しかしながら、従来の空気調和装置の室内ユニットでは、貯留容器の高さにずれが生じると、ギアと雌ネジ部とが密着しきらずに噛み合いが不安定になる。そして、このような場合、移動機構によって貯留容器をスムーズに移動させることができなくなるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯留容器がガイドレールに対して着脱自在になっている空気調和装置の室内ユニットにおいて、貯留容器の取付位置が取り外す前の位置と異なる場合でも貯留容器を移動機構によって移動させることができ、且つ、貯留容器の高さにずれが生じても貯留容器を移動機構によってスムーズに移動させることができるように構成する。
第1の発明は、吸込口(22)と吹出口(23)とが形成されたケーシング(34)を備え、上記吸込口(22)から吸い込んだ空気を温度調節して上記吹出口(23)から室内へ吹き出す空気調和装置(10)の室内ユニット(13)を対象とする。
そして、この室内ユニット(13)は、上記ケーシング(34)内に設置されて上記吸込口(22)から流入した空気中の塵埃を捕捉するフィルタ(41)と、上記フィルタ(41)から塵埃を除去する除去手段(50)が設けられて、該除去手段(50)によってフィルタ(41)から除去された塵埃を貯留する貯留容器(51)と、上記貯留容器(51)が着脱自在に構成されて該貯留容器(51)をフィルタ(41)に沿って移動可能に支持するガイドレール(66)が設けられて、上記ケーシング(34)に対して上記吸込口(22)を覆うように設けられる吸込グリル(29)と、上記吸込グリル(29)及び上記貯留容器(51)を一体で昇降させる昇降機構(45)と、上記貯留容器(51)に当接可能な可動部材(52,53)を有し、該可動部材(52,53)を移動させて上記貯留容器(51)を押すことによって該貯留容器(51)を上記ガイドレール(66)に沿って移動させる移動機構(55)とを備えている。
第1の発明では、貯留容器(51)に塵埃が溜まると、貯留容器(51)が、吸込グリル(29)と共に昇降機構(45)によって下降させられる。そして、貯留容器(51)は使用者によってガイドレール(66)から取り外されて、貯留容器(51)の清掃が行われる。清掃された貯留容器(51)は、使用者によってガイドレール(66)に取り付けられる。
ここで、この第1の発明では、フィルタ(41)から塵埃を除去する際に、移動機構(55)が、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を押すことによって貯留容器(51)をガイドレール(66)に沿って移動させる。可動部材(52,53)は、貯留容器(51)を移動させる間は貯留容器(51)に当接している。可動部材(52,53)は、フィルタ(41)から塵埃を除去する際の貯留容器(51)の移動範囲であれば、貯留容器(51)に当接可能である。すなわち、使用者によって貯留容器(51)が、ガイドレール(66)における貯留容器(51)の移動範囲のどの位置に取り付けられても、可動部材(52,53)は貯留容器(51)に当接可能である。
また、この第1の発明では、上記移動機構(55)が、上記可動部材(52,53)が外周面に突設されたベルト部材(58)と、該ベルト部材(58)が掛けられた一対のプーリ(56,57)とを備え、該プーリ(56,57)を回転駆動することによって上記可動部材(52,53)を移動させる。
第1の発明では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる際は、可動部材(52,53)がガイドレール(66)の一端側へ移動するようにベルト部材(58)が動かされる。また、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる際は、ベルト部材(58)が逆方向へ動かされる。この第1の発明では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる構成と、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる構成とが、1つのベルト部材(58)と、そのベルト部材(58)を動かす一対のプーリ(56,57)とで構成されている。
また、この第1の発明では、上記ベルト部材(58)には、上記可動部材(52,53)として、上記貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる際に貯留容器(51)を他端側から押す第1可動部材(52)と、該貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる際に貯留容器(51)を一端側から押す第2可動部材(53)とが設けられている。
第1の発明では、移動機構(55)が少なくとも2つの可動部材(52,53)を備えている。第1可動部材(52)は、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる際に貯留容器(51)の一方の面を押す。第2可動部材(53)は、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる際に貯留容器(51)の他方の面を押す。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)が、該第1可動部材(52)が一方のプーリ(56,57)の外側に位置する状態では第2可動部材(53)が他方のプーリ(56,57)の外側に位置するように配置されている。
第2の発明では、第1可動部材(52)が一方のプーリ(56,57)の外側に位置する状態では、第2可動部材(53)が他方のプーリ(56,57)の外側に位置している。この状態では、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)が、ベルト部材(58)の下側から突出していない。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記移動機構(55)が、上記昇降機構(45)によって吸込グリル(29)及び貯留容器(51)を上昇させる際に、上記可動部材(52,53)を上記貯留容器(51)が移動する範囲以外の位置に配置するように構成されている。
第3の発明では、昇降機構(45)によって吸込グリル(29)及び貯留容器(51)を上昇させる際に、移動機構(55)が、可動部材(52,53)を貯留容器(51)が移動する範囲以外の位置に配置する。このため、吸込グリル(29)を上昇させる際に、貯留容器(51)が可動部材(52,53)に当たることが防止される。
第4の発明は、上記第1,第2または第3の発明において、上記移動機構(55)が、上記貯留容器(51)の移動範囲におけるフィルタ(41)の一端側及び他端側にそれぞれ配置されたリミットスイッチ(32,33)を備え、該リミットスイッチ(32,33)の入力に基づいて貯留容器(51)の動作を制御するように構成されている。
第4の発明では、貯留容器(51)の動作の制御に用いられるスリミットスイッチ(32,33)が、貯留容器(51)の移動範囲におけるフィルタ(41)の一端側及び他端側にそれぞれ配置されている。移動機構(55)は、移動させている貯留容器(51)がリミットスイッチ(32,33)に接触すると、例えば貯留容器(51)の移動方向を反転させたり、貯留容器(51)を停止させたりする。
本発明では、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を押すことによって貯留容器(51)をガイドレール(66)に沿って移動させるので、使用者によって貯留容器(51)がガイドレール(66)における貯留容器(51)の移動範囲のどの位置に取り付けられても、可動部材(52,53)は貯留容器(51)に当接可能である。移動機構(55)は、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を押すものであり、従来のように貯留容器(51)と駆動スクリューを噛み合わせるものではない。このため、吸込グリルの高さにずれが生じても、噛み合いの問題は発生することない。本発明によれば、可動部材(52,53)の配置や寸法等を適切に設計することで、吸込グリルの高さにずれが生じても、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を確実に押すことができる。従って、貯留容器(51)の取付位置が取り外す前の位置と異なる場合でも貯留容器(51)を移動機構(55)によって移動させることができ、且つ、貯留容器(51)の高さにずれが生じても貯留容器(51)を移動機構(55)によってスムーズに移動させることができる。
また、本発明では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる構成と、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる構成とが、1つのベルト部材(58)と、そのベルト部材(58)を動かす一対のプーリ(56,57)とで構成されている。このため、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる構成と、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる構成とを、独立して別々に設ける必要がないので、移動機構(55)の構成を簡素化させることができる。
また、本発明では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させるときと、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させるときとで、別々の可動部材(52,53)が貯留容器(51)を押すようにしている。ここで、可動部材(52)が1つの場合は、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させた後に、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ戻すために、可動部材(52)が貯留容器(51)の一方の面に当接する状態から他方の面に当接する状態になるように、ベルト部材(58)を概ね1回転させる必要がある。
これに対して、本発明では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させるときは、一端側へ移動させるときとは別の第2可動部材(53)が用いられる。第2可動部材(53)は、ベルト部材(58)上の距離でみれば、第1可動部材(52)よりも貯留容器(51)の他方の面に対して近くに位置している。従って、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ戻す際に、可動部材(52,53)を貯留容器(51)に接触させるまでに必要となるベルト部材(58)の回転量を減少させることができる。
また、上記第2の発明によれば、第1可動部材(52)が一方のプーリ(56,57)の外側に位置する状態では第2可動部材(53)が他方のプーリ(56,57)の外側に位置するように、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)を配置しているので、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)がベルト部材(58)の下側から突出しない状態にすることが可能である。このため、吸込グリル(29)を上昇させる際に、貯留容器(51)が第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)に当たらないようにすることができ、可動部材(52,53)が貯留容器(51)の邪魔になることを防止することができる。
また、上記第3の発明では、吸込グリル(29)を上昇させる際に、貯留容器(51)が移動する範囲以外の位置に可動部材(52,53)が配置されているので、貯留容器(51)が可動部材(52,53)に当たることが防止される。従って、吸込グリル(29)を上昇させる際に可動部材(52,53)が貯留容器(51)の邪魔になることを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、本発明に係る室内ユニット(13)を備える空気調和装置(10)である。この空気調和装置(10)では、室内ユニット(13)が室内空間の天井に設置される天井設置型に構成されている。なお、以下では、先ず本実施形態に係る空気調和装置(10)について説明し、次に本発明に係る室内ユニット(13)について説明する。
本実施形態に係る空気調和装置(10)は、図1に示すように、室外ユニット(11)と室内ユニット(13)とを備えている。室外ユニット(11)には、圧縮機(30)、室外熱交換器(35)、膨張弁(36)、四路切換弁(28)及び室外ファン(12)が設けられている。室内ユニット(13)には、室内熱交換器(37)及び室内ファン(39)が設けられている。
室外ユニット(11)において、圧縮機(30)の吐出側は、四路切換弁(28)の第1ポート(P1)に接続されている。圧縮機(30)の吸入側は、四路切換弁(28)の第3ポート(P3)に接続されている。
室外熱交換器(35)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成されている。室外熱交換器(35)の一端は、四路切換弁(28)の第4ポート(P4)に接続されている。室外熱交換器(35)の他端は、液側閉鎖弁(15)に接続されている。
室外ファン(12)は、室外熱交換器(35)の近傍に設けられている。室外熱交換器(35)では、室外ファン(12)によって送られる室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(35)と液側閉鎖弁(15)との間には、開度可変の膨張弁(36)が設けられている。また、四路切換弁(28)の第2ポート(P2)はガス側閉鎖弁(16)に接続されている。
四路切換弁(28)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が互いに連通して第3ポート(P3)と第4ポート(P4)が互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)が互いに連通して第2ポート(P2)と第3ポート(P3)が互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とが切り換え可能となっている。
この空気調和装置(10)では、空調運転として暖房運転と冷房運転とが選択的に行われる。暖房運転時には、四路切換弁(28)が第1状態に設定される。暖房運転中の冷媒回路(18)では、室内熱交換器(37)が凝縮器(放熱器)として動作し、室外熱交換器(35)が蒸発器として動作することによって、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。一方、冷房運転時には、四路切換弁(28)が第2状態に設定される。冷房運転中の冷媒回路(18)では、室外熱交換器(35)が凝縮器(放熱器)として動作し、室内熱交換器(37)が蒸発器として動作することによって、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
《室内ユニットの構成》
本発明に係る室内ユニット(13)は、図2に示すように、ケーシング本体(26)と化粧パネル(27)とを有するケーシング(34)を備えている。ケーシング(34)内には、室内熱交換器(37)、室内ファン(39)、ドレンパン(40)、及びフィルタ(41)が設けられている。
ケーシング本体(26)は、下側が開放された略直方体の箱状に形成されている。ケーシング本体(26)の内面には、断熱材(17)が積層されている。ケーシング本体(26)は、その下部が天井板(31)の開口に挿通する状態で設置される。
化粧パネル(27)は、矩形の板状に形成されている。化粧パネル(27)の平面形状は、ケーシング本体(26)の平面形状よりも一回り大きくなっている。化粧パネル(27)は、シール部材(19)を間に挟んだ状態でケーシング本体(26)の下側を覆うように取り付けられる。化粧パネル(27)がケーシング本体(26)に取り付けられた状態では、化粧パネル(27)が室内に露出する。
図3に示すように、化粧パネル(27)には、1つの吸込口(22)と4つの吹出口(23,23,…)とが形成されている。吸込口(22)は、化粧パネル(27)の中央部において矩形状に形成されている。化粧パネル(27)には、吸込口(22)を覆うように吸込グリル(29)が設けられている。吸込グリル(29)の中央部には、スリット状のグリル部(29a)が形成されている。
各吹出口(23)は、細長い矩形状に形成されている。各吹出口(23)は、化粧パネル(27)の各辺に沿って1つずつ設けられている。化粧パネル(27)では、吸込口(22)の四方を囲むように吹出口(23)が配置されている。
吸込グリル(29)の上面には、図4に示すように、2本のガイドレール(66)が設けられている。ガイドレール(66)は、後述する貯留容器(51)を支持するためのものである。ガイドレール(66)は、グリル部(29a)の対辺の一方に沿ってグリル部(29a)を挟むように配置されている。
フィルタ(41)は、四角形に形成された網状のシートである。フィルタ(41)は、吸込グリル(29)に対して着脱自在に設けられている(図示省略)。フィルタ(41)は、吸込グリル(29)の上面に沿って、グリル部(29a)全体を覆うように設けられている。
室内ファン(39)は、いわゆるターボファンである。室内ファン(39)は、ケーシング本体(26)の真ん中付近に配置され、吸込口(22)の上側に位置している。室内ファン(39)は、ファンモータ(39a)と羽根車(39b)とを備えている。ファンモータ(39a)は、ケーシング本体(26)の天板に固定されている。羽根車(39b)は、ファンモータ(39a)の回転軸に連結されている。室内ファン(39)の下側には、吸込口(22)に連通するベルマウス(25)が設けられている。室内ファン(39)は、ベルマウス(25)を介して下側から吸い込んだ空気を周方向へ吹き出すように構成されている。
室内熱交換器(37)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器(37)は、平面視でロ字状に形成され、室内ファン(39)の周囲を囲うように配置されている。室内熱交換器(37)では、室内ファン(39)によって送られる室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
ドレンパン(40)は、室内熱交換器(37)の下側に設けられている。ドレンパン(40)は、室内熱交換器(37)において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けるためのものである。ドレンパン(40)には、ドレン水を排水するためのドレンポンプが設けられている(図示省略)。ドレンパン(40)は、ドレンポンプを設置した箇所にドレン水が集まるように勾配がつけられている。
本実施形態の室内ユニット(13)には、フィルタ(41)の清掃を自動的に行う、いわゆるお掃除機能が設けられている。室内ユニット(13)は、フィルタ(41)の清掃のために、除去手段である回転ブラシ(50)、貯留容器(51)、及び移動機構(55)を備えている。回転ブラシ(50)は、貯留容器(51)に収容されている。この室内ユニット(13)では、移動機構(55)によって貯留容器(51)及び回転ブラシ(50)を移動させることによってフィルタ(41)の清掃が行われる。
具体的に、貯留容器(51)は、図4及び図5に示すように、直方体状の容器である。貯留容器(51)では、長手方向に延びる長手側面部(61)の両方に、フィルタ(41)を挿通させるための挿通孔(61a)が形成されている。挿通孔(61a)は、細長の矩形状に形成され、その高さがフィルタ(41)の厚みよりも大きくなっている。また、各長手側面部(61)には、後述する第1スイッチ部(32)及び第2スイッチ部(33)を押すための一対のスイッチ作動部(43,44)が設けられている。各スイッチ作動部(43,44)は、各長手側面部(61)の下部から垂直方向に突出している。
貯留容器(51)には、貯留容器(51)を支持するための支持部材(65)が設けられている。支持部材(65)は、短手方向に延びる各短手側面部(62)に2本ずつ設けられている。各短手側面部(62)では、貯留容器(51)の短手方向における両端の下部に支持部材(65)がそれぞれ連結されている。各支持部材(65)は、短手側面部(62)から貯留容器(51)の長手方向に突出している。支持部材(65)の下面には、ガイドレール(66)が嵌り込む嵌合溝が形成されている(図示省略)。
貯留容器(51)は、支持部材(65)を介してガイドレール(66)に支持されている。貯留容器(51)は、長手側面部(61)の挿通孔(61a)にフィルタ(41)を挿通させた状態でガイドレール(66)に載せられる。貯留容器(51)は、ガイドレール(66)に対して着脱自在になっている。
回転ブラシ(50)は、棒状に形成された基部の外周面に植毛を施したものである。回転ブラシ(50)の長さは、フィルタ(41)の幅とほぼ同じかフィルタ(41)の幅よりも幾分長くなっている。回転ブラシ(50)は、基部の両端が貯留容器(51)の短手側面部(62)に回転自在に取り付けられている。回転ブラシ(50)は、フィルタ(41)の下面に植毛の先端が接触する高さに設けられている。
移動機構(55)は、駆動プーリ(56)、従動プーリ(57)、ベルト部材である伝動ベルト(58)、及び駆動モータ(59)を備えている。駆動モータ(59)は、駆動プーリ(56)に連結されている。
駆動プーリ(56)は、フィルタ(41)の一端側(図4における右端側)に配置されている。従動プーリ(57)は、フィルタ(41)の他端側(図4における左端側)に配置されている。駆動プーリ(56)及び従動プーリ(57)は、貯留容器(51)の長手方向におけるフィルタ(41)の中央の位置において、フィルタ(41)を挟んで向かい合う姿勢で配置されている。
伝動ベルト(58)は、駆動プーリ(56)と従動プーリ(57)に架け渡されて、フィルタ(41)の中央部の上方を横断するように配置されている。伝動ベルト(58)は、内周面にコグが形成されたコグ付きベルトであって、そのコグが駆動プーリ(56)及び従動プーリ(57)の外周面に形成された溝に噛み合わされている。伝動ベルト(58)の外周面には、貯留容器(51)を移動させるための第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)が突設されている。
第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)は、共に板状に形成されている。第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)は、貯留容器(51)に当接可能な長さに形成されている。第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)は、伝動ベルト(58)を2つの部分に均等に区画する位置に配置されている。このため、第1可動部材(52)が従動プーリ(57)の外側に位置する状態では、第2可動部材(53)が駆動プーリ(56)の外側に位置する。第1可動部材(52)は、貯留容器(51)を従動プーリ(57)側から駆動プーリ(56)側へ移動させるのに用いられる。第2可動部材(53)は、貯留容器(51)を駆動プーリ(56)側から従動プーリ(57)側へ移動させるのに用いられる。
移動機構(55)では、駆動モータ(59)で駆動プーリ(56)を回転駆動して伝動ベルト(58)を回転させることによって第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)を移動させて、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)で貯留容器(51)を押すことによって貯留容器(51)を移動させる。移動機構(55)によれば、貯留容器(51)はガイドレール(66)の軸方向にフィルタ(41)に沿って移動する。
また、移動機構(55)には、リミットスイッチによって構成された第1スイッチ部(32)及び第2スイッチ部(33)が設けられている。第1スイッチ部(32)は、駆動プーリ(56)の下方に配置されている。第2スイッチ部(33)は、従動プーリ(57)の下方に配置されている。移動機構(55)は、第1スイッチ部(32)が押されると、駆動モータ(59)が停止して、駆動モータ(59)が停止前とは逆方向に回転にするように構成されている。また、移動機構(55)は、第2スイッチ部(33)が押されると、駆動モータ(59)が停止するように構成されている。
本実施形態の室内ユニット(13)では、吸込グリル(29)が昇降式となっている。室内ユニット(13)は、吸込グリル(29)の昇降のために昇降機構(45)を備えている。昇降機構(45)は、ケーシング(34)内に配置されている(図2においては図示省略)。昇降機構(45)は、吸込グリル(29)と共に、ガイドレール(66)に載せられた貯留容器(51)も一体で昇降させる。
具体的に、昇降機構(45)は、図6に示すように、昇降用モータ(46)と、ワイヤ(47)と、昇降用プーリ(48)とを2つずつ備えている。吸込グリル(29)は、2本のワイヤ(47)によって吊り下げられた状態となっている。吸込グリル(29)では、対辺の中央部にワイヤ(47)の一端がそれぞれ連結されている。各ワイヤ(47)の他端は、対応する昇降用モータ(46)に連結されている。また、各ワイヤ(47)は、対応する昇降用プーリ(48)に掛けられている。
−移動機構の動作−
フィルタ(41)を清掃するときの移動機構(55)の動作について説明する。
空調運転中には、吸込口(22)から吸い込んだ空気中の塵埃が、フィルタ(41)によって捕捉されてゆく。そして、フィルタ(41)の下面に捕捉された塵埃の量が多くなってくると、フィルタ(41)における空気抵抗が増大して空気調和装置(10)の効率が低下する。このため、この室内ユニット(13)では、空調運転の停止時にフィルタ(41)から塵埃を除去する除去動作が行われる。除去動作は、例えば前回の除去動作からの空気調和装置(10)の運転積算が所定の時間に達すると行われる。
なお、除去動作の前は、貯留容器(51)がフィルタ(41)の他端側(図2における左端側)に位置している。この状態では、貯留容器(51)の左側のスイッチ作動部(43)が第2スイッチ部(33)に接触している。また、第1可動部材(52)は従動プーリ(57)の外側に位置し、第2可動部材(53)は駆動プーリ(56)の外側に位置している。
除去動作では、まず駆動モータ(59)が、図2の方向から室内ユニット(13)を見た場合の半時計回りに回転する。駆動モータ(59)が半時計回りに回転すると、伝動ベルト(58)が半時計回りに回転して、第1可動部材(52)が右側へ移動して貯留容器(51)の左面に接触し、接触後も移動し続けて貯留容器(51)を右側へ移動させる。貯留容器(51)は、フィルタ(41)の右側に向かって移動させられる。その際、フィルタ(41)の下面の塵埃は、回転ブラシ(50)によって掻き落とされる。回転ブラシ(50)によって掻き落とされた塵埃は、貯留容器(51)によって捕捉される。
駆動モータ(59)は、第1スイッチ部(32)に貯留容器(51)の右側のスイッチ作動部(44)が接触すると一旦停止する。すなわち、貯留容器(51)は、フィルタ(41)の右端部まで移動すると一旦停止する。この状態では、第2可動部材(53)は、伝動ベルト(58)の上側においてフィルタ(41)の左側に位置している。そして、駆動モータ(59)は、停止すると直ちに、停止前とは逆方向に回転し始める。
駆動モータ(59)が回転すると、伝動ベルト(58)が時計回りに回転して、第2可動部材(53)が伝動ベルト(58)の上側を駆動プーリ(56)側(右側)へ向かって移動する。第2可動部材(53)は、駆動プーリ(56)の位置で、駆動プーリ(56)の周りを回って伝動ベルト(58)の下側へ移動し、伝動ベルト(58)の下側を左側へ向かって移動する。そして、第2可動部材(53)は、貯留容器(51)の右面に接触し、接触後も移動し続けて貯留容器(51)を左側へ移動させる。その際、フィルタ(41)の下面の塵埃は、再び回転ブラシ(50)によって清掃される。
駆動モータ(59)は、第2スイッチ部(33)に貯留容器(51)の左側のスイッチ作動部(43)が接触すると停止する。以上の動作によって、フィルタ(41)の清掃は終了する。
なお、この実施形態の移動機構(55)は、フィルタ(41)の清掃が終了すると、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)の位置をフィルタ(41)の清掃前に戻すように構成されている。具体的に、フィルタ(41)の清掃が終了すると、駆動モータ(59)は、停止前とは逆方向に回転する。そして、駆動モータ(59)は、第1可動部材(52)は従動プーリ(57)の外側に位置し、第2可動部材(53)は駆動プーリ(56)の外側に位置する状態で停止する。
−昇降機構の動作−
続いて、吸込グリル(29)及び貯留容器(51)を一体で昇降させるときの昇降機構(45)の動作について説明する。昇降機構(45)は、例えばリモコンからの指令によって動作するように構成されている。
なお、この実施形態の空気調和装置(10)には、貯留容器(51)内の塵埃の量を検知するための検知センサが設けられている。検知センサは、例えば貯留容器(51)の重量を計測することによって貯留容器(51)内の塵埃の量を検知する。この空気調和装置(10)は、検知センサの値が所定値以上になると、貯留容器(51)内の清掃が必要であることを例えばリモコンに表示するように構成されている。使用者は、リモコンの表示に従って昇降機構(45)に指令を出す。
昇降機構(45)では、リモコンから吸込グリル(29)を下降させるという内容の指令を受けると、ワイヤ(47)が巻き出されるように昇降用モータ(46)が回転する。吸込グリル(29)及び貯留容器(51)は、昇降用モータ(46)の回転に伴って下降してゆく。
貯留容器(51)が下降させられると、使用者によって貯留容器(51)がガイドレール(66)から取り外されて、貯留容器(51)の清掃が行われる。貯留容器(51)は、内部を容易に清掃することができるように、例えば上面部分が開閉自在に構成されている。取り外された貯留容器(51)は、使用者によってガイドレール(66)の任意の位置に取り付けられる。
昇降機構(45)では、リモコンから吸込グリル(29)を上昇させるという内容の指令を受けると、ワイヤ(47)が巻き取られるように昇降用モータ(46)が回転する。吸込グリル(29)及び貯留容器(51)は、昇降用モータ(46)の回転に伴って上昇してゆく。
この実施形態では、吸込グリル(29)及び貯留容器(51)の昇降時は、第1可動部材(52)が従動プーリ(57)の外側に位置し、第2可動部材(53)が駆動プーリ(56)の外側に位置している。すなわち、貯留容器(51)が移動する範囲以外の位置に第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)が配置されている。このため、吸込口(22)を覆う位置に吸込グリル(29)を戻す際に、貯留容器(51)が、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)に接触することがない。
なお、この実施形態では、移動機構(55)が、ガイドレール(66)のどの位置に貯留容器(51)があっても、貯留容器(51)の左側のスイッチ作動部(43)が第2スイッチ部(33)に接触する位置へ貯留容器(51)を移動させるように構成されている。具体的に、吸込グリル(29)が吸込口(22)を覆う位置に戻ると、第2可動部材(53)が伝動ベルト(58)の下側を左側へ移動するように駆動モータ(59)が動作する。第2可動部材(53)は貯留容器(51)を左側へ移動させる。そして、貯留容器(51)の左側のスイッチ作動部(43)が第2スイッチ部(33)に接触すると駆動モータ(59)が停止する。
−実施形態の効果−
本実施形態では、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を押すことによって貯留容器(51)をガイドレール(66)に沿って移動させるので、使用者によって貯留容器(51)がガイドレール(66)における貯留容器(51)の移動範囲のどの位置に取り付けられても、可動部材(52,53)は貯留容器(51)に当接可能である。移動機構(55)は、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を押すものであり、従来のように貯留容器(51)と駆動スクリューを噛み合わせるものではない。このため、吸込グリルの高さにずれが生じても、噛み合いの問題は発生することない。本実施形態によれば、可動部材(52,53)の配置や寸法等を適切に設計することで、吸込グリルの高さにずれが生じても、可動部材(52,53)によって貯留容器(51)を確実に押すことができる。従って、貯留容器(51)の取付位置が取り外す前の位置と異なる場合でも貯留容器(51)を移動機構(55)によって移動させることができ、且つ、貯留容器(51)の高さにずれが生じても貯留容器(51)を移動機構(55)によってスムーズに移動させることができる。
また、本実施形態では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる構成と、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる構成とが、1つの伝動ベルト(58)と、その伝動ベルト(58)を動かす一対のプーリ(56,57)とで構成されている。このため、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させる構成と、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させる構成とを、独立して別々に設ける必要がないので、移動機構(55)の構成を簡素化させることができる。
また、本実施形態では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させるときと、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させるときとで、別々の可動部材(52,53)が貯留容器(51)を押すようにしている。ここで、可動部材(52)が1つの場合は、貯留容器(51)をガイドレール(66)の一端側へ移動させた後に、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ戻すために、可動部材(52)が貯留容器(51)の一方の面に当接する状態から他方の面に当接する状態になるように、伝動ベルト(58)を概ね1回転させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ移動させるときは、一端側へ移動させるときとは別の第2可動部材(53)が用いられる。第2可動部材(53)は、伝動ベルト(58)上の距離でみれば、第1可動部材(52)よりも貯留容器(51)の他方の面に対して近くに位置している。従って、貯留容器(51)をガイドレール(66)の他端側へ戻す際に、可動部材(52,53)を貯留容器(51)に接触させるまでに必要となる伝動ベルト(58)の回転量を減少させることができる。
また、本実施形態によれば、吸込グリル(29)を上昇させる際に、第1可動部材(52)が一方のプーリ(56,57)の外側に位置して第2可動部材(53)が他方のプーリ(56,57)の外側に位置するように可動部材(52,53)が配置されるようにしている。つまり、貯留容器(51)が移動する範囲以外の位置に可動部材(52,53)が配置される。従って、吸込グリル(29)を上昇させる際に、貯留容器(51)が可動部材(52,53)に当たることがないので、可動部材(52,53)が貯留容器(51)の邪魔になることを防止することができる。
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について説明する。この変形例では、図7に示すように、伝動ベルト(58)における第1可動部材(52)と第2可動部材(53)との位置関係が、上記実施形態とは異なっている。
具体的に、第1可動部材(52)及び第2可動部材(53)は、第1可動部材(52)が従動プーリ(57)の外側に位置する状態では、第2可動部材(53)がグリル部(29a)の従動プーリ(57)側の端部の上方に位置するように配置されている。この状態では、第1可動部材(52)と第2可動部材(53)との短い方の距離は、貯留容器(51)の幅よりも広くなっている。
この変形例では、ガイドレール(66)の右側へ移動させた貯留容器(51)をガイドレール(66)の左側へ戻す際に、第2可動部材(53)を貯留容器(51)に接触させるまでに必要となる伝動ベルト(58)の回転量を減少させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、伝動ベルト(58)に可動部材(52)が1つだけ設けられていてもよいし、伝動ベルト(58)に可動部材(52)が3つ以上設けられていてもよい。
また、上記実施形態について、移動機構(55)が、伝動ベルト(58)とプーリ(56,57)の代わりに、駆動モータ(59)によって回転する駆動スクリューを備えていてもよい。この場合、駆動スクリューに、駆動スクリューの回転によって移動する可動部材(52)を設ける。
また、上記実施形態について、スイッチ作動部(43,44)が伝動ベルト(58)に設けられていてもよい。この場合、第1スイッチ部(32)及び第2スイッチ部(33)は、伝動ベルト(58)の外周面から突出するスイッチ作動部(43,44)に接触可能な位置に配置される。
また、上記実施形態について、除去手段(50)が、フィルタから塵埃を除去することができるものであればよく、回転ブラシ以外の構成であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。