JP5017900B2 - 被加工物の加工方法とその装置 - Google Patents
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Description
また、被加工物としてのガラス体に吸収率の高い紫外線領域のレーザ光を集光して加工目的の形状に沿って走査させることによりスクライビングを施した後に、上記スクライビングを施した部位に沿って吸収率の高い赤外線領域のレーザ光を照射して熱歪みを与えて被加工物を割断する加工方法も提案されている(例えば特許文献3)。
また、特許文献3の加工方法のようにレーザ光のみによってウエハに溝を形成すると、レーザ光による熱影響のために半導体ウエハの表面に形成されている電子回路の信頼性に影響が及んだり、デブリと呼ばれる溶融物の発生が多くなるという問題があった。
次に上記溝に沿って被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断するようにした被加工物の加工方法を提供するものである。
また、請求項2に記載した本発明は、被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する加工ヘッドと、上記支持手段と上記加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、レーザ発振器によって発振されたレーザ光を上記加工ヘッドに導入するレーザ光導入手段と、上記加工ヘッドへのレーザ光の導入を阻止するシャッタとを備えて、
上記被加工物の割断予定線に沿って上記加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成した後、上記シャッタにより上記加工ヘッドへのレーザ光の導入を阻止した状態で上記溝に沿って上記加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断するようにした被加工物の加工装置を提供するものである。
また、請求項3に記載した本発明は、被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第1加工ヘッドと、液体を被加工物に噴射する第2加工ヘッドと、支持手段と上記両加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記両加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、上記第1加工ヘッドにレーザ光を導入するレーザ光導入手段とを備えて、
上記被加工物の割断予定線に沿って上記第1加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成し、上記溝に沿って上記第2加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断するようにした被加工物の加工装置を提供するものである。
さらに、請求項4に記載した本発明は、被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第1加工ヘッドと、上記支持手段と上記第1加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記第1加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、上記第1加工ヘッドにレーザ光を導入するレーザ光導入手段とを備える第1ステーションと、
被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第2加工ヘッドと、上記支持手段と上記第2加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記第2加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段とを備える第2ステーションとからなり、
上記第1ステーションにおいて上記被加工物の割断予定線に沿って上記第1加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成し、
上記第2ステーションにおいて上記溝に沿って上記第2加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断するようにした被加工物の加工装置を提供するものである。
ハイブリッド加工装置1は、被加工物3を水平に支持する支持手段4と、レーザ光LをQスイッチパルス発振するYAGレーザ発振器5と、被加工物3に向けて高圧水を液柱Wにして噴射するとともに液柱W内にレーザ光Lを透過させるように出射する上記加工ヘッド2と、導管6を介して上記加工ヘッド2内へ高圧水を供給する液体供給手段7とを備えており、これらは図示しない制御装置によって作動を制御されるようになっている。本実施例の加工ヘッド2は支持手段4の上方側に固定して配置されている。
エアシリンダ13が作動されずにシャッタ8の反射ミラー14が後退位置にあってレーザ光Lの光路上にない状態でYAGレーザ発振器5からレーザ光Lが発振されると、該レーザ光Lは反射ミラー11によって反射されてから集光レンズ12によって集束されて加工ヘッド2に入射されるようになっている。
他方、YAGレーザ発振器5からレーザ光Lが発振されている状態において、制御装置によってエアシリンダ13が作動されてシャッタ8の反射ミラー14がレーザ光Lの光路上となる前進位置に移動されると、上記反射ミラー14によってレーザ光Lが反射されて吸収材15によって吸収される。つまり、加工ヘッド2へのレーザ光Lの導入が阻止されるようになっている。
上記YAGレーザ発振器5は、加工に応じてCW発振又はパルス発振が可能であり、またその出力やパルスの発振周期等の加工条件を適宜調整できるようになっている。
図2は図1に示した被加工物3の拡大断面図であり、この図2に示すように、被加工物3としてのウエハは、レーザ光Lおよび液体を透過する粘着シート3A上に貼り付けられており、この粘着シート3Aにおける外周部分はウエハリング3Bの下面に張設されている。
ウエハリング3B、粘着シート3Aおよび被加工物3としてのウエハが一体となっており、この状態の被加工物3は支持手段4の上面に載置され、支持手段4の周辺部に設けた保持手段16によって水平に保持されるようになっている。支持手段4の中央部は水平断面がハニカム状となっており、加工時には粘着シートを通過した液体を下方へ通過させるようになっている。そして、加工終了後の被加工物3(製品と残材)は粘着シート3Aに接着したままで、ウエハリング3Bおよび粘着シート3Aとともに保持手段16から取り外されるようになっている。そして、その後に新たな加工対象となる被加工物3が支持手段4に供給されて保持手段16により保持されるようになっている。
次に、支持手段4はX方向移動機構17上に設けられて水平面におけるX方向に移動可能となっている。このX方向移動機構17はY方向移動機構18上に設けられて水平面における上記X方向と直交するY方向に移動可能となっている。これらX方向移動機構17とY方向移動機構18は図示しない制御装置によって作動を制御されるようになっている。そして、制御装置によって上記両移動機構17、18が所要量だけXY方向に移動されると、支持手段4上の被加工物3と加工ヘッド2とがXY方向に相対移動されるようになっている。本実施例においては、上記X方向移動機構17とY方向移動機構18とによって、加工ヘッド2と支持手段4とを水平面において相対移動させる移動手段21を構成している。
次に、高圧水を加工ヘッド2へ供給する液体供給手段7は従来公知のものであり、制御装置によって液体供給手段7を作動させることにより導管6を介して加工ヘッド2内の通路に高圧水が供給され、そこから連通する最下方の噴射口を通過することで高圧水は液柱Wとなって被加工物3に吹き付けられるようになっている。
すなわち、以上のように構成したハイブリッド加工装置1による被加工物2を割断する工程を説明する。
先ず、YAGレーザ発振器5からのレーザ光の発振を停止させ、かつ液体供給手段7からの高圧水の供給を停止させた状態において、被加工物3を支持手段4上に載置する。このように支持手段4上に被加工物3が載置されたら保持手段16によって被加工物3を支持手段4上に固定する。このとき、シャッタ8の反射ミラー14はレーザ光Lの光路上からはずれた後退位置に位置させておく。
この後、制御装置によって移動手段21の両移動機構17、18が作動されて、支持手段4が水平面におけるXY方向に所要量だけ移動されて、加工ヘッド2の下方に被加工物3の加工開始位置が位置決めされる。
そして制御装置が上記移動手段21の両移動機構17、18を介して加工ヘッド2と支持手段4とを相対移動させることで、液柱W内のレーザ光Lの照射位置が被加工物3の割断予定線22上を順次なぞるように相対移動され、それによって被加工物2の表面3Cにおける割断予定線22の全てに断面V字形の微小な溝23が連続的に形成される(図3a参照)。
これにより、レーザ光Lは被加工物へは照射されなくなるが、液体供給手段7から加工ヘッド2へ継続して高圧水が供給されるので、加工ヘッド2より高圧水のみが液柱Wに形成されて噴射される。
そして、このように加工ヘッド2から液柱Wを噴射させた状態において、制御装置は上記両移動機構17,18を介して加工ヘッド2を加工開始位置に位置させてから、上記割断予定線22上をなぞるように支持手段4を移動させる。
これに伴い、加工ヘッド2から噴射している液柱Wは、被加工物3の割断予定線22に形成された溝23に沿って噴射される(図3b参照)。これにより、割断予定線22に形成された溝23の深部とその周辺に図3bの矢印方向に内部応力が生じるので、上記溝23の最深部から裏面3Dに到達する亀裂24が生じて、上記割断予定線22のとおりに被加工物3が完全に割断されるようになっている(図3c参照)。
したがって、本実施例によれば、被加工物3が厚肉のものであっても、効率的かつ確実に割断予定線22のとおりに割断することが可能となる。また、被加工物3が半導体ウエハであっても、半導体ウエハの上面に形成されている電子回路を破損させる虞がなく、しかもデブリの発生を抑制することが可能な割断方法を提供することができる。
その他の構成は上記第1実施例のものと同じであり、第1実施例と対応する部材に同じ符号を付している。
この第2実施例においても、移動手段21の両移動機構17,18によって支持手段4と両加工ヘッド2,102を水平面におけるXY方向に相対移動させるようになっている。その際、この第2実施例においては、第1加工ヘッド2に対して第2加工ヘッド102は少し離隔させて配置してあるので、先ず第1加工ヘッド2が先行して支持手段4と相対移動し、それに追従するようにして第2加工ヘッド2が支持手段4と相対移動されるようになる。
このような構成の第2実施例によれば上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができるとともに、作業時間を短縮することができる。
すなわち、図示しない左方の搬入位置において搬送コンベヤ105上の支持手段4に被加工物3が供給されるようになっており、この搬送コンベヤ105の搬送経路上に第1ステーションAと第2ステーションBを設けている。
第1ステーションAには、第1加工ヘッド2を図示しない第1駆動手段によって水平面のXY方向に移動可能に設けてあり、また、第2ステーションBには、上記第2実施例と同様の第2加工ヘッド102を図示しない第2駆動手段によって水平面におけるXY方向に移動可能に設けている。なお、第1加工ヘッド2に対しては、レーザ発振器5から光ファイバ106を介してレーザ光Lを導入するようにしている。また、レーザ発振器5の内部には、所要時にレーザ光Lの発振を阻止するシャッターを設けている。そして、搬送コンベヤ105、第1駆動手段、第2駆動手段およびシャッタの作動も図示しない制御装置によって制御されるようになっている。その他の構成は第2実施例と同じであり、第2実施例と対応する部材に同じ符号を付している。
この第3実施例においては、搬送コンベヤ105が間欠的に走行されることで、搬送コンベヤ105上の被加工物3が先ず第1ステーションAに停止する。すると、この第1ステーションAに停止した被加工物3に対して第1加工ヘッド2から液柱Wを割断予定線に噴射するとともに該液柱W内を透過させたレーザ光Lを照射し、かつ第1駆動手段により第1加工ヘッド2を割断予定線に沿って水平方向に移動させる。これにより、第1ステーションAにおいて被加工物3の割断予定線22に上記図3aに示したような溝23が形成される。
この後、搬送コンベヤ105が再度走行されてから停止されるので、溝23が形成された第1の被加工物3は第2ステーションBに移送されると同時に、第2の被加工物3が第1ステーションAに移送される。
すると、第2ステーションBに停止した第1の被加工物3に対して上記第2駆動手段により第2加工ヘッド102が水平方向に移動されて、この第2加工ヘッド102から液柱Wが被加工物3の溝23に沿って噴射されるので、割断予定線22のとおりに被加工物3が完全に割断されるようになっている(図3b、図3c参照)。
同時に、前述した要領で、第1ステーションAにおいて第2の被加工物3に対して第1加工ヘッド2から液柱Wが噴射され、かつレーザ光Lが照射されて割断予定線22に溝23が形成される。
この後、搬送コンベヤ105が再度走行されてから停止されるので、割断が終了した第1の被加工物3は第2ステーションBから次の工程へ搬送されるとともに溝23が形成された第2の被加工物3が第2ステーションBに移送される。
このように、第3実施例においては、第1ステーションAにおいて溝を形成し、隣接する第2ステーションBにおいて完全に割断するようにしている。このような構成とすることで、第3実施例においては上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができ、また、多数の被加工物を効率よく処理することができる。
この第3実施例では、被加工物を割断する際に加工ヘッド側を被加工物に対して移動するようにしたが、各ステーションの支持手段をXY方向の移動手段上に設けて、被加工物側を移動させるようにしても良く、ステーション間をロボットにより移載するようにしても良い。
なお、上記各実施例において、加工ヘッドを被加工物へ液柱を形成しない程度に接近させるようにしても良い。
また、上記各実施例において、高圧水の圧力を溝を形成するとき割断時とで変更するようにしても良い。
さらに、上記各実施例は、被加工物として半導体ウエハ以外の脆性材料を加工する場合にも適用することができ、その場合には被加工物の材料に応じた波長のレーザ光を用いればよい。
3…被加工物 5…YAGレーザ発振器
7…液体供給手段 8…シャッタ
21…移動手段 22…割断予定線
23…溝 105…搬送コンベヤ(搬送手段)
106…光ファイバ(レーザ光導入手段) L…レーザ光
W…液柱
Claims (4)
- 被加工物の割断予定線に沿って被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成し、
次に上記溝に沿って被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断することを特徴とする被加工物の加工方法。 - 被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する加工ヘッドと、上記支持手段と上記加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、レーザ発振器によって発振されたレーザ光を上記加工ヘッドに導入するレーザ光導入手段と、上記加工ヘッドへのレーザ光の導入を阻止するシャッタとを備えて、
上記被加工物の割断予定線に沿って上記加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成した後、上記シャッタにより上記加工ヘッドへのレーザ光の導入を阻止した状態で上記溝に沿って上記加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断することを特徴とする被加工物の加工装置。 - 被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第1加工ヘッドと、液体を被加工物に噴射する第2加工ヘッドと、支持手段と上記両加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記両加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、上記第1加工ヘッドにレーザ光を導入するレーザ光導入手段とを備えて、
上記被加工物の割断予定線に沿って上記第1加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成し、上記溝に沿って上記第2加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断することを特徴とする被加工物の加工装置。 - 被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第1加工ヘッドと、上記支持手段と上記第1加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記第1加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段と、上記第1加工ヘッドにレーザ光を導入するレーザ光導入手段とを備える第1ステーションと、
被加工物を支持する支持手段と、液体を上記被加工物に噴射するとともに該液体内にレーザ光を透過させて出射する第2加工ヘッドと、上記支持手段と上記第2加工ヘッドとを相対移動させる移動手段と、上記第2加工ヘッドに高圧の液体を供給する液体供給手段とを備える第2ステーションとからなり、
上記第1ステーションにおいて上記被加工物の割断予定線に沿って上記第1加工ヘッドから被加工物に液体を噴射するとともに上記液体内にレーザ光を透過させることにより被加工物にレーザ光を照射して、被加工物の表面における上記割断予定線の箇所に溝を形成し、
上記第2ステーションにおいて上記溝に沿って上記第2加工ヘッドから被加工物に液体を噴射して、上記溝から被加工物の裏面に到達する亀裂を生じさせて被加工物を割断予定線のとおりに割断することを特徴とする被加工物の加工装置。
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