JP2009186970A - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、トナー粒子と、分散剤とを含み、トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものであり、分散剤は、アミン価を有するものであることを特徴とする。分散剤のアミン価は、1〜100mgKOH/gであるのが好ましい。分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して0.2〜10重量部であるのが好ましい。ロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃であるのが好ましい。
【選択図】なし
Description
従来より、このような液体現像剤を構成するトナー粒子には、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体やエポキシ樹脂等の樹脂材料が用いられている。このような樹脂材料は、取り扱いが容易で、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
このようなトナー粒子の分散性を向上させるために、トナー粒子を構成する樹脂材料として、絶縁性液体との親和性が高いロジン系樹脂を用いる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の液体現像剤では、トナー粒子の初期の分散性は良好であるが、経時的にトナー粒子同士が凝集してしまい、長期にわたって分散性を維持するのが困難であった。また、従来の液体現像剤では、十分な帯電特性が得られず、特に、正帯電の帯電特性を得るのが困難であった。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、トナー粒子と、分散剤とを含み、
前記トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものであり、
前記分散剤は、アミン価を有するものであることを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤のアミン価は、1〜100mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して0.2〜10重量部であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を前記記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、トナー粒子と、分散剤とを含み、
前記トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものであり、
前記分散剤は、アミン価を有するものであることを特徴とする。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、トナー粒子と、アミン価を有する分散剤とを含むものである。また、本発明では、トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものである。
<トナー粒子>
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
ロジン系樹脂は、後述するような絶縁性液体との親和性(相溶性)の高い成分である。したがって、このようなロジン系樹脂が表面の少なくとも一部に存在するトナー粒子は、後述するような絶縁性液体中における分散安定性が特に高いものとなる。また、ロジン系樹脂は、後述するようなアミン価を持った分散剤との親和性が高いため、トナー粒子の表面に後述するような分散剤を強固に付着(吸着)させることができる。また、このようなロジン系樹脂は、絶縁性液体によって可塑化されるため、ロジン系樹脂が露出している部分に後述するような分散剤をさらに強固に付着(吸着)させることができる。その結果、トナー粒子の分散性が長期にわたって優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の帯電特性を優れたものとすることができる。
上述したようなロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃であるのが好ましく、80〜160℃であるのがより好ましく、80〜130℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、ロジン系樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下であるのが好ましく、30mgKOH/g以下であるのがより好ましく、25mgKOH/g以下であるのがさらに好ましい。これにより、後述するような分散剤をトナー粒子表面付近により多く存在(吸着)させることができる。
また、トナー粒子は、上述したようなロジン系樹脂以外の公知の樹脂が含まれていてもよい。
また、トナー粒子中にポリエステル樹脂を含む場合、ポリエステル樹脂中における、低分子量のポリエステル樹脂の含有量は、50〜90wt%であるのが好ましく、60〜80wt%であるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、低温定着性は特に優れたものとなる。
トナー粒子中に含まれるロジン系樹脂以外の樹脂材料の酸価は、5〜20mgKOH/gであるのが好ましく、5〜15mgKOH/gであるのがより好ましい。これにより、トナー粒子表面にロジン系樹脂をより確実に存在させることができ、後述するようなアミン価を持った分散剤をより効果的に、トナー粒子表面付近に吸着させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜3μmであるのが好ましく、1〜2.5μmであるのがより好ましく、1〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
次に、分散剤について説明する。
本発明の液体現像剤中には、アミン価を有する分散剤が含まれている。
ところで、上述したようなロジン系樹脂やその他の樹脂材料は、一般に、負帯電性のものである。このような負帯電性の樹脂材料を用いた場合、トナー粒子(液体現像剤)を正帯電させるのが困難であった。また、このような負帯電性の樹脂材料を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。また、正帯電性の樹脂材料をトナー粒子の構成材料として用いることも考えられるが、正帯電性の樹脂材料は、樹脂そのものの安定性が低く、トナー粒子を構成する材料として適用するのが困難であった。
ロジン系樹脂は、一般に酸価の高い成分である。アミン価を有する分散剤は、このように酸価の高い成分がトナー粒子の表面に存在すると、トナー粒子の表面を覆うように付着または吸着する。また、アミン価を有する分散剤は、上述したロジン系樹脂との相溶性(親和性)が高く、トナー粒子の表面に強固に付着または吸着する。その結果、トナー粒子の長期分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、後述するような画像形成装置において、現像部等で回収された液体現像剤を再利用する際に、回収された液体現像剤内のトナー粒子を容易に再分散させることができ、容易に再利用することができる。
また、アミン価を有する分散剤は、後述するような絶縁性液体との相溶性も高く、トナー粒子の表面に付着(吸着)することにより、トナー粒子の分散安定性を特に高いものとすることができる。
アミン価を有する分散剤は、その分子内に、第2級アミン構造、第3級アミン構造、アミド結合構造なる群から選択される少なくとも1つの構造を有しているのが好ましい。これにより、トナー粒子の表面に分散剤をより強固に吸着させることができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
このような条件を満足する絶縁性液体としては、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体)、脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルまたはそれらを含む植物油、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、特に、植物油は、上記ロジン系樹脂やアミン価を有する分散剤との親和性(相溶性)が特に高いため、トナー粒子の分散安定性をさらに向上させることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、上述した成分以外に、公知の酸化防止剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、上述したような樹脂材料、着色剤が水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、樹脂材料と着色剤とを含むトナー粒子を得る脱溶剤工程と、トナー粒子および上述したような分散剤を絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する。
[分散液調製工程(水系分散液調製工程)]
まず、分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、例えば、樹脂材料(ロジン系樹脂およびその他の樹脂材料)、着色剤等のトナー粒子の構成材料(トナー材料)を有機溶剤中に溶解、分散させて樹脂液を得(樹脂液調製処理)、水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る(分散質形成処理)。
まず、樹脂材料(ロジン系樹脂およびその他の樹脂材料)、加水分解抑制剤を有機溶剤に溶解または分散させた樹脂液を調製する。
調製された樹脂液は、前述したようなトナー粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶剤を含むものである。
また、有機溶剤は、後述する水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
このような有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
樹脂液は、例えば、樹脂材料、着色剤、有機溶剤等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
また、樹脂液の調製においては、調製すべき樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、水系分散液(分散液)を調製する。
水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
また、水系分散液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂材料が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製される水系分散液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特に狭いものとなる。
また、中和剤は、水系分散液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、樹脂液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、水系分散液を効率良く得ることができるとともに、水系分散液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。このように合一する過程において、ロジン系樹脂とその他の樹脂材料とは相溶性が落ちる傾向があり、相分離を起こし、最終的に得られるトナー粒子の表面に確実にロジン系樹脂を存在(偏在)させることができる。
電解質としては、特に限定されず、公知の有機、無機の水溶性の塩等を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布の特に狭い合一粒子を得ることができる。
また、本工程は、分散液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する。これにより、分散液中に分散した樹脂微粒子(トナー粒子)が得られる。このようにして得られたトナー粒子は、その表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものとなる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する他の工程において、残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られた樹脂微粒子(トナー粒子)の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られる樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)により樹脂微粒子を分離し、さらにその後、固形分(樹脂微粒子)の水中への再分散および固液分離(水系液体からの樹脂微粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子と上述したような分散剤とを、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤を得る。
トナー粒子および前記分散剤の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子と前記分散剤とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。このような方法で混合することにより、分散剤をトナー粒子の表面により確実に付着または吸着させることができる。
また、トナー粒子および前記分散剤の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ42、43に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ43側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ44に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラ61、下流側2次転写ローラ62は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ42に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、後述する定着部(定着装置)F40に送られ、定着が行われる。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、コロナ放電器(圧縮手段)23Yとを有している。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部22Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部22Y内に回収される。
定着部F40は、前述した現像部、転写部等において形成された未定着のトナー画像F5aを、記録媒体F5上に定着させるものである。
定着部F40は、図4に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
定着部F40において、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、後述するような摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
熱定着ローラF1により加える熱(定着温度)は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。
(実施例1)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂:172.3重量部、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル135」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:130〜140、重量平均分子量:15000):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:100重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
<洗浄工程>
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
<分散工程>
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、分散剤としてのDisperbyk−116(ビックケミー社製、アミン価:65mgKOH/g):1.88重量部、絶縁性液体として菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):150重量部、帯電制御剤としてのステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
ロジン系樹脂として、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ロジン系樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「KG2212」、酸価:22mgKOH/g以下、軟化点:172〜182、重量平均分子量:100000)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ロジン系樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル145」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:140〜155、重量平均分子量:20000)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
アミン価を有する分散剤として、EFKA−4080(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、アミン価:4mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例6)
アミン価を有する分散剤として、Agrisperse 712(ニューセンチュリーコーティングス社製、アミン価:100mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂の代わりに、スチレンとアクリル酸ブチルエステルとを4:1の割合で共重合させたスチレン−アクリル酸エステル共重合体(酸価:6mgKOH/g、ガラス転移点:61.6℃、軟化点:116℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂とロジン系樹脂との配合比を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例10、11)
アミン価を有する分散剤の含有量を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
ロジン系樹脂を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例2)
アミン価を有する分散剤を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が95%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上、95%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上、90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が95%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上、95%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上、90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、□10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、1週間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を100℃として、熱定着を行った。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
これらの結果を表2に示す。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。
(実施例12)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
<分散液調整工程>
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、ポリエステル樹脂として、低分子量のポリエステル樹脂L1(酸価:8.5mgKOH/g、重量平均分子量Mw:5,200、ガラス転移点Tg:46℃、軟化点Tf:95℃):48重量部と、高分子量のポリエステル樹脂H1(酸価:16.0mgKOH/g、重量平均分子量Mw:237,000、ガラス転移点Tg:63℃、軟化点Tf:182℃):12重量部との混合物を用意した。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂の混合物:172.3重量部、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル135」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:130〜140、重量平均分子量:15000):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:100重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
<洗浄工程>
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
<分散工程>
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、分散剤としてのDisperbyk−116(ビックケミー社製、アミン価:65mgKOH/g):1.88重量部、絶縁性液体として菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):150重量部、帯電制御剤としてのステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
ポリエステル樹脂L1の代わりに、表3に示す低分子量のポリエステル樹脂L2、ポリエステル樹脂H1の代わりに、高分子量のポリエステル樹脂H2を用いた以外は、前記実施例12と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例14)
ポリエステル樹脂L1の代わりに、表3に示す低分子量のポリエステル樹脂L3、ポリエステル樹脂H1の代わりに、高分子量のポリエステル樹脂H3を用い、その配合量を表4に示すようにした以外は、前記実施例12と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
また、実施例12〜14について、液体現像剤の組成、物性、分散剤の物性、含有量等を表4に示した。なお、表中、ポリエステル樹脂L1、L2、L3をそれぞれL1、L2、L3と、ポリエステル樹脂H1、H2、H3をそれぞれH1、H2、H3と、ロジン変性フェノールをRPと示した。また、表中、Disperbyk−116をD116と示した。
Claims (9)
- 絶縁性液体と、トナー粒子と、分散剤とを含み、
前記トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものであり、
前記分散剤は、アミン価を有するものであることを特徴とする液体現像剤。 - 前記分散剤のアミン価は、1〜100mgKOH/gである請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記分散剤は、その分子内に、第2級アミン構造、第3級アミン構造、アミド結合構造なる群から選択される少なくとも1つの構造を有する請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記分散剤の含有量は、前記トナー粒子100重量部に対して0.2〜10重量部である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 前記トナー粒子は、前記ロジン系樹脂の他に、エステル結合を有する樹脂材料を含むものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 前記ロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 前記絶縁性液体は、主として植物油で構成されたものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、トナー粒子と、分散剤とを含み、
前記トナー粒子は、表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものであり、
前記分散剤は、アミン価を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
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