JP5028674B2 - 移動体の指令生成方法および指令生成装置 - Google Patents
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は加速度一定区間に対応する処理回数,である。加速度増加区間および加速度減少区間における加速度の時間変化率は,それぞれ正/負の一定値に保たれる。加速度一定区間における加速度の時間変化率は零である。すなわち,加速度を台形状に連続的に変化させれば,加速度の時間変化率は零でない一定値または零に保たれる。加速度の変化率が大きな値をとらないように制限することで,駆動する機械系に与える振動を抑制できる。ただし特許文献1は目標速度(ここでは,NC装置の送り速度)が指令された場合の加減速方法を与えるものであって,目標位置や目標移動量に対し指定された点まで移動して停止するような位置決め手段を提供するものではない。
方法がある。(従来技術3)は,正弦曲線や正弦曲線と直線との組み合わせによって構成した加速度波形にもとづいた速度指令波形を出力するものである。その例は,例えば特許文献2に開示されている。図13は,特許文献2の加減速制御方法によって得られる加速度波形と,これに対応する速度波形を並べた図である。図においてTaは加減速時間,amaxは最大加速度,aは加速度指令,tは時間,vは速度指令,vmaxは最大速度,Sは目標移動量であって,区間1から7はそれぞれ加速度波形の構成が異なる区間である。区間1,3,5,7はそれぞれ正弦曲線であり,各区間の時間は加減速時間Taの1/4となっている。また区間2,6は一定加速度区間,区間4は一定速度区間である。図のように各区間での加速度が連続となるように正弦曲線と直線とを組み合わせて加速度波形を構成することで,(従来技術1,2)のような加速度不連続による振動励起の問題を生じにくい。指令目標移動量Sに応じた指令を生成するためには,区間4の時間や加減速時間Taを調整する。更に特許文献2では,特に目標移動量が小さい場合に加減速時間Taの減少に伴う加速度時間変化率(躍動値)の増大を避けるため,最大速度vmaxと最大加速度amaxを計算し直す手順を設けている。図14は特許文献2の加減速方法の手順を示した流れ図である。図において1401は予め設定された加速度時間変化率の最大値などのパラメターにもとづいて加減速計算に必要な諸変数を計算するとともに後段の初期設定を実行する初期計算ブロック,1402は初期計算ブロックの計算結果を利用して動作周期毎の計算を逐次実行する逐次計算ブロックである。ここでは,初期計算ブロック1401において初期速度や初期化速度はいずれも零であることが前提となっている。また,逐次計算ブロック1402では経過時間tのみが変化し,初期計算ブロックで計算した最大速度や目標移動量などは固定値となっている。このように,特許文献2では,一連の指令生成に必要なパラメターを最初に計算し,動作開始後は計算したパラメターにもとづいて指令速度波形を一意に生成するようになっていた。なお,区間1,3,5,7の各時間は加減速時間Taの1/4となっているが,これは計算のため特許文献2で特に限定したものであって,一般には固定する必要がない値である。
特許文献1の方法によれば,加速度が連続的に変化するため上記従来技術における振動励起の問題は解決できる。しかし,与えられた目標速度と前周期の指令速度との差が小さい場合,図12(a)のような台形型の加速度波形を用いると指令速度が目標速度を上回ってしまうため,一定加速度を不連続に切り替える制御を実施しなければならない(特許文献1の第5頁,第0029−0030段落)。この場合,従来技術1や2と同様,加速度が不連続となるため振動励起の問題が発生する。更に,特許文献1は与えられた目標速度を実現するための加減速方法を与えるものであって,移動体の目標移動量を実現する方法については言及されていない。
移動体の振動励起を抑制しなおかつできるだけ目標移動量への到達が早い動作指令を出力可能であるとともに,移動中の目標移動量や最大速度の変更にも対応可能である指令生成方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は,目標移動量に応じて所定周期ごとに動作指令を生成する移動体の指令生成方法において、最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、にもとづいて、速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から零速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である停止軌道を求め、前記停止軌道に沿った場合の移動距離である停止距離を計算し、前記目標移動量と前周期の指令位置との差である残り距離と、前記停止距離と、を比較した結果にもとづいて、参照速度vrefの値を正の最大速度設定値、零および負の最大速度設定値のうちいずれかに逐次切り替え、前記設定パラメターと、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、前記参照速度と、にもとづいて、速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記参照速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である加減速軌道を求め、前記求めた加減速軌道および前記参照速度から現周期の指令速度と現周期の指令加速度と現周期の指令位置とを逐次計算すること、を特徴とするものである。
また,請求項2に記載の発明は、前記加減速軌道は、前記参照速度が変更されたときにのみ求められることを特徴とするものである。
また,請求項3に記載の発明は、目標速度に応じて所定周期ごとに動作指令を生成する移動体の指令生成方法において、最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前記目標速度と、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、にもとづいて、
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記目標速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である加減速軌道を求め、前記求めた加減速軌道から現周期の指令速度と現周期の指令加速度とを逐次計算することを特徴とするものである。
また,請求項4に記載の発明は、前記加減速軌道は、前記目標速度または最大速度設定値が変更されたときにのみ求められることを特徴とするものである。
また,請求項5に記載の発明は、前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する曲線と最大加速度の条件を満足する直線とを組み合わせて求められることを特徴とするものである。
また,請求項6に記載の発明は、前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する楕円の一部と直線とで構成されることを特徴とするものである。
また,請求項7に記載の発明は、前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する放物線と直線とで構成されることを特徴とするものである。
また,請求項8に記載の発明は、目標速度または目標移動量に応じて動作指令を生成する移動体の指令生成装置において、最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前記目標速度または前記目標移動量と前周期の指令位置と、前周期の指令速度と前周期の指令加速度とにもとづいて、参照速度の値を正の最大速度設定値、零および負の最大速度設定値のうちいずれかに逐次切り替え、前記設定パラメターと、前記目標移動量と、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、前記参照速度と、にもとづいて
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記参照速度および零加速度に対応する点までを結ぶ連続した曲線である加減速軌道を求め、前記求めた加減速軌道から現周期の指令位置と現周期の指令速度と現周期の指令加速度とを逐次計算することを特徴とするものである。
また,請求項2,4に記載の発明によれば,指令生成に必要な計算負荷を軽減することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、移動体の動作状態に依存することなく適切な動作指令を生成でき、さまざまな加減速軌道を容易に設計できる。
また,請求項5に記載の発明によれば,生成される指令の加速度時間変化率の大きさを制限でき,また加速度をできるだけ大きくとることができる。結果として,移動体の振動励起を抑えつつ,加減速を高速化できる。
また,請求項6に記載の発明によれば,加速度時間変化率の大きさが制限された,加速度が区分的に滑らかかつ連続的に変化する加減速軌道を容易に設計できる。
また,請求項7に記載の発明によれば,加速度時間変化率の最大値条件を満足する最速の加減速軌道を得ることができる。
(1)まず,S202およびS210において加減速軌道を設計する具体的方法について,加減速軌道設計の手順を示した流れ図である図3および加減速軌道の例である図4,5,6,7を参照しながら説明する。S202はS210の参照速度vrefを零とした場合と等価であるから,ここでは簡略化のため両者をまとめて扱う。加減速軌道は,速度−加速度位相平面上において前周期の速度および加速度の対(v,a)=(v0,a0)に対応する点から(v,a)=(vref,0)に対応する点までを結ぶ連続した軌道であって,加速度時間変化率の最大値jmaxの条件を満足する曲線と最大加速度amaxを満足する直線とを組み合わせて設計するものである。
図3においてステップS301は後述のパラメターαtmp,Atmpを最大加速度amaxおよび加速度時間変化率の最大値jmaxにもとづいて計算するステップ,ステップS302は後述のパラメターBtmpを前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対(v0,a0)および現周期の参照速度vrefおよびS301で求めたαtmpとAtmpにもとづいて計算するステップ,ステップS303はS302で求めたBtmpの値が−Atmp<Btmp<Atmpを満足する場合はステップS305に,それ以外の場合はステップS304に移行する判断ステップ,ステップS304はBtmpの値が正ならばステップS306に,それ以外の場合はステップS307に移行する判断ステップ,ステップS305は後述のパラメターαtmp2,Atmp2を前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対(v0,a0)および現周期の参照速度vrefおよび最大加速度amaxおよび加速度時間変化率の最大値jmaxにもとづいて計算するステップ,ステップS306,ステップS307,ステップS308は,それぞれ得られたパラメターから加減速軌道を設定するステップである。
(S301)S301では,最大加速度amaxおよび加速度時間変化率の最大値jmaxの設定値から,パラメターαtmp,Atmpを以下の式にもとづいて計算する。
(S302)S302では,前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対(v0,a0)および現周期の参照速度vrefおよびS301で求めたαtmpとAtmpから,パラメターBtmpを以下の式にもとづいて計算する。
この表記によれば,S306で設定する加減速軌道は,
楕円1−11: (α,A,B)=(αtmp,Atmp,Btmp),
直線1−1: a=−amax ,
楕円1−12: (α,A,B)=(αtmp,Atmp,Atmp)
の組み合わせであって,以下では加減速軌道1−1と呼ぶ。
また,S307で設定する加減速軌道は,
楕円1−21: (α,A,B)=(αtmp,Atmp,Btmp),
直線1−2: a=amax ,
楕円1−22: (α,A,B)=(αtmp,Atmp,−Atmp)
の組み合わせであって,以下では加減速軌道1−2と呼ぶ。
また,S308で設定する加減速軌道は,
楕円2: (α,A,B)=(αtmp2,|Atmp2|,Atmp2)
であって,以下では加減速軌道2と呼ぶ。加減速軌道1−1,1−2,2はいずれも加速度時間変化率の最大値条件を満足している。
図4において,横軸は速度と参照速度との偏差v−vref,縦軸は加速度a,点401は前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対(v0,a0)の一例を示す点,点402は点401に対応する現周期の指令速度と指令加速度の対(v,a)を示す点,点403は点401を通る楕円軌道1−11から加速度a=−amaxの直線軌道1−1へと移行する境界点,点404は直線軌道1−1から原点を通る楕円軌道1−12へと移行する境界点,曲線405は点401に始まって原点に終わる加減速軌道1−1の全体,曲線406は加減速軌道405の一部を構成する楕円軌道1−11,直線407は加減速軌道405の一部を構成する直線軌道1−1,曲線408は加減速軌道405の一部を構成する楕円軌道1−12,点409は前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対(v0,a0)の一例を示す点401とは異なる点,曲線410は点409に始まって原点に終わる加減速軌道1−2の全体である。
図5においてΔtは指令生成装置の指令生成周期である。
図4から7に示したように,設計される加減速軌道は最大加速度amaxと加速度時間変化率の最大値jmaxの条件をいずれも満足しつつ,速度と参照速度の偏差v−vrefが有限時間内に零に収束するものである。
に切り替わる点である。点801から点804に到るまでは残り移動量dが停止距離dsより大きいため,参照速度はvmaxに設定される。点804で残り移動量dが停止距離dsに等しくなると参照速度は零に設定されて停止動作に入る。
101 サーボモータの制御装置
102 サーボモータ
103 目標移動量
104 位置指令
105 設定パラメター
401 前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対の一例を示す点
402 点401に対応する現周期の指令速度と指令加速度の対を示す点
403 楕円軌道1−11から直線軌道1−1へと移行する境界点
404 直線軌道1−1から楕円軌道1−12へと移行する境界点
405 加減速軌道1−1の全体
406 楕円軌道1−11
407 直線軌道1−1
408 楕円軌道1−12
409 前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対の一例を示す点404とは異なる点
410 加減速軌道1−2の全体
801 前周期の指令速度と前周期の指令加速度の対の一例を示す点
802 点801に対応する現周期の指令速度と指令加速度の対を示す点
803 加減速軌道の全体
804 参照速度の切り替わり点
Claims (8)
- 目標移動量に応じて所定周期ごとに動作指令を生成する移動体の指令生成方法において、
最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、にもとづいて、
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から零速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である停止軌道を求め、
前記停止軌道に沿った場合の移動距離である停止距離を計算し、
前記目標移動量と前周期の指令位置との差である残り距離と、前記停止距離と、を比較した結果にもとづいて、参照速度vrefの値を正の最大速度設定値、零および負の最大速度設定値のうちいずれかに逐次切り替え、
前記設定パラメターと、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、前記参照速度と、
にもとづいて、
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記参照速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である加減速軌道を求め、
前記求めた加減速軌道および前記参照速度から現周期の指令速度と現周期の指令加速度と現周期の指令位置とを逐次計算すること、を特徴とする指令生成方法。 - 前記加減速軌道は、前記参照速度が変更されたときにのみ求められることを特徴とする請求項1記載の指令生成方法。
- 目標速度に応じて所定周期ごとに動作指令を生成する移動体の指令生成方法において、
最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前記目標速度と、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、にもとづいて、
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記目標速度および零加速度の対に対応する点までを結ぶ連続した軌道である加減速軌道を求め、
前記求めた加減速軌道から現周期の指令速度と現周期の指令加速度とを逐次計算すること
を特徴とする指令生成方法。 - 前記加減速軌道は、前記目標速度または最大速度設定値が変更されたときにのみ求められることを特徴とする請求項3記載の指令生成方法。
- 前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する曲線と最大加速度の条件を満足する直線とを組み合わせて求められることを特徴とする請求項1から4記載の指令生成方法。
- 前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する楕円の一部と直線とで構成されることを特徴とする請求項5記載の指令生成方法。
- 前記加減速軌道は、加速度時間変化率の最大値の条件を満足する放物線と直線とで構成されることを特徴とする請求項5記載の指令生成方法。
- 目標速度または目標移動量に応じて動作指令を生成する移動体の指令生成装置において、
最大速度設定値および最大加速度設定値を含む設定パラメターと、前記目標速度または前記目標移動量と前周期の指令位置と、前周期の指令速度と前周期の指令加速度とにもとづいて、
参照速度の値を正の最大速度設定値、零および負の最大速度設定値のうちいずれかに逐次切り替え、
前記設定パラメターと、前記目標移動量と、前周期の指令速度と、前周期の指令加速度と、
前記参照速度と、にもとづいて
速度−加速度位相平面上において前周期の指令速度および前周期の指令加速度の対に対応する点から前記参照速度および零加速度に対応する点までを結ぶ連続した曲線である加減速軌道を求め、
前記求めた加減速軌道から現周期の指令位置と現周期の指令速度と現周期の指令加速度とを逐次計算することを特徴とする指令生成装置。
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