JP5030909B2 - 酸化亜鉛単結晶層の成長方法 - Google Patents

酸化亜鉛単結晶層の成長方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化亜鉛単結晶層の成長方法に関し、特に、MOCVD法により酸化亜鉛の単結晶層をサファイア等の基板上に成長する方法に関する。
酸化亜鉛(ZnO)は、室温で3.37eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型の半導体で、青ないし紫外領域の光素子用の材料として期待されている。特に、励起子の束縛エネルギーが60meV、また屈折率n=2.0と半導体発光素子に極めて適した物性を有している。また、発光素子、受光素子に限らず、表面弾性波(SAW)デバイス、圧電素子等にも広く応用が可能である。さらに、原材料が安価であるとともに、環境や人体に無害であるという特徴を有している。 一般に、酸化亜鉛系化合物半導体の結晶成長方法として、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相堆積)法や、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などが利用されている。MBE法は、超高真空下での結晶成長法であり、装置が高価で生産性が低いなどの問題がある。これに対し、MOCVD法は、装置が比較的安価であるとともに、大面積成長や多数枚同時成長が可能で、スループットが高く、量産性やコスト面においても優れているという利点を有している。
MBE法を用いた酸化亜鉛の結晶成長方法として、例えば、サファイア基板上に単結晶特性を示す低温ZnO層を結晶成長し、次に高温で熱処理して平坦化した後、高温ZnO層を結晶成長することで結晶性の良好なZnO層が得られる方法が開示されている(特許文献1)。より詳細には、一般的にZnO単結晶を成長するための結晶成長の温度よりも低い成長温度を用いて形成した「低温成長ZnO単結晶層」について開示されている。しかしながら、当該文献に開示されている方法は、MBE法にのみ有効な成長条件・方法であり、かかる方法をMOCVD法に適用することはできない。すなわち、周知のように(例えば、特許文献2)、非ストイキオメトリ(非化学量論的組成)条件での結晶成長が可能なMBE法の成長条件をそのままMOCVD法に適用することはできない。そのため、MOCVD法を用いて酸化亜鉛系半導体の単結晶層を成長させる方法が盛んに研究されている。
MOCVD法によりサファイア(Al)などの基板上に酸化亜鉛(ZnO)あるいは酸化亜鉛系半導体を結晶成長させる方法について、これまで種々開示されている(例えば、特許文献2、3)。例えば、特許文献2には、A面サファイア基板又はC面炭化珪素基板上に予備バッファ層としてOを酸素源にしてMgZnO微結晶を形成し、当該微結晶を種結晶としてバッファ層本体となるMgZnO結晶を基板全面に形成することが開示されている。また、特許文献3には、低温形成した多結晶又はアモルファスの積層体を高温でアニールし、バッファ層とすることが開示されている。しかしながら、このような方法においては、多結晶が熱処理により単結晶化する際に隣り合った結晶粒界との間に欠陥が残留する。また、微結晶をバッファ層本体が結晶成長する段階で粒界合体において欠陥が残留する。従って、結晶欠陥を大幅に減少させることは難しい。このように、従来、多結晶や微結晶あるいはアモルファスからなるバッファ層を形成して結晶性を改善することが試みられているが、MOCVD法で結晶性を改善する方法は複雑であり、基板上に高品質のZnO系結晶を成長させることは困難であった。
以上説明したように、MBE法ではサファイア基板等の上に良好なZnO系単結晶を成長させる方法は提案されているものの、MOCVD法によりサファイア基板等の上に高品質なZnO系単結晶を成長させる方法には問題があった。
ところで、MOCVD法によりサファイア基板等の上にZnO系結晶を成長させる場合、その成長した結晶が、針状結晶、六角柱状結晶、網目状結晶、六角ディスク状結晶になり易い性質がある。また、結晶成長界面の凹凸によってそれ以降に積層する半導体結晶層に欠陥を導入することもある。このような結晶軸方向に強く配向した多結晶や不完全単結晶では、粒界面や転移が半導体素子のリーク電流や局部的な電流集中の原因となり、素子特性や素子寿命の劣化を招来する。特に、半導体発光素子においては、リーク電流や電流集中により、発光効率、素子寿命等の特性の低下が生じる。さらに、結晶表面が平坦でない場合には、リソグラフィ、エッチング等の半導体プロセスにおけるプロセス精度の低下や製造歩留まりの低下につながる。また、劈開やブレーキングなどにおける製造歩留まりの低下も招来する。
このように、従来、MOCVD法によりサファイア基板等の異種基板上に粒界面や転移が少なくかつ平坦なZnO系半導体の単結晶を成長することは困難であった。半導体素子、特に、動作電流密度の大きい半導体発光素子の高性能化、高信頼度化を図るには、結晶欠陥の少ないかつ平坦な理想結晶に近い結晶の成長方法の開発が極めて重要である。
特許第3424814号公報 特開2005−340370号公報 特許第3859148号公報
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板上に結晶欠陥の少ない、単結晶性及び平坦性に優れた酸化亜鉛を成長する方法を提供することにある。
本発明は、有機金属気相成長(MOCVD)装置を用い、MOCVD法により基板上に酸化亜鉛層を結晶成長する方法であって、成長温度が250℃から450℃の範囲内で、かつ、成長圧力が1kPaから30kPaの範囲内であって、酸素原子を含まない有機亜鉛化合物材料と水蒸気とを少なくとも含む材料ガスを基板に吹き付けて酸化亜鉛の単結晶層を成長させる工程を含むことを特徴としている。
また、成長した酸化亜鉛層を1kPa〜30kPaの範囲内の圧力において、700℃〜1100℃の温度範囲内で熱処理を行うことができる。
さらに、成長した酸化亜鉛層を水蒸気雰囲気下で熱処理を行うことができる。
上記基板はα−サファイア単結晶基板であり、結晶成長面は{11−20}面であることができる。
また、上記低成長温度は、250℃〜450℃の範囲内の温度であることができる。
図1は、結晶成長に用いたMOCVD装置5の構成を模式的に示している。MOCVD装置5は、ガス供給部5A、反応容器部5B及び排気部5Cから構成されている。ガス供給部5Aは、有機金属化合物材料を気化して供給する部分と、気体材料ガスを供給する部分と、これらのガスを輸送する機能を備えた輸送部とから構成されている。
本実施例においては、有機金属化合物材料(または有機金属材料)として、酸素を含まない材料を用いた。すなわち、構成分子内に酸素原子を含まない材料、及び酸素分子を含まない材料を用いた。
また、酸素源としての液体材料として、HO(水蒸気)を用いた。HOは、酸素を分子中に含まない有機金属材料と室温程度でも高い反応性を有するので、ZnO結晶の低温成長に適している。また、HO分子は2つの孤立電子対を有し、かつ、分子内における分極が大きく、結晶表面等への吸着能力に優れている。
すなわち、亜鉛(Zn)源としてDMZn(ジメチル亜鉛)、マグネシウム(Mg)源としてCp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)、ガリウム(Ga)源としてTEGa(トリエチルガリウム)をそれぞれ用いた。尚、上記した材料以外にもDEZn(ジエチル亜鉛)、TMGa(トリメチルガリウム)などを用いることができる。酸素を含まない有機金属材料は、低温で熱分解し易く、O(酸素)やHO(水蒸気)とは室温でも反応するので、低温での結晶成長に適している。
輸送(キャリア)ガスとして窒素を用い、液体または固体材料の蒸気と気体材料(以下、材料ガスという。)はキャリアガスによって反応容器部5Bに送り込まれ、基板に供給される。
常温で液体(または固体)である有機金属化合物材料は、気化し蒸気として供給する。まず、DMZnの供給について説明する。図1に示すように、窒素ガスを流量調整装置(マスフローコントローラ)21S にて所定の流量とし、ガス供給弁21Mを通してDMZn格納容器21Cに送り、DMZn蒸気を窒素ガス中に飽和させる。そして、DMZn飽和窒素ガスを取出し弁21E、圧力調整装置21Pを通して、成長待機時にはVENT1配管28Vに、成長時にはRUN1配管28Rに供給する。なお、この際、圧力調整装置21Pによって格納容器内圧を一定に調整する。またDMZn格納容器は恒温槽21Tで一定温度に保たれる。また、その他の有機金属化合物材料Cp2Mg、TEGaについても同様である。すなわち、これらの材料をそれぞれ格納する格納容器22C(Cp2Mg),23C(TEGa)に流量調整装置22S、23Sを経た所定の流量の窒素ガスが送気され、取出し弁22E、23E及び圧力調整装置22P、23Pを通して、成長待機時にはVENT1配管28Vに、成長時にRUN1配管28Rにこれらの材料ガスが供給される。また、酸素源としての液体材料であるHO(水蒸気)は格納容器24Cに流量調整装置24Sを経た所定の流量の窒素ガスが送気され、取出し弁24E、圧力調整装置24Pを通して、成長待機時にはVENT2配管29Vに、成長時にはRUN2配管29Rに供給される。
p型不純物源としては、気体材料であるNH(アンモニア)ガスを用いた。NHガスは、流量調整装置25Sにより所定の流量が供給される。待機時にはVENT2配管29V、成長時にはRUN2配管29Rに供給される。なお、当該ガスは、窒素やAr(アルゴン)などの不活性ガスで希釈されていても構わない。
上記した材料ガスは、RUN1配管28R、RUN2配管29Rを通して反応容器部5Bのシャワーヘッド30に供給される。なお、RUN1配管28R及びRUN2配管29Rのそれぞれにも流量調整装置20C、20Bが設けられており、材料ガスはキャリアガス(窒素ガス)によって反応容器39の上部に取付けられたシャワーヘッド30に送り込まれる。
反応容器39内には材料ガスを基板に吹付けるシャワーヘッド30、基板10、基板10を保持するサセプタ19、サセプタ19を加熱するヒーター49が設置されている。そして、ヒーター49によって基板を室温から1100℃程度まで加熱できる構造となっている。
また、反応容器39にはサセプタ19を回転させる回転機構が設けられている。より詳細には、サセプタ19はサセプタ支持筒48に支持され、サセプタ支持筒48はステージ42上に回転自在に支持されている。そして、回転モータ43がサセプタ支持筒48を回転させることによりサセプタ19(すなわち、基板10)を回転させる。なお、上記したヒーター49は、サセプタ支持筒48内に設置されている。
排気部5Cは、容器内圧力調整装置51と排気ポンプ52で構成されており、容器内圧力調整装置51にて反応容器39内の圧力を0.01kPa〜120kPa程度まで調整できる構造となっている。
図2は、本発明により基板10上に成長された酸化亜鉛結晶層(以下、ZnO結晶層と表記する。)11を示す断面図である。より詳細には、MOCVD法を用いてZnO結晶層11をサファイア基板上に成長した。
基板10として、コランダム構造を有するα−サファイア単結晶のサファイア(Al)基板を用いた。本実施例においては、サファイアA面({11−20}面)を結晶成長面として当該サファイアA面上にZnO結晶層11を成長した。以下においては、サファイアA面({11−20}面)を主面(結晶成長面)とする基板をA面サファイア基板とも称する。なお、ここで、ミラー指数{ }は等価な面の代表値を示している。
図3は、当該MOCVD法による結晶成長に用いられた結晶成長シーケンスを示している。まず、MOCVD装置内のサセプタにA面サファイア基板10をセットし、反応容器圧力を10kPa(キロパスカル)に調整した(時間T=T1)。なお、回転機構により基板10を10rpmの回転数で回転した。
次に、酸素源としてHO(水蒸気)を640μmol/minの流量でシャワーヘッドから基板10への供給を開始した(T=T2)。また、ヒーターで基板10を900℃まで昇温し、10分間基板10を熱処理した(T=T3〜T4)。これ以降、成長終了までHO(水蒸気)を同じ流量で流し続けた。
熱処理後、基板温度を400℃まで降下し、亜鉛原料としてDMZn(ジメチル亜鉛)を1μmol/minの流量で基板10に約15分間供給した(T=T5〜T6)。すなわち、減圧成長条件(成長圧力Pg=10kPa)において成長温度(Tg)を400℃とし、成長速度が1.7nm/minで、層厚が25nmのZnO結晶層11を成長した。
ZnO結晶層11の成長後、基板温度を900℃まで昇温し、10分間の熱処理(アニール)を行った(T=T7〜T8)。後述するように、この熱処理により、ZnO結晶層11の結晶性および平坦性は更に向上する。
熱処理が終了した後、水蒸気を流しながら冷却した。基板温度が300℃以下になった後、水蒸気の供給を止めた。
以上、説明したように、ZnO結晶層11の成長が完了した結晶成長層付き基板(以下、単に、成長層付き基板という。)15を製造した。
上記した成長工程(T=T5〜T6)で得られたZnO結晶層11は、A面({11−20}面)サファイア基板にc軸配向した単結晶層である。すなわち、α−サファイア単結晶の{11−20}面を主面とした基板上に、酸化亜鉛の{0001}面が単結晶積層された。RHEED(反射高速電子線回折)及びAFM(原子間力顕微鏡)測定によって当該ZnO結晶層11の単結晶性及び平坦性について調べた。
図4は、成長工程(T=T5〜T6)を終了した後、熱処理(アニール)を行わなかった場合、すなわち成長後のZnO結晶層11のRHEED回折像を示す図である。図4に示すように、等間隔に並んだストリーク状のRHEED回折像が得られた。これから表面結晶配列が単一であること、平滑であることがわかる。また、AFM(原子間力顕微鏡)測定によって、1μmエリアのRms(二乗平均粗さ)が0.62nm(ナノメートル)であることがわかった。ZnO結晶のc軸長(格子定数)はc=5.207Åであるので、表面粗さはZnO結晶のc軸長と同等であり、結晶層表面が平坦であることがわかった。これらの結果から、ZnO結晶層11が平坦性の良好な単結晶層であることが確認された。
また、図5(a),(b),(c)は、ZnO結晶層11の成長後、それぞれ800℃、900℃、1000℃の温度で10分間の熱処理を行った場合のRHEED回折像を示している。本実施例においては、熱処理時の圧力Paは低圧力(結晶成長時と同じPa=Pg=10kPa)として行った。また、上記したように、HO(水蒸気)を基板10に供給しつつ、すなわち、水蒸気雰囲気下で熱処理を行った。
図5に示すように、熱処理を行うことによってRHEED回折像は、熱処理を行わなかった場合(図4)に比べ、更に明確なストリーク状となっていることが確認された。また、AFM測定において、Rms(二乗平均粗さ)が0.5nm以下となり、ZnO結晶のc軸長以下になったことがわかった。従って、熱処理によって、単結晶性と平坦性が向上していることが確認された。
このように、ZnO結晶層11は、結晶成長を終えた段階で既に良好な平坦性及び単結晶層を有しており、さらに熱処理により単結晶性が向上すること、及びZnO結晶のc軸長以下の平坦性を有することが確認された。
上記工程により得られた成長層付き基板15は、冷却せずに引き続きMOCVD装置で半導体素子の製造に用いることができる。あるいは、冷却した後、さらにMOCVD装置、あるいは他の結晶成長装置を用いて半導体素子の製造を行うこともできる。
すなわち、成長層付き基板15を用いれば、MOCVD装置あるいは他の結晶成長装置を用いて、単結晶性及び平坦性に優れた単結晶層(ZnO結晶層11)上に直接に単結晶の成長を行うことも可能である。従って、結晶欠陥が少なく、単結晶性及び平坦性に優れた高品質のZnO系結晶層を形成することができる。
また、成長層付き基板15上に成長可能な結晶は、酸化亜鉛(ZnO)に限らない。酸化亜鉛ベースの結晶であってもよい。例えば、マグネシウム(Mg)を含むMgZn(1−x)Oや、カルシウム(Ca)などを含むZnO系結晶(亜鉛酸化物結晶)であってもよい。あるいは、セレン(Se)、硫黄(S)やテルル(Te)などを含むZnO系結晶であってもよい。
また、成長層付き基板15を用いて、MOCVD以外の方法、例えば、MBE、プラズマCVD、PLD(Pulsed Laser Deposition)、ハイドライドVPEなどの種々の方法により光半導体素子、種々の電子デバイスなどを形成することも可能である。
このように、本発明によれば、光半導体素子、種々の電子デバイスの製造に適用可能な、結晶欠陥が少なく、単結晶性及び平坦性に優れた高品質の単結晶層が形成された成長層付き基板を提供することができる。
上記したように、本発明によれば、異種基板であっても当該基板上に、酸素を含まない有機金属化合物材料と、当該有機金属化合物材料と反応性が高いHO(水蒸気)を用い、低成長温度かつ低成長圧力で結晶成長を行い、平坦性の良好な単結晶層であるZnO結晶層11を成長することができる。また、低圧力(減圧)において熱処理を行うことにより、ZnO結晶層11の単結晶性及び平坦性を向上することができる。なお、熱処理は水蒸気雰囲気下で行うことが好ましい。
上記実施例においては、基板10としてαサファイア(α−Al)の{11−20}面であるA面サファイア基板、当該酸素を含まない有機金属化合物材料としてDMZnを用い、成長温度を400℃、成長圧力を10kPaとした。また、成長速度が1.7nm/minで、成長層厚が25nmの場合を例に説明した。
しかし、上記実施例において示した基板、材料ガス、成長温度、成長圧力、成長速度、成長層厚等の条件は例示にすぎず、これらに限定されない。熱処理条件を含む成長条件を変えてZnO結晶層11を成長し、平坦性の高い単結晶層を成長するための条件について検討した。以下に、かかる条件について詳細に説明する。
<基板>
A面サファイア基板が最適である。サファイア結晶のA面とZnO結晶のC面との格子不整合が小さいからである。すなわち、サファイア<0001>方向(酸素原子)とZnO<11−20>方向(亜鉛原子)の格子ミスマッチは0.07%であり、サファイア<10−10>方向(酸素原子)とZnO<10−10>方向(亜鉛原子)の格子ミスマッチは2.46%である。ここで、サファイア<0001>方向にZnO<11−20>方向がロックされるので、ZnO結晶は成長時に30°回転ドメインを形成することなく単結晶成長が可能となる。
また、用いることが可能な基板としては、基板面上にc軸配向したZnO結晶の場合では、当該基板面が60°、120°、180°の回転対称位置に格子整合点が存在するような結晶基板であればよい。またa軸あるいはm軸配向したZnO結晶の場合では、180°の回転対称位置に格子整合点が存在するような結晶基板であればよい。例えば、R面サファイア基板、M面サファイア基板、SiC(炭化珪素)基板、GaN(窒化ガリウム)基板、Ga(酸化ガリウム)基板、Si(シリコン)基板などを用いることができる。
<成長圧力>
単結晶成長のためには、基板面上での反応化学種(DMZn、HO、中間生成物、結晶化前のZn原子、結晶化前のO原子等)のマイグレーション長が大きい方がよい。従って、減圧成長が好適であり、具体的には、成長圧力として1kPa〜30kPaが好適であり、より好ましくは5kPa〜20kPaである。成長圧力が1kPa以下になると著しく成長速度が遅くなる。
<成長温度>
成長温度は、一般的にZnO単結晶を成長するための結晶成長温度(「高成長温度」という。)よりも低い温度(「低成長温度」という。)であることが適切である。当該高成長温度では、島状成長しやすく、層状単結晶になりにくいからである。
具体的には、成長温度は、250℃〜450℃の範囲内が適切である。さらに、300℃〜400℃の温度範囲内であることが好ましい。250℃以下ではマイグレーション長が短くなるため、アモルファス化、多結晶化し易くなる。また、上記したように、450℃以上になると島状成長しやすくなり、平坦性が低下する(Rms値が大きくなる)。
なお、図6は、成長温度を変えてZnO結晶層11を成長した場合のRHEED回折像の一例を示す図である。成長温度(Tg)を300℃とした以外、上記した実施例と同様の成長条件により成長した。また、ZnO結晶層11の層厚も上記実施例と同じ25nmである。なお、ZnO結晶層11は、成長後の熱処理を施していない結晶層である。ストリーク状のRHEED回折像が得られており、ZnO結晶層11が平坦性の良好な単結晶層であることが確認された。
<材料ガス>
低成長圧力、低成長温度下でZnO単結晶層を形成するには高い相互反応性を有する材料選択が必要である。相互反応性が低いと結晶成長しなかったり、アモルファス化あるいは多結晶化するからである。Zn源としては、構成分子中に酸素を含まず、酸素源材料と高い反応性を有する有機金属化合物が好適である。上記したDMZnの他には、例えば、DEZn(ジエチル亜鉛)がある。また、酸素源としては、分子内での分極が大きく、有機金属化合物材料と高い反応性を有するHO(水蒸気)が適している。
<成長速度>
成長速度は0.4nm/min〜9nm/minの範囲内であることが好ましい。さらに、0.8〜4nm/minの範囲内であることがより好ましい。成長速度が、9nm/min以上では表面の凹凸が大きくなり、十分な平坦性が得られない場合がある。
<成長層厚>
成長層厚は5nm〜60nmの範囲内が良く、また、10nm〜40nmの範囲内であることが好ましい。さらに、より好ましくは15nm〜30nmである。すなわち、層厚が5nm未満では結晶層が基板表面を十分に覆うことができない場合がある。また、60nm以上では表面の凹凸が大きくなり、十分な平坦性が得られない場合がある。
<VI/II比(FH2O/FMO 比)>
水蒸気流量と有機金属(DMZn)流量比(FH2O/FDMZn 比)は、2程度以上ならば良い。具体的には2000程度あれば十分である。水蒸気流量はシャワーヘッド内で水蒸気が凝集を起こさない飽和水蒸気量の70%程度までが良い。
<熱処理条件>
上記したように、ZnO結晶層11は結晶成長を終えた段階で既に良好な平坦性及び単結晶層を有しているが、熱処理を行うことによって、さらに単結晶性及び平坦性を向上させることができる。また、マイグレーション長が長くなる低圧力下において熱処理を行うのがよい。なお、熱処理に適した圧力範囲はZnO結晶層11の成長圧力の範囲と同じである。
具体的には、成長したZnO結晶層11の熱処理温度は700℃〜1100℃が適当である。また処理時間は、1〜60分の範囲が適切である。処理温度は800℃〜1000℃、処理時間は3分〜10分がさらに好ましい。処理温度が700℃未満では効果が低く、1100℃以上では層表面が荒れる。また、処理時間が60分以上では膜の蒸発により膜欠損が発生する場合がある。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、A面サファイア基板等の基板上に、酸素を含まない有機金属化合物材料と、当該有機金属化合物材料との反応性が高いHO(水蒸気)を用いて、低成長温度かつ低成長圧力で結晶成長を行い、酸化亜鉛の単結晶層を成長することができる。また、低圧力(減圧)下、水蒸気雰囲気下において熱処理を行うことにより、成長層の単結晶性及び平坦性を一層向上することができる。当該単結晶層は平坦性及び単結晶性に優れ、結晶欠陥も少ない。さらに、MOCVD法を用いているので、大面積成長や多数枚成長も可能である。従って、量産性や製造コストにおいても優れている。
MOCVD装置の構成を模式的に示す図である。 本発明により基板上に成長した酸化亜鉛層を示す断面図である。 MOCVD法による結晶成長に用いられた結晶成長シーケンスを示す図である。 熱処理を行わなかった場合のZnO結晶層のRHEED回折像を示す図である。 ZnO結晶層の成長後、それぞれ800℃、900℃、1000℃の温度で10分間の熱処理を行った場合のRHEED回折像を示す図である。 成長温度(Tg)が300℃のZnO結晶層のRHEED回折像を示す図である。
符号の説明
10 基板
11 結晶成長層
19 サセプタ
30 シャワーヘッド

Claims (10)

  1. 有機金属気相成長(MOCVD)装置を用い、MOCVD法により基板上に酸化亜鉛層を結晶成長する方法であって、
    成長温度が250℃から450℃の範囲内で、かつ、成長圧力が1kPaから30kPaの範囲内であって、酸素原子を含まない有機亜鉛化合物材料と水蒸気とを少なくとも含む材料ガスを前記基板に吹き付けて酸化亜鉛の単結晶層を成長させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記工程の後に、酸化亜鉛層を1kPaから30kPaの圧力下で、700℃から1100℃の温度範囲内で熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記熱処理は、水蒸気の雰囲気下で行うことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記基板はα−サファイア単結晶基板であり、結晶成長面は{11−20}面であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の方法。
  5. 前記基板は、基板面の60°、120°、180°の回転対称位置に格子整合点が存在する単結晶基板であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の方法。
  6. 前記基板はR面サファイア基板、M面サファイア基板、炭化珪素(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、酸化ガリウム(Ga)基板、シリコン(Si)基板のいずれか一つであることを特徴とする請求項1ないし3、及び5のいずれか1に記載の方法。
  7. 前記酸化亜鉛層の成長速度は0.4nm/min〜9nm/minの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1に記載の方法。
  8. 前記酸化亜鉛層の成長層厚は5nm〜60nmの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載の方法。
  9. 前記酸素原子を含まない有機亜鉛化合物材料は、DMZn(ジメチル亜鉛)、DEZn(ジエチル亜鉛)の少なくとも1を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1に記載の方法。
  10. 前記水蒸気の流量と前記有機亜鉛化合物材料の流量比(VI/II比)は2以上かつ2000以下であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1に記載の方法。

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