であり、実施例1に比べて除電性能が若干劣るものであったが、実用上問題ないレベルであった。
Figure 0005070991
実施例21
複合口金を変更して偏心度を変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(b)に示すとおりであり、偏心度は0.04であった。体積固有抵抗は2.8×10Ω・cm、ESR値0.03、CR値3%であり、実施例1に比べて捲縮特性の低い導電糸であった。初期の除電性能は良好であったものの、印刷回数とともにトナー清掃性が低下した。
実施例22
複合口金を変更して偏心度を変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(b)に示すとおりであり、偏心度は0.15であった。体積固有抵抗は2.9×10Ω・cm、ESR値0.03、CR値12%であった。実施例1に比べて捲縮特性が若干低かったが、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は良好であった。
実施例23
延伸での第2ホットローラーの温度を120℃とした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(a)に示すとおりであり、偏心度は0.3であった。体積固有抵抗は1.5×10Ω・cm、ESR値0.04、CR値18%であり、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は優れていた。
実施例24
複合口金を変更してサイドバイサイド型に変え、延伸倍率2.4倍(NDR×1.15)、延伸での第2ホットローラーの温度を160℃とした以外は、実施例18と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(d)に示すとおりであった。体積固有抵抗は7.1×10Ω・cm、CR値が47%であった。実施例24はブラシ加工は可能であったが、ブラシの品位が悪かった。また、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性はやや劣っていたものの実用上問題のないレベルであった。
比較例4
延伸倍率を2.6倍(NDR×1.25)とした以外は、実施例24と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(d)に示すとおりであった。体積固有抵抗は2.7×10Ω・cm、CR値が52%であった。比較例4は捲縮が強すぎてブラシ加工性が悪く、ブラシを作製することができなかった。
実施例25
延伸での第2ホットローラーの温度を100℃とした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(a)に示すとおりであり、偏心度は0.3、体積固有抵抗は6.8×10Ω・cm、ESR値0.04、CR値16%、沸騰水収縮率8.4%であった。熱収縮率が実施例1よりも若干高いものであったが、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず、除電性能は良好であった。
実施例26
延伸倍率を2.4倍(NDR×1.15)とした以外は、実施例25と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(a)に示すとおりであり、偏心度は0.3、体積固有抵抗は7.9×10Ω・cm、ESR値0.07、CR値22%であった。沸騰水収縮率が12.6%と高く、収縮後の体積固有抵抗が2.6×10Ω・cmまで大幅に低下するものであった。これに伴い、印刷初期から2万枚までで印刷の鮮明性、トナー清掃性が経時的に悪化するものであった。
実施例27
延伸倍率を2.6倍(NDR×1.25)とした以外は、実施例25と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(a)に示すとおりであり、偏心度は0.3、体積固有抵抗は9.7×10Ω・cm、ESR値0.18、CR値31%であった。沸騰水収縮率が16.4%と高く、収縮後の体積固有抵抗が2.9×10Ω・cmまで大幅に低下するものであった。これに伴い、印刷初期から2万枚までで印刷の鮮明性、トナー清掃性が経時的に大幅に悪化した。
比較例5
延伸での第2ホットローラーの温度を110℃とした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。導電糸の断面は図2(b)に示すとおりであり、偏心度は0.04であった。体積固有抵抗は4.1×10Ω・cm、ESR値0.04、CR値2%であり、捲縮特性の低い導電糸であったため、除電性能がやや劣るものとなり、さらに印刷回数とともにトナー清掃性が低下した。
実施例28
導電層に用いるカーボンブラックとして、電気化学工業(株)製アセチレンブラック(タイプHS−100、体積固有抵抗0.14Ω・cm、平均粒径48nm、ジブチルフタレート吸収量140cm/100g)にした以外、実施例1と同様の方法で評価した。体積固有抵抗は4.7×10Ω・cm、ESR値0.15、CR値19%であり、実施例1と同様、印刷初期から2万枚まで印刷の鮮明性、トナー清掃性は変わらず優れていた。
参考例29
導電層に用いるカーボンブラックとして、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックEC(体積固有抵抗0.20Ω・cm、平均粒径38nm、ジブチルフタレート吸収量405cm/100g)にした以外、実施例1と同様の方法で評価した。参考例29は曳糸性が低下して、糸切れが実施例1に比べてやや多いものであった。得られた導電糸の体積固有抵抗は3.5×10Ω・cm、ESR値は0.40であり、異常放電跡は認められないが、画像がやや不鮮明であった。
Figure 0005070991
実施例30
実施例1で得られた延伸糸に撚糸数300T/m(撚係数:4450)とした以外は、実施例1と同様にしてブラシローラーを作製した。実施例30は、実施例1よりもさらに印刷の鮮明性、トナー清掃性が優れていた。
実施例31
参考例19で得られた延伸糸に撚糸数500T/m(撚係数:7416)とした以外は、参考例19と同様にしてブラシローラーを作製した。実施例31は参考例19よりも印刷の鮮明性、トナー清掃性が安定して優れていた。
本発明における偏心芯鞘型複合繊維の偏心度を説明するための図である。 本発明の繊維の横断面の一例を示す図である。 実施例E項で記載の定張力伸長域伸度を説明するための図である。 本発明で好ましく用いられる紡糸装置の概略図である。
符号の説明
1:A成分ホッパー
1’:B成分ホッパー
2:A成分押出混練機(エクストルーダー)
2’:B成分押出混練機(エクストルーダー)
3:計量ポンプ
4:紡糸ブロック
5:紡糸パック
6:口金
7:冷却装置
8:糸条
9:給油ガイド
10:第1ゴデットローラー
11:第2ゴデットローラー
12:巻取機
13:巻取糸パッケージ
A:非導電層
B:導電層

Claims (6)

  1. カーボンブラックを含有した、主たる繰り返し構造単位がプロピレンテレフタレートであるポリエステルからなる導電層と、繊維形成性を有するポリエステルからなる非導電層とがサイドバイサイド複合もしくは偏心芯鞘複合を形成しており、非導電層が繊維横断面積の60%以下であり、かつ導電層が、カーボンブラックを含有し、重量平均分子量Mwが75,000〜500,000、分散度Mw/Mnが1.5〜6であるポリエステルで繊維表面の少なくとも一部を形成した複合繊維から構成されたマルチフィラメントであって、糸長さ方向の体積固有抵抗Pと、その標準偏差Qとの比ESR(ESR=Q/P)が、0.3以下であり、かつ体積固有抵抗Pが10−1〜10Ω・cm、CR値が3〜50%であることを特徴とする導電糸。
  2. 沸騰水収縮率が0〜15%であることを特徴とする請求項1記載の導電糸。
  3. 繊維横断面における周長に対する導電層の露出長の比率が50%以上であり、かつ導電層がコイル捲縮の外側であることを特徴とする請求項1または2記載の導電糸。
  4. 繊維形成性を有するポリエステルからなる非導電層が芯部を形成する偏心芯鞘複合構造であることを特徴とする請求項1または2記載の導電糸。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載の導電糸を少なくとも一部に用いたブラシ。
  6. 撚係数Kが400〜20,000の撚が施された請求項1〜のいずれか1項記載の導電糸。
    (ただし、撚係数K=T×D0.5
    T:糸長1m当たりの撚数、
    D:糸条の繊度(dtex)
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