JP4997673B2 - 生分解性樹脂組成物及びそれを用いた包装容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性樹脂組成物及びそれから成る包装容器に関するもので、より詳細にはガスバリアー性を向上させるためのフィラーの分散性に優れ、優れたガスバリアー性と優れた外観特性とを有する包装容器を成形できる生分解性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック廃棄物の理想的解決法として、自然環境で消滅する分解性プラスチックが注目されており、中でもバクテリヤや真菌類が体外に放出する酵素の作用で崩壊する生分解性プラスチックが従来より使用されている。
【0003】
しかしながら、この生分解性プラスチックは、生分解性など環境との調和の点では優れているものの、例えば包装容器として用いる場合のガスバリアー性等の性能や成形性等の点で未だ充分満足し得るものではなかった。
このため、生分解性樹脂に種々の材料を配合することは古くから行われている。
【0004】
本発明者らの提案に係る特開平6−65484号公報(特許第2570551号公報)には、(A)ヒドロキシアルカノエート単位を主体とする飽和ポリエステル樹脂と、(B)ビニルアルコール系重合体と、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体とを均質な状態で含有する樹脂組成物が記載されている。
【0005】
特開平8−2517号公報には、生分解性樹脂を用いて形成した生分解性樹脂層と、生分解性樹脂に無機物を添加した添加生分解性樹脂層とからなることを特徴とする樹脂容器が記載されており、無機物としては、タルク、マイカ、酸化チタン等が、5〜50重量%の量で使用されることも記載されている。
【0006】
特開2000−6230号公報には、板状添加剤を添加した生分解性樹脂を射出ブロー成形して構成されたことを特徴とする生分解性樹脂容器が記載され、板状添加剤は3〜35重量%の配合量で使用され、マイカ系無機物が好適であることも記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案は、生分解性樹脂にポリビニルアルコールやマイカ系添加剤を配合することにより、生分解性樹脂の欠点であるガスバリアー性の向上、特に水分バリアー性の向上を目的としたものであるが、生分解性樹脂に対する添加剤の分散性が低く、そのため成形性が低く、成形体の機械的強度やガスバリアー性が未だ不十分であり、また容器の外観特性にも劣っているという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、生分解性樹脂への板状添加剤の分散性が顕著に向上すると共に、この樹脂組成物の成形時における板状添加剤の配向性も顕著に向上した生分解性樹脂組成物を提供するにある。
本発明の他の目的は、板状フィラーを含有するにもかかわらず、成形性に優れており、しかも成形体の機械的強度や耐衝撃性に顕著に優れており、更に水分に対するバリアー性を含めてガスバリアー性や外観特性が顕著に向上した包装容器及びこの包装容器を製造するための樹脂組成物を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、生分解性樹脂と樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーとを含有してなることを特徴とする生分解性樹脂組成物が提供される。本発明の生分解性樹脂組成物においては、
1.生分解性樹脂100重量部当たり板状フィラーが2乃至70重量部及び樹脂状乃至ワックス状分散剤が0.05乃至20重量部の量で含有されること、
2.生分解性樹脂がヒドロキシアルカノエート単位を含有する脂肪族ポリエステルであること、
3.板状フィラーが5以上のアスペクト比を有する無機フィラー或いは有機フィラーであること、
4.板状フィラーが二酸化チタン被覆フレーク顔料であること、
5.樹脂状乃至ワックス状分散剤が生分解性樹脂の融点よりも低い融点或いは軟化点を有するものであること、
6.ガスバリアー性樹脂を更に含有すること、
7.上記の場合、生分解性樹脂100重量部当たりガスバリアー性樹脂を2乃至49重量部の量で含有すること、が好ましい。
本発明によれば更に、上記生分解性樹脂組成物から形成されていることを特徴とする包装容器が提供される。本発明の包装容器においては、
1.生分解性樹脂組成物中の板状フィラーが容器を構成する壁面の面方向に配向していること、
2.器壁を構成する樹脂が二軸配向されていること、が好ましい。
本発明によればまた、上記生分解性樹脂組成物からなる少なくとも一層を備えていることを特徴とする多層包装容器が提供される。
【0010】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の樹脂組成物は、生分解性樹脂と樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーとを含有するが、本発明によればこの組成物中に樹脂状乃至ワックス状分散剤を含有させることにより、樹脂組成物のガスバリアー性を向上させ、包装容器としたときの外観特性を顕著に向上させることができる。更に、ガスバリアー性樹脂を含有することにより顕著にガスバリアー性を向上させることができる。
【0011】
添付図面の図1を参照されたい。図1は生分解性樹脂(ポリ乳酸)に板状フィラー(二酸化チタン被覆フレーク顔料)を配合した樹脂組成分の未延伸試料に関する板状フィラー配合量と水分透過量の関係を示している(詳細は後述する例参照)。図1に於いて、黒丸(●)は板状フィラーのみを配合した場合の結果を示しており、白丸(○)は板状フィラーと共に含OH基樹脂をも配合した結果を示している。
【0012】
この結果によると、生分解性樹脂に対する板状フィラーの配合量が増加するにつれて、樹脂組成物の水分透過量は単調に減少しているが、その減少の程度はかなり緩やかなものであることが了解される。
これに対して、板状フィラーと共に含OH基樹脂を配合した場合には、板状フィラーのみを配合した場合に比して水分透過量をかなり減少させることができ、この減少量は図面に示す具体例の場合、板状フィラーのほぼ2倍添加に匹敵することが分かる。
【0013】
特に、板状フィラーと共に樹脂状乃至ワックス状分散剤を配合した樹脂組成物の場合は、金属光沢に近い優れた光輝外観が得られ、後述する例に示すとおり、板状フィラーのみを配合した場合に比して、包装容器の外観特性が著しく向上している。
【0014】
特に、本発明における樹脂状乃至ワックス状分散剤の配合による上記効果は、生分解性樹脂と板状フィラーとの組合せに特有のものであり、樹脂状乃至ワックス状分散剤が板状フィラーの生分解性樹脂中への微細且つ一様な分散を可能にすると共に、容器への成形に際しても、樹脂組成物中の板状フィラーの容器壁面の面方向への配向を容易にしているためと考えられる。
【0015】
本発明は、以下の考察によって何らかの制約を受けるものでは決してないが、板状フィラーの分散性や配向性の向上する理由としては、次のことが考えられる。
一般に樹脂中に板状フィラーを配合することによって、樹脂組成物のガスバリアー性が向上する理由は、樹脂組成物中に板状フィラーが存在することによって、この板状フィラーを迂回するようにガスの通過距離が長くなり、その結果ガスの透過量が減少するというものである。
【0016】
ところが、生分解性樹脂は典型的な極性基含有重合体であり、この極性基の存在が水分バリアー性が劣る原因とも考えられるものである。
一方、板状フィラーは、その粒子構造の端縁部では電荷が飽和されていない極性サイトが存在し、これらの極性サイトの吸引反発により凝集構造を形成していると考えられるものであり、板状フィラーの上記凝集構造は生分解性樹脂との相互作用により、より大きな粗いものとなっていると信じられる。
これに対して、本発明に用いる樹脂状乃至ワックス状分散剤は、非極性基(長鎖脂肪族炭化水素基)あるいは非極性基と極性基との組合せとを有するものであり、この非極性基の存在が、板状フィラーの凝集構造或いは板状フィラーと生分解性樹脂との凝集構造の生起を解消乃至緩和して、板状フィラーの分散性向上及び配向助長に役立っているものと思われる。
【0017】
[生分解性樹脂]
本発明において、生分解性樹脂としてはそれ自体公知のものが使用できるが、特に重要なものとして、脂肪族ポリエステル樹脂、より詳しくはヒドロキシアルカノエート単位を主体とする生分解性脂肪族ポリエステル樹脂が使用される。この脂肪族ポリエステル樹脂は、少なくともフィルムを形成し得る分子量を有するべきであり、一般にその重量平均分子量は、10000乃至300000、特に20000乃至250000の範囲にあるのがよい。
好適な脂肪族ポリエステル樹脂の例は、ポリヒドロキシアルカノエート、或いはこれらの共重合体である。
【0018】
ポリヒドロキシアルカノエートとしては、下記式
【化1】
式中、Rは水素原子、または直鎖或いは分岐鎖のアルキル基であり、
nはゼロを含む正の整数である、
で表される反復単位、例えば、
乳酸[R=CH3、n=0、LLA]、
3−ヒドロキシブチレート[R=CH3、n=1、3HB]、
3−ヒドロキシバリレート[R=CH2CH3、n=1、3HV]、
3−ヒドロキシカプロエート[R=(CH2)2CH3、n=1、3HC]、
3−ヒドロキシヘプタノエート[R=(CH2)3CH3、n=1、3HH]、
3−ヒドロキシオクタノエート[R=(CH2 )4 CH3 n=1、3HO]、
3−ヒドロキシノナノエート[R=(CH2)5CH3、n=1、3HN]、
3−ヒドロキシデカノエート[R=(CH2)6CH3、n=1、3HD]、
γ−ブチロラクトン[R=H、n=2、BL]、
δ−バレロラクトン[R=H、n=3、VL]、
ε−カプロラクトン[R=H、n=4、CL]
等の1種或いは2種以上からなる重合体が挙げられる。
【0019】
このポリヒドロキシアルカノエートは、ポリ乳酸(ポリ乳酸としては、構成単位がL−乳酸のみからなるポリ(L−乳酸)、D−乳酸のみからなるポリ(D−乳酸)およびL−乳酸単位とD−乳酸種任意の割合で存在するポリ(DL−乳酸)を示す。)又、ポリεカプロラクトンのような単独重合体であってもよく、他のヒドロキシアルカリエートとの共重合体でもよい。また3−ヒドロキシブチレートと、他の3−ヒドロキシアルカノエート、特に3−ヒドロキシバリレートとを共重合させた共重合体であってもよい。
【0020】
本発明に用いる脂肪族ポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が−60℃以上、特に30℃以上のものが好ましい。
これらの脂肪族ポリエステルの内、工業的に量産され入手が容易であり、環境にも優しい脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸(PLLA)は、トウモロコシなどの穀物デンプンを原料とする樹脂であり、デンプンの乳酸発酵物、L−乳酸をモノマーとする重合体である。一般にそのダイマーであるラクタイドの開環重合法、及び、直接重縮合法により製造される。この重合体は、自然界に存在する微生物により、水と炭酸ガスにより分解され、完全リサイクルシステム型の樹脂として着目されている。
また、そのガラス転移点(Tg)も約58℃とPETのTgに近いという利点を有している。
【0021】
本発明の目的に最も好適な生分解性樹脂は、構成単位が実質上L−乳酸から成り、光学異性体であるD−乳酸の含有量が4.0%以下のものである。
本発明に用いるポリ乳酸は、勿論これに限定されないが、10000〜300000、特に20000〜250000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。また密度1.26〜1.20g/cm3、融点160〜200℃、メルトフローレート(ASTM D1238,190℃)2〜20g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0022】
[板状フィラー]
本発明に用いる板状フィラーは、粒子構造が板状であって、板状の面に対して配向可能なものが使用される。この板状フィラーは、5以上、特に10乃至400のアスペクト比(面方向寸法/厚さ方向寸法の比)を有する無機フィラー或いは有機フィラーであることが好ましく、その粒子径(最大方向寸法)は一般に0.2乃至400μm、特に0.5乃至200μmの範囲にあることが好ましい。
【0023】
このような板状フィラーとしては、一般にフレークとして知られている有機或いは無機の充填剤や顔料が使用され、例えば天然或いは合成の鉱物、セラミックス、金属、樹脂或いはこれらの複合体が使用される。
無機の板状フィラーとしては、天然或いは合成の雲母(マイカ)、ガラスフレーク、セラミックフレーク、金属フレーク等が挙げられ、一方樹脂の板状フィラーとしては、生分解性樹脂の溶融温度で実質上溶融しない樹脂製フレーク等があげられる。
【0024】
これらの板状フィラーの内でも、本発明においては光輝性を有する板状フィラーを用いることが包装容器の装飾効果の点で必要である。光輝性板状フィラーの特に好適なものとして、微粒子被覆パール顔料を挙げることができる。これらの光輝性顔料粒子は、何れも偏平であって、成形の際、面方向に平行に配向する傾向を有するものであり、特異な金属状光沢或いは真珠状光沢を有する。
【0025】
微粒子被覆パール顔料としては、それ自体公知の任意の微粒子被覆パール顔料が何れも使用されるが、特に好適なものとして、雲母チタン顔料が挙げられる。干渉有彩色の発生を、雲母チタン顔料を例として説明すると、この雲母チタン顔料はアスペクト比の大きい雲母基体とこの雲母基体表面に形成された二酸化チタンの微粒子析出層(以下単にチタン層とも呼ぶ)とから成る。
【0026】
この雲母チタン顔料に光線が入射するとチタン層の表面で入射して反射する光線と、チタン層と雲母基体との界面で入射して反射する光線とが干渉し、干渉光を生ずる。
【0027】
チタン層の厚みと、光の干渉により生じる有彩色との間には一定の関係があり、この関係は下記表Aの通りである。
【0028】
【0029】
雲母チタン顔料は、雲母(3Al2O3・K2O・6SiO2・nH2O )の薄片状結晶を核とし、この核の上に酸化チタン水和物を析出させ、これを焼成して、二酸化チタンとしたものである。表面の二酸化チタン層は、アナターゼ型でもよいし、またルチル型であってもよい。
雲母は、劈開性を有し、厚さが1μm以下で、アスペクト比が50以上と大きい薄片状の結晶であることが特徴であり、この表面に屈折率の大きいチタン顔料の薄層を形成させることにより、その層厚に応じて、表1に示すような有彩色の干渉色が得られるわけである。
【0030】
光輝性顔料の他の例として、金属フレーク顔料、特にアルミフレーク顔料が挙げられる。アルミフレークとしては、リーフイング型のものでも、ノンリーフイング型のものでも使用できる。リーフイング型のものは、ステアリン酸のような高級脂肪酸で処理されたものであり、表面に浮く傾向はあるがややキラキラ感に欠ける傾向がある。一方、ノンリーフイング型のものは表面に浮く傾向は少ないが、見る角度によってキラキラ感が強い。
また、アルミフレークに微粒子や着色物質を付着させて、特異な色調のメタリック感を発現する、いわゆる着色アルミフレークも使用できる。
【0031】
光輝性フレークの更に他の例として、樹脂製のグリッターと呼ばれるものを用いることもできる。このグリッターの代表的なものは、ポリエチレンテレフタレートフイルムにアルミニウムを蒸着し、有彩色の場合は、その上にさらに着色したものである。グリッターの色相としては、無色のもの、green, light green, royal blue, sky blue, light blue, pink, red, yellow 等の各種色相のものが使用される。
使用できるグリッターのサイズは、0.3mm×0.3mm以下のものが好ましい。グリッターのサイズが上記範囲を上回ると、生分解性樹脂中への分散が悪くなるので好ましくない。
【0032】
[樹脂状乃至ワックス状分散剤]
本発明では、生分解性樹脂中に樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーを分散させる。用いる樹脂状乃至ワックス状分散剤は、既に指摘したとおり、非極性基或いは更に極性基を備えたものである。このような樹脂状乃至ワックス状分散剤は、上記の基を有するワックス類、半固体状物質或いは樹脂からなっている。
【0033】
ワックス類としては、一般に天然に産出するワックス類、例えばモンタンワックス、カルナウバワックス、綿蝋、蜜蝋、木蝋、羊毛蝋等や、鉱物系或いは合成系のワックス類が、単独或いは2種以上の組合せで使用される。
鉱物系或いは合成系のワックスとしては、飽和脂肪族炭化水素化合物を主体とするもので、通常分子量が2000以下、好ましくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィン系ワックスと呼ばれるものである。これら脂肪族炭化水素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上のn−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−アルカンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オレフィンとを共重合して得られる低分子量重合体である中・低圧ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱減成等により分子量を低下させたワックス及びそれらのワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワックス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
【0034】
半固体状物質としては、植物油脂、動物油脂、鉱物油或いは合成油の少なくとも1種が挙げられる。油脂は、天然の動植物界に広く存在し、脂肪酸とグリセリンとのエステルを主成分とするものであり、例えばサフラワー油、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、綿実油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、亜麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生油、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ油、コーン油などの植物性油脂及びイワシ油、ニシン油、イカ油、サンマ油などの魚油、肝油、鯨油、牛脂、牛酪脂、馬油、豚脂、羊脂などの動物性油脂の単独またはそれらを組合せが挙げられる。また、鉱物油としては、流動パラフィン、スピンドル油などが挙げられ、合成油としては、シリコーン油、エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエチレン油、フルオロエステル油、ネオペンチルポリオールエステル油等が挙げられる。
【0035】
半固体状物質としては、高級脂肪酸やその石鹸を用いることもできる。高級脂肪酸としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。また、石鹸としては、上記脂肪酸のナトリウム石鹸、カリウム石鹸、アンモニウム石鹸、アミン石鹸、カルシウム石鹸、マグネシウム石鹸、亜鉛石鹸等を用いることもできる。
【0036】
樹脂としては、オレフィンを構成単位として含有し且つ極性基を有する単量体単位を含む共重合樹脂が好適に使用される。
このような極性基含有オレフィン重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等の変性オレフィン樹脂やこれらの樹脂を含有するブレンド物を挙げることができる。
酸変性オレフィン樹脂のベースポリマーとしては、低−、中−、高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0037】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、生分解性樹脂100重量部当たり板状フィラーを2乃至70重量部、特に5乃至60重量部、樹脂状乃至ワックス状分散剤を0.05乃至20重量部、特に0.1乃至10重量部含有する。
【0038】
板状フィラーの含有量が上記範囲を下回ると、板状フィラーを用いることによるガスバリアー性の改善が不十分となり、外観性能の向上も望めなくなる。一方板状フィラーの配合量が上記範囲を上回ると、樹脂組成物の物性が脆くなる傾向があり、容器の耐衝撃性が低下するので好ましくない。
また、樹脂状乃至ワックス状分散剤の含有量が上記範囲を下回ると、板状フィラーの分散性が低下し、樹脂状乃至ワックス状分散剤が上記範囲内にある場合に比して、やはりガスバリアー性や外観特性が低下する傾向がある。一方樹脂状乃至ワックス状分散剤が上記範囲を上回ると、樹脂組成物の機械的特性や熱的特性が上記範囲内にある場合に比して劣る傾向があり、容器の物性の点で好ましくない。
【0039】
本発明の樹脂組成物を形成する順序は、板状フィラーと樹脂状乃至ワックス状分散剤とを予めブレンドし、このブレンド物を生分解性樹脂と混合する。
【0040】
各成分のブレンドには、ドライブレンドやメルトブレンドを用いることができっる。例えば、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、ホモミキサー等を使用することができ、またメルトブレンドには、各種ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、1軸或いは2軸押出機などを用いることができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物には、その用途に応じて、各種着色剤、充填剤、無機系或いは有機系の補強剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等を、公知の処方に従って配合することができる。
【0042】
また、本発明の樹脂組成物においては、上記生分解性樹脂の他に他の樹脂、特にガスバリアー性樹脂をブレンドして使用することもできる。
例えば、このような他の樹脂としては熱可塑性ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、メタキシリレンアジパミド(MXD6)のような酸素バリアー性樹脂やポリグリコール酸乃至ポリグリコール酸共重合体樹脂の生分解性バリアー性樹脂や、環状オレフィン共重合体等の水蒸気バリアー性樹脂をブレンドして用いることができる。
ガスバリアー性樹脂は、生分解性樹脂100重量部当たり0.1乃至49重量部、特に0.5乃至30重量部の量で用いることが好ましい。
【0043】
本発明に用いる包装材料及び包装容器は、前述した樹脂組成物を用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造が可能である。
例えば、フィルム、シート或いはチューブの成形は、前記樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われ、T−ダイ法フィルム、ブローウンフィルム等が得られる。Tダイフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。
また、前記樹脂組成物を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造することができる。
更に、前記樹脂組成物を押出機を通して、一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造する。
成形物は、フイルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。
【0044】
本発明の包装材料及び包装容器においては、板状フィラーが樹脂状乃至ワックス状分散剤を介して生分解性樹脂中に微細且つ一様に分散した分散構造をとること、この樹脂組成物では、フィラーの板状形状及び上記の分散構造にも関連して、溶融成形時の流動配向や延伸時の延伸配向により板状フィラーが面方向に有効に配向した配向構造をとることが認められる。
このため、本発明の包装材料及び包装容器では、水分等の気体に対するガスバリアー性に顕著に優れていると共に、光輝性のある均一な外観が得られるなど、外観特性、商品価値の点においても顕著に優れている。
【0045】
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。
また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
更に、また、フイルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0046】
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0047】
本発明の生分解性樹脂組成物は、単層の形で包装材料及び包装容器として使用できるのは勿論のこと、この生分解性樹脂組成物から成る少なくとも一層と、他の樹脂からなる少なくとも一層の積層物の形で包装材料及び包装容器として使用できる。
【0048】
多層構成の包装材料及び包装容器の場合、上記生分解性樹脂組成物層と組み合わせる他の樹脂層としては、板状フィラー未配合の生分解性樹脂、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ガスバリアー性樹脂等が挙げられる。
オレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、アイソタクテイツクポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等が挙げられる。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、或いはこれらの共重合ポリエステル、更にはこれらのブレンド物等が挙げられる。
更に、バリヤー性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレンビニルアルコール共重合体ケン化物は、フイルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フエノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01 dl/g 以上、特に0.05 dl/g 以上の粘度を有することが望ましい。
更にまた、バリアー性樹脂の他の例としては、環状オレフィン系共重合体(COC)、特にエチレンと環状オレフィンとの共重合体、特に三井化学社製のAPEL等や生分解性バリアー樹脂、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸共重合体樹脂を用いることができる。
【0049】
多層押出成形体の製造には、それ自体公知の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押し出し成形を行えばよい。
また、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
更に、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
【0050】
本発明の包装容器は、水分の透過による内容物の減量を抑制し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。
充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他では医薬品、化粧品、トイレタリー製品などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0051】
【実施例】
本発明を次の例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでない。尚、実施例1及び実施例4は、本発明の範囲外の参考例である
【0052】
(材料)
重量平均分子量(Mw)が190000で光学活性異性体(d%)組成が2.5%のポリ乳酸を用いた。板状無機材に、平均アスペクト比200で平均厚み0.6μmの板状雲母、表面を二酸化チタン処理した光輝性板状雲母、ならびに、光輝性板状雲母に常温で粘着性のオレフィンワックスを含浸させた板状無機材を用いた。
【0053】
(ボトル成形)
重量平均分子量(Mw)が190000で光学活性異性体(d%)組成量が2.5%のポリ乳酸を用いた。平均アスペクト比200で平均厚0.6μmの板状雲母、表面を二酸化チタン処理した光輝性板状雲母、ならびに、光輝性板状雲母に常温で粘着性のオレフィンワックスを含浸させた板状無機材をそれぞれ5重量%添加した樹脂組成物を用い、射出成形機にて、バレル温度190℃〜210℃範囲下、口径28mmφのプリフォームを射出成形した。次に、赤外線ヒーターでプリフォームを70℃以上に加熱後、金型温度を90℃とした金型ブロー成形を行い、400ml容の角形ボトルを成形した。
【0054】
(カップ成形)
重量平均分子量(Mw)が190000で光学活性異性体(d%)組成量が2.5%のポリ乳酸を用い、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母に常温で粘着性のオレフィンワックスを含浸させた板状無機充填剤を5重量%添加した樹脂組成物を、押し出し成形機にて、バレル温度190℃〜210℃、Tダイ温度190℃条件下、400mm幅で2mm厚シートを成形した。次にサーモフォーム成形機を用い、70℃以上加熱後、円錐形プラグアシストで縦方向に延伸するとともに圧縮空気にて、90℃の雌型に圧着し、口径80mmφ、底径50mmφ、高さ90mmの円柱状カップを成形した。
【0055】
(フィルム成形)
押し出し成形機を用い、バレル温度190℃〜210℃、Tダイ温度190℃条件下、平均アスペクト比200で平均厚み0.6μmの板状雲母、表面を二酸化チタンで処理した光輝性板状雲母、ならびに、光輝性板状雲母に常温で粘着性のオレフィンワックスを含浸させた板状無機材を5重量%〜50重量%範囲でドライブレンドした樹脂組成物を用い、押し出し成形機にて、800mm幅、300μm厚フィルムを成形した。
【0056】
更に、ポリ乳酸樹脂85重量%と第2のバリアー材エチレンビニルアルコール共重合樹脂10重量%からなる樹脂組成物に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母に常温で粘着性のオレフィンワックスを含浸させた板状無機材を5重量%ドライブレンドした樹脂組成物を、押し出し成形機にて、800mm幅、300μm厚フィルムを成形した。
【0057】
(評価)
水分バリアーの測定
(ボトル)
試作ボトルに水道水を350ml充填後、ポリプロピレン製キャップで密栓後、22℃-RH60%条件に保存した。以後、14日後に重量測定し、水分透過率(%)を測定した。
(フィルム)
試作フィルムをParmatran水分透過性試験装置を用い、40℃-RH90%条件下、水分透過係数(P)(gcm/m2/day)を求めた。
【0058】
(評価)
酸素バリアーの測定
(ボトル)
試作ボトルをガス置換装置で脱気後、窒素ガスを充填し、次に、水道水を10ml充填後、ゴム栓で密封した。以後、22℃-RH60%条件に保存し、21日後にガスクロマトグラフィー装置で、ボトル内酸素濃度を測定することで、BO2(cc/day・bottle)を求めた。
【0059】
(評価)板状無機材の分散性
ボトル・フィルム・カップ成形品における板状無機材の分散性を目視観察した。10mm×10mmの面内にサイズ1mm角以上の無機固形分の個数が15個以上確認されたボトル・フィルム・カップを×とし、無機固形分の固まりがないボトル・フィルム・カップを○とした。尚、10mm×10mmの面内に1mm角以上の無機固形分の個数が15個未満観察されたボトル・フィルムを△とした。
【0060】
(評価)成形性
90℃金型でブロー成形した直後のボトル(角形)の底コーナー部にヒケが生じたボトルを×とし、ヒケの形成が生じていないボトルを○とした。
【0061】
(評価)ボトル落下強度
試作ボトルに水道水を350ml充填、ポリプロピレン製キャップで密栓し、5℃条件に24時間保存した。以後、1.2m高さから正立落下させ、ボトル底部に生じる剥離状割れを目視観察した。ボトル底部に剥離状割れが生じたボトルを×とし、剥離状割れが観測されないボトルを○とした。
【0062】
[実施例1]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を射出成形機にてプリフォームに射出成形した。次に、赤外線ヒーターにてプリフォームを70℃以上に加熱後、90℃金型温度で角形ボトルにブロー成形した。成形直後のボトルは、底コーナー部にヒケがなく、板状無機充填材の分散性は△であった。又、酸素バリアー性、水分透過性、並びに、落下試験結果を表-1に示した。
【0063】
[実施例2]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し10重量%含浸させた板状無機材を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を射出成形機でプリフォームに射出成形した。次に、赤外線ヒーターにてプリフォームを70℃以上に加熱後、90℃金型温度で角形ボトルにブロー成形した。成形直後のボトルは、底コーナー部にヒケがなく、板状無機充填材の分散性は○であった。又、酸素バリアー性、水分透過性、並びに、落下試験結果を表-1に示した。
【0064】
[比較例1]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸を用い、射出成形機でプリフォームに射出成形した。次に、赤外線ヒーターにてプリフォームを70℃以上に加熱後、90℃金型温度で角形ボトルにブロー成形した。成形直後のボトルは、底コーナー部にヒケを生じた。又、酸素バリアー性、水分透過性、並びに、落下試験結果を表-1に示した。
【0065】
[比較例2]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの板状雲母を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を射出成形機でプリフォームに射出成形した。次に、赤外線ヒーターにてプリフォームを70℃以上に加熱後、90℃金型温度で角形ボトルにブロー成形した。成形直後のボトルは、底コーナー部の一部にヒケが生じ、板状無機充填材の分散性も×であった。又、酸素バリアー性、水分透過性、並びに、落下試験結果を表-1に示した。
【0066】
[実施例3]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、表面を二酸化チタン処理した光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し10重量%含浸させた平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの板状無機材を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を押し出し成形機を用い、シートに成形した。次に、サーモフォーム成形機を用い、カップを成形した。板状無機充填材の分散性が○であった。
【0067】
[実施例4]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は△であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0068】
[実施例5]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し10重量%含浸させた板状無機材を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は○であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0069】
[実施例6]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸50重量%に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し10重量%含浸させた板状無機材を50重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は○であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0070】
[実施例7]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸85重量%と第2のバリアー材エチレンビニルアルコール共重合体樹脂10重量%からなる樹脂組成物に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母材に比し10重量%含浸させた板状無機材を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は○であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0071】
[比較例3]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸95重量%に、平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの板状雲母を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は×であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0072】
[比較例4]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸85重量%と第2のバリアー材エチレンビニルアルコール共重合体樹脂10重量%からなる樹脂組成物に、平均アスペクト比200の平均厚み0.6μmの板状雲母を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。板状無機材の分散性は×であった。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0073】
[比較例5]
光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸85重量%と第2のバリアー材エチレンビニルアルコール共重合体樹脂10重量%からなる樹脂組成物に、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し50重量%含有させた板状無機材を5重量%ドライブレンドした。この樹脂組成物を、押し出し成形機を用いフィルムに成形した。この場合、フィルムは、ワックス分離層による層分離が形成し、全体的に不均一分散であった。このため、この比較例条件下では、板状無機材の分散性を×とした。又、水分透過係数(P)を表-2に示した。
【0074】
[実施例8]
共射出成形機を用い、ファーストショットにて、光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸を用いプリフォームに射出成形後、セカンドショットでプリフォーム外層側に、光学活性異性体(d%)がd=2.5%で重量平均分子量(Mw)が190000のポリ乳酸に対し、表面を二酸化チタン処理した平均アスペクト比200の平均厚0.6μmの光輝性板状雲母にポリオレフィン系ワックスを光輝性板状雲母に比し10重量%含浸させた板状無機材を40重量%ドライブレンドした樹脂組成物を、射出成形した。次に、次に、赤外線ヒーターにてプリフォームを70℃以上に加熱後、90℃金型温度で角形ボトルにブロー成形した。この場合、成形ボトルは層間剥離もなく、所定の形状に成形することができた。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、生分解性樹脂に樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーと樹脂状乃至ワックス状分散剤とを含有させることにより、生分解性樹脂への板状添加剤の分散性を顕著に向上させることができ、この樹脂組成物の成形時における板状添加剤の面方向への配向性も顕著に向上させることができる。更に、第2のバリアー性樹脂を含有することで顕著なガスバリアー性向上が確保された。本発明の生分解性樹脂組成物は、樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーを含有するにもかかわらず、成形性に優れており、しかも成形体の機械的強度や耐衝撃性に顕著に優れており、更に水分に対するバリアー性を含めてガスバリアー性や外観特性が顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】生分解性樹脂(ポリ乳酸)に板状フィラー(二酸化チタン被覆フレーク顔料)を配合したときの配合量と水分透過量との関係を示すグラフである。
Claims (12)
- 生分解性樹脂と樹脂状乃至ワックス状分散剤が含浸された光輝性板状フィラーとを含有してなることを特徴とする生分解性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂100重量部当たり板状フィラーが2乃至70重量部及び樹脂状乃至ワックス状分散剤が0.05乃至20重量部の量で含有されることを特徴とする請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂がヒドロキシアルカノエート単位を含有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物。
- 板状フィラーが5以上のアスペクト比を有する無機フィラー或いは有機フィラーであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
- 板状フィラーが二酸化チタン被覆フレーク顔料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
- 樹脂状乃至ワックス状分散剤が生分解性樹脂の融点よりも低い融点或いは軟化点を有するものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
- ガスバリアー性樹脂を更に含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂100重量部当たりガスバリアー性樹脂を2乃至49重量部の量で含有することを特徴とする請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の生分解性樹脂組成物から形成されていることを特徴とする包装容器。
- 生分解性樹脂組成物中の板状フィラーが容器を構成する壁面の面方向に配向していることを特徴とする請求項9に記載の包装容器。
- 器壁を構成する樹脂が二軸配向されていることを特徴とする請求項9または10に記載の包装容器。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の生分解性樹脂組成物からなる少なくとも一層を備えていることを特徴とする多層包装容器。
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