JP5065635B2 - 新規ペプチド - Google Patents

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本発明は、特定のアミノ酸配列を有する新規ペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩に関する。本発明の新規ペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の1種であるMMP−1の活性を阻害するために、また表皮角化細胞の増殖を促進するために利用され得る。
従来、動物の結合組織には、その主要成分として、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ラミニンなどが含まれていることが分かっている。なかでもコラーゲンは、後述の通り、結合組織において重要な役割を果たしている。
コラーゲンは、ヒトの体の総蛋白質の30%近くを占め、特に、動物の結合組織を構成する主要蛋白質である。コラーゲンの主たる機能は、生体組織の骨格構造の形成であり、動物の組織形態の骨格構造を構成する主成分として皮膚、軟骨組織、角膜、心臓、肝臓等に広く分布する。また、コラーゲンは、各種細胞の接着、細胞の分化や増殖に対して特異的に作用し、細胞機能の調節因子としての役割も担っているため、コラーゲンの減少は、角膜潰瘍等の角膜障害、リウマチ、関節炎、変形性関節炎、骨関節炎等の関節障害、炎症性疾患等の様々な疾患を引き起こすことがある。
また皮膚真皮細胞外マトリックスでは、コラーゲン線維が網目状の束を形成することにより組織形態を維持している。コラーゲン線維は、成熟し増殖して架橋形成が進行すると太く直線的な線維束となり、皮膚での適度なハリを与える。しかし老化した皮膚では、真皮細胞外マトリックスのコラーゲン線維が著しく減少し、本来の弾力性に富むハリが失われてしまう。その結果、皮膚にはシワやタルミが形成される。光老化によるヘアレスマウスのコラーゲン線維束構造の変化が詳細に検討され(非特許文献1参照)、UVBを照射したヘアレスマウスには、シワが形成され、シワの形成と一致するようにコラーゲン線維束構造が崩壊し皮膚弾力性が低下していくことが示されている。また、コラーゲンは水分保持機能に優れていることも知られている。
上述のような皮膚の老化には、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)が関与していることが近年の研究により指摘されている。MMPsは、細胞外マトリックスを基質とする蛋白質分解酵素であり、その基質特異性からコラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロメライシン群、膜型MMP群、及びその他の群(例えば、マトリライシン等)に大きく分類される。コラゲナーゼ群に含まれるものにはMMP−1、MMP−8、MMP−13などが挙げられ、なかでもMMP−1は真皮マトリックスの主要構成成分であるタイプIコラーゲンを含む複数種のコラーゲンなどを分解することで知られ、皮膚の老化に大きな影響を与えるとされている。従って、このMMP−1の活性を阻害することができる物質は、コラーゲンの分解を抑制でき、皮膚の老化を防止できると考えられる。また近年、紫外線をあびることにより皮膚の繊維芽細胞内のMMP−1発現量が増大するので、MMP−1は光老化の原因としても注目されつつある。従って、MMP−1活性を阻害できる物質は、光老化も効果的に防止できると考えられる。
これまでにも、MMP−1阻害活性を有する物質として、種々の植物エキスなどが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、ヒトの表皮では、角化細胞(ケラチノサイト)と呼ばれる細胞が約90%以上を占めている。表皮組織の基底層で生まれる角化細胞は、その後に生まれる別の新たな角化細胞によって、皮膚表面に向かって押し上げられてゆき、有棘層、顆粒層へと各層を移動していくなかで次々と形を変え、最後には角質層で角質細胞となった後に角片として剥がれ落ちていく。新しい細胞が生まれてから角片として剥がれ落ちるまでの周期は通常約4週間といわれており、この周期過程のターンオーバーにより表皮の新陳代謝が図られている。しかしこのターンオーバーも、加齢によりそのリズムが崩れて周期が遅延化し、小皺、くすみ、色素沈着、肌荒れなどの皮膚の老化症状を引き起こすことが知られている。従って、表皮角化細胞の増殖を促進してターンオーバーを促進する物質も、皮膚の老化を防止するために有益である。
さらに表皮角化細胞は、ヒアルロン酸を生成することが知られている。ヒアルロン酸は、基底層から顆粒層まで広く分布する酸性ムコ多糖であり、表皮細胞外空間の構造を支え、表皮基底層から角質層への栄養分・老廃物などの物質輸送に関与したり、また表皮細胞のターンオーバーを促進するトリガーとして働いたりすることが知られている。またヒアルロン酸は、わずか1gで約6Lもの水分を保持できるという強力な保水作用を有し、その作用により、細胞間隙に水分を保持する役割を担っていることも知られている。このヒアルロン酸も、加齢により徐々に減少することが知られ、この減少もまたコラーゲンの場合と同様に、皮膚のシワやタルミの形成、皮膚の弾力性やハリの低下、又は皮膚の乾燥や肌荒れといった皮膚の老化を招く一因となっている。従って、表皮角化細胞の増殖を促進することにより、生体内で産生されるヒアルロン酸の量を増大させることができれば非常に有益である。
特開2003−201229 特開2003−277223 Fragrance Journal、4、p36−37、1998
しかし、植物エキスなどの従来のMMP−1阻害物質は、皮膚への浸透性や効果の再現性の面等から十分な効果を与えるものとは言い難いものである。また、表皮角化細胞の増殖を促進してターンオーバーを促進する物質や、表皮角化細胞の増殖を促進することにより生体内で産生されるヒアルロン酸量を増大させる物質としても、これまで植物抽出物などが知られているが、それらもやはり、皮膚への浸透性や効果の再現性の面等から、十分に満足いく効果を与えるものではない。
本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、MMP−1阻害作用を有する更なる有用な新規物質を提供することを目的とする。また本発明は、表皮角化細胞の増殖を促進することにより表皮のターンオーバーを促進し、それに併せて生体内で産生されるヒアルロン酸量を増大させることができる有用な新規物質を提供することを目的とする。さらに、生体への吸収性又は皮膚への浸透性の観点から、本発明は、比較的低分子のMMP−1阻害作用を有する新規物質及び表皮角化細胞の増殖を促進する新規物質を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミノ酸配列を有する新規ペプチドが、MMP−1阻害作用を有することを見出し、また表皮角化細胞に対する増殖促進作用も有することにより生体内におけるヒアルロン酸産生量を増大させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、配列番号1:Val−Thr−Xaa−Gly−Asn−Pro
で表わされるペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩に関する。
本発明により、MMP−1阻害作用を有する新規の有用な物質が提供される。また本発明により、表皮角化細胞に対する増殖促進作用により表皮のターンオーバーを促し、それに併せて生体内におけるヒアルロン酸産生量を増大させることができる新規の有用な物質が提供される。従って、本発明のペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、生体内においてコラーゲンの分解を抑制でき、また表皮角化細胞の増殖を促進することにより表皮のターンオーバーを促進し、生体内におけるヒアルロン酸の産生量を増大させることができる。そしてそれらの結果として、本発明のペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、シワやたるみなどの皮膚の老化を予防・改善することができ、若々しい肌を維持すること等のために有益に利用され得る。
本発明は、配列番号1:Val−Thr−Xaa−Gly−Asn−Pro
で表わされるペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩である。以下、アミノ酸の一文字略号によりVTXGNPという場合がある。
配列番号1におけるXaa(X)は、アミノ酸であれば特に限定されないが、より確実に高い本発明の効果を得る観点から、Tyr(配列番号2:VTYGNP)又はVal(配列番号3:VTVGNP)であることが好ましい。
本発明はまた、配列番号1:Val−Thr−Xaa−Gly−Asn−Pro、配列番号2:Val−Thr−Tyr−Gly−Asn−Pro及び配列番号3:Val−Thr−Val−Gly−Asn−Proのいずれかで表されるアミノ酸配列において1個以上の、好ましくは1もしくは数個のアミノ酸の欠失、付加及び/又は保存的置換を有し、かつMMP−1阻害活性及び表皮角化細胞増殖促進活性からなる群より選択される少なくとも1種の活性を有することを特徴とするペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩を提供する。
本明細書中において、「ペプチドの誘導体」とは、例えば、ペプチドをアセチル化、パルミトイル化、ミリスチル化、アミド化、アクリル化、ダンシル化、ビオチン化、リン酸化、サクシニル化、アニリド化、ベンジルオキシカルボニル化、ホルミル化、ニトロ化、スルフォン化、アルデヒド化、環状化、グリコシル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、グアニジル化、アミジン化、マレイル化、トリフルオロアセチル化、カルバミル化、トリニトロフェニル化、ニトロトロポニル化、又はアセトアセチル化した誘導体等をいう。この中でもパルミトイル化は、細胞への浸透性が高くなることが期待されるので好ましく、またN末端のアセチル化、C末端のアミド化、C末端のメチル化は、末端からペプチドを分解するエキソペプチダーゼに対する抵抗性が付与され、生体中における安定性が高くなることが期待されるので好ましい。
本明細書において、「塩」とは、ペプチド又はその誘導体の薬理学的に許容される任意の塩(無機塩及び有機塩を含む)をいい、例えば、ペプチド又はその誘導体のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩(酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、ピクリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等)等が挙げられ、好ましくは、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩であり、より好ましくはアンモニウム塩及び酢酸塩である。
1個以上のアミノ酸の欠失とは、好ましくは1〜2個のアミノ酸の欠失をいう。
1個以上のアミノ酸の付加とは、好ましくは1個又は数個のアミノ酸の付加をいい、より好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、さらにより好ましくは1個のアミノ酸の付加をいう。
本明細書において用語「アミノ酸の保存的置換」とは、以下の表1の各群内におけるアミノ酸間の置換をいう。
Figure 0005065635
1個以上のアミノ酸の保存的置換とは、好ましくは1個又は数個のアミノ酸の保存的置換をいい、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、さらにより好ましくは1個のアミノ酸の保存的置換である。
Val−Thr−Xaa−Gly−Asn−Pro(VTXGNP)において1個以上のアミノ酸の欠失、付加及び/又は保存的置換を有するペプチドとしては、例えば、1個以上のアミノ酸の欠失を含むもの(例えば、TYGNP、YGNP、TVGNP等)、VTXGNP配列に1個以上のアミノ酸を付加したもの(例えば、MVTYGNP、MVTVGNP、VTYGNPR、VTVGNPR等)、1個以上のアミノ酸の保存的置換を含むもの(例えば、MTYGNP、MTVGNP、ITYGNP、VSYGNP、ITVGNP、ISYGNP等)並びにVTXGNP配列に1個以上のアミノ酸の保存的置換及び付加を含むもの(例えば、MTYGNPR、MTVGNPR等)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでは、好ましくは、VTYGNP又はVTVGNP配列において、1個以上のアミノ酸の欠失、付加及び/又は保存的置換を有するペプチドが用いられる。この中で好ましいペプチドとしては、TYGNP、YGNP(配列番号4)、MTYGNPRが挙げられ、より好ましくはTYGNP、YGNPである。なかでも、YGNPは、後述の実施例において、阻害活性を有することを確認することができる。従って、本発明はまた、配列番号4:Tyr−Gly−Asn−Proで表わされるペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩を提供する。
さらにVTXGNP配列において1個以上のアミノ酸の欠失、付加及び/又は保存的置換を有するペプチドは、生体への吸収性又は皮膚への浸透性の観点から、比較的低分子のものが望ましく、4〜10残基のアミノ酸長を有するものが好ましく、4〜7残基のアミノ酸長を有するものがより好ましい。
本発明のペプチドは、当該分野で公知の方法により作製され得る。例えば、本発明のペプチドは、化学合成方法(例えば、固相法(例えば、Fmoc法)、液相法等)により合成されてもよく、また遺伝子組換え発現等の方法により作製されてもよい。なお本発明のペプチドを構成するアミノ酸は、L−体であってもD−体であってもよいが、好ましくはL−体である。
さらに本発明のペプチドは、目的のアミノ酸配列を含むタンパク質のアミノ酸配列中から、目的のアミノ酸配列からなるペプチドをプロテアーゼ処理等の公知の手段によって切り出すことによっても調製することも出来る。また、プロテアーゼ処理後には、当該分野で公知の手段によって精製することにより、目的のペプチドを得てもよい。
本発明のペプチドの誘導体は、当該分野で公知の方法により、作製され得る。また、本発明のペプチドの塩も、当該分野で公知の任意の方法により、当業者によって容易に作製され得る。
以上のようにして得られた本発明のペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、MMP−1の活性を阻害してコラーゲン分解を抑制するために、また表皮角化細胞の増殖を促進するために使用することができる。
本発明はまた、前記ペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩を含むことを特徴とする組成物を提供する。かかる特徴を有することにより、該組成物は例えば、医薬組成物、食品、化粧料又は飼料として、さらに研究試薬として好適に使用され得る。
医薬組成物としては、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物におけるコラーゲン及び/又はヒアルロン酸量の低下や表皮のターンオーバー遅延に起因する疾患の治療剤又は予防剤が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、リウマチ、変形性関節症、骨関節炎等の関節疾患用の治療剤及び/又は予防剤として、紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの予防剤及び/又は治療剤として、皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する予防剤及び/又は治療剤として、さらに小皺、くすみ、色素沈着、肌荒れに対する予防剤及び/又は治療剤として好適に使用され得る。
食品としては、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物におけるコラーゲン及び/又はヒアルロン酸量の低下や表皮のターンオーバー遅延に起因する状態の改善用又は予防用の食品が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、関節痛などの症状に対する改善又は予防のための食品として、又は紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの改善又は予防のための食品として、皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する改善又は予防のための食品として、さらに小皺、くすみ、色素沈着、肌荒れに対する改善又は予防のための食品として好適に使用され得る。
化粧料としては、例えば、紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの予防及び/又は改善のための化粧料、皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する予防及び/又は改善のための化粧料、さらに小皺、くすみ、色素沈着、肌荒れに対する予防及び/又は改善のための化粧料が挙げられる。
飼料としては、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ、ウマ等の家畜や、イヌ、ネコ等のペット動物におけるコラーゲン及び/又はヒアルロン酸量の低下等に起因する状態の改善用又は予防用の飼料が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、角膜潰瘍等の角膜障害、リウマチ、関節炎、変形性関節炎、骨関節炎等の関節障害、炎症性疾患等の様々なコラーゲン及び/又はヒアルロン酸量の低下に起因する疾患の改善用又は予防用の飼料等としても好適に用いられ得る。
本組成物中の前記ペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩の含有量は、ペプチド等の種類、組成物の剤型等によっても異なるが、一般には、高いコラーゲン分解抑制効果又は表皮角化細胞増殖促進効果とそれに伴うヒアルロン酸量増大効果を得る観点から、好ましくは0.0001〜70重量%、より好ましくは0.001〜50重量%、さらに好ましくは0.001〜20重量%、さらにより好ましくは0.01〜10重量%、さらにより好ましくは0.05〜10重量%、さらにより好ましくは0.1〜10重量%である。
本発明の組成物は、前記ペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩の他に製剤分野や食品分野等において通常使用される担体、基剤、及び/又は添加剤等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合して調製することができる。
担体としては、例えば、糖類(例えば、マンニトール、乳糖、デキストラン等)、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、結晶性セルロース等)、水難溶性ガム類(例えば、アラビアガム、トラガントガム等)、架橋ビニル重合体、脂質類等が1種又は2種以上組み合わせて用いられ得る。
基剤としては、例えば、水、油脂類、鉱物油類、ロウ類、脂肪酸類、シリコーン油類、ステロール類、エステル類、金属石鹸類、アルコール等が1種又は2種以上組み合わせて用いられ得る。
添加剤としては、例えば、界面活性剤、可溶化成分、乳化剤、油分、安定化剤、増粘剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤、分散剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、経皮吸収促進剤、抗酸化剤、崩壊剤、可塑剤、緩衝剤、ビタミン類、アミノ酸類、着色剤、香料等が1種又は2種以上組み合わせて用いられ得る。
さらに本発明の組成物には、必要に応じて他の有用な作用を付加するために、皮膚に対して有効な作用を有する他の有用成分、例えば、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等を1種又は2種以上組み合わせて配合されてもよい。
本発明の組成物は、外用剤(化粧料を含む)、内服剤(食品及び飼料を含む)等の任意の剤型であり得、皮膚の老化症状に対してより直接的に高い効果を発揮させるためには、好ましくは外用剤として使用され得る。
外用剤としては、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ムース状、ジェル状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状等の任意の形態で使用され得る。
化粧料としては、例えば、ローション、乳液、クリーム、オイル、パック等の基礎化粧料、又はファンデーション、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料、さらに洗顔料、クレンジング、ボディ洗浄料等の洗浄料、入浴剤等の任意の形態で使用され得る。
内服剤(食品及び飼料を含む)としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、レモネード剤、ゼリー剤等の任意の形態で使用され得る。
また食品とする場合には、パン、麺、惣菜、食肉加工食品(例えば、ハム、ソーセージなど)、水産加工食品、調味料(例えば、ドレッシングなど)、乳製品、菓子(例えば、ビスケット、キャンディー、ゼリー、アイスクリームなど)、スープ、ジュースなどの任意の一般の食品形態としても提供され得る。このような形態にする場合、本発明のペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、目的とする食品の性質等に依存して、当業者に公知の方法により適宜配合され得る。
飼料としては、任意の形態で使用され得るため、特に限定は無い。
本発明の組成物は、MMP−1阻害作用及び/又は表皮角化細胞増殖促進効果を有することにより、コラーゲンの分解を阻害して生体内のコラーゲン量の低下を防ぎ、また表皮ターンオーバーを促し、生体内のヒアルロン酸量を高めるために使用され得る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
実施例1 ペプチドの調製
VTYGNP(配列番号2)及びVTVGNP(配列番号3)の2種のペプチドを、ペプチド自動合成装置を使用して通常の固相合成法に従い合成した。次いで、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、被験ペプチドを調製した。
実施例2 MMP−1活性阻害測定(1)
MMP−1 Colorimetric Assay Kit for Drug Discovery (BIOMOL社製)を用いて上記2種の被験ペプチドのMMP−1活性阻害効果を評価した。本キットは、発色性基質であるthiopeptideがMMP−1による切断を受けた際生じる412nmの吸光度を測定することにより、被験ペプチドの阻害活性を測定するものである。すなわち、所定濃度(100、200、400、800μMの各濃度)に調製したペプチド溶液20μL、MMP−1溶液(765mU/μL)20μL及びAssay buffer50μLを96wellプレートの各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。反応終了後、各ウェルに発色性基質10μLを添加し、予め37℃に保温したプレートリーダーにセットした(ここで、ペプチドの終濃度はそれぞれ、20、40、80、160μMであった)。その後、1分毎に412nmにおける吸光度を計10分間測定し、単位時間あたりの吸光度の増加率から任意のペプチド濃度での反応速度(V inhibitor)を算出した。コントロール(ペプチド未添加群)に関しても、反応速度(V control)を算出し、その比を利用して各ペプチド濃度における阻害活性(%)を以下式(a)により算出した。
阻害活性(%)=(1−(V inhibitor/V control))×100 (a)
上記の測定を各ペプチドについて実施し、各濃度における阻害活性を求め、ペプチド濃度−阻害活性をプロットすることによりIC50値を算出した。その結果、IC50値は、VTYGNPが29.6μM、VTVGNPが121.2μMであり、両ペプチドのMMP−1活性阻害効果が確認された。
実施例3 表皮角化細胞増殖率及びヒアルロン酸産生量の測定
正常ヒト成人***表皮角化細胞NHEK(B)(倉敷紡績株式会社製)を24wellプレートに1.0×10細胞/ウェルで播種し、1000μLのHuMedia−KG2培地(倉敷紡績株式会社製)にて4日間培養した。4日後培地を除去し、新たに25μg/mLまたは50μg/mL濃度の各被験ペプチドを含む1000μLのHuMedia−KG2培地を添加し、さらに3日間培養した。一方、被験ペプチドを添加しない1000μLのHuMedia−KG2培地を添加したものをコントロールとし、同様に3日間培養した。培養終了後、培地を採取し、採取した培地中に分泌されたヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット(生化学工業製)にて測定した。また、MTT法により生細胞数を測定し、コントロールの生細胞数を100%として、各被験ペプチドの各濃度における細胞増殖率を測定した。結果を以下の表2及び3に示す。
Figure 0005065635
Figure 0005065635
上記に示されるように、両ペプチドは表皮角化細胞の増殖促進作用を有し、培地中に分泌されるヒアルロン酸量も増大することが明らかとなった。
実施例4 MMP−1活性阻害測定(2)
VTYGNPペプチドを欠失させたYGNP(配列番号4)ペプチドについても、MMP−1活性阻害効果を確認した。
YGNPペプチドは、シグマアルドリッチジャパン株式会社(ジェノシス事業部)にてカスタム合成したものを使用した。
まず、MMP−1(終濃度0.25μg/mL)(BIOMOL社製)及び各濃度のYGNP(終濃度0.0001〜100μM)を混合し、96ウェルの蛍光測定用ブラックプレート(Nunc社製)中100μL/ウェルにて30分間放置した。次いで、MMP活性測定用基質(MMP Substrate 3 Fluorogenic(CALBIOCHEM社製))を、終濃度5μg/mLとなるように添加・混合し、全体量で200μL/ウェルとした。これらを37℃で30分間インキュベートした後、MMP−1活性を460nmの蛍光測定(ARVO社製)にて測定した。
その結果、YGNP濃度100μMで、MMP−1阻害活性を持たないペプチドを混合したネガティブコントロールと比較し、およそ37.4%の阻害効果が見られた。従って、VTYGNPペプチドを欠失させたYGNPペプチドにもMMP−1阻害活性があることが認められた。
本発明のペプチドもしくはその誘導体又はそれらの塩は、シワやたるみなどの皮膚の老化を予防・改善することができ、若々しい肌を維持すること等のために有益に利用され得る。
配列表の配列番号1は、MMP−1阻害活性を有するペプチドである。
配列表の配列番号2は、MMP−1阻害活性を有するペプチドである。
配列表の配列番号3は、MMP−1阻害活性を有するペプチドである。
配列表の配列番号4は、MMP−1阻害活性を有するペプチドである。

Claims (2)

  1. Val−Thr−Tyr−Gly−Asn−Pro(配列番号2)で表わされるペプチド、Val−Thr−Val−Gly−Asn−Pro(配列番号3)で表わされるペプチド、若しくはTyr−Gly−Asn−Pro(配列番号4)で表わされるペプチド、又はそれらの塩。
  2. 請求項1記載のペプチド又はそれらの塩を含む組成物。
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