JP7176549B2 - 金属板のせん断加工方法、プレス部品の製造方法、金属板、及び金属板のせん断金型 - Google Patents

金属板のせん断加工方法、プレス部品の製造方法、金属板、及び金属板のせん断金型 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形でプレス部品を製造する際における、金属板のせん断加工、及び、プレス部品の製造に関する技術である。
現在、自動車には軽量化による燃費向上と衝突安全性の向上が求められている。そして、車体の軽量化と衝突時の搭乗者保護を両立する目的で、自動車用部品、特に構造部品には、高強度鋼板が使用される傾向にある。特に近年では、高強度鋼板として、更に高強度の引張強度980MPa以上の超高強度鋼板が車体に適用される傾向にある。
超高強度鋼板の車体適用時における課題の一つに、プレス時の伸びフランジ割れとプレス部品製造後の遅れ破壊がある。特に、引張強度980MPa以上の鋼板では、せん断加工後の端面(以下せん断端面とも呼ぶ)から発生する遅れ破壊と伸びフランジ割れの対策が重要な課題となっている。
ここで、せん断端面には大きな引張応力が残留することが知られている。この引張応力の残留によって、せん断端面での伸びフランジ割れ、並びに、プレス後の製品(プレス部品)における経時的な遅れ破壊の発生が懸念されている。せん断端面のこれらの破壊を抑制するためには、せん断端面の引張り残留応力や加工硬化層を低減させる必要がある。
せん断工程端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減する簡易な方法としては、例えば、穴抜き加工時に段付き上刃を用い、張力を掛けた状態でせん断する方法(非特許文献1)、せん断工程を2度に分け2度目の切り代を小さくする方法(非特許文献2、特許文献1)がある。
ここで、後者の2度目の切り代を小さくする方法は、その切り代が十分小さい場合、シェービングや削りぬきと呼称される場合もあるが、本明細書では、切代の大きさに関わらず、これを「2度せん断加工」と呼称するものとする。
本明細書において、「2度せん断加工」とは、同一の端部に対し、1度目の切断を実施した後に、2度目の切断を実施する加工を指す。なお、2度せん断加工は、2度抜きとも呼ばれる。
高橋雄三ら:突起付きパンチを用いた張力下の打ち抜きによる高強度薄鋼板の打ち抜き穴広げ性の改善、塑性と加工、54-627(2013)、343-347 中川威雄、吉田清太: 削り抜き法 -せん断面の伸び変形能の向上策-、塑性と加工、10-104(1969)、665-671
特開2006-116590号公報
上記高強度鋼板のせん断端面より発生する伸びフランジ割れと遅れ破壊が懸念されている。
しかし、段付き上刃を用いる方法は、伸びフランジ割れや対遅れ破壊特性の改善効果が比較的小さいという問題があった。
また、「2度せん断加工」による方法は、格段の効果を得るためには多くの場合、2度目の切り代を小さくする必要があった。したがって「2度せん断加工」による方法を量産へ適用しようとすると、せん断加工をする際の金属板の置き位置に対し、2度目の切り代に合わせて数mmの位置精度が要求されるため、実施上の困難が生じるという問題があった。
更に、「2度せん断加工」で発生する抜き落とし側のスクラップは、抜き代と同じ、数mm程度の削りかすとなるため、切り落としたスクラップがせん断金型(切断装置)の間に挟まって、除去が困難になるおそれがあるという問題があった。このようなスクラップは、次工程に抜き残し側のブランクに付着した状態で持ち越され、プレス成形時に金型とブランクの双方を損傷する危険をもたらすおそれがある。
本発明は、上記のような点に着目したものであって、せん断端面での上記破壊を防ぐために、金属板のせん断端面の引張り残留応力並びに加工領域を低減するせん断加工方法である2度せん断加工に対し、量産適用の際に問題となる金属板のせん断加工時の位置精度と、2度せん断加工の抜き落とし側のスクラップの処理性を改善する方法を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、せん断端面の耐伸びフランジ割れ特性並びに耐遅れ破壊特性が良好である高強度鋼板等の金属板のせん断加工技術を提供することを目的とする。
課題解決のために、本発明の一態様は、金属板をせん断加工する方法であって、金属板の少なくとも一部の端部に対し2度せん断加工を施し、2度せん断加工における1度目の切断で、2度目のせん断加工の切り代が5mm以下である第1領域を形成し、2度せん断加工における2度目の切断は、上記第1領域の端部側の移動を拘束した状態で実行する、ことを要旨とする。
また、本発明の態様は、金属板を、1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品とする際に、上記金属板として、本発明の一態様に記載したせん断加工でせん断された金属板を使用することを要旨とする。
また、本発明の態様は、少なくとも一部の端部がせん断加工で切断された後に、プレス成形される金属板であって、上記切断される端部として、上記せん断加工の切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも上記せん断加工の切り代が大きな張出領域を有する、ことを要旨とする。
また、本発明の態様は、金属板を下刃と板押さえで拘束した状態で、当該金属板の端部を上刃で切断するせん断金型であって、切断する上記端部の端面側の移動を拘束する拘束具を有することを要旨とする。
本発明の態様によれば、少なくとも第1領域においては、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減することができる。この結果、本発明の態様によれば、例えば、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板等の金属板を適用する際に、耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性を向上することができる。
また、本発明の態様によれば、せん断加工時の金属板の位置精度を改善することができるため、量産への適用がより可能となる。このように、金属板の位置精度を改善することで、量産に適用する際に実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになる。
更に、本発明の態様によれば、切断時の金属板端部の安定性が向上することで、スクラップの形状がより安定し、スクラップ処理が容易となる。特に、張出領域を設けた場合には、切り代が相対的に大きい張出領域が含まれることで、スクラップが削りかすのようになることが抑えられ、そのスクラップ処理がより容易となる。
本発明に基づく実施形態に係る工程の例を示す図である。 2度せん断加工による、1度目の切断と、2度目の切断を説明する平面図である。 金属板の端部の切断を説明する模式的側面図である。 第1の拘束例を説明する平面図である。 第1の拘束例を説明する上刃を配置した状態の平面図である。 第1の拘束例を説明する側面図である。 第2の拘束例を説明する平面図である。 第2の拘束例を説明する側面図である。 第3の拘束例(変形例)を説明する平面図である。 第3の拘束例(変形例)を説明する側面図である。 実施1~4で使用するブランクを説明する図である。 実施例1でのブランク1を切断する際の配置を説明する平面図である。 実施例2でのブランク2を切断する際の配置を説明する平面図である。 実施例3でのブランク3を切断する際の配置を説明する平面図である。 実施例4でのブランク4を切断する際の配置を説明する平面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、せん断加工する金属板として、プレス部品にプレス成形するブランクとしての金属板を例に挙げて説明する。
本実施形態は、対象とする金属板が、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面での引張り残留応力や加工硬化によって、端部で伸びフランジ割れや遅れ破壊が起こる可能性のある高強度鋼板の場合に好適な技術である。本発明は、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板であれば好適に適用可能な技術であるが、伸びフランジ割れや遅れ破壊が特に懸念される980MPa以上を有する高強度鋼板により効果的であり、1180MPa以上を有する高強度鋼板に更により効果的な技術である。
本実施形態では、図1に示すように、プレス成形の前工程としてのトリム工程1と、プレス工程2とを有する。本実施形態で製造した金属板10は、せん断端面に引張り残留応力が発生するようなプレス成形用の金属板10として好適である。
トリム工程1では、金属板10を、プレス部品の部品形状に応じた輪郭形状に切断する。
この切断の際に、金属板10の全周における少なくとも1部の端部に対し、2度続けてせん断加工(2度せん断加工1A)を施す。
<2度せん断加工での1度目の切断>
2度せん断加工を施す端部については、図2のように、2度目の切断によって、目的の輪郭形状(図2中、符号12の位置)に切断するように設定し、1度目の切断では、図2の符号11のように、その目的の輪郭形状(符号12の位置)に対し、第1領域ARA-Aと第1領域ARA-Aに連続する張出領域ARA-Bとを有する輪郭形状に切断する。図2中、符号11の位置が、1度目の切断後の端部位置であり、符号12が2度目の切断後の端部位置である。また、符号11aが第1領域ARA-Aの端部位置を示し、符号11bが張出領域ARA-Bの端部位置を示す。
第1領域ARA-Aは、2度目のせん断加工の切り代ΔC1が5mm以下、好ましくは3mm以下となるように設定された領域である。すなわち、2度せん断加工の上記効果を奏する切り代ΔC1に設定された領域である。
ここで、切り代ΔC1を5mm以下としたのは、切り代ΔC1が大きすぎると、1度のせん断で材料を切断する場合と、金属板のせん断時の変形状態が同一になり、2度せん断加工による引張り残留応力や加工硬化層を低減させる効果が得られなくなるためである。一方、切り代ΔC1が5mm以下であれば、せん断時に材料に対して2度せん断加工特有の曲がりやシェービング様の変形が生じるため、2度せん断加工の効果が得られる(後述の実施例を参照)。
また、切り代ΔC1が小さいほど2度せん断加工の効果は大きいが、1度目のせん断で生じたせん断端面の凹凸形状よりも2度目の切り代は大きいことが好ましいため、2度目の切り代ΔC1は好ましくは0.1mm以上である。
張出領域ARA-Bは、第1領域ARA-Aよりも端部11bが張り出して、第1領域ARA-Aよりも2度目のせん断加工の切り代ΔC2が大きな値に設定された張出領域ARA-Bである。張出領域ARA-Bは、例えば、第1領域ARA-Aよりも、2度目のせん断加工の切り代が1mm以上大きな値の領域とする。すなわち、「ΔC2 ≧ ΔC1 +1」となっている。
張出領域ARA-Bを、第1領域ARA-Aよりも、2度目のせん断加工の切り代が1mm以上大きな値の領域とすることで、第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態で、2度目の切断を行った際に、第1領域ARA-Aと張出領域ARA-Bとからなるスクラップが連続した形状になりやすくなる。
この実施形態では、2度目のせん断加工の際に、2度目のせん断加工で用いる上刃23の位置よりも、張出領域ARA-Bの端部が外側に張り出すように、張出領域ARA-Bでの切り代ΔC2を設定する。例えば、張出領域ARA-Bでの切り代を、切断時のクリアランスと上刃23の幅との加算値よりも大きな値に設定することが好ましい。
<2度せん断加工での2度目の切断>
2度目の切断では、第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態で、1度目の切断で形成した、第1領域ARA-A及び張出領域ARA-Bを同時に切断する。
2度せん断加工で使用するせん断金型(切断装置)は、図3に示すように、金属板10を下刃21と板押さえ22で拘束した状態で、当該金属板10の端部を上刃23で切断するせん断金型である。本実施形態のせん断金型は、図4~10のように、切断する端部の端面側の移動を拘束する拘束具(ガイド部材30,棒体(治具31),開口23a)を有する。
端部の切断は、図3に示すように、下刃21と板押さえ22で金属板10の本体10A側(端部から離れた側)を拘束(固定)した状態で、下刃21に対して相対的に上刃23を金属板10の板厚方向(図3では下方)である切断方向に移動することで行われる。下刃21や上刃23は、例えばパンチやダイスからなる。
なお、2度切断する一連のせん断加工において、1度目の切断も2度目の切断も、同一の上刃23、下刃21及び板押さえ22を有するせん断金型(切断装置)を使用して実行しても構わない。
ただし、本実施形態では、2度目のせん断加工における切断については、1度目の切断と同様に金属板10の本体10A側を下刃21と板押さえ22で拘束すると共に、拘束具で張出領域ARA-Bも拘束することで第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態として、2度目の切断を実行する。
第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束する観点からは、図2のように、張出領域ARA-Bは、第1領域ARA-Aの端縁方向両側にそれぞれ連続するようにして形成されていることが好ましい。
張出領域ARA-Bを拘束する拘束の例について説明する。
<第1の拘束例>
第1の拘束の例は、図4~図6に示すように、張出領域ARA-Bの端部に拘束具を構成するガイド部材30(押圧部材)を当接し、ガイド部材30で、金属板10の本体10A側(切り代の切断位置側)に向けて押圧して、張出領域ARA-Bの移動を拘束する。図3の例では、ガイド部材30は、張出領域ARA-Bの端部の端面に当接すると共に、端部の側面側(切断方向に交差する方向の面側)の端面にも当接する。
この例では、図5及び図6に示すように、第1領域ARA-Aの端部11aは、切り代ΔC1が小さいために、平面視で上刃23の下側に隠れているが、張出領域ARA-Bの端部11bは、平面視で上刃23よりも外側に張り出した状態となっている。
<張出領域ARA-Bの第2の拘束例>
第2の拘束の例は、図7、図8に示すように、切断方向(図7では上面視(紙面方向))からみて、張出領域ARA-Bにおける、上刃23の配置位置よりも外方に張り出す部分に、ガイド用の貫通穴からなる開口10Bを形成しておく。開口10Bは、2度目の切断の前までに形成すればよいので、1度目の切断の前に形成してもよい。そして、2度目の切断の際に、その開口10Bに対し、その開口10Bに挿入可能な拘束具を構成する棒体(治具31)を挿入し、当該棒体の移動を拘束することで、張出領域ARA-Bを拘束する。棒体は、例えば、下刃21を固定するせん断金型の台などに固定する。
開口10Bと治具31の間の隙間は、治具31を挿入可能な範囲で、できるだけ小さい方が好ましい。挿入は締代となってもよい。
また、第2の拘束の構成として、開口10Bを有底孔として、その穴に棒体の端部を差し込む構成であってもよい。この場合、開口10Bの部分は、下側に張り出すような凹形状であってもよい。
なお、上記開口10Bを、上刃23の配置位置と重なる位置に設けても良い。この場合、開口10Bに挿入される治具31と干渉しない開口10Bを上刃23に設ける。
<プレス工程>
プレス工程では、本発明に基づく2度せん断加工を施した金属板10を、プレス金型を使用してプレス成形を行い、目的のプレス部品とする。プレス成形は、例えば、フォーム成形やドロー成形である。
ここで、上記説明では、金属板10の全周の一部に、本発明に基づく2度せん断加工を施す場合を例示した。しかし、本発明は、それに限定されない。例えば、金属板10の全周に、本発明に基づく2度せん断加工を施しても良い。
金属板10における一部の端部に対し本発明に基づく2度せん断加工を施す場合、例えば、プレス成形で引張り残留応力が所定以上発生する端部をCAE解析によって推定し、所定以上の引張り残留応力が発生すると推定される辺にのみ、本発明に基づく2度せん断加工を施すようにする。
また、本発明に基づく2度せん断加工を施す場合、金属板10の外周に対し、同時期に全部の端部に対し、2度せん断加工を施す必要はない。例えば、第1の辺に対して本発明に基づく2度せん断加工を施した後に、第2の辺に対して本発明に基づく2度せん断加工を別途、施しても良い。例えば、金属板10の離れた2辺に対し、個別に本発明に基づく2度せん断加工を実施してもよい。ただし、対となる第1領域ARA-Aと張出領域ARA-Bとは同時に切断する。
また、プレス部品の形状が複雑化するほど、多段階のプレス成形でプレス部品が製造される。この場合、本発明に基づく2度せん断加工を、必ずしも最初のプレス成形の前に実施する必要はない。例えば、本発明に基づく2度せん断加工を、最後のプレス方法を除く任意のプレス成形後に実施しても良い。また、本発明に基づく2度せん断加工における、1度目のせん断加工と2度目のせん断加工の間に、1又は2以上のプレス成形の工程を行っても良い。
なお、上記説明では、本発明に基づく2度せん断加工を施した金属板10をプレス成形して目的の製品にする場合を例示しているが、プレス成形を行わずに用いられる金属板10であっても、本発明のせん断加工方法は適用可能である。
また、本発明に基づく2度せん断加工の前に、他のせん断加工が施されていても良い。
(変形例)
ここで、上記説明の実施形態では、第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束するために張出領域ARA-Bを形成しているが、拘束の方法としては、これに限定されない。
次に、張出領域ARA-Bを設けない、第3の拘束例を説明する。
第3の拘束例では、図9に示すように、第1領域ARA-Aの端面に対して、直接、拘束具を構成するガイド部材30を当接して、第1領域ARA-Aの端部を拘束する。
但し、この場合、切断方向において、ガイド部材30が、2度目の切断に用いる上刃23と干渉する。
このため、この第3の拘束例(変形例)では、図10に示すように、2度目の切断で用いられる上刃23に対し、切断方向において、ガイド部材30が通過可能な開口23aを形成しておく。
ここで、第1領域ARA-Aの端部側の拘束の方法の例として、第1の拘束例、第2の拘束例、第3の拘束例を示した。第1領域ARA-Aの端部側の拘束として、これらの拘束の方法を、適宜、組み合わせて用いることも可能である。
(作用その他)
次に、本発明に基づく、実施形態の2度せん断加工の作用などついて説明する。
本実施形態によれば、金属板10のせん断加工時に、少なくとも第1領域ARA-Aに対し、適切な切り代で、2度目の切断を実行できる。この結果、少なくとも第1領域ARA-Aにおいて、せん断端面の引張り残留応力と加工硬化層が低減でき、せん断端面からの遅れ破壊の発生を抑制することができる。
また、2度目の切断の際に第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束することによって、切断する端部が安定した状態で切断が実行され、切断時におけるスクラップ側の移動が抑えられる。これによって、切断の際における金属板10の位置精度を改善する。なお、位置精度は、2mm以下となるように設定することが好ましい。
この結果、本実施形態を量産に適用する際に、実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになった。
以下、本実施形態における、2度目のせん断加工の切り代を適切な量に縮小しつつ、金属板10の位置精度を改善する機構について説明する。
図3のように、端部を切断する際には、切断する金属板10に対し、下刃21及び板押さえ22によって金属板10の本体10A側を拘束した状態で、上刃23を切断方向に移動して、端部を切断する。
図3のようにして、金属板10のせん断部に対し2度せん断加工を施す場合、2度せん断加工する端面付近は何にも接触しておらず、片持ち梁状となっている。
そのため、金属板10をせん断金型に設置した際、またせん断加工で板と金型とに荷重が負荷された際に、金属板10の端部が比較的に自由に動いてしまうため、2度せん断加工が有効となる2度目のせん断加工の切り代に比べ、金属板10の位置精度が大きくなってしまう。このような理由によって、特に、量産において、2度せん断加工の効果を安定して得ることができないおそれがある。
これに対し、本実施形態では、例えば図4に示すように、第1領域ARA-Aの連続する張出領域ARA-Bを設け、その張出領域ARA-Bを拘束することで第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態で、2度目の切断を実行する。
なお、張出領域ARA-Bの切り代ΔC2は、第1領域ARA-Aの切り代ΔC1よりも大きく設定すれば問題無いが、張出領域ARA-Bの切り代ΔC2が大きいほど、無駄なスクラップが発生するため、そのような観点から、張出領域ARA-Bの切り代ΔC2の上限を設定すれば良い。
このため、本実施形態では、金属板10は2度せん断加工される部分の近傍において、ガイド部材30等によって第1領域ARA-Aの位置決めが可能となるため、金属板10の端部の位置精度が大きく向上し、量産において2度せん断加工の効果を安定して得ることができる。
ここで、ガイド部材30の金属板10端面の押付は、せん断加工前に搬送機によるものでも良いし、ばね等を用いたものでもよい。
更に、本実施形態では、スクラップの形状が安定すると共に、2度目の切断後において、切り代が比較的大きい張出領域ARA-Bが含まれることで、スクラップが削りかすのようにならないため、その処理が容易となる。
また、図7のように、張出領域ARA-Bの拘束を、開口10B並びに治部を用いた場合、金属板10の端部の移動を切断方向にも拘束できる。このため、更に、切断時における金属板10端部の位置精度を向上することができる。
また、変形例(図9、図10)のように、せん断加工の切り代が5mm以下である第1領域ARA-Aの端部に対し、ガイド部材30を押し付けることで金属板10位置を固定する方法の場合、型の形状が複雑になるという問題点があるが、この方法でも、金属板10の端部の位置精度を改善した状態で2度せん断加工をすることが可能である。ただしこの場合、比較的大きい張出領域ARA-Bが含まれないため、スクラップが小さくなるが、スクラップの形状が安定するため比較的にスクラップの処理は容易となる。
本発明に基づく、本実施形態は、伸びフランジ割れや遅れ破壊が懸念される引張り強度は980MPa以上の金属板10に適用されると効果的である。対象とする金属板10は、プレス成形性の観点では板厚は0.8mm以上3.0mm以下であることが好ましい。これは板厚が0.8mm以下であるとプレス成形時に金属板10が容易に破断し、板厚が3.0mm以上であるとプレス成形時の成形荷重が大きくなり、非常に大きな設備能力が必要とされるためである。ここで第1領域ARA-Aを5mm以下、好ましくは3mm以下としたのは、2度せん断加工による効果が期待される抜き代として、実施例に示すように5mm以下程度が考えられるためである。張出領域ARA-Bを切り代が第1領域ARA-Aより1mm以上大きい領域としたのは、抜き代が1mm程度増えれば、スクラップ処理性が向上すると考えたためである。
(効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)本実施形態は、金属板10をせん断加工する方法であって、金属板10の少なくとも一部の端部に対し2度せん断加工を施し、2度せん断加工における1度目の切断で、2度目のせん断加工の切り代が5mm以下である第1領域ARA-Aを形成し、2度せん断加工における2度目の切断は、上記第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態で実行する。
本実施形態は、上記金属板10が、例えば、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板の場合に好適な技術である。
この構成によれば、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減することができる。このため、本実施形態の金属板10を使用することで、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板などの金属板を適用する際に耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性を向上することができる。更に、せん断加工時の金属板10の位置精度を改善することができるため、量産への適用が可能である。金属板10の位置精度を改善することで、量産に適用する際に実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになった。
(2)また、本実施形態は、金属板10をせん断加工する方法であって、金属板10の少なくとも一部の端部に対し2度せん断加工を施し、2度せん断加工における1度目の切断で、2度目のせん断加工の切り代が5mm以下である第1領域ARA-Aと、上記第1領域ARA-Aに連続し且つ上記第1領域ARA-Aよりも張り出すことで上記第1領域ARA-Aよりも2度目のせん断加工の切り代が大きな張出領域ARA-Bとを形成し、2度せん断加工における2度目の切断は、上記張出領域ARA-Bを拘束することで上記第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束した状態として実行する。
本実施形態は、上記金属板10が、例えば、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板の場合に好適な技術である。
この構成によれば、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減することができる。このため、この金属板10を使用することで、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板などの金属板を適用する際に耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性を向上することができる。更に、せん断加工時の金属板10の位置精度を改善することができるため、量産への適用が可能である。金属板10の位置精度を改善することで、量産に適用する際に実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになる。
更に、切り代が比較的大きい張出領域ARA-Bが含まれることで、スクラップが削りかすのようにならないため、スクラップの処理が容易となる。
(3)上記拘束は、例えば、上記張出領域ARA-Bの端部にガイド部材30を当接することで実行する。
この構成によれば、2度目の切断時において、確実に第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束することが可能となる。
(4)上記拘束は、例えば、上記張出領域ARA-Bに開口10Bを形成し、上記開口10Bに治具31を挿入することを実行する。
この構成によれば、せん断時の位置決めの方法として、例えば張出領域ARA-Bとして2度目のせん断加工の切り代が第1領域ARA-Aよりも大きな領域を設け、当該領域に開口10Bを設け、せん断加工前またはせん断加工中に当該開口10Bに治具31を挿入して金属板10の端部側を固定することで、2度目の切断の際に、切断方向への移動も拘束されて、より一層、位置精度を改善できる。
(5)本実施形態では、2度せん断加工における2度目の切断の際、上記第1領域ARA-Aの端面に当接して上記第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束するガイド部材30を当接することで、上記第1領域ARA-Aの端部側の移動を拘束し、上記2度目の切断で用いられる上刃23に対し、切断方向において、上記ガイド部材30が通過可能な開口10Bを形成する。
この構成によれば、スクラップ量を小さく抑えることができる。
(6)本実施形態は、金属板10を、1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品とする際に、上記金属板10として、上記のせん断加工でせん断された金属板10を使用することを特徴とするプレス部品の製造方法である。
例えば、このとき、例えば、上記2度せん断加工における1度目の切断と2度目の切断は、上記1又は2以上のプレス成形の最終のプレス成形の前までに個別に実施される構成であっても良い。
この構成によれば、格段の耐伸びフランジ割れ特性が向上した金属板10をブランクとして使用することで、プレス成形の自由度が向上すると共に、製造されたプレス部品の耐遅れ破壊特性も向上可能となる。
また、切断時における、金属板10の位置精度が向上すると共にスクラップ処理性も向上することで、プレス部品の量産への適用が容易となる。
(7)本実施形態の金属板は、少なくとも一部の端部がせん断加工で切断された後に、プレス成形される金属板であって、上記切断される端部として、上記せん断加工の切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも上記せん断加工の切り代が大きな張出領域を有する。
この構成によれば、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減することができる。このため、本実施形態の金属板10を使用することで、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板などの金属板を適用する際に耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性を向上することができる。更に、せん断加工時の金属板10の位置精度を改善することができるため、量産への適用が可能である。金属板10の位置精度を改善することで、量産に適用する際に実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになる。
(8)本実施形態は、金属板を下刃と板押さえで拘束した状態で、当該金属板の端部を上刃で切断するせん断金型であって、切断する上記端部の端面側の移動を拘束する拘束具を有する。
例えば、上記金属板は、上記切断される端部として、切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも切り代が大きな張出領域とを有し、上記拘束具は、上記張出領域を拘束する構成とする。
また、例えば、上記拘束具は、上記張出領域の端部に当接するガイド部材を有する構成とする。
また、例えば、上記拘束具は、上記張出領域を貫通する棒体を有する構成とする。
また、例えば、上記拘束具は、切断する上記端部の端面に当接するガイド部材と、上記上刃に形成され、切断方向において、上記ガイド部材が通過可能な開口と、を有する構成とする。
この構成によれば、せん断加工時に発生する鋼板のせん断端面の引張り残留応力と加工硬化層を低減することができる。このため、本実施形態の金属板10を使用することで、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品に高強度鋼板などの金属板を適用する際に耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性を向上することができる。更に、せん断加工時の金属板10の位置精度を改善することができるため、量産への適用が可能である。金属板10の位置精度を改善することで、量産に適用する際に実質的に適用が可能な2度目のせん断加工の切り代が縮小され、格段の耐伸びフランジ割れ特性並びに遅れ破壊特性の向上が得られるようになる。
次に、本実施形態に基づく実施例について説明する。
以下の説明では、板厚1.4mmの超高強度鋼板からなる2種類の鋼種A、Bを用いた供試材を用いて説明する。
(2度せん断加工の効果について)
最初に、2度せん断加工の効果についての実験結果を説明する。
先ず、せん断前の寸法が100mm×100mmの供試材を使用して、その供試材に対し、1度目の切断で100×50mmに切断した。次に、上記1度目の切断後、切り代を変更して2度目の切断を実施して、評価用のサンプルを取得した。サンプルは、表1のように、2度目の切断の切り代を変えて複数取得した。
ここで、1度目及び2度目の切断ともに、せん断加工時のクリアランスΔDは12.5%とした。クリアランスΔDは、使用する上刃23と下刃21の隙間dと金属板10の板厚tの比(d/t)の百分率である。
そして、取得した各サンプルについて、X線による切断後のせん断端面の残留応力の測定を実施した。更に、取得した各サンプルについて、引張強度の曲げ応力を負荷した状態でpHが3の塩酸に96時間浸漬し、各サンプルの割れの有無を確認した。X線による測定は、測定範囲を直径300μmとし、せん断加工後のせん断端面の板面、板厚両方向に対して中央の位置の応力を測定した。
表1に、上記評価における、供試材を構成する鋼種A、Bの引張強度、及び各サンプルの加工条件、並びに、各サンプルにおける、せん断端面の残留応力及び浸漬試験の割れ判定結果を示す。表1において、2度目の切り代が「-」となっているサンプルは、2度目の切断を実行していないサンプルである。
Figure 0007176549000001
表1から分かるように、2度の切断することにより、1度だけの切断に比べ、せん断端面の引張残留応力が低減していることが分かった。但し、2度目の切断の切り代が30mmの場合、引張残留応力の低減効果が小さいが、当該2度目の切断の切り代を5mm以下とすることで、引張残留応力の低減効果が大幅に向上することが分かった。
また、表1の浸漬試験の割れ判定結果から分かるように、2度目の切断の切り代を5mm以下とすることで、1度だけの切断に比べ、浸漬試験での割れもなく、耐遅れ破壊特性も向上することが分かった。
(第1領域ARA-Aの端部側を拘束しての切断について)
次に、第1領域ARA-Aでの2度目の切断の切り代を5mm以下に設定して、実施形態に示した方法で2度目の切断を実行することで、安定してせん断加工ができることを説明する。
上記の鋼種A、Bからなる供試材を用いて、図11(a)~(d)に示す寸法及び形状のサンプルである、ブランク1、2、3、4を作製した。ブランク3では、開口10Bとして穴部を形成している。ブランク1、2、3、4の作製は、1度だけ、又は複数度のせん断加工によって行い、そのせん断加工の切断時のクリアランスは12.5%とした。
ここで、ブランク1、2、3、4それぞれを用いた実施例を、順に実施例1、2、3、4と記載する。
実施例1では、ブランク1に対し、図12に示すように、下刃21、ガイド部材30、上刃23の位置関係を配置したせん断金型を用いた。実施例2では、ブランク2に対し、図13に示すように、下刃21、ガイド部材30、上刃23の位置関係を配置したせん断金型を用いた。実施例3では、ブランク3に対し、図14に示すように、下刃21、開口10B及び治具31(図14では挿入ガイド部と記載)、ガイド部材30、上刃23の位置関係を配置したせん断金型を用いた。実施例4では、ブランク4に対し、図15に示すように、下刃21、ガイド部材30、上刃23の位置関係を配置したせん断金型を用いた。
ここで、実施例1~4において、遅れ破壊の改善を目的とする端部部位を各ブランクの中心部に設定し、上刃23とブランクの位置関係によって示される切断の抜き代は3mmとした。これは、効果が得られると考えられる切断の抜き代が5mmであるのに対し、ブランク位置のばらつきを考慮して2mmの尤度をとったためである。
この際、量産によるブランクの設置を再現するため、実施例1ではブランク1の位置を通常の量産プレスの位置決めガイドの条件で設置した(図12)。実施例2では、ブランク2の張出領域ARA-Bとなる部分の端部をガイド部材30に押し付けた状態で設置した(図13)。実施例3では、治具31をブランク3の張出領域ARA-Bとなる位置に設けた開口10Bに貫通させた状態で設置した(図14)。実施例4では、ブランク4の第1領域ARA-Aに相当する部分の端部を4つのガイド部材30に押し付けた状態で設置した(図15)。
次に、各実施例において、せん断金型(切断装置)にブランクを設置した後の、ブランクの位置を計測し、それによる2度目の抜き代の変化量の最大値を、ブランク位置精度として定義し、計測した。
その後、各実施例において、ブランクの位置をそのままに、板押さえ22で本体10A側を拘束してせん断加工を行った。せん断加工時のクリアランスは12.5%とした。なお、板押さえ22による拘束力は、全ての実施例で同じになるように設定した。
各実施例での評価の結果を表2に示す。
Figure 0007176549000002
ここで、切断の際に、ブランクが大きくずれてしまい、上刃23の端面全体でせん断できない場合があり、その場合、抜き落とし側のサンプル(スクラップ)が複数に分割された。この場合を「2度せん断加工失敗」とし、「2度せん断加工失敗」の個数をn個として、「n個/5個」と記録した。
また、各実施例で切断して作製されたサンプルに対し、引張強度の曲げ応力を負荷した状態でpHが3の塩酸に96時間浸漬し、遅れ破壊特性の改善を確認するため、2度せん断加工による改善効果を狙ったサンプル中心部の割れの有無を確認した。2度せん断加工に成功したm個のサンプルの内、割れが見られた個数をn個として、浸漬試験後遅れ破壊の個数「n個 /m個」、割れと記録した。
また、切り落とし側のスクラップの形状を確認し、すべてのスクラップで幅5mm以上の領域が十分にある場合、スクラップ処理性が高いものと考えて、スクラップ処理性を「良」、そうでない場合を「不良」とした。ただし、不良のものの内、ブランクの位置精度の改善によりスクラップの形状が安定しているものについては可とした。
<実施例の検証>
表2は、鋼種A、Bにおける実施例1~4に対するブランク位置精度、2度せん断加工失敗の数、浸漬試験後遅れ破壊の個数、スクラップ処理性を示したものである。
実施例1においては、ブランクの端部側を拘束しておらず、片持ち梁状の状態で切断を実施したため、一部のブランク1では2度せん断加工に失敗し、残りのブランクでも一部は切代が5mmより大きくなったため、遅れ破壊が発生した。
一方、本発明に基づく実施例2、3、4においては、ブランクの端部側を拘束して切断を実施したため、ブランクの位置精度が改善した。すなわち、実施例2、3、4においてはブランクの位置精度改善により、すべてのブランクで2度せん断加工に成功し、遅れ破壊が抑制された。
また、スクラップの処理性は、実施例1では不良であったが、実施例2、3では良であった。実施例4においては、スクラップの大きさは小さいものの、スクラップの形状が安定したため、可とした。したがって実施例2、3、4においてはスクラップの処理性という観点からも、2度せん断加工による加工の量産性の改善に寄与することが分かった。
1 トリム工程
1A 2度せん断加工
2 プレス工程
10 金属板
10A 本体
10B 開口
21 下刃
22 板押さえ
23 上刃
23a 開口
30 ガイド部材
31 治具
ARA-A 第1領域
ARA-B 張出領域

Claims (13)

  1. 金属板をせん断加工する方法であって、
    金属板の少なくとも一部の端部に対し2度せん断加工を施し、
    2度せん断加工における1度目の切断で、2度目のせん断加工の切り代が5mm以下である第1領域を形成し、
    2度せん断加工における2度目の切断は、上記第1領域の端部側の移動を拘束した状態で実行する、
    ことを特徴とする金属板のせん断加工方法。
  2. 金属板をせん断加工する方法であって、
    金属板の少なくとも一部の端部に対し2度せん断加工を施し、
    2度せん断加工における1度目の切断で、2度目のせん断加工の切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも2度目のせん断加工の切り代が大きな張出領域とを形成し、
    2度せん断加工における2度目の切断は、上記張出領域を拘束することで上記第1領域の端部側の移動を拘束した状態として実行する、
    ことを特徴とする金属板のせん断加工方法。
  3. 上記張出領域の拘束は、上記張出領域の端部にガイド部材を当接することで実行することを特徴とする請求項2に記載した金属板のせん断加工方法。
  4. 上記張出領域の拘束は、上記張出領域に開口を形成し、上記開口に治具を挿入することを実行することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した金属板のせん断加工方法。
  5. 2度せん断加工における2度目の切断の際、上記第1領域の端面にガイド部材を当接して、上記第1領域の端部側の移動を拘束し、
    上記2度目の切断で用いられる上刃に対し、切断方向において、上記ガイド部材が通過可能な開口を形成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載した金属板のせん断加工方法。
  6. 上記金属板は、引張強度が980MPa以上であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した金属板のせん断加工方法。
  7. 金属板を、1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品とする際に、
    上記金属板として、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のせん断加工方法でせん断された金属板を使用することを特徴とするプレス部品の製造方法。
  8. 上記2度せん断加工における1度目の切断と2度目の切断は、上記1又は2以上のプレス成形の最終のプレス成形の前までに個別に実施されることを特徴とする請求項7に記載したプレス部品の製造方法。
  9. 少なくとも一部の端部がせん断加工で切断された後に、プレス成形される金属板であって、
    上記切断される端部として、上記せん断加工の切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも上記せん断加工の切り代が大きな張出領域を有し、
    上記張出領域は、上記第1領域に対し片持ち梁状に張り出して、上記第1領域と上記張出領域の間に段差が形成されている、ことを特徴とする金属板。
  10. 金属板を下刃と板押さえで拘束した状態で、当該金属板の端部を上刃で切断するせん断金型であって、
    切断する上記端部の端面側の移動を拘束する拘束具を有し、
    上記金属板は、上記切断される端部として、切り代が5mm以下である第1領域と、上記第1領域に連続し且つ上記第1領域よりも張り出すことで上記第1領域よりも切り代が大きな張出領域とを有し、
    上記拘束具は、上記張出領域を拘束することを特徴とする金属板のせん断金型。
  11. 上記拘束具は、上記張出領域の端部に当接するガイド部材を有することを特徴とする請求項10に記載した金属板のせん断金型。
  12. 上記拘束具は、上記張出領域を貫通する棒体を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載した金属板のせん断金型。
  13. 金属板を下刃と板押さえで拘束した状態で、当該金属板の端部を上刃で切断するせん断金型であって、
    切断する上記端部の端面側の移動を拘束する拘束具を有し、
    上記拘束具は、切断する上記端部の端面に当接するガイド部材と、上記上刃に形成され、切断方向において、上記ガイド部材が通過可能な開口と、を有することを特徴とする金属板のせん断金型。
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