JP5067301B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」と記す)によるシリコン単結晶の製造方法に関し、より詳しくは、シリコン原料が溶解され、シリコン溶融液として石英ルツボ内に収容された後、石英ルツボの内表面に形成される気泡に起因して生じる微小な欠陥(ピンホール、あるいはエアーポケットとも称されるが、ここでは、以下、「微小欠陥」という)を低減することができるシリコン単結晶の製造方法に関する。
CZ法によるシリコン単結晶の製造方法は、半導体デバイスの基板に用いられるシリコンウェーハの素材としてのシリコン単結晶を製造する方法として広く採用されている。
この単結晶の製造方法では、引上げ装置の中央部に設置された石英ルツボ内に所定量のシリコン原料(通常は、塊状または粒状の多結晶シリコンが用いられる)を投入し、この原料をルツボの周囲に配設したヒーターにより加熱、溶融した後、形成された溶融液(以下、「融液」ともいう)の表面近傍に種結晶を浸漬して、種結晶および石英ルツボを回転させながら種結晶を上方へ引き上げることにより、種結晶の下端にシリコン単結晶を成長させる。
シリコン単結晶の引き上げに際しては、種結晶の直径を減少させてネック部を形成する絞り工程、ネック部径を徐々に増大させて肩部を形成する増径(肩部形成)工程、定径の直胴部(ボディ部)を形成する定径工程を順に実施して単結晶を育成する。直胴部が所定長さに達した後は、その直径を徐々に減少させてテール部を形成し、最先端部を溶融液から引き離すことにより所定形状のシリコン単結晶が得られる。なお、これらの操作は、減圧下の不活性ガス(通常はAr)雰囲気中で行われる。
ルツボ内へのシリコン原料の投入に際しては、原料の形状が多様であることから、投入時の衝撃による石英ルツボの破損を防ぐため、原料のうち塊状のものを石英ルツボの上方に配置して溶解を開始する。しかし、溶解過程では原料の沈み込みが起こることから石英ルツボの内表面に傷がつき、この傷を起点として石英ルツボの内表面に気泡が形成され、付着する。この気泡は、融液(Si)と石英ルツボ(SiO2)との反応による石英ルツボ(SiO2)の溶損により、融液中で過飽和状態にある酸素が石英ルツボの内表面の傷などを核にして、SiO、SiOXやO2として発生するものと考えられる。
石英ルツボの内表面に発生した気泡は、所定の大きさに成長し、剥離する。この剥離した気泡が浮上し、シリコン単結晶の育成過程で結晶成長界面に到達し、結晶に取り込まれると、育成される単結晶中に微小欠陥が発生し、さらには気泡に起因する単結晶の有転位化が発生し易くなる。
単結晶中に発生した微小欠陥は、単結晶から切り出されるシリコンウェーハの品質を低下させるが、特にシリコンウェーハが薄肉化されるようになると、微小欠陥がウェーハの表面近傍に存在する確率が高くなるので、微小欠陥に伴う品質問題は解決すべき課題としてますます重要になってくる。また、単結晶に気泡に起因する有転位化が生じた場合には、引き上げられた単結晶を融液中に溶かし込むメルトバック(再溶解)作業が必要となり、シリコン単結晶の育成効率が著しく低下する。
従来、融液中の気泡に起因する問題を解決するために、例えば、特許文献1では、多結晶シリコン原料の溶解を5〜60mbarの低圧で行い、溶解に続く単結晶の引上げを100mbar以上の高圧で行う低圧・高圧の組み合わせ操業が提案されている。多結晶シリコンの溶解を減圧下で行うと、融液中に存在する気泡の浮力が増し、気体の溶解度も減少するので、融液表面から気泡が発散し易くなり、融液に含まれる気泡量が減少し、気泡に起因する結晶不良の発生率を低減できるとしている。
しかし、特許文献1で提案された低圧溶解・高圧引上げの組み合わせでは、低圧操業(低圧溶解)で発生する気泡に起因する微小欠陥や単結晶の有転位化の問題はある程度解決することができるが、高圧操業(高圧引上げ)中に新たに生成される気泡の発生を抑制することはできない。このため、特許文献1の低圧・高圧の組み合わせ操業では、気泡に起因する微小欠陥の発生を低減できないことが判明した。
一方、特許文献2では、シリコン単結晶の製造前にシリコン融液が満たされた石英ルツボに磁場を印加し、または更に石英ルツボを回転させることにより、石英ルツボの溶解速度を高めて難溶性物質を生成し難くした後(これにより、難溶性物質の剥離が起こらず、石英ルツボの内表面の劣化が防止される)、磁場の印加を停止し、磁場を印加しない状態でシリコン単結晶を成長させる単結晶の製造方法が提案されている。難溶性の物質が石英ルツボの内表面に生成したとしても、剥離せず溶解し易いので、内表面の劣化が修復され、シリコン単結晶の有転位化を防止できるとしている。
特許文献2に記載される方法では、石英ルツボの内表面の劣化、すなわち、難溶性物質の生成および剥離に起因する単結晶の有転位化を抑制することはできる。しかし、同文献に記載の方法では磁場を印加しない状態でシリコン単結晶を成長させるので、近年、一般に行われている磁場印加の下でのシリコン単結晶の製造方法(以下、「MCZ法;Magnetic Field Applied Czochralski法」という)が実施されている場合には、石英ルツボの内表面に形成される気泡に起因する微小欠陥の発生を低減することはできない。
さらに、特許文献3では、多結晶シリコンを溶解する工程と単結晶インゴットを育成する工程との間で、石英ルツボを支持するルツボ軸に振動を与えて、石英ルツボの内表面に付着している気泡を引き離す方法が提案されているが、この方法では、付着している気泡を除くことはできても、気泡発生の核となる石英ルツボの内表面の傷の修復はできず、根本的な対策にはなり得ない。
一方、一般的に使用されている石英ルツボには、大別して、天然シリカを原料として得られた天然石英ガラス製のルツボと、高純度シラン等の珪素化合物から製造された合成石英ガラス製のルツボとがある。
天然石英ガラス製ルツボは、強度が高く、かつ大口径のルツボでも比較的低コストで製造でき、しかも多数の気泡が均一に分散しているので熱の分布を均一化するという利点を有している反面、多量のアルミニウム、鉄、ナトリウム、リチウムや、アルカリ土類金属などを含有するので純度が低いという問題がある。一方、合成石英ガラス製ルツボは、天然石英ガラスルツボに比べて高純度であるが、強度が弱く、高価である。このため、内層を合成石英ガラス層とし、外層を天然石英ガラス層とした2層構造の合成石英ガラス製のルツボが一般的に使用されている。
ところが、合成石英ガラス製ルツボを使用した場合、シリコン単結晶引き上げ中に、内表面の透明ガラス層にブラウンリングと呼ばれる酸素欠乏型のリング状クリストバライト結晶が形成され、このリングの剥離によって単結晶化率が低下するという問題があり、種々の対策が採られてきた。
例えば、特許文献4では、合成石英ガラスルツボの内層である合成石英層にアルミニウムを添加することにより、ブラウンリングの発生を抑制する方法が、また、特許文献5では、石英ガラス製造時において原料石英粉に酸化アルミニウム等を結晶化促進剤として混合分散する方法が提案されている。
石英ルツボ中に含まれる不純物のうち、アルミニウムは、これまで、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、銅などの不純物とは異なり、半導体デバイス特性にあまり影響を与えない元素と認識されており、石英ルツボ製造工程において、合成石英の粘性および強度を向上させるものとして、単結晶の抵抗率を変化させない程度の濃度範囲で石英ルツボ中に含有させており、また、ブラウンリングの発生とそれに伴う単結晶化率の低下抑制のために、アルミニウムを積極的に添加することも行なわれるようになっている。
特許第2635456号 特許第3598634号 特開2007−210803号公報 特開2005−231986号公報 特開平5−24870号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、CZ法によりシリコン単結晶を製造するに際し、シリコン融液が収容された石英ルツボの内表面の気泡に起因して発生する微小欠陥や単結晶の有転位化を低減することができるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的としている。
前記のMCZ法は、シリコンなどの半導体用単結晶製造装置の周囲に設けた磁石等の磁場発生装置によりルツボ内の融液に磁場を印加して融液の動粘性率を高め、CZ法による単結晶の引き上げを行う方法である。このMCZ法によれば、磁場の作用により融液の対流が抑制されるため、融液表面近傍、ひいては結晶成長界面の温度変動が低減し、安定した単結晶の育成を行うことができる。また、磁場強度とルツボの回転速度を制御して石英ルツボの溶損量を抑制または促進させることで溶融液中の酸素濃度を調整できるため、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御に有効な方法である。そのため、近年におけるシリコン単結晶の製造においては、このMCZ法が一般に行われている。
本発明者は、このMCZ法の適用を前提として、上記の課題を解決するために検討を重ねる過程で、MCZ法を適用した場合、磁場印加を行わないCZ法に比べて、単結晶内に発生する微小欠陥の発生率が高いことを知見した。
これは以下の理由によるものと推測される。すなわち、磁場を印加しないCZ法では石英ルツボの内表面に沿って上昇する対流(「熱対流」、「自然熱対流」ともいう)が支配的であるため、発生した気泡はこの自然熱対流により融液表面に運ばれて融液外へ放出される。しかし、横磁場を印加するMCZ法では、磁場の作用により融液の自然熱対流が抑制されるため、石英ルツボ底付近で発生した気泡は、石英ルツボ底から結晶成長界面に向けて垂直に上昇することになる。すなわち、石英ルツボ底の内表面の傷を核として発生した気泡が結晶成長界面に運ばれて単結晶内に取り込まれやすい対流環境下にあることによるものと考えられる。
一方、前述したように、ルツボ内へのシリコン原料の投入に際し、投入時の衝撃による石英ルツボの破損を防ぐため、塊状の原料を石英ルツボの上方に配置し、粉粒状の原料を下方に投入するが、粉粒状であっても、投入時の衝撃による石英ルツボ内表面の主に底部における微小な傷の発生は避けられない。また、溶解過程で塊状原料の沈み込みが起こるため、その衝撃で石英ルツボの底部に傷がつき易く、ルツボ底部の内表面には、これらの傷を核とした気泡が生じやすい。
また、石英ルツボ中のアルミニウム濃度が高い場合には、石英ルツボの粘性が増大して機械的強度の向上が図れるものの、石英ルツボそのものの溶解速度が小さくなってしまう。このため、石英ルツボ内表面の溶解が進まず、石英ルツボ底部の傷の修復がされない環境下となってしまうため、石英ルツボの傷を核とした気泡が発生し易い。
そこで、本発明者は、MCZ法による単結晶の育成に際し、石英ルツボ底部の内表面に発生する気泡の除去、および気泡発生の核となる傷の修復(つまり、ルツボ底部内表面の修復)を意図して、内表面側にアルミニウム低濃度層を有する石英ルツボを用い、シリコン融液に種結晶を浸漬する前に、シリコン融液を収容する石英ルツボ底部に横磁場を印加するとともに、石英ルツボの回転速度を増大させる処理を行った。前記ルツボの回転速度を増大させるのは、ルツボ内表面の溶解を速め、修復効果を高めるためである。
その結果、石英ルツボ底部内表面の溶解(溶損)量が増加することを確認した。ルツボ底部内表面の溶解量の増加により気泡発生の核となる傷の部分も平滑化され、傷の修復効果が期待できるので、さらに、シリコン融液に種結晶を浸漬する前に、ルツボ底部への横磁場の印加などの処理を行って製造したシリコンウェーハについて微小欠陥の発生状況を調査した結果、微小欠陥の低減に顕著な効果があることが判明した。
本発明はこのような知見ならびに検討結果に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のシリコン単結晶の製造方法にある。
すなわち、石英ルツボ内のシリコン溶融液に種結晶を浸漬した後、ネック部および肩部を形成し、直胴部の育成を行うCZ法によるシリコン単結晶の製造方法において、内表面側にアルミニウム濃度が0.1ppm以下のアルミニウム低濃度層を有する石英ルツボを用いるとともに、前記シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、石英ルツボ底部の溶融液に横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させた後に、横磁場を印加した状態で単結晶直胴部の育成を行うことを特徴とする方法である。
ここで、前記の「石英ルツボ底部」とは、内径が全長にわたってほぼ一定の円筒体をなす部分(直胴円筒部)の下方に繋がるルツボの底を形成する部分をいう。すなわち、石英ルツボの直胴円筒部の下端から底部中心近傍の比較的平坦な部分までを指す。「石英ルツボ底部の溶融液」とは、この石英ルツボ底部に収容された溶融液である。
前記本発明のシリコン単結晶の製造方法において、横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させる処理を行った後、一旦磁場の印加を停止させ、その後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行うこととする実施の形態(これを、「実施形態1」と記す)を採用することが望ましい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法(実施形態1を含む)によれば、シリコン融液が収容された石英ルツボの内表面に発生する気泡を除去するとともに、気泡発生の核となる傷が存在するルツボ内表面を修復し、気泡に起因して発生する単結晶中の微小欠陥を低減することができる。また、気泡に起因する単結晶の有転位化を生じさせることなく、安定した単結晶の育成を行うことができる。
図1は、本発明のシリコン単結晶の製造方法の実施に適した単結晶引上げ装置の要部の構成例を模式的に示す縦断面図である。図1に示すように、引上げ装置の中央部にルツボ1が配置され、同ルツボ1内に投入されるシリコン原料を加熱し、溶融状態に保持するためのヒーター2がルツボ1の外側に概ね同心円状に配設され、その外周近傍には断熱材3が取り付けられている。
ルツボ1は二重構造で、有底円筒状をなす石英ルツボ1aと、その石英ルツボ1aを保持する黒鉛ルツボ1bとから構成されており、回転および昇降が可能な支持軸4の上端部に固定されている。また、溶融液5が収容されたルツボ1の上方内側には、融液面およびルツボ内壁から引き上げ直後のシリコン単結晶(図示せず)への熱量を制御するための熱遮蔽板6が配置されており、これら各パーツ全体がチャンバー7内に納められている。さらに、チャンバー7の外側には、ルツボ1内の溶融液5に磁場を印加するための磁場発生装置8が設けられている。
このように構成された引上げ装置を用いてシリコン単結晶の引き上げを行う際には、ルツボ1内に所定量のシリコン原料を投入し、減圧下の不活性ガス(Ar)雰囲気中でこの原料をルツボ1の周囲に配設したヒーター2により加熱、溶融した後、形成された溶融液5の表面近傍に種結晶(図示せず)を浸漬し、絞り工程、増径(肩部形成)工程、定径工程を順に実施して単結晶を育成する。直胴部が所定長さに達した後は、テール部を形成し、最先端部を溶融液から引き離すことにより所定形状のシリコン単結晶が得られる。
本発明の育成方法では、石英ルツボ2aとして、内表面側にアルミニウム濃度が0.1ppm以下のアルミニウム低濃度層を有する石英ルツボを用いる。なお、本発明において、石英ルツボのアルミニウム濃度の単位である「ppm」は質量比率である。石英ルツボの内表面側に設けるアルミニウム低濃度層のアルミニウム濃度を0.1ppm以下に規定するのは、後述する実施例に示すように、この規定範囲内であれば、石英ルツボの溶解速度が速く、石英ルツボ底部の傷の修復に有効であるからである。なお、アルミニウム濃度は、石英ルツボの内表面層をフッ酸(HF)で溶解し、その溶液中のアルミニウムとシリコンを原子吸光分析により測定して求めることができる。
アルミニウム低濃度層の厚さは特に限定しない。単結晶の育成が行われている間、アルミニウム低濃度層が溶損せずに存在していればよく、例えば、内層を合成石英ガラス層とし、外層を天然石英ガラス層とした2層構造の合成石英ガラス製のルツボであれば、内層に設けるアルミニウム低濃度層の厚さを1mm以上とすることが望ましい。合成石英ガラス層の全てをアルミニウム低濃度層としてもよい。石英ルツボの内表面側への前記のアルミニウム低濃度層の形成は、従来の技術により充分可能であり、例えば、高純度の水晶粉を原料として使用し、これを溶融ガラス化してルツボの内表面に所定厚さの層を形成する方法などが適用できる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法において、シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、横磁場の印加、石英ルツボの回転等の処理を行うのは、石英ルツボに投入したシリコン原料を溶解し、シリコン溶融液となった状態において、石英ルツボの内表面に発生し付着している、微小欠陥や単結晶の有転位化の原因となる気泡を剥がすとともに、気泡発生の核となる傷が存在するルツボ内表面を修復するためである。
シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、石英ルツボ底部の溶融液に横磁場を印加する。磁場を印加するのは、シリコン溶融液の粘性を向上させることにより気泡を剥がす効果が期待できるからであり、シリコン溶融液表面の自然熱対流観察によると、その効果を得るには0.1T以上の横磁場の印加が特に有効である。印加する横磁場の上限は特に規定しないが、実操業での磁場強度のレベルが0.2T〜0.4Tであることを考慮すると、このレベルとするのが操業上望ましい。ここで言う、磁場の強さとは、石英ルツボ底部での磁場の強さをいう。したがって、磁石等の磁場発生装置の位置は規定しない。また、用いる磁場発生装置についても何ら制約はない。
前記横磁場の印加を石英ルツボ底部の溶融液に対して行うのは、前述のように、石英ルツボの底部に傷がつき易く、その傷を核として気泡が生じやすいからである。石英ルツボの直胴円筒部内表面の気泡はルツボの内表面に沿って上昇する自然熱対流により融液表面に運ばれて融液外へ放出されるが、ルツボ底部の内表面で発生した気泡は、結晶成長界面に運ばれて単結晶内に取り込まれ易く、単結晶中に微小欠陥が発生し、さらには気泡に起因する単結晶の有転位化が発生し、安定した単結晶育成を行うことができ難くなる。したがって、石英ルツボ底部の内表面で発生した気泡を除去するとともに、その部分を修復することが必要であり、石英ルツボ底部の溶融液への横磁場の印加によりそれが満たされる。
前記横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させるのは、磁場を印加してシリコン溶融液の粘性を向上させるのみでは石英ルツボの内表面に付着している気泡を剥がし、内表面を修復する効果が必ずしも充分ではないからである。石英ルツボを回転させることによる相乗効果によって、石英ルツボの溶解速度を高め、気泡を剥がすとともに気泡発生の核となる傷が存在する部分を溶解して、ルツボ内表面の修復が可能になる。
その際、石英ルツボの回転数を5rpm以上とすることが望ましい。5rpm以上の高速回転により、修復効果を一層高めることができるからである。ルツボ回転数の上限は特に規定しないが、Si−SiO2の接触面における溶解速度とSiO2の溶損量との関係は、2次曲線に近似した関係にあり、ルツボの回転数を10rpm以上にしても、それ以上の溶損速度は得られないため、ルツボ回転数の上限は10rpm程度とするのが望ましい。
また、石英ルツボの回転時間を1時間以上とすることが望ましい。気泡が強固に付着する吸着サイトを構成し、気泡発生の核となる石英ルツボ内表面の微小傷を修復するためには、石英ルツボの内表面を数十μm程度溶解(溶損)させることが必要だからである。上限は特に定めないが、石英ルツボ内表面の過度の溶損を防止し、また作業効率の低下を避けるために、2時間程度とするのが望ましい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、内表面側にアルミニウム低濃度層を有する石英ルツボを用いて、シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、前述のように、所定の条件下で、横磁場の印加、石英ルツボの高速回転等の処理を行った後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行う。すなわち、MCZ法によりシリコン単結晶を製造するわけで、磁場を印加しない状態でシリコン単結晶を成長させる前掲の特許文献2に記載の方法との大きな相違点である。
前述したように、MCZ法を適用した場合、通常は、磁場印加を行わないCZ法に比べて単結晶内に発生する微小欠陥の発生率が高くなるが、本発明の単結晶の製造方法では、内表面側のアルミニウム濃度が低減された石英ルツボを用いるとともに、シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、横磁場の印加、石英ルツボの回転等の処理を行うことにより、石英ルツボ内表面の、単結晶中の微小欠陥や単結晶の有転位化を誘発する原因となる気泡を除去するとともに、ルツボの内表面を修復しているので、その後の単結晶の引き上げにおいて、ルツボ内表面における気泡の発生は著しく抑制される。
印加する横磁場の強さは、特に限定されない。通常の操業で用いられている0.3T〜0.4Tの磁場強度であればよく、これによって、低酸素濃度の単結晶の育成が可能になるなど、MCZ法適用によるメリットを享受することができる。
なお、前記横磁場の印加、石英ルツボの回転等の処理を行った後のシリコン融液への種結晶の浸漬工程(ディップ工程)、ネック部形成工程、肩部形成工程においては、磁場を印加してもよいし、印加しなくてもよい。
前記の実施形態1は、前述した本発明のシリコン単結晶の製造方法において、シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させる処理を行った後、一旦磁場の印加を停止させ、その後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行う方法である。
横磁場の印加、石英ルツボの回転等の処理を行った後、一旦磁場の印加を停止させた状態で維持することにより、磁場の作用で抑制されていた融液の熱対流が再び起こり、石英ルツボ内表面の修復操作の期間中に発生した気泡が熱対流により融液表面に運ばれて融液外へ放出される。その後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行うのであるが、前述のように、石英ルツボ内表面は修復されているので、ルツボ内表面における気泡の発生は抑制され、安定した単結晶育成を行うことができる。
以上説明した本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、石英ルツボ内へのシリコン原料の投入時や溶解過程で石英ルツボ底部に生じた傷を核として発生した気泡を除去するとともに、ルツボ底部の内表面を修復して、その後の気泡の発生を抑制し、微小欠陥や、単結晶の有転位化の発生を低減することができる。
前記図1に示した概略構成を有する単結晶育成装置を用いて、直径300mm(12インチ)のp型シリコン単結晶を育成した。使用した石英ルツボは、天然石英ルツボ、合成石英ルツボA(内側:合成石英層、外側:天然石英層)、および合成石英層中のAl濃度を0.1ppm以下に低減した合成石英ルツボB(内側:合成石英層、外側:天然石英層)の3種類である。なお、合成石英ルツボBでは、合成石英層の厚さが1mmのもの(Al濃度:0.1ppm以下)を使用した。
具体的には、表1に示す内表面のアルミニウム濃度が異なる石英ルツボを使用して、石英ルツボ内のシリコン原料を石英ルツボの周囲に配設したヒーターにより加熱、溶解してシリコン融液を形成した後、石英ルツボ底部に印加する横磁場の磁場強度および石英ルツボの回転速度を表1に示す各種条件に調整して、それぞれの石英ルツボに対して内表面の修復を行なった。なお、いづれの実験例も、石英ルツボ内表面の修復操作を行なうときの石英ルツボの回転操作時間は1時間30分とした。
その後、一旦、磁場印加を停止する操作を実施した後、単結晶育成に必要な育成条件となるように、磁場強度、磁場位置、ルツボ回転速度、炉内圧力などの諸条件を調整してから、シリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボおよび引上げワイヤーを回転させつつワイヤーを引き上げて、ネック部形成工程、肩部形成工程、定径工程を実施してシリコン単結晶をそれぞれ成長させた。得られたそれぞれのシリコン単結晶直胴部の上端部から下端部に亘ってウェーハを切り出した後、目視検査および非破壊検査により各ウェーハ表面の微小欠陥の有無を評価した。
Figure 0005067301
表1において、「石英ルツボ」の欄の「天然」とは、天然石英ルツボを、「合成A」とは、合成石英ルツボA(内側:合成石英層、外側:天然石英層)を、「合成B」とは、合成石英層中のAl濃度を0.1ppm以下に低減した合成石英ルツボB(内側:合成石英層、外側:天然石英層)を意味する。また、「微小欠陥評価」の欄の○印は単結晶の直胴部において微小欠陥の発生が認められなかったことを、×印は直胴部において微小欠陥の発生が認められたことを表す。なお、「石英ルツボ内表面層のAl濃度」は、単結晶引き上げ後の石英ルツボの内表面側をフッ酸により厚さ30μm程度溶解(エッチング)し、その溶液中のアルミニウムとシリコンを原子吸光分析により測定して求めた。
表1に示すように、合成石英層中のAl濃度を0.1ppm以下に低減した合成石英ルツボBを使用した本発明例(試験No.9、12、15)のシリコンウェーハでは、いずれも微小欠陥は観察されなかったのに対して、天然石英ルツボ、または合成石英ルツボAを使用した比較例のシリコンウェーハは、いずれも微小欠陥が観察された。これは、本発明例では、石英ルツボのアルミニウム濃度低減化による石英ルツボの溶解促進作用と、石英ルツボ底部に印加した磁場印加と石英ルツボ回転による溶解促進作用の相乗作用効果により、石英ルツボ内面の修復が十分に行なわれた結果によるものと判断することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、石英ルツボ内のシリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、石英ルツボ底部の溶融液への横磁場の印加、石英ルツボの回転等の処理を行った後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行う方法である。この方法によれば、ルツボ底部の内表面における気泡を除去するとともに、同内表面を修復して、気泡に起因して発生する微小欠陥を低減することができ、有転位化を生じさせることなく安定した単結晶育成を行うことができる。前記の処理を行った後、一旦磁場の印加を停止させることとすれば、ルツボ内表面の修復操作の期間中に発生した気泡が熱対流により融液外へ放出されるので、望ましい。
したがって、本発明のシリコン単結晶の製造方法は、半導体デバイス製造分野において、シリコン単結晶の製造に有効に利用することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法の実施に適した単結晶引上げ装置の要部の構成例を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
1:ルツボ、 1a:石英ルツボ、 1b:黒鉛ルツボ、 2:ヒーター、
3:断熱材、 4:支持軸、 5:溶融液(融液)、
6:熱遮蔽板、 7:チャンバー、 8:磁場発生装置

Claims (2)

  1. 石英ルツボ内のシリコン溶融液に種結晶を浸漬した後、ネック部および肩部を形成し、単結晶直胴部の育成を行うチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法において、
    内表面側にアルミニウム濃度が0.1ppm以下のアルミニウム低濃度層を有する石英ルツボを用いるとともに、前記シリコン溶融液に種結晶を浸漬する前に、石英ルツボ底部の溶融液に横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させた後に、横磁場を印加した状態で単結晶直胴部の育成を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記横磁場を印加しながら、石英ルツボを回転させる処理を行った後、一旦磁場の印加を停止し、その後、横磁場を印加した状態で直胴部の育成を行うことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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