JP4967375B2 - 同期機の電流制御装置及び電流制御方法 - Google Patents
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Description
このものは、n相交流により駆動する同期電動機の各相に印加する印加電流として、基本電流(1次周波数電流)をK=1+Σi=1k2in・cos{2in(ωt+χ2in)}の式で得られる補正係数Kで補正した電流を与えて駆動する。この際、係数k2inに関して、同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとしている。言い換えれば、この電流制御は、各相の基本電流をI=Acos(ωt)+Bsin(ωt)としたときに、2in次成分を低減する高次周波数電流を重畳した電流I′を、I′={Acos(ωt)+Bsin(ωt)}*{1+qcos(2inωt)+rsin(2inωt)}として与え、qを同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分実部の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとし、rを同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分虚部の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとすることと等価であり、基本電流を印加したときに発生するトルク変動の大きい高次周波数電流成分を打ち消すような高次周波数電流を基本電流に重畳してトルク変動を低減しようとするものである。
図1は、本発明に係る同期機の電流制御装置の一実施形態を示す構成図で、3相同期モータの駆動システムに適用した例を示す。
図1において、本実施形態の電流制御装置10は、図示しないコントローラからのトルク指令値と回転センサ1で検出されるモータ30の回転速度に基づいて各相の正弦波基本電流の電流値と位相を演算すると共に、基本電流(1次周波数電流)を印加したときに現れるトルク変動や半径方向節点力を低減するための補正係数Kを後述するようにして設定し、この設定した補正係数Kを前記基本電流に乗じて基本電流を補正する補正係数設定手段としての電流補正係数設定部11と、該電流補正係数設定部11から出力される補正電流値と電流センサ2で検出された各相の実際の電流値との比較結果が3相/2相変換部12を介して入力し比較結果に基づいたフィードバック制御による電圧指令値を2相/3相変換部14を介してモータドライバ20に出力する駆動制御手段としてのPI制御部13を備える。
図2及び図3に、前記モータ30として、高出力と低振動性という特性を備えるために多用される傾向にある4極対48ティースの分布巻きによる3相同期モータの構造を示す。
前記回転子50は、その軸中心に設けた回転軸70がモータケース60に設けられた軸受61,62により回転可能に支持されている。また、回転軸70に対し圧入により固定された積層鋼鈑等をベース材とし、該ベース材の外周部に8個の永久磁石51〜58が図3に示すように周方向に略等間隔に且つ図2に示すように軸方向に貫通して固定されている。前記永久磁石51〜58は、厚み方向に磁化されており、図3のように隣接する磁石のN極とS極が逆向きとなるよう配置されている。この永久磁石51〜58は、回転子50をモータケース60に組み付けると、回転子50の永久磁石51〜58と固定子40の電磁石との関係により磁路を形成する。
K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)] ・・・(1)
尚、pは、トルク変動や半径方向節点力を低減するために1次周波数電流に重畳する高次周波数電流の次数を示す。
ここで、トルク及び半径方向節点力がモータの回転速度によらず印加電流値のみに依存することを示し、また、トルク変動を低減する高次周波数電流と半径方向節点力を低減する高次周波数電流が異なることを示す。言い換えれば、トルク変動及び半径方向節点力を低減するために重畳する高次周波数電流成分が電流値に依存し、また、この重畳する高次周波数電流成分の振幅値に関連する補正係数K内の係数q、rが、トルク変動低減用の第1の係数q1、r1と半径方向節点力低減用の第2の係数q2、r2で異なることを示す。
入力するトルク指令値やモータ30の回転速度に基づいて、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を選択して補正係数Kを設定する。
まず、トルク指令値の場合について説明する。
切替え電流値として予め所定の基本電流値(例えば1600A)を定め、この電流値以下で負荷が低い領域では、トルク変動の低減を重視して第1の係数q1、r1を選択し、Ka=[1+q1cos(pωt)+r1sin(pωt)]としてトルク変動低減用の補正係数Kaを設定し、この補正係数Kaを基本電流に乗じて補正した電流値をモータ30に印加するようにする。また、トルク指令値が大きく電流値が前記切替え電流値より大きく負荷が高い領域では、半径方向節点力の低減を重視して第2の係数q2、r2を選択し、Kb=[1+q1cos(pωt)+r1sin(pωt)]として半径方向節点力低減用の補正係数Kbを設定し、この補正係数Kbを基本電流に乗じて補正した印加電流をモータ30に印加するようにする。尚、図16に、低電流側から高電流側へ負荷が増大した場合に、選択する係数q、rが第1の係数q1、r1から第2の係数q2、r2へ切替わる様子を矢印で示してある。
例えば、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を切替える場合に、前記切替え電流値近傍の予め定めた所定の切替え領域において、係数q、rを下記の(3)式の線形和で表すようにする。
r=s*r1+t*r2 ・・・(3)
(ただし、係数s、tはs+t=1)
そして、係数s、tの一方を漸増し、他方を漸減させて、補正係数K内の係数q、rの値を設定し補正係数Kを決定する。
上述した電流値の場合と同様に、予め所定の回転速度を定め、この回転速度以下の低回転領域では、トルク変動の低減を重視して第1の係数q1、r1を選択してトルク変動低減用の上述した補正係数Kaを設定し、この補正係数Kaを基本電流に乗じて補正する。また、回転速度が前記所定回転速度より高回転領域では、半径方向節点力の低減を重視して第2の係数q2、r2を選択して半径方向節点力低減用の補正係数Kbを設定し、この補正係数Kbを基本電流に乗じて補正する。ここで、前記所定回転速度が第1の所定回転速度に相当する。
上述の例では、低回転側でトルク変動の低減を重視し、高回転側で半径方向節点力の低減を重視する例を説明したが、これに限るものではなく、低回転側で半径方向節点力の低減を重視し、高回転側でトルク変動の低減を重視するような設定でもよい。
例えば、図19に示すように、第2の所定回転速度としての所定回転速度Nを略中心として予め定めた図中点線で示す所定回転速度領域Aで、K=s*Ka+t*Kbにおいて係数s=1、t=0として補正係数KをK=Kaに設定してトルク変動を低減し、所定回転速度領域A以外の回転速度領域では係数s=0、t=1として補正係数KをK=Kbに設定して半径方向節点力を低減する。
また、所定回転速度領域Aで、K=s*Ka+t*Kbにおいて係数s=0、t=1として補正係数Kbで半径方向節点力を低減し、所定回転速度領域A以外で係数s=1、t=0として補正係数Kaでトルク変動を低減するようにしてもよい。補正係数Kの切替えは、前述した所定回転速度領域Aでトルク変動を低減する場合と同様に行うことができる。この場合の第2の所定回転速度N′としては、モータのケ−スを含めて構造体の共振周波数から決定する。例えば、4極対モータの場合、構造体共振周波数をfmとすると、所定回転速度N′はN′=(60*fm)/(4*p)=(15*fm)/pとなる。
上述したような、駆動系共振や構造体共振に基づいて設定された所定回転速度領域Aでトルク変動や半径方向節点力を低減するような場合に、所定回転速度領域A以外では補正係数Kによる電流補正を行わないようにしてもよい。これにより、不必要に電力を消費することを避けることができる。
尚、基本電流値に応じて第1の係数と第2の係数を切替えて補正係数Kを設定する上述の実施形態では、補正係数K内の係数q、rに関して、図15に示すような、基本電流値と第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2の対応関係を示すマップから、基本電流値に応じて第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2のいずれかを選択するようにしたが、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2の選択されない領域のデータは不要である。従って、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2のそれぞれ選択される必要領域のデータのみを互いに結合し、1つの係数q′、r′データを基本電流値と対応させてマップ化して記憶させるとよい。
上述の実施形態では、高次周波数成分のp次を1つに絞って説明したが、低減対象の次数が複数ある場合には、補正係数Kを、
K=[1+{q1cos(p1ωt)+r1sin(p1ωt)}+{q2cos(p2ωt)+r2sin(p2ωt)}
+{q3cos(p3ωt)+r3sin(p3ωt)}+・・・]
と考え、p1、p2、p3、・・・ぞれぞれに対してトルク変動低減用の第1の係数q1、r2値と、半径方向低減用の第2の係数q2、r2を持たせて重畳するようにすればよい。
また、本実施形態は、回転子と固定子とが径方向に対向配置されるラジアルタイプの同期機への適用例を示したが、例えば、回転子と固定子とが軸方向に対向配置されるアキシャルタイプの同期機にも適用することができる。
11 電流補正係数設定部
13 PI制御部
20 モータドライバ
21 PWM制御部
22 インバータ
30 三相同期モータ
40 固定子
42 コイル
50 回転子
60 モータケース
70 回転軸
Claims (11)
- 同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御装置であって、
K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、rを、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定する補正係数設定手段と、
該補正係数設定手段で設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を前記各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御する駆動制御手段と、
を備えて構成したことを特徴とする同期機の電流制御装置。 - 前記補正係数設定手段は、同期機の動作に関する状態量に応じて、前記第1の係数と前記第2の係数とを切替える構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。
- 前記補正係数設定手段は、予め定めた所定の基本電流値で前記第1の係数と第2の係数を切替える構成とした請求項1または2に記載の同期機の電流制御装置。
- 基本電流値に対応して変化する前記第1及び第2の各係数データのそれぞれ選択される各必要領域のデータのみを互いに結合し、該結合した1つの係数q、rのデータを前記基本電流値に対応させて記憶する構成とした請求項3に記載の同期機の電流制御装置。
- 前記補正係数設定手段は、前記同期機の予め定めた第1の所定回転速度で前記第1の係数と第2の係数を切替える構成とした請求項1または2に記載の同期機の電流制御装置。
- 前記補正係数設定手段は、前記第1の係数をq1、r1とし、前記第2の係数をq2、r2としたときに、第1の係数と第2の係数の予め定めた切替え領域において、
q=s*q1+t*q2
r=s*r1+t*r2
(ただし、係数s、tはs+t=1)
の式を用い、係数s、tのいずれか一方を漸増し、他方を漸減させて、前記補正係数K内の係数q、rを設定する構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。 - 前記補正係数設定手段は、前記第1の係数をq1、r1とし、前記第2の係数をq2、r2としたときに、予め定めた第2の所定回転速度を略中心とした所定回転速度領域において、
q=s*q1+t*q2
r=s*r1+t*r2
(ただし、係数s、tはs+t=1)
の式を用い、前記所定回転速度領域端から前記第2の所定回転速度までの間で、係数s、tのいずれか一方を漸増し、他方を漸減させて前記補正係数K内の係数q、rを設定する構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。 - 前記第2の所定回転速度は、駆動系の回転方向共振周波数に基づいて決定する構成とした請求項7に記載の同期機の電流制御装置。
- 前記第2の所定回転速度は、前記同期機の構造体の共振周波数に基づいて決定する構成とした請求項7に記載の同期機の電流制御装置。
- 前記補正係数設定手段は、前記第2の所定回転速度を略中心とした前記所定回転速度領域以外の回転速度領域で、前記係数s、tを、s=0、t=0として基本電流を補正しない構成とした請求項7〜9のいずれか1つに記載の同期機の電流制御装置。
- 同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御方法であって、
K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、rを、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定し、
該設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御することを特徴とする同期機の電流制御方法。
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JP2006052798A JP4967375B2 (ja) | 2006-02-28 | 2006-02-28 | 同期機の電流制御装置及び電流制御方法 |
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