JP5066077B2 - 確率密度関数分離装置、確率密度関数分離方法、試験装置、ビット誤り率測定装置、電子デバイス、及びプログラム - Google Patents
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Description
1. 米国特許仮出願番号第60/783,820号 出願日 2006年3月21日
2. 米国特許出願番号第 11/463,644号 出願日 2006年8月10日
領域変換部110は、入力PDFが与えられ、入力PDFを周波数領域のスペクトルに変換する。例えば入力PDFは、所定の信号について、エッジが存在する確率をそれぞれのタイミング毎に示す関数であってよい。この場合、確率密度関数分離装置100は、当該信号に含まれるランダムジッタ成分及び確定ジッタ成分を分離する。尚、入力PDFは、時間軸の関数とは限られない。領域変換部110は、所定の変数の入力PDFを受け取った場合、当該変数を時間の変数とみなし、入力PDFの周波数領域のスペクトルを生成してよい。即ち、本発明は、時間軸の関数でない入力PDFに対する所定の成分を分離する装置、方法等を含む。
標準偏差算出部120は、入力PDFに含まれるランダム成分の標準偏差を、領域変換部110が出力するスペクトルに基づいて算出する。入力PDFに含まれるランダム成分はガウス分布に従うので、標準偏差算出部120は、当該ガウス分布の標準偏差を算出する。具体的な算出方法は、図2から図7において後述する。
ランダム成分算出部130は、標準偏差算出部120が算出した標準偏差に基づいて、ランダム成分の確率密度関数を算出する。例えば、図2から図7において後述するように、本例における確率密度関数分離装置100によれば、入力PDFに含まれるランダム成分(ガウス分布)を、標準偏差に基づいて一意に定めることができる。ランダム成分算出部130は、標準偏差に基づくガウス分布を出力してよく、また当該標準偏差を出力してもよい。また、ランダム成分算出部130は、時間領域における当該ガウス分布又は当該標準偏差を出力してよい。
ピークツゥピーク値検出部140は、入力PDFのピークツゥピーク値を、領域変換部110が出力するスペクトルに基づいて検出する。具体的な算出方法は、図2から図7において後述する。
確定成分算出部150は、ピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値に基づいて、入力PDFの確定成分を算出する。具体的な算出方法は、図2から図7において後述する。確定成分算出部150は、時間領域における確定成分の確率密度関数を出力してよく、また当該ピークツゥピーク値を出力してもよい。
また、確定成分は、その確率密度関数のピーク間隔D(p−p)により定められる。例えば、確定成分がサイン波である場合、その確率密度関数にはサイン波の振幅に応じた位置でピークがあらわれる。また、確定成分が方形波である場合、その確率密度関数には、方形波の振幅に応じた位置でピークがあらわれる。また、確定成分の確率密度関数がデュアルディラックモデルであらわされる場合、確定成分は、二つのデルタ関数の間隔D(p−p)により定義される。
確定成分とランダム成分とを合成した合成成分(入力PDF)は、図2に示すように、確定成分の確率密度関数と、ランダム成分の確率密度関数との畳み込み積分により与えられる。このため、合成成分のピーク間隔D(δδ)は、確定成分のピーク間隔D(p−p)より小さくなる。従来の曲線適合法は、確定成分を決定するピーク間隔として、D(δδ)を検出している。しかし、上述したように、D(δδ)は、真値であるD(p−p)より小さい値となるので、分離した確定成分に誤差が生じてしまう。
図3は、ランダム成分の確率密度関数の一例を示す図である。図3の左の波形は時間領域のランダム成分の確率密度関数を示し、図3の右の波形は周波数領域のランダム成分の確率密度関数を示す。時間領域におけるランダム成分p(t)はガウス分布であり、次式で示される。
式(1)
ここで、σはガウス分布の標準偏差を示し、uはガウス分布がピークを示す時間を示す。
そして、時間領域のランダム成分p(t)をフーリエ変換した、周波数領域のランダム成分P(f)は、次式で示される。
式(2)
式(2)に示されるように、ガウス分布をフーリエ変換したものも、またガウス分布を示す。このとき、周波数領域のガウス分布は、ゼロ周波数においてピークを有する。
図4Aは、確定成分の確率密度関数の一例を示す図である。図4Aの左の波形は、時間領域の確定成分の確率密度関数を示し、図4Aの右の波形は、周波数領域の確定成分の確率密度関数を示す。また、時間領域の確定成分の確率密度関数のピーク間隔を2T0とする。
係る時間領域の波形をフーリエ変換したスペクトルには、1/(2T0)に所定の乗算係数αを乗じた周波数に、第1ナルがあらわれる。即ち、周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数を検出することにより、確定成分を定義するピーク間隔2T0を求めることができる。尚、乗算係数αは、確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じて定めることができる。
図4Bに示すように、一様分布の確定成分の確率密度関数をフーリエ変換したスペクトルの第1ナル周波数は、ほぼ1/2T0で与えられる。即ち、当該第1ナル周波数の逆数に、乗算係数α=1を乗算することにより、ピーク間隔2T0を算出することができる。
また、図4Cに示すように、サイン波分布の確定成分の確率密度関数をフーリエ変換したスペクトルの第1ナル周波数は、ほぼ0.765/2T0で与えられる。即ち、当該第1ナル周波数の逆数に、乗算係数α=0.765を乗算することにより、ピーク間隔2T0を算出することができる。
更に、図4Dに示すように、デュアルディラック分布の確定成分の確率密度関数をフーリエ変換したスペクトルの第1ナル周波数は、ほぼ0.510/2T0で与えられる。即ち、当該第1ナル周波数の逆数に、乗算係数α=0.510を乗算することにより、ピーク間隔2T0を算出することができる。
図5では、確定成分を破線で示し、ランダム成分を実線のガウス曲線で示す。確定成分にランダム成分を乗算した場合、確定成分のそれぞれのピークスペクトルは、ガウス曲線のロスに比例して減衰される。このため、入力PDF、すなわち合成成分のスペクトルの所定の周波数のレベルを検出することにより、周波数領域においてランダム成分を与えるガウス曲線を求めることができる。
標準偏差算出部120は、入力PDFのスペクトルの所定の周波数のレベルに基づいて、ガウス曲線の標準偏差を算出してよい。ランダム成分算出部130は、図5に示すように、周波数領域におけるガウス曲線を算出してよい。このとき、図3において説明したように、周波数領域のガウス曲線はゼロ周波数が基準となる。このため、ランダム成分算出部130は、標準偏差算出部120が算出した標準偏差に基づいて、当該ガウス曲線を簡単に算出することができる。
ピークツゥピーク値検出部140は、入力PDFのスペクトルの第1ナル周波数からピークツゥピーク値を検出する。上述したように、ピークツゥピーク値検出部140は、与えられる確率密度関数のスペクトルの第1ナル周波数に、当該確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数αを乗じ、確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出してよい。
また、ピークツゥピーク値検出部140は、予め与えられるそれぞれの乗算係数αを用いた場合のそれぞれのピークツゥピーク値を算出してよい。確定成分算出部150は、ピークツゥピーク値検出部140が算出したそれぞれのピークツゥピーク値から、最も確からしい値を選択してよい。例えば確定成分算出部150は、それぞれのピークツゥピーク値に基づいて、確定成分の確率密度関数をそれぞれ算出して、与えられる確率密度関数と比較することにより、ピークツゥピーク値を選択してよい。
また確定成分算出部150は、それぞれのピークツゥピーク値に対応する確率密度関数、及びランダム成分算出部130が算出したランダム成分の確率密度関数を合成した合成確率密度関数と、与えられる確率密度関数とを比較することにより、ピークツゥピーク値を選択してよい。
スペクトルのピークに比べ、スペクトルのナルは急峻に値が変化するので、スペクトルのピークの周波数に基づいてピークツゥピーク値を算出する場合に比べ、より精度よくピークツゥピーク値を検出することができる。また、周波数の絶対値が大きくなるほど、ナル周波数は、ピークツゥピーク値に対する誤差が大きくなる。このため、周波数の絶対値が最も小さい第1ナル周波数に基づいてピークツゥピーク値を検出することにより、より精度よくピークツゥピーク値を検出することができる。但し、ピークツゥピーク値を検出する場合に、周波数の絶対値が最も小さいナル周波数に限定する必要はない。例えば、周波数の絶対値が小さい方から所定数選択した少なくとも一つのナル周波数に基づいて、ピークツゥピーク値を検出してよい。また、乗算係数αは、図4B、図4C、及び図4Dにおいて説明した値には限定されない。ピークツゥピーク値検出部140は、当該値と実質的に等しい乗算係数αを適宜用いることができる。
また、ピークツゥピーク値検出部140は、確率密度関数のスペクトルを周波数で微分し、微分結果に基づいて第1ナル周波数を検出してもよい。
図6は、確率密度関数のスペクトルを周波数で微分した結果の一例を示す。本例において、スペクトルの第1ナル周波数をf1とする。図4Aに示したように、与えられる確率密度関数にノイズが少ない場合、スペクトルの第1ナル周波数は精確に検出することができる。これに対し、与えられる確率密度関数にノイズが含まれる場合、図6のスペクトルg(f)に示すように、検出されるべき周波数f1において、第1ナルを検出することができないことがある。
この場合、図6に示すように、当該スペクトルを周波数で微分することにより、第1ナル周波数を精度よく検出することができる。図6に示すように、当該スペクトルの2階微分スペクトルg''(f)のピークが、スペクトルg(f)のナルに対応する。このため、ピークツゥピーク値検出部140は、確率密度関数のスペクトルを2階微分し、微分スペクトルのピーク周波数に基づいて、第1ナル周波数を検出してよい。
スペクトルのナルは、スペクトルの包絡線の傾きが負から正に変化する点であるので、スペクトルの2階微分スペクトルg''(f)のピークを検出することにより、スペクトルのナルを検出することができる。
このような方法により、図6に示したように、ノイズが大きい場合であっても、より精確に第1ナル周波数を検出することができる。ピークツゥピーク値検出部140は、スペクトルの2階微分スペクトルg''(f)のピークのうち、周波数の絶対値が最も小さい周波数を、第1ナル周波数として検出してよい。
式(3)
ここで、図9に示すように、入力PDFのスペクトル(合成成分)の第1のピークの周波数をf1、レベルをA(f1)とし、第2のピークの周波数をf2、レベルをA(f2)とする。このとき、第1のピーク及び第2のピークのレベル比は、式(4)であらわされる。
式(4)
このため、入力PDFのスペクトルの2つの周波数成分のレベル比に基づいて、標準偏差を算出することができる。標準偏差算出部120は、入力PDFのスペクトルの第1の周波数成分と、第2の周波数成分とのレベル比に基づいて、標準偏差を算出してよい。式(4)は、デュアルディラックに対して精確な測定を与える。また、他の確定成分に対しては近似解を与える。
また、当該2つの周波数成分は、入力PDFのスペクトルのピークであることが好ましい。標準偏差算出部120は、入力PDFのいずれか2つのピークのレベル比に基づいて、標準偏差を算出してよい。
入力PDFのスペクトルのピークのレベルは、確定成分のスペクトルのピークを、ランダム成分のスペクトルに応じて減衰したものである。このため、確定成分のスペクトルのそれぞれのピークのレベルが一定である場合は、式(4)に基づいて標準偏差を精度よく算出することができる。また、確定成分のスペクトルのそれぞれのピークのレベルが一定でない場合、標準偏差算出部120は、確定成分のスペクトルのピークのレベルに更に基づいて、標準偏差を算出してよい。即ち、標準偏差算出部120は、入力PDFのスペクトルの所定の周波数成分と、確定成分の確率密度関数を周波数領域に変換したスペクトルにおいて対応する周波数成分とのレベル比に基づいて、標準偏差を算出してよい。この場合、標準偏差算出部120は、式(5)に基づいて標準偏差を算出してよい。但し、B(f1)は、確定成分のスペクトルの第1のピークのレベル、B(f2)は、確定成分のスペクトルの第2のレベルである。
式(5)
尚、標準偏差は、式(5)と等価な手順により求めることができる。例えば、式(5)では、第2の周波数成分における入力PDF及び確定成分のスペクトルのレベル比A(f2)/B(f2)を、第1の周波数成分におけるレベル比A(f1)/B(f1)で除算した値に基づいて、標準偏差を算出している。同様に、入力PDFにおける第2の周波数成分及び第1の周波数成分のレベル比A(f2)/A(f1)を、確定成分における第2の周波数成分及び第1の周波数成分のレベル比B(f2)/B(f1)で除算した値に基づいて、標準偏差を求めてもよい。
この場合、確定成分の確率密度関数のスペクトルにおける、第2の周波数成分のレベルと第1の周波数成分のレベルとの比は、予め与えられてよい。標準偏差算出部120は、当該レベル比を予めメモリに格納してよい。当該レベル比は、入力PDFに含まれる確定成分の分布の種類に応じて、予め決定することができる。特に、確定成分がデュアルディラックの関数で与えられる場合、当該レベル比は1.0である。
また、確定成分のスペクトルは、上述したD(p−p)に基づいて求めることができる。確定成分は、上述したようにD(p−p)の値と、確定成分がサイン波、一様分布、三角triangular分布、デュアルディラック等のいずれの関数で与えられるかにより定まる。確定成分算出部150は、確定成分を定めるサイン波、一様分布、三角triangular分布、デュアルディラック等に対応する関数が予め与えられており、当該関数にピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値を適用することにより、確定成分を算出してよい。この場合、ランダム成分算出部130は、確定成分算出部150が算出した確定成分のスペクトルに基づいて、ランダム成分を算出する。
また、式(5)においてf1=0とすると、f1=0における入力PDFのスペクトルのレベルと、確定成分におけるスペクトルのレベルとは等しいので、式(5)は、式(6)のように変形される。
式(6)
標準偏差算出部120は、式(6)に基づいて標準偏差を算出してもよい。即ち、標準偏差算出部120は、入力PDF及び確定成分の確率密度関数のスペクトルにおいて、対応するいずれかのピークのレベル比に基づいて、標準偏差を算出してもよい。この場合、より簡易な測定で、かつ精度よく標準偏差を算出することができる。
また、式(5)及び式(6)に基づいて算出される標準偏差は、周波数領域におけるガウス分布の標準偏差である。標準偏差算出部120は、周波数領域の標準偏差σfに基づいて、時間領域の標準偏差σtを算出してよい。σfとσtとの関係は式(7)によりあらわされる。
式(7)
これにより、ランダム成分の時間領域における確率密度関数を算出することができる。
σfを用いて式(2)から周波数領域のガウス曲線を求めることができる。この周波数領域のガウス曲線をフーリエ変換することにより、式(1)の時間領域のガウス曲線を直接もとめてもよい。
すなわち、ランダム成分の時間領域における確率密度関数は、周波数領域のガウス曲線から直接求めることができる。
図10に示すように、確率密度関数分離装置100は、いずれの場合においても従来の曲線適合法よりも誤差の小さい測定結果を得ることができた。
次に、G(f)を実数部とし、虚数部をゼロとした複素数列(実際には実数列であることに注意されたい)を取得する(S32)。そして、取得した複素数列にフーリエ逆変換を施した時間領域の関数g(t)を取得する(S34)。このとき、元の信号が実数であるから、フーリエ逆変換に変えてフーリエ変換又はコサイン変換(cosine transform)を施してもよい。
次に、S34において取得したg(t)の実数部の二乗と、虚数部の二乗の和を開平し、時間領域のガウス曲線を取得する(S36)。つまり、g(t)の実数部及び虚数部の二乗和の平方根を算出することにより、時間領域のガウス曲線を取得する。
このような処理により、時間領域のガウス曲線を取得することができる。
周波数領域算出部132は、標準偏差算出部120が算出した周波数領域のランダム成分の標準偏差に基づいて、周波数領域のガウス曲線G(f)を算出する。このとき、周波数領域算出部132は、図11において説明したS30のステップと同様の方法で、周波数領域のガウス曲線G(f)を算出してよい。
複素数列算出部134は、G(f)を実数部とし、虚数部をゼロとした複素数列を算出する。フーリエ逆変換部136は、当該複素数列をフーリエ逆変換(又はフーリエ変換)した時間領域の関数g(t)を算出する。時間領域算出部138は、時間領域の関数g(t)の実数部と虚数部との2乗和を開平し、時間領域のガウス曲線、すなわちランダム成分の時間領域における確率密度関数を取得する。
尚、図11及び図12において説明した処理は、確率密度関数に対する処理には限られない。即ち、図11及び図12において説明した処理と同様の処理を用いて、任意の周波数領域のスペクトルから、時間領域の波形を推測することができる。
この場合、図12において説明した時間領域算出部138には、被測定信号の振幅スペクトルが与えられる。そして、時間領域算出部138は、当該振幅スペクトルを時間領域の関数に変換することにより、時間領域の波形を算出する。振幅スペクトルを時間領域の関数に変換する場合、当該振幅スペクトルに対してフーリエ変換、フーリエ逆変換、コサイン変換等を適用することにより、当該時間領域の関数を求めることができる。
そして、時間領域算出部138は、当該時間領域の実数部及び虚数部の二乗和を開平することにより、時間領域の波形を推測することができる。
このように、周波数領域のスペクトルから時間領域の波形を算出する算出装置は、時間領域算出部138に加え、被測定信号の振幅スペクトルを検出する周波数領域測定部を更に備えてよい。周波数領域測定部は、検出した振幅スペクトルを時間領域算出部138に供給する。このような構成により、被測定信号の振幅スペクトルのみに基づいて、被測定信号の時間領域における波形を推測することができる。
領域変換部110の動作は、図1に関連して説明した領域変換部110と同一である。つまり、領域変換部110は、与えられる確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する(S60)。
標準偏差算出部120の動作は、図1に関連して説明した標準偏差算出部120と同一である。つまり、標準偏差算出部110は、領域変換部110が変換したスペクトルに基づいて、確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を算出する(S62)。
ランダム成分算出部130の動作は、図1に関連して説明したランダム成分算出部130と同様である。本例におけるランダム成分算出部130は、標準偏差算出部120が算出した標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値、即ち振幅スペクトル(Magnitude Spectra)、を算出する(S64)。
確定成分算出部150は、領域変換部110が変換したスペクトルを、ランダム成分算出部130が算出した振幅スペクトルで除算し、確定成分のスペクトルを算出する(S66)。
このような動作によっても、確率密度関数に含まれる確定成分及びランダム成分を分離することができる。また、確定成分算出部150は、算出した確定成分のスペクトルをフーリエ逆変換し、時間領域の確率密度関数に変換してもよい。更に、確定成分算出部150は、当該時間領域の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出してよい。
但し図14に示すように、確率密度関数のスペクトルD(J)R(J)は、周波数が高くなるに従い誤差成分が大きくなる。このため、確定成分算出部150は、算出した確定成分のスペクトルD(J)のうち、メインロブの周波数を含む予め定められた周波数範囲のスペクトルを、時間領域の関数に変換することにより、確定成分の時間領域の確率密度関数を算出してよい。また、確定成分算出部150は、算出した確定成分のスペクトルD(J)から、メインロブの近傍における所定の個数のサイドロブを抽出し、抽出したメインロブ及びサイドロブを時間領域の関数に変換してもよい。
このような処理により、高周波領域における誤差の影響を低減することができる。
図15に示すように、確率密度関数分離装置100は、ジッタ振幅が大きい場合において、従来の曲線適合法よりも誤差の小さい測定結果を得ることができた。
比較部170は、合成部160が出力する合成PDFと、入力PDFとを比較する。図9において説明したように、確定成分算出部150は、ピークツゥピーク値を未知数とする関数が予め与えられ、ピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値を関数に代入することにより、確定成分の確率密度関数を算出する。このとき、当該関数は、確定成分が例えばサイン波、一様分布、三角triangular分布、デュアルディラック等のいずれの分布であるかにより異なる。このため、ピークツゥピーク値に基づいて、確定成分の確率密度関数を算出するには、確定成分の関数がいずれであるかが判定できることが好ましい。
確定成分算出部150は、予め確定成分の関数がいずれの関数であるかが与えられてよい。また、確定成分算出部150には、確定成分の分布の種類に応じて複数の関数が予め与えられ、ピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値をそれぞれの関数に代入し、確定成分の分布のそれぞれの種類に対する確率密度関数をそれぞれ算出してもよい。
この場合、合成部160は、確定成分算出部150が出力するそれぞれの確率密度関数と、ランダム成分算出部130が出力する確率密度関数とをそれぞれ合成する。比較部160は、合成部160がそれぞれ合成した合成PDFと、入力PDFとをそれぞれ比較する。比較部170は、それぞれの合成PDFに対する比較結果に基づいて、入力PDFに含まれる確定成分を示す関数として適切な関数を選択する。例えば比較部170は、合成PDFと入力PDFとの差分が最も小さくなる関数を選択してよい。
そして、確定成分算出部150は、比較部170が選択した関数に対応する確定成分の確率密度関数を、適切な確率密度関数として出力してよい。このような処理により、確定成分がいずれの種類の分布であるかが不明であっても、予め定められた種類の分布から適切な分布を選択し、入力PDFに含まれる確定成分の確率密度関数を算出することができる。
例えば、確定成分算出部150は、ピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値を基準として、ピークツゥピーク値を順次変化させた場合の、それぞれのピークツゥピーク値に対応する確定成分を算出する。このとき、確定成分算出部150は、測定分解能に応じた範囲で、ピークツゥピーク値を順次変化させてよい。例えば、測定分解能が2aであり、ピークツゥピーク値検出部140が検出したピークツゥピーク値が2T0である場合、確定成分算出部150は、ピークツゥピーク値を2T0−a〜2T0+aの範囲で順次変化させてよい。このとき、ピークツゥピーク値を変動させる分解能は、測定分解能より十分小さいことが好ましい。
合成部160は、確定成分算出部150が順次出力するそれぞれの確定成分の確率密度関数と、ランダム成分の確率密度関数とを順次合成した合成PDFを順次生成する。比較部170は、それぞれの合成PDFと、入力PDFとを比較し、比較結果に基づいて、いずれかのピークツゥピーク値を、最適値として選択する。
このような処理により、測定分解能により生じる測定誤差を低減することができる。
次に、ピークツゥピーク値検出部140が、入力PDFのスペクトルのピークツゥピーク値を算出する(S14)。そして、確定成分算出部150は、当該ピークツゥピーク値に基づいて、確定成分の確率密度関数を算出する(S16)。
次に、合成部160は、ランダム成分の確率密度関数と、確定成分の確率密度関数とを合成した合成PDFを生成する(S18)。当該合成は、それぞれの時間領域の確率密度関数の畳み込み積分により行ってよい。
次に、比較部170は、入力PDFと合成PDFとを比較する(S20)。比較部170は、入力PDFと合成PDFとの誤差を算出してよい。当該誤差は、それぞれ設定した時刻区間についての誤差の二乗平均等であってよい。この時間区間としては、確率密度関数の両端のテール部を指定してもよい。
次に、ピークツゥピーク値を、予め定められる全範囲において変化させ、入力PDFと合成PDFとを比較したかを判定する(S22)。変化させていない範囲がある場合、ピークツゥピーク値を比較すべき値に変化させ(S24)、S16からS20の処理を繰り返す。
全範囲についてピークツゥピーク値を変化させた場合、それぞれのピークツゥピーク値に対する、S20における比較結果に基づいて、あたえる誤差が小さいピークツゥピーク値を決定する(S26)。
このような処理により、測定誤差を低減し、最適なピークツゥピーク値を決定することができる。このピークツゥピーク値をもつ確定成分の確率密度関数をもちいて、式(5)のB(f)を再計算し、ランダム成分の標準偏差をより高い精度で算出してもよい。
図18Aは、確定ジッタとして、サイン波のみを含む確定成分の確率密度関数を示す。本例におけるサイン波のD(p−p)の期待値は50psである。
図18Bは、図18Aに示した確率密度関数を周波数領域に変換したスペクトルを示す。当該スペクトルのナル周波数は、期待値の15.3GHz(0.765/50ps)である。
図19Aは、確定ジッタとして、サイン波と、当該サイン波よりエネルギーが相対的に小さいサイン波とを含む確定成分の確率密度関数を示す。この場合、当該確率密度関数は、当該二つのサイン波が畳み込み積分されたものとなる。小さいサイン波は、確率密度関数に雑音として作用することがわかる。本例における大きいサイン波のD(p−p)の期待値は50psである。図19Bは、図19Aに示した確率密度関数を周波数領域に変換したスペクトルを示す。当該スペクトルのナル周波数は、15.3GHzである。つまり、確率密度関数の雑音はナル周波数には影響をあたえていないことがわかる。即ち、ナル周波数に基づいてD(p−p)を検出する本方法は、確率密度関数の雑音の影響を低減して、D(p−p)を検出することができる。
図19Cは、非対称な確率密度関数を示す。図19Dは、図19Cに示した非対称な確率密度関数を周波数領域に変換したスペクトルを示す。本例においても、D(p−p)の期待値は50psであり、当該スペクトルのナル周波数は、16.5GHzである。つまり、従来法は再現性あるD(p−p)を検出できないが、ナル周波数に基づいてD(p−p)を検出する本方法は、8%の誤差でD(p−p)を検出できる。
図20Aは、確定ジッタとして、サイン波と、当該サイン波と同等のエネルギーのサイン波とを含む確定成分の確率密度関数を示す。本例におけるD(p−p)の期待値は100psである。
図20Bは、図20Aに示した確率密度関数を周波数領域に変換したスペクトルを示す当該スペクトルのナル周波数は、期待値の10GHzに対し、5GHz程度の誤差を有する。
図21Aは、図20Aに示した確率密度関数について、所定の閾値処理を施した一様分布を示す図である。つまり、当該確率密度関数のそれぞれの値のうち所定の閾値より大きい値を当該閾値に置き換え、所定の閾値より小さい値を0に置き換えることにより、一様分布に変換した確率密度関数を示す。
図21Bは、図21Aに示した一様分布を周波数領域に変換したスペクトルを示す図である。閾値処理を施すことにより、D(p−p)として、ほぼ期待値と等しい10.1GHzを得ることができる。期待値に対してほぼ一致するD(p−p)を与える閾値は、例えば閾値を順次変化させて、それぞれの閾値に対するD(p−p)を算出し、D(p−p)がほぼ変化しない閾値を検出することにより定めることができる。
図22は、複数の確定ジッタを含む確率密度関数に対して、閾値処理により測定したD(p−p)と、従来の方法により測定したD(δδ)の値とを示す。
図23Aは、サイン波の確定成分の確率密度関数のスペクトルと、二つのサイン波が畳み込み積分された確定成分の確率密度関数のスペクトルとを示す。二つのサイン波が畳み込み積分された確率密度関数のスペクトルは、ひとつのサイン波の確率密度関数のスペクトルの2乗となるので、0Hz付近のメインロブのレベルが変化する。つまり、図23Bに示すように、二つのサイン波が畳み込み積分された確率密度関数のスペクトルを0.5乗すれば、ひとつのサイン波の確率密度関数とメインロブが一致することになる。
上記の原理を利用して、確率密度関数に含まれる確定成分の数を求めることができる。
次に、スペクトルのメインロブをβ乗する(S52)。そして、予め定められた確定成分の確率密度関数のスペクトルのメインロブと、S52において求めたメインロブのβ乗とが一致するか否かを判定する(S54)。メインロブが一致するか否かは、メインロブ間の誤差が予め定められた範囲内となった場合に一致したと判定してよい。予め定められた確定成分の確率密度関数は、使用者が指定してよい。また図10に関連して説明したように、確定成分算出部150が、予め与えられる複数の関数から、確定成分の確率密度関数を選択してもよい。
S54において、メインロブが一致しないと判定した場合、βを変更し(S58)、S52及びS54の処理を繰り返す。またS54において、メインロブが一致したと判定した場合、S56において確定成分の数を算出する。
S56においては、1/βを確定成分の数として算出する。このとき、βは整数とは限らない。βの小数点以下の値は、異なる大きさの確定成分が含まれていることを示す。
例えば、図20及び図21において説明した二つのサイン波のD(p−p)が共に50psである場合、全体のD(p−p)は100psとなる。そして、例えば図21において説明した閾値処理を施すと、確定ジッタのD(p−p)として100psとほぼ等しい値が測定される。
更に、図24において関連して説明した方法により、確定成分の数を算出する。二つのサイン波のD(p−p)が略等しいので、β=0.5が算出され、確定成分の数は二つとなる。以上の結果より、それぞれのサイン波のD(p−p)を50psと算出することができる。
以上のように、当該方法によれば、複数の確定成分を含む確率密度関数から、確定成分の数を推定することができる。確定成分の数は、上述した方法により、確定成分算出部150が算出してよい。
ノイズ分離装置200は、サンプリング部210及び確率密度関数分離装置100を備える。確率密度関数分離装置100は、図1から図24において説明した確率密度関数分離装置100と同一の機能及び構成を有してよい。
サンプリング部210は、与えられるサンプリング信号に応じて、被測定信号をサンプリングし、被測定信号の確率密度関数を生成する。例えば、サンプリング部210は、被測定信号に含まれるジッタの確率密度関数を生成してよく、被測定信号の振幅ノイズの確率密度関数を生成してもよい。
被測定信号に含まれるジッタの確率密度関数を生成する場合、サンプリング部210は、それぞれの時間について、被測定信号のエッジが存在する確率を算出する。例えば、サンプリング部210は、被測定信号の遷移領域において、被測定信号に対するそれぞれの相対タイミングにつき、それぞれ複数回被測定信号をサンプリングしてよい。そして、サンプリング結果に基づいて、それぞれの相対タイミングにおいてエッジが存在する確率を取得してよい。
また、被測定信号の振幅ノイズの確率密度関数を生成する場合、サンプリング部210は、被測定信号のそれぞれの振幅値について、被測定信号が当該振幅値となる確率を取得する。例えば、サンプリング部210は、被測定信号の定常領域において、被測定信号に対して略同一の相対タイミングで被測定信号の振幅値を取得する。
サンプリング部210が、参照電圧と被測定信号のレベルとを比較するコンパレータである場合、当該参照電圧を変化させ、それぞれの参照電圧について複数回サンプリングしてよい。
サンプリング部210は、サンプリング結果に基づいて、それぞれの振幅値となる確率を取得する。
確率密度関数分離装置100は、サンプリング部210から与えられる確率密度関数に対して、ランダム成分と確定成分とを分離する。例えば、当該確率密度関数が、被測定信号のジッタの確率密度関数である場合、確率密度関数分離装置100は、被測定信号のランダムジッタと確定ジッタとを精度よく分離することができる。
また、当該確率密度関数が、被測定信号の振幅ノイズの確率密度関数である場合、確率密度関数分離装置100は、被測定信号の振幅ノイズのランダム成分と確定成分とを精度よく分離することができる。
このため、本例におけるノイズ分離装置200によれば、被測定信号のノイズ成分を精度よく分離することができ、被測定信号を精度よく解析することができる。
被測定信号としてアナログのサイン波形ジッタ、又は振幅ノイズが与えられた場合、サンプリング部210のコンパレータ、又はADCが出力するデジタルデータの確率密度関数は、図2に示したように両端が急峻に減衰する特性を示す。しかし、サンプリング信号に内部ノイズが生じ、デジタルデータに測定誤差が生じると、当該確率密度関数は、ランダム成分と確定成分との合成成分となる。
サンプリング部210は、ノイズの少ない被測定信号をサンプリングした結果に基づいて、被測定信号の確率密度関数を生成する。そして、確率密度関数分離装置100は、当該確率密度関数に含まれるランダム成分と確定成分とを分離する。これにより、サンプリング信号のノイズを精度よく測定することができる。
図27は、ノイズのないサイン波をADCがサンプリングした場合の、ADCの各コードの確率密度を示す図である。ここで、ADCのコードとは、ADCが出力するそれぞれのデジタル値に対応するコードである。ADCは、入力される信号のレベルがどのコードに対応するかを判別し、当該コードに応じたデジタル値を出力する。
本例においてADCは0から255のコードを有する。ここで、例えば213番目のコードにエラーが生じ、当該コードに対応するレベルを検出できない場合を説明する。この場合、図27に示すように、コード213の確率密度が低下し、コード213に隣接するコード(本例ではコード214)の確率密度が上昇する。これは、本来コード213で検出されるべきサイン波のレベルを、コード214が検出するからである。
図27に示した確率密度関数は、入力されるサイン波による確定成分と、ADCのコードエラーに起因する確定成分とを含む。図24に関連して説明したように、確率密度関数分離装置100は、これらの確定成分を分離することができる。
例えば、サンプリング信号のノイズの影響を低減する場合、まず、サンプリング部210は、上述したように、サンプリング信号自身の確率密度関数を算出するサンプリング信号測定部として機能する。このとき、サンプリング部210には、ノイズの少ない基準信号が与えられることが好ましい。
また、サンプリング部210は、測定すべき測定信号の確率密度関数を算出する被測定信号測定部として機能する。このとき、サンプリング部210は、図20において説明したサンプリング部210と同様の動作を行ってよい。
確率密度関数分離装置100は、被測定信号の確率密度関数、及びタイミング信号の確率密度関数のそれぞれについて、ランダム成分及び確定成分を分離する。
そして、補正部220は、被測定信号の確率密度関数のパラメータを、タイミング信号の確率密度関数に基づいて補正することにより、より精度よく被測定信号のランダム成分及び確定成分を分離する。
例えば、補正部220は、被測定信号に係るランダム成分のエネルギーから、タイミング信号に係るランダム成分のエネルギーを減じることにより、被測定信号に係るランダム成分を補正してよい。また、補正部220は、被測定信号に係る確定成分から、タイミング信号に係る確定成分を減じることにより、被測定信号に係る確定成分を補正してよい。
このような処理により、被測定信号に係るランダム成分及び確定成分を精度よく分離することができる。
ノイズ分離装置200は、図25から図28において説明したノイズ分離装置200と略同一の構成を有し、被試験デバイス400が出力する被測定信号を測定する。本例においては、図28に示したノイズ分離装置200と略同一の構成を有する。ノイズ分離装置200は、図28に示すように、タイミング信号を生成するタイミング発生器230を有してよい。他の構成要素は、図25から28に関連して同一の符号を付して説明した構成要素と同一である。
判定部310は、ノイズ分離装置200が分離したランダムノイズ成分及び確定ノイズ成分に基づいて、被試験デバイス400の良否を判定する。例えば、判定部310は、ランダムノイズ成分の標準偏差が、所定の範囲内であるか否かに基づいて被試験デバイス400の良否を判定してよい。また、判定部310は、確定ノイズ成分のピークツゥピーク値が、所定の範囲内であるか否かに基づいて被試験デバイス400の良否を判定してよい。判定部310は、ランダムノイズ成分の標準偏差と確定ノイズ成分のピークツゥピーク値からトータルジッタ(total jitter)を算出し,被試験デバイス400の良否を判定してよい。判定部310は、例えば14×σ+D(p−p)により与えられるトータルジッタを算出してよい。
本例における試験装置300によれば、被測定信号の確率密度関数を精度よく分離することができるので、被試験デバイス400の良否を精度よく判定することができる。また、試験装置300は、被試験デバイス400に試験信号を入力し、所定の出力信号を出力させるパターン発生部を更に備えてよい。
また、当該方法は、上述したサンプリング信号の誤差による確定成分、ADCのコードエラーによる確定成分を分離することができない。このため、図30に示すように例えばサンプリングエラーが生じている場合においても、精度のよい測定を行うことができない。
増幅器202は、被試験デバイス400の出力信号を受け取り、所定の増幅率で増幅して出力する。レベル比較部204は、出力信号のレベルと、与えられる参照値とを比較し、比較結果を出力する。本例においてレベル比較部204は、コンパレータ206及びコンパレータ208を有する。コンパレータ206は、Hレベルの参照値が与えられる。またコンパレータ208は、Lレベルの参照値が与えられる。
タイミング比較部216は、レベル比較部204が出力する比較結果を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングし、デジタルデータに変換する。本例においてタイミング比較部216は、フリップフロップ218及びフリップフロップ222を有する。
フリップフロップ218は、タイミング発生部224が出力するタイミング信号を、可変遅延回路212を介して受け取る。またフリップフロップ218は、コンパレータ206が出力する比較結果を、当該タイミング信号に応じてサンプリングする。
フリップフロップ222は、タイミング発生部224が出力するタイミング信号を、可変遅延回路214を介して受け取る。またフリップフロップ222は、コンパレータ208が出力する比較結果を、当該タイミング信号に応じてサンプリングする。
本例においてレベル比較部204は、2つのコンパレータ206及び208を有しているが、レベル比較部204は、1つのコンパレータによる比較結果を出力してよく、また3以上のコンパレータによる比較結果を出力してよい。つまり、レベル比較部204は、多値の比較結果を出力してよい。タイミング比較部216は、レベル比較部204が有するコンパレータに応じた数のフリップフロップを有してよい。
可変遅延回路212及び214は、タイミング信号を遅延させて出力する。可変遅延回路212及び214は、タイミング信号の位相を所定の位相に調整してタイミング比較部216に供給する。
エンコーダ226はタイミング比較部216が出力するデジタルデータをエンコードする。例えばエンコーダ226は、フリップフロップ218及びフリップフロップ222が出力するそれぞれのデジタルデータに基づいて、多値のデジタルデータを生成してよい。メモリ228は、エンコーダ226が生成したデジタルデータを格納する。
確率密度関数算出部232は、メモリ228が格納したデジタルデータに基づいて、出力信号の確率密度関数を算出する。例えば確率密度関数算出部232は、図26において説明したジッタの確率密度関数を生成してよく、また図26において説明した振幅劣化成分の確率密度関数を生成してもよい。
ジッタの確率密度関数を生成する場合、タイミング発生部224は、出力信号に対する位相が順次変化するタイミング信号を生成する。タイミング信号の位相は、可変遅延回路212及び214における遅延量を変化させることにより調整してもよい。また、レベル比較部204には、参照値が与えられる。
タイミング比較部216は、出力信号に対する位相が順次変化するタイミング信号に応じて出力信号の論理値をサンプリングする。確率密度関数算出部232は、メモリ228が格納したサンプル値列と、与えられる期待値列とを比較する。
また、確率密度関数算出部232は、当該比較結果に基づいて、出力信号の位相を検出する。例えば、確率密度関数算出部232は、当該比較結果に基づいて、出力信号のエッジの位相を検出してよい。また、確率密度関数算出部232は、出力信号の論理値が遷移するタイミングを検出してもよい。このとき、確率密度関数算出部232は、出力信号のデータが同一の論理値を連続して示す場合であっても、出力信号の各データ区間の境界のタイミングを検出することができる。
また、タイミング比較部216及び確率密度関数算出部232は、出力信号の論理値と期待値との比較を、それぞれのタイミング信号の位相について複数回行い、エラーカウント値を得る。当該エラーカウント値より、それぞれの位相において出力信号の論理値が生起する確率を算出することができる。つまり、ジッタの確率密度関数を生成することができる。例えば、タイミング比較部216及び確率密度関数算出部232は、それぞれのタイミング信号の位相について、出力信号の論理値と期待値との比較を複数回ずつ行う。そして、対応するタイミング信号の位相が隣り合うエラーカウント値の差分を算出することにより、確率密度関数を算出してよい。
タイミング比較部216は、出力信号に同期したタイミング信号に応じて比較結果をサンプリングする。つまり、タイミング比較部216は、タイミング信号のエッジタイミングにおける出力信号のレベルと、参照値との比較結果を検出する。当該比較結果を、それぞれの参照値について複数回検出することにより、出力信号の振幅劣化成分の確率密度関数を生成することができる。
確率密度関数算出部232は、生成した確率密度関数を、確率密度関数分離装置100に供給する。このような構成により、出力信号のノイズ成分を精度よく分離することができ、被試験デバイス400を精度よく試験することができる。例えば、被試験デバイス400の出力信号に含まれるランダムジッタを試験する場合において、タイミング信号に確定的なジッタが生じた場合、被試験デバイス400の良否を精度よく判定できないが、本例における試験装置300によれば、タイミング信号による確定ジッタの成分を同時に分離し、出力信号のランダムジッタの成分を検出することができる。
尚、本例における従来法の測定結果は、下記の文献から引用した。G.Hansel,K.Stieglbauer,"Implementation of an Economic Jitter Compliance Test for a Multi-Gigabit Device on ATE,"in Proc.IEEE int.Test Conf.,Charlotte,NC,October 26-28,2004,pp.1303-1311
また、本例の測定では、被試験デバイス400の出力信号のジッタの確率密度関数を、ランダム成分及び確定成分に分離した。また、従来法の測定結果は、確定成分として振幅が40ps程度の大きなサイン波成分が含まれるケースと、振幅が5ps程度の小さなサイン波成分が含まれるケースに対応する。
図34に示すように、試験装置300は、いずれのケースにおいても従来の曲線適合法よりも誤差の小さい測定結果を得ることができた。
レベル比較器504は、出力データのレベルと、与えられる参照値とを比較し、比較データを出力する。例えば、レベル比較器504は、出力データのレベルと、与えられる参照値との大小関係を2値の論理値で示す比較データを出力する。可変電圧源502は、当該参照値を生成する。サンプリング部512は、レベル比較器504が出力するデータ値を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングする。
タイミング発生部506は、タイミング信号を生成し、可変遅延回路508を介してサンプリング部512に供給する。タイミング発生部506は、出力データと略同一の周期のタイミング信号を生成してよい。可変遅延回路508は、タイミング信号を所定の位相に調整する。
期待値生成部510は、サンプリング部512が出力するデータ値が有するべき期待値を生成する。期待値比較部514は、サンプリング部512が出力するデータ値と、期待値生成部510が出力する期待値とを比較する。期待値比較部514は、例えば当該データ値と当該期待値との排他的論理和を出力してよい。
カウンタ516は、期待値比較部514における比較結果が、所定の論理値を示す回数を計数する。例えば、期待値比較部514が出力する排他的論理和が1である回数を計数する。また、トリガカウンタ518は、タイミング信号のパルスを計数する。
このような構成により、タイミング信号の位相に対応する出力データのデータ値が誤っている回数を計数することができる。また、図33において説明した試験装置300と同様に、タイミング信号の位相を順次変化させることにより、タイミング信号の各位相について、エラーカウント値を求める。確率密度関数算出部520は、対応するタイミング信号の位相が隣り合うエラーカウント値の差分を算出することにより、出力データのジッタの確率密度関数を算出してよい。
尚、図33において説明した試験装置300と同様に、確率密度関数算出部520は、出力信号のデータが同一の論理値を連続して示す場合であっても、出力データの各データ区間の境界のタイミングを検出することができる。
確率密度関数分離装置100は、図29に関連して説明した確率密度関数分離装置100と同一である。即ち、与えられる確率密度関数の確定成分と、ランダム成分とを分離する。
このような構成によって、与えられる出力データの確率密度関数を生成し、確定成分とランダム成分とを同時に分離することができる。つまり、確定成分により生じるビット誤りと、ランダム成分により生じるビット誤りとを同時に分離して解析することができる。
オフセット部522は、出力データの波形に所定のオフセット電圧を加算する。増幅器524は、オフセット部522が出力する信号を、所定の増幅率で出力する。
サンプリング部526は、増幅器524が出力する信号のデータ値を、与えられるタイミングクロックに応じてサンプリングする。タイミングクロックは、例えば出力データから生成される再生クロックであってよい。可変遅延回路530は、タイミングクロックを所定の位相に調整する。
比較計数部528は、サンプリング部526が出力するデータ値と、与えられる期待値とを比較し、比較結果を計数する。比較計数部528は、図35において説明した期待値比較部514及びカウンタ516と同一の機能を有してよい。
プロセッサ532は、オフセット部522及び可変遅延回路530を制御する。例えば、オフセット電圧を所定のレベルに調整し、可変遅延回路530における遅延量を制御する。このような構成により、タイミングクロックの位相に対応する出力データのデータ値が誤っている確率を算出することができる。
また、プロセッサ532は、図35において説明した確率密度関数算出部520及び確率密度関数分離装置100としても機能する。図33において説明した試験装置300と同様に、タイミングクロックの位相を順次変化させることにより、プロセッサ532は、出力データのジッタの確率密度関数を算出することができる。例えば、可変遅延回路530における遅延量を変化させることにより、タイミングクロックの位相を変化させることができる。
ここで、出力データのジッタとは、出力データの各データ区間の境界のタイミングのジッタであってよい。確率密度関数算出部520は、出力信号のデータが同一の論理値を連続して示す場合であっても、出力信号の各データ区間の境界のタイミングを検出することができる。
また、オフセット部522が加算するオフセット電圧を順次変化させることにより、図35において説明した参照値を変化させた場合と同等の測定を行うことができる。この場合、プロセッサ532は、出力データの振幅劣化成分の確率密度関数を算出することができる。この場合、出力データに対するタイミングクロックの位相は、略一定に制御される。
確率密度関数分離装置100は、図29に関連して説明した確率密度関数分離装置100と同一である。即ち、与えられる確率密度関数の確定成分と、ランダム成分とを分離する。
このような構成によっても、与えられる出力データの確率密度関数を生成し、確定成分とランダム成分とを分離することができる。つまり、確定成分により生じるビット誤りと、ランダム成分により生じるビット誤りとを同時に分離して解析することができる。
フリップフロップ534は、出力データのデータ値を、与えられるタイミングクロックに応じてサンプリングする。
スイッチ部536は、経路長の異なる複数の経路から一つの経路を選択し、フリップフロップ534が出力するデータ値を、選択した経路に応じた固定遅延量で遅延して出力する。ラッチ部538は、スイッチ部536により位相が調整されたデータ値を、与えられるタイミングクロックに応じてラッチする。
つまり、図36に示したビット誤り率測定装置500は、タイミングクロックの位相を調整することにより、出力データに対するサンプリングクロックの相対位相を調整したが、本例におけるビット誤り率測定装置500は、出力データの位相を調整することにより、出力データに対するサンプリングクロックの相対位相を調整する。
図36に図示するように、可変遅延回路を用いてクロックのタイミングを大きなレンジでコントロールすると、遅延設定を変化させたとき、不完全なクロックが生成されてしまう(When delay setting changes are made, the variable delay element will output incomplete or partial clock)。本例におけるビット誤り率測定装置500は、可変遅延回路544の遅延レンジを小さくすることができ、不完全なクロックが生成されることを低減できる。
周波数測定部548は、タイミングクロックの周波数を測定する。制御部546は、期待されているタイミングクロックの周波数と、設定すべきサンプリングクロックの相対位相とに基づいて、可変遅延回路544における遅延量を制御する第1コントロール信号と、スイッチ部536における遅延量を制御する第2コントロール信号を生成する。
確率密度関数算出部540は、ラッチ部538が順次ラッチするデータ値に基づいて、出力データの確率密度関数を算出する。例えば、図36において説明したビット誤り率測定装置500と同様に、出力データに対するタイミングクロックの相対位相を順次変化させることにより、出力データのジッタの確率密度関数を算出することができる。また、図36において説明したビット誤り率測定装置500と同様に、本例においても、振幅劣化成分の確率密度関数を算出する手段を更に備えてよい。
確率密度関数分離装置542は、図29に関連して説明した確率密度関数分離装置100と同一である。即ち、与えられる確率密度関数の確定成分と、ランダム成分とを分離する。
このような構成によっても、与えられる出力データの確率密度関数を生成し、確定成分とランダム成分とを分離することができる。つまり、確定成分により生じるビット誤りと、ランダム成分により生じるビット誤りとを同時に分離して解析することができる。
動作回路610は、与えられる入力信号に応じて、所定の信号を出力する。本例において動作回路610は、位相比較器612、チャージポンプ614、電圧制御発振器616、及び分周器618を有するPLL回路である。尚、動作回路610は、PLL回路に限定されない。
測定回路700は、セレクタ550、ベース遅延552、可変遅延回路554、フリップフロップ556、カウンタ558、及び周波数カウンタ560を有する。
セレクタ550は、動作回路610の出力信号と、可変遅延回路554が出力する一巡ループ信号とのいずれかを選択して出力する。ベース遅延552は、セレクタ550が出力する信号を、所定の遅延量で遅延させる。また、可変遅延回路554は、ベース遅延552が出力する信号を、設定される遅延量で遅延させる。
フリップフロップ556は、セレクタ550が出力する信号を、可変遅延回路554が出力する信号に応じてサンプリングする。可変遅延回路554における遅延量を制御することにより、フリップフロップ556は、セレクタ550が出力する信号を所望の位相でサンプリングすることができる。
カウンタ558は、フリップフロップ556が出力するデータが、所定の論理値を示す回数を計数する。セレクタ550が、動作回路610の出力信号を選択した場合において、可変遅延回路554における遅延量を変化させることにより、動作回路610の出力信号のそれぞれの位相においてエッジが存在する確率を求めることができる。
確率密度関数算出部562は、カウンタ558が出力する計数結果に基づいて、出力信号の確率密度関数を算出する。確率密度関数算出部562は、図33において説明した確率密度関数算出部232と同様の動作で確率密度関数を算出してよい。
確率密度関数分離装置100は、確率密度関数算出部562が算出した確率密度関数の所定の成分を分離する。確率密度関数分離装置100は、図1から図27に関連して説明した確率密度関数分離装置100と同一又は同様の機能及び構成を有してよい。また、本例における確率密度関数分離装置100は、図1から図27に関連して説明した確率密度関数分離装置100の一部の構成を備えてよい。例えば確率密度関数分離装置100は、図1において説明したランダム成分算出部130又は確定成分算出部150を備えず、標準偏差算出部120又はピークツゥピーク値検出部140が検出したランダム成分の標準偏差又は確定成分のピークツゥピーク値を外部の装置に出力してもよい。
このような構成により、動作回路610と同一のチップ内に設けた回路により、動作回路610が出力する信号の確率密度関数を所定の成分に分離することができる。ベース遅延552や可変遅延回路554に因る確定成分の影響をうけずに、動作回路610が出力する信号のランダム成分の標準偏差を高い精度でもとめることができる。これにより、動作回路610の解析等を容易に行うことができる。
また、セレクタ550が可変遅延回路554の出力信号を選択した場合、可変遅延回路554の出力信号は、ベース遅延552に一巡ループして入力される。周波数カウンタ560は、所定の期間内において、当該ループを伝送するパルス信号を計数することにより、パルス信号の周波数を計測する。当該周波数は、可変遅延回路554に設定される遅延量に応じて変化するので、当該周波数を計測することにより、可変遅延回路554における遅延量を測定できる。
本例においてセレクタ550は、動作回路610に入力される入力信号を分岐して受け取る。セレクタ550は、当該入力信号と、可変遅延回路554の出力信号とのいずれかを選択して出力する。
また、ベース遅延552は、動作回路610とフリップフロップ556との間に設けられる。本例においてベース遅延552は、分周器618が出力する信号を遅延してフリップフロップ556に入力する。
このような構成によっても、図38において説明した電子デバイス600と同様に、動作回路610が生成する信号の確率密度関数を算出することができる。また、当該確率密度関数を所定の成分に分離することができる。ベース遅延552や可変遅延回路554に因る確定成分の影響をうけずに、動作回路610が出力する信号のランダム成分の標準偏差を高い精度でもとめることができる。
尚、測定回路700の構成は、図38又は図39において説明した構成に限定されない。測定回路700は、多様な構成を採用することができる。例えば測定回路700は、図33において説明した試験装置300と同様の構成を有してよく、また図35から図37において説明したビット誤り率測定装置500と同様の構成を有してよい。
また、確率密度関数分離装置100は、ジッタ、振幅劣化等の成分が既知の信号を被測定対象の回路に入力してもよい。即ち、確率密度関数のランダム成分が既知の信号を被測定対象の回路に入力してよい。この場合、確率密度関数分離装置100は、被測定対象の回路が出力する信号の確率密度関数のランダム成分を分離してよい。そして、入力した信号のランダム成分と、出力された信号のランダム成分とを比較することにより、被測定対象の回路において生じたランダム成分を算出してよい。
当該機能は、試験装置200、ビット誤り率測定装置500、又は電子デバイス600が備える確率密度関数分離装置100のいずれも有してよい。
また、コンピュータ1900が算出装置として機能する場合、プログラムは、コンピュータ1900を、図11及び図12において説明した時間領域算出部138を含む算出装置として機能させてよい。例えば、周波数領域のガウス曲線から直接ランダム成分の時間領域の確率密度関数を算出する算出装置としてコンピュータ1900を機能させる場合、プログラムは、コンピュータ1900を、図9において説明したランダム成分算出部130の各構成要素として機能させてよい。また、任意の周波数領域のスペクトルから、時間領域の波形を算出する算出装置としてコンピュータ1900を機能させる場合、プログラムは、コンピュータ1900を、時間領域算出部138及び図12に関連して説明した周波数領域測定部として機能させてよい。
また、当該プログラムは、コンピュータ1900を、図33から図39において説明した確率密度関数算出部及び確率密度関数分離装置100として機能させてもよい。
Claims (29)
- 与えられる確率密度関数から、所定の成分を分離する確率密度関数分離装置であって、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出部と
を備える確率密度関数分離装置。 - 前記確率密度関数分離装置は、前記確定成分の分布の種類毎の前記乗算係数を予め格納し、通知される前記確定成分の分布の種類に対応する前記乗算係数を用いて、前記ピークツゥピーク値を算出する
請求項1に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部を更に備える
請求項1に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記標準偏差算出部は、前記スペクトルの所定の周波数成分のレベルに基づいて、前記標準偏差を算出する
請求項3に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記標準偏差算出部は、前記スペクトルの第1の前記周波数成分のレベルと、第2の前記周波数成分のレベルとの比に基づいて、前記標準偏差を算出する
請求項4に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記標準偏差算出部は、前記スペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比を、前記確定成分のスペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比で除算した場合に得られる値を計算し、当該値に基づいて前記標準偏差を算出する
請求項5に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の確率密度関数を算出するランダム成分算出部を更に備える請求項3から6のいずれかに記載の確率密度関数分離装置。
- 前記確率成分算出部は、
前記確定成分の分布の種類毎の前記乗算係数を予め格納し、それぞれの前記乗算係数を用いた場合のそれぞれの前記ピークツゥピーク値を算出する候補値算出部と、
前記候補値算出部が算出したそれぞれの前記ピークツゥピーク値に基づいて、前記確定成分の確率密度関数をそれぞれ算出する候補関数算出部と、
前記候補関数算出部が算出したそれぞれの前記確定成分の確率密度関数と、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の確率密度関数とをそれぞれ合成した合成確率密度関数をそれぞれ生成する合成部と、
前記合成部が生成したそれぞれの前記合成確率密度関数と、前記与えられる確率密度関数とを比較し、比較結果に基づいて前記候補値算出部が算出した複数の前記ピークツゥピーク値から、ひとつの前記ピークツゥピーク値を選択する選択部と
を有する請求項7に記載の確率密度関数分離装置。 - 前記確定成分算出部は、前記領域変換部が出力する前記スペクトルを周波数で2階微分した波形のピークに基づいて、前記スペクトルの前記第1ナル周波数を検出する
請求項1に記載の確率密度関数分離装置。 - 与えられる確率密度関数から、所定の成分を分離する確率密度関数分離装置であって、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部と、
前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値を算出するランダム成分算出部と、
前記領域変換部が変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分を算出する確定成分算出部と
を備える確率密度関数分離装置。 - 前記確定成分算出部は、前記領域変換部が変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、除算結果のうち、予め定められた周波数範囲のスペクトルを時間領域の関数に変換することにより、前記確定成分の時間領域の確率密度関数を算出する
請求項10に記載の確率密度関数分離装置。 - 与えられる確率密度関数から、所定の成分を分離する確率密度関数分離方法であって、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換段階と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出段階と
を備える確率密度関数分離方法。 - 前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出段階を更に備える
請求項12に記載の確率密度関数分離方法。 - 与えられる確率密度関数から、所定の成分を分離する確率密度関数分離方法であって、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換段階と、
前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出段階と、
前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値を算出するランダム成分算出段階と、
前記領域変換段階において変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出段階において算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分を算出する確定成分算出段階と
を備える確率密度関数分離方法。 - コンピュータを、与えられる確率密度関数から所定の成分を分離する確率密度関数分離装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出部と
して機能させるプログラム。 - 前記コンピュータを、前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部として更に機能させる
請求項15に記載のプログラム。 - 前記コンピュータを、前記スペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比を、前記確定成分のスペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比で除算した場合に得られる値を計算し、当該値に基づいて前記標準偏差を算出する前記標準偏差算出部として機能させる請求項16に記載のプログラム。
- コンピュータを、与えられる確率密度関数から所定の成分を分離する確率密度関数分離装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部と、
前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値(Magnitude Spectra)を算出するランダム成分算出部と、
前記領域変換部が変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分を算出する確定成分算出部と
して機能させるプログラム。 - 被試験デバイスを試験する試験装置であって、
前記被試験デバイスが出力する出力信号のレベルを、与えられる参照値と比較し、比較結果を出力するレベル比較部と、
前記比較結果を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングし、デジタルデータに変換するタイミング比較部と、
前記デジタルデータに基づいて、前記出力信号の確率密度関数を算出する確率密度関数算出部と、
前記確率密度関数の所定の成分を分離する確率密度関数分離装置と
を備え、
前記確率密度関数分離装置は、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出部と
を有する試験装置。 - 前記確率密度関数分離装置は、前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部を更に有する
請求項19に記載の試験装置。 - 前記標準偏差算出部は、前記スペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比を、前記確定成分のスペクトルの前記第1の周波数成分のレベルと、前記第2の周波数成分のレベルとの比で除算した場合に得られる値を計算し、当該値に基づいて前記標準偏差を算出する
請求項20に記載の試験装置。 - 前記レベル比較部は、一定の値の前記参照値が与えられ、
前記タイミング比較部は、前記出力信号に対する位相が順次変化する前記タイミング信号に応じて前記比較結果をサンプリングし、
前記確率密度関数算出部は、前記デジタルデータに基づいて、前記出力信号に含まれるジッタ成分の確率密度関数を算出する
請求項19に記載の試験装置。 - 前記レベル比較部は、異なる前記参照値が順次与えられ、
前記タイミング比較部は、前記出力信号に略同期した前記タイミング信号に応じて前記比較結果をサンプリングし、
前記確率密度関数算出部は、前記デジタルデータに基づいて、前記出力信号の振幅劣化成分の確率密度関数を算出する
請求項19に記載の試験装置。 - 被試験デバイスの出力データのビット誤り率を測定するビット誤り率測定装置であって、
前記出力データのデータ値を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部におけるサンプリング結果と、与えられる期待値とを比較する期待値比較部と、
前記期待値比較部の比較結果に基づいて、前記出力データの確率密度関数を算出する確率密度関数算出部と、
前記確率密度関数の所定の成分を分離する確率密度関数分離装置と
を備え、
前記確率密度関数分離装置は、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出部と
を有するビット誤り率測定装置。 - 前記確率密度関数分離装置は、前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部を更に有する
請求項24に記載のビット誤り率測定装置。 - 被試験デバイスを試験する試験装置であって、
前記被試験デバイスが出力する出力信号のレベルを、与えられる参照値と比較し、比較結果を出力するレベル比較部と、
前記比較結果を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングし、デジタルデータに変換するタイミング比較部と、
前記デジタルデータに基づいて、前記出力信号の確率密度関数を算出する確率密度関数算出部と、
前記確率密度関数の所定の成分を分離する確率密度関数分離装置と
を備え、
前記確率密度関数分離装置は、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部と、
前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値を算出するランダム成分算出部と、
前記領域変換部が変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分を算出する確定成分算出部と
を有する試験装置。 - 被試験デバイスの出力データのビット誤り率を測定するビット誤り率測定装置であって、
前記出力データのデータ値を、与えられるタイミング信号に応じてサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部におけるサンプリング結果と、与えられる期待値とを比較する期待値比較部と、
前記期待値比較部の比較結果に基づいて、前記出力データの確率密度関数を算出する確率密度関数算出部と、
前記確率密度関数の所定の成分を分離する確率密度関数分離装置と
を備え、
前記確率密度関数分離装置は、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部と、
前記標準偏差に基づいて、ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値を算出するランダム成分算出部と、
前記領域変換部が変換した前記スペクトルを、前記ランダム成分算出部が算出した前記ランダム成分の周波数領域の確率密度関数の絶対値で除算し、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分を算出する確定成分算出部と
を有するビット誤り率測定装置。 - 所定の信号を生成する電子デバイスであって、
前記所定の信号を生成して出力する動作回路と、
前記所定の信号を測定し、前記所定の信号の確率密度関数を算出する確率密度関数算出部と、
前記確率密度関数の所定の成分を分離する確率密度関数分離装置と
を備え、
前記確率密度関数分離装置は、
前記確率密度関数が与えられ、前記確率密度関数を周波数領域のスペクトルに変換する領域変換部と、
前記周波数領域のスペクトルの第1ナル周波数に、前記与えられる確率密度関数に含まれる確定成分の分布の種類に応じた乗算係数を乗じ、前記確定成分の確率密度関数のピークツゥピーク値を算出する確定成分算出部と
を有する電子デバイス。 - 前記確率密度分離装置は、前記確率密度関数に含まれるランダム成分の標準偏差を、前記スペクトルに基づいて算出する標準偏差算出部を更に有する
請求項28に記載の電子デバイス。
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