JP5062841B2 - 水道メータ及び水道メータ用インナーケース - Google Patents

水道メータ及び水道メータ用インナーケース Download PDF

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Description

本発明は、接線流羽根車式の水道メータの内部で羽根車の周囲を覆う水道メータ用インナーケース及びその水道メータ用インナーケースを備えた水道メータに関する。
従来のこの種の水道メータ用インナーケースとしては、例えば、水道メータ用インナーケースの円筒内面を径方向と交差する方向に貫通した複数の導入流路を形成し、インナーケースの内側で水道水を旋回させて、羽根車の回転効率を上げることで、計測精度の向上を図ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−105771号公報([0014]、第1図、第2図)
ところで、水道メータの型式承認及び検定については、計量法の特定計量器検定検査規則(検則)が適用されていたが、平成17年の省令改正により、検則がJIS規格(JIS B 8570−2:2005)を引用するものに改正され、これに伴い、合格基準が変更された。例えば、器差試験に関していえば、検定公差が縮小されると共に、器差の水温特性や器差の水圧特性に関する試験が追加された。従って、器差のピーク(微流量域において器差がプラス側に大きくなること)をなるべく小さく抑えたものや器差曲線の直線性に優れたより高精度な水道メータの開発が必要であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、更なる精度の向上を図ることが可能な水道メータ及びそのインナーケースの提供を目的とする。
本発明者は、従来より高精度な水道メータを開発すべく、鋭意研究してきたところ、以下の見知を見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、羽根車の回動軌跡と同心の円における周方向の複数位置から羽根車の回転方向の後側に複数の導入突壁が張り出され、隣り合った導入突壁同士の間に複数の矩形導入口が形成された水道メータ用インナーケースにおいて、導入突壁のうち、矩形導入口における羽根車の回転方向の後側開口縁から回転方向の後方に延びた後側導入面の前縁部に、内側円弧面から外側に立ち上がった導入先端平面を形成することで、更なる精度の向上を図ることが可能な本発明に完成するに至った。本発明は、次の水道メータ用インナーケース及び水道メータである。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る水道メータ用インナーケースは、接線流羽根車式水道メータの内部で一方向に回転する羽根車を覆う下端有底の円筒構造をなすと共に、羽根車の回動軌跡円と同心の円における周方向の複数位置から羽根車の回転方向の後側に張り出された複数の導入突壁と、隣り合った導入突壁同士の間に形成された複数の矩形導入口とを有し、水道水を導入突壁で案内して矩形導入口から内部に導入し、旋回させることが可能な水道メータ用インナーケースであって、各導入突壁には、羽根車の回動軌跡円と同心の円上に配置された内側円弧面と、矩形導入口における羽根車の回転方向の後側開口縁から回転方向の後方に延びた後側導入面と、矩形導入口における前側開口縁から回転方向の後方に延びた前側導入面とが形成された水道メータ用インナーケースにおいて、後側導入面の前縁部を除く全体は、平坦面とされ、後側導入面の前縁部には、平坦面から前端から前側に向かうに従って徐々に内側円弧面側に接近した漸近面と、内側円弧面から外側に立ち上がって漸近面の前端と90°〜130°の角度で交差した導入先端平面とが形成されたところに特徴を有する。
なお、本願請求項1における「一方向に回転する羽根車」の「一方向」とは、通常の水道使用中(蛇口を開いた状態)における回転方向のことを意味する。また、水道を使用していない(蛇口を閉めた)状態で偶発的に(例えば、蛇口を急峻に閉めた場合にその反動で)「一方向」とは逆方向に羽根車が回転し得るものを排除するものではない。
請求項2の発明は、請求項1に記載の水道メータ用インナーケースにおいて、漸近面から前方への延長線と内側円弧面との交点から導入先端平面までの距離を、0.165〜0.437mmにしたところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の水道メータ用インナーケースにおいて、内側円弧面と羽根車に備えた羽根の先端部との間の隙間が、内側円弧面の直径の2.2%以下になるように構成したところに特徴を有する。
請求項4の発明に係る水道メータは、請求項1乃至3の何れかに記載の水道メータ用インナーケースと、水道メータ用インナーケースに収容されて流量に応じて回転する羽根車とを備えたところに特徴を有する。
上記のように構成した本発明によれば、従来のものに比べて、器差曲線のピークを小さくすることができると共に、器差曲線の直線性を向上させることができた。これにより、水道メータの更なる精度の向上が可能となる。
また、請求項2の発明のように、漸近面から前方への延長線と内側円弧面との交点から導入先端平面までの距離を、0.165〜0.437mmにすると、水温10℃〜30℃の範囲において、器差を検定公差内に収めることができる。
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図15に基づいて説明する。
図1に示した本実施形態の水道メータ10は、所謂「接線流羽根車式」の水道メータであって、メータケース11の内部に羽根車30及び水道メータ用インナーケース40(以下、単に「インナーケース40」という)が収容されている。メータケース11は、鋳物下ケース12の上端面に鋳物上ケース13を組み付けてなる。鋳物下ケース12は、上端開放の円筒部14の外周面から相反する方向に1対の連結管15,15を延設した構造をなし、これら連結管15,15が、図示しない水道管に連結される。そして、図1における左側の連結管15の先端開口が流入口15Aをなす一方、反対側の連結管15の先端開口が流出口15Bをなしている。また、鋳物下ケース12は、所謂「複箱式(20mm)」であり、その内部は流入口15Aから下方に延びた下側部屋17と、下側部屋17の上方に位置した上側部屋16とに分けられている。これら上側部屋16と下側部屋17とは円筒部14内で上下に重なりかつ連絡口18を介して連通している。なお、本実施形態のメータケース11のうち、鋳物下ケース12の主要寸法は、JIS B 8570−1:2005の「附属書A」に示された「複箱式20mm水道メーター」に適合するものとなっている。
円筒部14の上端には開放口が形成され、ここからインナーケース40及びユニットケース20が挿入組み付けされる。インナーケース40の内部には羽根車30が収容され、インナーケース40内を流れる流量に応じてこの羽根車30が回転する。インナーケース40の外周面のうち、軸方向の途中部分には段差部42が設けられ、この段差部42がメータケース11における連絡口18の縁部に上方から押し当てられている。また、インナーケース40のうち羽根車30の上方には、ユニットケース20が重ねて組み付けられている。ユニットケース20の内側は防水部屋になっており、ここに図示しない積算表示ユニットが収容されている。
積算表示ユニットは水道水の積算流量を計数して表示する。そして、鋳物上ケース13に備えた上面蓋13Fを開けると、鋳物上ケース13の上壁に設けたガラス窓を通して、積算表示ユニットの表示を見ることができる。
羽根車30は合成樹脂製であり、図1に示すように、上下方向に延びたシャフト31の外周面に、複数の羽根32を張り出し形成して備える。複数の羽根32は、平坦な突片状をなし、図3(A)に示すように、シャフト31を周方向で7等配した位置から径方向を向いて真っ直ぐ延びている。
図1に示すように、シャフト31の芯部には下端開放の空洞が形成されており、その奥部には、後述するピン44との摩擦を低減するための軸受34が嵌合されている。そして、ピン44が軸受34に突き当たった状態で、羽根車30がインナーケース40の底壁43から浮くようになっている。
シャフト31の上端には、マグネット35Mが固着されている。積算表示ユニットには、マグネット35Mと対向する位置に磁気センサー(図示せず)が備えられ、この磁気センサーにより、羽根車30の回転が検出されている。
インナーケース40は、合成樹脂製の成形品であり、図1及び図3(A)に示すように、羽根車30の周囲を覆った下端有底の円筒構造をなしている。
図5に示すように、インナーケース40の上端には開放口41Bが備えられており、この開放口41Bから羽根車30が挿入される。また、インナーケース40の外周面のうち、軸方向の中間部分には前記段差部42が形成されており、その段差部42より上側部分の外径が下側部分より大きくなっている(図6参照)。
図5に示すように、インナーケース40の下端を閉塞した底壁43の内面には、中心にエンボス部43Eが設けられ、そのエンボス部43Eから放射状に複数のリブ43Lが延びている。エンボス部43Eの中心には、ピン貫通孔48が形成され、そこには金属製のピン44が上方から挿通されている(図1参照)。また、ピン44のうちエンボス部43Eを貫通した下端部には、抜け止め用金属板44Kが係止されている。
インナーケース40は、ピン44(ピン貫通孔48)を中心とした直径R1の円筒内面41A(本発明に係る「内側円弧面」に相当する)を備えており、その円筒内面41Aと、羽根車30の羽根32の先端縁との間には、所定の寸法L1の隙間(ギャップ)45が形成されている(図3(B)参照)。なお、後述するが、隙間45の寸法L1は、円筒内面41Aの直径R1(本実施形態では、例えば47.4mm)の2.2%以下になるようにすることが好ましい。
図5及び図6に示すように、インナーケース40のうち段差部42より上側には、周方向で3等配した位置に排出孔46が形成されている。排出孔46は、インナーケース40の周壁を径方向と斜めに交差する方向(略接線方向)に向けて貫通している(図7参照)。そして、図1に示すように、排出孔46はメータケース11の上側部屋16に連通しており、インナーケース40内の水が上側部屋16に排出される。
図6に示すように、インナーケース40のうち段差部42より下側には、周方向の複数位置(詳細には、周方向で8等配した位置)に導入ノズル47が形成されている。各導入ノズル47はメータケース11の下側部屋17に連通しており、下側部屋17に流入した水をインナーケース40内に取り込んで、羽根車30を一方向(例えば、図3(A)における反時計回り方向、図9における反時計回り方向)に回転させるためのものである。
詳細には、円筒内面41Aにおける周方向の複数位置(周方向で8等配した位置)からは、羽根車30の回転方向の後側に向かって導入突壁50が張り出されており、隣り合った導入突壁50,50同士の間が導入ノズル47を構成している。また、隣り合った各導入突壁50,50同士の間に矩形導入口47Aが形成されている。矩形導入口47Aは、全部で8つであり、円筒内面41Aの周方向に等間隔に配置されている。
各導入突壁50は、各矩形導入口47Aの開口縁のうち、羽根車30の回転方向における前側開口縁47A1(例えば、矩形導入口47Aに外方から向かって右側の開口縁、図9参照)から、それら各矩形導入口47Aを覆うように外方に向けて張り出し形成されている。
図4及び図6に示すように、各導入ノズル47の上面47Bは、矩形導入口47Aに近づくに従って降下した傾斜面47B1と、その傾斜面47B1と矩形導入口47Aの上縁部との間を連絡した水平面47B2とから構成されている。また、各導入ノズル47は下方に開放している。即ち、導入ノズル47は下方以外の三方が閉じられた構造となっている。
ところで、図3〜図6に示すように、各導入突壁50には、矩形導入口47Aにおける羽根車30の回転方向の後側開口縁47A2(矩形導入口47Aに外方から向かって左側の開口縁)から、回転方向の後方に延びた後側導入面51と、矩形導入口47Aにおける前側開口縁47A1から回転方向の後方に延びた前側導入面52とが形成されている。前側導入面52は、矩形導入口52に側方から対向すると共に、その矩形導入口52の後側開口縁47A2から延びた隣接する導入突壁50の後側導入面の前側部分に側方から対向している(図10参照)。
そして、矩形導入口47Aの前後に配置された前側導入面52と後側導入面51との間に前記導入ノズル47が形成され、それら導入ノズル47を通って矩形導入口47Aからインナーケース40内に流入した水が、インナーケース40内で一方向に旋回するようになっている。これにより、羽根車30がその一方向に回転する。
導入突壁50の前側導入面52は、インナーケース40の軸方向(図9の紙面と直交する方向)に平行な平面で構成されている。前側導入面52は、円筒内面41Aとの交点における円筒内面41Aの接線に対して所定の交差角θ1(本実施形態では、約18°)で交差している(図9参照)。
これに対し、導入突壁50の後側導入面51は前側導入面52と非平行な平面で構成されている。後側導入面51は、図11に示すように、インナーケース40の外周面から矩形導入口47Aの近傍位置まで延びた平坦面51Aと、後側導入面51の前縁部に設けられて、平坦面51Aの前端から前側に向かうに従って徐々に円筒内面41Aに接近した漸近面51Bとを備えている。これら平坦面51A及び漸近面51Bは、共にインナーケース40の軸方向(図11の紙面と直交する方向)に平行な平面である。ここで、本実施形態では、平坦面51Aと漸近面51Bとの間の屈曲角が約158°となっている。また、漸近面51Bから前方へ延ばした延長線S1と、その延長線S1が円筒内面41Aと交差する交点P1における接線S2との交差角θ2が約20°となるように構成されている。また、図12に示すように、後側導入面51の平坦面51Aは、円筒内面41Aよりも大径な同心円R2に外接するように構成されている。例えば、円筒内面41Aの直径R1を47.4mmとした場合に、同心円R2の直径は約48.9mmとなっている。また、前側導入面52から前方への延長線は、円筒内面41Aより小径な同心円R3に外接するように構成されている。例えば、円筒内面41Aの直径R1を47.4mmとした場合に、同心円R3の直径は約45.4mmとなっている。そして、後側導入面51の前縁部には、漸近面51Bに連続させて本発明の導入先端平面53が形成されている。
図11に示すように、導入先端平面53はインナーケース40の軸方向に平行な平面で構成されている。導入先端平面53は、円筒内面41Aから外側に立ち上がって漸近面51Bの前端と交差しており、矩形導入口47Aの後側開口縁47A2を構成している。また、導入先端平面53は、漸近面51Bを前方に延ばした延長線S1が円筒内面41Aを含む円弧と交差する交点P1から羽根車30の回転方向の後方側に距離W(以下、「オフセット距離W」という)だけずらした位置で円筒内面41Aと交差しており、漸近面51Bに対してほぼ直角に交差している。これにより、後側導入面51の前縁部が三角(鋸歯)形状になっている。
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
水道メータ10を水道管(図示せず)の途中に接続すると、一方の連結管15を通ってきた水道水が、下側部屋17に流入し、インナーケース40に形成した導入ノズル47及び矩形導入口47Aを通ってインナーケース40内に流入する。このとき、導入突壁50により水道水は円筒内面41の略接線方向に案内されてインナーケース40内に流入する。これにより、水道水がインナーケース40内で旋回しながら上方に向かう。そして、排出孔46を通ってインナーケース40から上側部屋16に流出し、他方の連結管15へと排出される。
インナーケース40に収容された羽根車30は、インナーケース40内で旋回する水道水を受けてその旋回方向に回転する。羽根車30の回転は、マグネットカップリングを介して、積算表示ユニットに伝達され、これにより水道水の流量が計測される。
[実験1]
本発明に係る「導入先端平面53」の効果を調べるべく以下の実験を行った。実験方法は以下の通りである。
[実験方法]
上記実施形態と同一構造を有した本発明の実施品としての水道メータ10と、導入先端平面53を備えていない従来の水道メータ(以下、適宜「従来品1」という)とを製作した。本発明の実施品である水道メータとしては、導入先端平面53のオフセット距離W(図11参照)を0.25mmにしたもの(以下、「実施品1」という)と、0.375mmとしたもの(以下、「実施品2」という)と、0.5mmとしたもの(以下、「実施品3」という)とを製作した。なお、隙間45の寸法L1は、実施品1,2,3及び従来品1で全て同一(1.25mm)とした。
次に、これら各水道メータ(実施品1,2,3及び従来品1)に対して、計量法の特定計量器検定検査規則に規定されている試験方法(JIS B 8570−2:2005の「7.2 器差試験」)に従い器差試験を行った。具体的には、予め設定した流量で通水して、そのときの計量値(水道メータの表示値)を求めた。なお、定格最大流量Q3は4m/h、限界流量Q4は5m/h、定格最小流量Q1は0.04m/h、転移流量Q2は0.064m/hに設定した。また、試験水温は20℃とした。
そして、設定流量毎に各水道メータ(実施品1,2,3及び従来品1)の器差を算出して図13(A)に示すようにグラフ(器差曲線)化した。なお、同グラフには検定公差(器差の許容値)が太線で示されている。
[実験結果]
図13(A)のグラフに基づき実施品1,2,3と従来品1とを比較すると、実施品1,2,3では、定格最小流量Q1から限界流量Q4までの間で、器差の最大値と最小値の幅が従来品1よりも小さくなり、器差曲線の直線性が向上することが分かった。また、実施品1(オフセット距離Wが0.25mm)と、実施品2(オフセット距離Wが0.375mm)では、定格最小流量Q1から限界流量Q4までの全域に亘って、器差を検定公差内とすることができた。
[実験2]
次に、羽根車30の羽根32の先端縁と円筒内面41Aとの間の隙間45の寸法L1の効果を調べるべく以下の実験を行った。実験方法は以下の通りである。
[実験方法]
円筒内面41Aの直径R1と隙間45の寸法L1とを、下記表1の如く設定した水道メータ(改良品1,2及び従来品2)を製作した。なお、本実験2では、上記した導入先端平面53の影響を排除するため、何れの水道メータのインナーケースにも導入先端平面53を設けなかった。
Figure 0005062841
次に、各水道メータ(改良品1,2及び従来品2)に、上記実験1と同一条件で通水して、そのときの計量値(水道メータの表示値)を求めた。そして、設定流量毎に各水道メータの器差を算出して図13(B)に示すようにグラフ(器差曲線)化した。
[実験結果]
図13(B)のグラフに基づき改良品1,2と従来品2とを比較すると、改良品1,2では、従来品2よりも微流量域における器差のピークが小さくなると共に、中流量域における器差の中だるみ(器差がマイナス側に大きくなること)が抑制されて直線性が向上することが分かった。また、改良品2よりも隙間45の寸法L1が小さい改良品1の方が、器差曲線のピークが小さくなることが分かった。即ち、隙間45の寸法L1を円筒内面41Aの直径R1の2.2%以下にすることで、従来よりも器差曲線のピークが小さくなり、直線性が向上することが分かった。
[実験3]
次に、上記実験1及び実験2の結果を踏まえて最適と思われる仕様で本発明の実施品を製作し、計量法の特定計量器検定検査規則に規定されている試験方法(JIS B 8570−2:2005の「7.2.8 水温試験」)に従い水温試験を行った。
なお、特定計量器検定検査規則では、転移流量Q2における検定公差を外れていないこと(±2%以内であること)を合格基準と定めているが、本実験3では念のため、定格最小流量Q1より小さい流量から限界流量Q4までの範囲において各温度の器差を計測した。具体的な実験方法は、以下の通りである。
[実験方法]
本発明の実施品である水道メータとして、インナーケース40の円筒内面41Aの直径R1を47.4mm、オフセット距離W(図11参照)を0.375mm、隙間45の寸法L1を1.0mm(直径R1の2.11%)としたもの(以下、「実施品4」という)を製作した。
次に、実施品4及び上記従来品2の水道メータに、予め設定した水温及び予め設定した流量で通水して、そのときの計量値(水道メータの表示値)を求めた。試験水温は、一般的な水道メータの水温等級T30(最高許容使用温度が30℃)を想定して、10℃,20℃,30℃とした。また、定格最大流量Q3は4m/h、限界流量Q4は5m/h、定格最小流量Q1は0.04m/h、転移流量Q2は0.064m/hに設定した。
そして、設定流量毎に各水道メータ(実施品4及び従来品2)の器差を算出して、各水道メータの器差を、図14に示すように試験水温別にグラフ(器差曲線)化した。
[実験結果]
図14(A)のグラフに示すように、従来品2では、試験水温が20℃及び30℃の場合に、定格最小流量Q1から限界流量Q4までの全域に亘って、器差が検定公差内に収まった。しかしながら、試験水温が10℃の場合には、器差のピークが転移流量Q2側にシフトして、転移流量Q2における検定公差から外れることが分かった。また、従来品2では何れの水温においても、中流量域において器差の中だるみが発生した。
これに対し、実施品4では、図14(B)のグラフに示すように、何れの試験水温においても、定格最小流量Q1から限界流量Q4までの全域に亘って、器差が検定公差内に収まることが分かった。また、実施品4では、従来品2に比べて、器差曲線のピークが小さくなると共に、中流量域における中だるみも殆ど見られなくなり直線性が向上することが分かった。なお、実施品4においても、試験水温が10℃の場合には、器差のピークが転移流量Q2側にシフトすることが分かった。
ところで、上記実験1の実験結果(図13(A)に示すグラフ)からも明らかなように、試験水温を一定にした場合、導入先端平面53のオフセット距離Wが大きくなるに従って、微流領域から中流領域の間の器差がマイナス側に大きくなり、オフセット距離Wを0.5mmにした場合には、転移流量Q2における検定公差から外れることが分かった。また、上記実験3の実験結果(図14(B)に示すグラフ)から明らかなように、導入先端平面53のオフセット距離Wを一定にした場合、試験水温10℃のときの器差曲線のピークは、試験水温20℃及び30℃のときよりも、転移流量Q2側にシフトすることが分かった。これらのことから、転移流量Q2における器差が検定公差に収まるか否かが、その水道メータが器差試験に合格するか否かの1つの目安になるといえる。
[実験4]
そこで、転移流量Q2における試験水温とオフセット距離Wとの関係を調べるべく以下の実験を行った。実験の手順は以下の通りである。
[実験方法]
上記実施品1,2,3及び従来品1を用いて、上記実験1と同じ実験を試験水温を10℃に替えて行った。そして、転移流量Q2における器差とオフセット距離Wとの関係を、最小二乗法により一次式の関係式とした。この関係式をグラフ化したものを図15(A)に示す。なお、同グラフにおいて、横軸がオフセット距離Wであり、縦軸が転移流量Q2における器差である。
同様に、上記実験1(試験水温20℃)で得られた転移流量Q2における器差とオフセット距離Wとの関係を、最小二乗法により一次式の関係式とした。この関係式をグラフ化したものを図15(B)に示す。なお、同グラフにおいて、横軸がオフセット距離であり、縦軸が転移流量Q2における器差である。
[実験結果]
試験水温10℃のときの転移流量Q2における器差とオフセット距離Wとの関係式は、
器差(%)=−9.6571・W+3.5986
となった。この関係式から、試験水温が10℃の場合に、転移流量Q2における検定公差である±2%以下を満たすオフセット距離Wは、0.165mm〜0.580mmであることが分かった。
一方、試験水温20℃のときの転移流量Q2における器差とオフセット距離Wとの関係式は、
器差(%)=−7.5269・W+1.2894
となった。この関係式から、試験水温20℃の場合に、転移流量Q2における検定公差である±2%以下を満たすオフセット距離Wは、0〜0.437mmであることが分かった。なお、図14に示すグラフのように、試験水温20℃と30℃とでは、転移流量Q2における器差はほぼ同じなので、試験水温30℃についても、試験水温20℃とほぼ同じ結果になると推測される。
以上のことから、円筒内面41Aの直径R1が47.4mmのインナーケース40に導入先端平面53を設けた場合に、そのオフセット距離Wを0.165mm〜0.437mm、より好ましくは0.2mm〜0.4mmにすれば、水温10℃〜30℃の範囲で、転移流量Q2における器差を検定公差内に収めることができるものと推測される。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)導入先端平面53のみを設け、隙間45の寸法L1は従来通り円筒内面41Aの直径R1の2.2%以上としてもよい。
(2)前記実施形態では、漸近面51Bを平面としていたが、平坦面51Aに連続した円弧状面としてもよい。また、導入先端面53は、漸近面51Bと略直角に交差していたが円筒内面41Aの径方向に略平行としてもよい。この場合、導入先端面53と漸近面51Bとが鈍角(例えば、90°〜130°の範囲)で交差してもよい(図16参照)。
本発明の一実施形態に係る水道メータの部分断面図 羽根車を収容したインナーケースの側面図 (A)図2におけるA−A’断面図、(B)その部分拡大図 インナーケースの側面図 インナーケースを上方から見た斜視図 インナーケースを下方から見た斜視図 インナーケースの平面図 インナーケースの底面図 図4におけるA−A’断面図 図4におけるB−B’断面図 図9におけるC−D部分拡大図 図4におけるA−A’断面部分拡大図 (A)実験1の実験結果を示すグラフ、(B)実験2の実験結果を示すグラフ (A)実験3に係る従来品2の実験結果を示すグラフ、(B)実験3に係る実施品4の実験結果を示すグラフ (A)実験4に係る試験水温10℃のときの実験結果を示すグラフ、(B)実験4に係る試験水温20℃のときの実験結果を示すグラフ 変形例に係る導入突壁の前端部の拡大断面図
符号の説明
10 水道メータ
11 メータケース
30 羽根車
32 羽根
40 インナーケース(水道メータ用インナーケース)
41A 円筒内面(内側円弧面)
45 隙間
47 導入流路
47A 矩形導入口
47A1 前側開口縁
47A2 後側開口縁
50 導入突壁
51 後側導入面
51A 平坦面
51B 漸近面
52 前側導入面
53 導入先端平面
L1 隙間の寸法
R1 円筒内面の直径(内側円弧面の直径)
W オフセット距離

Claims (4)

  1. 接線流羽根車式水道メータの内部で一方向に回転する羽根車を覆う下端有底の円筒構造をなすと共に、前記羽根車の回動軌跡円と同心の円における周方向の複数位置から前記羽根車の回転方向の後側に張り出された複数の導入突壁と、隣り合った前記導入突壁同士の間に形成された複数の矩形導入口とを有し、水道水を前記導入突壁で案内して前記矩形導入口から内部に導入し、旋回させることが可能な水道メータ用インナーケースであって、
    前記各導入突壁には、前記羽根車の回動軌跡円と同心の円上に配置された内側円弧面と、前記矩形導入口における前記羽根車の回転方向の後側開口縁から前記回転方向の後方に延びた後側導入面と、前記矩形導入口における前側開口縁から前記回転方向の後方に延びた前側導入面とが形成された水道メータ用インナーケースにおいて、
    前記後側導入面の前縁部を除く全体は、平坦面とされ、
    前記後側導入面の前縁部には、前記平坦面から前端から前側に向かうに従って徐々に前記内側円弧面側に接近した漸近面と、前記内側円弧面から外側に立ち上がって前記漸近面の前端と90°〜130°の角度で交差した導入先端平面とが形成されたことを特徴とする水道メータ用インナーケース。
  2. 前記漸近面から前方への延長線と前記内側円弧面との交点から前記導入先端平面までの距離を、0.165〜0.437mmにしたことを特徴とする請求項1に記載の水道メータ用インナーケース。
  3. 前記内側円弧面と前記羽根車に備えた羽根の先端部との間の隙間が、前記内側円弧面の直径の2.2%以下になるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の水道メータ用インナーケース。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の水道メータ用インナーケースと、
    前記水道メータ用インナーケースに収容されて流量に応じて回転する羽根車とを備えたことを特徴とする水道メータ。
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