JP5016756B2 - 窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体およびそれを用いた窒化物系セラミックス回路基板 - Google Patents

窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体およびそれを用いた窒化物系セラミックス回路基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化物系セラミックス部材と金属の接合体と、それを用いた窒化物系セラミックス回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミックスと金属との接合には、MoまたはWペ−ストを用いる同時焼成法、銅と酸素の共晶反応を利用して接合する直接接合法(DBC法)、およびTi等の活性金属を用いた活性金属法がある。このような接合方法を用いたセラミックスと金属との接合体は、様々な分野に用いられており、その代表例として半導体素子等を接合するセラミックス回路基板が挙げられる。
セラミックス回路基板に求められる特性としては、放熱性が良いこと、基板の強度が高いこと、セラミックス基板と金属回路板との接合強度が高いこと、耐熱サイクル特性が良いことなどが挙げられる。また、セラミックス回路基板用のセラミックスとしては、従来から窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化珪素などが使用されている。
【0003】
例えば、窒化アルミニウム基板は熱伝導率160W/m・k以上と他のセラミックス基板と比べて高い熱伝導率を具備していることから放熱性に優れている。また、窒化珪素基板は3点曲げ強度(室温)が600MPa以上を具備していることから回路基板の強度を向上させることができる。それに対し、酸化アルミニウム基板は熱伝導率は20W/m・K、3点曲げ強度も360MPa程度である。そのため、酸化物系セラミックス基板より窒化物系セラミックス基板の方が回路基板としては好ましいと言える。
一方、セラミックス基板と金属回路板との接合強度に着目すると前述の接合方法の中では活性金属法が好ましい。活性金属法は、Ti,Hf,Zr,Nb等の活性金属の少なくとも1種を含む金属箔、またはこれら活性金属をAg−Cuろう材に添加したペ−ストをセラミックス基板と金属回路板の間に設け、熱処理することにより接合する方法である。活性金属法は、窒化物系セラミックス基板を用いた場合、熱処理後に前記活性金属の窒化物の層が形成され、より強固な接合状態が形成される。
このように活性金属法による窒化物系セラミックスと金属部材の接合体は回路基板として求められる特性を満たしており、パワ−半導体素子を搭載した半導体モジュ−ル用基板等の電子回路用基板として広く活用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐熱サイクル特性については必ずしも要求を満たしているとは言えなかった。その理由として、近年の半導体素子は高容量化、高集積化に伴いその発熱量が増大する傾向にあり、発熱量が増大すると、金属回路板とセラミックス基板の熱膨張差によりセラミックス基板やろう材層にクラックが発生しやすく、その結果、セラミックス基板の絶縁耐圧の低下や、金属回路板の剥がれといった問題が生じていた。
特に、活性金属法を用いると、窒化物系セラミックス側に活性金属の窒化物相が形成される。この活性金属窒化物相は接合強度の向上には有効に働くが、活性金属窒化物自体はそもそも脆性材料であることから上記熱膨張差による応力に対し、応力緩和機能を具備しているとは言えなかった。このような問題点を解決するために特開平5−148053号公報では活性金属窒化物相中にAlを固溶させ活性金属−Al−窒素系の化合物を形成させることにより、耐熱サイクル特性の向上を図っていたが、近年の半導体素子の高容量化等による発熱量の増大に十分対応できているとは言えなかった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、窒化物系セラミックス基板と金属回路板の接合強度を高めかつ、耐熱サイクル特性をも向上させた窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体およびそれを用いた窒化物系セラミックス回路基板を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体は、活性金属を含むろう材によって接合した接合体であって、該活性金属がTi,Zr,Hf,Nbから選ばれた少なくとも1種であり、窒化物系セラミックス部材側の接合界面には該活性金属の窒化物相が形成されていると共に、該窒化物相中にはAg,Cu,In,Snが含まれていることを特徴とするものである。
また、窒化物系セラミックス部材は窒化アルミニウム焼結体、窒化珪素焼結体の少なくとも1種であること、さらには金属部材が、銅部材、Al部材の少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0007】
また、該ろう材が活性金属、Ag、Cu、In、Snを含むことを特徴とすること、接合層の厚さが30μm以下であることが好ましい。また、前記ろう材中に、AlN、Si3N4、Al2O3、ZrO2、Cの少なくとも1種の粉末が2質量%以下含有されていてもよい。
また、前記ろう材において、In量/Sn量が質量%比で0.9〜1.1であることが好ましい。さらに、活性金属窒化物相中のAg,Cu,In,Snの合計量が5質量%以上であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体は回路基板に好適である。
本発明は、窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体において、活性金属を含むろう材によって接合した接合体であって、窒化物系セラミックス部材側の接合界面に形成された活性金属の窒化物相にAg,Cu,In,Snを含ませることにより、窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合強度を向上させると共に、耐熱サイクル特性をも向上させることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体は、活性金属を含むろう材によって接合した接合体である。本発明の接合体の一例を図1に示す。図中、1は窒化物系セラミックス部材、2は接合層、3は金属部材である。
【0010】
本発明における活性金属とはTi,Zr,Hf,Nbから選ばれた少なくとも1種である。本発明は、該活性金属を含むろう材を窒化物系セラミックス部材と金属部材の間に介して熱処理することにより作製されるものである。この熱処理後の接合体においては、窒化物系セラミックス部材側の接合界面に該活性金属窒化物相が形成されていると共に、該活性金属窒化物相中にはAg,Cu,In,Snが含まれていることを特徴とするものである。該活性金属窒化物相中にAg,Cu,In,Snが存在するか否かはEPMA分析またはTEM分析により確認することができる。接合後の接合層の一例を図2に示す。図中、4は活性金属窒化物相、5はAgとCuの混合相である。
【0011】
該活性金属窒化物相中に含まれるAg,Cu,In,Snとは活性金属を含むろう材成分から供給されたものであっても良いし、窒化物系セラミックス部材中または金属部材中に含まれる金属成分であっても良いが、ろう材成分として活性金属、Ag、Cu、In、Snを含むことが好ましい。また、該活性金属窒化物相中に含まれるAg,Cu,In,Snは活性金属窒化物に固溶して活性金属窒化物との化合物を形成していても良いし、金属元素として存在していても良い。
【0012】
また、窒化物系セラミックス部材としては、窒化アルミニウム焼結体または窒化珪素焼結体の少なくとも1種が好ましい。窒化アルミニウム焼結体は熱伝導率160W/m・K以上、窒化珪素焼結体においては熱伝導率60W/m・K以上であるものが好ましく、このような熱伝導率を具備するものであれば回路基板に好適である。
また、例えば、窒化アルミニウム焼結体を用いた場合、前記活性金属窒化物相中にAlが固溶することもあり、窒化珪素焼結体を用いた場合には前記活性金属窒化物相中にSiが固溶することもある。さらには、窒化物系セラミックス部材に含有された焼結助剤成分が、前記活性金属窒化物相中に含有される場合もある。このような観点からすると、本発明の接合体における活性金属窒化物相中にはAg、Cu、In、Sn以外の成分が含まれていてもよいこととなる。
【0013】
金属部材としては、銅、アルミニウム、または銅合金、アルミニウム合金の少なくとも1種からなることが好ましい。このような金属または合金からなる金属部材を用いた接合体においては、本発明の耐熱サイクル特性を向上させる効果を得やすい。金属部材の形状は平板状、凸部のある端子形状など特に限定されるものではないが、接合体を回路基板に用いる場合は厚さ0.2〜0.8mmの金属平板であることが好ましい。
【0014】
本発明の活性金属を含むろう材は活性金属、Ag、Cu、In、Snを含むことが好ましい。前述のようにろう材成分として活性金属、Ag、Cu、In、Snを含んでいると接合後の活性金属窒化物相中にAg、Cu、In、Snを含有させやすい。また、ろう材はペ−ストを塗布する形態で用いても良いし、各金属箔の積層体または合金箔であってもよいが、製造性の観点からペ−ストとして用いることが好ましい。また、接合前のろう材成分である活性金属、Ag、Cu、In、Snは金属元素であってもよいし、水素化物等の化合物の形態であっても良い。
【0015】
本発明の活性金属を含むろう材は、前述のようにAg、Cu、In、Snを含んでいることが好ましい。この4元素を用いる理由は以下の通りである。AgおよびCuは共晶点が650℃以上であり、SnおよびInは共晶点が650℃未満である。つまり、Ag、Cu、In、Snの4元素を含むと、このろう材には共晶点が2つ存在することになる。
【0016】
従来から、AgとCuの共晶組成を示す混合物に活性金属を添加したろう材は窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合に用いられている。AgとCuの共晶組成における共晶点は約780℃である。AgとCuの共晶組成に、Ti等の活性金属を添加したろう材を用い接合処理(熱処理)を行うと、活性金属は650〜700℃で窒化物系セラミックスと反応し始め、この反応はAgとCuの2元素の共晶点での液相化により一層促進される。
このとき、ろう材中にSnとInの共晶組成が含有していると、活性金属と窒化物系セラミックスが反応を始める650℃未満で共晶点をもつSnとInの共晶組成近傍としたものをろう材中に含有させているため、接合時最高温度を経て自然冷却中のSnとIn2元素の共晶温度において一定時間温度が保持されるため、金属部材と窒化物系セラミックスとの膨張係数差に起因して発生する残留応力が大幅に低下することが明らかにされた。なお、自然冷却とは接合処理後の冷却において徐冷を行わずに、そのまま室温まで戻すことである。
【0017】
また、共晶点が650℃未満のSnおよびIn成分を添加していることから、接合温度を800℃以下にすることも可能となる。前述のように活性金属は窒化物系セラミックスと反応して活性金属窒化物相を形成する。このとき接合温度が800℃を超えて例えば850〜900℃以上になると活性金属窒化物相が急速にできてしまう。例えば、TiN相などの活性金属窒化物相の形成は接合強度を上げるためには必要であるが、TiN相はもともと元々脆性材料であり、必ずしも強度の高いものではなかった。また、TiN相がTiN98質量%以上、さらには100%に近くなると窒化物系セラミックス、TiN相、その他のろう材成分相(AgとCuの混合相など)、金属部材の4層構造が実質的に形成されてしまい、各層の熱膨張差により耐熱サイクル特性(TCT特性)の更なる向上は見込めなかった。
【0018】
そこで接合温度を800℃以下とすることにより、活性金属窒化物相中に接合ろう材成分(Ag,Cu,In,Sn)を含有させることにより、各層の熱膨張差を緩和し、耐熱サイクル特性を向上させることを可能とした。
【0019】
活性金属を含むろう材ペ−ストにおいて、活性金属の含有量が0.5〜7質量%が好ましい。活性金属の含有量が0.5質量%未満では活性金属窒化物相が十分できないことから接合強度が低下し、7質量%を超えると活性金属窒化物相ができすぎることから耐熱サイクル特性が低下する。活性金属の好ましい含有量は2〜5質量%である。
前記ろう材ペ−スト中のAgおよびCuの含有量はAgが50〜65質量%、Cuが25〜30質量%の範囲の中でAgとCuの共晶組成を具備していることが好ましい。また、SnおよびInの含有量は合計で8〜17質量%であることが好ましい。合計量が8質量%未満では、SnとInの共晶組成が少ないことから残留応力緩和効果が小さい。また、17質量%を超えるとSnおよびInの融点が150〜250℃と低いことから耐熱サイクル特性の低下を招く。
【0020】
また、ろう材ペ−スト中の質量%比でIn含有量/Sn含有量が0.9〜1.1の範囲であることが好ましい。この範囲を外れるとSn−In共晶反応を示さないSnまたはIn成分が増加するので好ましくない。なお、In含有量/Sn含有量の比はろう材ペ−スト中の比で示したが、SnおよびInは接合処理の熱により蒸発するものではないので接合後の接合層中の質量%比であっても実質的な差はない。
【0021】
さらに、前記ろう材ペ−スト中には、AlN、Si3N4、Al2O3、ZrO2、Cの少なくとも1種の粉末を2質量%以下、好ましくは0.5から1.0%含有させても良い。これらの成分を添加すると、より熱膨張差を緩和する効果が得られる。粉末の平均粒径は2μm以下であることが好ましい。
【0022】
次に製造方法について説明する。製造方法は特に限定されるものではないが、次のような方法が効果的である。
まず、ろう材ペ−ストの調整として、Ti等の活性金属粉末、Ag粉末、Cu粉末、Sn粉末、In粉末を混合した後、アクリル系バインダ−等の有機物バインダ−、必要に応じその他の有機溶媒を混合する。
次に、接合処理として、予め作製した窒化物系セラミックス部材上に前記ろう材ペ−ストを塗布した後、金属部材を配置し熱処理を行う。
ろう材を塗布する厚さは30μm以下、好ましくは10〜25μmである。
【0023】
前記熱処理温度は750〜800℃が好ましい。熱処理温度が750℃未満では接合強度が十分でない。一方、800℃を超えても十分な接合強度が得られるが、活性金属窒化物相が急速に形成されてしまうため、活性金属窒化物相中にAg,Cu,Sn,Inが取り込まれ難く耐熱サイクル特性の向上を図り難い。また、熱処理時間は5〜30分が好ましく、熱処理時の雰囲気は10-4Torr以下の真空中であることが好ましい。
なお、窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体を回路基板として用いる場合は、接合体の金属部材をエッチングにより回路を形成しても良いし、接合前に予め回路状に形成した金属部材を接合しても良い。
【0024】
このような製造方法によれば、接合処理後の接合体の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合層の厚さは30μm以下となる。接合層の厚さが30μmを超えて存在したとしても、それ以上の接合強度の改善は見られない。
なお、本発明の接合層とは、ろう材を熱処理することにより形成された層を示すものとする。従って、接合層の厚さとは、活性金属窒化物相とAg−Cu相(またはAg−Cu−Sn−In相)の両方を含んだ厚さとなる。
【0025】
なお、金属部材として銅部材を用いた場合、ろう材中のCuと混合して銅部材と接合層の境目が分かり難くなる。そのような場合は、ろう材中に最も多く含まれているAg成分により銅部材と接合層の界面を決めるものとする。具体的には、幅方向50μmの接合層の断面写真をEPMAによりカラ−マッピング処理を行いAgの存在個所を特定する。このとき、10μm間隔で窒化物系セラミックス部材から銅部材へ厚み方向に直線を引く(幅方向50μmの断面写真なので5本になる)。この直線の長さにおいて最も長い直線と最も短い直線の長さを省いた残り3本の長さの平均値を求める。この作業を任意の3個所以上の断面写真について行い、その平均値を接合層の厚さとする。
【0026】
また、上記熱処理温度を750〜800℃とすると、活性金属窒化物相中にAg,Cu,Sn,Inが取り込まれ易いだけでなく、接合後のAgとCuの混合相中にSnおよびInが存在する形態となる。このような形態になると、窒化物系セラミックス部材/[活性金属窒化物相+Ag+Cu+Sn+In]/[Ag−Cu−Sn−In(場合によっては活性金属を含む)]/金属部材、の傾斜組成が実質的に形成され、共晶温度650℃未満の成分であるSnおよびInを添加する効果が得易くなる。
このような窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体は、特に耐熱サイクル特性が優れていることから回路基板に好適である。
【0027】
【実施例】
(実施例1〜18、比較例1〜5、参考例1〜3)
窒化物系セラミックス部材として、AlN基板(熱伝導率160W/m・K以上、基板厚さ0.635mm)、Si3N4基板(熱伝導率60W/m・K以上、基板厚さ0.32mm)を用意した。金属部材として、厚さ0.2mmの金属板を前記窒化物系セラミックス基板の両面に表1(比較例、参考例は表2)に示したろう材および熱処理温度により接合して窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体(試料)を作製した。なお、ろう材としてペ−ストを用いる際(表1「ろう材形態」欄において「P」で表示)は、アクリル樹脂を有機バインダ−として金属粉末100重量部(各成分の合計量)に対し3重量部添加した。また、接合はすべて1×10-4Torr以下(1.33×10-2Pa以下)の真空中にて5〜30分間加熱することにより実施した。
【0028】
各試料に対し、耐熱サイクル特性(TCT特性)を測定した。評価は、−60℃×30分→25℃×10分→150℃×30分→25℃×10分を1サイクルとするTCT試験を実施し、AlN基板に関しては500サイクル、Si3N4基板に関しては1300サイクル後のセラミックス基板表面のクラックの有無を健全率ηとして評価した。
健全率ηの求め方は、所定のTCT試験後のセラミックス回路基板において、金属回路板およびろう材層をエッチング等により除去した後、セラミックス基板表面を蛍光探傷試験を行うことによりクラックの発生の有無を確認した。その後、健全率η=[1−(Σd/D)×100(%)の関係式により健全率を求めた。式中、Dは窒化物系セラミックス回路基板の金属回路板との接合部の長手方向においてクラックの発生し得る金属板縁部経路の全長であり、Σdは上記経路上に発生した各クラックの長さ(d1、d2、…、dn)の総和を示す。したがって、健全率ηは100%を「TCT試験後にクラックなし」、「0%をTCT試験後に全面的にクラック発生」として示される。
また、比較例1としてろう材中にSnおよびInを添加しないもの、比較例2〜5としてSnまたはInのどちらかを添加しないものを用意した。また、参考例1としてSnとInの含有量比[In/Sn]が0.9〜1.1を外れたもの、参考例2としてろう材中のSnとInの合計量が好ましい範囲を外れたもの、参考例3として熱処理温度が好ましい範囲を外れたものを用意し、同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0005016756
【0030】
【表2】
Figure 0005016756
【0031】
【表3】
Figure 0005016756
【0032】
本発明の実施例に係る接合体は、いずれも健全率ηが93%以上と良好であった。
それに対し、比較例および参考例のものはいずれも健全率は悪い結果となった。
また、EPMAにより確認したところ、いずれの実施例も接合層の窒化物系セラミックス側には活性金属窒化物相が形成されており、接合層は活性金属窒化物相/(AgとCuの混合相)を主相とすることが確認された。
【0033】
次に、実施例1〜18、比較例1および参考例3の接合体の接合強度を測定した。また、EPMAまたはTEM分析により(測定1)として活性金属窒化物相中にAg,Cu,Sn,Inが存在するか否か、(測定2)としてAgとCuの混合相中にSnおよびInが存在するか否かを確認した。また、(測定3)として(測定1)の分析の結果「活性金属窒化物相中にAg,Cu,Sn,Inが存在した」場合、活性金属窒化物相中に存在する「Ag,Cu,Sn,In」の質量%を測定し、[(Ag,Cu,Sn,Inの合計量)/[活性金属窒化物相+(Ag,Cu,Sn,Inの合計量)]]×100(%)で5質量%以上だったものを「○」、5質量%未満だったものを「△」で表示した。その結果を、表4に示す。
【0034】
【表4】
Figure 0005016756
【0035】
表4から分かる通り、本発明の実施例にかかる接合体は、その接合層において活性金属窒化物相中にAg,Cu,Sn,Inがすべて存在することが確認された。
また、前述の健全率が95%以上のものは前記活性金属窒化物相中のAg,Cu,Sn,Inの合計量が5質量%以上であることが確認された。これにより接合層内で実質的な傾斜組成を形成することができるため耐熱サイクル特性が向上したものと言える。
一方、接合強度(ピール強度)は参考例3と同程度であった。しかしながら、前述のように本実施例にかかる接合体は耐熱サイクル特性が良好であることから、参考例3のものより、例えば高容量の半導体素子を搭載するための回路基板に適している。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体は、特に耐熱サイクル特性の向上させることが可能となる。このように、本発明の接合体は回路基板に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体の一例を示す図である。
【図2】 本発明の接合層の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…窒化物系セラミックス部材
2…接合層
3…金属部材
4…活性金属窒化物相
5…AgとCuの混合相

Claims (6)

  1. 窒化物系セラミックス部材と銅部材,Al部材の少なくとも1種である金属部材とを,Ag,Cu,In,Snおよび活性金属を含むろう材によって接合した接合体において,
    前記ろう材中のAgの含有量は50〜65質量%,Cuの含有量は25〜30質量%,In,Snの含有量は合計で8〜17質量%で,In量/Sn量が質量%比で0.9〜1.1であり,前記活性金属がTi,Zr,Hf,Nbから選ばれた少なくとも1種であり,この活性金属の含有量は0.5〜7質量%,窒化物系セラミックス部材側の接合界面には該活性金属窒化物相が形成されていると共に,該活性金属窒化物相中にはAg,Cu,In,Snが含まれていることを特徴とする窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体。
  2. 窒化物系セラミックス部材が窒化アルミニウム焼結体,窒化珪素焼結体の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体。
  3. 接合層の厚さが30μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体。
  4. 前記ろう材中に,AlN,Si,Al,ZrO,Cの少なくとも1種の粉末が2質量%以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体。
  5. 活性金属窒化物相中のAg,Cu,In,Snの合計量が5質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の窒化物系セラミックス部材と金属部材の接合体。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の接合体を用いたことを特徴とする窒化物系セラミックス回路基板。
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