JP4967375B2 - 同期機の電流制御装置及び電流制御方法 - Google Patents

同期機の電流制御装置及び電流制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4967375B2
JP4967375B2 JP2006052798A JP2006052798A JP4967375B2 JP 4967375 B2 JP4967375 B2 JP 4967375B2 JP 2006052798 A JP2006052798 A JP 2006052798A JP 2006052798 A JP2006052798 A JP 2006052798A JP 4967375 B2 JP4967375 B2 JP 4967375B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coefficient
current
synchronous machine
correction coefficient
coefficients
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006052798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007236070A (ja
Inventor
春樹 屋代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006052798A priority Critical patent/JP4967375B2/ja
Publication of JP2007236070A publication Critical patent/JP2007236070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4967375B2 publication Critical patent/JP4967375B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

本発明は、同期機の電流制御装置及び電流制御方法に関し、特に、同期機の振動の主要因であるトルク変動と騒音の主要因である半径方向節点力を共に低減可能な同期機の電流制御装置及び電流制御方法に関する。
従来、同期電動機の印加電流を制御して同期電動機のトルク変動を低減するようにした同期電動機の制御装置及び電流制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このものは、n相交流により駆動する同期電動機の各相に印加する印加電流として、基本電流(1次周波数電流)をK=1+Σi=12in・cos{2in(ωt+χ2in)}の式で得られる補正係数Kで補正した電流を与えて駆動する。この際、係数k2inに関して、同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとしている。言い換えれば、この電流制御は、各相の基本電流をI=Acos(ωt)+Bsin(ωt)としたときに、2in次成分を低減する高次周波数電流を重畳した電流I′を、I′={Acos(ωt)+Bsin(ωt)}*{1+qcos(2inωt)+rsin(2inωt)}として与え、qを同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分実部の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとし、rを同期電動機を正弦波電流で制御したときのトルク変動波形をフーリエ変換することにより算出される2in次成分虚部の平均トルクに対する割合の極性を反転したものとすることと等価であり、基本電流を印加したときに発生するトルク変動の大きい高次周波数電流成分を打ち消すような高次周波数電流を基本電流に重畳してトルク変動を低減しようとするものである。
特開2001−352791号公報
しかしながら、トルク変動を低減する高次周波数電流成分と半径方向節点力を低減する高次周波数電流成分は異なるため、従来の上述した特許文献1のように、トルク変動を低減対象とした高次周波数電流成分に基づいて設定された補正係数で基本電流を補正する電流制御では、トルク変動の低減には効果があっても半径方向節点力を低減することはできないという問題がある。
本発明は、この問題に着目してなされたもので、トルク変動と半径方向節点力の両方の低減効果を有し、同期機の振動及び騒音を低減可能な同期機の電流制御装置及び電流制御方法を提供することを目的とする。
このため、本発明の同期機の電流制御装置は、同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御装置であって、K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、r、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定する補正係数設定手段と、該補正係数設定手段で設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を前記各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御する駆動制御手段とを備えて構成したことを特徴とする。
また、本発明の同期機の電流制御方法は、同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御方法であって、K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、r、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定し、該設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御することを特徴とする。
本発明の同期機の電流制御装置及び電流制御方法によれば、同期機のトルク変動を低減したいときはトルク変動低減用の第1の係数による補正係数を選択し、半径方向節点力を低減したいときは半径方向節点力低減用の第2の係数による補正係数を選択して、基本電流を補正できるので、同期機の振動の主要因であるトルク変動と騒音の主要因である半径方向節点力を共に低減でき、同期機の振動及び騒音を低減できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る同期機の電流制御装置の一実施形態を示す構成図で、3相同期モータの駆動システムに適用した例を示す。
図1において、本実施形態の電流制御装置10は、図示しないコントローラからのトルク指令値と回転センサ1で検出されるモータ30の回転速度に基づいて各相の正弦波基本電流の電流値と位相を演算すると共に、基本電流(1次周波数電流)を印加したときに現れるトルク変動や半径方向節点力を低減するための補正係数Kを後述するようにして設定し、この設定した補正係数Kを前記基本電流に乗じて基本電流を補正する補正係数設定手段としての電流補正係数設定部11と、該電流補正係数設定部11から出力される補正電流値と電流センサ2で検出された各相の実際の電流値との比較結果が3相/2相変換部12を介して入力し比較結果に基づいたフィードバック制御による電圧指令値を2相/3相変換部14を介してモータドライバ20に出力する駆動制御手段としてのPI制御部13を備える。
前記モータドライバ20は、入力する電圧指令値に基づいてPWM制御部21とインバータ22を介して各相のコイルに対して位相が120度ずつ異なる所定周波数の交流電圧を印加し、これにより、モータ30がその周波数に対応した回転数で駆動する。
図2及び図3に、前記モータ30として、高出力と低振動性という特性を備えるために多用される傾向にある4極対48ティースの分布巻きによる3相同期モータの構造を示す。
このモータ30は、固定子40と、回転子50と、これらを収納するモータケース60とを備える。
前記回転子50は、その軸中心に設けた回転軸70がモータケース60に設けられた軸受61,62により回転可能に支持されている。また、回転軸70に対し圧入により固定された積層鋼鈑等をベース材とし、該ベース材の外周部に8個の永久磁石51〜58が図3に示すように周方向に略等間隔に且つ図2に示すように軸方向に貫通して固定されている。前記永久磁石51〜58は、厚み方向に磁化されており、図3のように隣接する磁石のN極とS極が逆向きとなるよう配置されている。この永久磁石51〜58は、回転子50をモータケース60に組み付けると、回転子50の永久磁石51〜58と固定子40の電磁石との関係により磁路を形成する。
前記固定子40は、モータケース60に対し圧入やボルト止め等により固定された積層鋼鈑をベース材とし、該ベース材の回転子50と対向する内周部に、計48個のティース(1)〜(48)を備える。各ティース(1)〜(48)間に形成されたスロットには、前記モータドライバ20に接続されたコイル42が巻き付けられている。前記コイル42は、図3に示すように、U相のコイルとV相のコイルとW相のコイルの3相に分けられており、前記モータドライバ20からの位相が120度ずつ異なる所定周波数の交流電圧の印加により固定子40に回転磁界を発生させる。
前記電流補正係数設定部11では、補正係数Kを下記の(1)式により与え、補正係数K内の係数q、rの値として、トルク変動低減用の第1の係数q1、r1と半径方向節点力低減用の第2の係数q2、r2のいずれかを選択して補正係数Kを設定する。
K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)] ・・・(1)
尚、pは、トルク変動や半径方向節点力を低減するために1次周波数電流に重畳する高次周波数電流の次数を示す。
補正係数K内の係数q、rは、前記重畳するp次の高次周波数電流成分の振幅値に関連して定まる値であり、F1 0、F2 0、F3 0を、各相電流の直流(DC)成分のトルク変動(又は半径方向節点力)とし、低減したいトルク変動(又は半径方向節点力)のp次成分の実部をFp real、虚部をFp imagとしたときに、前記係数q、rは、例えば、次の(2)式により与えられる。
q=−Fp real/(F1 0+2F2 0+3F3 0)、r=−Fp imag/(F1 0+2F2 0+3F3 0) ・・・(2)
ここで、トルク及び半径方向節点力がモータの回転速度によらず印加電流値のみに依存することを示し、また、トルク変動を低減する高次周波数電流と半径方向節点力を低減する高次周波数電流が異なることを示す。言い換えれば、トルク変動及び半径方向節点力を低減するために重畳する高次周波数電流成分が電流値に依存し、また、この重畳する高次周波数電流成分の振幅値に関連する補正係数K内の係数q、rが、トルク変動低減用の第1の係数q1、r1と半径方向節点力低減用の第2の係数q2、r2で異なることを示す。
トルクと半径方向節点力に関して、前述の4極対48ティースの分布巻きによる3相同期モータについて電磁界解析ソフト(JMAG:株式会社日本総合研究所製)を用いて計算した。図4は計算の際の2次元モデルの1/4を表示したものである。印加電流を900Aとして、回転子50の回転速度が1500rpm、3000rpmの場合のトルク波形を図5に、ティ−ス(1)の半径方向節点力波形を図6に示す(固定子40の外向きを正とした)。図5、図6からわかるように、トルク波形も半径方向節点力波形も1500rpm、3000rpmの結果は一致しており、トルク及び半径方向節点力が略印加電流値に依存していることがわかる。
また、図5、図6の3000rpmの各波形のフ−リエ変換した結果をデシベル表示したものを図7、図8に示す。図7からトルク変動は偶数次数、特に6の倍数次数が大きく、図8から半径方向節点力は偶数次数が大きいことがそれぞれわかる。図9は、トルク変動及び半径方向節点力の12次成分を複素平面にプロットしたものである。図9からトルク変動の12次成分と半径方向節点力の12次成分は、位相が約90°異なり、その結果、同一の高次周波数電流ではトルク変動の12次成分と半径方向節点力の12次成分を低減することができないことがわかる。
図10に、基本電流値900AにおけるU相電流値について、半径方向節点力の12次成分を低減対象とした高次周波数電流値に基づいて(2)式から計算した係数q、rを用いた補正係数Kで補正した電流値(図中破線)とオリジナル(補正なし)の電流値(図中実線)を示す。オリジナルのU相電流に対して、その山、谷で補正係数Kによる高次周波数電流成分を認識できる。
図11に、図10の高次周波数電流成分を重畳して補正した電流をモータ30の各相に印加した場合のティース(1)における半径方向節点力(図中破線)を示し、図12に、そのフ−リエ変換した結果をデシベルで表示したもの(図中破線)を示す。尚、図11の実線は、図6に示すオリジナル(補正なし)の波形を示し、図12の実線は、図6のオリジナル(補正なし)のフ−リエ変換した結果をデシベルで表示した図8に示すものである。図12には補正による12次成分の低減効果が10dB強であることが示されている。
一方、図13に、同じ補正係数Kで補正した場合のトルク波形(図中破線)を示し、図14に、そのフ−リエ変換した結果をデシベル表示したもの(図中破線)を示す。尚、図13の実線は、図5に示すオリジナル(補正なし)の波形を示し、図14の実線は、図5のオリジナル(補正なし)のフ−リエ変換した結果をデシベルで表示した図7に示すものである。図14から半径方向節点力について低減効果があった12次成分は若干悪化している。このことから、トルク変動を低減する高次周波数電流値と半径方向節点力を低減する高次周波数電流値が異なり、重畳する高次周波数電流成分の振幅値に関連する補正係数K内の係数q、rは、トルク変動低減用の第1の係数q1、r1と半径方向節点力低減用の第2の係数q2、r2で異なることがわかる。
図15に、p次のトルク変動を低減するp次周波数電流成分に基づいて計算されたトルク低減用の第1の係数q1、r1(図中実線)の値及びp次の半径方向節点力を低減するp次周波数電流成分に基づいて計算された半径方向低減用の第2の係数q2、r2(図中破線)の値と、基本電流値との関係を示し、これら第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2が、基本電流値に対応して変化することがわかる。
以下に、図1に示す電流制御装置10の電流補正係数設定部11による補正係数Kの設定例について説明する。
入力するトルク指令値やモータ30の回転速度に基づいて、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を選択して補正係数Kを設定する。
まず、トルク指令値の場合について説明する。
例えば、入力するトルク指令値に比例する基本電流値に応じて第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を切替えて補正係数Kを設定する。この場合、図16に示すように、
切替え電流値として予め所定の基本電流値(例えば1600A)を定め、この電流値以下で負荷が低い領域では、トルク変動の低減を重視して第1の係数q1、r1を選択し、Ka=[1+q1cos(pωt)+r1sin(pωt)]としてトルク変動低減用の補正係数Kaを設定し、この補正係数Kaを基本電流に乗じて補正した電流値をモータ30に印加するようにする。また、トルク指令値が大きく電流値が前記切替え電流値より大きく負荷が高い領域では、半径方向節点力の低減を重視して第2の係数q2、r2を選択し、Kb=[1+q1cos(pωt)+r1sin(pωt)]として半径方向節点力低減用の補正係数Kbを設定し、この補正係数Kbを基本電流に乗じて補正した印加電流をモータ30に印加するようにする。尚、図16に、低電流側から高電流側へ負荷が増大した場合に、選択する係数q、rが第1の係数q1、r1から第2の係数q2、r2へ切替わる様子を矢印で示してある。
また、補正係数Kの切替え時にモータ30の振動、騒音上の不連続が問題となる場合、補正係数Kの切替えをスムーズに行うようにするとよい。
例えば、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を切替える場合に、前記切替え電流値近傍の予め定めた所定の切替え領域において、係数q、rを下記の(3)式の線形和で表すようにする。
q=s*q1+t*q2
r=s*r1+t*r2 ・・・(3)
(ただし、係数s、tはs+t=1)
そして、係数s、tの一方を漸増し、他方を漸減させて、補正係数K内の係数q、rの値を設定し補正係数Kを決定する。
例えば、図17の矢印で示すように、低電流側から高電流側に移行する場合、1600A〜2000Aを切替え領域とし、(3)式において、係数sを漸減し係数tを漸増することにより、係数q、rの値を、切替え前の第1の係数q1、r1の値(図中実線)から切替え後の第2の係数q2、r2の値(図中破線)へ徐々に変化させる。これにより、補正係数Kの切替えがスムーズに行え、モータ30の振動、騒音上の不連続を抑制できる。
図17では、1600A〜2000Aを切替え領域とし所定電流値(1600A)を係数q、rの切替え開始点としたが、所定電流値以前の電流値で切替えを開始し所定電流値(1600A)で切替えが終了するよう切替え領域を設定してもよく、また、所定電流値を跨いで切替え領域を設定し所定電流値の前後で切替えを開始し終了するようにしてもよい。
尚、高負荷域でモータ30の磁束が略飽和状態になると、基本電流に対する高次周波数電流重畳分で引き起こすべき磁束のプラス分の発生量が少なく補正による低減効果が大きく下がる。このため、モータ30の磁束が略飽和状態となる電流値以上では、係数q、rをq=r=0として基本電流を補正せず、高次周波数電流を重畳しないようにするとよい。これにより、高次周波数電流重畳による電力消費を抑制できる。
次に、モータ回転速度の場合について説明する。
上述した電流値の場合と同様に、予め所定の回転速度を定め、この回転速度以下の低回転領域では、トルク変動の低減を重視して第1の係数q1、r1を選択してトルク変動低減用の上述した補正係数Kaを設定し、この補正係数Kaを基本電流に乗じて補正する。また、回転速度が前記所定回転速度より高回転領域では、半径方向節点力の低減を重視して第2の係数q2、r2を選択して半径方向節点力低減用の補正係数Kbを設定し、この補正係数Kbを基本電流に乗じて補正する。ここで、前記所定回転速度が第1の所定回転速度に相当する。
補正係数Kの切替えをスムーズに行うためには、前記所定回転速度を含んで予め定めた切替え領域で係数q、rを(3)式の線形和で表すようにし、係数s、tの一方を漸増し、他方を漸減させて、補正係数K内の係数q、rの値を設定して補正係数Kを決定する。例えば、図18に破線で示す切替え領域で、係数q、rを(3)式のようにしたとき、言い換えれば、補正係数Kを、K=s*Ka+t*Kbとしたときに、低回転速度側で係数s、tをs=1、t=0としてトルク変動の低減を重視し、高回転速度側でs=0、t=1として半径方向節点力の低減を重視し、低回転側から高回転側に移行する場合に図中点線で示す切替え領域で、係数sを漸減し、係数tを漸増して補正係数Kの切替えをスムーズに行う。高回転側から低回転側に移行する場合には切替え領域で、係数sを漸増し、係数tを漸減して補正係数Kの切替えをスムーズに行う。
尚、図18は、所定回転速度を跨いで切替えを開始し終了する例を示すが、所定回転速度を補正係数Kの切替え開始点や終了点としてもよいことは言うまでもない。
上述の例では、低回転側でトルク変動の低減を重視し、高回転側で半径方向節点力の低減を重視する例を説明したが、これに限るものではなく、低回転側で半径方向節点力の低減を重視し、高回転側でトルク変動の低減を重視するような設定でもよい。
また、第2の所定回転速度を略中心とした予め定めた所定回転速度領域で、トルク変動と半径方向節点力のいずれか一方を低減し、前記所定回転速度領域以外では他方を低減するように補正係数Kを切替えて設定するようにしてもよい。
例えば、図19に示すように、第2の所定回転速度としての所定回転速度Nを略中心として予め定めた図中点線で示す所定回転速度領域Aで、K=s*Ka+t*Kbにおいて係数s=1、t=0として補正係数KをK=Kaに設定してトルク変動を低減し、所定回転速度領域A以外の回転速度領域では係数s=0、t=1として補正係数KをK=Kbに設定して半径方向節点力を低減する。
補正係数Kの切替えは、回転速度が所定回転速度領域外から所定回転速度領域Aに入った時に係数s、tをs=0→1、t=1→0に切替えるようにしてもよし、補正係数Kの切替えをスムーズに行うため、所定回転速度領域Aの端(図中点線)から所定回転速度Nへ近づく場合は係数sを漸増し係数tを漸減し、所定回転速度Nから所定回転速度領域Aの端(図中点線)へ近づく場合は逆に係数sを漸減し係数tを漸増し、補正係数KのKaからKbへ、KbからKaへの各切替えを徐々に行うようにしてもよい。
この場合の前記第2の所定回転速度としては、モータ30の駆動系の回転方向(ねじり)共振周波数から決定する。例えば、4極対モータの場合、駆動系共振周波数をfnとすると、前記所定回転速度NはN=(60*fn)/(4*p)=(15*fn)/pとなる。
また、所定回転速度領域Aで、K=s*Ka+t*Kbにおいて係数s=0、t=1として補正係数Kbで半径方向節点力を低減し、所定回転速度領域A以外で係数s=1、t=0として補正係数Kaでトルク変動を低減するようにしてもよい。補正係数Kの切替えは、前述した所定回転速度領域Aでトルク変動を低減する場合と同様に行うことができる。この場合の第2の所定回転速度N′としては、モータのケ−スを含めて構造体の共振周波数から決定する。例えば、4極対モータの場合、構造体共振周波数をfmとすると、所定回転速度N′はN′=(60*fm)/(4*p)=(15*fm)/pとなる。
駆動系共振と構造体共振が混在している場合は、それぞれの共振周波数により決まる各所定回転速度NやN′を含むそれぞれの所定回転速度領域で、上述のように補正係数KとしてK=Ka或いはK=Kbを用いて電流補正を行えばよい。
上述したような、駆動系共振や構造体共振に基づいて設定された所定回転速度領域Aでトルク変動や半径方向節点力を低減するような場合に、所定回転速度領域A以外では補正係数Kによる電流補正を行わないようにしてもよい。これにより、不必要に電力を消費することを避けることができる。
また、モータの回転速度が高くなると、p次に関するPWM制御部21のインバ−タ22への指令信号を形成することが困難になる。このため、PWM制御に支障をきたす回転速度以上では高次周波数電流の重畳による電流補正を行わないようにするとよい。これにより、無駄な電力消費を減らすことができる。
尚、基本電流値に応じて第1の係数と第2の係数を切替えて補正係数Kを設定する上述の実施形態では、補正係数K内の係数q、rに関して、図15に示すような、基本電流値と第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2の対応関係を示すマップから、基本電流値に応じて第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2のいずれかを選択するようにしたが、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2の選択されない領域のデータは不要である。従って、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2のそれぞれ選択される必要領域のデータのみを互いに結合し、1つの係数q′、r′データを基本電流値と対応させてマップ化して記憶させるとよい。
例えば、図16を例にとれば、切替え電流(1600A)以下の低負荷領域では第1の係数q1、r1を選択し、切替え電流(1600A)より大きい高負荷領域では第2の係数q1、r1を選択するような場合、図16の切替え電流(1600A)を境に図中右側の高電流領域では、第1の係数q1、r1データは不要であり、図中左側の低電流領域では、第2の係数q2、r2データは不要である。従って、前記各不要領域のデータは削除し、図16の切替え電流(1600A)を境に図中左側の低電流領域において選択される第1の係数q1、r1データと図中右側の高電流領域において選択される第2の係数q2、r2データの係数q1とq2及び係数r1とr2をそれぞれ互いに結合し、結合したものを係数q′、r′とし、図20に示すような、q′(図中破線)とr′(図中実線)の係数データを基本電流値に対応させたマップを作成するようにする。
これにより、第1の係数q1、r1と第2の係数q2、r2を選択する必要がなくなり、基本電流値に対応して係数q′、r′の値を直接読み出せばよく、補正係数Kの設定処理が容易且つ素早くできるようになる。
上述の実施形態では、高次周波数成分のp次を1つに絞って説明したが、低減対象の次数が複数ある場合には、補正係数Kを、
K=[1+{q1cos(p1ωt)+r1sin(p1ωt)}+{q2cos(p2ωt)+r2sin(p2ωt)}
+{q3cos(p3ωt)+r3sin(p3ωt)}+・・・]
と考え、p1、p2、p3、・・・ぞれぞれに対してトルク変動低減用の第1の係数q1、r2値と、半径方向低減用の第2の係数q2、r2を持たせて重畳するようにすればよい。
尚、本実施形態は、同期機の一例として4極対48ティースの分布巻き3相同期モータの例を示したが、極対数やティース数が異なる同期モータにも同様に適用することができる。更に、同期ジェネレータや同期モータジェネレータにも適用することができる。
また、本実施形態は、回転子と固定子とが径方向に対向配置されるラジアルタイプの同期機への適用例を示したが、例えば、回転子と固定子とが軸方向に対向配置されるアキシャルタイプの同期機にも適用することができる。
本発明の同期機の電流制御装置の一実施形態を適用した同期モータの駆動システムの概略を示す構成図 同期型3相モータの構造を示す断面図 図2に示すモータの回転子と固定子を示す全体図 電磁解析ソフトによる計算モデル図 同一電流値で回転速度を異ならせたときのトルク波形図 同一電流値で回転速度を異ならせたときの半径方向節点力波形図 図5のトルク波形のフーリエ変換結果を示す図 図6の半径方向節点力波形のフーリエ変換結果を示す図 複素平面上にトルクと半径方向節点力の各12次成分をプロットした図 半径方向節点力低減のための高次周波数電流を重畳した場合と重畳しない場合のU相電流波形図 半径方向節点力低減のための高次周波数電流を重畳した場合と重畳しない場合の各半径方向節点力波形図 図11の各半径方向節点力波形のフーリエ変換結果を示す図 半径方向節点力低減のための高次周波数電流を重畳した場合と重畳しない場合の各トルク波形図 図13の各トルク波形のフーリエ変換結果を示す図 第1及び第2の係数と基本電流値との対応関係を示すマップ図 基本電流値により第1の係数と第2の係数を切替える場合の例示図 基本電流値により第1の係数と第2の係数を切替える場合の別の例示図 回転速度により第1の係数と第2の係数を切替える場合の例示図 回転速度により第1の係数と第2の係数を切替える場合の別の例示図 第1の係数と第2の係数の選択される必要領域のデータだけを結合した係数データのマップ図
符号の説明
10 電流制御装置
11 電流補正係数設定部
13 PI制御部
20 モータドライバ
21 PWM制御部
22 インバータ
30 三相同期モータ
40 固定子
42 コイル
50 回転子
60 モータケース
70 回転軸

Claims (11)

  1. 同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御装置であって、
    K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、r、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定する補正係数設定手段と、
    該補正係数設定手段で設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を前記各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御する駆動制御手段と、
    を備えて構成したことを特徴とする同期機の電流制御装置。
  2. 前記補正係数設定手段は、同期機の動作に関する状態量に応じて、前記第1の係数と前記第2の係数とを切替える構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。
  3. 前記補正係数設定手段は、予め定めた所定の基本電流値で前記第1の係数と第2の係数を切替える構成とした請求項1または2に記載の同期機の電流制御装置。
  4. 基本電流値に対応して変化する前記第1及び第2の各係数データのそれぞれ選択される各必要領域のデータのみを互いに結合し、該結合した1つの係数q、rのデータを前記基本電流値に対応させて記憶する構成とした請求項に記載の同期機の電流制御装置。
  5. 前記補正係数設定手段は、前記同期機の予め定めた第1の所定回転速度で前記第1の係数と第2の係数を切替える構成とした請求項1または2に記載の同期機の電流制御装置。
  6. 前記補正係数設定手段は、前記第1の係数をq1、r1とし、前記第2の係数をq2、r2としたときに、第1の係数と第2の係数の予め定めた切替え領域において、
    q=s*q1+t*q2
    r=s*r1+t*r2
    (ただし、係数s、tはs+t=1)
    の式を用い、係数s、tのいずれか一方を漸増し、他方を漸減させて、前記補正係数K内の係数q、rを設定する構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。
  7. 前記補正係数設定手段は、前記第1の係数をq1、r1とし、前記第2の係数をq2、r2としたときに、予め定めた第2の所定回転速度を略中心とした所定回転速度領域において、
    q=s*q1+t*q2
    r=s*r1+t*r2
    (ただし、係数s、tはs+t=1)
    の式を用い、前記所定回転速度領域端から前記第2の所定回転速度までの間で、係数s、tのいずれか一方を漸増し、他方を漸減させて前記補正係数K内の係数q、rを設定する構成とした請求項1に記載の同期機の電流制御装置。
  8. 前記第2の所定回転速度は、駆動系の回転方向共振周波数に基づいて決定する構成とした請求項に記載の同期機の電流制御装置。
  9. 前記第2の所定回転速度は、前記同期機の構造体の共振周波数に基づいて決定する構成とした請求項に記載の同期機の電流制御装置。
  10. 前記補正係数設定手段は、前記第2の所定回転速度を略中心とした前記所定回転速度領域以外の回転速度領域で、前記係数s、tを、s=0、t=0として基本電流を補正しない構成とした請求項7〜9のいずれか1つに記載の同期機の電流制御装置。
  11. 同期機の各相コイルに基本電流を印加したときに現れるトルク変動及び半径方向節点力のp次成分を低減するために、前記基本電流を前記p次の高次周波数電流成分に基づいて設定した補正係数を乗算して補正するようにした同期機の電流制御方法であって、
    K=[1+qcos(pωt)+rsin(pωt)]の式により得られるKを前記補正係数として与え、前記p次の高次周波数電流成分の振幅値に関連する前記補正係数K内の係数q、r、トルク変動低減用の第1の係数と半径方向節点力低減用の第2の係数に基づいて設定して補正係数Kを設定し、
    該設定された補正係数Kを基本電流に乗算して得られる印加電流を各相コイルに印加制御して同期機を駆動制御することを特徴とする同期機の電流制御方法。
JP2006052798A 2006-02-28 2006-02-28 同期機の電流制御装置及び電流制御方法 Active JP4967375B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006052798A JP4967375B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 同期機の電流制御装置及び電流制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006052798A JP4967375B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 同期機の電流制御装置及び電流制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007236070A JP2007236070A (ja) 2007-09-13
JP4967375B2 true JP4967375B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=38556092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006052798A Active JP4967375B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 同期機の電流制御装置及び電流制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4967375B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5440845B2 (ja) * 2009-10-30 2014-03-12 株式会社ジェイテクト モータ制御装置および車両用操舵装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001352791A (ja) * 2000-06-08 2001-12-21 Toyota Motor Corp 同期電動機の制御装置および同期電動機の電流制御方法
JP2002223582A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Hitachi Ltd 永久磁石式同期モータの制御装置および方法
JP3627683B2 (ja) * 2001-06-29 2005-03-09 日産自動車株式会社 モーター制御装置
JP3951830B2 (ja) * 2002-06-26 2007-08-01 日産自動車株式会社 モータ制御装置
JP4117554B2 (ja) * 2003-08-06 2008-07-16 株式会社デンソー モータ制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007236070A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5576145B2 (ja) モータ制御装置
JP5835450B2 (ja) 回転機の制御装置
JP2013106496A (ja) 電動回転機
JP2008228390A (ja) ブラシレスモータおよびそれを備えた電動パワーステアリング装置
EP2006999B1 (en) Axial gap type motor/generator
JP2008141803A (ja) ブラシレスモータ
JP4239886B2 (ja) 交流回転電機の磁気音制御方法
JP2013126272A (ja) モータ
JP2005304237A (ja) 交流回転電機の磁気音制御方法
JP6833100B2 (ja) 回転電機の制御方法、回転電機の制御装置、及び駆動システム
JP4309325B2 (ja) 複合3相ハイブリッド型回転電機およびその駆動方法
JP2005117875A (ja) 交流回転電機の磁気騒音低減方法及びそれを用いるモータ制御装置
US11594944B2 (en) Method for controlling a synchronous double stator electric machine
JP4967375B2 (ja) 同期機の電流制御装置及び電流制御方法
JP4984643B2 (ja) 同期モータ及びその制御装置
JP4155152B2 (ja) 交流回転電機装置
JP4742658B2 (ja) 同期機の電流制御装置及び電流制御方法
JP2008043175A (ja) 電動機の制御装置
JP6872293B2 (ja) 回転電機の制御方法、回転電機の制御装置、及び駆動システム
JP7267487B1 (ja) 回転電機の制御装置および回転電機の制御方法
JPH11103588A (ja) 永久磁石埋め込み型モータのトルク脈動制御方法及び制御装置
WO2021079577A1 (ja) モータとその制御装置
JP2005057939A (ja) 回転電機
JP6622586B2 (ja) 回転電機の制御装置及び建設機械並びに回転電機の制御方法
JP5493423B2 (ja) モータ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080321

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080331

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120319

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4967375

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150