JP4998871B2 - 電着ポリイミド薄膜及びその成膜方法 - Google Patents

電着ポリイミド薄膜及びその成膜方法 Download PDF

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本発明は、Cu等の金属上に成膜される密着性に優れた電着ポリイミド薄膜及びその成膜方法に関する。
電着塗装法(電着法)は、電圧の印加により電荷をもった材料化合物を溶液中で泳動させると共に、電極(被着物)での水の電気分解により材料化合物を析出させて、被着物上に材料化合物を凝集させて膜を形成するものであり、従来、電着液(電着用組成物)に用いられる樹脂材料として知られているポリイミド樹脂は、耐熱性、電気絶縁性、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、更に機械的特性も優れているため、宇宙、航空材料から電気・電子部品に至るまで、広く利用されている。
この電着法は、例えば、導電部と非導電部とが混在する複雑な形状の基板に対して、Cuなどの導電部の露出部分のみに膜を形成できることから、導電体金属等の被覆に好適であり、特に、ポリイミド樹脂は各種導電体上にピンホールのない均一な膜を形成できることから、導電体の絶縁膜として有用である。
なお、本発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものが挙げられる。
特開昭49−52252号公報 特開昭52−32943号公報 特開昭63−111199号公報 特開平9−104839号公報 特開2002−299836号公報 特開2003−327905号公報 特開2003−327907号公報 特開2004−266199号公報 特開2005−336559号公報 特開2000−8196号公報 特開2000−68627号公報 特開平8−120496号公報 特開2002−167694号公報 特開平11−269696号公報 上村貴之、他4名,「電着塗装法によるポリイミド膜の形成」,エレクトロニクス実装学会誌,2002年,第5巻,第3号,p.233−240
しかしながら、導電体金属上に絶縁膜として電着法にて成膜したポリイミド薄膜について検討したところ、導電性材料として最も有用なCuを被着物として用いた場合、成膜したポリイミド薄膜と被着物との密着性が十分でない場合があることが確認された。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、Cu等の導電体金属上に成膜される密着性に優れた電着ポリイミド薄膜及びその成膜方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、最も汎用の導電体であるCuに対して電着によりポリイミド薄膜を成膜する場合、導電性を低下させないため(例えば、集積回路における微細Cu配線パターンなどにおいては、配線の導電性能を劣化させないために、配線パターンのCu表面を清浄に保つ必要がある。)、絶縁膜としてのポリイミド薄膜との界面(被着面)の酸化等を避け、清浄な状態を保ってポリイミド薄膜を成膜する必要があるが、Cu表面の清浄性を保ってポリイミド薄膜を電着法により成膜した場合、密着性の低下が確認された。
そこで、更に検討したところ、電着において電極となる被着物としてのCuが、電着の通電時において電極反応によりイオンとなって電着液中に溶解し、この溶解したCuが成膜されるポリイミド薄膜に取り込まれ、その結果、ポリイミド薄膜の密着性を劣化させていることがわかった。
そして、電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解する金属(例えば、Cu)からなる基材上に、カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液であるポリイミド電着液から、電着にてポリイミド薄膜を成膜する場合、電着ポリイミド薄膜を、電着の通電時において上記ポリイミド電着液中にイオン化して溶解することのない金属層(例えば、Au)又は金属化合物層を介して成膜すれば、基材表面の清浄性を保ちつつ、上記基材を構成する金属を電着液へ溶解させずに電着ポリイミド薄膜の密着性の低下を避けることができることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記電着ポリイミド薄膜及び電着ポリイミド薄膜の成膜方法を提供する。
[1]カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液であるポリイミド電着液から、電着にて成膜したポリイミド薄膜であって、
電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解する金属からなる基材を陽極として、該基材上に、電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解することのない、厚さが20〜100nmの金属層又は金属化合物層を介して成膜してなることを特徴とする電着ポリイミド薄膜。
[2]上記基材がCuであることを特徴とする[1]記載の電着ポリイミド薄膜。
[3]上記Cu基材の金属層又は金属化合物層が積層された最表面部が実質的に酸化されていないことを特徴とする[2]記載の電着ポリイミド薄膜。
[4]上記金属層がAuであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の電着ポリイミド薄膜。
]カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液であるポリイミド電着液から、電着にて、電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解する金属からなる基材を陽極として、該基材上にポリイミド薄膜を成膜する方法であって、
電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解することのない、厚さが20〜100nmの金属層又は金属化合物層を形成し、該金属層又は金属化合物層を介してポリイミド薄膜を成膜することを特徴とする電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
]上記基材がCuであることを特徴とする[]記載の電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
]上記金属層がAuであることを特徴とする[]又は[]記載の電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
本発明によれば、Cu等の導電体金属上に成膜された密着性に優れた電着ポリイミド薄膜を提供することができる。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のポリイミド薄膜は、電着ポリイミド薄膜、即ち、電着塗装法として知られている電着法により成膜したポリイミド薄膜であり、カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液を電着液(電着用組成物)として、この電着液に浸漬した被着物上に電着により成膜される。
本発明においては、例えば図1に示されるように、ポリイミド薄膜1は、電着の通電時において電極反応によりイオン化してポリイミド電着液中に溶解する金属からなる基材3上に、基材3上に形成した電着の通電時において電極反応によりイオン化してポリイミド電着液中に溶解することのない金属層又は金属化合物層2を介して成膜されている。
本発明では、電着において電極となる基材が、電着の通電時において電極反応によりイオン化してポリイミド電着液中に溶解する金属である場合であっても、基材上に形成した金属層又は金属化合物層によって、基材を構成する金属のポリイミド電着液に溶解せず、基材を構成する溶解性金属がポリイミド薄膜に取り込まれることがほとんどない。そのため、本発明のポリイミド薄膜は、密着性が劣化しておらず、このような溶解性金属で構成された基材上に成膜するポリイミド薄膜として、特に、電気・電子材料の絶縁膜として優れたポリイミド薄膜である。
本発明のポリイミド薄膜は、カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液を電着液(電着用組成物)として成膜されるが、このような電着液としては、電着によるポリイミド薄膜の成膜に用いられる公知の電着液を用いることができる。
ポリイミド電着液としては、例えば、特開昭49−52252号公報(特許文献1)、特開昭52−32943号公報(特許文献2)、特開昭63−111199号公報(特許文献3)等に記載されているポリイミド前駆体を用いるもの、例えば、ポリアミック酸を、水、又は水と極性有機溶媒等の有機溶媒とに溶解させた溶液を電着液として用いるものが挙げられる。
また、アニオン性ポリイミド、例えば、特開平9−104839号公報(特許文献4)等に記載されているランダム共重合アニオン性ポリイミドを用いるもの、特開2003−327905号公報(特許文献6)、特開2003−327907号公報(特許文献7)等に記載されているブロック共重合ポリイミドを用いる電着液を挙げることもできるが、得られる電着ポリイミド膜の密着性が良好となる観点から、ブロック共重合アニオン性ポリイミドを用いるものが特に好ましい。
この電着液としては、ジアミンと酸二無水物との反応生成物からなるランダム共重合アニオン性ポリイミド又はブロック共重合アニオン性ポリイミドを含むものが挙げられる。
上記ジアミンとしては、芳香族ジアミンを含むことが好ましく、芳香族ジアミンとしては、o−,m−,p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、ジアミノジュレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、ベンジジン、4,4’−ジアミノターフェニル、4,4’−ジアミノクォーターフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノトルエン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。また、2,6−ジアミノピリジンなどの芳香族ジアミン以外のジアミンを含んでいてもよい。2,6−ジアミノピリジンを含むポリイミドは、分子内に酸基と塩基とを持ち、ポリマー相互作用によって、良好なポリイミド薄膜を成膜する。更には、水に対する親和性を増し、水溶性電着液として安定となり、得られた電着膜が平滑で緻密になる利点がある。
また、酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、4,4’−{2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン}ビス(1,2−ベンゼンジカルボン酸無水物)、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
ランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドは、これらのジアミンと酸二無水物とをほぼ等量用いて、加熱、脱水することにより得られる。ブロック共重合アニオン性ポリイミドの場合は、逐次添加反応によって製造され、第一段階で、酸二無水物とジアミンからポリイミドオリゴマーとし、第二段階で、更に酸二無水物及び/又はジアミンを添加して、重縮合してブロック共重合アニオン性ポリイミドとする。本発明において、ランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドの分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値)は50,000〜100,000、特に60,000〜80,000が好適である。
このランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドは、通常、塩基性化合物で中和したものとして電着液に用いられる。この塩基性化合物としては、N−ジメチルエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリンが用いられるが、N−ジメチルエタノールやN−メチルモルホリンが好適である。中和剤(塩基性化合物)の使用量はポリイミドが溶液中で溶解または安定に分散する程度であって、通常は化学量論中和量の30モル%以上、特に30〜200モル%であることが好ましい。また、電着液中の中和されたポリイミドの固形分濃度は5〜15質量%であることが好ましい。
一方、電着液の溶媒としては、水と有機溶媒とが用いられ、有機溶媒としては、このランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドを溶解する水溶性極性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、テトラヒドロチオフェン−1,1−オキシド等が用いられる。好ましくは毒性の少ないN−メチルピロリドン、テトラヒドロチオフェン−1,1−オキシドが好ましい。これら水溶性極性有機溶媒は、上述したブロック共重合アニオン性ポリイミドを製造する際の反応溶媒として用いたものでもよい。
また、電着液に含まれる有機溶媒としては、ランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドを溶解する油溶性溶媒を用いてもよい。油溶性溶媒は、電着後の被着物に析出したポリイミド樹脂のフロー性を高め、塗膜の平滑性を向上させる点で効果がある。またその結果として、電着液の貯蔵安定性を高めることができる。ここで油溶性溶媒とは、実質的に水に不溶性か又は難溶性の有機溶媒を意味する。ランダム共重合アニオン性ポリイミド及びブロック共重合アニオン性ポリイミドを溶解する油溶性溶媒としては、1−アセトナフトン、アセトフェノン、ベンジルアセトン、メチルアセトフェノン、ジメチルアセトフェノン、プロピオフェノン、バレロフェノン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸ベンジルなどが挙げられる。
更に、電着液に含まれる有機溶媒としては、フェニル基、フルフリル基又はナフチル基を有するアルコール等のポリイミドに対する貧溶媒を併用することが好ましく、このようなものとしては、例えばベンジルアルコール、置換ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどを挙げることができる。
電着液中の溶媒の濃度は85〜95質量%であるが、有機溶媒の濃度は15〜85質量%、特に20〜70質量%であり、溶媒として水を併用する場合、これと上述した中和されたポリイミドの固形分濃度との残部が水の濃度となる。なお、上記油溶性溶媒を用いる場合、電着液中の油溶性溶媒の濃度は10〜30質量%であることが好ましく、また、上記ポリイミドに対する貧溶媒を用いる場合、電着液中の貧溶媒の濃度は5〜15質量%であることが好ましい。電着液のpHは、ほぼ中性乃至弱塩基性(例えばpH=7〜9、好ましくは7.5〜8)であることが好ましい。
上述した電着液としては、株式会社ピーアイ技術研究所製の可溶型ブロック共重合ポリイミド電着液Q−EDシリーズ(例えば、Q−ED−21−129等)などの市販品を用いることができる。
電着条件は、従来公知の条件をそのまま採用することができる。例えば、ランダム共重合アニオン性ポリイミド又はブロック共重合アニオン性ポリイミドを用いる場合、導電性被着物を温度15〜35℃にて電着液に浸漬し、陰極としてCu、Pt等の電極を用い、電圧20〜400V、好ましくは50〜200Vで、通電時間30秒〜10分間、好ましくは1〜5分間通電することにより導電性被着物の表面に溶媒を含むポリイミド薄膜が成膜される。
更に、洗浄、風乾後、120〜220℃で30分〜1時間加熱して溶媒を揮発させることにより乾燥され、固化したポリイミド薄膜が得られる。なお、電着された薄膜は、既にポリイミドであるため、加熱は溶媒を飛散させるに足る温度で十分であり、溶媒の種類にもよるが、赤外線加熱で80〜150℃程度の温度で、30分〜1時間でよいこともある。また、溶媒を揮発させ乾燥させる方法としては、基板を減圧雰囲気に置いてもよい。このときの圧力は1/2気圧以下、処理時間としては30分以上が望ましい。更に、加熱処理と減圧雰囲気に置くことを組み合わせても別途に実施してもよい。電着ポリイミド薄膜の膜厚は、特に限定されないが、通常1〜100μmである。
本発明においては、ポリイミド薄膜が成膜される基材は、電着時には陽極となるが、この基材としては、電着の通電時において電極反応によりイオン化してポリイミド電着液中に溶解する金属で構成され、この金属としては、例えば、Cuが挙げられる。
また、上記基材上に形成される電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解することのない金属層としては、導電性金属が好ましく、特にAuが好ましく挙げられる。金属層及び金属化合物層は、例えば、電解めっき、無電解めっきの他、スパッタリング等のドライメッキなどにより形成することが可能であり、その厚さは5μm以下、好ましくは1μm以下、更に好ましくは20〜100nmとすることができる。なお、上記基材上の金属層又は金属化合物層はポリイミド薄膜を成膜する所望の部分に形成されていればよいが、基材のポリイミド薄膜を成膜する部分以外の部分であって電着液に浸漬される部分は、基材が露出せず、電気的に絶縁された状態とすることが必要である。
本発明は、このCu基材の金属層又は金属化合物層が積層された最表面部が実質的に酸化されていないものに対して効果的であり、例えば、集積回路における微細Cu配線パターンのような、配線の導電性能を劣化させないように、Cu表面を清浄に保つ必要があるCu配線等の基材に対して特に有効である。なお、Cu表面を清浄に保つためには、電解脱脂、酸洗浄処理、溶剤洗浄、水洗浄等の従来公知の表面清浄化処理を施せばよく、また、Cu表面の酸化を防ぐため、例えば、乾燥後直ちに金属層又は金属化合物層を形成する等の方法を適用すればよい。
なお、本発明は、例えば、フレキシブルプリント基板の銅板や銅箔等の銅層上の絶縁膜として用いられるポリイミド薄膜及びその成膜方法として好適である。特に、フレキシブルプリント基板においては、小型化、軽量化のために、また、圧延銅箔の屈曲性を維持するために、ポリイミド薄膜の薄膜化の要望があるが、本発明によれば、銅箔上に例えば1〜20μm、特に5〜10μmという従来の25〜75μmに比べて格段に薄膜化されたポリイミド薄膜を、密着性を低下させることなく得ることができる。
また、上述したランダム共重合アニオン性ポリイミド又はブロック共重合アニオン性ポリイミドを用いた電着液を用いた場合、イミド化を目的とした電着後の高温熱処理が不要であるので、熱処理による銅の再結晶化が抑制され、高い耐折特性を維持することができる。更に、本発明は、凹凸のある基板上のCu配線パターン、Cuマイクロ構造体など上に成膜されるポリイミド薄膜及びその成膜方法としても好適である。
以下、実施例、比較例及び実験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
3inchφ、厚さ380μmのシリコンウェハ上に、真空蒸着法により厚さ10nmのTi層と厚さ100nmのAu層を順に形成し、更にその上に、以下の前処理1(電解脱脂、酸洗浄1、酸洗浄2)を施した後、Cuをめっき法により厚さ1μmに成膜し、その後、13mm×13mmに切り出した。
前処理1
電解脱脂:界面活性剤を含む3%NaOH水溶液に浸漬し、電流密度10A/dm2で60秒処理。
酸洗浄1:10%リン酸水溶液中で揺動させながら60秒間浸漬。
酸洗浄2:10%硫酸水溶液中で揺動させながら20秒間浸漬。
次に、Cu/Au/Ti/Si基板を水洗し、スパッタ法によりAu層(厚さ100nm)を形成した。
次に、Au層を形成したCu/Au/Ti/Si基板に電解脱脂を除く前処理1(酸洗浄1、酸洗浄2)を施し、引き続き以下の前処理2(プレディップ1及びプレディップ2)を施した。
前処理2
プレディップ1:市販の電着液用希釈液(株式会社ピーアイ技術研究所製)中で揺動させながら15秒間浸漬。
プレディップ2:市販の電着液(株式会社ピーアイ技術研究所製 Q−ED−21−129)中で揺動させながら15秒間浸漬。
次に、上記前処理2を施したAu層を形成したCu/Au/Ti/Si基板を市販の電着液(株式会社ピーアイ技術研究所製 Q−ED−21−129)に室温で浸漬し、対極をPt線とし、印加電圧60V、通電時間5分として、Cu/Au/Ti/Si基板上にAu層を介してポリイミド薄膜を電着し、電着後、ポリイミド薄膜を成膜したCu/Au/Ti/Si基板を、市販の電着液用希釈液(株式会社ピーアイ技術研究所製)中で揺動させながら15秒間浸漬し、その後、90℃で30分間、大気中で加熱乾燥して、Cu/Au/Ti/Si基板上にAu層を介してポリイミド薄膜(厚さ50μm)を成膜した。
更に溶媒を揮発させるために、1/4気圧にて12時間乾燥させた。
得られたポリイミド薄膜の密着性を下記剥離試験により評価した。また、ポリイミド薄膜中のCuの混入を下記の方法で評価した。
剥離試験:カッターナイフを用いて1mm間隔のスリットを入れた後、ピンセットを用いてひっかいたときに、剥離がなかったものを良好、剥離があったものを不良とした。
ポリイミド薄膜中のCuの混入:目視にてCu錯体が有する緑色の着色が認められるか否かを判定した。
その結果、剥離試験は良好であった。また、ポリイミド薄膜にはCuイオンの混入を示す緑色は認められなかった。
[比較例1]
前処理1後の水洗と、前処理1後のAu層の形成を実施しなかった以外は実施例1と同様の方法でポリイミド薄膜をCu/Au/Ti/Si基板上に直接成膜した。得られたポリイミド薄膜の密着性及びポリイミド薄膜中のCuの混入を実施例1と同様にして評価した。
その結果、剥離試験は不良であった。また、ポリイミド薄膜にはCuイオンの混入を示す緑色が認められた。
本発明の電着ポリイミド薄膜を示す図であり、基材上に金属層又は金属化合物層を介して電着ポリイミド薄膜が成膜された状態を示す断面図である。
符号の説明
1 電着ポリイミド薄膜
2 金属層又は金属化合物層
3 基材

Claims (7)

  1. カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液であるポリイミド電着液から、電着にて成膜したポリイミド薄膜であって、
    電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解する金属からなる基材を陽極として、該基材上に、電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解することのない、厚さが20〜100nmの金属層又は金属化合物層を介して成膜してなることを特徴とする電着ポリイミド薄膜。
  2. 上記基材がCuであることを特徴とする請求項1記載の電着ポリイミド薄膜。
  3. 上記Cu基材の金属層又は金属化合物層が積層された最表面部が実質的に酸化されていないことを特徴とする請求項2記載の電着ポリイミド薄膜。
  4. 上記金属層がAuであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電着ポリイミド薄膜。
  5. カルボキシル基を分子構造内に有するポリイミド前駆体及びアニオン性ポリイミドから選ばれるポリイミド化合物の水溶液又は水と有機溶媒との混合溶媒溶液であるポリイミド電着液から、電着にて、電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解する金属からなる基材を陽極として、該基材上にポリイミド薄膜を成膜する方法であって、
    電着の通電時において電極反応によりイオン化して上記ポリイミド電着液中に溶解することのない、厚さが20〜100nmの金属層又は金属化合物層を形成し、該金属層又は金属化合物層を介してポリイミド薄膜を成膜することを特徴とする電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
  6. 上記基材がCuであることを特徴とする請求項記載の電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
  7. 上記金属層がAuであることを特徴とする請求項又は記載の電着ポリイミド薄膜の成膜方法。
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