JP5028638B1 - 地熱利用構造および地熱熱交換器埋設構造 - Google Patents

地熱利用構造および地熱熱交換器埋設構造 Download PDF

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Abstract

【課題】地熱熱交換器を用いて熱交換された熱エネルギーを高効率かつ持続的に利用することを可能とする地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造を提供する。
【解決手段】地盤に埋設される、内部に熱交換媒体が流通可能な2以上の地熱熱交換器と、上記熱交換媒体の熱エネルギーと直接または間接に熱交換可能な2以上の熱施設とを備え、上記熱施設として、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を低下させることが可能な吸熱施設と、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を上昇させることが可能な放熱施設とを備え、上記吸熱施設が一の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記放熱施設が他の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記吸熱施設に連結された地熱熱交換器が、地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器となり、上記放熱施設に連結された地熱熱交換器が、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器となり、適切な位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器を埋設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、地熱熱交換器の埋設構造および、地熱熱交換器と該地熱熱交換器内を流通する熱交換媒体と熱交換可能な熱施設とを有する地熱利用構造に関する。
近年、環境問題やエネルギー問題の重要性に関する認識が高まるとともに、地熱利用に対する関心が高まってきている。地熱利用の代表的な技術としては、地熱熱交換器を地盤に埋設し、該地熱熱交換器に熱交換媒体を流通させ、地盤と熱交換媒体とにおいて熱交換をさせる技術が挙げられる。
地熱熱交換器の例の1つとしては、長身の地熱熱交換器を地表面(あるいは建造物の基礎)に対し略垂直に埋設し、比較的深度の深い地盤領域における地熱を利用する垂直型のタイプが知られている。例えば、特許文献1には、熱交換面積を増大させて全体の熱交換量を増加させるために、同心二重管を、複数、地中に垂直に埋設し、熱媒を内管の上端部から供給し、その下端部で反転させて外管内を上方に向かって通過させる際に地熱と熱交換する地熱熱交換器の発明(以下、「従来技術1」ともいう)が開示されている。従来技術1は、同心二重管の埋設の間隔及び内部を流通する熱交換媒体の流量などを特定することによって地熱との熱交換効率を向上させることを試みている。また、同文献段落[0004]には、複数の埋設管を近接して埋設すると、各埋設管で採取できる熱量が必然的に低下してしまうことが説明されており、上記複数の同心二重管それぞれは、同時期(あるいは同時)において、放熱による採取または吸熱による採取など、採取の熱の流れは同方向であることが理解される。
また、地熱熱交換器の異なる例の1つとしては、地表付近の浅い深度において地表面(あるいは建造物の基礎)に対して略水平に配置される水平型のタイプが知られている。ただし、水平型の地熱熱交換器は、上記垂直型の地熱熱交換器と比較するとその埋設位置が、地表面に近くなることから、地盤温度が外気温に影響されやすく、充分な熱交換率が得られ難いという問題があった。そこで、例えば、特許文献2に、地中において地下水位よりも深い位置まで設けられる地中連続壁と、地中連続壁に設けられた通水口と、地中連続壁の地下水流下流側の地中に設けられた熱交換手段とを有し、熱交換手段が、通水口を通過する地下水流と熱交換を行うことを特徴とする熱交換システムの発明において、水平型の地熱熱交換器を用いた態様(以下、「従来技術2」ともいう)が試みられている。従来技術2は、地盤中において、地中の土の熱ではなく地下水流との熱交換を行うことを目的とした熱交換システムである。
また、地熱交換システムの発明として、下記特許文献3に複数系統も受けられた熱交換用埋設間、冷暖房機器および熱伝達経路を利用に応じて選択手段により適宜選択して効率的に運用することを目的とするシステム(以下、「従来技術3」ともいう)が提案されている。
特許文献3には、従来の地熱交換システムでは、地中と熱交換を行った水を直接利用する場合と、ヒートポンプを介して温度制御を行った水を利用する場合のそれぞれに専用の熱交換用埋設管を用意するのが一般であったため熱交換用埋設管の数が増大してコストがかかり熱交換用埋設管の埋設工事に要する日数も長くなるという問題があったところ、従来技術3により、熱交換用埋設管が複数系統設けられ、冷暖房機器が複数系統設けられ、それ等の間で熱伝達を行う熱伝達経路が複数系統設けられた地熱交換システムにおいて、複数系統設けられた熱交換用埋設管、冷暖房機器及び熱伝達経路を利用に応じて選択手段により適宜選択して効率的に運用することが出来るようになったとの記載がなされている。具体的には、従来技術3によれば、従来例のように、地中と熱交換を行った熱交換媒体を直接利用する場合と、ヒートポンプを介して温度制御を行った熱交換媒体を利用する場合のそれぞれに専用の熱交換用埋設管を用意する必要がなく、熱交換用埋設管の数を削減することが出来、コストを低減して熱交換用埋設管の埋設工事に要する日数も短縮することが出来ること、また、前記熱伝達経路選択手段は熱交換媒体の流通を制御する開閉弁または熱交換媒体を送り出すポンプで構成することが出来、前記熱伝達経路はヒートポンプを介在した流通経路と熱交換媒体を直接伝達する流通経路の少なくとも2種類の熱伝達方式で構成することが出来、前記冷暖房機器はファンコイルユニットと輻射熱パネルの少なくとも2種類の冷暖房方式で構成することが出来ることが記載されている。
特開2003−307352号公報 特開2008−275263号公報 特開2005−98594号公報
上述のように、地熱熱交換器を用いた効率のよい熱利用を実現するために種々の取り組みがなされている。しかしながら、従来技術は、いずれにおいても、高効率の熱交換を維持することが困難であるという課題を有する。
即ち、従来の地熱熱交換器を用いた熱利用は、一利用時期(あるいは一利用時)においては、熱交換媒体によって、地熱から熱エネルギーを吸熱することによって吸熱された温エネルギーを暖房などに利用するか、あるいは、地熱に対し熱交換媒体の熱エネルギーを放熱することによって吸熱された冷エネルギーを冷房などに利用するものであった。季節によって、温エネルギーの利用と冷エネルギーの利用を適宜変更することは想定されていたが、一利用時期(あるいは一利用時において)、温エネルギーと冷エネルギーとを同時に使用することは想定されていなかった。
例えば、複数系統の熱交換用埋設管を備える従来技術3においても、当該複数系統の熱交換用埋設管の1つに対し、冷暖房機器のファンコイルユニットが選択され、また、他の熱交換用埋設管に対し、冷暖房器の床冷暖房パネルが選択されていることから、一利用時において、上記温エネルギーか上記冷エネルギーのいずれか一方を利用するものであることは明らかである。
しかしながら、従来の地熱熱交換器を用いた熱利用技術において、温エネルギーあるいは冷エネルギーの利用を継続して行なおうとすると、熱利用効率が低下し、あるいは熱利用が一時的に不能となる場合があることが、本発明者の研究によりわかった。これはたとえば、冬季において、地中熱と熱交換媒体との熱交換により吸熱された温エネルギーを利用するために、地中熱から温エネルギーを吸熱し続けると、地中熱が低下し、結果として利用可能な温エネルギーの吸熱が困難になることが原因し、一方、夏季において、地中熱と熱交換媒体との熱交換により吸熱された冷エネルギーを利用するために、地中に対し熱交換媒体の熱を放熱し続けると、地中熱が上昇し、結果として利用可能な冷エネルギーの吸熱が困難になることが原因するということを、本発明者は解明した。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、地熱熱交換器を用いて熱交換された熱エネルギーを高効率かつ持続的に利用することを可能とする地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造を提供することを目的とするものである。
即ち本発明は、
(1)地盤に埋設される、内部に熱交換媒体が流通可能な2以上の水平型の地熱熱交換器と、上記熱交換媒体の熱エネルギーと直接または間接に熱交換可能な2以上の熱施設とを備え、上記熱施設として、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を低下させることが可能な吸熱施設と、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を上昇させることが可能な放熱施設とを備え、上記吸熱施設が一の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記放熱施設が他の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記吸熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器となり、上記放熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器となり、下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱利用構造、
(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
(II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(2)建造物基礎構造下方の地盤を含む地盤領域に埋設される、内部に熱交換媒体が流通可能な2以上の水平型の地熱熱交換器と、上記熱交換媒体の熱エネルギーと直接または間接に熱交換可能な2以上の熱施設とを備え、上記熱施設として、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を低下させることが可能な吸熱施設と、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を上昇させることが可能な放熱施設とを備え、上記吸熱施設が一の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記放熱施設が他の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に地熱交換可能に連結されており、上記吸熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器となり、上記放熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器となり、下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱利用構造、
(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
(II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(3)上記建造物基礎構造が、地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する面構造を有し、上記面構造下面と地盤とに接する位置に埋設される発泡樹脂板を備えることを特徴とする上記(2)に記載の地熱利用構造、
(4)内部に熱交換媒体が流通可能な水平型の地熱熱交換器が2以上埋設される地熱熱交換器埋設構造であって、上記水平型の地熱熱交換器として、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器と吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器とを備え、上記放熱系統器における放熱と上記吸熱系統器における吸熱は、同時に実施することが可能であり、且つ、下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱熱交換器埋設構造、
(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、
上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
(II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(5)建造物基礎構造下方の地盤を含む地盤領域において、内部に熱交換媒体が流通可能な水平型の地熱熱交換器が2以上埋設される地熱熱交換器埋設構造であって、上記水平型の地熱熱交換器として、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器と吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器とを備え、上記放熱系統器における放熱と上記吸熱系統器における吸熱は、同時に実施することが可能であり、且つ、下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱熱交換器埋設構造、
(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、
上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
(II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
(6)上記建造物基礎構造が、地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する面構造を有し、上記面構造下面と地盤とに接する位置に埋設される発泡樹脂板を備えることを特徴とする上記(5)に記載の地熱熱交換器埋設構造、
を要旨とするものである。
本発明の地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造は、地熱熱交換器を用いて熱交換された熱エネルギーを高効率かつ持続的に利用することを可能である。
即ち、本願発明は、地熱熱交換器として、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器と吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器とを備え、これらによる放熱と吸熱とを、同時に実施することが可能である上、少なくとも(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合うか、(II)上記放熱系統からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉するか、(III)上記吸熱系統からの放熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉するよう構成されている。したがって、放熱系統器の周囲の地盤の温度が、該放熱系統器の放熱作用により上昇する傾向にある場合であっても、吸熱系統器による吸熱作用により、周囲の地盤温度が下げられるので、地中熱の過度の上昇を防止することが可能である。また逆に、吸熱系統器の周囲の地盤温度が、該吸熱系統器の吸熱作用により下降する傾向にある場合であっても、放熱系統器による放熱作用により、周囲の地盤温度が上げられるので、地盤の温度の過度の低下を防止することが可能である。したがって、効率よく持続的に地中熱との交換を実施することができる。
本発明の地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造の一実施態様を示す説明図である。 本発明の参考例である地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造の一実施態様を示す説明図である。 本発明の地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造の一実施態様を示す説明図である。
[実施態様1]
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造の一実施態様を示す説明図である。尚、以下において、本発明の地熱熱交換器埋設構造および地熱利用構造をまとめて本発明という場合がある。
本発明の地熱熱交換器埋設構造3は、2つの地熱熱交換器1、地熱熱交換器2を備える。地熱熱交換器1および地熱熱交換器2は、いずれか一方が地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器であり、他方が地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器である。地熱熱交換器1、地熱熱交換器2とは、上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う位置関係において埋設されている。地熱熱交換器1、地熱熱交換器2の内部には、熱交換媒体が流通可能である。
地熱熱交換器1は、ヒートポンプ6および熱循環路7を介して、熱施設8と、熱交換可能に連結されている。また、地熱熱交換器2は、直接に熱施設9と、熱交換可能に連結されており、地熱熱交換器2に設けられた切り替え弁10,10を切り替えることによって、地熱熱交換器2は、直接に熱施設9’と、熱交換可能に連結することができる。ここで、熱施設8および、熱施設9(9’)は、いずれか一方が、放熱施設であり、他方が吸熱施設である。しかして、地熱熱交換器1と熱施設8とが連結され、また地熱熱交換器2と熱施設9(9’)とが連結されて、本発明の地熱利用構造19が構成される。
尚、図1における切り替え弁10は、所謂、三方弁を用いた態様を示した。三方弁における切り替え弁としては、一般的に手動弁、電動弁、電磁弁などが知られており、これらを含む種々の切り替え弁を適宜選択してよい。例えば、切り替えのタイミングを地熱熱交換器に流通する熱交換媒体の温度モニターによって制御する場合などには、電動弁や電磁弁が好適に選択される。また、熱交換媒体の流通方向の切り替え時期を、季節や時間などによって知ることができる場合などには、手動弁であってもよい。
切り替え弁10は、熱交換媒体の流通方向を熱施設9または9’に切り替えることができる限りにおいて、三方弁以外の切り替え手段を適宜選択してよい。また、切り替え弁の設置位置は、地熱熱交換器とこれに接続される熱施設との接続を、他の熱施設との接続に切り替えが可能な範囲において任意に決定してよい。
図1において、例えば、熱施設8が、冷房、冷凍庫などの冷エネルギーを使用する放熱施設、あるいは温排水路、温排気路のように熱交換媒体に対して直接または間接に放熱可能な放熱施設である場合、これに連結される地熱熱交換器1は、放熱系統器と理解され、一方、熱施設9(9’)が、暖房給湯、床暖房などの温エネルギーを使用する吸熱施設である場合に、これに連結される地熱熱交換器2は、吸熱系統器と理解される。
あるいは図1において、熱施設8が冷暖房機など使用態様によって冷エネルギーおよび温エネルギーのいずれも使用する可能性のある施設である場合には、熱施設9を給湯、床暖房などの温エネルギーを利用する吸熱施設とし、熱施設9’を冷凍庫などの冷エネルギーを使用する放熱施設あるいは温排水路、温排気路のように熱交換媒体に対して直接または間接に放熱可能な放熱施設としてもよい。
そして、熱施設8を冷房の態様で使用する場合(即ち、熱施設8が放熱施設であるとき)には、これに連結される地熱熱交換器1は、放熱系統器となるため、地熱熱交換器2は、熱施設9(即ち、吸熱施設)との連結を選択することによって、吸熱系統器として作用させることができる。季節が転じて、熱施設8を暖房の態様で使用する場合(即ち、熱施設8が吸熱施設であるとき)には、これに連結される地熱熱交換器1は、吸熱系統器となるため、地熱熱交換器2は、熱施設9’(即ち、放熱施設)との連結に切り替えることによって、吸熱系統器として作用させることができる。
以上のとおり、本発明における2以上の地熱熱交換器は、いずれか一方が吸熱系統器であり、他方が放熱系統器となるよう構成される。
図1に示す地熱熱交換器1および地熱熱交換器2は、建造物基礎構造であるベタ基礎4下方の地盤を含む地盤領域において設けられており、また該ベタ基礎4の面構造下には、これに接して、発泡樹脂板5を備える。本発明の地熱熱交換器埋設構造およびこれを含む地熱利用構造において、放熱系統器および吸熱系統器が建造物基礎構造の下方の地盤を含む地盤領域において設けられるか否かは任意である。本発明の地熱熱交換器埋設構造およびこれを含む地熱利用構造は、例えば、建造物基礎構造を有しない地盤において実施されても良く、また熱施設も、例えば、建造物内における施設に限定されず、融雪装置やビニルハウスの温度調整施設などであってよく、冷エネルギーを使用する施設、温エネルギーを使用する施設などを適宜選択することができる。
ただし、建造物基礎構造下方の地盤を含む地盤領域において本発明が実施される場合、建造物基礎構造の存在により地盤の表層温度が外気温からの影響を受けにくくなるので、安定した地熱交換を実施し易い。またさらに、発泡樹脂板が、該建造物基礎構造における面構造下面と地盤とに接する位置に埋設される態様の本発明であれば、発泡樹脂板の存在により、建造物基礎構造における面構造自体が蓄熱体となり得るため、地盤の表層温度を、一年を通じて安定させることが可能であり、例えば、ベタ基礎や、杭基礎における基礎スラブなどが面構造に相当する場合には、地表より10m程度の深さの安定した地盤温度に近い温度を、地表より1m〜5mという浅い地点において実現可能であることが、本発明者の研究により明らかになっている。そのため、建造物基礎構造下の地盤領域を含む地盤において本発明を実施する態様において、特に該建造物基礎構造における面構造下面に接して発泡樹脂板を埋設する場合には、放熱、吸熱いずれにおいても高い熱交換率が示され得るため、望ましい。
図1に示す建造物基礎構造4は、所謂、ベタ基礎を例に示した。ベタ基礎の場合、それ自体が地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する面構造となっているため、該ベタ基礎の下面に接して発泡樹脂板5を埋設させている。本発明において面構造とは地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する構造を有し、建造物の荷重を面で受けて荷重分散可能な面構造(以下、「面構造1」ともいう)、または建造物基礎に含まれて建造物の内部を外界から遮蔽するための面構造(以下、「面構造2」ともいう)、あるいは、建造物基礎と一体化されて建造物の内部を外界から遮蔽するための面構造(以下、「面構造3」ともいう)を含む。上記面構造1としては、ベタ基礎自体、パイルドラフト工法採用の杭基礎における基礎スラブ、任意の基礎の底部におけるフーチングなどが含まれるがこれに限定されない。また、上記面構造2としては、一般的な杭基礎における基礎スラブなどが含まれるがこれに限定されない。また上記面構造3としては、任意の基礎構造に一体化して設けられる土間コンクリートなどが含まれるがこれに限定されない。
したがって本発明の建造物基礎構造は、ベタ基礎に限定されず、例えば、基礎スラブと杭体とを備える杭基礎など種々の基礎構造であってよく、例えば上記基礎スラブが面構造と理解されるため、杭体部分を除いた領域であって上記基礎スラブの下面に接して発泡樹脂板を埋設してよい。また、それ以外の場合であって、上述する面構造と理解される構造の下面に接して発泡樹脂盤を埋設してよい。
放熱系統器1および吸熱系統器2は、いずれも内部に熱交換媒体が流通可能な地熱熱交換器である。本発明において地熱熱交換器とは、内部に流通可能な熱交換媒体と、周囲の地中の熱とにおいて熱交換可能な水平型の地熱熱交換器であれば、特に限定されず、従来公知の水平型の地熱熱交換器であってよい。図1に示す放熱系統器1および吸熱系統器2は、いずれも水平型の地熱熱交換器が採用されてなる態様を示すが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、放熱系統器および吸熱系統器として、それぞれ異なる態様の水平型の地熱熱交換器が選択されてもよい。
本発明における2以上の地熱熱交換器の少なくとも1つにおいて、水平型の地熱熱交換器が選択される場合には、従来地熱熱交換器の有する課題を良好に改善することができるというメリットがある。即ち、水平型の地熱熱交換器は、比較的、深度の浅い地盤に埋設されることが一般的であるところ、深度の浅い地盤は、外気温に影響されやすいため、夏場において該水平型の地熱熱交換器により冷エネルギーを採熱し、あるいはまた冬場において該水平型の地熱熱交換器により温エネルギーを採熱したい場合であっても、望ましい地盤温度が示されず、高い熱交換率が得られにくいという問題があった。ところが、本発明によれば、2以上の地熱熱交換器を備え、且つ、一方が吸熱系統器であり他方が放熱系統器であるため、夏場において採熱系統器における吸熱作用により地盤の温度が下げられるため、一方の放熱系統器の放熱作用に好ましく反映させることができ、また、冬場はその逆のことが言えるため、水平型の地熱熱交換器によっても、充分に高効率な熱交換を可能とするのである。
本発明において、重要な点の1つは、上記地熱熱交換器が2以上、地中に埋設されており、しかも、少なくとも1つが地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器であり、他の少なくとも1つが地中において放熱作用を発揮可能な吸熱系統器であり、必要に応じて、放熱系統器による地中における放熱作用と、吸熱系統器による地中における吸熱作用とが同時に実施可能に構成されている点にある。ただし、常に、これらが同時に放熱作用および吸熱作用を実施する必要はなく、本発明の実施上、上記放熱作用と上記吸熱作用とが同時期において交互に実施されてもよい。尚、本発明において「同時期」とは、例えば、任意の一日、あるいは任意の一季節などが該当する。
上記放熱系統器による地中における放熱作用とは、地熱熱交換器である放熱系統器内を流通する熱交換媒体の熱が、周囲の地盤に放熱され、該熱交換媒体が冷エネルギーを採熱する作用を意味する。即ち、放熱系統器の放熱作用により該放熱系統器中に流通する熱交換媒体の温度が低下する。このように採熱された冷エネルギーは、たとえば、直接または間接に、冷房や冷凍庫などの冷エネルギーを必要とする熱施設(放熱施設)において、利用可能である。冷エネルギーを採熱した熱交換媒体の該冷エネルギーが、上記熱施設(放熱施設)において利用された場合には、上記熱施設(放熱施設)から熱交換媒体への放熱が生じるため、熱交換媒体の温度は上昇し、再度、地中において周囲の地盤に放熱作用を発揮することにより冷エネルギーを採熱して、温度を下げることができる。
一方、上記吸熱系統器による地中における吸熱作用とは、地熱熱交換器である吸熱系統器内を流通する熱交換媒体が、周囲の地盤の熱を吸熱し、該熱交換媒体が温エネルギーを採熱する作用を意味する。即ち、吸熱系統器の吸熱作用により該熱交換媒体の温度が上昇する。このように採熱された温エネルギーは、たとえば、直接または間接に、暖房や給湯などの温エネルギーを必要とする熱施設(吸熱施設)において、利用可能である。温エネルギーを採熱した熱交換媒体の該温エネルギーが、上記熱施設(吸熱施設)において利用された場合には、上記熱施設(吸熱施設)から熱交換媒体に対する吸熱が生じるため、熱交換媒体の温度は低下し、再度、地中において周囲の地盤に吸熱作用を発揮することにより温エネルギーを採熱して、温度を上げることができる。
ここで従来の地熱交換技術における地熱熱交換器埋設構造は、たとえ複数の地熱熱交換器が埋設されていたとしても、同時期(あるいは同時)において、放熱のみ、あるいは採熱のみなど、一方方向においてのみ熱交換を可能とし吸熱作用または放熱作用の一方しか予定されていなかった。そのため、例えば、地中において上述のごとき放熱作用を繰り返すと、地盤の温度が上昇し、充分な放熱作用が発揮できなくなり、冷エネルギーの採熱効率が低下するという問題があった。また、同様に、地中において上述のごとき吸熱作用を繰り返すと、地盤の温度が低下し、充分な吸熱作用が発揮できなくなり、温エネルギーの採熱効率が低下するという問題があった。このように、同時期(あるいは同時)において、放熱のみ、あるいは採熱のみといった熱交換が一系統しかもうけられていない従来の地熱熱交換器埋設構造では、例えば冬場において、地中の熱に対し吸熱作用が発揮され、温エネルギーが獲得可能であれるが、上述のとおり、該温エネルギーが熱施設によって利用され、採用、地中において吸熱作用が発揮され、温エネルギーが獲得されるということが繰り返され、これによって地中の熱が著しく低下し、望ましい吸熱作用、即ち温エネルギーの獲得が実行不能になる場合があり、継続的な熱交換が維持し難いという問題があった。
これに対し、本願発明であれば、同時に放熱作用および吸熱作用が可能な構造となっており、あるいはまた放熱および吸熱を同時または交互に行なうことが可能である。そのため、吸熱系統器の周囲においては、地中の温度は低下する方向にあるが、一方、放熱系統管の周囲においては、逆に地中の温度は上昇する方向となる。したがって、上記吸熱系統管と上記放熱管とを、(I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う位置関係、(II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する位置関係、または(III)上記吸熱系統器からの放熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する位置関係の少なくともいずれかを満たすよう埋設することにより、吸熱作用および/または放熱作用を持続的かつ高効率に行うことが可能となる。
本発明は、温エネルギー、冷エネルギーの両方を同時期(あるいは同時)において獲得可能であるし、あるいは、特に、温エネルギーの獲得、あるいは冷エネルギーの獲得を重視した構造とすることもできる。
例えば、温エネルギー、冷エネルギーの両方を同時期(あるいは同時)において獲得する態様の例としては、夏場において、放熱系統器と放熱施設である冷房とを直接または間接に連結し、一方、吸熱系統器と吸熱施設である給湯とを直接または間接に連結し、これらを同時に作用させれば、放熱系統器周囲で上昇した地中の熱は、吸熱系統器において効率よく利用可能であり、また、吸熱系統器周囲で低下した地中の熱は、放熱系統器において効率よく利用可能である。もちろん、地中の温度、特には放熱系統器および/または吸熱系統器の周囲の地中温度をモニターできるよう温度センサを設け、地中の温度の変化により、上記吸熱系統器と上記放熱系統器の作動を適宜切り替えて、吸熱作用および放熱作用を交互に実施可能に構成することもできる。また、熱施設が要求する熱量とのバランスを測りながら熱交換媒体の温度を管理するよう、温度センサによって調整し、必要に応じて、地熱熱交換器内を流通する熱交換媒体の流通をオン・オフ制御してもよい。
即ち、上記態様によれば、放熱系統器における放熱作用によって採熱された冷エネルギーと、吸熱系統器における吸熱作用によって採熱された温エネルギーとが、いずれも熱施設によって利用可能であり、幅広い地熱利用を可能とするとともに、放熱系統器と吸熱系統器との周囲の地盤温度が干渉しあって、熱交換により地熱利用の持続性かつ効率を向上させることができる。
また、別の態様の例としては、冬場において、吸熱系統器と吸熱施設である暖房とを直接または間接に連結し、一方、放熱系統器と放熱施設として、温排水路および/または温排気路を直接または間接に連結し、これらを同時または交互に作用させてもよい。即ち、吸熱系統器の周囲では、地中の熱は低下する傾向にあるが、上記放熱系統器では、温排水路および/または温排気路と熱交換して温度が上昇した熱交換媒体が流通するため、該放熱系統器の周囲の地盤温度を上昇させることが可能である。したがって、該放熱系統器による地盤の温度上昇効果により、上記吸熱系統器の周囲における地中温度低下が妨げられ、吸熱作用を持続的かつ高効率に行うことが可能となる。
上記態様によれば、吸熱系統器周囲の地盤の温度が低下して熱交換の効率を低下させることを防止するために、一般的には廃棄物である温排水、あるいは温排気を、有効に利用することができる。たとえば寒冷地などにおいては、特に冬場の暖房施設における熱エネルギー獲得が重要なところ、上述のとおり温排水や温排気を使用して、吸熱系統器における吸熱作用を持続的かつ高効率に行うことが可能となり、熱エネルギーの有効利用、環境への配慮のいずれにおいても優れる。もちろん、上記態様において、放熱施設として温排水路および/または温排気路ではなく、例えば、冷凍庫などのような冷エネルギーを必要とする他の熱施設が選択されてもよい。
以上に説明するとおり、本発明おいて設けられる2以上の地熱熱交換器は、実施時において放熱と吸熱とを可能とする2系統を有することが重要である。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明は、以下の2つの態様を含む。
つまり、第一の態様は、例えば夏に、一方の地熱熱交換器Aが放熱系統器として作用し、他方の地熱熱交換器Bが吸熱系統器として作用し、冬においても、一方の地熱熱交換器Aが放熱系統器として作用し、他方の地熱熱交換器Bが吸熱系統器として作用する態様である。
また第二の態様は、地熱熱交換器と連結される熱施設の切り替えあるいは熱施設の吸熱作用と放熱作用との変更(例えば熱施設の利用が、冷房から暖房に変更されるなど)によって、一方の地熱熱交換器Aが吸熱系統器として作用し、他方の地熱熱交換器Bが放熱系統器として作用するよう、季節によって放熱と吸熱とが切り替えられる態様である。
尚、図1において、2つの地熱熱交換器が埋設された地熱熱交換器埋設構造を示したが、地熱熱交換器の数は、これに限定されず、少なくとも2つの地熱熱交換器において、一方が放熱系統器であり、他方が吸熱系統器であればよい。したがって、同じ内容の放熱系統器を1または2以上、あるいは同じ内容の吸熱系統器を1または2以上備えていてもよい。かかる事項は、後述する図2、図3においても同様である。
[実施態様2]
図2に、杭基礎構造が採用される参考例の一態様の説明図を示す。参考例である地熱熱交換器埋設構造13は、2つの地熱熱交換器11、地熱熱交換器12を備える。地熱熱交換器11、地熱熱交換器12は、杭基礎構造17における杭体16に螺旋状に巻きつけられて設置されていること以外は、上述する地熱熱交換器1および地熱熱交換器2と同様に、いずれか一方が地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器であり、他方が地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器である。杭基礎構造17は、基礎スラブ14、基礎スラブ14の下面において所望の領域に設けられた杭頭15および、杭頭15と上端が結合され垂直方向に伸長する杭体16から構成されている。基礎スラブ14が、面構造となり、該面構造である基礎スラブ14の下面に接して発泡樹脂板18が埋設されている。
地熱熱交換器11は、ヒートポンプ21および熱循環路22を介して熱施設23と、熱交換可能に連結されている。また、地熱熱交換器12は、ヒートポンプ24および熱循環路25を介して熱施設26と、熱交換可能に連結されている。ここで、熱施設23および、熱施設26は、いずれか一方が、放熱施設であり、他方が吸熱施設である。しかして、地熱熱交換器11と熱施設23とが連結され、また地熱熱交換器12と熱施設26とが連結されて、本発明の地熱利用構造27が構成される。
地熱利用構造27における具体的な態様の1つとしては、例えば、熱施設23が、給湯施設(即ち、吸熱施設)であり、熱施設26が、冷凍庫(即ち、放熱施設)であり、熱施設23に連結される地熱熱交換器11が吸熱系統器であり、熱施設26に連結される地熱熱交換器12が放熱系統器であってよい。かかる態様では、一年を通じて、地熱熱交換器11は吸熱施設として作用させ、地熱熱交換器12は放熱施設として作用させることができる。
地熱利用構造27における具体的な態様の他の例としては、例えば、熱施設23が、冷暖房施設(即ち、吸熱施設と放熱施設とが切り替えられる)であり、熱施設26が、温排水路及び/または温排気路(即ち、放熱施設)であってもよい。ことのき、熱施設23に連結される地熱熱交換器11は、熱施設23が暖房として利用される場合には吸熱系統器であり、冷房として使用される場合には放熱系統器となる。一方の熱施設26に連結される地熱熱交換器12は、放熱系統器である。上記態様によれば、冬場において、熱施設23が暖房として使用され、このとき、地熱熱交換器11は吸熱系統器となり、また一方、地熱熱交換器12は放熱系統器であるため、吸熱系統器である地熱熱交換器11の吸熱作用により低下した地盤温度を、放熱系統器である地熱熱交換器12により放熱された熱エネルギーで干渉し、地熱熱交換器11の吸熱作用を持続的かつ高効率に行うことを可能とする。また、夏場においては、本発明の実施を休止しもよく、即ち、地熱熱交換器11は冷房として利用される熱施設23と連結されて放熱系統器となっているが、地熱熱交換器12の作動は、停止させておくこともできる。特に、寒冷地などの場合には、暖房使用時における熱エネルギーの獲得が重要であり、一方、夏場の冷房施設に要する冷エネルギーは、それほど多くの必要としないため、地熱熱交換器11のみの運転により、持続的に冷エネルギーを採熱することが可能であるため、図2を用いて本段落で説明する態様は、非常に実用的である。
[実施態様3]
次に図3を用いて、本発明の異なる態様を説明する。本発明は、2以上の地熱熱交換器を備え、例えば図3に示す本発明の地熱熱交換器埋設構造34のごとく、3つの地熱熱交換器を備えていてもよい。
地熱熱交換器埋設構造34は、地熱熱交換器31、32、33を備え、地熱熱交換器31は、ヒートポンプ40を介して、建造物35内の温熱施設(即ち吸熱施設)である給湯設備41、41’、43に間接的に連結されている。したがって、地熱熱交換器31は、吸熱系統器である。
また、地熱熱交換器32は、建造物からの温排気が流通する温排気路53と直接に連結されており、温排気が熱交換媒体として直接流通する地熱熱交換器であって、放熱系統器である。建造物35は給気口51から外気が取り入れられ、室内で暖められた温排気は換気口52から排気される代わりに、温排気路53に流通し、そのまま地熱熱交換器32を流通しながら地中において放熱し、その後、排気される。
また地熱熱交換器33は、温排水路45を流通する温排水が、温排水槽46にためられ、温排水槽46に引き込まれた地熱熱交換器33と熱交換をして温度が低下した後、排水路49を通って排水溝50に排水される。温排水が地熱熱交換器33内で放熱することにより、地熱熱交換器33内を流通する熱交換媒体は温排水槽46内において採熱することができ、採熱された温熱エネルギーを地中において放熱可能であるため、放熱系統器である。以上のとおり、給湯施設を吸熱施設とし、これに直接または間接に連結される地熱熱交換器を吸熱系統器とし、一方、温排水路および/または温排気路を放熱施設とし、これに直接または間接に連結される地熱熱交換器を放熱系統器とする本発明の地熱利用構造54が構成される。図3を用いて説明する本発明の実施態様3は、建造物内外のエネルギー利用の循環が非常に効率的であり、無駄のない地熱利用構造を提供することができる。ただし上記説明は、上述する実施態様3の変形として、地熱熱交換器31が、ヒートポンプ40を介して、他の熱施設に連結されることを除外するものではない。
尚、実施態様3では、建造物35の基礎構造としては、ベタ基礎36が採用されており、ベタ基礎36の下面に接してベタ基礎36と地盤との間には、発泡樹脂板37が埋設されている。ベタ基礎36には、適宜面構造から地盤方向に伸長する地中梁55が設けられており、地中梁36の側面および/または下面を覆って、さらに発泡樹脂板38、39が設けられてもよい。
[実施態様4]
また、本発明の地熱熱交換器埋設構造の異なる実施態様としては、本発明における2以上の地熱熱交換器を備える地熱熱交換器埋設構造において、第一の地熱熱交換器を熱施設である冷暖房機等のように吸熱・放熱のいずれも作用可能な熱施設に直接または間接に接続し、第二の地熱熱交換器を給湯機等の吸熱施設に直接または間接に接続し、第三の地熱熱交換器を冷凍庫等の放熱施設に直接または間接に接続して、本発明の地熱利用構造を構成してもよい。
そして第一の地熱熱交換器に接続される熱施設を放熱施設(即ち冷房等)として使用し、第一の地熱熱交換器を放熱系統器として熱交換する場合には、第二の地熱熱交換器を吸熱系統器として、これに接続される吸熱施設(即ち給湯機等)と熱交換を実施する。このとき、第三の地熱熱交換器とこれに接続される放熱施設(即ち冷蔵庫等)とによる熱交換は、休止してもよいし、第一の地熱熱交換器および第二の地熱熱交換器それぞれによる熱交換の妨げにならない程度に熱交換を実施していてもよい。
一方、第一の地熱熱交換器に接続される熱施設を吸熱施設(即ち暖房等)として使用し、第一の地熱熱交換器を吸熱系統器として熱交換する場合には、第三の地熱熱交換器を放熱系統器として、これに接続される放熱施設(即ち冷蔵庫等)と熱交換を実施する。このとき、第二の地熱熱交換器とこれに接続される吸熱施設(即ち給湯機等)とによる熱交換は、休止してもよいし、第一の地熱熱交換器および第三の地熱熱交換器それぞれによる熱交換の妨げにならない程度に熱交換を実施していてもよい。
以下に、本発明における、地熱熱交換器、熱交換媒体、建造物基礎構造、発泡樹脂板に関し、さらに詳細に説明する。
[地熱熱交換器]
本発明において用いられる地熱熱交換器は、従来公知の水平型の地熱熱交換器を適宜選択して用いることができる。本発明における水平型の地熱熱交換器は、内部に熱交換媒体が流通可能であり、地熱熱交換器内に流通する熱交換媒体と、地中に埋設された該地熱熱交換器の周囲の地熱と、が熱交換可能なものであり、また、外部の熱施設と上記熱交換媒体とにおいての熱交換が可能である。
水平型の地熱熱交換器:
本発明において「水平型の地熱熱交換器」とは、地盤面に対して垂直に埋設される杭などを利用した垂直型の地熱熱交換器と区別される地熱熱交換器である。
水平型の地熱熱交換器の代表的な例としては、熱交換媒体が内部において流通可能な管状のパイプによって構成されるものが挙げられる。上記パイプは、樹脂性であってもよいし、ステンレス、アルミ、鋼、または銅などの金属材料により形成されたものであってもよい。ただし、金属性のパイプには、腐食の問題、継ぎ目からの熱交換媒体の漏れの問題、あるいは地盤形状が変形したときに破断しやすいなどの問題があるため、この観点からは、樹脂性のパイプが望ましい。
上記パイプの内系は、特に限定されず、公知の水平型地熱熱交換器に用いられているパイプに倣って適宜決定することができる。一般的には、上記パイプの内径は、1cm以上20cm未満程度である。
一方、上記パイプの全体の長さは、所望の地盤との熱交換量などから決定される。パイプの全体とは、パイプが一本で構成されている場合には、当該パイプの全長をいい、パイプがヘッダーより複数に分岐している場合には、分岐したパイプの長さの総和をいう。もし、建造物の基礎構造の面積内に、所望のパイプの長さが収まらないなどの場合には、2以上の水平型の地熱熱交換器を地盤面に対して平行方向に重ねて埋設してもよい。あるいは基礎構造に連続する地盤被覆用コンクリートを設け、基礎構造からはみ出して、上記地盤被覆用コンクリートの下に水平型の地熱熱交換器、あるいはその一部を埋設することによって、必要なパイプの長さを確保してもよい。
上記水平型の地熱熱交換器内を流通する熱交換媒体は、ポンプなどの圧送装置によってパイプ内に流通させることが一般的である。このときの流通速度は、地熱熱交換器中において熱交換媒体と地盤とが充分に熱交換できる速度において、設置される環境や、パイプの径などを勘案して適宜決定することができる。一般的には、熱交換媒体が空気である場合には、パイプの径が10〜100mmにおいて1〜20m/秒、熱交換媒体が水である場合には、パイプの径が7〜50mmにおいて0.1〜2.0m/秒程度の流速に設定することができる。
水平型の地熱熱交換器は、垂直型の地熱熱交換器に比べて設置コストが安い上、パイプなどの単純な構成の地熱熱交換器の内部に熱交換媒体を流通させるだけで、地盤との熱交換を行うことができるので、メンテナンスも困難ではないというメリットを有する。また地表からの地盤深度10m以内(あるいは、上記発泡樹脂板の下方2m以内)という浅い領域において、水平型の地熱熱交換器を埋設した場合には、装置内を流通する熱交換媒体の抵抗が小さいため圧送のエネルギーが小さくてすみ、その結果、エネルギー効率がよく、垂直型の地熱熱交換器に比べて安いランニングコストで実施することができるというメリットも有する。
垂直型の地熱熱交換器:
本発明の参考例において「垂直型の地熱熱交換器」とは、地盤面に対し、略垂直方向に伸長するタイプの地熱熱交換器を含み、上記水平型の地熱熱交換器と区別される。例えば、地盤面に対してそれ自体が垂直に埋設されるタイプ、杭内部垂直方向に内蔵されるタイプ、杭外面に沿って垂直方向に設置または螺旋状に撒きつけられて垂直方向に伸長するよう設置されたタイプなどが挙げられるがこれに限定されない。
垂直型の地熱熱交換器の代表的な例としては、熱交換媒体が内部において流通可能な管状のパイプによって構成されるものが挙げられる。上記パイプは、上述する水平型の地熱熱交換器と同様のものを用いることができるため、ここでは説明を割愛する。
上記パイプの内系は、特に限定されず、公知の垂直型地熱熱交換器に用いられているパイプに倣って適宜決定することができる。一般的には、上記パイプの内径は、1cm以上5cm未満程度である。
一方、上記パイプの全体の長さは、所望の地盤との熱交換量などから決定される。パイプの長さは、パイプが一本で構成されているか、ヘッダーにより分岐しているか、あるいは、略直線的に垂直方向に伸長するか、杭などに沿って螺旋状に撒きつけられながら垂直方向に伸長するかによってさまざまであり、特段限定されるものではない。一般的には、地盤表面より10m以上の深さまで上記パイプが到達していることによって、安定した熱交換が得られやすく望ましい。ただし、面構造下面に接して発泡樹脂盤を埋設する態様の本発明においては、地盤表面が10m未満の深さであっても地盤温度が安定しやすいため、垂直型の地熱熱交換器の先端を、地盤表面から10m以上の深さまで到達させなくても、良好な熱交換を得ることが可能である。上記発泡樹脂盤の埋設する効果をさらに充分に得るために、建造物の基礎構造に連続する地盤被覆用コンクリートを設け、該建造物基礎構造下に埋設される垂直型の地熱熱交換器に加え、該建造物基礎構造からはみ出して、上記地盤被覆用コンクリートの下にも垂直型の地熱熱交換器を確保してもよい。
上記垂直型の地熱熱交換器内を流通する熱交換媒体は、ポンプなどの圧送装置によってパイプ内に流通させることが一般的である。このときの流通速度は、地熱熱交換器中において熱交換媒体と地盤とが充分に熱交換できる速度において、設置される環境や、パイプの径などを勘案して適宜決定することができる。一般的には、熱交換媒体が空気である場合には、パイプの径が10〜50mmにおいて1〜20m/秒、熱交換媒体が水である場合には、パイプの径が7〜50mmにおいて0.1〜2.0m/秒程度の流速に設定することができる。
垂直型の地熱熱交換器は、一般的には、その先端が水平型の地熱熱交換器の埋設位置よりも深くに到達するよう構成される傾向にある。このように地盤表面よりも、比較的深いところでは、地盤温度が一年を通じて安定しているため、安定した熱交換が得られやすいというメリットを有する。
[熱交換媒体]
本発明における地熱熱交換器を流通する熱交換媒体は特に制限されず、地熱熱交換器内を流通し、周囲の地盤に対し放熱または吸熱作用を発揮して、温エネルギーまたは冷エネルギーを採熱することが可能な熱交換媒体であればよく、例えば空気などの気体、あるいは水、不凍液、オイルなどの液体のいずれであってもよい。また、本発明は、地熱熱交換器として吸熱系統器と放熱系統器とを備えるが、用いられる全ての地熱熱交換器において同一の熱交換媒体が使用されてもよいし、地熱熱交換器ごとに、あるいは、吸熱系統器と放熱系統器とによって、異なる熱交換媒体を流通させてもよい。
[建造物基礎構造]
本発明における建造物基礎構造は、建造物の基礎として実施されるものであれば、特に限定されず、適宜選択することができる。建造物構造下方の地盤を含む地盤領域に埋設される、内部に熱交換媒体が流通する2以上の地熱熱交換器を備える本発明は、地熱熱交換器を埋設するための専用の土地を確保する必要がなく、土地の有効活用を図ることができる。例えば、本発明における熱施設として、該建造物内に設けられる熱施設を選択することによって、建造物と、該建造物の基礎構造と、該基礎構造下方に埋設される地熱熱交換器とによって1つの有効な熱交換システムが構築される。もちろん、本発明の地熱利用構造は、建造物、あるいは建造物基礎構造とは関係せず、建造物外における融雪施設と冷凍施設とをそれぞれ熱施設として選択し、これらち2系統の地熱熱交換器それぞれとを直接または間接に熱交換可能に連結して地熱利用構造を構築してもよい。
本発明における建造物基礎構造の具体例としては、所謂、ベタ基礎、杭基礎、布基礎などを挙げることができるが、これらに限定されず、建造物の規模や地盤に適した任意の基礎構造であってよい。
尚、本発明における建造物基礎構造は、建造物が、地下ピットあるいは地下室を備えることが予定される場合には、地下ピット、あるいは地下室下に設けられる基礎構造であってもよい。地下ピットや地下室が設けられる建造物の場合にも、必要に応じて掘り下げた地盤に2以上の地熱熱交換器を埋設し、その上方に任意で発泡樹脂板を敷設し、さらに発泡樹脂板の上面とベタ基礎の下面が接するようベタ基礎を構築することにより、本発明を構成することができる。
ベタ基礎:
上記ベタ基礎は、建造物の基礎構造として知られるベタ基礎として理解される基礎構造であれば、適宜選択して実施することができる。より詳細に述べれば、建造物の下面略全面に相当する面積を含む地盤を必要量だけ掘り、そこに鉄筋を配筋しコンクリートを流し込んで作られる基礎構造であって、鉄筋コンクリート面全面で建造物の荷重を分散し支持する構造を主体とする基礎構造が一般的である。ベタ基礎は、ベタ基礎の主体自体が面構造と理解することができる。
杭基礎:
上記杭基礎は、建造物の基礎構造として知られる杭基礎として理解される基礎構造であって、少なくとも杭体と、基礎スラブを備える杭基礎であれば、適宜選択して実施することができる。杭基礎においては、基礎スラブが本発明における面構造と理解される。より詳細に述べれば、建造物の下面に位置する地盤において、適宜決定された位置に、杭体を埋設し、且つ、地盤の表層を必要だけ掘り下げ、上記杭体と直接または間接に結合される基礎スラブが構築される杭基礎構造であればよい。
尚、図2では、杭基礎が採用される本発明の態様において、杭体に2つの地熱熱交換器が螺旋状に巻きつけられた態様を示したが、本発明はこれに限定されず、杭基礎が採用された本発明において、地熱熱交換器として水平型の地熱熱交換器を選択してもよい。
本発明において、基礎スラブとは、公知の杭基礎において、杭の頭部と直接または間接に結合され、且つ建造物の下面略全面において構築されるスラブであれば、特に限定されない。たとえば杭頭処理部を地中梁と結合させ、さらに地中梁を介して基礎スラブと結合させてもよいが、これに限定されない。
より具体的には、上記基礎スラブとは、建造物下面略全面において杭基礎構造の一部として形成されるスラブ構造を意味し、所謂、コンクリートスラブ、あるいは土間コンクリートを含む。また基礎スラブには、任意で地中梁を設けることもできる。また本発明において、杭体とは、公知の杭基礎構造において採用される杭体であればいずれのものであってもよい。より具体的には、上記杭体は、支持杭体および摩擦杭体のいずれかであってもよいし、あるいはこれらの組合せであってもよい。すなわち、本発明において、上記基礎スラブとこれに接する発泡樹脂板とを構成することによって、その下方に位置する地盤温度が安定させることが重要であり、これを可能とする態様であれば、適宜選択して実施することができる。
[発泡樹脂板]
本発明における発泡樹脂板は、上述する面構造の下面の少なくとも一部に接して地盤中に埋設される部材である。従来は、表層地盤の温度は、一年を通じ、外気温度に左右されて温度の高低差が大きく、またその地盤温度がベタ基礎を通じて、室内温度にも影響を及ぼしていた。これに対し、本発明の発泡樹脂板を採用する態様においては、建造物基礎構造における面構造の下面に接して発泡樹脂板を積層することにより、外気の温度(室内温度)が地盤に伝達されるのを遮ることができ、地盤温度を、通年を通して安定に維持する効果を発揮することができる。上記効果を望ましく得るためには、上記面構造の下面が直接地盤に接する量を減らし、上記面構造と地盤との間において、より広い面積で発泡樹脂板が敷設されていることが望ましく、具体的には、上記面構造下面面積の70%以上に接して発泡樹脂板が設けられていることが望ましく、80%以上であることがさらに望ましく、90%以上であることがより望ましく、実質的に上記面構造の下面略全面に発泡樹脂板上面が接して敷設されていることが最も望ましい。尚、上記面構造の下面全面に発泡樹脂板の上面が接して敷設されない場合には、建造物支持や耐震性能において不十分な場合があるので、その点に留意する必要がある。
尚、上記面構造にさらに支持杭体が併用されている場合などには、基礎構造に必要な構造部分は除いて発泡樹脂板が上記面構造下面と接して埋設されていればよい。
本発明における発泡樹脂板は、一般的には、適当な形状に形成された複数の発泡樹脂板、または発泡樹脂ブロック体などを地盤中に並べて形成することができるが、これに限定されず、公知の技術を適用し、地盤の所望の領域に発泡樹脂板の層を形成してよい。
上記発泡樹脂板の厚みは、建造物の荷重や、実施される土地の気候などによって、適宜決定してよい。一般的には発泡樹脂板の10cm〜50cm程度の厚みにすることによって、多くの環境に適用させることができる。ただし、これに限定されるものではない。
本発明に用いられる発泡樹脂板は、地盤に対し外気温度を断熱し、地中において所望の熱交換を実現するためには、好ましい熱抵抗値を示すよう形成されることが望ましい。発泡樹脂板の熱抵抗値は、発泡樹脂板の厚みを熱伝導率で除した値に相当する。本発明に用いられる発泡樹脂板の熱抵抗値は特に限定されないが、一般的には、熱抵抗値が、0.5〜10.0m・K/Wであることが好ましく、2.0〜5.0m・K/Wであることがより好ましい。上記熱抵抗値の数値範囲は、本発明の発泡樹脂板を限定するものではないが、かかる数値範囲内に発泡樹脂板を構成することによって、該発泡樹脂板において充分な断熱効果を発揮させることが可能となり、地盤の温度の年較差を非常に小さくすることができる。
また上記発泡樹脂板は、上記観点から、熱伝導率λは、0.02〜0.05(W/m・K)の範囲にあることが好ましい。ただしこれに限定されるものではない。また、本発明においてさらなる付加的な効果である、耐震性能をも発揮させるためには、建造物の荷重を勘案して適切な圧縮強度の発泡樹脂板を使用することがさらに望ましい。上記圧縮強度の望ましい値は、建造物の荷重によって著しくことなるために一概には言えないが、一般的には、10kNから70kNであることが好ましい。上記圧縮強度は、JIS K7220に示される短期圧縮強度の計測方法を用いて計測することができる。
1、2 地熱熱交換器
3 地熱熱交換器埋設構造
4 ベタ基礎
5 発泡樹脂板
6 ヒートポンプ
7 熱循環路
8、9 熱施設
10 切り替え弁
11、12 地熱熱交換器
13 地熱熱交換器埋設構造
14 基礎スラブ
15 杭頭
16 杭体
17 杭基礎構造
18 発泡樹脂板
19 地熱利用構造
21、24 ヒートポンプ
22、25 熱循環路
23、26 熱施設
27 地熱利用構造
31、32、33 地熱熱交換器
34 地熱熱交換器埋設構造
35 建造物
36 ベタ基礎
37 発泡樹脂板
40 ヒートポンプ
41、41’、43 給湯設備
45 温排水路
46 温排水槽
50 排水溝
51 給気口
52 換気口
53 温排気路
54 地熱利用構造
55 地中梁

Claims (6)

  1. 地盤に埋設される、内部に熱交換媒体が流通可能な2以上の水平型の地熱熱交換器と、
    上記熱交換媒体の熱エネルギーと直接または間接に熱交換可能な2以上の熱施設とを備え、
    上記熱施設として、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を低下させることが可能な吸熱施設と、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を上昇させることが可能な放熱施設とを備え、
    上記吸熱施設が一の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記放熱施設が他の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、
    上記吸熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器となり、
    上記放熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器となり、
    下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱利用構造。
    (I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
    (II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
    (III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
  2. 建造物基礎構造下方の地盤を含む地盤領域に埋設される、内部に熱交換媒体が流通可能な2以上の水平型の地熱熱交換器と、
    上記熱交換媒体の熱エネルギーと直接または間接に熱交換可能な2以上の熱施設とを備え、
    上記熱施設として、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を低下させることが可能な吸熱施設と、熱交換媒体と熱交換して該熱交換媒体の温度を上昇させることが可能な放熱施設とを備え、
    上記吸熱施設が一の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に熱交換可能に連結されており、上記放熱施設が他の水平型の地熱熱交換器と直接または間接に地熱交換可能に連結されており、
    上記吸熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器となり、
    上記放熱施設に連結された水平型の地熱熱交換器が、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器となり、
    下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱利用構造。
    (I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
    (II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
    (III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
  3. 上記建造物基礎構造が、地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する面構造を有し、
    上記面構造下面と地盤とに接する位置に埋設される発泡樹脂板を備えることを特徴とする請求項2に記載の地熱利用構造。
  4. 内部に熱交換媒体が流通可能な水平型の地熱熱交換器が2以上埋設される地熱熱交換器埋設構造であって、
    上記水平型の地熱熱交換器として、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器と吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器とを備え、
    上記放熱系統器における放熱と上記吸熱系統器における吸熱は、同時に実施することが可能であり、且つ、
    下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱熱交換器埋設構造。
    (I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、
    上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
    (II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
    (III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
  5. 建造物基礎構造下方の地盤を含む地盤領域において、内部に熱交換媒体が流通可能な水平型の地熱熱交換器が2以上埋設される地熱熱交換器埋設構造であって、
    上記水平型の地熱熱交換器として、地中において放熱作用を発揮可能な放熱系統器と吸熱作用を発揮可能な吸熱系統器とを備え、
    上記放熱系統器における放熱と上記吸熱系統器における吸熱は、同時に実施することが可能であり、且つ、
    下記(I)〜(III)の少なくともいずれかを可能とする位置関係で、上記放熱系統器および上記吸熱系統器が埋設されていることを特徴とする地熱熱交換器埋設構造。
    (I)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度と、
    上記吸熱系統器による吸熱により下降する地盤温度と、が互いに干渉し合う。
    (II)上記放熱系統器からの放熱により上昇する地盤温度が、上記吸熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
    (III)上記吸熱系統器からの吸熱により下降する地盤温度が、上記放熱系統器の周囲の地盤温度に干渉する。
  6. 上記建造物基礎構造が、地表面に対し略水平方向に連続的または断続的に延伸する面構造を有し、
    上記面構造下面と地盤とに接する位置に埋設される発泡樹脂板を備えることを特徴とする請求項5に記載の地熱熱交換器埋設構造。
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