JP5023335B2 - ダイ、ダイ方式塗布装置及び塗布方法 - Google Patents
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Description
ここで、ダイ方式塗布装置では、吐出スリットから塗布液を吐出させるダイの塗布幅を変えることで製品幅とする。しかし、品質維持する為に密閉系であるダイ方式塗布装置においては製品幅に対してダイをセット持ちする必要があり、コストアップが避けられなかった。一方、吐出スリットに対して各種材料を詰め込む方式を用いることにより塗布幅を変更することも可能であるが、品質低下を伴うことが課題となっている。
また、基本ブロックと側板との間に複数個の幅決めブロックを介するので、複数個の幅決めブロックを介することによって基本ブロックと一体に形成される吐出スリットの長さを幅決めブロックの設定値に依存して広範囲で調整することが可能となる。従って、ダイの塗布幅を可変とすることが可能となる。
先ず、図1を用いて第1実施例に係るダイ方式塗布装置1について説明する。図1は第1実施例に係るダイ方式塗布装置1の概略構成を示す斜視図、図2は第1実施例に係るダイ方式塗布装置1をダイの長さ方向で切断した断面図である。
図3に示すように第1実施例に係るダイ2は、ダイ本体15とダイ本体15の両側部に配置される側板16、17とから基本的に構成されている。
また、これら基本ブロック18と幅決めブロック19、20との組立を再現性よく行うには、温度バラツキが1℃以下で管理された部屋(専用ブース)、精密な石定盤(JIS00級)上を基準面として、所定のトルクレンチを用いてボルト締結していくことが望ましい。
更に、組立精度は簡易的にはダイリップ先端における指先の触感で引っかかりがないこと、望ましくは専用の計測機器(電気マイクロメーター、干渉計、テーパーゲージ等)を用いて再現確認することが望ましい。
また、制御装置54は塗工厚検出センサ8によって検出された塗布膜12の厚さや、圧力検出器52及び流量検出器53で検出された塗布液11の圧力や流量を別途設けられたモニタ(図示せず)等に表示する。
次に、図5及び図6を用いて第2実施例に係るダイ方式塗布装置について説明する。この第2実施例に係るダイ方式塗布装置の概略構成は、第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第2実施例に係るダイ方式塗布装置はダイの構成が第1実施例に係るダイ方式塗布装置1と異なっている。
図5に示すように第2実施例に係るダイ102は、ダイ本体103とダイ本体103の両側部に配置される側板104、105とから基本的に構成されている。
具体的には、図6に示すようにスリット及び液溜めがブロックの全長に渡って形成されている幅決めブロック120、121と、スリット及び液溜めがブロックの全長の略半分に渡って形成されている幅決めブロック122、123と、スリット及び液溜めが全く形成されていない幅決めブロック124、125の3種類の幅決めブロック107、108がある。そして、幅決めブロック120、121を用いた場合が最も塗布幅が広くなり、幅決めブロック124、125を用いた場合が最も塗布幅が狭くなる。尚、図5は特に幅決めブロック122、123を用いて組合せたダイ102を示す。
また、ブロック111、112の側面にはネジ穴115が複数個形成されており、ネジ116を挿通させることにより、ブロック111とブロック112とを固定する。また、同じくネジ116を挿通させることにより、基本ブロック106を側板104、105や幅決めブロック107、108と固定する。また、ブロック111の内部には幅方向に沿って半円筒形状のキャビティ(液溜め)113が形成され、キャビティ113はブロック111に設けられた塗布液供給口114とスリット109に連通される。
更に、第2実施例に係るダイ102では、ブロック111よりブロック112が幅決めブロック107、108の分だけ全長が長くなるように設計されており、ブロック112は幅決めブロック107、108とも嵌合することによりスリット109の一部を形成する。
その際に形成されるスリットの長さは、ブロックの種類によって異なっており、幅決めブロック124、125を用いた場合が最もスリットの長さが長くなり、ブロック112の全長と同じ長さとなる。また、幅決めブロック120、121を用いた場合には最もスリットの長さが短くなり、ブロック111の全長と同じ長さとなる。
また、幅決めブロック107、108と基本ブロック106とが組み合わされた際に、キャビティ126〜129は基本ブロック111に形成されたキャビティ113と連通されて一体となる。更に、ブロック120〜125の側面にはネジ穴130が複数個形成されており、ネジ116を挿通させることにより、ブロック120〜125とブロック112とを固定する。また、同じくネジ116を挿通させることにより、幅決めブロック107、108を側板104、105や基本ブロック106と固定する。尚、幅決めブロック107、108は基本ブロック106のどちらか一端のみに配置することとしても良い。
次に、第3実施例に係るダイ方式塗布装置について説明する。この第3実施例に係るダイ方式塗布装置の概略構成は、第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第3実施例に係るダイ方式塗布装置はダイの構成が第1実施例に係るダイ方式塗布装置1と異なっている。
続いて、第4実施例に係るダイ方式塗布装置について説明する。この第4実施例に係るダイ方式塗布装置の概略構成は、第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施例に係るダイ方式塗布装置1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第4実施例に係るダイ方式塗布装置はダイの構成が第1実施例に係るダイ方式塗布装置1と異なっている。具体的には、第4実施例に係るダイは幅決めブロックによって形成される吐出スリットの一端または両端部に長さ200mm以下のシムを介装することにより構成されることを特徴とする。
次に,ダイの構成と吐出スリットの溝幅面とリップ面における平行真直度及び平面度、吐出スリットの溝幅偏差との関係について、本発明に係る上記第1実施例〜第4実施例及び比較例のダイの評価結果を比較して説明する。尚、比較例としては前記特許文献2に記載のダイの構成を用いて比較した。更に、比較のために一般的なスロットダイとしてダイ本体とその両端部に一対の側板のみで構成されたダイを定義する。
また、計測は市販の電気マイクロ及びCCDカメラを用いて石定盤(JIS00級)上で行った。
図9に示すように第1実施例及び第3実施例に係るダイでは、塗布液が吐出される塗布幅に対する吐出スリットの溝幅面と前記リップ面における平行真直度及び平面度が4/1000mm以下であって、溝幅偏差が8/1000mm以下となった。
また、第2実施例に係るダイでは、塗布液が吐出される塗布幅に対する吐出スリットの溝幅面と前記リップ面における平行真直度及び平面度が2/1000mm以下であって、溝幅偏差が4/1000mm以下となった。
一方、比較例に係るダイでは、塗布液が吐出される塗布幅に対する吐出スリットの溝幅面と前記リップ面における平行真直度及び平面度が4/1000mmより大きく、溝幅偏差が8/1000mmより大きくなった。
従って、比較例と比較して第1実施例〜第3実施例(特に第2実施例)に係るダイでは、繰り返し再現性に優れた組合せを可能とする。
従って、比較例と比較して第1実施例及び第2実施例(特に第2実施例)に係るダイ方式塗布装置では、塗布後の塗布膜について厚み偏差の少ない良好な厚み精度を得られることが分かる。
図13に示すように、スリットの両端部に介装するシムの長さを200mm以下(好ましくは50mm以下)にすることで、スリットに対してシムを介装したとしても、スリットの溝幅偏差を4/1000mm以下に維持することができる。従って、精密な塗膜厚み精度の制御を可能としながら、シムを用いた詳細なスリット長さ(塗布幅)を調整することが可能となることが分かる。
従って、第4実施例に係るダイ塗布装置を用いることで、溝幅偏差を4/1000mm以下に抑えつつ、第1実施例、第2実施例及び第3実施例に係るダイ方式塗布装置よりも任意にダイのスリットの塗布幅変更が可能となる。
また、幅決めブロック19、20は形成される吐出スリットの距離が異なる複数種類のブロックからなり、幅決めブロック19、20を交換することにより塗布幅を変更するので、ダイ2全体を交換することなく幅決めブロック19、20のみを交換することによって所定の塗布幅にするための調整が容易に可能となる。
また、塗布液が吐出される塗布幅に対するスリット21の溝幅面とリップ面45における平行真直度及び平面度が4/1000mm以下であって、溝幅偏差が8/1000mm以下であるので、繰り返し再現性に優れた組合せを可能とする。
また、第2実施例に係るダイ102、ダイ102を用いたダイ方式塗布装置及び塗布方法では、ダイ本体103は中央に配置された基本ブロック106と、基本ブロック106の両端に配置された幅決めブロック107、108とから構成され、幅決めブロック107、108は基本ブロック106に当接される面からのスリットの長さL3、L4が異なる複数種類のブロックがあり、幅決めブロック107、108を他の種類のブロックに交換することによって、ダイ102全体を交換することなくダイ2のスリット109の長さ(塗布幅)Wを任意の長さに変更することが可能となる。それにより、ダイ102を用いて長尺帯状ウェブ10に対して塗布液を塗布する塗布工程において機械精度的に安定した幅変更、且つ精密な塗膜厚み制御を可能とする。その結果、所定の製品幅にするための調整を可能としつつ、品質の低下や導入コストの高騰の防止を図ることができる。
また、幅決めブロック107、108は基本ブロック106に当接する面から側板方向に所定距離まで吐出スリットが形成されるので、幅決めブロック107、108を介することによって基本ブロック106と一体に形成されるスリット109の長さを幅決めブロック107、108の設定値に依存して任意の長さに調整することが可能となる。従って、ダイ102の塗布幅を可変とすることが可能となる。
また、第3実施例に係るダイ2、ダイ2を用いたダイ方式塗布装置1及び塗布方法では、基本ブロックと側板との間に複数個の前記幅決めブロックを介するので、複数個の幅決めブロックを介することによって基本ブロックと一体に形成される吐出スリットの長さを幅決めブロックの設定値に依存して広範囲で調整することが可能となる。従って、ダイの塗布幅を可変とすることが可能となる。
また、第4実施例に記載のダイ201、及びダイ201を用いたダイ方式塗布装置及び塗布方法では、基本ブロック206と側板203、204との間に複数個の幅決めブロック207〜210を介し、更に、スリット213の両端部にシム211、212を介装するので、ダイの設計、製作後においてもスリット長さの調整、即ちダイ201の塗布幅を可変が可能となる。更に、幅決めブロック207〜210のみによってスリット213の長さの調整を行う場合と比較して、より精密な調整(例えば1mm単位の調整)が可能となる。更に、シム211、212の長さを200mm以下とすることにより、任意の塗布幅へ機械精度を維持したままで可変することが可能となる。
2、102、201 ダイ
10 ウェブ
11 塗布液
12 塗布膜
6、7 搬送ローラ
15、103、202 ダイ本体
16、17、104、105、203、204 側板
21、109、213 スリット
45、135 リップ面
18、106、206 基本ブロック
19、20、107、108、207〜210 幅決めブロック
27、113、214 キャビティ
Claims (7)
- 連続走行するウェブに塗布液を塗布するダイ方式塗布装置において用いられ、ウェブに供給する塗布液を吐出するダイにおいて、
ダイ本体と、
前記ダイ本体とは別体に成形されるとともにダイ本体の両端部に配置される一対の側板と、
前記ダイ本体に形成され前記ウェブに対向するリップ面と、
前記リップ面に先端部が形成され所定の塗布幅で塗布液を吐出する吐出スリットと、を有し、
前記ダイ本体は、
基本ブロックと、
前記基本ブロックの一端又は両端に配置され、前記基本ブロックと一体に所定長さの前記吐出スリットを形成する幅決めブロックと、を備え、
前記基本ブロックと前記側板との間に複数個の前記幅決めブロックを介することを特徴とするダイ。 - 前記基本ブロックと前記側板との間に配置される前記幅決めブロックの数とブロック幅によって前記塗布幅が決定されることを特徴とする請求項1に記載のダイ。
- 前記ダイ本体の内部には塗布液を前記吐出スリットに供給する液溜めが形成され、
前記基本ブロックは、
前記液溜めが内部に形成された第1ブロックと、
前記第1ブロックと嵌合することにより前記第1ブロックとの間に生じる間隙によって前記吐出スリットを形成する第2ブロックと、
を備え、
前記幅決めブロックは、前記液溜めが前記基本ブロックに当接する面から側板方向に形成されるとともに前記第2ブロックと嵌合することにより前記第2ブロックとの間に生じる間隙によって前記吐出スリットを形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイ。 - 塗布液が吐出される塗布幅に対する吐出スリットの溝幅面と前記リップ面における平行真直度及び平面度が4/1000mm以下であって、溝幅偏差が8/1000mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイ。
- 前記幅決めブロックによって形成される前記吐出スリットの一端又は両端に長さ200mm以下のシムが介装されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダイ。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたダイと、
ウェブを搬送する搬送手段と、
前記ダイに塗布液を供給する塗布液供給手段と、を有することを特徴とするダイ方式塗布装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたダイを用い、連続走行するウェブに対して吐出スリットから吐出した塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法。
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