JP5057714B2 - 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料中間体 - Google Patents

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本発明は、繊維強化複合材料の製造に用いられるエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂として用いてなる繊維強化複合材料中間体に関する。
エポキシ樹脂は、硬化後の樹脂の機械的特性、電気的特性、接着性などが優れており、電子材料用封止材、塗料、接着剤など各種産業用として広範に用いられている。また、エポキシ樹脂は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂組成物としても広く用いられており、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、テニスラケット等の用途にも活用されている。これらの用途の繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂組成物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を主成分としたエポキシ樹脂組成物が多く用いられる。この種の樹脂組成物については数多くの報告がなされているが、その一例として下記特許文献1には、耐熱性と伸度のバランスに優れ、かつ耐レジンフロー性に優れたコンポジット物性が得られる樹脂組成物が報告されている。しかしながら、ここでいう耐熱性は100℃程度であるため、それ以上の温度で使用する場合には、樹脂硬化物自体にさらなる耐熱性が要求され、これとは全く別の樹脂配合を処方する必要がある。
耐熱性エポキシ樹脂の処方としては、下記特許文献2のように多官能性エポキシ樹脂を配合する方法が広く提案されている。しかしながら、これらの樹脂組成物から得られた硬化物や、これを用いた繊維強化プラスチックは非常にもろく、割れ、クラック等の欠陥が発生しやすかった。
これらを改善するため、下記特許文献3には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と、多官能性エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂等と、ジアミノジフェニルメタン等を含有する繊維強化複合材料用耐熱性エポキシ樹脂組成物が提案されている。
特開平1−201321号公報 特開平3−227316号公報 特開平11−279261号公報
しかしながら、特許文献3に記載されている樹脂組成物は耐熱性が良好で、耐クラック性に優れるものの、硬化物の耐溶剤性が劣るという問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、繊維強化複合材料の製造に用いられる樹脂組成物であって、耐熱性および耐クラック性に優れるとともに、繊維強化複合材料における耐溶剤性が良好なエポキシ樹脂組成物、および該エポキシ樹脂組成物を用いてなる繊維強化複合材料中間体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の30〜95質量%と(B)下記式(2)で表される化合物の5〜70質量%からなる必須のエポキシ樹脂成分100質量部、(C)ポリエーテルサルホン樹脂の5〜20質量部、及び(D)ジアミノジフェニルメタンおよびその変性物、ならびにジアミノジフェニルスルホンおよびその変性物からなる群から選ばれる1種以上の25〜55質量部を含有することを特徴とする。
Figure 0005057714
Figure 0005057714
(式中、nは0〜10の整数を示す)
また、本発明は、本発明のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸している繊維強化複合材料中間体を提供する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、繊維強化複合材料の製造に用いられる樹脂組成物であって、耐熱性および耐クラック性に優れるとともに、繊維強化複合材料における良好な耐溶剤性を実現できる。
本発明の繊維強化複合材料中間体は、耐熱性および耐クラック性に優れるとともに、繊維強化複合材料における良好な耐溶剤性を実現できる。
以下、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物(以下、単にエポキシ樹脂組成物ということもある。)について、詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須のエポキシ樹脂成分として(A)成分としてのビスフェノールA型及び又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(B)成分としての多官能性エポキシ樹脂を含有する。
[(A)成分]
まず、(A)成分として用いられるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、一般の市販品を使用できる。代表的なものとしては、東都化成株式会社製エポトートYD−127、YD−128、YD−134、YD−001、YD−011、YD−014、ジャパンエポキシレジン株式会社製JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1004、旭チバ株式会社製アラルダイトAER250、AER260、AER280、AER6071、三井化学株式会社製エポミックR−139、R−140、R−301、R−304などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
同様に、(A)成分として用いられるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、一般の市販品を使用できる。代表例としては、東都化成株式会社製エポトートYDF−170、YDF−2001、YDF−2004、大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン830、ジャパンエポキシレジン株式会社製JER807などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(A)成分と(B)成分の合計のうち、(A)成分の含有割合は30〜95質量%であり、好ましくは50〜95質量%である。(A)成分が30質量%より少ないとエポキシ樹脂成分の粘度が高くなりすぎて炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維への含浸が困難となるおそれがある。また95質量%より多いとエポキシ樹脂成分の粘度が低くなりすぎ、強化繊維へ含浸させて調製したプリプレグのタックが過大となり、その取扱い性が悪くなるおそれがある。
[(B)成分]
(B)成分は多官能性エポキシ樹脂であり、上記式(1)で表される化合物及び又は記式(2)で表される化合物が用いられる。本発明では式(2)で表される化合物を選択する。
上記式(2)において、nは平均の繰り返し数であり、0以上10以下の範囲の数を表す。nが0のものが好ましいが、通常これにはnが1〜10の副生物が少量含まれるため、平均の繰り返し数nは0より大きい値となる。
(B)成分として用いられる多官能性エポキシ樹脂は、公知の方法で化学的に合成したものでもよいが、一般の市販品を使用することができる。代表例としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製JER1031S、JER1032S50、JER1032H60、旭チバ株式会社製TACTIX742などが挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(A)成分と(B)成分の合計のうち、(B)成分は5〜70質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。(B)成分が5質量%より少ないと充分な耐熱性が得られないおそれがあり、70質量%より多いと樹脂硬化物がもろくなり、クラックが発生しやすくなる。
[(C)成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(C)成分としてポリエーテルサルホン樹脂を含有する。ポリエーテルサルホン樹脂は、主鎖にエーテル結合を有する直鎖状高分子であり、分子中にサルホン基を有する。
(C)成分としては、一般的に市販されているポリエーテルサルホン樹脂を使用することができる。代表例としては、住友化学社製のスミカエクセルPESシリーズが挙げられる。標準グレードのPES3600G、PES4100G、PES4800G、PES5200Gや粉末タイプのPES3600P、PES4100P、PES4800P、PES5003P、PES5200Pが好適に使用できる。
特に、エポキシ樹脂に溶解させやすく、かつエポキシ樹脂成分と反応することのできる水酸基などの官能基を有するパウダーグレードのPES4100P、PES5003Pが好適である。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(C)成分の配合割合は、必須のエポキシ樹脂成分((A)成分+(B)成分)100質量部に対して3〜35質量部、好ましくは5〜20質量部である。(C)成分が3質量部より少ないと樹脂組成物の耐クラック性が不充分になるおそれがあり、例えばCFRPなどの繊維強化複合材料を製造する際にクラックが発生し易くなる。(C)成分が35質量部より多いとエポキシ樹脂成分の粘度が高くなりすぎて、炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維への含浸が困難になるおそれがある。
[(D)成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(D)成分としてジアミノジフェニルメタンおよびその変性物、ならびにジアミノジフェニルスルホンおよびその変性物からなる群から選ばれる1種以上を含有する。
(D)成分として、具体的には、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよびこれらの変性物からなる群から選ばれる1種以上が好適に用いられる。これらは、エポキシ樹脂硬化剤として公知であり、市販品を使用することができる。代表例としては、住友化学工業株式会社製スミキュアーM、スミキュアーS、和歌山精化社製セイカキュア、セイカキュアS、日本化薬株式会社製カヤハードA−A、A−B、デグサ社製H9664、などが挙げられる。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(D)成分の配合割合は、必須のエポキシ樹脂成分((A)成分+(B)成分)100質量部に対して25〜55質量部、好ましくは30〜50質量部である。(D)成分の配合割合が上記の範囲であれば、樹脂の硬化特性が良好となり一定条件下で十分な硬化率の硬化物が得られる。(D)成分の配合割合は、エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ基に対する理論当量が80%以上140%以下が好ましく、さらに好ましくは100%以上120%以下である。
[その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必須のエポキシ樹脂成分である(A)成分と(B)成分以外の、他のエポキシ樹脂を必要に応じて含有させてもよい。
該他のエポキシ樹脂は特に制限されないが、具体例としては、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ダイマー酸型可撓性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能性エポキシ樹脂およびその誘導体などが挙げられる。
他のエポキシ樹脂を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定できる。例えば、必須のエポキシ樹脂成分((A)成分+(B)成分)100質量部に対して50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化温度など反応性を調節するため(D)成分以外に、ジシアンジアミド、イミダゾール類、アミンアダクト類、酸無水物類のエポキシ樹脂硬化剤;及び又は3−(3,4−ジクロロ)フェニル−1,1’−ジメチルウレア、三フッ化ホウ素アミン錯体等の硬化促進剤を適宜配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、炭素繊維、ガラス繊維等を強化繊維とする繊維強化プラスチック(繊維強化複合材料)のマトリックス樹脂として好適に用いられる。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させて繊維強化複合材料中間体(プリプレグ)を作製し、該プリプレグを用いて適宜の形状に成形して、加熱硬化させることにより繊維強化複合材料が得られる。
強化繊維の種類は、特に限定されず、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイド繊維等を単独で用いてもよいし、2種類以上のハイブリッド繊維として用いてもよい。また、強化繊維の形態についても特に限定されず、一方向材、クロス、チョップなど適宜の形態を採用できる。強化繊維の種類および形態はそれぞれ1種類でもよく2種類以上併用してもよい。好ましくは、炭素繊維及び又はガラス繊維の一方向材及び又はクロスを強化繊維として用いることが好ましい。強化繊維の弾性率、強度等については特に制限されない。
またエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させる方法は特に制限されず、通常の方法によって行えばよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維への含浸性および繊維強化複合材料中間体としたときの取り扱い性が良好であり、繊維強化複合材料のマトリクス樹脂として好適に用いることができる。
また耐熱性に優れており、例えば100℃以上、好ましくは150℃以上の使用にも耐性を有する繊維強化複合材料を実現できる。したがって、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性の要求される用途に好適に使用できる。例えば、産業用CFRPロールでは表面にゴムを巻き付け、150〜160℃程度に加熱し、ゴム架硫する場合があるが、このようなCFRP用樹脂としても充分な耐熱性を有し、軟化したり、変形することがない。これに対して、従来の汎用エポキシ樹脂組成物は、スポーツ、レジャー用など室温で使用される条件では問題ないが、上記のような耐熱性が要求される場合には軟化してしまい、使用できない。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は、高い耐熱性を達成しながら、従来の高耐熱性樹脂の欠点であった耐クラック性を改善することに成功したものであり、繊維強化複合材料における割れやクラック等の欠陥の発生を防止できる。さらに、繊維強化複合材料における耐溶剤性も達成することが可能となった。
かかる効果が得られる理由としては、上記の特定の(A)〜(D)成分を特定の配合バランスで含有させたことによると考えられる。特に、(B)成分を配合することによって、エポキシ樹脂組成物の硬化物における網目構造が細かくなり、硬化密度が高くなるとともに、硬化温度およびガラス転移温度(Tg)が高くなり耐熱性の向上に寄与すると考えられる。また(C)成分は熱可塑性樹脂でありながらエポキシ樹脂との相溶性がよく、それ自身も耐熱性を有することから、耐熱性をほとんど損なうことなく樹脂の靱性、耐衝撃性などを向上させることができ、耐クラック性を付与することができると考えられる。
さらに、(C)成分はケトン類などの極性溶剤に対して膨潤するため、単体では使用できないが、驚くべきことに本発明の組成で(C)成分を配合することにより、得られるエポキシ樹脂組成物さらには得られる強化繊維複合材料の耐溶剤性が向上することを見いだした。エポキシ樹脂の骨格中に(C)成分のドメインが微細かつ均一に分散しているためと考えている。
一方、前記特許文献3で使用されているフェノキシ樹脂は(C)成分と同様にエポキシ樹脂に配合することにより耐衝撃性を付与することが可能であるが、添加量により耐溶剤性が著しく低減するおそれがある。エポキシ樹脂中に存在するフェノキシのドメインが有機溶剤により膨潤したり、溶出するためである。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸せしめてなる繊維強化複合材料中間体は、適当なタック性及びドレープ性を有しているためその取扱い性に優れ、耐クラック性も良好である。さらに該中間体を成形して得られる複合材料は耐熱性、機械特性、および耐溶剤性に優れている。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、透明性に優れており、得られる複合材料は外観特性に優れている。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。実施例中の化合物の略号は以下のとおりである。
JER828:ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
JER807:ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂。
JER1001:ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
JER1032S50:ジャパンエポキシレジン株式会社製、多官能性エポキシ樹脂、上記式(1)で表される化合物。
JER1032H60:ジャパンエポキシレジン株式会社製、多官能性エポキシ樹脂、上記式(2)で表される化合物。
YDPN638:東都化成株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂。
PES5003P:住友化学社製、ポリエーテルサルホン樹脂。
4,4’−DDS:和歌山精化社製、製品名:セイカキュアS、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン。
PKHM301:フェノキシアソシエート社製、変性フェノキシ樹脂(前記特許文献3に記載されているフェノキシ樹脂)。
[実施例1〜8および比較例1〜9]
表1に示す配合割合(数値は質量部)でエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られた各エポキシ樹脂組成物について、以下の方法により各特性を評価した。評価結果を表1に示す。実施例1〜4および実施例6〜8は参考例である。
[硬化樹脂の特性]
各配合で調製したエポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布した2枚のガラスに挟んだ後、乾燥機を用いて180℃で2時間加熱硬化することにより厚みが2mmの硬化樹脂板を得た。
(1)強度および弾性率
得られた樹脂板について、JIS K6911に準拠して3点曲げ物性(強度および弾性率を測定した。
(2)靱性(GIC)
得られた樹脂板について、ASTM D5045 SENB法に準拠して破壊靱性値(GIC)を測定した。
(3)ガラス転移温度
得られた樹脂板について、DMA法によりガラス転移温度(G’−Tg)を測定した。
[繊維強化複合材料の特性]
各配合で調製したエポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂として用いてプリプレグを作製した。
すなわち、離型紙上にエポキシ樹脂組成物を133g/mの塗布量で塗布し、炭素繊維束(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR30S−3K)を平織りにて製織した炭素繊維織布(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR3110)に含浸することにより樹脂含有率が40%のクロスプリプレグを得た。
得られたクロスプリプレグ10枚を同方向に積層後、180℃で2時間オートクレーブの中で加熱硬化してCFRP(繊維強化複合材料)を得た。
(4)強度および弾性率
得られたCFRPについて、JIS K6911に準拠して3点曲げ物性(強度および弾性率)を測定した。
(5)耐クラック性
加熱硬化時にクロスプリプレグの層間等に生じた割れまたはクラックの有無を光学顕微鏡にて100倍の倍率にて観察し、これによりエポキシ樹脂組成物の耐クラック性を判断した。
評価結果は、割れおよびクラックが生じなかったものを○、割れまたはクラックが生じたものを×として表す。
(6)耐溶剤性
得られたCFRPをメチルエチルケトンに7日間浸漬した後、表面の状態を目視により観察し、表面が溶剤による影響を受けていないものを○、影響が生じたものを×とした。
(7)含浸性
含浸性は一定加熱条件で炭素繊維束内部にまで樹脂組成物が含浸したプリプレグが得られるかを基準として判断した。すなわち、得られたCFRPにおいて、炭素繊維束内部にまで樹脂組成物が含浸しているかどうかを目視にて観察し、炭素繊維束内部の全体に含浸しているものを○、含浸していない部分が残っている場合を×とした。
(8)プリプレグの取り扱い性
加熱硬化前のプリプレグについて、温度23℃および湿度50%の環境下で使用できるタック(粘着性)レベルであるかを触感により判断した。すなわち、クロスプリプレグを温度23℃および湿度50%の環境下に1時間放置した後、クロスプリプレグの端部を折り曲げてプリプレグ同士を貼り付け1分間放置した。その後、クロスプリプレグが貼り付いた状態を維持していたら○、剥がれたら×とした。
Figure 0005057714
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7はいずれもガラス転移温度が170℃を超えており、耐熱性に優れることが認められた。また耐クラック性が良好であり、繊維強化複合材料を製造する際に割れやクラックの発生が防止されるとともに、複合材料における耐溶剤性も良好であった。さらに硬化樹脂における3点曲げ強度および3点曲げ弾性率、靱性値(GIC値)も良好であり、複合材料(CFRP)における3点曲げ強度および3点曲げ弾性率、炭素繊維束への含浸性、プリプレグにしたときの取扱い性も良好であった。
一方、(C)成分を含有しない又は含有量が少ない比較例1と2は、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れるとともに耐溶剤性も良好であるが、硬化樹脂の靱性値が満足できるレベルではなく、耐クラック性およびプリプレグの取り扱い性に劣る。
(C)成分の含有量が多い比較例3は、得られる樹脂組成物が高粘度で含浸性が劣る。
実施例6における(C)成分を前記特許文献3に記載されている変性フェノキシ樹脂に置き換えた比較例4は、耐溶剤性が劣る。
(A)成分の含有量が多くて(B)成分が少ない比較例5、および実施例3における(B)成分をフェノールノボラック型エポキシ樹脂に置き換えた比較例7は耐熱性および取り扱い性が劣る。
(A)成分の含有量が少なくて(B)成分が多い比較例6は、耐熱性は良好であるが、得られる樹脂組成物が高粘度であるため炭素繊維束への含浸性が劣るほか、プリプレグのタック(粘着性)が高くて取り扱い性に劣る。
比較例8は(D)成分(硬化剤)の量が少ないため、十分な硬化物物性が得られない。
比較例9は(D)成分(硬化剤)の量が多すぎるため、架橋骨格の形成が阻害され、十分な硬化物物性が得られない。

Claims (2)

  1. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の30〜95質量%と(B)下記式(2)で表される化合物の5〜70質量%からなる必須のエポキシ樹脂成分100質量部、(C)ポリエーテルサルホン樹脂の5〜20質量部、及び(D)ジアミノジフェニルメタンおよびその変性物、ならびにジアミノジフェニルスルホンおよびその変性物からなる群から選ばれる1種以上の25〜55質量部を含有することを特徴とする繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005057714
    (式中、nは0〜10の整数を示す)
  2. 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸している繊維強化複合材料中間体。
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