JP4996854B2 - 高温高速成形用アルミニウム合金材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金成形品の製造方法 - Google Patents

高温高速成形用アルミニウム合金材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金成形品の製造方法 Download PDF

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本発明は冷間プレスでは成形することが困難な複雑形状を有し、なおかつ高強度が要求されるアルミニウム合金部材を高温高速成形による成形加工により製造するのに好適な高温高速成形用アルミニウム合金材に関するものである。
Al-Mg系アルミニウム合金は、高温領域で、10-3/s程度のひずみ速度において300%以上もの高い伸びを示す超塑性現象を発現することが知られており、この特性を利用して、アルミニウム合金板を高温に加熱してガス圧等により任意の形状に成形し、室温でのプレス成形では製造することが困難な複雑形状に成形することが可能である超塑性成形用のアルミニウム合金板に関する技術が例えば文献1に開示されている。
最近では、高温成形時のひずみ速度を従来よりも一桁以上大きくして、例えば10-2〜1/sのひずみ速度として、生産性を大幅に高める高温高速成形に関する技術が例えば次の特許文献2〜7に開示されている。
特許第2831157号公報 特開平8−199272号公報 特許第3145904号公報 特開平10−259441号公報 特開2003−342665号公報 特開2004−225114号公報 特開2004−285390号公報
Al-Mg系アルミニウム合金をひずみ速度10-3/s以下で成形を行う超塑性成形では、結晶粒界でのすべりが主要な変形機構であり、このため成形前の素材の結晶粒が微細なほど超塑性成形伸びが高いことが知られている。例えば超塑性成形に関する特許文献1では高い超塑性成形性を確保するために平均結晶粒径は20μm以下に規定されている。
一方で、10-2〜1/sという高いひずみ速度領域で行われる高温高速成形では成形中にアルミニウム合金を構成する結晶粒内に、亜結晶粒が形成される。ここでいう亜結晶粒とは、隣り合う粒の方位差である粒界角が15度未満の粒界(亜結晶粒界と呼ばれる)で構成される粒である。この成形中に形成される亜結晶粒組織は高温高速成形性と成形後の成形品の強度等に強く影響を及ぼすものと考えられる。しかしながらこれまでのAl-Mg系アルミニウム合金では、高温高速成形性に対して最適な亜結晶組織の形態とは一体どのようなものであるのかについては検討されてこなかった。例えば特許文献2では成形前の素材の平均結晶粒径が15〜120μmに規定され、また高温高速成形時に結晶粒が異常粒成長することを防止すること目的にMn・Cr・Zr等を適量添加することが開示されているが、いずれも結晶粒組織に関するものであり、亜結晶組織については検討されていない。また特許文献4でも同様に、平均結晶粒径が20〜200μmに規定され、高温変形中の合金の再結晶おいて結晶粒を微細にするためにMn・Cr・Zr等が適量添加されているが、これらも結晶粒に関する事項である。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、Al-Mg系アルミニウム合金の高温変形時の結晶粒内部に形成される亜結晶組織と、高温高速成形性及び成形終了後の成形品の強度の関係について詳細に検討し、高い高温高速成形性と成形後の高強度を両立することが可能な亜結晶組織を形成しうる特定の最適合金組成のアルミニウム合金材とその製造方法を提供することを目的とする。
まず、高温高速成形性に及ぼす亜結晶粒組織の影響について鋭意検討した結果、亜結晶粒組織が微細に発達した組織を有する場合は、高温高速成形途中に再結晶が逐次発生することにより亜結晶粒が消滅した組織となった場合に比較して、高い高温高速成形伸びを示すことが明らかとなった。さらに、高温高速成形後の成形品の強度は、亜結晶粒組織が微細に発達した組織のほうが、高温高速成形中もしくは成形後に再結晶して亜結晶粒が無い組織となった場合に比較して高いことが明らかとなった。また高温高速変形中に発達した亜結晶粒組織が高温で再結晶せずに安定に存在するためには、Mn・Zr等の遷移元素系の微細分散粒子がマトリックス中に均一かつ密に存在する必要があることが明らかとなった。
本発明者らはこれらの知見をもとに、亜結晶粒組織を安定化させるために必要な各種遷移元素の量、組み合わせについて鋭意検討を行い、MnとZrを適量共添加することにより、これらの遷移元素系の分散粒子がマトリックス中に均一且つ密に分布することを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、
(1)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
(2)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
(3)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
(4)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
)200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度における成形後に直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却を行う高温高速成形に用いられることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材、
)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法、
)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法、
)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法、
)Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法、
10)前記高温高速成形用アルミニウム合金材は、200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度における成形後に直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却を行う高温高速成形に用いられることを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法、
11)(1)〜()のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材を、200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度で高温高速成形し、直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却することにより、金属組織を亜結晶粒組織とすることを特徴とするアルミニウム合金成形品の製造方法
を提供するものである。
本発明でいう高温高速成形とは、250〜550℃の温度範囲、10-2〜10/sのひずみ速度で行われる成形加工方法であり、ガス等の流体の圧力を利用したバルジ成形や任意のプレス成形方法、金型成型方法を含む。
また、本発明でいう亜結晶粒組織とは、粒界角が15度以上の粒界を通常の結晶粒界、角度差が15度未満の粒界を亜結晶粒界として分類し、通常の結晶粒界と亜結晶粒界を合わせたすべての粒界に占める亜結晶粒界の割合の平均値が5%以上である組織をいう。
本発明により、遷移元素系の分散粒子をマトリクス中に均一かつ高密度に分散させることができ、亜結晶粒組織を成形時および成形後の冷却過程で安定に存在させ、優れた高温高速成形性と成形後の強度を有する高温高速成形用のアルミニウム合金材が提供できる。また、本発明のアルミニウム合金材を使用することにより、従来の冷間プレスでは成形することが困難な複雑形状を有する成形品の量産が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、合金成分の限定理由を以下に示す。
本発明において、マグネシウム(Mg)の含有量は2.0〜8.0mass%である。Mgはアルミニウム(Al)に高温高速成形性を付与する必須元素であると同時に、固溶硬化により成形品の強度向上に寄与する。Mg量が2.0mass%より少ないと十分な高温高速成形伸びが得られないと同時に、成形品の強度が大きく低下する。またMg量が8.0mass%より多いと熱間圧延性が大幅に低下して、圧延により高温高速成形用の素材を製造することが困難となる。Mgの含有量は2.4〜7.6mass%が好ましい。
マンガン(Mn)の含有量は0.05〜1.0mass%である。また、ジルコニウム(Zr)の含有量は0.01〜0.3mass%である。
本発明において、MnおよびZrは必須元素である。これらは鋳造に引き続いて通常行われる均質化処理によってマトリクス中に均一且つ密に分散粒子として析出して、高温高速成形時に結晶粒内に形成される亜結晶粒組織を安定化させ、成形中および成形終了後の再結晶により亜結晶組織が消滅することを防止する。これにより、高温高速成形伸びを増大させると同時に、成形品の強度向上に寄与する。
これらの分散粒子はマトリクス中に隙間無く分布する必要がある。もし、分散粒子が存在しない領域が比較的広い場合には、その領域中に存在する亜結晶粒は安定化されず、再結晶の核として成長し、一定の大きさに達すると分散粒子の有無に関係なく粗大な再結晶粒として成長することにより、亜結晶粒組織が消滅してしまう。
Mn・Zr両元素を適量共含有することにより、分散粒子を隙間無く分布させることが可能となる。この理由について以下で説明する。工業的に生産されるアルミニウム合金鋳塊では、適量添加されたMnは凝固時に偏析を生じ、初期に凝固した領域で濃度が低く、最終的に凝固した領域で濃度が高くなる傾向がある。このため、均質化処理後のMn系の分散粒子の分布は均一ではなく、特にMn量の少ない初期凝固領域でMn系の分散粒子が少ない領域がある。一方、Zrも偏析を生じるが、Mnとは逆に、初期の凝固領域で濃度が高く、最終的な凝固領域で濃度が低い傾向にある。このため、均質化処理時にZr系の分散粒子はMnの分散粒子の少ない領域に主に析出することとなる。このため、MnとZrを同時に添加することにより、マトリックス中にMnもしくはZr系の分散粒子が隙間なく分散し、組織の全領域において亜結晶組織の安定化に寄与する。MnまたはZrの一方のみを添加した場合には、分散粒子が存在しない領域が生じるため、組織の全領域にわたって亜結晶組織の安定化を図ることはできない。
分散粒子によって亜結晶粒組織を効果的に安定化させるためには、Mn系及びZr系の分散粒子のサイズが10〜1000nmであることが好ましく、また分散粒子の分布密度は300,000個/mm2以上であることが好ましい。本発明においては、Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が、好ましくは300,000個/mm2以上の分布密度存在し、450,000個/mm2以上の分布密度で存在することがさらに好ましい。アルミニウム合金材における金属間化合物粒子の分布密度および直径は薄膜のアルミニウム合金サンプルを透過型電子顕微鏡により観察して得られる観察写真を解析することにより測定することができる。また、析出物がMn及びZr系の金属間化合物粒子であることは透過型電子顕微鏡に具備されている元素分析装置によって、個々の析出物の元素分析を行なうことにより確認できる。
Mn量が0.05mass%以下、及びZr量が0.01mass%以下では亜結晶組織の安定化の効果に乏しく、Mn量が1.0mass%以上、及びZr量が0.3mass%以上では鋳造時に巨大な金属間化合物が発生して、高温高速成形時にこれが破壊の起点となることにより、高温高速成形性が大幅に低下してしまう。Mnの含有量は0.2〜0.8mass%が好ましく、Zrの含有量は0.05〜0.20mass%が好ましい。
本発明において、必須元素である、ケイ素(Si)の含有量は0.06〜0.4mass%、鉄(Fe)の含有量は0.06〜0.4mass%である。
Fe・Siは高温高速成形用アルミニウム合金材の結晶粒を微細化することにより、高温高速成形性を高める効果を有する。具体的には、高温高速成形用アルミニウム合金材の製造工程である冷間加工後の焼鈍時に、Fe・Siを主成分とする1〜5μm程度の大きさの晶出物が核となって再結晶が生じることによって、高温高速成形用のアルミニウム合金材の結晶粒径が微細化し、その後の高温高速成形性が向上する。Fe・Si量が0.06mass%より少ないと上述の効果に乏しく、Fe・Si量が0.4mass%よりも多いと鋳造時に巨大な金属間化合物が発生して、高温高速成形時に破壊の起点となることによって、高温高速成形性が大幅に低下する。Siの含有量は0.10〜0.35mass%が好ましく、Feの含有量は0.10〜0.35mass%が好ましい。
本発明においては、任意に、クロム(Cr)を0.05〜0.5mass%、バナジウム(V)を0.01〜0.1mass%、スカンジウム(Sc)を0.01〜0.4mass%をそれぞれ含有させることができる。
Cr・V・ScはいずれもMn・Zrと同様に均質化処理によってマトリックス中に分散粒子として析出し、高温高速成形時に形成される亜結晶粒組織の安定化に寄与することによって、高温高速成形性を向上させると同時に、成形品の強度を向上させる効果がある。Cr量が0.05mass%以下、V量が0.01mass%以下、Sc量が0.01mass%以下では、これらの効果に乏しい。一方、Cr量が0.5mass%以上、V量が0.1mass%以上、Sc量が0.4mass%以上では、鋳造時に巨大な金属間化合物を生成して、高温高速成形性が大幅に低下してしまう。それぞれ含有させる場合には、Crの含有量は0.05〜0.35mass%が好ましく、Vの含有量は0.02〜0.08mass%が好ましく、Scの含有量は0.05〜0.25mass%が好ましい。
本発明においては、任意に、チタン(Ti)を0.001〜0.1mass%、ホウ素(B)を0.0001〜0.05mass%含有させることができる。Ti・Bは鋳塊の結晶粒を微細化し、その結果成形前の素材の結晶粒径が微細化することにより、高温高速成形性を向上させる。Ti量が0.001mass%以下、B量が0.0001mass%以下では上述の効果に乏しく、Ti量が0.1mass%以上、B量が0.05mass%以上では巨大な晶出物を形成して、高温高速成形性が著しく低下してしまう。それぞれ含有させる場合には、Tiの含有量は0.005〜0.05mass%が好ましく、Bの含有量は0.0005〜0.005mass%が好ましい。
本発明においては、任意に、ベリリウム(Be)を0.0001〜0.01mass%含有させることができる。Beは高温高速成形用のアルミニウム合金材表面のMgの高温成形中における酸化を抑制し、表面を安定化することにより、成形後に引き続いて実施される塗装・陽極酸化処理性が向上する。Be量が0.0001mass%以下では上記の効果が発現しない。Be量が0.01mass%以上では上記の効果が飽和してしまい経済的に問題となる。含有させる場合、Beの含有量は0.0005〜0.005mass%が好ましい。
本発明においては、任意に、銅(Cu)を0.05〜1.0mass%含有させることができる。Cuは高温高速成型終了後に成形品を室温に1日以上保持するか、または100℃以上の温度で1時間以上保持することにより、マトリクス中に析出して成形品の強度向上に寄与する。このようなCuの析出により強度を向上させる場合には、高温高速成形終了後に成形品をできるだけ速やかに室温まで冷却する必要がある。成形温度から室温まで冷却速度は20℃/分以上が好ましい。Cu量が0.05mass%以下では上記の効果が発現しない。また、Cu量が1.0mass%以上では成形品の耐食性が著しく低下してしまう。含有させる場合、Cuの含有量は0.1〜0.8mass%が好ましい。
本発明の高温高速成形用アルミニウム合金材は、化学的成分組成としては以上の条件を満たしていればよいが、良好な高温高速成形性と成形品の高い強度を確保するためには、以下に述べる成形条件で成形することにより成形後の組織が亜結晶組織からなることが好ましい。
本発明において、高温高速成形温度は200〜550℃の範囲内である。成形温度が200℃に満たない場合には、十分な高温高速成形伸びが得られず、冷間プレスで成形困難な複雑形状の成形品を得ることができない。一方、成形温度が550℃以上では、成形中に形成される亜結晶粒組織を安定化するためにマトリクス中に均一かつ高密度に析出せしめたMn・Zr系の分散粒子が成形時にマトリクス中に再固溶し消滅してしまうことにより、成形中もしくは成形終了後に再結晶が生じて亜結晶組織が消滅してしまう。高温高速成形温度は300〜500℃が好ましい。
本発明の高温高速成形時の平均のひずみ速度は10-2〜10/sである。ひずみ速度が10-2/s以下のひずみ速度での成形は技術的に可能であるが、生産性に著しく劣るため経済的ではない。一方、ひずみ速度が10/s以上では変形速度が高すぎて、亜結晶組織が形成されないため高温高速成形性が著しく低下して、複雑な形状に成形することが不可能となる。ひずみ速度は10-2〜1/sが好ましい。
さらに高温高速成形後の室温までの冷却速度を20℃/min以上とすることが好ましい。冷却速度が20℃/min以下の場合には、冷却過程で再結晶が生じることにより亜結晶粒が消滅して、成形品の強度が大幅に低下してしまう。高温高速成形後の室温までの冷却速度は、40℃/min以上がさらに好ましい。
ついで、高温高速成形中および高温高速成形後の冷却過程において、再結晶が生じずに、高温高速成形時に形成された亜結晶組織により成形品の組織が構成されることにより、良好な高温高速成形性が得られるとともに、成形品の高い強度が確保される理由について以下に記す。
まず、亜結晶粒組織によって高温高速成形性が向上する理由は、高温高速成形時に結晶粒内に形成される微細な亜結晶組織における個々の亜結晶粒の回転が、高温高速成形中の主要な変形機構である粒内変形と粒界すべりに重畳するためである。このため、高温高速成形中に局所的に再結晶が生じて亜結晶組織が消滅すると、その部位での高温高速伸びが急速に低下して破断の起点となって、高温高速成形伸びが大幅に低下する。
一方、亜結晶粒組織による成形品の強度向上は、結晶粒が亜結晶粒で構成されることにより粒内マトリクスが強化されることに起因する。この場合、亜結晶粒の粒径が小さいほど、成形品の耐力が増大する傾向がある。亜結晶粒の粒径は、成形時のひずみ速度が高いほど小さくなることから、成形品の強度を高めたい場合には、高いひずみ速度で成形するほうが良い。
以下に、本発明におけるアルミニウム合金材の製造方法について説明する。本発明の合金材は基本的にアルミニウム合金製造業で通常採用されている方法により製造が可能である。即ち、本発明成分規格範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで通常の溶解鋳造法としては、例えば半連続鋳造法(DC鋳造法)や薄板連続鋳造法(ロールキャスト法等)などを含む。
ついでこのアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施す。均質化処理はMn・Zr等の遷移元素を成分として含む分散粒子を、マトリクス中に均一かつ高密度に析出させるために行なわれる工程である。好ましくは350〜550℃の範囲で、1〜48時間、さらに好ましくは400〜530℃の範囲で、8〜24時間の条件で実施する。この均質化処理工程の前もしくは後で適宜面削を施した後、熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを実施することにより、高温高速成形用のアルミニウム合金材を製造することができる。この際、必要に応じて適宜中間焼鈍を行ってもよいし、最終焼鈍を実施してもよい。ここで、熱間加工・冷間加工とは製造する高温高速成形用のアルミニウム合金材の最終形態に応じて、通常行なわれている圧延、押出し、引き抜き、鍛造のいずれのものであっても良い。製造される高温高速成型用アルミニウム合金材の形状としては、板をはじめとして、円筒、角筒、その他複雑な断面形状を有する中空管を含む。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金を700℃で溶解し、DC鋳造法により鋳造した。得られた鋳塊を面削後、510℃×8時間の均質化処理してから、490℃で熱間圧延を開始し280℃で板厚を5mmとして熱間圧延を終了した。その後、400℃×3時間の中間焼鈍を行ってから、板厚1mmまで冷間圧延を行った。最後にこの冷間圧延板を520℃×20秒焼鈍して再結晶組織とした後に、以下の試験に供した。
Figure 0004996854
まず、これらの供試材より厚さ約0.3μmの薄膜サンプルを作製して、透過型電子顕微鏡により金属間化合物の分布密度を調べて、結果を表2にまとめた。直径10〜1000nmの金属間化合物の分布密度が300,000個/mm2以上の場合に○で、これ未満の場合に×で示した。なお、比較例の合金No.10については、上記の薄膜サンプルを作成することができなかったため測定は行わなかった。
Figure 0004996854
次に、上述の供試材より、引張試験片(幅4mm×平行部長さ15mm)を作製して、500℃においてひずみ速度10-1/sの条件で高温引張試験を実施し、高温高速伸びを調べ、結果を表3にまとめた。本発明では150%以上の高温高速伸びが得られた場合に良好な高温高速成形性を有するものと判断した。
次いで、これらの冷間圧延板より300mm角のサンプルを切り出し、不活性ガスの圧力を利用して成形を行う小型のブロー成形機を用いて高温高速ブロー成形を行った。金型には一辺250mmで高さ60mmの角筒金型を使用し、サンプルを成形機にセット後に加熱して500℃の成形温度に達した後、平均の歪み速度が約10-1/sとなるように不活性ガスの昇圧速度を制御して、高さ60mmの高温高速成形を行った。成形完了後直ちにサンプルを成形機より取り外し、40℃/min以上の冷却速度で室温まで冷却後した。角筒成形品の上面中央部より圧延方向にJIS5号引張試験片を採取して引張試験を行った。その結果得られた0.2%耐力値を表3に示した。
さらにこれらの成形品の組織が亜結晶粒組織より構成されているかどうかを調べるために、図1の模式図で示す、同じ温度・ひずみ速度条件の高温高速ブロー成形により別途成形した角筒成形品1の上面中心部2・上面コーナー部3・立ち上がり部4よりそれぞれ10×10mmのサンプルを採取し、これを以下に説明する方法で結晶粒界解析に供した。まずこれらのサンプルを板厚方向中心部まで機械研磨した後、仕上げ研磨により鏡面として、さらに電解研磨を施し成形品の板厚中心部を露出させた。その後、このサンプルを結晶粒界解析が可能である電子後方散乱回折像解析装置を具備した走査型電子顕微鏡にセットして、露出させた部分のうち200×200μmの領域の結晶粒界を解析した。解析したデータをもとにして、粒界角が15度以上の粒界を通常の結晶粒界、角度差が15度未満の粒界を亜結晶粒界として分類して、通常の結晶粒界と亜結晶粒界を合わせたすべての粒界に占める亜結晶粒界の割合を算出し、成形品の各部位についての亜結晶粒界の割合を表3にまとめた。本実施例では、高温高速成形中に形成される亜結晶粒界の割合と、高温高速成形性および成形後の強度の関係に関して蓄積した多数の試験データを基にして、サンプルを採取した3箇所の亜結晶粒界の割合の平均値が5%以上の場合に成形品が亜結晶粒組織により構成されていると判断して、表3に亜結晶粒組織である場合を○で、亜結晶組織でないものを×で示した。なお、高温高速伸びが不十分で使用した角筒金型の高さである60mmまで成形することができず、途中で破断してしまった場合には、直ちに成形を中断し同様の冷却速度で冷却後に、破断部近傍よりサンプル(10×10mm)を採取して、同様の結晶粒界解析に供して、得られた亜結晶粒界の割合を参考のため表3に記した。
Figure 0004996854
本発明成分範囲内の合金材1〜8を本発明範囲内の温度(500℃)及びひずみ速度(10-1/s)で変形すると、いずれの場合も150%以上の高温高速伸びを示し、良好な高温高速成形性を有していることが明らかである。また、同様に本発明範囲内の温度およびひずみ速度条件での、角筒金型による高温高速ブロー成形では、いずれの合金材も60mm高さの成形が可能であった。さらに、本発明範囲内の冷却速度条件(40℃/min)で室温まで冷却後の組織は、いずれの合金材の場合も亜結晶粒組織となっていた。
一方、比較例である合金材9はMg量が本発明の規定範囲以下であるため、十分な高温高速伸びが得られず、高温高速ブロー成形では60mmの高さに達するまでに破断してしまった。
また比較例である合金材10はMg量が本発明の規定範囲以上であり、熱間圧延性が極めて悪く、圧延時に割れが発生したため、板厚1mmの供試材を作製するに至らなかった。
また比較例の合金材11および合金材12はそれぞれ規定量共添加されるべきMn・Zrの一方の量が本発明の範囲より少ないため、Mn・Zr系の分散粒子の分布密度が30,000個/mm2未満であり、なおかつ分布が不均一であったため、分布密度が低い領域で再結晶が生じることにより亜結晶粒組織が消滅した結果、十分な高温高速伸びが得られなかった。本結果はMnとZrを共添加することの有効性を裏付けている。また高温高速ブロー成形後の結晶組織では亜結晶粒組織が全面で消失していた。この場合の0.2%耐力は、Mg量がほぼ同等でかつ成形品が亜結晶組織により成っていた本発明例合金材1の0.2%耐力に比較して15MPa程度低い。これは本発明合金材が成形後も亜結晶粒組織を維持することにより強度の向上を図っていることを裏付けている。
さらに比較例の合金材13・14・15・17はそれぞれMn、Zr、Si・Fe、Cr・V・Scの添加量が本発明範囲よりも多いために鋳造時に粗大な金属間化合物が生成して、これが高温高速変形時に破断の起点となるため高温高速伸びが著しく低く、良好な高温高速成形性が得られない。またそれゆえ高温ブロー成形にでは高さ60mmの成形は不可であった。
比較例の合金材16はFe・Si量が本発明の範囲よりも少ないために高温高速成形伸びが不十分であった。
(実施例2)
実施例1で作製した表1に示す本発明例合金材1の板厚1mmの供試材より引張試験片(圧延引張幅4mm、平行部長さ15mm)を作製し、表4に示す温度・ひずみ速度条件で150%の高温高速変形を与えた。その後直ちに表4に示す冷却速度で室温まで冷却した。この高温高速変形後の引張試験片の平行部中心領域より、結晶粒界解析用のサンプル(10mm×4mm)を採取して、実施例1で説明した方法により板厚方向中心面における結晶粒界解析を行ない、全結晶粒界に占める亜結晶粒界の割合を算出して、結果を表4にまとめた。実施例1の場合と同様に亜結晶粒界の割合が5%以上の場合を、組織が亜結晶粒より構成されていると判断した。なお、高温高速変形時に伸びが150%未満で破断した場合には、直ちに試験を中断して、サンプルを取り外して表4記載の冷却速度で室温まで冷却し、破断部近傍から結晶粒界解析用のサンプルを採取して、同様の方法で結晶粒界解析を実施した。
Figure 0004996854
本発明成分範囲内の合金材1を本発明の範囲内の温度とひずみ速度で成形した場合の条件1〜9では、150%の高温高速伸びが得られ、この範囲内の条件で良好な高温高速成形性が得られることが明らかである。さらに変形後直ちに、本発明の範囲内の冷却速度で室温まで冷却後に結晶粒界解析を行なった結果、いずれの場合も本サンプルが亜結晶粒界組織より成っていた。
一方、成分的には本発明の範囲内にある合金材1を、本発明の範囲外の条件で高温高速成形した比較例である条件10〜13について以下に説明する。条件10では変形の温度が本発明範囲より低くいために、高温高速伸びが低く、良好な高温高速成形性が得られない。一方、条件11は変形温度が本発明範囲より高く、亜結晶粒組織の安定化に寄与するMn・Zr系の分散粒子が再固溶して、変形中に再結晶が生じて高温高速伸びが大幅に低下した。さらに条件12ではひずみ速度が高すぎるために、亜結晶組織が形成されず高温高速成形伸びが低い。条件13では150%の高温高速伸びがあったが、高温高速変形後の冷却速度が本発明の範囲より低いため、冷却中に再結晶が生じて、高温高速成形中に形成された亜結晶組織が消滅してしまって、亜結晶組織による強度向上は得られなかった。
実施例1における角筒成形品からの結晶粒界解析用サンプル採取部位を示す模式図である。
符号の説明
1 角筒成形品
2 上面中心部
3 上面コーナー部
4 立ち上がり部

Claims (11)

  1. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
    Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
  2. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
    Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
  3. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
    Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
  4. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなる高温高速成形用アルミニウム合金材であって、
    Mn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子が300,000個/mm 2 以上の分布密度で存在していることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材
  5. 200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度における成形後に直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却を行う高温高速成形に用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材。
  6. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  7. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  8. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  9. Mg:2.0〜8.0mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Zr:0.01〜0.3mass%、Si:0.06〜0.4mass%、Fe:0.06〜0.4mass%、Cu:0.05〜1.0mass%を含有し、さらに、Cr:0.05〜0.5mass%、V:0.01〜0.1mass%、Sc:0.01〜0.4mass%、Ti:0.001〜0.1mass%、B:0.0001〜0.05mass%、Be:0.0001〜0.01mass%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に、350〜550℃、1〜48時間で均質化処理を行う工程と、前記均質化処理を経た合金鋳塊に熱間加工・冷間加工の両方又はいずれかを行う工程とを少なくとも含む工程によって、前記アルミニウム合金材中にMn及びZr系の析出物として直径10〜1000nmの金属間化合物粒子を300,000個/mm2以上の分布密度で存在させることを特徴とする高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  10. 前記高温高速成形用アルミニウム合金材は、200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度における成形後に直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却を行う高温高速成形に用いられることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材の製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の高温高速成形用アルミニウム合金材を、200〜550℃の温度、10-2〜10/secの歪速度で高温高速成形し、直ちに20℃/分以上の冷却速度で室温まで冷却することにより、金属組織を亜結晶粒組織とすることを特徴とするアルミニウム合金成形品の製造方法。
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