JP5004759B2 - 同期機の制御装置及び同期機の制御方法 - Google Patents

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Description

この発明は、同期機が空転状態であっても位置センサを用いずに起動可能な同期機の制御装置及び同期機の制御方法に関するものである。
同期機の制御装置にあっては、コスト低減のため、同期機の回転位置を検出しないで同期機を駆動する位置センサレス制御を用いる機会が増している。一般的な同期機の位置センサレス制御は、同期機の電圧と電流に基づいて回転位置を推定する。同期機の電圧は、電圧検出器を用いて検出することができるが、同期機は電力変換手段(インバータ)に直接接続されていることが多く、同期機の電圧は電力変換手段の出力電圧に等しいと考えて良い。従って、電力変換手段の出力電圧値が指令値どおりであると見なせる場合、電力変換手段への出力電圧指令値を同期機の電圧と置き換えて同期機の回転位置推定を行うことができる。このため、端子電圧検出用の電圧検出器が不要であり、必要な検出量は同期機の電機子電流のみとなる。
しかるに、電力変換手段の停止時すなわち電力変換手段の半導体スイッチング素子がすべてオフである時には同期機に対する電圧指令が存在しないので、回転位置に関する情報は全く得られない。このため、電力変換手段が停止していて同期機が空転している場合には回転位置を知り得ないため、電力変換手段を介した同期機の再起動が不可能になる。従って、電力変換手段が停止していて同期機が空転している状態における位置センサレス制御での起動、例えば瞬停再起動やファンが外風によって空転している状態からの起動を行うには、例えば風が止んで同期機の回転が一旦停止するまで待たなくてはならず、極めて不便であった。
この問題を解決するために、例えば特許文献1に記載の従来の同期機の制御装置は、同期機の電圧を検出し、この電圧と同位相の電圧を生成して同期機へ印加することで、位置センサレスでありながら同期機の起動を行なっている。
また、特許文献2に記載の従来の同期機の制御装置は、同期機が空転時に、電力変換手段の半導体スイッチング素子のうち少なくとも一つをオンさせて回転機の巻線を短絡させ、その際に同期機の空転によって流れる巻線電流を測定し、この巻線電流に基づき同期機の回転位置を推定して同期機を再起動している。
特開平5−83965号公報(段落0004、図2) 特許第3636340号公報(段落0009、0022、0023、0024〜0043、図1〜3)
特許文献1のような同期機の制御装置にあっては、同期機の電圧を検出する検出回路を設ける必要があり、検出回路のコストが必要になる上、検出回路の設置スペース確保の問題に起因して装置の規模が大きくなるという問題点があった。
また、特許文献2のような同期機の制御装置にあっては、短絡による過電流が長期にわたって半導体素子に流れるので、強風などにより空転している同期機の回転速度が高い場合、半導体素子が劣化するという問題があった。
さらに、特許文献2のような同期機の制御装置にあっては、同期機の電気的定数によっては、最大回転速度で空転している場合、半導体素子が破損することを防ぐため、短絡時間は数十μsec以下に設定しなければならなかった。その結果、回転位置を正確に演算するに足りるサンプリング回数を十分確保することができないという問題があった。電流検出時のノイズを除去するためには、ある程度の検出期間を確保し、一次遅れや移動平均などのフィルタを用いることが多いが、数十μsec以下の短絡電流で回転位置を推定するとサンプリング回数は1〜2回となってしまい、前記フィルタも利用できず、回転位置推定は電流検出ノイズの影響を受け易くなるという問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電圧検出手段を用いたり同期機の巻線短絡を利用して位置推定したりすることなく、電流検出時の検出ノイズに対する耐力を備え、同期機が空転状態であっても位置センサを用いずに起動可能な同期機の制御装置及び同期機の制御方法を提供することを目的としている。
この発明に係る同期機の制御装置は、同期機の電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段から得た前記同期機の電流の振幅が最大となる値を電流振幅最大値として記憶する電流振幅記憶手段と、前記同期機に印加すべき電圧指令を出力する電圧指令演算手段と、前記同期機への電圧印加を遮断させるための遮断信号を出力する遮断信号発生手段と、前記遮断信号がオンの場合には前記同期機への電圧印加を遮断し、前記遮断信号がオフの場合には前記電圧指令に基づいて前記同期機に電圧を印加する電力変換手段と、を備え、前記遮断信号発生手段は、起動時刻から第1の時刻までの間、遮断信号をオフし、前記第1の時刻から第2の時刻までの間、遮断信号をオンするとともに、前記電流振幅記憶手段から得た電流振幅最大値を予め設定した基準値と比較し、前記電流振幅最大値が前記基準値よりも小さい場合に、前記第2の時刻から第3の時刻までの間、遮断信号をオフし、前記電圧指令演算手段は、前記起動時刻から第1の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号オフに基づき、少なくとも1回、前記同期機の少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力して前記電力変換手段を制御し、前記電流振幅記憶手段に前記電流振幅最大値を記憶させ、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号がオフの場合に、前記電流検出手段から得た前記同期機の電流が零になるような電圧指令を出力して前記同期機を起動するように前記電力変換手段を制御するものである。
この発明によれば、同期機が空転状態であっても、同期機の電流が零になるような電圧指令を出力するので、過電流になることなく確実に同期機を起動することができる、といった従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における同期機の制御装置を含む全体構成を示すブロック図である。同期機1に電力変換手段(インバータ)2が接続され、同期機1と電力変換手段2とを接続している配線に流れる電流を検出できるように電流検出手段3が取り付けられている。
(起動時刻:0)<(第1の時刻:t1)<(第2の時刻:t2)<(第3の時刻:t3)と定義するとき、電流振幅記憶手段4は、前記電流検出手段3から得た電流振幅について、起動時刻から第1の時刻t1までの間で最大となる値を電流振幅最大値として記憶する。
遮断信号発生手段5は、前記同期機1への電圧印加を遮断させるための遮断信号を出力する。
電圧指令演算手段6は、起動時刻から第1の時刻t1までの間、少なくとも1回、前記同期機の少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力するとともに、第2の時刻t2から第3の時刻t3までの間、電流検出手段3から得た電流に基づいて同期機1の電流が零になるような電圧指令を出力して電力変換手段2を制御し、さらに該電圧指令に基づいて同期機の回転位置を推定する。
以下、各ブロックの詳細内容について述べる。
前記同期機1は、U相、V相、W相の三相巻線を有する。本実施の形態における同期機は回転子に永久磁石を備えた同期機について説明するが、永久磁石の代わりに回転子に界磁巻線を備えた同期機についても同様の構成で実施することが可能である。
前記電力変換手段2は、遮断信号発生手段5が出力する遮断信号がオンの場合には同期機1への電圧印加を遮断し、遮断信号がオフの場合には電圧指令演算手段6が出力する三相電圧指令vu0*、vv0*、vw0*に基づいて同期機1に電圧を印加する。
電流検出手段3は、同期機1のU相電流とV相電流を検出する。なお、電流検出手段3は、図1に示すようなU相電流及びV相電流を直接検出する方法以外に、公知の技術である電力変換手段2のDCリンク電流からU相電流及びV相電流を検出する方法(例えば、Y.Murai et al.、 "Three-Phase Current-Waveform-Detection on PWM Invertes from DC Link Current-Steps"、 Proceedings of IPEC-Yokohama 1995、 pp.271-275、 Yokohama、 Japan、 April 1995)を用いても良い。
電流振幅記憶手段4において、減算器10は電流検出手段3から得たU相電流及びV相電流に基づいた(1)式の演算によってW相電流を算出する。

iw=−iu−iv ・・・ (1)
但し、iu:U相電流、iv:V相電流、iw:W相電流

前記U相電流iuの絶対値と、前記V相電流ivの絶対値と、前記W相電流iwの絶対値は絶対値演算器11によって夫々演算され、最大値演算器12に入力される。スイッチ13には、最大値演算器12の出力と遅延回路15の出力が入力される。タイマー14は起動時刻を零として、現在の時刻を出力し、スイッチ13はタイマー14から得た時刻に基づいて、出力として「最大値演算器12の出力」か「遅延回路15の出力」の何れかを選択する。遅延回路15は、1サンプリング間隔だけその入力を遅らせて保持し、その値を最大値演算器12、スイッチ13および遮断信号選択器21へ出力する。なお、遅延回路15の初期値は零である。最大値演算器12は、「U相電流iuの絶対値」、「V相電流ivの絶対値」、「W相電流iwの絶対値」、「遅延回路15の出力」の中から最大値を出力する。スイッチ13は、タイマー14から得た時刻に基づいて、(起動時刻)から(第1の時刻)までの期間は「最大値演算器12の出力」を出力として選択し、(第1の時刻)以降の期間は「遅延回路15の出力」を出力する。
この一連の動作によって、電流振幅記憶手段4は起動時刻0から第1の時刻t1までの期間中の「最大電流振幅」を保持し、その結果を第1の時刻t1以降の期間に出力することができる。
遮断信号発生手段5において、タイマー20は起動時刻を零として、現在の時刻を出力し、遮断信号選択器21はタイマー20の時刻と前記「最大電流振幅」に基づいて、遮断信号を生成してこの遮断信号を出力させる(以下、オンという)か、または出力させない(以下、オフという)かのいずれか一方を選択する。遮断信号選択器21の動作について詳述すると、タイマー20から得た時刻が起動時刻0から第1の時刻t1の期間には遮断信号をオフし、第1の時刻t1から第2の時刻t2の期間には遮断信号をオンする。第2の時刻t2から第3の時刻t3の期間には前記「最大電流振幅」の大きさが所定値よりも大きければ遮断信号のオン出力をそのまま継続して同期機の起動を中止し、「最大電流振幅」の大きさが所定値よりも小さければ遮断信号をオフにする。前記「最大電流振幅」は同期機1が停止している場合には零であり、空転している場合には回転速度の大きさに比例した値を持つ。従って、「最大電流振幅」の大きさが所定値(上限値)よりも大きい場合には、遮断信号発生手段5が電力変換手段2へ出力する遮断信号をオンしておくことによって、同期機1が強風などによって過大な回転速度で空転している場合に発生する過電流や過電圧から電力変換手段2を保護することができる。
なお、同期機の起動を中止した後、再起動する場合には、再び起動時刻0から第1の時刻t1の期間の遮断信号オフ、第1の時刻t1から第2の時刻t2の期間の遮断信号オン、第2の時刻t2から第3の時刻t3の期間の「最大電流振幅」の大きさチェック、・・・の順に実行する。
電圧指令演算手段6において、座標変換器30は電流検出手段3から得た電流を電機子の位相θに同期して回転する回転二軸座標(d−q軸)上に座標変換し、d軸電流id及びq軸電流iqを出力する。タイマー31は起動時刻を零として現在の時刻tを出力し、電流指令発生器32はタイマー31から得た時刻に応じて回転二軸座標(d−q軸)上のd軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*を出力する。
電流指令発生器32の動作例としては、タイマー31から得た現在の時刻tが前記(第3の時刻:t3)以前の場合には、id*及びiq*として零を出力させ、タイマー31から得た現在の時刻tが前記(第3の時刻:t3)以降の場合には、iq*は零に保ちながらid*を所定の値にして出力させても良い。
また、タイマー31から得た現在の時刻tが前記(第3の時刻:t3)以前の場合には、id*及びiq*として零を出力させ、現在の時刻tが前記(第3の時刻:t3)以降の場合には、id*とiq*の夫々を独立した所定値として出力させても良い。
電流制御器33はタイマー31から得た現在時刻が起動時刻以降の場合には、前記d軸電流id及びq軸電流iqが、上記d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*にそれぞれ一致するように、回転二軸座標(d−q軸)上のd軸電圧指令vd*及びq軸電圧指令vq*を出力する。
ここで、電流制御器33について詳細に述べる。
電流制御器33の構成を図2に示す。図2において、減算器80はd軸電流指令id*とd軸電流idの偏差を演算し、減算機81はq軸電流指令iq*とq軸電流iqの偏差を演算する。スイッチ82は、タイマー31から得た時刻tが起動時刻から第2の時刻t2の期間、増幅器83および増幅器84へ出力する信号として0を選択する。タイマー31から得た時刻tが時刻t2以降になると増幅器83への出力として減算器80の出力を選択するとともに、増幅器84への出力として減算器81の出力を選択する。増幅器83はスイッチ82から得た信号を増幅し、d軸電圧指令vd*として出力する。ここで増幅器83は比例演算によって入力を増幅しても良いし、或いは比例積分演算によって入力を増幅しても良い。増幅器84はスイッチ82から得た信号を増幅し、q軸電圧指令vq*として出力する。増幅器84も比例演算によって入力を増幅しても良いし、或いは比例積分演算によって入力を増幅しても良い。
位相演算器34は、d軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*及びタイマー31から得た時刻に基づいて、位相θを出力する。
座標変換器35は前記d軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*及び位相演算器34によって推定された位相θに基づいて座標変換を行い三相電圧指令vu*、vv*、vw*を出力する。
この座標変換器35については非特許文献「ACサーボシステムの理論と設計の実際」第2版杉本、小山、玉井著、1991年、総合電子出版社発行(123頁、図5.24)に記載されている。
PWM変調器36は前記三相電圧指令vu*、vv*、vw*のそれぞれをPWM変調し、電力変換手段2の各相がHiまたはLowを選択するための論理信号として出力する。
短絡ベクトル発生器37は電力変換手段2の各相が選択するために、「三相ともHi」または「三相ともLow」の組合せで論理信号を出力する。スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて、電力変換手段2へ出力する論理信号を短絡ベクトル発生器37の出力にするか、PWM変調器36の出力にするかを選択する。特に短絡ベクトル発生器37が「三相ともLow」の組合せで論理信号を出力する場合、電力変換手段2の3相の各相毎に設けられた2つのスイッチング素子内の、直流電源の負極側スイッチング素子が短絡され、空転によって誘起される逆起電力によって電流が発生し、この電流が電流検出手段3によって検出される。
なお、タイマー14、20、31は別々に記載しているが、1つのタイマーで実現することもできる。
ここで、位相演算器34について詳細に述べる。
図3は、位相演算器34の内部構成を示すブロック図である。一次遅れ演算器40は前記d軸電圧指令vd*を入力とするカットオフ角周波数ωcの一次遅れ演算を行い、d軸磁束φdとして出力する。除算器41はq軸電圧指令vq*を前記d軸磁束φdで除算し、角周波数ω1として出力する。
信号発生器42は、予め設定しておいた角周波数ω*を出力する。ここでは、角周波数ω*を予め設定した値としたが、設定温度や外気温度などの要素に基づいて角周波数ω*を発生しても良い。減算器43は前記目標速度である周波数ω*から現在の速度を示す積分器45の出力を減算して、ゲイン演算器44に出力する。ゲイン演算器44は減算器43の出力を1/T0倍した結果を積分器45へ出力する。積分器45は前記タイマー31から得た時刻tが第3の時刻t3以前であれば積分値として前記ω1を空転時の速度として保持し、時刻tが第3の時刻t3以降であればゲイン演算器44の出力の積分演算値を起動時の速度として各周波数ω2を出力する。スイッチ46は、前記タイマー31から得た時刻tが第3の時刻t3以前であれば除算器41から得た角周波数ω1を出力し、前記タイマー31から得た時刻tが第3の時刻t3以降であれば積分器45から得た角周波数ω2を出力する。積分器47はスイッチ46が出力する角周波数ω1またはω2を積分して位相θとして出力する。
従って、起動時の初期速度は空転時の速度となり、起動時の初期位相は空転時の位相となる。
ここで、時刻tが第2の時刻t2から第3の時刻t3の期間における位相演算器34の動作原理について説明する。任意の角周波数ωで回転している回転直交座標(d−q軸)上において、同期機1に発生する磁束は(2)、(3)式の関係を有する。
φd=∫(vd−R×id+ω×φq)dt ・・・ (2)
φq=∫(vq−R×iq−ω×φd)dt ・・・ (3)
ただし、φd:電機子に誘導されたd軸磁束、φq:電機子に誘導されたq軸磁束、R:電機子抵抗、id:電機子を流れるd軸の電流、iq:電機子を流れるq軸の電流、ω×φd:電機子に誘導されたd軸の逆起電力、ω×φq:電機子に誘導されたq軸の逆起電力
同期機の磁束位相とd−q軸のd軸が一致しているとき、q軸磁束φqは零であり、φq=0を(2)、(3)式に代入すると(4)、(5)式が成り立つ。

φd=∫(vd−R×id)dt ・・・ (4)
ω=(vq−R×iq)÷φd ・・・ (5)
特に、同期機1の電流が零の状態においては、id=iq=0が成り立つので、この関係を(4)、(5)式に代入すると(6)、(7)式となる。
φd=∫(vd)dt ・・・ (6)
ω=vq÷φd ・・・ (7)
本実施の形態では、電圧の振幅であるq軸電圧指令vq*を同期機の磁束φdで除算する(7)式の演算によって得た角周波数を起動時の初期速度、即ち起動時の回転角速度とする。電圧指令ベクトルの回転角変化を利用して起動時の回転角周波数を求めようとすると、電圧指令ベクトルの回転角変化を得るために電圧指令の位相を微分する必要があるが、(5)式または(7)式のように電圧振幅を磁束で除算して起動時の回転角周波数を求めれば、微分演算が不要になる。一般的に微分演算は外乱に弱いことが知られており、測定ノイズなどの雑音が混入すると著しく精度が低下してしまうが、微分演算が不要な電圧振幅を磁束で除算して起動時の回転角周波数を求めることで測定ノイズなどの雑音が混入しても高い推定精度を保つことができる効果がある。
図3に示した位相演算器34は(6)、(7)式の電圧vd、vqの代わりに電圧指令vd*、vq*を与え、(6)の積分器の代わりに一次遅れ演算器40でカットオフ周波数ωcの一次遅れ演算を行い、(7)式の除算を除算器41で行うことで角周波数ωの演算結果をω1として得ている。
なお、積分器を用いず、一次遅れ演算器を用いる理由は、以下の通りである。積分器の機能はラプラス演算子をsとした場合に1/sで表され、このラプラス演算子sはjω(jは虚数、ωは角速度)に置換される。従って、同期機の起動開始直後の極低回転速度においてωの値はまだ零に近いため入力信号にわずかな誤差があっても、積分器ではその誤差がとてつもなく大幅に増幅されて出力されてしまう。その結果として制御に悪影響を与え支障をきたすおそれがある。これに対して、一次遅れ演算器の場合には、多少の時間遅れは生じるものの、カットオフ周波数ωcを用いることで極低回転速度での不要な誤差出力の発生を未然に防止できる。以上が積分器を用いず、一次遅れ演算器を用いる理由である
また、時刻tが第3の時刻t3以降では、第3の時刻t3における初期値をω1、最終値をω*とするような時定数T0の一次遅れ演算を、減算器43、ゲイン演算器44、積分器45によって実施する。
以上の構成によって位相演算器34は時刻tが第2の時刻t2から第3の時刻t3の期間、同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する位相θを出力する。
従来の同期機の制御装置では同期機の電機子巻線を短絡させ、その際に流れる電流に基づき回転子の位置を推定して電力変換手段を再起動していたが、本実施の形態では電機子巻線を短絡させた際に流れる電流を用いて位置推定することなく、同期機1に流れる電流が零になるような電圧指令を出力して電力変換手段2を制御しつつ、同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する位相θを演算するので、過電流や過電圧に対する電力変換手段の保護の必要がないという効果がある。また、短絡時間のような短時間で終了させなければならないといった制約もないので、位相θを正確に演算するに足りるサンプリング回数を十分確保することが容易になるといった効果がある。
図4は、本実施の形態1における一連の動作波形を示す一例であり、この図に従って本実施形態1の動作説明をする。図4の横軸は時刻であり、1段目は遮断信号発生手段5が出力する遮断信号、2段目は同期機1の相電流実効値、3段目は電流指令発生器32が出力するd軸電流指令id*、4段目は位相演算器34内部のスイッチ46が出力する角周波数ωである。図4において、起動時刻を零とする。
○ (起動時刻:0)以前:遮断信号発生手段5が出力する遮断信号はオンであり、電力変換手段2は同期機1に対して電圧印加をせず、遮断状態を保っている。この例では同期機1は50[rad/s]で空転状態であることを想定している。
○ (起動時刻:0)から(第1の時刻:t1)の期間:同期機の空転速度が強風などにより同期機の起動可能速度を超える場合には、過電流などにより同期機を損傷するという問題が発生する。そこで、同期機を起動する前に、果たして同期機の空転速度が起動可能限度内であるか否かを調べ、起動範囲外であれば、起動を中止して所定時間経過後、再度調べる必要がある。この調査のために、起動時刻0から第1の時刻t1の期間、回転機の巻線を短絡させ、その際に同期機の空転によって流れる巻線電流を測定して同期機の回転速度を算出する。
即ち、電圧指令演算手段6内部のスイッチ38は、タイマー31から得た時刻が起動時刻0から第1の時刻t1の期間、電力変換手段2へ出力する論理信号として短絡ベクトル発生器37の出力を選択する。遮断信号発生手段5が出力する遮断信号はオフとし、電圧指令演算手段6が出力する電圧指令に基づいて電力変換手段2は同期機1が三相短絡する電圧を印加する。同期機1が空転している場合、電力変換手段2が三相短絡となるような電圧を出力すると該同期機1の回転速度の大きさに比例した相電流実効値が発生する。電流振幅記憶手段4は起動時刻から第1の時刻t1までの期間中の「最大電流振幅」を保持しており、図4の場合には第1の時刻t1で相電流実効値が最大となるので、電流振幅記憶手段4が保持する電流も第1の時刻t1における値となる。
なお、前記短絡時に算出された回転速度に基づいて位相を算出することも可能であるが、過電流防止に対処する観点から短絡時間は短いほどよい。従って、測定時間も短くなるため測定精度は低くなる。従って、この期間で測定される情報の精度は、回転数が同期機の起動に適しているか否かをチェックするための目安を与える程度のものにすぎない。従って、過電流か否かを判定するための基準値も安全面を見越して若干低い値を設定しておくのが良い。より高精度の測定は(第2の時刻:t2)から(第3の時刻:t3)の期間で実施される。
○ (第1の時刻:t1)から(第2の時刻:t2)の期間:遮断信号発生手段5が出力する遮断信号はオンとし、電力変換手段2は同期機1に対して電圧印加をせず、遮断状態となる。同期機1が空転している場合、第1の時刻t1で回転速度の大きさに比例した相電流実効値が同期機1に発生するが、遮断状態となると相電流実効値は零に収束する。この零収束により同期機1の電流は0となるため、次の(第2の時刻:t2)から(第3の時刻:t3)の期間における同期機1の電流0での起動との整合性が良くなり、迅速な立ち上げが可能となる。
○ (第2の時刻:t2)から(第3の時刻:t3)の期間:遮断信号発生手段5において、遮断信号選択器21は、前記「最大電流振幅」の大きさが所定値よりも大きい場合には遮断信号のオンを継続して、同期機1を停止する。また、「最大電流振幅」の大きさが所定値よりも小さい場合には遮断信号をオフにする。電流指令発生器32は、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*として零を出力する。電流制御器33は同期機1のd軸電流id及びq軸電流iqが前記d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*に一致するようなd軸電圧指令vd*及びq軸電圧指令vq*を出力する。時刻t3において電流制御器33が出力するd軸電圧指令vd*及びq軸電圧指令vq*の電圧初期値はそれぞれを零に設定して制御を開始してもよいし、所定の値を与えて制御を開始してもよい。その際、初期値の選び方は同期機1の最大誘起電圧の数%以下となるような範囲で選択すればよい。位相演算器34は、d軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*に基づいて、位相θを演算し、座標変換器35は前記d軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*及び位相θに基づいて三相電圧指令vu*、vv*、vw*を出力する。このとき、位相演算器34内部のスイッチ46は同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する角周波数ω1を出力する。図4の例では、空転している回転角速度は50[rad/s]であり、(第2の時刻:t2)から(第3の時刻:t3)の期間に位相演算器34内部のスイッチ46が出力するωも50[rad/s]に一致する。PWM変調器36は前記三相電圧指令vu*、vv*、vw*のそれぞれをPWM変調し、電力変換手段2の各相がHiまたはLowを選択するための論理信号として出力する。スイッチ38はPWM変調器36の出力を選択して電力変換手段2へ出力する。
前記「最大電流振幅」の大きさが所定値よりも小さい場合には前記遮断信号がオフなので電力変換手段2は前記PWM変調器36の出力に基づいて前記三相電圧指令vu*、vv*、vw*と一致するような電圧を同期機1に印加する。ここで、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*は零であり、電流制御器33はd軸電流idがd軸電流指令id*(=0)に一致するように制御するので同期機1のd軸電流idは零となり、また、電流制御器33はq軸電流iqがq軸電流指令iq*(=0)に一致するように制御するので同期機1のq軸電流iqも零となるので同期機1はトルクを発生せず、これにより空転している回転速度も変化しない。
○ (第3の時刻:t3)以降の期間:位相演算器34内部の積分器45は時刻tが第3の時刻t3以前であれば積分値として前記ω1を保持し、時刻tが第3の時刻t3以降であればゲイン演算器44の出力を積分した結果を角周波数ω2として出力する。前記ゲイン演算器44は減算器43の出力を1/T0倍した結果を前記積分器45へ出力する。スイッチ46は、前記タイマー31から得た時刻tが第3の時刻t3以降であれば積分器45から得た角周波数ω2を出力する。図4の例では目標の角周波数ω*を10[rad/s]、T0を2[秒]に設定してあり、角周波数ωは時刻t3の50[rad/s]からω*(=10[rad/s])へ時定数T0(=2)秒で変化する。図4では、電流指令発生器32は、時刻tが第3の時刻t3以降の場合には、q軸電流指令iq*を零に保ちながらd軸電流指令id*を所定の値(3[A])として出力している。角周波数ωが時刻t3の50[rad/s]からω*(=10[rad/s])へ変化するとき、同期機1の磁束位相に対してd−q軸のd軸がズレようとする。このとき、d軸電流の軸ずれ分に応じて同期機1の磁束はd軸に一致するようにその方向にトルクが発生し、その結果、同期機1の回転速度も時刻t3の50[rad/s]からω*(=10[rad/s])へ変化する。
以上のように、前記位相演算器は、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記電流制御器から出力されたd軸電圧指令を一次遅れ演算してd軸磁束を出力する一次遅れ演算器と、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記一次遅れ演算器の出力と前記電流制御器から出力されたq軸電圧指令で除算して第1の角周波数を出力する除算器と、
前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記除算器から出力される第1の角周波数を記憶する選択する選択スイッチと、この選択スイッチの出力を積分して位相を出力する第1の積分器と、前記除算器から出力される第1の角周波数を記憶する第2の積分器と、前記第3の時刻以降の所定期間において、予め設定しておいた角周波数を出力する信号発生器と、前記第3の時刻以降の所定期間において、前記信号発生器の出力と前記第2の積分器が記憶した第1の角周波数との偏差を出力する一次遅れ演算用減算器と、前記第3の時刻以降の所定期間において、前記一次遅れ演算用減算器の出力に所定の時定数を乗算するゲイン演算器と、を備え、前記第2の積分器は、前記第3の時刻以降の所定期間において、前記第1の角周波数を出力する代わりに、前記ゲイン演算器による乗算結果を積分し、積分結果を第2の角周波数として出力し、前記選択スイッチは、前記第3の時刻以降の所定期間において、前記第2の積分器から出力される第2の角周波数を選択することによって、同期機1を空転状態(=50[rad/s])から所定の回転速度ω*(=10[ra/s])で回転する状態に起動することができる。
以上のように、本実施の形態1の構成により、同期機が空転状態であっても、前記電圧指令演算手段6は前記電流検出手段3から得た電流に基づいて前記同期機1の電流が零になるような電圧指令を出力して前記電力変換手段を駆動するので、過電流になることなく確実に同期機を起動することができる効果がある。
また、第2の時刻から第3の時刻までの間は、電流が零になるように電圧指令を出力し、この電圧指令に基づいて同期機1の位相を演算するので、従来の短絡電流から回転位置推定する装置よりも位相演算に長い時間を掛けることが可能であり、サンプリング回数を十分に確保することで電流検出に起因するノイズを除去するフィルタの利用などにより電流検出ノイズに対する耐力を高めることができる効果がある。
また、同期機1が空転状態であって、前記遮断信号発生手段5は、前記電流振幅記憶手段4から得た電流振幅最大値が所定値より大きい場合には前記第2の時刻以降も所定期間遮断信号をオンするので、電力変換手段が過電流や過電圧になることを防ぐ効果がある。
実施の形態2.
前記実施の形態1において、電圧指令演算手段6内部の位相演算器34は、第2の時刻t2から第3の時刻t3までの間、同期機1の電流が零になるような電圧指令に基づいて、同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する位相θを出力していた。
この位相演算器は第2の時刻から第3の時刻までの間、同期機1に流れる電流と、電流が零になるような電圧指令に基づいて同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する位相θを出力しても良い。この実施の形態2では、この態様について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における同期機の制御装置を含む全体構成を示すブロック図であり、位相演算器34が位相演算器34aに置換した点が図1と異なる。位相演算器34aは、d軸電流id、q軸電流iq、d軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*及びタイマー31から得た時刻に基づいて、位相θを出力する。その他の構成は実施の形態1の図1と同一のものであり、その説明を省略する。
図6は、位相演算器34aの内部構成を示すブロック図である。ゲイン演算器50はd軸電流idに電機子抵抗Rを乗算し、ゲイン演算器51はq軸電流iqに電機子抵抗Rを乗算する。減算器52はd軸電圧指令vd*からゲイン演算器50の出力を減算し、その値を一次遅れ演算器40へ出力する。減算器53はq軸電圧指令vq*からゲイン演算器51の出力を減算し、その値を除算器41に出力する。
同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致しているとき、(4)、(5)式が成り立つ。前記実施の形態1では、同期機1の電流が零の状態においては、id=iq=0が成り立つので、この関係を(4)、(5)式に代入した(6)、(7)式に基づいて位相演算器34を構成した。
図6に示した位相演算器34aは、過渡的にid=iq=0が成り立たないような場合でも正確な位相θを演算できるように(6)、(7)式でなく、(4)、(5)式に基づいて位相θの演算を行う。すなわち、(4)、(5)式の電圧vd、vqの代わりに電圧指令vd*、vq*で与え、(4)式の積分器の代わりに一次遅れ演算器40で一次遅れ演算を行い、(5)式の除算を除算器41で行うことで角周波数ωの演算結果をω1として得ている。
以上の構成により、位相演算器34aは同期機1の電流が零になるような電圧指令と検出電流に基づいて位相θを出力するので、電流制御器33の制御遅れなどで過渡的にid=iq=0が成り立たないような場合であっても第2の時刻から第3の時刻までの間、同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸を一致させることができる効果があり、その結果、同期機の制御装置をより確実に起動できる効果がある。
実施の形態3.
前記実施の形態1において、電流振幅記憶手段4は、前記電流検出手段3から得た電流振幅について、起動時刻から第1の時刻までの間で各相電流値の最大となる値を電流振幅最大値として記憶していた。
しかし、電流振幅記憶手段4を電流振幅記憶手段4bに置換することによって起動時刻から第1の時刻までの期間における相電流実効値の最大値を電流振幅最大値として記憶して出力しても良い。この場合、電流振幅値と相電流実効値との間には√2倍の差があるので、遮断信号選択器21が遮断信号をオン・オフする判定のための所定値は、前記電流振幅値と相電流実効値の差異を勘案して変更しておく。この実施の形態3では、この態様について説明する。
図7は本発明の実施の形態3における電流振幅記憶手段4bの内部構成を示す図であり、二乗値演算器60によってU相電流iuの二乗と、V相電流ivの二乗と、W相電流iwの二乗は夫々演算され、加算器61によって加算され、さらに1/2乗演算器62によって1/2乗されて、相電流実効値に比例する値がゲイン演算器63に出力される。ゲイン演算器63は所定の係数を乗算することで、相電流実効値を出力する。具体的にはゲイン演算器63は加算器61の出力を1/2乗演算器によって1/2乗し、この1/2乗演算器62の出力を1/√3倍する。最大値演算器12bには最大値演算器12の各相電流絶対値の代わりに相電流実効値が入力される。この場合、電流振幅値と相電流実効値との間には√2倍の差があるので、遮断信号選択器21が遮断信号をオン・オフする判定のための所定値は、前記電流振幅値と相電流実効値の差異を勘案して変更しておく。その他の構成は実施の形態1の図1と同一のものであり、その説明を省略する。
この一連の動作によって、電流振幅記憶手段4bは(起動時刻)から(第1の時刻)までの期間における相電流実効値の最大値を「最大電流振幅」として保持し、その結果を(第1の時刻)以降の期間に出力することができる。同期機1が空転状態の場合、前記実施の形態のような各相電流の最大値を「最大電流振幅」として保持すると、同じ回転速度であっても回転位置によってその値が異なることがあったが、本実施の形態3の構成によって同期機1が空転しているときの回転速度と「最大電流振幅」の関係は回転位置に依存せず、一意に定まり、遮断信号発生手段5は、所定の速度より小さい場合だけ同期機の電流が零になるような電圧指令出力を、より正確に判断することができる効果がある。
実施の形態4.
前記実施の形態1では、遮断信号発生手段5が出力する遮断信号がオフの場合には電圧指令演算手段6が出力する三相電圧指令vu0*、vv0*、vw0*に基づいて同期機1に電圧を印加し、このときの角周波数をω*にすることで、同期機1の磁束位相に対してd−q軸のd軸がズレようとする。このとき、d軸電流の軸ずれ分に応じて同期機1の磁束はd軸に一致するようにその方向にトルクを発生させることで、同期機1の回転速度もω*に保つように制御していた。
しかし、一旦同期機1の回転速度をω*に保った後は、同期機1に対して公知の位置センサレス制御手法を利用して安定性や応答性の高い制御をしても良い。この実施の形態4では、この態様について説明する。
図8は本発明の実施の形態4における同期機の制御装置を示すブロック図であり、速度指令発生器70はタイマー31が出力する時刻に応じて回転速度指令を発生する。センサレス制御器71は、電流検出手段3から得た相電流iu、ivと速度指令発生器70から得た回転速度指令に基づいて同期機1の回転速度が前記回転速度指令に一致するような三相電圧指令を出力する。センサレス制御器71は、特願2001−518922号公報や特願2002−565151号公報などに記載の公知な手法で構成することができる。これらの手法ではd軸電流の軸ずれ分、同期機1の磁束はd軸に一致するようにその方向にトルクが発生することで、同期機の回転速度をω*に保つ制御よりも、安定性や応答性の高い制御性を行うことができる。スイッチ72は、タイマー31が出力する時刻に応じて三相電圧指令vu*、vv*、vw*として、前記座標変換器35から得た三相電圧指令か、センサレス制御器71から得た三相電圧指令のいずれかを選択し、PWM変調器36に出力する。具体的には第3の時刻t3以降の所定時刻として、第4の時刻t4を定義するとき、スイッチ72は、タイマー31が出力する時刻tが第4の時刻t4以前の場合は前記座標変換器35から得た三相電圧指令を選択して三相電圧指令vu*、vv*、vw*としてPWM変調器36に出力し、タイマー31が出力する時刻tが第4の時刻t4以降の場合はセンサレス制御器71から得た三相電圧指令を選択して三相電圧指令vu*、vv*、vw*としてPWM変調器36に出力する。
なお、本実施の形態における速度指令発生器70はタイマー31が出力する時刻に応じて回転速度指令を発生するものについて示したが、設定温度や外気温など時刻以外の要素に基づいて回転速度指令を発生するものについても同様であることは言うまでもない。
以上の構成により、第4の時刻t4以降は同期機1に対して公知の位置センサレス制御手法を利用するので、安定性や応答性の高い制御を行うことができる効果がある。
実施の形態5.
前記電力変換手段2は、例えば特開平5−137349号公報で公知のように、MOSFET、IGBTなどの絶縁ゲート入力を持つ半導体スイッチング素子を直流電源に対してブリッジ状に接続し、前記半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記直流電源の負極側に接続された半導体スイッチング素子がオン状態の間に、前記直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子の駆動回路の電源となるコンデンサを充電するチャージポンプ回路を設けた構成の電力変換手段を用いても良い。この実施の形態5では、この態様について説明する。
図9は電力変換手段2dの内部構成を示す図である。図において電力変換手段2dは直流電源90の直流電圧をU相、V相、W相の交流電圧に電力変換している。直流電源91は、直流電源90に対してブリッジ状に接続した半導体スイッチング素子92〜97のうち、負極側に接続された半導体スイッチング素子93、95、97の駆動回路の電源となる。また、直流電源90の正極側に接続された半導体スイッチング素子92、94、96の駆動回路の電源は、それぞれコンデンサ98、99、100を用いる。U相チャージポンプ回路は直流電源91、ダイオード101、コンデンサ98、半導体スイッチング素子93から構成される。同様に、V相チャージポンプ回路は直流電源91、ダイオード102、コンデンサ99、半導体スイッチング素子95から構成され、W相チャージポンプ回路は直流電源91、ダイオード103、コンデンサ100、半導体スイッチング素子97から構成される。NOR回路104は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vu0*がLowの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力する。同様にNOR回路105は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vv0*がLowの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力し、NOR回路106は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vw0*がLowの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力する。AND回路107は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vu0*がHiの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力する。同様にAND回路108は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vv0*がHiの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力し、AND回路109は論理信号である遮断信号がオフ(Low)且つ論理信号である三相電圧指令vw0*がHiの場合はHiを、それ以外の場合はLowを出力する。この構成により、遮断信号がオン(Hi)の場合、半導体スイッチング素子92〜97に入力される論理信号はすべてオフとなる。半導体スイッチング素子92〜97は入力された論理信号がHiの場合はオン、Lowの場合はOFFの動作をする。U相チャージポンプ回路は、半導体スイッチング素子93がオンした場合に直流電源91からコンデンサ98を充電することができる。同様にV相チャージポンプ回路は、半導体スイッチング素子95がオンした場合に直流電源91からコンデンサ99を充電することができ、W相チャージポンプ回路は、半導体スイッチング素子97がオンした場合に直流電源91からコンデンサ100を充電することができる。この構成を用いると、直流電源の正極側に接続されたスイッチング素子の駆動回路の電源をコンデンサで実現できるので、電力変換手段のコストを安価にすることができる効果がある。
ここで、前記電圧指令演算手段が、起動時刻から第1の時刻までの間、直流電源90の負極側に接続された半導体スイッチング素子93,95,97を少なくとも1回、オン短絡するような電圧指令vu0*,vv0*,vw0*を出力すると、各相チャージポンプ回路によってコンデンサ98,99,100が充電され、波形出力開始時に下アーム(半導体スイッチング素子93,95,97)または上アーム(半導体スイッチング素子92,94,96)のいずれのオン信号を先に与えても、与えられた電圧指令通りに電力変換手段2dが動作し、半導体スイッチング素子をオン/オフさせることができ、第2の時刻t2以降も乱れのない電圧波形を出力することができる効果が得られる。特に半導体スイッチング素子93,95,97を同時にオンする場合は、同期機1のU相−V相−W相の間を短絡するとともに、各相チャージポンプ回路のコンデンサ98,99,100を充電することができる。前記実施の形態に記載したように電圧指令演算手段は、起動時刻から第1の時刻までの間、少なくとも1回、半導体スイッチング素子93,95,97が同時にオンするような電圧指令を出力すると、同期機1を短絡させる動作で各相チャージポンプ回路のコンデンサ98,99,100を充電する動作を兼ねることができるので、効率よく起動できる。
このように構成した電力変換手段2dを前記実施の形態4に適用したときの流れ図が図10である。なお、この実施の形態5では図8における電力変換手段2を前記電力変換手段2dに置き換えたものが用いられる。また、この構成において、電圧指令演算手段6cの各機能をマイクロコンピュータにより実現することも可能であり、この場合には、図示しないCPUが図示しないROM内に搭載された各機能に対応するソフトウェアを図示しないメモリ上に読み出して個別に実行することで各機能が所定のタイミングで実現される。以下、実施の形態5について図8〜図10を参照して説明する。図10は同期機1が空転している状態(S101)から説明を始めている。起動時刻(時刻0)から起動開始する(S102)。遮断信号発生手段5は遮断信号をオフし、電圧指令演算手段6cは短絡ベクトル発生器37の出力を電圧指令として出力し、電力変換手段2dは遮断状態を解除して直流電源の負極側に接続された半導体スイッチング素子をオン短絡する(S103)。S103の動作により、電力変換手段2dのチャージポンプ回路のコンデンサ充電ができる(S104)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S105)。
時刻tが第1の時刻t1に到達していない場合(S106)は、遮断信号発生手段5は遮断信号を所定時間オンし、電力変換手段2dを遮断状態にすることで、一旦、同期機1に発生する短絡電流を零にし(S107)、その後、電力変換手段2dは遮断状態を解除して短絡する動作を繰り返す(S103)。
時刻tが第1の時刻t1に到達した場合(S106)は、遮断信号発生手段5は遮断信号をオンし、電力変換手段2dを遮断状態にする(S108)。電流振幅記憶手段4bが保持している電流振幅最大値が所定値よりも大きい場合(S109)には、電力変換手段2dの過電流や過電圧から保護するために、起動処理を中止する(S110)。起動処理状態になって、所定の時間が過ぎた場合は、S102の処理から動作を始めてもよい。
電流振幅記憶手段4bが保持している電流振幅最大値が所定値よりも小さい場合(S109)、時刻tが第2の時刻t2に到達する(S111)と、遮断信号発生手段5の遮断信号をオフする(S112)。遮断信号をオフすると電力変換手段2dは電圧指令演算手段6cが出力する電圧指令が更新されるまで初期値電圧を発生する。この初期値電圧はゼロであっても良いし、最大誘起電圧に対して十分小さい範囲であれば所定の値でも良い。例えば、同期機1の最大誘起電圧が200Vの場合、各相の初期値電圧の選び方は−2〜+2Vとなるような範囲で選択しておけば良い。そして、電流検出手段3は電流を検出し(S113)、電圧指令演算手段6cは該電流が零になるように電圧指令を出力(S114)するとともに、位相演算器34は同期機1の磁束位相とd−q軸のd軸が一致する位相θを演算する(S115)。
時刻tが第3の時刻t3に到達していない場合(S116)、電圧指令演算手段6cは、電流が零になるように電圧指令を出力し続けるとともに前記位相θの演算をする。
時刻tが第3の時刻t3に到達した場合(S116)、電流指令発生器32は、q軸電流指令iq*を零に保ちながらd軸電流指令id*を零から所定値に変更し(S117)、位相演算器34内部のスイッチ46が出力する角周波数ωを予め設定した角周波数ω*に時定数T0で変化させる(S118)と、空転している同期機1の回転数もこれに同期して角周波数ω*で回転する。時刻tが第4の時刻t4に到達する(S119)と、電圧指令演算手段6cはセンサレス制御手段71が演算する三相電圧指令を出力する(S120)。
この一連の動作に示すように、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」と「同期機が空転状態であって、所定の速度より大きいか否かの判断」を起動時刻から前記第1の時刻までの短絡動作によって同時に行うことができるので、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」のための短絡と「同期機がフリーラン状態であって、所定の速度より大きいか否かの判断」のための短絡を別々に行うよりも、起動処理時間を短縮できる効果がある。
また、電力変換手段2dの構成を用いると、直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子の駆動回路の電源をコンデンサで実現できるので、電力変換手段のコストを安価にすることができる効果がある。
また、前記電圧指令演算手段6cは、起動時刻から第1の時刻までの間、直流電源の負極側に接続された複数の半導体スイッチング素子を少なくとも1回、オン短絡するような電圧指令を出力することによって、チャージポンプ回路のコンデンサが順次に充電され、時刻t2以降の波形出力開始時に下アームまたは上アームのいずれのオン信号を先に与えても、与えられた電圧指令通りに電力変換手段2が動作し、第2の時刻t2以降も半導体スイッチング素子をオン/オフさせることができ、第2の時刻t2以降も乱れのない電圧波形を出力することができる効果がある。
実施の形態6.
前記実施の形態5においては、電力変換手段に設けたチャージポンプ回路によって、起動時刻から第1の時刻までの間、少なくとも1回、前記直流電源90の負極側に接続された半導体スイッチング素子がオン状態の間に、前記直流電源90の正極側に接続された半導体スイッチング素子の駆動回路の電源となるコンデンサを充電する。このとき、前記直流電源90の負極側に接続された半導体スイッチング素子93,95,97の3つを同時にオンしていたので、前記直流電源91は前記コンデンサ98、99、100の3つを同時に充電する必要があり、そのときに多大な電流が発生する。その結果、直流電源91の正極側と各相チャージポンプ回路を結ぶ配線を十分な太さにする必要があった。また、該配線を十分な太さにできない場合、この配線抵抗が大きくなり、コンデンサ98、99、100の3つを同時に充電したときの電流によって損失が発生する問題があった。また、前記直流電源91は前記コンデンサ98、99、100の3つを同時に充電するだけの電源容量が必要であった。或いは、前記直流電源91の電流容量が大きくならないように突入電流防止のための抵抗を前記配線に挿入する必要があり、抵抗設置のためのコストやスペース及び抵抗で消費する損失について課題があった。
そこで、起動時刻から第1の時刻までの間、前記直流電源90の負極側に接続された3つの半導体スイッチング素子のうち1つだけがオンするような電圧指令を少なくとも3回出力するようにして、各相チャージポンプ回路にそれぞれ接続されたコンデンサ98、99、100を1つずつ、別々に充電するようにしても良い。そこで、本実施の形態6では、前記実施の形態における遮断信号発生手段をU相、V相、W相のそれぞれに対して遮断信号を出力する遮断信号発生手段に置換するとともに、電力変換手段をU相、V相、W相のそれぞれに対して得た該遮断信号発生手段の遮断信号に応じてU相、V相、W相のそれぞれを独立に遮断できるようにすることによって、前記コンデンサ98、99、100を1つずつ、別々に充電する。
図11は、本実施の形態における同期機の制御装置を含む全体構成を示すブロック図である。遮断信号発生手段5eは、U相、V相、W相のそれぞれに対して遮断信号xu,xv,xwを出力する。遮断信号発生手段5eにおいて、タイマー20は起動時刻を零として、現在の時刻を出力し、遮断信号選択器21eはタイマー20の時刻と電流振幅記憶手段4bから得た「最大電流振幅」に基づいて、遮断信号xu,xv,xwのそれぞれに対してオンまたはオフを選択して出力する。
電力変換手段2eは、前記遮断信号xu,xv,xwのそれぞれに応じて、U相、V相、W相を独立に遮断する。図12は電力変換手段2eの内部構成を示す図であり、論理回路104eは、遮断信号xuがオンの場合、U相電圧指令vu0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子93がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xuがオフの場合、vu0*の論理否定を出力する。同様に、論理回路105eは、遮断信号xvがオンの場合、V相電圧指令vv0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子95がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xvがオフの場合、vv0*の論理否定を出力する。
論理回路106eは、遮断信号xwがオンの場合、W相電圧指令vw0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子97がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xwがオフの場合、vw0*の論理否定を出力する。論理回路107eは、遮断信号xuがオンの場合、U相電圧指令vu0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子92がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xuがオフの場合、vu0*の値を出力する。同様に、論理回路108eは、遮断信号xvがオンの場合、V相電圧指令vv0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子94がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xvがオフの場合、vv0*の値を出力する。論理回路109eは、遮断信号xwがオンの場合、W相電圧指令vw0*の値に係わらず、半導体スイッチング素子96がオフになるような信号を出力するとともに、遮断信号xwがオフの場合、vw0*の値を出力する。また、図9と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
図13は、タイマー20から得た時刻が起動時刻から第1の時刻t1の期間における遮断信号選択器21eが出力する遮断信号xu, xv, xwと、同期機1の三相電流iu, iv, iwの関係を示す図である。この図を用いて遮断信号選択器21eの動作について詳述する。図13において、時刻t10〜t18はそれぞれ起動時刻から第1の時刻t1の期間の時刻であり、起動時刻から第1の時刻t1の期間、前記短絡ベクトル発生器37は電力変換手段2eの各相が選択するために、「三相ともLow」の組合せで三相電圧指令vu0*,vv0*,vw0*を出力している。時刻t10から100μsの期間、遮断信号xuをオフ、xv, xwをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。同期機1が停止している場合は、半導体スイッチング素子93だけをオンしても三相電流iu,iv,iwは発生しない。また、同期機1が空転状態であっても三相電流iu,iv,iwが発生する場合もあれば、発生しない場合もある。図13は、同期機1が空転状態の場合であるが、半導体スイッチング素子93だけをオンしても三相電流iu,iv,iwが発生しない例を示している。時刻t10から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。
続いて、時刻t11から100μsの期間、遮断信号xvをオフ、xu, xwをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。時刻t10の時と同様に、半導体スイッチング素子95だけをオンした場合、同期機1が空転状態であっても三相電流iu,iv,iwが発生することもあれば、発生しない場合もある。この例では、半導体スイッチング素子95だけをオンしたにも係わらず、iu,iv,iwの三相それぞれに電流が発生している。このとき、電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅は図13の下段のようになる。時刻t11から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。
続いて、時刻t12から100μsの期間、遮断信号xwをオフ、xu, xvをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子97だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。時刻t10の時と同様に、半導体スイッチング素子97だけをオンした場合、同期機1が空転状態であっても三相電流iu,iv,iwが発生することもあれば、発生しない場合もある。この例では、半導体スイッチング素子97だけをオンしたにも係わらず、iu,iv,iwの三相それぞれに電流が発生している。このとき、電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅は図13の下段のようになり、半導体スイッチング素子95だけをオンしたときよりも電流振幅は小さい。時刻t12から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。この一連の動作の繰り返しをt13〜t18にかけて行う。電流振幅記憶手段4bは起動時刻から第1の時刻t1の期間における電流振幅最大値を出力するので、図13の場合、時刻t11、t14、t17のいずれかから100μs経過後の値を出力することになる。
図14は前記時刻t10,t11,t12における動作を繰り返し実施した時の同期機1の相電圧と電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅の関係を示す図である。図において、上段は相電圧を、下段は電流振幅を表しており、共に横軸は同時刻を表している。図14では、同期機1がある速度で空転している場合の様子を示しているが、空転速度が異なると、図14の波形の周期や大きさは異なるものの、相似形となる。図14を見て分かるように、ゲイン演算器63が出力する電流振幅の最大値は時刻1.0msから時刻2.2msにかけて最大の0.2Aよりも減少することがある。最大となる相電圧の絶対値よりも最小となる相電圧の絶対値の方が大きくなる区間で電流振幅の最大値は0.2Aよりも減少しているが、このような区間は相電圧の1/6周期毎に存在する。換言すると、相電圧の1周期に対して1/6倍以上の期間、前記時刻t10,t11,t12における動作を繰り返し実施すれば、電流振幅は相電圧の位相に係わらず、空転速度によって一意に定まる電流振幅を得ることができる。この方法によって得られた電流振幅は空転速度に比例し、その値は、前記実施の形態5における電流振幅記憶手段4bが出力する値と同じになる。
本実施の形態6における同期機の制御装置では、図15に示す流れ図に基づいて動作を行う。図15は同期機1が空転している状態(S201)から説明を始めている。起動時刻から起動開始する(S202)。現在の時刻tに100μsec加算した値を変数txとして記憶する(S203)。本実施の形態では変数txは時刻tに100μsecを加算した値としたが、この100μsecという値は同期機1の電気的定数や定格速度、あるいは電力変換手段2eの定格容量などを勘案した値であっても良い。以下、図15に記載している100μsecや200μsecという値についても同様である。遮断信号発生手段5eは遮断信号xuをオフするとともに、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力を選択する。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのU相が遮断解除となり、直流電源負極側U相半導体スイッチング素子が短絡となる(S204)。これによりコンデンサ98が充電され、U相チャージポンプ充電動作が行われる(S205)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S206)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S207でNo)、S204からS206までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S207でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xuをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S208)。現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持する(S209)。
現在の時刻が前記変数txに100μsec加算した値よりも大きくなったら、変数txを現在の時刻tに100μsec加算した値を更新する(S210)。遮断信号発生手段5eは遮断信号xvをオフする。このとき、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力選択を維持している。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのV相が遮断解除となり、直流電源負極側V相半導体スイッチング素子が短絡となる(S211)。これによりコンデンサ99が充電され、V相チャージポンプ充電動作が行われる(S212)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S212)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S214でNo)、S211からS213までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S214でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xvをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S215)。現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持する(S216)。
現在の時刻が前記変数txに100μsec加算した値よりも大きくなったら、変数txを現在の時刻tに100μsec加算した値を更新する(S217)。遮断信号発生手段5eは遮断信号xwをオフする。このとき、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力選択を維持している。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子97だけがオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのW相が遮断解除となり、直流電源負極側W相半導体スイッチング素子が短絡となる(S218)。これによりコンデンサ100が充電され、W相チャージポンプ充電動作が行われる(S219)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S220)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S221でNo)、S218からS220までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S221でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xwをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子97はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S222)。現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持する(S223)。
現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなった時点で、時刻tが第1の時刻t1よりも小さい場合は、前記S203からのステップを繰り返す(S224)。また、S224の時点で、時刻tが第1の時刻t1よりも大きい場合は図8のS109以降と同じ処理を施す。
この一連の動作に示すように、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」はU相、V相、W相の1相ずつ行うようにしたので、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」のための短絡と「同期機がフリーラン状態であって、所定の速度より大きいか否かの判断」のための短絡を別々に行うよりも起動処理時間を短縮できる上に「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」に起因する大きな電流の発生を1/3倍に抑制することができる効果がある。その結果、直流電源91の正極側と各相チャージポンプ回路を結ぶ配線の損失を抑制できる効果がある。また、前記直流電源91は前記コンデンサ98、99、100の3つを同時に充電するだけの電源容量は不要であり、前記コンデンサ98、99、100のいずれか一つを充電できる電源容量で済むという効果がある。或いは、前記直流電源91の電流容量が大きくならないように突入電流防止のために挿入した抵抗を省略、若しくは低抵抗化することが可能となり、抵抗設置のためのコストやスペース、抵抗の損失を抑制できる効果がある。
実施の形態7.
前記実施の形態6においては、起動時刻から第1の時刻までの間、前記直流電源90の負極側に接続された3つの半導体スイッチング素子のうち1つだけがオンするような電圧指令を少なくとも3回出力するようにして、各相チャージポンプ回路にそれぞれ接続されたコンデンサ98、99、100を1つずつ、別々に充電するようにしていたが、起動時刻から第1の時刻までの間、前記直流電源90の負極側に接続された3つの半導体スイッチング素子のうち2つだけがオンするような電圧指令を少なくとも3回出力するようにして、各相チャージポンプ回路にそれぞれ接続されたコンデンサ98、99、100を2つずつ、別々に充電するようにしても良い。
図16は、本実施の形態7におけるタイマー20から得た時刻が起動時刻から第1の時刻t1の期間における遮断信号選択器21eが出力する遮断信号xu, xv, xwと、同期機1の三相電流iu, iv, iwの関係を示す図である。この図を用いて遮断信号選択器21eの動作について詳述する。図16において、時刻t20〜t22はそれぞれ起動時刻から第1の時刻t1の期間の時刻であり、起動時刻から第1の時刻t1の期間、前記短絡ベクトル発生器37は電力変換手段の各相が選択するために、「三相ともLow」の組合せで三相電圧指令vu0*,vv0*,vw0*を出力している。時刻t20から100μsの期間、遮断信号xuとxvをオフ、 xwをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93と95がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。同期機1が停止している場合は、半導体スイッチング素子93と95をオンしても三相電流iu,iv,iwは発生しない。また、同期機1が空転状態であれば三相電流iu,iv,iwのうち、少なくとも2つが発生する。図16は、同期機1が空転状態の場合であるが、半導体スイッチング素子93と95をオンした結果、三相電流のうちiu,ivが発生した例を示している。時刻t20から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。このとき、電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅は図16の下段のようになる。
続いて、時刻t21から100μsの期間、遮断信号xvと xwをオフ、xuをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95と97がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。時刻t20の時と同様に、半導体スイッチング素子95と97をオンした場合、同期機1が空転状態であれば三相電流iu,iv,iwのうち、少なくとも2つが発生する。この例では、半導体スイッチング素子95と97だけをオンしたにも拘わらず、iu,iv,iwの三相それぞれに電流が発生している。このとき、電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅は図16の下段のようになり、半導体スイッチング素子93と95をオンしたときよりも電流振幅は大きいので、電流振幅記憶手段4bが記憶する最大電流振幅の値は更新される。時刻t21から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。
続いて、時刻t22から100μsの期間、遮断信号xuと xwをオフ、xvをオンすると電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93と97がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフする。時刻t20の時と同様に、半導体スイッチング素子93と97をオンした場合、同期機1が空転状態であれば三相電流iu,iv,iwのうち、少なくとも2つが発生する。この例では、同期機1が空転状態の場合であるが、半導体スイッチング素子93と97をオンした結果、iu,iv,iwの三相それぞれに電流が発生している。このとき、電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅は図16の下段のようになり、半導体スイッチング素子95と97をオンしたときと電流振幅は同じである。時刻t22から100μsが経過すると、遮断信号選択器21eは遮断信号xu, xv, xwのすべてをオンする。
図17は前記時刻t20,t21,t22における一連の動作を繰り返し実施した時の同期機1の相電圧と電流振幅記憶手段4b内部のゲイン演算器63が出力する電流振幅の関係を示す図である。図17では、同期機1はある速度で空転している場合の様子であるが、空転速度が異なると、図17の波形の周期や大きさは異なるものの、相似形となる。図17を見て分かるように、ゲイン演算器63が出力するパルス状の電流振幅は3回のうち少なくとも一回は所定の値になることが判る。換言すると、前記時刻t20,t21,t22における一連の動作を一度行えば、3つあるパルス状の電流振幅の最大電流振幅値は所定の値になる。
前記実施の形態6の場合、前記時刻t10,t11,t12における一連の動作を繰り返し行って最大電流振幅値を得ることによって所定の値を得ようとしていたが、本実施の形態7の場合、時刻t20,t21,t22における一連の動作を繰り返し行う必要はない。
本実施の形態7における同期機の制御装置では、図18に示す流れ図に基づいて動作を行う。図18は同期機1が空転している状態(S301)から説明を始めている。起動時刻から起動開始する(S302)。現在の時刻tに100μsec加算した値を変数txとして記憶する(S303)。本実施の形態では変数txは時刻tに100μsecを加算した値としたが、この100μsecという値は同期機1の電気的定数や定格速度、あるいは電力変換手段2eの定格容量などを勘案した値であっても良い。以下、図18に記載している100μsecや200μsecという値についても同様である。遮断信号発生手段5eは遮断信号xu, xvをオフするとともに、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力を選択する。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93、95がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのU相、V相が遮断解除となり、直流電源負極側U相半導体スイッチング素子とV相半導体スイッチング素子が短絡となる(S304)。これによりコンデンサ98、99が充電され、U相とV相でチャージポンプ充電動作が行われる(S305)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S306)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S307でNo)、S304からS306までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S307でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xu, xvをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93、95はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S308)。現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持する(S309)。
現在の時刻が前記変数txに100μsec加算した値よりも大きくなったら、変数txを現在の時刻tに100μsec加算した値を更新する(S310)。遮断信号発生手段5eは遮断信号xv, xwをオフする。このとき、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力選択を維持している。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95、97がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのV相とW相が遮断解除となり、直流電源負極側V相半導体スイッチング素子とW相半導体スイッチング素子が短絡となる(S311)。これによりコンデンサ99、100が充電され、V相とW相でチャージポンプ充電動作が行われる(S312)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S313)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S314でNo)、S311からS313までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S314でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xv, xwをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子95、97はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S315)。現在の時刻が前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持する(S316)。
現在の時刻が前記変数txに100μsec加算した値よりも大きくなったら、変数txを現在の時刻tに100μsec加算した値を更新する(S317)。遮断信号発生手段5eは遮断信号xu, xwをオフする。このとき、スイッチ38はタイマー31から得た時刻に基づいて短絡ベクトル発生器37の出力選択を維持している。この動作によって、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93、97がオンし、それ以外の半導体スイッチング素子はオフの状態になる。その結果、電力変換手段2eのU相とW相が遮断解除となり、直流電源負極側U相半導体スイッチング素子とW相半導体スイッチング素子が短絡となる(S318)。これによりコンデンサ98、100が充電され、U相とW相のチャージポンプ充電動作が行われる(S319)。このとき、電流振幅記憶手段4bは電流検出手段3から得た検出電流から相電流実効値を演算し、電流振幅最大値を保持する(S320)。この段階で現在の時刻が前記変数txよりも小さければ(S321でNo)、S318からS320までの一連の動作を繰り返す。また、この段階で現在の時刻tが前記変数txよりも大きければ(S321でYes)、遮断信号発生手段5eは遮断信号xu, xwをオンすることにより、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子93、97はオフとなり、電力変換手段2eの半導体スイッチング素子92〜97はいずれもオフの状態になる(S322)。そして現在の時刻tが、前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなるまでこの状態を維持し、現在の時刻tが前記変数txに200μsec加算した値よりも大きくなった時点で(S323)、図8のS109以降と同じ処理を施する。なお、本実施の形態では、ステップS323における時刻に対して200μsec加算した時刻が、第1の時刻に相当する。
この一連の動作に示すように、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」と「同期機が空転状態であって、所定の速度より大きいか否かの判断」を起動時刻から前記第1の時刻までの短絡動作によって同時に行うことに加え、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」はU相、V相、W相のうち2相ずつ行うようにしたので、「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」のための短絡と「同期機がフリーラン状態であって、所定の速度より大きいか否かの判断」のための短絡を別々に行うよりも起動処理時間を短縮できる上に「チャージポンプ回路のコンデンサ充電」に起因する大きな電流の発生を2/3倍に抑制することができる効果がある。その結果、直流電源91の正極側と各相チャージポンプ回路を結ぶ配線の損失を抑制できる効果がある。また、前記直流電源91は前記コンデンサ98、99、100の3つを同時に充電するだけの電源容量は不要であり、前記コンデンサ98、99、100のうち2つを充電できる電源容量で済むという効果がある。或いは、前記直流電源91の電流容量が大きくならないように突入電流防止のために挿入した抵抗を省略、若しくは低抵抗化することが可能となり、抵抗設置のためのコストやスペース、抵抗の損失を抑制できる効果がある。
本発明の実施の形態1における同期機の制御装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における電流制御器33の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における位相演算器34の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における一連の動作波形を示す一例である。 本発明の実施の形態2における同期機の制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における位相演算器34aの内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における電流振幅記憶手段4bの内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4における同期機の制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態5における電力変換手段2dの内部構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態5における電力変換手段を実施の形態4に適用したときの同期機の制御装置の流れ図である。 本発明の実施の形態6における同期機の制御装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態6における電力変換手段の内部構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態6における起動時刻から第1の時刻の期間における遮断信号選択器が出力する遮断信号と、同期機の三相電流の関係を示す図である。 本発明の実施の形態6における第1の時刻における動作を繰り返し実施した時の同期機の相電圧と電流振幅記憶手段内部のゲイン演算器が出力する電流振幅との関係を示す図である。 本発明の実施の形態6における同期機の制御装置の流れ図である。 本発明の実施の形態7における起動時刻から第1の時刻の期間における遮断信号選択器が出力する遮断信号と、同期機の三相電流の関係を示す図である。 本発明の実施の形態7における第1の時刻における動作を繰り返し実施した時の同期機の相電圧と電流振幅記憶手段内部のゲイン演算器が出力する電流振幅との関係を示す図である。 本発明の実施の形態7における同期機の制御装置の流れ図である。
符号の説明
1 同期機、2、2d、2e 電力変換手段、3 電流検出手段、4、4b 電流振幅記憶手段、5、5e 遮断信号発生手段、6、6c 電圧指令演算手段、10 減算器、11 絶対値演算器、12 最大値演算器、13 スイッチ、14 タイマー、15 遅延回路、20 タイマー、21、21e 遮断信号選択器、30 座標変換器、31 タイマー、32 電流指令発生器、33 電流制御器、34、34a、34b 位相演算器、35 座標変換器、36 PWM変調器、37 短絡ベクトル発生器、38 スイッチ、40 一次遅れ演算器、41 除算器、42 信号発生器、43 減算器、44 ゲイン演算器、45 積分器、46 スイッチ、47 積分器、50 ゲイン演算器、51 ゲイン演算器、52 減算器、53 減算器、60 二乗値演算器、61 加算器、62 1/2乗演算器、63 ゲイン演算器、70 速度指令発生器、71 センサレス制御器、72 スイッチ、80 減算器、81 減算器、82 スイッチ、83 増幅器、90、91 直流電源、92〜97 半導体スイッチング素子、98〜100 コンデンサ、101〜103 ダイオード、104〜106、104e〜106e NOR回路、107〜109、107e〜109e AND回路。

Claims (12)

  1. 同期機の電流を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段から得た前記同期機の電流の振幅が最大となる値を電流振幅最大値として記憶する電流振幅記憶手段と、
    前記同期機に印加すべき電圧指令を出力する電圧指令演算手段と、
    前記同期機への電圧印加を遮断させるための遮断信号を出力する遮断信号発生手段と、
    前記遮断信号がオンの場合には前記同期機への電圧印加を遮断し、前記遮断信号がオフの場合には前記電圧指令に基づいて前記同期機に電圧を印加する電力変換手段と、を備え、
    前記遮断信号発生手段は、起動時刻から第1の時刻までの間、遮断信号をオフし、
    前記第1の時刻から第2の時刻までの間、遮断信号をオンするとともに、前記電流振幅記憶手段から得た電流振幅最大値を予め設定した基準値と比較し、前記電流振幅最大値が前記基準値よりも小さい場合に、前記第2の時刻から第3の時刻までの間、遮断信号をオフし、
    前記電圧指令演算手段は、前記起動時刻から第1の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号オフに基づき、少なくとも1回、前記同期機の少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力して前記電力変換手段を制御し、前記電流振幅記憶手段に前記電流振幅最大値を記憶させ、
    前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号がオフの場合に、前記電流検出手段から得た前記同期機の電流が零になるような電圧指令を出力して前記同期機を起動するように前記電力変換手段を制御することを特徴とする同期機の制御装置。
  2. 前記電圧指令演算手段は、前記起動時刻から第1の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号オフに基づき、前記同期機の1相が短絡するような電圧指令を各相毎に少なくとも1回出力して前記電力変換手段を制御し、前記電流振幅記憶手段は、各相毎の短絡における振幅のなかで最大となる電流振幅を前記電流振幅最大値として記憶することを特徴とする請求項記載の同期機の制御装置。
  3. 前記電圧指令演算手段は、前記起動時刻から第1の時刻までの間、前記遮断信号発生手段からの遮断信号オフに基づき、前記同期機の2相が短絡するような電圧指令を各線間毎に少なくとも1回出力して前記電力変換手段を制御し、前記電流振幅記憶手段は、各線間毎の短絡における振幅のなかで最大となる電流振幅を前記電流振幅最大値として記憶することを特徴とする請求項記載の同期機の制御装置。
  4. 前記電圧指令演算手段は、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、出力する電流が零になるような電圧指令に基づいて、前記同期機の位相を演算することを特徴とする請求項のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  5. 前記電圧指令演算手段は、
    少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力する短絡ベクトル発生器と、
    前記起動時刻から前記第1の時刻までの間、前記短絡ベクトル発生器の出力を選択して前記電力変換手段へ出力する切替スイッチと、
    前記電流検出手段の検出結果を前記同期機の電機子の回転に同期して回転するd−q軸座標上に変換してd軸電流およびq軸電流を出力する第1の座標変換器と、
    前記起動時刻から前記第3の時刻までの間、前記d−q軸座標系上のd軸電流指令およびq軸電流指令として零電流を出力する電流指令発生器と、
    この電流指令発生器からの出力に一致するように前記第1の座標変換器からの出力を制御するような前記d−q軸座標上のd軸電圧指令およびq軸電圧指令を出力する電流制御器と、
    この電流制御器からの出力に基づいて前記同期機の磁束位相と前記d−q軸座標上のd軸が一致する回転位相を算出する位相演算器と、
    この位相演算器の出力と前記電流制御器の出力とに基づいて、3相の電圧指令を出力する第2の座標変換器と、
    この第2の座標変換器の出力に基づいてPWM変調を行うPWM変調器と、を備え、
    前記切替スイッチは、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記PWM変調器の出力を選択して前記電力変換手段へ出力することを特徴とする請求項のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  6. 前記位相演算器は、
    前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記電流制御器から出力されたd軸電圧指令を一次遅れ演算してd軸磁束を出力する一次遅れ演算器と、
    前記電流制御器から出力されたq軸電圧指令を前記一次遅れ演算器の出力で除算して角周波数を出力する除算器と、
    前記除算器から出力される角周波数を
    積分して位相を出力する積分器と、
    を備えたことを特徴とする請求項記載の同期機の制御装置。
  7. 前記第1の座標変換器から出力されたd軸電流に前記電機子の抵抗値を乗算する第1の乗算回路と、
    前記第1の座標変換器から出力されたq軸電流に前記電機子の抵抗値を乗算する第2の乗算回路と、
    前記電流制御器から出力されたd軸電圧指令と前記第1の乗算回路の乗算結果との偏差を出力する第1の減算手段と、
    前記電流制御器から出力されたq軸電圧指令と前記第2の乗算回路の乗算結果との偏差を出力する第2の減算手段と、を備え、
    前記一次遅れ演算器は、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記電流制御器から出力されたd軸電圧指令を一次遅れ演算してd軸磁束を出力する代わりに、
    前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記第1の減算手段の出力を一次遅れ演算してd軸磁束を出力し、
    前記除算器は、前記一次遅れ演算器の出力で前記電流制御器から出力されたd軸電圧指令を除算して角周波数を出力する代わりに、
    前記一次遅れ演算器の出力で前記第2の減算器の出力を除算して角周波数を出力することを特徴とする請求項記載の同期機の制御装置。
  8. 時刻に応じて回転速度指令を発生する速度指令発生器と、
    この速度指令発生器の出力と、前記電流検出手段の出力とに基づいて前記同期機の回転速度が前記速度指令発生器の出力する回転速度指令に一致するような三相電圧指令を出力するセンサレス制御器と、
    前記第2の時刻から第4の時刻までの間、前記第2の座標変換器の出力を選択し、前記第4の時刻以降の所定期間において、前記センサレス制御器の出力を選択する位相・速度切替器と、を備え、
    前記切替スイッチは、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記PWM変調器の出力を選択して前記電力変換手段へ出力する代わりに、
    前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記位相・速度切替器の出力を選択して前記電力変換手段へ出力することを特徴とする請求項のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  9. 前記遮断信号発生手段は、前記電流振幅記憶手段から得た電流振幅最大値が前記所定値より大きい場合には前記第2の時刻以降も所定期間遮断信号をオンすることを特徴とする請求項のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  10. 前記電流振幅記憶手段の代わりに、起動時刻から前記第1の時刻までの間、前記電流検出手段から得た電流値に基づいて相電流実効値を算出し、この相電流実効値が最大となる値を電流振幅最大値として記憶する電流振幅記憶手段を備えたことを特徴とする請求項のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  11. 前記電力変換手段は、
    半導体スイッチング素子を直流電源に対してブリッジ状に接続し、前記半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路と、
    前記直流電源の負極側に接続された半導体スイッチング素子がオンの間に、前記直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子の駆動回路の電源となるコンデンサを充電するチャージポンプ回路とを備え、
    前記電圧指令演算手段は、前記起動時刻から前記第1の時刻までの間、少なくとも1回、前記電力変換手段の直流電源の負極側に接続された半導体スイッチング素子の少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力することを特徴とする請求項10のいずれかに記載の同期機の制御装置。
  12. 起動時刻から第1の時刻までの間、遮断信号発生手段により遮断信号をオフする第1のステップと、
    この第1のステップでの遮断信号オフに基づき、前記起動時刻から前記第1の時刻までの間、電圧指令演算手段によって、少なくとも1回、同期機の少なくとも1相が短絡するような電圧指令を出力して電力変換手段を制御する第2のステップと、
    前記起動時刻から第1の時刻までの間、電流検出手段によって前記同期機の電流を検出し、電流振幅記憶手段によって前記検出された電流の振幅が最大となる値を電流振幅最大値として保存する第3のステップと、
    前記第1の時刻から第2の時刻までの間、遮断信号発生手段によって、遮断信号をオンするとともに、前記第3のステップで保存された電流振幅最大値を予め設定した基準値と比較し、前記電流振幅最大値が前記基準値より小さい場合に、前記第2の時刻から第3の時刻までの間、遮断信号をオフする第4のステップと、
    この第4のステップで遮断信号がオフされた場合に、前記第2の時刻から前記第3の時刻までの間、前記電流検出手段によって前記同期機の電流を検出し、電圧指令演算手段によって前記電流が零になるような電圧指令を出力して前記同期機を起動するように前記電力変換手段を制御するステップと、を備えたことを特徴とする同期機の制御方法。
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