JP4934908B2 - 電気泳動型カラー表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペーパーライクディスプレイなどに利用される電気泳動型カラー表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代ディスプレイとしてペーパーライクディスプレイが注目され研究が進められており、液晶方式或いは非液晶方式による各種の表示装置の提案がなされている。非液晶方式としては、例えば電気泳動の原理を利用した方式があり、例えば、特開2000−322004号公報、同2000−35598号公報、同2000−171839号公報、特開平10−149118号公報、米国特許第6017584号明細書などに記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した米国特許第第6017584号明細書に記載の電気泳動型カラー表示装置では、単一のマイクロカプセル中に複数の着色粒子を混合状態で配設し、この粒子を選択的に駆動することを提案しているが、選択的な駆動は原理的に非常な困難を伴う。
【0004】
上記した特開2000−322004号公報に記載の電気泳動型表示装置では、電気泳動媒体を青色、電気泳動粒子を黒色とする構成が示されているが、この構成を積層構造に適用してカラー表示装置としようとすると、各層の粒子と組み合わせた減法混色法による色再現ができないので、結局積層構造とすることはできず、Y(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)別の画素として横並び(並列的)に表現せざるを得ない。その結果、装置が複雑となり、また色再現にも制限がある。
【0005】
また、特開2000−35598号公報には、複数の色を表現するセル又はマイクロカプセルを横並び(並列的)に配設してカラー表示を行う装置が開示されているが、バックライトを用いない反射型表示装置としては十分なコントラストが得られない。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、減法混色法によるカラー表示が可能であり、色再現性に優れているだけでなく、高いコントラストが得られ、画像耐候性に優れた電気泳動型カラー表示装置を明らかにすることを課題とする。
【0007】
本発明に係る電気泳動型カラー表示装置は下記構成であることを特徴とする。
1.電気泳動媒体中に分散されている電気泳動粒子を1対の電極により駆動して表示を行う電気泳動表示装置において、それぞれ異なる色の電気泳動粒子を含む電気泳動部を縦方向に少なくとも2層以上有し、少なくとも2層の前記電気泳動部に含有される電気泳動粒子及び電気泳動媒体が光透過性を有することを特徴とする電気泳動型カラー表示装置。
【0008】
2.電気泳動部が、イエローの光透過性粒子を含有する電気泳動部、マゼンタの光透過性粒子を含有する電気泳動部、シアンの光透過性粒子を含有する電気泳動部を3層有する積層構造であることを特徴とする前記1に記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0009】
3.前記1又は2に記載の光透過性の電気泳動粒子及び電気泳動媒体を含む電気泳動部に加えて、不透明な黒色電気泳動粒子を含む電気泳動部を、少なくとも1層有することを特徴とする前記1又は2に記載の電気泳動カラー表示装置。
4.電気泳動粒子中に、下記一般式(1)で表される部分構造を有する色素と、下記一般式(2)又は(3)で表わされる画像安定化剤を少なくとも一種含有することを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0010】
【化4】
【0011】
〔式中のR1〜R7は水素原子または置換基を表す。〕
【0012】
【化5】
【0013】
R11〜R15:置換基又は水素原子
【0014】
【化6】
【0015】
R21:置換基又は水素原子
R22:置換基
【0016】
5.電気泳動粒子が、溶媒中に溶解された色素を壁材で覆いマイクロカプセル化された形状であることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0017】
6.一対の電極が第1電極と第2電極とから成り、電気泳動部において、電気泳動粒子が前記第1電極に引き寄せられる面積と前記第2電極に引き寄せられる面積の割合が、9:1〜6:4であることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0018】
7.電気泳動媒体及び電気泳動粒子の光屈折率が1.4〜1.6であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0019】
8.電気泳動媒体の誘電率が3.0F/m以上であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0020】
9.第1層の電気泳動部の上面が、光遮断部と光透過部とで構成された上面層で被覆されていることを特徴とする前記1〜8の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0021】
10.第1層の電気泳動部の上面が、光透過性を有する部材で構成された上面層で被覆されており、且つ第1層の電気泳動部における電気泳動粒子が、不透明な黒色電気泳動粒子であることを特徴とする前記1〜8の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の構成の特徴を更に詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1に示す態様を説明する。この態様は、第1電極11、第2電極12、泳動媒体13、各々が電気泳動粒子(帯電粒子)であるイエローの光透過性粒子14・マゼンタの光透過性粒子15・シアンの光透過性粒子16とで構成される電気泳動部10を3層構造(上段から第1層、第2層、第3層という)に配設すると共に、上面層20として光遮断部21、光透過部22を、下面層30として白色拡散板31を配設した構成である。イエローの光透過性粒子14・マゼンタの光透過性粒子15・シアンの光透過性粒子16は、夫々別々の第1電極11と第2電極12により電気泳動される。
【0024】
上記した縦3層構造の電気泳動部10と上面層20及び下面層30とにより1単位の電気泳動ユニット(以下、ユニットと略称する)が形成されている。このユニットは平面的な二次元方向に連続して配設され、各ユニット間は隔壁40により区画されている。
【0025】
尚、図面では下面層30として配設される白色拡散板31は、平面的な二次元方向に連続している広域の層として示されているが、各ユニット毎に独立している構成であってもよい。図で表現すると、隣接する隔壁40の間に白色拡散板31が位置することになる。尚、白色拡散板31は、支持体となる基板の上面に反射層及び/又は拡散層を塗布した態様、反射及び/又は拡散機能を有するフィルムなどを貼付した態様の外、白色拡散板31それ自体が支持体としての機能を持つ態様などを含む。
【0026】
尚また、図中の符号41は透明基板であって、隔壁40と共に個々の電気泳動部10を構成しており、例えば、ガラスやポリエチレンフタレート、ポリエーテルスルフォン(PES)などの透明性合成樹脂で形成されている。図中の符号42は、透明絶縁層であって、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機材料、或いは酸化シリコン、窒化シリコンなど無機材料を用いればよい。
【0027】
図1のBに示すように、左端のユニットでは、イエローの光透過性粒子14は、第1電極11に引き寄せられて、光透過部22の下方に展開している状態にあり、マゼンタの光透過性粒子15及びシアンの光透過性粒子16は、第2電極12に引き寄せられて、光遮断部21の下方に集積状態にある。この状態では、光透過部(開口)11から入射した光は、イエローの光透過性粒子14だけを透過し、白色拡散板31で反射・拡散された光は、光透過部22を通して可視光(黄)として目視することができる。同様にして、中間のユニットでは可視光(赤)を、右端のユニットでは可視光(青)を目視することができる。
【0028】
上記の説明で理解されるように、イエローの光透過性粒子14、マゼンタの光透過性粒子15及びシアンの光透過性粒子16が第2電極12に引き寄せられている状態では、光遮断部21に遮られて、カラー光は光透過部22を通じて目視されず、粒子が第1電極11に引き寄せられた状態の場合のみ目視される。
【0029】
ここで、ユニットの横断面積(W0)に対し、光透過性粒子14〜16が第1電極11に引き寄せられて平面的に展開している面積(W1)の割合が開口率(面積比)として問題となる。
【0030】
ユニットの横断面積(W0)は、光透過性粒子14〜16が第1電極11に引き寄せられて平面的に展開している面積(W1)に光透過性粒子14〜16が第2電極12に引き寄せられて集積している部分の面積(W2)を加えた面積ということができるから、開口率は、(W1)と(W2)の割合として表現することもできる。更に、図1に示す実施態様における(W2)の部分では、その面積に対応して光遮断部21が配設されているから、開口率は、光遮断部21と光透過部22との間の面積比として表現することもできる。
【0031】
ユニットの横断面積に対する光遮断部21の占める面積の比が大きくなれば、光透過部22の面積は狭くなり(開口率が低くなる)、光の量が少なくなる結果、白色拡散板31からの反射光の光量が減少し、色が暗くなり見にくくなる。
【0032】
開口率(%)=(W1/W0)×100で計算され、開口率は60%〜90%、好ましくは70%〜90%、より好ましくは75%〜85%である。
【0033】
開口率が60%未満であると、色が暗いだけでなく、光遮断部21の表面の色がユニットからの反射光に作用して色再現性が著しく低下するので好ましくない。
【0034】
一方、開口率が90%を越えると、各電気泳動部10の厚みを大きくする必要があるためコントラストが低下するので好ましくない。
【0035】
開口率を上記の値に設定するには、W1やW0の面積を設定するだけでは不十分である。即ち、電気泳動媒体13の中で泳動する電気泳動粒子の全量が、印荷された第1電極11又は第2電極12に引き寄せられることが必要である。第1電極11に引き寄せられ平面的に展開している光透過性粒子14〜16の量は、その透過光がディスプレイとして目視するのに必要にして十分な光量であるか否かを決定しているが、同時に、印荷された第2電極12に引き寄せられるときには、その全量が移動させられることが必要であり、光透過性粒子14〜16が第2電極12に引き寄せられて集積している部分の面積(W2)は、光透過性粒子14〜16の逃げ場の面積でもある。開口率の関係で、W1/W2は大きな値とする必要があるから、光透過性粒子14〜16の逃げ場は、電気泳動部10の厚みとして確保する必要がある。
【0036】
図2は、上記の関係を理解するために、電気泳動部10を二次元の断面図で示した。L1(μm)はユニットの一辺の長さであり、L2(μm)は光透過性粒子14〜16が第2電極12に引き寄せられて集積している部分の一辺の長さ、A(μm)は光透過性粒子14〜16の粒径である。L1/AによりL1部分に存在する1層分の光透過性粒子14〜16の個数が計算できる。或る開口率(%)でのL1・L2・Aが決められれば、光透過性粒子14〜16の個数と電気泳動部10の厚みM(μm)が計算できる。例えば、L2=100μm、A=1μm、開口率=0.8とすると、M=5μmとなる。
【0037】
但し、図2において、
開口率:x=L1/L0
L0/A=L0×(1−x)/A×M/A
A=M×(1−x)
【0038】
各ユニットにおいて、イエローの光透過性粒子14・マゼンタの光透過性粒子15・シアンの光透過性粒子16の全てが第2電極12に引き寄せられている場合には、白色光が光透過部(開口)から目視されることになり、逆に第1電極11に引き寄せられている場合には、黒色となる。
【0039】
ユニット内において、イエローの光透過性粒子14・マゼンタの光透過性粒子15・シアンの光透過性粒子16の透過光を組み合わせることにより白色・黄色・赤色・青色・黒色以外のフルカラーが目視される。
【0040】
また、第1電極11及び第2電極12の電界強度を調整することにより、第1電極11の側に展開する光透過性粒子14〜16の量を調整することができ、各種の色相及び色調を表わすことが可能である。
【0041】
以上は、縦3層のユニット内でカラーを表示する態様であるが、前述したようにユニットは二次元方向に平面的に連続しているので、隣接するユニットが表示する色との関係でカラーを表示する構成とすることもできる。この態様では、縦3層で構成される各ユニットは、黄色赤色青色のどれか一色を表示し、網点印刷の如く、隣接するユニットにより表示される単一色との関係においてカラーが合成されることになる。
【0042】
以上は、電気泳動部10を3層構造とする態様を説明したが、2層構造或いは4層以上の多層構造とすることができる。以下に説明する他の実施態様でも同様である。
【0043】
2層構造の例としては、例えば、第1層・第2層・第3層の何れか1つの層を省略することで、2色での減法混合法によるカラー表示が可能となる。その場合、1層分だけ光透過性粒子による光の吸収(減衰)が少なくなり、その分だけ強い可視光が得られる利点がある。
【0044】
4層構造の例としては、例えば、黒色の電気泳動粒子による電気泳動部10を第4層として配設すれば、イエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)の泳動粒子の混色による黒色によらなくとも黒色表示を行うことができる。
【0045】
以上説明した実施例における各要素の素材等に付いて説明する。
【0046】
第1電極11、第2電極12、電気泳動媒体13としては、公知のものを特別の制限なく利用することができる。第1電極11、第2電極12は、透明基板41に接するように形成されていてもいなくてもよい。また、これらの電極11、12は必要に応じて絶縁層や電極保護層やブラックマトリクスパターンを形成すると良い。
【0047】
また、上述した第1電極11と第2電極12との間の電位差の極性は、それぞれの区画(電気泳動部)において別個独立に変更できるように構成されている。その方法としては、第1電極11及び第2電極12の双方を各区画(電気泳動部)にドット状に形成して、それぞれの電極11,12毎に任意の極性の電圧を印加する方法や、一方の電極を基板のほぼ全体に亘って形成して共通電極にすると共に他方の電極を各区画毎にドット状に形成し、共通電極とした一方の電極を例えば接地等して基準電位に保持すると共に、他方の電極には任意の極性の電圧を印加する方法、を挙げることができる。ここで、印加電圧の大きさは、光透過性粒子(帯電粒子)の帯電量や電極間ピッチに応じて調整すれば良いが、通常は数十V程度が必要である。
【0048】
例えば、第1電極11としては、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)などの透明電極を用いるのが好ましく、第2電極12としては、アルミニウムやチタンなどの金属材料を用いればよいが、好ましくは黒色材料(例えば炭化チタンなど)である。電気泳動媒体13としては、光透過性粒子(帯電粒子)が良好に帯電し且つ低粘度の透明性液体を使用すればよく、例えばシリコンオイル・キシレン・トルエン・アイソパーなどの中、比重が光透過性粒子の比重と略同等であるものを採用することが好ましい。
【0049】
電気泳動媒体13は、誘電率≧3.0F/m、光屈折率=1.4〜1.6となるよう調整するのが好ましい。
本発明に係る表示装置は、電気泳動を利用している。電気泳動移動速度は下記式に示されるように電気泳動媒体の誘電率に影響する。
【0050】
【数1】
【0051】
誘電率が3.0F/mより小さいと、表示装置として充分な移動速度が得られない。
一方、複数の電気泳動部を縦方向に積層する場合、それぞれの電気泳動部に含まれる電気泳動媒体の屈折率が1.4〜1.6の範囲から外れると、入射した光の散乱が起こり、特に下層で表示した画像の反射濃度の損失を招いたり、鮮鋭度の低下を引き起こす。
【0052】
イエローの光透過性粒子14・マゼンタの光透過性粒子15・シアンの光透過性粒子16としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンなどの透明性ポリマー樹脂を主成分とし、これに各々イエロー、マゼンタ、シアンの分光吸収極大を有する色素を用いて染色ないし着色したものを用いればよい。尚、黒色電気泳動粒子としては、カーボンなどの着色剤を用いればよい。
【0053】
請求項4に示す本発明は、少なくとも1層の電気泳動部が電気泳動粒子中に、前記一般式(1)で表される部分構造を有する色素と、前記一般式(2)又は(3)で表わされる画像安定化剤を少なくとも一種含有することを特徴とする。
【0054】
一般式(1)で表される化合物はp−フェニレンジアミン及びその置換体から合成される色素化合物である。以下にその具体例を挙げるが本発明に使用できる化合物はこの限りではない。
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
以下に、本発明に用いられる一般式(2)で表される化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明に用いられる一般式(2)で表される化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0058】
【化9】
【0059】
【化10】
【0060】
【化11】
【0061】
以下に、本発明に用いられる一般式(3)で表される化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明に用いられる一般式(3)で表される化合物は、これらによって限定されるものではない。
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
光透過性粒子14〜16は、光屈折率=1.4〜1.6となるよう調整するのが好ましい。
光透過性着色粒子の光屈折率が1.4〜1.6の範囲から外れると、着色粒子表面で光の乱反射が起こり、反射濃度の損失や鮮鋭度の低下を引き起こすため好ましくない。
【0065】
上面層20の光遮断部21及び光透過部22を形成する素材として、公知のものを特別の制限なく利用することができる。例えば、光透過部22としては、ガラスやポリエチレンフタレート、ポリエーテルスルフォン(PES)などの透明性合成樹脂を用いればよい。
【0066】
光遮断部21と光透過部22とは別々の部材で形成することもできるし、単一部材で形成することもできる。後者の例として、例えば、光遮断部21と光透過部22を含む面積部分を透明素材で形成し、光遮断部21の面積部分を不透明材(例えば、カーボンなどの黒色着色剤)の塗布・貼付などにより遮蔽する態様が挙げられる。
【0067】
光遮断部21の表面は、粗面に形成するなどして無反射ないし反射抑制構造とすることが好ましい。
【0068】
白色拡散板31としては、公知のものを特別な制限なく用いることができ、例えば、酸化チタン練り込みポリエチレンフタレートベースなどの白い反射板であってもよいし、アルミナなどの白色微粒子を混入して散乱層として形成してもよい。前述したように、白色散乱板31は、単一の素材で形成する態様でなく、例えば、支持体となる基板の上に、反射層及び/又は散乱層を塗布により或いは貼付により積層する構成であってもよい。
【0069】
隔壁40を形成する素材としては、公知のものを特別の制限なく利用することができる。例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムなど、その他感光性樹脂が好ましく用いられる。
【0070】
次に、別の実施例を説明する。
図1及び図2に示した実施例は、隔壁40で囲繞された四角の空間に電気泳動部10を積層して1単位の電気泳動ユニットを形成し、このユニットを平面的な二次元方向に(格子状に)連接する構成であるが、別の実施例では、隔壁40を円筒形に形成し、この円筒内に電気泳動部10を積層して1単位の電気泳動ユニットを形成し、このユニットを平面的な二次元方向に連接する構成である。
【0071】
本発明においては、下記のような他の実施態様が採用されてもよい。
(1)上面層20の構成に付いて
図1、図2に示す実施例では、上面層20を光遮断部21と光透過部22とで構成しているが、上面層20の全面を光透過性とする構成も可能である。
【0072】
例えば、第1層として不透明な黒色泳動粒子による電気泳動部20を配設する態様とすれば、第2電極に引き寄せられている黒色粒子により、光遮断部21と同等の機能が得られる。このとき、光透過部22に相当する空間は黒色粒子が存在せず、光透過性を有する。
【0073】
(2)第2電極12に付いて
図1示す実施例では、第2電極12が隔壁40の一方の側に配置されており、泳動方向が1方向である。第2電極12が隔壁40の両面側に配設する構成を採用してもよい(図3のBを参照)。また、図3のAに示す如く、電気泳動部10の厚み方向に配設する構成(第2電極12は縦長になる)や、隔壁40自体の一部又は全部を第2電極12とする構成を採用してもよい(図示せず)。
【0074】
【発明の効果】
本発明に係る電気泳動型カラー表示装置によれば、それぞれイエローの光透過性粒子・マゼンタの光透過性粒子・シアンの光透過性粒子を電気泳動媒体中に分散させた構成の電気泳動部を積層状態に配設しているので、色再現性に優れた減法混色法によるカラー表示が可能であり、頭記した課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す概略平面図及び断面図
【図2】電気泳動部の概略拡大断面図
【図3】本発明の他の実施例の二例を示す概略平面図及び断面図
【符号の説明】
10−電気泳動部
11−第1電極
12−第2電極
13−電気泳動媒体
14−イエローの光透過性粒子
15−マゼンタの光透過性粒子
16−シアンの光透過性粒子
20−上面層
21−光遮断部
22―光透過部
30−下面層
31−白色拡散板
40−隔壁
41−透明基板
42−透明絶縁層
Claims (10)
- 電気泳動媒体中に分散されている電気泳動粒子を1対の電極により駆動して表示を行う電気泳動表示装置において、それぞれ異なる色の電気泳動粒子を含む電気泳動部を縦方向に少なくとも2層以上有し、少なくとも2層の前記電気泳動部に含有される電気泳動粒子及び電気泳動媒体が光透過性を有することを特徴とする電気泳動型カラー表示装置。
- 電気泳動部が、イエローの光透過性粒子を含有する電気泳動部、マゼンタの光透過性粒子を含有する電気泳動部、シアンの光透過性粒子を含有する電気泳動部を3層有する積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 請求項1又は2に記載の光透過性の電気泳動粒子及び電気泳動媒体を含む電気泳動部に加えて、不透明な黒色電気泳動粒子を含む電気泳動部を、少なくとも1層有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動カラー表示装置。
- 電気泳動粒子が、溶媒中に溶解された色素を壁材で覆いマイクロカプセル化された形状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 一対の電極が第1電極と第2電極とから成り、電気泳動部において、電気泳動粒子が前記第1電極に引き寄せられる面積と前記第2電極に引き寄せられる面積の割合が、9:1〜6:4であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 電気泳動媒体及び電気泳動粒子の光屈折率が1.4〜1.6であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 電気泳動媒体の誘電率が3.0F/m以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 第1層の電気泳動部の上面が、光遮断部と光透過部とで構成された上面層で被覆されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
- 第1層の電気泳動部の上面が、光透過性を有する部材で構成された上面層で被覆されており、且つ第1層の電気泳動部における電気泳動粒子が、不透明な黒色電気泳動粒子であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電気泳動型カラー表示装置。
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