JP5024229B2 - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような液体現像剤を構成するトナー粒子に用いられる結着樹脂としては、一般に、ポリエステル樹脂が広く用いられている。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
そこで、近年、オゾン等の放電生成物の生成量を少なくして画像形成を行い得ることから、正帯電性の液体現像剤を用いて画像を形成する方法の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の正帯電性の液体現像剤では、帯電制御剤を添加することにより、トナー粒子を正帯電にしている。
また、液体現像剤には、トナー粒子の分散性を向上させるために、分散剤が添加されるが、一般に、分散剤を添加すると、液体現像剤の帯電特性が低下してしまうといった問題があった。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、
ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子とを有し、
分散剤として、アルキルジアミンと、ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物とを含むことを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記アルキルジアミンは、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物は、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ヒドロキシ脂肪酸骨格は、12−ヒドロキシステアリン酸骨格であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、植物油を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルをさらに含むものであることが好ましい。
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、
ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子とを有し、
分散剤として、アルキルジアミンと、ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物とを含むことを特徴とする。
前記仕切を通じて、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤は、前記回収部に回収されるものであることが好ましい。
以上の構成を満足することにより、正帯電の帯電特性に優れ、トナー粒子の分散安定性に優れた液体現像剤、およびこのような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することができる。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。また、本発明の液体現像剤は、分散剤として、アルキルジアミンおよびヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物を含んでいる。
まず、分散剤について説明する。
本発明の液体現像剤中には、分散剤として、アルキルジアミンおよびヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物が含まれている。
ところで、従来よりトナー粒子に用いられてきたポリエステル樹脂は、一般に、負帯電性が高いため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、結着樹脂として従来のポリエステル樹脂を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
また、液体現像剤には、トナー粒子の分散性を向上させるために、分散剤が添加されるが、一般に、分散剤を添加すると、液体現像剤の帯電特性が低下してしまうといった問題があった。
トナー粒子を構成するポリエステル樹脂は、通常、その分子内に酸性基(カルボキシル基等)を有している。この酸性基と、上記各分散剤の窒素原子とがイオン結合により結合し、上記各分散剤が、トナー粒子の表面に化学的に付着あるいは吸着する。また、各分散剤を構成する窒素原子は、ポリエステル樹脂の酸性基等から遊離したプロトン(H+)を引きつけるため、トナー粒子を正帯電させることができる。これにより、液体現像剤の正帯電の帯電特性を優れたものとすることができる。また、帯電特性に優れることから、現像効率、転写効率等の特性にも優れたものとなる。さらに、ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物のヒドロキシ脂肪酸骨格の部位は、絶縁性液体(特に、後述するような植物油や脂肪酸モノエステル)との親和性が特に高いため、絶縁性液体側へ向くように配置する。このような状態で上記各分散剤がトナー粒子の表面に吸着するため、隣接するトナー粒子間に上記骨格が介在し、トナー粒子の凝集等を効果的に防止し、トナー粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。また、このように分散安定性が優れることから、後述するような画像形成装置において、現像部等で回収された液体現像剤を再利用する際に、回収された液体現像剤内のトナー粒子を容易に再分散させることができ、容易に再利用することができる。
[アルキルジアミン]
アルキルジアミンは、主として液体現像剤の正帯電の帯電特性に寄与する成分である。
アルキルジアミンとしては、種々の構造のものを用いることができるが、特に、下記一般式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
また、上記構造のアルキルジアミンは、第1級アミン部位(NH2−)を有していることから、トナー粒子表面の酸性基と比較的強いイオン結合により結合し、トナー粒子の表面により強固に付着(吸着)する。その結果、上記アルキルジアミンを、トナー粒子表面により確実に存在させることができるため、液体現像剤はより安定した正帯電の帯電特性を発揮するものとなる。また、上記構造のアルキルジアミンの第2級アミン部位(−NHR’)は、絶縁性液体との親和性が高いため、トナー粒子の表面に付着(吸着)した状態で、絶縁性液体側へ向くように配置する。その結果、後述するヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物の分散性向上効果と相まって、トナー粒子の凝集等をさらに効果的に防止し、トナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。
また、上述したように、上記構造式(I)中、R’は、炭素数が8〜24のアルキル基であるのが好ましく、R’は、炭素数が8〜20のアルキル基であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の分散安定性をさらに向上させることができる。
なお、アルキルジアミンは、Rの炭素数やR’の炭素数が異なる複数種の上記構造式(I)で表される化合物を含んだものであってもよい。
アルキルジアミンの液体現像剤中における含有量は、トナー粒子100重量部に対して0.1〜8重量部であるのが好ましく、0.3〜5重量部であるのがより好ましく、0.6〜1重量部であるのがさらに好ましい。アルキルジアミンの含有量が上記範囲であると、正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物は、主として、トナー粒子の分散安定性に寄与する成分である。
ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物としては、種々の構造のものを用いることができるが、特に、下記一般式(II)で表される化合物を用いるのが好ましい。
また、主鎖の窒素原子は、トナー粒子の表面への付着(吸着)に寄与するだけでなく、絶縁性液体中の遊離したプロトン(H+)をある程度引きつけることができるため、前述したようなアルキルジアミンとの相乗効果により、正帯電の帯電特性をさらに優れたモノとすることができる。
上記アミド化合物の液体現像剤中における含有量は、トナー粒子100重量部に対して0.1〜7重量部であるのが好ましく、0.5〜3重量部であるのがより好ましく、0.6〜1.5重量部であるのがさらに好ましい。上記アミド化合物の含有量が上記範囲であると、トナー粒子の分散性をより効果的に向上させることができる。
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、ポリエステル樹脂を含む樹脂材料を含むものである。
1.樹脂材料
本発明においては、樹脂材料は、ポリエステル樹脂を含むものである。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。しかしながら、ポリエステル樹脂は、上述したように負帯電性もしくは低帯電性(酸価が低い場合)を示す成分であるため、このようなポリエステル樹脂で構成されたトナー粒子は、一般に負帯電性を示すものである。本発明では、上述したような各分散剤をトナー粒子表面に付着(吸着)させることにより、ポリエステル樹脂を用いることによる上記のような効果を効果的に発揮させつつ、正帯電性に優れ、かつ、分散安定性にも優れた液体現像剤とすることができる。なお、樹脂中におけるポリエステル樹脂の含有量は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましい。
また、トナー粒子中にポリエステル樹脂を含む場合、ポリエステル樹脂中における、低分子量のポリエステル樹脂の含有量は、50〜90wt%であるのが好ましく、60〜80wt%であるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、低温定着性は特に優れたものとなる。
また、トナー粒子中にポリエステル樹脂を含む場合、ポリエステル樹脂中における、上記高分子量のポリエステル樹脂の含有量は、10〜50wt%であるのが好ましく、20〜40wt%であるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、低温定着性は特に優れたものとなる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料としては、上記ポリエステル樹脂以外の公知の樹脂を含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂以外の樹脂材料としては、特に限定されないが、ロジン変性樹脂を用いるのが好ましい。
ロジン変性樹脂は、前述したような各分散剤との親和性が特に高いため、トナー粒子の表面に前述した各分散剤を強固に付着(吸着)させることができる。また、このようなロジン変性樹脂は、後述するような絶縁性液体によって可塑化される成分である。したがって、ロジン変性樹脂を構成成分としたトナー粒子は、前述したような各分散剤をさらに強固に付着(吸着)させることができる。その結果、トナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
このようなロジン変性樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ロジン変性樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜80000であるのがより好ましく、1000〜50000であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料中におけるロジン変性樹脂の含有率は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜40wt%であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子表面にロジン変性樹脂をより確実に存在させることができ、トナー粒子の分散安定性、正帯電の帯電特性をより効果的に向上させることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜4.0μmであるのが好ましく、1〜4.0μmであるのがより好ましく、1〜3.5μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1011Ωcm以上のものであるのが好ましく、1012Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、樹脂材料、着色剤が水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、樹脂材料と着色剤とを含むトナー粒子を得る脱溶剤工程と、トナー粒子および上述したような各分散剤を絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する。
[分散液調製工程(水系分散液調製工程)]
まず、分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー粒子の構成材料(トナー材料)を有機溶剤中に溶解、分散させて樹脂液を得(樹脂液調製処理)、水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る(分散質形成処理)。
まず、樹脂材料、加水分解抑制剤を有機溶剤に溶解または分散させた樹脂液を調製する。
調製された樹脂液は、前述したようなトナー粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶剤を含むものである。
また、有機溶剤は、後述する水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶剤の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
また、樹脂液の調製においては、調製すべき樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、水系分散液(分散液)を調製する。
水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
また、中和剤は、水系分散液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、樹脂液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、水系分散液を効率良く得ることができるとともに、水系分散液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、分散液を撹拌しながら、分散液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を狭いものとできる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布の特に狭い合一粒子を得ることができる。
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの合一粒子を得ることができるとともに、得られる合一粒子の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
分散液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する。これにより、分散液中に分散した樹脂微粒子(トナー粒子)が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する他の工程において、残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られた樹脂微粒子(トナー粒子)の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られる樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)により樹脂微粒子を分離し、さらにその後、固形分(樹脂微粒子)の水中への再分散および固液分離(水系液体からの樹脂微粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子と上述したような各分散剤とを、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤を得る。
トナー粒子および前記各分散剤の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子と前記各分散剤とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。このような方法で混合することにより、分散剤をトナー粒子の表面により確実に付着または吸着させることができる。
また、トナー粒子および前記各分散剤の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図、図3は、現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
なお、定着温度は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、コロナ放電器(圧縮手段)25Yとを有している。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。
(実施例1)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂:172.3重量部、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「KG2212」、酸価:22mgKOH/g以下、軟化点:172〜182、重量平均分子量:100000):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:100重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が3.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が3.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
<脱溶剤工程>
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
<乾燥工程>
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、分散剤としての、アルキルジアミン(ライオン・アクゾ社製、商品名「デュオミンCD」、アミン価:437mgKOH/g):0.24重量部および12−ヒドロキシステアリン酸骨格を有するアミド化合物(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):0.48重量部、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):90重量部、大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製):60重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
分散剤の添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例6)
ロジン変性樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル135」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:130〜140、重量平均分子量:15000)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ロジン変性樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル145」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:140〜155、重量平均分子量:20000)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ロジン変性樹脂として、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
アルキルジアミンとして、デュオミンT(ライオンアクゾ製、アミン価:364mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例10)
アルキルジアミンとして、アスファゾール#10(日油株式会社製、アミン価:320mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
アルキルジアミンとして、アスファゾール#20(日油株式会社製、アミン価:325mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例12、13)
ポリエステル樹脂とロジン系樹脂との配合比を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルおよび菜種油の代わりに、流動パラフィン(コスモ石油社製、商品名「コスモホワイトP−70」)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例15)
菜種油の代わりに、流動パラフィン(コスモ石油社製、商品名「コスモホワイトP−70」)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例16)
ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物として、ソルスパース17000(ルーブリゾール社製)を用いた以外は、前記実施例15と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
分散剤(アルキルジアミンおよび12−ヒドロキシステアリン酸骨格を有するアミド化合物)を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例2)
分散剤としての12−ヒドロキシステアリン酸骨格を有するアミド化合物を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例3)
分散剤としてのアルキルジアミンを添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が90%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が85%以上、90%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上、85%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を1次転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :1次転写効率が90%以上であり、1次転写効率に特に優れる。
B :1次転写効率が85%以上、90%未満であり、1次転写効率に優れる。
C :1次転写効率が80%以上、85%未満であり、実用上問題のない。
D :1次転写効率が80%よりも小さく、1次転写効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の中間転写部上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤によるトナー画像を形成した。次に、トナー画像が中間転写部と記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)との間を通過した後の、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いたテープを上記とは別の記録紙上に貼り付け、トナー粒子の濃度を測定した。一方、中間転写部からトナー画像が転写された記録紙上のトナー粒子の濃度も測定した。測定後、中間転写部からトナー画像が転写された記録紙上のトナー粒子の濃度を、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部からトナー画像が転写された記録紙上のトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を2次転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :2次転写効率が70%以上であり、2次転写効率に特に優れる。
B :2次転写効率が60%以上、70%未満であり、2次転写効率に優れる。
C :2次転写効率が55%以上、60%未満であり、実用上問題のない。
D :2次転写効率が55%よりも小さく、2次転写効率に劣る。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、10mm角の透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、1週間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、遠心分離機(コクサン社製)により、900Gの加重を60秒掛け、沈降した深さを測定した。得られた沈降深さから沈降速度S[m/s]を算出し、下記基準に従い評価した。
A:S≦3.0×10−4
B:3.0×10−4<S≦9.0×10−4
C:9.0×10−4<S≦1.0×10−3
D:1.0×10−3<S
これらの結果を表2に示す。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。
(実施例17)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、ポリエステル樹脂として、低分子量のポリエステル樹脂L1(酸価:8.5mgKOH/g、重量平均分子量Mw:5,200、ガラス転移点Tg:46℃、軟化点T1/2:95℃):48重量部と、高分子量のポリエステル樹脂H1(酸価:16.0mgKOH/g、重量平均分子量Mw:237,000、ガラス転移点Tg:63℃、軟化点T1/2:182℃):12重量部との混合物を用意した。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂の混合物:172.3重量部、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「KG2212」、酸価:22mgKOH/g以下、軟化点:172〜182、重量平均分子量:100000):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:100重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が3.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が3.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
<脱溶剤工程>
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
<乾燥工程>
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、分散剤としての、アルキルジアミン(ライオン・アクゾ社製、商品名「デュオミンCD」、アミン価:437mgKOH/g):0.24重量部および12−ヒドロキシステアリン酸骨格を有するアミド化合物(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):0.48重量部、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):90重量部、大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製):60重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂L1の代わりに、表3に示す低分子量のポリエステル樹脂L2、ポリエステル樹脂H1の代わりに、高分子量のポリエステル樹脂H2を用いた以外は、前記実施例17と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例19)
ポリエステル樹脂L1の代わりに、表3に示す低分子量のポリエステル樹脂L3、ポリエステル樹脂H1の代わりに、高分子量のポリエステル樹脂H3を用い、その配合量を表4に示すようにした以外は、前記実施例17と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
また、表3中におけるポリエステル樹脂の軟化点T1/2は、測定装置として高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて、昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmの条件で測定した。
Claims (11)
- 絶縁性液体と、
ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子とを有し、
分散剤として、アルキルジアミンと、ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物とを含むことを特徴とする液体現像剤。 - 前記アルキルジアミンの含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して0.1〜8重量部である請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して0.1〜7重量部である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシ脂肪酸骨格は、12−ヒドロキシステアリン酸骨格である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記トナー粒子を構成する材料は、前記ポリエステル樹脂の他、ロジン変性樹脂を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体は、植物油を含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルをさらに含むものである請求項8に記載の液体現像剤。
- 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、
ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子とを有し、
分散剤として、アルキルジアミンと、ヒドロキシ脂肪酸骨格を有するアミド化合物とを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像部は、前記単色像を形成するための前記液体現像剤を供給する供給部と、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤を回収する回収部と、前記回収部と前記供給部との間に設けられた仕切とを有し、
前記仕切を通じて、前記供給部にある余剰の前記液体現像剤は、前記回収部に回収されるものである請求項10に記載の画像形成装置。
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