JP5059428B2 - 二元細孔シリカの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二元細孔シリカの新規な製造方法に関する。詳しくは、シリカ骨格が絡み合った構造を成すことによって形成されるマイクロメートル領域の細孔径を有するマクロ細孔と、シリカ骨格に存在するナノメートル領域の細孔径とを有するナノ細孔との二種類のタイプの細孔を有する二元細孔シリカの新規な製造方法に関する。本発明の製造方法により得られた二元細孔シリカは、例えばクロマトグラフィー用カラム担体、固体触媒、触媒担体、吸着材、分離材などに好適に利用される。
二元細孔シリカは、マイクロメートル領域の細孔径を有するマクロ細孔およびナノメートル領域の細孔径を有するナノ細孔の両者を併せ持つ無機多孔質材料である。この二元細孔シリカは、物質輸送能に優れるマクロ細孔と高い比表面積を有するナノ細孔の相乗効果を活かして、触媒反応、分離・精製プロセス等の分野において、効率の大幅な向上が期待できる。
従来知られている二元細孔シリカは、例えば、特許文献1に記載された通り、テトラエトキシシランに代表されるケイ素アルコキシド、ポリエチレンオキサイドなどの水溶性高分子および酸からなるゾル液を出発原料とし、該ゾル液のゲル化現象と相分離現象を利用してマクロ細孔を形成させて製造することができる。
この二元細孔シリカの製造において、マクロ細孔、およびナノ細孔の細孔(細孔径、および細孔容積等)を制御することは、得られる二元細孔シリカの用途拡大にも繋がるため、様々な検討が行われている。
ナノ細孔を制御するには、珪素源、水溶液高分子、および酸を含むゾル液から得られるゲル体を、シリカ分を溶解し得る液体、具体的には、0.01〜10規定のアルカリ水溶液や、フッ素イオンを含む水溶液等に浸漬する方法が知られている(例えば、特許文献2参照、特許文献3参照)。アルカリ水溶液を使用してナノ細孔を制御する方法を説明すると、例えば、特許文献2の実施例には、ゲル体を0.1〜1規定(0.1〜1mol/L)のアンモニア水溶液に浸漬し、浸漬時の温度を25〜60℃として処理する方法が記載されている。この方法によれば、ナノ細孔の細孔径を6nmから18nmの範囲で変化させることができ、更に、ナノ細孔の細孔容積も調整することができる。また、特許文献3には、ゲル体を0.01〜10規定のアルカリ水溶液に浸漬することにより、ナノ細孔を制御できることが示され、実施例において、0.1規定(0.1mol/L)のアンモニア水溶液を使用して、ゲル体を処理する例が示されている。
以上の通り、従来技術において、二元細孔シリカを製造するに際し、ナノ細孔を制御するためには、濃度が0.1〜10規定のアルカリ水溶液にゲル体を浸漬させることが知られていた。しかしながら、実際には、ナノ細孔を制御するために、高々、1規定(1mol/L)までの濃度のアンモニア水溶液が使用されているだけであり、より高濃度のアルカリ水溶液でゲル体を処理した実施例はなかった。
また、上記の通り、アルカリ水溶液等を使用して、ナノ細孔を制御する方法は知られていたが、マクロ細孔を制御する方法は知られていなかった。従来の方法において、マクロ細孔を制御するには、最初に仕込むゾル液の組成(珪素源、水溶性高分子、酸等の原料組成)で制御することが主流であった。
そのため、製造条件の幅を広げるためには、製造工程の途中でもマクロ細孔を制御できる二元細孔シリカの製造方法の開発が望まれていた。更に、二元細孔シリカの利用価値を高めるためにも、容易にマクロ細孔の細孔容積、および細孔径分布を制御できる製造方法が望まれていた。
特開平3−8729号公報 特開平7−41374号公報 特開2005−162504号公報
二元細孔シリカをカラム担体、触媒担体、吸着材等に用いる場合、マクロ細孔の制御も重要となる。このマクロ細孔の細孔径および細孔容積を原料組成以外の他の製造条件で制御することができれば、その製造条件の幅が広がり、様々な細孔を有する二元細孔シリカを自在に製造することが可能となる。
しかも、マクロ細孔の細孔容積、および細孔径分布を制御できれば、より高性能な二元細孔シリカを製造できる。そして、得られる二元細孔シリカは、例えば、テーリングの無い高い分離能を有するカラム担体や選択性に優れる高性能触媒担体に使用できることが期待される。
したがって、本発明の目的は、二元細孔シリカの製造において、原料組成以外に、マクロ細孔を制御することが可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、珪素源、水溶性高分子、および酸からなるゾル液を相分離が過度の状態でゲル化させ、得られたゲル体を特定濃度のアルカリ水溶液に浸漬することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、珪素源、水溶性高分子、および酸を含んでなるゾル液を、相分離が過渡の状態でゲル化させた後、得られたゲル体を1mol/Lを超え10mol/以下の濃度のアンモニア水に浸漬することを特徴とする二元細孔シリカの製造方法である。
本発明によれば、従来の熟成処理(ゲル体を、シリカ分を溶解し得る液体に浸漬する処理、例えば、ゲル体をアンモニア水等のアルカリ水溶液に浸漬する処理)と比べ、ナノ細孔の制御が可能なだけでなく、マクロ細孔の細孔径分布、細孔容積を制御することができる。この制御は、原料組成によるものではなく、熟成処理により行うものであり、二元細孔シリカの製造条件の幅を広げることができる。
そして、本発明によれば、マクロ細孔の細孔容積を制御でき、かつ細孔径分布の狭い、均一なマクロ細孔を有する二元細孔シリカを製造することができる。
そのため、本発明により得られる二元細孔シリカは、物質輸送能に優れるマクロ細孔および高い比表面積を有するナノ細孔の両者が存在し、さらにマクロ細孔の細孔径が均一となるため、例えば、クロマトグラフィー用カラム担体、固体触媒、触媒担体、吸着材、分離材などに好適に用いることができ、産業上への寄与は極めて大きいものと考えられる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明の製造方法により得られる二元細孔シリカは、シリカ骨格が絡み合った構造を有している。なお、二元細孔シリカにおいて「シリカ骨格が絡み合った構造」とは、シリカの重合体と溶媒相を相分離した状態でゲル化(固定)させ、その溶媒相を除去することにより、該溶媒相が存在した箇所を空隙とし、シリカの重合体が骨格として複雑に絡み合ったような状態となっている構造をいい、その構造の断面SEM観察の例を図1に示す。
この構造において、溶媒相が存在した箇所、すなわち空隙は、貫通した細孔(これを本明細書では「マクロ細孔」とする)を有しており、この二元細孔シリカを触媒担体、カラムなどの用途に用いた場合は、反応液や処理液の流路として作用させることができる。
一方、上記シリカ骨格自身にも小さな細孔(以下この細孔を「ナノ細孔」とする)が形成されており、この二元細孔シリカを触媒担体、カラムなどの用途に用いた場合は、触媒等の機能物質を充填させて反応或いは吸着点として作用させることができる。
このような二元細孔シリカは、珪素源、水溶性高分子、および酸を含むゾル液を、相分離が過渡の状態でゲル化させた後、得られたゲル体を、シリカ分を溶解し得る液体(例えば、アルカリ水溶液)に浸漬する熟成処理、および、必要に応じて、乾燥、焼成、水熱処理することにより得ることができる。上記ゲル体を製造するまでの操作は、例えば、特開平3−8729号、WO2002/085785、特開2005−162504等に記載されている方法に準じて行うことができる。
先ず、前記ゾル液について説明する。
本発明において、前記ゾル液は、珪素源、水溶性高分子、および酸を含むものである。
本発明において、前記珪素源は、メトキシシラン、エトキシシラン等のケイ素アルコキシドや、水ガラスが特に制限なく用いられる。中でも、水ガラスは、安価であるため好適に用いることができる。この水ガラスは、一般にはケイ酸アルカリ塩の濃厚水溶液であり、その種類や濃度は特に限定されないが、JIS規格の水ガラスである珪酸ナトリウムJIS3号またはそれと同等のものが珪素源として取扱いやすい。
本発明において、前記水溶性高分子は、理論的には適当な濃度の溶液を形成できる有機高分子であって、珪素源を含有する溶液中において均一に溶解できるものが好適に使用できる。前記水溶性高分子は、前記珪素源の種類等に応じて、使用する高分子を適宜決定してやればよいが、具体的には、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等を使用することができる。これらのうち、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールが、取扱いが容易であるため好適である。更に、ポリアクリル酸は、分子量15,000〜300,000、好ましくは20,000〜150,000のものが好適である。
本発明において、前記酸は、加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加されるものであって、通常硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が使用される。中でも、廃液等の処理を考慮すると、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸を使用することが好ましい。
本発明において、ゾル液は、前記珪素源、水溶性高分子、および酸を含むものであり、このゾル液調製の際に用いる溶媒(媒体)は、水を使用することが好ましい。
本発明において、ゾル液を調製する際の手順は、特に限定されないが、最後に珪素源と酸とを混合することが好ましい。具体的には、珪素源と水溶性高分子とを混合した後、該混合液と酸とを混合する方法、水溶性高分子と酸とを混合した後、該混合液と珪素源とを混合する方法が挙げられる。このとき、珪素源と水溶性高分子の混合手順は特に限定されず、珪素源を水溶性高分子に加えても、逆に水溶性高分子に珪素源を加えてもよい。また、珪素源と酸との混合手順も特に限定されない。
本発明において、前記ゾル液に含まれる珪素源、水溶性高分子、および酸の割合は、一般的な割合を例示すると、珪素源は、ゾル液中のSiO含有率が2〜30質量%となるように配合されることが好ましく、特に6〜20質量%となるように配合されることが好ましい。また水溶性高分子の濃度は、ゾル液中、0.05〜5質量%とするのが好ましく、特に0.5〜2質量%とするのが好ましい。また、酸の濃度は、ゾル液1リットルあたり、0.1〜5モル、好ましくは1〜4モルの範囲が好ましく、該ゾル液のpHは、2以下とすることが好ましい。これら配合割合は、使用する原料、およびその原料の組み合わせによって、二元細孔シリカを製造できる条件が異なるため、予備実験を行い確認しておくことが好ましい。
次いで、本発明においては、前記方法により調整したゾル液を、相分離が過度の状態でゲル化させ、湿潤状態のゲル体を得る。ゾル液をこのようにゲル化させるには、前記ゾル液を密閉容器などに入れ、0〜90℃で、好ましくは20〜70℃で10分〜1週間、さらに好ましくは1時間〜24時間放置することにより行う。
本発明において、珪素源として水ガラスを用いた場合は、前記湿潤状態のゲル体を乾燥する前に、ナトリウム等のアルカリ金属を除去するため、洗浄処理することが好ましい。これは、水ガラス(珪酸アルカリ金属塩)を原料とした湿潤状態のゲル体をそのまま乾燥させると、乾燥が進むにつれてゲル体の崩壊が進むからである。この洗浄処理は、ゲル体中に含まれるアルカリ金属を除去できる溶媒で行うものであり、水を溶媒とすることが好ましい。また、上記洗浄処理は、ゲル体に水を通液して洗浄することもできるし、ゲル体を水に漬け、アルカリ金属が十分に低減できる条件(時間、温度)で洗浄することもできる。尚、この洗浄処理は、下記に詳述するゲル体をアンモニア水に浸漬する処理の前に実施することもできるし、該処理の後に実施することもできる。中でも、洗浄効率等を考慮すると、洗浄処理は、ゲル体をアンモニア水に浸漬する処理の前に実施することが好ましい。
本発明においては、前記方法により得られたゲル体を1mol/Lを超え10mol/L以下の濃度のアンモニア水に浸漬することを特徴とするものである(以下、ゲル体を1mol/Lを超え10mol/L以下の濃度のアンモニア水に浸漬させる処理を熟成処理とする場合もある。)。本発明は、この熟成処理において、1mol/Lを超え10mol/L以下の濃度のアンモニア水を使用することにより、マクロ細孔を制御することができる。
前記の通り、二元細孔シリカは、使用する珪素源、水溶性高分子、および酸によって、その配合割合が異なる。このような二元細孔シリカにおいて、マクロ細孔を制御するには、これら原料組成を調整することにより、主に実施されていた。しかしながら、二元細孔シリカは、使用する原料によってその製造条件が異なるため、マクロ細孔の異なる様々な二元細孔シリカを製造するには、その都度、原料組成を変更しなければならなかった。そのため、様々な用途に対応するために、マクロ細孔の異なる二元細孔シリカを効率よく製造するためには、原料組成によらず、マクロ細孔を制御できる方法の開発が望まれていた。本発明は、このような課題を解決するものである。
従来技術においては、この熟成処理において、高々0.1〜1規定(0.1〜1mol/L)のアンモニア水を使用して、ナノ細孔を制御することしか行われていなかった。この濃度のアルカリ水溶液では、ナノ細孔を制御することは可能であったが、マクロ細孔を制御するまでには至らなかった。本発明は、このアンモニア水を特定の濃度(1mol/Lを超え10mol/L以下)とすることにより、ナノ細孔を制御するだけでなく、マクロ細孔の細孔径分布、細孔容積も制御するものである。つまり、本発明によれば、二元細孔シリカのマクロ細孔のピークの半値幅をより狭くする(細孔径の分布が狭くなり、より均一なマクロ細孔とする)ことができ、かつ、マクロ細孔の細孔容積を大きくすることができる。
本発明において、熟成処理に使用するのは、アンモニア水である。他のアルカリ水溶液、例えば、水酸化アルカリ金属塩の水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)では、二元細孔シリカにアルカリ金属が残留する可能性があるため好ましくない。これに対し、アンモニア水を使用した場合には、後工程でアンモニアを容易に除去することができるため、二元細孔シリカの純度をより高くできる。
また、熟成処理に使用するアンモニア水の濃度は、1mol/Lを超え10mol/L以下である。アンモニア水の濃度(熟成処理に使用する水溶液(1L)中のアンモニア(mol)の濃度)が、1mol/L以下の場合は、ナノ細孔の制御が主となり、十分にマクロ細孔を制御できないため好ましくない。一方、10mol/Lを超える場合は、マクロ細孔を制御する効果が頭打ちになること、および熟成処理後のアンモニアを含む排水の処理が困難となるため好ましくない。マクロ細孔の制御効果と後処理等を考慮すると、熟成処理に使用するアンモニア水の濃度は、1.5mol/L〜9mol/Lであることが好ましく、更に、2mol/L〜8mol/Lであることが好ましい。
従来の技術において、熟成処理を行うに際し、ゲル体を特定の濃度のアンモニア水に浸漬させることにより、マクロ細孔が制御できることは、到底考えられなかったことである。つまり、従来の知見からでは、単にアンモニアの濃度を高めると、主にシリカ分がより溶解されると考えられていたため、ナノ細孔の制御、および細孔容積の制御は可能となるが、マクロ細孔を制御できることは考えつかなかった。特に、マクロ細孔の細孔径分布が狭くなり、より均一なマクロ細孔が得られることなど考えつくものではなかった。
しかしながら、本発明者等は、熟成処理に使用するアンモニア水の濃度を1mol/Lを超え10mol/L以下とすることにより、驚くべきことに、マクロ細孔の細孔径分布(実施例においては、ピークの半値幅で示す)を狭くできることを見出した。この理由は明らかではないが、以下の通り推定している。1mol/Lを超え10mol/L以下のアンモニア水を使用することにより、湿潤ゲルにおけるシリカの溶解再析出反応がより活発となり(溶解したシリカが再析出し易い状態となり)、一旦溶解したシリカの再析出によりシリカ骨格が補強されるため、湿潤状態のゲル体の収縮を小さくできるものと推定される。そして、その結果、マクロ細孔を制御する(特に、細孔径分布を狭くする)ことができるものと思われる。つまり、単にシリカ分がより溶解されるだけでは、マクロ細孔を制御することはできないものと考えられるため、本発明によるマクロ細孔の制御は、ゲル体の収縮が小さくなることにより達成されるものと推定される。そして、上記の通り、得られる効果は、従来の知見からでは予測できるものではなかった。
本発明において、前記熟成処理の温度、時間は、使用するアンモニア水の濃度、所望とする二元細孔シリカ等に応じて適宜決定してやればよい。通常、温度0〜80℃、時間1〜120時間の範囲で熟成処理を行うことが好ましい。この条件で熟成処理することにより、二元細孔シリカの製造において、マクロ細孔を十分に制御することができる。
本発明において、前記熟成処理を行ったゲル体は、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して乾燥を行い、二元細孔シリカとすることが好ましい。また、必要に応じて、例えば、強度を必要とする場合には、乾燥後の二元細孔シリカを焼成することもできる。この焼成は、乾燥後、有機物(水溶性高分子等)を完全に除去するため、500〜1,100℃の温度で行うことが好ましい。また、ナノ細孔を制御するため、水熱処理を行うこともできる。
本発明によれば、マクロ細孔が制御された二元細孔シリカを得ることができるため、水銀圧入法で測定した際、0.1〜30μmの範囲にマクロ細孔を有し、微分グラフで表したマクロ細孔ピークの高さが15cm/g以上、該マクロ細孔ピークの半値幅が1μm以下のものとすることができる。一方、ナノ細孔については、水銀圧入法で測定した際、5〜50nmの範囲にナノ細孔を有し、微分グラフで表したナノ細孔ピークの高さが10cm/g以上、かつ該ナノ細孔ピークの半値幅が3nm以下のもとすることができる。更に、マクロ細孔の細孔容積を制御することができるため、マクロ細孔とナノ細孔の細孔容積の比((マクロ細孔容積)/(ナノ細孔容積))を1以上とすることも可能である。
このように本発明の方法により得られた二元細孔シリカは、実施例、比較例で具体的に示すが、従来技術よりも、マクロ細孔において、該細孔径分布が狭くなり、均一な細孔とすることができ、更に、細孔容積を大きくすることができる。そのため、カラム担体、触媒担体、フィルター材料等の用途に使用した際、物質輸送能に優れるマクロ細孔の細孔容積、及び、細孔径分布を制御可能なので、カラム担体やフィルターに使用した場合は、対象とする物質を容易に分離することが可能となり、さらに、触媒担体として使用した場合は、対象とする反応の活性を向上させる等の機能を発揮できるものと考えられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(マクロ細孔およびナノ細孔の細孔分布の測定)
予め120℃、12時間乾燥させた測定用試料を、水銀圧入法(カンタクローム社製、POREMASTER−60)によりマクロ細孔の細孔分布を測定した。測定で得られた細孔径分布の微分グラフにおいて、マイクロメートル領域に現れる最大ピークの孔径をマクロ細孔の細孔径、ナノメートル領域に現れる最大ピークの孔径をナノ細孔の細孔径、それぞれの細孔領域における水銀圧入量から細孔容積を求めた。
実施例1
水溶性高分子として、平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)を使用し、珪素源として水ガラス(3号珪曹)を使用した。仕込組成は、重量比で水:濃硝酸:HPAA:水ガラス=97:37:6.5:55とし、室温で攪拌し均一溶液とした後、25℃で静置しゲル化させた。ナトリウム除去のために得られたゲル体を水洗した。その後、3mol/Lのアンモニア水溶液中で、50℃で72時間熟成を行い(熟成処理)、次いで、50℃で乾燥、600℃で焼成を行った。得られた二元細孔シリカは、細孔径1.5μmの揃った貫通孔が三次元網目状に絡み合った構造で存在していることを電子顕微鏡(図1)で確認した。水銀圧入法により測定した二元細孔シリカのマクロ細孔の細孔径1.5μm、ピーク高さ16cm/g、半値幅0.6μm、細孔容積1.5cm/g、ナノ細孔の細孔径15nm、ピーク高さ11cm/g、半値幅2.1nm、細孔容積1.0cm/g、マクロ細孔とナノ細孔の細孔容積比は1.5であった(表1に示す。)。図2に二元細孔シリカの水銀圧入測定結果を示す。
実施例2
実施例1の熟成処理を5mol/Lのアンモニア水溶液中で、50℃で24時間を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。水銀圧入法により測定した二元細孔シリカのマクロ細孔の細孔径1.5μm、ピーク高さ17cm/g、半値幅0.4μm、細孔容積1.2cm3/g、ナノ細孔の細孔径16nm、ピーク高さ11cm/g、半値幅2.1nm、細孔容積1.0cm/g、マクロ細孔とナノ細孔の細孔容積比は1.2であった(表1に示す。)。
比較例1
実施例1の熟成処理を0.1mol/Lのアンモニア水溶液中で、50℃で72時間を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。水銀圧入法により測定した二元細孔シリカのマクロ細孔の細孔径2μm、ピーク高さ11cm/g、半値幅0.85μm、細孔容積0.7cm/g、ナノ細孔の細孔径9nm、ピーク高さ8cm/g、半値幅1.3nm、細孔容積1.5cm/g、マクロ細孔とナノ細孔の細孔容積比は0.5であった(表1に示す。)。
Figure 0005059428
以上の通り、熟成処理におけるアンモニア水の濃度を1mol/Lを超え10mol/L以下とすることにより、マクロ細孔の細孔容積を増加させることができ、更に、そのピークの半値幅を狭くすることができる。このことから、本発明の製造方法によれば、ピークの半値幅の狭い、均一なマクロ細孔を有する二元細孔シリカを製造することができ、マクロ細孔を制御できることが明らかである。
実施例1で得られた二元細孔シリカの電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた二元細孔シリカの細孔分布を示す図である。

Claims (1)

  1. 珪素源、水溶性高分子、および酸を含むゾル液を、相分離が過渡の状態でゲル化させた後、得られたゲル体を2mol/L以上8mol/L以下の濃度のアンモニア水に浸漬することを特徴とする二元細孔シリカの製造方法。
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