JP4937959B2 - 打ち抜き加工方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、開口が形成されたダイス上に金属板を載置して押え金具でこれを押さえ、ポンチにより押し下げて前記ダイスにおける開口内へ強制的に通過させることにより、金属板を打ち抜く打ち抜き加工方法及び装置に関する。
乗用車やトラック等の自動車部品に使用される高強度鋼板は、走行中における路面からの繰り返し荷重を受けるため、これに対処するべく鋼板の疲労強度の向上を図る必要がある。しかしながら、金属板を部品に加工する際に施される、プレス機による打ち抜き加工時において、打ち抜き穴部や打ち抜き端面に引張り残留応力が生じたり、凹凸や切欠きが残存し、これが疲労亀裂の発生源として作用し、自動車部品としての金属板の疲労強度が低下してしまう。打ち抜き穴部や打ち抜き端面の疲労強度は、通常の切削加工端面の疲労強度の70%程度まで劣化する場合もある。
図8(a)は、従来における打ち抜き用工具6の概略垂直断面を示している。この打ち抜き用工具6は、金属板66を打ち抜くためのポンチ61及びダイ64と、ダイ64上に載置された金属板66を押えるための押え金具(しわ押さえ)65とを備えている。ポンチ61の側面は打ち抜き方向と平行となるように調整されている。
このような構成からなる打ち抜き工具6において図8(b)に示すようにポンチ61を下降させて金属板66を打ち抜く。その結果、ダイ64と押え金具65との間で狭持されている金属板66における打ち抜き端面のA部拡大図(図8(c))に示すように、せん断面と破断面が形成されることになる。
せん断面は、ポンチ61を金属板66に押し込む際において、ポンチ61の側面による摺動によって形成される端面である。金属板66は、このポンチ61の押し込みより負荷されるせん断応力に基づいて順次切削されて、このせん断面が形成されていくことになる。ある程度の深さ以上までポンチ61を金属板66内に嵌入させると、金属板66が途中で破断し、最終破壊まで至り、破断面が形成される。
前記せん断面には引張り残留応力が生じ、また破断面には大きな凹凸や切欠きが残存し表面粗さが増大してしまう。これらが自動車部品の疲労強度低下の原因となる。
従来においては、金属板に対しプレス機による打ち抜き加工を施す際に、打ち抜き穴部の疲労強度を向上させることが可能な金属板の打ち抜き方法及び打ち抜き用工具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
図9は、かかる特許文献1に開示されている打ち抜き用工具7の概略垂直断面を示している。この打ち抜き用工具7は、金属板76を打ち抜くためのポンチ71及びダイ74と、ダイ74上に載置された金属板76を押えるための押え金具75とを備えている。ポンチ71は、その先端部に形成された、打ち抜き方向と平行な側面を有する切り刃72と、この切り刃72の上部にこれに続いて形成された上方に向けて拡大されたテーパー部73とを有する。
このような形状からなるポンチ71を、ダイ74上に載置された金属板76へ向けて下降させてこれを穴開け加工を施す。切り刃72によって金属板76に開削された穴は、テーパー部73により押し拡げられて塑性加工が施される。
このような押し拡げ加工を行うことにより、打ち抜き穴端面に生じた引張り残留応力を効果的に低減させることができ、装置に対する負荷を低減することも可能となる。
なお、この特許文献1においては、打ち抜き穴端面の引張り残留応力の低減効果の観点から、テーパー部73の角度を5〜60°の範囲内としていることが望ましい点が言及されている。
特開平11−333530号公報
しかしながら、特許文献1の開示技術では、あくまで金属板に対して打ち抜き穴のせん断面側コーナー部近傍を押し拡げる塑性加工を施した場合に、打ち抜き穴端面に生じた引張残留応力が解消し、また圧縮残留応力を発生させ、これにより打ち抜き穴部の疲労強度を向上させ得る点を見出したものである。しかしながら、この特許文献1の開示技術は、打ち抜き端面に形成された破断面の表面粗さについて何ら考慮したものではなく、疲労亀裂の発生源を抑制することができないという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、打ち抜き加工後の打ち抜き端面において凹凸や切欠きが形成されるのを防止することにより、疲労強度の向上を図ることが可能な打ち抜き加工方法及び装置を提供することにある。
請求項1に記載の打ち抜き加工方法は、上述した課題を解決するために、開口が形成されたダイス上に金属板を載置して押え金具でこれを押さえ、ポンチにより押し下げて前記ダイスにおける開口内へ強制的に通過させることにより、前記金属板を打ち抜く打ち抜き加工方法において、前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する切り刃と、前記切り刃の上部から連続して上方に向けて拡大されたテーパー部と、前記テーパー部の上部から連続して前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する摺動部とを有する前記ポンチを使用し、前記摺動部の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh1とし、さらに前記金属板の板厚をtとしたとき、下記(1)’式で定義される打ち抜きクリアランスが20%以下となるように予め調整を行い、打ち抜きクリアランス(%)=h1/t×100・・・・・・(1)’ 更に前記ポンチを前記ダイスにおける開口内に強制的に通過させる際には、前記切り刃による開削穴の打ち抜き端面を前記テーパー部を介して押し拡げ、更に前記摺動部によりこれを摺動させ、前記テーパー部の拡大幅をdとし、前記切り刃の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh2としたとき、下記(2)式で定義される相対拡大度合が5%以上35%以下となるように予め調整を行うこと 相対拡大度合(%)=d/h2×100・・・・・・・・(2)’を特徴とする。
請求項2に記載の打ち抜き加工装置は、上述した課題を解決するために、開口が形成されたダイス上に金属板を載置して押え金具でこれを押さえ、ポンチにより押し下げて前記ダイスにおける開口内へ強制的に通過させることにより、前記金属板を打ち抜く打ち抜き加工装置において、前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する切り刃と、前記切り刃の上部から連続して上方に向けて拡大されたテーパー部と、前記テーパー部の上部から連続して前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する摺動部とを有する前記ポンチを備え、前記摺動部の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh1とし、さらに前記金属板の板厚をtとしたとき、下記(1)式で定義される打ち抜きクリアランスが20%以下となるように予め調整されてなり、打ち抜きクリアランス(%)=h1/t×100・・・・・・(1)’ 更に前記ポンチを前記ダイスにおける開口内に強制的に通過させる際には、前記切り刃による開削穴の打ち抜き端面を前記テーパー部を介して押し拡げ、更に前記摺動部によりこれを摺動させ、前記テーパー部の拡大幅をdとし、前記摺動部の側面と前記切り刃の側面との間で形成される間隙をh2としたとき、下記(2)式で定義される相対拡大度合が5%以上35%以下であること 相対拡大度合(%)=d/h2×100・・・・・・・・(2)’を特徴とする。
上述した構成からなる本発明では、打ち抜き端面に押し拡げによる塑性加工を施すことでこれを加工硬化させるとともに破断面に形成されている大きな凹凸や切り欠きを削り取り、平滑な面に仕上げることが可能となる。このため、疲労亀裂の発生源を抑制することが可能となり、疲労強度を更に向上させることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、金属板の打ち抜き加工に使用される打ち抜き加工装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した打ち抜き加工装置1を示している。この打ち抜き加工装置1は、金属板16を打ち抜くためのポンチ11及びダイス14と、ダイス14上に載置された金属板16を押えるための押え金具15とを備えている。
ポンチ11は、図1中矢印で示される打ち抜き方向に向けて押し下げ可能となるように構成されている。このポンチ11は、先端部に形成された切り刃12と、この切り刃12の上部から連続して上方に向けて拡大されたテーパー部13と、テーパー部13の上部から連続して形成された摺動部18とを有する。
切り刃12は、打ち抜き方向と略平行な側面12aを有する。切り刃12は、ポンチ11を押し下げたときに最初に金属板16に接触し、またその後ポンチ11を打ち抜き方向へ向けて押し下げたときに金属板16内に最初に嵌入する。この嵌入時において切り刃12による金属板16の切削容易性を向上させるためには、切り刃12の底面12bと側面12aとが略垂直となるように形成されていることが望ましい。
テーパー部13は、打ち抜き方向に対して角度α°傾斜された傾斜面を有する。テーパー部13は、切り刃12により開削された金属板16の開削穴の打ち抜き端面を押し拡げる役割を担う。このテーパー部13における傾斜面13aの傾斜角度αは、図1の例において45°の場合を示しているが、これに限定されるものではなく、10°〜80°であることが好ましい。10°よりも小さいとテーパー部13が長くなりすぎてポンチストロークが過度に長くなり、80°よりも大きいとテーパー部13により再び剪断が発生し、本来の押し広げ加工ができなくなるからである。
摺動部18は、打ち抜き方向と略平行な側面18aを有する。この側面18aは切削後の金属板16における打ち抜き端面の表面粗さを低くするために平滑な表切り刃12における側面12aよりも外側に位置していることになる。摺動部18は、テーパー部13を介して押し拡げられた金属板16における打ち抜き端面に摺動させる役割を担う。
ダイス14は、中央に開口21が形成されており、また金属板16を水平に載置可能な上面が形成されている。この開口21には、上から押し下げられてきたポンチ11が挿入されてくることになる。
なお、開口21、並びにポンチ11の断面形状は、円形で構成されている場合を例にとり説明をしているが、これに限定されるものではなく、いかなる断面形状で構成されていてもよい。
なお、本発明を適用した打ち抜き加工装置1における各構成要素の形状は、以下に説明するように調整されている。
摺動部18の径をaとし、開口21の径をbとし、さらに打ち抜くべき金属板16の板厚をtとしたとき、下記(1)式で定義される打ち抜きクリアランス(以下、単にクリアランスという場合もある)が20%以下となるように予め調整されている。
打ち抜きクリアランス(%)=(b−a)/2/t×100・・・・・・(1)
この打ち抜きクリアランスとは、打ち抜くべき金属板16の厚さ当たりの開口21と摺動部18における側面18aとの間に形成される間隙である。
ちなみに、この打ち抜きクリアランスの式(1)では、あくまで摺動部18、開口21がそれぞれ断面円形状に構成されている場合を前提としている。かかる断面形状が円形以外の場合においてもこの式(1)と同様の技術的思想に基づいて考えることができる。
摺動部18、開口21がそれぞれ断面円形状以外の場合には、摺動部18の側面18aと開口21の側面21aとの間で形成される間隙をh1と定義した上で、上述した(1)式を以下の(1)’式に変形することができる。
打ち抜きクリアランス(%)=h1/t×100・・・・・・(1)’
摺動部18、開口21がそれぞれ断面円形状の場合には、このh1が(b−a)/2により表されることになるが、それ以外の断面形状の場合には、摺動部18の側面18aと開口21の側面21aとの間で形成される間隙h1と、金属板16の板厚tとの関係において上記(1)’式の打ち抜きクリアランス(%)を算出することになる。
(1)、(1)’式で定義される打ち抜きクリアランスの上限を2018%とした理由は、仮にクリアランスが20%を超えた場合には、打ち抜き時において、バリが発生してしまい、疲労寿命が低下してしまうためである。なお、このクリアランスは、3%以上が望ましい。その理由として、クリアランスが3%以下では、打ち抜き荷重が高くなり、ポンチ肩の磨耗が大きくなるためである。
また、テーパー部13の拡大幅をdとする。この拡大幅dは、テーパー部13における傾斜面13aの水平方向の投影幅に相当する。また、切り刃の径をcとしたとき、 下記(2)式で定義される相対拡大度合が5%以上35%以下となるように予め調整が行われていることが好ましい。
相対拡大度合(%)=d/((b−c)/2)×100・・・・・・・・・(2)
この相対拡大度合とは、開口21と、切り刃12の間隔に対するテーパー部13の拡大幅dの割合で示したものである。テーパー部13のどれくらい拡大されているかを、開口21と、切り刃12の間隔((b−c)/2)を100としたときのパーセントで示したものである。
ちなみに、この相対拡大度合の式(2)では、あくまで開口21と切り刃12がそれぞれ断面円形状に構成されている場合を前提としている。かかる断面形状が円形以外の場合においてもこの式(2)と同様の技術的思想に基づいて考えることができる。
開口21と切り刃12がそれぞれ断面円形状以外の場合には、開口21の側面21aと切り刃12の側面12aとの間で形成される間隙をh2と定義した上で、上述した(2)式を以下の(2)’式に変形することができる。
相対拡大度合(%)=d/h2×100・・・・・・・・(2)’
開口21と切り刃12がそれぞれ断面円形状の場合には、このh2が(b−c)/2により表されることになるが、それ以外の断面形状の場合には、開口21の側面21aと切り刃12の側面12aとの間で形成される間隙h2と、テーパー部13の拡大幅dとの関係において上記(2)式の打ち抜きクリアランス(%)を算出することになる。
(2)式で定義される相対拡大度合の上限を35%とした理由は、相対拡大度合が35%を超える場合に打ち抜き屑が発生してしまい、打ち抜き工程の後工程において金属板に疵を付け、被加工材の外観を損なう場合があるためである。ここで打ち抜き屑とは、切刃12による打ち抜きが終了した後に端面をテーパー部13で拡大する際に、端面中で突出した剪断面24bがテーパー部13で引き剥がされ、屑となって脱落したものである。
また、(2)式で定義される相対拡大度合の下限を5%とした理由は、相対拡大度合が5%未満の場合に破断面の凹凸や切欠きが十分に切削されない場合があるためである。
次に、本発明を適用した打ち抜き加工装置1の動作について説明をする。先ず図2(a)に示すように、打ち抜き加工すべき金属板16をダイス14上に載置し、押え金具15によりこれを動かないように固定する。なお、この皺押さえ15はこの金属板16を強く固定する場合に必要に応じて使用するようにしてもよい。
そして、図2(b)に示すようにポンチ11を打ち抜き方向へ押し下げ、先ず切り刃12の底面12bを金属板16表面に当接させる。この状態から図3(a)に示すように、更にポンチ11を打ち抜き方向へ押し下げ、切り刃12により金属板16がせん断される。この時にこのせん断により、金属板16がポンチ11とダイス14、押え金具15との間で変形し、これと同時にダレ17が形成される。
更にポンチ11を下降させると、金属板16がダイス14並びにポンチ11によりせん断され、せん断面24bが形成され、またせん断面24dが形成される。これらせん断面24b、24dは、切り刃12による嵌入が開始されてからしばらくの間は、このポンチ11を介して負荷されるせん断応力に基づいて切削されて、平滑なせん断面が形成される。また、ポンチ11とダイス14に挟まれた部分22に塑性加工(せん断変形)が加えられる。
更にポンチ11の押し下げを更に進行させると、図3(b)に示すように、ダイス14とポンチ11により挟まれた部分22について、特に切り刃12とダイス14の肩部近傍から亀裂23が発生する。更にポンチ11の押し下げを継続させると、図4(a)に示すように、この伝播してきた亀裂23が会合して、金属板16が途中で破断し、最終破壊まで至る。その結果、打ち抜き片27が落下し、更に打ち抜き端面24aには、表面粗さの大きい破断面が残存することになる。即ち、打ち抜き端面24aは、上側において平滑なせん断面24bが形成され、下側において凹凸の大きい破断面24cが形成されてなり、せん断面24bが破断面24cよりも内側に突出した形状となる。
次に図4(b)に示すように、更にポンチ11を打ち抜き方向へ押し下げると、打ち抜き端面24aは、テーパー部13により押し拡げられることになる。このテーパー部13による押し拡げは、主として内側に突出したせん断面24bに対して施されていくことになる。
その結果、この金属板16における開削穴に形成された打ち抜き端面24aには、かかるテーパー部13による押し拡げによる塑性加工が施される。これにより、開削穴における打ち抜き端面24aを加工硬化させることができ、これにより、疲労強度を増強させることが可能となる。
また、押し広げ加工により、内側に突出した剪断面24aの部分の材料がメタルフローにより破断面24bに移動し、破断面の凹凸や切り欠きが平滑化され、粗度の小さい面に仕上げることが可能となる。
打ち抜き後の打ち抜き端面24aは、図5に示すように、主としてポンチ11により材料が曲げ変形をうけることにより形成されるダレ17と、せん断面24bと、亀裂23の伝播により生成した破断面52とを有している。
また、図5に示されるように、打ち抜き端面の破断面側にバリとよばれる凸部80が発生する場合もある。これは、クリアランスが大きすぎる場合に、ダイ側での材料の亀裂23がダイの肩部より離れた位置から発生するために生ずる。
このようにして、ポンチ11をダイス14における開口21内へ強制的に通過させることにより、金属板16を、打ち抜くことが可能となる。
特に本発明では、テーパー部13による押し拡げによる塑性加工により、打ち抜き端面24aに形成された引張り残留応力を効果的に低減させるとともに、テーパー部13による押し拡げ加工後に、摺動部18により、打ち抜き端面24aを摺動させることができ、打ち抜き端面24aのほぼ全体(端面全体の80%以上)の面積をより平滑な面に仕上げることが可能となる。
このため、打ち抜き端面24aに凹凸や切欠きのある箇所が著しく低減することから、疲労亀裂の発生源を抑制することが可能となり、疲労強度を更に向上させることが可能となる。
また、本発明では、ポンチ11と押え金具15との間に適正な隙間が形成されていることから、ポンチ11と押え金具15との間で激しい磨耗が生じることも無くなり、工具の交換頻度も低くなり、製造コストが増加を抑えることが可能となる。
次にクリアランスと相対拡径度合の関係について、図6を用いて説明をする。図6は、横軸をクリアランス(%)、縦軸を相対拡径度合(%)としている。各プロットは、打ち抜き加工試験を行う上で、各クリアランス、各相対拡径度合を調整し、図7に示すような形状、サイズからなるからなる疲労試験片に対して、JIS Z 2273の金属材料の疲れ試験方法通則に基づいて疲労試験を行った結果を示している。ここで供試鋼は、板厚2.6mmのTS=801MPa、YP=590MPa、全伸び=30%の高強度熱延鋼板を用いている。各プロットについて示されている数字は何れも負荷応力350MPaにおける疲労寿命(万回)を示している。ここで、負荷応力とは、図7に示す疲労試験片の断面Xの材料表面における平均の応力である。
また、この打ち抜き加工試験においては、打ち抜き後のリング状の打ち抜き屑の発生の有無、バリの有無、打ち抜き端面24a全体の厚みに対する破断面24cの厚みの比率(破断面比率という。)を調査した。各プロットにおいて、“●”は、何れも打ち抜き屑やバリが発生していなかった。これに対して、“△”のプロットは、打ち抜き屑が発生したものであり、“□”のプロットは、バリが発生したものである。ここで、バリの発生は図5(に示す凸部80の金属板16底面を基準とした高さが0.2mm以上であることを条件としている。
その結果、打ち抜き屑が発生しているのは、相対拡径度合が35%超の領域であり、ラインα1超の領域にある。また疲労寿命が短かったのは、相対拡径度合が5%未満の領域であり、図7に示すようにラインα2未満の領域にある。更にバリが発生し、しかも疲労寿命が短いのは、クリアランスが20%超の領域にあり、ラインβ1よりも高クリアランス側である。
即ち、リング状屑が発生せず、しかも疲労寿命が長く、更にバリも発生しなかったのは、ラインα1以下であり、かつラインα2以上であり、かつラインβ1から低クリアランス側の斜線で示す領域にあることが分かる。
このため、打ち抜き加工装置1では、図6に示す太線領域内の試験条件が好ましい。具体的には、相対拡径度合が5%以上35%以下である必要があり、またクリアランスが20%以下とされている必要がある。
上述した構成からなる本発明を適用した打ち抜き加工装置1について効果を確認するために実施した打ち抜き加工試験について以下詳細に説明をする。
この打ち抜き加工試験において設定した各種条件について説明をする。この打ち抜き加工試験では、図1に示すポンチ11を用いてテーパー部13の拡大幅dを初めとして、摺動部18の径a、開口21の径b、切り刃の径cとし、さらに打ち抜くべき金属板16の板厚t、h1、h2をそれぞれ調整することにより、打ち抜きクリアランス(%)並びに相対拡径度合(%)に対する疲労特性の関係を調査した。供試鋼は、板厚2.6mmのTS=801MPa、YP=590MPa、全伸び=30%の高強度熱延鋼板を用いた。
表1に打ち抜き加工試験における各種試験条件一覧を示す。
Figure 0004937959
なお各試験条件において、摺動部18の径aは、何れも10mmとしている。また金属板16の板厚tは、2.6mmとしている。
打ち抜き加工試験においては、打ち抜き後のリング状の屑の発生の有無、バリの有無、打ち抜き端面24a全体の厚みに対する破断面24cの厚みの比率(破断面比率という。)を調査した。また、打ち抜き加工試験後の金属板16について、図6に示すような形状、サイズからなるからなる疲労試験片に加工する。この疲労試験では、孔41において治具を固定するとともに、試験片中央で幅が最小となっている位置に応力を負荷する。ちなみに、この疲労試験は、例えばJIS Z 2273の金属材料の疲れ試験方法通則に基づくものである。ちなみに、この疲労試験では、平面曲げ疲労試験でR=−1であり、室温下で350MPaの応力を負荷し、破断するまでの回数をカウントすることにより疲労寿命を調査した。ここで、負荷応力とは、図7に示す疲労試験片の断面Xの材料表面における平均の応力である。
表2に各試験条件A1〜D5におけるリング状屑の有無、バリ、疲労寿命(回)の結果を示す。
ここで、バリの発生は図5に示す凸部80の金属板16底面を基準とした高さが0.2mm以上であることを条件としている。
Figure 0004937959
発明例は条件2,5,6,7,13であり、いずれもバリやリング状屑は発生せず、疲労寿命も80万回以上と良好であった。
一方、条件4,9,10,11は、クリアランスが大き過ぎるためにバリが発生し、疲労寿命も短かった。条件1,3,8は、疲労寿命は長かったものの、相対拡大度合いが大き過ぎるためにリング状屑が発生していた。条件12は、テーパー部および摺動部のない通常のダイスを用いた場合であり、疲労寿命が短かった。
本発明を適用した打ち抜き加工装置の構成図である。 本発明を適用した打ち抜き加工装置の動作について説明するための図である。 本発明を適用した打ち抜き加工装置の動作について説明するための他の図である。 本発明を適用した打ち抜き加工装置の作用効果について説明するための図である。 本発明を適用した打ち抜き加工装置の作用効果について説明するための他の図である。 各種試験条件A1〜D5について、クリアランスと相対拡大度合の関係に加えて試験結果をプロットに反映させた図である。 疲労試験片の形状、サイズについて説明するための図である。 従来技術の問題点について説明するための図である。 特許文献1に開示されている打ち抜き用工具の概略垂直断面を示す図である。
符号の説明
1 打ち抜き加工装置
16 金属板
11 ポンチ
12 切り刃
13 テーパー部
14 ダイス
16 金属板
18 摺動部
21 開口

Claims (2)

  1. 開口が形成されたダイス上に金属板を載置して押え金具でこれを押さえ、ポンチにより押し下げて前記ダイスにおける開口内へ強制的に通過させることにより、前記金属板を打ち抜く打ち抜き加工方法において、
    前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する切り刃と、前記切り刃の上部から連続して上方に向けて拡大されたテーパー部と、前記テーパー部の上部から連続して前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する摺動部とを有する前記ポンチを使用し、
    前記摺動部の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh1とし、さらに前記金属板の板厚をtとしたとき、
    下記(1)’式で定義される打ち抜きクリアランスが20%以下となるように予め調整を行い、
    打ち抜きクリアランス(%)=h1/t×100・・・・・・(1)’
    更に前記ポンチを前記ダイスにおける開口内に強制的に通過させる際には、前記切り刃による開削穴の打ち抜き端面を前記テーパー部を介して押し拡げ、更に前記摺動部によりこれを摺動させ、
    前記テーパー部の拡大幅をdとし、前記切り刃の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh2としたとき、
    下記(2)式で定義される相対拡大度合が5%以上35%以下となるように予め調整を行うこと
    相対拡大度合(%)=d/h2×100・・・・・・・・(2)’
    を特徴とする打ち抜き加工方法。
  2. 開口が形成されたダイス上に金属板を載置して押え金具でこれを押さえ、ポンチにより押し下げて前記ダイスにおける開口内へ強制的に通過させることにより、前記金属板を打ち抜く打ち抜き加工装置において、
    前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する切り刃と、前記切り刃の上部から連続して上方に向けて拡大されたテーパー部と、前記テーパー部の上部から連続して前記打ち抜き方向と略平行な側面を有する摺動部とを有する前記ポンチを備え、
    前記摺動部の側面と前記開口の側面との間で形成される間隙をh1とし、さらに前記金属板の板厚をtとしたとき、下記(1)式で定義される打ち抜きクリアランスが20%以下となるように予め調整されてなり、
    打ち抜きクリアランス(%)=h1/t×100・・・・・・(1)’
    更に前記ポンチを前記ダイスにおける開口内に強制的に通過させる際には、前記切り刃による開削穴の打ち抜き端面を前記テーパー部を介して押し拡げ、更に前記摺動部によりこれを摺動させ、
    前記テーパー部の拡大幅をdとし、前記摺動部の側面と前記切り刃の側面との間で形成される間隙をh2としたとき、
    下記(2)式で定義される相対拡大度合が5%以上35%以下であること
    相対拡大度合(%)=d/h2×100・・・・・・・・(2)’
    を特徴とする打ち抜き加工装置。
JP2008101000A 2008-04-09 2008-04-09 打ち抜き加工方法及び装置 Active JP4937959B2 (ja)

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