JP5017707B2 - イオン伝導性組成物およびその製造方法 - Google Patents

イオン伝導性組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム電池の電解質等として好適な組成物およびその製造方法に関する。
常温で液状の塩(常温溶融塩、イオン性液体等と称されることもある。)を主体とするイオン伝導性組成物を、リチウム二次電池等の電解質(常温溶融塩電解質)等として用いることが提案されている。常温溶融塩としては、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピリジニウム系等のカチオンを有するものが一般的である。
一方、特許文献1には、オリゴエーテル基および電子求引性基をもつアルミネート構造を有するリチウム塩が記載されている。そのようなリチウム塩は、室温において単独で(例えば、非水溶剤を混合することなく)良好なイオン導電率およびリチウムイオン輸率を示す。また、常温において液状の塩、すなわちリチウム(Li)をカチオンとする常温溶融塩(以下、「リチウム溶融塩」ということもある。)であり得る。その他、二次電池の構成要素等として使用可能な電解質に関する従来技術文献として特許文献2および3が挙げられる。
特開2003−146941号公報 特開2003−68357号公報 特開2002−33130号公報
本発明の一つの目的は、オリゴエーテル基および電子求引性基をもつリチウム塩を利用して、より良好な特性(例えば、イオン導電率、リチウムイオン輸率等のうち一または二以上の特性)を示すイオン伝導性組成物を提供することである。本発明の他の目的は、そのような組成物を製造する好適な方法を提供することである。関連する他の目的は、かかるリチウム塩を利用して、より良好な特性を示す電解質を提供することである。さらに他の目的は、該電解質を備える電池(例えばリチウム電池)を提供することである。関連する他の目的は、上記組成物の構成成分等として好適な配位化合物を提供することである。
本発明により提供される一つのイオン伝導性組成物は、下記一般式(1)で表されるリチウム塩を含有する。
LiM(OY)4−n ・・・(1)
ここで、上記式(1)中のnは1〜3であり得る。Mは周期表13族に属する元素であり得る。Yはオリゴエーテル基であり得る。Xは電子求引性基であり得る。この組成物は、さらに、酸素に配位可能な(すなわち、酸素と配位結合し得る)添加剤を含有する。例えば、上記リチウム塩中のMに隣接する(すなわち、Mに直接結合する)少なくとも一つの酸素に配位可能な添加剤を含有する。ここに開示される組成物の典型的な態様では、該組成物中において上記添加剤の少なくとも一部が、上記リチウム塩のアニオンに含まれる酸素(好ましくは、主としてMに隣接する酸素)に配位している。換言すれば、該組成物中において、上記添加剤と上記リチウム塩(より詳しくは、該リチウム塩を構成するアニオン)とが配位化合物を形成している。このような組成物は、例えば上記添加剤を含有しない組成物に比べて、上記リチウム塩の解離度がより高いものとなり得る。このことによって、より良好な特性(イオン導電率等)を示す組成物となり得る。
上記添加剤は、強いルイス酸である。ここで、本出願において上記添加剤が「強いルイス酸」であるとは、上記組成物において該添加剤がリチウムイオンよりも優先的に酸素と結合するか、あるいはリチウムイオンと該添加剤との結合が平衡的に起こることをいう。いずれの場合にも、上記添加剤を含有することによってリチウムイオンと酸素との相互作用は弱まる。したがって、かかる添加剤を含む組成物は、より効果的にリチウム塩の解離度が高められたものとなり得る。別言すれば、上記添加物は、リチウムイオンよりもルイス酸性の強いルイス酸である。本発明にとり好ましい添加剤として、例えば、三フッ化ホウ素(BF3)等のハロゲン化ホウ素を挙げることができる。



特に限定するものではないが、ここに開示される組成物は、上記式(1)で表されるリチウム塩1モルに対して上記添加剤を例えば0.1〜5モルの比率で含有することができる。リチウム塩と添加剤とをこのような比率(モル比)で含有する組成物は、より効果的にリチウム塩の解離度が高められたものとなり得る。
ここに開示される組成物の一つの好ましい態様では、該組成物が、上記式(1)中のnが2であり、Yが下記式(2)で表されるオリゴアルキレンオキシド基であるリチウム塩を含む。
(RO)−R ・・・(2)
ここで、上記式(2)中のmは1〜20であり得る。Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり得る。Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基であり得る。
他の一つの好ましい態様では、該組成物が、上記式(1)中のXがOC,OCOCF,OB(OY)(Yはオリゴエーテル基である。例えば、上記式(2)で表されるオリゴアルキレンオキシド基であり得る。),N(SOCF,およびN(SOからなる群から選択される少なくとも一種であるリチウム塩を含む。
ここに開示される組成物は、常温域で液状の組成物であり得る。ここで「常温域」とは、例えば、上限が凡そ80℃(典型的には凡そ60℃、場合によっては凡そ40℃)であり、下限が凡そ−20℃(典型的には凡そ0℃、場合によっては凡そ20℃)である温度域をいう。かかる温度域の少なくとも一部の範囲で液状を呈する組成物が好ましい。また、少なくとも凡そ25℃において液状を示す組成物が好ましく、少なくとも凡そ20〜40℃(より好ましくは凡そ0〜60℃、さらに好ましくは凡そ−20〜+80℃)の温度域に亘って液状の状態を維持し得る組成物がより好ましい。特に、上記リチウム塩および上記添加剤以外の成分(例えば非水溶剤)を実質的に含有しない状態で、少なくとも凡そ25℃において液状を示す組成物が好ましく、上記温度域に亘って液状を示す組成物がより好ましい。そのようなイオン伝導性組成物は、リチウム電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)の電解質等として特に有用なものとなり得る。
また、本発明によると、イオン伝導性組成物の製造方法が提供される。その方法は、下記一般式(1)で表されるリチウム塩と、ルイス酸(典型的にはハロゲン化ホウ素、例えばBF)とエーテルとの錯体と、を混合する工程を含む。また、該工程により得られた混合物から上記エーテルを揮発させる工程を含むことができる。
LiM(OY)4−n ・・・(1)
ここで、上記式(1)中のnは1〜3であり得る。Mは周期表13族に属する元素であり得る。Yはオリゴエーテル基であり得る。Xは電子求引性基であり得る。かかる方法は、例えば、上述したいずれかのイオン伝導性組成物を製造する方法として好適である。
ここに開示される発明の他の側面は、上記一般式(1)で表されるリチウム塩を構成する酸素にルイス酸(典型的にはハロゲン化ホウ素、例えばBF)が配位してなる配位化合物の製造方法である。その方法は、上記式(1)で表されるリチウム塩と、ルイス酸とエーテルとの錯体とを混合する工程を含む。さらに、その混合物から上記エーテルを揮発される工程を含むことができる。
本発明は、また、以下の態様で実施することができる。
(態様1)
上述したいずれかの組成物を主体とする電解質。例えば、リチウム電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)用の電解質。上述したいずれかの組成物は、良好なイオン伝導性を示すことから、リチウム電池の電解質等として好適である。
(態様2)
上述したいずれかの組成物を電解質に用いて構築されているリチウム二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)。かかるリチウム二次電池は、上述のように良好なイオン伝導性を示す組成物を電解質として備えることから、電池性能(例えば充放電特性)に優れたものとなり得る。
(態様3)
下記一般式(3)で表されるリチウム塩を構成する、Mに隣接する酸素(O)にリチウムイオンよりもルイス酸性の強いルイス酸が配位してなる配位化合物。
LiM(O(CHCHO)−R ・・・(3)
ここで、Mはホウ素またはアルミニウムであり得る。典型的にはMがホウ素である。Xは電子求引性基であり得る。例えば、OC,OCOR(Rは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。),OB(OY),N(SOCF,およびN(SOからなる群から選択される少なくとも一種である。Xの好ましい具体例としてOCおよびOCOCFが挙げられる。mは1〜20(好ましくは2〜12)であり得る。Rは炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基であり得る。例えばメチル基である。上記ルイス酸の好適例としてはハロゲン化ホウ素(典型的にはBF)が挙げられる。該化合物は、上記式(3)で表されるリチウム塩1分子に対し、平均して0.5〜2分子のルイス酸(例えばBF)が配位した化合物であり得る。上述した常温域で液状となり得る配位化合物が好ましく、少なくとも凡そ25℃において液状(溶融状態)の配位化合物がより好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される組成物を構成するリチウム塩は、一般式(1):LiMX(OY)4−nで表される。この式(1)におけるnは0<n<4であり得る。典型的には、nが1〜3である。かかるリチウム塩として特に好ましいものは、上記式(1)におけるnが2であるリチウム塩である。また、上記式(1)におけるMは、長周期型の元素周期表において13族に属する元素(すなわち、B,Al,Ga,InおよびTl)から選択されるいずれかである。典型的には、Mがホウ素(B)またはアルミニウム(Al)である。
上記式(1)におけるXは電子求引性基である。例えば、OCOR,OSOR,N(SOR)で表される基であり得る。ここで、Rはアルキル基(例えば、炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、フェニル基、またはそれらの基における水素(H)の一部または全部をフッ素(F)で置換したものに相当する基(パーフルオロアルキル基、ペンタフルオロフェニル基等)であり得る。Rの好適例としては、アルキル基およびパーフルオロアルキル基を挙げることができる。また、好ましいXの他の例として、ペンタフルオロフェノキシ基(OC)が挙げられる。Xの他の好適例として、OB(OY)で表される基が挙げられる。このOB(OY)におけるYはオリゴエーテル基であり、好ましくは一般式:(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基である。また、mは1〜20(好ましくは2〜12、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8)であり、Rは炭素数1〜8(好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、特に好ましくは2)のアルキレン基である。Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基(例えばベンジル基)であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。Xのさらに他の例としては、F、シアノ基(CN)等が挙げられる。
一般式(1)で表されるリチウム塩は、nの数に応じて1〜3個のXを有し得る。nが1よりも大きい場合、このリチウム塩は中心元素(M)上に同種のXを複数有してもよく、一つの中心元素上に異なる種類の(二種以上の)Xを有してもよい。
ここに開示される発明の一つの好適な態様では、上記式(1)で表されるリチウム塩が、OCOR,OC,OB(OY)等のように、酸素を介してMに結合する構造の電子求引性基Xを有するリチウム塩である。そのような電子求引性基の具体例としては、OCOCFおよびOCが挙げられる。かかる構造のリチウム塩を含む組成物においては、本発明を適用することによる効果(イオン導電率の向上効果等)が特によく発揮され得る。上記式(1)で表されるリチウム塩の他の好適な具体例としては、XがN(SOCFおよび/またはN(SOであるリチウム塩が挙げられる。
上記一般式(1)におけるYはオリゴエーテル基である。例えば、平均分子量が凡そ75〜1000程度(より好ましくは100〜540)のオリゴエーテル基であることが好ましい。Yの好適例としては、一般式(2):(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基が挙げられる。ここで、式(2)中のmは1〜20であり得る。mが2〜12であることが好ましい。Rは炭素数1〜8、好ましくは炭素数2〜4、より好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。Rがエチレン基(すなわち、Yがオリゴエチレンオキシド基)であることが特に好ましい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基(例えばベンジル基)であり得る。Rが炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基)であることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるリチウム塩は、nの数に応じて1〜3個のYを有し得る。一般式(1)におけるnが1よりも大きい場合、このリチウム塩は中心元素(M)上に同種のYを複数有してもよく、一つの中心元素上に異なる種類の(二種以上の)Yを有してもよい。例えば、一般式(1)におけるnが2であり、一般式(2)におけるm,RおよびRのうち少なくともいずれかが異なる二種類のYを一つの中心元素上に有するリチウム塩であってもよい。
ここに開示される組成物は、上記リチウム塩とともに、酸素(O)に配位可能な添加剤(酸素との間に配位結合を形成し得る化学種)を含有する。そのような添加剤は、酸素の孤立電子対を受け入れ可能な空軌道を有する元素、イオン、またはそのような元素を含む化合物であり得る。
本発明の範囲を特に限定するものではないが、ここに開示される組成物によって所望の効果が得られる理由は、例えば以下のように考えられる。すなわち、式(1)で表されるリチウム塩のアニオンには、中心元素Mに隣接する酸素と、オリゴエーテル基Yを構成するエーテル酸素とが含まれる。一般に、エーテル酸素に比べて、Mに隣接する酸素は電子密度が高くなる傾向にある。このため、Mに隣接する酸素にリチウムイオンが配位すると、該リチウムイオンは相対的に動きにくくなり、イオン伝導への寄与が少なくなる。ここで、式(1)で表されるリチウム塩と上記添加剤とを含有する本発明の組成物によると、Mに隣接する酸素に該添加剤(ルイス酸等)が配位することにより、該酸素にリチウムイオンが配位することが抑制され得る。このことによって、イオン伝導に対して効果的に寄与し得るリチウムイオンの割合が増す。すなわち、リチウムイオンの解離度が向上し得る。その結果、上記添加剤を含有する組成物によると、該添加剤を含有しない組成物に比べて、より良好なイオン伝導性が実現され得る。
上記添加剤としては、各種のルイス酸から選択される一種または二種以上を用いることができる。酸素に対してリチウムイオンよりも配位しやすいルイス酸(すなわち、リチウムイオンよりもルイス酸性の強いルイス酸)、あるいは、酸素に対して少なくともリチウムイオンと同程度の配位しやすさを示すルイス酸を選択することが好ましい。かかる添加剤によると、Mに隣接する酸素にリチウムイオンが配位する(トラップされる)ことを、より効果的に抑制し得る。また、Mに隣接する酸素により効率よく配位し得るという観点から、比較的サイズの小さい(あるいは構成原子数の少ない)ルイス酸を用いることが好ましい。通常は、無機のルイス酸が好ましい。
また、イオン伝導性組成物としての特性を生かした使用に適するという観点からは、比較的電気化学的安定性のよい添加剤を選択することが好ましい。例えば、金属リチウムを基準として(以下同じ。)、還元電位が凡そ1.5V(より好ましくは1V、さらに好ましくは0.5V、特に好ましくは0V)よりも低い添加剤が好ましい。また、酸化電位が凡そ4V(より好ましくは4.5V、さらに好ましくは5V)よりも高い添加剤が好ましい。このような添加剤を用いた組成物は、例えば、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)の電解質等としての用途に適している。
本発明にとり好ましい添加剤の具体例として、BZ(Zはハロゲン元素を表す。以下同じ。)で表されるハロゲン化ホウ素;PZで表されるハロゲン化リン;SiZで表されるハロゲン化ケイ素;AlZで表されるハロゲン化アルミニウム;SnZで表されるハロゲン化スズ;等のルイス酸を例示することができる。これらのルイス酸を構成するZは、フッ素(F)、塩素(Cl),臭素(Br)およびヨウ素(I)から選択される一種または二種以上であり得る。例えば、BF,BCl,BBr,BI等のハロゲン化ホウ素を用いることができる。ルイス酸の強さおよび安定性の観点から、Zがフッ素であるルイス酸が好ましい。特に好ましいルイス酸の例として三フッ化ホウ素(BF)が挙げられる。
なお、添加剤として使用し得る他のルイス酸としては、例えば、マグネシウムやカルシウム等の多価金属イオン;チタン、ジルコニウム等の遷移金属を構成元素として有する化合物;アルキルホウ酸エステル、アリールホウ酸エステル、トリス(トリフルオロアセトキシ)ホウ素、トリアルコキシボロキシン等のホウ素化合物;等を挙げることができる。
上記式(1)で表されるリチウム塩に対する上記添加剤の含有割合は特に限定されない。リチウム塩に対する添加剤の含有割合が少なすぎると、イオン導電率の向上効果が少なくなることがある。一方、添加剤の含有割合を過剰に多くすると、イオン導電率の向上効果が飽和したり、あるいはむしろ低下傾向となることがある。また、組成物の粘度が向上したり、低温特性等が低下したりしやすくなることがある。これらのバランスから、通常は上記リチウム塩と添加剤とのモル比(添加剤/リチウム塩)を凡そ0.01以上とすることが適当であり、凡そ0.05以上とすることが好ましく、凡そ0.1以上とすることがより好ましい。また、通常は該モル比(添加剤/リチウム塩)を凡そ10以下とすることが適当であり、凡そ5以下とすることが好ましく、凡そ3以下とすることがより好ましい。
上記モル比(添加剤/リチウム塩)の好ましい範囲は、上記式(1)で表されるリチウム塩の構造(オリゴエーテル鎖Yの数(n)、そのエーテル鎖の構造、電子求引性基Xの種類等)、添加剤の種類等によっても異なり得る。例えば、nが2であり、XがOCまたはOCOR(Rは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。)であり、Yが(CHCHO)−R(mは1〜20であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)である構造のリチウム塩と、添加剤としてのハロゲン化ホウ素(典型的にはBF)との組み合わせによる系では、エーテル鎖のユニット数mが3程度(例えば1以上5未満)の場合には上記モル比を凡そ0.05〜1の範囲とすることができ、凡そ0.1〜0.6の範囲とすることが特に好ましい。また、mが7程度(例えば5以上10未満)の場合には上記モル比を凡そ0.1〜2の範囲とすることができ、凡そ0.15〜1の範囲とすることが特に好ましい。mが12程度(例えば10以上15未満)の場合には、上記モル比を凡そ0.2〜4の範囲とすることができ、凡そ0.5〜2の範囲とすることが特に好ましい。
ここで開示される組成物の一つの好ましい態様では、該組成物が、上記リチウム塩および上記添加剤以外の成分(例えば非水溶剤)を実質的に含有しない状態で、常温(例えば約25℃)において流動性を示す。すなわち液状である。少なくとも凡そ20〜40℃(より好ましくは凡そ0〜60℃、さらに好ましくは凡そ−20〜+80℃)の温度域に亘って液状の状態を維持し得る組成物が好ましい。そのような組成物は、一般に電池が使用される温度条件において良好なイオン導電率および/またはリチウムイオン輸率を示すものとなり得ることから、電池の電解質等の用途に適している。例えば、例えばリチウム二次電池の電解質(常温溶融塩電解質)等として好適である。
該組成物を構成するリチウム塩は、少なくとも添加剤と混合された状態において常温で液状の組成物を構成するものであればよい。すなわち、リチウム塩単独では、常温において液状であってもよく固体状であってもよい。常温で液状(溶融状態)のリチウム塩を含む組成物は、該組成物の調製が容易であるので好ましい。
このような組成物は、例えば、上記リチウム塩と添加剤とを混合することにより製造(調製)され得る。また、上記リチウム塩と、添加剤を生成し得る化合物(例えば、ルイス酸としての金属イオンとアニオンとの塩)とを混合してもよい。この混合操作は、常温で行ってもよく、必要に応じて加熱下で(例えば40〜80℃程度で)行ってもよい。添加剤として常温常圧でガス状のルイス酸(ハロゲン化ホウ素等)を含む組成物は、例えば、該ルイス酸とエーテルとの錯体をリチウム塩に添加して混合する工程を含む方法によって好適に製造することができる。この製造方法は、さらに、上記リチウム塩と上記エーテル錯体とを混合した後、該エーテル錯体を構成していたルイス酸を上記リチウム塩とともに残しつつ、該混合物からエーテルを揮発除去する工程を包含することができる。例えば、上記混合物を必要に応じて加熱および/または減圧することにより、ルイス酸を残してエーテルのみを揮発除去することができる。このような製造方法は、例えば、添加剤としてBFを含む組成物の製造に好ましく適用することができる。この場合、上記エーテル錯体としては、BFとジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等)との錯体等を用いることができる。
上述したいずれかの組成物は、各種電池(リチウム二次電池等)の構成要素として好適に用いることができる。例えば、実質的に上記式(1)で表されるリチウム塩および添加剤のみからなる組成物であって常温で液状を示す組成物を、リチウムイオン二次電池の電解質(常温溶融塩電解質)等として好ましく使用することができる。また、上記式(1)で表されるリチウム塩および添加剤に加えて他の成分を含有する組成物を電解質に用いてもよい。そのような「他の成分」としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の非水溶剤;リチウム以外のカチオンとアニオンとの塩(例えば、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等を有する常温溶融塩);上記式(1)で表されるリチウム塩以外のリチウム塩(例えばLiPF);等を例示することができる。
さらに、ここで開示される組成物は、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(EO−PO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)等の支持体とともに成形(成膜)することにより、固体電解質として利用することも可能である。
ここに開示される組成物を備えるリチウム二次電池を構成する正極としては、正極集電体に正極活物質を付着させたものを用いることができる。正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。あるいは、カーボンペーパー等を用いてもよい。正極活物質としては、一般的なリチウム二次電池に用いられる層状構造の酸化物系正極活物質、スピネル構造の酸化物系正極活物質等を用いることができる。例えば、リチウムコバルト系複合酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムニッケル系複合酸化物(典型的にはLiNiO)、リチウムマンガン系複合酸化物(LiMn)等を主成分とする正極活物質を用いることができる。このような正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに正極合材として正極集電体に付着させた形態の正極とすることができる。導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)等を用いることができる。特に限定するものではないが、正極活物質100質量部に対する導電材の使用量は、例えば1〜15質量部の範囲とすることができる。また、正極活物質100質量部に対する結着剤の使用量は、例えば約1〜10質量部の範囲とすることができる。
また、負極としては、負極集電体に負極活物質を付着させたものを用いることができる。負極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。あるいは、カーボンペーパー等を用いてもよい。負極活物質としては、アモルファス構造および/またはグラファイト構造の炭素材料を用いることができる。例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を負極活物質として用いることができる。また、負極活物質としてSi,Sn等を用いてもよい。負極活物質としてチタン酸リチウム(例えばLiTi12)を用いてもよい。このような負極活物質を、必要に応じて結着剤(バインダ)等とともに負極合材として負極集電体に付着させた形態の負極とすることができる。結着剤としては、正極と同様のもの等を使用することができる。負極の他の構造として、Li(金属)箔、Si蒸着膜、Snメッキ箔等を採用することも可能である。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルムを用いることができる。また、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布を用いてもよい。
以下、本発明に関する実験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実験例1:Salt B(7.2)を含む組成物>
下記式(b)で表されるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt B(7.2)」と表記することがある。このSalt B(7.2)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。
LiB(O(CHCHO)7.2CH(OC ・・・(b)
本実験例では、以下のようにして製造したSalt B(7.2)を使用した。すなわち、10mLのテトラヒドロフラン(THF)に、水素化ホウ素リチウム(LiBH)の1.0M THF溶液8mL(8.0mmolのLiBHを含有する)を加えた。系を−78℃に冷却し、平均重合度(すなわち、エーテル鎖の平均ユニット数)n=7.2のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)7.2H)5.60g(16.0mmol)を8mLのTHFに溶かしたものをゆっくりと滴下した。室温に戻し3時間攪拌した後、その溶液を−78℃に冷却したペンタフルオロフェノール2.94g(16.0mmol)のTHF溶液にゆっくりと滴下した。室温に戻し12時間攪拌した後、溶媒を減圧留去しリチウム塩を得た。その後、反応液を精製してSalt B(7.2)を得た。
このようにして得られたSalt B(7.2)を用いてイオン伝導性組成物を調製(製造)した。すなわち、三フッ化ホウ素とジメチルエーテルとのモル比1:1の錯体(以下、「BFエーテル錯体」あるいは単に「錯体」ともいう。)を用意した。室温において、上記Salt B(7.2)と上記BFエーテル錯体とを、リチウム塩:錯体のモル比が4:1(したがって、Salt B(7.2):BF=4:1、すなわちBF/Salt B(7.2)=0.25)となる割合で混合し、5〜8時間攪拌した。その後、室温にて真空ポンプを用いて系を減圧(約40Pa)にした。これにより、混合物からジメチルエーテルを揮発させて除去した。このようにして試料1aの組成物を得た。なお、上記減圧工程においてBFの揮発は認められなかった。
また、リチウム塩:錯体のモル比を変更した点以外は試料1aと同様にして,試料1b〜1eの各組成物を調製した。すなわち、試料1bの組成物はSalt B(7.2):BFのモル比が2:1であり、試料1cは1:1、試料1dは1:2、試料1eは1:4である。これらの試料はいずれも25℃において液状であった。
これらの試料1a〜1eにつき、それぞれイオン導電率σ(S/cm)を測定した。また、上記リチウム塩単独(すなわち、BF/Salt B(7.2)=0)でのイオン導電率を同様に測定した。測定は、ステンレススチール電極を用いた交流インピーダンス法により、−20℃〜80℃の間の各温度条件下で行った。イオン導電率測定用セルは、アルゴン雰囲気下、90℃で1時間加熱した後に3時間室温で冷却したものを用いた。その測定結果を図1および図2に示す。図1は、測定温度(1000/T(K))を横軸として、イオン導電率の測定結果(Log(σ)(S/cm))を示したものである。また、図2は、BF/Salt B(7.2)のモル比を横軸として、イオン導電率の測定結果を示したものである。
これらの図から判るように、Salt B(7.2)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、少なくとも40℃程度よりも高い(すなわち、1000/T(K)が約3.2以下の)温度域では、試料1a〜1eのいずれもSalt B(7.2)よりも高いイオン導電率を示した。また、試料1a〜1dは常温以下の温度域でもSalt B(7.2)よりも良好なイオン導電率を示し、幅広い温度域でイオン導電率の向上効果が得られた。特に、BF/Salt B(7.2)の値が0.25〜1の範囲にある試料1a〜1cは、より低い温度域(例えば凡そ−10℃、さらには凡そ−20℃)に至るまで良好なイオン伝導性を示した。
<実験例2:Salt B(3)を含む組成物>
上記式(b)におけるエーテル鎖のユニット数(エチレンオキサイド単位の繰り返し数)が3であるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt B(3)」と表記することがある。このSalt B(3)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。本実験例では、平均重合度n=3のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)H)を用いた点以外は上記Salt B(7.2)と同様にして得られたSalt B(3)を使用した。
このSalt B(3)と上記BFエーテル錯体とを用いた点以外は実験例1と同様にして、試料2a〜2cのイオン伝導性組成物を調製した。これらの試料は、リチウム塩:錯体のモル比が互いに異なる。すなわち、試料2aの組成物はSalt B(3):BFのモル比が4:1であり、試料2bは2:1、試料2cは1:1である。これらの試料はいずれも25℃において液状であった。
これらの試料およびSalt B(3)につき、0℃〜80℃の間の各温度条件下で、実験例1と同様にしてイオン導電率を測定した。その結果を、測定温度を横軸として図3に、BF/Salt B(3)のモル比を横軸として図4に示す。
これらの図から判るように、Salt B(3)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、少なくとも25℃程度よりも高い(すなわち、1000/T(K)が約3.35以下の)温度域では、試料2a〜2cのいずれもSalt B(3)よりも明らかに高いイオン導電率を示した。また、BF/Salt B(3)の値が0.25〜0.5の範囲にある試料2aおよび2bでは、より幅広い温度域において、より顕著なイオン導電率の向上効果が得られた。
<実験例3:Salt B(11.8)を含む組成物>
上記式(b)におけるエーテル鎖のユニット数が11.8であるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt B(11.8)」と表記することがある。このSalt B(11.8)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。本実験例では、平均重合度n=11.8のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)11.8H)を用いた点以外は上記Salt B(7.2)と同様にして得られたSalt B(11.8)を使用した。
このSalt B(11.8)と上記錯体とを用いた点以外は実験例1と同様にして、試料3a〜3dのイオン伝導性組成物を調製した。試料3aの組成物はSalt B(11.8):BFのモル比が4:1であり、試料3bは2:1、試料3cは1:1、試料3dは1:2である。これらの試料はいずれも25℃において液状であった。
これらの試料およびSalt B(11.8)につき、0℃〜80℃の間の各温度条件下で、実験例1と同様にしてイオン導電率を測定した。その結果を、測定温度を横軸として図5に、BF/Salt B(11.8)のモル比を横軸として図6に示す。
これらの図から判るように、Salt B(11.8)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、少なくとも20℃程度よりも高い(すなわち、1000/T(K)が約3.4以下の)温度域では、試料3a〜3dのいずれもSalt B(11.8)と同等またはそれ以上のイオン導電率を示した。特に、BF/Salt B(11.8)の値が0.5よりも大きい(ここでは0.5〜2)試料3b〜3dでは、明らかなイオン導電率向上効果が得られた。また、BF/Salt B(11.8)の値が1よりも大きい(ここでは1〜2)試料3cおよび3dは、より広い温度域で良好なイオン伝導性を示した。
<実験例4:Salt A(7.2)を含む組成物>
下記式(a)で表されるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt A(7.2)」と表記することがある。このSalt A(7.2)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。
LiB(O(CHCHO)7.2CH(OCOCF ・・・(a)
本実験例では、以下のようにして製造したSalt A(7.2)を使用した。すなわち、10mLのTHFに、LiBHの1.0M THF溶液8mL(8.0mmolのLiBHを含有する)を加えた。系を−78℃に冷却し、平均重合度n=7.2のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)7.2H)5.6g(16.0mmol)を8mLのTHFに溶かしたものをゆっくりと滴下した。いったん系を室温まで戻して3時間攪拌した後、その反応液を、−78℃に冷却したトリフルオロ酢酸1.82g(16.0mmol)のTHF溶液中にゆっくりと滴下した。さらに、系を室温に戻して12時間攪拌した。その後、反応液を精製してSalt A(7.2)を得た。
このSalt A(7.2)と上記BFエーテル錯体とを用いた点以外は実験例1と同様にして、試料4a〜4dのイオン伝導性組成物を調製した。試料4aの組成物はSalt A(7.2):BFのモル比が4:1であり、試料4bは2:1、試料4cは1:1、試料4dは1:2である。これらの試料はいずれも25℃において液状であった。
これらの試料およびSalt A(7.2)につき、−20℃〜80℃の間の各温度条件下で、実験例1と同様にしてイオン導電率を測定した。その結果を、測定温度を横軸として図7に、BF/Salt A(7.2)のモル比を横軸として図8に示す。
これらの図から判るように、Salt A(7.2)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、試料4a〜4dのいずれも、幅広い温度域でSalt A(7.2)よりも明らかに高いイオン導電率を示した。また、より低い温度域(例えば凡そ−20℃)に至るまで良好なイオン伝導性を示した。
<実験例5:Salt A(3)を含む組成物>
上記式(a)におけるエーテル鎖のユニット数が3であるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt A(3)」と表記することがある。このSalt A(3)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。本実験例では、平均重合度n=3のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)H)を用いた点以外は上記Salt A(7.2)と同様にして得られたSalt A(3)を使用した。
このSalt A(3)と上記BFエーテル錯体とを用いた点以外は実験例1と同様にして、試料5a〜5dのイオン伝導性組成物を調製した。試料5aの組成物はSalt A(3):BFのモル比が4:1であり、試料5bは2:1、試料5cは1:1、試料5dは1:2である。これらの試料はいずれも25℃において液状であった。
これらの試料およびSalt A(3)につき、−10℃〜80℃の間の各温度条件下で、実験例1と同様にしてイオン導電率を測定した。その結果を、測定温度を横軸として図9に、BF/Salt A(3)のモル比を横軸として図10に示す。
これらの図から判るように、Salt A(3)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、試料5a〜5dのいずれも、幅広い温度域でSalt A(7.2)よりも明らかに高いイオン導電率を示した。また、より低い温度域(例えば凡そ0℃、さらには凡そ−10℃)に至るまで良好なイオン伝導性を示した。
<実験例6:Salt A(11.8)を含む組成物>
上記式(a)におけるエーテル鎖のユニット数が11.8であるリチウム塩を含む組成物を調製し、そのイオン伝導性を評価した。以下、該リチウム塩を「Salt A(11.8)」と表記することがある。このSalt A(11.8)は、常温(25℃)で高粘性の液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。本実験例では、平均重合度n=11.8のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)11.8H)を用いた点以外は上記Salt A(7.2)と同様にして得られたSalt A(11.8)を使用した。
このSalt A(11.8)と上記BFエーテル錯体とを用いた点以外は実験例1と同様にして、試料6a〜6dのイオン伝導性組成物を調製した。試料6aの組成物はSalt A(11.8):BFのモル比が4:1であり、試料6bは2:1、試料6cは1:1、試料6dは1:2である。
これらの試料およびSalt A(11.8)につき、0℃〜80℃の間の各温度条件下で、実験例1と同様にしてイオン導電率を測定した。その結果を、測定温度を横軸として図11に、BF/Salt A(11.8)のモル比を横軸として図12に示す。
これらの図から判るように、Salt A(11.8)とBFとの組み合わせによる本実験例の系では、少なくとも25℃程度よりも高い(すなわち、1000/T(K)が約3.35以下の)温度域では、試料6a〜6dのいずれもSalt A(11.8)よりも明らかに高いイオン導電率を示した。また、BF/Salt A(11.8)の値が0.5よりも大きい(ここでは0.5〜2)試料2aおよび2bは、より幅広い温度域で良好なイオン伝導性を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1):
    LiM(OY)4−n ・・・(1)
    (ここで、nは1〜3である。Mは周期表13族に属する元素である。Yはオリゴエーテル基である。Xは電子求引性基である。);
    で表されるリチウム塩と、
    リチウムイオンよりもルイス酸性の強いルイス酸と、を含むイオン伝導性組成物。
  2. 前記ルイス酸がハロゲン化ホウ素である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記リチウム塩1モルに対して前記ルイス酸を0.1〜5モルの比率で含有する、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記式(1)中のXは、OC,OCOCF,OB(OY)(ここで、Yはオリゴエーテル基である。),N(SOCF,およびN(SOからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記一般式(1)中のnが2であり、Yが下記一般式(2):
    (RO)−R ・・・(2)
    (ここで、mは1〜20である。Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基である。);
    で表されるオリゴアルキレンオキシド基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 25℃において液状である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 下記一般式(1):
    LiM(OY)4−n (1)
    (ここで、nは1〜3である。Mは周期表13族に属する元素である。Yはオリゴエーテル基である。Xは電子求引性基である。);
    で表されるリチウム塩と、ハロゲン化ホウ素とエーテルとの錯体と、を混合する工程と、
    その混合物から前記エーテルを揮発させる工程と、
    を包含するイオン伝導性組成物の製造方法。
  8. 下記一般式(3):
    LiM(O(CHCHO)−R ・・・(3)
    (ここで、Mはホウ素またはアルミニウムである。Xは電子求引性基である。mは1〜20である。Rは炭素数1〜8のアルキル基である。);
    で表されるリチウム塩を構成する、Mに隣接する酸素にリチウムイオンよりもルイス酸性の強いルイス酸が配位してなる配位化合物。
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