JP4952399B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
この車両用シートでは、図11(A)の模式側面図に示すように、昇降スライド機構100の両側面にシート本体120の前進後退方向に延びるフック103が取り付けられている。シート本体120(図11ではフレームの後部のみ記載)は、昇降スライド機構100に対して前進後退可能な状態でその昇降スライド機構100の昇降ベース(図示省略)上に載置されている。また、シート本体120の両側には、そのシート本体120が昇降スライド機構100に対して後退(図中右側に移動)するときに、フック103が後端側から挿入される筒状のスライダ122が設けられている。そして、前記スライダ122の後部下側に、前記シート本体120が車両衝突時のシートベルト荷重を受けて前上方に移動しようとするときにフック103が係合する被係合部122kが形成されている。
このため、通常の動作時にシート本体120が昇降スライド機構100に対して前進/後退するときには、フック103が被係合部122kに係合せずに、シート本体120の前進/後退は妨げられない。しかし、車両衝突時のシートベルト荷重Fでシート本体120が前上方に移動しようとすると、図11(B)に示すうように、フック103が被係合部122kと係合してシート本体120が昇降スライド機構100に保持される。
このため、シートベルト荷重Fでシート本体120が前上方に移動する際、フック103が被係合部122kと係合するまでにシート本体120が移動する空走距離が大きくなる。
請求項1の発明は、シート本体と、車両フロアに沿って回転する回転ベースを有する回転機構と、前記回転ベース上に設置され、前進後退するスライドベースを有する第1スライド機構と、一端が前記スライドベースに上下回動可能に連結されたリンク機構と、前記スライドベースの前進後退に伴い前記リンク機構の他端が下降上昇するように前記リンク機構をガイドするガイド機構と、前記リンク機構の他端に前記シート本体を前進後退可能に支持する第2スライド機構とを有し、前記回転ベースを前記回転機構で車両前向きの着座位置からドア開口部側を向く横向き位置へ回転させ、前記シート本体を前記第2スライド機構で前記リンク機構に対して室外方向に前進させ、さらに前記シート本体を前記第1スライド機構で前記スライドベース、前記リンク機構と共に前進させながら下降させることで室内位置から室外位置へ移動させ、逆の動作により前記シート本体を室外位置から室内位置へ移動させる車両用シートであって、前記シート本体に設けられた被係合部と、規制位置と規制解除位置間を移動可能な状態で前記スライドベースと前進後退方向において一体化された部材に設けられ、前記シート本体が前記リンク機構に対して後退位置にあるときに、前記規制位置へ移動することで、前記シート本体の被係合部に対してそのシート本体の前進方向において対向する位置へ進出し、前記規制解除位置へ移動することにより前記被係合部に対して前進方向において対向しない位置へ退避する係合部材と、前記係合部材を前記規制位置の方向に付勢する付勢部材と、前記回転ベースに設けられ、前記スライドベースが第1スライド機構の動作により前記回転ベースに対して後退位置から後退近傍位置まで所定距離だけ前進することにより、前記規制位置にある前記係合部材を前記付勢手段の力に抗して前記規制解除位置まで移動させるガイド部とを有することを特徴とする。
このため、シート本体が車両衝突時のシートベルト荷重により前方、あるいは前上方に移動する際、係合部材が被係合部と速やか係合して、シート本体はスライドベース等を介して回転ベースに保持される。即ち、係合部材が被係合部と係合するまでに前記シート本体が前方に移動する空走距離を極力小さくできる。
また、第1スライド機構によりスライドベースを回転ベースに対して後退位置から後退近傍位置まで所定距離だけ前進させることにより、ガイド部の働きで前記係合部材が被係合部と前進方向において対向しない規制解除位置まで移動する。したがって、スライドベースが前記後退近傍位置にある状態で、シート本体を第2スライド機構でリンク機構に対して前進/後退させても、前記係合部材がシート本体の被係合部と係合することがない。即ち、通常動作時におけるシート本体の前進/後退動作が妨げられない。
このため、リンク機構を格納する際にスライドベースを前記後退近傍位置に保持し、係合部材を付勢部材の力に抗して規制解除位置に保持した状態で、シート本体を第2スライド機構によりリンク機構に対する後退位置まで後退させることができる。
請求項3の発明によると、係合部材には、シート本体が第2スライド機構の動作によりリンク機構に対して後退する過程でそのシート本体の当接部が当接する傾斜受け面が形成されており、スライドベースと共に後退位置にあって、規制位置に保持されている前記係合部材の傾斜受け面に対し、前記シート本体の当接部がそのシート本体の後退により当接摺動することで、前記係合部材が前記付勢部材の力に抗して規制解除位置の方向に移動し、前記シート本体がさらに後退すると、前記係合部材の傾斜受け面が前記シート本体の当接部から外れ、その係合部材が前記付勢部材の力で前記シート本体の被係合部と対向する前記規制位置の方向に移動することを特徴とする。
このため、スライドベースを後退位置に保持し、係合部材を規制位置に保持した状態で、シート本体を第2スライド機構によりリンク機構に対する後退位置まで後退させることができる。したがって、スライドベースを後退近傍位置で一時停止させ、係合部材を規制解除位置に保持した状態で、シート本体をリンク機構に対して後退させる必要がなくなる。
このように、前記係合部材と前記シート本体の被係合部とを予め係合させておくことにより、シート本体にシートベルト荷重が加わったときのシート本体の空走距離をほぼ零にできる。
なお、図中の前後左右及び上下は、車両における前後左右及び上下に対応している。
本実施形態に係る車両用シート1は、図9に示すように、シート本体10を車両前向きの着座位置からドア開口部側を向く横向き位置まで水平回転させた後、ドア開口部から車室外に水平前進させ、さらに乗降位置まで前進下降させる装置であり、逆の動作によりシート本体10を着座位置に戻せるように構成されている。
車両用シート1は、図1に示すように、車両フロアF上に設置された前後スライド機構30と、その前後スライド機構30の前後スライドベース34上に設置された回転機構20と、その回転機構20の回転ベース25上に設置された昇降機構80、及び第2スライド機構50と、前記第2スライド機構50上に載置されたシート本体10とを備えている。
前後スライド機構30は、シート本体10を車両前後方向に移動させる機構であり、左右一対の固定側レール32と、前後スライドベース34と、駆動機構35とから構成されている。左右一対の固定側レール32は、車両フロアFの固定ベースBF上で車両前後方向に平行に延びるように設置されている。前後スライドベース34は、その両端縁が左右一対の固定側レール32に前後摺動可能な状態で支持されている。駆動機構35は、固定側レール32に平行な状態で固定ベースBFに支持されたネジ軸35bと、そのネジ軸35bを軸心回りに回転させるモータ35aと、前記ネジ軸35bに螺合した状態で前後スライドベース34の下面に固定されたナット35nとを備えている。そして、駆動モータ35aによりネジ軸35bが正転、あるいは逆転することで、ネジ軸35bと螺合するナット35n及び前後スライドベース34が前後方向にスライドするように構成されている。
前後スライドベース34上には、回転機構20が設置されている。回転機構20は、シート本体10を車両前向きの着座位置とドア開口部側を向いた横向き位置との間で約90°回転させる機構である。
回転機構20は、相対回転可能な内輪22と外輪23とを有しており、その外輪23が前後スライドベース34に固定され、内輪22が回転ベース25に固定されている。また、前後スライドベース34の上面には、回転モータ27が固定されている。回転モータ27の回転出力は、歯車伝達機構(図示省略)を介して内輪22に伝達され、これにより回転ベース25が前後スライドベース34に対して回転する。
回転ベース25上には、昇降機構80を構成する第1スライド機構40が設置されている。第1スライド機構40は、昇降機構80の動作源として働く機構であり、ドア開口部側を向いた横向き位置にあるシート本体10等を前進、あるいは後退させる。
第1スライド機構40は、図1に示すように、回転ベース25の左右両端縁に沿って平行に取り付けられた一対のガイドレール42を備えている。ガイドレール42は、断面コ字形に成形されて、互いの凹部が対向するように回転ベース25上に設置されている。そして、各々のガイドレール42の凹部に第1スライドベース44のガイドローラ43が嵌め込まれている。第1スライドベース44は、左右に複数個づつガイドローラ43を備えており、それらのガイドローラ43が各々のガイドレール42の凹部に嵌め込まれて、それらのガイドレール42に沿って転動可能に構成されている。
回転ベース25上には、図1に示すように、ガイドレール42と平行にネジ軸45bが軸心回りに回転可能に支持されており、そのネジ軸45bの一端に駆動モータ45aの回転軸(図示省略)が同軸に連結されている。また、第1スライドベース44の下面には、前記ネジ軸45bと螺合するナット45nが固定されている。これにより、駆動モータ45aの働きでネジ軸45bが正転、あるいは逆転することで、ネジ軸45bとナット45nとの螺合作用で第1スライドベース44がガイドレール42に沿って回転ベース25上を前進、後退する。
昇降ベース85上には、図1に示すように、第2スライド機構50が設置されている。第2スライド機構50は、昇降ベース85上でシート本体10を前進、あるいは後退させる機構である。
第2スライド機構50は、シート本体10を支持するシート用ベース51を備えており、そのシート用ベース51が昇降ベース85に対してシート前後方向にスライド可能に構成されている。シート用ベース51の下面側に突出する左右壁部には、それぞれシート前後方向に延びるガイドレール51aが固定されている。ガイドレール51aは、断面コ字形に成形されており、互いの凹部が対向するように左右壁部に取付けられている。そして、各々のガイドレール51aの凹部に昇降ベース85の側面に回転自在に装着されたガイドローラ86が嵌め込まれている。昇降ベース85は、左右に複数個づつガイドローラ86を備えており、それらのガイドローラ86が各々のガイドレール51aの凹部に嵌め込まれて、それらのガイドレール51aに沿って転動可能に構成されている。
シート用ベース51の下面には、ガイドレール51aと平行にネジ軸(図示省略)が軸心回りに回転可能に支持されており、そのネジ軸の一端に駆動モータ52aの回転軸(図示省略)が同軸に連結されている。また、昇降ベース85の上面には、前記ネジ軸と螺合するナット52cが固定されている。これにより、駆動モータ52aの働きで前記ネジ軸が正転、あるいは逆転することで、ネジ軸とナット52cとの螺合作用でシート本体10及びシート用ベース51が昇降ベース85の対してスライドするようになる。
シート本体10は、室外の乗降位置でスライド用ベース51から切り離されることにより車椅子として使用可能なシートであり、図8に示すように、シートフレーム13とシートクッション11とシートバック12とを備えている。シートフレーム13には、前輪14と後輪15とが展開、あるいは格納可能な状態で取り付けられており、シート本体10がスライド用ベース51に連結された状態で前輪14と後輪15とが格納位置に保持される(図8二点鎖線参照)。なお、図1、図5〜図7では、シート本体10のシートフレーム13は省略されている。
シート本体10は、スライド用ベース51に連結されて、第2スライド機構50及び昇降機構80により室内に戻された状態で、後記するスライドロック機構60により四節リンク機構84の外側リンクアーム84bに連結される。
なお、図1、図5〜図7等ではスライドロック機構60は省略されている。
スライドロック機構60は、シート本体10が車両前向きの着座位置にある状態で、車両前方衝突時にシートベルトを介して受ける着座者の慣性力(シートベルト荷重)又は自身の慣性力によってシート本体10が回転ベース25(詳しくは四節リンク機構84)に対して前方へ移動するのを規制する機構である。なお、回転ベース25は、シート本体10が車両前向きの着座位置まで戻された状態で、回転ベース用ロック機構(図示省略)により車両フロアFに対して前方への移動が規制される。
スライドロック機構60は、図2等に示すように、シート本体10のシートフレーム13に設けられた被係合部62と、第1スライドベース44と共に移動する四節リンク機構84の基端部に設けられた係合部材70と、回転ベース25上に設置されたガイド部90とから構成されている。
フック72は、先端に下鉤部72kを備える先細の板状部材であり、そのフック72の長手方向におけるほぼ中央位置にフック支持軸71が通される貫通孔72hが形成されている。フック支持軸71は、フック72を上下回動可能な状態で四節リンク機構84の外側リンクアーム84bの外側面に連結する部材である。フック支持軸71は、図3(B)に示すように、基端部が外側リンクアーム84bの固定孔84xに通された状態でその外側リンクアーム84bに溶接されている。そして、フック支持軸71の先端部分に前記フック72が上下回動可能な状態で装着されている。
また、フック72の基端部には、フック支持軸71と平行に外側リンクアーム84bの外側方向に突出するカムフォロア72cが設けられている。
また、フック支持軸71の回りにはコイルバネ76が装着されており、そのコイルバネ76の一端がフック押さえ板74に掛けられている。また、コイルバネ76の他端がフック72に掛けられている。そして、前記コイルバネ76がフック72を図3(A)において左回動させる方向に付勢されている。
ガイド部90は、前記フック72が第1スライドベース44、四節リンク機構84と共にガイド部90に対して前進、あるいは後退することにより、前記フック72をフック支持軸71の回りに上下回動(図3(A)において右左回動)させる部材である。ガイド部90は、側面形状が逆向きの直角三角形状に形成されており、そのガイド部90の下側傾斜面90kがシート本体10の前進方向(図2、図3(A)の左方向)における先端側で高くなるように形成されている。下側傾斜面90kの先端寄り位置には、下方で開放する略逆V字形の切欠き部91が形成されており、その切欠き部91の前側(図3(A)において左側)の壁面がフック72のカムフォロア72cが沿う第1カム面92となっている。
第1カム面92は、カムフォロア72cが切欠き部91の奥側(上側)から開口側(下側)まで移動する過程で徐々に前進するように傾斜している。そして、第1カム面92よりも前側に位置するガイド部90の下側傾斜面90kが第2カム面93として使用される。さらに、第1カム面92と第2カム面93との境界部分(頂部)は円弧状に面取りされている。
即ち、フック72の左回動限界位置が本発明における係合部材の規制位置に相当する。
このように、フック72の右回動限界位置が本発明における係合部材の規制解除位置に相当する。そして、この時の回転ベース25に対する第1スライドベース44等の位置が本発明の後退近傍位置に相当する。また、前記コイルバネ76が本発明の付勢部材に相当する。
また、上記とは逆に、四節リンク機構84が格納されるときには、第1スライドベース44、四節リンク機構84及びフック72が後退する過程で、フック72のカムフォロア72cが第2カム面93に当接する。そして、カムフォロア72cが第2カム面93に沿って後下方に移動することにより、フック72はコイルバネ76のバネ力に抗して図中右回動し、規制解除位置まで戻される。
次に、車両用シート1の動作について簡単に説明しながら、スライドロック機構60の働きについて説明する。
シート本体10が室内の着座位置にあるときには、第1スライド機構40の働きで第1スライドベース44、四節リンク機構84及び係合部材70(フック72)が回転ベース25に対する後退位置にあり、シート本体10は第2スライド機構50の働きで四節リンク機構84に対する後退位置にある。そして、係合部材70のフック72は、図3(A)に示すように、左回動限界位置(規制位置)にあって、そのフック72の下鉤部72kがシート本体10のスライダ61に設けられた被係合部62と前記シート本体10の前進方向において対向している。
このため、例えば、車両衝突時のシートベルト荷重でシート本体10が前方、あるいは前上方に移動すると、シート本体10の被係合部62とフック72の下鉤部72kとが速やかに係合してスライドロック機構60が動作し、シート本体10は四節リンク機構84、第1スライド機構40を介して回転ベース25に保持される。
先ず、前後スライド機構30でシート本体10を室内回転位置まで移動させた後、シート本体10を回転機構20によりドア開口部側を向く横向き位置まで約90°水平回転させる(図5、図9参照)。
次に、回転ベース25上の第1スライド機構40が動作して第1スライドベース44、四節リンク機構84が回転ベース25に対して後退位置から後退近傍位置まで若干前進する。これにより、スライドロック機構60を構成するフック72のカムフォロア72cがガイド部90の第1カム面92に沿って前下方に移動し、フック72がコイルバネ76のバネ力に抗して図3(A)中右回動する。この結果、フック72の下鉤部72kがシート本体10のスライダ61の開口61hから離脱するように上方に移動する。そして、第1スライドベース44、四節リンク機構84が後退近傍位置まで前進した状態で、図4に示すように、フック72のカムフォロア72cが第1カム面92と第2カム面93と間に到達し、フック72の下鉤部72kはシート本体10のスライダ61の開口61hから離脱する。即ち、フック72の下鉤部72kはシート本体10の被係合部62とシート本体10の前進方向において対向しなくなる。
また、第1スライドベース44が回転ベース25に対して前進することにより、フック72のカムフォロア72cが第2カム面93に沿って前進し、フック72はコイルバネ76のバネ力によって図4中左回動する。そして、フック72のカムフォロア72cが第2カム面93から離れると、フック72はコイルバネ76のバネ力で左回動限界位置(規制位置)に保持される。
シート本体10は下降途中で前輪14と後輪15を展開し、車椅子として使用できる状態になる。そして、シート本体10が着地した後、昇降ベース85がさらに下降して、シート本体10とシート用ベース51との連結が解除される(図8参照)。
即ち、回転ベース25上の第1スライド機構40が動作して第1スライドベース44、四節リンク機構84が回転ベース25に対して後退する。これにより、四節リンク機構84が格納されて、昇降ベース85に載置されたシート本体10が水平に上昇する。そして、四節リンク機構84が後退近傍位置まで後退する過程で、フック72のカムフォロア72cはガイド部90の第2カム面93に当接する。そして、カムフォロア72cが第2カム面93に沿って後進することにより、フック72はコイルバネ76のバネ力に抗して図4中右回動する。そして、第1スライドベース44、四節リンク機構84が回転ベース25に対する後退近傍位置にまで到達した状態でフック72は右回動限界位置(規制解除位置)に保持され、第1スライド機構40が停止して第1スライドベース44等はこの位置に保持される(図6参照)。
次に、四節リンク機構84の昇降ベース85上の第2スライド機構50が動作してシート本体10が、図5に示すように、室内まで後退する。このとき、フック72の先端部分は、図4に示すように、シート本体10のスライダ61内に後端側から挿入される。
次に、回転ベース25上の第1スライド機構40が再び動作して第1スライドベース44、四節リンク機構84と共にフック72が回転ベース25に対する後退位置まで後退する。これにより、フック72のカムフォロア72cが第1カム面92に沿って後上方に移動し、フック72はコイルバネ76のバネ力で図4中左回動する。この結果、図3(A)に示すように、フック72の下鉤部72kがシート本体10のスライダ61の開口61hに上方から進入し、フック72の下鉤部72kはシート本体10の被係合部62とそのシート本体10の前進方向において対向する。次に、回転機構20、前後スライド機構30が動作してシート本体10は室内の着座位置まで戻される。
本実施形態に係る車両用シート1によると、シート本体10が四節リンク機構84に対して後退位置にあり、第1スライドベース44が回転ベース25に対して後退位置にある状態(着座位置)では、四節リンク機構84に取り付けられたフック72はコイルバネ76の働きで左回動限界位置(規制位置)に保持される。即ち、第1スライドベース44、四節リンク機構84側のフック72の下鉤部72kは、シート本体10の被係合部62に対して後上方からそのシート本体10の前進方向おいて対向する位置にまで進出し、その位置に保持されている。
このため、シート本体10が車両衝突時のシートベルト荷重により前方、あるいは前上方に移動する際、フック71が被係合部62と速やか係合して、シート本体10は第1スライドベース44等を介して回転ベース25に保持される。即ち、フック71が被係合部62と係合するまでにシート本体10が前方に移動する空走距離を極力小さくできる。
また、第1スライドベース44を回転ベース25に対して後退位置から後退近傍位置まで所定距離だけ前進させることにより、ガイド部90の働きでフック72が被係合部62とシート本体10の前進方向において対向しない右回動限界位置(規制解除位置)まで移動する。したがって、第1スライドベース44が後退近傍位置にある状態で、シート本体10を四節リンク機構84に対して前進させても、フック72がシート本体10の被係合部62と係合することがない。即ち、シート本体10の前進/後退が妨げられない。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、シート本体10が四節リンク機構84に対して後退位置にあり、第1スライドベース44が回転ベース25に対して後退位置にある状態(着座位置)では、図3(A)に示すように、フック72の下鉤部72kとシート本体10の被係合部62とは非接触状態で、両者72k,62はシート本体10の前進方向おいて対向する位置に保持されている。しかし、この状態から第2スライド機構50を動作させてシート本体10を若干前進させ、シート本体10の被係合部62に対してフック72の下鉤部72kを係合させるようにすることも可能である。このようにすることで、シート本体10にシートベルト荷重が加わったときのシート本体10の空走距離をほぼ零にできる。
即ち、図10(A)に示すように、第1スライドベース44、四節リンク機構84が回転ベース25に対する後退位置にある状態で、四節リンク機構84に対してシート本体10を後退させると、シート本体10のスライダ61の当接部61eがフック72の傾斜受け面72zに当接する。これにより、フック72の傾斜受け面72zがシート本体10の当接部61eに押圧されて、フック72はコイルバネ76のバネ力に抗して右回動する。即ち、フック72の先端部分がコイルバネ76のバネ力に抗して上方に移動する。これにより、フック72の傾斜受け面72zが当接部61eから外れ、フック72の先端部分はシート本体10の後退に伴ってスライダ61内に挿入される。そして、フック72の先端部分がスライダ61の開口61hの位置に到達すると、フック72がコイルバネ76のバネ力により左回動し、フック72の先端の下鉤部72kが開口61hに挿入されて被係合部62と対向するようになる。
このように、第1スライドベース44、四節リンク機構84等を後退近傍位置で停止させることなく直接的に回転ベース25に対する後退位置まで後退させることが可能なため、車両用シート1の制御が簡単になる。
20・・・回転機構
25・・・回転ベース
40・・・第1スライド機構
44・・・第1スライドベース(スライドベース)
50・・・第2スライド機構
61・・・スライダ
61e・・当接部
62・・・被係合部
70・・・係合部材
72・・・フック
72k・・下鉤部
72z・・受け面
76・・・コイルバネ(付勢部材)
80・・・昇降機構
84・・・四節リンク機構(リンク機構)
88・・・ガイド機構
90・・・ガイド部
92・・・第1カム面
93・・・第2カム面
Claims (4)
- シート本体と、車両フロアに沿って回転する回転ベースを有する回転機構と、前記回転ベース上に設置され、前進後退するスライドベースを有する第1スライド機構と、一端が前記スライドベースに上下回動可能に連結されたリンク機構と、前記スライドベースの前進後退に伴い前記リンク機構の他端が下降上昇するように前記リンク機構をガイドするガイド機構と、前記リンク機構の他端に前記シート本体を前進後退可能に支持する第2スライド機構とを有し、前記回転ベースを前記回転機構で車両前向きの着座位置からドア開口部側を向く横向き位置へ回転させ、前記シート本体を前記第2スライド機構で前記リンク機構に対して室外方向に前進させ、さらに前記シート本体を前記第1スライド機構で前記スライドベース、前記リンク機構と共に前進させながら下降させることで室内位置から室外位置へ移動させ、逆の動作により前記シート本体を室外位置から室内位置へ移動させる車両用シートであって、
前記シート本体に設けられた被係合部と、
規制位置と規制解除位置間を移動可能な状態で前記スライドベースと前進後退方向において一体化された部材に設けられ、前記シート本体が前記リンク機構に対して後退位置にあるときに、前記規制位置へ移動することで、前記シート本体の被係合部に対してそのシート本体の前進方向において対向する位置へ進出し、前記規制解除位置へ移動することにより前記被係合部に対して前進方向において対向しない位置へ退避する係合部材と、
前記係合部材を前記規制位置の方向に付勢する付勢部材と、
前記回転ベースに設けられ、前記スライドベースが第1スライド機構の動作により前記回転ベースに対して後退位置から後退近傍位置まで所定距離だけ前進することにより、前記規制位置にある前記係合部材を前記付勢手段の力に抗して前記規制解除位置まで移動させるガイド部と、
を有することを特徴とする車両用シート。 - 請求項1に記載された車両用シートであって、
前記ガイド部は、前記スライドベースが第1スライド機構の動作により前記後退近傍位置まで後退する過程で、前記係合部材を前記付勢部材の力に抗して前記規制解除位置へ移動させることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1に記載された車両用シートであって、
前記係合部材には、前記シート本体が第2スライド機構の動作により前記リンク機構に対して後退する過程でそのシート本体の当接部が当接する傾斜受け面が形成されており、
前記スライドベースと共に前記後退位置にあって、前記規制位置に保持されている前記係合部材の傾斜受け面に対し、前記シート本体の当接部がそのシート本体の後退により当接摺動することで、前記係合部材が前記付勢部材の力に抗して規制解除位置の方向に移動し、前記シート本体がさらに後退すると、前記係合部材の傾斜受け面が前記シート本体の当接部から外れ、その係合部材が前記付勢部材の力で前記シート本体の被係合部と対向する前記規制位置の方向に移動することを特徴とする車両用シート。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載された車両用シートであって、
前記シート本体が前記リンク機構に対して後退位置にあり、前記スライドベースが前記回転ベースに対して後退位置にあって、前記係合部材が前記シート本体の被係合部と対向する前記規制位置にある状態で、前記シート本体を第2スライド機構により前記リンク機構に対して前進させて、前記係合部材と前記シート本体の被係合部とを係合させることを特徴とする車両用シート。
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