JP5060432B2 - 熱間圧延の張力制御装置および張力制御方法 - Google Patents

熱間圧延の張力制御装置および張力制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延の張力制御装置およびその制御方法に係り,スタンド間の鋼板の張力制御とルーパ高さ制御の干渉を低減し,安定した張力とルーパ高さを実現するのに好適な張力制御装置およびその張力制御方法に関する。
熱間圧延における鋼板を通す圧延ロールを有するスタンド間の鋼板張力は、圧延工程の前後スタンドのロール速度差(ロールを駆動する主機ドライブの速度差)で鋼板の送り状態を変化させたり、鋼板の送りを安定化させるため鋼板を持ち上げるルーパのルーパ高さを変更することにより制御できる。
一方、ロール速度差により鋼板の送り状態を変え鋼板張力を変化させると、鋼板張力の変化によりルーパにかかる荷重が変化しルーパ高さが変化する。
逆に、ルーパ高さを変え鋼板の持ち上げ状態を変え鋼板張力を変化させると、鋼板の送り負荷の変化に起因し、鋼板のドライブ速度に外乱が重畳する。このように、スタンド間の鋼板の張力制御とルーパ高さ制御は互いに影響を及ぼす干渉系である。
熱間圧延においてルーパを用いて張力制御を行う従来方法として、例えば、特許文献1、特許文献2には、制御系を、圧延ロールを駆動する電動機速度とルーパ電動機速度を入力、鋼板張力と該張力に重みパラメータを乗じてルーパ角度に加算した量を制御量とした2入力2出力系で構成し、制御対象の熱間圧延装置プロセスモデルを用いて計算した制御ゲインにより各電動機の速度指令値を算出する制御方法が示されている。
加えて、特許文献2には、制御系が出力する圧延材張力とルーパ高さを、制御ゲインを用いて相互に非干渉化させる手法が示されている。
特開平9−192716号公報 特開平5−337529号公報
ところで、特許文献1、特許文献2に記載の方法では、ルーパ高さの制御によりルーパ高さと鋼板張力をともに変更するため、変更された鋼板張力の変化に起因したルーパ高さ変化が、ルーパ高さの制御に重畳することで、ルーパ高さが不必要に動作する可能性がある。
また、2入力2出力の多変数系をそのまま扱う制御系になるので、制御系の調整に多くの知識を必要とし、調整の見通しが悪くなる問題もある。
本発明は上記実状に鑑み、熱間圧延における鋼板等の圧延対象の張力、ルーパ制御を、1入力1出力の見通しの良いふたつの制御系としてとらえることを前提に、簡単な方法で鋼板等の圧延対象の張力の制御とルーパ高さの制御を非干渉化する熱間圧延の張力制御装置および張力制御方法の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、第1の本発明に関わる熱間圧延の張力制御装置は、複数の圧延スタンドと該圧延スタンド間にルーパを備えた熱間圧延機を制御対象とし、圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御装置であって、圧延スタンドのワークロール速度を操作することで圧延対象の張力を所望の値に制御する張力制御手段と、該張力制御手段の出力からワークロールの回転速度を制御するためのワークロールを駆動するドライブ装置の速度指令を算出する速度制御手段と、圧延スタンドに進入する側の圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドから排出される側の圧延対象の張力である前方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を熱間圧延機から取り込み、ドライブ装置の負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段とを備え、速度制御手段で算出された速度指令である出力と負荷トルク推定手段で推定された負荷トルクである出力とを演算した値の制御指令をドライブ装置に出力するとともに、ルーパの高さを制御するためのルーパ駆動装置への高さ指令を算出するルーパ高さ制御手段と、前方張力とルーパの高さのそれぞれの実績値を熱間圧延機から取り込み、ルーパが圧延対象を支持するのに必要なトルクを推定するルーパ支持トルク推定手段とを備え、ルーパ高さ制御手段で算出された高さ指令である出力とルーパ支持トルク推定手段で推定されたトルクである出力とを演算した値の制御指令をルーパ駆動装置に出力している。
第2の本発明に関わる熱間圧延の張力制御装置は、複数の圧延スタンドと該圧延スタンド間にルーパを備えた熱間圧延機を制御対象とし、圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御装置であって、圧延スタンドのワークロール速度を操作することで圧延対象の張力を所望の値に制御する張力制御手段と、該張力制御手段の出力からワークロールの回転速度を制御するためのワークロールを駆動するドライブ装置の速度指令を算出する速度制御手段と、圧延スタンドに進入する側の圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を熱間圧延機から取り込み、該圧延スタンドから排出される側の圧延対象の張力である前方張力の指令値を用いてドライブ装置の負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段とを備え、速度制御手段で算出された速度指令である出力と負荷トルク推定手段で推定された負荷トルクである出力とを演算した値の制御指令をドライブ装置に出力するとともに、ルーパの高さを制御するためのルーパ駆動装置への高さ指令を算出するルーパ高さ制御手段と、前方張力とルーパの高さのそれぞれの実績値を熱間圧延機から取り込み、ルーパが圧延対象を支持するのに必要なトルクを推定するルーパ支持トルク推定手段とを備え、ルーパ高さ制御手段で算出された高さ指令である出力とルーパ支持トルク推定手段で推定されたトルクである出力とを演算した値の制御指令をルーパ駆動装置に出力している。
第3の本発明に関わる熱間圧延の張力制御方法は、複数の圧延スタンドと、該圧延スタンド間に設けられ鋼板等の圧延対象を支持しその支持高さをもって圧延工程を安定化するルーパとを備え、各圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御方法であって、圧延対象の張力を所望の値に制御するためにワークロールを駆動するドライブ装置の回転速度を算出し、該ドライブ装置の回転速度に対応したドライブ装置の速度指令値を算出し、圧延スタンドに進入する側の圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドから排出される側の圧延対象の張力である前方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を取り込んで、ワークロールを駆動するドライブ装置の負荷トルクを推定し、ドライブ装置の速度指令値とドライブ装置の負荷トルクとを演算した値を制御指令として該ドライブ装置に出力するとともに、ルーパの高さを所望の値に制御するルーパ駆動装置の高さ指令値を算出し、前方張力とルーパの高さのそれぞれの実績値を取り込んでルーパ駆動装置が圧延対象を支持するのに必要なルーパ駆動装置の支持トルクを推定し、該ルーパ駆動装置の支持トルクとルーパ駆動装置の高さ指令値とを演算した値を制御指令としてルーパ駆動装置に出力している。
第4の本発明に関わる熱間圧延の張力制御方法は、複数の圧延スタンドと、該圧延スタンド間に設けられ鋼板等の圧延対象を支持しその支持高さをもって圧延工程を安定化するルーパとを備え、各圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御方法であって、圧延対象の張力を所望の値に制御するためにワークロールを駆動するドライブ装置の回転速度を算出し、該ドライブ装置の回転速度に対応した該ドライブ装置の速度指令値を算出し、該圧延スタンドに進入する側の圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を取り込み、該圧延スタンドから排出される側の圧延対象の張力である前方張力の指令値を用いてワークロールを駆動するドライブ装置の負荷トルクを推定し、ドライブ装置の速度指令値とドライブ装置の負荷トルクとを演算した値を制御指令としてドライブ装置に出力するとともに、ルーパ高さを所望の値に制御するルーパ駆動装置の高さ指令値を算出し、前方張力とルーパの高さのそれぞれの実績値を取り込んでルーパ駆動装置が圧延対象を支持するのに必要なルーパ駆動装置の支持トルクを推定し、該ルーパ駆動装置の支持トルクとルーパ駆動装置の高さ指令値とを演算した値を制御指令としてルーパ駆動装置に出力している。
本発明によれば、簡単な方法で鋼板等の圧延対象の張力の制御とルーパ高さの制御を非干渉化する熱間圧延の張力制御装置および張力制御方法を実現できる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<<第1実施形態>>
図1は、本発明に係る第1実施形態の張力制御装置150を有する制御システムSの構成を示した概念図である。
<張力制御装置150の概要>
図1に示す第1実施形態の張力制御装置150は、2本の回転するワークロール104間に加熱した鋼板103等の材料を通し該材料の断面積を減少させながら所定の形状に断面積を変化させる熱間圧延において、仕上げスタンドにおける材料の張力制御の安定化が可能であり、材料の圧延時の安定性、通板性の向上が図れ、高精度な材料の厚みが得られるものである。また、圧延時の材料の張力を安定化することで張力変動による材料の幅縮み変動を低減でき、板幅精度を向上できるものである。
<張力制御装置150を有する制御システムSの全体構成>
図1に示す第1実施形態の制御システムSは、鋼板103等の材料の熱間圧延を行う制御対象の熱間圧延装置100と、熱間圧延装置100を制御することで熱間圧延時の材料の張力を制御する張力制御装置150とを具備している。
なお、以下では、熱間圧延対象の材料を鋼板103として説明を行う。
張力制御装置150は、制御対象の熱間圧延装置100から、熱間圧延時の鋼板103の張力検出信号、ルーパ110の支持部112aの高さ検出信号、鋼板103を搬送するドライブ装置の回転検出信号等の種々の信号を受信し、これらの受信した信号に応じて制御信号を制御対象の熱間圧延装置100に出力している。
<熱間圧延装置100の構成>
まず、張力制御装置150の制御対象の熱間圧延装置100の構成を説明する。
図1に示すように、熱間圧延装置100は、圧延対象の鋼板103を圧延するためのスタンド101、120が複数設けられ、また、スタンド101、120間には圧延対象の鋼板103を持ち上げて張力を調整し通板を安定化させるためのルーパ110が設けられている。
<スタンド101、120>
スタンド101、120は、それぞれ鋼板103を上下から直に挟んで実際に板を圧延するワークロール104と、上下のワークロール104をそれぞれ支える上下のバックアップロール105により構成された4段ミルの例を示している。
スタンド101における上下のワークロール104は、例えば、それぞれダイレクトドライブを行うモータ等を有するドライブ装置109によって駆動されている。
同様に、下流のスタンド120の上下のワークロール104は、例えば、それぞれダイレクトドライブを行うモータ等を有するドライブ装置121によって駆動されている。
図1では、図示を省略しているが、スタンド101、120には、上下のバックアップロール105をそれぞれ駆動するドライブ装置も備えられている。
<ルーパ110>
図1に示すルーパ110は、スタンド101、120間を搬送される圧延対象の鋼板103を、上方に持ち上げ支持することでその張力や通板を安定化する役割を果たす装置であり、通常、各スタンド101、120間に取り付けられている。
ルーパ110は、通板される圧延対象の鋼板103を実際に上方に持ち上げ支持するルーパアーム112、ルーパアーム112を矢印α12方向に回動させる油圧シリンダ等のルーパシリンダ111等を有している。
ルーパ110は、ルーパ駆動装置108によりルーパシリンダ111が伸縮制御されることでルーパアーム112を矢印α12のように回動させ、圧延対象の鋼板103を実際に支持するルーパアーム112の回転自在なローラの支持部112aが高さ制御されている。
ルーパアーム112における圧延対象の鋼板103を支持する支持部112aの高さは、高さ計114で検出されている。
図1に示す熱間圧延装置100のスタンド101、120の前後(図1の紙面左右方向)、すなわち鋼板103の進行方向(図1の矢印α11方向)の上流、下流には、さらに複数のスタンドが、図1と同様に、ルーパ110を間に挟んで設けられている。なお、通常の仕上げ用ミルでは6〜7スタンド程度が配置されている。
<熱間圧延装置100による圧延>
熱間圧延装置100は、図1に示すように、圧延対象の鋼板103がルーパ110のルーパアーム112により上方に支持されつつ、複数のスタンド101、120により、連続的に圧延されるタンデムミルである。
熱間圧延装置100においては、鋼板103が、図1の矢印α11方向に、スタンド101からスタンド120にルーパ110を介在させて移動されるにつれ、スタンド101、120のワークロール104、104で圧接され、徐々に薄く圧延される。
圧延時、スタンド101、120間の鋼板103には、長手方向(図1の紙面左右方向)に鋼板103を引っ張る力の張力が、前後のスタンド101、120それぞれにおけるワークロール104の駆動速度差、ルーパアーム112高さ等により発生する。
各スタンド101、120について、入側(図1の紙面左側)の鋼板103の張力を後方張力tb、出側(図1の紙面右側)の鋼板103の張力を前方張力tfと称する。例えば、スタンド101においては、スタンド101に進入する鋼板103の張力が後方張力tbであり、スタンド101から排出される鋼板103の張力が前方張力tfである。
また、図1に示すスタンド101とスタンド120の間にある鋼板103の張力、すなわちスタンド101から排出される鋼板103の前方張力tfは、ルーパアーム112に取り付けられた張力計113で測定されている。なお、スタンド101に進入する鋼板103の後方張力tbは、張力計132で測定されている。
また、スタンド101、120における鋼板103の圧延荷重は、スタンド101、120の圧下装置に取り付けられているロードセル(図示せず)で検出する。なお、ロードセルでは、総圧延荷重が検出される。或いは、スタンド101、120における鋼板103の圧延荷重は、スタンド101、120における力の釣りあいから、負荷トルク推定手段155において、公知の種々の式で圧延荷重分布を求め、単位長さ当りの圧延荷重に変換して、計算モデルに入力し、後記の方法で求められる。
また、搬送される鋼板103の板速(速度)は、板速計を設け直接計測される。
<張力制御装置150>
次に、図1に示す張力制御装置150の構成を説明する。
熱間圧延装置100で圧延される鋼板103の張力を制御するための張力制御装置150は、例えばPLC(programmable logic controller)が用いられる。
まず、張力制御装置150の全体構成について簡単に説明した後、各部の動作を詳細に説明する。
<張力制御装置150の全体構成>
図1に示す張力制御装置150における破線で囲った部分が、スタンド101とルーパ110の制御を行う個所であり、前後のスタンド120とルーパに対しても同様の機能が備えられる。ここでは、図1に示すスタンド101とルーパ110に関して説明を行う。
実績収集手段160は、制御対象の熱間圧延装置100から、スタンド101のワークロール104間の圧延荷重、前方張力tf、後方張力tb、ルーパアーム112の支持部112aの高さ、鋼板103の速度(板速)等の熱間圧延装置100の稼働中の実績データを取り込む。
図1に示す熱間圧延装置100におけるスタンド101の上下のワークロール104を駆動するドライブ装置109は、張力指令に従って制御される。
すなわち、前方張力tfの実績値が、張力指令格納手段151からの張力指令tfに一致するように張力制御手段152が動作し、その後、張力制御手段152の出力ΔVに応じて速度制御手段154が鋼板103のドライブの速度制御を行い、最終的に、ドライブ装置109を駆動する電流指令値を算出し、負荷トルク推定手段155の出力を加え、ドライブ装置109に対して電流指令値が出力される。
なお、負荷トルク推定手段155は、後記のルーパ制御系150B(図1参照)との非干渉化を行うためのフィードフォワード補償器である。
一方、ルーパ110を動作させるルーパ駆動装置108は、ルーパ高さ制御手段157からのルーパ高さ指令、すなわちルーパアーム112の支持部112aの高さ指令にしたがって制御される。すなわち、ルーパ高さ(ルーパアーム112の支持部112aの高さ)θの実績値がルーパ高さ指令値(ルーパアーム112の支持部112aの高さ指令値)θ*に一致するようにルーパ高さ制御手段157が動作し、最終的にルーパ駆動装置108を駆動する電流指令を算出し、ルーパ支持トルク推定手段158の出力を加え、ルーパ駆動装置108に対して電流指令値が出力される。ここで、ルーパ高さ指令値θ*は、ルーパ高さ指令生成手段156により、鋼板103のルーパ110通過長Lに応じて生成される。
なお、ルーパ支持トルク推定手段158は、張力制御系150Aとの非干渉化を行うためのフィードフォワード補償器である。
このように、第1実施形態の制御システムSにおいては、張力は、張力制御系150Aにおけるドライブ速度により制御される一方、ルーパ高さは、ルーパ制御系150Bにおけるルーパ高さ制御により制御される。
<張力制御装置150の各部の動作>
次に、張力制御装置150の各部の動作を詳細に説明する。
<張力制御装置150の張力制御系150A>
<張力指令格納手段151>
図2は、張力指令格納手段151の構成を示す図である。
図2に示す張力指令格納手段151には、各スタンド間の鋼板103に付与する前方張力tfである張力指令値151dが、鋼種151a、板厚151b、板幅151cにより層別され、それぞれの条件に適切な熱間圧延の張力指令値151dとして予め求められ、格納されている。
例えば、鋼種151aがSS400、板厚151bが2.0〜3.0mm、板幅151cが900mmでは、鋼板103に付与する張力の張力指令値151dが、1.5kg/mm(鋼板103の横断面の単位面積当りの張力)であることを示している。
各スタンド101、120間の鋼板103の板厚151bは、熱間圧延装置100における圧延スケジュールにより一意に決定されるので、その後、鋼種151a、板幅151cと決定された板厚151bから、張力指令値151dが決定される。
ここで、図2に示す張力指令格納手段151に例示した層別条件の他の層別条件として、鋼板103の移動速度や、各スタンド101、120別の条件等を追加することも可能である。
このように、張力指令格納手段151に格納する張力指令値151dを定める層別条件は、鋼種151a、板厚151b、板幅151cに限定されない。
<張力制御手段152>
圧延される鋼板103の張力指令格納手段151に格納される鋼種151a、板厚151b、板幅151cで決定される張力指令値151dを前方張力指令値tf*とすれば、図1に示す張力制御手段152には、張力指令格納手段151の前方張力指令値tf*と、図1に示す張力計113で検出された前方張力tfの検出値との差Δtfを入力し、張力制御手段152において、速度制御手段154へ付与する回転速度入力V*を算出する。
ここで、回転速度入力V*は、ワークロール104を駆動するドライブ装置109をモータとし、回転速度の指令とすると、回転速度入力V*の単位は、rpm(revolutions per minute)、mpm(meter per minute)となる。
回転速度入力V*は、ラプラス変換後の比例動作をするシステムの伝達関数が、Kp1(比例ゲイン)であり、積分動作をするシステムの伝達関数が、1/S(S:ラプラス演算子)であるので、例えば、(1)式により算出される。
Figure 0005060432
ただし Kp1:比例ゲイン
TI1:積分時間
(1)式は、張力制御手段152(図1参照)を比例・積分制御で実現した例である。
<速度同調手段153>
そして、図1に示す速度同調手段153において、サクセシブと呼ばれる速度同調処理が行われる。
速度同調処理とは、スタンド101の下流のスタンド120において、ワークロール104同士の間の距離であるワークロールギャップや、ワークロール104の速度が変化したとき、これらに対応した鋼板103の速度変化量ΔV2を上流のスタンド101で補償する処理である。
ここで、スタンド101のワークロール104の周速をAとすると、スタンド101への入り側、すなわち上流側の鋼板103の板速(図1におけるスタンド101の左側の板速)は、(1−b)Aと表わせる。ここで、bは、後進率と称される。
一方、スタンド101からの出側、すなわち下流側の鋼板103の板速(図1におけるスタンド101の右側の板速)は、(1+f)Aと表わせる。ここで、fは、先進率と称される。
b(後進率)、f(先進率)は、圧延中の鋼板の変形モデルから、力のつり合いを基に導出される。
スタンド101への入り側、すなわち上流側(図1におけるスタンド101の左側)の鋼板103の板厚をt1、スタンド101からの出側、すなわち下流側(図1におけるスタンド101の右側)の鋼板103の板厚をt2とすると、鋼板103が連続であることから、連続の式
(1−b)・A・t1=(1+f)・A・t2
が成立する。
なお、鋼板103の板速は、最終スタンド出側に板速計を取り付け、最終スタンド出側の板速を計測し、スタンド間板速は、この板速計による計測値を頼りに、上式の関係や下記の(2)式と、ワークロール104の速度のf(先進率)、b(後進率)を使った推定とを組み合わせ、推定される。なお、板速計を圧延ラインの各所に設け、全て計測値としてもよい。
スタンド101のワークロール104前後の鋼板103の板速には、
V2/(1+f)=V1/(1−b)
V1:スタンド101の上流側(図1に示すスタンド101の左側)の板速
V2:スタンド101の下流側(図1に示すスタンド101の右側)の板速
の関係がある。
この式の両辺を時間で微分し、また、V1がΔV1変化したときのV2の変化ΔV2は、
鋼板103の速度(板速)の動作点の周り、すなわち、スタンド101の前後で線形化すると、
ΔV2=(∂V2/∂V1)ΔV1
で表されることから、
スタンド101からの出側、すなわち下流側の鋼板103の板速(図1に示すスタンド101の右側の板速)の補償すべき速度変化量ΔV2は、(2)式で表される。
Figure 0005060432
ただし ΔV1:スタンド上流の速度変化量
ΔV2:スタンド下流の速度変化量
<速度制御手段154>
図1に示すように、張力制御手段152から回転速度入力V*が入力されるとともに、速度同調手段153から速度変化量ΔV2が入力された速度制御手段154は、V*+ΔV2の演算からドライブ装置109を駆動する電流指令(トルク指令)C1を算出する。
電流指令(トルク指令)C1は、ラプラス変換後の比例動作をするシステムの伝達関数が、Kp2(比例ゲイン)であり、積分動作をするシステムの伝達関数が、1/S(S:ラプラス演算子)であるので、例えば、(3)式より算出される。
Figure 0005060432
ただし Kp2:比例ゲイン
TI2:積分時間
(3)式は、速度制御手段を比例・積分制御で実現した例である。
<負荷トルク推定手段155>
図3は、負荷トルク推定手段155が実行する処理を示す図である。
図3のS301において、負荷トルク推定手段155(図1参照)は、実績収集手段160から、実績収集手段160に格納される前方張力tfの実績値(図1に示す張力計113で測定される)、後方張力tbの実績値(図1に示す張力計132で測定される)、圧延荷重P(P(x))の実績値を取り込む。
図3のS302において、ドライブ装置109の総トルクのうち、スタンド101の片方のワークロール104にかかる負荷トルクE1を、以下のように推定する。
図4は、鋼板103がワークロール104で圧延される例を示している。
図4に示すように、鋼板103は左から右(図4の矢印α11方向)に進む。Pは圧延荷重、P(x)は部位xにおける鋼板103の単位長さ当りの圧延荷重である。
P(x)をxについて積分すると圧延荷重の総量であるPと一致する。また、Rはワークロール104の半径である。
このとき、片方のワークロール104にかかる負荷トルクE1は、下記の(4)式で算出できることが知られている。(板圧延の理論と実際 (日本鉄鋼協会編)の14頁の式(2.64)、20頁の式(2.101)参照)
Figure 0005060432
ただし R':偏平ロール径(圧延中のワークロール104が変形し、短くなったワークロール104の径)
負荷トルク推定手段155は、(4)式を計算することで負荷トルクE1を推定する。最終的にドライブ装置109(図1参照)には、負荷トルク推定手段155で演算した負荷トルクE1と、速度制御手段154で演算した電流指令(トルク指令)C1とを加算した値が、電流指令として出力される。
<張力制御装置150のルーパ制御系150B>
次に、図1に示す張力制御装置150のルーパ制御系150Bについて説明する。
<ルーパ高さ指令生成手段156>
図5は、ルーパ高さ指令生成手段156の構成を示す図である。
図5に示すルーパ高さ指令生成手段156は、鋼板103(図1参照)がルーパ110を通過する通過長Lに対応して予め求められた適切なルーパ高さ指令θ*が格納されるルーパ高さ指令格納手段502と、ルーパ高さ指令格納手段502に格納される情報を基にルーパ高さ(ルーパ高さ指令θ*)を決定して出力するルーパ高さ指令決定手段501とを備えている。
ルーパ高さ指令格納手段502には、図5に示すように、鋼板103のルーパ110の通過長Lに対応して、鋼板103の先端部に対してルーパアーム112の高さが上昇し鋼板103と接触する過程のルーパ高さ指令θ*である503、ルーパ110が鋼板103を支え通板している過程の定常的なルーパ高さ指令θ*である504、鋼板103の後端部近くでルーパ高さを減少させ、ルーパ110と鋼板103の接触をなくす過程のルーパ高さ指令θ*である505から成る鋼板103の通過長Lに対応するデータが、格納されている。
なお、ルーパ110は、搬送される鋼板103がスタンド101のワークロール104とスタンド120のワークロール104とで挟まれた後に、搬送される鋼板103に接触し、上方に支持する(図1参照)。
ここで、鋼板103の通過長Lとは、ルーパ110におけるルーパアーム112の支持部112aが支持している鋼板103の部位の鋼板103の先端縁からの距離である。
従って、図5に示すルーパ高さ指令格納手段502のように、ルーパ高さ指令θ*は鋼板103の通過に従い大きさが変化する。
図5に示すルーパ高さ指令決定手段501は、実績収集手段160(図1参照)から鋼板103の通過長Lを表す信号を取り込み、ルーパ高さ指令格納手段502を参照してルーパ高さ指令θ*を抽出する。そして、抽出したθ*をルーパ高さ指令として出力する。なお、鋼板103の通過長Lのデータは、鋼板103を搬送するワークロール104の回転数(回転速度)等を検出し、実績収集手段160に格納されている。
<ルーパ高さ制御手段157>
図1に示すルーパ高さ制御手段157には、このルーパ高さ指令θ*と、高さ計114(図1参照)で検出され実績収集手段160に格納されるルーパ高さθの検出値との差Δθが入力される。
ルーパ高さ制御手段157は、Δθからルーパ駆動装置108(図1参照)を駆動するための電流指令(トルク指令)C2を算出する。
C2は、例えば、前記のV*、C1と同様に、(5)式により算出される。
Figure 0005060432
ただし Kp3:比例ゲイン
TI3:積分時間
S:ラプラス演算子
(5)式は、ルーパ高さ制御手段157を比例・積分制御で実現した例である。
<ルーパ支持トルク推定手段158>
次に、図1に示すルーパ支持トルク推定手段158の処理について、図6に従って説明する。なお、図6は、ルーパ支持トルク推定手段158の処理を示す図である。
図6のS601において、ルーパ支持トルク推定手段158(図1参照)は、実績収集手段160から、張力計113(図1参照)で検出され実績収集手段160に格納される前方張力tfの実績値、高さ計114(図1参照)で検出され実績収集手段160に格納されるルーパ高さθの実績値を、取り込む。
図6のS602において、ルーパ駆動装置108の総トルクのうち、ルーパ110を支持するための負荷トルクに相当する値のルーパ支持トルクE2を、以下のように推定する。
図7は、スタンド101とスタンド120とで圧延されている鋼板103が、ルーパアーム112で支持された例を示している。なお、図7では、鋼板103が、スタンド101とスタンド120との中間部でルーパアーム112の支持部112aで支持される場合を示している。
図7に示すように、鋼板103は、矢印方向α11(図7中の左から右)に進みつつ、ルーパアーム112で支持され、スタンド101とスタンド120とで圧延されている。
図7中、Laは、ルーパアーム112の長さ、θはルーパ高さ(ルーパアーム112の水平位置に対する角度)、βは鋼板103の水平位置に対する角度を示している。
このとき、ルーパアーム112を、水平位置に対する角度θ(ルーパ角θ)に保持するためのルーパ支持トルクE2は、(6)式で算出できることが知られている。
Figure 0005060432
なお、D:ルーパの角度変化に対する速度摩擦係数
ここで、K1(θ)・tfは、鋼板103の張力により発生するルーパアーム112の支持トルク、K2(θ)は鋼板103の重さを支えることにより発生するルーパアーム112の支持トルク、K3(θ)はルーパアーム112の自重により発生するルーパアーム112の支持トルク、D・(dθ/dt)はルーパの角度変化に対する速度摩擦トルクであり、何れもルーパ角θの関数であり、ルーパ支持トルクE2の値はルーパ角θにより変化する。
ルーパ支持トルクE2における鋼板103の張力tfにより発生する支持トルクのK1(θ)は、h:鋼板103の板厚、b:鋼板103の板幅、tf:鋼板103の横断面の単位面積当たりの張力とすると、張力tfによる荷重がルーパアーム112の両側で発生することから、2×tf・hbsinβで表せ、ルーパアーム112の支点廻りのウデの長さがLa・conθと表せるので、鋼板103の張力tfにより発生する支持トルクK1(θ)・tfのK1(θ)は、次の(7)式となる。
K1(θ)=2hbLa・conθsinβ …(7)
一方、(6)式のルーパ支持トルクE2におけるK2(θ)、すなわち鋼板103の重さを支えることにより発生するルーパアーム112の支持トルクは、次のようになる。
図7に示すように、鋼板103の密度をρ、重力加速度をg、鋼板103のスタンド101でのワークロール104、104との接触点からルーパアーム112の支持部112aでの接触点までの水平方向距離をlとすると、鋼板103のスタンド101でのワークロール104、104との接触点からルーパアーム112の支持部112aでの接触点までの重さは、ρhbg・(l/conβ)で表せ、同様に、鋼板103のスタンド120でのワークロール104、104との接触点からルーパアーム112の支持部112aでの接触点までの重さは、ρhbg・(l/conβ)で表せる。
そして、ルーパアーム112の支点廻りのウデの長さは、La・cosθであるので、鋼板103の重さを支えることにより発生するルーパアーム112の支持トルクK2(θ)は、
Figure 0005060432
となる。
また、(6)式のルーパ支持トルクE2におけるルーパアーム112の自重により発生するルーパアーム112の支持トルクK3(θ)は、図7を参照して、下記の(9)式のようになる。
K3(θ)=m1・g・r1・cosθ …(9)
ここで、ml:ルーパアーム112の質量、
g:重力加速度
rl:ルーパアーム112の支点からルーパアーム112の重心位置までの距離
このように、ルーパ支持トルク推定手段158で推定したE2を用いて、ルーパ駆動装置108には、このE2とルーパ高さ制御手段157で求めた電流指令(トルク指令)C2とを加算した値が電流指令として出力される。
なお、鋼板103が、図7と異なり、スタンド101とスタンド120との中間部以外でルーパアーム112の支持部112aで支持される場合も、鋼板103のスタンド101、120での水平位置からの角度、鋼板103のスタンド101でのワークロール104、104との接触点からルーパアーム112の支持部112aで支持される箇所までの距離等を考慮し、ルーパ支持トルクE2は求められる。
以上の演算により、図1に示すドライブ装置109とルーパ駆動装置108とが、圧延時の鋼板103の速度とルーパ高さとの干渉系を排除した状態で連動して動作する。
なお、本第1実施形態では、一つのスタンド101とルーパ110とを例示して説明したが、スタンド101が多段に連続したタンデムミルに対しても、同様の処理を行う張力制御系150Aとルーパ制御系150B(図1参照)とを、スタンド、ルーパ毎に用意することで、容易に適用することができる。
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態の制御システム2Sについて、説明する。
図8は、本発明の第2実施形態の制御システム2Sの構成を示す図である。
図8に示すように、第2実施形態の制御システム2Sでは、負荷トルク推定手段255の入力のうちスタンド201から搬出される鋼板203の前方張力tfを、第1実施形態で行った実績収集手段260から取り込んだ実績値の代わりに、張力指令格納手段251から取り込んだ前方張力の指令値tf*を使用したものである。
これ以外の構成は、第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な構成要素には、200番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
図8に示す制御システム2Sの熱間圧延装置200において、鋼板203が矢印α21方向に搬送され、スタンド201、220で熱間圧延されている。
図9は、本発明の第2実施形態の負荷トルク推定手段255が実行する処理の流れを示す図である。
図9のS901において、負荷トルク推定手段255(図8参照)は、張力指令格納手段251から前方張力指令値tf*を取り込む。
図9のS902において、負荷トルク推定手段255(図8参照)は、実績収集手段260から後方張力tbの実績値と圧延荷重Pの実績値または部位xにおける鋼板203の単位長さ当たりの圧延荷重P(x)の実績値を取り込む。
図9のS903において、(4)式により負荷トルクE1を算出して、出力する。
上記構成によれば、負荷トルク推定手段255において、前方張力tfとして実績値でなく前方張力指令値tf*を使用するので、負荷トルクの推定精度は、熱間圧延装置200における実績値と指令値tf*の乖離に相当する分だけ低下する。反面、前方張力tfが実績値でなく前方張力指令値tf*に固定されるので、負荷トルク推定結果(負荷トルクE1)が熱間圧延装置200における前方張力の変動に依存しないので、前方張力tfの実績値の変動に依存しない電流指令でドライブ装置209によってワークロール204の回転を制御でき、搬送される鋼板203の振れが抑制される。
そのため、熱間圧延装置200における圧延時の鋼板203の搬送が安定化できる利点がある。
<<まとめ>>
本発明では、張力を介した張力制御とルーパ高さ制御の干渉がトルク変動に顕在化することに着目し、ドライブ装置の負荷を推定する負荷トルク推定手段とルーパ駆動装置の負荷を推定するルーパ支持トルク推定手段を備える。そして負荷トルク推定結果をドライブ装置への電流指令(トルク指令)にフィードフォワード加算するとともに,ルーパ支持トルク推定結果をルーパ駆動装置への電流指令(トルク指令)にフィードフォワード加算する。
すなわち、ルーパ−張力制御系において、張力制御を圧延対象を搬送する主機ドライブの速度制御で制御する一方、ルーパ高さをルーパ高さ制御でそれぞれ制御し、二つの1入力1出力の系として捉える。
その上で、スタンド間の鋼板の張力制御とルーパ高さ制御を非干渉化する目的で、圧延対象を搬送する主機ドライブの負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段と、ルーパの負荷トルクを推定するルーパ支持トルク推定手段とを設けている。
そして、主機ドライブの速度制御値に推定負荷トルクを加算した値を新たに主機ドライブの速度制御値にし、また、ルーパ高さ制御値に推定ルーパ支持トルクを加算した値を新たにルーパ高さ制御値にして、制御対象の熱間圧延装置に出力している。
<作用効果>
張力制御系における負荷トルク推定手段は、圧延対象がスタンドから排出される前方張力、圧延対象がスタンドに進入する後方張力、スタンドでの圧延荷重を入力として、圧延対象を搬送する主機ドライブに加わる負荷トルクを推定する。
ルーパ高さ制御におけるルーパ支持トルク推定手段は、ルーパ高さと鋼板張力を用いた演算で、ルーパが鋼板を支持するのに必要なトルクを算出する。
一方、圧延対象を搬送する主機ドライブを速度制御したことによるルーパ高さに影響を及ぼす張力変動は、ルーパが鋼板を支持する負荷の変動として検出できる。
同様に、ルーパ高さが変化したときの主機ドライブ速度に影響を及ぼす張力変動は、主機ドライブのトルク変動として検出できる。
負荷トルク推定手段とルーパ支持トルク推定手段は、この点に着目して設けられており、負荷トルク推定手段はルーパ高さを制御したときの張力変動を負荷トルク変動として検出し、変動を打ち消すために操作量を主機ドライブの速度制御指令にフィードフォワード補償することで、その影響を非干渉化する。
同様に、ルーパ支持トルク推定手段は、圧延対象を搬送する主機ドライブを速度制御したことによる張力変動をルーパが鋼板を支持する負荷トルクの変動として検出し、変動を打ち消すための操作量をルーパ高さ制御指令にフィードフォワード補償することで、その影響を非干渉化している。
こうして、張力を介した張力制御とルーパ高さ制御の干渉を考慮して、張力とルーパ高さを安定して制御できる。
従って、熱間圧延において、スタンドにおける材料の張力制御の安定化が可能であり、材料の圧延時の安定性、通板性の向上が図れ、高精度な材料の厚みが得られる。
また、圧延時の材料の張力を安定化することで張力変動による材料の幅縮み変動を低減でき、板幅精度を向上できる。
本発明は、コンベンショナルミル、ミニミル等、仕上げスタンド間にルーパを備えた熱間圧延のタンデムミルのルーパ制御に、幅広く適用可能である。
本発明に係る第1実施形態の張力制御装置を有する制御システムの構成を示した概念図である。 第1実施形態の張力指令格納手段の構成を示す図である。 第1実施形態の負荷トルク推定手段が実行する処理を示す図である。 第1実施形態のワークロールで鋼板が圧延される例を示す図である。 第1実施形態のルーパ高さ指令生成手段の構成を示す図である。 第1実施形態のルーパ支持トルク推定手段の処理を示す図である。 第1実施形態のスタンドで圧延されている鋼板がルーパアームで支持された例を示す図である。 本発明の第2実施形態の制御システムの構成を示す図である。 第2実施形態の負荷トルク推定手段が実行する処理の流れを示す図である。
符号の説明
100 熱間圧延装置(請求項1の熱間圧延機)
101 スタンド(請求項1、3の圧延スタンド)
103 鋼板(請求項1、3の鋼板、圧延対象)
104 ワークロール(請求項1、3のワークロール)
108 ルーパ駆動装置(請求項1、3のルーパ駆動装置)
109 ドライブ装置(請求項1、3のドライブ装置)
110 ルーパ(請求項1、3のルーパ)
120 スタンド(請求項1、3の圧延スタンド)
150 張力制御装置(請求項1の張力制御装置)
151 張力指令格納手段
152 張力制御手段(請求項1の張力制御手段)
154 速度制御手段(請求項1の速度制御手段)
155 負荷トルク推定手段(請求項1の負荷トルク推定手段)
156 ルーパ高さ指令生成手段
157 ルーパ高さ制御手段(請求項1のルーパ高さ制御手段)
158 ルーパ支持トルク推定手段(請求項1のルーパ支持トルク推定手段)
200 熱間圧延装置(請求項2の熱間圧延機)
201 スタンド(請求項2、4の圧延スタンド)
203 鋼板(請求項2、4の鋼板、圧延対象)
204 ワークロール(請求項2、4のワークロール)
208 ルーパ駆動装置(請求項2、4のルーパ駆動装置)
209 ドライブ装置(請求項2、4のドライブ装置)
210 ルーパ(請求項2、4のルーパ)
220 スタンド(請求項2、4の圧延スタンド)
250 張力制御装置(請求項2の張力制御装置)
252 張力制御手段(請求項2の張力制御手段)
254 速度制御手段(請求項2の速度制御手段)
255 負荷トルク推定手段(請求項2の負荷トルク推定手段)
257 ルーパ高さ制御手段(請求項2のルーパ高さ制御手段)
258 ルーパ支持トルク推定手段(請求項2のルーパ支持トルク推定手段)
C1 電流指令(制御指令、請求項1、2の速度指令、請求項3、4の速度指令値)
C2 電流指令(制御指令、請求項1、2のルーパ駆動装置の高さ指令、請求項3、4のルーパ駆動装置の高さ指令値)
E1 負荷トルク(制御指令)
E2 ルーパ支持トルク(制御指令、請求項1、2の必要なトルク、請求項3、4の支持トルク)
tb 後方張力
tf 前方張力
tf 前方張力指令値(前方張力の指令値)
P 圧延荷重
P(x) 圧延荷重

Claims (4)

  1. 複数の圧延スタンドと該圧延スタンド間にルーパを備えた熱間圧延機を制御対象とし、前記圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御装置であって、
    前記圧延スタンドのワークロール速度を操作することで前記圧延対象の張力を所望の値に制御する張力制御手段と、
    該張力制御手段の出力から前記ワークロールの回転速度を制御するための前記ワークロールを駆動するドライブ装置の速度指令を算出する速度制御手段と、
    前記圧延スタンドに進入する側の前記圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドから排出される側の前記圧延対象の張力である前方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を前記熱間圧延機から取り込み、前記ドライブ装置の負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段とを備え、
    前記速度制御手段で算出された速度指令である出力と前記負荷トルク推定手段で推定された負荷トルクである出力とを演算した値の制御指令を前記ドライブ装置に出力するとともに、
    前記ルーパの高さを制御するためのルーパ駆動装置への高さ指令を算出するルーパ高さ制御手段と、
    前記前方張力と前記ルーパの高さのそれぞれの実績値を前記熱間圧延機から取り込み、前記ルーパが前記圧延対象を支持するのに必要なトルクを推定するルーパ支持トルク推定手段とを備え、
    前記ルーパ高さ制御手段で算出された高さ指令である出力と前記ルーパ支持トルク推定手段で推定されたトルクである出力とを演算した値の制御指令を前記ルーパ駆動装置に出力する
    ことを特徴とする熱間圧延の張力制御装置。
  2. 複数の圧延スタンドと該圧延スタンド間にルーパを備えた熱間圧延機を制御対象とし、前記圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御装置であって、
    前記圧延スタンドのワークロール速度を操作することで前記圧延対象の張力を所望の値に制御する張力制御手段と、
    該張力制御手段の出力から前記ワークロールの回転速度を制御するための前記ワークロールを駆動するドライブ装置の速度指令を算出する速度制御手段と、
    前記圧延スタンドに進入する側の前記圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を前記熱間圧延機から取り込み、該圧延スタンドから排出される側の前記圧延対象の張力である前方張力の指令値を用いて前記ドライブ装置の負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段とを備え、
    前記速度制御手段で算出された速度指令である出力と前記負荷トルク推定手段で推定された負荷トルクである出力とを演算した値の制御指令をドライブ装置に出力するとともに、
    前記ルーパの高さを制御するためのルーパ駆動装置への高さ指令を算出するルーパ高さ制御手段と、
    前記前方張力と前記ルーパの高さのそれぞれの実績値を前記熱間圧延機から取り込み、前記ルーパが前記圧延対象を支持するのに必要なトルクを推定するルーパ支持トルク推定手段とを備え、
    前記ルーパ高さ制御手段で算出された高さ指令である出力と前記ルーパ支持トルク推定手段で推定されたトルクである出力とを演算した値の制御指令を前記ルーパ駆動装置に出力する
    ことを特徴とする熱間圧延の張力制御装置。
  3. 複数の圧延スタンドと、該圧延スタンド間に設けられ鋼板等の圧延対象を支持しその支持高さをもって圧延工程を安定化するルーパとを備え、前記各圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される前記鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御方法であって、
    前記圧延対象の張力を所望の値に制御するために前記ワークロールを駆動するドライブ装置の回転速度を算出し、
    該ドライブ装置の回転速度に対応したドライブ装置の速度指令値を算出し、
    前記圧延スタンドに進入する側の前記圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドから排出される側の前記圧延対象の張力である前方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を取り込んで、前記ワークロールを駆動する前記ドライブ装置の負荷トルクを推定し、
    前記ドライブ装置の速度指令値と前記ドライブ装置の負荷トルクとを演算した値を制御指令として該ドライブ装置に出力するとともに、
    前記ルーパの高さを所望の値に制御するルーパ駆動装置の高さ指令値を算出し、
    前記前方張力と前記ルーパの高さのそれぞれの実績値を取り込んで前記ルーパ駆動装置が前記圧延対象を支持するのに必要な前記ルーパ駆動装置の支持トルクを推定し、
    該ルーパ駆動装置の支持トルクと前記ルーパ駆動装置の高さ指令値とを演算した値を制御指令として前記ルーパ駆動装置に出力する
    ことを特徴とする熱間圧延の張力制御方法。
  4. 複数の圧延スタンドと、該圧延スタンド間に設けられ鋼板等の圧延対象を支持しその支持高さをもって圧延工程を安定化するルーパとを備え、前記各圧延スタンドに設けられたワークロールで連続的に圧延される前記鋼板等の圧延対象の張力を所望の値に制御する熱間圧延の張力制御方法であって、
    前記圧延対象の張力を所望の値に制御するために前記ワークロールを駆動するドライブ装置の回転速度を算出し、
    該ドライブ装置の回転速度に対応した該ドライブ装置の速度指令値を算出し、該圧延スタンドに進入する側の前記圧延対象の張力である後方張力と該圧延スタンドの圧延荷重のそれぞれの実績値を取り込み、該圧延スタンドから排出される側の前記圧延対象の張力である前方張力の指令値を用いて前記ワークロールを駆動するドライブ装置の負荷トルクを推定し、
    前記ドライブ装置の速度指令値と前記ドライブ装置の負荷トルクとを演算した値を制御指令として前記ドライブ装置に出力するとともに、
    前記ルーパ高さを所望の値に制御するルーパ駆動装置の高さ指令値を算出し、
    前記前方張力と前記ルーパの高さのそれぞれの実績値を取り込んで前記ルーパ駆動装置が前記圧延対象を支持するのに必要な前記ルーパ駆動装置の支持トルクを推定し、
    該ルーパ駆動装置の支持トルクと前記ルーパ駆動装置の高さ指令値とを演算した値を制御指令として前記ルーパ駆動装置に出力する
    ことを特徴とする熱間圧延の張力制御方法。
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