ところが、熱可塑性樹脂を介して導電体が基材上に接着されたアンテナ基材に対し、従来方法によりICチップを接続および固定しようとすると、ICチップ固定用の熱硬化性樹脂を硬化させるための加熱によって、アンテナ基材の導電体固定用の熱可塑性接着剤が軟化して、ICチップがアンテナ基材上で位置ずれし、ICチップと導電体を確実に電気的に接続させておくことができないという不具合が生じる。また、そもそも、加熱することにより、アンテナ基材やICチップ等に悪影響を与えてしまう虞がある。
今般、本願発明者らが鋭意研究を重ね、転写を用いたアンテナ基材の製造方法を改良した結果、熱可塑性樹脂を介して導電体が基材上に接着されたアンテナ基材を安価にかつ精度良く製造することができるとの知見を得た。このような製造方法によって得られたアンテナ基材等に対しては、この不具合点を解消し、加熱することなくICチップを接続および固定することが必須となる。
また、従来のICチップ接続および固定方法では、ICチップをアンテナ基材へ強固に固定するため、多量の熱硬化性接着剤が塗布される。そして、ICチップをアンテナ基材へ向けて押圧する工程においては、押圧手段によって正確にICチップを押圧して電気的な接続を得る必要がある。したがって、ICチップからはみ出した接着剤が押圧手段に付着して押圧精度が悪化することを防止するため、押圧手段とICチップとの間に使い捨てのテフロン(登録商標)ペーパ等を都度介在させている。このことは非常に煩雑であるとともに、上述した製造コストの低減および製造効率の向上を阻害することになる。
なお、これらの不具合は、ICチップを導電体基材に接続および固定してインターポーザを製造する際にも、同様に生じている。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、加熱することなくアンテナとして機能する導電体とICチップとを電気的に接続するとともに、ICチップをアンテナへ強固に固定することができる高品質のICタグ、ICタグの製造方法、およびICタグの製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、従来方法の煩雑さを取り除くことによって、安価かつ効率的に製造することができるICタグ、ICタグの製造方法、およびICタグの製造装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、加熱することなくアンテナへの接続用の導電体とICチップとを電気的に接続するとともに、ICチップを導電体へ強固に固定することができる高品質のインターポーザ、インターポーザの製造方法、およびインターポーザの製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、従来方法の煩雑さを取り除くことによって、安価かつ効率的に製造することができるインターポーザ、インターポーザの製造方法、およびインターポーザの製造装置を提供することを目的とする。
本発明による第1のICタグの製造方法は、アンテナを形成する導電体に接続電極を有するICチップを電気的に接続させてなるICタグの製造方法であって、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有するアンテナ基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する工程と、ICチップの接続電極が導電体と向かい合うようにして、アンテナ基材上にUV硬化性接着剤を介しICチップを配置する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、アンテナ基材とICチップとの間に介在する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、ICチップをアンテナへ確実に電気的に接続するとともに強固に固定することができ、これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1のICタグの製造方法が、基材と熱可塑性接着剤を介して基材上に配置されたシート状導電体とを有する積層体のシート状導電体を、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱し、所望のパターンの導電体が熱可塑性接着剤を介して基材に接着されたアンテナ基材を製造する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体の輪郭がはっきりとしたアンテナ基材を効率よく製造することができる。これにより、通信特性の良好なICタグを安価に製造することができる。
本発明による第1のICタグの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する工程をさらに備えるようにしてもよい。この場合、UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、押圧する工程においてICチップが押圧されている際、ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みがICチップの厚みより薄くなるようにすることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧手段によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
あるいは、本発明による第1のICタグの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧しながら、ICチップに超音波振動を付与する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップとアンテナとの接続抵抗値が低減された高品質のICタグを製造することができる。また、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップとアンテナとの接続抵抗値をさらに低減することができる。また、この場合、UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、超音波振動を付与する工程においてICチップが押圧されながら超音波振動を付与されている際、ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みがICチップの厚みより薄くなることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧手段によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
本発明による第1のICタグの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、アンテナ基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップをアンテナへより強固に固定することができる。また、製造中または使用中にICチップが外部との接触によって損傷してしまうことを防止することができる。
本発明による第1のICタグの製造方法の前記UV光を照射する工程において、前記アンテナ基材上に配置された前記ICチップを前記導電体に向けて押圧しながら、前記UV硬化性接着剤にUV光を照射するようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。また、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。また、この場合、前記UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、前記UV光を照射する工程において前記ICチップが押圧されながら前記UV硬化性接着剤にUV光が照射されている際、前記ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みが前記ICチップの厚みより薄くなることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧部材に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧部材によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
本発明による第2のICタグの製造方法は、アンテナを形成する導電体に接続電極を有するICチップを電気的に接続させてなるICタグの製造方法であって、ICチップの接続電極が、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有するアンテナ基材の導電体と向かい合うようにして、アンテナ基材上にICチップを配置する工程と、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧しながら、ICチップに超音波振動を付与する工程と、アンテナ基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、加熱することなくアンテナ基材とICチップとを短時間で固定することができ、また、ICチップをアンテナへ確実に電気的に接続することもできる。これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。また、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップとアンテナとの接続抵抗値が低減された高品質のICタグを製造することができる。さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップとアンテナとの接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明による第1のICタグの製造装置は、アンテナを形成する導電体に接続電極を有するICチップを電気的に接続させてなるICタグの製造装置であって、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有するアンテナ基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、ICチップの接続電極が導電体と向かい合うようにして、アンテナ基材上にUV硬化性接着剤を介しICチップを配置する配置手段と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、アンテナ基材とICチップとの間に介在する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、ICチップをアンテナへ確実に電気的に接続するとともに強固に固定することができ、これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1のICタグの製造装置が、基材と熱可塑性接着剤を介して基材上に配置されたシート状導電体とを有した積層体のシート状導電体を、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱することによって、所望のパターンの導電体が熱可塑性接着剤を介して基材に接着されたアンテナ基材を製造する加熱打抜手段を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体の輪郭がはっきりとしたアンテナ基材を効率よく製造することができる。これにより、通信特性の良好なICタグを安価に製造することができる。
本発明による第1のICタグの製造装置が、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段をさらに備えるようにしてもよい。
あるいは、本発明による第1のICタグの製造装置が、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段と、押圧手段に連結され押圧手段に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップを導電体上で振動させることによって、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップとアンテナとの接続抵抗値が低減された高品質のICタグを製造することができる。また、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップとアンテナとの接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明による第1のICタグの製造装置が、アンテナ基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する第2の接着剤供給手段を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップをアンテナへより強固に固定することができる。また、製造中または使用中にICチップが外部との接触によって損傷してしまうことを防止することができる。
本発明による第1のICタグの製造装置において、前記硬化手段が、前記アンテナ基材上に配置された前記ICチップに接離自在な押圧部材であって、前記ICチップに当接して当該ICチップを前記導電体に向けて押圧し得る押圧部材を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。また、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。
本発明による第2のICタグの製造装置は、アンテナを形成する導電体に接続電極を有するICチップを電気的に接続させてなるICタグの製造装置であって、基材と前記基材上に配置された前記導電体とを有するアンテナ基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、前記ICチップの前記接続電極が前記導電体と向かい合うようにして、前記アンテナ基材上に前記UV硬化性接着剤を介し前記ICチップを配置する配置手段と、UV光を照射して前記UV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備え、前記硬化手段は、前記アンテナ基材上に配置された前記ICチップに接離自在な押圧部材であって、前記ICチップに当接して当該ICチップを前記導電体に向けて押圧し得る押圧部材を有することを特徴とする。このような本発明によれば、アンテナ基材とICチップとの間に介在する接着剤を極めて短時間で硬化させることができる。また、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。同時に、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1および第2のICタグの製造装置において、前記硬化手段は、前記ICチップ側からUV硬化性接着剤に向けてUV光を照射するICチップ側UV光照射装置を有し、前記ICチップ側UV光照射装置は、前記ICチップ周囲からUV硬化性接着剤に向けて照射されるUV光を案内するUV光案内部材であって、前記押圧部材に設けられたUV光案内部材を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。また、この場合、前記UV光案内部材の少なくとも一部が、前記押圧部材に内蔵されていることが好ましい。
また、本発明による第1および第2のICタグの製造装置において、前記押圧部材の前記ICチップに当接する部分に孔が形成され、前記配置手段は、前記押圧部材の前記孔に通ずる吸引機構を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。また、本発明による第1および第2のICタグの製造装置が、前記硬化手段の前記押圧部材に連結され、前記押圧部材に超音波振動を付与する超音波振動付与手段をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。
本発明による第3のICタグの製造装置は、アンテナを形成する導電体に接続電極を有するICチップを電気的に接続させてなるICタグの製造装置であって、ICチップの接続電極が、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有するアンテナ基材の導電体と向かい合うようにして、アンテナ基材上にICチップを配置する配置手段と、アンテナ基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段と、押圧手段に連結され押圧手段に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、アンテナ基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、加熱することなくアンテナ基材とICチップとを短時間で固定することができ、また、ICチップをアンテナへ確実に電気的に接続することもできる。これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。また、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップとアンテナとの接続抵抗値が低減された高品質のICタグを製造することができる。さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップとアンテナとの接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明によるICタグは、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着されアンテナを形成する導電体とを有するアンテナ基材と、接続電極を有するICチップであって、接続電極が導電体と対面するようにしてアンテナ基材上に配置されたICチップと、前記アンテナ基材と前記ICチップとを互いに固定するUV硬化性接着剤と、を備えたことを特徴とする。このようなICタグの製造中において、アンテナ基材とICチップとを互いに固定する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、このようなICタグは、ICチップがアンテナへ確実に電気的に接続されるとともに強固に固定されて高品質であるとともに、効率的かつ安価に製造され得る。
本発によるICタグにおいて、接続電極と導電体とが超音波接合されていることが好ましい。このようなICタグは、ICチップとアンテナとの接続抵抗値が低減されることから、良好な通信特性を有する。
本発によるICタグにおいて、UV硬化性接着剤がアンテナ基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして設けられていることが好ましい。このようなICタグにおいては、ICチップがアンテナに非常に強固に固定され、また、外部との接触によるICチップの損傷が防止される。
本発明による第1のインターポーザの製造方法は、接続電極を有するICチップと、接続電極に接続された導電体と、を有し、導電体がアンテナに接続されて用いられるICタグ用インターポーザの製造方法であって、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有する導電体基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する工程と、ICチップの接続電極が導電体と向かい合うようにして、導電体基材上にUV硬化性接着剤を介しICチップを配置する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、導電体基材とICチップとの間に介在する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、ICチップを導電体へ確実に電気的に接続するとともに強固に固定することができ、これにより、高品質のインターポーザを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造方法が、基材と熱可塑性接着剤を介して基材上に配置されたシート状導電体とを有する積層体のシート状導電体を、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱し、所望のパターンの導電体が熱可塑性接着剤を介して基材に接着された導電体基材を製造する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体の輪郭がはっきりとした導電体基材を効率よく製造することができ、これにより、インターポーザを安価に製造することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する工程を、さらに備えるようにしてもよい。この場合、UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、押圧する工程においてICチップが押圧されている際、ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みがICチップの厚みより薄くなるようにすることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧手段によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
あるいは、本発明による第1のインターポーザの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧しながら、ICチップに超音波振動を付与する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップと導電体との接続抵抗値が低減された高品質のインターポーザを製造することができる。また、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップと導電体との接続抵抗値をさらに低減することができる。また、この場合、UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、超音波振動を付与する工程においてICチップが押圧されながら超音波振動を付与されている際、ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みがICチップの厚みより薄くなるようにすることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧手段によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
本発明による第1のインターポーザの製造方法が、UV光を照射する工程の前に、導電体基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する工程を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップを導電体へより強固に固定することができる。また、製造中または使用中にICチップが外部との接触によって損傷してしまうことを防止することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造方法の前記UV光を照射する工程において、前記導電体基材上に配置された前記ICチップを前記導電体に向けて押圧しながら、前記UV硬化性接着剤にUV光を照射するようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。また、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。また、この場合、前記UV硬化性接着剤を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤が供給され、これにより、前記UV光を照射する工程において前記ICチップが押圧されながら前記UV硬化性接着剤にUV光が照射されている際、前記ICチップ周囲のUV硬化性接着剤の厚みが前記ICチップの厚みより薄くなることが好ましい。このような本発明によれば、ICチップを導電体に向けて押圧する押圧部材に、接着剤が付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧部材によって、ICチップを導電体に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップを破損等させてしまうことなく導電体に確実に電気的に接続させることができる。
本発明による第2のインターポーザの製造方法は、接続電極を有するICチップと、接続電極に接続された導電体と、を有し、導電体がアンテナに接続されて用いられるICタグ用インターポーザの製造方法であって、ICチップの接続電極が、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有する導電体基材の導電体と向かい合うようにして、導電体基材上にICチップを配置する工程と、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧しながら、ICチップに超音波振動を付与する工程と、導電体基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、加熱することなく導電体基材とICチップとを短時間で固定することができ、また、ICチップを導電体へ確実に電気的に接続することもできる。これにより、高品質のインターポーザを効率的かつ安価に製造することができる。また、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップと導電体との接続抵抗値が低減された高品質のインターポーザを製造することができる。さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップと導電体との接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造装置は、接続電極を有するICチップと、接続電極に接続された導電体と、を有し、導電体がアンテナに接続されて用いられるICタグ用インターポーザの製造装置であって、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有する導電体基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、ICチップの接続電極が導電体と向かい合うようにして、導電体基材上にUV硬化性接着剤を介しICチップを配置する配置手段と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、導電体基材とICチップとの間に介在する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、ICチップを導電体へ確実に電気的に接続するとともに強固に固定することができ、これにより、高品質のインターポーザを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造装置が、基材と熱可塑性接着剤を介して基材上に配置されたシート状導電体とを有した積層体のシート状導電体を、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱することによって、所望のパターンの導電体が熱可塑性接着剤を介して基材に接着された導電体基材を製造する加熱打抜手段を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、導電体の輪郭がはっきりとした導電体基材を効率よく製造することができ、これにより、インターポーザを安価に製造することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造装置が、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段を、さらに備えるようにしてもよい。
あるいは、本発明による第1のインターポーザの製造装置が、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段と、押圧手段に連結され押圧手段に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップを導電体上で振動させることによって、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップと導電体との接続抵抗値が低減された高品質のインターポーザを製造することができる。また、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップと導電体との接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造装置が、導電体基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する第2の接着剤供給手段を、さらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップを導電体へより強固に固定することができる。また、製造中または使用中にICチップが外部との接触によって損傷してしまうことを防止することができる。
本発明による第1のインターポーザの製造装置おいて、前記硬化手段は、前記導電体基材上に配置された前記ICチップに接離自在な押圧部材であって、前記ICチップに当接して当該ICチップを前記導電体に向けて押圧し得る押圧部材を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。また、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。
本発明による第2のインターポーザの製造装置は、接続電極を有するICチップと、前記接続電極に接続された導電体と、を有し、前記導電体がアンテナに接続されて用いられるICタグ用インターポーザの製造装置であって、基材と前記基材上に配置された前記導電体とを有する導電体基材上または前記ICチップ上に、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、前記ICチップの前記接続電極が前記導電体と向かい合うようにして、前記アンテナ基材上に前記UV硬化性接着剤を介し前記ICチップを配置する配置手段と、UV光を照射して前記UV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備え、前記硬化手段は、前記導電体基材上に配置された前記ICチップに接離自在な押圧部材であって、前記ICチップに当接して当該ICチップを前記導電体に向けて押圧し得る押圧部材を有することを特徴とする。このような本発明によれば、導電体基材とICチップとの間に介在する接着剤を極めて短時間で硬化させることができる。また、ICチップと導電体との電気的接続をより確実に確保することができる。同時に、ICチップと導電体との間の接続抵抗値を低下させることができるとともに、接続抵抗値のばらつきを抑制することもできる。これにより、高品質のインターポーザを効率的かつ安価に製造することができる。
本発明による第1および第2のインターポーザの製造装置において、前記硬化手段は、前記ICチップ側からUV硬化性接着剤に向けてUV光を照射するICチップ側UV光照射装置を有し、前記ICチップ側UV光照射装置は、前記ICチップ周囲からUV硬化性接着剤に向けて照射されるUV光を案内するUV光案内部材であって、前記押圧部材に設けられたUV光案内部材を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。また、この場合、前記UV光案内部材の少なくとも一部が、前記押圧部材に内蔵されていることが好ましい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。
本発明による第1および第2のインターポーザの製造装置において、前記押圧部材の前記ICチップに当接する部分に孔が形成され、前記配置手段は、前記押圧部材の前記孔に通ずる吸引機構を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。本発明による第1および第2のインターポーザの製造装置が、前記硬化手段の前記押圧部材に連結され、前記押圧部材に超音波振動を付与する超音波振動付与手段をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、製造装置を小型化することができる。
本発明による第3のインターポーザの製造装置は、接続電極を有するICチップと、接続電極に接続された導電体と、を有し、導電体がアンテナに接続されて用いられるICタグ用インターポーザの製造装置であって、ICチップの接続電極が、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有する導電体基材の導電体と向かい合うようにして、導電体基材上にICチップを配置する配置手段と、導電体基材上に配置されたICチップを導電体に向けて押圧する押圧手段と、押圧手段に連結され押圧手段に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、導電体基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにして、UV硬化性接着剤を供給する接着剤供給手段と、UV光を照射してUV硬化性接着剤を硬化させる硬化手段と、を備えたことを特徴とする。このような本発明によれば、加熱することなく導電体基材とICチップとを短時間で固定することができ、また、ICチップを導電体へ確実に電気的に接続することもできる。これにより、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。また、導電体上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップと導電体との接続抵抗値が低減された高品質のインターポーザを製造することができる。さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、接続電極と導電体とを超音波接合することができ、このとき、ICチップと導電体との接続抵抗値をさらに低減することができる。
本発明によるインターポーザは、基材と基材上に熱可塑性接着剤を介して接着された導電体とを有する導電体基材と、接続電極を有するICチップであって、接続電極が導電体と対面するようにして導電体基材上に配置されたICチップと、前記導電体基材と前記ICチップとを互いに固定するUV硬化性接着剤と、を備えたことを特徴とする。このようなインターポーザの製造中において、導電体基材とICチップとを互いに固定する接着剤を加熱することなく短時間で硬化させることができる。したがって、このようなインターポーザは、ICチップが導電体へ確実に電気的に接続されるとともに強固に固定されて高品質であるとともに、効率的かつ安価に製造され得る。
本発明によるインターポーザにおいて、接続電極と導電体とが超音波接合されていることが好ましい。このようなインターポーザは、ICチップと導電体との接続抵抗値が低減されることから、良好な通信特性を有する。
本発明によるインターポーザにおいて、UV硬化性接着剤が導電体基材上に配置されたICチップ周囲およびICチップ上に、ICチップを取り囲むようにしてさらに設けられていることが好ましい。このようなインターポーザにおいては、ICチップが導電体に非常に強固に固定され、また、外部との接触によるICチップの損傷が防止される。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<ICタグ、ICタグの製造方法、およびICタグの製造装置>
まず、図1乃至図10を用い、本発明によるICタグ、ICタグの製造方法、およびICタグの製造装置の一実施の形態について説明する。
[ICタグ]
このうち、まず、図1乃至図4を主に用い、ICタグについて説明する。ここで、図1はICタグを示す斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は図1のIII−III線に沿った断面図であり、図4はICタグの変形例を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、ICタグ10は、ICチップ16と、ICチップ16に接続されたアンテナ22を有したアンテナ基材20と、アンテナ基材20上にICチップ16を固定するUV硬化性接着剤36と、を備えている。このようなICタグ10は外部のリーダ・ライタ等と非接触状態で通信することができ、アンテナ基材20のアンテナ22を介して、ICチップ16内に記録されたデータを読み取る、あるいは、ICチップ16内に新たなデータを書き込むことができる。
図2に示すように、このうちICチップ16は、リーダ・ライタ等と非接触状態で通信するための回路が書き込まれたチップ本体16bと、チップ本体16bの一方の面から突出した一対の接続電極(バンプとも呼ぶ)16aと、を有している。ICチップ16は、接続電極16aがアンテナ基材20のアンテナ22と対面するよう、アンテナ基材20上に配置されている。また、本実施の形態において、接続電極16aはアンテナ基材20のアンテナ22に超音波接合(金属間結合)されている。したがって、ICチップ16とアンテナ22との接続抵抗値が低減されており、この結果、ICタグ10は良好な通信特性を有することになる。
図2に示すように、UV硬化性接着剤36は、ICチップ16とアンテナ基材20との間に設けられ、ICチップ16とアンテナ基材20とを互いに固定している。また、本実施の形態において、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16の周囲(側方)および上方にもUV硬化性接着剤36が設けられており、このUV硬化性接着剤36によってICチップ16が封止されている。したがって、ICチップ16とアンテナ基材20との固定が強固となり、さらには、ICタグ10の製造中あるいは使用中にICチップ16が外部と接触したとしても、この接触によって、ICチップ16が割れる等して破損することが防止される。なお、本願におけるUV硬化性接着剤とは、UV光を照射されることにより硬化する接着剤を意味している。
次にアンテナ基材20について説明する。
図1および図2に示すように、アンテナ基材20は、基材21と、基材21上に熱可塑性接着剤28を介して接着された導電体24と、を有している。導電体24は、ICチップ16の接続電極16aと対面して配置された一対の接続端子25,25と、一対の端部26,26と、を有している。
また、図1に示されているように、アンテナ基材20は、導電体24の一対の端部26,26間を連結するブリッジ23を有している。図3に示すように、ブリッジ23は、ブリッジ基材23bと、ブリッジ基材23b上に熱可塑性接着剤等を介して接着されたブリッジ導電体23aと、を有している。ブリッジ導電体23aは、ブリッジ基材23bの両端から突出するように延びており、突出した両端部が導電体24の一対の端部26,26にそれぞれ接触して電気的に接続されている。なお、ブリッジ23は導電体24上にUV硬化性接着剤34等を介して固定されている。
本実施の形態における、ICタグ20のアンテナ22は導電体24とブリッジ導電体23aとから、コイル状アンテナとして形成されている。導電体24およびブリッジ導電体24aは、アルミニウムや銅等の導電体から構成されている。また、基材21およびブリッジ基材23bは、紙やPET等の非導電性材料から構成されている。
なお、図2および図3に示されているように、基材21上に設けられた導電体24と、導電体24を基材21上に接着する熱可塑性接着剤32との輪郭は一致するとともに、導電体24と熱可塑性接着剤32との両側面は、基材21に対して略直交する同一平面上に沿っている。さらに、導電体24および熱可塑性接着剤32の輪郭に沿って基材21に切り込み28が形成されている。これらは、後述するアンテナ基材20の製造方法によるものであり、良好な通信特性を有するという利点がある。しかしながら、アンテナ基材20はこのような態様に限定されるものではない。
また、本実施の形態においては、導電体24上に設けられたブリッジ23により、導電体24のコイル状部分を短絡することなく、導電体24の端部26,26間を短絡させる例を示したが、これに限られない。種々の既知の方法を用いて、導電体24のコイル状部分を短絡することなく、導電体24の端部26,26間を短絡させるようにしてもよい。例えば、基材21の導電体24が設けられていない側の面上にブリッジ23またはブリッジ導電体23aを接着固定し、導電体24の端部26からブリッジ導電体23aまで延びる穴を形成するとともに、この穴を銀ペースト等で埋めて、導電体24の端部26とブリッジ導電体23aとを電気的に接続(導通)させるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態において、アンテナ基材20のアンテナ22がコイル状からなる例を示したが、これに限られない。外部のリーダ・ライタ等との通信に用いられる電磁波の種類によっては、図4に示されているように、ダイポールアンテナとして機能する一対の略バー状の導電体24によってアンテナ22が形成されることもある。なお、図4に示すICタグ10は、アンテナを形成する導電体の形状が異なるだけで、他は図1乃至図3を用いて説明したICタグと略同一構成からなっている。
[ICタグの製造方法およびICタグの製造装置]
次に、図5乃至図10を主に用い、ICタグの製造方法およびICタグの製造装置40について説明する。ここで、図5はICタグの製造方法およびICタグの製造装置40を示す概略図であり、図6はアンテナ基材20の製造方法およびアンテナ基材の製造装置80を示す概略図であり、図7はアンテナ基材シート18を示す斜視図であり、図8はICチップ16の接続方法を説明する図であり、図9および図10はUV光の照射方法を説明する図である。
[ICタグの製造方法およびICタグの製造装置の概略構成]
図5に示すように、ICタグの製造方法は、基材21と基材21上に熱可塑性接着剤32を介して接着された導電体24とを有するアンテナ基材20を準備する工程と、アンテナ基材20上にUV硬化性接着剤36を供給する工程と、ICチップ16の接続電極16aが導電体24の接続端子25と向かい合うようにして、アンテナ基材20上にUV硬化性接着剤36を介しICチップ16を配置する工程と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16を導電体24に向けて押圧しながら、ICチップ16に超音波振動を付与する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる工程と、を備えている。また、本実施の形態によれば、ICタグの製造方法は、UV光を照射する工程の前に、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16周囲(側方)およびICチップ16上に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を再度供給する工程を、さらに備えている。また、本実施の形態において、最初のUV硬化性接着剤36を供給する工程において、少量のUV硬化性接着剤36が供給され、これにより、超音波振動を付与する工程においてICチップ16が押圧されながら超音波振動を付与されている際、ICチップ16の側方に隣接したUV硬化性接着剤36の厚みがICチップ16の厚みより薄くなるようになっている(図5)。
同様に図5に示すように、ICタグの製造装置40は、ICタグの製造方法に対応して、準備されたアンテナ基材20を供給する手段42と、アンテナ基材20上にUV硬化性接着剤36を供給する第1接着剤供給手段46と、ICチップ16の接続電極16が導電体24の接続端子25と向かい合うようにして、アンテナ基材20上に、UV硬化性接着剤36を介しICチップ16を配置する配置手段50と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16を導電体24に向けて押圧する押圧手段54と、押圧手段54に連結され押圧手段54に超音波振動を付与する超音波振動付与手段58と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる硬化手段70と、を備えている。また、本実施の形態によれば、ICタグの製造装置40は、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16周囲およびICチップ16上に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を供給する第2接着剤供給手段62を、さらに備えている。
以下、各工程について、ICタグの製造装置40の各手段とともに詳述していく。
[アンテナ基材を準備する工程]
図5に示されているように、本実施の形態においては、所謂枚葉状のアンテナ基材20ではなく、1枚のシート状からなる基材21上に複数のアンテナが形成されたアンテナ基材シート18(図7)が、アンテナ基材20として用意されている。図5に示すように、アンテナ基材を供給する手段42はアンテナ基材シート18を巻き取る巻取コア44を有しており、巻取コア44が回転してアンテナ基材20が供給されていく。
ここで、主に図6を用いて、アンテナ基材20の製造方法(アンテナ基材シート18の製造方法)について、アンテナ基材20を製造する手段(アンテナ基材シート18を製造する手段)80とともに説明する。
まず、供給されるシート状の基材21上に熱可塑性接着剤供給手段81から熱可塑性接着剤32が供給される。次に、基材21上の熱可塑性接着剤32が乾燥装置82により乾燥される。その後、例えばアルミニウムや銅等の金属箔からなるシート状の導電体31が、基材21上に熱可塑性接着剤32を介して配置されていく。このとき、基材21上の熱可塑性接着剤32は乾燥しているため、シート状導電体31は熱可塑性接着剤32によって基材21上に接着固定されていない。
その後、基材21と、熱可塑性接着剤32を介して基材21上に配置されたシート状導電体31と、を有した積層体14が、加熱打抜手段84へと送り込まれていく。加熱打抜手段84は、加熱打抜ロール85と、送り込まれてくる積層体14を挟んで加熱打抜ロール85に対向配置された受けロール88と、を有している。加熱打抜ロール85は電熱ヒータ等の加熱機構を内蔵した金属製ローラ等からなり、所望パターンのアンテナ輪郭に対応した打抜刃86と、打抜刃86間のアンテナ部分に対応する部分に設けられた伝熱体87と、を有している。
積層体14が加熱打抜ロール85と受けロール86との間に送り込まれると、加熱打抜ロール85の打抜刃86が積層体14のシート状導電体31側から、シート状導電体31および熱可塑性接着剤32を貫通して基材21まで切り込む。すなわち、シート状導電体31および熱可塑性接着剤32が、打抜刃86によって、所望のパターンで打ち抜かれる。また同時に、シート状導電体31および熱可塑性接着剤32の打ち抜かれた部分は、打抜刃86間の伝熱体87に当接して加熱される。この加熱によって、熱可塑性接着剤32が溶融し、打ち抜かれた所望パターンの導電体24が熱可塑性接着剤32を介して基材21上に接着固定される。その後、基材上に接着されていないシート状導電体31の不要部分19が分離され、上述したブリッジ23を接着固定することによりアンテナ基材シート18が得られる。また、このアンテナ基材シート18を切断していくことにより、枚葉状のアンテナ基材20を得ることができる。
このような方法により製造されたアンテナ基材20においては、上述したように、基材21上に設けられた導電体24と、導電体24を基材21上に接着する熱可塑性接着剤32との輪郭が一致するとともに、導電体24と熱可塑性接着剤32との両側部は、基材21に対して略直交する同一平面によって形成されている。さらに、導電体24および熱可塑性接着剤32の輪郭に沿って基材21に切り込み28が形成される。そして、このようなアンテナ基材20においては、導電体24が所望のパターンで精度良く基材21上に転写されており、予定した共振周波数を有する良好な通信特性がもたらされる。
このように、本実施の形態において、アンテナ基材を製造する手段(アンテナ基材シートを製造する手段)80は、熱可塑性接着剤供給手段81と、乾燥装置82と、加熱打抜手段84と、を有している。しかしながら、このような態様に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、図6に点線で示しているように、加熱打抜ロール85の打抜刃86間の不要部分19に対応する部分(打抜刃86間の伝熱体87が設けられていない部分)に吸引吐出孔85aを設け、打ち抜き時に吸引して積層体14を加熱打抜ロール85に向けて固定し、打ち抜き後にエアを吐出して積層体14の加熱打抜ロール85からの分離を促進するようにしてもよい。また、加熱打抜ロール85および受けロール88を加熱打抜台および受け台に変更してもよい。
さらに、打抜刃86が積層体14のシート状導電体31と熱可塑性接着剤32とを打ち抜く例を示したが、これに限られず、シート状導電体31だけを打ち抜くようにしてもよい。このような構成においても、少なくとも導電体24の両側部は基材21に対して略直交する同一平面によって形成されるので、アンテナ22は良好な通信特性を有するようになる。
ところで、上述したアンテナ基材を供給する手段42に代えて、このようなアンテナ基材を製造する手段80をICタグの製造装置40に用いるようにすることもできる。すなわち、ICタグの製造方法が、基材21と熱可塑性接着剤32を介して基材21上に配置されたシート状導電体31とを有する積層体14のシート状導電体31および熱可塑性接着剤32を、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱し、所望のパターンの導電体24が熱可塑性接着剤32を介して基材21に接着されたアンテナ基材20を製造する工程を、さらに備えるようにし、ICタグの製造装置40が、基材21と熱可塑性接着剤32を介して基材21上に配置されたシート状導電体31とを有した積層体14のシート状導電体31と熱可塑性接着剤32とを、所望のパターンで打ち抜くと同時に所望のパターンで加熱することによって、所望のパターンの導電体24が熱可塑性接着剤32を介して基材21に接着されたアンテナ基材20を製造する手段80を、さらに備えるようにしてもよい。
また、アンテナ基材を製造する手段80を用いれば、コイル状のアンテナを有するアンテナ基材20だけでなく、打抜刃86および伝熱体87の形状を変更することによって、略バー状のアンテナ(図4)等、種々の形状を有するアンテナを基材21上に形成することができる。
[UV硬化性接着剤を供給する工程、およびICチップを配置する工程]
図5に示すように、アンテナ基材を供給する手段42の下流側に第1UV硬化性接着剤供給手段46が設けられている。また、第1UV硬化性接着剤供給手段46の下流側に配置手段50が設けられている。
第1UV硬化性接着剤供給手段46は、送り込まれてくるアンテナ基材20上に、UV硬化性接着剤36を供給する。本実施の形態において、第1UV硬化性接着剤供給手段46はディスペンサから構成されているが、これに限られず、スクリーン印刷機等を用いることもできる。UV硬化性接着剤36は、アンテナ基材20上の導電体24の接続端子25周辺に供給される。なお、このとき供給されるUV硬化性接着剤36は、アンテナ基材20上にICチップ16を仮固定することができる量だけあれば十分であり、少量であることが好ましい。この理由については、後述する。
その後、配置手段50により、アンテナ基材20上にICチップ16が配置される。図5に示すように、本実施の形態において、配置手段50はICチップ16を吸着して搬送する吸着ノズル52を有している。吸着ノズル52は、ICチップ16を吸着保持してアンテナ基材20上方まで搬送し、アンテナ基材20上のUV硬化性接着剤36を塗布された部分に、一対の接続電極16a,16aを有するICチップ16を配置する。このとき、ICチップ16は、吸着ノズル52により、その各接続電極16a,16aがそれぞれ導電体24の一対の接続端子25,25にそれぞれ向かい合うように位置決めされた後に配置される。このようにして、ICチップ16が、ICチップ16とアンテナ基材20との間に介在するUV硬化性接着剤36によって、アンテナ基材20上に仮固定された状態となる。
[押圧しながらICチップに超音波振動を付与する工程]
図5に示すように、配置手段50の下流側に、押圧手段54および超音波振動付与手段58が設けられている。図5および図8に示すように、本実施の形態において、押圧手段54は、アンテナ基材20を下方から支持する支持部材57と、アンテナ基材20を挟んで支持部材57に対向して配置され、支持部材57に向けて進退自在な押圧部材56と、を有している。また、超音波振動付与手段58は、押圧手段54の押圧部材56に連結された超音波ホーン60を有している。
次にこのような押圧手段54および超音波振動付与手段58を用い、ICチップ16とアンテナ22とを電気的に接続(導通)させる方法について説明する。
まず、アンテナ基材20上のICチップ16が押圧手段54の支持部材57上方に移動してくると、アンテナ基材20の送り込みが停止する。次に、押圧手段54の押圧部材56が支持部材57に向けて移動する。そして、押圧部材56がICチップ16に接触して、押圧部材56と支持部材57との間でICチップ16をアンテナ基材20に向けて押圧するとともに、超音波付与手段58の超音波ホーン60が動作して押圧部材56に超音波振動を付与する。したがって、ICチップ16の接続電極16aがアンテナ基材20の導電体24の接続端子25に接触し、この状態で、ICチップ16がアンテナ基材20に向けて押圧されるとともに、アンテナ基材20に対して超音波振動する。
また、上述したように、アンテナ基材20上に供給されているUV硬化性接着剤36量は少量であり、ICチップ16が押圧されるとともに超音波振動させられている際、図8に示すように、ICチップ16周囲のUV硬化性接着剤36の厚みが、ICチップ16の厚みより薄くICチップ16の上方まで盛り上がらないようになっている。したがって、押圧手段54の押圧部材56にUV硬化性接着剤36が付着することはない。これにより、押圧部材56を所望の量だけ移動させることにより、ICチップ16の接続電極16aをアンテナ基材20の接続端子25に確実に接触させることができるとともに、ICチップ16をアンテナ基材20に向けて所望の押圧力で押圧することができる。
なお、この工程は0.1秒から2.0秒間程度継続し、ICチップ16は毎秒あたり30000回から70000回程度振動することが好ましい。また、ICチップ16を押圧する押圧手段54の押圧力は、0gから500gから始まり、徐々に上昇して、200gから800gで終了することが好ましい。
このような工程においては、ICチップ16の接続電極16aがアンテナ基材20の導電体24の接続端子25に当接するとともに接続端子25に対して振動する。したがって、接続電極16aと接続端子25との間には摩擦が生じ、接続電極16aと接続端子25とが超音波接合(金属間結合)する。これにより、低い接続抵抗値でICチップ16をアンテナ基材20に電気的に接続させることができる。
なお、接続電極16aと接続端子25との摩擦による発熱を抑制したい場合には、押圧手段54による押圧力や、超音波振動付与手段58によって付与される超音波振動の振動数を下げればよい。この場合、接続電極16aと接続端子25とが超音波接合されなくとも、接続電極16aと接続端子25との摩擦により接続電極16aおよび接続端子25の表面に形成された酸化膜が除去され、低い接続抵抗値でICチップ16をアンテナ基材20に電気的に接続させることができる。また、発熱を極限まで防止したい場合には、超音波振動付与手段58による超音波振動の付与を停止し、押圧手段54によってICチップ16をアンテナ基材20に向けて押圧するだけにしてもよい。この場合においても、適切な押圧力で押圧することにより、接続電極16aを接続端子25に接触させ、ICチップ16とアンテナ22との導通を確保することができる。
[UV硬化性接着剤を再供給する工程およびUV硬化性接着剤を硬化する工程]
次に、UV硬化性接着剤36を再供給する工程、およびUV硬化性接着剤36を硬化する工程について説明する。
図5に示すように、押圧手段54および超音波振動付与手段58の下流側に、第2UV硬化性接着剤供給手段62が設けられている。第2UV硬化性接着剤供給手段62は、上述した第1UV硬化性接着剤供給手段46と同様に構成することができ、本実施の形態においては、ディスペンサ64を有している。第2UV硬化性接着剤供給手段62は、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16の周囲および上方に、ICチップ16の輪郭に沿ってICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を再供給する。
図5に示すように、第2UV硬化性接着剤供給手段62の下流側には硬化手段70が設けられている。
図5に示されているように、硬化手段70は、ICチップ16側からUV光を照射する上側UV光照射装置71と、アンテナ基材20側からUV光を照射する下側UV光照射装置76と、を有している。各UV光照射装置71,76は、UV光源74,79と、UV光源74,79からUV光を案内するUV光案内部材73,78と、UV光案内部材73,78に接続され、UV硬化性接着剤36に向けてUV光を照射するUV光照射部材72,77と、を有している。
UV光案内部材73,78としては、光ファイバを用いることができる。また、図9および図10に示されているように、本実施の形態においては、上側UV光照射部材72は中空リング形状を有しており、中空リングの中心下方に向けてUV光を照射するようになっている。なお、図9は硬化手段70を示す側断面図であり、図10は硬化手段を示す上面図である。
次に、このような硬化手段70を用いてUV硬化性接着剤36を硬化させる方法について説明する。
まず、アンテナ基材20上のICチップ16が、図9および図10に示すように、上側UV光照射部材71の中空リングの中心下方に移動してくると、アンテナ基材20の送り込みが停止する。そして、この状態で、各UV光源74,79からUV光が放射される。放射されたUV光は、各UV光案内部材73,78を介し、各UV光照射部材72,77からUV硬化性接着剤36に向けて照射される。
図9に示すように、上側UV光照射装置71は、主に、ICチップ16上方およびICチップ16周囲のUV硬化性接着剤36に照射される。一方、下側UV光照射装置76は、主に、ICチップ16の下方、とりわけ、ICチップ16の接続電極16a間であってICチップ16とアンテナ基材20との間に介在するUV硬化性接着剤36に向けて照射される。これにより、ICチップ16を取り囲むようにして大量に供給されたUV硬化性接着剤36全体にUV光を効率的に照射することができる。
そして、UV光を照射されると、UV硬化性接着剤36は反応して硬化し始める。一般に、UV硬化性接着剤36は、熱硬化性接着剤や熱可塑性接着剤よりも極めて短時間で硬化する。したがって、UV光を効率的に照射することにより、UV硬化性接着剤36の硬化を効率的に短時間で行うことができ、これにより、ICタグ10の生産性を飛躍的に向上させることができる。
UV硬化性接着剤36が完全に硬化すると、ICチップ16がアンテナ基材20上に強固に固定される。このようにして、1枚の帯状に延びる基材21上にICタグ10が順次製造されていき、基材21を切断することにより個々のICタグ10が得られる。
このような方法によれば、加熱することなくICチップ16とアンテナ基材20との間に介在する接着剤36を硬化させることができるので、アンテナ22として機能する導電体24を基材21に接着する熱可塑性接着剤32が軟化することがなく、ICチップ16をアンテナ22へ確実に電気的に接続するとともに強固に固定することができる。また、得られたICタグ10においては、ICチップ16とアンテナ22とが超音波接合によって低接続抵抗値で確実に電気的に接合されているとともに、ICチップ16の下方および周囲に配置されたUV硬化性接着剤によってアンテナ基材20に強固に固定されている。また、ICチップ16の上方にもUV硬化性接着剤36が塗布されており、ICチップ16を封止する工程を別途に設ける必要がない。
[作用効果]
以上のように本実施の形態によれば、ICチップ16をアンテナ基材20上に固定する接着剤としてUV硬化性接着剤36を用いている。したがって、UV光照射装置71,76を用いて、加熱することなく短時間で硬化させ、ICチップ16をアンテナ基材20上に固定することができる。このため、アンテナ22として機能する導電体24を基材21へ接着するために熱可塑性接着剤32が用いられたとしても、UV硬化性接着剤36を硬化させる際に、この熱可塑性接着剤32が軟化してしまうことを防止することができ、これにより、ICチップ16とアンテナ22との間の電気的に接続状態に悪影響を及ぼすことはない。したがって、ICチップ16をアンテナ22へ短時間で強固に固定し、高品質のICタグを効率的かつ安価に製造することができる。
また、これにともなって、基材21と熱可塑性接着剤32を介して基材21上に配置されたシート状導電体31とを有する積層体14のシート状導電体31および熱可塑性接着剤32を、所望のパターンで打ち抜くと同時に前記所望のパターンで加熱することによって得られるアンテナ基材20から、ICタグ10を製造することができる。このようなアンテナ基材20は効率よく製造され得り、また、アンテナ基材20のアンテナ22は良好な通信特性を有する。この結果、通信特性の良好なICタグ10を安価に製造することができる。
また、本実施の形態によれば、製造装置40が、ICチップ16をアンテナ基材20に向けて押圧する押圧手段54と、押圧手段54に超音波振動を付与する超音波振動付与手段58と、を備えており、ICチップ16をアンテナ基材20上の導電体24に向けて押圧しながら、ICチップ16に超音波振動を付与することができる。したがって、導電体24上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップ16とアンテナ22との接続抵抗値が低減された高品質のICタグを製造することができる。また、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、ICチップ16の接続電極16aとアンテナ基材20の導電体24の接続端子25とを超音波接合することができ、この場合、ICチップ16とアンテナ22との接続抵抗値をさらに低減することができる。
さらに、本実施の形態によれば、製造装置40は第1UV硬化性接着剤供給手段50と第2UV硬化性接着剤供給手段62とを有しており、ICチップ16をアンテナ基材20のアンテナ22と電気的に接続する前後の2回に分けてUV硬化性接着剤36を供給している。したがって、第1UV硬化性接着剤供給手段50による1回目のUV硬化性接着剤36の供給量を少量とし、第2UV硬化性接着剤供給手段62による2回目の供給においてICチップ16を強固に固定することができる量だけ追加供給することができる。この場合、ICチップ16が押圧されながら超音波振動を付与されている際、ICチップ16周囲のUV硬化性接着剤の厚みがICチップ16の厚みより薄くなるよう、第1UV硬化性接着剤供給手段50によるUV硬化性接着剤36の供給量を決定することが好ましい。これにより、従来行われていたように使い捨てテフロンペーパ等を用いることなく、接着剤が押圧手段54に付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧手段54によって、ICチップ16をアンテナ22に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップ16を破損等させてしまうことなくアンテナ22に確実に電気的に接続させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、第2UV硬化性接着剤供給手段62によって、アンテナ基材20上のICチップ16の周囲および上方に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36が供給される。したがって、ICチップ16をアンテナ22へより強固に固定することができる。また、ICチップ16はUV硬化性接着剤36によって封止された(保護層を設けられた)状態になり、製造中または使用中にICチップ16が外部との接触によって損傷する(例えば、割れる)ことを防止することができる。さらに、別途の封止工程を設けることなく、ICチップ16をアンテナ基材20上に固定する過程中にICチップ16を封止することができ、この点からも、高品質のICタグ10を安価かつ効率的に製造することができる、と言える。
[変形例]
上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。以下、変形例の一例について説明する。
(変形例1)
図5および図8に示すように、上述した実施の形態においては、押圧手段54がICチップ16を1個ずつアンテナ基材20に向けて押圧するようにした例を示したが、これに限られず、押圧手段54が一度に複数個のICチップ16をアンテナ基材20に向けて押圧し、一度に複数個のICチップ16がアンテナ基材20に電気的に接続されるようにしてもよい。同様に、図5、図9および図10に示すように、上述した実施の形態においては、ICチップ固定用の接着剤36にUV光を照射してICチップ16をアンテナ基材20に固定する硬化手段70が、ICチップ16を1個ずつアンテナ基材20に固定していくようにした例を示したが、これに限られず、硬化手段70が一度に複数箇所のUV硬化性接着剤36にUV光を照射し、一度に複数個のICチップ16がアンテナ基材20に固定されるようにしてもよい。
(変形例2)
また、図5に示すように、上述した実施の形態においては、押圧手段54が配置手段50の下流側に配置されている例を示したが、これに限られず、配置手段50と押圧手段54とが同一の手段から構成されるようにしてもよい。例えば、配置手段50の吸着ノズル52がICチップ16を吸着保持してアンテナ基材20上に配置するとともに、そのままICチップ16をアンテナ基材20に向けて押圧するようにしてもよい。この場合、超音波振動付与手段58の超音波ホーン60が吸着ノズル52に連結されるようにしてもよい。
(変形例3)
さらに、上述した実施の形態においては、アンテナ基材シート18(図7)がアンテナ基材20としてICタグの製造装置40に供給され、ICタグ10が製造されていく例を示したが、これに限られない。枚葉状のアンテナ基材20に各工程の処理を施し、枚葉状のICタグ10を製造するようにしてもよい。
(変形例4)
さらに、上述した実施の形態においては、図5に示すように、ICタグの製造装置40が第1UV硬化性接着剤供給手段46および第2UV硬化性接着剤供給手段62を備え、第1UV硬化性接着剤供給手段46と第2UV硬化性接着剤供給手段62とが完全に別体からなる例を示したが、これに限られない。第1UV硬化性接着剤供給手段46と第2UV硬化性接着剤供給手段62とが、同一手段から構成され移動自在としてもよいし、あるいは、UV硬化性接着剤36を貯蔵するタンク等の一部分を共用するようにしてもよい。
(変形例5)
さらに、上述した実施の形態においては、ICタグの製造装置40が第1UV硬化性接着剤供給手段46を備え、この第1UV硬化性接着剤供給手段46によって、ICチップ16をアンテナ基材20上に仮固定するためのUV硬化性接着剤36が供給される例を示したが、これに限られない。第1UV硬化性接着剤供給手段46がICチップ16上にUV硬化性接着剤36を供給するようにしてもよい。
(変形例6)
さらには、アンテナ基材20上にICチップ16が安定して配置され得る場合には、ICタグの製造装置40から第1UV硬化性接着剤供給手段46を省くとともに、UV硬化性接着剤36を塗布する工程を省略することもできる。この場合、ICタグの製造装置40は、ICチップ16の接続電極16aが、基材21と基材21上に熱可塑性接着剤32を介して接着された導電体24とを有するアンテナ基材20の導電体24と向かい合うようにして、アンテナ基材20上にICチップ16を配置する配置手段50と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16を導電体24に向けて押圧する押圧手段56と、押圧手段56に連結され押圧手段56に超音波振動を付与する超音波振動付与手段58と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16周囲およびICチップ16上に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を供給する第2接着剤供給手段62と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる硬化手段70と、を備え、ICタグの製造方法は、ICチップ16の接続電極16aが、基材21と基材21上に熱可塑性接着剤32を介して接着された導電体24とを有するアンテナ基材16の導電体24と向かい合うようにして、アンテナ基材20上にICチップ16を配置する工程と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16を導電体24に向けて押圧しながら、ICチップ16に超音波振動を付与する工程と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16周囲およびICチップ16上に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤32を供給する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる工程と、を備えるようになる。
このような場合にも、加熱することなくアンテナ基材20とICチップ16とを短時間で固定することができる。このため、UV硬化性接着剤36を硬化させる際に、アンテナ22として機能する導電体24を基材21に接着する熱可塑性接着剤32が軟化してしまうことはない。したがって、ICチップ16をアンテナ22へ確実に電気的に接続することもでき、これにより、高品質のICタグ10を効率的かつ安価に製造することができる。また、導電体24上に形成された酸化膜を除去することができ、これにより、ICチップ16とアンテナ22との接続抵抗値が低減された高品質のICタグ10を製造することができる。さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することにより、ICチップ16の接続電極16aとアンテナ22の接続端子25とを超音波接合することができ、この場合、ICチップ16とアンテナ22との接続抵抗値をさらに低減することができる。
(変形例7)
さらに、上述した実施の形態において、ICタグの製造装置40が第2UV硬化性接着剤供給手段62を備え、この第2UV硬化性接着剤供給手段62によって、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16の周囲およびICチップ16の上方に、ICチップ16を取り囲むようにしてUV硬化性接着剤36を供給する例を示したが、これに限られない。製造されるべきICタグ10に求められている品質等に応じ、ICタグの製造装置40から第2UV硬化性接着剤供給手段62を省略し、第2UV硬化性接着剤供給手段62によりUV硬化性接着剤の供給工程を省略することもできる。このように変形した一例を、図11および図12に示す。なお、図11および図12に示す変形例は、図1乃至図10に示す上述の実施の形態と、第2UV硬化性接着剤供給手段62によるUV硬化性接着剤36を供給する工程が省かれている点、および、硬化手段70の構成が異なる点において相違し、その他は略同一である。図11および図12において、上述した実施の形態またはいずれかの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
図11に示すように本変形例において、ICタグの製造装置40は、アンテナ基材20を供給する手段42と、第1接着剤供給手段46と、配置手段50と、押圧手段54と、超音波振動付与手段58と、硬化手段70と、を備えている。このうち、アンテナ基材20を供給する手段42、第1接着剤供給手段46、配置手段50、押圧手段54、および超音波振動付与手段58は、上述した実施の形態で説明した各手段と同一である。一方、本実施の形態における硬化手段70は、ICチップ16側からUV硬化性接着剤36にUV光を照射する上側UV光照射装置(ICチップ側UV光照射装置)71と、アンテナ基材20側からUV硬化性接着剤36にUV光を照射する下側UV光照射装置(基材側UV光照射装置)76と、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16に当接して当該ICチップ16を導電体24に向けて押圧し得る押圧部材90と、アンテナ基材20を挟んで押圧部材90に対向して配置された受け部材94と、を有している。
押圧部材90は、アンテナ基材20のICチップ側(本実施の形態における上側)に配置されている。この押圧部材90は、図示しない駆動手段(例えば、エアシリンダ等)に接続され、アンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16に対して接離自在、すなわち、アンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16に接近すること並びにアンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16から離間することができるようになっている。したがって、押圧部材90は、アンテナ基材20上のICチップ16に当接し、受け部材94との間で、ICチップ16を導電体24に向けて押圧することができるようになっている。なお、このときの押圧力は、図示しない駆動手段によって制御され得るようになっている。
押圧部材90は、ICチップ16に当接するヘッド部材91と、ヘッド部材91および図示しない駆動手段に連結された軸部材92と、を有している。ヘッド部材91はICチップ16に当接する端面91aを有している。図12に示すように、本実施の形態において、ヘッド部材91の端面91aは、ICチップ16のヘッド部材91に対面する面であるチップ本体16bの一主面よりも大きな面積を有している。
ヘッド部材91の端面91aにおけるICチップ16に当接しない部分に、上側UV光照射装置71のUV光照射部材72が設けられている。したがって、UV光照射部材72は、押圧部材の進退(上下動)と同期して、アンテナ基材20およびアンテナ基材20上に配置されたICチップ16に対して接離自在となっている。また、UV光源74からUV光照射部材72までUV光を案内するUV光案内部材73は、例えば光ケーブルからなり、UV光案内部材73の少なくとも一部分は押圧部材90内に設けられている。具体的には、UV光案内部材73のUV光照射部材72側部分は、押圧部材90のヘッド部材91および軸部材92に内蔵されている。なお、UV光照射部材72の態様は特に限定されず、例えば、ICチップ16の周囲にUV光を照射し得るリング形状を有してもよい。ただし、ICチップ16のチップ本体16bの主面が、通常、矩形状であることに対応し、ICチップ16の周囲にあるUV硬化性接着剤36に対して四方からUV光を照射できるようになっていることが好ましい。
図11および図12に示すように、受け部材94は、UV光が透過し得る材料からなっている。本実施の形態において、受け部材94は略平板状に形成されており、ICチップ16が配置されたアンテナ基材20を下方から支持するようになっている。下側UV光照射装置76のUV光照射部材77は、受け部材94の下方に配置されている。下側UV光照射装置76のUV光照射部材77から照射されたUV光は受け部材94を透過し、主にICチップ16の下方のUV硬化性接着材36に照射される。
このような構成からなる硬化手段70を用いた本変形例において、押圧部材90の下方にICチップ16が送り込まれると、押圧部材90は降下し、ICチップ16をアンテナ基材20の導電体24に向けて押圧するようになる。これにより、ICチップ16の接続電極16aと導電体24の接続端子25とがより確実に、かつ、より大きな接触面積で接触した状態となる。この状態で、上側UV光照射装置71および下側UV光照射装置76からUV光が照射される。これにより、ICチップ16と導電体24とがより低接続抵抗値で電気的に接続された状態で、ICチップ16が導電体24に対して固定されようになる。
また、図示する例においては、第1接着剤供給手段46から少量のUV硬化性接着剤36が供給されるようになっている。したがって、図12に示すように、UV光を照射する工程においてICチップ16が押圧されながらUV硬化性接着剤36にUV光が照射されている際、ICチップ16周囲のUV硬化性接着剤36の厚みがICチップ16の厚みより薄くなる。これにより、従来行われていたように使い捨てテフロンペーパ等を用いることなく、接着剤が押圧部材90に付着してしまうことを防止することができる。したがって、押圧部材90によって、ICチップ16をアンテナ22に向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップ16を破損等させてしまうことなくアンテナ22に確実に電気的に接続させることができる。
なお、押圧部材90によるICチップ16への押圧力は、一つのICチップ16に対して例えば200g〜800gとすることができる。押圧力が高過ぎると、ICチップ16を割る等して破損してしまう虞がある。一方、押圧力が低すぎると、ICチップ16と導電体24との間の接続抵抗値が大きくなるとともにばらつき、さらには、ICチップ16と導電体24との間の電気的接続が確保できない虞もある。
(変形例8)
また、製造されるべきICタグ10に求められている品質等に応じ、変形例7として図11に示すICタグの製造装置40から押圧手段54および超音波振動付与手段58をさらに省き、これに対応し、図11に示すICタグの製造方法から、ICチップ16を導電体24に向けて押圧しながら、ICチップ16に超音波振動を付与する工程を省略するようにしてもよい。このように変形した一例を、図13に示す。なお、図13に示す変形例は、図11および図12に示す変形例7と、超音波振動を付与する工程が省かれている点において相違し、その他は略同一である。図13において、上述した実施の形態またはいずれかの変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
図13に示す変形例において、硬化手段70は、押圧部材90、受け部材94、上側UV光照射装置71および下側UV光照射装置76を有している(図13)。このような硬化手段70によれば、上述したように、ICチップ16と導電体24との間における電気的接続をより確実に確保することができるとともに、ICチップ16と導電体24との間の接続抵抗値をより低くすることができる。
(変形例9)
さらに、上述した変形例7および変形例8において、硬化手段70の押圧部材90は、配置手段50の吸着ノズル52と別体である例を示したが、これに限られない。図12に二点鎖線で示すように、ヘッド部材91の端面91aのうちICチップ16と対面する部分において一端が開放される孔94が、押圧部材90のヘッド部材91および軸部材92に形成され、配置手段50がこの孔94に連通する吸引機構53を有するようにしてもよい。このような例においては、押圧部材90の端面91aにICチップ16を吸着保持してアンテナ基材20上に配置するとともに、押圧部材90によってICチップ16をアンテナ基材20の導電体24に向けて押圧しながら、ICチップ16と導電体24との間に介在するUV硬化性接着剤36を硬化させることができる。すなわち、本例において、配置手段50と硬化手段70とが、一部同一の構成要素によって構成されるようになる。このため、ICタグの製造装置40を小型化および簡略化することができる。
(変形例10)
さらに、上述した変形例7において、硬化手段70の押圧部材90は、押圧手段54の押圧手段と別体である例を示したが、これに限られない。図12に二点鎖線で示すように、硬化手段70の押圧部材90に超音波振動付与手段58を連結してもよい。この場合、押部材90によりICチップ16を導電体24に向けて押圧しながら、超音波振動付与手段58の超音波ホーン60によりICチップ16に超音波を付与し、その後、押部材90によりICチップ16を導電体24に向けて押圧しながら、超音波振動付与手段58が停止した状態で、ICチップ16と導電体24との間に介在するUV硬化性接着剤36を硬化させることができる。すなわち、本例において、硬化手段70の押圧部材90が、上述した押圧手段54の押圧部材56として機能するようになっており、この結果、別途の押圧手段54を省略することができる。このため、ICタグの製造装置40を小型化および簡略化することができる。
(変形例11)
さらに、上述した変形例7乃至変形例10において、硬化手段70の押圧部材90に上側UV光照射装置71のUV光案内部材73およびUV光照射部材72が取り付けられている例を示したが、これに限られない。当然に、硬化手段70の押圧部材90および上側UV光照射装置71の構成を適宜変更することができる。例えば、図14に示すように、硬化手段70の押圧部材90および上側UV光照射装置71を構成することができる。図14に示す例において、上側UV光照射装置71および下側UV光照射装置76は、図1乃至図10に示す上述した実施の形態の上側UV光照射装置71および下側UV光照射装置76と同一構成となっている。また、受け部材94は、上述した変形例7乃至変形例10の受け部材94と同一構成となっている。
押圧部材90は、アンテナ基材20のICチップ側(本実施の形態における上側)であって、リング形状に形成された上側UV光照射装置71のUV光照射部材72を貫通するようにして配置されている。したがって、上側UV光照射装置71のUV光照射部材72は押圧部材90の周囲からICチップ周囲に存在するUV硬化性接着剤36にUV光を照射するようになっている。したがって、このような例においては、押圧部材90の端面91aが、上側UV光照射装置71からのUV光を遮らないよう、ICチップ16のチップ本体16bの一主面の面積よりもあまり大きくならないようにすることが好ましい。
また、押圧部材90は、図示しない駆動手段(例えば、エアシリンダ等)に接続され、アンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16に対して接離自在、すなわち、アンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16に接近すること並びにアンテナ基材20およびアンテナ基材20上のICチップ16から離間することができるようになっている。したがって、押圧部材90は、アンテナ基材20上のICチップ16に当接し、受け部材94との間で、ICチップ16を導電体24に向けて押圧することができるようになっている。なお、このときの押圧力は、図示しない駆動手段によって制御され得るようになっている。
<インターポーザ、インターポーザの製造方法およびインターポーザの製造装置>
次に、主に図15乃至図19を用い、本発明によるインターポーザ、インターポーザの製造方法、およびインターポーザの製造装置の一実施の形態について説明する。
図15乃至図19に示すように、インターポーザ12は、基材21aと、基材21a上に熱可塑性接着剤32を介して接着され、アンテナ22との接続用の拡大電極22aを形成する一対の拡大電極用導電体24aと、を有する導電体基材20aと、一対の接続電極16aを有するICチップ16であって、各接続電極16aが異なる拡大電極用導電体24aと対面するようにして導電体基材20a上に配置されたICチップ16と、ICチップ16を導電体基材20aに固定するUV硬化性接着剤36と、を備えている。また、本実施の形態において、UV硬化性接着剤36はICチップ16を封止するようになっている。図16に示すように、このようなインターポーザ12はICタグ10を構成するための構成要素として用いられるものである。
なお、インターポーザ12は、その導電体基材20aの拡大電極用導電体24aの形状が上述したICタグ10のアンテナ基材20の導電体24の形状と異なるが、他は上述したICタグ10、とりわけ図4に示すICタグ10の構成と略同一である。図15乃至図19において、ICタグ10との同一部分については同一符号を付すとともに、重複する詳細な説明を省略する。
図15および図17に示すように、本実施の形態において、導電体基材20aの一対の拡大電極用導電体24aは、基材21aの両端からそれぞれ突出するように延びている。そして、各拡大電極用導電体24aの基材21aから突出した部分が、アンテナ基材20のアンテナ22の接続端子25に電気的に接続されるようにして、インターポーザ12がアンテナ基材20上に接続されて用いられる(図16および図17)。なお、上述したブリッジ23をアンテナ基材20に接続および固定する方法と同様にして、インターポーザ12がアンテナ基材20に接続および固定される。
また、導電体基材20aは、アンテナ基材20と同様にして製造することができる。すなわち、例えば、上述したアンテナ基材を製造する手段80を用い、アンテナ基材20を製造する方法と同様にして、シート状導電体31が熱可塑性接着剤32介して基材21a上に配置された積層体14を、所望の形状パターンで打ち抜くとともに同パターンで加熱することによって、導電体基材シート18aを製造することができ、これを切断していくことにより導電体基材20aを得ることができる。
このようにして、図18に示すように、帯状に延びる基材21aと、基材21a上に熱可塑性接着剤32を介して接着され、基材21aの長手方向に延びて互いに離間する一対の拡大電極用導電体24a,24aと、を有するよう、導電体基材シート18aを製造することができる。また、図19に示すように、帯状に延びる基材21aと、基材21a上に熱可塑性接着剤32を介して接着され、基材21aの長手方向に沿って配置された多数対の拡大電極用導電体24aと、を有するよう、導電体基材シート18aを製造することもできる。いずれの導電体基材シート18aにおいても、導電体基材シート18aを長手方向に直交する方向に沿って切断することにより、導電体基材20aが得られる。なお、アンテナ基材を製造する手段80の加熱打抜手段84の打抜刃86の配置を変更することによって、拡大電極用導電体24aの形状を所望の形状に変更することができる。
このようにして、製造された導電体基材20aは、アンテナ基材を製造する手段80により製造されるアンテナ基材20と略同様の作用効果を有するようになる。
また、上述したICタグの製造装置40を用い、ICタグ10を製造する方法と同様にして、ICチップ16を導電体基材20a上に配置、接続、および固定することにより、図18および図19に示すような、導電体基材シート18a上に複数のICチップ16が接続および固定されたインターポーザ付シート12aが製造され、インターポーザ付シート12aをICチップ16毎に切断することによって、枚葉状のインターポーザ12が得られる。
すなわち、インターポーザの製造方法が、例えば、基材21aと基材21a上に熱可塑性接着剤32を介して接着されたインターポーザ導電体24aとを有する導電体基材20aを準備する工程と、導電体基材20a上にUV硬化性接着剤36を供給する工程と、ICチップ16の接続電極16aがインターポーザ導電体24aの接続端子25と向かい合うようにして、導電体基材20a上にUV硬化性接着剤36を介しICチップ16を配置する工程と、導電体基材20a上に配置されたICチップ16をインターポーザ導電体24aに向けて押圧しながら、ICチップ16に超音波振動を付与する工程と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる工程と、を備えるようにすることができる。そして、インターポーザの製造方法に、UV光を照射する工程の前に、アンテナ基材20上に配置されたICチップ16周囲およびICチップ16上に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を再度供給する工程を、さらに設けるようにすることもできる。また、インターポーザの製造装置40a(図5)が、インターポーザの製造方法に対応して、例えば、準備された導電体基材20aを供給する手段42と、導電体基材20a上にUV硬化性接着剤36を供給する第1接着剤供給手段46と、ICチップ16の接続電極16がインターポーザ導電体24aの接続端子25と向かい合うようにして、導電体基材20a上に、UV硬化性接着剤36を介しICチップ16を配置する配置手段50と、導電体基材20a上に配置されたICチップ16をインターポーザ導電体24aに向けて押圧する押圧手段54と、押圧手段54に連結され押圧手段54に超音波振動を付与する超音波振動付与手段58と、UV光を照射してUV硬化性接着剤36を硬化させる硬化手段70と、を備えるようにしてもよい。さらに、上述したICタグの製造方法および製造装置40に関する種々の変形例を、インターポーザの製造方法および製造装置40aに適用することもできる。
このようにしてインターポーザ12を製造する場合、ICタグの製造装置40によってICタグ10を製造する場合と略同様の作用効果がもたらされる。
例えば、加熱することなく短時間でUV硬化性接着剤36を硬化させ、ICチップ16を導電体基材20a上に固定することができ、これにより、ICチップ16と拡大電極22aとの間の電気的に接続状態に悪影響を及ぼすことはなく、ICチップ16を拡大電極22aへ短時間で強固に固定し、高品質のインターポーザ12を効率的かつ安価に製造することができる。
また、ICチップ16を導電体基材20a上の拡大電極用導電体24aに向けて押圧しながらICチップ16に超音波振動を付与することができる。したがって、拡大電極用導電体24a上に形成された酸化膜を除去すること、さらに、超音波振動の振幅、時間等を調整することによってICチップ16の接続電極16aと導電体基材20aの拡大電極用導電体24aの接続端子25とを超音波接合することができる。これにより、ICチップ16と拡大電極22aとの接続抵抗値を低減させることができる。
さらに、ICチップ16を導電体基材20aに強固に固定することを可能にしつつ、押圧手段50aに接着剤が付着することを防止することができる。したがって、押圧手段54によって、ICチップ16を拡大電極22aに向けて高精度に押圧することができ、これにより、ICチップ16を破損等させてしまうことなく拡大電極22aに確実に電気的に接続させることができる。
さらに、第2UV硬化性接着剤供給手段62によって、導電体基材20a上のICチップ16の周囲および上方に、ICチップ16を取り囲むようにして、UV硬化性接着剤36を供給することができ、これにより、ICチップ16を拡大電極22aへより強固に固定することができる。また、ICチップ16はUV硬化性接着剤36によって封止された(保護層を設けられた)状態になり、製造中または使用中にICチップ16が外部との接触によって損傷する(例えば、割れる)ことが防止される。さらに、別途の封止工程を設けることなく、ICチップ16を導電体基材20a上に固定する過程中にICチップ16を封止することができ、この点からも、高品質のインターポーザ12を安価かつ効率的に製造することができる、と言える。