JP5057801B2 - 空気調和機 - Google Patents

Description

この発明は空気調和機、特に、室内ユニットに意匠パネルが設置される空気調和機に関するものである。

従来、空気調和機における、室内ユニットの吹出口の結露対策として、たとえば、吹出口の下縁部に斜め前方に突出する張出部を設け、該張出部の存在によって吹出口の前方に室内空気が引き込まれるようにした発明が開示されている（例えば、特許文献１参照）。
実開平５−３８３６号公報（第５−７頁、図１）

しかしながら、前記特許文献１に開示された空気調和機は、室内ユニットの吹出口の下部におけるファンケーシング先端より下側に位置した部分において、結露水の滴下に対する対策がなされていないため、特に、結露水が前面グリル（意匠パネルに相当する）の取付部から室内に滴下するという問題があった。
すなわち、意匠パネルを本体に固定するネジ固定部（吹出口の下部）において、ファンケーシング終端に発生した結露水が意匠パネルに滴下した際に、ネジカバーと意匠パネルのネジ固定部間に結露水がしみ込み、このネジ固定部から室内ユニットの外部に滴下していた。

本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、室内ユニットの吹出口の下部で意匠パネルを本体に固定するネジ固定部から結露水が滴下することを防ぐことができる空気調和機を得るものである。

本発明に係る空気調和機は、本体と、
該本体の前面に設置され、開口した吹出口が形成されている意匠パネルと、
前記本体の内部に設置された、室内空気を冷却する熱交換器と、室内空気を吸引すると共に前記熱交換器において冷却された室内空気を送り出す送風機と、該送風機によって送り出された前記冷却された室内空気を前記吹出口に案内するファンケーシングと、
を、具備する室内ユニットを有する空気調和機であって、
前記ファンケーシングの前面側の突出したケーシング終端部から所定の距離だけ背面寄りの位置に形成された下方に突出するケーシング垂直部が、意匠パネルの前面側の吹出口下部の縁部に形成された上方に突出するパネル垂直部と共に、固定ボルトによって前記本体に固定され、
前記パネル垂直部の上縁に形成されたフランジが、前記固定ボルトの上に覆い被さると共に、前記ケーシング終端部が前記フランジの前面側の終端部よりも前面側に突出することを特徴とする。

したがって、本発明に係る空気調和機は、前記ケーシング終端部の下面において発生した結露水が、前記ケーシング終端部の下面と前記フランジの上面との隙間を毛細管現象によって案内されるから、ネジ固定部から結露水が、滴下することを防ぐことができる。よって、空気調和機の室内ユニットの清潔性および快適性が向上する。

［実施の形態１］
図１〜図４はこの発明の実施の形態１に係る空気調和機を説明するものであって、図１は分解斜視図、図２は断面図、図３はネジ固定部Ａの詳細斜視図、図４はネジ固定部Ａの断面図を示すものである。
図１〜図４において、室内の空気を空調する空気調和機１００の室内ユニットの本体１の前面には意匠パネル２が設置され、意匠パネル２の下方に吹出口９が形成されている。本体１の内部には、室内空気と熱交換（冷却または加熱）する熱交換器５と、室内空気を送風する送風機６と、が配置され、熱交換された空気は、ファンケーシング７に案内された吹出口９を経由して室内に吹き出される。

意匠パネル２は吹出口９において固定ネジ３によって本体１に固定され、固定ネジ３はネジカバー４によって覆われている。
ファンケーシング７の終端部７ａは、側面視で「＜状（横Ｖ字状に同じ）」に前面に突出し、その下面側に結露発生部８が形成され、結露発生部８の終端から略垂直下方にケーシング垂直部７ｂが形成されている。そして、ケーシング垂直部７ｂに固定ネジ３が貫通するケーシング固定用孔または固定用切欠７ｃが形成されている。
意匠パネル２は、パネル底板２ａと、パネル底板２ａの前面で略垂直に立ち上がったパネル垂直部２ｂと、パネル垂直部２ｂに形成された固定ネジ３が貫通するパネル固定孔２ｃと、パネル垂直部２ｂの上縁から前方に庇状に突出したフランジ１０と、を有している。
なお、パネル垂直部２ｂ（吹出口９に設けられている）を含む範囲を「ネジ固定部Ａ」と称している。すなわち、ネジ固定部Ａは、意匠パネル２のパネル固定孔２ｃとファンケーシング７のケーシング固定用孔または固定用切欠７ｃとを貫通する固定ネジ３が、本体１に螺合することによって、固定ネジ３と意匠パネル２とファンケーシング７とが本体１に固定され、さらに、固定ネジ３の前面側にネジカバー４が設置されている。

次に動作について説明する。
このように構成された空気調和機の本体１においては、電源が投入されると、送風機６が駆動し、室内空気は本体内に吸い込まれて熱交換器５を通過して、ファンケーシング７を通り、意匠パネル２の吹出口９を経由して室内へ吹き出される。
このとき、意匠パネル２は、吹出口９の下部をネジ３で本体１と固定され、見栄えをよくするためネジ３が見えないように意匠パネル２の吹出口９と類似形状のネジカバー４で覆われている。さらに、意匠パネル２のフランジ１０をネジ３の頭形状に沿った形状としている。

ファンケーシング７の終端に形成された結露発生部８では、熱交換器５により熱交換された冷たく乾燥した空気が室内の暖かい湿った空気と混ざるため結露が発生する。結露発生部８に着露した結露水は、結露発生部８とこれに近接した意匠パネル２のフランジ１０との隙間、さらに、パネル垂直部１０ｂとケーシング垂直部７ｂとの隙間を毛細管現象によって案内され、意匠パネル２のパネル底板７ａの結露水回収部２ｄに流入する（図４において矢印にて示す）。
このため、ネジ固定部Ａから本体１の外への結露水の滴下を防ぐことができる。
また、意匠パネル２にフランジ１０が設けられているため、ネジ固定部Ａの強度アップ（正確には、パネル垂直部２ｂの剛性向上）を図ることができ、組立時の扱いが容易になっている。
さらに、意匠パネル２のフランジ１０をネジ３の頭形状に沿った形状にしているため、固定ネジ３が案内され、ネジ締め作業性が容易になっている。

［実施の形態２］
図５はこの発明の実施の形態２に係る空気調和機を説明するものであって、ネジ固定部Ａの断面図を示すものである。
前記した実施の形態１では、意匠パネル２の吹出口９に設けられたネジ固定部Ａの上部には固定ネジ３の頭形状に沿ったフランジ１０を設けているが、図５に示す空気調和機２００は、意匠パネル２ｘのパネル垂直部２ｂの上縁に、本体１の背面側に向かって下る「下り勾配の傾斜」を設けたフランジ１０ｘを備えている。
すなわち、実施の形態１において説明した空気調和機１００は、意匠パネル２の吹き出し口９に設けられたネジ固定部Ａの上部に固定ネジ３の頭形状に沿ったフランジ１０を設けているが、実施の形態２において説明する空気調和機２００は、下り勾配の傾斜を設けたフランジ１０ｘを具備する点において、両者は相違し、その他の部分は同じであるから、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
したがって、意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘは、実施の形態１において説明した空気調和機１００のフランジ１０より、ファンケーシング７の結露発生部８に近接している。さらに、意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘはネジ３の頭形状に沿った形状に形成されている。

以上のように、意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘは、本体１の背面側に下り勾配の傾斜を設けているので、ファンケーシング７の結露発生部８に着露した結露水は、結露発生部８とこれに近接した意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘとの隙間、さらに、パネル垂直部１０ｂとケーシング垂直部７ｂとの隙間を毛細管現象によって案内され、意匠パネル２ｘのパネル底板７ａの結露水回収部２ｄに流入する。
よって、ネジ固定部Ａからの結露水の滴下を防ぐことができる。
また、意匠パネル２ｘにフランジ１０ｘを設けるので、ネジ固定部Ａの強度アップ（正確には、パネル垂直部２ｂの剛性向上）を図ることができ、組立時の扱いが容易になる。
さらに、意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘを固定ネジ３の頭形状に沿った形状に形成しているため、固定ネジ３が案内され、ネジ締め作業性が容易になる。
また、意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘは本体１の背面側に下り勾配の傾斜を設けているので、毛細管現象だけでなく結露水の自重によっても意匠パネル２ｘの結露水回収部２ｄに案内されるため、ネジ固定部Ａからの結露水の滴下がより確実に防止される。

［実施の形態３、４］
実施の形態３、４は、前記した実施の形態１、２における空気調和機１００、２００における結露水が毛細管現象によって案内される径路に親水性を持たせたものである。
すなわち、本発明の実施の形態３に係る空気調和機３００（図示しない）は、実施の形態１に示した空気調和機１００の意匠パネル２のフランジ１０に、例えば吸水シートを貼付して、親水性を持たせたものである（図４参照）。
また、本発明の実施の形態４に係る空気調和機４００（図示しない）は、実施の形態２に示した空気調和機２００の意匠パネル２ｘのフランジ１０ｘに、例えば吸水シートを貼付して、親水性を持たせたものである（図５参照）。

以上のように、実施の形態１、２に示す空気調和機３０、４００は、結露水が案内される径路が親水性を有するため、実施の形態１、２の効果に加え、結露水が毛細管現象によって結露発生部８から結露水回収部２ｄにより確実に案内される。よって、ネジ固定部Ａからの結露水の滴下をより確実に防ぐことができる。

本発明は以上の構成であるから、室内ユニットからの結露水の滴下を防ぐことができるから、各種空気調和機として広く利用することができる。

この発明の実施の形態１に係る空気調和機を説明する分解斜視図。 図１に示す空気調和機の断面図。 図１に示す空気調和機のネジ固定部Ａの詳細斜視図。 図１に示す空気調和機のネジ固定部Ａの断面図。 この発明の実施の形態２に係る空気調和機を示すネジ固定部Ａの断面図。

符号の説明

１：本体、２：意匠パネル、３：固定ネジ、４：ネジカバー、５：熱交換器、６：送風機、７：ファンケーシング、８：結露発生部、９：吹出口、１０：フランジ、１００：空気調和機（実施の形態１）、２００：空気調和機（実施の形態２）。

Claims (4)

1. 本体と、
   該本体の前面に設置され、開口した吹出口が形成されている意匠パネルと、
   前記本体の内部に設置された、室内空気を冷却する熱交換器と、室内空気を吸引すると共に前記熱交換器において冷却された室内空気を送り出す送風機と、該送風機によって送り出された前記冷却された室内空気を前記吹出口に案内するファンケーシングと、
   を、具備する室内ユニットを有する空気調和機であって、
   前記ファンケーシングの前面側の突出したケーシング終端部から所定の距離だけ背面寄りの位置に形成された下方に突出するケーシング垂直部が、意匠パネルの前面側の吹出口下部の縁部に形成された上方に突出するパネル垂直部と共に、固定ボルトによって前記本体に固定され、
   前記パネル垂直部の上縁に形成されたフランジが、前記固定ボルトの上に覆い被さると共に、前記ケーシング終端部が前記フランジの前面側の終端部よりも前面側に突出することを特徴とする空気調和機。
2. 前記フランジの上面が、前記本体の背面に向かって低くなる下り勾配の傾斜を有することを特徴とする請求項１に記載の空気調和機。
3. 前記フランジの下面が、前記固定ネジの頭部形状に沿った円弧状に形成されていることを特徴とする請求項１または２記載の空気調和機。
4. 前記フランジの上面が親水性を有することを特徴とする請求項１乃至３の何れかに記載の空気調和機。

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