インバータ駆動用等の高電圧ICが、例えば、特許第3384399号公報(特許文献1)およびProc. of ISPSD’04(非特許文献1)に開示されている。また、特に高耐圧(1200V程度)が要求される電気自動車(EV)やハイブリッド(HEV)車等の自動車用モータ制御に好適で、耐圧150V〜1200Vを包括カバーできる高電圧ICが、特開2006−148058号公報(特許文献2)に開示されている。
図14は、インバータ駆動回路の高電圧ICに用いられている特許文献2に開示された半導体装置で、半導体装置10の基本的な等価回路図である。
図14に示す半導体装置10では、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子Tr1〜Trnが、グランド(GND)電位と所定電位Vsとの間で、GND電位側を第1段、所定電位Vs側を第n段として、順次直列接続されている。第1段のMOSトランジスタ素子Tr1のゲート端子は、半導体装置10の入力端子となっている。半導体装置10の出力は、第n段のMOSトランジスタ素子Trnにおける所定電位Vs側の端子から、所定の抵抗値を有する負荷抵抗(図示省略)を介して取り出される。尚、出力信号は、基準電位が入力信号のGND電位から所定電位Vsに変換(レベルシフト)され、入力信号に対して反転した状態で取り出される。
図14の半導体装置10の動作においては、GND電位と所定電位Vsの間の電圧がn個のMOSトランジスタ素子Tr1〜Trnにより分割され、第1段から第n段の各MOSトランジスタ素子Tr1〜Trnが、それぞれの電圧範囲を分担している。従って、GND電位と所定電位Vsの間の電圧を1個のMOSトランジスタ素子で分担する場合に較べて、各MOSトランジスタ素子Tr1〜Trnに要求される耐圧は、略n分の1となる。従って、一般的な製造方法を用いて安価に製造できる通常の耐圧を有するMOSトランジスタ素子であっても、図14の半導体装置10においてMOSトランジスタ素子の個数nを適宜設定することにより、全体として必要とされる高い耐圧を確保した半導体装置とすることができる。
図15は、特許文献2に開示された高電圧ICのレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部を詳細に示す図で、高電圧IC100のレベルシフト回路に適用された図14の基本的な等価回路図で示した半導体装置10の各回路素子の配置を示す図である。また、図16は、図15の一点鎖線A−Aにおける断面図で、各MOSトランジスタ素子の構造を示す図である。
図16の断面図に示すように、高電圧IC100では、レベルシフト回路に適用された図14の半導体装置10におけるn個のMOSトランジスタ素子Tr1〜Trnが、埋め込み酸化膜3を有するSOI構造半導体基板1のn導電型SOI層1aに形成されている。尚、埋め込み酸化膜3の下はシリコン(Si)からなる厚い支持基板2となっており、SOI基板1は、基板の貼り合わせによって形成されたものである。
n個のMOSトランジスタ素子Tr1〜Trnは、横型MOS(LDMOS,Lateral Diffused MetalOxide Semiconductor)トランジスタ素子で、埋め込み酸化膜3に達する絶縁分離トレンチ4により、互いに絶縁分離されている。尚、図16に示す半導体装置10においては、浮遊基準ゲート駆動回路でのスイッチングに伴う高周波電位干渉をシールドするために、SOI層1aにおける埋め込み酸化膜3上に高濃度不純物層1bが形成されている。
図15に示すように、高電圧IC100の半導体装置10においては、n重の絶縁分離トレンチT1〜Tnが形成され、互いに絶縁分離されたn個のMOSトランジスタ素子Tr1〜Trnが、n重の絶縁分離トレンチT1〜Tnにより囲まれた各フィールド領域に、高段のMOSトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されている。
図17は、図14および図15に示す半導体装置10を簡略化した、半導体装置11の要部構成を示す模式的な上面図である。
図17に示す半導体装置11には、埋め込み酸化膜を有するSOI基板が用いられており、6個の横型MOS(LDMOS)トランジスタ素子Trが、埋め込み酸化膜上のSOI層に形成されている。各MOSトランジスタ素子Trは、ドレインD、ゲートGおよびソースSが図に示すように同心円状に配置されたパターンとなっている。また、各MOSトランジスタ素子Trは、図中に太い実線の円で示した、埋め込み酸化膜に達する第1絶縁分離トレンチZ1により取り囲まれて、周りから絶縁分離されている。
図17の半導体装置11では、同じく埋め込み酸化膜に達する図中に太い実線の四角で示した第2絶縁分離トレンチZ2が、多重に形成されている。第1絶縁分離トレンチZ1により絶縁分離された各MOSトランジスタ素子Trは、多重の第2絶縁分離トレンチZ2により囲まれた各フィールド領域F1〜F6に、それぞれ一個ずつ配置されている。尚、フィールド領域F6には、高電圧(HV)回路および電源パッドや出力パッド等が形成されており、フィールド領域F1の外側の領域には、接地(GND)パッドや入力パッド等が形成されている。
図17の半導体装置11では、6個のMOSトランジスタ素子Trが、グランド(GND)電位と所定の電源電位との間で、6重の第2絶縁分離トレンチZ2の外周側をGND電位側の第1段、内周側を電源電位側の第6段として、順次直列接続されている。尚、符号R
outは出力抵抗である。半導体装置11では、第1段MOSトランジスタ素子Trにおけるゲート端子を入力端子としている。また、第6段MOSトランジスタ素子Trと電源パッドの間に出力抵抗R
outが接続され、第6段MOSトランジスタ素子Trの電源電位側の端子と出力抵抗R
outの間から、出力が取り出される。半導体装置11では、薄膜で形成された抵抗素子Rが多段に直列接続されて、GND電位と電源電位が分割され、2段目以降のMOSトランジスタ素子Trのゲートが、上記直列接続の各分岐点に接続されている。
特許第3384399号公報
Proc. of ISPSD’04,p385,H.Akiyama, et al(三菱電機)
特開2006−148058号公報
図14〜図17に示す半導体装置10,11では、GND電位から所定の電源電位までの電圧増加に応じて、n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各フィールド領域に加わる電圧を均等化し、n個のMOSトランジスタ素子Tr(Tr1〜Trn)の担当電圧範囲をGND電位から所定の電源電位に向かって順番に移行させることができる。尚、隣り合うMOSトランジスタ素子同士の間には、n重の絶縁分離トレンチT1〜Tnが一つ存在するだけであるため、n個のMOSトランジスタ素子Tr(Tr1〜Trn)の接続配線が容易になると共に、占有面積を低減して、半導体装置10,11を小型化することができる。
上記したように、半導体装置10,11においては、n個のMOSトランジスタ素子Tr(Tr1〜Trn)が、通常の耐圧を有するMOSトランジスタ素子であってよい。これによって、図15および図16に示す高電圧IC100は、1200Vの耐圧を確保することができ、車載モータのインバータ駆動用や車載エアコンのインバータ駆動用に好適なの高電圧ICとなっている。
一方、図14〜図17に示す半導体装置10,11では、分圧抵抗R(R1〜Rn)には常時微弱な電流を流す必要がある。GND電位と所定の電源電位の間で直列接続された抵抗R(R1〜Rn)のラインには高い電源電圧がかかるため、このラインには定常状態で(リーク)電流が流れて、消費電力が大きくなるという問題がある。このリーク電流を下げて消費電力を低減するためには、分圧抵抗R(R1〜Rn)の抵抗値を2〜14MΩ程度に大きくする必要がある。このため、抵抗素子R(R1〜Rn)の占有面積が増大して、集積回路のチップサイズが大きくなってしまう。
そこで本発明は、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子が順次直列接続されてなる半導体装置であって、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、小型で消費電力が小さな半導体装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の半導体装置は、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子が、グランド(GND)電位と所定電位との間で、GND電位側を第1段、所定電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、前記第1段MOSトランジスタ素子におけるゲート端子を入力端子とし、ゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成されたn個の短絡MOSトランジスタ素子が、前記GND電位と前記所定電位との間で、GND電位側を第1段、所定電位側を第n段として、順次直列接続され、前記第1段MOSトランジスタ素子を除いた各段のMOSトランジスタ素子におけるゲート端子が、前記直列接続された各段の短絡MOSトランジスタ素子の間に、それぞれ、順次接続されてなり、前記第n段MOSトランジスタ素子における前記所定電位側の端子から、出力が取り出されてなる半導体装置であって、前記短絡MOSトランジスタ素子は、浮遊状態にあるゲート電極を有してなり、当該ゲート電極に電荷が注入された状態で、ソース−ドレイン間が導電可能に形成されてなり、前記ゲート電極が、トンネル酸化膜上に形成された浮遊状態にある第2ゲート電極に接続されてなり、前記第2ゲート電極が、基板上に形成された浮遊状態にあるパッド電極に接続されてなることを特徴としている。
上記半導体装置におけるゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成された短絡MOSトランジスタ素子は、高抵抗素子として機能させることができる。このため、上記半導体装置では、GND電位と所定電位の間に順次直列接続された主ラインのMOSトランジスタ素子のゲート分圧回路が、同じくGND電位と所定電位の間に順次直列接続された高抵抗素子として機能する短絡MOSトランジスタ素子で構成されていることになる。この高抵抗素子として機能する短絡MOSトランジスタ素子により、上記半導体装置では、ゲート分圧回路ラインに流れる定常状態での(リーク)電流を抑制することができ、これによって消費電力を低減することができる。また、短絡MOSトランジスタ素子のチップに占める面積は、従来の薄膜で形成される抵抗素子に較べて格段に小さく、これによってコストが増大することもない。
上記半導体装置において、前記短絡MOSトランジスタ素子は、浮遊状態にあるゲート電極を有してなり、当該ゲート電極に電荷が注入された状態で、ソース−ドレイン間が導電可能に形成されてなる構成となっている。これにより、上記浮遊状態にあるゲート電極に電荷を注入し、この注入する電荷量を適宜設定することで、所望する広範囲の高抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)を実現することができる。
また、上記半導体装置において、ゲート電極に注入する電荷量を安定的に注入制御するため、前記ゲート電極が、トンネル酸化膜上に形成された浮遊状態にある第2ゲート電極に接続されており、前記第2ゲート電極は、基板上に形成された浮遊状態にあるパッド電極に接続されている。
上記半導体装置においても、従来の薄膜抵抗素子をゲート分圧回路に用いた場合と同様に、第1段のMOSトランジスタ素子のゲート端子に入力信号を加えることで、n個の短絡MOSトランジスタ素子を介して、第2段から第n段のMOSトランジスタ素子も同時に動作させることができる。また、上記半導体装置では、GND電位と所定電位の間の電圧がn個のMOSトランジスタ素子により分割され、第1段から第n段の各MOSトランジスタ素子が、それぞれの電圧範囲を分担している。従って、GND電位と所定電位の間の電圧を1個のMOSトランジスタ素子で分担する場合に較べて、各MOSトランジスタ素子に要求される耐圧を低減することができる。
以上のようにして、上記半導体装置は、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子が順次直列接続されてなる半導体装置であって、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、消費電力が小さく、小型で安価な半導体装置とすることができる。
請求項2に記載のように、上記半導体装置においては、前記MOSトランジスタ素子と前記短絡MOSトランジスタ素子が、同じチャネル長さ方向の断面構造を有してなることが好ましい。
主ラインの各段のMOSトランジスタ素子でGND電位と所定電位の間を分割分担する上記半導体装置では、一般的に、主ラインを構成する各段のMOSトランジスタ素子の耐圧と共に、ゲート分圧回路ラインを構成する各短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)についても、同程度の耐圧が必要である。
一方、MOSトランジスタ素子の耐圧は、一般的に、チャネル長さ方向の断面構造により決まる。このため、主ラインのMOSトランジスタ素子とゲート分圧回路ラインの短絡MOSトランジスタ素子のチャネル長さ方向における断面構造を同じにすることで、耐圧設計が簡略化されると共に、両素子の耐圧特性を正確に一致させることができる。また、各ライン内においても、それを構成する各素子の耐圧が等しくなるため、GND電位と所定電位の間に挿入された各素子の分担する電圧(耐圧)を均等にして、最小化することができる。
さらに、主ラインとゲート分圧回路ラインが基本的に同じ断面構造のMOSトランジスタ素子と短絡MOSトランジスタ素子からなる上記半導体装置は、製造工程も非常に単純なものとなる。すなわち、上記半導体装置におけるMOSトランジスタ素子と短絡MOSトランジスタ素子の形成は、大部分を共通する工程でまかなうことができる。例えば、上記MOSトランジスタ素子と短絡MOSトランジスタ素子は、閾値電圧調整工程のみを異にするだけで、各素子の作り分けが可能である。従って、上記半導体装置の製造は、工程数が少なく工程管理が容易であり、上記半導体装置を安価に製造することが可能である。
上記半導体装置においては、例えば請求項3に記載のように、前記MOSトランジスタ素子および前記短絡MOSトランジスタ素子が、横型であってもよいし、請求項4に記載のように、縦型であってもよい。
請求項5に記載のように、上記半導体装置における前記MOSトランジスタ素子および前記短絡MOSトランジスタ素子は、埋め込み酸化膜を有するSOI構造半導体基板のSOI層に形成され、前記埋め込み酸化膜に達する絶縁分離トレンチにより、互いに絶縁分離されてなるように構成することができる。
この場合、請求項6に記載のように、前記埋め込み酸化膜に達するn重の絶縁分離トレンチが形成され、前記互いに絶縁分離されたn個のMOSトランジスタ素子が、前記n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各領域に、高段のMOSトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されてなることが好ましい。また、請求項7に記載のように、前記互いに絶縁分離されたn個の短絡MOSトランジスタ素子についても、前記n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各領域に、高段の短絡MOSトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されてなることが好ましい。
これにより、GND電位から所定電位までの電圧増加に応じて、n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各領域に加わる電圧を均等化し、n個のMOSトランジスタ素子および短絡MOSトランジスタ素子の担当電圧範囲をGND電位から所定電位に向かって順番に移行させることができる。尚、隣り合う絶縁分離されたMOSトランジスタ素子同士および隣り合う絶縁分離された短絡MOSトランジスタ素子同士の間には、n重の絶縁分離トレンチが一つ存在するだけであるため、n個のMOSトランジスタ素子の接続配線およびn個の短絡MOSトランジスタ素子の接続配線が容易になると共に、占有面積を低減して、当該半導体装置を小型化することができる。
尚、この場合には、例えば請求項8に記載のように、前記n個の短絡MOSトランジスタ素子が、それぞれ、複数に分割形成されてなるように構成してもよい。これにより、複数に分割形成されてなる各分割素子を適宜配線接続することで、各段の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)の所望する高抵抗値を、簡単かつ精密および広範囲に設定することが可能となる。
請求項9に記載のように、前記半導体装置は、GND電位を基準とするGND基準ゲート駆動回路、浮遊電位を基準とする浮遊基準ゲート駆動回路、前記GND基準ゲート駆動回路と前記浮遊基準ゲート駆動回路を制御するための制御回路、および前記制御回路と前記浮遊基準ゲート駆動回路の間に介在し、前記制御回路の入出力信号をGND電位と浮遊電位の間でレベルシフトさせるレベルシフト回路で構成されるインバータ駆動用の高電圧ICにおいて、前記レベルシフト回路に好適である。この場合には、前記所定電位が、前記浮遊電位となる。
前記高電圧ICは、例えば、請求項10に記載のように、車載モータのインバータ駆動用の高電圧ICであってもよいし、請求項11に記載のように、車載エアコンのインバータ駆動用の高電圧ICであってもよい。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明ではないが参考とする半導体装置の例で、半導体装置20の要部構成を示す模式的な上面図である。図2(a),(b)は、それぞれ、半導体装置20におけるMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1の模式的な断面図である。また、図3(a),(b)は、それぞれ、MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1に関するゲート電圧−ドレイン電流(Vg−Id)特性を示す図である。
尚、図1の半導体装置20において、図17に示した従来の半導体装置11と同様の部分については、同じ符号を付した。また、図2のSOI基板1は、図16のSOI基板1に対応したもので、対応する各部には同じ符号を付している。図2では、埋め込み酸化膜3上に高濃度不純物層1bが記載されていないが、高濃度不純物層1bはあってもなくてもよい。また、図1および図2に示すMOSトランジスタ素子Trおよび短絡MOSトランジスタ素子RTr1を取り囲む絶縁分離トレンチZ1は、図16において符号4で示した各MOSトランジスタ素子Tr1〜Trnを取り囲む絶縁分離トレンチに対応している。
図1に示す半導体装置20は、図17に示した従来の半導体装置11における薄膜で形成された抵抗素子Rを、ゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成された短絡MOSトランジスタ素子RTr1で置き換えた構成となっている。
すなわち、図1に示す半導体装置20には、図17に示した半導体装置11と同様に、図2に示す埋め込み酸化膜3を有するSOI基板1が用いられており、6個の図2(a)に示すNチャネル横型MOS(LDMOS)トランジスタ素子Trが、埋め込み酸化膜3上のSOI層1aに形成されている。各MOSトランジスタ素子Trは、ドレインD、ゲートGおよびソースSが図1に示すように同心円状に配置されたパターンとなっている。また、各MOSトランジスタ素子Trは、図1中に太い実線の円で示した、図2(a)に示す埋め込み酸化膜3に達する第1絶縁分離トレンチZ1により取り囲まれて、周りから絶縁分離されている。
半導体装置20では、同じく埋め込み酸化膜3に達する図1中に太い実線の四角で示した第2絶縁分離トレンチZ2が、多重に形成されている。第1絶縁分離トレンチZ1により絶縁分離された各MOSトランジスタ素子Trは、多重の第2絶縁分離トレンチZ2により囲まれた各フィールド領域F1〜F6に、それぞれ一個ずつ配置されている。尚、フィールド領域F6には、高電圧(HV)回路および電源パッドや出力パッド等が形成されており、フィールド領域F1の外側の領域には、接地(GND)パッドや入力パッド等が形成されている。
また、半導体装置20では、6個のMOSトランジスタ素子Trが、グランド(GND)電位と所定の電源電位との間で、6重の第2絶縁分離トレンチZ2の外周側をGND電位側の第1段、内周側を電源電位側の第6段として、順次直列接続されている。尚、図1における符号Routは出力抵抗である。半導体装置20では、第1段MOSトランジスタ素子Trにおけるゲート端子を入力端子としている。また、第6段MOSトランジスタ素子Trと電源パッドの間に出力抵抗Routが接続され、第6段MOSトランジスタ素子Trの電源電位側の端子と出力抵抗Routの間から、出力が取り出される。
一方、図1に示す半導体装置20は、図17に示した従来の半導体装置11と異なり、ゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成された短絡MOSトランジスタ素子RTr1が多段に直列接続されて、GND電位と電源電位が分割され、2段目以降のMOSトランジスタ素子Trのゲートが、上記直列接続の各分岐点に接続されている。
図1の半導体装置20における短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、本発明の半導体装置における短絡MOSトランジスタ素子ではないが、図2(b)に示すように、図2(a)に示すMOSトランジスタ素子Trと同じチャネル長さ方向の断面構造を有しているものの、閾値電圧調整工程において異なる閾値電圧となるように調整されている。すなわち、図2(a)に示すNチャネルMOSトランジスタ素子Trは、チャネル領域にP導電型不純物をイオン注入して、閾値電圧Vtを調整している。これによって、図3(a)に示すように、正の閾値電圧Vt0を持った通常のVg−Id特性となる。これに対して、図2(b)に示すNチャネル短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、閾値電圧調整工程において、ゲートG直下のチャネル領域にN導電型不純物を多量にイオン注入している。このため、短絡MOSトランジスタ素子RTr1においては、図2(b)に示すように、チャネル領域に高抵抗の短絡チャネル(反転層チャネル)n1が形成されることとなる。これによって、図3(b)に示すように、短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、MOSトランジスタ素子Trの閾値電圧Vt0より低い閾値電圧Vt1を持つようになり、ゲート電圧Vg=0Vにおいても微弱電流Id1が流れる。すなわち、ソースSに対するゲート電圧が0Vの状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成されており、これによってゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能になるようにしている。
上記MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1の閾値電圧調整工程は、例えば、LOCOSおよびゲート酸化膜の形成工程とポリシリコンからなるゲート電極の形成工程の間で行うことができる。MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1のいずれか一方の閾値電圧を調整する際には、他方をレジストによりマスクして、イオン注入を行う。図2(a)に示す通常のNチャネルMOSトランジスタ素子Trの閾値電圧を調整する際には、例えば、P導電型不純物としてボロン(B+)をイオン注入する。一方、図2(b)に示すNチャネル短絡MOSトランジスタ素子RTr1の閾値電圧を調整する際には、例えば、N導電型不純物としてリン(P+)を加速電圧30kV,ドーズ量1.3×1013/cm2程度で多量にイオン注入する。
図1の半導体装置20におけるゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成された短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、上記のように高抵抗素子として機能させることができる。このため、半導体装置20では、GND電位と所定電位の間に順次直列接続された主ラインのMOSトランジスタ素子Trのゲート分圧回路が、同じくGND電位と所定電位の間に順次直列接続された高抵抗素子として機能する短絡MOSトランジスタ素子RTr1で構成されていることになる。この高抵抗素子として機能する短絡MOSトランジスタ素子RTr1により、半導体装置20では、ゲート分圧回路ラインに流れる定常状態での(リーク)電流を抑制することができ、これによって消費電力を低減することができる。また、短絡MOSトランジスタ素子RTr1のチップに占める面積は、図17に示した従来の薄膜で形成される抵抗素子Rに較べて格段に小さく、これによってコストが増大することもない。
図1の半導体装置20においても、図17に示した従来の従来の薄膜抵抗素子Rをゲート分圧回路に用いた半導体装置11と同様に、第1段のMOSトランジスタ素子Trのゲート端子に入力信号を加えることで、n個の短絡MOSトランジスタ素子RTr1を介して、第2段から第n段のMOSトランジスタ素子Trも同時に動作させることができる。また、図1の半導体装置20においても、図17の半導体装置11と同様に、GND電位と所定電位の間の電圧がn個のMOSトランジスタ素子Trにより分割され、第1段から第n段の各MOSトランジスタ素子Trが、それぞれの電圧範囲を分担している。従って、GND電位と所定電位の間の電圧を1個のMOSトランジスタ素子で分担する場合に較べて、各MOSトランジスタ素子Trに要求される耐圧を低減することができる。尚、隣り合う絶縁分離されたMOSトランジスタ素子Tr同士および隣り合う絶縁分離された短絡MOSトランジスタ素子RTr1同士の間には、n重の絶縁分離トレンチZ2が一つ存在するだけであるため、n個のMOSトランジスタ素子Trの接続配線およびn個の短絡MOSトランジスタ素子RTr1の接続配線が容易になると共に、占有面積を低減して、小型化することができる。
以上のようにして、図1に示す半導体装置20は、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素Trが順次直列接続されてなる半導体装置であって、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、消費電力が小さく、小型で安価な半導体装置とすることができる。
また、半導体装置20においては、前述したように、MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1が、同じチャネル長さ方向の断面構造を有している。主ラインの各段のMOSトランジスタ素子でGND電位と所定電位の間を分割分担する半導体装置では、一般的に、主ラインを構成する各段のMOSトランジスタ素子の耐圧と共に、ゲート分圧回路ラインを構成する各短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)についても、同程度の耐圧が必要である。一方、MOSトランジスタ素子の耐圧は、一般的に、チャネル長さ方向の断面構造により決まる。このため、半導体装置20のように、主ラインのMOSトランジスタ素子Trとゲート分圧回路ラインの短絡MOSトランジスタ素子RTr1のチャネル長さ方向における断面構造を同じにすることで、耐圧設計が簡略化されると共に、両素子Tr,RTr1の耐圧特性を正確に一致させることができる。また、各ライン内においても、それを構成する各素子TrおよびRTr1の耐圧が等しくなるため、GND電位と所定電位の間に挿入された各素子TrおよびRTr1の分担する電圧(耐圧)を均等にして、最小化することができる。
さらに、主ラインとゲート分圧回路ラインが基本的に同じ断面構造のMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1からなる半導体装置20は、製造工程も非常に単純なものとなる。すなわち、半導体装置20におけるMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1の形成は、大部分を共通する工程でまかなうことができる。例えば、MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、上記したように閾値電圧調整工程のみを異にするだけで、各素子Tr,RTr1の作り分けが可能である。従って、半導体装置20の製造は、工程数が少なく工程管理が容易であり、半導体装置20を安価に製造することが可能である。
半導体装置20では、前述したように、不純物をイオン注入して短絡MOSトランジスタ素子RTr1の閾値電圧を調整している。従って、イオン注入量を適宜設定することで、所望する広範囲の高抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1を実現することができる。
図4は、イオン注入量を変えて短絡MOSトランジスタ素子RTr1の閾値電圧を変化させた場合のゲート電圧−ドレイン電流(Vg−Id)特性を示す図である。不純物のイオン注入量が多いほど、図中の白抜き矢印で示したように、Vg−Id特性は左に移動して閾値電圧がVt1aからVt1bに下がり、低い抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1となる。逆に言えば、不純物のイオン注入量できるだけ少なくすることで、高い抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1を得ることができる。尚、図1の半導体装置20において、6個の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1は、全て同じ抵抗値をもっていてよい。しかしながらこれに限らず、図4の特性を利用して、6個の短絡MOSトランジスタ素子RTr1のそれぞれに対するイオン注入量を変えて、それぞれ異なる抵抗値を持たせるようにしてもよい。これによって、例えば、dV/dtサージ等の速いサージに対する各段のMOSトランジスタ素子Trの応答を均等化することができる。
図5は、図2(a)のMOSトランジスタ素子Trと組み合わせて図1の半導体装置20の構成に用いることのできる、より好ましい短絡MOSトランジスタ素子RTr1aの模式的な断面図である。
図5の短絡MOSトランジスタ素子RTr1aは、ゲート電極Gaに対してソース電極Sの配線が接続されている点で、図2(b)に示した短絡MOSトランジスタ素子RTr1と異なっている。前述したように、図2(b)に示した短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、ソースに対するゲート電圧が0Vの状態で、ソース−ドレイン間が導電可能に形成されている。従って、図5の短絡MOSトランジスタ素子RTr1aのように、ゲートGaとソースSaが互いに短絡接続されることで、ソースに対するゲート電圧が0Vの状態を安定化させることができる。このため、高抵抗素子として機能する短絡MOSトランジスタ素子RTr1aの抵抗値も、安定したものとなる。尚、半導体装置20の要部構成を示す図1では、各短絡MOSトランジスタ素子RTr1のゲートGとソースSが配線により接続され、互いに短絡接続された状態の図示となっている。
図6(a),(b)は、それぞれ、図1の半導体装置20の構成に適用できる別のMOSトランジスタ素子Trbと短絡MOSトランジスタ素子RTr1bの模式的な断面図である。尚、図6(a),(b)に示すMOSトランジスタ素子Trbと短絡MOSトランジスタ素子RTr1bにおいて、図2(a),(b)に示したMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1と同様の部分については、同じ符号を付した。
図2(a),(b)に示したMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、同じチャネル長さ方向の断面構造を有する横型の素子であった。これに対して、図6(a),(b)に示すMOSトランジスタ素子Trbと短絡MOSトランジスタ素子RTr1bは、ゲートGbの両側にソースSbが配置されると共に、ドレインDbがソースSbの外側に配置され、キャリアがSOI層1aの縦方向にも流れる縦型の素子である。また、図6(a),(b)のMOSトランジスタ素子Trbと短絡MOSトランジスタ素子RTr1bについても、閾値電圧調整工程において異なる閾値電圧となるように調整されているものの、同じチャネル長さ方向の断面構造を有している。尚、図6(b)に示す縦型の短絡MOSトランジスタ素子RTr1bでは、閾値電圧の調整だけでなく、図中に示したゲート電極Gbの幅wを変えることで、短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1bの抵抗値を調整することも可能である。すなわち、図中に示したゲート電極Gbの幅wを小さくするほど左右の高抵抗の短絡チャネルn1から流れ出たキャリアの導電経路が狭められるため、より高抵抗の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1bとなる。さらに、電流経路が下向きになるため、ホットキャリアのゲートGbへの注入が抑制される結果、特性変動が抑えられる。また、電流経路が半導体の内部に形成されるため、Naなど可動イオンによる汚染等の外部からの影響を軽減し、素子特性を安定化することが可能である。
このように、図1の半導体装置20の構成に適用できるMOSトランジスタ素子と短絡MOSトランジスタ素子は、横型であってもよいし、縦型であってもよい。
次に、本発明の基礎とする半導体装置の例を示す。
図7は、半導体装置21の要部構成を示す模式的な上面図である。図8は、半導体装置21における短絡MOSトランジスタ素子RTr2の模式的な断面図である。また、図9は、短絡MOSトランジスタ素子RTr2に関するゲート電圧−ドレイン電流(Vg−Id)特性を示す図である。尚、図7に示す半導体装置21と図8に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr2において、それぞれ、図1に示した半導体装置21と図2(b)に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr1と同様の部分については、同じ符号を付した。
図7の半導体装置21の構成に用いられているMOSトランジスタ素子Trは、図1の半導体装置20の構成に用いられているMOSトランジスタ素子Trと同じもので、図2(a)に示した断面構造および図3(a)に示したVg−Id特性を持っている。また、図2(a)に示したMOSトランジスタ素子Trと図8に示した短絡MOSトランジスタ素子RTr2は、同じチャネル長さ方向の断面構造となっている。
図7に示す半導体装置21は、図1に示した半導体装置20における短絡MOSトランジスタ素子RTr1を、別の短絡MOSトランジスタ素子RTr2で置き換えた構成となっている。図7および図8に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr2も、図1および図2(a)に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr1と同様に、ゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能に形成された短絡MOSトランジスタ素子となっている。
一方、図1および図2(a)に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr1は、閾値電圧が調整され、ソースに対するゲート電圧が0Vの状態で、ソース−ドレイン間が導電可能に形成されていた。これに対して、図7および図8に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr2は、浮遊状態にあるゲート電極Gcを有している。半導体装置21の要部構成を示す図7では、各短絡MOSトランジスタ素子RTr2のゲートGcが他の配線に接続されておらず、浮遊状態にあることを示した図示となっている。
図7および図8に示す短絡MOSトランジスタ素子RTr2は、ポリシリコンからなるゲート電極Gcに図中に+丸印で示した電荷(ホール)hが注入された状態で、ソース−ドレイン間が導電可能に形成されている。すなわち、図8の短絡MOSトランジスタ素子RTr2においては、浮遊状態にあるゲート電極Gcに電荷(ホール)hが注入されることによって、チャネル領域のn導電型キャリアがゲート電極Gc近くに引き寄せられる。これによって、図8の短絡MOSトランジスタ素子RTr2において、図2(a)の短絡MOSトランジスタ素子RTr1が閾値電圧調整されてチャネル領域に高抵抗の短絡チャネル(反転層チャネル)n1が形成されるのと同様の効果が得られることとなる。尚、図8のNチャネル短絡MOSトランジスタ素子RTr2では、ポリシリコンからなるゲート電極Gcにプラス電荷のホールhが蓄積されたが、Pチャネル短絡MOSトランジスタ素子では、ポリシリコンからなるゲート電極Gcにマイナス電荷の電子が蓄積される。
図9に示すように、短絡MOSトランジスタ素子RTr2においては、ゲート電極Gcへの電荷注入量が多いほど、図中の白抜き矢印で示したように、Vg−Id特性は左に移動して閾値電圧がVt2aからVt2bに下がり、低い抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr2となる。逆に言えば、ゲート電極Gcへの電荷注入量できるだけ少なくすることで、高い抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr2を得ることができる。このように、短絡MOSトランジスタ素子RTr2においては、浮遊状態にあるゲート電極Gcに電荷を注入し、この注入する電荷量を適宜設定することで、所望する広範囲の高抵抗値を持った短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)を実現することができる。
以上のように、図8の短絡MOSトランジスタ素子RTr2についても、ゲート入力が無い状態でソース−ドレイン間が導電可能で、高抵抗素子として機能させることができる。従って、図7の半導体装置21についても、ゲート分圧回路ラインに流れる定常状態での(リーク)電流を抑制することができ、これによって消費電力を低減することができる。また、短絡MOSトランジスタ素子RTr2のチップに占める面積は、図17に示した従来の薄膜で形成される抵抗素子Rに較べて格段に小さく、これによってコストが増大することもない。
従って、図7の半導体装置21についても、図1に示した半導体装置20と同様に、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素Trが順次直列接続されてなる半導体装置であって、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、消費電力が小さく、小型で安価な半導体装置とすることができる。
尚、図7の半導体装置21においても、MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr2が、同じチャネル長さ方向の断面構造を有している。従って、耐圧設計が簡略化されると共に、両素子Tr,RTr2の耐圧特性を正確に一致させることができる。また、各ライン内においても、それを構成する各素子TrおよびRTr2の耐圧が等しくなるため、GND電位と所定電位の間に挿入された各素子TrおよびRTr2の分担する電圧(耐圧)を均等にして、最小化することができる。
さらに、主ラインとゲート分圧回路ラインが同じ断面構造のMOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr2からなる半導体装置21は、MOSトランジスタ素子Trと短絡MOSトランジスタ素子RTr1の形成を共通する工程でまかなうことができる。従って、半導体装置21の製造は、工程数が少なく工程管理が容易であり、半導体装置21を安価に製造することが可能である。
また、図7の半導体装置21の構成に適用できるMOSトランジスタ素子と短絡MOSトランジスタ素子は、図1に示した半導体装置20の場合と同様に、横型であってもよいし、縦型であってもよい。
図10は、図7に示した半導体装置21のより好ましい例で、半導体装置21aの要部構成を示す模式的な上面図である。また、図11は、半導体装置21aにおける短絡MOSトランジスタ素子RTr2および第2ゲート電極構成部SGc2の模式的な断面図である。尚、図10の半導体装置21aにおいて、図7に示した半導体装置21と同様の部分については、同じ符号を付した。また、図11の短絡MOSトランジスタ素子RTr2は、図8の短絡MOSトランジスタ素子RTr2と同じものであり、図11のMOSトランジスタ素子Trは、図2(a)のMOSトランジスタ素子Trと同じものである。
図10に示す半導体装置21aは、図7に示した半導体装置21に対して、電荷注入手段である第2ゲート電極構成部SGc2を、短絡MOSトランジスタ素子RTr2に付加した構成となっている。図10の半導体装置21aにおいては、図11に示すように、短絡MOSトランジスタ素子RTr2のゲート電極Gcが、第2ゲート電極構成部SGc2におけるトンネル酸化膜tn上に形成された浮遊状態にある第2ゲート電極Gc2に接続された構成となっている。この第2ゲート電極Gc2は、制御ゲート電極と浮遊ゲート電極の2つのゲート電極を有してなる書換え可能な不揮発性メモリトランジスタ(図示省略)における浮遊ゲート電極と同じものである。これによって、トンネル酸化膜tnを介して、高電界によって発生するホットキャリア(電子またはホール)を第2ゲート電極Gc2に安定的に注入し、短絡MOSトランジスタ素子RTr2のゲート電極Gcに注入する電荷量を注入制御することができる。
また、図12は、本発明に係る半導体装置21bの要部構成を示す模式的な上面図で、図11に示した半導体装置21aに対して、第2ゲート電極構成部SGc2に、基板上に形成されたパッド電極Pc2を付加した構成となっている。このパッド電極Pc2は、第2ゲート電極Gc2に接続されており、第2ゲート電極Gc2と同様に浮遊状態にある。このパッド電極Pc2を用いて、短絡MOSトランジスタ素子RTr2のゲート電極Gcに注入する電荷量をより精密に制御することが可能である。このパッド電極Pc2を介して電荷を注入することで、例えば、ウエハ状態での短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr2の抵抗値調整が可能となる。
尚、図8に示した短絡MOSトランジスタ素子RTr2のゲート電極Gcへのホールの注入は、上記図11に示した方法に限らず、例えば、ゲート電極Gcを酸化シリコン(SiO2)で形成しておき、エックス線等の高エネルギー放射線を照射して、酸化膜中にホールをトラップさせるようにしてもよい。
以上に示した半導体装置20および21,21a,21bでは、いずれも、主ラインを構成するn個のMOSトランジスタ素子Trに対して、n個の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1またはRTr2でゲート分圧回路ラインが構成されている。このゲート分圧回路ラインを構成するn個の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)RTr1またはRTr2は、それぞれ、複数に分割形成されてなるように構成してもよい。
図13は、上記半導体装置の例で、半導体装置22の要部構成を示す模式的な上面図である。
図13に示す半導体装置22においては、ゲート分圧回路ラインの各段を構成する各フィールド領域F1〜F6に配置された短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)が、それぞれ、3個に分割形成されている。これにより、3個に分割形成されてなる各分割素子RTr3a〜RTr3cを適宜配線接続することで、各段の短絡MOSトランジスタ素子(高抵抗素子)の所望する高抵抗値を、簡単かつ精密および広範囲に設定することが可能となる。
以上示したように、上記半導体装置20,21,21a,21b,22は、いずれも互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子が順次直列接続されてなる半導体装置であって、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、小型で消費電力が小さな半導体装置を提供することを目的としている。
従って、上記半導体装置20,21,21a,21b,22は、例えば、GND基準ゲート駆動回路、浮遊基準ゲート駆動回路、制御回路、レベルシフト回路で構成されるインバータ駆動用の高電圧ICにおいて、レベルシフト回路に用いる半導体装置に好適である。特に、上記半導体装置20,21,21a,21b,22を用いた高電圧ICは、全体として必要とされる高い耐圧を確保することができ、消費電力が小さく、小型で安価な半導体装置であって、HEV・EV・FC車等の車載モータのインバータ駆動用や車載エアコンのインバータ駆動用に好適な高電圧ICとすることができる。しかしながら、本発明の半導体装置の適用対象はこれに限らず、民生・産業用モータ制御分野にも適用することができる。