JP5036103B2 - 携帯用通信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯用通信機に関し、特に、筐体に加わった衝撃や外圧などによるケースの変形や湾曲の発生を防止し、キー誤動作が生じないようにする携帯用通信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機に代表される携帯用通信機は、その携帯性の向上を図るため、小型軽量化が要求されている。携帯用通信機の小型軽量化は、一般に、使用部品の小型軽量化のほか、筐体の厚みを薄くすることにより実現している。しかし、筐体の厚みを薄くすることにより、筐体の強度が低下することは避けられない。また、筐体の厚みが薄くなることによって変形や湾曲が生じやすくなり、筐体に変形や湾曲が生じると、キーが押下され、誤動作(電源オフ、電源オン、発信等)を招くことがある。このような問題を解決するため、従来より種々の提案がなされている。
【0003】
図6は、従来の携帯用通信機の第1の例を示す。この携帯用通信機は実開昭62−124897号公報に示されており、筐体に高い強度を要求することなく、薄型化を図ることを目的としている。プリント基板101の背面側に金属製のシールド板102が配置され、このシールド板102とプリント基板101は、ねじ104で機器ケース103にねじ止めされている。
【0004】
図7は、従来の携帯用通信機の第2の例を示す。この携帯用通信機は実開平3−058829号公報に示されている。取付基板201は機器筐体205に内蔵され、取付基板201上に実装されるスイッチボタン202は、その底面と取付基板201の間に弾性部材204を介在させている。スイッチボタン202は可動部202aと固定部202bを備えて構成されている。固定部202bは取付基板201に取り付けられ、固定部202bに対向させて可動部202aが配設され、この可動部202aの底部周縁が弾性部材204によって保持されている。弾性部材204は、通常状態では可動部202aを固定部202bから離間するように機能し、弾性部材204の弾性力に抗して可動部203を押下することにより、スイッチボタン202はオンになる。弾性部材204を設けたことにより、機器筐体205に衝撃が加わってスイッチボタン202が振動したとしても、弾性部材204がスイッチボタン202の荷重を吸収するため、ボタンスイッチ202の誤動作が防止される。
【0005】
また、実開平8−9448号公報においては、シリコンゴム等による緩衝材をケース本体の外面に設け、携帯電話機を落下させた場合でも、ケースや内部機構が破損しない構成が示されている。同様に、特開平11−331333号公報には、ケースの内壁とプリント基板との間に緩衝材を配設し、ケースに荷重や衝撃が加わっても、その際に生じる変形がプリント基板に伝わり難くし、実装部品の脱落や接点不良を防止できる構成が示されている。
【0006】
さらに、特開2000−209314号公報においては、キー操作部やプリント基板を貫通するようにリブを設け、プリント基板等がリブに沿って上下動できるようにし、ケースに外力が加わっても、プリント基板や電子部品が衝撃等から保護されるようにしている。また、特開2000−270063号公報においては、前面ケースの液晶表示器用の開口の一辺に沿って補強部材を設け、液晶表示器の周辺の前面ケースに外力が加わっても、液晶表示器の破損を防止できるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の携帯用通信機によると、実開昭62−124897号公報の場合、金属製のシールド板を用いるために厚みおよび重さが増すほか、部品点数の増加によりコストアップを招く。また、実開平3−058829号公報の場合、ケースの変形によりボタンスイッチが誤動作することは避けられない。
【0008】
さらに、実開平8−9448号公報の場合、効果が現れるのは緩衝材を設けた部分に限られる。特開平11−331333号公報の場合、緩衝材を用いたことにより、内部の利用スペースが減るため、元々狭い実装スペースが更に狭くなる。さらに、特開2000−209314号公報の場合、内部のプリント基板や電子部品には適用できるが、ボタンスイッチには適用できない。また、特開2000−270063号公報の場合、補強部材を必要とするため、部品点数が増えると共に実装スペースが低減する。しかも、補強部材を設けた効果は液晶表示器にしか及ばない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、部品点数を増すことなく小型軽量化が図れ、衝撃や外圧などから筐体および電子部品を保護することが可能な携帯用通信機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、上ケースと下ケースを有する筐体内に複数の押しボタンが形成されたキーシート、及びプリント基板を内蔵すると共に、前記複数の押しボタンの操作部を露出させる開口が前記上ケースに形成されている携帯用通信機において、前記キーシートには、前記上ケースを支持する複数の突起が形成され、前記突起及び前記キーシートのそれぞれは、前記押しボタンの操作部が前記上ケースの前記開口から突出しない高さ寸法を有するように形成されていることを特徴とする携帯用通信機を提供する。
【0011】
この構成によれば、キーシートに形成された複数の突起が筐体の上ケースを支持するので、上ケースに外圧が加わっても上ケースに変形を生じさせない。上ケースが変形しないことにより、上ケースがボタン部を変形させず、ボタン部が変形しないことによりメタルドームへの接触が生じないので、キー誤操作は発生しない。したがって、部品を追加したり、筐体に剛性の高い材質を使用したりすることなく、衝撃や外圧などから筐体および電子部品を保護でき、小型軽量を図りながら信頼性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を基に説明する。
図1は、本発明の携帯用通信機の全体構成を示す。ここでは、携帯用通信機として携帯電話機を例示する。
【0013】
携帯用通信機1は2つ折りの折りたたみ構造を有し、上側筐体2と下側筐体3とからなり、両者はヒンジ部4によって約0〜180度の間を回動できるように結合されている。上側筐体2は、上ケース2aと下ケース2bを備えて構成されている。上側筐体2には、表示部5、アンテナ6、及び受話部7が使いやすい位置に設けられている。また、下側筐体3は、上ケース3aと下ケース3bを備えて構成され、この下側筐体3には、送話部8及びキー操作部9が設けられている。キー操作部9は、電話番号の入力(又は登録)や機能設定(又は機能実行)等に用いられる。
【0014】
図2は図1に示した下側筐体3の詳細を示す。また、図3はキーシート10の詳細構成を示す。下側筐体3の上ケース3aと下ケース3bの間には、キーシート10、メタルドームシート11、及びプリント基板12が積層された状態で内蔵されている。キーシート10は、表面部分は上ケース3aに設けられた開口3cから露出するボタン部(キー)13(表面には、数字や記号、機能表示等の印刷又は刻印が設けられている)、及びボタン部13の間の空間に配設された突起14を備えて構成されている。キー操作部9のボタン部13と突起14は、キーシート10に樹脂成形等により一体成形されている。突起14は、上ケース3aの支持を目的に設けられるものであるため、或る程度の強度や硬さを有することが望ましい。また、ボタン部13は、指で押したときに潰れや変形が生じない程度の硬さを有するように、肉厚に形成される。
【0015】
メタルドームシート11は、金属板等のプレス加工、絶縁板上に金属蒸着を施し、或いはエッチング技術を用いたパターン形成等により作られている。メタルドームシート11はキーシート10の下面に配設され、ボタン部13の各キーに対向する部位には、メタルドーム15が半円状に形成されている。また、メタルドームシート11には、プリント基板12上の複数のLED17に対向する部位に複数の開口16が設けられている。プリント基板12には、送話部8としてのマイクロホン18が設けられるほか、開口16に面してLED17が設けられている。LED17は、キー操作部9のいずれかのボタン部13を押下したときに点灯し、ボタン部13のバックライトとして機能する。
【0016】
図4は下側筐体3の断面形状を示す。突起14のそれぞれは、中空構造を有し、天井面(上ケース3a側の端部)は塞がれている。この突起14のそれぞれには、LED17のそれぞれが内嵌する。通電時のLED17の光がボタン部13に及ぶように、突起14のそれぞれは、透明又は半透明の材料を用いることが望ましい。突起14の頂面は上ケース3aの裏面に接している。また、メタルドーム15のそれぞれは、ボタン部13のそれぞれに接触可能なように配設され、メタルドーム15の頂面とボタン部13の下面が接触することにより、スイッチオンになる。
【0017】
図1〜図4において、携帯用通信機1が折りたたまれた状態から上側筐体2と下側筐体3が開かれ、使用状態(水平状態)にあるとする。この状態にあるとき、下側筐体3の上ケース3aに外圧(外力)が加わった場合、上ケース3aは押下され、図4に示すように、キー操作部9に設けられた突起14の上面に突き当たる。この突起14は、キーシート10およびプリント基板12によって支持されるため、上ケース3aは突起14によって支えられ、上ケース3aの変形や湾曲が防止される。このため、従来のように、上ケース3aの変形や湾曲によってキー操作部9(すなわちボタン部13)が変形することはなく、キー操作部9が変形しないためにメタルドーム15が押されることもない。
【0018】
したがって、ケースに外圧(外力)が加わってもキー操作部9の誤動作を防止できるようになり、携帯用通信機1の信頼性が向上する。また、突起14を設けたことにより、上ケース3aは変形も湾曲もしないので、外圧による上ケース3aの破損が防止され、同様に携帯用通信機1の信頼性を向上させることができる。さらに、上ケース3aに湾曲が生じないため、筐体に剛性の高い材質を使用しなくとも、また、筐体の肉厚を薄くしても、信頼性の高い携帯通信機を提供することが可能になる。
【0019】
図5は、キーシート10の他の構成例を示す。図3では、突起14の形状が、中空で上面を閉鎖した形状としたが、図5のように、上下に貫通する形状の突起14とすることもできる。この構成により、LED17からの光は、減光されることなく上ケース3aに導くことができ、キー操作部9に十分な光量を付与することが可能になる。
【0020】
突起14は、図3及び図5に示した構成に限定されるものではなく、上ケース3aを支持することが可能であれば、どのような形状、大きさ、及び配置であってもよい。例えば、外形は、図3及び図5の様に四角形に限定されるものではなく、円筒状、三角形、多角形等であってもよい。
【0021】
上記実施の形態において、キーシート10上に設けられた突起14は、ボタン部13の間の空間に設けるものとしたが、この構成に限定されるものではなく、メタルドーム15に重ならない位置であれば、どの場所に設けてもよい。また、突起14の使用個数は、特に制限されない。
【0022】
また、上記実施の形態においては、携帯用通信機1が2つ折りの構造を有するものとしたが、本発明は折り畳めない構造の携帯用通信機にも適用可能であることは言うまでもない。
【0023】
さらに、上記実施の形態においては、携帯用通信機として携帯電話機を示したが、本発明は携帯電話機に限定されるものではなく、PHS(Personal Handyphone System)、自動車電話機、さらにはキーボードや操作ボタンを有するPDA(Personal Digital Assistant)機器、携帯機器にも適用可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の携帯用通信機によれば、複数のボタン部が設けられているキーシートに複数の突起を形成し、この複数の突起により筐体のケースを支持する構成にしたので、ケースに外圧が加わってもケースに変形や湾曲を生じさせることがなく、よってボタン部が変形しないため、キー誤操作を生じないので、部品を追加したり、剛性の高い材質を筐体に使用したりすることなく、衝撃や外圧などから筐体および電子部品を保護でき、小型軽量化が図れ、信頼性を向上させることのできる携帯用通信機の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯用通信機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した下側筐体の詳細を示す分解斜視図である。
【図3】図2のキーシートの詳細構成を示す斜視図である。
【図4】下側筐体の主要部の断面形状を示す断面図である。
【図5】本発明にかかるキーシートの他の構成例を示す斜視図である。
【図6】従来の携帯用通信機の第1例を示す断面図である。
【図7】従来の携帯用通信機の第2例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 携帯用通信機
2 上側筐体
3 下側筐体
3a 上ケース
3b 下ケース
4 ヒンジ部
9 キー操作部
10 キーシート
11 メタルドームシート
12 プリント基板
13 ボタン部
14 突起
15 メタルドーム
16 開口
17 LED
Claims (1)
- 上ケースと下ケースを有する筐体内の前記上ケースの下側の位置に設けられ、複数の押しボタンが形成されたキーシートと、該キーシートと前記下ケースとの間に設けられたプリント基板を内蔵すると共に、前記複数の押しボタンの操作部に対応する位置に該複数の押しボタンを露出させる開口が前記上ケースに形成されている携帯用通信機において、
前記キーシートには、前記上ケース下面の複数個所を支持する突起が形成され、
前記突起は、前記複数の押しボタンの間の空間に配置されて前記上ケースを複数個所で支持し、
前記複数の突起は、バックライト用のLEDが内嵌されるとともに、中空及び筒形の構造とされたことを特徴とする携帯用通信機。
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