以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のグラブボックス10は、図1,2に示すように、インストルメントパネル(以下、インパネとする)4の下部側の組付凹部7内に組み付けられて、助手席に着座した乗員Mの前方側に配設されている。
そして、グラブボックス10は、収納物を収納する収納部11aを備えたボックス本体11と、収納部11aの中央部位の下方側に配設されて、乗員Mの膝Kを保護可能なエアバッグ31を有したエアバッグ装置30と、を備えて構成されている。収納部11aは、上端11b側に収納物の出入用開口12aを有した筒形状の周壁部12と、周壁部12の下端を塞ぐ底壁部17と、を備えて構成されている。また、このグラブボックス10では、下部側(下端10a側)のヒンジ部(ヒンジピン)18を回転中心とした上端11b側の後方側への引き出し時に、出入用開口12aを車内側に配置させて開ける構成のビンタイプとしている。
なお、インパネ4の組付凹部7は、インパネ4とインパネ4の下方のアンダーカバー8との間の略直方体形状のスペースを設けて構成され、組付凹部7の左右両側のインパネ4の部位に、ヒンジピン18が回動可能に軸支されている。また、組付凹部7の上縁側のインパネ4の下縁側には、グラブボックス10の出入用開口12aを閉じた際にボックス本体11の後壁15から突出するラッチを係止する図示しない係止凹部も形成されている。さらに、インパネ4は、本体パネル5と、組付凹部7の上縁側の後面側で左右に延びる装飾パネル6と、を備えて構成されている。
ボックス本体11は、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成されている。そして、収納部11aの周壁部12は、前面側に上下方向に沿って配置される前壁13、乗員M側の後面側の後壁15、及び、前壁13と後壁15との左右両縁を相互に連結する左右の側壁14、を備えた四角筒形状として、形成されている。左右の側壁14は、エアバッグ装置30の左右両側の部位も含めて、グラブボックス10の上下の全長にわたって配設されている。そして、収納部11aの底壁部17は、左右方向の中央付近の中央部17aが、その下方側にエアバッグ装置30の組付スペースISを設けるように、形成されているものの、その中央部17aの左右両側の左側部17bと右側部17cとが、収納部11aの内部空間、すなわち、収納物の収納スペースBSを極力大きく確保できるように、中央部17aより下方に下がって配設されている。左右の左側部17bや右側部17cと中央部17aとは、前後方向に沿って上下方向に延びる縦壁部17d,17dによって連結されている。そのため、実施形態の場合、エアバッグ装置30は、左右の縦壁部17d,17dの間における底壁部17の中央部17aの下方側に、配設されている。
そして、ボックス本体11(グラブボックス10)は、出入用開口12aを閉じた際に、後壁15の上縁付近の図示しないラッチが、ばね等の付勢手段により、組付凹部7の係止凹部に挿入されて、出入用開口12aを閉じた状態を維持され、そして、レバー16(図1参照)を引いて、ラッチを係止凹部から離脱させるように引き込ませれば、ボックス本体11の上端11b側を、グラブボックス10の下端10a側のヒンジピン18を回転中心として、上端11bを後方側に回転させることができて(図2の二点鎖線参照)、出入用開口12aを開口させることとなる。なお、出入用開口12aを開いた際には、側壁14に設けられた図示しないストッパピンが、組付凹部7の左右両側のインパネ4(本体パネル5)の部位に設けられたストッパピンを案内するガイド溝の端末に、位置規制されて、出入用開口12aは、その開き状態を維持することとなる。
ちなみに、上記のヒンジピン18、レバー16、図示しないラッチ、ストッパピン、ガイド溝等は、この種のグラブボックスにおいて公知の構成である。
そして、実施形態のグラブボックス10では、図2,3に示すように、外周壁を構成する部材として、前後二つの前側部材20と後側部材24とを備えて構成されている。前側部材20は、ボックス本体11における周壁部12の前壁13、左右の側壁14、底壁部17、及び、後壁15の前部15a側(収納スペースBS側)から構成されている。後側部材24は、ボックスパネル部25とカバーパネル部26とを備えて構成されている。ボックスパネル部25は、ボックス本体11における周壁部12の後壁15の後部15b側を構成し、カバーパネル部26は、底壁部17の中央部17aと左右の縦壁部17d,17dとに囲まれた長方形状のエリアに配置されて、エアバッグカバー50を構成している。そして、エアバッグカバー50を構成するカバーパネル部26は、ボックスパネル部25の後面25aと面一として、後面25aから延びて、エアバッグ装置30の組付スペースISの後方側を覆うように、配設されている。すなわち、実施形態の場合、エアバッグカバー50は、後側部材24のカバーパネル部26として構成されて、周壁部41の乗員M側に配置される後壁15の後部15bに連なって配設されるとともに、ボックスパネル部25としての後壁15の後部15b側と、一体成形されている。
これらの前側部材20と後側部材24とは、フィラー入りのポリプロピン等の硬質合成樹脂からそれぞれ一体成形されている。そして、これらの前側部材20と後側部材24とは、各部を具備する状態でそれぞれ一体成形された後、相互に振動溶着や接着等(実施形態では振動溶着)を利用して結合されている。
また、カバーパネル部26には、図3に示すように、後述する扉支持材55の領域を外れた左右の前面側の位置に、ナット28を設けてねじ孔27aを形成した取付部27が、形成されている。これらの取付部27は、エアバッグ装置30のケース40をボックス本体11側にボルト48止めして取り付ける部位となる。すなわち、第1実施形態の場合、これらの取付部27を利用して、エアバッグ装置30が、ボックス本体11側に連結されて保持されることとなる。
なお、実施形態の場合、ボックス本体11における周壁部12の後壁15の内部には、軽量化の観点から、内部に空隙部21が設けられるとともに、剛性を確保可能に、板状若しくは棒状の多数のリブ22が、配設されている。これらのリブ22は、前側部材20における後壁15の前部15aの部位から前方に部分的に延びて、後側部材24における後壁15の後部15bとするボックスパネル部25の部位に、結合されている(実施形態の場合、振動溶着により結合されている)。
膝保護用のエアバッグ装置30は、図2〜4に示すように、エアバッグ31、インフレーター33、ケース40、エアバッグカバー50、及び、エアバッグカバー50の扉部51,52を支持する扉支持材55、を備えて構成されている。
エアバッグ31は、膨張用ガスGの流入時に収納されていたケース40から突出して、乗員Mの膝Kの前方側に配置可能に、ケース40内に折り畳まれて収納されている。エアバッグ31には、リテーナ35のボルト35cを挿通させる貫通孔31bと、インフレーター33の本体部34を挿通させる挿通孔31aと、が形成されている(図3参照)。
インフレーター33は、エアバッグ31に膨張用ガスGを供給するものであり、略円柱状に形成され、軸方向を左右方向に沿わせて、エアバッグ31内に配設されている。実施形態の場合、インフレーター33は、略円柱状の本体部34と、本体部34を保持してケース40に固定するリテーナ35と、を備えて構成されている。本体部34は、一方の端部(実施形態では、左端部)34a側に膨張用ガスGを吐出する複数のガス吐出口34bを備え、他方の端部(実施形態では、右端部)34cには、所定のエアバッグ作動回路から延びるリード線RのコネクタCが結合される図示しないターミナルが、配設されている。本体部34の右端部34cは、エアバッグ31の挿通孔31aとケース40の挿通孔45aとを挿通して、コネクタCと結合されている。
リテーナ35は、本体部34をクランプして保持する保持筒部35aと、保持筒部35aから突出して、ケース40の底壁部46にナット36止めされる複数のボルト35cと、を備えて構成されている。保持筒部35aには、ガス吐出口34bから吐出された膨張用ガスGをエアバッグ31側に流出させる複数の流出口35bが開口されている。各ボルト35cは、エアバッグ31内に配設されたインフレーター33の保持筒部35aから、エアバッグ31の貫通孔31bを経て、エアバッグ31外へ突出して、ケース40の底壁部46にナット36止めされており、インフレーター33とともに、エアバッグ31をケース40の底壁部46に取り付けている。
ケース40は、折り畳まれたエアバッグ31とインフレーター33とを収納する収納部位を構成するもので、後端側に膨張時のエアバッグ31を突出させる突出用開口41aを備えた略直方体形状の板金製としている。そして、ケース40は、突出用開口41aを後端側に配置させた周壁部41と、周壁部41の前端側を塞ぐ底壁部46と、を備えて構成されている。周壁部41は、上下で対向する上壁部42と下壁部43、及び、左右で対向する左側壁部44と右側壁部45、を備えた四角筒形状に形成されている。上下の上壁部42と下壁部43とには、扉支持材55の周壁部61の係止孔62a,63aに挿入されて周壁部61を係止する複数の係止爪42a,43aが形成されている。また、左右の左側壁部44と右側壁部45とには、ケース40をボックス本体11側に取り付けるブラケット47が設けれられている。各ブラケット47は、ボルト48を挿通する取付孔47aを備えて、それぞれのボルト48が取付孔47aを経てボックス本体11の後側部材24のねじ孔27aに螺着されることにより、エアバッグ装置30ごと、ボックス本体11側に取付固定されることとなる。
エアバッグカバー50は、膨張するエアバッグ31に押されて開き可能な扉部51,52を有して、ケース40の突出用開口41aの後方側を覆っている。扉部51,52は、周囲に薄肉の破断予定部53を配設させている。この破断予定部53は、カバーパネル部26の前面側に、連続的若しくは断続的に形成される凹溝を設けられて形成され、後方から見て、「日」の字形状に形成されている(図1参照)。そして、上方の扉部51は、前面側を扉支持材55の支持片部56に結合され、膨張するエアバッグ31に押された際、破断予定部53を破断させて、周囲から分離されるとともに、飛散することなく支持片部56に保持された状態で、上開きで開くように構成されている。扉部52は、扉部51の下方に配設されて、前面側を扉支持材55の支持片部58に結合され、膨張するエアバッグ31に押された際、破断予定部53を破断させて、周囲から分離されるとともに、飛散することなく支持片部58に保持された状態で、下開きで開くように構成されている(図4参照)。
扉支持材55は、カバーパネル部26より軟質のポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー等の合成樹脂から形成され、支持片部56,58と周壁部61とを備えて構成されている。周壁部61は、ケース40の周壁部41の外周側を覆うように配設される四角筒形状とし、支持片部56,58は、扉部51や扉部52と同様に、それぞれ長方形板状としている。周壁部61は、上下で対向する上壁部62と下壁部63、及び、左右で対向する左側壁部64及び右側壁部65、を備えて構成されている。上壁部62と下壁部63とには、ケース40の上壁部42と下壁部43とに設けられた各係止爪42a,43aを挿入係止させる複数の係止孔62a,63aが、形成されている。
そして、支持片部56は、上端側に開き時のヒンジ部57となるU字状に湾曲した部位を設けて、上開きに開くように構成され、支持片部58は、支持片部56の下方に配設されて、下端側に開き時のヒンジ部59となるU字状に湾曲した部位を設けて、下開きで開くように構成されている。ヒンジ部57は、支持片部56から離れた上端側を周壁部61の上壁部62に連結させ、ヒンジ部59は、支持片部58から離れた下端側を周壁部61の下壁部63に連結させている。支持片部56の下端と支持片部58の上端との間には、膨張するエアバッグ31に押されて破断する薄肉の破断予定部60が形成されている。破断予定部60は、後方から見て、一文字状に配設されている。また、支持片部56と支持片部58との左右両側は、周壁部61と分離されている。なお、薄肉の破断予定部60を設けずに、支持片部56の下端と支持片部58の上端とは、予め、上下に分離させておいてもよい。
この扉支持材55は、各支持片部56,58が、各扉部51,52の前面側と結合されるとともに、周壁部61の後端の外周側のフランジ部61aが、エアバッグカバー50における破断予定部53の外周縁側のエリアのカバーパネル部26の前面側に結合されている。これらの扉支持材55のカバーパネル部26(エアバッグカバー50)側への結合は、振動溶着や接着等(実施形態では振動溶着)により行われている。
第1実施形態のグラブボックス10では、前側部材20と後側部材24とをそれぞれ成形して準備しておき、後側部材24の後面側に、順次、前側部材20と扉支持材55とを振動溶着して結合させる。そして、ヒンジピン18や図示しないラッチ等を組み付けてボックス本体11を形成する。そしてさらに、予め、組み立てておいたエアバッグ装置30におけるケース40から延びる係止爪42a,43aをカバーパネル部26に結合された扉支持材55の係止孔62a,63aに挿入係止させるとともに、ケース40から延びる各ブラケット47を、カバーパネル部26の取付部27にボルト48止めすれば、ボックス本体11にエアバッグ装置30を取り付けることができて、グラブボックス10を組み立てることができる。
ちなみに、エアバッグ装置30の組み立ては、まず、ボルト35cを突出させるようにして、エアバッグ31内にインフレーター33を収納し、その状態でエアバッグ31を折り畳む。その後、折り畳んだエアバッグ31を、折り崩れ防止用のラッピング材で包み、各ボルト35cを底壁部46の取付孔46aから突出させつつ、ケース40内に収納し、各ボルト35cを底壁部46にナット36止めすれば、エアバッグ装置30を組み立てることができる。
そして、組み立てたグラブボックス10は、エアバッグ作動回路から延びるリード線RのコネクタCをインフレーター33の本体部34に接続させるとともに、組付凹部7内に組み付ければ、助手席の乗員Mの前方のインパネ4の部位に配設することができる。
そして、第1実施形態のグラブボックス10では、エアバッグ装置30が、収納部11aにおける底壁部17の中央部17aの下方側に配設されており、収納部11aの周壁部12の厚さ寸法を厚くする構成ではない。さらに、周壁部12の後壁15内にエアバッグ装置の収納スペースを設ける場合に比べて、底壁部17の下方側のエリアでは、前後左右のスペースを広く確保でき、さらに、下方側のスペースも広く確保できることから、容易に、エアバッグ装置30の収納スペース(組付スペース)ISを確保し易く、その結果、底壁部17の下方側に配置するエアバッグ装置30は、小型化せずに済む。そして、底壁部17の下方のエリアでは、大きな容積を容易に確保できることから、底壁部17自体の全体を上方にずらすことを抑えることもできる。その結果、第1実施形態のグラブボックス10では、収納部11aの周壁部12の厚さ寸法を厚くする必要が無いことと相まって、収納部11aの収納空間(収納スペース)BSを広く確保でき、かつ、エアバッグ装置30の小型化を抑制できる。
さらに、第1実施形態のグラブボックス10では、ボックスタイプのグラブボックスでなく、ビンタイプのグラブボックス10であって、図1の二点鎖線に示すように、収納部11aの出入用開口12aを開けるように、ヒンジ部(ヒンジピン)18を回転中心として引き出す際、エアバッグカバー50とボックス本体11の後壁15とが一体的に連なって回転するだけである。そのため、このグラブボックス10では、グラブボックス10の後面10b側のエアバッグカバー50やボックス本体11の後壁15の後部15bの部位に、撓む部位が無く、開閉操作時の耐久性が良好となり、また、グラブボックス10の後面10b側の意匠性も良好な状態を維持できる。
そして勿論、エアバッグ装置30が作動すれば、インフレーター33が、本体部34におけるガス吐出口34bから膨張用ガスGを吐出することから、エアバッグ31は、インフレーター33からの膨張用ガスGを供給されて膨張する。そして、エアバッグ31は、エアバッグカバー50における破断予定部53を破断させつつ扉部51,52を上下両側に押し開く。その際、エアバッグカバー50では、扉部51,52は、それぞれ、支持片部56,58に保持され、各支持片部56,58が、ヒンジ部57,59を介在させて、ケース40の係止爪42a,43aに係止された扉支持材55の周壁部61に保持されており、膨張するエアバッグ31の圧力が、扉支持材55を介在させてケース40に連結された状態のエアバッグカバー50の扉部51,52に作用し易く、円滑に、破断予定部53を破断させることができる。また、扉部51,52は、ケース40側に連結された扉支持材55を利用して、ケース40側に連結されているため、周囲の全周を囲む破断予定部53が破断しても、ケース40側から離れて飛散することなく、ヒンジ部57,59を撓ませつつ、円滑に、上下に開くこととなる。そして、エアバッグ31は、扉部51,52を押し開いて、ケース40の突出用開口41aから乗員Mの膝Kを保護可能に膨張しつつ突出することなる。
したがって、第1実施形態のグラブボックス10では、膝保護用のエアバッグ装置30をボックス本体11の収納部11aの下方側に並設するように設ける構成としても、ボックス本体11における収納部11aの収納スペース(内部空間)BSの減少を抑制し、かつ、耐久性良く、後面10b側の意匠性を良好にすることができる。
さらにまた、第1実施形態のグラブボックス10では、エアバッグ装置30のエアバッグカバー50が、ボックス本体11の周壁部12の乗員M側に配置される後壁15の後部15bに連なり、その後壁15の後部15bと一体成形されるポリプロピレンの硬質合成樹脂製としている。すなわち、エアバッグカバー50とボックス本体11の後壁15の後部15bとから構成されるグラブボックス10の後面10b側において、エアバッグカバー50とボックス本体11の後壁15の後部15bとが一体物として構成され、ボックス本体の後壁の下方側に別体のエアバッグカバーを組み付けた場合に表れるような見切り線が発生せず、グラブボックス10の後面10b側の意匠性が、一層、良好となる。
そして、第1実施形態では、ヒンジピン(ヒンジ部)18を、グラブボックス10におけるエアバッグ装置30の下方側の後端(下部後端)10bb側に配設している場合を例示したが、図5,6に示す第2実施形態のグラブボックス10Aのように、ヒンジピン(ヒンジ部)18を、グラブボックス10Aにおけるエアバッグ装置30の上方側における収納部11aとの境界部位(底壁部17の中央部17a)付近の後端側(境界部位後端)10c側となる高さ位置に配設してもよい。
但し、第1実施形態のグラブボックス10のように、ヒンジピン18をグラブボックス10の下部後端10bb側に配設する場合には、ヒンジピン18を回転中心として出入用開口12aを開ける際、グラブボックス10の前部の下端(前部下端)10fa側が前方側へ回転移動する際の前方側への突出を極力抑えて(図例の場合には、前部下端10faは殆ど突出しない)、開けることができて、グラブボックス10の前方側のスペースに制限のある場合に好適となる。
一方、図5,6に示す第2実施形態のグラブボックス10Aのように、ヒンジピン18をグラブボックス10Aにおける境界部位後端10c側の高さ位置に配設させる場合には、前部下端10faが、一旦、前方側に突出して後方側に回転することから、既述の作用は確保し難い。しかし、このグラブボックス10Aでは、ヒンジピン18より下方の前方側に、重量のあるエアバッグ装置30が配設されるため、出入用開口12aを開けた際、出入用開口12aを閉じるようなモーメントを作用させ易く、後壁15側に重量のある収納物を入れて出入用開口12aを閉じようとする際、円滑に、開けた後の出入用開口12aを閉じることができる。
なお、図5,6に示す第2実施形態のグラブボックス10Aは、ヒンジピン18を設ける高さ位置を、第1実施形態のグラブボックス10より高くしただけで、他の各部の構成は、第1実施形態と同様である。
また、図7〜11に示す第3実施形態のグラブボックス10Bのように、エアバッグ装置30Bのケース40Bに、車両のボディ1側に連結される支持片70を接続させ、ケース40Bを、前後移動を規制可能に支持片70に支持させて、配設してもよい。
この第3実施形態では、支持片70を備える他、エアバッグ装置30Bのケース40Bやエアバッグカバー50Bの扉支持材55Bの一部が、第1実施形態のケース40やエアバッグカバー50の扉支持材55と相違しているだけであり、特に断らない限り、第3実施形態における第1実施形態と同様な部位、部材には、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
ケース40Bは、第1実施形態のケース40のような係止爪42a,43aを備えず、逆に、図9,10に示すように、左側壁部44と右側壁部45とに、左右方向の外方に突出する一つ若しくは複数(第3実施形態では2本ずつ)の支持ピン44a,44b,45b,45cを設けた点が、第1実施形態と相違している。左側壁部44の支持ピン44a,44bと右側壁部45の支持ピン45b,45cとは、相互に、左右対称として、左側壁部44と右側壁部45とに、配設されている。
また、エアバッグカバー50Bでは、図9,10に示すように、周壁部61の左右の左側壁部64と右側壁部65とに、支持ピン44a,44b,45b,45cを摺動させるガイド溝66,67が配設されている点と、支持片部56,58に連結された湾曲したヒンジ部57,59が、周壁部61の上壁部62と下壁部63とに連結されているものの、上壁部62と下壁部63とに、第1実施形態の係止孔62a,63aが設けられていない点とが、第1実施形態と相違している。グラブボックス10Bの下部後端10bbに配置されたヒンジピン18を回転中心として、出入用開口12aを開ける際、ガイド溝66は、左側壁部64と右側壁部65とにおいて、上部側の支持ピン44a,45bを摺動可能とし、ガイド溝67は、下部側の支持ピン44b,45cを摺動可能に案内するように配設されている。そして、各ガイド溝66,67は、出入用開口12aを閉じた状態で周壁部61が前方側への押圧力を受けた際、各支持ピン44a,44b,45b,45cの前面側に当接可能な当接面66a,67aを備えるとともに、当接面66a,67aから各支持ピン44a,44b,45b,45cが容易に外れないように、位置止めする突起66b,67bを、当接面66a,67aの下縁側に配設させて構成されている。突起66b,67bは、ヒンジピン18を回転中心とする出入用開口12aの開閉操作時には、各支持ピン44a,44b,45b,45cが乗り越えられるように、設定されている。
なお、このエアバッグカバー50Bは、第1実施形態と同様に、後側部材24のカバーパネル部26として構成されて、周囲に破断予定部53を設けた扉部51,52は、それぞれ、扉支持材55Bの支持片部56,58に保持され、各支持片部56,58が、ヒンジ部57,59を介在させて、上壁部62と下壁部63とに連結され、そして、上壁部62と下壁部63とを備えるとともに左側壁部64と右側壁部65とを備えて構成される四角筒形状の周壁部61は、左側壁部64と右側壁部65とが、ガイド溝67,67に嵌挿されている支持ピン44a,44b,45b,45cを利用して、ケース40の左側壁部44と右側壁部45とに連結されることとなる。
支持片70は、剛性を有した金属製として、ケース40Bの底壁部46の取付孔46aから突出するインフレーター33のボルト35cを挿通させて、ナット36止めして、底壁部46に締結される取付片部71と、取付片部71から前方に延びる連結片部72と、連結片部72の先端に配置されて、ボディ1側のインパネリインフォースメント2のブラケット2aにボルト74止めされる固定片部73と、を備えて構成されている。取付片部71には、各ボルト35cを挿通させる取付孔71aが形成され、固定片部73には、ボルト74を挿通させる複数の固定孔73aが形成されている。
なお、ブラケット2aには、ナットを設けられて形成されて、各ボルト74を螺着する複数のねじ孔2bが、形成されている。
また、この支持片70は、エアバッグ装置30Bのケース40Bにエアバッグ31とインフレーター33とを収納して取り付ける際に、底壁部46から突出するボルト35cを、取付孔71aに挿通させて、ボルト35cにナット36を締め付けて、ケース40Bに取り付けておく。そして、グラブボックス10Bを車両に組み付ける前、若しくは、組付時、ケース40Bの各支持ピン44a,44b,45b,45cをカバーパネル部26に結合された扉支持材55Bの対応するガイド溝66,67に挿入させ、そして、支持片70の固定片部73をブラケット2aにボルト74止めすることとなる。
そして、この第3実施形態のグラブボックス10Bでも、エアバッグ装置30Bが、第1実施形態と同様に、収納部11aにおける底壁部17の中央部17aの下方側に配設されており、収納部11aの周壁部12の厚さ寸法を厚くする必要が無いことと相まって、収納部11aの収納空間(収納スペース)BSを広く確保でき、かつ、エアバッグ装置30Bの小型化を抑制できる。
さらに、図7,8に示すように、収納部11aの出入用開口12aを開けるように、ヒンジ部(ヒンジピン)18を回転中心として引き出す際、エアバッグカバー50Bとボックス本体11の後壁15とが一体的に連なって回転するだけで、グラブボックス10Bの後面10b側のエアバッグカバー50Bやボックス本体11の後壁15の後部15bの部位には、撓む部位が無く、開閉操作時の耐久性が良好となり、また、グラブボックス10Bの後面10b側の意匠性も、良好な状態を維持できる。
そして勿論、エアバッグ装置30Bが作動すれば、インフレーター33が、本体部34におけるガス吐出口34bから膨張用ガスGを吐出することから、エアバッグ31は、インフレーター33からの膨張用ガスGを供給されて膨張する。そして、エアバッグ31は、エアバッグカバー50Bにおける破断予定部53を破断させつつ扉部51,52を上下両側に押し開く。その際、エアバッグカバー50Bでは、扉部51,52は、それぞれ、支持片部56,58に保持され、各支持片部56,58が、ヒンジ部57,59を介在させて、周壁部61の上壁部62と下壁部63とに連結され、上壁部62と下壁部63とを備えた周壁部61の左側壁部64と右側壁部65とが、ガイド溝66,67の当接面66a,67aをケース40Bの支持ピン44a,44b,45b,45cの前面側に当接させて、扉支持材55Bが後方移動を規制されてケース40Bに連結される状態となっている。そのため、膨張するエアバッグ31の圧力が、扉支持材55Bを介在させてケース40Bに連結された状態のエアバッグカバー50Bの扉部51,52に作用し易く、円滑に、破断予定部53を破断させることができる。また、扉部51,52は、ケース40B側に連結された扉支持材55を利用して、ケース40B側に連結されているため、周囲の全周を囲む破断予定部53が破断しても、ケース40B側から離れて飛散することなく、ヒンジ部57,59を撓ませつつ、円滑に、上下に開くこととなる。そして、エアバッグ31は、扉部51,52を押し開いて、ケース40Bの突出用開口41aから乗員Mの膝Kを保護可能に膨張しつつ突出することなる。
したがって、この第3実施形態のグラブボックス10では、第1実施形態と同様に、膝保護用のエアバッグ装置30Bをボックス本体11の収納部11aの下方側に並設する構成としても、ボックス本体11における収納部11aの収納スペース(内部空間)BSの減少を抑制でき、かつ、耐久性良く、後面10b側の意匠性を良好にすることができる。
さらにまた、この第3実施形態のグラブボックス10Bでも、第1実施形態と同様に、エアバッグ装置30Bのエアバッグカバー50Bが、ボックス本体11の周壁部12の乗員M側に配置される後壁15の後部15bに連なり、その後壁15の後部15bと一体成形されており、グラブボックス10Bの後面10b側の意匠性が、一層、良好となる。
そしてさらに、第3実施形態では、エアバッグ装置30Bの作動当初におけるエアバッグ31がケース40Bの突出用開口41aから突出する際のケース40Bに作用させる反力、すなわち、膨張するエアバッグ31がケース40Bを前方側に押圧したり、あるいは、エアバッグ31の膨張完了時に、エアバッグ31がケース40Bを後方側に引っ張っても、ケース40Bは、ボディ1側のインパネリインフォースメント2から延びるブラケット2Aに連結された支持片70を利用して、前後移動を規制される。そのため、第1実施形態のような、ケース40がボックス本体11側だけに連結されて保持される場合に比べて、第3実施形態では、ケース40Bが、支持片70を利用して、ボディ1側のインパネリインフォースメント2に支持されることから、安定して、エアバッグ31を保持することができる。その結果、ケース40Bに保持されたエアバッグ31は、膨張開始から膨張完了までの挙動が安定して、的確に乗員Mの膝Kを受け止めることができる。
なお、第3実施形態では、支持片70をボディ1側のインパネリインフォースメント2から延びるブラケット2aに連結する構成を示したが、図11の二点鎖線に示すように、支持片70Bの固定片部73側が、予め、ボディ1側のインパネリインフォースメント2に固着されて構成されているものを利用してもよい。この場合は、グラブボックス40Bを車両に搭載する際、支持片70Bの取付片部71をケース40Bに締結することとなる。そして、支持片70,70Bの取付片部71は、インフレーター33のボルト35cを利用して、ケース40Bに締結する他、図11の二点鎖線に示すように、ケース40Bに固着させて設けたブラケット49に、ボルトやナット等の締結手段を利用して、締結するように構成してもよい。
第1〜3実施形態では、エアバッグ装置30,30Bのエアバッグカバー50,50Bに関し、ボックス本体11の周壁部12の後壁15の後部15b側を構成する硬質合成樹脂製の後側部材24のカバーパネル部26の前面側に、扉部51,52の飛散を防止して円滑な開きを確保できるように、軟質の合成樹脂製の扉支持材55,55Bを結合させた場合を示した。しかし、図12に示す第4実施形態のグラブボックス10Cのように、ボックス本体11の周壁部12の後壁15の後部15b側を構成する後側部材24Cにおいて、カバーパネル部26Cの部位を、扉部51,52の飛散を防止して円滑な開きを確保できるように、オレフィン系の熱可塑性エラストマー等の軟質合成樹脂製とし、ボックスパネル部25Cの部位を、ポリプロピン等の硬質の合成樹脂製として、後側部材24Cを、ボックスパネル部25Cとカバーパネル部26Cとの部位で成形材料を異ならせた二色成形品として、一体成形してもよい。なお、第4実施形態のエアバッグカバー50Cでは、第1実施形態の扉支持材55の支持片部56,58自体が、ボックスパネル部25Cに連なる扉部51C,52Cを構成して、それらのヒンジ部57,59が、薄肉のインテグラルヒンジから構成されている。さらに、このエアバッグカバー50Cでは、扉部51C,52Cの周囲に、後方から見てH字状に、薄肉の破断予定部53Cが、配設されている。すなわち、このエアバッグカバー50Cは、周囲にH字状の破断予定部53Cを設けて配設される扉部51C,52C、及び、扉部51C,52Cとヒンジ部57,59を介在させて連結される四角筒形状の周壁部61、を備えて構成されている。周壁部61は、上壁部62と下壁部63とに、係止爪42a,43aを係止させる係止孔62a,63aを配設させて構成されている。そして、エアバッグカバー50Cが、係止爪42a,43aを利用して周壁部61(上壁部62と下壁部63)をケース40に連結させており、エアバッグ31の膨張時には、扉部51C,52Cが、円滑に、周囲の破断予定部53Cを破断させ、かつ、ヒンジ部57,59を撓ませつつ、上下に開いて、エアバッグ31をケース40の突出用開口41aから突出させることとなる。
そして、この第4実施形態でも、第1実施形態と同様に、エアバッグ装置30Cが、収納部11aにおける底壁部17の中央部17aの下方に配設され、また、エアバッグ装置30Cのエアバッグカバー50C(カバーパネル部26C)が、ボックス本体11の周壁部12の乗員M側に配置される後壁15の後部15bに連なり、撓む部位を設けることなく、その後壁15の後部15bと一体的に、ヒンジ部18を回転中心として引き出し可能としており、耐久性良く、グラブボックス10Cの後面10b側の良好な意匠性を維持できて、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、グラブボックス10Cの後面10b側の意匠性を高めるため、図12の二点鎖線に示すように、後面10b側の全域に、布や合成樹脂等からなる加飾層75を設けてもよい。このような加飾層75は、第1〜3実施形態に適用してもよい。
また、第1〜4実施形態では、ボックス本体11の周壁部12の後壁15が、前部15aと後部15bの前後で分割され、エアバッグカバー50,50B、50Cが、その後壁15の一部であって、グラブボックス10の後面10b側となる後部15a側と、一体成形される場合を示したが、エアバッグカバー50,50B、50Cと一体成形できれば、後壁15は、前後で分割せずに、中実の板状として形成してもよい。さらに、エアバッグカバー50,50B、50Cは、後壁15と一体的に、ヒンジ部18を回転中心として引き出し可能であれば、後壁15と一体成形することなく、接着剤やボルト等の連結手段を利用して、一体的に、後壁15と結合させてもよい。
さらにまた、第1〜4実施形態では、収納部11aの底壁部17に段差を設けて、エアバッグ装置30,30B,30Cの左右両側に、収納部11aの収納スペースBSを設けるように構成したが、収納部11aの底壁部17の中央部17aを左右に延ばすように、左側部17bと右側部17cとを、中央部17aと同じ高さに形成してもよい。その場合には、底壁部17の下方側の左右方向の全域に、エアバッグ装置を配設することができて、ボックス本体に組み付けるエアバッグ装置としては、左右方向の幅寸法をグラブボックス全体の左右方向の幅寸法まで確保できるため、上下方向の高さ寸法を狭めることができたり、あるいは、一層、大型のエアバッグを膨張可能なように、エアバッグ装置を大型化することができる。