JP5059407B2 - ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材 - Google Patents

ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材 Download PDF

Info

Publication number
JP5059407B2
JP5059407B2 JP2006528567A JP2006528567A JP5059407B2 JP 5059407 B2 JP5059407 B2 JP 5059407B2 JP 2006528567 A JP2006528567 A JP 2006528567A JP 2006528567 A JP2006528567 A JP 2006528567A JP 5059407 B2 JP5059407 B2 JP 5059407B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
crosslinked polymer
network structure
polymer
semi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006528567A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2006001313A1 (ja
Inventor
チェンピン グン
義仁 長田
裕之 附柴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC, Medical and Biological Laboratories Co Ltd filed Critical Hokkaido University NUC
Priority to JP2006528567A priority Critical patent/JP5059407B2/ja
Publication of JPWO2006001313A1 publication Critical patent/JPWO2006001313A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5059407B2 publication Critical patent/JP5059407B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/52Amides or imides
    • C08F220/54Amides, e.g. N,N-dimethylacrylamide or N-isopropylacrylamide
    • C08F220/56Acrylamide; Methacrylamide

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

本発明は、架橋ポリマーからなる網目構造に他のポリマーが絡み付いて構成されるセミ相互侵入網目構造を有するゲル及びそのゲルの製造方法、並びにそのゲルを利用した吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材に関する。
液体と固体との2相コロイド系であるゲルは、高柔軟性や高保水性等の優れた特性を有し、これらの特性を利用して、産業上の利用用途が従来から様々に検討されている。例えば、特許文献1には、ゲルに対して直鎖状高分子が混合されているか又はグラフト重合されてなる低摩擦材料が開示されている。
ところが、従来のゲルは機械的強度が著しく低いため、耐強度や耐久性が不足し易く、利用用途が著しく制限されていた。
そこで、ゲルの機械的強度を高めるための技術が様々に検討され開発されている(例えば特許文献2〜7及び非特許文献1〜4)。これらの中でも例えば特許文献2には、第一の架橋ポリマーからなる網目構造中でモノマーを重合し架橋させることにより、第二のポリマーを形成し、第一の架橋ポリマーと第二のポリマーとが互いに絡み合った相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルを生成する技術が記載されている。なお、「相互侵入網目構造」とは、ベースとなる網目構造に他の網目構造が絡み付いた網目構造を指し、また「セミ相互侵入網目構造」とは、ベースとなる網目構造に直鎖状ポリマーが絡み付いた網目構造を指す。
特開2002−212452号公報 国際公開第03/093337号パンフレット 特開2004−91724号公報 特開2002−053762号公報 特開2002−053629号公報 特開昭57−130543号公報 特開昭58−36630号公報 J.P.Gong,Yoshinori Katsuyama,Takayuki Kurokawa,Yoshihito Osada,"Double−Network Hydrogel with Extremely High Mechanical Strength",Advanced Materials,15,1155−1158(2003) H.Haraguchi,T.Takeshita,"Nanocomposite Hydrogels:A Unique Organic−Inorganic Network Structure with Extraordinary Mechanical,Optical,and Swelling/De−swelling Properties",Advanced Materials,14,1120−1123(2002) Y.Okumura,KohzoIto,"The Polyrotaxane Gel:A Topological Gel by Figure−of−Eight Cross−links",13,485−487(2001) Long Zhao,Hiroshi Mitomo,Naotsugu Nagasawa,Fumio Yoshii,Tamikazu Kume,"Radiation synthesis and characteristic of the hydrogels based on carboxymethylated chitin derivatives",Carbohydrate Polymers,51,169−175(2003)
しかしながら、本発明者らは、特許文献2に開示された技術を発展させてゲルの強度をさらに向上させるべく鋭意研究を継続した結果、特許文献2〜7及び非特許文献1〜4に開示された技術の開発思想とは異なる知見を得た。即ち、例えば特許文献2又は非特許文献1に開示された技術では、ゲルの強度向上に最も重要な因子は、第一の架橋ポリマーに対する第二のモノマーのモル比及び第二のポリマーの架橋度であると考えられており、特に特許文献2に開示された技術では、第二のポリマーがごく僅かな架橋構造を有すること具体的には第二のポリマーの架橋度が0.001mol%以上であることがゲルの強度を高める最適条件であるとしているが限界がある。
本発明の目的は、ゲルの有する高柔軟性や高保水性等の優れた特性を損なうことなく、ゲルの強度を飛躍的に向上させることのできる技術を提供すること、さらにはそのゲルを利用し各種用途を提供することである。
本発明に係るゲルは、架橋ポリマーで構成される網目構造に非架橋ポリマーが侵入し物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有し、良溶媒による平衡膨潤時において、膨潤度が5以上で、かつ、前記良溶媒の重量含有率が80%以上で、かつ、破壊エネルギーが700J/m以上2000J/m以下である構成を採る。
すなわち、架橋ポリマーでない第二のポリマーが架橋構造を全く有することなく線状で高分子量となっている。そして、第二のポリマーが架橋構造を採るよりもむしろ非架橋ポリマーを採る場合に限りゲルの強度が特異的に向上することを見出した。
本発明によれば、架橋ポリマーからなる剛直で、かつ、空洞部の散在する網目構造に、所定条件を満たす柔軟性の高い非架橋ポリマーが侵入して物理的に絡み付くため、生体組織に匹敵するかそれ以上の力学強度及び耐久性を備えるゲルを提供することができる。
本発明に係るゲルの有するセミ相互侵入網目構造を模式的に示す図 セミ相互侵入網目構造における架橋ポリマーからなる網目構造の空洞部を模式的に示す図 本発明に係るゲルの亀裂先端部において、セミ相互侵入網目構造が変形する様子と、非架橋ポリマーがある速度領域で化学的な架橋によらず物理的な絡み合いによる過渡的網目を形成することによって亀裂進行の抵抗力となる様子と、を模式的に示す図 濃厚溶液状態における非架橋ポリマーに過渡的網目が形成される外力の速度領域を模式的に示す図 本発明に係るゲルの破壊エネルギーと非架橋ポリマーの重量平均分子量Mとの相関を模式的に示す図
本発明の骨子は、架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造に、前記空洞部を満たす大きさのランダムコイル形態をとる非架橋ポリマーが絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有するゲルを形成することである。ランダムコイルの大きさは、非架橋ポリマーの分子量に依存する。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明に係るゲルを評価するに際して、その力学強度を示す指標として「圧縮強度」を、またその破壊力学的な丈夫さを示す指標として「破壊エネルギー」を使用する。「圧縮強度」は、ゲルの破壊に必要な応力を初期の面積で割った値で示され、「破壊エネルギー」は、ゲルの定常的な破壊進行に用いられた仕事量を破断面積で割った値、即ち破断面を形成するために必要なエネルギーで示される。従って、ゲルの優劣を示す指標としては、破壊に至るまでの変形率が極めて大きいというゲルの特性を勘案すれば、圧縮強度よりも破壊エネルギーを用いる方が適切である(Y.Tanaka,K.Fukao,Y.Miyamoto,“Fracture energy of gels”,The European Physical Journal E,3,395−401(2000)参照)。
図1に、本発明に係るゲルの有するセミ相互侵入網目構造を模式的に示す。ゲルの基本骨格を構成する架橋ポリマーは、網目の極めて疎な部分である空洞部の散在する剛直な網目構造を形成し、一方で非架橋ポリマーは、この空洞部に集中的に存在し、柔軟性を保ちつつ、その末端部で架橋ポリマーの網目構造に物理的に絡み付いている。
ここで、「物理的に絡み付いている」とは、二つ以上の非連続的な線状の物体が共有結合等による結合した状態には無いが、空間的な位置を束縛され得る位置関係を取っている箇所が少なくとも1つ存在し、且つ前記双方または何れか一方が物理的に破壊または変形されなければ、ほどけない状態をいう。ただ、微視的で、そもそもそのままでは目視できない状態にあるもの等の場合には、電子顕微鏡写真を用いるなど、そのものを確認するに相応の状態において、他の部分と比し、極めて接近した箇所が少なくとも1つ存在すべきである。しかしながら、溶液中に存在するポリマー同士の物理的な絡み合いについては、光学顕微鏡等で確認できないだけでなく、電子顕微鏡写真を用いた場合にも確認できないほどに微視的な部分で物理的な絡み合いを形成しているため、動的光散乱装置等によりその存在を示唆し得るのみである。また、以下においては、この空洞部含有架橋ポリマーに非架橋ポリマーが絡み付いた構造をダブルネットワーク(DN)と呼ぶこともある。
この架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造は、例えばビニルモノマーとジビニルモノマーとのラジカル共重合によって形成される。ビニルモノマーとジビニルモノマーとはラジカル重合における反応性が異なるため、これらを共重合させると、反応初期にミクロゲルが形成され、それが成長することでミクロゲル同士の架橋が生じて不均一な網目構造が形成される(Erik Geissler,“Dynamic light scattering from polymer gels”,Chapter 11th,471−511、Edited by WYNBrown,“Dynamic Light Scattering−The Method and Some Applications−“CLARENDON PRESS,OXFORD(1993)参照)。このようにして形成された架橋ポリマーの網目構造は、溶媒を大量に吸収して平衡膨潤に達すれば、膨潤度の上昇に伴って網目の粗密差が拡大することで、空間的に不均一性が極めて高くなる(Hidemitsu Furukawa,Kazuyuki Horie,“Swelling−induced modulation of static and dynamic flnuctuations in polyacrylamide gels observed by scanning microscopic light scattering”,Physical Review E,68,031406(2003)、Mitsuhiro Shibayama,“Spatial inhomogeneity and dynamic fluctuations of polymer gels”,Macromol.Chem.Phys.,199,1−30(1998)参照)。また、電解質の架橋ポリマーからなる網目構造と非電解質の架橋ポリマーからなる網目構造とを比較すると、それらの架橋度が同じであれば、平衡膨潤度及び網目の不均一性は前者の方が後者に比べて著しく大きい。そのため、電解質の架橋ポリマーからなる網目構造には、網目の極めて疎な部分即ち空洞部が確実に散在すると考えられる。なお、動的光散乱法による測定データは、この考えを支持している。
一方で、本発明において「非架橋ポリマー」とは、架橋度が0.001mol%未満のポリマー、好ましくは全く架橋されていないポリマーを指し、また架橋度は非架橋ポリマーを重合する際に添加される架橋剤の量から算出される。架橋度が小さいポリマーは、ゲルを形成しないゾル状態で溶媒に可溶であり、柔軟性が高く、ランダムコイルを形成し易い。
図2に、セミ相互侵入網目構造における架橋ポリマーからなる網目構造の空洞部を模式的に示す。非架橋ポリマーは、この空洞部内において移動や変形を自由に行えるため、ランダムコイルになっていると考えられ、統計的にはその直径dηはポリマー溶液の固有粘度[η]と重量平均分子量Mとから次の式によって算出される(M.−M.Kulicke,R.Kniewske,J.Klein,“Preparation,Characterization,Solution Properties and Rheological Behaviour of Polyacrylamide”,Progress in PoymerScience,8,373−468(1982)参照)。
Figure 0005059407
この式から算出される非架橋ポリマーからなるランダムコイルの直径が架橋ポリマーからなる網目の平均間隔の凡そ10倍以上になると、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの力学強度及び破壊エネルギーが特異的に向上し始める。すなわち、この場合の非架橋ポリマーの分子量は重量平均分子量で10以上になっており、物理的な絡み合いが十分生じ得る程の濃度でポリマーが存在していることになる。このような現象が生じる機構は、非架橋ポリマーからなるランダムコイルがその重合度の上昇に伴い大きくなって架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部を満たすようになると、換言すれば非架橋ポリマーからなるランダムコイルの直径がその空洞部の直径よりも大きくなると、架橋ポリマーと非架橋ポリマーとが物理的に絡み合うようになり、その絡み合いに起因する擬似的な架橋点を形成することによってこれらのポリマーが連続した網目のように振舞うためであると推測される。翻って、非架橋ポリマーからなるランダムコイルの直径がその空洞部の直径よりも小さければ、架橋ポリマーと非架橋ポリマーとの間に擬似的な架橋点が形成されないため、セミ相互侵入網目構造においては非架橋ポリマーの存在によって粘度が高くなった溶媒に架橋ポリマーが膨潤しているだけの状態となることから、そのゲルの力学強度及び破壊エネルギーが著しく向上することはない。
また、セミ相互侵入網目構造において非架橋ポリマーからなるランダムコイルの直径がその空洞部の直径よりも大きくなると、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーが特異的に向上する機構については、次のように説明することもできる。即ち、セミ相互侵入網目構造は空間的に硬い部分(架橋ポリマーの密な部分)と柔らかい部分(架橋ポリマーの極めて疎な部分即ち空洞部における非架橋ポリマー)とを有する高次構造であり、外力が加わりこの硬い部分に応力の集中点が生じて亀裂が発生しても、亀裂が柔らかい部分に達するとその先端で応力が散逸し、亀裂先端の曲率が非常に大きくなることによってその亀裂進展が停止する、という機構である。従って、セミ相互侵入網目構造を有するゲルでは、非架橋ポリマーによって拡散され得る応力を超える極めて大きな外力が加えられない限り、亀裂は長い距離を進展することができなくなり、微視的に破壊が生じてもそれが巨視的な破壊に至ることはない。つまり、本発明に係るゲルであれば、巨視的な破壊に至る臨界値が著しく上昇するため、非常に大きな外力が加えられない限り破壊されることはない。仮に、架橋ポリマーの網目構造が均一であれば、このような巨視的な破壊に至る臨界値の著しい向上は見られない。
図3に、本発明に係るゲルの亀裂先端部において、セミ相互侵入網目構造が変形する様子と、非架橋ポリマーがある速度領域で過渡的網目を形成することによって亀裂進行の抵抗力となる様子と、を模式的に示す。本発明に係るゲルは外力に対する速度依存性を示し、このゲルの高強度化にとって最適な外力の速度は、セミ相互侵入網目構造における架橋ポリマーの網目構造に散在する空洞部において、非架橋ポリマー同士が絡み合いによる過渡的網目を形成し得る速度領域に相当すると考えられる。
また、図4に、濃厚溶液状態における非架橋ポリマーに過渡的網目が形成される外力の速度領域を模式的に示す。図4に示すように、非架橋ポリマーの運動速度よりも亀裂先端の亀裂進行速度が速い場合には、図3下段に示すように伸張状態から(B)非架橋ポリマーの切断が優先的に生じてしまうため、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーは低下する、と考えられる。一方で、非架橋ポリマーの運動速度よりも亀裂先端の亀裂進行速度が遅い場合には、図3下段に示すように伸張状態から(A)非架橋ポリマーの滑りが優先的に生じてしまうため、やはりゲルの力学強度及び破壊エネルギーは低下する、と考えられる。このようなゲルの力学強度及び破壊エネルギーの低下は、加えられる外力の速度が物理的に絡まり合った濃厚溶液状態にある非架橋ポリマーの運動速度よりも著しく遅い場合には、非架橋ポリマーが流動的に振舞ってしまい、一方でそれよりも著しく速い場合には、非架橋ポリマーが移動や変形を行う時間的余裕を失いガラス状態になってしまう、ことに起因して生じる、と考えられる。
しかし、セミ相互侵入網目構造において非架橋ポリマーが流動的に振舞ったりガラス状態になったりする間の速度領域では、濃厚溶液状態にある非架橋ポリマーは、絡み合いによる過渡的網目を形成してゴムに似た物性を示すようになると考えられるため、亀裂先端部で生じた応力を拡散させることができる。つまり、濃厚溶液状態である非架橋ポリマーによって形成された過渡的網目は、化学架橋点を有しないために過剰な応力が加わる(応力集中が生じる)と滑り合うことができ、この滑りの際の摩擦によって応力を熱に変換して拡散させる。従って、非架橋ポリマーは、高濃度溶液に近い状態で流動性を保ちつつゆっくりと運動していることが好ましい。ちなみに、この過渡的網目の弾性率は、架橋ポリマーで構成される剛直な網目の弾性率よりも十分小さくなければならない。
端的に言うなら、架橋ポリマーの網目構造から成る空洞部および非架橋ポリマーの物理的絡み付きは、クラック(亀裂)にかかる応力集中を回避でき、破裂にかかるエネルギーを分散することができ、「クラック止め」になる。
従って、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの力学強度及び破壊エネルギーは、非架橋ポリマーの運動速度と加えられる外力の速度との関係に応じて変動し、非架橋ポリマーの運動速度に近い速度で加えられた外力に対して最大となる。そこで、ゲルの温度又はゲルを膨潤させる溶媒の粘度や相溶性等を調節することによって非架橋ポリマーの運動速度を変化させれば、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーが最大となる外力の速度領域を変化させることができる。
図5に、架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造に非架橋ポリマーを絡み付けたセミ相互侵入網目構造を有するゲルについて、その破壊エネルギーと非架橋ポリマーの重量平均分子量Mとの相関を模式的に示す。なお、図5には、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)とジビニルモノマーとから生成した架橋ポリマーにポリアクリルアミド(PAAm)からなる非架橋ポリマーを絡み付けた例を示す。また、図5では、セミ相互侵入網目構造から非架橋ポリマーだけを取り出してその重量平均分子量Mを測定することが困難なため、予め非架橋ポリマーの重合条件とその重量平均分子量Mとの相関を把握しておき、その相関からセミ相互侵入網目構造における非架橋ポリマーの重量平均分子量Mを推定した。
図5に示すように、このゲルの破壊エネルギーは、非架橋ポリマーの重量平均分子量M1×10付近から著しく上昇して4×10付近で頭打ちになっている。これは、非架橋ポリマーからなるランダムコイルが重量平均分子量M1×10付近になると架橋ポリマーの網目構造に散在する空洞部を満たし始め、重量平均分子量M4×10付近にまで達すると、その空洞部がランダムコイルでほぼ満たされてしまうためであると推測される。従って、非架橋ポリマーの大きさ(重合度)には、セミ相互侵入網目構造に散在する空洞部の大きさに依拠する最適範囲が存在すると考えられる。
ここで、非架橋ポリマーは、ほとんど分岐の存在しない直鎖ポリマーでもあるから、重合度即ちポリマーの長さはその分子量に略一次関数的に比例する。従って、物理的絡み付きに最適な分子量が存在するとの事実は、即ち、網目構造を有する架橋ポリマーに対して、非架橋ポリマーが物理的に絡み付くに十分適した長さが存在することを示す。図1を参照して推考するに、非架橋ポリマーの長さが十分に長くないと架橋ポリマーの網目構造から非架橋ポリマーが滑り抜けてしまうことが予想される。或いは、非架橋ポリマー自体が十分に巻きのあるランダムコイルを構成できず、架橋ポリマーに引っ掛かることなくセミ相互侵入網目構造を構成できないことも予想できる。これを擬似的な架橋点が形成されないと言いかえてもよい。従って、セミ侵入網目構造とは、非架橋ポリマーのランダムコイル直径が架橋ポリマーの網目の平均間隔より遙かに大きいときのみに生じる構造でもある。
このように、架橋ポリマーからなる剛直で空洞部の散在する網目構造にその空洞部を満たす大きさの非架橋ポリマーが物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有するゲルであれば、良溶媒による平衡膨潤時において膨潤度が5以上で、かつ、良溶媒の重量含有率が80%以上であっても、外力が加えられた際に非架橋ポリマーが過渡的網目を確実に形成することができるため、破壊エネルギー700J/m以上2000J/m以下という従来達成し得なかった高い耐久性を実現することができる。
また、このゲルは、良溶媒による平衡膨潤時において核磁気共鳴測定を行うと、分子間の相互作用の存在によって現れる化学シフトが観測されないという特徴を有する。この観測結果は、非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間相互作用が存在しないことを意味している。このように非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間相互作用が存在しなければ、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部において、非架橋ポリマーの流動性や運動性が損なわれないため、ゲルの破壊エネルギーが効果的に向上する。
これを裏付けるかのように、このような高破壊エネルギーを呈するダブルネットワークゲルを他のメカニズムに対して提案されたような理論、例えばレイク−トーマス(Lake−Thomas)理論、では説明できず、もしレイク−トーマス理論で概算されるなら、破壊エネルギーは10J/m付近にしかならず、実験値よりも2桁も低いものとなる。
また、このゲルは、良溶媒による平衡膨潤時において、架橋ポリマーの弾性率(a)に対する非架橋ポリマーの過渡的弾性率(b)の比(b/a)が1/100以上1/5以下であることが好ましい。ここで、非架橋ポリマーの過渡的弾性率(b)の算出方法について説明する。非架橋ポリマー溶液に対する応力を段階的に増加させることによって生じる歪(e)を観測することにより、小さい応力(σ)に対する歪の線形関数「e=Jσ」の係数であるクリープコンプライアンス(J)を得る。このクリープコンプライアンスがある速度領域において一定値(定常状態コンプライアンス)を示すとき、この定常状態コンプライアンスの逆数が非架橋ポリマーの過渡的弾性率(b)に相当する。
このように、良溶媒による平衡膨潤時において、非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間相互作用が存在せず、或いは架橋ポリマーの弾性率に対する非架橋ポリマーの過渡的弾性率の比が1/100以上1/5以下であるセミ相互侵入網目構造を有するゲルであれば、一旦亀裂が生じてもその亀裂先端部で生じている応力が非架橋ポリマーの過渡的網目の形成によって熱に変換されて効果的に拡散されるため、破壊エネルギーが確実に700J/m以上2000J/m以下となる。
さらに、このゲルは、架橋ポリマーの良溶媒による平衡膨潤度が5〜1000であり、非架橋ポリマーの重量含有率が架橋ポリマーの重量含有率よりも高い、ことが好ましい。また、このゲルは、非架橋ポリマーの重量含有率がゲルにおける架橋ポリマー及び良溶媒の合計重量に対して10〜40%であることが好ましい。
このゲルを構成する架橋ポリマーは、平衡膨潤度が高く、高分子鎖が大きく伸展した剛直性の高いものである必要があり、具体的には、良溶媒による平衡膨潤度が5〜1000(溶媒含有率80〜99.9w%)となるように架橋されていることが好ましい。なお、架橋ポリマー自体の力学強度は、それほど高い必要はない。なお、ゲルの初期弾性率は、この架橋ポリマーからなる網目構造の初期弾性率によってほぼ定まり、非架橋ポリマーがゲルの初期弾性率に与える影響は極めて小さい。従って、架橋ポリマーの架橋度を調節することにより、ゲルの初期弾性率を調節することができる。
また、この架橋ポリマーは、強電解質であることが好ましい。本発明者らは、電解質/非電解質の架橋ポリマーと、電解質/非電解質の非架橋ポリマーと、の組み合わせでセミ相互侵入網目構造を有するゲルを作製したところ、いずれの組み合わせについても力学強度の向上が見られたが、力学強度及び破壊エネルギーが著しく向上した組み合わせは、強電解質又は全解離した弱電解質の架橋ポリマーと、非電解質の非架橋ポリマーと、の組み合わせだけであった。従って、本発明では、強電解質又は全解離した弱電解質の架橋ポリマーと非電解質の非架橋ポリマーとを組み合わせて使用することが好ましい。なお、架橋ポリマーが電解質であっても非架橋ポリマーを絡み付けた後であれば、イオン強度の高い溶媒に浸漬しても、ゲルの収縮度は著しく小さい。
また、この非架橋ポリマーは、非電解質で柔軟性の高いこと、架橋ポリマーと静電相互作用や疎水結合等の相互作用がないか、あったとしても極めて弱いこと、等の特徴を有することが好ましい。ここで、非架橋ポリマーは、架橋ポリマーからなる網目構造内で濃厚溶液又はゾルの状態であり、それ自体は卵白のような流動性を持ち外形を維持することができない。
また、本発明に係るゲルにおける非架橋ポリマーの重量含有率は、高分子量の非架橋ポリマーが十分な物理的絡み合いを生じ得る濃度以上にすることが必要であるという観点から、架橋ポリマーに対して5〜100モル倍の範囲であることが好ましい。また、良溶媒による平衡膨潤時のゲルにおいて、非架橋ポリマーの濃度は、低すぎても高すぎてもゲルの力学強度が向上しないため、良溶媒に対して0.5〜5mol/L(3.5〜35%)であることが好ましい。さらに、非架橋ポリマーに架橋構造が全く含まれていない場合には、非架橋ポリマーは、その濃度が溶媒に対して0.5〜5mol/L(3.5〜35%)であり、かつ、その分子量が後述の下限臨界分子量以上であることが好ましい。
この非架橋ポリマーの下限臨界分子量とは、濃厚溶液粘度の分子量依存性が、ポリマー間の絡み合いによってη〜Mからη〜M3.4に変化する臨界点を与える分子量よりも10〜100倍大きく、かつ、その重合度(ポリマーユニット数)が10000程度かそれ以上の分子量を指す。非架橋ポリマーの平均分子量が下限臨界分子量以上であれば、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの力学強度及び破壊エネルギーはその分子量に伴って向上し、その平均分子量が上限臨界分子量以上になれば、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーは一定値を示すようになる。従って、図5に示す例で言えば、非架橋ポリマーの下限臨界分子量は、ゲルの破壊エネルギーが特異的に向上し始める重量平均分子量M1×10付近となり、非架橋ポリマーの上限臨界分子量は、ゲルの破壊エネルギーが頭打ちになる重量平均分子量M4×10付近ということになる。なお、非架橋ポリマーの下限及び上限臨界分子量は、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部の大きさに依拠して変化する。
非架橋ポリマーが占有する体積は、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部の体積以上であることが好ましい、即ち非架橋ポリマーは架橋ポリマーからなる網目構造に十分に絡み付いていることが好ましい。また、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部周辺には、とりわけ網目の密な部分があり、その密な部分に対して非架橋ポリマーが十分に絡み付いていれば、その密な部分に存在する非架橋ポリマーは、拡散速度が著しく遅くなって架橋点のように振舞う。従って、非架橋ポリマーは、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部をまたがってその両末端で少なくとも2つの架橋点を有し、さらにその空洞部を完全に満たす体積を有することが好適である。ちなみに、非架橋ポリマーの分子量は統計的な平均値で示されるため、全ての非架橋ポリマーの両端が架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部をまたがって架橋点を形成した場合における非架橋ポリマーの平均分子量が上限臨界分子量ということになる。
このような架橋ポリマー及び非架橋ポリマーを構成する原料モノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、スチレンスルホン酸(SS)又はジメチルアクリルアミド等が例示される。また、非電解質の非架橋ポリマーを構成する原料モノマーとしては、フッ素含有モノマー、具体的には2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン又はフッ化ビニリデン等が例示される。また、架橋ポリマー又は非架橋ポリマーには、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン又はアルギン酸等の多糖類、或いはゼラチンやコラーゲン等のタンパク質を使用することもできる。
また、本発明に係るゲルは、純水中での含水率が10〜99%であることが好ましく、より好ましくは50〜95%、さらには85〜95%が好適である。このようにゲルが多量の純水を含有すれば、ゲルの溶媒吸収率が高くなると同時にその透過性が向上するので、このようなゲルは、高吸水性樹脂、ソフトコンタクトレンズ又は液体クロマトグラフィー用分離架体等の用途、或いは徐放性が要求される用途に有用である。
また、このゲルは、純水中から生理食塩水中に移し替えたときの体積維持率が20〜95%、さらには60〜95%、特には70〜95%であることが好ましい。また、このゲルは、一旦乾燥しても再膨潤することで元の物性を取り戻すことができ、その再膨潤時の溶媒は水に限定されないという特徴も有している。従って、このゲルをオムツ等の吸水剤として利用すれば、尿等の浸透圧の高い溶液でも大量に吸収できるため、圧迫や衝撃に強く、かつ、液漏れし難い高付加価値の衛生生理用品を提供することができる。
また、このゲルについて、架橋ポリマーと非架橋ポリマーとによって構成されるセミ相互侵入網目構造に、さらに他のポリマーを絡み付かせてもよい。このセミ相互侵入網目構造の表面層は最後に付加されたポリマーによって支配的に占有されるため、セミ相互侵入網目構造に他のポリマーを絡みつかせれば、その他のポリマーの特性をゲルに付与することができる。従って、特許文献1に開示された技術を利用して、このセミ相互侵入網目構造に電解質ポリマーを混合したりグラフト重合したりして自由末端鎖を形成すれば、力学強度及び破壊エネルギーの極めて高い低摩擦材料を得ることできる。
また、このセミ相互侵入網目構造を構成する非架橋ポリマーの側鎖を公知の手段で化学修飾することにより、非架橋ポリマーの運動速度を変化させて、ゲルの膨潤度特性、破壊エネルギー及び粘弾性特性を調節することができる。
また、本発明に係るゲルを多価イオンの含有溶液に浸漬して膨潤させることにより、セミ相互侵入網目構造を構成する架橋ポリマーや非架橋ポリマーが具備する特定の官能基と前記多価イオンを反応させて、そのセミ相互侵入網目構造の表面及び内部において多価イオンを含有するキレート錯体やコロイドを形成し、ゲルの物性を変化させることができる。一般に、ゲルにおいて、金属イオンの含有率が高くなると、その含水率は小さくなり、かつ、力学強度が大きくなる。本発明に係るゲルでは、外力が加えられた際に非架橋ポリマーが過渡的網目を形成する必要があるため、架橋ポリマーからなる網目構造と多価イオンとが錯体やコロイドを形成し、かつ、非架橋ポリマーは多価イオンと錯体やコロイドを形成しないことが好ましい。また、このゲルにおける多価イオンの含有率は、純水による平衡膨潤時に0.01〜1mol/Lが好ましく、さらには0.03〜0.3mol/Lが好適である。また、多価イオンとしては、錯体を形成し得る金属イオンであればその種類を特に限定されるものではなく、例えば亜鉛イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン又はクロムイオン等が挙げられる。また、これらの多価イオンと錯体を形成しうる官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基が挙げられる。
また、本発明に係るゲルの表面電位を調節することにより、その表面に内皮細胞を付着させて増殖させることができる。従って、本発明に係るゲルにおけるセミ相互侵入網目構造の表面層の物性を支配する非架橋ポリマーの種類を選択したり、その非架橋ポリマーの側鎖を化学修飾したりすることにより、極めて耐久性の高い細胞培養用基材を得ることができる。
また、上述の通り、架橋ポリマーからなる剛直で、かつ、空洞部の散在する網目構造に、所定条件を満たす柔軟性の高い非架橋ポリマーが侵入して物理的に絡み付いた本発明のゲルを用いて吸水性樹脂や潤滑材や細胞培養用基材等を構成することにより、これらの産業用材料の力学強度や耐久性を改善することができる。
本発明に係るセミ相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法は、特に限定されるものではないが、先ず反応性の異なるモノマーをラジカル共重合させて空洞部の散在する架橋ポリマーを形成し、次いでこの架橋ポリマーを架橋剤を含有しないモノマー溶液に浸漬しつつこのモノマー溶液から非架橋ポリマーをラジカル重合によってこの架橋ポリマーに絡み付かせる逐次重合法が好ましい。また、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空洞部をより大きくするには、反応性の異なるモノマーをラジカル共重合させてポリマーを一旦形成し、そのポリマー溶液に他の架橋剤を添加したりガンマー線照射等を行ったりしてポリマー同士をさらに重合させる方法が好適である。さらに、このセミ相互侵入網目構造を有するゲルをさらに他のモノマー溶液に浸漬して、このゲルに第三、第四の非架橋ポリマーを絡み付けてもよい。
このような架橋ポリマーからなる網目構造の形成においては、適当な濃度の電解質ビニルモノマーに対して0.001〜0.1mol倍のジビニルモノマーを架橋剤として加え、これらをラジカル共重合させることが好ましい。架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)やエチレングリコールジメタクリレートが例示される。ちなみに、弱電解質のビニルモノマーを用いる場合には、対イオンの交換やpHの制御により、その解離度を高めてから反応を開始させる必要がある。また、架橋ポリマーを生成する反応系にその貧溶媒を加えることで、架橋ポリマーから構成される網目構造の不均一性を高めることができる。また、架橋ポリマーのラジカル重合時に、その網目構造の内部に微粒子を混入させておいて、網目構造の形成後にその微粒子を溶解等によって取り除くことにより、その網目構造の不均一性を高めてもよい。
また、逐次重合法を用いて架橋ポリマーからなる網目構造に非架橋ポリマーを絡み付ける際には、架橋ポリマーは、溶媒を除去されていても、合成直後であっても、平衡膨潤であってもよい。さらに、この架橋ポリマーが非架橋ポリマーのモノマー溶液に浸漬されて平衡膨潤状態になった後、即ちその網目構造の内部と外部とでモノマー濃度がほぼ等しくなった後に、初めてそのモノマーの重合が行われるようにすることが好ましい。なお、このモノマー溶液において、モノマーに対するジビニルモノマー等の架橋剤の濃度は0.001mol%未満である必要がある。このような逐次重合法によれば、架橋ポリマーが十分膨潤した状態で非架橋ポリマーの重合が行われるので、非架橋ポリマーが架橋ポリマーに絡み付いても、その体積増加率は高々数十%に留まる。なお、このセミ相互侵入網目構造にさらに第三、第四のポリマーを絡み付けるには、前述した非架橋ポリマーの重合手段と同様の手段によればよい。
なお、このセミ相互侵入網目構造の表面及び内部に多価イオンを含有する錯体やコロイドを形成するには、前述の方法で製造したゲルを一旦真空乾燥させた後、この乾燥させたゲルを多価イオンの含有溶液中に浸漬すればよい。
先ず、本発明に係るゲルの比較対照として、特許文献2における実施例1で記載された方法を用いて、架橋ポリマーからなる空洞部が散在する網目構造に「架橋度0.1mol%の第二のポリマー」が侵入し物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有するゲルを作製した。具体的には、以下のとおりである。
(比較例1)
<架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造の形成>
100×100×2mmのシリコン樹脂板からカッターで外辺長80×80mm、幅5mmの枠を切りだし、枠の1箇所3mmの溝を空けた。このシリコン樹脂枠を2枚の100×100×3mmのガラス板で挟み付けて、重合容器を組み立てた。
モノマーである2mol/Lの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)水溶液25mlと、架橋剤である2mol/LのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液1mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1mlとを合わせ、水で調整して水溶液50mlを得た。
この水溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。続いて、この脱酸素水溶液を前記重合容器の一方のガラス板に置かれたシリコン樹脂板の開口部に流し込み、シリコン板上に他方のガラス板を重ねて前記開口部周辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(22W、0.34A)を用いて紫外線を常温で6時間照射して重合させることにより、架橋度が4mol%で空洞部が散在する不均一な網目構造を有するゲル(半製品)を作製した。なお、架橋度の計算は、以下の通りである。
{(MBAA水溶液濃度×量)/(モノマー濃度×量)}×100
={(2mol/L×1ml)/(2mol/L×25ml)}×100
=4mol%
<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>
モノマーである5mol/Lのアクリルアミド(AAm)水溶液40mlと、架橋剤である0.2mol/LのMBAA水溶液1mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1mlとを混合し、水で調整して水溶液(浸漬溶液)200mlを得た。この浸漬溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。この時の開始剤濃度は、0.1mol%であった。なお、架橋度の計算は以下の通りである。
{(0.2mol/L×1ml)/(5mol/L×40ml)}×100
=0.1mol%
次いで、前記浸漬溶液と前記ゲル(半製品)4gとをそのゲルより十分に大きな容量のシール容器に入れた。この容器を4℃の冷蔵庫に24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノマー、架橋剤及び開始剤を前記ゲルに拡散・浸透させた。この工程において、浸漬溶液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。なお、この工程において、前記ゲル(半製品)は平衡膨潤してその体積が約十倍になり、網目の不均一性が拡大して、空洞部が散在する網目構造が形成される。
次いで、前記浸漬溶液からゲル(半製品)を取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを100×100×3mmの2枚のガラス板の間に気泡が混入しないように挟持した。この2枚のガラス板の周囲4辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で6時間照射した。このとき、前記ゲル中に拡散したAAmモノマーが重合して第二のポリマーが生成されることにより、相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。このゲルにおける第二のポリマーの架橋度は、0.1mol%であった。なお、その架橋度の計算は以下の通りである。
{(0.2mol/L×1ml)/(5mol/L×40ml)}×100
=0.1mol%
このようにして得られた相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルを純水(良溶媒)中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は1.5%であり、第二のポリマーの重量含有率は10.5%であり、純水の重量含有率は88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は8であった。
そして、このゲルについて、下記の手段により、「初期弾性率」、「圧縮強度」、「破壊エネルギー」及び「水素結合より強い分子間相互作用の有無」を測定した。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(実施例1)〜(実施例3)
前記比較例1において、<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>における下記の点を変更する以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを作製した。
モノマーである5mol/Lのアクリルアミド(AAm)水溶液40mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1/20ml(50μl)とを混合し、水で調整して水溶液(浸漬溶液)200mlを得た。この浸漬溶液における開始剤濃度は、0.005mol%である。なお、この開始剤濃度の計算は以下の通りである。
{(0.1mol/L×1/20ml)/(5mol/L×40ml)}×100
=0.005mol%
また、浸漬溶液から取り出した後に2枚のガラス板で挟持したゲル(半製品)に対して、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で、実施例1では10時間、実施例2では8時間、並びに実施例3では6時間照射することにより、前記ゲル(半製品)を構成する空洞部の散在する網目構造に、所定の重量平均分子量Mの非架橋ポリマーを生成すると伴に絡み付けて、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
このようにして得られたセミ相互侵入網目構造を有するゲルをそれぞれ純水(良溶媒)中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルそれぞれにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は1.5%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は10.5%であり、純水の重量含有率は88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は8であった。これらのゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(実施例4)
前記実施例3と同様にして得られたセミ相互侵入網目構造を有するゲルにおける非架橋ポリマーであるポリアクリルアミド(PAAm)に対して、次の手段を用いて化学修飾を施した。
<マンニッヒ反応によるPAAm側基の化学修飾>
150mlの純水に35%のホルムアルデヒド水溶液1.2mlを溶解し、トリエチルアミンを加えてpH9.0に調整後、70度になるまで加熱した。この熱反応溶液中に、純水中で平衡膨潤に達した板状(厚さ約5mm)のゲル25gを入れて、メチロール化反応を開始させた。反応開始から1時間経過後、この板状のゲルを反応系外に取り出し、大過剰の冷水に膨潤させてメチロール化反応を停止させた。この反応によりPAAmに導入されたメチロール基の導入率を既知の方法により算出したところ、約30%であった。
このようにして得られたメチロール化されたセミ相互侵入網目構造を有するゲルを再度純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は1.5%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は12.5%であり、純水の重量含有率は86%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は7.4であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(比較例2)
<架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造の形成>
100×100×0.1mmのシリコン樹脂板からカッターで外辺長80×80mm、幅5mmの枠を切り出し、この枠の1箇所に3mmの溝を空けた。このシリコン樹脂枠を2枚の100×100×3mmのガラス板で挟み付け、重合容器を組み立てた。
モノマーである2mol/LのAMPS水溶液25mlと、架橋剤である2mol/LのMBAA水溶液1/8ml(125μl)と、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1mlとを混合し、水で調整して水溶液50mlを得た。
この水溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。つづいて、この脱酸素水溶液を前記重合容器の一方のガラス板に置かれたシリコン板の開口部に流し込み、シリコン板上に他方のガラス板を重ねて前記開口部周辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で6時間照射して重合させることにより、架橋度が0.5mol%で空洞部が散在する網目構造を有するゲル(半製品)を作製した。なお、架橋度の計算は、以下の通りである。
{(MBAA水溶液濃度×量)/(モノマー濃度×量)}×100
={(2mol/L×0.125ml)/(2mol/L×25ml)}×100
=0.5mol%
<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>
モノマーである5mol/Lのアクリルアミド(AAm)水溶液40mlと、架橋剤である2mol/LであるMBAA水溶液1mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1/20ml(50μl)とを混合し、水で調整して水溶液(浸漬溶液)200mlを得た。この浸漬溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。この浸漬溶液における開始剤濃度は、0.005mol%である。なお、開始剤濃度の計算は以下の通りである。
{(0.1mol/L×1/20ml)/(5mol/L×40ml)}×100
=0.005mol%
次いで、前記浸漬溶液と前記ゲル(半製品)0.3gをそのゲルより十分に大きな容量のシール容器に入れた。この容器を4℃の冷蔵庫に24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノマー、架橋剤及び開始剤を前記ゲル(半製品)に拡散させ浸透させた。この工程において、浸漬溶液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。この工程において、ゲル(半製品)が平衡膨潤してその体積が250倍以上になった。
次いで、前記浸漬溶液からゲル(半製品)を取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを100×100×3mmの2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混入しないようにして挟持した。この2枚のガラス板の周囲4辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で10時間照射した。このとき、前記ゲル中に拡散したAAmモノマーが重合することにより、相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。
このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は0.1%であり、第二のポリマーの重量含有率は5.9%であり、純水の重量含有率は94%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は1360であり、ゲル自体の平衡膨潤度は17であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(比較例3)
前記比較例1において、<架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造の形成>で使用されるAMPS及びMBAAの重量含有率と、<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>で使用されるAAm及びMBAAの重量含有率とを変更する以外は同様にして、相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は0.7%であり、架橋ポリマーの架橋度は2mol%であり、第二のポリマーの重量含有率は9.3%であり、第二のポリマーの架橋度は0.1mol%であり、純水の重量含有率は90%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は103であり、ゲル自体の平衡膨潤度は10であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(比較例4)
前記比較例1において、<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>でMBAAを使用しない以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は1.5%であり、架橋ポリマーの架橋度は4mol%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は10.5%であり、純水の重量含有率は88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は8であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(比較例5)
前記比較例1において、<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>を次のように変更した以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
<セミ相互侵入網目構造ゲルの形成>
モノマーである5mol/Lのアクリルアミド(AAm)水溶液40mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1mlとを混合し、さらに連鎖移動剤として2−メチルカプトエタノールを5.6μl加え、水で調整して水溶液(浸漬溶液)200mlを得た。この浸漬溶液に対して窒素ガスを用いて脱酸素した。この浸漬溶液における開始剤濃度は、0.1mol%である。なお、開始剤濃度の計算は以下の通りである。
{(0.2mol/L×1ml)/(5mol/L×40ml)}×100
=0.1mol%
次いで、前記浸漬溶液とゲル(半製品)4gをそのゲルより十分に大きな容量のシール容器に入れた。この容器を4℃の冷蔵庫に24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノマー、架橋剤及び開始剤を前記ゲルに拡散させ浸透させた。この工程において、浸漬液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。この工程において、前記ゲルが平衡膨潤してその体積が約十倍になることにより、網目構造の不均一性が拡大して、空洞部が散在する網目構造が形成される。
次いで、この浸漬溶液からゲルを取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを100×100×3mmの2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混入しないようにして挟持した。この2枚のガラス板の周囲4辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で10時間照射した。このとき、前記ゲル中に拡散したAAmモノマーが重合することにより、セミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。
このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は1.6%であり、架橋ポリマーの架橋度は4mol%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は8.2%であり、純水の重量含有率は89%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は8.5であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
(比較例6)
前記比較例1において、<相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成>を次のように変更した以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
<セミ相互侵入網目構造ゲルの形成>
モノマーである5mol/Lのアクリルアミド(AAm)水溶液40mlと、開始剤である0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液1/20ml(50μl)とを混合し、水で調整して水溶液(浸漬溶液)200mlを得た。この浸漬溶液に対して窒素ガスを用いて脱酸素した。この浸漬溶液における開始剤濃度は、0.005mol%であった。なお、開始剤濃度の計算は以下の通りである。
{(0.1mol/L×1/20ml)/(5mol/L×40ml)×100
=0.005mol%
次いで、前記浸漬溶液とゲル(半製品)4gをそのゲルより十分に大きな容量のシール容器に入れた。この容器を4℃の冷蔵庫に24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノマー、架橋剤および開始剤を前記ゲルに拡散させ浸透させた。この工程において、浸漬液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。この工程において、前記ゲルが平衡膨潤してその体積が約十倍になることにより、網目構造の不均一性が拡大して空洞部が散在する網目構造が形成される。
次いで、前記浸漬溶液からゲルを取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを100×100×3mmの2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混入しないようにして挟持した。この2枚のガラス板の周囲4辺をシールした後、波長365nmのUVランプ(30W、0.68A)を用いて紫外線を常温で10時間照射した。前記ゲル中に拡散したAAmモノマーが重合して非架橋ポリマーが生成されることにより、セミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。
<マンニッヒ反応によるPAAm側基の化学修飾>
150mlの純水に35%のホルムアルデヒド水溶液1.2mlを溶解し、トリエチルアミンを加えてpH9.0に調節後、70度なるまで加熱した。この熱反応溶液中に、純水中で平衡膨潤に達した板状(厚さ約5mm)のセミ相互侵入網目構造を有する前記手段によるゲル25gを入れて、メチロール化反応を開始させた。その反応開始から1時間経過後、その熱反応溶液中にさらに50%ジメチルアミン水溶液9.5mlを加えた。それから30分間経過後、前記ゲルを反応系外に取り出し、大過剰の冷水に膨潤させて反応を停止させた。この反応によりPAAmに導入されたメチロール基及びカチオン基の導入率を既知の方法により算出したところ、それぞれ約30%であった。
このようにして得られたメチロール化及びカチオン化されたセミ相互侵入網目構造を有するゲルを再度純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は2.2%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は14.8%であり、純水の重量含有率は83%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は6であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表1」にまとめて示す。
[ゲルの諸特性の測定]
ゲルの「初期弾性率」及び「圧縮強度」の測定には、ORIENTIC社製 TENSILON型式RTC−1150A(試験機A)又はORIENTIC社製 TENSILON型式RTC−1150A型式RTC−1150A(試験機B)と新居製作所社製 アタッチメント金具とを用いた。試験機Aは、250N以下、試験機Bは10kN以下の応力を測定することができ、測定するゲルの力学強度に応じて使い分けた。
先ず圧縮試験を行い、ゲルを直径9mmの円形状カッターにより厚さ5mm程度の円筒状に切り抜き、試験機A又はBに接続したアタッチメント金具(上下圧縮板型)を用いて、ゲルの高さ方向の歪に対して10%/min(例えば、5.0mm厚のゲルであれば0.5mm/min)の圧縮速度でそのゲルに生じている応力を測定した。
そして、ゲルの初期弾性率は、前記圧縮試験によって得られた歪−応力曲線の歪が10%未満で直線性の高い領域における曲線の傾きから以下の式によって算出した。また、ゲルの圧縮強度は、ゲルが破壊されることにより、測定中リアルタイムでモニターに出力される歪−応力曲線の傾きが変化したときの応力、或いはモニターに出力される歪−応力曲線の傾きが変化しないとしてもゲルの破壊が確認された時の応力と表面積とから以下の式によって算出した。
(初期弾性率)=(応力)/(歪率)
(圧縮強度)=(破断時の応力)/(非変形時の表面積)
また、ゲルの破壊エネルギーについても試験機A又はBを用いて測定した。ゲルの破壊エネルギーは、JIS K−6252トラウザ型1/2サイズの金属性カッターで切り抜いた厚さ4.0〜5.0mmのゲルを、アタッチメント金具(引っ張り試験用固定器具)で固定し、定常的な破壊が起こる条件で500mm/minの速度で引き裂き試験を行い、その試験結果を以下の式に当てはめることによって算出した。
尚、通常、破壊された面としては、破壊の左右または上下など、破壊位置を基準として、両側の二面が得られるが、ここでは議論を簡単にするため、片面のみのモデルを考える。
(破壊エネルギー)=(定常的な破壊に要した仕事)/(破断面積)
=(定常的な破壊時の平均的な力)/(ゲルの厚さ)
また、非架橋ポリマー間又は第二のポリマー間における「水素結合よりも強い分子間相互作用の有無」については、ゲルに対して核磁気共鳴測定を行い、分子間相互作用の存在によって現れるはずの化学シフトが観測されるか否かによって判定した。
また、セミ相互侵入網目構造における非架橋ポリマーの重量平均分子量Mは、予め非架橋ポリマーの重合条件とその重量平均分子量Mとの相関を把握しておき、その相関に基づいて非架橋ポリマーの重合条件から算出した。
Figure 0005059407
表1に示す実施例1〜実施例3で得られたゲルの構成及び特性を対比することにより、セミ相互侵入網目構造を構成する非架橋ポリマーの重量平均分子量Mが大きくなるに従って、ゲルの破壊エネルギーが向上することが判る。なお、表1では、非架橋ポリマー(B)の重量平均分子量Mは10を底とする指数関数で表記されている。
本明細書は、2004年6月25日出願の特願2004−187954に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係るハイドロゲルは、力学強度及び破壊エネルギーが高く、透明で、柔軟性、物質透過性及び耐衝撃性を備えているので、オムツ、衛生用品、除放剤、土木材料、建築材料、通信材料(例えば軸受、ケーブルやその継手)、土壌改質剤、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ホローファイバー、人工軟骨、人工関節、人工臓器(例えば人工血管や人工皮膚)、燃料電池用材料、バッテリーセパレータ、床ずれ・褥痩防止マット、クッション、潤滑材、化粧水等の安定剤や増粘剤、細胞培養用基材、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、薬物の運搬架体、特定物質のセンサー又はカテーテルの先端に利用するソフトアクチュエーター等に利用することができる。

Claims (19)

  1. 架橋ポリマーで構成される網目構造に非架橋ポリマーが侵入し物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有し、
    前記非架橋ポリマーの重量平均分子量が4×10 以上であり、
    前記架橋ポリマー及び前記非架橋ポリマーに対する良溶媒による平衡膨潤時において、膨潤度が5以上で、かつ、前記良溶媒の重量含有率が80%以上で、かつ、破壊エネルギーが700J/m以上2000J/m以下であるゲル。
  2. 前記良溶媒による平衡膨潤時において、前記非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間相互作用が存在しない、請求項1記載のゲル。
  3. 前記非架橋ポリマーは、前記良溶媒による平衡膨潤度が5〜1000であり、
    前記非架橋ポリマーは、その重量含有率が前記架橋ポリマーの重量含有率よりも高い、
    請求項1記載のゲル。
  4. 前記非架橋ポリマーは、その重量含有率が、前記ゲルにおける前記良溶媒の重量に対して3.5〜35%である、請求項1記載のゲル。
  5. 前記非架橋ポリマーの重量含有率が該ゲルにおける前記架橋ポリマー及び前記溶媒の合計重量に対して10〜40%である、請求項1記載のゲル。
  6. 前記架橋ポリマーおよび前記非架橋ポリマーの原料モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、スチレンスルホン酸(SS)、ジメチルアクリルアミド、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、フッ化ビニリデンから選ばれる、請求項1項記載のゲル。
  7. 前記架橋ポリマーの重合に用いる架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)又はエチレングリコールジメタクリレートである、請求項1記載のゲル。
  8. 前記架橋ポリマーの原料モノマーと前記非架橋ポリマーの原料モノマーとのモル比が約1:20である、請求項1記載のゲル。
  9. 前記セミ相互侵入網目構造の表面層に、電解質ポリマーからなる自由末端鎖を有する、請求項1記載のゲル。
  10. 請求項1記載のゲルから溶媒を除去したものである吸水性樹脂。
  11. 請求項1記載のゲルからなる潤滑材。
  12. 請求項1記載のゲルからなる細胞培養用基材。
  13. 第一の原料モノマーを溶媒中で架橋剤と共に重合させて、網目構造を有する架橋ポリマーを構成することで、この架橋ポリマーと前記溶媒とからなる中間生成物としての半製品ゲルを得るステップと、
    第二の原料モノマーを前記半製品ゲルに拡散・浸透させた後に、前記第二の原料モノマーに対して0.005モル%以下の重合開始剤の存在下で重合させて非架橋ポリマーを構成することで、この非架橋ポリマーが前記網目構造に物理的に絡み付いた構造を内包する最終生成物としてのゲルを得るステップと、を具備する製造方法により製造され、
    前記溶媒による平衡膨潤時において膨潤度が5以上で、前記溶媒の重量含有率が80%以上で、かつ、破壊エネルギーが700J/m以上2000J/m以下である、ゲル。
  14. 前記製造方法は、多価イオン含有溶液に浸漬させ、内部にコロイドを形成するステップをさらに具備する、請求項13記載のゲル。
  15. 前記非架橋ポリマーの重量含有率が該ゲルにおける前記架橋ポリマー及び前記溶媒の合計重量に対して10〜40%である、請求項13記載のゲル。
  16. 前記原料モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、スチレンスルホン酸(SS)、ジメチルアクリルアミド、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、フッ化ビニリデンから選ばれる、請求項13記載のゲル。
  17. 前記架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)又はエチレングリコールジメタクリレートである、請求項13記載のゲル。
  18. 前記第一の原料モノマーと前記第二の原料モノマーとのモル比が約1:20である、請求項13記載のゲル。
  19. 架橋ポリマーで構成される網目構造に非架橋ポリマーが侵入し物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有するゲルにおいて、前記非架橋ポリマーの側鎖を化学修飾、又は前記架橋ポリマーの架橋度を調節すると共に、前記非架橋ポリマーの重量平均分子量を4×10 以上とすることにより、前記ゲルの破壊エネルギーを700J/m以上2000J/m以下の範囲で調節する、ゲルの製造方法。
JP2006528567A 2004-06-25 2005-06-22 ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材 Active JP5059407B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006528567A JP5059407B2 (ja) 2004-06-25 2005-06-22 ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004187954 2004-06-25
JP2004187954 2004-06-25
PCT/JP2005/011469 WO2006001313A1 (ja) 2004-06-25 2005-06-22 ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材
JP2006528567A JP5059407B2 (ja) 2004-06-25 2005-06-22 ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006001313A1 JPWO2006001313A1 (ja) 2008-05-29
JP5059407B2 true JP5059407B2 (ja) 2012-10-24

Family

ID=35781774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006528567A Active JP5059407B2 (ja) 2004-06-25 2005-06-22 ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5059407B2 (ja)
WO (1) WO2006001313A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006213868A (ja) * 2005-02-04 2006-08-17 Hokkaido Univ ゲルおよびその製造方法
JP2006249258A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Fuji Xerox Co Ltd 高分子ゲル組成物、高分子ゲル組成物の製造方法、及び光学素子
EP2143450B1 (en) 2006-11-29 2015-03-18 National University Corporation Hokkaido University A hydrogel for use as bone filler inducing cartilage or cartilage tissue regeneration
JP5324070B2 (ja) 2007-08-27 2013-10-23 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 高分子ゲル構造体及びその製造方法
JP5544719B2 (ja) * 2009-01-27 2014-07-09 三菱レイヨン株式会社 ゲルおよびその製造方法
EP2353609A1 (en) 2010-02-04 2011-08-10 Sanofi Pasteur Immunization compositions and methods
JP5458264B2 (ja) * 2010-05-10 2014-04-02 独立行政法人理化学研究所 導電性ハイドロゲル、導電性乾燥ゲル、および導電性ハイドロゲルの製造方法
JP5556406B2 (ja) * 2010-06-15 2014-07-23 三菱レイヨン株式会社 ゲルおよびその製造方法
EP2591010B1 (en) * 2010-07-09 2014-12-03 Lubrizol Advanced Materials, Inc. Blends of acrylic copolymer thickeners
JP6119568B2 (ja) * 2013-11-15 2017-04-26 東亞合成株式会社 高強度ゲル
JP2015138192A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 株式会社リコー 手技練習用臓器モデル
JP6930718B2 (ja) * 2017-02-09 2021-09-01 国立大学法人山形大学 低摩擦化された表面を有する高強度ゲルの製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002212452A (ja) * 2001-01-22 2002-07-31 Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd 直鎖状高分子を有する低摩擦ハイドロゲルおよびその製造方法
WO2003093337A1 (fr) * 2002-05-01 2003-11-13 Hokkaido Technology Licensing Office Co., Ltd. Hydrogel a structure de reseau a semi-interpenetration et procede de production associe

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2772033A1 (fr) * 1997-12-05 1999-06-04 Essilor Int Procede de fabrication d'un materiau polymere transparent resistant au depot de proteines, materiau obtenu par ce procede, lentilles de contact et implants intraoculaires faits de ce materiau

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002212452A (ja) * 2001-01-22 2002-07-31 Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd 直鎖状高分子を有する低摩擦ハイドロゲルおよびその製造方法
WO2003093337A1 (fr) * 2002-05-01 2003-11-13 Hokkaido Technology Licensing Office Co., Ltd. Hydrogel a structure de reseau a semi-interpenetration et procede de production associe

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2006001313A1 (ja) 2008-05-29
WO2006001313A1 (ja) 2006-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5059407B2 (ja) ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材
CA2786738C (en) Nanocomposite hydrogel and method for preparing it, for industrial and medical applications
Nakajima et al. Effect of void structure on the toughness of double network hydrogels
JP4381297B2 (ja) (セミ)相互侵入網目構造ハイドロゲル及びその製造方法
Lin et al. Stimuli-responsive toughening of hydrogels
JP5324070B2 (ja) 高分子ゲル構造体及びその製造方法
Hoshino et al. Network elasticity of a model hydrogel as a function of swelling ratio: from shrinking to extreme swelling states
Naficy et al. Progress toward robust polymer hydrogels
WO2007108842A2 (en) Interpenetrating polymer network hydrogel contact lenses
Nakajima et al. Tough double-network gels and elastomers from the nonprestretched first network
JP2006213868A (ja) ゲルおよびその製造方法
JP6628396B2 (ja) 3dプリンタ用ゲル材料
JP2008163055A (ja) 高強度ゲルおよびそのゲルの製造方法
Bonyadi et al. Compositional dependence of polyacrylamide hydrogel abrasive wear resistance
JP5048183B2 (ja) 直鎖状高分子を有する低摩擦ハイドロゲルおよびその製造方法
Zhang et al. Antifouling poly (N-(2-hydroxyethyl) acrylamide)/sodium alginate double network hydrogels with eminent mechanical properties
Xiang et al. 3D-printed high-toughness double network hydrogels via digital light processing
KR102422864B1 (ko) 하이드로젤 및 하이드로젤의 제조 방법
Kawauchi et al. Brittle, ductile, paste-like behaviors and distinct necking of double network gels with enhanced heterogeneity
JP2009056714A (ja) 相互侵入網目構造ゲルと所定の被着材料とから構成される複合材料、その製造方法及び相互侵入網目構造ゲルを所定の被着材料に接着する方法
JP2005000182A (ja) 血液適合性材料
Takeoka et al. Transparent and Mechanically High-Performance Soft Materials Consisting of Colloidal Building Blocks
MX2012008558A (es) Hidrogel nanocompuesto y metodo para prepararlo, para aplicaciones industriales y medicas.
Watson et al. Performance of a hydrogel coated nitinol with Oligonucleotide-modified nanoparticles within Turbulent conditions of blood-Contacting devices
Kim Fracture of Highly Entangled Polymer Networks

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120717

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120802

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350