JP4994590B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関するものであり、特に、負極の劣化を防止してサイクル特性を向上することが可能なリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、一般的にLiCoOを正極活物質とし、黒鉛を負極活物質とし、更に非水溶液を電解液とする電池であり、携帯電話機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ノートパソコン等の電源として広く普及している。最近では、黒鉛に代えてSi粉末を主成分とする負極活物質の研究が進められている。Si粉末からなる負極活物質は、黒鉛と比べて10倍近くの充放電容量を有することから、将来の電極材料として有望である。しかしSi粉末は、電解液中に含まれるLiPFを分解させてしまい、Si粉末表面に充放電反応を阻害する被膜を形成させたり、LiPFの分解に伴って電解液のイオン伝導度を低下させる等の不具合があった。またSi粉末は、充電時にリチウムと合金を形成してその体積が膨張して微粉化し、LiPFの分解反応を更に促進させるといった不具合があった。しかし最近になって、Siが含まれ、かつ表面のみからSiが除去されてなる多相合金粉末から構成された負極活物質が開発され(特許文献1)、Siを含む負極活物質の実用化が現実のものになってきている。
特願2003−299282号明細書
しかし、特許文献1に記載された合金粉末においても、上記の不具合を完全に無くすまでには至っていない。上記の不具合を防止する別の手段として、充電容量を制限することにより、負極活物質に対する充電深度を低くして膨張による劣化を防ぐ方法が考えられるが、余分な正極材料が必要となり、リチウム二次電池全体として実際に使用できる十分な充放電容量が得られない問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、負極活物質に対する充電深度を浅くすることによって、負極の劣化を防止し、かつサイクル特性を向上させることが可能なリチウム二次電池を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のリチウム二次電池は、正極活物質が含まれてなる正極と、Siを主体とする負極活物質が含まれてなる負極とが少なくとも備えられ、前記負極の理論容量と負極活物質の質量比を乗じて計算される電気容量が前記正極の理論容量と正極活物質の質量比を乗じて計算される電気容量の0.75倍以上に設定されていることを特徴とする。
また、前記負極活物質は、Si相及びSiM相が必ず含まれ、かつX相またはSiX相のいずれか一方または両方が含まれる多相合金粉末からなり、前記多相合金粉末の粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量より少なくされているものであることが好ましい。ただし、前記MはNi、Co、As、B、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Yのうちの少なくとも1種以上の元素であり、元素XはAg、Cu、Auのうちの少なくとも1種以上の元素であり、Cuは元素Mと元素Xに同時に選択されないものとする。
また、前記負極活物質においては、前記多相合金粉末の粒子表面に微細孔が形成されていることが好ましい。微細孔の平均孔径は10nm以上5μm以下の範囲が好ましい。
また、前記多相合金粉末は、Ni、Co、As、B、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Yのうちの少なくとも1種以上の元素Mと、Ag、Cu、Auのうちの少なくとも1種以上の元素Xと、Siとを含む合金溶湯が急冷されて急冷合金粉末とされ、該急冷合金粉末がアルカリ性溶液に含侵されて粒子表面のSi相の一部または全部が除去されて形成されたものであることが好ましい。ただし、Cuは元素Mと元素Xに同時に選択されないものとする。
また、前記負極活物質においては、電子顕微鏡の面分析より得られる前記多相合金粉末の粒子表面上のSi含有量aと、粒子断面のSiの含有量bの比が、0.5≦a/b≦0.95であることが好ましい。ただし、合金相SiM相と単相であるSi相を面分析で定量的に区別することがむずかしいため、この場合のSi量にはSiM相のSiも含まれるとする。
上記の正極の電気容量は、正極活物質の単位質量あたりの理論容量に正極活物質の質量比を乗じた値を用いる。尚、質量比は、極板に塗布された材料の質量中の、充放電可能な正極活物質の質量の割合である。2種類以上の理論容量の違う物質が含まれるときは、理論容量に正極物質の質量比を乗じたものの和とする。
同様に、負極の電気容量は、Siの単位質量あたりの理論容量に負極活物質中のSiの正味充填量を乗じた値を用いる。更に、負極活物質として上記の多相合金粉末を使用する場合は、Siの単位質量あたりの理論容量にSi相の正味充填量を乗じた値を用いる。
上記のリチウム二次電池においては、負極の電気容量が正極の電気容量の0.75倍以上に設定されているので、負極活物質に対する充電深度を浅くすることが可能となり、負極の劣化を防止してサイクル特性を向上させることができる。
また、負極活物質としてSiを主体とする負極活物質が用いられるので、黒鉛を負極活物質として用いる従来のリチウム二次電池と比較して充放電容量を向上させることができる。本発明では正極および負極の電気容量のバランスを上記の範囲とすることで、相対的に正極活物質の充填量が減少して電池全体として充放電容量が低下する懸念があるが、Siを主体とする負極活物質は理論容量自体が黒鉛の10倍程度であることから、負極の電気容量を増加させても負極活物質の充填量の実際の増加分は少なくて済むので、正極活物質の充填量を大きく減少させることが無く、結果的に高容量なリチウム二次電池が得られる。
また、上記のリチウム二次電池においては、粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量より少なくされてなる多相合金粉末が負極活物質として備えられているので、粒子表面におけるSiによる電解液の分解が抑制され、サイクル特性を向上させることができる。粒子表面におけるSi相の量を少なくすることで、負極活物質の容量が不足してリチウム二次電池の充放電容量が低下するおそれがあるが、Si自体の理論容量がもともと高いので、充放電容量の低下を最小限の範囲に抑えることができ、サイクル特性の向上と高い充放電容量の確保を両立させることが可能になる。
本発明のリチウム二次電池によれば、負極活物質に対する充電深度を浅くすることが可能となり、負極の劣化を防止し、かつサイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のリチウム二次電池は、正極と負極とが少なくとも備えられ、これらが例えば円筒形、角形、コイン型、シート状の各種形状の電池ケースに収納され、更に電池ケースに非水電解液が注液されて構成されている。また正極と負極との間にはセパレータが介在されている。また、本発明のリチウム二次電池においては、負極の電気容量が正極の電気容量の0.75倍以上に設定されている。以下、本実施形態のリチウム二次電池の主要な構成要素である正極、負極、電解液並びにセパレータについて順次説明する。
(正極)
正極には、正極活物質と導電助材と結着剤とが含有されてなる正極合材と、この正極合材に接合される正極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、上記の正極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の電極も用いることができる。
正極活物質としては、Liを含んだ化合物、酸化物、硫化物であり、含まれる金属としては、例えば、Mn、Co、Ni、Fe、Al等、少なくとも一種類以上含む物質が例示できる。更に具体的にはLiMn、LiCoO、LiNiO、LiFeO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiNi0.8Co0.2等を例示できる。また結着剤としてはポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン等を例示できる。更に導電助材としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素化物を例示できる。更に正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス等からなる金属箔または金属網を例示できる。
(負極)
負極には、Siを主体とする負極活物質及び結着剤及び必要に応じて導電助材とが含有されてなる負極合材と、この負極合材に接合される負極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、上記の負極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の電極も用いることができる。
負極の結着剤は、有機質または無機質のいずれでも良いが、次に説明する多相合金粉末と共に溶媒に分散あるいは溶解し、更に溶媒を除去することにより多相合金粉末同士を結着させるものであればどのようなものでもよい。また、多相合金粉末と共に混合し、加圧成形等の固化成形を行うことにより多相合金粉末同士を結着させるものでもよい。このような結着剤として例えば、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが使用でき、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンラバー、等の樹脂を例示できる。また、負極活物質及び結着剤の他に、導電助材としてカーボンブラック、黒鉛粉末、炭素繊維、金属粉末、金属繊維等を添加しても良い。更に負極集電体としては、銅からなる金属箔または金属網を例示できる。
次に負極活物質は、Si相及びSiM相を必ず含み、かつX相またはSiX相のいずれか一方または両方を含む多相合金粉末からなり、多相合金粉末の粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量より少なくされて構成されている。図1には、多相合金粉末を構成する一粒子の外観模式図の一例を示し、図2には図1に示した一粒子の断面模式図の一例を示す。図1及び図2に示すように、負極活物質を構成する多相合金粉末粒子11の組織にはSi相12とSiM相13とX相もしくはSiX相14とが含有されている。
Si相12は、粒子表面よりも粒子内部に多く存在している。このSi相12は、充電時にリチウムと合金化してLiSi相を形成し、放電時にはリチウムを放出してSi単相に戻る。また、粒子表面でのSi相は、存在しないかもしくは少なくなっているため、Si相による電解液の分解反応が抑制される。
また、SiM相13は、充放電時にリチウムと反応することなく、当該一粒子11の形状を維持して粒子11自体の膨張収縮を抑制する。SiM相13を構成する元素Mは、リチウムと合金化しない金属元素であり、Ni、Co、As、B、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Yの中から選択される少なくとも1種以上の元素である。特に元素MとしてはNiを用いることが好ましく、この場合のSiM相の組成はSiNi相となる。
またX相14は、多相合金粉末に導電性を付与して負極活物質自体の比抵抗を低減させる。X相14を構成する元素Xは、比抵抗が3Ω・m以下の金属元素であり、Ag、Cu、Auの中から選択される少なくとも1種以上の元素である。特にCuはリチウムと合金化しないので、膨張抑制効果があり好ましい。また、AgはSiとほとんど合金化しないため、元素MにAgと合金化しない金属を選択することにより、Agが単独相として存在し、粒子の伝導度を向上させることができるので好ましい。
なお、CuはSiと合金化するとともに、Siよりも低抵抗であるため、元素Mと元素Xの両方の性質を有する元素である。従って、本発明においては、元素Mと元素Xの双方にCuを加えることにするが、Cuは元素Mと元素Xに同時に選択されないものとした。
また、X相14に代えて、あるいはX相14とともに、SiX相が析出していても良い。SiX相は、X相14と同様に多相合金粉末に導電性を付与して負極活物質自体の比抵抗を低減させる。
Si相12、SiM相13、X相14、SiX相の結晶形態は、急冷速度、合金組成、急冷後の熱処理の有無により定まる。本実施形態の負極活物質においては、各相の全てが結晶質相であってもよく、非晶質相であっても良く、結晶質相と非晶質相とが混在したものであってもよい。また、Si相、SiM相、X相、SiX相の他に他の合金相を含んでいても良い。
次に合金組成について言及すると、Siは、Si単相とSiM相さらにはSiX相を形成する元素であるため、合金の状態図より判断して、SiM相、SiX相を形成してもなおSi単相が生成されるように組成比を選ぶことにより、Siの容量を得ることができる。しかし、Si量が過剰に増えると、Si相が多く析出して充放電時の負極活物質全体の膨張収縮量が大きくなり、負極活物質が微粉化してサイクル特性が低下するので好ましくない。具体的には、負極活物質におけるSiの組成比が30質量%以上70質量%以下の範囲であることが好ましい。
元素Mは、SiとともにSiM相を形成する元素であるため、合金の状態図より判断してその全量がSiと合金化するように添加することが好ましい。M量がSiと合金化できる量を上回ると、Siがすべて合金化され、容量の大幅な低下を招くので好ましくない。また、M量が少ないと、SiM相が少なくなり、Si相の膨張抑制効果が減少し、サイクル劣特性が低下してしまうので好ましくない。また、M相は異なる元素、M1相、M2相、M3相というように複数存在してもかまわない。Mの組成比はSiとの固溶限界が元素により異なるため具体的に限定することはできないが、SiとMが固溶限界まで合金化したとしてもなおSi相が存在するように考慮した組成比であることが好ましい。また、元素Mはリチウムと合金化しないので、不可逆容量を持つことがない。更に元素Mはアルカリ溶液に対して不溶であることが好ましい。
またXの組成比が多くなると、比抵抗が低減するものの、Si相が相対的に減少して充放電容量が低下してしまう。一方、Xの組成比が少ないと、負極活物質の比抵抗が高くなって充放電効率が低下する。このため、負極活物質におけるXの組成比は1質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましい。更に元素Xはアルカリ溶液に対して不溶であることが好ましい。
多相合金粉末の平均粒径は5μm以上30μm以下の範囲が好ましい。一般にSiが含まれる合金粉末はリチウム二次電池の既存負極材料として用いられている黒鉛粉末より抵抗が高いため、導電助材を使用することが好ましいが、平均粒径5μm以下になると、導電助材の粒径より多相合金粉末の平均粒径が小さくなる場合が生じ、導電助材の効果が得にくくなり、容量やサイクル特性などの電池特性が低下するので好ましくない。平均粒径が30μmを越えると、リチウム二次電池における負極活物質の充填密度が低下するので好ましくない。
また図1及び図2に示すように、多相合金粉末の粒子表面には、多数の微細孔15が形成されている。この微細孔15は、合金溶湯を急冷した後にアルカリ性溶液に含侵処理したことによって形成されたものであり、急冷直後において粒子表面に露出していたSi相が溶出した後の痕跡である。このようにSiが粒子表面に露出しないことで充電時の電解液との反応が抑制されるとともに、この微細孔5が形成されることによって多相合金粉末の比表面積が増大し、電解液との接触面積が大きくなって充放電効率が向上する。
微細孔15の平均孔径は10nm以上5μm以下の範囲が好ましい。また、微細孔15の深さは10nm以上1μm以下の範囲が好ましい。更に、多相合金粉末の比表面積は0.2m/g以上5m/g以下の範囲が好ましい。
この負極活物質は、例えば次のような方法で製造することができる。
負極活物質の製造方法は、Siと元素Mと元素Xを含有する急冷合金粉末を得る工程と、得られた急冷合金粉末をアルカリ性溶液に含侵処理する工程とから概略構成されている。以下、各工程を順に説明する。
まず、急冷合金粉末を製造する工程では、Siと元素Mと元素Xを含む合金溶湯を急冷して急冷合金粉末とする。合金溶湯は、上記元素M及び元素Xと、Siとを含むものであり、これらの単体あるいは合金を例えば高周波誘導加熱法により同時に溶解することによって得られる。
合金溶湯におけるまたSiの含有率は30質量%以上70質量%以下の範囲であることが好ましい。合金溶湯におけるSiの含有率が前記の範囲を外れると、Siが少なすぎてSi相が析出されなかったり、Si量が多すぎて膨張収縮しやすい負極活物質が得られてしまうので好ましくない。
合金溶湯を急冷する方法としては、例えば、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ロール急冷法等を用いることができる。ガスアトマイズ法及び水アトマイズ法では粉末状の急冷合金が得られ、ロール急冷法では薄帯状の急冷合金が得られる。薄帯状の急冷合金は更に粉砕して粉末にする。こうして得られた急冷合金粉末の平均粒径が、最終的に得ようとする多相合金粉末の平均粒径となる。従って、急冷合金粉末を得る際には、その平均粒径を5μm以上30μm以下の範囲に調整することが必要である。
合金溶湯から得られた急冷合金粉末は、組織全体が非晶質相である急冷合金、若しくは一部が非晶質相であるとともに残部が結晶質相粒からなる急冷合金、若しくは組織全体が結晶質相である急冷合金となる。また急冷合金粉末には、SiX相及びSiM相が必ず含まれ、かつX相とSiX相のいずれか一方または両方が含まれる。また、これらSi相、SiM相、X相、SiX相の各相は合金組織中で均一に混在した状態にある。
尚、急冷の際の急冷速度は、100K/秒以上であることが好ましい。急冷速度が100K/秒未満では、Si相、SiM相、X相、SiX相の各相が合金組織中で均一に析出しないおそれがあり、また各相の結晶の大きさが大きくなりすぎ、均一な膨張抑制効果、導電性付与効果が得にくくなるので好ましくない。
次に、急冷合金をアルカリ性溶液に含侵処理する工程では、急冷合金粉末の粒子表面に析出しているSi相を溶出除去する。具体的には、急冷合金粉末を、アルカリ性溶液に含浸させた後、洗浄及び乾燥を行う。含侵条件は室温で30分〜5時間程度ゆっくり攪拌しながら行う条件とするのがよい。またアルカリ性溶液としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液を用いるのがよく、濃度は1〜5Nの範囲がよい。
尚、ここで述べた含侵条件はあくまで目安であり、実際には粒子表面に析出していたSi相のみが溶出除去されるのを確認することで含侵条件を定めることができる。含侵処理を過度に行うと、表面のみならず粒子内部のSi相まで溶出除去させてしまい、負極活物質の充放電容量が低下してしまうので好ましくない。また粒子内部のSi相まで溶出されてしまうと、粒子自体の強度が低下するので好ましくない。更に、含侵条件が不十分だと、粒子表面にSi相が残存し、電解液の分解反応を起こしてしまうので好ましくない。
具体的には、Si相除去後の粉末の比表面積が、Si相除去前の急冷合金粉末の比表面積の1.2倍以上になるまでアルカリ性溶液による含侵処理を行うことが好ましい。比表面積が当初の1.2倍以上になるまで含侵処理を行うことで、表面のSiの一部またはすべてを除去することができ、電解液との反応を抑制することができる。
また、Si相除去後の粉末の比表面積が少なくとも、Si相除去前の急冷合金粉末の比表面積の50倍以下となるようにアルカリ性溶液による含侵処理を行うことが好ましい。これにより、必要以上のSiの溶解を阻止し、電池容量の減少を防止することができる。
上記の含侵処理を行うことにより、急冷合金粉末の粒子表面に析出しているSi相が溶出除去され、粒子表面にはSiM相とX相もしくはSiX相が残存する。また、Si相が除去された部分には微細孔が形成される。更に、粒子表面のSi相が除去されることで、粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量よりも少なくなる。
尚、元素M及び元素Xはアルカリ溶液に対して不溶であり、更にSiM相、SiX相もアルカリ溶液に溶けにくいのでSi相が優先して溶出することになる。
上記の製造方法によれば、元素Mと元素XとSiを含有する合金溶湯を急冷することによって、SiX相及びSiM相が必ず含まれ、かつX相とSiX相のいずれか一方または両方を有する急冷合金粉末が容易に形成される。そして、得られた急冷合金粉末をアルカリ性溶液に含侵させて粒子表面のSi相を除去することで、粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量よりも少なくなる。こうして得られた負極活物質は、電解液の分解反応を抑制させ、かつ粒子自体の膨張収縮量を少なくすることができ、サイクル特性を向上することが可能になる。
また、SiX相及びSiM相が必ず含まれ、かつX相とSiX相のいずれか一方または両方を含む多相合金粉末が容易に得られる。特にガスアトマイズ法または水アトマイズ法によれば、球状粉末が得られるので、負極活物質の充填密度を高めることができ、負極活物質のエネルギー密度を高めることが可能になる。
(非水電解液)
非水電解液としては、例えば、非プロトン性溶媒にリチウム塩が溶解されてなる有機電解液を例示できる。
非プロトン性溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等の非プロトン性溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの二種以上を混合した混合溶媒を例示でき、特にプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)のいずれか1つを必ず含むとともにジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)のいずれか1つを必ず含むものが好ましい。
また、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y十1SO)(ただしx、yは自然数)、LiCl、LiI等のうちの1種または2種以上のリチウム塩を混合させてなるものを例示でき、特にLiPFを含むものが好ましい。
また非水電解液に代えて、PEO、PVA等のポリマーに上記記載のリチウム塩のいずれかを混合させたものや、膨潤性の高いポリマーに有機電解液を含浸させたもの等、いわゆるポリマー電解質を用いても良い。
(セパレータ)
本発明のリチウム二次電池には、正極と負極を隔離するセパレータが備えられる。セパレータの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる微細多孔質膜が好ましい。
(負極と正極の電気容量)
本発明のリチウム二次電池においては、負極の電気容量が正極の電気容量の0.75倍以上に設定されていることが好ましく、1.4倍以上に設定されていることがより好ましい。また、負極の電気容量が正極の電気容量の3倍以下に設定されていると良い。負極の電気容量が正極の電気容量の0.75倍未満であると、負極活物質に対する充電深度が深くなり、負極の劣化が進んでサイクル特性が低下してしまうので好ましくない。また、負極の電気容量が正極の電気容量の3倍を越えると、リチウム二次電池全体の充放電容量が低下する。
また、正極および負極の電気容量は、各電極における正極活物質もしくは負極活物質の含有量によって調整することでき、これにより負極の電気容量を正極の電気容量の0.75倍以上に設定できる。例えば、正極及び負極としてシート状の電極を用いる場合には、正極合材もしくは負極合材の厚みを調整することで容量比を調整できる。
ここで、正極の電気容量は、正極活物質の単位質量あたりの理論容量に正極活物質の充填量を乗じた値を用いてもよく、正極を製造してその電気容量を実験的に求めた値でも良いが、特に、理論容量に充填量を乗じた前者の値を用いることが望ましい。理論容量はたとえば、LiCoOで274mA/g、LiMnで148mA/g、LiNiOで274mA/g、LiFeOで283mA/gの値を用いることが望ましい。
同様に、負極の電気容量は、Siの単位質量あたりの理論容量に負極活物質中のSiの正味充填量を乗じた値を用いる。特に、負極活物質として上記の多相合金粉末を使用する場合は、Siの単位質量あたりの理論容量にSi相の正味充填量を乗じた値を用いる。なお、Siの理論容量は2012mA/gの値を用いることが望ましい。
本実施形態のリチウム二次電池においては、負極の電気容量を正極の電気容量の0.75倍以上に設定することで、負極活物質に対する充電深度を浅くすることが可能になる。これにより、負極活物質を構成する多相合金粉末の膨張収縮を抑制して多相合金粉末の微粉化を防止できる。また、微粉化の防止によって多相合金粉末の表面積の拡大が抑制され、これにより電解液の分解が防止される。このようにして、容量比を上記の範囲に設定することで、負極の劣化を防止してサイクル特性を向上させることができる。
また、粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量より少なくされてなる多相合金粉末が負極活物質として備えられているので、粒子表面におけるSiによる電解液の分解が抑制され、サイクル特性を向上させることができる。粒子表面におけるSi相の量を少なくすることで、負極活物質の容量が不足してリチウム二次電池の充放電容量が低下するおそれがあるが、Si自体の理論容量がもともと高いので、充放電容量の低下を最小限の範囲に抑えることができ、サイクル特性の向上と高い充放電容量の確保を両立させることが可能になる。
なお、多相合金粉末の粒子表面におけるSi相の量と、粒子内部におけるSi相の量との比率は、例えば電子顕微鏡の面分析により測定することができる。本発明では、多相合金粉末の粒子表面上のSi含有量aと、粒子断面のSiの含有量bとの比が、0.5≦a/b ≦0.95に設定されることが望ましい。この比率(a/b)はたとえば、合金溶湯から得られた急冷合金粉末をアルカリ性溶液に含侵処理する際の処理条件を変更することで調整することができる。
リチウム二次電池を製造してサイクル特性および初期容量を評価した。
(実施例1)
電池の製造は次のようにして行った。まず、平均粒径10μmのLiCoOからなる正極活物質と、ポリフッ化ビニリデンからなる結着剤と、平均粒径3μmの炭素粉末からなる導電助材とを混合し、更にN−メチル−2−ピロリドンを混合して正極スラリーとした。この正極スラリーを、ドクターブレード法により厚み20μmのアルミニウム箔からなる集電体上に塗布し、真空雰囲気中で120℃、24時間乾燥させてN−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、圧延した。このようにして正極活物質を含む合材が集電体に積層されてなる正極を製造した。
また、以下の手順で多相合金粉末からなる負極活物質を製造した。まず、5mm角程度の大きさの塊状のSiを65質量部と、Ni粉末を25質量部と、Ag粉末10質量部をそれぞれ用意し、これらを混合してからアルゴン雰囲気中において高周波加熱法により溶解して合金溶湯とした。この合金溶湯を80kg/cmの圧力のヘリウムガスを用いたガスアトマイズ法によって急冷することにより、平均粒径10μmの急冷合金粉末を得た。このときの急冷速度は1×10K/秒であった。
次に、得られた急冷合金粉末30gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液500ml中に入れ、室温でゆっくり攪拌しながら1時間かけて含侵処理した。その後、ナトリウムの残留がないように純水で十分に洗浄してから乾燥した後、粒度の調整を行って平均粒径12μmとした。このようにして、負極活物質を製造した。この負極活物質については、X線回折および電子顕微鏡による形態観察を行った。
得られた負極活物質を70質量部と、平均粒径3μmの黒鉛粉末を20質量部と、ポリフッ化ビニリデンからなる結着剤10質量部とを混合し、更にN−メチル−2−ピロリドンを混合して負極スラリーとした。この負極スラリーを、ドクターブレード法により厚み14μmのCu箔からなる集電体上に塗布し、真空雰囲気中で120℃、24時間乾燥させてN−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、圧延した。このようにして負極活物質を含む密度2.5g/cmの合材が集電体に積層されてなる負極を製造した。
更に、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=30:70で混合させてなる混合溶媒に、1.3モル/Lの濃度となるようにLiPFを添加した。このようにして非水電解液を調製した。
上記の正極と負極との間にポリプロピレン製多孔質セパレータを配置してこれらを捲回した状態で電池ケースに収納し、上記の電解液を注液してから電池ケースを密閉することにより、円筒型の実施例1のリチウム二次電池を製造した。このとき、負極の電気容量が正極の電気容量の1.5倍となるように容量比を調整した。容量比の調整は、負極合材の厚みを調整することにより行った。
(実施例2)
負極の電気容量が正極の電気容量の1.35倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウム二次電池を製造した。
(実施例3)
負極の電気容量が正極の電気容量の0.88倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のリチウム二次電池を製造した。
(実施例4)
負極電極の電気容量が正極電極の電気容量の0.77倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のリチウム二次電池を製造した。
(実施例5)
負極活物質を製造する際の水酸化ナトリウム水溶液による含侵処理時間を2時間とし、負極の電気容量が正極の電気容量の1.35倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5のリチウム二次電池を製造した。
(実施例6)
負極活物質を製造する際の水酸化ナトリウム水溶液による含侵処理時間を4時間とし、負極の電気容量が正極の電気容量の1.35倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6のリチウム二次電池を製造した。
(比較例1)
負極活物質を製造する際の水酸化ナトリウム水溶液による含侵処理時間を0時間とし、負極の電気容量が正極の電気容量の1.50倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウム二次電池を製造した。
(比較例2)
負極活物質を製造する際の水酸化ナトリウム水溶液による含侵処理時間を0時間とし、負極の電気容量が正極の電気容量の0.70倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のリチウム二次電池を製造した。
(比較例3)
負極活物質を製造する際におけるSiとNiとAgの組成比を質量比でSi:Ni:Ag=58:22:10とし、水酸化ナトリウム水溶液による含侵処理時間を0時間とし、負極の電気容量が正極の電気容量の1.50倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のリチウム二次電池を製造した。
(比較例4)
負極の電気容量が正極の電気容量の0.68倍となるように容量比を調整したこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のリチウム二次電池を製造した。
得られたリチウム二次電池を15時間エージングし、0.2Cで4.15Vまで定電流充電してから電流値が0.01Cになるまで定電圧充電する定電流定電圧充電を行い、次に、0.2Cで2.75Vまで放電する定電流放電を行って初期充放電を行った。
そして、初期充放電後のリチウム二次電池について、1C(0.8mA)で4.15Vまで定電流充電してから電流値が0.01Cになるまで定電圧充電する定電流定電圧充電を行い、次に、1C(0.8mA)で2.75Vまで放電する定電流放電を1サイクルとし、この充放電サイクルを100サイクルまで行って、リチウム二次電池の100サイクル後の容量維持率を調査した。結果を表1に示す。また、1サイクル目となる0.2C放電時の放電容量を表1に合わせて示す。なお、1サイクル目の放電容量は実施例1の放電容量を100とした場合の割合で示す。更に、負極活物質中のSi相の含有量と、Ag含有量を測定した。結果を表1に合わせて示す。なお、Si相の含有量は、負極活物質中の全Si量である。
Figure 0004994590
負極活物質についてX線回折を行ったところ、Si結晶質相と、NiSiなる組成の結晶質相とAg結晶質相が混在した組織が確認された。また、負極活物質について電子顕微鏡によって形態観察を行ったところ、表面に微細孔が多数形成されていることが確認された。この微細孔は、表面に露出していたSi相が溶出して形成されたものと思われる。また、粒子表面についてX線による元素分析を行ったところ、表面はNiSi相で占められ、Si相はほとんど検出されなかった。これはアルカリ性溶液による含浸処理のよって表面のSi相が除去されたためである。従ってX線回折により検出されたSi相は、粒子の内部に存在するものと考えられる。
表1において、実施例1−4を比較すると、合金粒子の表面のSi相をアルカリ溶液で除去した場合には、容量比が大きいほどサイクル寿命が向上することがわかる。これは、容量比の大きいものほど負極活物質中のSi相の利用率が低下し、更に充電深度が低下したことによって、負極の膨張収縮が抑制され、1Cのような比較的高い電流率で充放電を繰り返しても負極活物質を構成する粒子の崩壊が起こりにくく、また電極内に空隙が生じにくくなったためと考えられる。
次に、実施例2、5、6を比較すると、NaOH処理時間が長いほど主たる活物質であるSi相が少なくなり、活物質あたりの容量が低下していることがわかる。この3つの例の容量比は1.35で同一だが、Si相の減少にともなう膨張率の低下によるサイクル特性の向上がみられる。電池内部の全Si量は同じであるが、NaOH処理を進めることによって、活物質粒子の膨張率を抑え、良好なサイクル特性が得られる。一方、NaOH処理が少ない実施例2では、Si相の量が実施例5、6より大きい為、容量比が大きくなり、電池内部における負極の電気容量が大きくなる。しかし、負極活物質粒子の膨張が大きい為、結果的にNaOH処理時間が長い実施例5および6よりもサイクル特性が低下している。
また、比較例1、2に示すように、合金粒子表面のSi相を化学処理により除去しない場合、容量比を1.5倍と高くしてもサイクル特性の劣化が著しい。これは、合金粒子表面のSi相が電解液と反応すること、また最表面のSi相が膨張することによってSi相、SiM相、SiX相等の粒界に亀裂が生じやすくなることに起因しているものと考えられる。更に比較例4に示すように、容量比が0.75倍未満になると、容量維持率が大幅に低下することがわかる。
以上の結果から、充放電容量およびサイクル特性を良好に保つためには、容量比を0.75倍以上とし、負極活物質のNaOH処理時間を1から3時間の範囲とすることが良いことがわかる。
本発明の実施形態であるリチウム二次電池の負極活物質を示す模式図。 本発明の実施形態であるリチウム二次電池の負極活物質を示す断面模式図。
符号の説明
11…多相合金粉末の粒子、12…Si相、13…SiM相、14…X相、15…微細孔

Claims (2)

  1. 正極活物質が含まれてなる正極と、Siを主体とする負極活物質が含まれてなる負極とが少なくとも備えられ、前記負極の理論容量と負極活物質の質量比を乗じて計算される電気容量が前記正極の理論容量と正極活物質の質量比を乗じて計算される電気容量の0.75倍以上に設定され
    前記負極活物質は、Si相及びSiM相が必ず含まれ、かつX相またはSiX相のいずれか一方または両方が含まれる多相合金粉末からなり、前記多相合金粉末の粒子表面におけるSi相の量が粒子内部におけるSi相の量より少なくされ、
    前記MはNi、Co、As、B、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Yのうちの少なくとも1種以上の元素であり、元素XはAg、Cu、Auのうちの少なくとも1種以上の元素であり、Cuは元素Mと元素Xに同時に選択されないものとすることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記負極活物質は、Siと元素Mと元素Xを含有する急冷合金粉末を得る工程と、
    前記急冷合金粉末をアルカリ性溶液に含浸処理する工程と、
    を含む方法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
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