JP4941637B2 - ホウ化物粒子の製造方法、およびホウ化物粒子 - Google Patents

ホウ化物粒子の製造方法、およびホウ化物粒子 Download PDF

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Description

本発明は、ホウ化物粒子の製造方法、およびホウ化物粒子に関する。
太陽光や電球などの外部光源から熱成分を除去・減少する方法として、従来、ガラス表面に赤外線を反射する材料からなる被膜を形成して、熱線反射ガラスとすることが行われていた。そして、その材料には、FeOx、CoOx、CrOx、TiOxなどの金属酸化物やAg、Au、Cu、Ni、Alなどの金属材料が選択されてきた。
しかし、これらの材料には、熱効果に大きく寄与する赤外線以外に、可視光も同時に反射もしくは吸収する性質があるため、可視光透過率が低下してしまう問題があった。特に、建材、乗り物、電話ボックスなどに用いられる基材においては、可視光領域で高い透過率が必要とされることから、上記金属酸化物などの材料を利用する場合に、その膜厚を非常に薄くしなければならなかった。このため、スプレー焼付けやCVD法、あるいはスパッタ法や真空蒸着法などの物理成膜法を用いて10nmレベルの薄膜として成膜して用いる方法が採られている。
しかし、これらの成膜方法は大がかりな装置や真空設備を必要とし、生産性や大面積化に難点があり、膜の製造コストが高くなる欠点がある。また、これらの材料で日射遮蔽特性を高くしようとすると、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて、美観を損ねてしまう欠点もあった。更に、これらの材料で成膜された膜は、電気抵抗値が比較的低くなって、電波に対する反射が高くなり、例えば携帯電話やテレビ、ラジオなどの電波を反射して受信不能になったり、周辺地域に電波障害を引き起こすなどの欠点もあった。
このような欠点を改善するためには、膜の物理特性として、可視光領域の光の反射率が低くて赤外線領域の反射率が高く、かつ膜の表面抵抗値が概ね10Ω/□以上に制御可能な膜である必要があった。
尚、可視光透過率が高く、しかも優れた日射遮蔽機能を持つ材料として、アンチモン錫酸化物(以下、ATOと略す)や、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)が知られている。そして、これらの材料は、可視光反射率が比較的低いためギラギラした外観を与えることはない。但し、プラズマ周波数が近赤外線領域にあるために、可視光により近い近赤外域において反射・吸収効果が未だ十分でなかった。更に、これらの材料は、単位重量当たりの日射遮蔽力が低いため、高遮蔽機能を得るには使用量が多くなってコストが割高となるという問題を有していた。
そこで、本出願人は、先に、日射遮蔽成分として六ホウ化物粒子を用いた日射遮蔽体用分散液、およびこれを用いた日射遮蔽体を開発し、特許文献1として提案した。六ホウ化物粒子は、製造条件により灰黒色、茶黒色、緑黒色などに着色した粉体であるが、粉体の粒子径を可視光波長に比べて十分小さくし、中間膜中あるいは日射遮蔽体中に均一に分散すると、赤外光遮蔽能を十分強く保持させながら、可視光透過性を確保することができる。
この理由は詳細には判明していないが、これら六ホウ化物は、粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部および表面の自由電子によるバンド間間接遷移の吸収エネルギーが、丁度可視〜近赤外領域の付近にあるために、この波長領域の熱線が選択的に反射・吸収されるものと考えられる。
実験によれば、六ホウ化物粒子の比表面積を10m/g以上とし、かつ溶媒中に均一に分散した膜は、透過率が波長400nm〜700nmの間に極大値を持ち、また波長700nm〜1800nmの間に極小値を持ち、さらにこれらの透過率の極大値と極小値の差が15ポイント以上であることが観察された。これは、可視光波長が380nm〜780nmであり、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、当該膜において、可視光は有効に透過されることを示している。
さらに加えて、六ホウ化物粒子の単位重量当たりの日射遮蔽能力は非常に高く、例えば、ITO微粒子、ATO微粒子と比較して、10分の1以下の使用量でその効果を発揮する。また、六ホウ化物微粒子と、ITO微粒子および/またはATO微粒子とを併用することによって、一定の可視光透過率を保ちながら日射遮蔽特性のみをさらに向上させることができることも判明した。この結果、日射遮蔽体粒子の使用総量の削減、および生産コストの削減ができる。
さらに、六ホウ化物粒子は可視光領域にも吸収を有するため、日射遮蔽体への添加量を制御することにより、その日射遮蔽体の可視光領域の吸収を自由に制御することができ、明るさ調整やプライバシー保護などの付加機能を持たせることも可能となる。
ここで、ホウ化物粒子の製造法として、例えば、非特許文献1、非特許文献2が提案されている。これら文献には、LaのBC還元法による、ホウ化物粒子の一種であるLaBの工業的製造方法について記載されている。これら文献に記載された方法は、LaBを安価に製造できる方法ではあるが、焼成温度が1600℃と高温であることから、得られるLaBは粒子が粗大化する。ところが、例えば日射遮蔽の分野に用いるためのホウ化物微粒子は、その粒子径が可視光波長に比べて十分小さいことが求められるが、上述の粗大化したホウ化物粒子は、ジェットミル等を用いたメカニカル法による強力な粉砕を行っても微粒子化が非常に困難である。
そこで、本出願人は、先に、微細化した原料の粒子を焼成してホウ化物粒子を製造する際の焼成温度を制御することによって、ホウ化物粒子の粗大化を回避することにより、優れた日射遮蔽機能を発揮する粒子径を有するホウ化物粒子の製造方法を見出し、特許文献2として提供した。
しかし、得られたホウ化物粒子と各種溶媒を混合したスラリーを、ビーズとともに媒体攪拌ミルに投入して日射遮蔽体形成用分散液を製造するに際し、所望の分散粒子径にするまでに要する分散時間、および当該分散液を用いて作製される日射遮蔽体のヘイズ値については、いずれの方法についても未だ改善の余地を有していた。
特開2000−169765号公報 特開2004−277274号公報 土井,粉体と工業,21(5)1989. 機能材料,15(6)1995.
本発明は、この様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、ホウ化物粒子を各種溶媒に分散するための分散時間を短縮し、かつヘイズ値を低減することができるホウ化物粒子の製造方法、およびホウ化物粒子を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を継続した結果、原料粒径および焼成温度の制御によって製造したホウ化物粒子を、ジェットミルで予備粉砕することにより、得られたホウ化物粒子をビーズとともに媒体攪拌ミルに投入して粉砕し、分散処理するときの処理時間が大幅に短縮され、かつその微粒子から構成される日射遮蔽体のヘイズ値を低減できることを見出し、本発明に至った。
課題を解決するための第1の構成は、一般式XB(但し、Xは、アルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれた1種以上の金属元素、4≦m≦6.3)で表されるホウ化物粒子の製造方法であって、
Xを含む化合物の溶液と、アルカリ溶液とを、攪拌しながら反応させて沈殿物を得る工程と、
前記沈殿物を乾燥して、平均粒子径が0.1μm以下のXの水酸化物粒子および/または水和物粒子を得る工程と、
前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子を熱処理して、平均粒子径が20μm以下の前記Xの酸化物の粒子の凝集体を得る工程と、
前記Xの酸化物の粒子の凝集体と、平均粒子径が22μm以上60μm以下のBCの粒子とを混合し、前記Xの酸化物の粒子と、BCの粒子との混合物を得る工程と、
前記混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下において1600℃未満で熱処理して、一般式XBで表され平均粒子径D 50 が20μm以上25μm以下のホウ化物粒子を得る工程と、
前記ホウ化物粒子をジェット気流中で相互に衝突させて粉砕して、粒径が0.2μm以上1.5μm以下のホウ化物の微粒子を得る工程と、を具備することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法である。
第2の構成は、一般式XB(但し、Xは、アルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれた1種以上の金属元素、4≦m≦6.3)で表されるホウ化物粒子の製造方法であって、
Xを含む化合物の溶液と、アルカリ溶液とを、攪拌しながら反応させて沈殿物を得る工程と、
前記沈殿物を乾燥して、平均粒子径が0.1μm以下のXの水酸化物粒子および/または水和物粒子を得る工程と、
前記Xの水酸化物および/または水和物粒子と、平均粒子径が22μm以上60μm以下のCの粒子とを混合し、前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子と、BCの粒子との混合物を得る工程と、
前記混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下において1600℃未満で熱処理して、一般式XBで表され平均粒子径D 50 が20μm以上25μm以下のホウ化物粒子を得る工程と、
前記ホウ化物粒子をジェット気流中で相互に衝突させて粉砕して、粒径が0.2μm以上1.5μm以下のホウ化物の微粒子を得る工程と、を具備することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法である。
第3の構成は、第1または第2の構成に記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、前記Xの酸化物の粒子と、BCの粒子と、を混合する際、両者の混合割合において、X元素:ホウ素の原子数比が1:4〜1:6.3となるように混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法である。
第4の構成は、第1または第2の構成に記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、前記Xの酸化物の粒子と、B4Cの粒子と、を混合する際、両者の混合割合において、X元素:ホウ素の原子数比が1:5.9〜1:6.1となるように混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法である。
第5の構成は、第1〜第4の構成のいずれかに記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
平均粒子径が0.1μm以下である前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、平均粒子径が20μm以下である前記Xの酸化物の粒子と、
平均粒子径が60μm以下である前記BCの粒子と、を混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法である。
第6の構成は、第1〜第5の構成のいずれかに記載のホウ化物粒子の製造方法により、製造されたことを特徴とするホウ化物粒子である。
本発明によれば、1600℃未満で熱処理して得られた、一般式XBで表されるホウ化物粒子をジェット気流中で相互に衝突させて粉砕して、ホウ化物微粒子を得ることから、例えば日射遮蔽体として、最適な粒子径を有すると共に、不純物の混入も少ないホウ化物粒子を、安価な製造コストで製造することができる。
そして、得られたホウ化物(微)粒子と溶媒とを混合したスラリーを、ビーズとともに媒体攪拌ミルに投入して、さらに粉砕、分散処理して日射遮蔽体形成用分散液を作製するので、好個な粒子径を有したホウ化物粒子の分散時間を大幅に短縮でき、生産効率を向上させることができる。しかも、ホウ化物粒子の粗大化を低減できるので、ヘイズ値の低い日射遮蔽体を得ることができ、工業的に有用である。
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る一般式XBで表されるホウ化物粒子の製造工程を示すフロー図である。
符号(1)で示されるXの化合物溶液において、Xとは、アルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれる1種以上の金属元素であるが、中でも、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、BaまたはCaを好個に用いることができる。そしてX化合物としては、例えば、X元素の硝酸塩、硫酸塩、塩化物等を好個に用いることができる。
符号(2)で示されるアルカリ溶液は、特に限定されないが、例えば、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの各水溶液を好個に用いることができる。また、アルカリ溶液(2)の濃度は、X化合物の塩が水酸化物となるに必要な化学当量以上、好ましくは当該当量から当該当量の1.5倍過剰量までである。この範囲であると、Xの化合物溶液(1)とアルカリ溶液(2)とが十分に反応すると共に、後工程の洗浄に必要な時間が短時間で済むことから好ましい。
上述のXの化合物溶液(1)と、アルカリ溶液(2)とを混合し、継続的攪拌(11)を行って両者を中和反応させ、沈殿生成(12)を行う。このときの溶液温度の上限は、特に限定されないが、通常100℃以下とする。一方、溶液温度の下限も特に限定されないが、あまり低く設定すると新たに冷却装置などが必要になり、生産コストの上昇要因となるため、当該装置を要しない温度とすることが好ましい。中和反応の時間は特に限定されないが、生産性の観点から30分間未満、好ましくは25分間以下とする。中和反応完了後も、系内の均一化を図るために、攪拌を継続しながら沈殿の熟成を行うが、そのときの温度は中和温度と同温度とする。また、攪拌の継続時間は特に限定されないが、生産性の観点から30分間以下、好ましくは15分間程度、あるいはそれ以下でよい。
沈殿生成(12)により生成した沈殿物を十分に洗浄(13)し、残余のアルカリ分等を除去する。洗浄方法は、純水によるデカンテーションを好個に用いることができる。
洗浄(13)の完了した沈殿物を乾燥(14)すると、Xの水酸化物および/または水和物(3)の粒子が得られる。乾燥(14)において、その温度や時間は、特に限定されるものではない。
得られたXの水酸化物および/または水和物(3)の粒子を用いて、このまま後工程に進んでも良いが、このXの水酸化物および/または水和物(3)の粒子を、さらに熱処理(15)して、Xの酸化物(5)としてから後工程に進んでも良い。Xの水酸化物および/または水和物(3)の粒子を熱処理(15)する場合は、生成するXの酸化物(5)の粒子が粗大化するのを回避する観点より、熱処理温度を400℃〜1000℃とし、熱処理時間は30分間以上あれば特に限定されないが、生産性の観点から30分間〜4時間とすることが好ましい。熱処理(15)により、Xの水酸化物および/または水和物(3)は、Xの酸化物(5)の粒子同士が凝集した凝集体となる。
上述の生産工程を採ることにより、得られたXの水酸化物および/または水和物(3)の粒子径と、酸化物(5)の粒子の粒子径とを、例えば優れた日射遮蔽機能を発揮するホウ化物微粒子を製造するために必要とされる範囲のものとすることができる。
次に、得られたXの水酸化物および/または水和物(3)の粒子、または、Xの酸化物(5)の粒子と、BC(4)の粒子とを混合(16)する。
この混合(16)の際、X元素とB元素の原子数比が1:4〜6.3となるように均一に混合する。このとき、BC(4)の粒子の平均粒子径は、XB、XB等の微粒子生成の観点から、60μm以下、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下となっていることが好ましい。更に、Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子の平均粒子径は0.1μm以下、Xの酸化物の平均粒子径は20μm以下が好ましい。このように各原料粉体の粒子径を特定することで、溶媒中での分散粒子径が800nm以下のホウ化物粒子(6)を低コストで、容易に製造できる。
次に、得られた均一混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下において1600℃未満で熱処理(17)して、一般式XB(但し、4≦m≦6.3とする。以下同じ。)で表されるホウ化物粒子(6)を得る。
ここで、ホウ化物粒子(6)についてさらに説明する。
ホウ化物粒子(6)は、一般式XBで表され、XB、XB、XB12等で表されるホウ化物が挙げられるが、日射遮蔽体の材料としては、4≦m≦6.3であることが好ましい。すなわち、ホウ化物粒子としては、上記ホウ化物のうちXB、XBが主体となっていることが好ましく、さらに一部XB12を含んでいても良い。ここで、mとは、得られたホウ化物粒子(6)を含む粉体を化学分析し、X元素の1原子に対するBの原子数比を示すものである。
製造されたホウ化物粒子(6)を含む粉体は、実際には、XB、XB、XB12等の混合物である。例えば、代表的なホウ化物粒子である六ホウ化物の場合において、X線回折では単一相であっても、実際には5.8<m≦6.3となり、微量に他相を含んでいると考えられる。ここで、m≧4となる場合は、XB、XBなどの生成が抑制されており、詳細な理由は不明であるが、日射遮蔽特性が向上する。一方、m≦6.3となる場合は、ホウ化物粒子(6)以外に酸化ホウ素粒子が発生することが抑制される。酸化ホウ素粒子は吸湿性があるため、ホウ化物粉体中に酸化ホウ素粒子が混入すると、ホウ化物粉体の耐湿性が低下し、日射遮蔽特性の経時劣化が大きくなってしまう。そこで、m≦6.3として、酸化ホウ素粒子の発生を抑制することが好ましい。
以上のことから、Xの水酸化物および/または水和物(3)の粒子、または、Xの酸化物(5)の粒子と、BC(4)の粒子との混合(16)の際、X元素とB元素の原子数比が1:4〜1:6.3となるように均一混合物とすることが好ましいこととなる。
Xの水酸化物および/または水和物(3)の粒子、または、Xの酸化物(5)の粒子と、BC(4)の粒子との均一混合物を、熱処理(17)する際の雰囲気は、真空または不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。雰囲気を真空とするなら、真空度はホウ化物粒子の安定性の観点から高い方が好ましい。また、雰囲気を不活性ガスとするなら、ホウ素の窒化物の生成を回避する観点から窒素以外のガスを用いることが好ましい。
熱処理の温度は1600℃未満とすることが好ましい。1600℃未満であればホウ化物粒子(6)の粗大化を回避できるからである。また、焼成時間は、ホウ化物粒子(6)において、所望の平均粒子径等が得られるよう適宜選択すれば良い。
このようにして、一般式XB(但し、4≦m≦6.3とする。)で表される、例えば日射遮蔽に適したホウ化物粒子(6)が得られる。このホウ化物粒子(6)はその表面が酸化していないことが好ましいが、通常得られるものは僅かに酸化していることが多く、また粒子の分散工程で表面の酸化が起こることは、ある程度避けられない。また、ホウ化物粒子(6)は、結晶としての完全性が高いほど大きな日射遮蔽効果を発揮するが、結晶性が低くX線回折で極めてブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、粒子内部の基本的な結合が、ランタンを初めとするX元素とホウ素との結合から成り立っていれば、所望の日射遮蔽効果が発現される。
また、得られるホウ化物粒子(6)の平均粒子径D50(粒度積算分布曲線の中央値)は、用いられるアルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素、およびBCの原料粒子径にも依存するが、20〜25μm程度となる。したがって、さらに媒体攪拌ミルで粉砕し、分散液を作る必要がある。
ジェットミルを使用しないで、ホウ化物粒子(6)を媒体攪拌ミルで直接粉砕して分散液を作ると、粉砕時間が長時間となり、特に、分散粒子径100nm以下の、可視光透過性能が高い遮蔽体用の分散液を得るためには、粉砕時間が長くなることが問題となっていた。また、得られたホウ化物粒子(6)に、結晶成長して粒子が粗大化しているものが含まれていると、媒体攪拌ミルのフィルターの目詰まりが発生することもあり、安定して分散液を製造するためには、この課題を解決する必要があった。
そこで、次に、得られた一般式XBで表されるホウ化物粒子を、例えばジェットミルを用いて、ジェット気流中で粒子同士を相互に衝突させる。この場合、ジェットミル粉砕条件は特に限定されるものではない。
このように予備的にジェットミル粉砕(7)を行った後、更に媒体攪拌ミルで粉砕する(9)ことで、ホウ化物粒子の分散粒子径を800nm以下とすることができる。このようにすれば、ホウ化物粒子を、媒体攪拌ミルで更に粉砕して分散液を製造したときにも、粉砕時間は比較的短時間となる。特に、分散粒子径100nm以下で、かつヘイズ値が1.0%未満となり、可視光透過性能も高い遮蔽体用の分散液を得るための粉砕時間が、およそ20時間よりも長くなることはない。また、粗大化したホウ化物粒子が含まれることがなくなり、媒体攪拌ミル粉砕中のフィルターの目詰まりの恐れも解消する。
また、ジェットミル処理で得られるホウ化物の微粒子の粒度分布はシャープになり、粒度分布測定で得られる粒径の下限値は0.2μm以上、上限値は1.5μm以下のものが容易に得られる。これにより、さらに媒体攪拌ミルで粉砕した後の分散液を塗布して作製した日射遮蔽体では、日射遮蔽率が向上し、かつヘイズ値を1.0%未満に低減することが可能となる。
次に、ジェットミル粉砕により得られたホウ化物粒子(6)を溶媒(8)中に混合(18)したスラリーを、ビーズとともに媒体攪拌ミルに投入して、さらに粉砕し分散(19)して、日射遮蔽体形成用分散液(10)を作製する。
媒体攪拌ミルとは、球状のビーズと被粉砕物となる粉体のスラリーとを粉砕容器に投入し強制的に攪拌させ、主にビーズのせん断応力を利用して、スラリー中の粒子を粉砕し分散する方法である。
媒体攪拌ミルの攪拌機構は、ビーズのせん断応力がスラリーに効率よく伝達されれば良く、その機構、形状は特に限定されない。
ビーズ径は、目的とするスラリーの最終粒子径によって選択することが一般的であるが、好ましくは直径1mm以下である。1mm以下であれば、粒子を微細に砕く効率が高くなる。また、ビーズ径は小さいほど、粉砕スピードが速く、粉砕されるホウ化物の粒子径も小さくなる。特に800nm以下、さらには100nm以下の微細なホウ化物粒子になるまで粉砕し、分散する場合は直径0.3mm以下のビーズが好ましい。
ビーズ材質は、ホウ化物のように高い硬度を有した被粉砕物を含むスラリーに対しては、不純物の混入を防ぐために、ガラスビーズのように比重の軽いビーズよりも、スラリーと同質の材質のビーズを使用することが好ましい。また、一般に市販されているビーズでは、セラミックスビーズが好ましい。具体的には、ZrOビーズや、YSZビーズが挙げられる。これらのビーズは、比重が大きく粉砕効率が高い、摩耗が少ない、摩耗した成分も透明である、等の特徴を有しているので、粉砕物を光学的用途に使用する場合に好ましい。
また、粉砕し分散する過程で、再凝集等による分散阻害を防止するために、各種分散剤を使用することが好ましい。分散剤は、分子構造中にアルコキシド基を持つ化合物や、アミノ基を持つ化合物や、各種界面活性剤等が用いられる。これらは、粉砕され、分散されたホウ化物表面に吸着し、構造障害もしくは静電気的な反発力を利用して再凝集を防止するものである。
媒体攪拌ミルは、ホウ化物粒子を分散液中に均一に分散する方法であれば特に限定されず、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどが挙げられる。これらの器材を用いた分散処理条件によって、ホウ化物粒子の溶媒中への分散と同時にホウ化物粒子同士の衝突等による微粒子化も進行し、ホウ化物粒子をより微粒子化して分散させることができる(すなわち、粉砕・分散処理される)。
溶媒(8)は、特に限定されるものではなく、日射遮蔽体形成用分散液(10)の、塗布条件、塗布環境、および適宜添加される無機バインダーや樹脂バインダー等に合わせて選択すればよい。例えば、溶媒(8)として、水や、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、メチルエーテル,エチルエーテル,プロピルエーテルなどのエーテル類、エステル類、またはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケトン類といった各種の有機溶媒が使用可能であり、また必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整を行ってもよい。
さらに、日射遮蔽体形成用分散液(10)中におけるホウ化物粒子(6)の分散安定性を一層向上させるためには、各種の界面活性剤、カップリング剤などの添加も勿論可能である。
ところで、得られた日射遮蔽体形成用分散液(10)は、ホウ化物粒子(6)を溶媒(8)中に分散したときのホウ化物粒子(6)の分散状態を測定することで特定される。
ホウ化物粒子の分散粒子径は、使用目的によって決定することができるが、透明性を保持し光学用途に応用する場合は、800nm以下の粒子径であることが好ましい。800nmを超える粒子では、光を完全に遮蔽してしまうため、単調に透過率の減少した灰色系の膜や成形体(板、シートなど)になってしまい、可視光線領域の視認性を保持すること、同時に効率良く透明性を保持することが難しい。特に、可視光領域の透明性を重視する場合には、粒子による散乱を考慮する必要がある。透明性を重視したとき、分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。
ここで、分散粒子径とは、溶媒中のホウ化物粒子の凝集粒子径を意味するものであり、市販されている種々の粒度分布計で測定することができる。例えば、ホウ化物微粒子の凝集体も存在する状態でホウ化物微粒子が溶媒中に分散された分散液からサンプリングを行い、動的光散乱法を測定原理とした大塚電子株式会社社製ELS−800を用いて、分散粒子径を測定することができる。また、レーザーの光散乱を解析することにより分散粒子径を測定する装置などを用いることができる。
ホウ化物粒子の分散粒子径が800nmよりも大きいと、幾何学散乱もしくはミー散乱によって、400nm〜780nmの可視光線領域の光が散乱し、曇りガラスのようになって、鮮明な透明性を確保できない。特に、分散粒子径が200nm以下になると、上述の散乱がより低減され、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光が粒子径の6乗に反比例して減少するため、分散粒子径が小さくなることに伴って散乱が低減し、透明性が向上する。さらに、100nm以下になると散乱光は非常に少なくなりより透明性が増し好ましい。
このように、ホウ化物粒子の分散粒子径が800nm以下まで十分細かく、かつ、均一に分散した日射遮蔽体形成用分散液を適用することにより、優れた日射遮蔽体を得ることができる。
ホウ化物粒子(6)の分散粒子径が800nm以下で十分細かく、かつ均一に分散した日射遮蔽体では、光の透過率において、波長400〜700nmに極大値を、波長700〜1800nmに極小値をもつ日射遮蔽体が得られる。
日射遮蔽体における被膜透過率の極大値と極小値との比(P/B)は、この値が大きいほど日射遮蔽特性に優れる。これは、ホウ化物粒子の透過プロファイルが、波長400nm〜700nmに極大値を、波長700〜1800nmに極小値を持っており、可視光波長域が380nm〜780nmで、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すれば明らかである。すなわち、この透過特性から、可視光を有効に透過し、それ以外の熱線を有効に反射・吸収することが理解される。
尚、本実施形態のホウ化物粒子(6)もしくは、このホウ化物粒子(6)を溶媒(8)中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液(10)から形成される日射遮蔽体に、さらに紫外線遮蔽機能を付与させるため、無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどの粒子や、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなどの1種もしくは2種以上を添加してもよい。
また、日射遮蔽体の光の透過率を向上させるために、更に、ATO、ITO、アルミニウム添加酸化亜鉛などの粒子を混合してもよい。これらの透明粒子は、日射遮蔽体形成用分散液(10)への添加量を増すと、750nm付近の透過率が増加し近赤外線を遮蔽するため、可視光透過率が高く、かつ日射遮蔽特性がより高い日射遮蔽体が得られる。
また、逆に、ATO、ITO、アルミニウム添加酸化亜鉛などの粒子を分散した分散液に、本実施形態の日射遮蔽体形成用分散液(10)を添加すれば、例えば、上記LaB(ホウ化ランタン)の膜色は緑色のため、膜に着色することができると同時に、日射遮蔽効果を補助することもできる。この場合、主体となるATOやITOなどに対して、ほんの僅かの添加量で日射遮蔽効果を補助することができ、ATOやITOの必要量を大幅に減少でき、分散液のコストを低減できる。
上述のような本実施形態の日射遮蔽体形成用分散液(10)は、焼成時の熱による液体成分の分解あるいは化学反応を利用して、目的の日射遮蔽体を形成するものではないため、特性の安定した日射遮蔽体を形成することができる。
さらに、このような優れた日射遮蔽効果を発揮するホウ化物粒子(6)は、無機材料であるので有機材料と比べて耐候性に優れており、例えば太陽光線(紫外線)の当たる部位に使用しても、色や諸機能の劣化はほとんど生じない。
この結果、車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓、電話ボックス、ショーウィンド、照明用ランプ、透明ケースなど、単板ガラス、合わせガラス、プラスチックス、その他の日射遮蔽機能を必要とする透明基材などの広汎な分野に用いることができる。
以下、本発明について実施例を挙げ、さらに具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において得られる分散粒子径は、大塚電子(株)製のELS−800を用いて測定し、日射遮蔽体の可視光透過率並びに日射透過率は、日立製作所株式会社製の分光光度計U−4000を用いて測定した。また、ヘイズ値は村上色彩技術研究所株式会社製HR−200を用いて測定した。
膜評価においては、日射遮蔽体形成用分散液を50μm厚のPETフィルムに、線径の異なる2種(バーNo10、24)のバーコーターを使用して2種類の膜を成膜し、可視光透過率70%のときの日射透過率とヘイズ値を、前記膜の2点プロットから算出して求めた。
(実施例1)
10%La(NO)6HO水溶液500gに、室温で攪拌しながら、15%NHOH溶液を20分間かけて滴下して沈殿を生成させ、滴下後さらに10分間攪拌を継続して熟成した。
次に、純水を用い、デカンテーションにて生成した沈殿の洗浄を行い、上澄み液の電導度が1mS/cm以下になるまで、これを繰り返した。洗浄後の沈殿を105℃で乾燥し、大気中600℃で1時間焼成してLaを得た。
得られたLaと、平均粒子径が約22μmのB4C粒子とを、La元素とB元素との原子数比が1:6となるよう混合して均一混合物とした後、この均一混合物を真空雰囲気下(約0.02Pa)、1500℃で3時間焼成して、LaB6粒子を主として含む粉体を得た。LaBの平均粒子径D50は、表1に示すように1.0μmであった。次に、該LaB粒子を、ジェットミルを使用してガス圧0.6MPa/cm、使用空気量0.8m/分の条件で粉砕した。
得られたLaB微粒子2重量%、高分子系分散剤4重量%、トルエン94重量%の混合物と、直径0.3mmのZrO2ビーズとを、ペイントシェーカー(媒体撹拌ミル)に充填し、粉砕と分散処理を行ってLaB分散液Aを調製した。
表1、図2に、ペイントシェーカー処理時間に対する分散粒子径の変化を示す。前記粉砕と18時間の分散処理とにより調製された後の上記分散液A中では、LaBの分散粒子径は93.4nmであった。このLaB分散液Aに、さらにトルエンとUV硬化樹脂とを加え、LaB0.63重量%、UV硬化樹脂33.3重量%、高分子系分散剤1.0重量%、残部トルエンとして十分混合・攪拌し、日射遮蔽体形成用分散液を調製した。
そして、前述のように50μm厚のPETフィルム上に膜厚の異なる2種類の膜を成膜し、可視光透過率70%のときの日射透過率とヘイズ値を前記膜の2点プロットから算出して求めた。
その結果、表1に示すように、日射透過率は48.5%で、ヘイズ値は0.9%であった。
(実施例2、実施例3)
La(NO3)36H2Oの替わりに、Ce(NO3)36H2Oを用いた以外は実施例1と同様にして、ペイントシェーカー処理を行ってCeB分散液B(実施例2)を調製し、また、Nd(NO3)36H2Oを用いた以外は実施例1と同様にして、ペイントシェーカー処理を行ってNdB分散液C(実施例3)を調製した。なお、実施例2のCeBの平均粒子径D50は1.3μmで、実施例3のNdBの平均粒子径D50は1.5μmであった。
表1、図2に、ペイントシェーカー処理時間に対する分散粒子径の変化を示す。実施例2、3において、前記粉砕と18時間の分散処理とにより調製された後の分散液B中のCeBの分散粒子径と、分散液C中のNdBの分散粒子径とは、共に100nmであった。また、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液を調製後、膜厚の異なる2種類の膜を成膜し、可視光透過率70%のときの日射透過率とヘイズ値を前記膜の2点プロットから算出して求めた。
その結果、表1に示すように、実施例2の日射透過率は48.6%で、ヘイズ値は0.9%であり、実施例3の日射透過率は48.5%で、ヘイズ値は0.9%であった。
(比較例1)
実施例1において、ジェットミルによる粉砕を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ペイントシェーカー処理を行ってビーズミルによる循環処理を行い、LaB分散液E(比較例1)を調製した。なお、LaBの平均粒子径D50は、23.0μmであった。
表1、図2に、ペイントシェーカー処理時間に対する分散粒子径の変化を示す。前記粉砕と18時間の分散処理とにより調製された後の上記分散液E中では、LaBの分散粒子径は105nmであった。また、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液を調製後、膜厚の異なる2種類の膜を成膜し、可視光透過率70%のときの日射透過率とヘイズ値を前記膜の2点プロットから算出して求めた。
その結果、表1に示すように、日射透過率は49.5%で、ヘイズ値は1.1%であった。
(実施例4)
実施例1のペイントシェーカー処理の替わりに、以下のようなビーズミル(媒体撹拌ミル)処理を行った以外は実施例1と同様である。つまり、粉砕したLaB粒子13重量%、分散剤13重量%、トルエン74重量%を混合して攪拌し、2.4kgのスラリーを調製した。このスラリーを、直径0.3mmのZrO2ビーズを用いて、ローターの回転速度13m/秒の条件で10時間連続的にビーズミルによる循環処理を行って、LaB分散液D(実施例4)を調製した。
表2、図3に、ビーズミル処理時間に対する分散粒子径の変化を示す。前記粉砕と8時間の分散処理とにより調製された後の上記分散液D中では、LaBの分散粒子径は82.8nmであった。また、実施例1と同様にして日射遮蔽体形成用分散液を調製後、膜厚の異なる2種類の膜を成膜し、可視光透過率70%のときの日射透過率とヘイズ値を前記膜の2点プロットから算出して求めた。
その結果、表2に示すように、日射透過率は47.9%で、ヘイズ値は0.7%であった。
Figure 0004941637
Figure 0004941637
(分散粒子径の評価)
以上、各実施例および比較例のペイントシェーカー処理時間、ビーズミル処理時間に対する分散粒子径の変化を、前述の如く図2、図3に示した。
図2に示すように、ホウ化物粒子を例えば100nm以下の分散粒子径とするに要する時間は、実施例1〜3が18時間以内であるのに対して、比較例1では20時間を超える。また、18時間の分散処理後の分散液を用いて成膜したときのヘイズ゛値は、比較例1の方が大きいことから、比較例1には、実施例2、3に比べて粗大粒子が存在していると推察される。また、ビーズミル処理を行った実施例4では、図3に示すように、4.5時間で分散粒子径が100nmとなっている。このように、比較例1に比べ、実施例1〜4で得られるホウ化物粒子は、より短時間で微粒子化されることから、日射遮蔽体形成用分散液中のホウ化物粒子の分散粒子径を容易に小さくすることができ、生産効率を向上できることが判明した。
本発明に係るホウ化物粒子の製造工程を示すフロー図である。 本発明に係るペイントシェーカー処理時間に対するホウ化物粒子の分散粒子径の変化を示すグラフである。 本発明に係るビーズミル処理時間に対するホウ化物粒子の分散粒子径の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 Xの化合物溶液
2 アルカリ溶液
3 Xの水酸化物・水和物
4 B
5 Xの酸化物
6 ホウ化物
7 ジェットミル粉砕
8 溶媒
9 媒体攪拌ミル
10 日射遮蔽体形成用分散液
11 混合、継続的攪拌
12 沈殿生成
13 洗浄
14 乾燥
15 熱処理
16 混合
17 熱処理
18 混合
19 粉砕、分散

Claims (6)

  1. 一般式XB(但し、Xは、アルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれた1種以上の金属元素、4≦m≦6.3)で表されるホウ化物粒子の製造方法であって、
    Xを含む化合物の溶液と、アルカリ溶液とを、攪拌しながら反応させて沈殿物を得る工程と、
    前記沈殿物を乾燥して、平均粒子径が0.1μm以下のXの水酸化物粒子および/または水和物粒子を得る工程と、
    前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子を熱処理して、平均粒子径が20μm以下の前記Xの酸化物の粒子の凝集体を得る工程と、
    前記Xの酸化物の粒子の凝集体と、平均粒子径が22μm以上60μm以下のBCの粒子とを混合し、前記Xの酸化物の粒子と、BCの粒子との混合物を得る工程と、
    前記混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下において1600℃未満で熱処理して、一般式XBで表され平均粒子径D50が20μm以上25μm以下のホウ化物粒子を得る工程と、
    前記ホウ化物粒子をジェット気流中で相互に衝突させて粉砕して、粒径が0.2μm以上1.5μm以下のホウ化物の微粒子を得る工程と、
    を具備することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法。
  2. 一般式XB(但し、Xは、アルカリ土類元素、またはイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれた1種以上の金属元素、4≦m≦6.3)で表されるホウ化物粒子の製造方法であって、
    Xを含む化合物の溶液と、アルカリ溶液とを、攪拌しながら反応させて沈殿物を得る工程と、
    前記沈殿物を乾燥して、平均粒子径が0.1μm以下のXの水酸化物粒子および/または水和物粒子を得る工程と、
    前記Xの水酸化物および/または水和物粒子と、平均粒子径が22μm以上60μm以下のBCの粒子とを混合し、前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子と、BCの粒子との混合物を得る工程と、
    前記混合物を、真空または不活性ガス雰囲気下において1600℃未満で熱処理して、一般式XBで表され平均粒子径D50が20μm以上25μm以下のホウ化物粒子を得る工程と、
    前記ホウ化物粒子をジェット気流中で相互に衝突させて粉砕して、粒径が0.2μm以上1.5μm以下のホウ化物の微粒子を得る工程と、
    を具備することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
    前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、前記Xの酸化物の粒子と、BCの粒子と、を混合する際、両者の混合割合において、X元素:ホウ素の原子数比が1:4〜1:6.3となるように混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
    前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、前記Xの酸化物の粒子と、BCの粒子と、を混合する際、両者の混合割合において、X元素:ホウ素の原子数比が1:5.9〜1:6.1となるように混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のホウ化物粒子の製造方法であって、
    平均粒子径が0.1μm以下である前記Xの水酸化物粒子および/または水和物粒子、または、平均粒子径が20μm以下である前記Xの酸化物の粒子と、
    平均粒子径が60μm以下である前記BCの粒子と、を混合することを特徴とするホウ化物粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のホウ化物粒子の製造方法により製造されたことを特徴とするホウ化物粒子。
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