この発明は、例えば、被覆電線の導体部分に圧着して、被覆電線の先端に装着する圧着端子に関する。
従来から、被覆電線の先端に装着する端子金具として、被覆をはがした導体部分を圧着する圧着部を備えた圧着端子が多く用いられている。
詳しくは、圧着端子は、長手方向の先端側に配置した端子接続部と、被覆電線の導体部分を圧着する長手方向の基端側に配置した圧着部とで構成するとともに、該圧着部を、前記導体部分を載置する圧着底面と、該圧着底面の幅方向両側から延出するワイヤーバレルと呼ばれる圧着片とで構成し、前記圧着底面に、セレーションと呼ばれる幅方向の溝形状である係止溝を、長手方向に所定間隔を隔てて複数備えている。
上記構成で構成された圧着端子は、圧着底面に載置した導体部分を圧着片で圧着することによって、端子接続部と導体部分とを電気的かつ機械的に接続することができる。
なお、圧着部を筒状に構成し、筒状の内面に圧着底面を設ける場合であっても、筒状内部に前記導体部分を挿入して圧着底面に載置し、筒状の圧着部を外部から潰して圧着することによっても、端子接続部と導体とを電気的かつ機械的に接続することができる。
また、圧着底面にセレーションを備えたことにより、圧着された導体部分の一部がセレーションの溝形状に応じて変形して、圧着された導体部分の圧着部からの引抜きを防止することができる。すなわち、セレーションによって機械接続性を向上することができる。
また、圧着底面にセレーションを備えたことによって、圧着片により圧着底面に圧着された導体部分は、凹状の係止溝に食い込んで変形するため、接触面積が増大して電気抵抗の少ない電気的接続を実現することができる。
しかし、このような圧着端子と導体部分との接続において、圧着片による圧着が弱いと導体部分との電気的接続における電気抵抗が増大し、逆に、圧着片による圧着が強いとセレーションに食込む変形による変形負荷が増大して、導体部分強度が低下し、使用上必要な強度以下の荷重で破断する惧れがあった。
そこで、圧着部と導体部分との間に別部材である圧着部材を介在させて圧着することによって導体部分が破断するような強い圧着を行わずとも、接触面積を拡大させ、電気抵抗を小さくすることのできる圧着方法が提案されている(特許文献1参照)。
上記特許文献1の圧着方法を用いることによって、良好な電気的接続及び機械的接続を両立することはできるものの、圧着時には別部材である圧着部材を介在させる必要があり、圧着作業の工程が増えるとともに、作業性が困難となるといった問題があった。また、圧着部材の部品コストが必要となるため、圧着端子に関するコストが増大するといった問題もあった。
さらには、近年の電子機器の軽量化、小型化に応じた電線の極細化が図られており、電線の極細化に伴って端子も小型化されている。そのような状況において、小型化された圧着端子に、極細化された導体部分を圧着する際に、その間に別部材で構成する圧着部材を介在させることは益々困難となっている。
特開2005−302475号公報
この発明は、電気接続性及び機械接続性を向上することができる圧着端子を提供することを目的とする。
この発明は、被覆電線の導体部分を圧着する圧着部を、前記導体部分を載置する圧着底面と、該圧着底面の幅方向両側から延出し、長手方向に平行な幅方向端部を有する圧着片とで構成し、前記圧着底面に、溝形状で形成し、前記長手方向に所定間隔を隔てて複数配置した幅方向の係止溝を備え、少なくとも基端側の基端側係止溝に、前記圧着部における前記係止溝部分による圧着によって圧縮される前記導体部分の圧縮量を、他の係止溝による圧縮量より低減させる圧縮量低減構造を備え、前記圧縮量低減構造を、前記基端側係止溝を構成し、他の係止溝より幅方向に長い幅長係止溝で構成した圧着端子であることを特徴とする。
また、この発明の態様として、前記幅長係止溝を、圧着状態の圧着片におけるカール部分に達する幅方向長さで形成することができる。
また、この発明の態様として、前記係止溝における幅方向端部である幅方向側面を、上方が前記幅方向外側に傾斜する傾斜側面で形成することができる。
この発明の態様として、前記圧縮量低減構造を、前記圧着片における少なくとも前記基端側係止溝に対応する部分に形成し、他の部分に比べて延出長さの短い短片部分で構成することができる。
上記溝形状は、長手方向の先端側の先端側溝側面と、基端側の基端側溝側面と、それらの下端を結ぶ溝底面とで構成する矩形断面溝形状、多角形断面溝形状、半円形断面溝形状、あるいは半楕円形断面溝形状であることを含み、溝形状で形成された上記係止溝は、長手方向に対して略直角方向である幅方向に配された断面溝形状のセレーションであること含む。
なお、上記基端側は、圧着端子の圧着する被覆電線が配置される側である長手方向の後方であり、上記先端側は、圧着端子における基端側と反対側であり、例えば、圧着部と端子接続部とで構成する圧着端子の場合、端子接続部側である長手方向の前方であることを含む。
さらに、上記長手方向は、圧着端子における基端側と先端側とを結ぶ方向であることを含み、上記幅方向は、該長手方向に対して直交し、圧着底面に沿う方向であることを含む。
上記圧着部は、圧着底面と、圧着底面の幅方向両側に配置されたいわゆるバレル片と呼ばれる圧着片とを備え、圧着前の状態で背面視略U型のオープンバレル形式や、あらかじめ圧着片の先端を上方で当接させた背面視略O型のクローズバレル形式のワイヤーバレルであることを含む。なお、圧着片の先端の当接とは、溶接等によって接合された状態、接触させただけの当接状態、あるいはわずかな隙間のある略当接状態であることを含む。
上記圧着底面とは、圧着部において、圧着アプリケータのクリンパによって圧着片が圧着される圧着方向の対向側部分であることをいう。
上記圧着端子は、上記圧着部と、雌型コネクタBOX、雄型コネクタBOX、あるいはねじ挿通孔等の端子接続部とを備えた接続端子や、圧着部のみで構成する接続端子であることを含む。
上記被覆電線は、複数の素線が純銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金のいずれかで構成された導体部分を絶縁性被覆体で被覆する被覆電線であり、例えば、軟銅線の素線で構成された導体部分を有する極細被覆電線であることを含む。
上記導体部分の圧着によって圧縮される圧縮量は、圧着前の導体部分の断面積と、圧着片による圧着によって圧縮された導体部分の断面積との差に基づく圧縮された体積であることをいう。
このように、圧着端子における被覆電線の導体部分を圧着する圧着部を、前記導体部分を載置する圧着底面と、該圧着底面の幅方向両側から延出し、長手方向に平行な幅方向端部を有する圧着片とで構成し、前記圧着底面に、溝形状で形成し、前記長手方向に所定間隔を隔てて複数配置した幅方向の係止溝を備え、少なくとも基端側の基端側係止溝に、前記圧着部における前記係止溝部分による圧着によって圧縮される前記導体部分の圧縮量を、他の係止溝による圧縮量より低減させる圧縮量低減構造を備え、前記圧縮量低減構造を、前記基端側係止溝を構成し、他の係止溝より幅方向に長い幅長係止溝で構成したことによって、被覆電線の導体部分を圧着部で圧着して、確実な電気的接続及び機械的接続を実現することができる。
詳しくは、圧着底面に係止溝を備えたことによって、圧着片により、圧着底面に圧着された導体部分は、凹状の係止溝に食込んで変形するため、接触面積が増大して電気抵抗の少ない電気的接続を実現できる。また、導体部分の係止溝に食込んだ変形によって、圧着部からの導体部分の引抜き抵抗を増大させることができる。
なお、圧着された導体部分の一部が凹状の係止溝に食込んで変形する際の変形負荷によって、導体部分の機械接続性が低下する惧れがあるが、少なくとも基端側係止溝に、前記圧着部における前記係止溝部分による圧着によって圧縮される前記導体部分の圧縮量を、他の係止溝圧着部分による圧縮量より低減させる圧縮量低減構造を備えたことにより、圧縮負荷すなわち変形負荷を低減させ、引抜き力に対する破断の惧れのない、機械接続性の高い接続を実現することができる。
詳しくは、圧着部における導体部分の圧縮量が大きくなると、電気抵抗値が低くなり電気接続性が向上するものの、圧縮による負荷が増大して導体部分の引抜き強度が低下するが、圧縮量低減構造によって、他の係止溝部分の圧着より圧縮量を低減できるため、引抜き強度が高く、導体保持力の高い、すなわち機械接続性に優れた接続を実現することができる。
また、所定間隔を隔てて複数配置した係止溝のうち、基端側の基端側係止溝に圧縮量低減構造を備えたことにより、他の係止溝部分においては、電気抵抗値の低い電気接続性を向上することができるため、1つの圧着部における導体部分の圧着において、電気接続性及び機械接続性を両立した接続信頼性の高い接続を実現することができる。
しかも、前記圧縮量低減構造を、前記基端側係止溝を構成し、他の係止溝より幅方向に長い幅長係止溝で構成したことによって、別の部材を用いずとも、基端側係止溝部分における導体部分の圧縮量を容易に低減することができる。また、従来の圧着治具を用いて圧着できるため、転用性が高く、利便性に優れている。
なお、圧縮量低減構造を、最も引抜き力が作用する基端側係止溝に備えたことにより、効率よく機械接続性を向上することができる。
また、殊に、導体部分が従来の撚り線と比べて細い極細電線である場合、圧着による過度の圧縮負荷によって破断しやすいが、基端側係止溝に圧縮量低減構造を備えたことによって、引抜き力が作用する極細電線である導体部分の圧縮負荷を低減することができるため、より好ましい。
さらにまた、圧着片を長手方向に平行な幅方向端部を有する形状で形成したことによって、各係止溝付近において安定して導体部分を圧着することができる。
さらに、この発明の態様として、前記幅長係止溝を、圧着状態の圧着片におけるカール部分に達する幅方向長さで形成したことによって、確実に圧縮量を低減させ、機械接続性を向上することができる。
また、この発明の態様として、前記係止溝における幅方向端部である幅方向側面を、上方が前記幅方向外側に傾斜する傾斜側面で形成したことによって、係止溝の幅方向端部付近における導体部分の変形による負担を低減することができ、機械接続性を向上することができる。
また、この発明の態様として、前記圧縮量低減構造を、前記圧着片における少なくとも前記基端側係止溝に対応する部分に形成し、他の部分に比べて延出長さの短い短片部分で構成したことによって、別の部材を用いずとも、基端側係止溝部分における導体部分の圧縮量を容易に低減することができる。また、従来の圧着治具を用いて圧着できるため、転用性が高く、利便性に優れている。
この発明によれば、電気接続性及び機械接続性を向上することができる圧着端子を得ることができる。
特に、前記圧縮量低減構造を、前記基端側係止溝を構成し、他の係止溝より幅方向に長い幅長係止溝で構成したので、別部材を用いることなく、基端側係止溝部分における導体部分の圧縮量を容易に低減することができ、また、従来の圧着治具を用いて圧着できるため、転用性が高く、利便性に優れる効果がある。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は斜視図による圧着端子1の説明図を示し,図2は平面図等による圧着端子1の説明図を示し、図3はワイヤーバレル部10の圧着方法を説明する説明図を示し、図4は圧着状態の圧着端子1の縦断面図による説明図を示し、図5は圧着状態におけるワイヤーバレル部10の横断面図による説明図を示し、図6はワイヤーバレル部10の圧縮率による圧着強度及び電気抵抗値の関係を示す性能グラフを示している。
なお、図1(a)は幅方向中央で分断した圧着端子1の斜視図を示し、図1(b)は圧着前の圧着端子1及び被覆電線100の斜視図を示し、図1(c)は圧着状態の圧着端子1の斜視図を示している。
また、図2(a)は折り曲げ加工前の板状態の圧着端子1の平面図を示し、図2(b)は折り曲げ加工が施された圧着端子1の平面図を示し、図2(c)は折り曲げ加工が施された圧着端子1の幅方向中央付近の縦断面図を示している。
また、図4(a)は、図4中央付近に配置した断面位置概要図に示す圧着端子1のA−A断面図を示し、図4(b)は圧着端子1のB−B断面図を示している。
また、図5(a)は圧着端子1における圧着状態の短バレル片12b部分の横断面図を示し、図5(b)は圧着状態の長バレル片12a部分の横断面図を示している。
本発明の圧着端子1において、被覆電線100の芯線102を圧着するワイヤーバレル部10は、芯線102を載置するバレル底部11と、バレル底部11の幅方向Yの両側から延出し、幅方向中心CLに平行な長手方向Xの幅方向端部を有するワイヤーバレル片12とで構成している。
バレル底部11には、溝形状で形成し、長手方向Xに所定間隔を隔てて3本配置した幅方向Yのセレーション20(20a,20b,20c)を備えている。
長手方向Xに3本配置されたセレーション20のうち基端側の後方セレーション20cに、ワイヤーバレル部10における後方セレーション20cによる芯線102の圧着によって圧縮される圧縮量を、前方セレーション20a及び中央セレーション20bによる圧縮量より低減させる圧縮量低減構造を備えている。
圧縮量低減構造は、ワイヤーバレル片12における後方セレーション20cに対応する部分に形成し、他の部分に比べて延出長さの短い(延出長L2)の短バレル片12bで構成している。
また、各セレーション20における幅方向Yの端部である幅方向側面24を、上方が前記幅方向Yの外側方向に傾斜するテーパー面で形成している。
上述した圧着端子1の構成について詳述すると、圧着端子1は、長手方向Xの前方から後方に向かって、図示省略する雄型コネクタの挿入を許容するコネクタボックス2と、コネクタボックス2の後方で、所定の長さの第1トランジション18を介して配置されたワイヤーバレル部10と、ワイヤーバレル部10の後方で所定の長さの第2トランジション19を介して配置されたインシュレーションバレル部15とを一体に構成している。
なお、ワイヤーバレル部10は、被覆電線100の芯線102をかしめて圧着し、インシュレーションバレル部15は被覆電線100の絶縁被覆101をかしめて固定している。
なお、被覆電線100は、近年の小型化、軽量化に伴い、従来の撚り線と比べて細い極細電線を束ねて芯線102を構成している。
圧着端子1は、図2(a)に示すように、組立前の板状態から折り曲げ加工によって立体構成している。コネクタボックス2は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタに接触する接触片2aを備えている。
圧着前のワイヤーバレル部10は、図1(b)に示すように、バレル底部11と、その幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するワイヤーバレル片12とで構成し、後方視略U型に形成し、圧着前のインシュレーションバレル部15も、バレル底部17と、その幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するインシュレーションバレル片16とで構成し、後方視略U型に形成している。
ワイヤーバレル部10のバレル底部11には、図1のa部に示すように、長手方向Xに所定間隔を隔てて配置した幅方向Yの3本のセレーション20(20a、20b、20c)を備えている。
なお、3本のセレーション20のうち、最も先端側、すなわちコネクタボックス2の側であるセレーションを前方の前方セレーション20aとし、3本の間に配置されたセレーションを中央セレーション20bとし、3本のうち最も基端側、すなわち後方のセレーションを後方セレーション20cとしている。
これらセレーション20は、図2のb部拡大図に示すように、いずれもバレル底部11に直交する前方側面21及び後方側面22、並びに前方側面21及び後方側面22の下端を結ぶバレル底部11に平行な溝底面23とで構成された凹状の縦断方向の断面が四角形である四角形断面溝形状で構成されている。
バレル底部11の幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するワイヤーバレル片12は、図2(a)に示すように、長手方向Xの前方で前方セレーション20a及び中央セレーション20bに対応し、バレル底部11からの延出長さの長い長バレル片12a(延出長L1)と、長手方向Xの後方で後方セレーション20cに対応し、バレル底部11からの延出長さの短い短バレル片12b(延出長L2)とを一体構成している。
詳しくは、短バレル片12bは、延出長L1の平面視横長の長方形で形成されたワイヤーバレル片12から、図2(a)において点線で示す切取部12cが切り取られたような形態で形成されている。
また、ワイヤーバレル片12の前方を構成する長バレル片12aの幅方向端部、及び後方を構成する短バレル片12bの幅方向端部ともに、幅方向中心CLに平行となるように、長手方向に長い平面視長方形状で形成されている。
なお、延出長さLは、圧着端子1の幅方向中心CLを基準とする幅方向Yの長さに設定し、長バレル片12aの延出長L1は、一般的な圧着端子のワイヤーバレル片の延出長であり、短バレル片12bの延出長L2は延出長L1の8割程度の長さで形成されている。
このように構成された圧着端子1の圧着前の状態において、図1(b)に示すようにワイヤーバレル部10と被覆電線100とを配置し、図3に示す圧着アプリケータ200で圧着することで図1(c)に示すように、ワイヤーバレル部10で芯線102を圧着して、圧着端子1を被覆電線100に装着することができる。
詳しくは、被覆電線100の芯線102がワイヤーバレル部10の内側となり、絶縁被覆101の前端付近がインシュレーションバレル部15の内側となるように、被覆電線100を圧着端子1の上方から載置し(図1(b)参照)、図3に示す圧着アプリケータ200のアンビル201にセットする(図3(a)参照)。
そして、図3(b)に示すように、ワイヤーバレル部10の上からクリンパ202を降ろして、アンビル201とクリンパ202とでワイヤーバレル部10を挟み込んで、図3(c)に示すように、ワイヤーバレル片12をカールさせる。
また、上述のワイヤーバレル部10の圧着と同時に、インシュレーションバレル部15の上から図示省略するインシュレーションバレル用のクリンパを降ろして、インシュレーションバレル用のアンビルとインシュレーションバレル用のクリンパとでインシュレーションバレル部15を挟み込んで、インシュレーションバレル片16をカールさせる。
これにより、ワイヤーバレル片12で芯線102をバレル底部11に押圧し、さらにはインシュレーションバレル片16で絶縁被覆101をバレル底部17に押圧し、幅方向Yに隣接する二山状の圧着状態を構成することができる(図3(c)、図5参照)。
こうして、ワイヤーバレル部10における芯線102の圧着状態において、接続状態の縦断方向の断面図を示す図4(a)におけるc部の拡大図に示すように、複数本で構成する芯線102がセレーション20に食込んで変形し、芯線102の周面から突出する食込み変形部103が形成される。
詳しくは、セレーション20に食込んだ食込み変形部103は、セレーション20の四角形断面溝形状に対応する四角形断面形状で変形し、芯線102の底面側に突出することとなる。
このように、ワイヤーバレル部10においてワイヤーバレル片12で芯線102を圧着して、セレーション20に食込んだ食込み変形部103が芯線102に形成されることにより、バレル底部11と芯線102との接触面積が増加され、ワイヤーバレル部10と芯線102との電気接続性を向上することができる。
また、セレーション20へ食込んだ食込み変形部103により、芯線102のワイヤーバレル部10に対する引抜き方向、すなわち長手方向Xの後ろ向きの引抜き力に対する抵抗を増大することができ、機械接続性を向上することができる。
したがって、バレル底部11にセレーション20を備えたことによる芯線102の変形によって、上述したような電気接続性及び機械接続性を向上することができる。
さらに、ワイヤーバレル片12を、長手方向Xの前方の長バレル片12aと長手方向Xの後方の短バレル片12bとで構成したことにより、ワイヤーバレル部10におけるワイヤーバレル片12による芯線102の圧着状態において、図4(a)におけるc部拡大図や図5に示すように、延出長L1で構成された長バレル片12aは、確実に芯線102の上部に食込んで圧着し、延出長L1より短い延出長L2で構成した短バレル片12bは芯線102を覆い被さるように圧着することができる。
これにより、図5(a)に示す後方セレーション20c部分の短バレル片12bによる圧着状態は、図5(b)に示す前方セレーション20a及び中央セレーション20b部分の長バレル片12aによる圧着状態と比較して、長バレル片12aの短バレル片12bより長い部分、すなわち、点線で示す切取部12cの芯線102の上部への食込み分の圧縮量を低減することができる。
なお、圧縮量は、圧着前の芯線102の断面積と、ワイヤーバレル片12の圧着によって圧縮された芯線102との断面積との差に基づく芯線102の圧縮された体積である。
これにより、芯線102に作用する圧縮による負荷を低減させることができ、引抜き強度が高く、導体保持力の高い、すなわち機械接続性に優れた接続を実現することができる。
この理由を説明するための図6の圧着部の圧縮率による圧着強度及び電気抵抗値の関係を示す性能グラフには、グラフの右側の圧縮率(元の断面積に対する圧着後の断面積の比率)が高い場合(つまり、あまり圧縮されていない状態)、圧着強度、すなわち導体部分の引抜き強度は90%程度をピークとして高くなり機械接続性に優れているが、電気抵抗値が高く、電気接続性に問題があり、逆に、グラフの左側の圧縮率が70%程度の場合(つまり圧縮量を増加させる)、電気抵抗値が低くなり電気接続性が向上するものの、導体部分の引抜き強度が低下することが示されている。
なお、以上は銅線の場合の性能グラフであり、銅合金やアルミ線の場合には最適な値は変化する。しかし、引張り強度のピーク位置と電気抵抗のボトム位置にはずれがあり、前者のほうが圧縮率の高い側に来る傾向は同じである。
このことからもわかるように、短バレル片12bによる後方セレーション20c部分の芯線102の圧縮率を高く設定する、すなわち圧縮量を低減することによって、芯線102の引抜き強度を向上させることができる。
これに対し、通常のワイヤーバレル片と同様の延出長L1で構成された長バレル片12aによる前方セレーション20aや中央セレーション20b部分については、圧縮量を増加させ、すなわち圧縮率を低く設定することによって、後方セレーション20c部分での圧縮量を低減させたことによる電気接続性の低下分を補って、電気接続性を向上させている。
さらにまた、また、ワイヤーバレル片12の前方を構成する長バレル片12aの幅方向端部、及び後方を構成する短バレル片12bの幅方向端部ともに、幅方向中心CLに平行となるように、長手方向に長い平面視長方形状で形成されているため、各セレーション20付近での安定した圧着状態を得ることができる。
このように、圧着端子1のワイヤーバレル部10においては、長手方向Xの後方向きの引抜き力が最も作用する後方セレーション20c部分の圧縮量を低減することで芯線102の引抜き強度を向上させ、後方セレーション20c部分の圧縮量を低減したことによって増加した電気抵抗値による電気接続性の低下を、圧縮率を低く設定した前方セレーション20a及び中央セレーション20b部分で補うことで、機械接続性及び電気接続性がともに高い接続信頼性の高い接続を実現することができる。
また、たとえば、後方セレーションを前方セレーションや中央セレーションより溝深さを浅く形成し、引抜き力が最も作用する後方セレーションに食込む変形部分の変形量を低減することによって変形負荷を低減させ、ワイヤーバレル部からの芯線の引抜き強度の増強を図る場合と比較して、すべて同じ溝深さで構成したセレーション20において、最も引抜き力が作用する後方セレーション20c部分の圧縮量を低減させる本実施例のワイヤーバレル部10は、確実に引抜き強度を増強することができる。
これは、本実施例のワイヤーバレル部10は、引抜き力が最も作用する後方セレーション20cにおいても十分の食込み変形量を確保しているため、十分な引抜き抵抗力を発揮できるとともに、圧縮量を低減させたことによる圧縮負荷が低減しているからである。
このように、本実施例のワイヤーバレル部10の引抜き強度の増強は、食い込み量確保による引抜き抵抗の増強及び圧縮負荷低減の組み合わせによって実現されており、変形負荷を低減できるが、食い込み変形量が低下することで引抜き抵抗が低減する後方セレーションを浅く形成した圧着部にくらべてはるかに引抜き強度を増強することができる。
また、セレーション20における幅方向Yの端部である幅方向側面24を、テーパー側面で形成しているため、セレーション20の左右方向の幅方向側面24による芯線102の変形による負荷を低減している。
詳しくは、幅方向側面24をバレル底部11に対して直交する端面で構成した場合、セレーション20の幅方向側面24の付近における芯線102の変形は、前方側面21及び後方側面22による長手方向Xの変形に加えて、バレル底部11に対して直交する端面による幅方向Yの変形も加わるため、変形による負荷が作用し、例えば引抜き力の付与により破断する惧れがある。
しかし、幅方向側面24をテーパー側面で形成したことによって、幅方向側面24による食込み変形部103の幅方向Yの変形が緩やかになり、セレーション20の幅方向側面24における変形による負荷を低減することができる。したがって、より確実で安定した機械的接続を実現することができる。
なお、後方セレーション20cに対応する部分のワイヤーバレル片12を短バレル片12bで構成し、後方セレーション20c部分の圧縮量を低減させたことによる圧縮負荷の低減は、過度の圧縮負荷によって損傷を受やすい、従来の撚り線と比べて細い極細電線で形成した芯線102の場合は、より引抜き抵抗を向上させることができるが、もちろん、通常の撚り線で構成された芯線においても同様の効果を得ることができる。
このように、本実施例の圧着端子1は、別部材を用いずとも、ワイヤーバレル片12を長バレル片12aと短バレル片12bとで構成することによって、圧着状態における後方セレーション20c部分の芯線102を圧縮量を低減させて機械接続性及び電気接続性がともに高い接続信頼性の高い接続を実現しており、別部材を用いて機械接続性及び電気接続性の両立を図る場合と比較して、作業性においても、コスト性においても優れている。
また、本実施例の圧着端子1は、ワイヤーバレル片12を長バレル片12aと短バレル片12bとで構成しているが、図3に示す従来の圧着アプリケータ200で圧着することができるため、例えば、専用の圧着アプリケータを必要とする圧着端子と比較して、製造コストを低減できるとともに、汎用性が高く、利便性が高い。
さらにまた、あらかじめワイヤーバレル片12の先端を上方で当接させた背面視略O型のクローズバレル形式のワイヤーバレルである場合においては、前方セレーション20aや中央セレーション20bに対応する部分の長バレル片12aが筒状となり、長バレル片12aより延出長の短い、後方セレーション20cに対応する短バレル片12bは筒状の上部に長手方向Xのスリットが設けられたような、背面視略U型に形成することで上記効果を得ることができる。
次に、別の実施例である圧着端子1’について、図7乃至10とともに説明する。
図7は斜視図による圧着端子1’の説明図を示し,図8は平面図等による圧着端子1’の説明図を示し、図9は圧着状態の圧着端子1’の縦断面図による説明図を示し、図10は圧着状態におけるワイヤーバレル部10’の横断面図による説明図を示している。
なお、図7(a)は幅方向中央で分断した圧着端子1’の斜視図を示し、図7(b)は圧着前の圧着端子1’及び被覆電線100の斜視図を示し、図7(c)は圧着状態の圧着端子1’の斜視図を示している。
また、図8(a)は折り曲げ加工前の板状態の圧着端子1’の平面図を示し、図8(b)は折り曲げ加工が施された圧着端子1’の平面図を示し、図8(c)は折り曲げ加工が施された圧着端子1’の幅方向中央付近の縦断面図を示している。
また、図9(a)は、図9中央付近に配置した断面位置概要図に示す圧着端子1’のA−A断面図を示し、図9(b)は圧着端子1’のB−B断面図を示している。
また、図10(a)は圧着端子1’における圧着状態の後方セレーション20c’の部分の横断面図を示し、図10(b)は圧着状態の前方セレーション20aや中央セレーション20bの部分の横断面図を示している。
本発明の圧着端子1’において、被覆電線100の芯線102を圧着するワイヤーバレル部10’は、芯線102を載置するバレル底部11’と、バレル底部11’の幅方向Yの両側から延出し、幅方向中心CLに平行な長手方向Xの幅方向端部を有するワイヤーバレル片12’とで構成している。
バレル底部11’には、溝形状で形成し、長手方向Xに所定間隔を隔てて3本配置した幅方向Yのセレーション20(20a,20b,20c)を備えている。
長手方向Xに3本配置されたセレーション20のうち基端側の後方セレーション20c’に、ワイヤーバレル部10’における後方セレーション20c’によるワイヤーバレル片12’の圧着によって圧縮される圧縮量を、前方セレーション20a及び中央セレーション20bによる圧縮量より低減させる圧縮量低減構造を備えている。
なお、圧縮量低減構造は、前方セレーション20aや中央セレーション20bより幅方向Yに長い幅長溝形状の後方セレーション20c’で構成している。後方セレーション20c’の幅長溝形状は、圧着状態のワイヤーバレル片12’におけるカール部12d’に達する幅方向Yの幅方向長さW2で形成している。
また、各セレーション20’における幅方向Yの端部である幅方向側面24’を、上方が前記幅方向Yの外側方向に傾斜するテーパー面で形成している。
上述した圧着端子1’の構成について詳述すると、圧着端子1’は、上述の実施例1の圧着端子1と同様に、コネクタボックス2と、ワイヤーバレル部10’と、インシュレーションバレル部15とを一体に構成している。
なお、絶縁被覆101及び芯線102で構成する被覆電線100、圧着端子1’におけるコネクタボックス2、第1トランジション18、第2トランジション19、インシュレーションバレル部15は、上述の実施例1における構成と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
ワイヤーバレル部10’のバレル底部11’には、図7のa部に示すように、長手方向Xに所定間隔を隔てて配置した幅方向Yの3本のセレーション20’(20a、20b、20c’)を備えている。
3本のうち最も先端側、すなわちコネクタボックス2の側である前方の前方セレーション20aと、3本の間に配置された中央セレーション20bとは、上述の実施例1における圧着端子1の前方セレーション20a及び中央セレーション20bと同じ構成であるため詳細な説明を省略する。
3本のうち最も基端側、すなわち後方の後方セレーション20c’は、前方セレーション20aや中央セレーション20bと同じ溝深さ及び長手方向Xの溝幅の溝形状で構成されている。
詳しくは、バレル底部11’に直交する略鉛直方向の前方側面21’及び後方側面22’と、前方側面21’及び後方側面22’の下端を結ぶ溝底面23’で構成される、図2のb部拡大図に示すような、前方セレーション20aや中央セレーション20bと同様の四角形断面溝形状で構成されている。
そして、後方セレーション20c’は、バレル底部11’の幅方向Yの長さと同程度の幅方向長さW1に形成された前方セレーション20aや中央セレーション20bより、幅方向Yの長さが長い幅方向長さW2の幅長溝形状で形成されている。
詳しくは、幅長溝形状を構成する幅方向長さW2は、前方セレーション20aや中央セレーション20bの幅方向長さW1より約1.3倍長く形成され、圧着後はワイヤーバレル片12’の幅方向Yの中央付近にまで達している。
なお、各セレーション20’における幅方向Yの端部である幅方向側面24’を、テーパー面で形成している。
このように構成された圧着端子1’を、上述の実施例1で説明したように、圧着前の状態において、図7(b)に示すようにワイヤーバレル部10’と被覆電線100とを配置し、図3に示す圧着アプリケータ200で圧着することで図7(c)に示すように、ワイヤーバレル部10’で芯線102を圧着し、図10に示すような、幅方向Yに隣接する二山状の圧着状態で、圧着端子1’を被覆電線100に装着することができる。
こうして、ワイヤーバレル部10’における芯線102の圧着状態において、接続状態の縦断方向の断面図を示す図9(a)におけるc部の拡大図に示すように、複数本で構成する芯線102の下側がセレーション20’に食込んで変形し、芯線102の周面から突出する食込み変形部103’(103a,103b’)が形成される。
詳しくは、前方セレーション20a及び中央セレーション20bに食込んだ食込み変形部103aは、上述の実施例1における食込み変形部103aと同様に、前方セレーション20a及び中央セレーション20bの四角形断面溝形状に対応する四角形断面形状で変形し、芯線102の底面側に突出することとなる。
また、同様に、後方セレーション20c’による食込み変形部103b’も、食込み変形部103aと同様に、四角形断面溝形状に対応する四角形断面形状で変形し、芯線102の底面側に突出することとなる。
さらには、図9(b)や図10に示すように、食込み変形部103b’は、圧着状態においてカールするワイヤーバレル片12’におけるバレル底部11’に対向するカール部分12d’、すなわち、幅方向Yに隣接する二山状の圧着状態において、上側の二山部分にまで達する長さで形成される。
換言すると、カールさせられたワイヤーバレル片12’による圧着状態において、上側の二山部分であるカール部12d’まで達する長さである幅方向長さW2の幅長溝形状で形成された後方セレーション20c’に食い込んで食込み変形部103b’は形成される。
これにより、横断面図によって前方セレーション20aや中央セレーション20b部分における圧着状態を説明する図10(b)に示すように、芯線102の幅方向Yの斜め外側上方まで形成される前方セレーション20aや中央セレーション20bの食込み変形部103aの圧縮量と比較して、幅長溝形状で形成された後方セレーション20c’の食込み変形部103bは、カール部12d’まで延びる部分に食い込んだ変形部分だけ圧縮量が低減された状態で圧着されることとなる。
このように、ワイヤーバレル部10’においてワイヤーバレル片12’で芯線102を圧着して、セレーション20’に食込んだ食込み変形部103’が芯線102に形成されることにより、バレル底部11’と芯線102との接触面積が増加され、ワイヤーバレル部10’と芯線102との電気接続性を向上することができる。
また、セレーション20’へ食込んだ食込み変形部103’により、芯線102のワイヤーバレル部10’に対する引抜き方向の抵抗を増加することができ、機械接続性を向上することができる。
したがって、バレル底部11’にセレーション20’を備えたことによる芯線102の変形によって、上述したような電気接続性及び機械接続性を向上することができる。
さらに、後方セレーション20c’を、カールさせられたワイヤーバレル片12’による圧着状態において、上側の二山部分であるカール部12d’まで達する長さである幅方向長さW2の幅長溝形状で形成したことにより、ワイヤーバレル部10’におけるワイヤーバレル片12’による芯線102の圧着状態において、図10に示すように、幅方向長さW1で形成された前方セレーション20aや中央セレーション20b部分における圧縮量より、後方セレーション20c’におけるカール部12d’まで達した部分の圧縮量を低減することができる。
これにより、図6で示すように芯線102に作用する圧縮による負荷を低減させることができ、引抜き強度が高く、導体保持力の高い、即ち機械接続性に優れた接続を実現している。
また、図10(b)に示すように、後方セレーション20c’での圧縮量より、前方セレーション20aや中央セレーション20b部分での圧縮量が多くなるように、前方セレーション20aや中央セレーション20bを幅方向長さW1で形成することによって、圧縮量を増加させ、すなわち圧縮率を低くし、後方セレーション20c’部分での圧縮量を低減させたことによる電気接続性の低下分を補って、電気接続性を向上させている。
このように、圧着端子1’のワイヤーバレル部10’においては、長手方向Xの後方向きの引抜き力が最も作用する後方セレーション20c’部分の圧縮量を低減することで芯線102の引抜き強度を向上させ、後方セレーション20c’部分の圧縮量を低減したことによって増加した電気抵抗値による電気接続性の低下を、圧縮率が低く設定された前方セレーション20a及び中央セレーション20b部分で補うことで、機械接続性及び電気接続性がともに高い接続信頼性の高い接続を実現することができる。
また、たとえば、引抜き力が最も作用する後方セレーションを前方セレーションや中央セレーションより溝深さを浅く形成し、後方セレーションに食込む変形部分の変形量を低減することによって変形負荷を低減させ、ワイヤーバレル部からの芯線の引抜き強度の増強を図る場合と比較して、すべて同じ溝深さで構成したセレーション20’において、最も引抜き力が作用する後方セレーション20c’部分の圧縮量を低減させる本実施例のワイヤーバレル部10’における引抜き強度は、確実に増強することができる。
これは、本実施例のワイヤーバレル部10’は、引抜き力が最も作用する後方セレーション20c’においても十分の食込み変形量を確保しているため、十分な引抜き抵抗力を発揮できるとともに、圧縮量を低減させたことによる圧縮負荷が低減しているからである。
このように、本実施例のワイヤーバレル部10’の引抜き強度の増強は、食い込み量確保による引抜き抵抗の増強及び圧縮負荷低減の組み合わせによって実現されており、変形負荷を低減できるが、食い込み変形量が低下することで引抜き抵抗が低減する後方セレーションを浅く形成した圧着部にくらべてはるかに引抜き強度を増強することができる。
また、上述の実施例1におけるセレーション20と同様に、セレーション20’における幅方向Yの端部である幅方向側面24’を、テーパー側面で形成しているため、幅方向側面24’による食込み変形部103’の幅方向Yの変形が緩やかになり、セレーション20の幅方向側面24’における変形による負荷を低減することができる。したがって、より確実で安定した機械的接続を実現することができる。
なお、後方セレーション20c’を圧着状態においてカール部12d’に達する長さである幅方向長さW2で構成し、後方セレーション20c’部分の圧縮量を低減させたことによる圧縮負荷の低減は、過度の圧縮負荷によって損傷を受やすい、従来の撚り線と比べて細い極細電線で形成した芯線102の場合は、より引抜き抵抗を向上させることができるが、もちろん、通常の撚り線で構成された芯線においても同様の効果を得ることができる。
このように、本実施例の圧着端子1’は、別部材を用いずとも、後方セレーション20cを幅方向長さW2の幅長溝形状で形成したことによって、圧着状態における後方セレーション20c部分の芯線102を圧縮量を低減させて機械接続性及び電気接続性がともに高い接続信頼性の高い接続を実現しており、別部材を用いて機械接続性及び電気接続性の両立を図る場合と比較して、作業性においても、コスト性においても優れている。
また、本実施例の圧着端子1’は、図3に示す従来の圧着アプリケータ200で圧着することができるため、例えば、専用の圧着アプリケータを必要とする圧着端子と比較して、製造コストを低減できるとともに、汎用性が高く、利便性が高い。
さらにまた、あらかじめワイヤーバレル片12’の先端を上方で当接させた背面視略O型のクローズバレル形式のワイヤーバレルである場合であっても、上記効果を得ることができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の導体部分は、芯線102に対応し、
以下同様に、
圧着部は、ワイヤーバレル部10,10’に対応し、
圧着底面は、バレル底部11,11’に対応し、
圧着片は、ワイヤーバレル片12,12’に対応し、
係止溝は、セレーション20,20’に対応し、
基端側係止溝は、後方セレーション20c,20c’に対応し、
短い延出長は、延出長L2に対応し、
短片部分は、短バレル片12bに対応し、
対向部分は、カール部12d’に対応するも
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
圧着端子の斜視図による説明図。
圧着端子の説明図。
ワイヤーバレル部の圧着方法を説明する説明図。
圧着状態の圧着端子の縦断面図による説明図。
圧着状態におけるワイヤーバレル部の説明図。
ワイヤーバレル部の圧縮率による圧着強度及び電気抵抗値の関係を示す性能グラフ。
第2の実施例の圧着端子の斜視図による説明図。
第2の実施例の圧着端子の説明図。
第2の実施例の圧着状態の圧着端子の縦断面図による説明図。
第2の実施例の圧着状態におけるワイヤーバレル部の説明図。
1,1’…圧着端子
10,10’…ワイヤーバレル部
11,11’…バレル底部
12,12’…ワイヤーバレル片
12b…短バレル片
12d’…カール部
20,20’…セレーション
20c,20c’…後方セレーション
24,24’…幅方向側面
100…被覆電線
102…芯線
L2…延出長
W2…幅方向長さ
X…長手方向
Y…幅方向