JP4989411B2 - プレキャストコンクリート部材の接合構造、及びプレキャストコンクリート部材の接合方法 - Google Patents
プレキャストコンクリート部材の接合構造、及びプレキャストコンクリート部材の接合方法 Download PDFInfo
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すなわち、上部材(PCa製水平構造体308、PCa製柱336)を下部材(PCa製柱302、PCa製水平構造体330)上に載置した後、建て方精度を向上させるために、この上部材を水平方向に移動させて位置調整をすることが難しくなる。
下部材又は上部材には、孔又は空間からなる挿入部が形成されている。また、上部材又は下部材には、接合部材が収容されている。
そして、この接合部材が、上部材又は下部材から引き出され、挿入部に挿入されて、下部材と上部材とを接合する。
このため、下部材上に載置した上部材を横方向又は水平に移動させることができる。よって、下部材上に上部材を載置した後、建て方精度を向上させるために上部材の位置調整ができる。
また、柱梁仕口部材及びこの柱梁仕口部材と一体化した梁部材によって構成される2つの水平部材を隣り合わせて柱部材上に載置し、これらの水平部材の梁部材同士を接合する場合、接合部材は水平部材の柱梁仕口部材又は柱部材に収容されており、水平部材の柱梁仕口部材又は柱部材から突出していない。これにより、隣り合って配置される水平部材の一方を横方向又は水平に移動させて水平部材の梁部材同士を接合する接合方法を採用することができる。
このような、梁部材(水平部材)を横移動又は水平移動して梁部材同士を接合する方法は、梁部材の端面同士を密着させるか、又は梁部材の端面同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。
すなわち、梁部材同士の接合部に型枠を設けてコンクリートを後打ちする作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
また、接合時に接合部材を引き出すために手や工具などを入れる大きな作業空間を上部材に形成しなくてよい。よって、この作業空間をグラウト充填するための手間や型枠設置作業等が不要となる。
よって、下部材及び上部材に設けられた柱鉄筋の配置や本数に大きな拘束を受けることなく、接合部材としての棒材を配置することができる。
次に、下部材又は上部材に形成された挿入部に引き出した接合部材を挿入し、下部材と上部材とを接合する。この挿入部は、孔又は空間によって構成されている。
このため、下部材上に載置した上部材を横方向又は水平に移動させることができる。よって、下部材上に上部材を載置した後、建て方精度を向上させるために上部材の位置調整ができる。
また、柱梁仕口部材及びこの柱梁仕口部材と一体化した梁部材によって構成される2つの水平部材を隣り合わせてそれぞれの柱部材上に載置し、これらの水平部材の梁部材同士を接合する場合、接合部材は水平部材の柱梁仕口部材又は柱部材に収容されており、水平部材の柱梁仕口部材又は柱部材から突出していない。これにより、隣り合って配置される水平部材の一方を横方向又は水平に移動させて、水平部材の梁部材同士を接合する接合方法を採用することができる。
このような、梁部材(水平部材)を横移動又は水平移動して梁部材同士を接合する方法は、梁部材の端面同士を密着させるか、又は梁部材の端面同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。
すなわち、梁部材同士の接合部に型枠を設けてコンクリートを後打ちする作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
よって、下部材及び上部材に設けられた柱鉄筋の配置や本数に大きな拘束を受けることなく、接合部材としての棒材を配置することができる。
また、上柱部材14の下端部には、上柱部材14の下端面から突出しないように上柱部材14の外周に沿って12本のシース管20が埋設され、これにより孔22を形成している。
また、下柱部材12の上端部には、下柱部材12の上端面から突出しないように下柱部材12の外周に沿って12本のシース管30が埋設され、これにより挿入部としての孔32を形成している。
なお、柱鉄筋24と柱鉄筋28の径の大きさや、シース管20とシース管30の内径及び外径の大きさは同じでなくてもよい。柱鉄筋24と柱鉄筋28の径の大きさが異なっている場合には、異なった径の柱鉄筋同士の接続が可能な中空管を用いればよい。
次に、下柱部材12と上柱部材14とを接合する。接合方法は、図1(A)、(B)に示すように、上柱部材14の孔22に収容されている中空管26を自重によって下降させ、上柱部材14の孔22から中空管26を引き出して下柱部材12の上端部に形成された挿入部としての孔32に挿入する。このとき、下柱部材12に設けられた柱鉄筋28の端部が中空管26に挿入される。図1(A)は、下柱部材12と上柱部材14とを接合する前の状況を示し、図1(B)は、下柱部材12と上柱部材14とを接合した状況を示している。
また、接合部材としての中空管26が自重により下降して下柱部材12と上柱部材14とを接合するので、接合作業を容易に行うことができる。
また、接合時に中空間26を引き出すために手等を入れる大きな作業空間を上柱部材14に形成しなくてよい。よって、この作業空間をグラウト充填するための手間や型枠設置作業等が不要となる。
また、柱梁仕口部材48の上端部には、柱梁仕口部材48の上端面から突出しないように柱梁仕口部材48の外周に沿って12本のシース管30が埋設され、これにより挿入部としての孔32を形成している。
また、柱梁仕口部材56の下端部には、柱梁仕口部材56の下端面から突出しないように柱梁仕口部材56の外周に沿って12本のシース管20が埋設され、これにより孔22を形成している。
また、PCa部材の接合構造60は、図19で示したような在来の梁部材同士の接合方法と併用して用いてもよい。
このような、梁部材(水平部材)を横移動又は水平移動して梁部材同士を接合する方法は、梁部材の端面同士を密着させるか、又は梁部材の端面同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。
すなわち、梁部材同士の接合部に型枠を設けてコンクリートを後打ちする作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
図8(A)の正面図に示すように、PCa部材の接合構造72では、PCaによって形成された下部材としての下柱部材74上に、Pcaによって形成された上部材としての上柱部材76が載置される。
下柱部材74の上端部には挿入部としての直方体状の空間Qが形成され、この空間Q内に柱鉄筋28の端部が突出している。下柱部材74の上端面には開口部82が設けられ、下柱部材74の上端部側面の一方には開口部84が設けられている。そして、この開口部82、84が空間Qとつながっている。すなわち、空間Qの3つの側面が壁で覆われている。
柱鉄筋24と柱鉄筋28の径の大きさは同じであり、柱鉄筋24と柱鉄筋28の平面配置は同じになっている。すなわち、柱鉄筋24と柱鉄筋28の端面同士は対向している。
なお、柱鉄筋24と柱鉄筋28の径の大きさは同じでなくてもよい。柱鉄筋24と柱鉄筋28の径の大きさが異なっている場合には、異なった径の柱鉄筋同士の接続が可能な中空管を用いればよい。
次に、下柱部材74と上柱部材76とを接合する。接合方法は、図8(A)、(B)に示すように、上柱部材76の下端部に形成された空間Pに収容されている中空管26を自重によって下降させ、上柱部材76の空間Pから引き出して下柱部材74の上端部に形成された挿入部としての空間Qに挿入する。このとき、下柱部材74に設けられた柱鉄筋28の端部が中空管26に挿入される。図8(A)は、下柱部材74と上柱部材76とを接合する前の状況を示し、図8(B)は、下柱部材74と上柱部材76とを接合した状況を示している。
中空管26の空間Pへの収容方法や空間Pからの引き出し方法は、図4で示した方法と同様である。
また、接合部材としての中空管26が自重により下降して下柱部材74と上柱部材76とを接合するので、接合作業を容易に行うことができる。
また、下柱部材74上に上柱部材76を載置したときに、中空管26は上柱部材76に形成された空間Pに収容されており、上柱部材76から突出していない。これにより、下柱部材74上に載置した上柱部材76を横方向又は水平に移動させることができる。すなわち、下柱部材74上に上柱部材76を載置した後、上柱部材76の位置調整ができる。
このような、梁部材(水平部材)を横移動又は水平移動して梁部材同士を接合する方法は、梁部材の端面同士を密着させるか、又は梁部材の端面同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。
すなわち、梁部材同士の接合部に型枠を設けてコンクリートを後打ちする作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
また、空間P、Qを覆う側壁の内側にコッターを設ければ、硬化材を充填した後に、硬化した硬化材と側壁との接合強度が増すので好ましい。
上柱部材106の内部には、上柱部材106の外周に沿って12本の柱鉄筋24が配置されている。図13(A)に示すように、柱鉄筋24は、この柱鉄筋24の下端部が上柱部材106の下端面から突出しないように配置されている。
また、柱鉄筋24及び中空管108を囲むせん断補強筋34が鉛直方向に一定の間隔で複数配置され、上柱部材106を形成するコンクリートVによって一体となっている。
下柱部材104の上端部には、下柱部材104の上端面から突出しないように下柱部材104の外周に沿って12本の中空管112が埋設され、これにより孔114を形成している。中空管112は、隣り合った柱鉄筋28の間に配置されている。また、中空管112の孔114の下端部には、下柱部材104の内部に埋設され柱鉄筋28と略平行に配置された鉄筋棒118が挿入されている。
柱鉄筋24と柱鉄筋28の径は同じであり、中空管108と中空管112の内径及び外径は同じである。また、柱鉄筋24と柱鉄筋28の中心位置の平面配置、及び中空管108と中空管112の中心位置の平面配置は同じになっている。すなわち、柱鉄筋24と柱鉄筋28の端面同士、及び中空管108と中空管112の端部開口面同士は対向している。
次に、下柱部材104と上柱部材106とを接合する。接合方法は、図13(A)、(B)に示すように、上柱部材106に設けられた中空管108の孔110に収容されている棒材としての鉄筋棒116を自重によって下降させ、中空管108の孔110からこの鉄筋棒116を下方に引き出して、下柱部材104の上端部に設けられた中空管112の挿入部としての孔114に挿入する。図13(A)は、下柱部材104と上柱部材106とを接合する前の状況を示し、図13(B)は、下柱部材104と上柱部材106とを接合した状況を示している。
また、接合部材としての鉄筋棒116が自重により下降して下柱部材104と上柱部材106とを接合するので、接合作業を容易に行うことができる。
また、下柱部材104上に上柱部材106を載置したときに、鉄筋棒116は上柱部材106に設けられた中空管108の孔110に収容されており、上柱部材106から突出していない。これにより、下柱部材104上に載置した上柱部材106を横方向又は水平に移動させることができる。すなわち、下柱部材104上に上柱部材106を載置した後、上柱部材106の位置調整ができる。
また、柱鉄筋24、28よりも鉄筋棒116、118の本数が少なくなる場合には、鉄筋棒116、118の径を太くするのが、十分な接合強度を確保する上で好ましい。
このような、梁部材(水平部材)を横移動又は水平移動して梁部材同士を接合する方法は、梁部材の端面同士を密着させるか、又は梁部材の端面同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。
すなわち、梁部材同士の接合部に型枠を設けてコンクリートを後打ちする作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
また、第1及び第2の実施形態では、接合させる部材に設けられた柱鉄筋24と柱鉄筋28との全てを中空管26によって接合した例を示したが、十分な接合強度が得られれば、全ての柱鉄筋同士を接合しなくてもよい。中空管26の配置や本数は適宜決めればよい。接合強度上、コーナー部に配置された柱鉄筋同士を接合するのが好ましい。
中空管をねじ込み式の機械式継手とした場合、第2の実施形態では、空間P、Q、M、Nが形成され、開口部からこの空間P、Q、M、Nに手や工具などを入れることができるので、柱鉄筋28に中空管26をねじ込む作業を容易に行うことができる。また、第3の実施形態において、中空管108、112をねじ込み式の機械式継手とする場合には、図15、及び図15のD−D断面である図16に示すようなPCa部材の接合構造126や、図17、及び図17のE−E断面である図18に示すようなPCa部材の接合構造128にすれば、開口部から空間に手や工具などを入れることが可能になるので、中空管112に鉄筋棒116をねじ込む作業を容易に行うことができる。
また、第1〜第3の実施形態における柱鉄筋24、28は、部材内に設けられているものであればよく、部材内に埋設された柱鉄筋でもよいし、部材に形成された貫通孔に挿入され挿入後に硬化材で部材に定着する柱鉄筋でもよい。
12、74、98、104 下柱部材(下部材)
14、76、94、106、130、134 上柱部材(上部材)
24、28 柱鉄筋
26 中空管(接合部材)
32 孔(挿入部)
48、56、90、124 柱梁仕口部材
116 鉄筋棒(棒材、接合部材)
N、Q 空間(挿入部)
Claims (9)
- プレキャストコンクリートによって形成された下部材と、
プレキャストコンクリートによって形成され、前記下部材上に載置される上部材と、
前記下部材又は前記上部材に形成され、孔又は空間からなる挿入部と、
前記上部材又は前記下部材に収容されると共に、前記上部材又は前記下部材から引き出されて前記挿入部へ挿入され、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋とのそれぞれに対し長手方向に重なるように配置されて前記下部材と前記上部材とを接合する接合部材と、
を有することを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合構造。 - 前記下部材と前記上部材は、柱部材と柱部材、柱部材と柱梁仕口部材、又は柱梁仕口部材と柱部材であることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
- 前記接合部材は、前記上部材に収容されると共に、前記下部材と前記上部材とを接合するときに自重により下降して前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋とを接続することを特徴とする請求項1又は2に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
- 前記接合部材は、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋とを接続する中空管であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
- 前記接合部材は、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋との隣りに配置されて前記下部材と前記上部材とを接合する棒材であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
- プレキャストコンクリートによって形成された下部材とプレキャストコンクリートによって形成されて前記下部材上に載置された上部材とを接合するプレキャストコンクリート部材の接合方法において、
前記上部材又は前記下部材に収容されている接合部材を前記上部材又は前記下部材から引き出し、前記下部材又は前記上部材に形成され孔又は空間からなる挿入部に挿入し、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋とのそれぞれに対し長手方向に重なるように配置されて前記下部材と前記上部材とを接合することを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合方法。 - 前記下部材と前記上部材は、柱部材と柱部材、柱部材と柱梁仕口部材、又は柱梁仕口部材と柱部材であることを特徴とする請求項6に記載のプレキャストコンクリート部材の接合方法。
- 前記接合部材は、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋とを接続する中空管であることを特徴とする請求項6又は7に記載のプレキャストコンクリート部材の接合方法。
- 前記接合部材は、前記下部材に配置された鉄筋と前記上部材に配置された鉄筋との隣りに配置されて前記下部材と前記上部材とを接合する棒材であることを特徴とする請求項6又は7に記載のプレキャストコンクリート部材の接合方法。
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