JP5059389B2 - ミシンの下糸張力制御装置 - Google Patents
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Description
図5に示すように、下糸張力制御装置100には、中釜101に保持されるボビン102のボビンケース103内に永久磁石104が設けられ、この永久磁石104に対向する位置に当該永久磁石104から離間させて電磁石105が設けられている。そして、電磁石105に通電することにより電磁石105の周囲に磁界を発生させると、永久磁石104は電磁石105の磁界の影響を受けて、電磁石105に対して離間又は接近するように移動する。永久磁石104が電磁石105から離間すると、永久磁石104は皿ばね106を介して下糸が巻き付けられたボビン102を中釜101の底部に向けて押さえつけるのでボビン102は中釜101との摩擦により回転速度が落ち、下糸に張力がかかる。一方、永久磁石104が電磁石105に接近すると、永久磁石104は皿ばね106を押すことがないので、下糸が巻き付けられたボビン102は中釜101の底部に向けて押さえつけられることがなく、ボビン102は中釜101との摩擦の影響を受けることなく回転速度を維持し、下糸に張力はかからない。
このような原理を利用して、電磁石105に通電する電流の大きさや電流の流れる方向を適宜調節することにより、下糸に付与する張力を制御することができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、下糸が伸びてしまうことにより、下糸に張力を与えるタイミングが、下糸が伸びた分だけ時間的に遅れてしまうことから、ユーザが望むタイミングで下糸に張力を与えることができないという問題があった。
また、ボビンを中釜の底部に押さえつけた状態で下糸が引っ張られると、ボビンに巻き付けられた下糸がボビンに締め付けられてしまい、下糸を繰り出すのに通常よりも大きな力が必要となることから、それ以降の下糸の張力が増加してしまうという問題があった。
これにより、励磁コイルに通電する電流量を変化させることで、磁力の強さも変化し、下糸に付与する張力を変化させることができ、励磁コイルへの通電量を制御するだけで下糸の張力制御を行うことができる。
また、このような方法で下糸の張力を制御することにより、下糸の張力を直接的に制御することができるので、ユーザが望む張力を下糸に与えることができ、時間的な遅れも発生しない。また、ボビンに巻き付けられた下糸に対して制御を行うことがないので、ボビンに巻き付けられた下糸がボビンに締め付けられることもなく、下糸を繰り出すのに通常よりも大きな力が必要となるようなこともなくなる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸に適切な大きさの張力を与えることができる。
また、このような方法で下糸の張力を制御することにより、下糸の張力を直接的に制御することができるので、ユーザが望む張力を下糸に与えることができ、時間的な遅れも発生しない。また、ボビンに巻き付けられた下糸に対して制御を行うことがないので、ボビンに巻き付けられた下糸がボビンに締め付けられることもなく、下糸を繰り出すのに通常よりも大きな力が必要となるようなこともなくなる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸に適切な大きさの張力を与えることができる。
(ミシンの下糸張力制御装置の構成)
図1〜図4に示すように、ミシンの下糸張力制御装置1(以下、下糸張力制御装置1という)は、被縫製物が載置されるミシンテーブルTの下方に配置され、ミシンの縫い針に通された上糸に対してボビンBに巻き付けられた下糸を絡ませる釜2の一部から下糸が巻き付けられたボビンを保持するボビンケース4、釜2を回転させる下軸3にわたって設けられている。
最初に、釜2について説明すると、図1,2に示すように、釜2は、ミシンテーブルT内における縫い針の下方に設けられ、縫い針を上下動させる駆動源となるミシンモータにより回転駆動する下軸3に固定されている。すなわち、縫い針の上下動作と釜2の回転が同期して動作し、縫い針が下降した際に、釜2が縫い針に通された上糸を捕捉して釜2に保持されたボビンBの下糸を絡ませる。
中釜22には、ミシンフレームに固定された突起(図示略)に嵌め込まれる凹部(図示略)が形成され、この凹部が突起に嵌め込まれるとともに、下軸3が回転することにより外釜21が下軸3の軸線回りに回転する。
外釜21は、一部を除き、励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料(鉄、鋼等)から形成されている。ただし、外釜21における下軸3との連結部24は、下軸3の外周と対向する内側層24aは励磁コイル6が発生する磁力線の影響を受けない非磁性体材料(アルミニウム、銅等)から形成され、内側層24aの外側に形成された外側層24bは励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料(鉄、鋼等)から形成されている。
下軸3は、軸線回りに回転自在とされ、連結部24を介して釜2に連結されている。下軸3は、励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料(鉄、鋼等)から形成されている。
下軸3の外周には、釜2の連結部24に隣接するように軸受メタル5が設けられている。軸受メタル5は、下軸3の外周で、かつ、励磁コイル6と釜2との間に設けられ、励磁コイル6が発生する磁力線の影響を受けない非磁性体材料(アルミニウム、銅等)からなる内筒部51と、内筒部51の外周に設けられ、励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料(鉄、鋼等)からなる外筒部52とを備えた二層構造とされている。このような構造とすることで、励磁コイル6が発生する磁力線は、軸受メタル5の外側の外筒部52だけを通ることができる。
励磁コイル6は、下軸3の外周を囲むように軸受メタル5に隣接して設けられている。励磁コイル6は電磁石で構成され、通電により周囲に磁界を発生させる。発生した磁界による磁力線は、図4の矢印に示すように、励磁コイル6が設けられた下軸3を通り、釜2の支軸23から外側を通って連結部24の外側層24bを通り、外筒部52を通って励磁コイル6に戻る磁気回路を形成している。
ボビンケース4は、励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料、例えば、鉄、鋼等の材料から形成されている。
図3に示すように、ボビンケース4の外周面には、ボビンBに巻き付けられた下糸をボビンケース4の外側に引き出すための糸引出溝41が形成されている。
ボビンケース4には、その外周面に糸引出溝41の一部に対向するように設けられ、ボビンケース4の外周面とで下糸を挟み込んで下糸に張力を付与する張力付与部としての調子ばね42が止めねじ43により取り付けられている。調子ばね42は、励磁コイル6が発生する磁力線の影響を受けない非磁性体材料(アルミニウム、銅等)から形成されており、励磁コイル6に通電して周囲に磁界が発生しても磁力線の影響を受けて変形することがない。調子ばね42は、止めねじ43のボビンケース4への締結度合いを変えることにより下糸に付与する張力を変えることができる。
可撓部44は、ボビンケース4の外周面に切り込みを形成することにより構成され、基端側がボビンケース4の外周面に連続するように形成され、先端側がボビンケース4の外周面から切り離された自由端となるように形成されている。また、可撓部44は、ボビンケース4の一部であることから、ボビンケース4と同じく励磁コイル6が形成する磁力線を通すような磁性体材料(鉄、鋼等)から形成されている。
励磁コイル6は、ミシンの駆動を制御する制御装置(図示略)に接続されている。制御装置は、下糸に付与すべき張力に応じて励磁コイル6に通電する電流の量を制御し、下糸に付与する張力を大きくしたい場合には、励磁コイル6に通電する電流の量を増加させるとよい。励磁コイル6に通電されるのは、交流電流であり、磁気回路が一方に磁化されることがないようになっている。
また、制御装置は、縫製が終了した際に、徐々に電流量を減らしながら励磁コイル6への通電を止めるように励磁コイル6への通電制御を行う。
図4に示すように、励磁コイル6に通電すると、励磁コイル6の周囲には磁界が発生し、この磁界の磁力線は、磁性体材料からなる下軸3から釜2の支軸23を通り、磁性体材料からなるボビンケース4の外周面まで伝わる。磁力線がボビンケース4の外周面にまで伝わると、ボビンケース4の外周面の一部をなす磁性体材料からなる可撓部44は磁力線の影響を受けて釜2の外側に向けて撓み、非磁性体材料からなる調子ばね42は磁力線の影響を受けて変形することはない。可撓部44が釜2の外側に向けて撓むことにより、可撓部44は調子ばね42を押し付けることとなり、糸引出溝41から引き出された下糸には張力が付与される。そして、可撓部44に伝わった磁力線は中釜22の底部22aが非磁性体材料で形成されていることにより釜2の内部に戻ることなく連結部の外側層24bを通って52に伝わり、やがて励磁コイル6に戻る。
また、このような方法で下糸の張力を制御することにより、下糸の張力を直接的に制御することができるので、ユーザが望む張力を下糸に与えることができ、時間的な遅れも発生しない。また、ボビンBに巻き付けられた下糸に対して制御を行うことがないので、ボビンBに巻き付けられた下糸がボビンBに締め付けられることもなく、下糸を繰り出すのに通常よりも大きな力が必要となるようなこともなくなる。
よって、ユーザの望むタイミングで下糸に適切な大きさの張力を与えることができる。
また、制御装置は、縫製が終了した際に、徐々に電流量を減らしながら励磁コイル6への通電を止めるので、磁気回路が一方の極性に磁化されたままの状態になるのを防止することができる。
また、磁界を形成する励磁コイル6として電磁石を用いることにより、張力を調節しない場合には通電しないので、鉄粉等が付着することもなく、メンテナンスが容易である。
また、制御装置のメモリ内に予め張力制御に関する情報を設定しておくことにより、人為的な操作がほとんどないことから下糸の張力を比較的安定した状態で制御できる。
また、励磁コイル6による磁力、すなわち、励磁コイル6への通電量を制御するだけで下糸に付与する張力を容易に調節することができる。
また、下軸3と釜2とを連結する連結部24は非磁性体材料からなるので、釜2の外側に伝わった磁力線は下軸3又は釜2の内側に戻ることなく外筒部52に伝わる。これにより、一旦可撓部44を通った磁力線が可撓部44の外側への撓みを阻害することがない。
また、励磁コイル6を釜2から離れた位置に設けることが可能な構成であるため、釜2やボビンケース4の外周部に新たに取り付けなければならないものはなく、ボビンケース4の交換時における作業の邪魔にならない。
また、各部を形成する材料を磁性体材料か非磁性体材料かに区別するだけで下糸の張力制御を行うことができるので、釜2の形状の自由度が高く、汎用性が高い。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態においては、磁力線の向かう方向を釜2の内側から外側に向かうように磁気回路を構成したが、磁力線が釜の外側から内側に向かうように磁気回路を構成してもよい。この場合、ボビンケースの外周面よりも外側にある調子ばねを磁性体材料で形成するとともに、ボビンケースに可撓部を形成せずに剛性を高めるとよい。これにより、磁力線の影響を受けた調子ばねは調子ばねよりも内側のボビンケースの外周面に向けて撓み、下糸に張力を付与することができる。
2 釜
4 ボビンケース
6 励磁コイル
24 連結部
41 糸引出溝
42 調子ばね(張力付与部)
44 可撓部
51 内筒部
52 外筒部
B ボビン
Claims (3)
- 磁性体材料から形成された釜に収容され、下糸が巻き付けられたボビンを保持し、磁性体材料からなるボビンケースと、
前記ボビンケースの外周面に形成され、前記ボビンに巻き付けられた下糸を前記ボビンケースの外側に引き出すための糸引出溝と、
前記ボビンケースの外周面に前記糸引出溝の一部に対向するように設けられ、前記ボビンケースの外周面とで下糸を挟み込んで下糸に張力を付与し、非磁性体材料からなる張力付与部と、
前記ボビンケースの外周面の一部をなし、前記糸引出溝を有する部位であって、前記張力付与部に対向する位置に形成されるとともに、前記釜の径方向に撓むことができるように形成された可撓部と、
前記釜をその軸線回りに回転させ、磁性体材料からなる下軸の外周に設けられた励磁コイルと、
前記下軸の外周で、かつ、前記励磁コイルと前記釜との間に設けられ、非磁性体材料からなる内筒部と、
前記内筒部の外周に設けられ、磁性体材料からなる外筒部と、
前記釜における前記下軸と対向する位置に設けられ、非磁性体材料からなる連結部と、
を備えることを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。 - 前記励磁コイルに通電する電流を交流電流としたとしたことを特徴とする請求項1に記載のミシンの下糸張力制御装置。
- 前記励磁コイルに通電する電流の量を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、縫製が終了した際に、徐々に電流量を減らしながら前記励磁コイルへの通電を止めることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの下糸張力制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2006323856A JP5059389B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | ミシンの下糸張力制御装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006323856A JP5059389B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | ミシンの下糸張力制御装置 |
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JP2008136571A JP2008136571A (ja) | 2008-06-19 |
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Family Applications (1)
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JP2006323856A Active JP5059389B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | ミシンの下糸張力制御装置 |
Country Status (1)
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- 2006-11-30 JP JP2006323856A patent/JP5059389B2/ja active Active
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