JP4956867B2 - フラットケーブル用シールド材及びシールド付きフラットケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブル用シールド材(電磁波遮蔽性フィルム)およびそれを用いたシールド機能付きフラットケーブルに関し、特に、シールド材のシールド層および接着層などの層構成を改良して、シールド層とグランド線との導通を容易に行えるようにすると共に、シールド性、摺動性、難燃性、経済性に優れ、且つ、フラットケーブルへの取り付け作業性にも優れたフラットケーブル用シールド材とそれを用いたシールド機能付きフラットケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信機、コンピューターと周辺機器などの装置内および装置間のインターフェースの信号伝送に、横巻きシールド線や同軸線に代わって、フラットケーブルが使用されている。
しかし、今日のように種々の電波、電磁波などが発生する環境においては、フラットケーブルがこれらの影響を受け、コンピューターの誤動作の原因になることが多くなっている。
【0003】
従って、フラットケーブルを電磁波から保護するため、また、フラットケーブルから発生する電磁波が他の機器に影響を与えないように遮蔽するための各種のシールド技術が開発されている。
例えば、シールド材のシールド層に金属箔を用い、その金属箔をフラットケーブルと接着させるために、金属箔の表面に絶縁性の接着剤層を設けたものが使用されている。
また、プラスチックフィルムに、金属粉末などの導電性物質を添加した接着剤を塗布して、その導電性接着剤層をシールド層としたシールド材も検討されている。また、金属箔に金属粉末などの導電性物質を添加した導電性接着剤層を形成してシールド層としたシールド材も検討されている。
【0004】
また、シールド材の摺動性をよくするため、ベースフィルム上に金属薄膜を形成した後、銀粒子及び/又は銅粒子を含有する接着性樹脂層を形成した電磁波シールド性フィルムが提案されている(特開平7−94036)。
このシールドテープは、金属薄膜を有するので導電性に優れ、電磁波シールド性がよくなるが、接着性樹脂層に銀粒子を含有させた場合は、コスト高になり、銅粒子を含有させた場合は、経時的なシールド特性の低下が問題となる。
【0005】
また、ベースフィルムに金属薄膜として銀蒸着膜を形成し、接着性樹脂層にニッケルフィラーを含有させた電磁波シールド性フィルムが提案されている(特開平11−120831)。
このシールドテープもベースフィルムが難燃性エンジニアリングプラスチックで、金属薄膜が銀蒸着であるためコスト高となる。
更に、ベースフィルムに難燃性をもたせるため、ベースフィルムとしてポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレートなどの難燃性エンジニアリングプラスチックフィルムを用いたものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記シールド材のシールド層に金属箔を用い、その金属箔をフラットケーブルと接着させるために、金属箔の表面に絶縁性の接着剤層を設けたものは、シールド層とフラットケーブルのグランド線を導通させるために、絶縁性接着剤層の一部を切除して金属箔を露出させ、また、フラットケーブルの被覆材の一部を切除してグランド線を露出させ、その露出したグランド線と金属箔(シールド層)とをスポット溶接など、特殊な加工方法により導通させる必要があった。
また、シールド層に金属箔を用いた場合は、金属箔が柔軟性に劣るため、フラットケーブルの装着に制約が生じたり、また、電子部材の形状に制約がでる問題があった。
【0007】
上記の問題を解決するために、プラスチックフィルムに導電性接着剤層を設けたシールド材は、柔軟性がよくなるので、フラットケーブルの装着に制約が生じたり、電子部材の形状に制約がでることはなくなるが、金属箔を用いたシールド材と比較して、シールド特性が劣るという問題があった。
更に、シールド材に難燃性をもたせるために、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレートなどの難燃性エンジニアリングプラスチックフィルムをベースフィルムに用いた場合は、これらのフィルムのコストが高いため、シールド材がコスト高になり経済性の点で問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、フラットケーブルに取り付けて電磁波遮蔽性を付与する際の作業性がよく、また、必要な摺動特性、電磁波遮蔽性、導電熱接着性、難燃性を備えると共に、経済性にも優れたフラットケーブル用シールド材を提供し、また、そのシールド材を用いて製造された必要な諸性能と共に経済性にも優れたシールド機能付きフラットケーブルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、可撓性を有する絶縁性基材の一方の面に、少なくとも金属薄膜層、合成樹脂にカーボン粒子と難燃性付与剤とを含有させてなる導電性難燃化層、熱接着性樹脂にカーボン粒子を含有させてなる導電性熱接着層が順に積層されて形成されていることを特徴とするフラットケーブル用シールド材からなる。
【0010】
このような構成を採ることにより、以下に列挙するような作用効果を得ることができる。
(1)電磁波遮蔽層(シールド層)として、金属箔ではなく金属薄膜層を用いているので、シールド材を良好なシールド性を有し、且つ、柔軟性に優れたものにすることができる。従って、これを取り付けたフラットケーブルは、その装着に制約が生じたり、また、電子部材の形状に制約がでることもなく、シールド性および摺動特性に優れたものにすることができる。
(2)電磁波遮蔽層としての金属薄膜層の上に、導電性難燃化層と導電性熱接着層とを2層に分割して設けているので、導電性難燃化層においては、熱接着性を考慮する必要がなく、より多くの難燃性付与剤とカーボン粒子を含有させることができ、難燃性と導電性のレベルを一層向上させることができる。また、導電性熱接着層においては、難燃性付与剤は含有されず、熱接着性樹脂にカーボン粒子のみを含有させて形成できるので、熱接着性と導電性のレベルを一層向上させることができる。
(3)フラットケーブル用シールド材の略中間層に導電性難燃化層が設けられているので、可撓性を有する絶縁性基材に、従来のような高コストの難燃性エンジニアリングプラスチックフィルムを使用する必要がなく、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの汎用プラスチックフィルムを使用しても、シールド材に難燃性を付与することができるのでコストを低減することができる。
(4)また、電磁波遮蔽層としての金属薄膜層の上に積層された導電性難燃化層と導電性熱接着層とが、いずれも導電性を有し、且つ、最内層となる導電性熱接着層が熱接着性を有しているので、フラットケーブルへの取り付けを熱圧着により容易に行えると共に、この時、フラットケーブルのグランド線の一部を露出させておくだけで、グランド線と金属薄膜層(電磁波遮蔽層)との導通を容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載した発明は、前記可撓性を有する絶縁性基材が2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記金属薄膜層が厚さ0.04〜0.2μmのアルミニウム蒸着層であることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用シールド材からなる。
【0012】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載する)は、可撓性、絶縁性のほか、耐熱性、機械的強度、耐水性、耐薬品性など、総合的に性能に優れ、且つ低コストであるため、シールド材の必要性能を維持しながらコストを低減することができる。
また、シールド層の金属薄膜層を、厚さ0.04〜0.2μmのアルミニウム蒸着層とすることにより、柔軟で十分なシールド効果を有し、且つ、生産性、経済性にも優れたシールド層とすることができる。
前記アルミニウム蒸着層の厚さは、0.04〜0.2μmの範囲が好ましく、0.09〜0.12μmの範囲が更に好ましい。厚さが0.04μm未満の場合は、シールド効果が不十分となり、厚さが0.2μmを超える場合は、既に十分なシールド性を有しており、むしろ生産性が低下し、製造コストも上昇するため好ましくない。
【0013】
請求項3に記載した発明は、前記導電性難燃化層と導電性熱接着層に含有されるカーボン粒子が、粒子径0.01〜20μmの球状または粒状のカーボン粒子であって、それぞれの層における該カーボン粒子の含有量が10〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットケーブル用シールド材からなる。
【0014】
カーボン粒子には、球状、粒状、フレーク状、繊維状、針状などの形状のものがあり、導電性の点ではフレーク状、繊維状、針状などの形状が好ましいが、球状、粒状のものは、分散が容易で含有量の調整により良好な導電性が得られ、且つ低コストであるため好ましく使用することができる。
球状または粒状のカーボン粒子の粒子径は、0.01〜20μmが好ましく、0.01〜5μmが分散性および皮膜形成の加工性がよい点で更に好ましい。
【0015】
従って、前記のような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、導電性難燃化層と導電性熱接着層とを一層容易に且つ低コストで形成することができる。
また、それぞれの層における前記カーボン粒子の含有量を10〜30重量%とすることにより、必要な導電性(例えば表面比抵抗10Ω/□以下)を確実に付与することができる。
カーボン粒子の含有量が、10重量%未満の場合は導電性が不十分となるため好ましくなく、30重量%を超える場合は、導電性は十分であるが、皮膜形成の加工性が低下し、特に導電性熱接着層においては熱接着性が低下するため好ましくない。
【0016】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のフラットケーブル用シールド材をフラットケーブルの外周に加熱、加圧して一体化し、フラットケーブルにシールド機能を付与したことを特徴とするシールド付きフラットケーブルである。
【0017】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明のフラットケーブル用シールド材の性能、作用効果がフラットケーブルに付加されるので、シールド性と共に、摺動特性、難燃性など性能および生産性に優れたシールド付きフラットケーブルを経済性よく提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は、本発明のフラットケーブル用シールド材の一実施例の構成を示す模式断面図である。
また、図2は、本発明のフラットケーブル用シールド材を用いて製造されたシールド付きフラットケーブルの一実施例の構成を説明する図であり、(イ)は、一部切り欠き平面図、(ロ)は、(イ)のA−A線における拡大断面図である。
【0019】
本発明のフラットケーブル用シールド材は、図1に示すように構成することができる。即ち、図1に示したフラットケーブル用シールド材10は、PETフィルムなどの可撓性を有する絶縁性基材1の一方の面に、シールド層としてアルミニウム蒸着層などの金属薄膜層2を設け、該金属薄膜層2の上に、合成樹脂にカーボン粒子と難燃性付与剤とを含有させてなる導電性難燃化層3を設け、更にその上に、熱接着性樹脂にカーボン粒子を含有させてなる導電性熱接着層4を設けて構成したものである。
尚、図には示していないが、可撓性を有する絶縁性基材1の金属薄膜層2の形成面には、必要に応じて予めプライマー層などを設けて接着性を向上させることができる。
【0020】
また、上記フラットケーブル用シールド材10を用いてシールド付きフラットケーブルを製造する場合、例えば、図2の(イ)、(ロ)に示すように構成することができる。
即ち、図2に示したシールド付きフラットケーブル100は、錫メッキ軟銅箔からなる導体5およびグランド線6を所定の間隔を開けて平行に配置し、両側からフラットケーブル用被覆材7で覆って導体5およびグランド線6を埋め込むように加熱、加圧して一体化させ、フラットケーブルを作製すると共に、該フラットケーブルのグランド線6の片側の被覆材7を長さ方向に部分的に切除して、グランド線6を露出させた後、その外周を前記フラットケーブル用シールド材10で、その導電性熱接着層4を内側に向けてくるみ、両端が重なるように配置し、両側から加熱ゴムロールで加熱、加圧して熱接着させ一体化させて構成したものである。
【0021】
このような構成を採ることにより、グランド線6の露出部とフラットケーブル用シールド材10の金属薄膜層(シールド層)2とが、加熱、加圧のみにより導電性難燃化層3と導電性熱接着層4を介して、グランド線−シールド層導通部8で容易に導通され、優れたシールド性がフラットケーブルに付与されると共に、摺動性、難燃性など性能および経済性に優れたシールド付きフラットケーブル100を生産性よく提供することができる。
尚、図2では、シールド付きフラットケーブルの実施例として、シールド効果を一層完全なものにするため、フラットケーブルの外周全体にフラットケーブル用シールド材10を取り付けた構成を示したが、使用形態などによっては、例えば、フラットケーブルのグランド線が露出された側の面のみにフラットケーブル用シールド材を取り付けた構成とすることもできる。
【0022】
本発明のフラットケーブル用シールド材10(図1参照)において、可撓性を有する絶縁性基材1は、可撓性、電気絶縁性のほか、耐熱性、各種の機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性などの性能に優れると共に、低コストであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素含有樹脂などの無延伸または延伸フィルムを使用することができる。中でもPETフィルムは、前記性能と共に、製膜の容易さ、経済性にも優れており特に好ましく使用することができる。
上記可撓性を有する絶縁性基材1の厚さは、強度および柔軟性の点から6〜20μmの範囲が適当である。また、絶縁性基材1の金属薄膜層2の形成面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理などの接着性強化処理を施すことが好ましい。
【0023】
次に、前記可撓性を有する絶縁性基材1の一方の面に設ける金属薄膜層(シールド層)2は、薄膜を形成したとき導電性の高いものが好ましく、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケルなどの蒸着層が適しており、中でもアルミニウム蒸着層は、蒸着の加工性および導電性に優れると共に、低コストであり経済性にも優れる点で特に好ましい。
【0024】
金属薄膜層2は、厚いほどシールド特性は高くなるが、厚くなり過ぎると、可撓性が低下して曲げ適性や摺動性が悪くなる。従って、金属薄膜層2の厚さは、0.04〜0.2μmが適当であり、0.08〜0.15μmが更に好ましい。
金属薄膜層2の形成方法は、真空蒸着、スパッタリング、CVD法などを使用することができるが、量産性に優れた真空蒸着法が有利である。
【0025】
上記金属薄膜層2の上に設ける導電性難燃化層3は、バインダーの合成樹脂にカーボン粒子と難燃性付与剤とを含有させた樹脂層で形成され、バインダーの合成樹脂溶液にカーボン粒子と難燃性付与剤とを分散または溶解させて塗布液を作製し、これを金属薄膜層2の上に塗布、乾燥する方法で形成することが難燃性付与剤に対する熱履歴を軽減できる点で好ましい。
【0026】
上記バインダーの合成樹脂は、適度の可撓性、耐熱性を有し、金属薄膜層2に良好に接着する樹脂であれば何でもよく、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂のほか、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(アイオノマー、その他酸変性ポリオレフィン系樹脂などを含む)、ポリアミド系樹脂、ポリアクリルもしくはポリメタクリル系樹脂などを使用することができる。
【0027】
カーボン粒子は、先に説明したように、球状、粒状、フレーク状、繊維状、針状などの形状のものがあり、導電性の点ではフレーク状、繊維状、針状などの形状が好ましいが、球状、粒状のものは、分散が容易で含有量の調整により良好な導電性が得られ、且つ、低コストであるため好ましく使用することができる。
このようなカーボン粒子の粒子径は、0.01〜20μmが好ましく、中でも分散しやすい0.01〜5μmが更に好ましい。また、カーボン粒子の含有量は、導電性難燃化層3の固形分の10〜30重量%であることが好ましい。
【0028】
難燃性付与剤としては、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン、無水ヘット酸、クロルエンド酸などの塩素系化合物、およびテトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウムなどの臭素系化合物など、ハロゲン元素を含む有機または無機化合物、そして、トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフォネート、ホスフォリネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリフォスホネート、ポリフォスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオベンチルグリコールなどのリン酸エステルまたはリン化合物、ホスフォネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、含ハロゲンポリオールなどのポリオール化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブデン酸アンチモン、酸化モリブデン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウムなどの金属粉や無機化合物、その他、シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸、トリアジン化合物、メラミンシアヌレート、イソシアヌレート、尿素、グアニジン化合物などを使用することができる。
【0029】
そして、本発明においては、前記のような合成樹脂の一種または二種以上に、前記のような難燃性付与剤の一種または二種以上を加え、更に必要に応じて、その他の添加剤を加えて、例えば、トルエン、酢酸エチル、アルコール類、メチルエチルケトンなどの溶剤、希釈剤などで混合、分散または溶解させて塗布液を作製し、これをナイフコート、ロールコート、バーコート、マイクロバーコート、グラビアコートなどのコーティング手段で塗布、乾燥して導電性難燃化層3を形成することができる。
【0030】
尚、上記導電性難燃化層3の塗布液は、有機溶剤系に限らず、選択する合成樹脂に応じて、水系、水−アルコール系などによるエマルジョンまたはディスパージョンであってもよい。
また、導電性難燃化層3における難燃性付与剤の含有量は、導電性難燃化層の固形分の20〜70重量%が好ましく、30〜60重量%が更に好ましい。
このような導電性難燃化層3の厚さは10〜60μmの範囲で適宜に設定することができる。
【0031】
このような導電性難燃化層3を可撓性を有する絶縁性基材1に設けた金属薄膜層2の上に設けることにより、絶縁性基材1にPETフィルムを用いた場合でも、酸素指数(JIS K7201−2)で、21以上の難燃性を容易に付与することができる。
酸素指数は、25〜35が更に好ましいが、本発明のフラットケーブル用シールド材では、導電性難燃化層3を、導電性熱接着層4とは切り離して別々に形成しているので、難燃性付与剤の含有量を多くしても導電性熱接着層4の熱接着性を損なうことがなく、前記酸素指数25〜35の難燃性を一層容易に付与することができる。
【0032】
次に、導電性熱接着層4は、熱接着性樹脂にカーボン粒子を分散させて導電性を付与し、この導電性熱接着性樹脂を前記導電性難燃化層3の上に、コーティングなどの手段で積層して形成する。
この導電性熱接着層4は、フラットケーブルの外層、およびフラットケーブルの露出されたグランド線に対して熱接着することが必要であり、前記熱接着性樹脂には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(アイオノマーその他酸変性ポリオレフィン系樹脂などを含む)、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ゴム系樹脂などの中から適宜選択して使用することができる。
【0033】
特に、フラットケーブルの外層にはポリエステルフィルムが使用されることが多く、その場合には、熱接着性樹脂としてポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。このポリエステル系樹脂は、飽和共重合ポリエステル樹脂であって、中でもガラス転移点が−50〜80℃で、且つ、重量平均分子量が7000から50000の範囲の樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものが好適である。
尚、前記熱接着性樹脂に含有させるカーボン粒子に関しては、その形状、粒子径、含有量などは、前記導電性難燃化層3の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
図1に示すように、可撓性を有する絶縁性基材1として、厚さ12μmのPETフィルムを用い、その一方の面に、金属薄膜層(シールド層)2として、厚さ0.1μmのアルミニウム蒸着層を形成し、そのアルミニウム蒸着層の上に、下記の組成の導電性難燃化層用の塗布液をマイクロバーコート法により、乾燥時の厚さが20μmとなるように塗布、乾燥して導電性難燃化層3を形成した後、更にその上に、下記の組成の導電性熱接着層用の塗布液をマイクロバーコート法により、乾燥時の厚さが10μmとなるように塗布、乾燥して導電性熱接着層4を形成して実施例1のフラットケーブル用シールド材10を作製した。
【0035】
(導電性難燃化層用の塗布液の組成)
合成樹脂(バインダー)(飽和共重合ポリエステル樹脂) 60重量部
カーボン粒子(粒状カーボン、粒子径 0.1〜1.0 μm) 25重量部
難燃性付与剤
臭素系難燃剤 10重量部
三酸化アンチモン 5重量部
水酸化アルミニウム 10重量部
溶剤(トルエン:MEK 重量比1:1) 170重量部
(注)MEKはメチルエチルケトン
【0036】
(導電性熱接着層用の塗布液の組成)
熱接着性樹脂(飽和共重合ポリエステル樹脂) 60重量部
カーボン粒子(粒状カーボン、粒子径 0.1〜1.0 μm) 25重量部
溶剤(トルエン:MEK 重量比1:1) 140重量部
【0037】
上記のように作製したフラットケーブル用シールド材10の導電性熱接着層4の表面比抵抗は4Ω/□であった。また、難燃性は酸素指数29であった。
次いで、このフラットケーブル用シールド材10を用いて、図2の(イ)、(ロ)に示した構成のシールド付きフラットケーブル100を以下のように作製した。
即ち、フラットケーブルとして、錫メッキ軟銅箔からなる導体5およびグランド線6を所定の間隔を開けて平行に配置し、両側からフラットケーブル用被覆材7で覆って加熱、加圧して導体5およびグランド線6を埋め込み、一体化させて作製したフラットケーブルを用い、そのフラットケーブルのグランド線6の片側の被覆材7を長さ方向に部分的に切除して、グランド線6を露出させた後、そのフラットケーブルの外周を、前記フラットケーブル用シールド材10で、導電性熱接着層4を内側に向けてくるみ、両端を重ねて配置し、両側から加熱ゴムロールで加熱、加圧して熱接着させ一体化してシールド付きフラットケーブル100を作製した。
【0038】
このように作製したシールド付きフラットケーブル100は、そのグランド線6の露出部とフラットケーブル用シールド材10の金属薄膜層(シールド層)2とが、加熱、加圧により導電性熱接着層4と導電性難燃化層3を介して、グランド線−シールド層導通部8で容易に導通され、優れたシールド性がフラットケーブルに付与されると共に、摺動性にも優れ、また、難燃性に関してもUL規格の難燃性試験に合格するものであった。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、フラットケーブルに電磁波遮蔽性を付与するために用いるフラットケーブル用シールド材であって、優れた難燃性と電磁波遮蔽性を有すると共に、耐摺動性(耐屈曲性)のほか、フラットケーブルの被覆材に対する熱接着性、およびグランド線(金属)に対する導電熱接着性に優れ、また、フラットケーブルへの取り付け作業が容易で、更に、経済性にも優れたフラットケーブル用シールド材を生産性よく提供できる効果を奏する。
また、本発明のフラットケーブル用シールド材を用いて、シールド付きフラットケーブルを製造することにより、優れた難燃性と電磁波遮蔽性を有すると共に、耐摺動性(耐屈曲性)などの性能に優れたシールド付きフラットケーブルを生産性よく、且つ、経済性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラットケーブル用シールド材の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明のフラットケーブル用シールド材を用いて製造されたシールド付きフラットケーブルの一実施例の構成を説明する図であり、(イ)は、一部切り欠き平面図、(ロ)は、(イ)のA−A線における拡大断面図である。
【符号の説明】
1 可撓性を有する絶縁性基材
2 金属薄膜層(シールド層)
3 導電性難燃化層
4 導電性熱接着層
5 導体
6 グランド線
7 フラットケーブル被覆材
8 グランド線−シールド層導通部
10 フラットケーブル用シールド材
100 シールド付きフラットケーブル
Claims (4)
- 可撓性を有する絶縁性基材の一方の面に、少なくとも金属薄膜層、合成樹脂にカーボン粒子と難燃性付与剤とを含有させてなる導電性難燃化層、熱接着性樹脂にカーボン粒子を含有させてなる導電性熱接着層が順に積層されて形成されており、かつ、上記金属薄膜層が、金属蒸着層であることを特徴とするフラットケーブル用シールド材。
- 前記可撓性を有する絶縁性基材が2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記金属薄膜層が厚さ0.04〜0.2μmのアルミニウム蒸着層であることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用シールド材。
- 前記導電性難燃化層と導電性熱接着層に含有されるカーボン粒子が、粒子径0.01〜20μmの球状または粒状のカーボン粒子であって、それぞれの層における該カーボン粒子の含有量が10〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットケーブル用シールド材。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のフラットケーブル用シールド材を、当該シールド材を構成する導電性熱接着層側がフラットケーブルと接触するように位置させてフラットケーブルの外周に加熱、加圧して一体化し、フラットケーブルにシールド機能を付与したことを特徴とするシールド付きフラットケーブル。
Priority Applications (1)
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