本発明の実施の形態について、実施例に基づき次に示す項目に分けて説明する。
A.基盤となるシステム構成:
B.機能ブロック:
B1.基本ファンクションブロック:
B2.基本サービスブロック:
B3.プリンティングサービス:
B4.リレーションサービス:
B5.ナビゲーションサービス:
C.印刷実行例:
C1.態様1 電子メールの印刷:
C2.態様2 Webページの印刷:
C3.態様3 チケットの印刷:
C4.態様4 作成文書の印刷:
C5.態様5 新聞配信1:
C6.態様6 新聞配信2:
C7.態様7 データ加工印刷:
A.基盤となるシステム構成:
図1は実施例における印刷の基盤となるシステム構成を模式的に示す説明図である。実施例は、LANおよびインターネットなどのネットワークを介した印刷を実現するものである。図示する通り、インターネットINTには、種々のサーバSV,SVA、プリンタPRT1,PRT2、クライアントコンピュータCC1などが接続されている。これらの機器は、ネットワークを介して情報の授受を行うことができる。ここでは、説明および図示の便宜上、数個の機器を示すにとどまるが、周知の通り、インターネットには、無数のサーバ、プリンタ、クライアントが接続されている。また、LANに接続されたクライアントコンピュータCC3、プリンタPRT3も存在し、これらはLANを介してインターネットINTに接続されている。LANを介して接続されている機器も、インターネットINTに接続されたサーバ等と情報の授受を行うことが可能である。近年では、インターネットINTにアクセス可能な端末が増えており、図1に示すように携帯電話CPからもインターネットにアクセス可能となっている。インターネットにアクセス可能な携帯電話CPは、クライアントコンピュータとほぼ同様の機能を奏することができる。各機器のネットワーク上での所在は、IPアドレスなどの情報に基づいて特定される。
実施例は、このようにインターネットINT、LANを介して無数のサーバ、クライアントコンピュータ、プリンタ等が接続されたシステム構成下で、任意のクライアント、プリンタ間での印刷を実現するものである。ここでは、最も身近な環境として、インターネットに種々の機器が接続された状況を例示したが、実施例の適用は、インターネットに限られるものではなく、LANやいわゆるパソコン通信などの比較的限定的なネットワークにもそのまま適用可能である。かかる観点から、以下の説明では、インターネット、LANなどを全て「ネットワーク」と総称するものとする。
実施例では、ネットワーク上で印刷を仲介システムの主機能は、ネットワークに接続されたサーバSVにより提供されるものとする。実施例では、クライアントコンピュータCC1,CC2や携帯電話CPなどが、ネットワーク上のプリンタPRT1,PRT2などのうち任意のプリンタを指定して印刷要求を出すと、その印刷要求は、一旦、サーバSVに送信される。サーバSVは、出力先のプリンタの動作状況の確認・設定、クライアントがそのプリンタにアクセスする権限があるか否かの確認などを行う。印刷を実行してもよいと判断すると、サーバSVは、クライアントから受け取っていた印刷要求に従って、印刷データをプリンタに送信し、印刷を行う。実施例では、このようにネットワーク上で、クライアントとプリンタとの間に仲介システムを介在させ、この仲介システムの制御によって自由度が高く、かつ確実な印刷を実現する数種類の方法を例示する。
以下の実施例では、基本的に仲介システムの機能のほとんどがサーバSVにより提供される場合を示すが、かかる機能は、通常、ソフトウェア的に実現されるものであり、複数のサーバが連動して実現することも可能である。従って、仲介システムは、必ずしも単一のサーバによって提供される必要はなく、複数のサーバによって提供されるものであっても構わない。
B.機能ブロック:
図2は実施例としての仲介システム1の機能ブロックを示す説明図である。先に説明した通り、仲介システム1は、ネットワーク上に設けられたサーバSV内にソフトウェア的に構築されている。図2は、ソフトウェアの構成を機能ブロックの形で示したものである。
仲介システム1には、基本ファンクションブロック10、基本サービスブロック20、プリンティングサービス30、リレーションサービス50、ナビゲーションサービス40、ディレクトリサービスブロック60、認証サービスブロック70、課金サービスブロック80の各機能ブロックが設けられている。図中の「S」はセキュリティシステムを示す。仲介システム1とデータの授受を行う機器としては、図1中のコンピュータCC1等に相当するクライアント5,図1中のSVA等に相当しWebページなどで情報を提供するコンテンツサービス120、図1中のプリンタPRT1,PRT2等に相当するプリンティング・サイト・コントロール・サービス100、プリンタ110がある。プリンティング・サイト・コントロール・サービス100とは、プリンタ110側に設けられた機能ブロックであり、主としてネットワークとのデータの授受を制御する機能を果たす。プリンタ110がコンピュータに双方向パラレルインタフェースなどでローカルに接続されている場合には、このコンピュータ上にプリンティング・サイト・コントロール・サービス100を構築することができるし、プリンタ110がNIC(Network Interface Card)やプリントサーバと呼ばれるアダプタ介してネットワークに接続されている場合には、NICまたはプリントサーバがプリンティング・サイト・コントロール・サービス100の機能を果たす。
B1.基本ファンクションブロック:
以下、仲介システム1に備えられた各機能ブロックの機能について説明する。図3は基本ファンクションブロック10の機能を示す説明図である。基本ファンクションブロック10は仲介システム1による印刷を行う際に必須となる機能を提供する機能ブロックである。基本ファンクションブロック10には、データ変換モジュール12、ステータス取得・設定モジュール14、ジョブコントロールモジュール16の3つの細部機能ブロックが備えられている。基本ファンクションブロック10には、ネットワークを介してクライアント5から、印刷対象となる印刷データを特定する印刷データ特定情報、出力先となるプリンタを特定する出力先特定情報などを含む印刷要求が入力される。
ジョブコントロールモジュール16は、仲介システム1に投入された印刷ジョブの制御を行う機能を果たす。例えば、複数の印刷要求があった場合には、それぞれの実行に優先度をつけて、逐次処理するように制御する。その他、印刷部数に関する制御、印刷の中断、中止、出力先の変更などに関する制御を行う。
ステータス取得・設定モジュール14は、第1に出力先として特定されたプリンタ110のタイプ、動作状況を確認する機能を奏する。プリンタ110の動作状況、例えばトナーの残量、印刷用紙の残量などを質問する質問データを、ステータス取得・設定モジュール14からプリンティング・サイト・コントロール・サービス100およびプリンタ110に送出し、その質問データに対するプリンタ110からの出力を解析することで動作状況を確認する。もちろん、かかる手法に限られるものではない。プリンタ110のタイプを始めとする変動の少ないデータに関しては、後述するディレクトリサービス60にプリンタ110の属性データとして登録されている情報を利用することも可能である。ステータス取得・設定モジュール14は、第2に必要に応じてプリンタ110の動作状態の設定、例えば用紙トレイの選択など印刷条件に適合した動作状態を確保するための設定を通信を介して行う機能を奏する。
データ変換モジュール12は、クライアント5から受け渡された印刷データをプリンタ110が印刷可能なデータに変換する機能を奏する。クライアント5は、印刷要求に含めて印刷対象となる印刷データを直接仲介システム1に送信する場合もあれば、印刷データの所在をネットワーク上で示す情報のみを印刷要求に含めて仲介システム1に送信する場合もある。一例としてコンテンツサービス120が提供するWebページの印刷について両者の態様を説明する。Webページは、コンテンツサービス120が提供するHTMLなどの言語で記載されたデータをクライアント5にダウンロードして表示するのが通常であるから、前者の例では、クライアント5にダウンロードされたデータ自体を仲介システム1に送信する態様となる。一方、Webページのデータは、URL(Uniform Resource Locator)と呼ばれるコードによって、ネットワーク上の所在が特定されるから、後者の例では、クライアント5からURLを仲介システム1に送信する態様となる。後者の場合、仲介システム1は、そのURLで指定されたコンテンツサービス120に格納されているデータを自ら取得し、データ変換モジュール12でデータ変換を行う。前者の態様としては、クライアント5が種々のアプリケーションプログラムを利用して生成した印刷データを仲介システムに送信する態様も挙げられる。後者の態様としては、いわゆるメールサーバに受信され電子メールを、メールサーバから直接印刷させる態様も挙げられる。
プリンタ110が印刷可能なデータへの変換は、通常、プリンタドライバと呼ばれるソフトウェアによって行われる。データ変換モジュール12の機能は、基本的には出力先として指定されたプリンタ110の型に適合したプリンタドライバを仲介システム1にインストールすることで実現される。但し、クライアント5から指定された印刷データは、種々のアプリケーションプログラムで作成されたデータ必ずしもプリンタドライバで直接扱うことができる形式になっているとは限らないため、レンダリングされたデータを生成する機能その他のアダプタ的な役割を果たすプログラムを用意しておくことが望ましい。
先に説明した通り、仲介システム1は、複数のサーバによって構成することも可能であるから、データ変換モジュール12が必ずしもサーバSV内に用意されている必要はない。データ変換モジュール12は以下に示す種々の態様で実現可能である。
図4はデータ変換の態様を示す説明図である。印刷データのリソースから送信されたデータを、仲介システム1の主機能が構築されたサーバSVが受け取って、出力先となるプリンタ110に出力する場合について、データ変換を行う部位に関するバリエーションを例示した。ここでは、ケースA〜Dの4ケースを示した。なお、以下では、説明の便宜のため、何ら変換を施されていないもとのデータを「印刷データ」と呼び、プリンタ110が直接印刷することができるデータを「プリンタ供給データ」と呼ぶものとする。
ケースAは、リソースでプリンタ供給データを生成する態様に相当する。クライアント5から直接印刷データが仲介システム1に送信される場合には、クライアント5がリソースに相当する。クライアント5からは印刷データの所在を示す情報のみが仲介システム1に送信される場合には、その情報に基づいて特定されるサーバがリソースに相当する。ケースAでは、これらのリソースにプリンタドライバがインストールされている態様に相当し、プリンタ供給データの形でデータが出力される。換言すれば、仲介システム1のデータ変換モジュール12がリソースに備えられている場合に相当する。ケースAでは、多種類の中から出力先のプリンタを選択可能である場合には、その種類に応じた数のプリンタドライバをリソースに用意しておく必要がある。
ケースBは仲介サーバSV内でプリンタ供給データを生成する態様であり、データ変換モジュール12がサーバSV内に設けられている態様に相当する。先に説明した通り、サーバSV内に出力先のプリンタ110の型に適合したプリンタドライバがインストールされている。ケースAと同様、多種類の中から出力先のプリンタ110を選択可能である場合には、その種類に応じた数のプリンタドライバを仲介サーバに用意しておく必要がある。ケースBでは、仲介システム1、即ちサーバSVに送信されるデータ形式は、図示する通り、HTML,XML、テキスト形式、JPEGその他の画像データなど、種々多様な形式であるが、仲介システム1からプリンタ110に出力されるデータはプリンタ供給データに統一される。
ケースCはプリンタ110側、厳密にはプリンティング・サイト・コントロール・サービス100においてデータ変換を行い、プリンタ供給データを生成する態様である。プリンティング・サイト・コントロール・サービス100にプリンタドライバがインストールされている。プリンティング・サイト・コントロール・サービス100が関与するプリンタ110の型は固定であるため、1種類のプリンタドライバのみを用意すれば済む。ケースCでは、リソースから仲介システム1を経由してプリンティング・サイト・コントロール・サービス100に供給されるデータ形式は、種々多様な形式であり、プリンタ110に供給される直前にプリンタ供給データの形式に統一されることになる。
ケースA〜ケースCでは、いずれもプリンタ110ごとに固有の形式で定義されたプリンタ供給データを生成する場合を例示した。これに対し、ケースDでは、汎用性のあるプリンタ供給データを生成する点でケースあ〜Cと相違する。本実施例では、ケースDにおけるプリンタ供給データとしてPostScript(登録商標)によって記述されたデータを生成する場合を例示した。PostScriptは汎用性の高いページ記述言語である。プリンタ110は、PostScriptで記述された内容をインタプリタによって逐次、解釈し実行することで、印刷を行う。ケースDでは、仲介システム1、即ちサーバSVに、印刷データからPostScriptデータを生成するソフトウェアを備える。プリンタ110がPostScriptを実行できるインタプリタを備えることが条件となるが、プリンタ110の型に依存しないため、複数種類のプリンタドライバを用意する必要がないという利点がある。なお、ケースDでは、サーバSVでPostScriptデータを生成する場合を例示したが、リソースまたはプリンティング・サイト・コントロール・サービス100でPostScriptデータを生成する態様を採ることも可能である。なお、汎用性のあるデータ形式であれば、PostScript以外の形式を用いても構わない。
このようにデータ変換機能12は、種々の態様で構成することができる。図4に示したケースA〜Dを併用するものとしてもよい。例えば、プリンタ110の型に適合したプリンタドライバをリソースが備える場合には、ケースAの態様でプリンタ供給データを生成し、プリンタ110がPostScriptに対応している場合にはケースDの態様でプリンタ供給データを生成するなど、プリンタの型に応じてケースA〜Dを使い分けるようにしてもよい。
B2.基本サービスブロック:
基本サービスブロック20は、クライアント5が仲介システム1、特に基本ファンクションブロック10にアクセスする際の入出力インタフェースとしての機能を果たす。図示を省略するが、基本サービスブロック20には、レジストレーションサービス、ベーシック・プリンティングサービス、ステータスサービスの3つの細部機能ブロックが用意されており、これらの細部機能ブロックによって上述の機能を実現する。
レジストレーションサービスと称する機能ブロックは、主として仲介システムを利用した印刷に関与するプリンタ110、コンテンツサービスの登録、管理をする。例えば、プリンタ110については、ネットワーク上での接続先、接続方法に関する情報、プリンタ110のタイプに関する情報、プリンティング・サイト・コントロール・サービス100に関する情報、プリンタ110へのアクセスを可否を判定するための認証条件などの基本情報の登録、管理を行う。また、これらの基本情報に基づいて、仲介システム1とプリンタ110との通信を管理する。コンテンツサービス120についても同様に、通信の方法、印刷データの種類、そこで提供される情報の印刷可否を判断するための認証情報、アクセスが許容されるプリンタ110のリスト、アクセスを許容する条件、情報を印刷する際の課金条件、印刷中にエラーが生じた場合の処理方法、アプリケーション・サービスの利用指定などの情報の登録・管理を行う。また、これらの情報に基づいて、コンテンツサービス120との通信を管理する。コンテンツサービス120に限らず、仲介システム1の利用を要求するクライアント、ユーザについても同様の情報を管理等する。なお、レジストレーションサービスが登録・管理する上述の情報は、それぞれ後述するディレクトリサービス60において保持されている。
ベーシック・プリンティングサービスは、実際に印刷を実行する際のインタフェースに相当する機能を果たす部分である。先に説明した基本ファンクションブロック10に備えられた細部機能ブロック、即ち、データ変換モジュール12、ステータス取得・設定モジュール14、ジョブコントロールモジュール16を制御して印刷を実行する機能を奏する。例えば、印刷要求に応じてレジストレーションサービスを利用して必要な認証を行った上で、印刷データのデータ変換、プリンタ110のステータスの確認および設定を行い、指定されたプリンタ110にデータを出力する。
ステータス・サービスは、出力先となるプリンタ110のステータス管理を行う。印刷時に行われる動作状況の確認だけでなく、プリンタ110の保守管理をするためのステータス情報を取得・管理する。例えば、プリンタ110のトナーや印刷用紙などの消耗品に関する情報、ドラムなどの交換部品の更新に関する情報を取得・管理し、必要に応じて出力する。この情報を利用することで、仲介システム1の運用者は、プリンタ110の消耗品や交換部品を統合的に管理することができる。
B3.ディレクトリサービス:
ディレクトリサービス60は、仲介システム1を利用した印刷に関与するプリンタ110、コンテンツサービス、印刷データの種類、クライアント、ユーザなどをオブジェクトとして捉え、その属性を保持する機能を奏する。図5はディレクトリサービス60の概要を示す説明図である。ディレクトリサービス60には、オブジェクトの属性データを保持するファイルが用意されている。図中には、仲介システム1を利用するユーザに関する属性ファイルを例示した。ファイルf1,f2・・・f5で示す通り、各ユーザに対応した属性情報ファイルがそれぞれ用意されている。各ファイルには、ユーザに対応する属性情報として、例えば、ユーザ名、認証情報、アクセスが許容されているプリンタ110などの情報が記憶されている。
図5には、ユーザに関する属性情報を示したが、ディレクトリサービス60には、同様の形式でその他のオブジェクトについても属性を記憶している。これらの属性情報を参照することにより、ユーザごとにいかなる課金条件を適用すべきかなどの判断を容易に行うことができる。また、属性情報を変更することにより、料金コースの変更などに容易かつ柔軟に対応して課金条件を変更することができる。課金サービスブロック80は、ディレクトリサービス60を利用して、こうした課金条件の判断や課金を行う機能を奏する。
ディレクトリサービス60を利用する機能ブロックとしては、その他、認証サービスブロック70が挙げられる。認証サービスブロック70は、ディレクトリサービスブロック60に保存されたファイルのうち、ユーザに関する属性ファイルを参照し、認証情報に基づいて、印刷要求を出したユーザが指定されたプリンタ110にアクセスする権限があるユーザか否かを判定する機能を奏する。認証の厳密性は、出力先として指定されたプリンタ110ごとに変更してもよい。
ディレクトリサービス60に保存された属性情報を利用する機能ブロックは、図2中に例示した課金サービスブロック80、認証サービスブロック70に限らず、種々の機能ブロックを構築可能である。
B3.プリンティングサービス:
プリンティング・サービス・ブロック30は、仲介システム1を利用した高度な印刷を提供する機能を奏する。例えば、印刷データを予め登録された複数のプリンタに、一定の時刻に出力する態様での印刷を行うことができる。指定された印刷データのサイズが非常に大きい場合には近接して配置された複数のプリンタに分割して出力するものとしてもよい。印刷中にエラーが生じた場合に、印刷をやり直す機能を提供したり、出力先を変更して印刷を再度実行するものとしてもよい。このように、プリンティング・サービス・ブロック30は、基本ファンクションブロック10,基本サービスブロック20のみでは実現されない高度な印刷制御を提供する。プリンティング・サービス・ブロック30自体の主な機能としては、上述した態様で印刷を行う高度なジョブコントロールにあり、印刷を行う際に必須の機能は基本ファンクションブロック10、基本サービスブロック20を活用する。
B4.リレーションサービス:
リレーションサービス50は、仲介システムを経由して行われる印刷状況を取得、記録し、活用可能な統計データを提供する機能を奏する。既に説明した種々の機能ブロックにより、仲介システム1は、いかなるユーザが、いかなる印刷データを、いかなる出力先に印刷させたかを把握することができる。リレーション・サービス50は、こうした印刷実績の主たる情報を蓄積し、統計処理する。こうして得られた統計データを活用すれば、例えば、プリンタごとの稼働率の違いを把握することができ、プリンタの保守管理に活用することができる。また、稼働率が高いプリンタ付近にプリンタを増設するように働きかけることもできる。さらに、各ユーザがいかなるコンテンツサービスを利用しているかを把握することも可能であり、各ユーザの趣向に沿った情報の所在を提供することもできる。また、各コンテンツサービスに、利用状況を提供することによって、コンテンツサービスの内容の充実化に寄与することもできる。このようにリレーションサービスは、仲介システム1の利用実績を、各種サービスの向上に活用するための機能を奏する。
B5.ナビゲーションサービス:
ナビゲーションサービスブロック40は、ユーザに対し、仲介システム1の利用に助ける情報を提供する機能を奏する。仲介システム1におけるヘルプ機能に相当する。例えば、仲介システム1を利用した印刷の実行方法に関する情報、利用可能なプリンタやコンテンツサービスの一覧などを提供することができる。
以上で説明した各機能ブロックを備えることにより、実施例の仲介システム1は、ネットワーク上でクライアント、プリンタ間で自由度が高く、かつ確実な印刷を実行することができる。また、これに伴って高度な印刷機能を実現することもできる。さらに、プリンタ110の保守管理を容易に行うことができ、消耗品の補給や部品の交換を効率的に行うこともできる。また、印刷実績を活用することにより、仲介システム1を経由した印刷の質的向上、仲介システム1に関与する種々のサービスの質的向上を図ることができる。
C.印刷実行例:
以下に本実施例の仲介システムを利用した印刷の実行例について説明する。仲介システムを利用した印刷の態様は、印刷データが保持されているリソースの種類と出力先の種類に応じて大きく分類することができる。図6は仲介システムを介した印刷態様の分類を示す説明図である。リソースの分類としては、クライアント以外のサーバがリソースとなる場合と、クライアント自体がリソースとなる場合とがある。前者は、例えば、メールサーバ内のメールを直接印刷する態様や、Webページの情報を直接印刷する態様などが相当する。後者の態様は、クライアント5が種々のアプリケーションで作成した文書を印刷する態様、メールやWebページのデータを一旦クライアント5にダウンロードした上で印刷を行う態様が相当する。
出力先の分類としては、プリンタ110がユーザの管理外にある場合と、ユーザの管理下にある場合とに分けられる。ユーザの管理外にあるプリンタ110とは、公共の場に設置されたプリンタ110である。例えば、コンビニエンスストアなどにプリンタ110を設置し、これを利用する場合が相当する。ユーザの管理したにあるプリンタとしては、自己が家庭で所有するプリンタ、オフィスで使用するプリンタなどが相当する。
図6に示す通り、リソースの分類、出力先の分類に応じて印刷の態様が大きく4つに分類することができる。第1の分類は、リソースがクライアント以外、出力先がユーザの管理外にある場合であり、態様1「電子メールの印刷」、態様2「Webページの印刷」、態様3「チケットの印刷」などが該当する。第2の分類は、リソースがクライアント自体、出力先がユーザの管理外にある場合であり、態様4「作成文書の印刷」が該当する。第3の分類は、リソースがクライアント以外、出力先がユーザの管理下にある場合であり、態様5、6「新聞配信」が該当する。第4の分類は、リソースがクライアント自体、出力先がユーザの管理下にある場合であり、態様7「データ加工印刷」が該当する。もちろん、これらの態様に限定されず、各分類とも多種多様な態様で印刷を行うことが可能である。
以下に各態様について、その内容を説明する。なお、印刷要求を出すクライアントに相当する機器としては、いわゆる汎用コンピュータと、携帯電話などの携帯端末とが考えられるが、態様に応じて、より利便性が高いと考えられる方を用いて説明した。汎用コンピュータ、携帯電話のいずれを用いても印刷を行うことができる。
C1.態様1 電子メールの印刷:
図7は仲介システムを利用して電子メールの印刷を行う様子を示す説明図である。一例として、ユーザが、電子メールにアクセスする機能を有する携帯電話CPからの操作によって、自己宛の電子メールを印刷する場合について示した。プリンタは公共の場、例えばコンビニエンスストアを始めとする店舗、ホテル、公共の会館などに設置されたプリンタを利用する場合を考える。これは、公共の場に設置されたプリンタを利用するときに有用性が高いと考えられることに依るものであり、家庭またはオフィスなど、自己の管理下にあるプリンタを利用することも可能である。ここでは、携帯電話CPがクライアントに相当するが、クライアントとしてコンピュータを利用することも可能である。
電子メールの印刷時には、クライアントに相当する携帯電話CP、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、メールサービスRM、メールサーバMSが介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。図7では、説明の便宜上、Cm1,Cm2など2者間の通信をいくつか示したが、要素間の通信がこれらに限定される訳ではなく、またこれらの通信に固有の回線が設けられている訳でもない。仲介サービスPSは、ハードウェア的には仲介システムを構築するサーバであるが、そのサーバを用いて提供される機能全般を含めて仲介サービスPSと称するものとする。メールサービスRMも同様に、ネットワーク上のサーバを利用して提供されるサービスを含めた意味で用いる。
出力先となるプリンタPRTは、予め仲介サービスPSに登録され、仲介サービスにより固有の識別番号が与えられている。図7の例では、プリンタPRTの識別番号は「1111」である。この識別番号は、ネットワーク上でプリンタPRTを特定する情報、例えばTCP/IPプロトコルで用いられるIPアドレス、IPPプロトコルで用いられるURIと呼ばれるコードとは無関係に仲介サービスが設定したコードである。後述する通り、仲介サービスを利用するユーザは、出力先のプリンタPRTを、この識別番号で指定する。一般ユーザに公開される識別番号を、ネットワーク上でプリンタPRTを特定する情報と無関係に設定することにより、プリンタPRTの所在をネットワーク上で秘匿し、不正なアクセスを抑制することができる。
仲介サービスPSとメールサービスRMとは、別の業者が提供するものとして構わない。両者が予め関連づけられていればよい。メールサービスRMでは、提供するサービスの一環として仲介サービスPSを利用した印刷に必要な機能を提供する。例えば、仲介サービスPSを利用した印刷の実行をユーザが指定するためのインタフェースの提供や、印刷に必要なデータを仲介サービスPSに転送する機能などが含まれる。
電子メールの印刷の実行方法について、図8〜図11を参照しつつ説明する。図8は電子メールの印刷シーケンスの前半部を示す説明図である。図9は電子メールの印刷シーケンスの後半部を示す説明図である。図10は電子メールの印刷時に前半部で利用されるインタフェース例である。図11は電子メールの印刷時に後半部で利用されるインタフェース例である。
最初にユーザは、携帯電話CPからメールサービスRMにアクセスする(図7中の通信Cm1)。メールサービスRMは、電子メールを蓄積するメールサーバMSにアクセスし、ユーザ宛の電子メールに関するデータを取得し、送信者、件名などの事項を携帯電話の端末に表示する(図7中の通信Cm2)。ユーザは、表示された件名一覧から、印刷すべき電子メールを選択し、メールサービスRMに送信する(図8中のステップst1参照)。
図10の左側には、電子メールの選択を行う際のインタフェース例を示した。携帯電話CPの表示部DISPに、図示する通り、自己宛の電子メール一覧がチェックボックスと共に表示される。この例では、Mail1・・Mail4の4通のメールが届いていることが表示されている。ユーザは、携帯電話CPのカーソルキーを操作して、印刷を要求する電子メールのチェックボックスにチェックマークをつける。ここでは、Mail2,Mail4の2つにチェックマークをつけた場合を例示した。電子メールの一覧表示には、図10に示す通り、併せて「印刷」ボタンが表示される。ユーザは、印刷を要求する電子メールにチェックマークをつけた後、カーソルを「印刷」ボタンに移動させて、このボタンを押すことにより、メールの選択結果をメールサービスRMに送信することができる。インタフェースは例示に過ぎず、受信した電子メールのうち印刷すべき電子メールを選択する機能、選択結果を確定してメールサービスRMに送信する機能の2つを実現する種々のインタフェースを適用可能である。携帯電話ではなくコンピュータをクライアントとして利用する場合には、表示部のサイズに余裕があるため、図10に示した内容よりも更に多くの情報を表示、設定可能なインタフェースを構築することも可能である。
図8に示す通り、メールサービスRMは、メールの選択結果を受け取ると、図7中に示す通信Cm2によってメールサーバMSにアクセスして、選択された電子メールの本文データを取得する(図8中のステップst2,st3)。図10の例では、このステップを実行することにより、Mail2,Mail4の本文データがメールサービスRMに一旦、蓄積されることになる。なお、電子メールにはいわゆる添付ファイルが存在することがある。メールサービスRMは、ステップst2,st3で添付ファイルのデータも併せて取得する。
次に、メールサービスRMは、図7中の通信Cm3により、印刷すべき電子メールのデータを仲介サービスPSに転送する(図8中のステップst4)。仲介サービスPSは印刷データの量などの情報に基づき、印刷ページ数、費用、所要時間などを概算し、簡易印刷予測情報としてメールサービスRMに返信する(図8中のステップst5)。概算としたのは、出力先や印刷モードなどの詳細な条件が特定されない段階では、求めた費用、所要時間などに誤差が含まれる可能性があるからである。ステップst5では、標準的な印刷条件を仮定して、費用その他を演算する。なお、ステップst4において、メールサービスRMから仲介サービスPSに転送されるデータは、簡易印刷予測情報の算出に足る範囲の情報であればよい。従って、必ずしも印刷すべき電子メールのデータ全てを転送する必要はなく、電子メールのデータ量、カラーか白黒かの判別コードなどの情報のみを送信するものとしてもよい。電子メールに添付ファイルが存在する場合には、そのデータフォーマットを解析し、印刷可能なファイルであるか否か、およびそのサイズを併せてフィードバックする。
メールサービスRMは、仲介サービスPSから受信した簡易印刷予測情報を携帯電話CPに表示する(図8中のステップst6)。図10の右側に簡易印刷予測情報の表示例を示した。ここでは、ユーザが指定した電子メールごとに印刷ページ、費用、所要時間を表示する場合を例示した。ユーザが指定した電子メールの全てについてトータルの値を表示するものとしてもよい。表示する情報は、図10に例示した内容に限らない。図10中の一部の情報のみを表示するものとしてもよい。
ユーザは表示された簡易印刷予測情報を確認して、印刷の実行を継続するか否かを判断する。印刷を実行する場合には、ユーザは、印刷の開始指示を行う(図8中のステップst7)。図10に示す通り、簡易印刷予測情報とともに、表示部DISPには、「実行」ボタンが表示されており、ここにカーソルを移動させて、このボタンを押すことにより実行指示を行うことができる。実行指示は、この他、種々の方法を適用でき、表示部に表示されたボタンではなく、携帯電話に本来備えられているいずれかのボタンを利用してもよい。
ユーザからなされた実行指示は、図7中の通信Cm1,Cm3により、メールサービスRMを経由して仲介サービスPSに送信される(図8のステップst7)。これとともに、メールサービスRMから仲介サービスPSに印刷データ、即ち電子メールの本文および添付ファイルが送信される。簡易印刷予測情報の算出時にステップst4において、印刷データを全て仲介サービスPSに送信済みの場合は、印刷開始指示のみが送信される。この指示により、メールサービスRMは、携帯電話CPとの通信を完了し、以後の通信は、図7中の通信Cm4、即ち、携帯電話CPと仲介サービスPSとの間で行われる。
仲介サービスPSは、印刷開始指示を受け取ると、印刷に関する標準メニューを携帯電話CPに表示する(図8中のステップst8)。図11の左側に標準メニューの例を示した。標準メニューでは、印刷対象となるコンテンツ、印刷部数、出力先のプリンタなど、印刷に関する条件を指定することができる。コンテンツとは、携帯電話CPからWebページの印刷を指示する際に、そのURLを入力するメニューである。図11の例では、コンテンツ、印刷部数、プリンタなどのメニューから条件を指定したいメニューをカーソルで選択することにより、入力ボックスが現れる。図11には、出力先のプリンタを特定する場合を例示した。「プリンタNo.」のメニューを選択すると、出力先のプリンタに付された識別番号を入力するためのボックスIPが表示される。図7に示した例では、先に説明した通り、出力先のプリンタPRTに付された識別番号は「1111」であるため、図11に示す通り、ボックスIPには、「1111」を入力する。ここでは、「プリンタNo.」の入力を例にとって説明したが、その他のメニューについても同様である。ユーザが、出力先のプリンタを特定して「送信」ボタンを押すと、図7中の通信Cm4によりプリンタの識別番号が仲介サービスPSに送信され、出力プリンタの指定を行うことができる(図8のステップst9)。併せて印刷部数などの条件も送信される。
先に説明した通り、出力先のプリンタPRTは、IPアドレス、URIなどネットワーク上での所在を示す情報、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどプリンタのタイプに関する情報その他の属性情報が予め仲介サービスPSに登録されている。この属性情報は、仲介サービスPSにおいては、先に図2で説明したディレクトリサービスブロック60により管理されている。仲介サービスPSは、この属性情報に基づき、指定された印刷条件で印刷を行った場合の詳細な印刷予測情報を算出し、図7中の通信Cm4を利用して携帯電話CPにその内容を表示する(図8のステップst10)。
ユーザは、表示された印刷予測情報を確認した上で、印刷の実行を指示する(図9のステップst11)。本実施例では、ユーザ固有のパスワードを入力することにより印刷の実行を指示するものとした。この入力は、ユーザが印刷条件に合意したことの意思表示ともなる。図11の中央に、パスワードを入力するインタフェースを例示した。図示する通り、詳細な印刷予測情報として費用、所要時間が表示された後、パスワードの入力をするためのボックスが表示される。ユーザは、自己のパスワードを入力し、送信ボタンを押すことで、仲介サービスPSにデータを送信する。パスワードは「****」で表示されるものとしたが、入力された数字等をそのまま表示するものとしてもよい。なお、印刷予測情報の表示と併せて出力先として指定したプリンタの識別番号を表示することも好ましい。かかる表示により、識別番号の入力ミスに起因してユーザが意図しない場所で印刷が行われることを回避することができ、電子メールなど個人的情報の印刷時における機密性の保持に資することができる。
ユーザのパスワードは、仲介サービスPSにおいては、先に図2、図5で示した通り、ディレクトリサービスブロック60によって、ユーザの属性情報の一つとして、予め登録され、管理されている。仲介サービスPSは、属性情報を参照して、パスワードが真正なものであり、指示されたプリンタPRTへのアクセス権限を有する者であることを確認すると、携帯電話CPに印刷開始画面を表示する(図9のステップst12)。それと並行して、図7中の通信Cm5により、仲介サービスPSは、出力先として指定されたプリンタPRTに所定のバナーデータ、即ち広告データを送信し、広告の印刷を実行する(図9のステップst13)。先に説明した通り、仲介サービスPSは、プリンタの識別番号の属性情報として、ネットワーク上でこのプリンタを特定するための情報を保持しているため、この属性情報を利用して、通信Cm5によるデータ送信を実行することができる。広告データからプリンタが印刷可能なデータへの変換は、仲介サービスPSのデータ変換モジュール12により実現されるが、この機能は先に図4で説明した種々の態様で実現可能である。この広告データは、仲介サービスPSによるバナー印刷を希望する種々の業者から提供されたデータである。また、携帯電話CPにバナーページの印刷がなされたか否かの確認を促す表示を行う(図9のステップst14)。図11の右側に表示例を示した。
バナーの印刷には、第1に、広告を希望する業者から広告料収入を得ることができ、仲介サービスPSを利用するユーザのコストを低減することができるという経済的な利点がある。第2に、機密性を要する電子メールの印刷を実行する前の試し印刷としての利点がある。出力先の指定にミスがあっても機密上の問題が生じないバナー印刷を最初に行い、その印刷が確実になされたことを確認した上で、目的とするデータを印刷することにより、仲介サービスPSによる印刷利用時の安全性、機密性を確保することができる。
ユーザは、バナーが印刷されると、図11に示した「OK」ボタンを押し、仲介サービスに対してバナーの印刷が確認されたことを示す入力を行う(ステップst15)。仲介サービスPSは、この入力を確認すると、メールサービスRMから受信して蓄積してあった電子メールのデータを、図7の通信Cm5により、出力先のプリンタPRTに送信する(図9のステップst16)。電子メールのデータからプリンタが印刷可能なデータへの変換は、仲介サービスPSのデータ変換モジュール12により実現されるが、この機能は先に図4で説明した種々の態様で実現可能である。こうして電子メールの全データの送信が終了し、印刷が完了すると、仲介サービスPSは、印刷に要した料金データを課金先に出力して、一連の処理を終了する(図9のステップst17)。
課金先については、種々多様な設定が可能であるため、図7には敢えて図示していない。例えば、メールサービスRMが有料のサービスである場合には、メールサービスRM側で課金処理をするものとしてもよい。この場合、課金情報は、メールサービスRMに送信されることになる。携帯電話CPの運用会社で課金処理をするものとしてもよい。仲介サービスPSにおいて、先に図2で示した課金サービスブロック80によって処理するものとしてもよい。プリンタPRTを設置している店舗などで精算するものとしてもよい。この他にも種々の態様で課金処理を行うことが可能である。
上述の例では、仲介サービスPSは単一のサーバ内で構築される場合を示した。仲介サービスは、複数のハードウェアから構成することもできる。一例として、仲介サービスF、仲介サービスBの2つのハードウェアを用いて仲介サービスを構築した場合のシーケンスについて変形例として説明する。ここで、仲介サービスFは、主として外部とのやりとりを行う機能を果たす部分であり、仲介サービスBは比較的複雑な演算を高速に処理するためのコンピュータであるものとする。
図12〜図14は変形例における電子メールの印刷シーケンスを示す説明図である。全体の処理概要は、図8および図9で示した印刷シーケンスと同様である。変形例では、仲介サービスPSが果たす機能について、仲介サービスFと仲介サービスBとのやりとりが必要になる点で図8,9のシーケンスと相違する。
変形例においても、先に説明したステップst1〜st4により、メールサービスRMから仲介サービスFに印刷データが送信される。仲介サービスFは、簡易印刷予測情報を求めるため、その演算に必要なコンテンツ情報を仲介サービスBに出力する(ステップst41)。仲介サービスBはこの情報に基づいて簡易印刷予測情報を求め、仲介サービスFに返信する(ステップst42)。以後、携帯電話CPへの簡易印刷予測情報の表示など実施例と同様のステップで処理が進む(ステップst5〜st8)。ユーザから仲介サービスFに対し、出力プリンタの指定がなされると(ステップst9)、仲介サービスFは詳細な印刷予測情報を求めるため、コンテンツ情報やプリンタの指定に関する情報を仲介サービスBに出力する(ステップst91)。仲介サービスBは、この情報に基づき、プリンタのステータス、即ち動作状況を確認し(ステップst92,st93)、詳細な印刷予測情報を算出して、その結果を仲介サービスFに返信する(ステップst94)。動作状況の確認には、プリンタに備えられている印刷用紙、トナーなどの消耗品が、指定されたコンテンツの印刷に足る量だけ残っているか否かの確認が含まれる。消耗品の残量が十分でない場合など印刷に不備が生じるおそれがある場合には、仲介サービスBは仲介サービスFを介して、携帯電話CPに「消耗品不足により印刷できない」旨を表示する。これに伴って、印刷仲介サービスFは、印刷の実行を停止する。
印刷に不備が生じないと判断される場合には、仲介サービスFは、こうして得られた詳細印刷予測情報の表示、パスワードの入力、印刷開始画面の表示を行い(ステップst10、st11、st12)、バナー印刷を開始する。このために仲介サービスFは、バナーデータを仲介サービスBに送信する(ステップst131)。この時点では、バナーデータはHTML、XMLその他プリンタで直接印刷することができないデータである。仲介サービスBは、プリンタのタイプに適合したデータ変換プログラム、即ち、プリンタドライバを用いてこのバナーデータを変換し、プリンタに出力する(ステップs132)。プリンタからは、バナー印刷の結果報告を受ける、換言すれば、印刷が無事完了したか否かの判断を行う(ステップs133)。仲介サービスBとプリンタとは、バナ印刷時に常時、双方向に通信しながら、データの授受を行っているから、バナーデータがエラーにならずに送信完了した時点で、仲介サービスBはバナー印刷が無事完了したものと判断することができる。その後、仲介サービスBは、印刷の結果を仲介サービスFに送信する(ステップst134)。
仲介サービスFは、バナーページの印刷表示、および結果の確認入力を促し、バナーページの印刷が確認されると(ステップst14,st15)、電子メールの印刷にかかる。その手順は、バナー印刷と同様であり、仲介サービスFから、一旦、仲介サービスBに電子メールのデータが送信され、仲介サービスBでプリンタで印刷可能な形式に変換された上でプリンタに送信される(ステップst161,st162)。また、印刷が正常に完了したか否かの確認が行われる(ステップst163,st164)。印刷が完了すると、仲介サービスFは、料金データを課金先に送信する(ステップst17)。
仲介サービスの機能は、このように複数のハードウェアに分割して実現することもできる。変形例では、仲介サービスF、仲介サービスBの2つに分割した場合を例示したが、更に多くに分割しても構わない。変形例では、仲介サービスBでプリンタ用データへのデータ変換を行ったが、先に説明した通り、仲介サービスに供給される前に変換を行うものとしてもよいし、プリンタ側で変換するものとしてもよい。
第1の態様として説明した電子メールの印刷で示したシーケンスは、一例に過ぎず、必ずしも全ての処理が必須とは限らない。例えば、簡易印刷予測情報の表示(図8中のステップst5〜st7)を省略してもよい。バナーページの印刷(図9中のst12〜st15)を省略してもよい。または、ユーザがバナーページの印刷の有無を選択可能にしてもよい。
C2.態様2 Webページの印刷:
図15は仲介システムを利用してWebページの印刷を行う様子を示す説明図である。一例として、ユーザが携帯用のコンピュータPCで閲覧中のWebページを宿泊先、即ちコンピュータPCとローカルに接続されたプリンタが存在しない状況で印刷する場合について示した。出力先となるプリンタは宿泊先に設置されたプリンタを利用する。もちろん、宿泊先である必要はなく、家庭またはオフィスなど、自己の管理下にあるプリンタを利用することも可能である。ここでは、コンピュータPCがクライアントに相当するが、クライアントとして携帯電話を利用することも可能である。
態様2では、クライアントに相当するコンピュータPC、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、閲覧中のWebページのデータを提供するWebサーバWSが介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。出力先となるプリンタPRTは、第1の態様と同じく、予め仲介サービスPSに登録されているものとする。
ユーザは、図15中の通信Cm21により、WebサーバWSからコンピュータPCにデータをダウンロードし、ブラウザでWebページを閲覧することができる。ユーザが閲覧中のWebページの印刷を望む場合には、仲介サービスPSにアクセスして、宿泊先のプリンタPRTを指定した印刷を実行する。
仲介サービスPSへのアクセスは、種々の態様で実現可能である。例えば、WebサーバWS側で仲介サービスを利用した印刷の開始を指示するためのボタンを用意する方法が挙げられる。態様1において、電子メールの一覧とともに「印刷」ボタンを表示するインタフェースを例示した(図10参照)。これと同様の形式でWebページの片隅に「印刷」ボタンを表示すればよい。このボタンが押された時には、表示中のデータを仲介サービスに転送するようにWebページを構成しておけば、態様1と同様のシーケンスによって印刷を実現することができる。
態様2では、Webページ側に特別なボタン等の表示を要しない例を示す。図16は態様2において仲介サービスを介した印刷を指定するインタフェース例を示す説明図である。ブラウザの表示画面の様子を示した。旅行クーポン券、粗品引換券を含む旅行会社のWebページである。コンピュータPCにローカルに接続されたプリンタが用意されている場合、ユーザは「ファイル」メニュー中に用意された「印刷」メニューで印刷を実行することが多い。態様2では、これと同様のインタフェースにより仲介サービスPSを利用した印刷を実現する。図示する通り、ユーザが「ファイル」メニューをクリックすると、プルダウンメニューとして新規作成、開く等のメニューが現れる。この中に仲介サービスPSを利用した印刷の実行を意味する「ネット印刷」メニューが用意されている。ユーザが「ネット印刷」メニューをクリックすると、仲介サービスが提供するWebページ(ここでは、「ネット印刷仲介サイト」と呼ぶものとする)に移動することができる。この際、現在表示している旅行会社のWebページのURL情報も「ネット印刷仲介サイト」に送信される。かかる処理は、例えば、ユーザ側のコンピュータPCのブラウザに予めソフトウェアを組み込んでおくことにより容易に実現される。このためのソフトウェアは、「ネット印刷仲介サイト」からダウンロード可能に公開しておけばよい。かかるインタフェースは、Webページに特別なボタンを用意する必要がないという利点、およびローカル接続されたプリンタへの印刷時と同様の操作感覚で仲介サービスを介した印刷を実現できる利点がある。
図17はネット印刷を選択した際に表示される画面の様子を示す説明図である。仲介サービスが提供するWebページがブラウザで表示されている様子を示している。これは、仲介サービスを利用した印刷の条件を指定するためのインタフェースに相当する。態様2では、Webページの印刷を行うため、印刷データはURLでその所在を特定する。このWebページに移動する際に、ユーザが閲覧していた旅行会社のWebページのURL情報が送信されているため、印刷データにはこのURLがデフォルト情報として表示される。
「ネット印刷仲介サイト」では、出力先となるプリンタを指定する入力ボックスも設けられている。ここに態様1の場合と同様、プリンタの識別番号を入力して特定する方法を採ることも可能であるが、態様2では態様1と異なる形式のインタフェースを例示する。
ユーザがプリンタを指定するボックス部をクリックすると、愛知、岐阜、長野・・のように広域的に分類されたメニューが表示される。出力先のプリンタが愛知県にある場合には、ユーザが「愛知」の部分をクリックすると、名古屋北区、名古屋西区など県内で地域別に分類されたメニューが表示される。出力先のプリンタが位置する「名古屋中区」をクリックすると、仲介サービスPSに登録されたプリンタの所在が表示される。ユーザは、宿泊先のホテル名を選択することにより、出力先のプリンタPRTを特定することができる。このように仲介サービスPSで利用可能なプリンタを階層的に選択可能とすることにより、プリンタの識別番号が分からない状況でもプリンタを特定することができる。また、識別番号を用いる場合と同様、プリンタをネットワーク上から秘匿し、不正なアクセスを回避することができる利点もある。
こうして印刷データの所在、出力先を含む印刷条件を指定すると、ユーザは「印刷開始」ボタンをクリックする。これにより、ユーザが指定した印刷条件は、図15中の通信Cm23によって仲介サービスPSに送信される。仲介サービスPSは、印刷データに含まれたURLに基づいて、図15中の通信Cm22によって、WebサーバWSにアクセスし、印刷すべきWebページのデータを取得することができる。
その後のシーケンスは、態様1と同様である。仲介サービスPSは、通信Cm23でコンピュータPCに印刷情報の表示、パスワードの入力、印刷実行の確認などを行う。印刷の実行が指示されると、通信Cm24によって、プリンタPRTに、バナーデータを送信し、バナー印刷を行った後、Webページの印刷を実行する。バナーデータ、WebページのデータからプリンタPRTで印刷可能なデータへの変換は、図4で示した種々の態様で実現可能である。また、印刷情報の表示、バナー印刷については省略するものとしてもよいし、ユーザの選択に依存するものとしてもよい。単純にバナーとWebページとを併せて印刷する態様、即ち、バナー印刷は実行するが、その印刷が行われたか否かの確認を行わずにWebページの印刷も実行する態様をとってもよい。
態様2では、コンピュータPCによる印刷指示を例にとって説明したが、図16,図17に示したインタフェースはクライアントがコンピュータPCである場合に限定されるものではなく、携帯電話をクライアントとする場合にも類似のインタフェースを適用することが可能である。Webページの印刷は、態様2のインタフェース、およびシーケンスに限定されるものではなく、態様1と同様のインタフェース、シーケンスによっても実現可能である。
C3.態様3 チケットの印刷:
態様1,態様2では、通常の用紙に印刷することを前提とした例を示した。態様3では、印刷用紙が特殊な専用紙に限定されている場合について例示する。一例として、チケットの印刷について示す。ユーザは、予めオンラインまたは電話でチケットセンターにアクセスし、コンサート等のチケットの予約をする。この際には、チケットセンターから予約番号が知らされる。その後、ユーザは、再びチケットセンターにアクセスし、予約番号を指定した上で仲介サービスを介してチケットの印刷を行う。但し、チケットは有価証券の一種であるため、普通紙への印刷は認められず、チケット印刷用に用意された専用の用紙に印刷する必要がある。態様3では、かかる印刷を実現する方法について例示する。
図18は仲介システムを利用してチケットの印刷を行う様子を示す説明図である。ユーザがチケット印刷可能なプリンタが設置された店舗に出かけ、Webページにアクセスする機能を有する携帯電話CPからの操作によって、チケットを印刷する場合について示した。かかる状況での印刷指示に適している携帯電話CPをクライアントとする場合を例示するが、コンピュータをクライアントとして利用することも可能である。
チケットの印刷時には、クライアントに相当する携帯電話CP、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、チケットセンターTCのサーバが介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。印刷のシーケンスは、態様1における電子メールの印刷と同様である。
ユーザは、携帯電話CPから図18中の通信Cm31によってチケットセンターTCが提供するWebページにアクセスする。ユーザは、このWebページで、予約番号を指定し、「印刷」ボタンを押して印刷を指示する。印刷が指示されると、図18中の通信Cm32によって、チケットセンターTCは、指定された予約番号に対応したチケットの印刷データを仲介サービスPSに送信する。その後は、携帯電話CPと仲介サービスPSとの間で情報のやりとりが行われる。
図19はチケット印刷時の仲介サービスの処理内容を示すフローチャートである。仲介サービスPSはチケットセンターTCからチケットの印刷データを入力すると(ステップS10)、出力先となるプリンタの識別番号を入力する(ステップS12)。ユーザが、図11の左側に示したのと同様のインタフェースで指定した識別番号を、図18中の通信Cm33を介して受信するのである。
次に、仲介サービスPSは、プリンタの識別番号に基づいて、ディレクトリサービスブロック60に登録された属性情報を参照し(ステップS14)、指定されたプリンタがチケット印刷に対応しているか否かを確認する(ステップS16)。チケット印刷に対応しているか否かが属性情報の一つとして予め記憶されているのである。ここで、チケット印刷に対応しているプリンタとは、通常の印刷トレイPTnの他にチケット専用の印刷トレイPTtを備えたプリンタをいう。かかるプリンタについては、チケット専用の印刷トレイPTtのトレイ番号もプリンタごとの属性情報として記憶されている。
仲介サービスPSは、ユーザから指定されたプリンタがチケット印刷に対応していないプリンタである場合には、プリンタの変更指示を携帯電話CPに表示し(ステップS18)、再度プリンタの識別番号入力を実行する(ステップS12)。
ユーザから指定されたプリンタがチケット印刷に対応しているプリンタである場合には、パスワードを入力して真正な利用者であることを確認し(ステップS20)、チケット専用の用紙トレイPTtを選択する信号をプリンタに出力し(ステップS22)、チケットの印刷データをプリンタに出力する(ステップS24)。用紙トレイPTtの選択は、プリンタごとに登録された属性情報に基づいて行われる。用紙トレイの選択制御は、仲介サービスPS内のステータス取得設定モジュール14(図3参照)により実現される。
ここでは、シーケンスを簡略化して説明したが、印刷予測情報の表示、バナー印刷の確認などを行うものとしてもよい。チケット印刷では、印刷物が本人の元に渡ることを保証する必要性が通常の印刷時よりも高いため、バナー印刷は試し印刷としての有効性が高い。態様1では、バナーの確認を「OK」ボタンで行う場合を例示したが、本人が印刷物を手に取ることができる状態にあることの確認のため、ランダムに設定されたパスワードをバナーとともに印刷し、図11における「OK」ボタンに代えて、このパスワードを入力するようにしてもよい。バナー印刷を行う際には、通常の用紙トレイPTnを使用するように用紙トレイの選択を制御することも望ましい。
C4.態様4 作成文書の印刷:
態様1〜態様3では、仲介サービスPSを利用して印刷を行うユーザおよび出力先となるプリンタの双方が仲介サービスに予め登録されているものとして説明した。態様4では、ユーザのみが仲介サービスに登録されている場合を例示する。
図20は仲介システムを利用して自己が作成した文書の印刷を行う様子を示す説明図である。一例として、客先のオフィスにおいて、ユーザが携帯用のコンピュータPC1により作成した見積書を、客先のプリンタで印刷する場合について示した。併せて、客先でユーザが入力したデータを自社オフィスに送信し、自社オフィス内のコンピュータPC2で見積書を作成して、客先のプリンタから出力する場合についても説明する。出力先となるプリンタは仲介サービスPSに登録されていない場合を考える。もちろん、客先のプリンタが仲介サービスPSに登録されていれば、態様1〜態様3と同様のシーケンスにより容易に印刷を行うことができる。
態様4では、クライアントに相当するコンピュータPC1、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、ユーザの自社オフィス内のコンピュータPC2が介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。
最初にユーザが所持するコンピュータPC1で見積書を作成して印刷する場合について説明する。ユーザは、印刷を行うために図20中の通信Cm43により仲介サービスPSが提供するWebページ「ネット印刷仲介サイト」にアクセスする。先に態様2で説明した通り、このWebページでは、印刷に関する条件を設定可能となっているため、印刷データの所在、出力先などの条件を指定して「印刷開始」を指示すれば、態様2と同様のシーケンスで印刷を実行することができる。但し、態様4ではデータがコンピュータPC1内に存在するファイルである点、出力先のプリンタが仲介サービスPSに登録されていない点で態様2と相違する。かかる場合の印刷条件の指定について説明する。
印刷データについては、コンピュータPC1内でのファイルの所在を示すパスを入力すると、印刷開始を指示した時点で、FTP(File Transfer Protocol)などを利用してファイルが仲介サービスPSに転送される。コンピュータPC1内でのパスの指定は、ユーザがキーボードから入力することも可能ではあるが、ドラッグ&ドロップによって入力するインタフェースを用いてもよい。図21はファイルを指定するインタフェースを示す説明図である。コンピュータPC1のディスプレイDSPに「ネット印刷仲介サイト」を表示したブラウザのウィンドウと、コンピュータPC1内のファイルを表示したウィンドウとが開かれている。ユーザは印刷対象となるファイル「ABC.TXT」を「ネット印刷仲介サイト」のWebページ上にドラッグ&ドロップすると、印刷データの所在を示すボックスにコンピュータPC1内のパスが自動的に入力される。
プリンタについては、仲介サービスPSに登録されていないため、識別番号が付されていない。従って、プリンタの所在を入力するボックス内には、ネットワーク上でプリンタの所在を特定可能な情報を入力する。例えば、IPアドレス、IPPで使用されるURIなどである。ここでは、URIを入力するものとした。
これらの条件が入力された後のシーケンスは、態様1〜態様3と同様である。仲介サービスPSは、印刷データを受け取り、出力先として指定されたプリンタに送信する。但し、態様4では、仲介サービスは、出力先のプリンタのタイプが不明の状態である。従って、仲介サービスPSでのデータ変換を行うためには、「ネット印刷仲介サイト」において、出力先のプリンタの機種名を指定する必要がある。仲介サービスが、指定された機種名に対応するプリンタドライバを有しているか否かを検索し、有していない場合にはプリンタの変更を促すようにしてもよい。ユーザのコンピュータPC1にプリンタドライバが存在する場合には、予めデータ変換したファイルを印刷データとして仲介サービスPSに送信するものとしてもよい。
上述の例では、印刷すべきファイルをユーザのコンピュータPC1から仲介サービスPSに送信する場合を例示したが、データ自体ではなく、その存在を特定するための情報、即ち、ユーザのコンピュータPC1内でファイルの所在を示すパスと、ユーザのコンピュータPCのネットワーク上での所在を示すデータとを併せて仲介サービスPSに送信するものとしてもよい。態様2で説明したのと同様、仲介サービスPSが、この情報に基づいてコンピュータPC1内から印刷対象となるファイルを取得して印刷を実行することができる。
次に、ユーザが自社オフィスのコンピュータPC2に見積書を作成させて印刷する場合について説明する。ユーザは客先においてコンピュータPC1でデータを作成し、通信Cm41によってそのデータを自社オフィスのコンピュータPC2に送信する。自社オフィスのコンピュータPC2は、ユーザから送信された情報に基づいて見積書を作成し、コンピュータPC2の所定の格納場所にファイルを置く。この場合もユーザは、自己のコンピュータPC1内のデータを印刷する場合を同じ手順により見積書の印刷を行うことができる。即ち、「ネット印刷仲介サイト」にアクセスし、印刷データの所在として自社オフィスのコンピュータPC2内の見積書ファイルを示すURL、IPアドレスおよびコンピュータPC2内のパスを指定すればよい。図21に示したドラッグ&ドロップ式のインタフェースではなく、キーボードからの入力となる。その他については、コンピュータPC1内のデータを印刷する場合と同様である。
C5.態様5 新聞配信1:
態様1〜態様4では、クライアントから印刷要求を出すと、直ちに印刷を実行する場合について説明した。また、態様1〜態様4では、印刷要求に対し1回だけ印刷が行われる場合について説明した。態様5では、印刷の実行に時間的条件、回数的条件が設けられている場合について説明する。もちろん、ユーザによる印刷要求の設定次第で、態様1〜態様4においても同様の印刷が可能であることは言うまでもない。
図22は仲介サービスを利用して電子新聞の印刷を行う様子を示す説明図である。ユーザが、自宅のコンピュータPCから電子新聞の配達を注文し、自宅のプリンタPRTで印刷を行う場合について示した。出力先となるプリンタPRTは仲介サービスPSに登録されていないとする。出力先の特定は、態様4と同じく、URIやIPアドレスを用いて行うことになる。
態様5では、クライアントに相当するコンピュータPC、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、電子新聞を提供する電子新聞サービスNSが介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。電子新聞サービスNSは仲介サービスPSと関連づけられている。
ユーザは、まず、コンピュータPCから図22に示す通信Cm51により、仲介サービスPSのWebページにアクセスして、電子新聞の申し込みを行う。申し込み時は、配信を希望する電子新聞の選択、ユーザのパスワード、出力先となるプリンタPRTの指定、配信指定時間を登録する。自宅のプリンタPRTが仲介サービスPSに登録されていない場合には、IPPプロトコルで利用されるURIやIPアドレスなどネットワーク上でプリンタPRTの所在を一義的に特定できる情報で登録を行う。上述の登録とともに、電子新聞の購読期間を指定するものとしてもよい。登録された情報は、仲介サービスPS内に構築されたディレクトリサービスブロック60(図2参照)にユーザの属性情報として保存される。図22中に、属性情報の一部をテーブル形式で示した。この属性情報を参照することにより、仲介サービスPSは、いつ、どの出力先にいかなる電子新聞のデータを出力すればよいかを管理することができる。
電子新聞の配信時には、ユーザの操作は不要である。上述の登録により、既に印刷要求は仲介サービスに送信されているからである。自宅のプリンタPRTを稼働状態にしておけばよい。仲介サービスPSは、ユーザから指定された配信時間、図22の例では午前7時になると、図22中の通信Cm52によってユーザが配信を希望した電子新聞サービスNSのサーバにアクセスし、電子新聞の印刷データを取得する。電子新聞サービスNSと仲介サービスPSとは予め関連づけられているから、仲介サービスPSは容易に電子新聞の印刷データを取得することができる。
その後、通信Cm53によって、出力先のプリンタPRTに電子新聞の印刷データを出力して、新聞の配信を行う。電子新聞サービスNSから提供されるデータからプリンタが印刷可能なデータへの変換は、図4に示した種々の態様で行うことが可能である。態様1等で示したシーケンスと異なり、ユーザのパスワードなど必要な認証情報は既に登録されているため、印刷時に改めて確認する必要はない。新聞の印刷は、バナーページとともに行うものとしてもよいし、バナーページの要否をユーザが予め選択可能としてもよい。仲介サービスPS内のディレクトリサービスブロック60内に、バナーページの要否に関する情報をユーザの属性情報として併せて登録しておけば、バナーページの印刷要否に関する制御、バナーページの有無に応じた課金制御は比較的容易に実現可能である。
印刷が終了してもユーザが登録した属性情報は保持されるため、毎日一定の時間になると、ユーザは配信を希望した電子新聞を得ることができる。電子新聞サービスNSによって提供される情報は、通常の新聞と異なり、逐次更新される。ユーザは、印刷指定時間を必要に応じて複数指定することにより、任意の頻度で最新の情報を入手することができる。
なお、電子新聞サービスNSのサーバが更新された時点で、更新された部分だけを印刷するサービスを提供するものとしてもよい。かかる印刷は、情報の更新が起きた時点で、電子新聞サービスNS側から仲介サービスPSに情報更新がされた旨および更新された部分の印刷データを含む更新情報を送信することにより容易に実現可能である。仲介サービスPSは、この更新情報を受け取ると、ディレクトリサービスブロック60に記憶された属性情報を参照することで、情報更新が起きた時点での配信を希望しているユーザおよびその出力先を特定する。こうして特定された出力先に更新部分の印刷データを出力すればよい。態様5では、電子新聞を例にとって説明したが、印刷するコンテンツは電子新聞に限られるものではない。
C6.態様6 新聞配信2:
態様5では、自宅のプリンタPRTで定期的に印刷を行う場合を例示した。態様6では、態様5の印刷が行われている条件下で、一時的に出力先を変更する場合について説明する。一例として、自宅以外に宿泊する際に、その宿泊先に新聞の配信を一時的に変更する場合を例示する。
図23は仲介サービスを利用して宿泊先で電子新聞の印刷を行う様子を示す説明図である。態様5で説明した通り、通常は、ユーザの自宅にあるコンピュータPC、プリンタPRT、仲介サービスPS、電子新聞サービスNSの間で電子新聞の配信が行われているものとする。態様6では、これらの要素に加えてクライアントに相当する携帯電話CP、一時的な出力先に相当する宿泊先のプリンタPhotelが関与する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。外出先での利用を考慮してWebページへのアクセス機能を有する携帯電話CPをクライアントとして利用する場合を例示したが、携帯性または予め宿泊先に設置されたコンピュータをクライアントとして利用しても構わない。
ユーザは、図23中の通信Cm54により、携帯電話CPを利用して仲介サービスPSのWebページにアクセスし、出力先の変更指定を行う。変更を指定するための情報、即ち変更指定情報には、ユーザのパスワード、変更先のプリンタを特定する情報、変更を行う期間、変更中の配信希望時間が含まれる。変更先のプリンタが仲介サービスPSに登録されている場合には、その識別番号で指定する。登録されていない場合には、URIやIPアドレスなどの情報で特定する。仲介サービスPSは、この変更指定情報を受信すると、ディレクトリサービスブロック60(図2参照)に記憶されたユーザの属性情報のうち、電子新聞の配達に関与した情報を変更指定情報の内容に置換する。図23には、一例として、属性情報のうち、出力先が自宅のPRTではなく、宿泊先のプリンタPhotelに置換された状態を示した。但し、予め登録されていた情報はバックアップされている。ユーザが変更を行う期間が経過すると、属性情報は再び当初の登録情報に置換される。
電子新聞の出力先等の変更は、この他にも種々の態様で実現可能である。例えば、電子新聞に関する属性情報として、通常時の出力先、印刷指定時間等を指定する情報と、変更指定情報とを記憶するものとし、仲介サービスPSは変更指定情報を優先して電子新聞の配信を行うものとしてもよい。変更を行う期間が経過した時点で、変更指定情報を消去することにより、容易に出力先の変更その他の制御を実現することができる。
C7.態様7 データ加工印刷:
態様1〜態様6では、ユーザが作成したコンテンツまたはユーザが指定したコンテンツをそのまま出力する場合を例示した。態様7では、ユーザが送信したデータに加工を施して印刷する場合を示す。
図24は仲介サービスを利用してデータの加工印刷を行う様子を示す説明図である。ユーザが印刷を希望する画像データを、指定した背景にインポーズ加工して、ユーザの自宅にあるプリンタPRTにより印刷を行う場合について示した。出力先となるプリンタPRTは仲介サービスPSに登録されていないとする。出力先の特定は、IPPプロトコルのURIやIPアドレスを用いて行うことになる。
態様7では、クライアントに相当するコンピュータPC、出力先となるプリンタPRT、仲介サービスPS、加工サービスASが介在する。これらの各要素は、ネットワークに接続されており、相互にデータのやりとりが可能である。加工サービスASは仲介サービスPSと予め関連づけられている。
ユーザは、コンピュータPCから、通信Cm71により、仲介サービスPSのWebページにアクセスし、印刷を希望する画像PIC1を送信する。画像の送信は、例えば態様4で示したインタフェース(図21参照)を利用して行うことができる。この際、ユーザは、さらに画像データの重ね合わせ加工を行うメニューを選択し、背景となる画像の種類を選択する。また、出力先となるプリンタPRTを指定する。プリンタPRTが仲介サービスPSに登録されていない場合には、こうしてWebページに表示された「印刷開始」ボタンを押すとデータの加工および印刷が実行される。
仲介サービスPSは、印刷の実行が指示されると、ユーザから受信した画像データPIC1、および背景を指定するコード情報を加工サービスASに出力する(通信Cm72)。加工サービスASには、指定されたコード情報に対応する背景データPIC2が予め保存されている。加工サービスASは、背景データPIC2に受信した画像データPIC1をインポーズした画像データPIC3を生成し、仲介サービスPSに返信する(通信Cm73)。仲介サービスPS自体が、こうした画像の加工を行うものとしてもよい。仲介サービスPSは、受信した画像データPIC3を指定されたプリンタPRTに出力し、印刷を実行する(通信Cm74)。画像データからプリンタPRTが印刷可能な印刷データへの変換は、先に図4に示した種々の態様を採ることができる。画像データPIC3の生成が終了した後の印刷シーケンスは、態様1で説明したシーケンスと同様である。
なお、上述の印刷は、次の態様で行ってもよい。ユーザは加工サービスASが提供するWebページにアクセスし、印刷を希望する画像データPIC1をこのWebページに送信して背景データPIC2との重ね合わせ加工を行う。加工が完了すると、仲介サービスPSを介した印刷の指示を行う。これは、態様2で説明したWebページの印刷に相当し、態様2と同様のシーケンスにより実現することができる。
態様7では、画像データの加工を例示したが、ユーザが送信したデータへの加工は種々の態様で施すことができる。例えば、ユーザが送信した画像データに対するレタッチ加工を施すものとしてもよいし、出力先として指定されたプリンタPRTの機種の特性に合わせて解像度、色調などを調整する加工を施すものとしてもよい。加工対象は、画像データには限らない。例えば、ユーザからテキストデータを受信し、原稿用紙、官公庁への提出書類など、一定の書式に加工した上で印刷するものとしてもよい。ユーザからテキストデータの形で受信した情報を、各種のブランクフォームに記載した状態で印刷するものとしてもよい。
以上で説明した本実施例の印刷仲介システム、仲介サービスによれば、ネットワークを介した印刷を実用的な状態で行うことができる。ネットワークを介した印刷を実用的なものにするためには、出力先となるプリンタの指定、プリンタの稼働状態の確認を容易かつ確実にするとともに、印刷物の機密性を確保する必要がある。本実施例の印刷仲介システムを利用すれば、これらの課題を解決することができる。この結果、印刷物の入手に際し、場所および時の制約を大幅に緩和することができ、印刷物の利便性を向上することができる。また、態様5〜7で例示したように、従来の印刷装置では実現できなかった態様での印刷を実現でき、さらに利便性を向上することもできる。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、上述の実施例では、いわゆるインターネット上での印刷態様を種々説明したが、LAN上で仲介システムを構築するものとしてもよい。