JP5056267B2 - Mgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

Mgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐塩水性に優れた希土類系永久磁石およびその製造方法に関する。より詳細には、優れた耐塩水性を発揮するMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石やSm−Fe−N系永久磁石に代表されるR−Fe−N系永久磁石などの希土類系永久磁石は、資源的に豊富で安価な材料が用いられ、かつ、高い磁気特性を有していることから、特にR−Fe−B系永久磁石は今日様々な分野で使用されている。
しかしながら、希土類系永久磁石は反応性の高い希土類金属:Rを含むため、大気中で酸化腐食されやすく、何の表面処理をも行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの存在によって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを招く。さらに、錆が発生した磁石を磁気回路などの装置に組み込んだ場合、錆が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。
上記の点に鑑み、希土類系永久磁石に優れた耐食性を付与することを目的として、その表面にAl被膜を蒸着法などの気相めっき法によって成膜することが行われている。Al被膜は耐食性に優れていることに加え、部品組み込み時に必要とされる接着剤との接着信頼性に優れている(接着剤が本質的に有する破壊強度に達するまでに被膜と接着剤との間で剥離が生じにくい)ので、強い接着強度が要求される希土類系永久磁石に対して広く適用されおり、表面にAl被膜を有する希土類系永久磁石は、各種モータなどに組み込まれて使用されている。
各種モータの中でも、自動車用モータに組み込まれる希土類系永久磁石は、使用環境の温度変化が激しく、かつ、寒冷地域においては道路に散布される凍結防止剤に含まれる塩素イオンに晒されたり、海岸近辺では塩水に晒されたりすることから、最も過酷な使用環境にある磁石と言える。従って、自動車用モータに組み込まれる希土類系永久磁石には、最も過酷な耐食性試験である塩水噴霧試験を行っても優れた耐食性を発揮することが要求されるが、残念ながらAl被膜の耐塩水性は必ずしも十分なものではない。表面にAl被膜を有する希土類系永久磁石の耐塩水性を向上させる方法としては、Al被膜の表面に、化成処理被膜を積層形成したり(特許文献1)、金属酸化物被膜を積層形成したり(特許文献2)する方法が考えられるが、それでもなお耐塩水性が十分でないといった問題がある。
そこで本発明者の1人は、特許文献3において、希土類系永久磁石に耐塩水性を付与する方法として、磁石の表面にMgを3mass%〜10mass%含むAl被膜を蒸着形成する方法を提案した。
特開2000−150216号公報 特開2000−232011号公報 特開2005−191276号公報
本発明者の1人が特許文献3において提案した上記の方法は、希土類系永久磁石に耐塩水性を付与する方法として優れたものであることは自他共に認めるところであるが、昨今、希土類系永久磁石にはさらなる耐塩水性の向上が求められている。
そこで本発明は、優れた耐塩水性を発揮するMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、蒸着装置の処理室内において希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した後、磁石を冷却する際、磁石の温度管理を的確に行い、そして、得られたMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の被膜の表面に対し、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施すことで、磁石の表面に形成された被膜が優れた耐塩水性を発揮することを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明は、請求項1記載の通り、Mgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石であって、被膜の組織構造が、Alを主成分としてMgを含む主相と、AlとMgを含みMg濃度が主相のMg濃度よりも高いMg濃化相からなり、被膜のMg濃度が厚み方向において磁石体との界面側よりも外表面側の方が高く、かつ、被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を有することを特徴とする。
また、請求項2記載の希土類系永久磁石は、請求項1記載の希土類系永久磁石において、被膜の磁石体との界面近傍のMg濃度が2mass%〜10mass%であることを特徴とする。
また、請求項3記載の希土類系永久磁石は、請求項1または2記載の希土類系永久磁石において、被膜のAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のMg濃度が15mass%〜35mass%であることを特徴とする。
また、請求項4記載の希土類系永久磁石は、請求項1乃至3のいずれかに記載の希土類系永久磁石において、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層のMg濃度が3mass%〜20mass%であることを特徴とする。
また、請求項5記載の希土類系永久磁石は、請求項1乃至4のいずれかに記載の希土類系永久磁石において、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の酸素濃度が5mass%〜50mass%であることを特徴とする。
また、請求項6記載の希土類系永久磁石は、請求項1乃至5のいずれかに記載の希土類系永久磁石において、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層がさらにZr,P,Fからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする。
また、請求項7記載の希土類系永久磁石は、請求項1乃至6のいずれかに記載の希土類系永久磁石において、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の層厚が0.01μm〜5μmであることを特徴とする。
また、請求項8記載の希土類系永久磁石は、請求項1乃至7のいずれかに記載の希土類系永久磁石において、被膜の膜厚が3μm〜30μmであることを特徴とする。
また、本発明の請求項1記載のMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の製造方法は、請求項9記載の通り、蒸着装置の処理室内において希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した後、160℃以上の高温にある磁石の冷却を、磁石の温度が少なくとも60℃に達するまで10℃/分以上の冷却速度で急冷することで行い、得られたMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の被膜の表面に対し、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施すことを特徴とする。
また、請求項10記載の製造方法は、請求項9記載の製造方法において、処理室内に窒素ガスを導入することで急冷を行うことを特徴とする。
また、請求項11記載の製造方法は、請求項9または10記載の製造方法において、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理が水蒸気処理、熱水処理、化成処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理であることを特徴とする。


本発明によれば、優れた耐塩水性を発揮するMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法を提供することができる。
本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石は、被膜のMg濃度が厚み方向において磁石体との界面側よりも外表面側の方が高く、かつ、被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を有することを特徴とするものである。
本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石は、例えば、蒸着装置の処理室内において希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した後、160℃以上の高温にある磁石の冷却を、磁石の温度が少なくとも60℃に達するまで10℃/分以上の冷却速度で急冷することで行い、得られたMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の被膜の表面に対し、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施すことにより製造することができる。
希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成する工程を実施するために用いることができる蒸着装置としては、例えば、特開2001−32062号公報に記載されているワイヤー状蒸着材料を加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることで磁石の表面に蒸着被膜を形成する蒸着装置が挙げられる。以下、Mgを含むAlワイヤーを蒸着材料として、特開2001−32062号公報に記載されている蒸着装置を用いて希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成する工程を実施する場合の概略を説明する。
図5は、蒸着装置の一例の模式的正面図であり、図略の真空排気系に連なる処理室(真空槽)1内の下部には、Mgを含むAl10を蒸発させる溶融蒸発部であるハース(蒸着材料を溶融させるための容器)2が、支持テーブル3上に立設されたハース支持台4上に複数個配設されている。また、処理室1内の上方には網状部材で形成された籠状の被処理物保持部5が回転軸6を中心に回転自在に2個並設されている。支持テーブル3の下方内部には、蒸着材料としてのMgを含むAlワイヤー11が繰り出しリール20に巻回保持されている。繰り出しリール20へのMgを含むAlワイヤー11の巻回方向を水平方向としているのは、ワイヤーの送り方向、即ち、鉛直方向と直交させることによって、送り出されるワイヤーがねじれたりぶれたりすることを防止するためである。Mgを含むAlワイヤー11の先端は、ハース2の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ21によってハース2の上方に案内されている。保護チューブ21の一部には切り欠き窓22が設けられており、この切り欠き窓22に対応して設けられた一対の繰り出しギヤー23によって、Mgを含むAlワイヤー11をハース2内に所定の繰り出し速度で送り出し自在としている。この蒸着装置によれば、被処理物保持部5内に希土類系永久磁石30を収容し、矢示したように被処理物保持部5を回転させるとともに、Mgを含むAlワイヤー11を図略の加熱手段によって所定温度に加熱したハース2に連続供給しながらMgを含むAl10を蒸発させることで、被処理物保持部5内の希土類系永久磁石30の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成することができる。
Alワイヤーに含ませるMg濃度は、3mass%〜10mass%が望ましい。3mass%未満であると希土類系永久磁石の表面に蒸着形成されるAl被膜に含まれるMg濃度が少なくなり、Al被膜の耐塩水性の向上に寄与するMg濃化相が形成されにくくなることで、Al被膜に優れた耐塩水性を付与できなくなる恐れがある一方、10mass%を超えるとワイヤーの硬度が高まることにより、ワイヤーを溶融蒸発部内に繰り出す作業性が悪くなったり、溶融蒸発部内で溶融されていない蒸着材料がスプラッシュを引き起こしたりする恐れがあるからである。なお、処理室内に酸素が存在すると、蒸着材料を溶融させた段階や蒸発させた段階で、蒸着材料や希土類系永久磁石の表面が酸化し、磁石の表面に密着性に優れたMgを含むAl被膜を形成することができない場合があるので、この点には留意すべきである。
以上の点に鑑みれば、Mgを含むAlワイヤーは水素を含むものが望ましい。蒸着材料を蒸発させた際、処理室内に水素を供給することができるので、別途の手段で処理室外部から水素を供給しなくても、処理室内を還元性雰囲気にして、例えば10−3Pa以上といったような酸素分圧下であっても、溶融させた段階や蒸発させた段階の蒸着材料の酸化を防止することができるからである。Mgを含むAlワイヤーの水素含有量は、1ppm〜20ppmが望ましく、2ppm〜10ppmがより望ましい。1ppm未満であると処理室内に水素を十分に供給することができない恐れがある一方、20ppmを超えると溶融蒸発部において水素がボイリングしてスプラッシュを引き起こす恐れがあるからである。
溶融蒸発部の加熱温度は、1300℃〜1500℃が望ましい。1300℃未満であると蒸着材料を効率よく溶融させることができない恐れがあるからである。蒸着材料を効率よく溶融させることができないと、Alの蒸気圧とMgの蒸気圧の違い(Mgの方が蒸気圧が高い)が、蒸着形成されるAl被膜の金属組成に多大な影響を与え、Al被膜に含まれるMg濃度が、Alワイヤーに含まれるMg濃度と大きく異なるといった現象が起こり、意図した金属組成のAl被膜を蒸着形成することができない場合がある。一方、1500℃を超えると周辺温度が高くなり過ぎることでワイヤーが軟化して図5における保護チューブ21の内部で詰まるなどするので、これを溶融蒸発部に円滑に連続供給することができなくなる恐れがあるからである。
Mgを含むAlワイヤーの溶融蒸発部への送り出し速度は、1g/分〜10g/分が望ましく、2g/分〜5g/分がより望ましい。1g/分未満であると蒸着材料を効率よく溶融させることができない恐れがある一方、10g/分を超えると溶融蒸発部内で溶融された蒸着材料が多くなり過ぎることでスプラッシュを引き起こす恐れがあるからである。
なお、溶融蒸発部の加熱温度と、Mgを含むAlワイヤーの溶融蒸発部への送り出し速度は、蒸着工程時に希土類系永久磁石の温度が255℃を超えないように設定することが望ましい。255℃を超えると磁石の表面に形成されたAl被膜が軟化し、膜欠陥を招きやすくなる恐れがあるからである。
以上のような条件下で希土類系永久磁石の表面に所望する膜厚のMgを含むAl被膜(Al被膜に含まれるMg濃度は3mass%〜20mass%が望ましい)を蒸着形成した場合、磁石は処理室内において160℃以上、典型的には180℃以上の高温に達する。本発明においては、蒸着工程終了後に処理室内においてこのような高温にある磁石を冷却する際、磁石の温度が少なくとも60℃に達するまで10℃/分以上の冷却速度で急冷する。これにより、磁石の表面に形成したMgを含むAl被膜の構造が、優れた耐塩水性を発揮するに至る基礎となるものとなる。急冷操作は、例えば、処理室内に窒素ガス(15℃以下のものが好適である)を導入することで行うことができるが、大気中(25℃以下が好適である)にて放冷することで行うこともできる。これらは組み合わせて行ってもよい。なお、急冷操作は、操作開始から操作終了まで一定の冷却速度で行ってもよい。また、冷却速度を徐々に上げたり下げたり、複数の冷却速度を採用して多段階で行ったりしてもよい。これらの場合には本発明における「10℃/分以上の冷却速度」とは操作開始から操作終了までの平均冷却速度を意味するものとする。なお、冷却速度の上限は、100℃/分が望ましく、50℃/分がより望ましい。100℃/分を超えると磁石の表面に形成されたAl被膜の密着性に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。
処理室内において蒸着工程終了後に160℃以上の高温にある磁石を冷却する際、磁石の温度が少なくとも60℃に達するまで10℃/分以上の冷却速度で急冷することで、Mgを含むAl被膜は、Alを主成分としてMgを含む主相と、AlとMgを含みMg濃度が主相のMg濃度よりも高い(例えば3倍以上)Mg濃化相からなる組織構造、具体的には、平均結晶粒径100nm〜2μmの結晶相からなるAlを主成分とする主相と、非晶質および/または平均結晶粒径が20nm以下の微細結晶の集合組織で構成されるMgが濃化したMg濃化相からなり、Mg濃化相が幅10nm〜500nmで磁石体との界面側から外表面側まで被膜の厚み方向に連続的乃至断続的に分布しており、主相はAlを95mass%以上含み(0.01mass%〜5mass%のMgが固溶)、Mg濃化相はMgを10mass%〜25mass%含む組織構造となる。
次に、以上のようして得られた、特異な組織構造を持つMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の被膜の表面に対し、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施す工程の概略を説明する。
この工程は、例えば、被膜の表面に対して水蒸気処理、熱水処理、化成処理などを施すことにより実施することができる。この工程により、Mgを含むAl被膜の組織構造中に存在するMg濃化相を構成していると考えられるAlMgが、Alよりも電位的に卑であるため、被膜の外表面側の表面において水分と接触することで優先的に分解されて酸化や水酸化され、その結果、Al,Al(OH),MgO,Mg(OH)などが生成し、これらを含む、例えば、酸素濃度が5mass%〜50mass%(6mass%〜45mass%が望ましい)で、層厚が0.01μm〜5μmの、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層が、被膜の外表面側の表面に形成される。この層に含まれるMgOやMg(OH)は、比較的に難水溶性であり耐塩水性に優れることから、結果としてこの層が優れた耐塩水性を発揮する。また、上記のようにして被膜の外表面側の表面において被膜中のMgが化学変化して消費されることに起因して、消費されたMgを補うが如く、被膜中のMgが被膜の外表面側の表面に向かって移動することにより、被膜のMg濃度は厚み方向において磁石体との界面側よりも外表面側(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面側)の方が高くなる。例えば、被膜の磁石体との界面近傍のMg濃度は、2mass%〜10mass%(望ましくは5mass%〜10mass%)であるのに対し、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のMg濃度は、15mass%〜35mass%である(なお「界面近傍」とは界面から厚み方向において0.5μm〜3μmの範囲内にある任意のポイントを意味する。但し被膜の磁石体との界面近傍のポイントはAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のポイントよりも必ず厚み方向において磁石体側に位置し、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のポイントは被膜の磁石体との界面近傍のポイントよりも必ず厚み方向においてAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層側に位置する。また「任意のポイント」とは測定装置のビーム径に応じて直径1μm以内の範囲を意味する)。このような濃度勾配は、磁石体との界面側からAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面側に向かって連続的乃至断続的である。また、被膜の外表面側の表面に形成されたAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層のMg濃度は、例えば、3mass%〜20mass%であり、典型的には、被膜の磁石体との界面近傍のMg濃度とAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のMg濃度の中間にある(例えば10mass%〜15mass%)。この場合、希土類系永久磁石の表面に形成されたMgを含むAl被膜とその表面に形成されたAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の全体としてのMg濃度の分布は、磁石体との界面側から外表面側に向かって、低い領域と高い領域(Mgを含むAl被膜)、そして、中間の領域(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層)となる。このような3種類のMg濃度の異なる領域は、特性X線像などによって3層構造として明確に識別できる場合もある。
被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を形成するための水蒸気処理は、例えば、温度が100℃〜150℃(望ましくは110℃〜130℃)、相対湿度が70%RH〜100%RH(望ましくは80%RH〜90%RH)、圧力が0.1MPa〜0.5MPa(望ましくは0.15MPa〜0.25MPa)で、1時間〜50時間(望ましくは10時間〜30時間)、表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した希土類系永久磁石を処理する条件にて施せばよい。水蒸気処理の条件が温和過ぎると、被膜の外表面側の表面に優れた耐塩水性を発揮するに足る十分な層厚のAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層が形成されない恐れがある一方、水蒸気処理の条件が過酷過ぎると、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の層厚が厚くなり過ぎることで、表面にクラックが生じたり、剥離が起こったりすることで優れた耐塩水性を発揮させることができない恐れがある。
被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を形成するための熱水処理は、例えば、70℃〜95℃(望ましくは80℃〜90℃)の温度の純水(イオン交換水)に、表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した希土類系永久磁石を、10分間〜120分間(望ましくは30分間〜90分間)浸漬する条件にて施せばよい。熱水処理の条件が温和過ぎると、被膜の外表面側の表面に優れた耐塩水性を発揮するに足る十分な層厚のAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層が形成されない恐れがある一方、熱水処理の条件が過酷過ぎると、Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の層厚が厚くなり過ぎることで、表面にクラックが生じたり、剥離が起こったりすることで優れた耐塩水性を発揮させることができない恐れがある。
被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を形成するための化成処理は、クロメート系化成処理とノンクロメート系化成処理に大別されるが、そのいずれであってもよい。クロメート系化成処理としては、例えば、6価クロムを含む6価クロメート化成処理や6価クロムを含まず3価クロムを含む3価クロメート化成処理などの自体公知の化成処理が挙げられる。6価クロメート化成処理は、例えば、日本ペイント社製のアルサーフ600Nなどを使用して施すことができる。また、3価クロメート化成処理は、例えば、日本パーカライジング社製のパルコート3700などを使用して施すことができる。ノンクロメート化成処理としては、例えば、前出の特許文献1に記載のリン酸ジルコニウム系化成処理の他、ジルコニウム酸系化成処理、ジルコニウム−チタン酸系化成処理、リン酸亜鉛系化成処理などの自体公知の化成処理が挙げられる。ノンクロメート系化成処理においては、6価クロメート化成処理における6価クロムが有する自己修復作用と同様の作用の発現を期待して、多価の原子価を有する金属の塩、例えばZr,Ti,Mnなどの塩が使用されるが、Alとの反応性や被膜密着性の観点からは、リン酸ジルコニウム系化成処理が望ましい。リン酸ジルコニウム系化成処理は、例えば、日本パーカライジング社製のパルコート3756などを使用して施すことができる。この場合、被膜の外表面側の表面に形成されるAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層には、さらに、Zr,P,Fなどの元素が含まれる。
以上のようにして希土類系永久磁石の表面に形成されたMgを含むAl被膜の膜厚は、3μm〜30μmであることが望ましい。膜厚が3μm未満であると優れた耐塩水性を発揮することができない恐れがある一方、膜厚が30μmを超えても耐塩水性はさほど向上せず、コストの上昇を招来するだけである。
なお、本発明における希土類系永久磁石としては、Nd−Fe−B系焼結磁石に代表されるR−Fe−B系焼結磁石が好適に例示されるが、本発明における希土類系永久磁石はR−Fe−B系焼結磁石に限定されるものではない。その表面に蒸着形成されるMgを含むAl被膜には、混入回避が不可避な微量成分が含まれていてもよい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例と比較例は、例えば、米国特許4770723号公報や米国特許4792368号公報に記載されているようにして、公知の鋳造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた17Nd−1Pr−75Fe−7B組成(at%)の42mm×20mm×2mm寸法の焼結磁石(以下、磁石体試験片と称する)を用いて行った。また、蒸着装置は、図5に示したような、直径355mm×長さ1200mmのステンレス製メッシュ金網で作製された円筒形バレルを真空槽内に左右平行に2個有し、円筒形バレルを回転させるとともに、ワイヤー状蒸着材料を溶融蒸発部に連続供給しながら蒸着処理が行えるものを使用した。
(実施例1)
磁石体試験片に対し、サンドブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片の表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を各円筒形バレル内に1.5kgずつ収容し、真空槽内を1×10−1Paになるまで真空排気した後、Arガスを真空槽内の全圧が1.0Paになるように供給した。その後、バレルの回転軸を6.0rpmで回転させながら、バイアス電圧0.5kVの条件下、15分間グロー放電を行って磁石体試験片の表面を清浄化した。
続いて、Arガス圧1.0Pa、バイアス電圧1.0kVの条件下、蒸着材料として水素含有量が5ppmのMgを5mass%含むAlワイヤー(JIS A5356に準拠するもの)をワイヤー送り速度3.9g/分で連続供給しながら、これを加熱して蒸発させ(ハース温度:1400℃)、30分間蒸着を行い、磁石体試験片の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した。蒸着工程終了時の磁石体試験片の温度は200℃に達していたが255℃には達していなかった(磁石体試験片の1つに日油技研工業社製の255℃のサーモクレヨンを削ってAl箔に包んだものと200℃のサーモクレヨンを削ってAl箔に包んだものを巻きつけておいたところ200℃のサーモクレヨンのみが溶融していた)。蒸着工程終了後、直ちに処理室内に15℃の窒素ガスを導入して磁石体試験片を急冷してから処理室内を大気開放して磁石体試験片を取り出し、大気中(25℃以下)にてAl製のバットに重ならないように広げて放冷し、放射温度計によって磁石体試験片の温度を測定したところ43℃であった。また、処理室内に窒素ガスを導入してから磁石体試験片の温度を測定するまでの時間は8分であった。従って、磁石体試験片の冷却速度は、少なくとも200℃にまで達した磁石体試験片を43℃になるまで8分間で冷却したので19.6℃/分以上であった(磁石体試験片が255℃近くまで達したとすると冷却速度の最大は26.5℃/分)。
以上のようにして得られた、Mgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片をブラスト加工装置に投入し、窒素ガスからなる加圧気体とともに、投射材として平均粒径が120μmでモース硬度が6の球状ガラスビーズ粉末を、噴射圧0.15MPaにて5分間噴射して、Mgを含むAl被膜に対してショットピーニングを行った。蛍光X線膜厚計(SFT−7000:セイコー電子社製)を使用して測定したショットピーニングを行ったMgを含むAl被膜の膜厚は11.5μmであった。なお、磁石体試験片とともに円筒形バレル内に収容したガラス板(35mm×10mm×1mm)の表面に蒸着形成されたAl被膜の組成を原子発光分析装置(ICPS−7500:島津製作所社製)を用いて測定したところ、Al被膜に含まれるMg濃度は5.9mass%であった。
ショットピーニングを行った直後のMgを含むAl被膜の組織構造を透過電子顕微鏡(HF2100:日立ハイテクノロジーズ社製)にて観察した。図1にその写真を示す。また、図中aで示される色の薄い部分と図中bで示される色の濃い部分の電子線回折像を図2に示す。さらに、エネルギー分散型X線分析装置(Voyager:NORAN社製)を用いた被膜組成の測定結果を表1に示す。図1と図2と表1から、このMgを含むAl被膜の組織構造は、平均結晶粒径800nmの結晶相からなるAlを主成分とする主相(図中aで示される部分)と、非晶質および/または平均結晶粒径が20nm以下である微細結晶の集合組織で構成されるMgが濃化したMg濃化相(図中bで示される部分)からなり、Mg濃化相が幅10nm〜500nmで磁石体との界面側から外表面側まで被膜の厚み方向に連続的乃至断続的に分布しているものであることがわかった。また、主相はAlを96.1mass%含むこと(2.5mass%のMgが固溶)、Mg濃化相はMgを21.6mass%含み、Alを主成分として0.01mass%〜5mass%のMgが固溶している微細結晶相または非晶質相と、AlMgからなると考えられる微細結晶相の混相組織を有することがわかった。
続いて、ショットピーニングを行ったMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、高度加速寿命試験装置(PM420:楠本化成社製)を用い、温度:125℃、相対湿度:85%RH、圧力:0.2MPaの高温高圧水蒸気処理を12時間施すことで、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施し、本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片を製造した。
こうして得られた被膜を表面に有する磁石体試験片の被膜の断面について、電界放出形走査電子線顕微鏡(S−4300:日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した結果の反射電子線(BSE)像を図3(a)に示す。また、エネルギー分散型X線分析装置(Genesis2000:EDAX社製)を用いたAl−Kα線、Mg−Kα線、O−Kα線の特性X線像をそれぞれ図3(b)〜(d)に示す。さらに、エネルギー分散型X線分析装置(Genesis2000:EDAX社製)を用いたZAF法による図3(a)に示す被膜断面中の4箇所のポイントと被膜の外表面側の表面の被膜組成の測定結果を表2に示す。なお、観察は、被膜を表面に有する磁石体試験片を樹脂埋め研磨し、イオンビーム断面加工装置(SM09010:日本電子社製)を用いて試料作製した後に行った。図3と表2から明らかなように、磁石体試験片の表面に形成された被膜のMg濃度の分布は、磁石体試験片との界面側から外表面側に向かって、低い領域(ポイント2およびポイント3で示される厚みが約6μmの領域)、高い領域(ポイント1で示される厚みが約2〜3.5μmの領域)、中間の領域(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された酸素濃度が極めて高い層:ポイント4で示される厚みが約0.8μmの領域)となっており、これらの3種類のMg濃度の異なる領域は、Al−Kα線、Mg−Kα線、O−Kα線のそれぞれの特性X線像によって3層構造として明確に識別できるものであった(磁石体試験片との界面側から外表面側に向かって順に第3層、第2層、第1層)。
本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、35℃−5%NaCl−pH7.0条件(JIS Z 2371に準拠)の塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察した。その結果、試験開始から600時間経過後も発錆は観察されず、また、実用上問題となる磁気特性の劣化も認められなかった。このように磁石体試験片の表面に形成された被膜が優れた耐塩水性を発揮するのは、Mgを含むAl被膜が上記のような特異な組織構造であることが関与していると考えられた。
(実施例2)
実施例1における高温高圧水蒸気処理のかわりに、ショットピーニングを行ったMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片を、日本パーカライジング社製のパルコート3756から調製した45℃の化成処理液に3分間浸漬することで、リン酸ジルコニウム系化成処理を施し、水洗してから乾燥することで、本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片を製造した。
ショットピーニングを行った直後の磁石体試験片の表面に形成されたMgを含むAl被膜と、化成処理を行った後の磁石体試験片の表面に形成されたMgを含むAl被膜について、高周波グロー放電発光表面分析装置(GD−OES:堀場製作所社製)を用いて被膜組成の分析を行った結果、ショットピーニングを行った直後の被膜の内部のMg濃度は、約6mass%で一定であったのに対し、化成処理を行った後の被膜の内部のMg濃度には勾配が存在し、磁石体試験片との界面側から外表面側に向かって、低い領域、高い領域、中間の領域(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された酸素濃度が極めて高い層)となっていた。また、被膜の断面について、電界放出形走査電子線顕微鏡(S−4300:日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した結果の反射電子線(BSE)像を図4に示し、エネルギー分散型X線分析装置(Genesis2000:EDAX社製)を用いたZAF法による図4に示す被膜断面中の3箇所のポイントと被膜の外表面側の表面の被膜組成の測定結果を表3に示す。なお、観察は、被膜を表面に有する磁石体試験片を樹脂埋め研磨し、イオンビーム断面加工装置(SM09010:日本電子社製)を用いて試料作製した後に行った。表3からも明らかなように、磁石体試験片の表面に形成された被膜のMg濃度の分布は、磁石体試験片との界面側から外表面側に向かって、低い領域(ポイント2およびポイント3)、高い領域(ポイント1)、中間の領域(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された酸素濃度が極めて高い層)となっていることがわかった。また、被膜の外表面側の表面のAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された酸素濃度が極めて高い層にはPが存在することが確認できた。
本発明のMgを含むAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、35℃−5%NaCl−pH7.0条件(JIS Z 2371に準拠)の塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察した。その結果、試験開始から600時間経過後も発錆は観察されず、また、実用上問題となる磁気特性の劣化も認められなかった。このように磁石体試験片の表面に形成された被膜が優れた耐塩水性を発揮するのは、Mgを含むAl被膜が上記のような特異な組織構造であることが関与していると考えられた。
(考察)
実施例1と実施例2において磁石体試験片の表面に形成されたMgを含むAl被膜が優れた耐塩水性を発揮する理由は、以下のように考えられる。
水蒸気処理や化成処理を行う前の被膜の組織構造、即ち、蒸着工程終了後に磁石を急冷することによってその表面に形成された被膜が有する特異な組織構造が、被膜に水蒸気処理や化成処理を施すことで優れた耐塩水性を発揮させることができる組織構造であることである。水蒸気処理や化成処理を行う前の被膜の組織構造中に存在するMg濃化相を構成していると考えられるAlMgが、Alよりも電位的に卑であるため、水蒸気処理や化成処理によって被膜の外表面側の表面において水分と接触することで優先的に分解されて酸化や水酸化され、その結果、Al,Al(OH),MgO,Mg(OH)などが生成し、これらを含む層(Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層)が被膜の外表面側の表面に形成されることで塩水に対するバリア層として機能する。とりわけ、この層に含まれるMgOやMg(OH)が、比較的に難水溶性であり耐塩水性に優れることが、バリア層としての機能を効果的なものにしている。
また、水蒸気処理や化成処理を行う前の被膜の組織構造中に存在するMg濃化相は、磁石体試験片との界面側から外表面側まで、被膜の厚み方向に連続的乃至断続的に分布しているので、被膜の外表面側の表面のある場所で塩水に対するバリア層が破壊されても、Mg濃化相を構成していると考えられるAlMgからMgがその場所に供給され、その場所でMgOやMg(OH)が生成することによってバリア層が再形成され、優れた耐塩水性を維持する。従って、被膜中のMgは、被膜の外表面側の表面に供給されるために外表面側に向かって移動する傾向を持ち、この傾向によって被膜中のMg濃度の特異な勾配パターンが構成される。
本発明は、優れた耐塩水性を発揮するMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
実施例1におけるショットピーニングを行った直後のMgを含むAl被膜の組織構造の透過電子顕微鏡写真である。 同、電子線回折像である。 同、水蒸気処理を行った後の被膜の断面観察を行った結果である。 同、化成処理を行った後の被膜のBSE像である。 本発明を実施するために用いることができる蒸着装置の一例の模式的正面図である。
符号の説明
1 処理室
2 ハース(溶融蒸発部)
3 支持テーブル
4 ハース支持台
5 被処理物保持部
6 回転軸
10 Mgを含むAl(溶融した蒸着材料)
11 Mgを含むAlワイヤー
20 繰り出しリール
21 保護チューブ
22 切り欠き窓
23 繰り出しギヤー
30 希土類系永久磁石

Claims (11)

  1. Mgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石であって、被膜の組織構造が、Alを主成分としてMgを含む主相と、AlとMgを含みMg濃度が主相のMg濃度よりも高いMg濃化相からなり、被膜のMg濃度が厚み方向において磁石体との界面側よりも外表面側の方が高く、かつ、被膜の外表面側の表面にAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層を有することを特徴とする希土類系永久磁石。
  2. 被膜の磁石体との界面近傍のMg濃度が2mass%〜10mass%であることを特徴とする請求項1記載の希土類系永久磁石。
  3. 被膜のAlおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層との界面近傍のMg濃度が15mass%〜35mass%であることを特徴とする請求項1または2記載の希土類系永久磁石。
  4. Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層のMg濃度が3mass%〜20mass%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の希土類系永久磁石。
  5. Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の酸素濃度が5mass%〜50mass%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の希土類系永久磁石。
  6. Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層がさらにZr,P,Fからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の希土類系永久磁石。
  7. Alおよび/またはMgが酸化および/または水酸化された層の層厚が0.01μm〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の希土類系永久磁石。
  8. 被膜の膜厚が3μm〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の希土類系永久磁石。
  9. 蒸着装置の処理室内において希土類系永久磁石の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した後、160℃以上の高温にある磁石の冷却を、磁石の温度が少なくとも60℃に達するまで10℃/分以上の冷却速度で急冷することで行い、得られたMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の被膜の表面に対し、被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理を施すことを特徴とする請求項1記載のMgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石の製造方法。
  10. 処理室内に窒素ガスを導入することで急冷を行うことを特徴とする請求項9記載の製造方法。
  11. 被膜中のAlおよび/またはMgを酸化および/または水酸化する処理が水蒸気処理、熱水処理、化成処理からなる群より選択される少なくとも1つの処理であることを特徴とする請求項9または10記載の製造方法。
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