JP4948973B2 - 鋳鋼片の溶融深さ測定方法および鋳鋼片の表層処理方法 - Google Patents

鋳鋼片の溶融深さ測定方法および鋳鋼片の表層処理方法 Download PDF

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本発明は、例えば鋼の連続鋳造鋳片や、圧延途中の鋼片などの鋳鋼片の表層を、プラズマによって加熱溶融する際の溶融深さの測定方法、及び当該測定方法を用いた表層処理方法に関する。
例えば連続鋳造後の鋳片や圧延途中の鋼片の表層を改質する処理には、プラズマ加熱装置が用いられている(特許文献1参照)。
プラズマ加熱装置は、例えば搬送される鋳片に対向配置されたトーチを陰極、鋳片を陽極とする直流プラズマのプラズマトーチを備え、当該プラズマトーチと鋳片との間にプラズマアークを発生させ、そのプラズマアークの熱によって鋳片を加熱して溶融し、その表層を例えば改質処理するようになっている。
特開2004−195512号公報
鋳片表層溶融処理を実施する場合、処理深さ、すなわち溶融深さは処理速度とプラズマ出力により決まるが、溶融深さをプラズマによる投入熱量の制御のみによって変化させようとしても、プラズマが照射される鋳片表面から三次元的に熱が拡散するので、溶融深さを制御することが困難であった。さらに溶融部は不透明な溶融金属で満たされていることから、溶融深さを直接測定する方法はなく、処理後の鋳片の断面を腐食させ、凝固組織を現出する方法などによって、溶融処理部の深さを処理後に知るしかなかった。従って、溶融処理深さを変更したい場合には、予めサンプルの処理前温度やプラズマ電圧、電流、プラズマを振動させる磁束密度等の多数のプラズマ制御条件と溶融深さの関係を調べておいて、処理する方法しかなかった。この場合、新たな成分の鋼材を処理する際などは溶融温度(融点あるいは液相線温度)が異なる場合には事前に条件を把握するなど効率が悪かった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、プラズマによって溶融処理を行なっている間であっても、溶融深さを直接測定することを可能にして、前記問題を解決することを目的としている。
前記目的を達成するため、本発明は、鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融しているときの溶融深さを測定する方法であって、前記プラズマガスのガス流量を調整して、溶融金属を溶融部から追い出して窪み部を形成し、当該窪み部に対してレーザー光を照射して、レーザースポットを形成させ、溶融部の底部がプラズマガス中に露出したときの当該レーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を測定することによって溶融部の溶融深さを求めることを特徴としている。
発明者らの知見によれば、鋳鋼片の表層溶融処理を実施する際に、プラズマガス流量を大きくしプラズマガス圧力を利用して溶融部に窪み部を形成させ、プラズマガス圧力が溶融プール深さの静圧と等しくなるところで、溶融部の底部の深さが決まる。したがってプラズマガスの圧力を大きくし、溶融金属を窪み部からほぼ完全に追い出して溶融部の底部がプラズマ照射部において露出している状態に制御することが可能であり、このときの窪み部深さと処理後に得られる溶融深さがほぼ一致する条件があることがわかった。したがって、プラズマガスのガス流量を調整して、溶融金属を溶融部から追い出して窪み部を形成し、さらに溶融部の底部がプラズマガス中に露出したときのレーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位(処理前の鋳鋼片表面からの変位)を溶融深さとみなすことができる。それゆえ溶融処理中に溶融深さを直接測定することが可能になる。
別な観点によれば、本発明は、鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融しているときの溶融深さを測定する方法であって、前記プラズマガスのガス流量を調整して、溶融金属を溶融部から追い出して窪み部を形成し、当該窪み部に対してレーザー光を照射してレーザースポットを形成させて、当該レーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位の変動を測定し、当該変動の変動幅が所定値以下になったときのレーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を、測定しようとする溶融深さとすることを特徴としている。
溶融部に対してガス流量を調節して溶融金属を追い出して窪み部を形成した際、底部表面に溶融金属が残っている場合には、ガス流によって溶融金属表面が揺れ動き、レーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位が変動する。しかしながら溶融金属がほぼ完全に窪み部から追い出されて溶融部の底部が露出すると、当該変動は殆どないか、あってもごく僅かなものとなる。したがって本発明のように前記変動の変動幅が所定値以下になったときのレーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を、溶融深さとすることで、測定しようとする溶融深さを求める事が容易になる。
そして上記のようにして求めた溶融深さが所望の位置となるようにプラズマ出力を制御することで、鋳鋼片の溶融処理において常に所望の溶融深さで処理することが可能である。かかる場合、交流磁場によってプラズマガスによるプラズマアークを鋳鋼片の幅方向に往復移動させて、鋳鋼片の表層処理を行なう際には、鋳鋼片上におけるプラズマアークの往復移動の範囲内において、当該幅方向の複数個所の溶融深さを求め、当該溶融深さが各々所望の値になるようにプラズマ出力を制御することで、プラズマアークの往復移動の範囲内の幅方向についても所望の溶融深さの溶融処理が可能になる。
本発明によれば、溶融処理中に溶融深さを測定することが可能であり、したがってたとえば溶融温度が異なる新たな鋼材を処理する際にも効率よく溶融処理を実施することができ、また処理直前の鋳片等の温度が変動しても所望の深さの溶融処理を実施することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる表層処理方法を実施するための表層処理装置1の構成の概略を正面からみた模式図であり、図2は同じく平面からみた模式図である。
この表層処理装置1は、水平方向に搬送される鋳片Hの搬送ライン上に設けられている。表層処理装置1は、例えば搬送される鋳片Hの上方に配置された複数、たとえば7本のプラズマトーチT1〜T7を、鋳片Hの幅方向Aに沿って並列に有している。プラズマトーチの本数は任意である。これらプラズマトーチT1〜T7は、直流電源2からの電圧の印加によって、各々鋳片Hとの間にプラズマガスによるプラズマアークPを形成させる。プラズマトーチT1〜T7の着火本数、並びに出力の制御は制御装置3によって制御される。また制御装置3は、プラズマトーチT1〜T7に対して各々独立して出力調整が可能である。
プラズマトーチT1〜T7の下方であって、かつ鋳片Hの搬送方向Bの前後、すなわちプラズマトーチT1〜T7によって形成されるプラズマアークPの搬送方向Bの前後には、交流磁場を発生させる電磁コイル11、12が相互に平行となるように設けられている。これら電磁コイル11、12は、交流電源13からの交流電流の供給によって、各プラズマアークPに周期的にローレンツ力を作用させて、各プラズマアークPを、供給される交流の周波数に応じて鋳片Hの幅方向Aに往復移動させる。なお、あえて言えば、当該往復移動は、プラズマトーチの下端部を中心としてプラズマアークPが往復回動する動きに近いものである。
各プラズマトーチT1〜T7には、プラズマ生成用のガス供給源21から、マスフローコントローラ22を介して、プラズマ用ガス、例えばアルゴンガスが供給される。なお図示の都合上、マスフローコントローラ22は、1台のみしか記載していないが、各プラズマトーチT1〜T7には、ガス供給源21から各々独立したガス供給路が接続され、各ガス供給路にはそれぞれ独立したマスフローコントローラ22が設けられている。したがって、各プラズマトーチT1〜T7に供給するプラズマ用ガスの流量は、各々独立して制御可能である。
前記交流電源13、制御装置3、並びにマスフローコントローラ22は、主制御装置31によって制御される。
表層処理装置1は、各プラズマトーチT1〜T7ごとにそのプラズマアークによる溶融深さを測定するために、図3に示したようなレーザー照射装置32、及びレーザー照射装置32によって形成されたレーザースポットSの鉛直方向の位置変動を撮像するための撮像装置33を備えている。例えば図3に示したように、プラズマトーチT1に即して言えば、レーザー照射装置32は、斜め上方からプラズマトーチT1の直下に対してレーザー光を照射する位置に配置されている。レーザー照射装置32自体は、照射角度を自由に変更できる機構(図示せず)を備えており、プラズマトーチT1からのプラズマガスによって形成される窪みZにおけるプラズマトーチT1の直下に対してレーザー光を照射して、窪みZの最も深い地点に対してレーザースポットSを形成することが可能になっている。なお溶融前にプラズマトーチT1の直下に対して斜め方向からレーザー光を照射してレーザースポットSを形成すると、溶融後は反対側に若干ずれることになる。この点発明者の実際の観察によれば、プラズマトーチT1の直下では、処理方向に±5mm程度、ほぼ一定の溶融プールの底形状になっていることがわかった。したがってこの種のプラズマトーチであれば、通常半径が30mm程度であるから、例えば溶融深さが5mmの場合、プラズマトーチの下端の高さ(この種の処理では一般的に処理対象から100mm程度である)にて、トーチに近い地点から溶融前のプラズマトーチT1の直下に対してレーザースポットSを形成するようにしても、前記のずれは極めて小さく、実際上は全く問題がない。いずれにしろ、プラズマトーチの外壁になるべく近いところであって、トーチ下端位置程度の高さからプラズマトーチの直下の部分にレーザースポットSを形成すればよい。
このレーザースポットSは、例えばCCDビデオカメラなどの撮像装置33によって撮像され、撮像信号は、画像処理されてレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を測定することが可能である。かかる処理は、主制御装置31によってなされる。
表層処理装置1は以上の構成を有しており、この表層処理装置1を用いて鋳片Hに対して溶融処理を行なう場合、鋳片Hを搬送方向Bに沿って所定の速度で搬送しつつ、プラズマトーチT1〜T7に対して直流電源2からの電圧を印加すると、プラズマトーチT1〜T7と鋳片Hとの間にプラズマガスによるプラズマアークPが形成され、鋳片Hの表層部分が順に溶融処理されていく。
かかる溶融処理中は、プラズマアークPのガス流と鋳片の搬送とによって、溶融金属Qは次々と搬送先へと送られていく。そしてそのようにして溶融金属Qが送られた後には、図3に示したように、プラズマアークPのガス流によってプラズマアークPの照射部分に窪みZが形成される。なおそのようにして送られた溶融金属Qは、その後自然に搬送方向Bとは逆の方向に戻り、埋め戻される。また図3において、Rは溶融処理された表層を示している。
このときガス流が適切でない場合には、図4に示したように、窪みZの底に溶融金属Qが残っている。したがって、そのときのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位は、窪みZの上に残存している当該溶融金属Qの厚さ分だけ、溶融部分の底部Xよりも高い位置になっており、実際の溶融深さLを示していない。
しかしながらマスフローコントローラ22によってガス流量を調節することで、図3に示したように、窪みZから溶融金属Qをほぼ完全に追い出し、溶融部の底部XをプラズマアークP中に露出させることができる。したがってこの状態におけるレーザースポットSの鉛直方向の位置は、溶融部分の底部Xに一致している。すなわちこのときのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位は実際の溶融深さLを示している。したがってかかる状態でのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を測定することで、溶融深さLを知ることができる。
ところでプラズマアークP自体は、高い輝度で発光しているので、この中に位置するレーザースポットSの位置を確認するには、レーザースポットSの輝度がさらに高いものでなければならない。したがって、プラズマアークPの波長成分におけるピーク波長とは異なった波長で、かつプラズマアークPの波長よりも相対強度が高い波長のレーザー光を用いる必要がある。発明者らが調べたところ、プラズマアークPの光は、700nm付近で最も高いピークがあり、次いで400〜500nmあたりに比較的高いピークがあることがわかった。そこで本実施の形態では、610〜700nmの波長を有する半導体レーザーのレーザー光(赤色光)、または500〜560nmの波長を有する半導体レーザーのレーザー光(緑色光)を使用することができる。この半導体レーザーは入手が容易である。もちろんこれに限らず、プラズマアークPの波長成分において、同波長でプラズマアークPにおける波長よりも相対強度が高いレーザー光であれば、本発明において好適に採用することができる。
以上のように、窪みZから溶融金属Qをほぼ完全に追い出し、溶融部の底部XをプラズマアークP中に露出させた時点でのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位が、溶融深さLを示しているが、そのように窪みZから溶融金属Qをほぼ完全に追い出し、溶融部の底部XをプラズマアークP中に露出させた時点を客観的に判断するのが困難な場合も予想される。
発明者らの知見によれば、かかる場合、レーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位の変動を測定し、当該変動の変動幅が所定値以下になったときのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を、溶融深さLとして扱っても支障はない。すなわち、図4に示したように窪みZの底に溶融金属Qが残っている場合、プラズマアークPのガス流によって、窪みZの底に残っている溶融金属Qが揺れ動き、その結果図5に示したようにレーザースポットSの鉛直方向の位置が上下に変動するが、窪みZから溶融金属Qをほぼ完全に追い出し、溶融部の底部XをプラズマアークP中に露出させた状態になれば、前記変動の変動幅dは、極めて小さくなる。発明者が実験的に求めたところ、当該変動幅が所定値以下、例えば±0.25mm以下になったときには、そのときのレーザースポットSの形成地点を、溶融部分の底部Xとみて差し支えない。したがってそのときのレーザースポットSの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を、溶融深さLとすることで、溶融深さLを容易に求めることができる。なおかかる場合、例えば変動幅が前記所定値以下になったときの変位の最大値と最小値との間の平均を溶融深さLとしてもよい。
以上のようにして鋳片Hに対する溶融処理中に溶融深さLを知る事ができると、例えばこのようにして求めた溶融深さLに基づいて、所望の溶融深さになるように、例えばプラズマアークPのパワー(例えば、電圧、電流)を調整すれば、鋳片Hの搬送方向Bに沿った長手方向に対して、所望の溶融深さの溶融処理を実施することが可能になる。かかる調整は、例えば主制御装置31によって行なう事ができる。また前記溶融深さLに基づいて、所望の溶融深さになるように、溶融金属を追い出して底部を露出させるような流量以上にプラズマガスの流量を調整してもよい。
前記した方法にしたがって求めた溶融深さLに基づいて、プラズマアークPのパワーを調整すれば、鋳片Hの搬送方向Bに沿った長手方向に対して、溶融深さを制御できるが、上記した測定方法を応用すれば、プラズマアークPの幅方向の溶融深さも制御することができる。
すなわち、本実施の形態で用いた表層処理装置1においては、電磁コイル11、12によって、各プラズマアークPに周期的にローレンツ力を作用させて、各プラズマアークPを、鋳片Hの幅方向Aに往復移動させるようにしているが、図6に示したように、鋳片Hにおける当該往復移動範囲(以下、振れ幅Dという)内に、各々別個のレーザー照射装置32によって、複数個所、例えばプラズマトーチT1の中心線Cよりも幅方向外側の振れ幅Doutの範囲内にレーザースポットSoを形成し、幅方向内側の振れ幅Dinの範囲内にレーザースポットSiを形成して、各々の地点の溶融深さを求める。そしてそれに基づいて各プラズマアークPの出力を外側の振れ幅Doutの範囲と、内側の振れ幅Dinの範囲とで個別に制御するようにすれば、振れ幅Dにおいて、溶融深さの制御を幅方向についても実施することができる。かかる外側の振れ幅Doutの範囲と、内側の振れ幅Dinの範囲とにおけるプラズマアークPの出力の制御は、例えば交流電源13の周波数に同期して、主制御装置31が制御装置3を制御することで実現できる。また例えば、交流電源13からの電力の波形を正弦波から台形波、さらには台形波を矩形波に近づけることで、プラズマトーチT1直下の入熱量を減らし、プラズマトーチT1の往復移動範囲の両端の入熱量を増加させることができる。このように交流電源13からの電力の波形の関数形を変えることにより、幅方向の入熱量の分布を制御することができる。
(実施例1) 連続鋳造を完了した鋳片を切断後に、プラズマ加熱溶融により溶融改質処理する方法を用いて、厚さ250mm、幅1200mm、長さ10mの0.2質量%C鋼の連続鋳造鋳片の表層を、搬送速度5mm/sでプラズマトーチ1本あたりの出力を30kWとして溶融処理した。このとき使用した表層処理装置における各プラズマトーチの間隔は100mmとし、12本のトーチを使用した。処理対象である鋳片は、プラズマ処理前の温度が約800℃であった。はじめの5mは各プラズマトーチに流すアルゴンガス流量を毎分30リットルとし、後半5mは毎分50リットルとした。
そしてプラズマ溶融部中心に対して波長650nmの半導体レーザによるレーザー光を照射して、1mm径のスポットを形成し、CCDカメラを用いて変位を測定し、カメラ位置から計算する方法を用いて当該スポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位量と変位変動量を調査した。
その結果、アルゴンガス流量が毎分30リットルの場合には、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位量は3mmで、変位変動量は±0.5mmであった。一方、アルゴンガス流量が毎分50リットルの場合には、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位量は5mmで、変位変動量は±0.03mmであった。処理後のサンプルを調査したところ、処理部の深さは処理材料の処理前温度が安定していることから、長さ10mにわたり、ほぼ5mm深さであった。即ち、アルゴンガス流量が毎分30リットルの場合にはアルゴンガス圧力による窪み深さが3mmで、その下方に深さ2mmの溶融した金属プールがあることが確認できた。またアルゴンガス流量が毎分50リットルの場合にはアルゴンガス圧力による窪み深さが5mmで、その下方には溶融した金属プールが殆どなく、窪み深さがそのまま処理後の溶融深さとなっていることが確認された。
(実施例2)
連続鋳造を完了した鋳片を切断後に、プラズマ加熱溶融により溶融改質処理する方法を用いて、厚さ250mm、幅1200mm、長さ10mの0.2質量%C鋼の連続鋳造鋳片の表層を、5mm深さを目標にアルゴンガス流量を毎分30リットルで溶融処理した。このとき使用した表層処理装置における各プラズマトーチ間隔は100mmとし、12本のプラズマトーチを使用した。処理対象である鋳片は、鋳造中に冷却条件が変化したことから長さ方向に温度差があり、処理する長さ10mの前半の5m相当の部分は約850℃、後半の5m相当の部分は800℃であった。そしてプラズマ溶融処理中の窪みの深さは、前半が5.5mm、後半が5mmであった。
そこで、同じ条件のサンプルを処理深さが処理中の窪み深さとほぼ一致する条件であるアルゴンガス流量を毎分50リットルとして、前半は窪み深さが5mmになるようにプラズマ出力を自動調整し(結果として約95%出力であった)、継目は連続的に出力を窪み深さが一定となるように調整し処理した。最初の鋳片、すなわち鋳片の表層を、5mm深さを目標にアルゴンガス流量を毎分30リットルで溶融処理した場合の鋳片を処理後に切断し、溶融深さを調査したところ、一定処理深さとなっていなかったのに対し、後の鋳片、すなわち処理中の窪み深さとほぼ一致する条件であるアルゴンガス流量を毎分50リットルとして、前半は窪み深さが5mmになるようにプラズマ出力を自動調整した鋳片についても同様に処理後に切断して溶融深さを調査したところ、溶融深さは一定となっていた。
本発明は、鋳片をはじめとする各種の鋳鋼片を搬送しながら、プラズマによって加熱溶融して当該鋳鋼片の表層を処理する際に有用である。
実施の形態にかかる測定方法を実施するために用いた表層処理装置の構成の正面からみた概略を示す模式図である。 図1の表層処理装置を平面からみた概略を示す模式図である。 底部がプラズマアーク中に露出したときのレーザースポットの測定状況を示す説明図である。 底部上に溶融金属が残存しているときのレーザースポットの測定状況を示す説明図である。 底部上に溶融金属が残存しているときのレーザースポットの変動を示す説明図である。 プラズマアークの振れ幅における2点で溶融深さを測定する様子を示す説明図である。
符号の説明
1 表層処理装置
2 直流電源
11、12 電磁コイル
13 交流電源
31 主制御装置
32 レーザー照射装置
33 撮像装置
A 幅方向
B 搬送方向
H 鋳片
P プラズマアーク
Q 溶融金属
X 底部
Z 窪み

Claims (4)

  1. 鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融しているときの溶融深さを測定する方法であって、
    前記プラズマガスのガス流量を調整して、溶融金属を溶融部から追い出して窪み部を形成し、当該窪み部に対してレーザー光を照射して、レーザースポットを形成させ、
    溶融部の底部がプラズマガス中に露出したときの当該レーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を測定することによって溶融部の溶融深さを求めることを特徴とする、鋳鋼片の溶融深さ測定方法。
  2. 鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融しているときの溶融深さを測定する方法であって、
    前記プラズマガスのガス流量を調整して、溶融金属を溶融部から追い出して窪み部を形成し、当該窪み部に対してレーザー光を照射してレーザースポットを形成させて、当該レーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位の変動を測定し、
    当該変動の変動幅が所定値以下になったときのレーザースポットの、鋳鋼片表面からの鉛直方向の変位を、測定しようとする溶融深さとすることを特徴とする、鋳鋼片の溶融深さ測定方法。
  3. 鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融して、前記鋳鋼片の表層処理を行なう方法において、
    請求項1または2に記載の鋳鋼片の溶融深さ測定方法によって得た溶融深さが、所望の値となるように前記プラズマガスを発生させるプラズマ出力を制御することを特徴とする、鋳鋼片の表層処理方法。
  4. 鋳鋼片を移動させながら当該鋳鋼片の一面を、プラズマトーチから照射されるプラズマガスによって加熱溶融すると共に、交流磁場によって前記プラズマガスによるプラズマアークを前記鋳鋼片の幅方向に往復移動させて、前記鋳鋼片の表層処理を行なう方法において、
    前記鋳鋼片上におけるプラズマアークの前記往復移動の範囲内において、前記幅方向の複数個所の溶融深さを請求項1または2に記載の鋳鋼片の溶融深さ測定方法によって求め、
    当該求めた溶融深さが、各々所望の値となるように前記プラズマガスを発生させるプラズマ出力を制御することを特徴とする、鋳鋼片の表層処理方法。
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