以下、本発明を図に基づいて説明する。図1は、鉄道車両の平面図である。図2は、鉄道車両の正面図である。図3は、一実施の形態における車体姿勢制御装置の概念的に示した図である。図4は、一体化した第一開閉弁および第二開閉弁の具体的な構成を示した図である。図5は、一体化した第一開閉弁および第二開閉弁の具体的な他の構成を示した図である。図6は、一体化した第一開閉弁および第二開閉弁の具体的な別の構成を示した図である。図7は、車体姿勢制御装置におけるダンパの鉄道車両に対する配置の一例を示した図である。図8は、車体姿勢制御装置におけるダンパの鉄道車両に対する配置の一例を示した図である。図9は、車体姿勢制御装置におけるダンパの鉄道車両に対する配置の一例を示した図である。図10は、車体姿勢図11は、車体姿勢制御装置におけるダンパの鉄道車両に対する配置の一例を示した図である。図12は、車体姿勢制御装置におけるダンパの鉄道車両に対する配置の一例を示した図である。
この車体姿勢制御装置1は、基本的には、乗用車、バス、トラックおよび鉄道車両に適用することが可能であるが、説明の都合上、本実施の形態にあっては、鉄道車両Vに適用した例を用いて説明する。
この車体姿勢制御装置1が適用される鉄道車両Vは、図1に示すように、車体Bと、車体Bの進行方向に対して前後に配置され気体バネAを介して車体Bを支持する台車T1,T2とを備えて構成され、車体Bは、それぞれ台車T1,T2に対して点a回りに回動可能とされている。また、図2に示すように、車体Bと各台車T1(T2)との間には、車両進行方向に対して左右に気体バネAが介装され、左右の気体バネAの一方に気体を供給することによって、図2中破線で示すように、車体Bを台車T1(T2)に対して一方に傾斜させることができるようになっている。
他方、車体姿勢制御装置1は、図2および図3に示すように、鉄道車両Vの台車T1(T2)と車体Bとの間に車両進行方向に対して左右に配置されて介装されるダンパ2R,2Lを備えている。
そして、ダンパ2R,2Lは、それぞれ、シリンダ10と、シリンダ10内に摺動自在に挿入されてシリンダ10内を第一室R1と第二室R2とを区画するピストン11と、ピストン11が連結されるロッド12と、シリンダ10に対してピストン11が変位するときの液体の流れに抵抗を与える減衰弁13,14と、タンク15から第一室R1へ向かう液体の流れのみを許容する第一供給路16と、タンク15から第二室R2へ向かう液体の流れのみを許容する第二供給路17と、第一室R1からタンク15へ向かう液体の流れのみを許容し液体の減衰弁通過を抑制する第一排出路18と、第二室R2からタンク15へ向かう液体の流れのみを許容し液体の減衰弁通過量を抑制する第二排出路19と、第一排出路18の途中に設けた第一開閉弁20と、第二排出路19の途中に設けた第二開閉弁21とを備えて構成され、シリンダ10内の第一室R1と第二室R2には液体が充填されて、いわゆる両ロッド型のダンパとされている。
さらに、一方のダンパ2Rにおける第一開閉弁20は当該ダンパ2Rの第一室R1内の圧力が他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力を所定量上回ると第一排出路18を開放するとともに上記一方のダンパ2Rにおける第二開閉弁21は当該ダンパ2Rの第二室R2内の圧力が上記他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力を所定量上回ると第二排出路19を開放するようになっている。
そして、図示するところでは、ロッド12の上端を車体Bに連結し、ブラケット10aを介してシリンダ10を台車T1(T2)へ連結することによって、ダンパ2R,2Lを車体Bと台車T1(T2)との間に介装している。
ダンパ2R,2Lについて詳細に説明すると、第一室R1は、第一供給路16を介してタンク15に接続され、この第一供給路16の途中には、逆止弁16aが設けられ、タンク15から第一室R1へ向かう液体の流れのみを許容している。また、第一室R1は、第一排出路18を介してタンク15に接続され、この第一排出路18の途中には、第一開閉弁20が設けられ、第一開閉弁20が第一排出路18を開放する場合には、第一室R1内の液体をタンク15へ排出可能となるが、第一開閉弁20が第一排出路18を閉塞する場合には、第一室R1内の液体は第一排出路18を介してタンク15へ排出されないようになっている。
他方、第二室R2は、第二供給路17を介してタンク15に接続され、この第二供給路17の途中には、逆止弁17aが設けられ、タンク15から第二室R2へ向かう液体の流れのみを許容している。また、第二室R2は、第二排出路19を介してタンク15に接続され、この第二排出路19の途中には、第二開閉弁21が設けられ、第二開閉弁21が第二排出路19を開放する場合には、第二室R2内の液体をタンク15へ排出可能となるが、第二開閉弁21が第二排出路19を閉塞する場合には、第二室R2内の液体は第二排出路19を介してタンク15へ排出されないようになっている。
さらに、ピストン11は、ロッド12の中央部に連結され、上記した第一室R1と第二室R2とを連通する第一減衰通路22および第二減衰通路23が設けられている。この第一減衰通路22の途中には、第一室R1から第二室R2へ向かう液体の流れのみを許容し、かつ、通過する液体に流れに抵抗を与える減衰弁13が設けられ、他方の第二減衰通路23の途中には、第二室R2から第一室R1へ向かう液体の流れのみを許容し、かつ、通過する液体に流れに抵抗を与える減衰弁14が設けられている。
つづいて、ダンパ2R(2L)における第一開閉弁20とダンパ2L(2R)における第二開閉弁21は、組とされて、ダンパ2R,2Lの中央に別体とされて配置されるハウジングたるセンターブロック30,30内に設けられている。
また、タンク15は、ダンパ2R,2Lのシリンダ10の外周を覆う外筒24を設けて、シリンダ10と外筒24との間に形成されており、各ダンパ2R,2Lのそれぞれにタンク15を備えさせている。したがって、ダンパ2R,2Lとセンターブロック30,30との接続配管は第一排出路18および第二排出路19のみとなるので、車体姿勢制御装置1における配管が簡単となり、鉄道車両Vへの搭載性も向上することになる。なお、各ダンパ2R,2Lのそれぞれにタンク15を備えさせているが、タンク15を別個に一つ設けるようにしてもよい。
さらに、ダンパ2R,2Lがタンク15を外周側に備えた複筒型に設定されており、第一開閉弁20および第二開閉弁21をそれぞれ備えたセンターブロック30,30から排出される液体をタンク15へ戻す構成を採用しているので、ダンパ2R,2Lとセンターブロック30,30との接続に際し、エア抜きの必要がなく、定量の液体を注入するだけでよく、車体姿勢制御装置1の製造が容易となる。
また、ダンパ2R,2Lおよびセンターブロック30,30内のエアが混入した場合にあっても、各ダンパ2R,2Lを作動させることによって、エア交じりの液体がタンク15を循環することによって、上記エアを抜くことが可能となり、取り扱いが容易で、機能を復帰させることができる。
したがって、これらダンパ2R,2Lにおけるシリンダ10に対してピストン11が図3中上方に変位する場合、第一開閉弁20が閉じている状態では、第一室R1の容積が減少しても第一室R1内の液体は第一排出路18を介してタンク15へ移動不能であるので、減衰弁13を押し開いて第一減衰通路22を介して第二室R2へ移動する。他方、容積が増大する第二室R2では、第一室R1から第一減衰通路22を介して液体が供給されることになる。この場合、液体が減衰弁13を通過し圧力損失が生じるので、これらダンパ2R,2Lは、この圧力損失に見合った減衰力を発生することになる。
さらに、シリンダ10に対してピストン11が図3中上方に変位する場合であっても第一開閉弁20が開いている状態では、第一室R1の容積減少分の液体は第一排出路18を介してタンク15へ移動することになり、第一減衰通路22を介して第二室R2へ移動しないようになる。他方、容積が増大する第二室R2では、タンク15から第二供給路17を介して液体が供給されることになる。この場合、液体は減衰弁13を通過しないようになるので圧力損失が生じず、これらダンパ2R,2Lは、減衰力を発生しないことになる。
逆に、これらダンパ2R,2Lにおけるシリンダ10に対してピストン11が図3中下方に変位する場合、第二開閉弁21が閉じている状態では、第二室R2の容積が減少しても第二室R2内の液体は第二排出路19を介してタンク15へ移動不能であるので、減衰弁14を押し開いて第二減衰通路23を介して第一室R1へ移動する。他方、容積が増大する第一室R1では、第二室R2から第二減衰通路23を介して液体が供給されることになる。この場合、液体が減衰弁14を通過し圧力損失が生じるので、これらダンパ2R,2Lは、この圧力損失に見合った減衰力を発生することになる。
さらに、シリンダ10に対してピストン11が図3中下方に変位する場合であっても第二開閉弁21が開いている状態では、第二室R2の容積減少分の液体は第二排出路19を介してタンク15へ移動することになり、第二減衰通路23を介して第一室R1へ移動しないようになる。他方、容積が増大する第一室R1では、タンク15から第一供給路16を介して液体が供給されることになる。この場合、液体は減衰弁13を通過しないようになるので圧力損失が生じず、これらダンパ2R,2Lは、減衰力を発生しないことになる。
なお、厳密には液体が各流路を通過する際の圧力損失をゼロにすることができないので、ダンパ2R,2Lが減衰力を発生しないという表現には、減衰力が略ゼロとなる状態も含まれる。
そして、上述したように、第一開閉弁20および第二開閉弁21は、開いた状態となると、液体が減衰弁13,14を通過することを抑制する機能を発揮し、これらダンパ2R,2Lが減衰力を発生するか否かは、上記した第一開閉弁20および第二開閉弁21の開閉によって制御されることになる。
本実施の形態にあっては、一方のダンパ2Rにおける第一開閉弁20は、ダンパ2Rの第一室R1内の圧力と他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力をパイロット圧として開閉動作する開閉弁であって、ダンパ2Rの第一室R1内の圧力が他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力を所定量上回ると、開弁動作して第一排出路18を開放するように設定され、他方のダンパ2Lにおける第一開閉弁20も、ダンパ2Lの第一室R1内の圧力と一方の相手方のダンパ2Rの第二室R2内の圧力をパイロット圧として開閉動作する開閉弁であって、他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力が一方のダンパ2Rの第二室R2内の圧力を所定量上回ると、開弁動作して第一排出路18を開放するように設定されている。
さらに、一方のダンパ2Rにおける第二開閉弁21は、ダンパ2Rの第二室R2内の圧力と他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力をパイロット圧として開閉動作する開閉弁であって、ダンパ2Rの第二室R2内の圧力が他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力を所定量上回ると、開弁動作して第二排出路19を開放するように設定され、他方のダンパ2Lにおける第二開閉弁21も、ダンパ2Lの第二室R2内の圧力と一方の相手方のダンパ2Rの第一室R1内の圧力をパイロット圧として開閉動作する開閉弁であって、他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力が一方のダンパ2Rの第一室R1内の圧力を所定量上回ると、開弁動作して第二排出路19を開放するように設定されている。
すなわち、対を成すダンパ2R,2Lにおける第一開閉弁20は、自分方ダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力を所定量上回ると開放動作し、第二開閉弁21は、自分方ダンパ2R(2L)の第二室R2内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第一室R1内の圧力を所定量上回ると開放動作することになる。
詳しくは、第一開閉弁20は、ハウジングたるセンターブロック30内に設けられ、弁体31と、第一排出路18を閉じる方向に弁体31を附勢するバネ32とを備えて構成されており、自分方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力はバネ32の附勢力に抗する向きのパイロット圧として、相手方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力はバネ32の附勢力と同じ向きのパイロット圧として、それぞれ弁体31に作用させるようになっている。また、第二開閉弁21も略同様の構成とされ、センターブロック30内に設けられ、弁体31と、第二排出路19を閉じる方向に弁体31を附勢するバネ32とを備えて構成されており、第二開閉弁21にあっては、自分方のダンパ2R(2L)の第二室R2内の圧力はバネ32の附勢力に抗する向きのパイロット圧として、相手方のダンパ2L(2R)の第一室R1内の圧力はバネ32の附勢力と同じ向きのパイロット圧として、それぞれ弁体31に作用させるようになっている。
したがって、第一開閉弁20は、自分方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力を上回ってバネ32を圧縮して弁体31を後退させるようになると、第一排出路18が開放されるようになり、他方の第二開閉弁21は、自分方のダンパ2R(2L)の第二室R2内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第一室R1内の圧力を上回ってバネ32を圧縮して弁体31を後退させるようになると、第二排出路19が開放されるようになる。
そして、上記所定量は、バネ32の附勢力の設定によって決せられ、この所定量は、この実施の形態の場合、限りなく小さな量とされ、基本的には、自分方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力を上回って差が生じると、第一開閉弁20が第一排出路18を開放するように設定され、他方の第二開閉弁21にあっても、自分方のダンパ2R(2L)の第二室R2内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)の第一室R1内の圧力を上回って差が生じると、第二排出路19を開放するように設定されている。
したがって、このダンパ2R(2L)にあっては、ピストン11が図3中上昇するように変位するときに、自分方のダンパ2R(2L)における第一室R1内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)における第二室R2内の圧力を上回ると、減衰力を発生しない状態となり、逆に、ピストン11が図3中下降するように変位するときに、自分方のダンパ2R(2L)における第二室R2内の圧力が相手方のダンパ2L(2R)における第一室R1内の圧力を上回ると、減衰力を発生しない状態となる。
また、上記した一つのセンターブロック30内に組として収容される一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20および他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21の構成は、図4に示すように、スプールを用いて一体的に構成することができる。
詳しく説明すると、一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20と他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21は、中空なハウジングたるセンターブロック40と、センターブロック40内に二つの部屋41,42を画成するスプール43と、一方の部屋42をダンパ2R(2L)の第一排出路18に接続するポート40bと、他方の部屋41をダンパ2L(2R)の第二排出路19に接続するポート40aと、センターブロック40内をタンク15に接続するタンクポート40cと、スプール43を両端側から附勢して中立位置に位置を決めるバネ44,45とを備えて構成されている。
また、スプール43は、各部屋41,42内の圧力に所定量の差がない状態では中立位置に維持されて、スプール43の外周をタンクポート40cに対向し、いずれの部屋41,42もタンクポート40cに連通させないようになっている。
したがって、一方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力が他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力を所定量上回ると、スプール43が図4中右側に移動して部屋42をタンクポート40cに連通して一方のダンパ2R(2L)における第一排出路18が開放され、逆に、他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力が一方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力を所定量上回ると、スプール43が図4中左側に移動して部屋41をタンクポート40cに連通して他方のダンパ2L(2R)における第二排出路19が開放されることになり、一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20と他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21と同様の動作を実現する。
そして、上記構成によって一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20と他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21を別個独立ではなく一体化することができ、一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20と他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21の製造コストが低減される。なお、この場合、上記所定量の設定は、バネ44,45の附勢力と、第一排出路18および第二排出路19を開放するためのスプール43の中立位置からの移動量とで決定される。
なお、図5に示すように、センターブロック40の中央を仕切り46で仕切って、センターブロック40の両端側にそれぞれスプール43を挿入し、たとえば、センターブロック40の左端側に一方のダンパ2Rの第一開閉弁20と他方のダンパ2Lの第二開閉弁21を一体化した構成を実現するとともに、センターブロック40の右端側に一方のダンパ2Rの第二開閉弁21と他方のダンパ2Lの第一開閉弁20を一体化した構成を実現するようにして、ダンパ2R,2L間にセンターブロック40を一つのみ設ける構成としてもよく、このようにすることで、部品点数の削減と、車両への搭載性を向上することができる。さらに、この場合、センターブロック40は一つの筒で構成することができるので、製造コストも軽減される。
また、図6に示すように、減衰弁13,14をスプール50内に設けるようにしてもよい。この図6に示す組とされる第一開閉弁20および第二開閉弁21の構成は、図5に示す組とされる第一開閉弁20および第二開閉弁21の構成に対してスプール50の構造のみを異にしている。
このスプール50について詳しく説明すると、スプール50は、中央部が小径とされて小径部51が設けられ、大径となる両端外周は、それぞれ環状シール52を介してセンターブロック40の内周に摺接している。
そして、スプール50の一方の部屋42側に面する端部から小径部51の外周にかけて第一減衰通路53が設けられ、この第一減衰通路53の途中には減衰弁13が設けられている。さらに、スプール50の他方の部屋41側に面する端部から小径部51の外周にかけて第二減衰通路54が設けられ、この第二減衰通路54の途中には減衰弁14が設けられている。したがって、図6に示す構造を採用する場合、ダンパ2R,2Lのピストン11に設けられている第一減衰通路22および第二減衰通路23を廃止して、その代わりに、スプール50に第一減衰通路53および第二減衰通路54が設けられることになる。
したがって、この図6に示す構成にあっても、一方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力が他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力を所定量上回ると、スプール50が図6中左側(右側)に移動して部屋41をタンクポート40cに連通して一方のダンパ2R(2L)における第二排出路19が開放され、逆に、他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力が一方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力を所定量上回ると、スプール50が図6中右側(左側)に移動して部屋42をタンクポート40cに連通して他方のダンパ2L(2R)における第一排出路18が開放されることになり、一方のダンパ2R(2L)の第一開閉弁20と他方のダンパ2L(2R)の第二開閉弁21と同様の動作を実現する。
これに加えて、一方のダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力と他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力とに差がない場合、スプール50は、中立位置を維持することになるが、一方の部屋42からタンク15へ移動する液体はスプール50に設けた第一減衰通路53を通過し、他方の部屋41からタンク15へ移動する液体はスプール50に設けた第二減衰通路54を通過することになる。
したがって、ピストン11がシリンダ10に対して変位してダンパ2R(2L)における第一室R1から液体がシリンダ10外へ排出されダンパ2R(2L)の第一室R1内の圧力と他方のダンパ2L(2R)の第二室R2内の圧力とに差がない場合、ダンパ2R(2L)から排出される液体は減衰弁13を通過してタンク15へ移動し、他方、ピストン11がシリンダ10に対して変位してダンパ2R(2L)における第二室R2から液体がシリンダ10外へ排出されダンパ2R(2L)の第二室R2内の圧力と他方のダンパ2L(2R)の第一室R1内の圧力とに差がない場合、ダンパ2R(2L)から排出される液体は減衰弁14を通過してタンク15へ移動することになり、ダンパ2R(2L)は減衰力を発生することになる。
つまり、この図6における構成は、一方のダンパ2Rにおける第一開閉弁20と第一減衰通路53と減衰弁13および他方のダンパ2Lにおける第二開閉弁21と第二減衰通路54と減衰弁14を一体化するとともに、一方のダンパ2Rにおける第二開閉弁21と第二減衰通路54と減衰弁14および他方のダンパ2Lにおける第一開閉弁20と第一減衰通路53と減衰弁13を一体化して、一つのセンターブロック40内に収容する構成であって、図6の如くに構成することによって、ダンパ2R,2Lの各第一開閉弁20、各第一減衰通路53、各減衰弁13、各第二開閉弁21、各第二減衰通路54および各減衰弁14を一つのセンターブロック40に集中することができ、車体姿勢制御装置1の製造が簡易となるとともに、センターブロック40のみの交換で車体姿勢制御装置1の主要部品の交換を行うことができ、メンテナンス作業も容易となる。
また、ダンパ2R,2Lのシリンダ10内に減衰弁13,14を設けなくともよいので、シリンダ10を小径化することができ、車体姿勢制御装置1の車両への搭載性を向上することができる。
さて、つづいて、このように構成された車体姿勢制御装置1の動作について説明する。図3中右側のダンパ2Rにおけるピストン11がシリンダ10に対して上方へ変位し、図3中左側のダンパ2Lにおけるピストン11は変位しない状態であると、一方のダンパ2Rの第一室R1内の圧力が上昇し、他方のダンパ2Lの第一室R1および第二室R2内の圧力は上昇も下降もしないので、一方のダンパ2Rの第一室R1内の圧力が他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力を上回り、一方のダンパ2Rにおける第一開閉弁20は第一排出路18を開放することになる。
したがって、一方のダンパ2Rの第一室R1から排出される液体は、第一排出路18を介してタンク15へ移動することになり、第二室R2の容積増大に対しては第二供給路17を通じて液体がタンク15から供給され、この状態では、一方のダンパ2Rは、減衰力をほとんど発生せず、対し他方のダンパ2Lはピストン11が変位しないので減衰力を発生しない。
なお、他方のダンパ2Lの第二室R2内では、一方のダンパ2Rにおける第一開閉弁20の弁体31の後退量と面積との積で計算される容積分の液体が過剰となるが、この過剰分の液体は、第二減衰通路23を通じて第一室R1内に流入する。さらに、この液体は、一方のダンパ2Rの第二室R2は第二供給路17を通じてタンク圧に誘導されるので、他方のダンパ2Lの第一開閉弁20を開いてタンク15への戻されることになる。
逆に、図3中右側のダンパ2Rにおけるピストン11がシリンダ10に対して下方へ変位し、図3中左側のダンパ2Lにおけるピストン11は変位しない状態であると、一方のダンパ2Rの第二室R2内の圧力が上昇し、他方のダンパ2Lの第一室R1および第二室R2内の圧力は上昇も下降もしないので、一方のダンパ2Rの第二室R2内の圧力が他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力を上回り、一方のダンパ2Rにおける第二開閉弁21は第二排出路19を開放することになる。
したがって、一方のダンパ2Rの第二室R2から排出される液体は、第二排出路19を介してタンク15へ移動することになり、第一室R1の容積増大に対しては第一供給路16を通じて液体がタンク15から供給され、この状態では、一方のダンパ2Rは、減衰力をほとんど発生せず、対し他方のダンパ2Lはピストン11が変位しないので減衰力を発生しない。
なお、他方のダンパ2Lの第一室R1内では、一方のダンパ2Rにおける第二開閉弁21の弁体31の後退量と面積との積で計算される容積分の液体が過剰となるが、この過剰分の液体は、第一減衰通路22を通じて第二室R2内に流入する。さらに、この液体は、一方のダンパ2Rの第一室R1は第一供給路16を通じてタンク圧に誘導されるので、他方のダンパ2Lの第二開閉弁21を開いてタンク15への戻されることになる。
つづき、図3中右側のダンパ2Rと図3中左側のダンパ2Lのピストン11がシリンダ10に対して同位相で変位する状態であると、各ダンパ2R,2Lの第一室R1同士あるいは第二室R2同士の圧力は同じで、第一室R1と第二室R2の圧力差が各ダンパ2R,2Lで同じとなるので、第一室R1と第二室R2のうち圧縮される側の室に対応する開閉弁が開くことになる。つまり、第一室R1が圧縮される場合には、各第一開閉弁20が開き、第一室R1内の液体はタンク15へ移動し、反対に、第二室R2が圧縮される場合には各第二開閉弁21が開き、第二室R2内の液体はタンク15へ移動することになる。これに対して、容積が増大して膨張する側の室は、タンク15から液体供給を受ける。すなわち、第一室R1が膨張する場合には、当該第一室R1へ第一供給路16を通じて液体供給され、反対に、第二室R2が膨張する場合には第二供給路17を通じて液体供給される。
よって、この場合には、シリンダ10内の液体は、減衰弁13,14を通過せずにタンク15へ移動せしめられることになるので、ダンパ2R,2Lは、共に減衰力を発生しない。
つづき、図3中右側のダンパ2Rと図3中左側のダンパ2Lのピストン11がシリンダ10に対して逆位相で変位する状態であると、一方のダンパ2Rの第一室R1内の圧力と他方のダンパ2Lの第二室R2内の圧力が同じで、かつ、一方のダンパ2Rの第二室R2内の圧力と他方のダンパ2Lの第一室R1内の圧力が同じとなり、各第一開閉弁20および各第二開閉弁21は開かない。したがって、第一室R1が圧縮される場合には、第一室R1内の液体は第一減衰通路22を介して第二室R2へ移動し、第二室R2が圧縮される場合には、第二室R2内の液体は第二減衰通路23を介して第一室R1へ移動し、この場合には、シリンダ10内の液体は、減衰弁13,14を通過することになり、ダンパ2R,2Lは、共に減衰力を発生する。
すなわち、車体姿勢制御装置1では、ダンパ2R,2Lのピストン11がシリンダ10に対して同位相で変位するかあるいはダンパ2R,2Lのうち一つがストロークする場合には、ダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、ダンパ2R,2Lのピストン11がシリンダ10に対して逆位相で変位する場合には、ダンパ2R,2Lは減衰力を発生することになる。
そして、このように動作する車体姿勢制御装置1は、図2に示すようにダンパ2Rとダンパ2Lを鉄道車両Vの台車T1(T2)と車体Bとの間に車両進行方向に対して左右に配置して介装してある。
たとえば、鉄道車両Vが曲線区間を走行中であって、超過遠心力を緩和するために車体Bを破線で示すが如くに図2中左側に傾斜させる場合、図2中の右側の気体バネAに気体を多く供給して、車体Bの右側を持ち上げ、図2中左側の気体バネAにも車体傾斜による荷重増分を支持するため気体が供給され車体Bの左側のもともとの高さを維持する。
すると、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2Lはほとんど伸縮せず、ダンパ2Rのみのピストン11がシリンダ10に対して図2中上方へ変位してダンパ2Rが伸張することになり、このような超過遠心力を緩和するために車体Bを傾斜させる場合には、各ダンパ2R,2Lはほとんど減衰力を発生しないので、上記曲線区間走行中の車体Bの傾斜動作を妨げることがない。
また、鉄道車両Vが曲線区間を脱して直線区間を走行する状態となる場合には、先程の車体Bの傾斜を戻して、台車T1(T2)に対して車体Bを水平にする動作をすることになるが、車体Bの右側の高さを元に戻す動作となるため、ダンパ2Rのみのピストン11がシリンダ10に対して図2中下方へ変位してダンパ2Rのみが収縮することになるので、各ダンパ2R,2Lはほとんど減衰力を発生しないので、このような車体Bの傾斜を水平に戻す動作を妨げることもない。
そして、この水平に戻す動作が終了した後に、車体Bが水平状態を超えて反対側となる右側へ傾斜しようとする場合には、各ダンパ2R,2Lにおけるピストン11のシリンダ10に対する変位は逆位相となり、各ダンパ2R,2Lは、減衰力を発揮することになり、車体Bの反対側への傾斜を抑制するととともに、車体Bを揺り戻したり、車体Bの左右方向の遥動(ローリング)が継続してしまうハンチングを引き起こしたりしてしまう不具合を改善することが可能となる。
さらに、鉄道車両Vにおける車体Bが軌道狂いや旋回による遠心力でローリングする場合には、車体Bはロールセンター回りにローリングすることになるので、各ダンパ2R,2Lにおけるピストン11のシリンダ10に対する変位は逆位相となって各ダンパ2R,2Lは逆位相で伸縮することになる。したがって、このような車体Bのローリングに対しては、各ダンパ2R,2Lは、減衰力を発揮することになり、車体Bのローリングを効果的に抑制することになる。
また、さらに、鉄道車両Vにおける台車T1(T2)が上下方向の軌道狂いによって上下方向に加振された場合には、各ダンパ2R,2Lにおけるピストン11のシリンダ10に対する変位は同位相となって各ダンパ2R,2Lは同位相で伸縮することになる。したがって、このような台車T1(T2)の上下方向の振動に対しては、各ダンパ2R,2Lは、減衰力を発揮せず、車体Bに対し台車T1(T2)の上下方向の振動が伝達してしまうことがない。すなわち、上下方向の振動に対しては振動絶縁効果を発揮することが出来る。
上記したところから理解できるように、この車体姿勢制御装置1にあっては、曲線区間走行中の鉄道車両Vの車体Bを傾斜させて超過遠心力を緩和する動作や曲線区間走行から直線区間走行への切換り時の車体Bを水平に戻す動作に対して、これら動作を妨げることがないので、鉄道車両Vの曲線走行時の車体傾斜制御の応答性を損なうことなく、車体Bを傾斜状態から水平状態へ戻す際には、車体Bの反対側への傾斜、車体Bの揺り戻し、車体Bのハンチングを効果的に抑制し、さらには、車体Bのローリングを抑制するとともに、台車T1,T2から車体Bへの上下方向振動の伝播を抑制することができる。
上記したところは、鉄道車両に限らず、乗用車、バス、トラック等の車両に本姿勢制御装置1を適用してもその作用効果を失うものでない。したがって、本発明の姿勢制御装置1によれば、車両への配置によって、車体におけるローリング、ピッチングを効果的に抑制するとともに、路面や台車から車体への上下方向振動の伝播を絶縁する事ができ、車両における乗り心地を向上することができるとともに、特に、鉄道車両へ適用される場合には、曲線区間走行時における車体傾斜制御の動作を阻害することがなく、車体の揺り戻し、ハンチング、車体の戻しすぎによるローリングを防止することができ、自動車や鉄道車両等の車体姿勢制御に最適となる。
したがって、この車体姿勢制御装置1にあっては、鉄道車両Vにおける乗り心地を飛躍的に向上することができるのである。
つづき、車体姿勢制御装置1の鉄道車両Vに対する配置について説明する。上述したところでは、ダンパ2R,2Lを鉄道車両Vの台車T1(T2)と車体Bとの間に車両進行方向に対して左右に配置して介装していたが、図7に示すように、鉄道車両Vの前の台車T1と車体Bとの間にダンパ2Rを、後ろの台車T2と車体Bとの間にダンパ2Lを介装して、車両進行方向に対して左右のそれぞれに車体姿勢制御装置1を配置することもできる。
このように、前後の台車T1,T2と車体Bとの間にそれぞれダンパ2R,2Lを配置することによって、車体Bのピッチングを抑制することができ、また、軌道に上下方向の狂いがある場合、鉄道車両Vは、このような軌道狂い箇所を通過する際には、前側の台車T1がまず軌道狂い箇所を通過して、その後、後側の台車T2が軌道狂い箇所を通過することになる。前側の台車T1が軌道狂い箇所を通過する時には、ダンパ2Rは伸縮するが、後側の台車T2に配置されるダンパ2Lは伸縮しないので、ダンパ2Rは減衰力を発生しない。また、後側の台車T2が軌道狂い箇所を通過する時には、ダンパ2Lは伸縮するが、前側の台車T1に配置されるダンパ2Rは伸縮しないので、ダンパ2Lは減衰力を発生しない。
したがって、このような上下方向の軌道狂いがある軌道を鉄道車両Vが通過するときのように車体Bの前後で順番に振動が入力されるような振動モードに対しては、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、台車T1,T2から車体Bへ振動が伝達されにくくなり、これに加えて、車体Bが前後に揺動するピッチングに対してはダンパ2R,2Lは減衰力を発生してピッチングを抑制することができ、車両における乗り心地を向上することができる。
さらに、図8に示す配置では、一つの車体姿勢制御装置1におけるダンパ2Rを前側の台車T1と車体Bとの間の車両進行方向に対して一方側に介装し、ダンパ2Lを後側の台車T2と車体Bとの間の車両進行方向に対して他方側に介装するとともに、二つ目の車体姿勢制御装置1におけるダンパ2Rを前側の台車T1と車体Bとの間の車両進行方向に対して他方側に介装し、ダンパ2Lを後側の台車T2と車体Bとの間の車両進行方向に対して一方側に介装してあり、二つの車体姿勢制御装置1を同一鉄道車両V内で、いわゆる、たすきがけに配置するようにしている。
この場合には、車体Bの前後で順番に振動が入力されるような振動モードに対して、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、台車T1,T2から車体Bへ振動が伝達されにくくなる。さらに、車体Bが前後に揺動するピッチングおよび左右に揺動するローリングに対してはダンパ2R,2Lの伸縮が逆位相となって、ダンパ2R,2Lは減衰力を発生し、ローリングに加えてピッチングを抑制することができ、加えて、車体傾斜制御に対してはダンパ2R,2Lは減衰力を発生しないので、車体Bの傾斜と傾斜を戻す動作を妨げることもない。
また、図9に示すように、鉄道車両Vの前の台車T1と車体Bとの間に車両進行方向に対して左右にダンパ2R,2Lをそれぞれ介装し、後ろの台車T2と車体Bとの間に前の台車T1側の配置とは左右逆に配置してダンパ2R,2Lを介装して、それぞれを、たとえば、センターブロック40を介して環状に接続することもできる。
このようにしても、動作としては、図8に示したものと同様となり、この場合には、車体Bの前後で順番に振動が入力されるような振動モードに加えて車体Bを上下に振動させるような振動モードに対して、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、台車T1,T2から車体Bへ振動が伝達されにくくなる。さらに、これに加えて、車体Bが前後に揺動するピッチングおよび横方向に遥動するローリングに対してはダンパ2R,2Lは減衰力を発生してピッチングおよびローリングを抑制することができ、より一層車両における乗り心地を向上することができる。
さらに、図10に示すように、ダンパ2Rを鉄道車両Vの後側の台車T2と車体Bとの間に介装し、ダンパ2Lをこの鉄道車両Vの後ろの鉄道車両Vの前側の台車T1と車体Bとの間に介装して、車両進行方向に対して左右のそれぞれに車体姿勢制御装置1を配置することもできる。
この場合には、隣り合う鉄道車両Vにおける車体B間の相対ローリングを抑制することが可能となる。また、このような車体B間の相対ローリングを抑制する技術として車端ダンパと称されるダンパを車体B間にたすきがけに介装するものが知られているが、このような車端ダンパでは、車体B間に設けられる通路を避ける位置に設けなければならず、非常に長くなってしまい大きな曲げモーメントが作用してしまうので、ガタが生じて騒音を発生して乗客に不快感を抱かせてしまう問題があるが、この車体姿勢制御装置1では、車端ダンパと同様に車体B間の相対ローリングを抑制することができるうえに、上記したように、車体B間に設置する必要がなく、車体B間の通路面積を犠牲にしてしまう恐れもなく、また、ダンパ2R,2Lは車体Bと台車T1(T2)との間に介装されるので短いものとしておくことができ、大きな曲げモーメントが作用することもないので、ガタが生じにくいので、騒音の発生も抑制することができ、乗客に不快感を与えることもない。
また、軌道に上下方向の狂いがある場合、鉄道車両Vは、このような軌道狂い箇所を通過する際には、前側の鉄道車両Vの後側の台車T2がまず軌道狂い箇所を通過して、その後、後側の鉄道車両Vの前側の台車T1が軌道狂い箇所を通過することになる。前側の鉄道車両Vの後側の台車T2が軌道狂い箇所を通過する時には、ダンパ2Rは伸縮するが、後側の鉄道車両Vの前側の台車T1に配置されるダンパ2Lは伸縮しないので、ダンパ2Rは減衰力を発生しない。また、トンネル通過時や編成車両同士のすれ違い時のときのように、隣り合う鉄道車両Vでのローリングの振動の伝播が順次生じるような場合にも、隣り合う鉄道車両Vに搭載されるダンパ2R,2Lは順次伸縮することになり、ダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、鉄道車両V間の振動伝達を防止することができる。
したがって、このような上下方向の軌道狂いがある軌道を鉄道車両Vが通過するときのように隣り合う鉄道車両Vに順番に振動が入力されるような振動モードや車体Bのローリングが順次隣の鉄道車両Vの車体Bに伝播する振動モードに対しては、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、車体Bへ振動が伝達されにくくなる。
すなわち、図10の配置によれば、鉄道車両V間の相対ローリングに対してはダンパ2R,2Lは減衰力を発生して当該相対ローリングを抑制し、隣り合う鉄道車両Vに順番に振動が入力されるような振動モードに対しては、このような振動の伝播を絶縁することが可能となる。
また、図11に示すように、一の鉄道車両Vの後側の台車T2の車両進行方向に対して左右に配置したダンパ2R,2Lと、隣り合う鉄道車両Vの前側の台車T1の車両進行方向に対して左右に配置したダンパ2R,2Lとを、それぞれセンターブロック40を介して環状に接続することもできる。
この場合には、車体Bのローリングを抑制することが可能であるとともに、図10の配置と同様に、隣り合う鉄道車両Vにおける車体B間の相対ローリングをも抑制することが可能となり、騒音の発生も抑制することができ、乗客に不快感を与えることもない。
このような効果を奏するのに対し、隣り合う鉄道車両Vに順番に上下方向の振動が入力されるような振動モードに対して、車体姿勢制御装置1におけるダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、台車T1,T2から車体Bへ振動が伝達されにくく、トンネル通過時や編成車両同士のすれ違い時のときのように、隣り合う鉄道車両Vでのローリングの振動の伝播が順次生じるような場合にも、隣り合う鉄道車両Vに搭載されるダンパ2R,2Lは順次伸縮することになり、ダンパ2R,2Lは減衰力を発生せず、鉄道車両V間の振動伝達を防止することができ、車両における乗り心地を損なう虞もない。
すなわち、図11の配置によれば、車体Bのローリングを抑制することに加えて、鉄道車両V間の相対ローリングに対してはダンパ2R,2Lは減衰力を発生して当該相対ローリングを抑制し、隣り合う鉄道車両Vに順番に振動が入力されるような振動モードに対しては、このような振動の伝播を絶縁することが可能となる。
またさらに、図12に示す配置では、鉄道車両Vの車体Bと前側の台車T1との間に車両進行方向に対して左右に配置したダンパ2R,2Lと、鉄道車両Vの車体Bと後側の台車T2との間に車両進行方向に対して左右に配置したダンパ2R,2Lとを、それぞれセンターブロック40を介して環状に接続するとともに、他の鉄道車両Vの同様に配置接続されるダンパ2R,2Lともセンターブロック40を介して環状に接続するようにしている。
このように各ダンパ2R,2Lを配置し接続すると、図9および図11に示した配置による作用効果と同様となり、一つの鉄道車両Vの車体Bにおけるローリングおよびピッチングを抑制するとともに、隣り合う鉄道車両Vの車体B間の相対ローリングの抑制が可能であり、さらに、上下方向の振動やローリングが順次隣の鉄道車両Vの車体Bに伝播していくような振動モードについては、この振動の伝達を絶縁することが可能となる。
なお、上述した図7から図12までに示したダンパ2R,2Lの配置と接続では、車体Bの全体が一律に上下方向に振動する際にはダンパ2R,2Lは減衰力を発揮しないので、台車T1,T2から車体Bへの上下方向振動の伝達を抑制することが可能であるのは勿論である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。