JP4932125B2 - 新規プレニルプロテアーゼをコードする植物ポリヌクレオチド - Google Patents

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Description

【0001】
[発明の分野]
本発明は、植物プレニルプロテアーゼポリペプチドをコードする新規ポリヌクレオチド、その断片および相同体を提供する。また、上記ポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法も提供する。本発明はさらに、これらの新規植物ポリペプチドを、同定、予防、および/または様々な植物病害および/または障害に対する抵抗性(特に干ばつ抵抗性)の付与に、および/または種子貯蔵化合物、特に油、糖およびタンパク質の量を操作するのに適用する方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
干ばつは、植物の成長および生産性を最も制限する要因の1つである。ダイズ、トウモロコシ、イネ、およびワタのような作物における干ばつ続きによる収穫高および収量高の損失は、重大な経済的要因を表す。さらに、干ばつはまた、世界中の多くの国々で食物不足を招く。干ばつに対して耐性をもつ作物の開発は、これらの不都合な状況のいくつかを軽減する可能性を有する戦略である。
【0003】
干ばつに対して耐性を示す植物の新たな系統を開発するための伝統的な植物品種改良戦略は、比較的時間がかかり、かつ所望の商業的系統と交雑させるのに特異的な耐性系統が必要である。したがって、干ばつ耐性および遠い関係の植物種間での交雑での不適合性のための限定された生殖質資源は、従来の品種改良で遭遇する重大な問題を象徴する。対照的に、植物遺伝子形質転換および特定の発現パターンを施された有用な遺伝子の有用性により、トランスジェニックアプローチを用いて干ばつ耐性植物を生成することが可能である。
【0004】
植物は、それらの生活様式全体中で、環境の水含量が減少した状態にさらされる。たいていの植物は、これら乾燥条件に対してそれら自身を防御する戦略を進化させてきた。しかしながら、干ばつ状態の過酷さおよび期間がひどい場合、ほとんどの植物の植物発生、成長および収量高に対する影響が強い。
【0005】
干ばつストレス植物の生理学は、正常な条件下での植物成長と比較して劇的に変化している。変化およびそれらの原因の多くが特性化されていないままである。アブシジン酸(ABA)は、乾燥知覚と細胞変化との間のプロセスを媒介するのに中心的な役割を果たす。ABAは、細胞乾燥の開始時に直ちに増加する。この増加により気孔が閉鎖し、それにより蒸散による水の損失を減少させる。
【0006】
種子中の貯蔵脂質は、炭水化物由来の前駆物質から合成される。植物は、細胞質ゾル中の完全解糖経路を有し(Plaxton 1996, Ann. Rev. Plant Physiol Plant Mol. Biol. 47: 185-214)、完全経路がセイヨウアブラナの色素体中にも存在することが示されている(Kang & Rawsthorne 1994, Plant J.6: 795-805)。ショ糖は、炭素およびエネルギーの主要源であり、葉から発生中の種子へと輸送される。種子の貯蔵時期中に、ショ糖は細胞質ゾル中で変換されて、代謝性前駆物質グルコース−6−リン酸およびピルビン酸塩を供給する。これらは、色素体へ輸送され、脂肪酸合成のための主要前駆物質として作用するアセチルCoAへ変換される。脂質、細胞酸およびデンプンの代謝の酵素工程に関与する核酸が幾つかクローニングおよび同定されたが、依然として同定されるべきかかる植物核酸が多数存在する可能性が高い。幾つかの脂肪種子植物および他の突然変異植物の表現型分析により、植物脂質代謝に関与する他の推定タンパク質が明らかとなったが、これらのタンパク質のゲノム位置あるいはそれらをコードする核酸配列について、従来技術にはいまだ記載されていない。
【0007】
キナーゼおよびホスファターゼによるタンパク質リン酸化の調節は、細胞制御の普遍的機構として受け入れられており(Cohen 1992, Trends Biochem. Sci. 17:408-413)、Ca2+およびカルモジュリンシグナルは、Ca2+およびカルモジュリン依存性キナーゼならびにホスファターゼにより伝達されることが多い(Roberts & Harmon 1992, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 43:375-414)。タンパク質ホスファターゼ阻害剤であるオカダ酸は、ジベレリン酸(GA)およびアビシジン酸(ABA)経路の両方に影響を及ぼすことがわかっている(Kuo et al. 1996, Plant Cell. 8: 259-269)。GAおよびABAのシグナル伝達の分子機序はあまり理解されていないままであるが、2つの植物ホルモンが、種子発生の調節プロセス全体に関与していることが十分に確立されているようである(例えば、Ritchie & Gilroy 1998, Plant Physiol. 116: 765-776; Arenas-Huertero et al. 2000, Genes Dev. 14: 2985-2096)。同様に、植物ホルモンエチレン(例えば、Zhou et al. 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10294-10299; Beaudoin et al. 2000, Plant Cell 2000: 1103-1115)、およびオーキシン(例えば、Colon-Carmona et al. 2000, Plant Phyiol. 124: 1728-1738)は、同様に植物発生の制御に関与する。
【0008】
タンパク質へのC末端性15炭素鎖の付加、続くプロセシングであるタンパク質ファルネシル化は、乾燥シグナル伝達鎖(1)中のABAの媒介の役割に極めて重要であると同定されている。すなわち、タンパク質ファルネシル化は、ABA誘導性気孔閉鎖、したがって水の損失制御に必要とされる。
【0009】
タンパク質ファルネシル化は、図1に示されているような3工程酵素反応である。era1アラビドプシス突然変異体の干ばつ耐性表現型は、タンパク質ファルネシル化経路における第1の酵素である、酵素ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)のβサブユニットにおけるヌル突然変異に起因する。
【0010】
現在では、タンパク質ファルネシル化に関与した他の酵素、すなわちプレニルプロテアーゼ(PrPase)およびメチラーゼのクローンに相当する配列について、植物の文献中には記載されていない。したがって、乾燥条件(例えば、干ばつ)に耐性をもつ植物を生成する別の好機として、これらのタンパク質ファルネシル化酵素をコードする植物遺伝子を同定することが、当該技術分野では必要である。
【0011】
[発明の簡単な概要]
本発明は、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)、ダイズ(Glycine max)、およびトウモロコシ(Zea mays)由来の、完全に活性なプレニルペプチダーゼポリペプチドまたはそれらの断片のいずれかをコードする新規ポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
本発明はさらに、干ばつ耐性植物を操作するための一般的な方法を提供する。
上記方法は一般に、全植物に適用可能である。
【0013】
さらに、アラビドプシス(Arabidopsis)FTase遺伝子のプロモーターを提供する。このプロモーターは、孔辺細胞で最も強力に発現され、すなわち、それは、孔辺細胞特異的プロモーターである。
【0014】
本発明の別の態様は、酵母で大量のアラビドプシスPrPaseを産生するのに使用される酵母発現ベクターを提供する。
【0015】
さらに、本発明では、アラビドプシス、セイヨウアブラナ、ダイズ、およびトウモロコシ植物を形質転換するのに使用する形質転換ベクターについて記載する。
【0016】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのATCCによる寄託もまた、本発明に含まれる。
【0017】
さらに、本発明は、増大した植物防御、干ばつ耐性、塩耐性、紫外線(uv)耐性、増大した花形成、テルペン合成、および油、糖およびタンパク質のような種子貯蔵化合物の増加した形成を含むが、これらに限定されない所望の形質を有するトランスジェニック植物を創出するために、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを適用する方法を提供する。
【0018】
本発明は、アラビドプシスUSP遺伝子のプロモーターを提供する。このプロモーターは、種子発生段階中に最も強力に発現され、すなわち、それは、種子特異的プロモーターである。本発明は、本発明のポリペプチドに特異的な抗体を提供する。さらに、本発明は、機能的および形態学的の両方で、植物の表現型を調節するために、本発明の抗体を使用する方法を提供する。最後に、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの機能をより格別に精密化する方法を提供する。
【0019】
本発明は、5個の植物由来PrPaseの単離ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を提供することで、ある程度当該技術分野での必要性を満足させる。すなわち、本発明者等は、コケ(Physcomitrella patens)由来のPrPase配列、アラビドプシス・サリアナ由来の2つのPrPase配列、ダイズ(Glycine max)由来の1つのPrPase、およびトウモロコシ(Zea mays)由来の1つのPrPaseについて記載する。
【0020】
さらに、本発明は、アラビドプシス植物中のPrPase mRNA量の減少(すなわち、PrPase遺伝子発現の減少)が、非形質転換対照植物と比較した場合に、干ばつ耐性の増加と直接的に相関することを示唆する初めての結果を提供する。本発明は、PrPase発現の減少により生成された干ばつ耐性のセイヨウアブラナ、ダイズ、およびトウモロコシ植物品種を操作する方法について記載する。
【0021】
ヒトから下等植物に及ぶ真核生物中のPrPase活性の保存は、PrPase酵素が必須酵素であり、真核細胞すべてに存在することを強く示唆している。したがって、干ばつ耐性植物を操作する記載の方法は、一般に植物全体に提供可能であるはずである。
【0022】
アラビドプシスPrPaseに関するこれまでに記載されたORF(AF007269(GenBankアクセッション番号、遺伝子=”A_IG002NO1.21)、24979〜28076)は、コンピュータプログラム(Genefinder(P.Green and L.Hillier, www.ncbi.nlm.gov))により予測され、GenBankデータベースに登録された。それは、図13に示すようなこの遺伝子に関する実際のORFを反映していない。このことは、AtPrPase1〜2の両方が新規の遺伝子であることを明らかに示している。
【0023】
植物シャペロンのファルネシル化は、ストレス応答におけるこれらのタンパク質の生物学的機能と確実に関わりがあった。ファルネシル化経路の過剰発現は、熱、干ばつおよび塩ストレスに対する耐性を増加させた。さらに、タンパク質ファルネシル化はまた、細胞周期の制御の正の調節に関与している。タンパク質ファルネシル化の増加は、細胞増殖を増加させ、最終的には成長の増加と種子貯蔵化合物蓄積の増加を引き起こす。
【0024】
さらに、本発明は、植物PrPaseポリペプチドをコードする新規ポリヌクレオチド、その断片および相同体を提供する。また、上記ポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法も提供する。本発明はさらに、これらの新規植物ポリペプチドを、同定、防止、および/または様々な植物病害および/または障害に対する抵抗性の付与に、および/または種子貯蔵化合物量の増加に提供する方法に関する。
【0025】
[発明の詳細な説明]
本発明は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明、および本明細書中に含まれる実施例を参照して、より容易に理解され得る。
【0026】
本発明の一態様は、フィスコミトレラ・パテンス、アラビドプシス・サリアナ、ダイズ、およびトウモロコシ由来の酵素PrPaseの完全な活性ポリペプチドまたはその一部をコードする単離された核酸分子に関する。さらに、本発明は、上述のクローンに由来する核酸断片に関する。同様に、ハイブリダイゼーション実験で、プローブとして上述の核酸断片を用いて単離することができる上述の生物ならびに他の生物の核酸由来の他の核酸断片に関する。
【0027】
本発明は、干ばつ耐性植物を操作するために、および/または植物の種子中の貯蔵化合物の量を増加させるために、PrPase遺伝子活性を減少させることを用いる原理について記載する。この戦略は、アラビドプシス・サリアナ、セイヨウアブラナ、ダイズ、およびトウモロコシに関して本発明で実証してきたが、その適用は、これらの植物に制限されない。これを実現するための唯一の条件は、標的植物から相当するPrPase遺伝子を単離することである。他の植物から相当するPrPase遺伝子を単離するための上述のクローンの使用は、当業者によって理解される。
【0028】
PrPaseの減少は、以下の例(但しこれらに限定はされない):(a)アンチセンス遺伝子発現抑圧、(b)PrPaseの標的抗体、および(c)例えばジンクフィンガー由来の転写因子による標的操作プロモーター抑圧の1つにより達成することができる。
【0029】
本発明の別の態様では、アラビドプシスPrPaseのプロモーターについて記載する。このプロモーターは、孔辺細胞特異的であり、干ばつ耐性および植物のガス交換の調節のような形質を操作するのに使用することができる。
【0030】
本発明は、特に植物起源由来のこれまで未知のPrPaseクローンを用いて、作物植物における干ばつ耐性を操作するための新たな戦略を提供することで、従来技術に大いに貢献することができる。これは、形質転換した植物細胞、好ましくは孔辺細胞(但しこれに限定されない)中の上記遺伝子の発現を減少させることで達成される。
【0031】
さらに、細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991 Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリア(Atriplex nummularia)では、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらの酵素のより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物における熱、干ばつおよび塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/または非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途がある。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0032】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/または収量高の調節、より好ましくは植物および収量高の増加を含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0033】
上記ポリヌクレオチドは、分析、特性化および農学的用途のために組換えタンパク質を発現するために、本発明のポリペプチドに対する抗体を誘起するために組換えタンパク質を発現するために、相当するタンパク質が発現される(例えば優先的に、または非優先的に)組織用マーカーとして、サザンゲル上のハイブリダイゼーションマーカーとして、品種改良援助用の遺伝子マーカーとして、RFLPマーカーとして、遺伝子型同定(例えば、変種等)用のマーカーとして使用することができ、またコードタンパク質は、非常に最低限でも、分子量マーカーとして使用することができる。
【0034】
本発明のポリヌクレオチドはまた、染色体を同定するための染色体マーカーまたはタグとして(ラベルされた場合)、染色体内の関連遺伝子位置をマッピングするために、または対立遺伝子変異体および/または自発的突然変異もしくは生物的突然変異を同定するための突然変異植物の内因性DNA配列に対する比較参照として有用でもある。
【0035】
本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子フィンガープリンティングに、「遺伝子チップ」または他の支持体への結合用オリゴマーを選択および作製する(特定遺伝子に関する発現パターンの検査を含む)のに、イントロンおよび/またはエクソン境界を識別するために、スプライスおよび/または対立遺伝子変異体を同定するために、また発生段階、病害状態および/または栄養素レベルの同定のための診断ツールとして有用でもある。
【0036】
本発明は、ストリンジェントなまたは非ストリンジェントないずれかの条件下で、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。かかるハイブリダイゼーションは、本発明のポリヌクレオチドのオルソログ、相同体、対立遺伝子変異体、変異体、および/または突然変異体を同定するために使用してもよい。さらに、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチド配列に対するオリゴヌクレオチドを用いて、かつ植物細胞または組織試料にPCRを実施することにより、本発明のポリヌクレオチドのオルソログ、相同体、対立変異体、変異体、および/または突然変異体をクローニングするのに使用してもよい。
【0037】
本発明は、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドに結合する(例えば、受容体−リガンド相互作用で)タンパク質、核酸、または他の分子の同定を含む。本発明のポリヌクレオチドは、相互作用トラップアッセイ(例えば、Ozenberger and Young (Mol Endocrinol., 9(10):1321-9, (1995)、およびAnn N Y Acad Sci., 7;766:279-81, (1995))に記載されるような)で使用することもできる。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの潜在的な用途は、栄養補給(例えば、アミノ酸サプリメントとして)、炭素源として、窒素源として、炭水化物源として)、植物防御活性の調節、シグナル伝達の調節、代謝産物輸送(例えば、炭素、窒素流量等)の調節、抗生物質ストレス耐性および/または抵抗性(水、干ばつ、寒冷、塩等)の付与、生体異物ストレス耐性および/または抵抗性の付与、および発生制御(例えば、収量高、開花期等)を含む。
【0039】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、本発明のポリヌクレオチドに相当する完全長cDNAおよび/またはゲノムDNAの同定および単離用プローブとして、新規関連DNA配列をハイブリダイズおよび発見するためのプローブとして、この配列または関連配列のポジショナルクローニング用プローブとして、他の新規ポリヌクレオチドを発見するプロセス中の既知の遺伝子を「サブトラクトアウト(subtract out)」するためのプローブとして、遺伝子発現を定量化するためのプローブとして、およびマイクロアレイ用プローブとして有用である。
【0040】
さらに、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、またはそれ以上の膜ドメインを含み得る。
【0041】
また、好ましい実施形態では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生物学的機能をさらに精密化する方法を提供する。
【0042】
具体的には、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを用いて、本発明のオルソログ、相同体、変異体、および/または対立遺伝子変異体を同定する方法を提供する。また、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを用いて、本発明の全コード領域、本発明の非コード領域、本発明の調節配列、および本発明の分泌形態、成熟形態、プロ形態、プレプロ形態を同定する方法を提供する。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに固有のグルコシル化部位の同定、ならびにタンパク質フォールディングの増強、タンパク質凝集の阻害、細胞小器官への細胞内輸送の調節、タンパク質分解性に対する抵抗性の増加、タンパク質抗原性の調節、および細胞間接着の媒介を含むが、これらに限定されない多数の所望の特性のための上記部位の続く改変、欠失および/または付加の方法を提供する。
【0044】
さらに好ましい実施形態では、所望の構造特性、機能特性、および/または物理特性を有する新規変異体を創出および同定する試みで分子進化を用いて、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを進化する方法を提供する。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、機能の帰属を引き出すのに現在利用可能な他の実験方法および手順を提供する。これらの手順としては、アレイ上でのクローンのスポッティング、マイクロアレイ技術、PCRベースの方法、およびプライマーあるいはハイブリッドパートナーを構築するための本発明者等のクローンからの配列情報を使用することができる他の手順が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用する場合、「環境ストレス」という用語は、任意の最適下限の成長条件を指し、塩度、干ばつ、温度、金属、化学物質、病原性ストレスおよび酸化的ストレスに関する最適下限の条件、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、環境ストレスは、塩度、干ばつ、あるいは温度であるか、またはそれらの組合せ、特に高塩度、低水分含量または温度、あるいはそれの組合せであり得る。明細書中および特許請求の範囲で使用する場合、「単数の記載(a, an)」は、それが使用される状況に応じて、1つまたは複数を意味し得ることも理解されよう。したがって、例えば、「細胞(単数)」に対する言及は、少なくとも1つの細胞が利用され得ることを意味することができる。
【0047】
また本明細書中で使用する場合、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、直鎖状もしくは分岐状の一本鎖または二本鎖のRNAあるいはDNA、またはそれらのハイブリッドを指す。この用語はまた、RNA/DNAハイブリッドも含む。これらの用語はまた、遺伝子のコード領域の3’および5’末端の両方に位置する非翻訳配列、すなわち遺伝子のコード領域の5’末端から上流の配列の少なくとも約1000個のヌクレオチド、および遺伝子のコード領域の3’末端から下流の配列の少なくとも約200個のヌクレオチドを含む。イノシン、5−メチルシトシン、6−メチルアデニン、ヒポキサンチン等のようなあまり一般的でない塩基も、アンチセンス、dsRNAおよびリボザイムの対形成に使用することができる。例えば、ウリジンおよびシチジンのC−5プロピン類縁体を含有するポリヌクレオチドは、高親和性でRNAと結合し、遺伝子発現の強力なアンチセンス阻害剤であることがわかっている。ホスホジエステルバックボーン、またはRNAのリボース糖基中の2’−ヒドロキシへの修飾のような他の修飾も行うことができる。アンチセンスポリヌクレオチドおよびリボザイムは、完全にリボヌクレオチドから構成され得るか、あるいは混合リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含有することができる。本発明のポリヌクレオチドは、ゲノム調製、cDNA調製、in vitro合成、RT−PCRおよびin vitroまたはin vivo転写を含む任意の手段により生産してもよい。
【0048】
「単離」核酸分子は、核酸の自然源に存在する他の核酸分子(すなわち、他のポリペプチドをコードする配列)から実質的に分離されているものである。好ましくは、「単離」核酸は、その自然に存在するレプリコン中の核酸に自然に隣接する配列(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)のいくつかを含まない。例えば、クローニングされた核酸は、単離されているとみなされる。様々な実施形態では、単離PPSRP核酸分子は、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満の、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然に隣接するヌクレオチド配列を含有することができる。核酸はまた、ヒトの介入によりすでに変更された場合、またはその自然部位ではない遺伝子座もしくは位置に位置する場合、あるいは農業的感染(agroinfection)により細胞に導入される場合にも、単離されているとみなされる。さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、それが自然に関連する他の細胞物質、または組換え技法により産生される場合の培地、あるいは化学的に合成する場合に化学物質前駆体または他の化学物質の幾つかを含み得ない。
【0049】
具体的には、in vitro核酸調製物として、またはトランスフェクト/形質転換宿主細胞調節物(ここで、宿主細胞は、in vitro異種調節物であるか、または単一コロニーの異種集団として平板培養される)として存在する、自然に存在する染色体(染色体拡散(spread)のような)、人工染色体ライブラリー、ゲノムライブラリー、およびcDNAライブラリーは、「単離された核酸」の定義から排除される。また具体的には、特定の核酸が、ベクター分子中の核酸挿入物数の5%未満を構成する上述のライブラリーは排除される。さらに具体的には、全細胞ゲノムDNAまたは全細胞RNA調節物(機械的にせん断したか、あるいは酵素的に消化した全細胞調製物を含む)は排除される。さらにいっそう具体的には、in vitro調製物として、または電気泳動で分離される異種混合物(ここで、本発明の核酸は、電気泳動媒質中で異種核酸からさらに分離されなかった(例えば、アガロースゲルまたはナイロンブロット中の異種バンド集団からの単一バンドを切除することでさらに分離すること))として見出される全細胞抽出物は排除される。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド
遺伝子番号1によりコードされるポリペプチドの特徴
配列番号1(図2)に従うポリヌクレオチド配列によりコードされ、および/または寄託クローンPpPrPase1内に含まれるポリヌクレオチドによりコードされる配列番号2(図3)として提供されるこの遺伝子のポリペプチドは、ヒトおよび酵母プレニルペプチダーゼの両方に対してヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの有意な相同性を有する(図12A〜Dを参照)。相同性に基づいて、本発明のポリペプチドは、プレニルペプチダーゼとともに少なくとも幾つかの生物学活性を共有し得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、植物に対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与することを含むが、これらに限定されない用途がある。このポリヌクレオチドにはまた、完全長PpPrPase1を同定することを含む用途がある。さらに、本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストは、殺真菌用途で有用であり得る。
【0051】
細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991 Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリア(Atriplex nummularia)では、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらの酵素のより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途がある。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0052】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/または収量高の調節、それを通して好ましくは植物成長および収量高の増加を含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のPpPrPase1ポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0053】
コードポリペプチドは、プレニルプロテアーゼとともに少なくとも幾つかの生物活性を共有し得ると考えられるが、このクローンの正確な生物学的機能を決定する多数の方法が、当該技術分野で既知であるか、または本明細書中の他の箇所に記載されている。簡潔に述べると、このクローンの機能は、マイクロアレイ方法論を適用することで決定し得る。本発明の他のクローンに加えてPpPrPaase1クローンを、発現プロファイリング用のマイクロチップ上に配列し得る。どのポリヌクレオチドプローブがスライドにハイブリダイズするのに使用されるかに応じて、特定遺伝子の発現の変化は、研究される条件に基づいて、この遺伝子の機能に対するさらなる洞察を提供し得る。例えば、使用するポリヌクレオチドプローブが、冷却処理した組織に由来する場合の発現レベルで観察される増加または減少は、例えば、寒冷耐性を調節する際の機能を示し得る。PpPrPase1の場合では、水を与えない組織、あるいは他の生物的または非生物的ストレス(熱、干ばつ、高光量、高塩等)によりストレスを加えた組織は、プローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用されるはずである。
【0054】
さらに、タンパク質の機能は、例えば、定量的PCR方法論を適用することで評価してもよい。リアルタイム定量的PCRは、例えば植物発生周期全体にわたって特定の遺伝子の発現を追跡する能力を提供する。定量的PCR方法論は、ほんのわずかな量の、各発生上重要な段階(3日発芽苗木、1週齢苗木[根、新芽、および茎]、開花開始前の根、葉および茎、花[種々の部分]、および/または発生中の胚)からの組織が、かかる実験を実施するのに必要なだけである。したがって、このポリペプチドの生物学的機能を精密化するための定量的PCR方法論の適用は、本発明に包含される。また、配列番号1(図2)として提供されるポリヌクレオチド配列に相当する定量的PCRプローブも本発明に包含される。
【0055】
タンパク質の機能はまた、酵母中の相補性アッセイにより評価してもよい。例えば、PpPrPase1クローンの場合では、プレニルプロテアーゼ活性を欠損した酵母を形質転換し、それの成長する能力を評価することは、PpPrPase1クローンが、プレニルプロテアーゼ活性を有するという説得力のある証拠を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの機能を評価するのに使用し得るさらなるアッセイ条件および方法は、当該技術分野で既知であり、その幾つかが、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0056】
あるいは、コードポリペプチドの生物学的機能は、シネコシスティス(Synecosystis)でこのポリペプチドの相同体を崩壊させることで決定してもよい。シアノバクテリア(青緑色藻類)は、植物葉緑体の前駆物質とみなされる。それは、光合成系および植物の代謝プロセスを連想させる多くの他の代謝プロセスの両方を保有する。これらのプロセスは、多くの市販の除草剤の対象とされることが多く、この生物は、多くの種類の除草剤の作用機序の研究で広範に使用されている。シネコシスティスは、最良に研究されたシアノバクテリアの1つである。シアノバクテリアに共通する特徴の多くに加え、それは、多くの他の付加的利点を提供する。シネコシスティスは、自然に存在する遺伝子形質転換系を有しており、したがって、よく特性化された系のうちのいくつか(S.セレビシエ(S.cerevisiae)、大腸菌)に適用可能である強力かつ複雑な遺伝子および分子操作(例えば、標的遺伝子崩壊、遺伝子置換等)を引き起こす。最も重要なことには、シネコシスティスの完全なゲノム配列情報の有用性は、所定の遺伝子(複数可)の迅速な同定およびクローニングのための手段、ならびに遺伝子および分子手段による遺伝子機能の解明をもたらす。
【0057】
さらに、このポリペプチドの生物学的機能は、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用、およびそれにより得られるトランスジェニック植物の生成により決定してもよい。トランスジェニック植物中のセンスまたはアンチセンス配向での特定遺伝子の発現は、当該特定遺伝子のそれぞれより高いまたは低い発現レベルを引き起こすことができる。遺伝子の内因性発現レベルの変更は、特定の表現型の観察を引き起こすことができ、続いてその特定の表現型は、遺伝子の機能での徴候を得るのに使用することができる。遺伝子は、強力な遍在性プロモーターを用いていつでも植物のあらゆる細胞で過剰発現または過小発現され得るか、あるいはそれは、十分に特性化された組織特異的プロモーター(すなわち、根プロモーター、または花特異的プロモーター)を用いて植物の1つまたは複数の別個の部分で発現され得るか、あるいはそれは、誘導性および/または発生的に調節されるプロモーターを用いて発生の特定の時期で発現され得る。
【0058】
PpPrPase1トランスジェニック植物の場合では、正常な成長条件で表現型が明らかでない場合、ストレス条件(水の欠乏、高塩の存在、あるいは寒冷、熱、干ばつ、高光量等のような他の生物的または非生物的ストレス)下で植物を観察することにより、遺伝子機能の理解がもたらされ得る。種子貯蔵化合物の場合には、油、糖およびタンパク質の生化学的分析(実施例34を参照)は、遺伝子の機能の理解をもたらし得る。したがって、ポリペプチドの生物学的機能を精密化するためのトランスジェニック植物の創出への、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用は、本発明に包含される。
【0059】
好ましい実施形態では、以下のN末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:L1−D394、K2−D394、L3−D394、S4−D394、N5−D394、L6−D394、P7−D394、A8−D394、P9−D394、L10−D394、K11−D394、G12−D394、I13−D394、V14−D394、S15−D394、Q16−D394、E17−D394、K18−D394、F19−D394、E20−D394、K21−D394、A22−D394、Q23−D394、A24−D394、Y25−D394、S26−D394、L27−D394、D28−D394、K29−D394、S30−D394、R31−D394、F32−D394、H33−D394、F34−D394、V35−D394、H36−D394、A37−D394、A38−D394、V39−D394、N40−D394、I41−D394、V42−D394、E43−D394、E44−D394、S45−D394、A46−D394、I47−D394、L48−D394、L49−D394、L50−D394、G51−D394、L52−D394、L53−D394、P54−D394、W55−D394、A56−D394、W57−D394、D58−D394、K59−D394、S60−D394、G61−D394、S62−D394、L63−D394、V64−D394、G65−D394、K66−D394、L67−D394、G68−D394、F69−D394、D70−D394、E71−D394、K72−D394、S73−D394、E74−D394、I75−D394、L76−D394、Q77−D394、T78−D394、L79−D394、S80−D394、F81−D394、L82−D394、A83−D394、V84−D394、T85−D394、T86−D394、L87−D394、W88−D394、S89−D394、Q90−D394、I91−D394、L92−D394、E93−D394、L94−D394、P95−D394、F96−D394、S97−D394、L98−D394、Y99−D394、S100−D394、T101−D394、F102−D394、V103−D394、I104−D394、E105−D394、A106−D394、R107−D394、H108−D394、G109−D394、F110−D394、N111−D394、K112−D394、Q113−D394、T114−D394、I115−D394、W116−D394、L117−D394、F118−D394、L119−D394、R120−D394、D121−D394、M122−D394、I123−D394、M124−D394、Gl25−D394、L126−D394、A127−D394、L128−D394、M129−D394、M130−D394、V131−D394、V132−D394、G133−D394、P134−D394、P135−D394、I136−D394、V137−D394、S138−D394、A139−D394、I140−D394、I141−D394、Y142−D394、I143−D394、V144−D394、Q145−D394、N146−D394、G147−D394、G148−D394、P149−D394、Y150−D394、L151−D394、A152−D394、L153−D394、Y154−D394、L155−D394、W156−D394、A157−D394、Fl58−D394、Ml59−D394、L160−D394、L161−D394、L162−D394、S163−D394、L164−D394、V165−D394、L166−D394、M167−D394、A168−D394、L169−D394、Y170−D394、P171−D394、V172−D394、L173−D394、I174−D394、A175−D394、P176−D394、L177−D394、F178−D394、N179−D394、T180−D394、F181−D394、T182−D394、P183−D394、L184−D394、P185−D394、E186−D394、G187−D394、Q188−D394、L189−D394、R190−D394、A191−D394、K192−D394、I193−D394、E194−D394、K195−D394、L196−D394、A197−D394、S198−D394、S199−D394、L200−D394、D201−D394、F202−D394、P203−D394、L204−D394、K205−D394、K206−D394、L207−D394、F208−D394、V209−D394、I210−D394、D211−D394、G212−D394、S213−D394、T214−D394、R215−D394、S216−D394、S217−D394、H218−D394、S219−D394、N220−D394、A221−D394、Y222−0394、M223−D394、Y224−D394、G225−D394、F226−D394、Y227−D394、N228−D394、S229−D394、K230−D394、R231−D394、I232−D394、V233−D394、L234−D394、Y235−D394、D236−D394、T237−D394、L238−D394、I239−D394、S240−D394、Q241−D394、C242−D394、K243−D394、N244−D394、E245−D394、E246−D394、E247−D394、V248−D394、V249−D394、A250−D394、V251−D394、I252−D394、A253−D394、H254−D394、E255−D394、L256−D394、G257−D394、H258−D394、W259−D394、K260−D394、L261−D394、S262−D394、H263−D394、T264−D394、M265−D394、Y266−D394、S267−D394、F268−D394、L269−D394、A270−D394、M271−D394、Q272−D394、V273−D394、L274−D394、T275−D394、L276−D394、L277−D394、Q278−D394、F279−D394、G280−D394、G281−D394、Y282−D394、T283−D394、L284−D394、V285−D394、R286−D394、N287−D394、S288−D394、S289−D394、G290−D394、L291−D394、F292−D394、L293−D394、S294−D394、F295−D394、G296−D394、F297−D394、S298−D394、T299−D394、Q300−D394、P301−D394、V302−D394、L303−D394、I304−D394、G305−D394、L306−D394、I307−D394、L308−D394、F309−D394、Q310−D394、H311−D394、T312−D394、I313−D394、M314−D394、P315−D394、F316−D394、H317−D394、H318−D394、L319−D394、V320−D394、S321−D394、F322−D394、A323−D394、L324−D394、N325−D394、L326−D394、L327−D394、S328−D394、R329−D394、A330−D394、F331−D394、E332−D394、F333−D394、Q334−D394、A335−D394、D336−D394、A337−D394、F338−D394、A339−D394、R340−D394、S341−D394、L342−D394、G343−D394、Y344−D394、R345−D394、E346−D394、P347−D394、L348−D394、R349−D394、A350−D394、G351−D394、L352−D394、I353−D394、K354−D394、L355−D394、Q356−D394、E357−D394、E358−D394、N359−D394、L360−D394、S361−D394、A362−D394、M363−D394、N364−D394、T365−D394、D366−D394、P367−D394、W368−D394、Y369−D394、S370−D394、A371−D394、Y372−D394、H373−D394、H374−D394、S375−D394、H376−D394、P377−D394、P378−D394、L379−D394、V380−D394、E381−D394、R382−D394、L383−D394、Q384−D394、A385−D394、L386−D394、D387−D394、E388−D394(配列番号2)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0060】
好ましい実施形態では、以下のC末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:L1−D394、L1−T393、L1−K392、L1−K391、L1−S390、L1−T389、L1−E388、L1−D387、L1−L386、L1−A385、L1−Q384、L1−L383、L1−R382、L1−E381、L1−V380、L1−L379、L1−P378、L1−P377、L1−H376、L1−S375、L1−H374、L1−H373、L1−Y372、L1−A371、L1−S370、L1−Y369、L1−W368、L1−P367、L1−D366、L1−T365、L1−N364、L1−M363、L1−A362、L1−S361、L1−L360、L1−N359、L1−E358、L1−E357、L1−Q356、L1−L355、L1−K354、L1−I353、L1−L352、L1−G351、L1−A350、L1−R349、L1−L348、L1−P347、L1−E346、L1−R345、L1−Y344、L1−G343、L1−L342、L1−S341、L1−R340、L1−A339、L1−F338、L1−A337、L1?D336、L1−A335、L1−Q334、L1−F333、L1−E332、L1−F331、L1−A330、L1−R329、L1−S328、L1−L327、L1−L326、L1−N325、L1−L324、L1−A323、L1−F322、L1−S321、L1−V320、L1−L319、L1−H318、L1−H317、L1−F316、L1−P315、L1−M314、L1−I313、L1−T312、L1−H311、L1−Q310、L1−F309、L1−L308、L1−I307、L1−L306、L1−G305、L1−I304、L1−L303、L1−V302、L1−P301、L1−Q300、L1−T299、L1−S298、L1−F297、L1−G296、L1−F295、L1−S294、L1−L293、L1−F292、L1−L291、L1−G290、L1−S289、L1−S288、L1−N287、L1−R286、L1−V285、L1−L284、L1−T283、L1−Y282、L1−G281、L1−G280、L1−F279、L1−Q278、L1−L277、L1−L276、L1−T275、L1−L274、L1−V273、L1−Q272、L1−M271、L1−A270、L1−L269、L1−F268、L1−S267、L1−Y266、L1−M265、L1−T264、L1−H263、L1−S262、L1−L261、L1−K260、L1−W259、L1−H258、L1−G257、L1−L256、L1−E255、L1−H254、L1−A253、L1−I252、L1−V251、L1−A250、L1−V249、L1−V248、L1−E247、L1−E246、L1−E245、L1−N244、L1−K243、L1−C242、L1−Q241、L1−S240、L1−I239、L1−L238、L1−T237、L1−D236、L1−Y235、L1−L234、L1−V233、L1−I232、L1−R231、L1−K230、L1−S229、L1−N228、L1−Y227、L1−F226、L1−G225、L1−Y224、L1−M223、L1−Y222、L1−A221、L1−N220、L1−S219、L1−H218、L1−S217、L1−S216、L1−R215、L1−T214、L1−S213、L1−G212、L1−D211、L1−I210、L1−V209、L1−F208、L1−L207、Ll−K206、L1−K205、L1−L204、L1−P203、L1−F202、L1−D20l、Ll−L200、L1−S199、L1−S198、L1−A197、L1−L196、L1−K195、L1−E194、L1−I193、L1−K192、L1−A191、L1−R190、L1−L189、L1−Q188、L1−G187、L1−E186、L1−P185、L1−L184、L1−P183、L1−T182、L1−F181、L1−T180、L1−F179、L1−F178、L1−L177、L1−P176、L1−A175、L1−I174、L1−L173、L1−V172、Ll−P171、L1−Y170、L1−L169、L1−A168、L1−M167、L1−L166、L1−V165、L1−L164、L1−S163、L1−L162、L1−L161、L1−L160、L1−M159、L1−F158、L1−A157、L1−W156、L1−L155、L1−Y154、L1−L153、L1−A152、L1−L151、L1−Y150、L1−P149、L1−G148、L1−G147、L1−N146、L1−Q145、L1−V144、L1−I143、L1−Y142、L1−I141、L1−I140、L1−A139、L1−S138、L1−V137、L1−I136、L1−P135、L1−P134、L1−G133、L1−V132、L1−V131、L1−M130、L1−M129、L1−L128、L1−A127、L1−L126、L1−G125、L1−M124、L1−I123、L1−M122、L1−D121、L1−R120、L1−L119、L1−F118、L1−L117、L1−W116、L1−I115、L1−T114、L1−Q113、L1−K112、L1−N111、L1−F110、L1−G109、L1−H108、L1−R107、L1−A106、L1−E105、L1−I104、L1−V103、L1−F102、L1−T101、L1−S100、L1−Y99、L1−L98、L1−S97、L1−F96、L1−P95、L1−L94、L1−E93、L1−L92、L1−I91、L1−Q90、L1−S89、L1−W88、L1−L87、L1−T86、L1−T85、L1−V84、L1−A83、L1−L82、L1−F81、L1−S80、L1−L79、L1−T78、L1−Q77、L1−L76、L1−I75、L1−E74、L1−S73、L1−K72、L1−E71、L1−D70、L1−F69、L1−G68、L1−L67、L1−K66、L1−G65、L1−V64、L1−L63、L1−S62、L1−G61、L1−S60、L1−K59、L1−D58、L1−W57、L1−A56、L1−W55、L1−P54、L1−L53、L1−L52、L1−G51、L1−L50、L1−L49、L1−L48、L1−I47、L1−A46、L1−S45、L1−E44、L1−E43、L1−V42、L1−I41、L1−N40、L1−V39、L1−A38、L1−A37、L1−H36、L1−V35、L1−F34、L1−H33、L1−F32、L1−R31、L1−S30、L1−K29、L1−D28、L1−L27、L1−S26、L1−Y25、L1−A24、L1−Q23、L1−A22、L1−K21、L1−E20、L1−F19、Lb−K18、L1−E17、L1−Q16、L1−S15、L1−V14、L1−I13、L1−G12、L1−K11、L1−L10、L1−P9、L1−A8、L1−P7(配列番号2)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0061】
EST配列のような多くのポリヌクレオチド配列は、配列データベースにより公的に利用可能およびアクセス可能である。これらの配列の幾つかは、配列番号1に関連しており、本発明の考案前に公的に利用可能であった場合がある。好ましくは、かかる関連ポリヌクレオチドは、本発明の範囲から具体的に排除される。すべての関連配列を撤去することは、厄介である。したがって、好ましくは、a〜bの一般式(ここで、aは、配列番号1の1〜1398間の任意の整数であり、bは、15〜1398間の整数であり、aとbの両方が、配列番号1に示すヌクレオチド残基の位置に対応し、bは、a+14以上である)で示されるヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドは本発明から排除される。
【0062】
遺伝子番号2によりコードされるポリペプチドの特徴
配列番号3(図4)に従うポリヌクレオチド配列によりコードされ、および/または寄託クローンAtPrPase1内に含まれるポリヌクレオチドによりコードされる配列番号4(図5)として提供されるこの遺伝子のポリペプチドは、ヒトおよび酵母プレニルペプチダーゼの両方に対してヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの有意な相同性を有する(図12A〜Dを参照)。相同性に基づいて、本発明のポリペプチドは、プレニルペプチダーゼとともに少なくとも幾つかの生物学活性を共有し得る。アゴニストを含む本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与することを含むが、これらに限定されない用途がある。さらに、本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストも、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与する際に有用であり得る。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明は、AtPrPase1遺伝子のプロモーター(配列番号11、図15A〜B)も含む。このプロモーターには、植物孔辺細胞に所定の遺伝子の発現を誘導することを含むが、これに限定されない用途がある。所定の遺伝子は、当該技術分野で既知の他の遺伝子および/または本明細書中に開示する他の遺伝子のほかに、植物に対して内因性の任意の遺伝子、非植物由来遺伝子(例えば、ウイルス遺伝子、哺乳動物遺伝子、ヒト遺伝子、合成遺伝子、分子的進化遺伝子、細菌遺伝子、真菌遺伝子等)、レポーター遺伝子、マーカー遺伝子、所望の入力(input)形質、所望の出力(output)形質、植物中に特定の表現型を付与することが可能な遺伝子、本発明の1つまたは複数の遺伝子、抗体遺伝子、本発明のポリペプチドに対する抗体遺伝子、アンチセンス遺伝子であってもよい。
【0064】
細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991 Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリア(Atriplex nummularia)では、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらの酵素のより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/または非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途があり得る。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のAtPrPase1ポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0065】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/または収量高の調節、それを通して好ましくは植物成長および収量高の増加を含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0066】
コードポリペプチドは、プレニルプロテアーゼとともに少なくとも幾つかの生物活性を共有し得ると考えられるが、このクローンの正確な生物学的機能を決定する多数の方法が、当該技術分野で既知であるか、または本明細書中の他の箇所に記載されている。簡潔に述べると、このクローンの機能は、マイクロアレイ方法論を適用することで決定し得る。本発明の他のクローンに加えてAtPrPaase1クローンを、発現プロファイリング用のマイクロチップ上に配列し得る。どのポリヌクレオチドプローブがスライドにハイブリダイズするのに使用されるかに応じて、特定遺伝子の発現の変化は、研究される条件に基づいて、この遺伝子の機能に対するさらなる洞察を提供し得る。例えば、使用するポリヌクレオチドプローブが、冷却処理した組織に由来する場合の発現レベルで観察される増加または減少は、例えば、寒冷耐性を調節する際の機能を示し得る。AtPrPase1の場合では、水を与えない組織、あるいは他の生物的または非生物的ストレス(熱、干ばつ、高光量、高塩等)によりストレスを加えた組織は、プローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用されるはずである。
【0067】
さらに、タンパク質の機能は、例えば、定量的PCR方法論を適用することで評価してもよい。内因性定量的PCRは、例えば植物発生周期全体にわたって特定の遺伝子の発現を追跡する能力を提供する。PCR方法論は、ほんのわずかな量の、各発生上重要な段階(3日発芽苗木、1週齢苗木[根、新芽、および茎]、開花開始前の根、葉および茎、花[種々の部分]、および/または発生中の胚)からの組織が、かかる実験を実施するのに必要なだけである。したがって、このポリペプチドの生物学的機能を精密化するための定量的PCR方法論の適用は、本発明に包含される。また、配列番号3(図4)として提供されるポリヌクレオチド配列に相当する定量的PCRプローブも本発明に包含される。
【0068】
タンパク質の機能はまた、酵母中の相補性アッセイにより評価してもよい。例えば、AtPrPase1クローンの場合では、プレニルプロテアーゼ活性を欠損した酵母を形質転換し、それの成長する能力を評価することは、AtPrPase1クローンが、プレニルプロテアーゼ活性を有するという説得力のある証拠を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの機能を評価するのに使用し得るさらなるアッセイ条件および方法は、当該技術分野で既知であり、その幾つかが、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0069】
あるいは、コードポリペプチドの生物学的機能は、シネコシスティス(Synecosystis)でこのポリペプチドの相同体を崩壊させることで決定してもよい。シアノバクテリア(青緑色藻類)は、植物葉緑体の前駆物質とみなされる。それは、光合成系および植物の代謝プロセスを連想させる多くの他の代謝プロセスの両方を保有する。これらのプロセスは、多くの市販の除草剤の対象とされることが多く、この生物は、多くの種類の除草剤の作用機序の研究で広範に使用されている。シネコシスティスは、最良に研究されたシアノバクテリアの1つである。シアノバクテリアに共通する特徴の多くに加え、それは、多くの他の付加的利点を提供する。シネコシスティスは、自然に存在する遺伝子形質転換系を有しており、したがって、よく特性化された系のうちのいくつか(セレビシエ(S.cerevisiae)、大腸菌)に適用可能である強力かつ複雑な遺伝子および分子操作(例えば、標的遺伝子崩壊、遺伝子置換等)を引き起こす。最も重要なことには、シネコシスティスの完全なゲノム配列情報の有用性は、所定の遺伝子(複数可)の迅速な同定およびクローニングのための手段、ならびに遺伝子および分子手段による遺伝子機能の解明をもたらす。
【0070】
さらに、このポリペプチドの生物学的機能は、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用、およびそれにより得られるトランスジェニック植物の生成により決定してもよい。トランスジェニック植物中のセンスまたはアンチセンス配向での特定遺伝子の発現は、当該特定遺伝子のそれぞれより高いまたは低い発現レベルを引き起こすことができる。遺伝子の内因性発現レベルの変更は、特定の表現型の観察を引き起こすことができ、続いてその特定の表現型は、遺伝子の機能での徴候を得るのに使用することができる。遺伝子は、強力な遍在性プロモーターを用いていつでも植物のあらゆる細胞で過剰発現または過小発現され得るか、あるいはそれは、十分に特性化された組織特異的プロモーター(すなわち、根プロモーター、または花特異的プロモーター、あるいは種子特異的プロモータ)を用いて植物の1つまたは複数の別個の部分で発現され得るか、あるいはそれは、誘導性および/または発生的に調節されるプロモーターを用いて発生の特定の時期で発現され得る。
【0071】
AtPrPase1トランスジェニック植物の場合では、正常な成長条件で表現型が明らかでない場合、ストレス条件(水の欠乏、高塩の存在、あるいは寒冷、熱、干ばつ、高光量等のような他の生物的または非生物的ストレス)下で植物を観察することにより、あるいは種子貯蔵化合物の生化学的分析により、遺伝子機能の理解がもらされ得る。したがって、ポリペプチドの生物学的機能を精密化するためのトランスジェニック植物の創出への、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用は、本発明に包含される。
【0072】
好ましい実施形態では、以下のN末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:M1−D424、A2−D424、I3−D424、P4−D424、F5−D424、M6−D424、E7−D424、T8−D424、V9−D424、V10−D424、G11−D424、F12−D424、M13−D424、I14−D424、V15−D424、M16−D424、Y17−D424、I18−D424、F19−D424、E20−D424、T21−D424、Y22−D424、L23−D424、D24−D424、L25−D424、R26−D424、Q27−D424、L28−D424、T29−D424、A30−D424、L31−D424、K32−D424、L33−D424、P34−D424、T35−D424、L36−D424、P37−D424、K38−D424、T39−D424、L40−D424、V41−D424、G42−D424、V43−D424、I44−D424、S45−D424、Q46−D424、E47−D424、K48−D424、F49−D424、E50−D424、K51−D424、S52−D424、R53−D424、A54−D424、Y55−0424、S56−D424、L57−D424、D58−D424、K59−D424、S60−D424、Y61−D424、F62−0424、H63−D424、F64−D424、V65−D424、H66−D424、E67−D424、F68−D424、V69−D424、T70−D424、I71−D424、L72−D424、M73−D424、D74−D424、S75−D424、A76−D424、I77−D424、L78−D424、F79−D424、F80−D424、G81−D424、I82−D424、L83−D424、P84−D424、W85−D424、F86−D424、W87−D424、K88−D424、M89−D424、S90−D424、G91−D424、A92−D424、V93−D424、L94−D424、P95−D424、R96−D424、L97−D424、G98−D424、L99−D424、D100−D424、P101−D424、El02−D424、N103−D424、El04−D424、I105−D424、L106−D424、H107−D424、T108−D424、L109−D424、S110−D424、F111−D424、L112−D424、A113−D424、G114−D424、V115−D424、M116−D424、T117−D424、W118−D424、S119−D424、Q120−D424、I121−D424、T122−D424、D123−D424、L124−D424、P125−D424、F126−D424、S127−D424、L128−D424、Y129−D424、S130−D424、T131−D424、F132−D424、V133−D424、I134−D424、E135−D424、S136−D424、R137−D424、H138−D424、G139−D424、F140−D424、N141−D424、KI42−D424、Q143−D424、T144−0424、I145−D424、W146−D424、M147−D424、F148−D424、I149−D424、R150−D424、D151−D424、M152−D424、I153−D424、K154−D424、G155−D424、T156−D424、F157−0424、L158−D424、S159−D424、V160−D424、I161−D424、L162−D424、G163−D424、P164−D424、P165−D424、I166−D424、V167−D424、A168−D424、A169−D424、I170−D424、I171−D424、F172−D424、I173−D424、V174−D424、Q175−D424、K176−D424、G177−D424、G178−D424、P179−D424、Y180−D424、L181−D424、A182−D424、I183−D424、Y184−D424、L185−D424、W186−D424、A187−D424、F188−D424、M189−D424、F190−D424、I191−D424、L192−D424、S193−D424、L194−D424、V195−D424、M196−D424、M197−D424、T198−D424、I199−D424、Y200−D424、P201−D424、V202−D424、L203−D424、I204−D424、A205−D424、P206−D424、L207−D424、F208−D424、N209−D424、K210−D424、F211−D424、T212−D424、P213−D424、L214−D424、P215−D424、D216−D424、G217−D424、D218−D424、L219−D424、R220−D424、E221−D424、K222−D424、I223−D424、E224−D424、K225−D424、L226−D424、A227−D424、S228−D424、S229−D424、L230−D424、K231−D424、F232−D424、P233−D424、L234−D424、K235−D424、K236−D424、L237−D424、F238−D424、V239−D424、V240−D424、D241−D424、G242−D424、S243−D424、T244−D424、R245−D424、S246−D424、S247−D424、H248−D424、S249−D424、N250−D424、A251−D424、Y252−D424、M253−D424、Y254−D424、G255−D424、F256−D424、F257−D424、K258−D424、N259−D424、K260−D424、R261−D424、I262−D424、V263−D424、L264−D424、Y265−D424、D266−D424、T267−D424、L268−D424、I269−D424、Q270−D424、Q271−D424、C272−D424、K273−D424、N274−D424、E275−D424、D276−D424、E277−D424、I278−D424、V279−D424、A280−D424、V281−D424、I282−D424、A283−D424、H284−D424、E285−D424、L286−D424、G287−D424、H288−D424、W289−D424、K290−D424、L291−D424、N292−D424、H293−D424、T294−D424、T295−D424、Y296−D424、S297−D424、F298−0424、I299−D424、A300−D424、V301−D424、Q302−D424、I303−D424、L304−D424、A305−D424、F306−D424、L307−D424、Q308−D424、F309−D424、G310−D424、G311−D424、Y312−D424、T313−D424、L314−D424、V315−D424、R316−D424、N317−D424、S318−D424、T319−D424、D320−D424、L321−D424、F322−D424、R323−D424、S324−D424、F325−D424、G326−D424、F327−D424、D328−D424、T329−D424、Q330−D424、P331−D424、V332−D424、L333−D424、I334−D424、G335−D424、L336−D424、I337−D424、I338−D424、F339−D424、Q340−D424、H341−D424、T342−D424、V343−D424、I344−D424、P345−D424、L346−D424、Q347−D424、H348−D424、P349−D424、V350−D424、S351−D424、F352−D424、G353−D424、L354−D424、N355−D424、L356−D424、V357−D424、S358−D424、R359−D424、A360−D424、F361−D424、E362−D424、F363−D424、Q364−D424、A365−D424、D366−D424、A367−D424、F368−D424、A369−D424、V370−D424、K371−D424、L372−D424、G373−D424、Y374−D424、A375−D424、K376−D424、D377−D424、L378−D424、R379−D424、P380−0424、T381−D424、L382−D424、V383−D424、K384−D424、L385−D424、Q386−D424、E387−D424、E388−D424、N389−D424、L390−D424、S391−D424、A392−D424、M393−D424、N394−D424、T395−D424、D396−D424、P397−D424、L398−D424、Y399−D424、S400−D424、A401−D424、Y402−D424、H403−D424、Y404−D424、S405−D424、H406−D424、P407−D424、P408−0424、L409−D424、V410−D424、E4l1−D424、R412−D424、L413−D424、R414−D424、A415−D424、I416−D424、D417−D424、G418−D424(配列番号4)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0073】
好ましい実施形態では、以下のC末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:M1−D424、M1−T423、M1−K422、M1−K421、M1−D420、M1−E419、M1−G418、M1−D417、M1−I416、M1−A415、M1−R414、M1−L413、M1−R412、M1−E411、M1−V410、M1−L409、M1−P408、M1−P407、M1−H406、M1−S405、M1−Y404、M1−H403、M1−Y402、M1−A401、M1−S400、M1−Y399、M1−L398、M1−P397、M1−D396、M1−T395、M1−N394、M1−M393、M1−A392、Mb−S391、M1−L390、M1−N389、M1−E388、M1−E387、M1−Q386、M1−L385、M1−K384、M1−V383、M1−L382、M1−T381、M1−P380、M1−R379、M1−L378、M1−D377、M1−K376、M1−A375、M1−Y374、M1−G373、M1−L372、M1−K371、M1−V370、M1−A369、M1−F368、M1−A367、M1−D366、M1−A365、M1−Q364、M1−F363、M1−E362、M1−F361、M1−A360、M1−R359、M1−S358、M1−V357、M1−L356、M1−N355、M1−L354、M1−G353、M1−F352、M1−S351、M1−V350、M1−P349、M1−H348、M1−Q347、M1−L346、M1−P345、M1−I344、M1−V343、M1−T342、M1−H341、M1−Q340、M1−F339、M1−I338、M1−I337、M1−L336、M1−G335、M1−I334、M1−L333、M1−V332、M1−P331、M1−Q330、M1−T329、M1−D328、M1−F327、M1−G326、M1−F325、M1−S324、M1−R323、M1−F322、M1−L321、M1−D320、M1−T319、M1−S318、M1−N317、M1−R316、M1−V315、M1−L314、M1−T313、M1−Y312、M1−G311、M1−G310、M1−F309、M1−Q308、M1−L307、M1−F306、M1−A305、M1−L304、M1−I303、M1−Q302、M1−V301、M1−A300、M1−I299、M1−F298、M1−S297、M1−Y296、M1−T295、M1−T294、M1−H293、M1−N292、M1−L291、M1−K290、M1−W289、M1−H288、M1−G287、M1−L286、M1−E285、M1−H284、M1−A283、M1−I282、M1−V281、M1−A280、M1−V279、M1−I278、M1−E277、M1−D276、M1−E275、M1−N274、M1−K273、M1−C272、M1−Q271、M1−Q270、M1−I269、M1−L268、M1−T267、M1−D266、M1−Y265、M1−L264、M1−V263、M1−I262、Mb−R261、M1−K260、M1−N259、M1−K258、M1−F257、M1−F256、M1−G255、M1−Y254、M1−M253、M1−Y252、M1−A251、M1−N250、M1−S249、M1−H248、M1−S247、M1−S246、M1−R245、M1−T244、M1−S243、M1−G242、M1−D241、M1−V240、M1−V239、M1−F238、M1−L237、M1−K236、M1−K235、M1−L234、M1−P233、M1−F232、M1−K231、M1−L230、M1−S229、M1−S228、M1−A227、M1−L226、M1−K225、M1−E224、M1−I223、M1−K222、M1−E221、M1−R220、M1−L219、M1−D218、M1−G217、M1−D216、M1−P215、M1−L214、M1−P213、M1−T212、M1−F211、M1−K210、M1−N209、M1−F208、M1−L207、M1−P206、M1−A205、M1−L204、M1−L203、M1−V202、M1−P201、M1−Y200、M1−I199、M1−T198、M1−M197、M1−M196、M1−V195、M1−L194、M1−S193、M1−L192、M1−I191、M1−F190、M1−M189、Mb−F188、M1−A187、M1−W186、M1−L185、M1−Y184、M1−I183、M1−A182、M1−L181、M1−Y180、M1−P179、M1−G178、M1−G177、M1−K176、M1−Q175、M1−V174、M1−I173、M1−F172、M1−I171、M1−I170、M1−A169、M1−Al68、M1−V167、M1−I166、M1−P165、M1−Pl64、M1−G163、M1−L162、M1−I16l、M1−V160、M1−S159、M1−L158、M1−F157、M1−T156、M1−G155、M1−K154、M1−I153、M1−M152、M1−D151、M1−R150、M1−I149、M1−F148、M1−M147、M1−W146、M1−I145、M1−T144、M1−Q143、M1−K142、M1−N141、M1−F140、M1−G139、M1−H138、M1−Rl37、M1−S136、M1−E135、M1−I134、M1−V133、M1−F132、M1−T131、M1−S130、M1−Y129、M1−L128、M1−S127、M1−F126、M1−P125、M1−L124、M1−D123、M1−T122、M1−I121、M1−Q120、M1−S119、M1−W1l8、M1−T117、M1−M116、M1−V115、M1−G114、M1−A113、M1−L112、M1−F111、M1−S110、M1−L109、M1−T108、M1−H107、M1−L106、M1−I105、M1−E104、M1−N103、M1−E102、M1−P101、M1−D100、M1−L99、M1−G98、M1−L97、M1−R96、M1−P95、M1−L94、M1−V93、M1−A92、M1−G91、141−S90、M1−M89、M1−K88、M1−W87、M1−F86、M1−W85、M1−P84、M1−L83、M1−I82、M1−G81、M1−F80、M1−F79、M1−L78、M1−I77、M1−A76、M1−S75、M1−D74、M1−M73、M1−L72、M1−I71、M1−T70、M1−V69、Mb−F68、M1−E67、M1−H66、M1−V65、M1−F64、M1−H63、M1−F62、M1−Y61、M1−S60、M1−K59、M1−D58、M1−L57、M1−S56、M1−Y55、M1−A54、M1−R53、M1−S52、M1−K51、M1−E50、M1−F49、M1−K48、M1−E47、M1−Q46、M1−S45、M1−I44、M1−V43、M1−G42、M1−V41、M1−L40、M1−T39、M1−K38、M1−P37、M1−L36、M1−T35、M1−P34、M1−L33、M1−K32、M1−L31、M1−A30、M1−T29、M1−L28、M1−Q27、M1−R26、M1−L25、M1−D24、M1−L23、M1−Y22、M1−T21、M1−E20、M1−F19、M1−I18、M1−Y17、M1−M16、M1−V15、M1−I14、M1−−M13、M1−F12、M1−G11、M1−V10、M1−V9、M1−T8、M1−E7(配列番号4)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0074】
EST配列のような多くのポリヌクレオチド配列は、配列データベースにより公的に利用可能およびアクセス可能である。これらの配列の幾つかは、配列番号3に関連しており、本発明の創作前に公的に利用可能であった場合がある。好ましくは、かかる関連ポリヌクレオチドは、本発明の範囲から具体的に排除される。すべての関連配列を撤去することは、厄介である。したがって、好ましくは、a〜bの一般式(ここで、aは、配列番号3の1〜1275の任意の整数であり、bは、15〜1275の整数であり、aとbの両方が、配列番号3に示すヌクレオチド残基の位置に対応し、bは、a+14以上である)で示されるヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドは本発明から排除される。
【0075】
遺伝子番号3によりコードされるポリペプチドの特徴
配列番号5(図6)に従うポリヌクレオチド配列によりコードされ、および/または寄託クローンAtPrPase2内に含まれるポリヌクレオチドによりコードされる配列番号6(図7)として提供されるこの遺伝子のポリペプチドは、ヒトおよび酵母プレニルペプチダーゼの両方に対してヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの有意な相同性を有する(図12A〜Dを参照)。相同性に基づいて、本発明のポリペプチドは、プレニルペプチダーゼとともに少なくとも幾つかの生物学活性を共有し得る。アンタゴニストを含む、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与することを含むが、これらに限定されない用途がある。さらに、本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストも、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与する際に、および/または種子貯蔵化合物量を増加させるのに有用であり得る。
【0076】
細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991 Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリア(Atriplex nummularia)では、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらのより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物における熱、干ばつおよび塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/または非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途がある。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0077】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/または収量高の調節、それを通して好ましくは植物成長および収量高の増加を含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のAtPrPase2ポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0078】
コードポリペプチドは、プレニルプロテアーゼとともに少なくとも幾つかの生物活性を共有し得ると考えられるが、このクローンの正確な生物学的機能を決定する多数の方法が、当該技術分野で既知であるか、または本明細書中の他の箇所に記載されている。簡潔に述べると、このクローンの機能は、マイクロアレイ方法論を適用することで決定し得る。本発明の他のクローンに加えてAtPrPaase2クローンを、発現プロファイリング用のマイクロチップ上に配列し得る。どのポリヌクレオチドプローブがスライドにハイブリダイズするのに使用されるかに応じて、特定遺伝子の発現の変化は、研究される条件に基づいて、この遺伝子の機能に対するさらなる洞察を提供し得る。例えば、使用するポリヌクレオチドプローブが、冷却処理した組織に由来する場合の発現レベルで観察される増加または減少は、例えば、寒冷耐性を調節する際の機能を示し得る。AtPrPase2の場合では、水を与えない組織、あるいは他の生物的または非生物的ストレス(熱、干ばつ、高光量、高塩等)によりストレスを加えた組織は、プローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用されるはずである。
【0079】
さらに、タンパク質の機能は、例えば、定量的PCR方法論を提供することで評価してもよい。リアルタイム定量的PCRは、例えば植物発生周期全体にわたって特定の遺伝子の発現を追跡する能力を提供する。定量的PCR方法論は、ほんのわずかな量の、各発生上重要な段階(3日発芽苗木、1週齢苗木[根、新芽、および茎]、開花開始前の根、葉および茎、花[種々の部分]、および/または発生中の胚)からの組織が、かかる実験を実施するのに必要なだけである。したがって、このポリペプチドの生物学的機能を精密化するための定量的PCR方法論の適用は、本発明に包含される。また、配列番号5(図6)として提供されるポリヌクレオチド配列に相当する定量的PCRプローブも本発明に包含される。
【0080】
タンパク質の機能はまた、酵母中の相補性アッセイにより評価してもよい。例えば、AtPrPase2クローンの場合では、プレニルプロテアーゼ活性を欠損した酵母を形質転換し、それの成長する能力を評価することは、AtPrPase2クローンが、プレニルプロテアーゼ活性を有するという説得力のある証拠を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの機能を評価するのに使用し得るさらなるアッセイ条件および方法は、当該技術分野で既知であり、その幾つかが、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0081】
あるいは、コードポリペプチドの生物学的機能は、シネコシスティス(Synecosystis)でこのポリペプチドの相同体を崩壊させることで決定してもよい。シアノバクテリア(青緑色藻類)は、植物葉緑体の前駆物質とみなされる。それは、光合成系および植物の代謝プロセスを連想させる多くの他の代謝プロセスの両方を保有する。これらのプロセスは、多くの市販の除草剤の対象とされることが多く、この生物は、多くの種類の除草剤の作用機序の研究で広範に使用されている。シネコシスティスは、最良に研究されたシアノバクテリアの1つである。シアノバクテリアに共通する特徴の多くに加え、それは、多くの他の付加的利点を提供する。シネコシスティスは、自然に存在する遺伝子形質転換系を有しており、したがって、よく特性化された系のうちのいくつか(セレビシエ(S.cerevisiae)、大腸菌)に適用可能である。強力かつ複雑な遺伝子および分子操作(例えば、標的遺伝子崩壊、遺伝子置換等)を引き起こす。最も重要なことには、シネコシスティスの完全なゲノム配列情報の有用性は、所定の遺伝子(複数可)の迅速な同定およびクローニングのための手段、ならびに遺伝子および分子手段による遺伝子機能の解明をもたらす。
【0082】
さらに、このポリペプチドの生物学的機能は、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用、およびそれにより得られるトランスジェニック植物の生成により決定してもよい。トランスジェニック植物中のセンスまたはアンチセンス配向での特定遺伝子の発現は、当該特定遺伝子のそれぞれより高いまたは低い発現レベルを引き起こすことができる。遺伝子の内因性発現レベルの変更は、特定の表現型の観察を引き起こすことができ、続いてその特定の表現型は、遺伝子の機能での徴候を得るのに使用することができる。遺伝子は、強力な遍在性プロモーターを用いていつでも植物のあらゆる細胞で過剰発現または過小発現され得るか、あるいはそれは、十分に特性化された組織特異的プロモーター(すなわち、根プロモーター、または花特異的プロモーター)を用いて植物の1つまたは複数の別個の部分で発現され得るか、あるいはそれは、誘導性および/または発生的に調節されるプロモーターを用いて発生の特定の時期で発現され得る。
【0083】
AtPrPase2トランスジェニック植物の場合では、正常な成長条件で表現型が明らかでない場合、ストレス条件(水の欠乏、高塩の存在、あるいは寒冷、熱、干ばつ、高光量等のような他の生物的または非生物的ストレス)下で植物を観察することにより、または、種子貯蔵化合物(油、糖およびタンパク質など)の生化学的分析により、遺伝子の機能の理解につながり得る。したがって、ポリペプチドの生物学的機能を精密化するためのトランスジェニック植物の創出への、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用は、本発明に包含される。
【0084】
好ましい実施形態では、以下のN末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:M1−D424、A2−D424、I3−D424、P4−D424、F5−D424、M6−D424、E7−D424、T8−D424、V9−D424、V10−D424、G11−D424、F12−D424、M13−D424、I14−D424、V15−D424、M16−D424、Y17−D424、I18−D424、F19−D424、E20−D424、T21−D424、Y22−D424、L23−0424、D24−D424、L25−D424、R26−D424、Q27−D424、L28−D424、T29−D424、A30−D424、L31−D424、K32−D424、L33−D424、P34−D424、T35−D424、L36−D424、P37−D424、K38−D424、T39−D424、L40−D424、V41−D424、G42−D424、V43−D424、I44−D424、S45−D424、Q46−D424、E47−D424、K48−D424、F49−D424、E50−D424、K51−D424、S52−D424、R53−D424、A54−D424、Y55−D424、S56−D424、L57−D424、D58−D424、K59−D424、S60−D424、Y61−D424、F62−D424、H63−D424、F64−D424、V65−D424、H66−D424、E67−D424、F68−D424、V69−D424、T70−D424、I71−D424、L72−D424、M73−D424、D74−D424、S75−D424、A76−D424、T77−D424、L78−D424、F79−D424、F80−D424、G81−D424、I82−D424、L83−D424、P84−D424、W85−D424、F86−D424、W87−D424、K88−D424、M89−D424、S90−D424、G91−D424、A92−D424、V93−D424、L94−D424、P95−D424、R96−D424、L97−D424、G98−D424、L99−D424、D100−D424、P101−D424、El02−D424、N103−D424、E104−D424、I105−D424、L106−D424、H107−D424、T108−D424、L109−D424、S110−D424、F111−D424、L112−D424、A113−D424、G114−D424、V115−D424、M116−D424、T117−D424、W118−D424、S119−D424、Q120−D424、I121−D424、T122−D424、D123−D424、L124−D424、P125−D424、F126−D424、S127−D424、L128−D424、Y129−D424、S130−D424、T131−D424、F132−D424、Vl33−D424、I134−D424、E135−D424、S136−D424、R137−D424、H138−D424、G139−D424、F140−D424、N141−D424、K142−D424、Q143−D424、T144−D424、I145−D424、W146−D424、M147−D424、F148−D424、I149−D424、R150−D424、D151−D424、M152−D424、I153−D424、K154−D424、G155−D424、T156−D424、F157−D424、L158−D424、S159−D424、V160−D424、I161−D424、L162−D424、G163−D424、P164−D424、P165−D424、I166−D424、V167−D424、A168−D424、A169−D424、I170−D424、I171−D424、F172−D424、I173−D424、V174−D424、Q175−D424、K176−D424、G177−D424、G178−D424、P179−D424、Y180−D424、L181−D424、A182−D424、I183−D424、Y184−D424、L185−D424、W186−D424、A187−D424、F188−D424、M189−D424、P190−D424、I191−D424、L192−D424、S193−D424、L194−D424、V195−D424、M196−D424、M197−D424、T198−D424、I199−D424、Y200−D424、P201−D424、V202−D424、L203−D424、I204−D424、A205−D424、P206−D424、L207−D424、F208−D424、N209−D424、K210−D424、F211−D424、T212−D424、P213−D424、L214−D424、P215−D424、D216−D424、G217−D424、D218−D424、L219−D424、R220−D424、E221−D424、K222−D424、I223−D424、E224−D424、K225−D424、L226−D424、A227−D424、S228−D424、S229−D424、L230−D424、K231−D424、F232−D424、P233−D424、L234−D424、K235−D424、K236−D424、L237−0424、F238−D424、V239−D424、V240−D424、D241−D424、G242−D424、S243−D424、T244−D424、R245−D424、S246−D424、S247−D424、H248−D424、S249−D424、N250−D424、A251−D424、Y252−0424、M253−D424、Y254−D424、G255−D424、F256−D424、F257−D424、K258−D424、N259−D424、K260−D424、R261−D424、I262−D424、V263−D424、L264−D424、Y265−D424、D266−D424、T267−D424、L268−D424、I269−D424、Q270−D424、Q271−D424、C272−D424、K273−D424、N274−D424、E275−D424、D276−D424、E277−D424、I278−D424、V279−D424、A280−D424、V281−D424、I282−D424、A283−D424、H284−D424、E285−D424、L286−D424、G287−D424、H288−D424、W289−D424、K290−D424、L291−D424、N292−D424、H293−D424、T294−D424、T295−D424、Y296−D424、S297−D424、F298−0424、I299−D424、A300−D424、V301−D424、Q302−D424、I303−D424、L304−D424、A305−D424、F306−D424、L307−D424、Q308−D424、F309−D424、G310−D424、G311−0424、Y312−D424、T313−D424、L314−D424、V315−D424、R316−D424、N317−D424、S318−D424、T319−D424、D320−D424、L321−D424、F322−D424、R323−D424、S324−D424、F325−D424、G326−D424、F327−D424、D328−D424、T329−D424、Q330−D424、P331−D424、V332−D424、L333−D424、I334−D424、G335−D424、L336−D424、I337−D424、I338−D424、F339−D424、Q340−D424、H341−D424、T342−D424、V343−0424、I344−D424、P345−D424、L346−D424、Q347−D424、H348−D424、L349−D424、V350−D424、S351−D424、F352−D424、G353−D424、L354−D424、N355−D424、L356−D424、V357−D424、S358−D424、R359−D424、A360−D424、F361−D424、E362−D424、P363−D424、Q364−D424、A365−D424、D366−D424、A367−D424、F368−D424、A369−D424、V370−D424、K371−D424、L372−D424、G373−D424、Y374−D424、A375−D424、K376−D424、D377−D424、L378−D424、R379−D424、P380−D424、A381−D424、L382−D424、V383−D424、K384−D424、L385−D424、Q386−D424、E387−D424、E388−D424、N389−D424、L390−D424、S391−D424、A392−D424、M393−D424、N394−D424、T395−D424、D396−D424、L397−D424、L398−D424、Y399−D424、S400−D424、A401−D424、Y402−D424、H403−D424、Y404−D424、S405−D424、H406−D424、P407−D424、P408−D424、L409−D424、V410−D424、E411−D424、R412−D424、L413−D424、R414−D424、A415−D424、I416−D424、D417−D424、G418−D424(配列番号6)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0085】
好ましい実施形態では、以下のC末端欠失突然変異体は、本発明により包含される:M1−D424、M1−T423、M1−K422、M1−K421、M1−D420、M1−E419、M1−G418、M1−D417、M1−I416、M1−A415、M1−R414、M1−L413、M1−R412、M1−E411、M1−V410、M1−L409、M1−P408、M1−P407、M1−H406、M1−S405、M1−Y404、M1−H403、M1−Y402、M1−A401、M1−S400、M1−Y399、M1−L398、M1−L397、M1−D396、M1−T395、M1−N394、M1−M393、M1−A392、M1−S391、M1−L390、M1−N389、M1−E388、M1−E387、M1−Q386、M1−L385、M1−K384、M1−V383、M1−L382、M1−A381、M1−P380、M1−R379、M1−L378、M1−D377、M1−K376、M1−A375、M1−Y374、M1−G373、M1−L372、M1−K371、M1−V370、M1−A369、M1−F368、M1−A367、M1−D366、M1−A365、M1−Q364、M1−F363、M1−E362、M1−F361、M1−A360、M1−R359、M1−S358、M1−V357、M1−L356、M1−N355、M1−L354、M1−G353、M1−F352、M1−S351、M1−V350、M1−L349、M1−H348、M1−Q347、M1−L346、M1−P345、M1−I344、M1−V343、M1−T342、M1−H341、M1−Q340、M1−F339、M1−I338、M1−I337、M1−L336、M1−G335、M1−I334、M1−L333、M1−V332、M1−P331、M1−Q330、M1−T329、M1−D328、M1−F327、M1−G326、M1−F325、M1−S324、M1−R323、M1−F322、M1−L321、M1−D320、M1−T319、M1−S318、M1−N317、M1−R316、M1−V315、M1−L314、M1−T313、M1−Y312、M1−G311、M1−G310、M1−F309、M1−Q308、M1−L307、M1−F306、M1−A305、M1−L304、M1−I303、M1−Q302、M1−V301、M1−A300、M1−I299、M1−F298、M1−S297、M1−Y296、M1−T295、M1−T294、M1−H293、M1−N292、M1−L291、M1−K290、M1−W289、M1−H288、M1−G287、M1−L286、M1−E285、M1−H284、M1−A283、M1−I282、M1−V281、M1−A280、M1−V279、M1−I278、M1−E277、M1−D276、M1−E275、M1−N274、M1−K273、M1−C272、M1−Q271、M1−Q270、M1−I269、M1−L268、M1−T267、M1−D266、M1−Y265、M1−L264、M1−V263、M1−I262、M1−R261、M1−K260、M1−N259、M1−K258、M1−F257、M1−F256、M1−G255、M1−Y254、M1−M253、M1−Y252、M1−A251、M1−N250、M1−S249、M1−H248、M1−S247、M1−S246、M1−R245、M1−T244、M1−S243、M1−G242、M1−D241、M1−V240、M1−V239、M1−F238、M1−L237、M1−K236、M1−K235、M1−L234、M1−P233、M1−F232、M1−K231、M1−L230、M1−S229、M1−S228、M1−A227、M1−L226、M1−K225、M1−E224、M1−I223、M1−K222、M1−E221、M1−R220、M1−L219、M1−D218、M1−G217、M1−D216、M1−P215、M1−L214、M1−P213、M1−T212、M1−F211、M1−K210、M1−N209、M1−F208、M1−L207、M1−P206、M1−A205、M1−I204、M1−L203、M1−V202、M1−P201、M1−Y200、M1−I199、M1−T198、M1−M197、M1−M196、M1−V195、M1−L194、M1−S193、M1−L192、M1−I191、M1−F190、M1−M189、M1−F188、M1−A187、M1−W186、M1−L185、M1−Y184、M1−I183、M1−A182、M1−L181、M1−Y180、M1−P179、M1−G178、M1−G177、M1−K176、M1−Q175、M1−V174、M1−I173、M1−F172、M1−I171、M1−I170、M1−A169、M1−A168、M1−V167、M1−I166、M1−P165、M1−P164、M1−G163、M1−L162、M1−I161、M1−V160、M1−S159、M1−L158、M1−F157、M1−T156、M1−G155、M1−K154、M1−I153、M1−M152、M1−D151、M1−R150、M1−I149、M1−F148、M1−M147、M1−W146、M1−I145、M1−T144、M1−Q143、M1−K142、M1−N141、M1−F140、M1−G139、M1−H138、M1−R137、M1−S136、M1−E135、M1−I134、M1−V133、M1−F132、M1−T131、M1−S130、M1−Y129、M1−L128、M1−S127、M1−F126、M1−P125、M1−L124、M1−D123、M1−T122、M1−I121、M1−Q120、M1−S119、M1−W118、M1−T117、M1−M116、M1−V115、M1−G114、M1−A113、M1−L112、M1−F111、M1−S110、M1−L109、M1−T108、M1−H107、M1−L106、M1−I105、M1−E104、M1−N103、M1−E102、M1−P101、M1−D100、M1−L99、M1−G98、M1−L97、M1−R96、M1−P95、M1−L94、M1−V93、M1−A92、M1−G91、M1−S90、M1−M89、M1−K88、M1−W87、M1−F86、M1−W85、M1−P84、M1−L83、M1−I82、M1−G81、M1−F80、M1−F79、M1−L78、M1−I77、M1−A76、M1−S75、M1−D74、M1−M73、M1−L72、M1−I71、M1−T70、M1−V69、M1−F68、M1−E67、M1−H66、M1−V65、M1−F64、M1−H63、M1−F62、M1−Y61、M1−S60、M1−K59、M1−D58、M1−L57、M1−S56、M1−Y55、M1−A54、M1−R53、M1−S52、M1−K51、M1−E50、M1−F49、M1−K48、M1−E47、M1−Q46、M1−S45、M1−I44、M1−V43、M1−G42、M1−V41、M1−L40、M1−T39、M1−K38、M1−P37、M1−L36、M1−T35、M1−P34、M1−L33、M1−K32、M1−L31、M1−A30、M1−T29、M1−L28、M1−Q27、M1−R26、M1−L25、M1−D24、M1−L23、M1−Y22、M1−T21、M1−E20、M1−F19、M1−I18、M1−Y17、M1−M16、M1−V15、M1−I14、M1−M13、M1−F12、M1−G11、M1−V10、M1−V9、M1−T8、M1−E7(配列番号6)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0086】
EST配列のような多くのポリヌクレオチド配列は、配列データベースにより公的に利用可能およびアクセス可能である。これらの配列の幾つかは、配列番号5に関連しており、本発明の考案前に公的に利用可能であった場合がある。好ましくは、かかる関連ポリヌクレオチドは、本発明の範囲から具体的に排除される。すべての関連配列を列挙することは、厄介である。したがって、好ましくは、a〜bの一般式(ここで、aは、配列番号5の1〜1275の任意の整数であり、bは、15〜1275の整数であり、aとbの両方が、配列番号5に示すヌクレオチド残基の位置に対応し、bは、a+14以上である)で示されるヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドは本発明から排除される。
【0087】
遺伝子番号4によりコードされるポリペプチドの特徴
配列番号7(図8)に従うポリヌクレオチド配列によりコードされ、および/または寄託クローンGmPrPase1内に含まれるポリヌクレオチドによりコードされる、配列番号8(図9)として提供されるこの遺伝子のポリペプチドは、ヒトおよび酵母プレニルペプチダーゼの両方に対してヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの有意な相同性を有する(図12A〜Dを参照)。相同性に基づいて、本発明のポリペプチドは、プレニルペプチダーゼとともに少なくとも幾つかの生物学活性を共有し得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(アゴニストを含む)には、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与することを含むが、これらに限定されない用途がある。あるいは、本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストも、植物、特にアラビドプシスに対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与する際に有用であり得る。
【0088】
細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991 Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリアAtriplex nummulariaでは、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらの酵素のより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/断片を含む)には、植物における熱、干ばつおよび塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途があり得る。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0089】
別の実施形態では、種子特異的プロモーター(例えば、未知の種子タンパク質、USP、プロモーター)を用いた植物内での本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現は、種子貯蔵化合物の量を増大するのに有用である。さらに、本発明のアンタゴニストには、種子貯蔵化合物の量を調節することを含む用途があり得る。
【0090】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/収量高の調節、それを通して好ましくは植物および収量高の増加を含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のGmPrPaseポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0091】
コードポリペプチドは、プレニルプロテアーゼとともに少なくとも幾つかの生物活性を共有し得ると考えられるが、このクローンの正確な生物学的機能を決定する多数の方法が、当該技術分野で既知であるか、または本明細書中の他の箇所に記載されている。簡潔に述べると、このクローンの機能は、マイクロアレイ方法論を適用することで決定し得る。本発明の他のクローンに加えてGmPrPaase1クローンを、発現プロファイリング用のマイクロチップ上に配列し得る。どのポリヌクレオチドプローブがスライドにハイブリダイズするのに使用されるかに応じて、特定遺伝子の発現の変化は、研究される条件に基づいて、この遺伝子の機能に対するさらなる洞察を提供し得る。例えば、使用するポリヌクレオチドプローブが、冷却処理した組織に由来する場合の発現レベルで観察される増加または減少は、例えば、寒冷耐性を調節する際の機能を示し得る。GmPrPase1の場合では、水を与えない組織、あるいは他の生物的または非生物的ストレス(熱、干ばつ、高光量、高塩等)によりストレスを加えた組織は、プローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用され得る。さらに、種子発生の異なる段階(初期、中期、後期)がプローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用され得る。
【0092】
さらに、タンパク質の機能は、例えば、定量的PCR方法論を適用することで評価してもよい。リアルタイム定量的PCRは、例えば植物発生周期全体にわたって特定の遺伝子の発現を追跡する能力を提供する。定量的PCR方法論は、ほんのわずかな量の、各発生上重要な段階(3日発芽苗木、1週齢苗木[根、新芽、および茎]、開花開始前の根、葉および茎、花[種々の部分]、および/または発生中の胚)からの組織が、かかる実験を実施するのに必要なだけである。したがって、このポリペプチドの生物学的機能を精密化するための定量的PCR方法論の適用は、本発明に包含される。また、配列番号7(図8)として提供されるポリヌクレオチド配列に相当する定量的PCRプローブも本発明に包含される。
【0093】
タンパク質の機能はまた、酵母中の相補性アッセイにより評価してもよい。例えば、GmPrPase1クローンの場合では、プレニルプロテアーゼ活性を欠損した酵母を形質転換し、それの成長する能力を評価することは、GmPrPase1クローンが、プレニルプロテアーゼ活性を有するという説得力のある証拠を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの機能を評価するのに使用し得るさらなるアッセイ条件および方法は、当該技術分野で既知であり、その幾つかが、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0094】
あるいは、コードポリペプチドの生物学的機能は、シネコシスティス(Synechosystis)でこのポリペプチドの相同体を崩壊させることで決定してもよい。シアノバクテリア(青緑色藻類)は、植物葉緑体の祖先とみなされる。それは、植物合成系および植物の代謝プロセスを連想させる多くの他の代謝プロセスの両方を保有する。これらのプロセスは、多くの市販の除草剤を対象としており、この生物は、多くの種類の除草剤の作用機序の研究で広範に使用されている。シネコシスティスは、最良に研究されたシアノバクテリアの1つである。シアノバクテリアに共通する特徴の多くに加え、それは、多くの他の付加的利点を提供する。シネコシスティスは、自然に存在する遺伝子形質転換系を有しており、したがって、よく特性化された系のうちのいくつか(セレビシエ(S.cerevisiae)、大腸菌)に適用可能である。強力かつ複雑な遺伝子および分子操作(例えば、標的遺伝子崩壊、遺伝子置換等)を引き起こす。最も重要なことには、シネコシスティスの完全なゲノム配列情報の有用性は、所定の遺伝子(複数可)の迅速な同定およびクローニングのための手段、ならびに遺伝子および分子手段による遺伝子機能の解明をもたらす。
【0095】
さらに、このポリペプチドの生物学的機能は、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用、およびそれにより得られるトランスジェニック植物の生成により決定してもよい。トランスジェニック植物中のセンスまたはアンチセンス配向での特定遺伝子の発現は、当該特定遺伝子のそれぞれより高いまたは低い発現レベルを引き起こすことができる。遺伝子の内因性発現レベルの変更は、特定の表現型の観察を引き起こすことができ、続いてその特定の表現型は、遺伝子の機能での徴候を駆動するのに使用することができる。遺伝子は、強力な遍在性プロモーターを用いていつでも植物のあらゆる細胞で過剰発現または過小発現され得るか、あるいはそれは、十分に特性化された組織特異的プロモーター(すなわち、根プロモーター、または花特異的プロモーター、または種子特異的プロモータ)を用いて植物の1つまたは複数の別個の部分で発現され得るか、あるいはそれは、誘導性および/または発生的に調節されるプロモーターを用いて発生の特定の時期で発現され得る。
【0096】
GmPrPase1トランスジェニック植物の場合では、正常な成長条件で表現型が明らかでない場合、ストレス条件(水の欠乏、高塩の存在、あるいは寒冷、熱、干ばつ、高光量等のような他の生物的または非生物的ストレス)下で植物を観察することにより、遺伝子機能の理解がもらされ得る。あるいは種子貯蔵化合物の場合には、油、糖およびタンパク質の量の生化学的分析は、遺伝子の機能の理解をもたらし得る。したがって、ポリペプチドの生物学的機能を精密化するためのトランスジェニック植物の創出への、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用は、本発明に包含される。
【0097】
好ましい実施形態では、以下のN末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:M1−C400、A2−C400、F3−C400、P4−C400、Y5−C400、M6−C400、E7−C400、A8−C400、V9−C400、V10−C400、G11−C400、F12−C400、M13−C400、I14−C400、L15−C400、M16−C400、Y17−C400、I18−C400、F19−C400、E20−C400、T21−C400、Y22−C400、L23−C400、D24−C400、V25−C400、R26−C400、Q27−C400、H28−C400、R29−C400、A30−C400、L31−C400、K32−C400、L33−C400、P34−C400、T35−C400、L36−C400、P37−C400、K38−C400、T39−C400、L40−C400、E41−C400、G42−C400、V43−C400、I44−C400、S45−C400、Q46−C400、E47−C400、K48−C400、F49−C400、E50−C400、K51−C400、S52−C400、R53−C400、A54−C400、Y55−C400、S56−C400、L57−C400、D58−C400、K59−C400、S60−C400、H61−C400、F62−C400、H63−C400、F64−C400、V65−C400、H66−C400、E67−C400、F68−C400、V69−C400、T70−C400、I71−C400、V72−C400、T73−C400、D74−C400、S75−C400、T76−C400、I77−C400、L78−C400、Y79−C400、F80−C400、G81−C400、V82−C400、L83−C400、P84−C400、W85−C400、F86−C400、W87−C400、K88−C400、K89−C400、S90−C400、G91−C400、D92−C400、F93−C4O0、M94−C400、T95−C400、I96−C400、A97−C400、G98−C400、F99−C400、N100−C400、A101−C400、E102−C400、N103−C400、E104−C400、I105−C400、L106−C400、H107−C400、T108−C400、L109−C400、A110−C400、F111−C400、L112−C400、A113−C400、G114−C400、L115−C400、M116−C400、I117−C400、W118−C400、S119−C400、Q120−C400、I121−C400、T122−C400、D123−C400、L124−C400、P125−C400、F126−C400、S127−C400、L128−C400、Y129−C400、S130−C400、T131−C400、F132−C400、V133−C400、I134−C400、E135−C400、A136−C400、R137−C400、H138−C400、G139−C400、F140−C400、N141−C400、K142−C400、Q143−C400、T144−C400、P145−C400、W146−C400、L147−C400、F148−C400、F149−C400、R150−C400、D151−C400、M152−C400、L153−C400、K154−C400、G155−C400、I156−C400、F157−C400、L158−C400、S159−C400、V160−C400、I161−C400、I162−C400、G163−C400、P164−C400、P165−C400、I166−0400、V167−C400、A168−C400、A169−C400、I170−C400、I171−C400、V172−C400、I173−C400、V174−C400、Q175−C400、K176−C400、G177−C400、G178−C400、P179−C400、Y180−C400、L181−C400、A182−C400、I183−C400、Y184−C400、L185−C400、W186−C400、V187−C400、F188−C400、T189−C400、F190−C400、G191−C400、L192−C400、S193−C400、I194−C400、V195−C400、M196−C400、M197−C400、T198−C400、L199−C400、Y200−C400、P201−C400、V202−C400、L203−C400、I204−C400、A205−C400、P206−C400、L207−C400、F208−C400、N209−C400、K210−C400、F211−C400、T212−C400、P213−C400、L214−C400、P215−C400、D216−C400、G217−C400、Q218−C400、L219−C400、R220−C400、E221−C400、K222−C400、I223−C400、E224−C400、K225−C400、L226−C400、A227−C400、S228−C400、S229−C400、L230−C400、N231−C400、Y232−C400、P233−C400、L234−C400、K235−C400、K236−C400、L237−C400、F238−C400、V239−C400、V240−C400、D241−C400、G242−C400、S243−C400、T244−C400、R245−C400、S246−C400、S247−C400、H248−C400、S249−C400、N250−C400、A251−C400、Y252−C400、M253−C400、Y254−C400、G255−C400、F256−C400、F257−C400、K258−C400、N259−C400、K260−C400、R261−C400、I262−C400、V263−C400、L264−C400、Y265−C400、D266−d400、T267−C400、L268−C400、I269−C400、Q270−C400、Q271−C400、C272−C400、K273−C400、D274−C400、D275−C400、E276−C400、E277−C400、I278−C400、V279−C400、A280−C400、V281−C400、I282−C400、A283−C400、H284−C400、E285−C400、L286−C400、G287−C400、H288−C400、W289−C400、K290−C400、L291−C400、N292−C400、H293−C400、T294−C400、V295−C400、Y296−C400、T297−C400、F298−C400、V299−C400、A300−C400、M301−C400、Q302−C400、I303−C400、L304−C400、T305−C400、L306−C400、L307−C400、Q308−C400、F309−C400、G310−C400、G311−C400、Y312−C400、T313−C400、L314−C400、V315−C400、R316−C400、N317−C400、S318−C400、A319−C400、D320−C400、L321−C400、Y322−C400、R323−C400、S324−C400、F325−C400、G326−C400、F327−C400、D328−C400、T329−C400、Q330−C400、P331−C400、V332−C400、L333−C400、I334−C400、G335−C400、L336−C400、I337−C400、I338−C400、F339−C400、Q340−C400、H341−C400、T342−C400、V343−C400、I344−C400、P345−C400、L346−C400、Q347−C400、Q348−C400、L349−C400、V350−C400、S351−C400、F352−C400、G353−C400、L354−C400、N355−C400、L356−C400、V357−C400、S358−C400、R359−C400、S360−C400、F361−C400、E362−C400、F363−C400、Q364−C400、A365−C400、D366−C400、G367−C400、F368−C400、A369−C400、K370−C400、K371−C400、L372−C400、G373−C400、Y374−C400、A375−C400、S376−C400、G377−C400、L378−C400、R379−C400、G380−C400、G381−C400、L382−C400、V383−C400、K384−C400、L385−C400、Q386−C400、E387−C400、E388−C400、N389−C400、L390−0400、S39I−C400、A392−C400、M393−C400、N394−C400(配列番号8)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0098】
好ましい実施形態では、以下のC末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:M1−C400、M1−S399、M1−C398、M1−P397、M1−D396、M1−T395、M1−N394、M1−M393、M1−A392、M1−S391、M1−L390、M1−N389、M1−E388、M1−E387、M1−Q386、M1−L385、M1−K384、M1−V383、M1−L382、M1−G381、M1−G380、M1−R379、M1−L378、M1−G377、M1−S376、M1−A375、M1−Y374、M1−G373、M1−L372、M1−K371、M1−K370、M1−A369、M1−F368、M1−G367、M1−D366、M1−A365、M1−Q364、M1−F363、M1−E362、M1−F361、M1−S360、M1−R359、M1−S358、M1−V357、M1−L356、M1−N355、M1−L354、M1−G353、M1−F352、M1−S351、M1−V350、M1−L349、M1−Q348、M1−Q347、M1−L346、M1−P345、M1−I344、M1−V343、M1−T342、M1−H341、M1−Q340、M1−F339、M1−I338、M1−I337、M1−L336、M1−G335、M1−I334、M1−L333、M1−V332、M1−P331、M1−Q330、M1−T329、M1−D328、M1−F327、M1−G326、M1−F325、M1−S324、M1−R323、M1−Y322、M1−L321、M1−D320、M1−A319、M1−S318、M1−N317、M1−R316、M1−V315、M1−L314、M1−T313、M1−Y312、M1−G311、M1−G310、M1−F309、M1−Q308、M1−L307、M1−L306、M1−T305、M1−L304、M1−I303、M1−Q302、M1−M301、M1−A300、M1−V299、M1−F298、M1−T297、M1−Y296、M1−V295、M1−T294、M1−H293、M1−N292、M1−L291、M1−K290、M1−W289、M1−H288、M1−G287、M1−L286、M1−E285、M1−H284、M1−A283、M1−I282、M1−V281、M1−A280、M1−V279、M1−I278、M1−E277、M1−E276、M1−D275、M1−D274、M1−K273、M1−C272、M1−Q271、M1−Q270、M1−I269、M1−L268、M1−T267、M1−D266、M1−Y265、M1−L264、M1−V263、M1−I262、M1−R261、M1−K260、M1−N259、M1−K258、M1−F257、M1−F256、M1−G255、M1−Y254、M1−M253、M1−Y252、M1−A251、M1−N250、M1−S249、M1−H248、M1−S247、M1−S246、M1−R245、M1−T244、M1−S243、M1−G242、M1−D241、M1−V240、M1−V239、M1−F238、M1−L237、M1−K236、M1−K235、M1−L234、M1−P233、M1−Y232、M1−N231、M1−L230、M1−S229、M1−S228、M1−A227、M1−L226、M1−K225、M1−E224、M1−I223、M1−K222、M1−E221、M1−R220、M1−L219、M1−Q218、M1−G217、M1−D216、M1−P215、M1−L214、M1−P213、M1−T212、M1−F211、M1−K210、M1−N209、M1−F208、M1−L207、M1−P206、M1−A205、M1−I204、M1−L203、M1−V202、M1−P201、M1−Y200、M1−L199、M1−T198、M1−M197、M1−M196、M1−V195、M1−I194、M1−S193、M1−L192、M1−G191、M1−F190、M1−T189、M1−F188、M1−V187、M1−W186、M1−L185、M1−Y184、M1−I183、M1−A182、M1−L181、M1−Y180、M1−P179、M1−G178、M1−G177、M1−K176、M1−Q175、M1−V174、M1−I173、M1−V172、M1−I171、M1−I170、M1−A169、M1−A168、M1−V167、M1−I166、M1−P165、M1−P164、M1−G163、M1−I162、M1−I161、M1−V160、M1−S159、M1−L158、M1−F157、M1−I156、M1−G155、M1−K154、MI−L153、M1−M152、M1−D151、M1−R150、M1−F149、M1−F148、M1−L147、M1−W146、M1−P145、M1−T144、M1−Q143、M1−K142、M1−N141、M1−F140、M1−G139、M1−H138、M1−R137、M1−A136、M1−E135、M1−I134、M1−V133、M1−F132、M1−T131、M1−S130、M1−Y129、M1−L128、M1−S127、M1−F126、M1−P125、M1−L124、M1−D123、M1−T122、M1−I121、M1−Q120、M1−S119、M1−W118、M1−I117、M1−M116、M1−L115、M1−G114、M1−A113、M1−L112、M1−F111、M1−A110、M1−L109、M1−T108、M1−H107、M1−L106、M1−I105、M1−E104、M1−N103、M1−E102、M1−A101、M1−N100、M1−F99、M1−G98、M1−A97、M1−I96、M1−T95、M1−M94、M1−F93、M1−D92、M1−G91、M1−S90、M1−K89、M1−K88、M1−W87、M1−F86、M1−W85、M1−P84、M1−L83、M1−V82、M1−G81、M1−F80、M1−Y79、M1−L78、M1−I77、M1−T76、M1−S75、M1−D74、M1−T73、M1−V72、M1−I71、M1−T70、M1−V69、M1−F68、M1−E67、M1−H66、M1−V65、M1−F64、M1−H63、M1−F62、M1−H61、M1−S60、M1−K59、M1−D58、M1−L57、M1−S56、M1−Y55、M1−A54、M1−R53、M1−S52、M1−K51、M1−E50、M1−F49、M1−K48、M1−E47、M1−Q46、M1−S45、M1−I44、M1−V43、M1−G42、M1−E41、M1−L40、M1−T39、M1−K38、M1−P37、M1−L36、M1−T35、M1−P34、M1−L33、M1−K32、M1−L31、M1−A30、M1−R29、M1−H28、M1−Q27、M1−R26、M1−V25、M1−D24、M1−L23、M1−Y22、M1−T21、M1−E20、M1−F19、M1−I18、M1−Y17、M1−M16、M1−L15、M1−I14、M1−M13、M1−F12、M1−G11、M1−V10、M1−V9、M1−A8、M1−E7(配列番号8)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0099】
EST配列のような多くのポリヌクレオチド配列は、配列データベースにより公的に利用可能およびアクセス可能である。これらの配列の幾つかは、配列番号7に関連しており、本発明の考案前に公的に利用可能であった場合がある。好ましくは、かかる関連ポリヌクレオチドは、本発明の範囲から具体的に排除される。すべての関連配列を列挙することは、厄介である。したがって、好ましくは、a〜bの一般式(ここで、aは、配列番号7の1〜1473の任意の整数であり、bは、15〜1434の整数であり、aとbの両方が、配列番号7に示すヌクレオチド残基の位置に対応し、bは、a+14以上である)で示されるヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドは本発明から排除される。
【0100】
遺伝子番号5によりコードされるポリペプチドの特徴
配列番号9(図10)に従うポリヌクレオチド配列によりコードされ、および/または寄託クローンZmPrPase1内に含まれるポリヌクレオチドによりコードされる配列番号10(図11)として提供されるこの遺伝子のポリペプチドは、ヒトおよび酵母プレニルペプチダーゼの両方に対してヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの有意な相同性を有する(図12A〜Dを参照)。相同性に基づいて、本発明のポリヌクレオチドは、プレニルペプチダーゼとに少なくとも幾つかの生物学活性を共有し得る。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、そのアゴニストおよび/または断片も加え)植物に対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与することを含むが、これらに限定されない用途がある。ポリヌクレオチドも、全長のZmPrPase1を同定することを含む用途を有する。さらに、本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストも、植物、に対する干ばつ耐性および/または塩耐性を付与する際に有用であり得る。
【0101】
細菌シャペロンDnaJのファルネシル化は、高温での細菌成長に不可欠である(Wickner, S. et al 1991, Nature 350:165-7)。このシャペロンのファルネシル化は、その完全な活性に必要とされる。植物アトリプレクス・ヌムラリアAtriplex nummulariaでは、ANJ1が、DnaJの相同体であり、熱および塩処理により誘導される(Zhu, J.-K. et al 1993 The Plant Cell 5:341-9)。この酵素は、ファルネシル化の標的である。植物シャペロンのファルネシル化の増加は、これらの酵素のより高い生物活性をもたらし、したがって植物ストレス耐性の増加を引き起こすことがわかっている。したがって、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/断片を含む)には、植物における熱、干ばつおよび塩ストレスに対する抵抗性を付与することを含む用途がある。あるいは、本発明のアンタゴニストには、植物における熱、干ばつ、および塩ストレスを含むが、これらに限定されない生物的および/非生物的ストレスに対する植物の感受性を調節することを含む用途がある。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、熱、干ばつ、および塩ストレスに対する植物抵抗性を増加させる。一実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた植物内の本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現(但し孔辺細胞中ではない)は、植物の干ばつおよび塩耐性を改善するのに有用であろう。
【0102】
タンパク質ファルネシル化は、細胞周期の制御と正に関与している(Ziegelhoffer et al 2000 PNAS 97:7633-8)。タンパク質ファルネシル化に関与した遺伝子、すなわちファルネシルトランスフェラーゼの突然変異は、アラビドプシス植物において細胞増殖の阻害をもたらす(Bonetta et al. 2000 Planta 211:182-90)。ファルネシル化経路の植物における構成的過剰発現、すなわちプレニルペプチダーゼの過剰発現は、細胞増殖の増加、植物成長の増加をもたらす。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド(それらのアゴニストおよび/または断片を含む)には、植物成長、および潜在的に植物の収量高の調節、好ましくは植物成長の増加を含む用途がある。さらに、本発明のアンタゴニストには、植物成長および/または収量高の調節(より好ましくは植物および収量高の増加を介する)含む用途があり得る。さらに別の実施形態では、構成的プロモーター(例えば、35S、または本明細書中に開示する他のプロモーター)を用いた本発明のPrPaseポリペプチドの過剰発現は、細胞***を促進することで、植物成長を増加させるのに有用であり得る。
【0103】
コードポリペプチドは、プレニルプロテアーゼとに少なくとも幾つかの生物活性を共有し得ると考えられるが、このクローンの正確な生物学的機能を決定する多数の方法が、当該技術分野で既知であるか、または本明細書中の他の箇所に記載されている。簡潔に述べると、このクローンの機能は、マイクロアレイ方法論を適用することで決定し得る。本発明の他のクローンに加えてZmPrPaase1クローンを、発現プロファイリング用のマイクロチップ上に配列し得る。どのポリヌクレオチドプローブがスライドにハイブリダイズするのに使用されるかに応じて、特定遺伝子の発現の変化は、研究される条件に基づいて、この遺伝子の機能に対するさらなる洞察を提供し得る。例えば、使用するポリヌクレオチドプローブが、冷却処理した組織に由来する場合の発現レベルで観察される増加または減少は、寒冷耐性を調節する際の機能を示し得る。ZmPrPase1の場合では、水を与えない組織、あるいは他の生物的または非生物的ストレス(熱、干ばつ、高光量、高塩等)によりストレスを加えた組織は、プローブを調製するためにRNAを抽出するのに使用されるはずである。
【0104】
さらに、タンパク質の機能は、例えば、定量的PCR方法論を提供することで評価してもよい。リアルタイム定量的PCRは、例えば植物発生周期全体にわたって特定の遺伝子の発現を追跡する能力を提供する。定量的PCR方法論は、ほんのわずかな量の、各発生上重要な段階(3日発芽苗木、1週齢苗木[根、新芽、および茎]、開花開始前の根、葉および茎、花[種々の部分]、および/または発生中の胚)からの組織が、かかる実験を実施するのに必要なだけである。したがって、このポリペプチドの生物学的機能を精密化するための定量的PCR方法論の適用は、本発明に包含される。また、配列番号9(図10)として提供されるポリヌクレオチド配列に相当する定量的PCRプローブも本発明に包含される。
【0105】
タンパク質の機能はまた、酵母中の相補性アッセイにより評価してもよい。例えば、ZmPrPaseクローン1の場合では、プレニルプロテアーゼ活性を欠損した酵母を形質転換し、それの成長する能力を評価することは、ZmPrPase1クローンが、プレニルプロテアーゼ活性を有するという説得力のある証拠を提供する。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの機能を評価するのに使用し得るさらなるアッセイ条件および方法は、当該技術分野で既知であり、その幾つかが、本明細書中の他の箇所に開示されている。
【0106】
あるいは、コードポリペプチドの生物学的機能は、シネコシスティス(Synechosystis)でこのポリペプチドの相同体を崩壊させることで決定してもよい。シアノバクテリア(青緑色藻類)は、植物葉緑体の前駆物質とみなされる。それは、光合成系および植物の代謝プロセスを連想させる多くの他の代謝プロセスの両方を保有する。これらのプロセスは、市販の除草剤の対象であることが多く、この生物は、多くの種類の除草剤の作用機序に研究で広範に使用されている。シネコシスティスは、最良に研究されたシアノバクテリアの1つである。シアノバクテリアに共通する特徴の多くに加え、それは、多くの他の付加的利点を提供する。シネコシスティスは、自然に存在する遺伝子形質転換系を有しており、したがって、よく特性化された系のうちのいくつか(S.セレビシエ(S.cerevisiae)、大腸菌)に適用可能である強力かつ複雑な遺伝子および分子操作(例えば、標的遺伝子崩壊、遺伝子置換等)を引き起こす。最も重要なことには、シネコシスティスの完全なゲノム配列情報の有用性は、所定の遺伝子(複数可)の迅速な同定およびクローニングのための手段、ならびに遺伝子敵および分子的手段による遺伝子機能の解明をもたらす。
【0107】
さらに、このポリペプチドの生物学的機能は、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用、およびそれにより得られるトランスジェニック植物の生成により決定してもよい。トランスジェニック植物中のセンスまたはアンチセンス配向での特定遺伝子の発現は、当該特定遺伝子のそれぞれより高いまたは低い発現レベルを引き起こすことができる。遺伝子の内因性発現レベルの変更は、特定の表現型の観察を引き起こすことができ、続いてその特定の表現型は、遺伝子の機能についての徴候を駆動するのに使用することができる。遺伝子は、強力な遍在性プロモーターを用いていつでも植物のあらゆる細胞で過剰発現または過小発現され得るか、あるいはそれは、十分に特性化された組織特異的プロモーター(すなわち、根プロモーター、または花特異的プロモーター)を用いて植物の1つまたは複数の別個の部分で発現され得るか、あるいはそれは、誘導性および/または発生的に調節されるプロモーターを用いて発生の特定の時期で発現され得る。
【0108】
ZmPrPase1トランスジェニック植物の場合では、正常な成長条件で表現型が明らかでない場合、ストレス条件(水の欠乏、高塩の存在、あるいは寒冷、熱、干ばつ、高光量等のような他の生物的または非生物的ストレス)下で植物を観察することにより、遺伝子機能の理解がもらされ得る。種子貯蔵化合物の場合には、油、糖およびタンパク質の生化学的分析(実施例34を参照)は、遺伝子の機能の理解をもたらし得る。したがって、ポリペプチドの生物学的機能を精密化するためのトランスジェニック植物の創出への、アンチセンスおよび/またはセンス方法論の適用は、本発明に包含される。
【0109】
好ましい実施形態では、以下のN末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:T1−D329、R2−D329、L3−D329、S4−D329、A5−D329、E6−D329、N7−D329、E8−D329、I9−D329、I10−D329、H11−D329、T12−D329、L13−D329、A14−D329、F15−D329、L16−D329、A17−D329、G18−D329、S19−D329、M20−D329、V21−D329、W22−D329、S23−D329、Q24−D329、I25−D329、T26−D329、D27−D329、L28−D329、P29−D329、F30−D329、S31−D329、L32−D329、Y33−D329、S34−D329、T35−D329、F36−D329、V37−D329、I38−D329、E39−D329、A40−D329、R41−D329、H42−D329、G43−D329、F44−D329、N45−D329、K46−D329、Q47−D329、T48−D329、I49−D329、W50−D329、L51−D329、F52−D329、I53−D329、R54−D329、D55−D329、M56−D329、I57−D329、K58−D329、G59−D329、I60−D329、L61−D329、L62−D329、S63−D329、M64−D329、I65−D329、L66−D329、G67−D329、P68−D329、P69−D329、I70−D329、V71−D329、A72−D329、A73−D329、I74−D329、I75−D329、Y76−D329、I77−D329、V78−D329、Q79−D329、I80−D329、G81−D329、G82−D329、P83−D329、Y84−D329、L85−D329、A86−D329、I87−D329、Y88−D329、L89−D329、W90−D329、G91−D329、F92−D329、M93−D329、F94−D329、V95−D329、L96−D329、A97−D329、L98−D329、L99−D329、M100−D329、M101−D329、T102−D329、I103−D329、Y104−D329、P105−D329、I106−D329、V107−D329、I108−D329、A109−D329、P110−D329、L111−D329、F112−D329、N113−D329、K114−D329、F115−D329、T116−D329、P117−D329、L118−D329、P119−D329、E120−D329、G121−D329、V122−D329、L123−D329、R124−D329、E125−D329、K126−D329、I127−D329、E128−D329、K129−D329、L130−D329、A131−D329、A132−D329、S133−D329、L134−D329、K135−D329、F136−D329、P137−11329、L138−D329、K139−D329、K140−D329、L141−D329、F142−D329、V143−D329、V144−D329、D145−D329、G146−D329、S147−D329、T148−D329、R149−D329、S150−D329、S151−D329、H152−D329、S153−D329、N154−D329、A155−0329、Y156−D329、M157−D329、Y158−D329、G159−D329、F160−D329、F161−D329、K162−D329、N163−D329、K164−D329、R165−D329、I166−D329、V167−D329、L168−D329、Y169−D329、D170−D329、T171−D329、L172−D329、I173−D329、Q174−D329、Q175−D329、C176−D329、S177−D329、N178−D329、E179−D329、D180−D329、E181−D329、I182−D329、V183−D329、S184−D329、V185−D329、I186−D329、A187−D329、H188−D329、E189−D329、L190−D329、G191−D329、H192−D329、W193−D329、K194−D329、L195−D329、N196−D329、H197−D329、T198−D329、V199−D329、Y200−D329、S201−D329、F202−D329、V203−D329、A204−D329、V205−D329、Q206−D329、L207−D329、L208−D329、M209−D329、F210−D329、L211−D329、Q212−D329、F213−D329、G214−D329、G215−D329、Y216−D329、T217−D329、L218−D329、V219−D329、R220−D329、S221−D329、S222−D329、K223−D329、D224−D329、L225−D329、F226−D329、G227−D329、S228−D329、F229−D329、G230−D329、F231−D329、K232−D329、D233−D329、Q234−D329、P235−D329、V236−D329、I237−D329、I238−D329、G239−D329、L240−D329、I241−D329、I242−D329、F243−D329、P244−D329、H245−D329、T246−D329、I247−D329、I248−D329、P249−D329、I250−D329、Q251−D329、H252−D329、L253−D329、L254−D329、S255−D329、F256−D329、R257−D329、L258−D329、N259−D329、L260−D329、V261−D329、S262−D329、R263−D329、A264−D329、F265−D329、E266−D329、F267−D329、Q268−D329、A269−D329、D270−D329、A271−D329、F272−D329、A273−D329、K274−D329、N275−D329、L276−D329、G277−D329、Y278−D329、A279−D329、P280−D329、Q281−D329、L282−D329、R283−D329、A284−D329、A285−D329、L286−D329、V287−D329、K288−D329、L289−D329、Q290−D329、E291−D329、E292−D329、N293−D329、L294−D329、S295−D329、A296−D329、M297−D329、N298−D329、T299−D329、D300−D329、P301−D329、W302−D329、Y303−D329、S304−D329、A305−D329、Y306−D329、H307−D329、Y308−D329、S309−D329、H310−D329、P311−0329、P312−D329、L313−D329、V314−D329、E315−D329、R316−D329、L317−D329、Q318−D329、A319−D329、L320−D329、E321−D329、D322−D329、S323−D329(配列番号10)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0110】
好ましい実施形態では、以下のC末端欠失突然変異体は、本発明に包含される:T1−D329、T1−E328、T1−K327、T1−K326、T1−D325、T1−D324、T1−S323、T1−D322、T1−E321、T1−L320、T1−A319、T1−Q318、T1−L317、T1−R316、T1−E315、T1−V314、T1−L313、T1−P312、T1−P311、T1−H310、T1−S309、T1−Y308、T1−H307、T1−Y306、T1−A305、T1−S304、T1−Y303、T1−W302、T1−P301、T1−D300、T1−T299、T1−N298、T1−M297、T1−A296、T1−S295、T1−L294、T1−N293、T1−E292、T1−E291、T1−Q290、T1−L289、T1−K288、T1−V287、T1−L286、T1−A285、T1−A284、T1−R283、T1−L282、T1−Q281、T1−P280、T1−A279、T1−Y278、T1−G277、T1−L276、T1−N275、T1−K274、T1−A273、T1−F272、T1−A271、T1−D270、T1−A269、T1−Q268、T1−F267、T1−E266、T1−F265、T1−A264、T1−R263、T1−S262、T1−V261、T1−L260、T1−N259、T1−L258、T1−R257、T1−F256、T1−S255、T1−L254、T1−L253、T1−H252、T1−Q251、T1−I250、T1−P249、T1−I248、T1−I247、T1−T246、T1−H245、T1−P244、T1−F243、T1−I242、T1−I241、T1−L240、T1−G239、T1−I238、T1−I237、T1−V236、T1−P235、T1−Q234、T1−D233、T1−K232、T1−F231、T1−G230、T1−F229、T1−S228、T1−G227、T1−F226、T1−L225、T1−D224、T1−K223、T1−S222、T1−S221、T1−R220、T1−V219、T1−L218、T1−T217、T1−Y216、T1−G215、T1−G214、T1−F213、T1−Q212、T1−L211、T1−F210、T1−M209、T1−L208、T1−L207、T1−Q206、T1−V205、T1−A204、T1−V203、T1−F202、T1−S201、T1−Y200、T1−V199、T1−T198、T1−H197、T1−N196、T1−L195、T1−K194、T1−W193、T1−H192、T1−G191、T1−L190、T1−E189、T1−H188、T1−A187、T1−I186、T1−V185、T1−S184、T1−V183、T1−I182、T1−E181、T1−D180、T1−E179、T1−N178、T1−S177、T1−C176、T1−Q175、T1−Q174、T1−I173、T1−L172、T1−T171、T1−D170、T1−Y169、T1−L168、T1−V167、T1−I166、T1−R165、T1−K164、T1−N163、T1−K162、T1−F161、T1−F160、T1−G159、T1−Y158、T1−M157、T1−Y156、T1−A155、T1−N154、T1−S153、T1−H152、T1−S151、T1−S150、T1−R149、T1−T148、T1−S147、T1−G146、T1−D145、T1−V144、T1−V143、T1−F142、T1−L141、T1−K140、T1−K139、T1−L138、T1−P137、T1−F136、T1−K135、T1−L134、T1−S133、T1−A132、T1−A131、T1−L130、T1−K129、T1−E128、T1−I127、T1−K126、T1−E125、T1−R124、T1−L123、T1−V122、T1−G121、T1−E120、T1−P119、T1−L118、T1−P117、T1−T116、T1−F115、T1−K114、T1−N113、T1−F112、T1−L111、T1−P110、T1−A109、T1−I108、T1−V107、T1−I106、T1?P105、T1−Y104、T1−I103、T1−T102、T1−M101、T1−M100、T1−L99、T1−L98、T1−A97、T1−L96、T1−V95、T1−F94、T1−M93、T1−F92、T1−G91、T1−W90、T1−L89、T1−Y88、T1−I87、T1−A86、T1−L85、T1−Y84、T1−P83、T1−G82、T1−G81、T1−I80、T1−Q79、T1−V78、T1−I77、T1−Y76、T1−I75、T1−I74、T1−A73、T1−A72、T1−V71、T1−I70、T1−P69、T1−P68、T1−G67、T1−L66、T1−I65、T1−M64、T1−S63、T1−L62、T1−L61、T1−I60、T1−G59、T1−K58、T1−I57、T1−M56、T1−D55、T1−R54、T1−I53、T1−F52、T1−L51、T1−W50、T1−I49、T1−T48、T1−Q47、T1−K46、T1−N45、T1−F44、T1−G43、T1−H42、T1−R41、T1−A40、T1−E39、T1−I38、T1−V37、T1−F36、T1−T35、T1−S34、T1−Y33、T1−L32、T1−S31、T1−F30、T1−P29、T1−L28、T1−D27、T1−T26、T1−I25、T1−Q24、T1−S23、T1−W22、T1−V21、T1−M20、T1−S19、T1−G18、T1−A17、T1−L16、T1−F15、T1−A14、T1−L13、T1T12、T1−H11、T1−I10、T1−I9、T1−E8、T1−N7(配列番号10)。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供される。
【0111】
EST配列のような多くのポリヌクレオチド配列は、配列データベースにより公的に利用可能およびアクセス可能である。これらの配列の幾つかは、配列番号9に関連しており、本発明の考案前に公的に利用可能であった場合がある。好ましくは、かかる関連ポリヌクレオチドは、本発明の範囲から具体的に排除される。すべての関連配列を列挙することは、厄介である。したがって、好ましくは、a〜bの一般式(ここで、aは、配列番号9の1〜1301の任意の整数であり、bは、15〜1301の整数であり、aとbの両方が、配列番号9に示すヌクレオチド残基の位置に対応し、bは、a+14以上である)で示されるヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドは本発明から排除される。
【0112】
【表1】
Figure 0004932125
【0113】
第1表は、上述の各「遺伝子番号」に相当する情報を要約している。「ヌクレオチド配列番号X」として特定されたヌクレオチド配列は、第1表で特定された「cDNAクローン識別番号」から、また場合によってはさらなる関連DNAクローンから得られる部分的相同性(「重複」)配列から構築された。重複配列は、高複製の単一連続配列(通常各ヌクレオチド位置にある幾つかの重複配列)へと構築され、配列番号Xとして特定される最終配列を生じた。
【0114】
cDNAクローン識別番号は、記載の日に寄託され、「ATCC寄託番号Zおよび日付」で列挙される相当する寄託番号が付与された。「ベクター」は、cDNAクローン識別番号に含まれるベクターの型を指す。pCR2.1は、Invitrogen, Incから得られた。
【0115】
「クローンの総ヌクレオチド配列」は、「遺伝子番号」で特定されるクローンコンティグ中のヌクレオチドの総数を指す。寄託したクローンは、配列番号Xの配列のすべてまたはほとんどを含有し得る。推定開始コドン(メチオニン)
の配列番号Xのヌクレオチド位置は、「ORFの開始コドンの5’ヌクレオチド」として特定される。
【0116】
メチオニンから開始する翻訳アミノ酸配列は、「アミノ酸配列番号Y」として特定されるが、他のリーディングフレームもまた、既知の分子生物学的技法を用いて容易に翻訳され得る。これらの代替的オープンリーディングフレームにより産生されるポリペプチドは、本発明により具体的に意図される。
【0117】
配列番号Yのオープンリーディングフレーム内のアミノ酸の総数は、「ORFの総アミノ酸」として特定される。
【0118】
配列番号X(ここで、Xは、配列表に開示したポリヌクレオチド配列のいずれであり得る)、および翻訳配列番号Y(ここで、Yは、配列表に開示したポリペプチド配列のいずれかであり得る)は、当該技術分野で既知であり、かつ以下にさらに記載する様々な用途に十分に正確であり、またそうでなければその用途に適している。例えば、配列番号Xは、配列番号Xに含まれる核酸配列または寄託クローンに含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイゼーションプローブを設計するのに有用である。これらのプローブはまた、生物学的試料中の核酸分子にハイブリダイズし、それにより本発明の様々な法医学的および診断の方法が可能となるであろう。同様に、配列番号Yから特定されるポリペプチドは、例えば、そのポリペプチドを含有するタンパク質、および第1表で特定されるcDNAクローンによりコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体を生成するのに使用してもよい。
【0119】
そうは言っても、シーケンシング反応により生成するDNA配列は、シーケンシング誤差を含み得る。誤差は、誤認ヌクレオチドとして、あるいは生成DNA配列中のヌクレオチドの挿入または欠失として存在する。誤って挿入または欠失されたヌクレオチドは、予測アミノ酸配列のリーディングフレーム中にフレームシフトを引き起こし得る。これらの場合では、生成DNA配列は、実際のDNA配列に対して99.9%を上回って同一である(例えば、1000塩基を超えるオープンリーデングフレーム中に1塩基の挿入または欠失)にもかかわらず、予測アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列と異なる。
【0120】
したがって、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列中の正確さを要する用途に関して、本発明は、配列番号Xとして特定される生成ヌクレオチド配列および配列番号Yとして特定されると予測翻訳アミノ酸配列だけでなく、第1表に記載するように、ATCCに寄託した本発明のcDNAを含有するプラスミドDNAの試料もまた提供する。各寄託クローンのヌクレオチド配列は、既知の方法にしたがって寄託クローンをシーケンシングすることで容易に決定することができる。続いて、予測アミノ酸配列は、かかる寄託物から確証することができる。さらに、特定のクローンにコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、ペプチドシーケンシングにより、あるいは寄託cDNAを含有する適切な宿主中でタンパク質を発現させ、タンパク質を収集し、その配列を決定することで、直接的に決定することもできる。
【0121】
本発明はまた、配列番号X、配列番号Y、または寄託クローンに相当する遺伝子に関する。相当する遺伝子は、本明細書中に開示する配列情報を用いて、既知の方法に従って単離することができる。かかる方法は、開示配列からプローブまたはプライマーを調製し、ゲノム物質の適切な供給源から相当する遺伝子を同定または増幅することを含む。
【0122】
種相同体、対立遺伝子変異体、および/またはオルソログもまた、本発明で提供される。当業者は、本明細書中に開示した配列またはATCCに寄託したクローン由来の配列によって、当該技術分野で既知の手順を用いて、配列番号X、配列番号Y、または寄託クローンに相当する遺伝子の完全長遺伝子(完全長コード領域を含むが、これらに限定されない)、対立遺伝子変異体、スプライス変異体、オルソログ、および/または種相同体に相当するポリヌクレオチド配列を得ることができる。例えば、対立遺伝子変異体、および/または種相同体は、本明細書中で提供する配列の5’、3’または内部領域に相当する適切なプローブまたはプライマーを作製し、対立遺伝子変異体、および/または所望の相同体に関して適切な核酸源をスクリーニングすることにより単離および特定してもよい。
【0123】
本発明のポリペプチドは、任意の適切な様式で調製することができる。かかるポリペプチドとしては、自然に存在する単離ポリペプチド、組換え的に産生されるポリペプチド、合成的に生産されるポリペプチド、またはこれらの方法の組合せにより生産されるポリペプチドが挙げられる。かかるポリペプチドを調製する手段は、当該技術分野で十分に理解されている。
【0124】
ポリペプチドは、タンパク質の形態であってもよく、あるいは融合タンパク質のような大型タンパク質の一部であってもよい(下記参照)。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、精製を助長する配列(例えば、複数のヒスチジン残基)、あるいは組換え産生中の安定性のためのさらなる配列を含有するさらなるアミノ酸配列を含むことが好適である場合が多い。
【0125】
本発明のポリペプチドは、好ましくは単離形態で提供され、好ましくは実質的に精製されている。組換え的産生型のポリペプチドは、本明細書中に記載の技法、あるいはそうでなければ当該技術分野で既知の技法(例えば、Smith and Johnson, Gene 67:31-40 (1988)に記載される一段法のような)を用いて実質的に精製することができる。本発明のポリペプチドはまた、本明細書中に記載のプロトコル、あるいはそうでなければ当該技術分野で既知のプロトコル(例えば、完全長形態のタンパク質に対して誘起される本発明の抗体のような)を用いて、自然源、合成源、または組換え源から精製することができる。
【0126】
本発明は、配列番号Xとして特定される配列、および/またはATCC寄託番号Zで提供されるcDNAを含むか、あるいはそれらから構成されるポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、配列番号Yとして特定される配列、および/またはATCC寄託番号Zで提供されるcDNAにコードされるポリペプチドを含むか、あるいはそれらから構成されるポリペプチドも提供する。本発明はまた、配列番号Yのポリペプチド配列、および/またはATCC寄託番号Zに含まれるcDNAにコードされるポリペプチド配列を含むか、あるいはそれらから構成されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。
【0127】
好ましくは、本発明は、配列番号Xとして特定される配列、および/またはATCC寄託番号:で提供されるcDNAを含むか、あるいはそれらから構成され、5メガ塩基対、1メガ塩基対、0.5メガ塩基対、0.1メガ塩基対、50,000塩基対、20,000塩基対、または10,000塩基対長のポリヌクレオチド配列以下のポリヌクレオチドに関する。
【0128】
本発明は、本明細書中に開示する本発明のポリヌクレオチド配列に相補的な配列を有するポリヌクレオチドを含む。かかる配列は、配列番号Xとして開示される配列、寄託物に含まれる配列、および/または配列番号Yとして開示される配列をコードする核酸配列に相補的であってもよい。
【0129】
本発明はまた、好ましくは低ストリンジェントな条件下で、より好ましくはストリンジェントな条件下で、最も好ましくは高ストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドを含む。ストリンジェントな条件の例を以下の第2表に示す:高ストリンジェントな条件は、少なくとも例えば条件A〜F程度ストリンジェントである条件であり、ストリンジェントな条件は、少なくとも例えば、条件G〜L程度ストリンジェントである条件であり、低ストリンジェントな条件は、少なくとも例えば条件M〜R程度ストリンジェントである条件である。
【0130】
【表2】
Figure 0004932125
Figure 0004932125
【0131】
※※:「ハイブリッド長」は、ハイブリダイズ用ポリヌクレオチドのハイブリダイズした領域(複数可)に関する予想長である。未知の配列のポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる場合、ハイブリッドは、本発明のハイブリダイズ用ポリヌクレオチドのハイブリッドであると仮定される。既知の配列のポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる場合、ハイブリッド長は、ポリヌクレオチド配列を整列させ、最適な配列相補性の領域(単数または複数)を同定することで決定することができる。2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列を整列させ、および/または2つのポリヌクレオチド配列間の%同一性を決定する方法は、当該技術分野で既知である(例えば、the DNA*StarのMeGAlignプログラムのプログラム一式等)。
【0132】
※:SSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaH2PO4、および1.25mM EDTA、pH7.4である)は、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液中のSSC(1×SSCは、0.15M NaCl、および15mM クエン酸ナトリウム)に代わって置き換えることができる。洗浄は、ハイブリダイゼーションが完了した後に、15分間実施する。ハイブリダイゼーションおよび洗浄は、5×デンハルト試薬、0.5〜1.0%SDS、100μg/ml変性断片化サケ***DNA、0.5%ピロリン酸ナトリウム、および最大50%のホルムアミドをさらに含んでもよい。
【0133】
*Tb〜Tr:50塩基対未満の塩基対長であると予測されるハイブリッドのためのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度Tmより5〜10℃低くすべきである。ここでTmは、以下の方程式に従って決定される。18未満の塩基対長のハイブリッドに関しては、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)である。18〜49の塩基対長のハイブリッドに関しては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)(式中、Nは、ハイブリッド中の塩基数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオン濃度(1×SSCについての[Na+]=0.165Mである)である)である。
【0134】
±:本発明は、任意の1つまたはそれ以上のDNAまたはRNAハイブリッドパートナーを、PNAまたは修飾ポリヌクレオチドで置換することを含む。かかる修飾ポリヌクレオチドは当該技術分野で既知であり、また本明細書中の他の箇所でより具体的に記載している。
【0135】
ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションに関するストリンジェントな条件のさらなる例は、例えば、Sambrook, J., E.F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Latoratory Press, Cold Spring Harbor, NY, chapter 9 and 11、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, F.M. Ausbel et al., eds, John Wiley and Sons, Inc., Sections 2.10 and 6.3-6.4に提供され、それは参照により本明細書に援用される。
【0136】
好ましくは、かかるハイブリダイゼーション用ポリヌクレオチドは、それらがハイブリダイズする本発明のポリヌクレオチドと、少なくとも70%配列同一性(より好ましくは、少なくとも80%同一性、最も好ましくは少なくとも90%または95%同一性)を有し、ここで配列同一性は、配列ギャップを最小限に抑えながら、重複および同一性を最大限になるように整列する場合に、ハイブリダイズ用ポリヌクレオチドの配列と比較することで決定される。同一性の決定は当該技術分野で既知であり、本明細書中の他の個所でより具体的に議論する。
【0137】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド配列、ATCCに寄託したクローン、および/または本発明のポリペプチドをコードするcDNAに対するPCR方法論の適用を含む。核酸の増幅用のPCR技法は、米国特許第4,683,195号およびSaiki et al., Science, 239:487-491 (1988)に記載されている。PCRは例えば、以下の鋳型核酸の変性工程(二重鎖の場合)、標的へのプライマーのアニーリング工程、および重合工程を包含し得る。増幅反応中にプローブされるか、または鋳型として使用される核酸は、ゲノムDNA、cDNA、RNA、またはPNAであってもよい。PCRは、ゲノムDNA、特定RNA配列、および/またはmRNAから転写されたcDNA由来の特定配列を増幅するのに使用してもよい。特定の方法パラメータを含むPCR技法の一般用途に関する参照文献としては、Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 51:263, (1987), Ehrlich (ed), PCR Technology, Stockton Press, NY, 1989、Ehrlich et al., Science, 252: 1643-1650, (1991)、および「PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications」, Eds., Innis et al., Academic Press, New York, (1990)が挙げられる。
【0138】
シグナル配列
本発明はまた、配列番号Yのポリペプチド配列を含むか、あるいはそれから構成されるポリペプチド、配列番号Xとして記載されるポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド、および/または寄託クローン中のcDNAにコードされるポリペプチド配列の成熟形態を含む。本発明はまた、例えば配列番号Xのポリヌクレオチド配列、および/または寄託クローンのcDNAに提供されるポリヌクレオチド配列のような、本発明の成熟形態をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0139】
シグナル仮説によれば、真核細胞により分泌されるタンパク質は、粗面小胞体を通って成長中のタンパク質鎖の搬出がいったん開始されると、成熟タンパク質から切断されるシグナルまたは分泌リーダー配列を有する。たいていの真核細胞は、同じ特異性で分泌タンパク質を切断する。しかしながら、場合によっては、分泌タンパク質の切断は、完全に均一ではなく、タンパク質の2つまたはそれ以上の成熟種を生じる結果となる。さらに、分泌タンパク質の切断特異性は、最終的に完全タンパク質の一次構造により決定され、すなわちそれはポリペプチドのアミノ酸配列に固有であることが長い間知られてきた。
【0140】
タンパク質がシグナル配列、ならびにその配列に関する切断点を有するかどうかを予測する方法が利用可能である。例えば、McGeoch, Virus Res. 3:271-286 (1985)の方法は、完全(未切断)タンパク質の短いN末端荷電領域および続く非荷電領域からの情報を使用する。von Heinje, Nucleic Acids Res. 14:4683-4690 (1986)の方法は、切断部位周囲の残基、典型的に−13〜+2の残基(ここで、+1は、分泌タンパク質のアミノ末端を示す)からの情報を使用する。これらの方法それぞれに関する既知の哺乳動物分泌タンパク質の切断点の予測の精度は、75〜80%の範囲である(上述のvon Heinje)。しかしながら、この2つの方法は、必ずしも所定のタンパク質に関して同じ予測切断点(複数可)を生じるとは限らない。
【0141】
切断部位のほかに、シグナル配列の位置を同定する確立された方法は、Henrik Nielsen et al., Protein Engineering 10:1-6 (1997)により開発されたSignalPプログラム(v1.1)であった。このプログラムは、von Heinjeにより開発されたアルゴリズムによるものであるが、予測精度を高めるさらなるパラメータを提供する。
【0142】
さらに最近では、隠しマルコフモデル(hidden Markov model)が開発され(H. Neilson, et al., Ismb 1998; 6:122-30)、より最新のSignalP(v2.0)に組み込まれている。この新たな方法は、シグナルペプチドと非切断シグナルアンカーとを識別することで、切断部位を同定する能力を高める。本発明は、本発明のポリペプチド配列のいずれかに対して、切断部位を含むシグナルペプチド位置の予測に対する本明細書中に開示した方法を適用することを含む。
【0143】
しかしながら、当業者が理解するように、切断部位は時として生物によって多様であり、絶対的確信で予測することはできない。したがって、本発明のポリペプチドは、シグナル配列を含有してもよい。シグナル配列を含む本発明のポリペプチドは、予測切断点の5残基内(すなわち、+もしくは−5残基、または好ましくは−5、−4、−3、−2、−1、+1、+2、+3、+4もしくは+5残基で)から開始するN末端を有する。同様に、場合によっては、分泌配列からのシグナル配列は完全に一様ではなく、1つを超える分泌種を生じることも理解される。これらのポリペプチド、およびかかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明により意図される。
【0144】
さらに、上記分析で同定されるシグナル配列は、自然に存在するシグナル配列を必ずしも予測するわけではない。例えば、自然に存在するシグナル配列は、予測シグナル配列からさらに上流にある場合がある。しかしながら、予測シグナル配列は、分泌タンパク質をERに誘導することが可能である可能性が高い。それにもかかわらず、本発明は、哺乳動物細胞(例えば、以下に記載のCOS細胞)中での、配列番号Xのポリヌクレオチド配列、および/または寄託クローンのcDNAに含まれるポリヌクレオチド配列の発現により産生される成熟タンパク質を提供する。これらのポリペプチド、およびかかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明により意図される。
【0145】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体
本発明は、配列番号Xで本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列、それらに対する相補鎖、および/または寄託クローンに含まれるcDNA配列の変異体(例えば、対立遺伝子変異体、オルソログ等)を含む。
【0146】
本発明はまた、配列番号Yで開示されるか、または寄託クローンにコードされるポリペプチド配列、および/またはその断片の変異体を含む。
【0147】
「変異体」は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、それらの本質的特性を維持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。一般に、変異体は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに全体的に密接に類似しており、かつ多くの領域でそれらと同一である。
【0148】
本発明はまた、以下の非限定的な例:配列番号X中の配列のコード領域のヌクレオチド配列、上記コード領域の相補鎖、寄託クローンのcDNAで提供されるポリヌクレオチド配列、上記寄託クローンの相補鎖、配列番号Yとして特定されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、寄託クローンで提供されるcDNAのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるポリヌクレオチド配列を含むか、あるいはそれから構成されるポリヌクレオチド配列に関する。本発明はまた、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列のいずれかのポリヌクレオチド断片も含む。
【0149】
本発明は、ストリンジェントなまたは低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、上述のポリヌクレオチド断片を含む本発明の提供したポリヌクレオチド配列のいずれにもハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。本発明のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドもまた、本発明に包含される。
【0150】
本発明は、以下の非限定的な例:配列番号Yとして特定されるポリペプチド配列、寄託クローンで提供されるcDNAにコードされるポリペプチド配列、および本明細書中に提供されるポリペプチド配列のいずれかのポリペプチド断片に対して、少なくとも70、80%、98%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれから構成されるポリペプチド配列を含む。
【0151】
本発明の参照ヌクレオチド配列に対して、少なくとも例えば95%「同一である」ヌクレオチド配列を有する核酸とは、ヌクレオチド配列がポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100個のヌクレオチド当たり5個以下の点突然変異を含み得る以外は、核酸のヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意図する。換言すると、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸を得るために、参照配列中のヌクレオチドの5%以下が、欠失されるか、または別のヌクレオチドで置換されてもよく、あるいは参照配列中の総ヌクレオチドの5%以下のヌクレオチド数を参照配列に挿入してもよい。クエリー配列は、第1表に参照した全配列、ORF(オープンリーディングフレーム)、または本明細書中に記載するような任意の指定断片であってもよい。
【0152】
実際に、任意の特定核酸分子またはポリペプチドが本発明のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラムを用いて慣例的に決定することができる。クエリー配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体的なマッチ(これはまた包括的配列アラインメントとも呼ぶ)を決定する好ましい方法は、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson, J.D., et al., Nucleic Acids Research, 2(22):4673-4680, (1994))を用いて決定することができ、このプログラムは、Higgins, D.G. et al., Computer Application in the Biosciences (CABIOS), 8(2):189-191, (1992)のアルゴリズムに基づいている。配列アラインメントでは、クエリーおよび対象配列はともにDNA配列である。RNA配列は、UをTに変換して比較することができる。上記の包括的配列アラインメントの結果は、%同一性である。%同一性を算出するためのDNA配列のCLUSTALWアラインメントで使用される好ましいパラメータは、マトリックス=BLOSUM、k−tuple=1、TopDiagonal数=5、ギャップペナルティ=3、ギャップ開始ペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=0、スコアリング方法=Percent、ウインドウサイズ=5または対象ヌクレオチド配列長(短いほう)である。
【0153】
内部欠失によらず、対象配列が、5’または3’欠失が理由でクエリー配列よりも短い場合、手動補正が結果に対してなされなくてはならない。これは、CLUSTALWプログラムは%同一性を算出する際に対象配列の5’および3’末端切断を考慮しないためである。クエリー配列に対して5’または3’末端で切断された対象配列に関して、%同一性は、クエリー配列の総塩基のパーセントとして、適合/整列されていない対象配列の5’および3’であるクエリー配列の塩基数を算出することで補正される。ヌクレオチドが適合/整列されているかどうかは、CLUSTLW配列アラインメントの結果により決定される。次にこのパーセントを、指定パラメータを用いて上記CLUSTALWプログラムで算出される%同一性から差し引いて、最終的な%同一性スコアに到達する。この補正スコアは、本発明の目的のために使用され得るものである。クエリー配列と適合/整列されない、CLUSTALWアラインメントにより表示される対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、%同一性スコアを手動で調節する目的で算出される。
【0154】
例えば、90塩基の対象配列は、%同一性を決定するために100塩基のクエリー配列に対して整列させる。欠失は、対象配列の5’末端で起き、したがって、CLUSTALWアラインメントは、5’末端にある最初の10塩基のマッチ/アラインメントを示さない。10個の不対塩基は、配列の10%(クエリー配列中の適合していない5’および3’末端にある塩基数/塩基の総数)を表し、したがって10%は、CLUSTALWプログラムにより算出される%同一性スコアから差し引かれる。残りの90塩基が完全に適合される場合、最終%同一性は、90%であろう。別の例では、90塩基の対象配列を100塩基のクエリー配列と比較する。今度は、欠失は内部欠失であり、その結果クエリーと適合/整列しない対象配列の5’または3’末端上の塩基は存在しない。この場合では、CLUSTALWにより算出される%同一性は手動で補正されない。繰り返して言うと、クエリー配列と適合/整列しない対象配列の塩基5’および3’のみが手動で補正される。他の手動補正は、本発明の目的には必要とされない。
【0155】
本発明のクエリーアミノ酸配列に対して、少なくとも例えば95%「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチド配列がクエリーアミノ酸配列の各100個のアミノ酸当たり5個以下のアミノ酸変更を含み得る以外は、対象ポリペプチドのアミノ酸配列がクエリー配列と同一であることを意図する。換言すると、クエリーアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、対象配列中のアミノ酸残基の5%以下が、挿入されるか、欠失されるか、または別のヌクレオチドで置換されてもよい。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシル末端位位置で、またはそれらの末端位置間のいずれかで、参照配列中の残基間のいずれかに独立して散在して、あるいは参照配列内の1つまたは複数の連続基中で起きてもよい。
【0156】
実際に、任意の特定ポリペプチドが、例えば第1表に参照したアミノ酸配列(配列番号Y)、または寄託クローンに含まれるcDNAににコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、80%、85%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラムを用いて慣例的に決定することができる。クエリー配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体的なマッチ(これはまた包括的配列アラインメントとも呼ぶ)を決定する好ましい方法は、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson, J.D., et al., Nucleic Acids Research, 2(22):4673-4680, (1994))を用いて決定することができ、このプログラムは、Higgins, D.G., et al., Computer Applications in the Biosciences (CABIOS), 8(2):189-191, (1992)のアルゴリズムに基づいている。配列アラインメントでは、クエリーおよび対象配列はともにDNA配列である。RNA配列は、UをTに変換して比較することができる。上記の包括的配列アラインメントの結果は、%同一性である。%同一性を算出するためのDNA配列のCLUSTALWアラインメントで使用される好ましいパラメータは、マトリックス=BLOSUM、k−tuple=1、TopDiagonal数=5、ギャップペナルティ=3、ギャップオープンペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=0、スコアリング方法=Persent、ウインドウサイズ=5または対象ヌクレオチド配列長(短いほう)である。
【0157】
対象配列が、内部欠失が理由ではなく、NまたはC末端欠失に起因してクエリー配列よりも短い場合、手動補正が結果に対してなされなくてはならない。これは、CLUSTALWプログラムは包括的%同一性を算出する際に対象配列のNおよびC末端切断を考慮しないためである。クエリー配列に対してNまたはC末端で切断された対象配列に関して、%同一性は、クエリー配列の総塩基のパーセントとして、相当する対象残基と適合/整列されていない対象配列のNおよびC末端であるクエリー配列の残基数を算出することで補正される。残基が適合/整列されているかどうかは、CLUSTALW配列アラインメントの結果により決定される。次にこのパーセントを、指定パラメータを用いて上記CLUSTALWプログラムで算出される%同一性から差し引いて、最終的な%同一性スコアに到達する。この最終的な%同一性スコアは、本発明の目的のために使用され得るものである。クエリー配列と適合/整列されない対象配列のNおよびC末端に対する残基のみが、%同一性スコアを手動で調節する目的で算出される。すなわち、クエリー残基のみが、対象配列の最も遠いNおよびC末端残基の外側に位置する。
【0158】
例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、%同一性を決定するために100アミノ酸残基のクエリー配列に対して整列させる。欠失は、対象配列のN末端で起き、したがって、CLUSATALWアラインメントは、N末端にある最初の10アミノ酸残基のマッチング/アラインメントを示さない。10個の不対塩基は、配列の10%(クエリー配列中の適合していないNおよびC末端にあるアミノ酸残基数/アミノ酸残基の総数)を表し、したがって10%は、CLUSTALWプログラムにより算出される%同一性スコアから差し引かれる。残りの90アミノ酸残基が完全に適合される場合、最終%同一性は、90%であろう。別の例では、90アミノ酸残基の対象配列を100アミノ酸残基のクエリー配列と比較する。今度は、欠失は内部欠失であり、その結果クエリーと適合/整列しない対象配列のNまたはC末端の残基は存在しない。この場合では、CLUSTALWにより算出される%同一性は手動で補正されない。繰り返して言うと、クエリー配列と適合/整列されない、CLUSTALWアラインメントで表示される対象配列のNおよびC末端の外側の残基位置のみが、手動で補正される。他の手動補正は、本発明の目的には必要とされない。
【0159】
変異体は、コード領域、非コード領域、またはその両方で変更を含み得る。特に好ましいのは、サイレント置換、付加または欠失を生じるが、コードポリペプチドの特性または活性を変化させない変更を含有するポリヌクレオチド変異体である。遺伝暗号の縮重に起因してサイレント置換を生じるヌクレオチド変異体はが好ましい。さらに、5〜10個、1〜5個、または1〜2個のアミノ酸が、任意の組合せで置換、欠失または付加した変異体も好ましい。ポリヌクレオチド変異体は、様々な理由で、例えば特定の宿主のためにコドン表現を最適化する(大腸菌のような細菌宿主により好ましいものへmRNA中のコドンを変化させる)ために産生することができる。
【0160】
自然に存在する変異体は「対立遺伝子変異体」と呼ばれ、それは、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子の幾つかの代替形態の1つを指す(Genes II, Lewin, B., ed., John Wiley & Sons, New York (1985))。これらの対立遺伝子変異体は、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドレベルのいずれかで変化することができ、本発明に包含される。あるいは、自然に存在しない変異体は、突然変異誘発技法により、または直接合成により生産し得る。
【0161】
タンパク質工学および組換えDNA技術の既知の方法を用いて、変異体は、本発明のポリペプチドの特徴を改善または変化させるために生成し得る。例えば、1つまたは複数のアミノ酸は、生物学的機能の実質的な損失なしで、タンパク質のN末端またはC末端から欠失させることができる。Ron et al., J. Biol. Chem. 268:2984-2988 (1993)の著者等は、3個、8個、または27個のアミノ末端アミノ酸残基を欠失させた後でさえも、ヘパリン結合活性を有する変異KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシル末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失させた後に、最大で10倍高い活性を示した(Dobeli et al., J. Biotechnoligy 7:199-216 (1988))。
【0162】
さらに、十分な証拠が、変異体は多くの場合、自然に存在するタンパク質と類似した生物活性を保持することを実証する。例えば、Gayleとその共同研究者等(J. Biol. Chem 268: 22105-22111 (1993))は、ヒトサイトカインIL−1aの広範な変異性分析を実施した。彼等は、ランダム突然変異誘発を用いて、分子の全長にわたって変異体1つ当たり2.5個のアミノ酸変化を平均とする3,500個を超える別個のIL−1a突然変異体を生成した。複数の突然変異が、あらゆるアミノ酸位置で検査された。研究者等は、「ほとんどの分子が[結合または生物活性]のいずれかに対してほとんど影響を及ぼさずに変化され得る」ことを見出した。実際に、検査した3,500個を超えるヌクレオチド配列のうち23個の特有のアミノ酸配列だけが、野生型と活性が有意に異なるタンパク質を生じた。
【0163】
さらに、ポリペプチドのN末端またはC末端から1つまたは複数のアミノ酸を欠失されることが、1つまたは複数の生物学的機能の改変または損失をもたらした場合でも、他の生物活性は依然として保持され得る。例えば、欠失変異体の、タンパク質を認識する抗体を誘発および/または結合する能力は、タンパク質の過半数未満の残基がN末端またはC末端から除去される場合に、保持される可能性が高い。タンパク質のNまたはC末端残基を欠如する特定のポリペプチドがかかる免疫原活性を保持するかどうかは、本明細書中に記載する日常的な方法、およびそうでなければ当該技術分野で既知の方法により容易に決定することができる。
【0164】
したがって、本発明は、実質的な生物活性を示すポリペプチド変異体をさらに含む。かかる変異体には、活性にほとんど影響を及ぼさないように当該技術分野で既知の一般則にしたがって選択される欠失、挿入、逆位、反復、および置換が含まれる。例えば、表現型上サイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する手引きは、Bowie et al., Science 247: 1306-1310 (1990)により提供され、そこで著者等は、変化に対するアミノ酸配列の許容度の研究のために2つの主要な戦略が存在することを示している。
【0165】
第1の戦略は、進化プロセス中の自然選択によるアミノ酸置換の許容度を利用する。種々の種のアミノ酸配列を比較することで、保存アミノ酸を同定することができる。これらの保存アミノ酸は、タンパク質の機能にとって重要である可能性が高い。対称的に、自然選択により置換が許容されたアミノ酸位置は、これらの位置が、タンパク質機能にとって重要でないことを示す。したがって、アミノ酸置換の許容は、タンパク質の生物活性を維持したままで改変させることができる。
【0166】
第2の戦略は、タンパク質機能にとって重要な領域を同定するために、クローニングした遺伝子の特定位置にアミノ酸変化を導入する遺伝子操作を使用する。例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャンニング突然変異誘発(分子中のあらゆる位置での単一アラニン突然変異の導入)を使用することができる(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-1085 (1989))。続いて、生じた突然変異分子を、生物活性に関して試験することができる。
【0167】
著者等が主張するように、これらの2つの戦略は、タンパク質がアミノ酸置換に驚くほど許容性があることを明らかにした。著者等はさらに、どのアミノ酸変化がタンパク質中のあるアミノ酸位置で許容性である可能性が高いかを示している。例えば、(タンパク質の三次構造内に)最も埋もれたアミノ酸残基は、非極性側鎖を要するのに対し、表面側鎖のわずかな特徴が一般に保存される。さらに、許容される保存アミノ酸置換は、ヒドロキシル残基SerおよびThrの置き換え、酸性残基AspおよびGluの置き換え、アミド残基AsnおよびGlnの置き換え、塩基性残基Lys、ArgおよびHisの置き換え、芳香族残基Phe、TyrおよびTrpの置き換え、ならびに小サイズアミノ酸Ala、Ser、Thr、MetおよびGlyの置き換えを含む。
【0168】
保存アミノ酸置換のほかに、本発明の変異体としては、以下の:(i)非保存アミノ酸剤の1つまたは複数による置換(ここで、置換アミノ酸残基は遺伝暗号でコードされるものであってもそうでなくてもよい)、または(ii)置換基を有するアミノ酸残基の1つまたは複数による置換、または(iii)ポリペプチドの安定性および/または溶解性を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物との成熟ポリペプチドの融合、または(iv)例えばIgG Fc融合領域ペプチド、またはリーダーもしくは分泌配列、あるいは精製を容易にする配列のようなさらなるアミノ酸とのポリペプチドの融合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
例えば、荷電アミノ酸の他の荷電アミノ酸または中性アミノ酸でのアミノ酸置換を含有するポリペプチド変異体は、凝集の低減のような改善された特徴を有するタンパク質を産生し得る。薬学的配合物の凝集は、凝集体の免疫原活性に起因して、活性を減少させ、クリアランスを高める(Pinckard et al., Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307-377 (1993))。
【0170】
さらに、本発明は、配列番号Xとして開示されるポリヌクレオチド、寄託したクローン配列、および/または配列番号Yとして開示されるポリペプチドをコードするcDNAに対して、分子進化(「DNAシャッフリング」)方法論を適用することにより創出されるポリペプチド変異体も含む。かかるDNAシャッフリング技術は、当該技術分野で既知であり、本明細書中の他の箇所でより具体的に記載している(例えば、WPC, Stemmer, PNAS, 91:10747, (1994)、および実施例20)。
【0171】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1個のアミノ酸置換であるが、50個以下のアミノ酸置換、より好ましくは40個以下のアミノ酸置換、いっそう好ましくは30個以下のアミノ酸置換、さらにいっそう好ましくは20個以下のアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を有する本発明のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。当然のことながら、さらに好ましいためには、ペプチドまたはポリペプチドが、少なくとも1つであるが、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸配列置換を含有する本発明のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましい。特定の実施形態では、本発明のアミノ酸配列またはその断片中の付加、置換および/または欠失の数は、1〜5個、5〜10個、5〜25個、5〜50個、10〜50個、または50〜150個であり、保存アミノ酸置換が好ましい。
【0172】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド断片
本発明は、上述のポリヌクレオチドおよび/または断片にコードされる本発明のポリペプチドのほかに、本発明のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド断片に関する。
【0173】
本発明では、「ポリヌクレオチド断片」は、寄託クローンに含まれるか、または寄託クローン中のcDNAにコードされるポリペプチドをコードする核酸配列の一部である核酸配列、配列番号Xで示される核酸配列またはそれに対する相補鎖の一部である核酸配列、あるいは配列番号Yのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の一部である核酸配列を有する短ポリヌクレオチドを指す。本発明のヌクレオチド断片は、好ましくは少なくとも約15ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長、さらに好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド長、よりいっそう好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド長、少なくとも約50ヌクレオチド長、少なくとも約75ヌクレオチド長、または少なくとも約150ヌクレオチド長である。例えば「少なくとも20ヌクレオチド長」の断片とは、寄託クローンに含まれるcDNA配列、または配列番号Xに示されるヌクレオチド配列由来の20個またはそれ以上の連続した塩基を含むことを意図する。この状況では、「約」は、特に列挙した値、および一方の末端または両方の末端にある数個(5個、4個、3個、2個、または1個)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さい値を含む。これらのヌクレオチド断片には、本明細書中で議論するように診断用プローブおよびプライマーとして(これらに限定されない)の用途がある。当然のことながら、巨大断片(例えば、50個、150個、500個、600個、2000個のヌクレオチド)が好ましい。
【0174】
さらに、本発明のポリヌクレオチド断片の代表例としては、例えば、配列番号Xのおおよそのヌクレオチド番号1〜50、51〜100、101〜150、151〜200、201〜250、251〜300、301〜350、351〜400、401〜450、451〜500、501〜550、551〜600、651〜700、701〜750、751〜800、800〜850、851〜900、901〜950、951〜1000、1001〜1050、1051〜1100、1101〜1150、1151〜1200、1201〜1250、1251〜1300、1301〜1350、1351〜1400、1401〜1450、1451〜1500、1501〜1550、1551〜1600、1601〜1650、1651〜1700、1701〜1750、1751〜1800、1801〜1850、1851〜1900、1901〜1950、1951〜2000、または2001から末端の配列、もしくはそれらの相補鎖、または寄託クローンに含まれるcDNAを含むか、あるいはそれから構成される断片が挙げられる。この状況では、「約」は、特に列挙した値、および一方の末端または両方の末端にある数個(5個、4個、3個、2個、または1個)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さい範囲を含む。好ましくは、これらの断片は、生物活性を有するポリペプチドをコードする。より好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、本明細書中で議論するように、プローブまたはプライマーとして使用することができる。また、これらのポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドと同様に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件または低ストリンジェントな条件下で、これらの核酸分子にハイブリダイズするポリヌクレオチドも、本発明に包含される。
【0175】
本発明では、「ポリペプチド断片」は、配列番号Yに含まれるか、寄託クローンに含まれるcDNAにコードされるアミノ酸配列の一部であるアミノ酸配列を指す。タンパク質(ポリペプチド)断片は、「独立していて」もよく、あるいは、断片がその一部または領域を形成する巨大ポリペプチド内に、最も好ましくは単一の連続した領域として含まれてもよい。本発明のポリペプチド断片の代表例としては、例えばコード領域のおおよそのアミノ酸番号1〜20、21〜40、41〜60、61〜80、81〜100、102〜120、121〜140、141〜160、または161から末端を含むか、あるいはそれから構成される断片が挙げられる。さらに、ポリペプチド断片は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150アミノ酸長であり得る。この状況では、「約」は、特に列挙した範囲または値、および一方の末端または両方の末端にある数個(5個、4個、3個、2個、または1個)のアミノ酸だけ大きいかまたは小さい範囲または値を含む。
【0176】
好ましいポリペプチド断片としては、完全長タンパク質が挙げられる。さらに好ましいポリペプチド断片としては、アミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはその両方から連続した一連の欠失残基を有する完全長タンパク質が挙げられる。例えば、1〜60の範囲の任意数のアミノ酸を、完全長ポリペプチドのアミノ末端から欠失させることができる。同様に、1〜30の範囲の任意数のアミノ酸を、完全長タンパク質のカルボキシ末端から欠失させることができる。さらに、上記アミノおよびカルボキシ末端欠失の任意の組合せが好ましい。同様に、これらのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドもまた好ましい。
【0177】
また、αヘリックスおよびαヘリックス形成領域、βシートおよびβシート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、可動領域、表面形成領域、基質結合領域、および高抗原指数領域を含む断片のような構造ドメインまたは機能的ドメインを特徴とするポリペプチドおよびポリヌクレオチド断片も好ましい。保存ドメインの範疇にある配列番号Yのポリペプチド断片は、本発明により特に意図される。さらに、これらのドメインをコードするポリヌクレオチドも意図される。
【0178】
他の好ましいポリペプチド断片は、生物学的に活性な断片である。生物学的に活性な断片は、本発明のポリペプチドの活性と類似しているが、必ずしも同一であるとは限らない活性を示すものである。断片の生物活性には、改善された所望の活性、減少した望ましくない活性が含まれ得る。これらのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドもまた本発明により包含される。
【0179】
好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチド断片にコードされるポリペプチドにより示される機能的活性は、本発明の完全長ポリペプチドと典型的に関連した1つまたは複数の生物活性であり得る。これらの生物活性の実例としては、完全長タンパク質に結合する同じ抗体の少なくとも1つに結合する断片能力、完全長に結合する同じタンパク質の少なくとも1つと相互作用する断片能力、完全長タンパク質と同じ免疫応答の少なくとも1つを誘発する(すなわち、同じエピトープに特異的な抗体を創出する免疫系を引き起こす等)断片能力、完全長タンパク質と同じポリヌクレオチドの少なくとも1つに結合する断片能力、完全長タンパク質の受容体に結合する断片能力、完全長タンパク質のリガンドに結合する断片能力、および完全長タンパク質と多量体形成する(multimerize)する能力が挙げられる。しかしながら、当業者は、断片によっては、完全長タンパク質の生物活性にとって望ましいが、直接的に適切ではない生物活性を有する場合があることを理解するであろう。本発明のポリペプチド(その断片、変異体、誘導体、および類似体を含む)の機能的活性は、当業者に利用可能な多数の方法により決定することができ、その幾つかについて、本明細書中の他の個所で記載している。
【0180】
エピトープおよび抗体
本発明では、「エピトープ」は、生物、好ましくは動物または植物中の抗原/および/または免疫原活性を有するポリペプチド断片を指す。本発明の好ましい実施形態は、エピトープを含むポリペプチド断片、ならびにこの断片をコードするポリヌクレオチドに関連する。抗体が結合することができるタンパク質分子の領域は、「抗原エピトープ」と定義される。対照的に、「免疫原エピトープ」は、抗体応答(すなわち、動物において)または防御応答(すなわち、植物において)を誘発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geyson et al., Proc. Natl. Aced. Sci. USA 81:3998-4002 (1983)を参照)。
【0181】
エピトープ断片は、当該技術分野で既知の従来の手段により生産し得る。免疫原性であるエピトープは、当該技術分野で既知の方法にしたがって抗体を誘発するのに有用であり得る。かかるエピトープは、アルブミンのような担体タンパク質と一緒に提示されてもよく、あるいはエピトープが十分な長さ(25アミノ酸以上)である場合には担体なしで提示されてもよい。それにもかかわらず、8〜10個程度と少ないアミノ酸を含むエピトープが、免疫応答を誘発することが見出された。本発明のエピトープは、変性ポリペプチドに由来する線状エピトープであり得る(例えば、ウェスタンブロットで見出されるような)。
【0182】
本発明では、抗原エピトープは、好ましくは、少なくとも7個、より好ましくは少なくとも9個、最も好ましくは約15〜約30個のアミノ酸を有する配列を含有する。抗原エピトープは、エピトープに特異的に結合する、モノクローナル抗体を含む抗体を誘起するのに有用である(例えば、Wilson et al., Cell 37:767-778 (1984); Sutcliffe, J.G., et al., Science 219:660-666 (1983)を参照)。
【0183】
本明細書中で使用する場合、「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、タンパク質に特異的に結合することが可能なインタクト分子、ならびに抗体断片(例えば、Fab、およびF(ab’)2断片のような)を含むことを意味する。FabおよびF(ab’)2断片は、インタクト抗体のFc断片を欠如し、動物または植物の循環からより迅速に排除され、インタクト抗体よりも少ない非特異的組織結合を有し得る(Wahl et al., J. Nucl. Med 24: 316-325 (1983))。したがって、これらの断片、ならびにFABまたは他の免疫グロブリン発現ライブラリーの産物は好ましい。さらに、本発明の抗体には、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体が含まれる。
【0184】
本発明はさらに、本発明のポリペプチド、ポリペプチド断片、およびポリペプチド変異体に特異的な抗体に関する。本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、単一特異性抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、異種結合体抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、可変軽鎖抗体、可変重鎖抗体、1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)抗体、ファージディスプレイ由来抗体(Fab発現ライブラリー由来のものなど)、抗イディオタイプ抗体、および酵素活性(すなわち触媒活性)を有する抗体が挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の抗体は、現在既知の抗体のアイソタイプ(例えば、IgD、IgM、IgE、IgG、IgY、およびIgA等)、ヒトIgAおよびIgGサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、またはIgA2)、またはマウスIgAおよびIgGサブクラス(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA1、またはIgA2)のいずれかで構成されてもよい。
【0185】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体を含んでもよい。ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者に既知である(Harlow, et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988)、これはその全体が参照により本明細書に援用される)。ポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、および望ましい場合にはアジュバントの1回または複数回の注射により、哺乳動物または鳥類で誘起され得る。本発明の目的では、「免疫化剤」は、異種ポリペプチドと本明細書中に記載するポリペプチドの他の形態との融合物のほかに、その断片、変異体、および/または誘導体を含む本発明のポリペプチドと定義され得る。
【0186】
典型的に、免疫化剤および/またはアジュバントは、複数回の皮下または腹腔内注射により哺乳動物に注射されるが、それらはまた、筋内的に、および/または静脈内により供給されてもよい。免疫化剤としては、本発明のポリペプチドまたは融合タンパク質、あるいはその変異体が挙げられ得る。ポリペプチドの性質(すなわち、%疎水性、%親水性、安定性、正味の電荷、等電点等)に応じて、免疫化される哺乳動物中で免疫原性であることが既知のタンパク質と免疫化剤を結合させることが有用であり得る。かかる結合は、共有結合を形成するように、本発明のポリペプチドおよび免疫原性タンパク質の両方に活性な化学官能基を誘導体化させることによるか、または融合タンパク質ベースの方法論による化学結合、あるいは当業者に既知の他の方法を含む。かかる免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、およびダイズトリプシン阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。種々のアジュバントは、宿主種に応じて免疫学的応答を高めるのに使用してもよく、それはフロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのような鉱物ゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオンのような界面活性物質、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCGおよびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)のような潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。使用し得るアジュバントのさらなる例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成ジコリノ酸ミコール酸トレハロース(trehalose dicorynomycolate)が挙げられる。免疫化プロトコルは、過度の実験を行うことなく当業者に選択され得る。
【0187】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体を含んでもよい。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)および米国特許第4,376,110号、Harlow, et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988)、Hammmerling, et al., Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas (Elsevier, N.Y., (1981))により記載される方法のようなハイブリドーマ方法、あるいは当業者に既知の他の方法を用いて調製してもよい。モノクローナル抗体を調製するのに使用してもよい方法の他の例としては、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4:72; Cole et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)、およびEBVハイブリドーマ技法(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)が挙げられるが、これらに限定されない。かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgGを含む任意の免疫グロブリンクラス、およびそれらの任意のサブクラスであってもよい。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養してもよい。in vivoでの高力価のmAbの産生が、これを現在好ましい産生方法としている。
【0188】
ハイブリドーマ方法では、マウス、ヒト化マウス、ヒト免疫系を有するマウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を典型的に免疫化剤で免疫化して、免疫化剤に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することが可能であるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、in vitroで免疫化してもよい。
【0189】
免疫化剤は典型的に、本発明のポリペプチド、またはその融合タンパク質を含むであろう。一般に、ヒト起源の細胞が望ましい場合に末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望ましい場合には脾細胞またはリンパ節細胞が使用される。次に、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて、リンパ球を不死化細胞系と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986), pp. 59-103)。不死化細胞系は通常、形質転換した哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシおよびヒト起源のミエローマ細胞である。通常、ラットまたはマウスのミエローマ細胞系が用いられる。ハイブリドーマ細胞を、好ましくは非融合不死化細胞の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有する適切な培地で培養してもよい。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠如する場合、ハイブリドーマ用の培地には典型的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンが含まれ(「HAT培地」)、それらの物質が、HGPRT欠損細胞に成長を阻止する。
【0190】
好ましい不死化細胞系は、効率的に融合し、選択した抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を支持し、HAT培地のような培地に感受性が高いものである。より好ましい不死化細胞系は、マウスミエローマ系であり、それらは、例えば、Salk Institute Cel Distribution Center, San Diego, California、およびAmerican Type Culture Colection, Manassas, Virginiaから入手することができる。明細書全体にわたって意味されるように、ヒトミエローマおよびマウス−ヒト異種ミエローマ細胞系もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp.51-63)。
【0191】
次に、ハイブリドーマ細胞を培養する培地を、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在に関してアッセイすることができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によるか、あるいはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなin vitro結合アッセイにより決定される。かかる技法は、当該技術分野で既知であり、当業者の範囲内である。モノクローナル結合親和性は、例えば、Munson and Pollart, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析により決定することができる。
【0192】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを、限界希釈手法によりサブクローニングし、標準的な方法により成長させてもよい(上述のGoding)。この目的のための適切な培地としては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地、およびRPMI−1640が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物中で腹水としてin vivoで成長させてもよい。
【0193】
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル排除クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティクロマトグラフィのような従来の免疫グロブリン精製手順により、培地または腹水液から単離または精製してもよい。
【0194】
当業者は、モノクローナル抗体を産生するための様々な方法が当該技術分野に存在し、したがって、本発明はハイブリドーマにおけるそれらの有意の産生に限定されないことを認識するであろう。例えば、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されるような組換えDNA方法により作製されてもよい。この状況では、「モノクローナル抗体」という用語は、単一の真核生物クローン、ファージクローン、または原核生物クローンに由来する抗体を指す。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖、またはヒト、ヒト化もしくは他の供給源からの鎖などをコードする遺伝子に特異的に結合することが可能であるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)、容易に単離およびシーケンシングすることができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として作用する。いったん単離されると、DNAを発現ベクターに配置させてもよく、続いてそうしないと免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはミエローマ細胞のような宿主細胞にそれを形質転換して、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を獲得する。DNAはまた、例えば相同性マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換されることにより(米国特許第4,816,567号、上述のMorrison et al.)、あるいは非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべてまたは一部を、免疫グロブリンコード配列に共有結合することで、修飾されてもよい。かかる非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインを置換することができ、あるいはキメラ二価抗体を創出するための本発明の抗体の1つの抗原組合せ部位の可変ドメインを置換することができる。
【0195】
抗体は、一価抗体であってもよい。一価抗体を調製する方法は当該技術分野で既知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖および修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は、重鎖架橋を阻止するように、一般にFc領域中の任意の点で切断される。あるいは、架橋を阻止するように、関連システイン残基を、別のアミノ酸残基で置換するか、または欠失させる。
【0196】
in vitro方法もまた、一価抗体を調製するのに適切である。抗体を、その断片、特にFab断片を産生するために消化することは、当該技術分野で既知の日常的な技法を用いて達成することができる。
【0197】
本発明の抗体は、ヒト化抗体または完全ヒト(ヒト)抗体をさらに含んでもよい。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最少量の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または他の抗体結合サブ配列)である。ヒト化抗体としては、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および容量を有するマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が挙げられる。数例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、相当する非ヒト残基で置き換えられる。ヒト化抗体はまた、移入されたCDRにもフレームワーク配列にもレシピエント抗体では見られない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てまたは実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に相当し、かつ全てまたは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である少なくとも1つ、典型的に2つの可変ドメインの実質的全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた最適には、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含むであろう(Jones et al., Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988) and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992))。
【0198】
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術分野で既知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入した1個または複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は多くの場合、「移入(import)」残基と呼ばれ、「移入」可変ドメインから典型的に取り出される。ヒト化は、Winterと共同研究者等の方法に従って(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Reichman et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))、ヒト抗体の相当する配列をげっ歯類CDR(複数または単数)配列で置換することで本質的に実施することができる。したがって、かかる「ヒト化」抗体は、インタクトヒト可変ドメインより実質的に少ないドメインが、非ヒト種由来の相当する配列で置換されたキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は典型的に、幾つかのCDR残基および考え得る幾つかのFR残基が、げっ歯類抗体中の類縁部位で置換されるヒト抗体である。
【0199】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む当該技術分野で既知の様々な技法を用いて産生することができる(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。Cole等およびBoerder等の技法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Riss, (1985); and Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86-95, (1991))。同様に、ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン遺伝子を部分的または完全に不活性化したトランスジェニック動物、例えばマウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することで作製することができる。攻撃時に、ヒト抗体産生が観察され、遺伝子再配列、構築、および抗体レパートリーの創出を含むすべての態様で、ヒト中に見られるものと非常に類似している。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,106号、および以下の科学的刊行物:Marks et al., Biotechnol., 10:779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnol., 14:845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnol., 14:826 (1996); Lonberg and Huszer, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93 (1995)に記載されている。
【0200】
さらに、適切な生物活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子とともに適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることで、「キメラ抗体」の産生用に開発された技法(Morrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci., 81:6851-6855; Neuberger et al., 1984, Nature, 312:604-608; Takeda et al., 1985, Nature, 314:452-454)を使用することができる。キメラ抗体は、マウスmAbに由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するもののような、異なる部分が、異なる動物種に由来する分子である(例えば、Cabilly et al., 米国特許第4,816,567号、およびBoss et al., 米国特許第4,816,397号を参照、ともにその全体が参照により本明細書に援用される)。
【0201】
本発明の抗体は、二重特異性抗体であってもよい。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に結合特性を有するモノクローナル、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。本発明では、結合特異性の一方が本発明のポリペプチドに対して誘導されるものであってよく、他方が、任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質、受容体、受容体サブユニット、組織特異的抗原、ウイルス由来タンパク質、ウイルスコードエンベロープタンパク質、細菌由来タンパク質、または細菌表面タンパク質等用であってもよい。
【0202】
二重特異性抗体を作製する方法は当該技術分野で既知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づくものであり、ここで2つの重鎖は、異なる特異性を有する(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな分類により、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生じ、その中のたった1つが、正確な二重特異性構造を有する。正確な分子の精製は通常、アフィニティクロマトグラフィ工程により達成される。同様の手順が、1993年5月13日に公開された国際公開第93/08829号、およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
【0203】
所望の結合特異性(抗体−抗原組合せ部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させることができる。融合は好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとによるものである。融合物の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および望ましい場合には免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクターに挿入して、適切な宿主生物に同時形質転換する。二重特異性抗体生成のさらなる詳細に関しては、例えば、Suresh et al., Meth. In Enzym, 121:210 (1986)を参照されたい。
【0204】
異種結合体抗体も本発明により意図される。異種結合抗体は、2つの共有結合した抗体から構成される。かかる抗体は、例えば、不要の細胞に対して免疫系細胞が標的とするために(米国特許第4,676,980号)、またHIV感染の治療用に(国際公開第91/00360号、国際公開第92/20373号、および欧州特許第03089号)提唱されてきた。抗体は、架橋剤を含む方法を含む合成タンパク質化学で既知の方法を用いて、in vitroで調製し得ることが意図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、あるいはチオエステル結合を形成することにより構築され得る。この目的に適した試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート、ならびに例えば米国特許第4,676,980号に開示されるものが挙げられる。
【0205】
本発明のポリペプチドに対する抗体の使用
本発明の抗体は、様々な有用性を有する。例えば、かかる抗体は、試料中の本発明のポリペプチドの存在または定量化を検出するための診断アッセイで使用され得る。かかる診断アッセイは、少なくとも2工程で構成され得る。第1に、試料を抗体にさらすことであり、ここで試料は、組織(例えば、動物、植物等)、生物学的液体(例えば、血液、尿、師部液、木部液、植物分泌等)、生物学的抽出物(例えば、組織または細胞ホモジネート等)、タンパク質マイクロチップ(例えば、Arenkov P, et al., Anal Biochem., 278(2):123-131 (2000))、またはクロマトグラフィカラム等である。また第2工程は、基質に結合した抗体の定量化を含む。あるいは、上記方法は、抗体を、共有結合的に、静電的に、または逆転的に(reversably)、固体支持体に結合する第1の工程、および上記および本明細書中の他の箇所に定義するような試料を、結合性抗体にさらす第2の工程をさらに包含してもよい。
【0206】
競合結合アッセイ、直接または間接サンドイッチアッセイおよび不均一または均一相で行われる免疫沈降アッセイのような様々な診断アッセイ技法が当該技術分野で既知である(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, CRC Press, Inc., (1987), pp147-158)。診断アッセイで使用される抗体は、検出可能部分で標識することができる。検出可能部分は、検出可能シグナルを直接的または間接的に発生することが可能であるべきである。例えば、検出可能部分は、2H、14C、32P、または125Iのような放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、またはルシフェリンのような蛍光または化学発光化合物、アルカリホスファターゼ、β−グリコシダーゼ、グリーン蛍光タンパク質、またはホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素であり得る。Hunter et al., Nature, 144:945 (1962); Dafvid et al., Biochem., 13:1014 (1974); Pain et al., J. Immunol. Metho., 40:219(1981);およびNygren, J. Histochem. And Cytochem., 30:407(1982)を含む、抗体に検出可能部分を結合する当該技術分野で既知の任意の方法が使用され得る。
【0207】
本発明のポリペプチドに対する抗体は、組換え細胞培養または自然源からのかかるポリペプチドの親和性精製に有用である。このプロセスで、当該技術分野で既知の方法を用いて、特定のポリペプチドに対する抗体を、セファデックス樹脂または濾紙のような適切な支持体上に固定化する。次に、固定化抗体を、精製されるべきポリペプチドを含有する試料と接触させた後、固定化抗体に結合した所望のポリペプチド以外の試料中の実質的に全ての物質を除去する適切な溶媒で支持体を洗浄する。最終的に、抗体から所望のポリペプチドを遊離させる別の適切な溶媒で支持体を洗浄する。
【0208】
本発明のポリペプチドに対する抗体は、動物のアレルギー反応を抑制するのに有用である。例えば、治療上許容可能な用量の本発明の抗体(単数または複数)、または本発明の抗体のカクテル、あるいは様々な供給源の他の抗体と合わせて投与することで、動物は、ある種の抗原、特に植物抗原の摂取時にアレルギー反応を誘発しない場合がある。例示的な例では、リコスペルシクム・エスクレンツム(Lycospersicum esculentum)からのトマトLEAレクチンは、マウスにおいて経口および鼻腔内の両方で投与する場合に、強力な免疫応答を誘発することがわかった。したがって、LEAレクチンに対する抗体をマウスに投与することで、LEAレクチンは、免疫応答を誘発する前に循環から効率的に排除され得るため、LEAレクチンに対する免疫応答が減少するか、または完全に排除され得る(例えば、Lavelle EC, et al., Immunology. 99(1):30-7, (2000))。同様に、本発明のポリペプチド(このポリペプチドは、生物におけるアレルギーおよび/または免疫応答を誘発する潜在能力を有する)に対する抗体をコードする遺伝子をクローニングすること、およびそれが生物で発現される(例えば、構成的に、誘発的に等)ように上記抗体遺伝子で生物を形質転換することを想定することができる。したがって、生物は、かかる免疫/アレルギー反応性ポリペプチドの摂取または存在に起因するアレルギー反応に対して効果的に抵抗性をもつようになる。本発明の治療上の用途および/または遺伝子治療用途の詳細な記述は、本明細書中の他の箇所に提供される。
【0209】
あるいは、本発明の抗体は、植物で産生することができ(例えば、本発明のポリペプチドに対する抗体の遺伝子をクローニングし、植物内の抗体の構成的発現用の上記遺伝子を含む適切なベクターで植物を形質転換する)、続いてその植物を動物に摂取させ、それによりその抗体が誘導される特定抗原に対して、動物に一時的な免疫性を付与することができる(例えば、米国特許第5,914,123号、および第6,034,298号を参照)。
【0210】
別の実施形態では、本発明の抗体、好ましくはポリクローナル抗体、より好ましくはモノクローナル抗体、最も好ましくは単鎖抗体は、植物または生物中で、特定の遺伝子(単数または複数)の遺伝子発現を阻害する手段として使用することができる。例えば、2000年2月3日に公開された国際公開第00/05391号(Dow Agrosciences LLC)を参照されたい。本発明の抗体に関するかかる方法の適用は、当該技術分野で既知であり、本明細書中の他の箇所でより具体的に記載している(例えば、実施例14および15を参照)。
【0211】
さらに別の実施形態では、本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを多量体化するのに有用であり得る。例えば、あるタンパク質は、多量体状態で存在する場合に増大した生物活性を付与し得る(すなわち、増大した活性は、かかるタンパク質の増加した有効濃度に起因し得て、それによりより多くのタンパク質が局在化された位置で利用可能である)。
【0212】
融合タンパク質
本発明の任意のポリペプチドは、融合タンパク質を生成するのに使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドは、第2のタンパク質に融合されると、抗原タグとして使用することができる。本発明のポリペプチドに対して誘起される抗体は、ポリペプチドに結合することで、第2のタンパク質を間接的に検出するために使用することができる。さらに、あるタンパク質は、輸送シグナルに基づいて細胞位置を標的とするため、本発明のポリペプチドは、他のタンパク質にいったん融合されれば、ターゲッティング分子として使用することができる。
【0213】
本発明のポリペプチドに融合することができるドメインの例には、異種シグナル配列だけでなく、他の異種機能領域も含まれる。融合は、かならずしも直接的である必要はなく、リンカー配列を介して行ってもよい。
【0214】
さらに、融合タンパク質はまた、本発明のポリペプチドの特徴を改善するように操作してもよい。例えば、宿主細胞からの精製または続く取り扱いおよび保管中の安定性および残留性を改善するために、さらなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域をポリペプチドのN末端に付加してもよい。精製を容易にするために、ペプチド部位をポリペプチドに付加してもよい。かかる領域は、ポリペプチドの最終調製前に除去され得る。同様に、ペプチド切断部位を、かかるペプチド部分間に導入することができ、さらにプロテアーゼ活性を施して、本発明のタンパク質から上記ペプチド(複数可)を除去することができる。ポリペプチドの取り扱いを容易にするために、ペプチド切断部位を含むペプチド部位を付加することは、当該技術分野ではごくありふれた日常的な技法である。
【0215】
さらに、断片、特にエピトープを含む本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常部部分、またはそれらの一部(CH1、CH2、CH3およびそれらの任意の組合せ、全ドメインおよびその一部を含む)と組み合わせて、キメラポリペプチドを生じることができる。これらの融合タンパク質は、精製を容易とし、in vivoでの半減期の増加を示す。報告された一例には、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の様々なドメインから構成されるキメラタンパク質について記載されている(欧州特許第394,827号; Traunecker et al, Nature 331:84-86 (1988))。ジスルフィド結合二量体構造(IgGに起因する)を有する融合タンパク質はまた、単量体分泌タンパク質またはタンパク質断片単独よりも、他の分子を結合および中和するのに効果的であり得る(Fountoulakis et al., J. Biochem. 270:3958-3964 (1995))。
【0216】
同様に、欧州第A−0 464 533(カナダ特許対応物第2045869号)は、別のヒトタンパク質またはその一部とともに、免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分を含む融合タンパク質について開示している。多くの場合では、融合タンパク質中のFc部分が、治療および診断に有益であり、したがって、例えば向上した薬物動態的特性をもたらすことができる(欧州特許第0232 262号)。あるいは、融合タンパク質を発現、検出および精製した後にFc部分を欠失させることが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫化用の抗原として使用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。創薬では、例えば、hIL−5のアンタゴニストを同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイの目的で、IL−5のようなヒトタンパク質をFc部分と融合させている(D.Bennett et al., J. Molecular Recognition 8:52-58 (1995); K. Johanson et al., J. Biol. Chem. 270:9459-9471 (1995)を参照)。
【0217】
さらに、本発明のポリペプチドは、マーカー配列(「タグ」とも称される)に融合させることができる。かかる「タグ」に特異的な抗体の利用可能性に起因して、本発明のポリペプチドに特異的な抗体は必要とされないため、本発明の融合ポリペプチドの精製、および/またはその同定は有意に促進される。かかる精製は、親和性精製の形態であってもよく、それによりエピトープタグに結合する抗タグ抗体または別のタイプの親和性マトリクス(例えば、流動カラムのマトリクスに付着された抗タグ抗体)が存在する。好ましい実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター中に提供されるタグ(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)のような6ヒスチジンペプチドであり、その多くが市販されている。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824 (1989)に記載されるように、例えば、6ヒスチジンは、融合タンパク質の利便性の高い精製を提供する。精製に有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する(Wilson et al., Cell 37:767 (1984))。
【0218】
当業者は、本発明のポリペプチドの精製および/または同定に関して上述したタグと容易に置き換えることができる他の「タグ」の存在を認識するであろう(Jones C., et al., J Chromatogr A. 707(1): 3-22 (1995))。例えば、c−mycタグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4m B7、および9E10抗体(Evan et al., Molecular and Cellular Biology 5:3610-3616 (1985))、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990))、フラッグペプチド、すなわち、オクタペプチド配列DYKDDDDK(配列番号17)(Hopp et al., Biotech. 6:1204-1210 (1988))、KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science, 255:192-194 (1992))、α−チュブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J. Biol. Chem., 266:15136-15166, (1991))、T7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Sci. USA, 87:6363-6397 (1990))、FITCエピトープ(Zymed, Inc.)、GFPエピトープ(Zymed, Inc.)、およびローダミンエピトープ(Zymed, Inc.)。
【0219】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに、9個以下のアルギニンアミノ酸の繰り返しシリーズのコード領域を結合することも含む。本発明はまた、9個以下のアルギニンアミノ酸の繰り返しシリーズで、本発明のポリペプチドを化学的に誘導体化することを含む。かかるタグは、ポリペプチドに結合されると、さらなる誘導体化または操作なしで、細胞の内部に化合物を接近させることが可能な普遍的パスとして作用することが最近わかっている(Wender, P., et al.、未公開データ)。
【0220】
本発明のポリペプチド(その断片および/または変異体を含む)を含むタンパク質融合物は、以下の非限定的な例:タンパク質の細胞下局在化、免疫沈降によるタンパク質−タンパク質相互作用の決定、アフィニティクロマトグラフィによるタンパク質の精製、タンパク質の機能的および/または構造的特性化に使用することができる。本発明はまた、エピトープ融合タンパク質に関して上述した使用のいずれかのための、ハプテン特異的抗体の適用を含む。例えば、本発明のポリペプチドは、ハプテン分子(例えば、DNP(Zymed, Inc.))を結合するように化学的に誘導体化することができる。かかるハプテンに特異的なモノクローナル抗体の利用可能性により、タンパク質は、例えば免疫沈降を用いて容易に精製することができる。
【0221】
本発明のポリペプチド(その断片および/または変異体を含む)、さらにかかるポリペプチド、断片および/変異体に対する抗体は、多数の既知であるがまだ決定されていない毒素(例えば、リシン、サポリン(Mashiba H, et al., Ann N Y Acad Sci. 1999; 886:233-5)、HC毒素(Tonukari NJ, et al., Plant Cell. 2000 Feb; 12(2):237-248)、BTエンドトキシン、またはシュードモナスエンドトキシン)のいずれかに融合させてもよい。かかる融合物は、本発明のポリヌクレオチドに結合することが可能なリガンドまたはタンパク質が存在する所望の組織に毒素を送達するために使用することができる。
【0222】
本発明は、細胞中の特定位置に、特定植物組織に、および/または特定植物種に、毒素を送達するために、上記毒素への本発明のポリペプチド(その変異体および断片を含む)に対する抗体の融合を含む。かかる二官能性抗体は当該技術分野で既知であるが、産生方法に関する引用を含む、さらなる好適な融合について記載する概説が、P.J. Hudson, Curr. Opp. In Imm. 11:548-557, (1999)に見出すことができ、この刊行物、さらにはそこに引用される参照文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。この状況では、「毒素」という用語は、任意の異種タンパク質、小分子、放射性ヌクレオチド、細胞毒性薬剤、リポソーム、接着分子、糖タンパク質、リガンド、細胞または組織特異的リガンド、酵素、生理活性作用物質、生物学的応答改質剤、抗真菌剤、ホルモン、ステロイド、ビタミン、ペプチド、ペプチド類縁体、抗アレルギー剤、抗結節剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗原虫剤、キレート、放射性粒子、放射性イオン、X線造影剤、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および遺伝物質を含むように拡大し得る。本開示を鑑みて、当業者は、任意の特定の「毒素」は、本発明の化合物で使用することができるかどうかを決定することができる。上記に列挙した適切な「毒素」の例は、単なる例示であり、本発明で使用し得る「毒素」を限定するものと解釈されない。
【0223】
したがって、これらの上記融合物のいずれかは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて操作することができる。
【0224】
ベクター、宿主細胞、およびタンパク質産生
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含有するベクター、宿主細胞、および組換え技法によるポリペプチドの産生に関する。ベクターは、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスベクターであってもよい。レトロウイルスベクターは、複製適格性であっても、あるいは複製欠陥性であってもよい。後者の場合には、ウイルス増殖は一般に、補完性宿主細胞でのみ起きる。
【0225】
ポリヌクレオチドは、宿主中での増殖用の選択マーカーを含有するベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物中で、あるいは荷電脂質との複合体中で導入される。ベクターがウイルスである場合、それは、適切なパッケージング細胞系を用いてin vitroでパッケージングした後に、宿主細胞へと形質導入され得る。
【0226】
本発明のポリヌクレオチド挿入物は、幾つか例を挙げると、35Sプロモーター、34Sプロモーター、CMVプロモーター、ファージλPLプロモーター、大腸菌lac、trp、phoAおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、およびレトロウイルスLTRのプロモーターのような適切なプロモーターに作動的に連結するべきである。さらに、場合によっては、組織特異的または細胞型特異的プロモーターを本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結させることが望ましいか、または必要である場合がある。特定の組織または細胞型で選択的に発現される適切な植物発現可能プロモーターは当該技術分野で既知であり、種子特異的プロモーター(例えば、国際公開第89/03887)、器官原基特異的プロモーター(An et al., Plant Cell, 8:15-30, (1996))、茎特異的プロモーター(Keller et al., EMBO J., 7:3625-3633, (1988))、葉特異的プロモーター(Hudspeth et al., Plant. Mol. Biol., 12:579-589, (1989)、葉肉特異的プロモーター(例えば、光誘導性Rubiscoプロモーター)、根特異的プロモーター(Keller et al., Genes Devel., 3:1639-1646, (1989))、塊茎特異的プロモーター(Keil et al., EMBO J., 8:1323-1330, (1989))、維管束組織特異的プロモーター(Peleman et al., Gene, 84:359-369, (1989))、***組織特異的プロモーター(例えば、SHOOTMERISTEMLESS(STM)遺伝子のプロモーター、Long et al., Nature, 379:66-69, (1996))、原基特異的プロモーター(例えば、アンティリヌム(Antirrhinum)CycD3a遺伝子プロモーター、Doonan et al., 「Plant Cell Division」(Francis, Duditz, and Inze, Eds)にて、Portland Press, London, (1998))、葯特異的プロモーター(国際公開第89/10396号、国際公開第92/13956号、および国際公開第92/13957号)、柱頭特異的プロモーター(国際公開第91/02068号)、デギスセンスゾーン(degiscence-zone)特異的プロモーター(国際公開第97/13865号)、種子特異的プロモーター(国際公開第89/03887号)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0227】
本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結してもよいさらなるプロモーターは、McElroy and Brettel, Tibtech, Vol. 12, Februaty, 1994に見出し得る。さらに、多数のプロモーターが、双子葉類の植物の形質転換に現在使用されている。これらのプロモーターは、多種多様の供給源に由来する。一般に使用されるプロモーターの一群は、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)から単離され、そこでそれらは、感染中に植物ゲノムに組み込まれるT−DNAセグメント上に保有されるオピンシンターゼ遺伝子の発現を駆動するために機能する。これらのプロモーターとして、オクトピンシンターゼ(ocs)プロモーター(L. Comai et al., 1985; C. Waldron et al., 1985)、マンノピンシンターゼ(mas)プロモーター(L. Comai et al., 1985; K.E.McBride and K.R. Summerfelt, 1990)、およびノパリンシンターゼ(nos)プロモーター(M.W.Bevan et al., 1983; L.Herrera-Estrella et al., 1983, R.T.Fraley et al., 1983, M. De Block et al., 1984; R.Hain et al., 1985)が挙げられる。これらにプロモーターは、広範な植物組織で活性である。
【0228】
さらに、以下の刊行物に開示されるプロモーターもまた、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結してもよい:米国特許第5,623,067号、第5,712,112号、第5,723,751号、第5,723,754号、第5,723,757号、第5,744,334号、第5,750,385号、第5,750,399号、第5,767,363号、第5,783,393号、第5,789,214号、第5,792,922号、第5,792,933号、第5,801,027号、第5,804,694号、第5,814,618号、第5,824,857号、第5,824,863号、第5,824,865号、第5,824,866号、第5,824,872号、および第5,929,302号、ならびに国際公開第97/49727号、第98/00533号、第98/03655号、第98/07846号、第98/08961号、第98/08962号、98/10734号、第98/16634号、第98/22593号、第98/38295号、およgび第98/44097号、ならびに欧州特許出願第0 846 770号。
【0229】
幾つかのウイルスプロモーターも、双子葉植物で異種遺伝子発現を駆動するのに使用され、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結され得る。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターは、ほとんど全ての組織での高レベルの遺伝子発現を付与するので、双子葉植物形質転換用に最も頻繁に使用されるプロモーターの1つである(L. Odell et al., 1985; D.W. Ow et al., 1986; D.M. Shah et al., 1986)。2つのタンデム35Sプロモーター(R. Kay et al., 1987)、および35Sプロモーターとタンデムなマンノピンシンターゼプロモーターから構成されるmas−35Sプロモーター(L. Comai et al., 1990)を含むこのプロモーターの改変体も使用される。これらのプロモーターはともに、35Sプロモーターの単一コピーよりも一層高レベルの遺伝子発現を駆動する。使用されている他のウイルスプロモーターとしては、カリフラワーモザイクウイルス19Sプロモーター(J. Paszkowski et al., 1984; E. Balazs et al.)、およびゴマノハグサモザイクウイルス由来の34Sプロモーター(M. Sanger et al., 1990)が挙げられる。
【0230】
あるいは、本発明のポリヌクレオチド挿入物は、当該技術分野で既知の多数の誘導プロモーターのいずれかに作動的に連結することができ、誘導プロモーターとしては、テトラサイクリン誘導プロモーター、小分子誘導プロモーター、光誘導プロモーター、化学化合物(例えば、毒性緩和剤、除草剤、グルココルチコイド等)、非生物ストレス誘導プロモーター(例えば、創傷、重金属、寒冷感受性プロモーター、熱感受性プロモーター、塩感受性プロモーター、干ばつ感受性プロモーター、低酸素誘導(例えば、欧州特許第1012317号に開示されるもの)等)、生物ストレスプロモーター(例えば、病原体またはペスト感染(真菌、ウイルス、細菌、昆虫、線虫、マイコプラスマ属、およびマイコプラスマ属様生物等を含む))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に適した植物発現可能誘導プロモーターは、線虫誘導プロモーター(例えば、国際公開第92/21757号、および/または欧州特許第1007709号に開示されるもの)、真菌誘導プロモーター(国際公開第93/19188号、国際公開第96/28561号)、化学的誘導アラビドピシスPR−1プロモーター(国際公開第98/03536号)、国際公開第98/45445号に開示される誘導プロモーター、米国特許第5,804,693号に開示される誘導プロモーター、米国特許第5,821,398号に開示されるトマト軟果実誘導プロモーター、デキサメタゾンのようなグルココルチコイドの適用後に抑制または活性化されるプロモーター、またはテトラサイクリンの適用後に抑制または活性化されるプロモーター(Gatz et al., PNAS USA, 85:1394-1397, (1988))である。他の適切な誘導プロモーターは、当業者に既知であろう。
【0231】
さらに、本発明のポリヌクレオチド挿入物は、「人工」もしくはキメラプロモーターおよび転写因子に作動的に連結することができる。具体的に、人工プロモーターは、トランス作動性転写因子により認識されるシス作動性DNA配列要素の任意の組合せを含み得るか、あるいはそれから構成され得る。好ましくは、シス作動性DNA配列要素およびトランス作動性転写因子は、植物で作動可能である。さらに、かかる「人工」プロモーターのトランス作動性転写因子もまた、それ自体の設計で「人工」またはキメラであり得て、上記「人工」プロモーターに対する活性化因子またはリプレッサーとして作用することができる。例えば、本発明のキメラプロモーターは、オクトピンシンターゼ遺伝子(OCS)、マトリクス結合領域(MAR)等に由来する上流活性化配列を1つまたは複数、含むことができる。
【0232】
発現構築物はさらに、転写開始、終結用の部位、および転写領域中に翻訳用リボソーム結合部位を含有するであろう。構築物により発現される転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきポリペプチドの最初の部分にある転写開始コドン、および終わりの部分に適切に位置する終結コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含むであろう。
【0233】
発現構築物はさらに、発現構築物中に5’リーダー配列を含んでもよい。かかるリーダー配列は、翻訳を増大させるように作用することができる。翻訳リーダーは当該技術分野で既知であり、ピコルナウイルスリーダー(例えばEMCVリーダー(脳心筋炎5’非コード領域)(Elroy-Stein, O., Fuerst, T.R., and Moss, B. (1989) PNAS USA, 86:6126-6130))、ポチウイルス(potyvirus)リーダー(例えばTEVリーダー(タバコ腐食(Etch)ウイルス)(Allison et al. (1986))、MDMVリーダー(トウモロコシ矮化モザイクウイルス)(Virology, 154:9-20)、およびヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)(Macejak, D.G., and Sarnow, P. (1991) Nature, 353:90-941)、アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNA由来の非翻訳リーダー(AMV RNA 4)(Jobling, S.A., and Gehrke, L., (1987) Nature, 325:622-625)、タバコモザイクウイルスリーダー(TW)(Gallie, D.R. et al. (1989) Molecular Biology of RNA, pages 237-256)、およびトウモロコシ白化斑点(chlorotic mottle)ウイルスリーダー(MCNW)(Lommel, S.A. et al. (1991) Virology, 81:382-385)が挙げられる。またDella-Cioppa et al. (1987) Plant Physiology, 8196506も参照されたい。翻訳を増大することが知られている他の方法、例えばイントロン等も利用することができる。
【0234】
記載するように、発現ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカーを含む。かかるマーカーとしては、真核細胞培養に関しては、ジヒドロ葉酸還元酵素、G418またはネオマイシン耐性、カナマイシン耐性、ハイグロマイシン耐性、ビアラホス耐性、スルホンアミド耐性、ストレプトマイシン耐性、スペクチノマイシン耐性、クロロスルフロン耐性、グリホスフェート耐性、およびメトトレキセート耐性、ならびに大腸菌および他の細菌での培養のためには、テトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。適切な宿主の代表例としては、大腸菌、ストレプトマイセス属、およびサルモネラ・チフィムリウム(Saimonella typhimurium)細胞のような細菌細胞、酵母(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)(ATCC受託番号第201178号))のような真菌細胞、ドロソフィア(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞のような昆虫細胞、CHO、COS、293およびボーズメラノーマのような動物細胞、植物細胞、具体的には第3表に列挙した植物のいずれかに由来する植物細胞および/または組織が挙げられるが、これらに限定されない。上述の宿主細胞に適切な培地および条件は当該技術分野で既知である。
【0235】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、発現のために葉緑体またはアミロプラストを標的とすることができる。この様式では、発現構築物はさらに、本発明のポリヌクレオチドを葉緑体へ誘導するために、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結される輸送ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含有するであろう。かかる輸送ペプチドは当該技術分野で既知である。例えば、Von Heijne et al. (1991) Plant Mol. Biol. Rep. 9:104-126、Clark et al.(1989) J Biol. Chem. 264:17544-17550、della-Cioppa et al. (1987) Plant Physiol. 84065060 R.omer et al., (1993) Biochem. Biophys. Res Commun. 196:1414-1421、およびShah et al. (1986) Science 233:478-481を参照されたい。
【0236】
発現構築物はまた、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結される、核局在化シグナル(Kalderon et al.(1984) Cell 39:499-509; and Lassner et al. (1991) Plant Molecular Biology 17:229-234)、植物翻訳コンセンサス配列(Joshi, C.P. (1987) Nucleic Acids Research 15:6643-6653)、イントロン(Luehrsen and Walbot (1991) Mol. Gen. Genet. 225:81-93)等のような他の必須調節因子を含んでもよい。
【0237】
本発明のタンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、植物の遺伝子操作に特に有用であり得る。この様式では、本発明のポリヌクレオチドは、所定の植物での発現用の発現カセット中に提供される。適切である場合、遺伝子(複数可)は、形質転換植物での発現増加に関して最適化され得る。すなわち、ポリヌクレオチドを、特定の種に特異的な改善された発現用の植物に好ましいコドンを用いて合成することができる。植物に好ましい遺伝子を合成する方法は、当該技術分野で利用可能である。例えば、米国特許第5,380,831号、第5,436,391号、およびMurray et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:477-498(これらは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0238】
所定のDNA配列が発現される種に応じて、植物に好ましいコドン、あるいは葉緑体に好ましいコドンを有する配列を合成することが望ましい場合がある。植物に好ましいコドンは、所定の特定植物種において最大量に発現されるタンパク質で最も高い頻度のコドンから決定され得る。例えば、欧州特許第0359472号、欧州特許第0385962号、国際公開第91/16432号、Perlak et al. (1991) Proc. Natl. Acad Sci. USA 88:3324-3328、およびMuray et al. (1989) Nucleic Acids Researchを参照されたい。この様式では、ポリヌクレオチド配列は、任意の植物での発現に関して最適化され得る。遺伝子配列のすべてまたは任意の部分は最適化されてもよく、または合成されてもよいことが認識される。すなわち、合成または部分的最適化配列もまた使用され得る。
【0239】
さらに、特定の標的細胞または組織内に高翻訳効率用に最適化されたコドンを含有するようにコードオポリヌクレオチド配列を合成することで、植物の特定標的細胞または組織において本発明のポリペプチドを選択的に発現させることが望ましい場合がある。かかる方法は当該技術分野で既知であり、PCT国際公開第00/42190号(これは、参照により本明細書に援用される)に具体的に提供される。
【0240】
細胞宿主での遺伝子発現を高めるためのさらなる配列改変が知られている。これらには、偽ポリアデニル化シグナル、エクソン−イントロンスプライス部位シグナル、トランスポゾン様反復をコードする配列、および遺伝子発現に有害であり得る他のかかる十分に特性化された配列の排除が含まれる。配列のG−C含量は、宿主細胞中で発現される既知の遺伝子に対する参照により算出される場合、既定の細胞宿主の平均レベルに調節され得る。可能な場合、配列を改変させて、予測ヘアピン二次mRNA構造を回避してもよい。
【0241】
細菌で使用するのに好ましいベクターとしては、QIAGEN, Inc.から入手可能なpQE70、pQE60、およびpQE−9、Stratagene Cloning Syntems, Inc.から入手可能なpBluescriptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、およびPharmacia Biotech, Inc.から入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5が挙げられる。好ましい真核ベクターには、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG、およびPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLがある。酵母系で使用するのに好ましい発現ベクターとしては、pYES2、pYD1、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZα、pPIC9、pPIC3.5、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、pPIC9K、およびPAO815(すべてInvitrogen, Calbad, CAから入手可能)が挙げられる。
【0242】
植物系で好ましい発現ベクターとしては、Bin19(ATCC寄託番号第37327号)、GA437(ATCC寄託番号第37350号)、pAK1003(ATCC寄託番号第37425号)、pAS2022(ATCC寄託番号第37426号)、pAS2023(ATCC寄託番号第37427号)、pAP2034(ATCC寄託番号第37428号)、pC22(ATCC寄託番号第37493号)、pHS24(ATCC寄託番号第37841号)、pHS85(ATCC寄託番号第37842号)、pPM1(ATCC寄託番号第40172号)、pGV3111SE(ATCC寄託番号第53213号)、pCGN978(ATCC寄託番号第67064号)、pFL61(ATCC寄託番号第77215号)、pGPTV−KAN(ATCC寄託番号第77388号)、pGPTV−HRT(ATCC寄託番号第77389号)、pGPTV−DHFR(ATCC寄託番号第77390号)、pGPTV−BAR(ATCC寄託番号第77391号)、pGPTV−BLEO(ATCC寄託番号第77392号)、および/またはpPE1000(ATCC寄託番号第87573号)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、上記ベクターのいずれかが、作動可能性に必要とされ得るように、特定要素を含むか、または欠失するように容易に改変することができることを理解されよう。他の適切なベクターは、当業者には容易に明らかであろう。
【0243】
宿主細胞への構築物の導入は、微粒子銃形質転換(Klein et al., Nature, 327:70-73 (1987))、PEG媒介性トランスフェクション(Paskowski, et al., EMBO J., 3:2717, (1984))、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション(Fromm, et al., PNAS, USA, 82:5824 (1985))、形質導入、感染、アグロバクテリウム・チュメファシエンス誘導性感染、または他の方法により達成することができる。かかる方法は、Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology (1986)のような多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0244】
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、およびレクチンクロマトグラフィを含む既知の方法により、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィ(「HPLC」)が精製に使用される。
【0245】
本発明のポリペプチドはまた、体液、組織および細胞を含めた自然源から精製される産物(直接的に単離されようと、培養されようと)、化学合成手順の生成物、および例えば、細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物細胞を含む原核または真核宿主から組換え技法により産生される産物から回収することができる。
【0246】
組換え産生手順で使用する宿主に応じて、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもよく、あるいはグリコシル化されなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、場合によっては宿主媒介性プロセスの結果として、開始改変メチオニン残基を含んでもよい。したがって、翻訳開始コドンにコードされるN末端メチオニンは一般に、全ての真核細胞中で翻訳後に任意のタンパク質から高効率で除去されることが当該技術分野で既知である。ほとんどのタンパク質上のN末端メチオニンはまたほとんどの原核生物で効率的に除去されるものの、幾つかのタンパク質に関しては、N末端メチオニンが共有結合するアミノ酸の性質に依存して、この原核除去プロセスが不十分である。
【0247】
本明細書中で議論するベクター構築物を含有する宿主細胞を含むだけでなく、本発明はまた、内因性遺伝物質(例えば、コード配列)を欠失または置換するように、および/または本発明のポリヌクレオチドと作動可能に結合され、内因性ポリヌクレオチドを活性化、変更および/または増幅する遺伝物質(例えば、異種ポリヌクレオチド配列)を含むように操作した一次、二次または不死化細胞も含む。例えば、当該技術分野で既知の技法を用いて、相同組換えにより異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)と内因性ポリヌクレオチド配列を作動可能に結合し、新規転写ユニットを形成させてもよい(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許第5,641,670号、1998年3月31日に発行された米国特許第5,733,761号、1996年9月26日に公開された国際公開第96/29411号、1994年8月4日に公開された国際公開第94/12650号、Koller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935 (1989)、およびZijlstra et al., Nature 342:435-438 (1989)を参照、これらそれぞれの開示は、その全体が参照により援用される)。
【0248】
さらに、本発明のポリペプチド、類似体、誘導体、および/または断片は、化学的に合成することができる(例えば、Merrifield, 1963, J. Amer.Chem. Soc. 85:2149-2156を参照)。例えば、ポリペプチドは、固相技法により合成し、樹脂から切り出し、高速液体クロマトグラフィで精製することができる(例えば、Creighton, 1983, Proteins, Structures and Molecular Principles, W.H.Freeman and Co., N.Y., pp.50-60を参照)。ポリペプチドはまた、ペプチド合成機を用いて合成することもできる。合成ペプチド組成物は、アミノ酸分析またはシーケンシングにより確認され得る(例えば、エドマン分解法、Creighton, 1983, Proteins, Structures and Molecular Principles, W.H. Freeman and Co., N.Y., pp.34-49を参照、質量分析ペプチドシーケンシング等)。さらに、望ましい場合、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸類似体を、本発明のポリペプチドへの置換または付加として導入することができる。非古典的アミノ酸としては、通常のアミノ酸のD異性体、2,4−ジアミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロへキシルアラニン、β−アラニン、フルオロアミノ酸、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸、および概してアミノ酸類似体が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、アミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0249】
本発明のポリペプチド配列の操作は、タンパク質レベルでなされてもよい。本発明のポリペプチド、その断片、例えば、グルコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性切断、抗体分子または他の細胞リガンドへの連結等により翻訳中または後に示差的に修飾した誘導体あるいは類似体が、本発明の範囲内に包含される。数多くの化学的修飾のいずれかは、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツニカマイシン存在下での代謝合成等による特定の化学的切断が挙げられるが、それらに限定されない既知の技法により実施され得る。
【0250】
さらに、本発明は、さらなる翻訳後修飾を包含し、さらなる翻訳後修飾としては、例えば、N結合もしくはO結合炭水化物部分または鎖の付加、事実上蛍光性、放射性同位体性、酵素性であり得る検出可能標識の付加、エピトープタグ化ペプチド断片(例えば、FLAG、HA、GST、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質等)の付加、ビオチンおよび/またはストレプトアビジンのような親和性タグの結合、アミノ酸バックボーンへの化学部分の共有結合、ポリペプチド末端のNまたはC末端プロセシング(例えば、タンパク質分解性プロセシング)、N末端メチオニン残基の欠失等が挙げられる。
【0251】
さらに、本発明は、本発明のポリペプチドの化学的誘導体化(好ましくはここで化学物質が親水性ポリマー残基である)を含む。誘導体を含む例示的な親水性ポリマーは、繰り返しユニットが1つまたは複数のヒドロキシ基を含有するポリマー(ポリヒドロキシポリマー)(例えば、ポリ(ビニルアルコール)を含む)、繰り返しユニットが1つまたは複数のアミノ基を含有するポリマー(ポリアミンポリマー)(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質およびリポタンパク質(アルブミンおよび天然のリポタンパク質のような)を含む)、繰り返しユニットが1つまたは複数のカルボキシ基を含有するポリマー(ポリカルボキシポリマー)(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびそれらの塩(アルギン酸ナトリウムおよびカルシウム)、グリコサミノグリカンおよびその塩(ヒアルロン酸塩を含む)、炭水化物のリン酸化およびスルホン化誘導体、インターロイキン−2およびインターフェロンのような遺伝物質、ならびにホスホロチオエートオリゴマーを含む)、および繰り返しユニットが1つまたは複数の糖類部分を含有するポリマー(多糖類ポリマー)(例えば、炭水化物を含む)を含むものであってもよい。
【0252】
親水性ポリマーの分子量は多様であってもよく、一般に約50〜約5,000,000であり、約100〜約50,000の分子量を有するポリマーが好ましい。より好ましいポリマーは、約150〜約10,000の分子量を有し、約200〜約8,000の分子量がよりいっそう好ましい。
【0253】
本発明のポリペプチドを誘導化するのに使用され得るさらなる好ましいポリマーとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキソマー(polyoxomer)、ポリソルベート、およびポリ(ビニルアルコール)が挙げられ、PEGポリマーは特に好ましい。PEGポリマーの中でも好ましいのは、約100〜約10,000の分子量を有するPEGポリマーである。より好ましくは、PEGポリマーは、約200〜約8,000の分子量を有し、それぞれ2,000、5,000および8,000の分子量を有するPEG2,000、PEG5,000、およびPEG8,000がよりいっそう好ましい。上記に例示したもののほかに、他の適切な親水性ポリマーは、本開示に基づいて、当業者には容易に明らかであろう。一般に、使用するポリマーには、アルキル化またはアシル化反応により、本発明のポリペプチドに結合することができるポリマーが含まれ得る。
【0254】
上記に例示した様々なポリマーのように、ポリマー残基は、例えば本発明のポリペプチドにポリマー残基を結合することに典型的に関与するもの以外に官能基を含有してもよい。かかる官能性としては、例えばカルボキシル、アミン、ヒドロキシ、およびチオール基が挙げられる。ポリマー残基上のこれらの官能基は、望ましい場合には、一般にかかる官能基と反応性を有し、身体中の特定組織(例えば、罹患組織を含む)を標的とするのを助長することができる物質とさらに反応させることができる。さらなる官能基と反応させることができる例示的物質としては、例えば、タンパク質(抗体を含む)、炭水化物、ペプチド、糖ペプチド、糖脂質、レクチン、およびヌクレオチドが挙げられる。
【0255】
親水性ポリマー残基のほかに、本発明のポリペプチドを誘導体化するのに使用される化学物質は、糖類残基であり得る。誘導され得る例示的糖類としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、およびセドヘプツロースのような単糖類または糖アルコール(好ましい単糖類は、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、マンニトールおよびソルビトールである)、ならびにラクトース、スクロース、マルトースおよびセロビオースのような二糖類が挙げられる。他の糖類としては、例えば、イノシトールおよびガングリオシドヘッド基が挙げられる。上記に例示したもの以外に、他の適切な糖類は、本開示に基づいて、当業者には容易に明らかであろう。一般に、誘導体化に使用され得る糖類には、アルキル化またはアシル化により、本発明のポリペプチドに結合することができる糖類が含まれる。
【0256】
さらに、本発明はまた、例えば、脂質(カチオン脂質、アニオン脂質、重合脂質、荷電脂質、合成脂質、飽和脂質、不飽和脂質、および上記の任意の組合せ等を含む)、安定化剤による本発明のポリペプチドの誘導体化を含む。
【0257】
本発明は、例えば、安定化機能を供給し得る(例えば、溶液中でのポリペプチド半減期を高めるために、ポリペプチドをより水溶性にするために、ポリペプチド親水性または疎水性の性質を高めるために、等)化合物による本発明のポリペプチドの誘導体化を含む。安定化物質として有用なポリマーは、天然起源、半合成(改変天然)起源、または合成起源であってもよい。例示的な天然ポリマーとしては、天然に存在する多糖(例えば、アラビナン、フルクトカン、フカン、ガラクトカン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン(例えば、イヌリンのような)、レバン、フコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース(galatocarolose)、ペクチン酸、ペクチン(アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチンを含む)、セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、グルコース、ポリグルコース、ポリデキストロース、プスツラン(pustulan)、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンチンガム、デンプンのような)、および様々な他の天然ホモポリマーまたはヘテロポリマー(以下のアルドース、ケトース、酸またはアミン:エリトース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、デキストロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリルトルロース、リブロース、キシルロース、プサイコース(psicose)、フルクトース、ソルボース、タガトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グルクロン酸、グルコン酸、グルカン酸、ガラクトロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸、ならびにそれらの天然に存在する誘導体の1つまたは複数を含有するもの)が挙げられる。したがって、適切なポリマーとして、例えば、アルブミン、ポリアルギン酸、およびポリラクチド−コグリコリドポリマーのようなタンパク質が挙げられる。例示的半合成ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、およびメトキシセルロースが挙げられる。例示的合成ポリマーとしては、ポリホスファゼン、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイトポリマー、ポリエチレン(例えば、ポリエチレングリコール(例えば、BASF, Parsippany, N.J.で市販されているPluronics.R.T.M.と呼ばれる化合物類を含む)、ポリオキシエチレン、およびポリエチレンテレフタレートのような)、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコールのような)、ポリウレタン(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、およびポリビニルピロリドンのような)、ナイロンを含むポリアミド、ポリスチレン、ポリ乳酸、フッ化炭化水素ポリマー、フッ化カーボンポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレンのような)、アクリレート、メタクリレート、およびポリメタクリル酸メチル、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。安定化化合物としてポリマーを使用する、本発明の誘導体化ポリペプチドの調製方法は、米国特許第5,205,290号(Unger)(この開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載および言及されるもののような当該技術分野で既知の情報と併せて本開示を鑑みれば、当業者には容易に明らかであろう。
【0258】
さらに、本発明は、本発明のポリペプチドのさらなる修飾を含む。かかるさらなる修飾は、当該技術分野で既知であり、米国特許第6,028,066号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)で、誘導体化方法等のほかに具体的に提供される。
【0259】
ポリヌクレオチドの使用
本明細書中に特定したポリヌクレオチドはそれぞれ、試薬として多数の方法で使用することができる。以下の説明は、例示的であるとみなされるべきであり、既知の技法を利用している。
【0260】
本発明のポリヌクレオチドは、染色体同定に有用である。現在利用可能である実際の配列データ(反復多型)に基づく染色体作製用試薬が数少ないため、新規染色体マーカーを同定することが継続して必要とされている。本発明の各ポリヌクレオチドは、染色体マーカーとして使用することができる。
【0261】
簡潔に述べると、配列は、配列番号Xで示される配列由来のPCRプライマー(好ましくは、15〜25bp)を調製することで染色体にマッピングすることができる。プライマーがゲノムDNA中の1つより多い予測エクソンにまたがらないように、コンピュータ解析を用いてプライマーを選択することができる。次に、これらのプライマーを、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに使用する。配列番号Xに相当するヒト遺伝子を含有するハイブリッドのみが、増幅断片をもたらす。
【0262】
同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体に対してポリヌクレオチドをマッピングする迅速なPCR方法を提供する。単一熱循環器を用いて、1日当たり3つまたはそれ以上のクローンを帰属することができる。さらに、ポリヌクレオチドの部分局在化が、特定染色体断片パネルにより達成することができる。使用することができる他の遺伝子マッピング戦略としては、in situハイブリダイゼーション、標識フローソート染色体によるプレスクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる事前選択が挙げられる。
【0263】
ポリヌクレオチドの正確な染色***置はまた、中期染色体拡散の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて達成することができる。この技法は、500または600塩基程度と短いポリヌクレオチドを使用するが、2,000〜4,000bpのポリヌクレオチドが好ましい。この技法の概説に関しては、Verma et al., 「Human Chromosomes: as Manual of Basic Techniques」, Pergamon Press, New York (1988)を参照されたい。
【0264】
染色体マッピングに関して、ポリヌクレオチドは、別個に(当該染色体上の単一染色体または単一部位をマークするために)、またはパネルで(複数部位および/または複数染色体をマークするために)使用することができる。コード配列が遺伝子ファミリー内に保存される可能性がより高いことから、好ましいポリヌクレオチドは、cDNAの非コード領域に相当し、したがって、染色体マッピング中にクロスハイブリダイゼーションの機会を増加させる。
【0265】
いったんポリヌクレオチドが正確な染色***置にマッピングされたら、ポリヌクレオチドの物理的位置は連鎖分析に使用することができる。連鎖分析は、染色***置と特定疾患の状態との間の共同相続を確立する。疾患マッピングデータは、当該技術分野で既知である。1メガ塩基マッピング分解能および20kb当たり1つの遺伝子を仮定すると、疾患に関連する染色体領域に正確に局在化するcDNAは、潜在的原因遺伝子の50〜500分の1であり得る。
【0266】
したがって、いったん共同相続が確立されれば、冒された生物と冒されてない生物との間でのポリヌクレオチドと相当する遺伝子の差異を検査することができる。第1に、欠失または転座のような染色体の目に見える構造変化は、染色体拡散で、またはPCRにより検査される。構造変化が見られない場合は、点突然変異の存在が確認される。冒された生物のいくつかまたは全てでが観察されるが、正常な生物では観察されない突然変異は、その突然変異が疾患を引き起こし得ることを示している。しかしながら、幾つかの正常な生物由来のポリペプチドおよび相当する遺伝子の完全シーケンシングが、多型と突然変異とを区別するのに必要である。新規多型が同定される場合、この多型ポリペプチドは、さらなる連鎖分析に使用することができる。
【0267】
さらに、冒されていない生物と比較した場合の冒された生物中の遺伝子の発現の増加または減少を、本発明のポリヌクレオチドを用いて評価することができる。これらの変化(変化した発現、染色体再配列、または突然変異)のいずれかを、診断または予後マーカーとして使用することができる。
【0268】
したがって、本発明はまた、生物由来の細胞または体液中の本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定することと、ポリヌクレオチド発現レベルの標準的な発現と、測定した遺伝子発現レベルを比較することとを包含し、それにより標準と比較した遺伝子発現レベルの増加または減少が障害を示している、障害の診断中に有用な診断方法を提供する。
【0269】
「本発明のポリヌクレオチドの発現レベルを測定すること」とは、第1の生物学的試料中の本発明のポリペプチドレベル、またはポリヌクレオチドをコードするmRNAのレベルを、直接的(例えば、絶対的タンパク質レベルまたはmRNAレベルを決定あるいは推定することにより)もしくは相対的に(例えば、第2の生物学的試料中のポリペプチドまたはmRNAレベルと比較することにより)、定性的にまたは定量的に測定あるいは推定することを意図する。好ましくは、第1の生物学的試料中のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルを測定または推定し、標準的なポリペプチドレベルまたはmRNAレベルと比較する。標準は、障害を有していない個体から得られる第2の生物学的試料から得られるか、または障害を有さない生物集団からのレベルの平均をとることで決定される。当該技術分野で理解されているように、標準的なポリペプチドレベルまたはmRNAレベルがいったん知られれば、それは、比較用の標準物質として繰り返し使用することができる。
【0270】
「生物学的試料」とは、本発明のポリペプチドまたはmRNAを含有する、生物から得られる任意の生物学的試料、体液、細胞系、組織培養物、または他の供給源を意図する。記載のように、生物学的試料としては、本発明のポリペプチドを含有する体液(例えば、以下の非限定的な例:師部、木部、分泌液、花蜜、根粒液、付着器液、腐爛液、菌こぶ液、果汁、毛状突起液、液胞液、色素体液、サイトゾル液、根滲出液、細胞間液等)、および本発明のポリペプチドを発現することが見出されている他の組織源(例えば、以下の非限定的な例:根、茎、頂端***組織、葉、花、ペダル等)が挙げられる。植物から組織生検材料および体液を獲得する方法は当該技術分野で既知である。例えば、植物細胞および組織の細胞間液を単離する方法は、例えば国際公開第00/09725号に見出すことができる。生物学的試料がmRNAを包含すべきである場合、組織生検材料が好ましい供給源である。
【0271】
上記に提供した方法(複数可)は、好ましくは、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを固体支持体に結合させた診断方法および/またはキットに適用させてもよい。1つの例示的な方法では、支持体は、米国特許第5,837,832号、第5,874,219号、および第5,856,174号に記載されうような「遺伝子チップ」または「生物学的チップ」であってもよい。さらに、本発明のポリヌクレオチドを結合させたかかる遺伝子チップを用いて、試験対象から単離したポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列間の多型を特定してもよい。かかる多型(すなわち、それらの位置、ならびにそれらの存在)の知識は、増殖性疾患および状態を含む多くの障害に関して疾患遺伝子座を特定するのに有用である。かかる方法は、米国特許第5,858,659号、および第5,856,104号に記載されている。上述の米国特許は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0272】
本発明は、ペプチド核酸(PNA)として、あるいは当該技術分野で既知の他の方法に従って、化学的に合成されるか、または再生される本発明のポリヌクレオチドを含む。PNAの使用は、ポリヌクレオチドが固体支持体または遺伝子チップ上に組み込まれる場合に好ましい形態として機能する。本発明の目的で、ペプチド核酸(PNA)は、ポリアミド型のDNA類似体であり、アデニン、グアニン、チミン、およびシトシンの単量体ユニットが市販されている(Perceptive Biosystems)。リン、酸化リン、またはデオキシリボース誘導体のようなDNAのある種の成分がPNAには存在しない。P.E.Nielsen, M. Egholm, R.H.Berg and O. Buchardt, Science 254, 1497 (1991)、およびM. Egholm, O. Buchardt, L. Christensen, C. Behrens, S.M. Freier, D.A.Driver, R.H. Berg, S.K.Kim, B. Norden, and P.E. Nielsen, Nature 365, 666 (1993)により開示されるように、PNAは、相補DNA鎖に特異的にかつ強固に結合し、ヌクレアーゼにより分解されない。実際に、PNAは、DNA自身よりも強力にDNAに結合する。これはおそらく、2つの鎖間に静電反発力が存在せず、またポリアミドバックボーンがより柔軟であるためである。この理由から、PNA/DNA二重鎖は、DNA/DNA二重鎖よりも広範なストリンジェントな条件下で結合し、多発性ハイブリダイゼーションを実施するのをより容易なものとする。PNA/DNAハイブリッドのより強力な結合性に起因して、DNAの場合よりも小さいなプローブを使用することができる。さらに、PNA/DNA15量体中の単一ミスマッチは、DNA/DNA15量体二重鎖に関する4℃〜16に対して、8℃〜20℃融点(T.sub.m)が低いため、単一塩基ミスマッチは、PNA/DNAハイブリダイゼーションにより決定することができる可能性がより高い。また、PNA中の電荷基の非存在は、ハイブリダイゼーションを低イオン強度で実施することができ、分析中の塩による考え得る妨害を減少させることができる。
【0273】
上述のほかに、ポリヌクレオチドは、三重らせん形成またはアンチセンスDNAもしくはRNAにより遺伝子発現を制御するのに使用することができる。アンチセンス技法は、例えば、Okano, J. Neurochem. 56:560 (1991), 「Oligodeonucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expressionm, CRC Press, Boca Raton, FL (1988)で議論されている。三重らせん形成は、例えば、Lee et al., Nucleic Acids Research 6:3073(1979); Cooney et al., Science 241:456 (1998)、およびDervan et al., Science 251: 1360 (1991)で議論されている。両方法が、相補DNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に依存する。これらの技法に関しては、好ましいポリヌクレオチドは通常、20〜40塩基長であり、かつ転写に関与した遺伝子領域(三重らせん、Lee et al., Nucl. Acids Res. 6:3073 (1979)、Cooney et al., Science 241:456 (1988)、およびDervan et al., Science 251:1360 (1991)を参照)、またはmRNA自体(アンチセンス、Okano, J. Neurochem. 56:560 (1991); Oligodeoxy-nucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (1988))にいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドである。三重らせん形成が、最適にはDNAからのRNA転写のシャットオフをもたらす一方で、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションは、mRNAのポリペプチドへの翻訳を阻止する。両技法は、モデル系で効果的であり、本明細書中に開示する情報は、疾患を治療または防止するための取り組みにおいてアンチセンスまたは三重らせんポリヌクレオチドを設計するのに使用することができる。
【0274】
本発明は、本発明の任意のオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重らせんオリゴヌクレオチド、リボザイム、PNAオリゴヌクレオチド、および/またはポリヌクレオチドへの、5’末端、3’末端またはその中の任意の位置で作動可能に連結される核局在化シグナルの付加を含む。例えば、G. Cutrona, et al., Nat. Biotech., 18:300-303, (2000)(これは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0275】
本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子治療に有用である。遺伝子治療の目標の1つは、遺伝的欠陥を矯正するための取り組みにおいて、欠陥遺伝子を有する生物に正常な遺伝子を挿入することである。本発明に開示するポリヌクレオチドは、高精度の様式で、かかる遺伝的欠陥を標的とする手段を提供する。別の目標は、宿主ゲノムに存在しなかった新規遺伝子を挿入し、それにより宿主細胞に新たな形質を生じさせることである。一例では、本発明のポリヌクレオチド配列は、具体的に、例えば全身注射時に植物中に宿主細胞ミスマッチ修復機構を誘導するように設計された、上記配列に相当するキメラRNA/DNAオリゴヌクレオチドを構築するために使用してもよい(Bartlett, R.J., et al., Nat. Biotech, 18:615-622 (2000)、これは、その全体が参照により本明細書に援用される)。かかるRNA/DNAオリゴヌクレオチドは、ある宿主株中の遺伝的欠陥を矯正するように、かつ/または植物に所望の形質を導入する(例えば、ある除草剤、殺虫剤、殺真菌剤等に対する抵抗性を付与し得る本発明のポリヌクレオチドに相当する内因性遺伝子内の特定多型の導入)ように設計することができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチド配列は、具体的にある宿主株中の遺伝的欠陥を矯正するように、かつ/または植物宿主に所望の形質を導入する(例えば、ある除草剤、殺虫剤、殺真菌剤等に対する抵抗性を付与し得る本発明のポリヌクレオチドに相当する内因性遺伝子内の特定多型の導入)ように設計した、上記配列に相当する二重鎖オリゴヌクレオチドを構築するのに使用してもよい。二重鎖オリゴヌクレオチドを使用するかかる方法は当該技術分野で既知であり、本発明に包含される(欧州特許第1007712号を参照、これはその全体が参照により本明細書に援用される)。
【0276】
ポリヌクレオチドはまた、微小の生物学的試料から生物を特定するのに有用である。例えば、米軍は、その職員を識別するために制限断片長多型(RFLP)の使用について検討中である。この技法では、個人のゲノムDNAを、1つまたは複数の制限酵素で消化し、サザンブロット上でプローブして、職員を識別する特有のバンドが得られる。この方法は、確固たる識別を困難とする、損失、交換または盗難され得る「認識票(Dog Tag)」の現在の制限で損害を受けることはない。本発明のポリヌクレオチドは、RFLP用のさらなるDNAマーカーとして使用することができる。
【0277】
本発明のポリヌクレオチドはまた、生物ゲノムの選択部分の実際のベース・バイ・ベース(base-by-base)DNA配列を決定することで、RFLPの代替物として使用することができる。これらの配列は、かかる選択DNAの増幅および単離用PCRプライマーを調製するのに使用することでき、続いてかかる選択DNAをシーケンシングすることができる。この技法を使用すれば、各生物は特有のDNA配列群を有するため、生物を特定することができる。生物に関する特有のIDデータベースがいったん確立されれば、極少量の組織試料から、その生物(生存しているか、または死んでいる)の明確な特定がなされ得る。同様に、本発明のポリヌクレオチドは、多型マーカー、さらには、形質転換もしくは非形質転換植物細胞および/または組織の特定として使用することができる。
【0278】
特定組織の供給源を特定することが可能な試薬も必要である。かかる必要性は、例えば、未知の起源の組織が提示される場合に浮上する。適切な試薬は、例えば、本発明の配列から調製される特定組織に特異的なDNAプローブまたはプライマーを含むことができる。かかる試薬パネルは、種および/または器官型により組織を特定することができる。同様の様式で、これらの試薬は、汚染に関して組織培養物をスクリーニングするのに使用することができる。さらに、上述するように、かかる試薬は、形質転換もしくは非形質転換植物細胞および/または組織をスクリーニングおよび/または特定するために使用することができる。
【0279】
さらに、本発明のポリヌクレオチド、本発明のポリペプチドをコードするポリペプチド、寄託物に含まれるcDNA(それらの変異体および/または断片を含む)は、植物中に以下の非限定的な形質:干ばつ耐性、UV耐性、花形成、テルペン合成、非生物的ストレス耐性、熱ストレス耐性、寒冷ストレス耐性、栄養分ストレス耐性、生体異物ストレス耐性、タンパク質貯蔵能力、油貯蔵能力、アミノ酸含有量、アミノ酸組成、炭水化物貯蔵能力、油組成、炭水化物含有量、炭水化物組成、繊維含有量、繊維組成、代謝産物含有量、代謝産物組成、ビタミン含有量、および/またはビタミン組成を調節、抑制、増加、減少または導入するのに有用であり得る。本発明のポリヌクレオチドはまた、植物収量高、植物発生、植物分化、根の成長、根の形態、植物の色、植物の香り、植物の風味、植物組織の味の良さ、植物感覚受容特性(植物浄化(phytoremediation)で有用であり得る)、および/または植物防御において有用であり得る。さらに、本発明のポリペプチドはまた、植物栄養品(nutriceuticals)、医薬品、または植物医薬品(phytoceuticals)として作用する植物の能力を調製するのに有用であり得る。あるいは、本発明のポリペプチドはまた、内因性または外因性起源(例えば、別の植物種、ヒト、哺乳動物、動物または他の生物由来)のいずれかの植物栄養品、医薬品、または植物医薬品を生産する植物の能力を調製するのに有用であり得る。この状況で、「植物」という用語は、任意の植物細胞、植物組織、植物液、または植物容貌を意味するのに適用し得て、付着器、菌こぶ、、腐爛、および/または根粒を含むが、これらに限定されない植物感染構造が含まれる。この状況で、「調節」という用語は、上述し、また本明細書中の他の箇所で記載するような特定の形質もしくは性質の定性的または定量的増加、減少、導入、抑制、完全な損失、または過剰発現を意味するのに適用され得る。
【0280】
非常に軽くみても、本発明のポリヌクレオチドは、サザンゲルの分子量マーカーとして、特定の細胞型における特異的なmRNAの存在に関する診断プローブとして、新規ポリヌクレオチドを発見する過程で既知の配列を「差し引く(subtract-out)」ためのプローブとして、「遺伝子チップ」または他の支持体に結合するためのオリゴマーを選択および作製するために、DNA免疫化技法を用いて抗DNA抗体を誘起するために、および免疫応答を誘発するための抗原として使用することができる。
【0281】
ポリペプチドの使用
本明細書中で特定したポリペプチドはそれぞれ、多数の方法で使用することができる。以下の説明は、例示的であるとみなされるべきであり、既知の技法を利用している。
【0282】
本発明のポリペプチドは、抗体ベースの技法を用いて、生物学的試料中のタンパク質レベルをアッセイするのに使用することができる。例えば、組織中のタンパク質発現は、古典的な免疫学的方法を用いて研究することができる(Jalkanen, M., et al., J. Cell. Biol. 101:976-985 (1985); Jalkanen, M., et al., J. Cell. Biol. 105:3087-3096 (1987))。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用な他の抗体ベースの他の方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)のようなイムノアッセイが挙げられる。適切な抗体アッセイ標識は当該技術分野で既知であり、グルコースオキシダーゼのような酵素標識、およびヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)のような放射性同位体、およびフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。
【0283】
生物学的試料中のタンパク質レベルをアッセイすることのほかに、タンパク質はまた、イメージングによりin vivoで検出することもできる。タンパク質in vivoイメージング用抗体標識またはマーカーとしては、X線撮影、NMRまたはESRにより検出可能なものが挙げられる。X線撮影に関しては、適切な標識としては、検出可能な放射線を放出するが、明らかに対象体に有害でないバリウムまたはセシウムのような放射性同位体が挙げられる。NMRおよびESRに適したマーカーとしては、関連ハイブリドーマ用の栄養分の標識により抗体に組み込まれ得る、重水素のような検出可能な特徴的スピンを有するものが挙げられる。
【0284】
放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射能不伝導性(radio-opaque)物質、または核磁気共鳴により検出可能な物質のような適切な検出可能なイメージング部分で標識したタンパク質特異的抗体または抗体断片は、生物に導入される(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内)。対象体の大きさおよび使用するイメージングシステムが、診断画像を生成するのに必要なイメージング部分の量を決定することは理解されよう。放射性同位体部分の場合では、注射した放射活性の量は通常、約5〜20ミリキューリーの99mTCであろう。次に、標識抗体または抗体断片は、特定のタンパク質を含有する細胞の位置で優先的に蓄積されるであろう。in vivo腫瘍イメージングは、S.W.Burchiel et al., 「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments」(Chapter 13 in Tumor Imaging: The Radiochemical Detection of Cancer, S.W. Burchiel and B.A. Rhodes, eds., Masson Publishing Inc. (1982))に記載されている。かかる方法は、植物にも同様に適用される。
【0285】
したがって、本発明は、障害の診断方法を提供し、この診断方法は、(a)生物の細胞または体液中の本発明のポリペプチドの発現をアッセイすることと、(b)遺伝子発現レベルを標準的な遺伝子発現レベルとを比較することとを包含し、それにより標準的な発現レベルと比較した、アッセイしたポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が、障害を示している。
【0286】
さらに、本発明のポリペプチドは、疾患または疾患状態の治療、検出および/または防止に使用することができる。例えば、存在しないかまたは減少したレベルのポリペプチドを元に戻すための取り組み、存在しないかまたは減少したレベルの種々のポリペプチドを補充するための取り組み、直接的または間接的にポリペプチドの活性を阻害するための取り組み、直接的または間接的にポリペプチドの活性を活性化させる取り組み(例えば、受容体に結合させることで)、遊離リガンドと膜結合受容体を競合させることで膜結合受容体の活性を減少させるための取り組み、または所望の応答(例えば、分化、成長、老化、発芽等)を引き起こすための取り組みにおいて、生物に本発明のポリペプチドを投与することができる。
【0287】
同様に、本発明のポリペプチドに対する抗体もまた、疾患を治療、予防、および/または診断するのに使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドに対する抗体の投与は、ポリペプチドを結合して、その過剰発現を減少させることができる。同様に、抗体の投与は、例えば膜に結合するポリペプチド(受容体)に結合することで、ポリペプチドを活性化することができる。
【0288】
非常に軽くみても、本発明のポリペプチドは、当業者に既知の方法を用いて、SDS−PAGEゲル上または分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用することができる。ポリペプチドはまた、抗体を誘起させるのに使用することができ、また宿主細胞の形質転換を評価する方法として、組換え細胞からのタンパク質発現を測定するのに使用される。さらに、本発明のポリペプチドは、以下の生物活性を試験するために使用することができる。
【0289】
トランスジェニック方法
本発明の別の態様は、障害、疾患および状態を治療または防止するための遺伝子治療方法である。遺伝子治療方法は、本発明のポリペプチドの発現を達成するために、生物、好ましくは植物に核酸(DNA、RNA、およびアンチセンスDNAまたはRNA)配列を導入することに関する。この方法には、標的組織によるポリペプチドの発現に必要なプロモーターおよび任意の他の遺伝子要素に作動的に連結された本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが必要である。かかるトランスジェニックおよび送達技法は当該技術分野で既知であり、例えば、国際公開第90/11092号(これは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0290】
したがって、例えば、植物由来の細胞を、ex vivoで本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)で操作してもよく、欠損を「治療」するために植物に、操作した細胞を植物に導入し戻す。かかる方法は当該技術分野で既知であり、植物にも同様に適用可能である。例えば、Bellderun et al., J. Natl. Cancer Inst., 85:207-216 (1993)、Ferrantini et al., Cancer Research, 53:107-1112 (1993)、Ferrantini et al., J. Immunology 153:4604-4615 (1994)、Kaido, T., et al., Int. J. Cancer 60:221-229 (1995)、Ogura et al., Cancer Research 50:5102-5106 (1990)、Santodonato, et al., Human Gene Therapy 7:1-10 (1996)、Santodonato, et al., Gene Therapy 4:1246-1255 (1997)、およびZhang, et al., Cancer Gene Therapy 3:31-38 (1996)(これらは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0291】
以下により詳述するように、ポリヌクレオチド構築物は、植物組織(頂端***組織、根、花、茎等)への微粒子銃注射のような、生物細胞へ物質を送達する任意の方法で送達することができる。ポリヌクレオチド構築物は、許容可能な液体または水性キャリア中で送達してもよい。
【0292】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオチドとして送達される。「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAという用語は、細胞への侵入を助長するか、促進するか、または容易とするように作用する任意の送達媒体(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム配合物、リポフェクチンまたは沈殿剤等を含む)を含まない配列を指す。しかしながら、本発明のポリヌクレオチドはまた、リポソーム配合物およびリポフェクチン配合物等で送達することもでき、当業者に既知の方法で調製することができる。かかる方法は、例えば米国特許第5,593,972号、第5,589,466号、および第5,580,859号(これらは、参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0293】
遺伝子治療方法で用いられる本発明のポリヌクレオチドベクター構築物は、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれない配列であり、またそれらは、複製を可能とする配列を含有しないであろう。あるいは、本発明のポリヌクレオチドベクター構築物は、宿主ゲノムに組み込まれてもよく、複製してもよい。適切なベクターとしては、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG、Pharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL、ならびにInvitrogenから入手可能なpEF1/V5、pcDNA3.1およびpRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは、当業者には容易に明らかであろう。
【0294】
当業者に既知の任意の強力なプロモーターは、本発明のポリヌクレオチド配列の発現を駆動するのに使用することができる。適切なプロモーターとしては、35S、34S、およびアクチンプロモーター、そのほかに、当業者に既知の任意の他のプロモーターおよび/または本明細書中の他の箇所に記載のプロモーターが挙げられる。プロモーターは、本発明のポリヌクレオチドのための自然プロモーターであってもよい。
【0295】
他の遺伝子治療技法とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主な利点は、細胞中のポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研究により、非複製DNA配列は、6ヶ月以内の期間で所望のポリヌクレオチドの産生を提供するように細胞に導入することができることがわかっている。
【0296】
投与の好ましい経路は、組織の間質隙への非経口注射経路によるものである。しかしながら、他の非経口経路を使用してもよい。さらに、裸のDNA構築物を、直接注射により植物循環系に送達することができる。
【0297】
裸のポリヌクレオチドは、送達部位への直接針注射、局所投与、およびいわゆる「遺伝子銃」を含むが、これらに限定されない当該技術で既知の任意の方法で送達される。これらの送達方法は当該技術分野で既知である。
【0298】
構築物はまた、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム配合物、リポフェクチン、沈殿剤等のような送達媒体とともに送達してもよい。かかる送達方法は当該技術分野で既知である。
【0299】
ある実施形態では、本発明のポリヌクレオチド構築物は、リポソーム調製物と複合体形成させる。本発明で使用するためのリポソーム調製物としては、カチオン(正に帯電)、アニオン(負に帯電)、および中性調製物が挙げられる。しかしながら、カチオンリポソームとポリアニオン核酸との間でしっかりとした電荷複合体が形成され得るため、カチオンリポソームが特に好ましい。カチオンリポソームは、機能的形態で、プラスミドDNA((Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:7413-7416 (1987)、これは参照により本明細書に援用される)、mRNA(Malone et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6077-6081 (1989)、これは参照により本明細書に援用される)、および精製転写因子(Debs et al., J. Biolo. Chem., 265:10189-10192 (1990)、これは参照により本明細書に援用される)の細胞内送達を媒介することがわかっている。
【0300】
カチオンリポソームは容易に入手可能である。例えば、N[(2,3−ジオレイルオキシ(プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは特に有用であり、GIBCO BRL, Grand Island, N.Y.から、商品名リポフェクチンで入手可能である(また、Felgner et al., Proc. Natl Acad. Sci. US, 84:7413-7416 (1987)も参照、これは参照により本明細書に援用される)。他の市販のリポソームとしては、トランスフェクテイス(transfectace)(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boehringer)が挙げられる。
【0301】
他のカチオンリポソームは、当該技術分野で既知の技法を用いて、容易に入手可能な物質から調製することができる。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明に関するPCT国際公開第90/11092号(これは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。DOTMAリポソームの調製は文献で説明されており、例えば、Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:7413-7417(これは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。類似の方法を用いて、他のカチオン脂質物質からリポソームを調製することができる。
【0302】
同様に、アニオンおよび中性リポソームは、例えばAvanti Polar Lipids(Birmingham, Ala.)から容易に入手可能であり、または容易に入手可能な物質を用いて容易に調製することができる。かかる物質としては、特に、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はまた、適切な比でDOTMAおよびDOTAP出発原料と混合することができる。
【0303】
これらの物質を用いてリポソームを作製する方法は当該技術分野で既知である。例えば、コレステロールを添加してまたは添加せずに、従来のリポソームを作製するために、市販のジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を様々な組合せで使用することができる。したがって、例えば、DOPGおよびDOPCそれぞれ50mgを超音波処理用バイアルへの窒素ガス流下で乾燥させることで、DOPG/DOPCベシクルを調製することができる。試料を真空ポンプ下に一晩置いて、翌日脱イオン水で水和させる。次に、倒置カップ(バス型)を備えたHeat Systemsモデル350ソニケーターを用いて、最大設定で、バスを15ECで循環させながら、ふたをしたバイアル中で2時間試料を超音波処理する。あるいは、負に帯電したベシクルは、多重膜ベシクルを生産するための超音波処理なしで、または別個のサイズの単層ベシクルを生産するためのヌクレオポア膜による放出により調製することができる。他の方法が既知であり、当業者に利用可能である。
【0304】
リポソームは、多重膜ベシクル(MLV)、小単層ベシクル(SUV)、または巨大単層ベシクル(LUV)を含むことができるが、SUVが好ましい。様々なリポソーム−核酸複合体が、当該技術分野で既知の方法を用いて調製される。例えば、Straubinger et al., Methods of Immunology, 101:512-527 (1983)(これは、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラス管の壁上にリン脂質の薄膜を堆積させて、続いて被包される物質の溶液で水和することで調製することができる。SUVは、MLVの延長した超音波処理により調製され、単層リポソームの均質集団を生産する。取り込まれる物質を、予め形成したMLVの懸濁液に添加して、超音波処理する。カチオン脂質を含有するリポソームを用いる場合、乾燥脂質膜を、滅菌水または等張緩衝溶液(例えば、10mM Tris/NaCl)のような適切な溶液中に再懸濁させて、超音波処理し、続いて予め形成したリポソームを、DNAと直接混合する。リポソームおよびDNAは、カチオンDNAへの正に帯電したリポソームの結合により非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小核酸断片とともに利用される。LUVは、当該技術分野で既知の多数の方法により調製される。一般に使用される方法としては、Ca2+−EDTAキレート化(Papahadjopoulos et al., Biochim. Biophys. Acta, 394:483 (1975); Wilson et al., Cell, 17:77 (1979))、エーテル注入(Deamer et al., Biochim. Biophys. Acta, 443:629 (1976); Ostro et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 76:836 (1977); Fraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348 (1979))、洗浄剤透析(Enoch et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:145 (1979)、および逆相蒸発(REV)(Fraley et al., J. Biol. Chem., 255:10431 (1980); Szoka et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:145 (1978); Schaefer-Ridder et al., Science, 215:166 (1982))が挙げられる。これらは、参照により本明細書に援用される。
【0305】
一般に、DNA対リポソームの比は、約10:1〜約1:10である。好ましくは、比は、約5:1〜約1:5である。より好ましくは、比は、約3:1〜約1:3である。さらにいっそう好ましくは、比は、約1:1である。米国特許代5,676,954号(これは、参照により本明細書に援用される)は、カチオンリポソームキャリアと複合体形成した遺伝物質のマウスへの注射について報告している。米国特許第4,897,355号、第4,946,787号、第5,049,386号、第5,459,127号、第5,589,466号、第5,693,622号、第5,580,859号、第5,703,055号、および国際公開第94/9469号(これらは、参照により本明細書に援用される)は、DNAを細胞および哺乳動物へトランスフェクトするのに使用するカチオン脂質を提供する。米国特許第5,589,466号、第5,693,622号、第5,580,859号、第5,703,055号および国際公開第94/9496号(これらは、参照により本明細書に援用される)は、DNA−カチオン脂質複合体を哺乳動物へ送達する方法を提供する。かかる方法は、植物にも同様に適用可能であり、当業者の範囲内である。
【0306】
ある実施形態では、本発明のポリペプチドをコードする配列を含むRNAを含有するレトロウイルス粒子を用いて、細胞をex vivoまたはin vivoで操作する。レトロウイルス組込みは、タバコゲノム内のパラレトロウイルス配列の同定に基づいて植物中で起きることが検出された。かかる組込みは、非常に限られた組込み部位で起きると決定されたため、かかるパラレトロウイルスは、本発明のポリヌクレオチドのための望ましい遺伝子形質転換媒体を務め得る(Jakowitsch, J. et al., PNAS 96(23):13241-6 (1999))。
【0307】
レトロウイルスプラスミドベクターは、パッケージング細胞系を形質導入して、プロデューサー細胞系を形成するのに用いられる。トランスフェクトされ得るパッケージング細胞の例としては、Miller, Human Gene Therapy, 1:5-14(1990)(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されるように、PE501、PA317、R−2、R−AM、PA12、T19−14X、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+E−86、GP+envAm12、およびDAN細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、当該技術分野で既知の任意の手段によりパッケージング細胞を形質導入し得る。かかる手段としては、エレクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、これらに限定されない。一代替法では、レトロウイルスプラスミドベクターをリポソームで被包するか、または脂質に結合させた後、宿主に投与してもよい。
【0308】
プロデューサー細胞系は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む感染レトロウイルスベクター粒子を生成する。次に、かかるレトロウイルスベクター粒子を用いて、in vitroまたはin vivoのいずれかで、真核細胞を形質導入してもよい。形質導入した真核細胞は、本発明のポリペプチドを発現するであろう。
【0309】
本発明はまた、植物の遺伝子形質転換に対する、レトロトランスポゾンの適用を含む。レトロトランスポゾンは、好ましくは、既知の植物宿主範囲を有するレトロトランスポゾンを表し、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。多くのレトロトランスポゾンが当該技術分野で既知であり、その幾つかは、Bennetzen JL, Trends Microbiol., 4(9):347-53 (1996)(これは、参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0310】
別の遺伝子治療方法は、相同組換えにより異種制御領域および内因性ポリヌクレオチド配列(例えば、所定のポリペプチド配列をコードする)を作動可能に連結することを含む(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許第5,641,670号、1996年9月26日に公開された国際公開第96/29411号、1994年8月4日に公開された国際公開第94/12650号、Koller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:8932-8935 (1989)、およびZijlstra et al., Nature, 342:435-438 (1989)を参照)。この方法は、標的細胞に存在するが、細胞中では通常発現されないか、所望のレベルよりも低レベルで発現される遺伝子の活性化を含む。
【0311】
プロモーターに隣接するターゲッティング配列を有するプロモーターを含有すするポリヌクレオチド構築物は、当該技術分野で既知の標準的な技法を用いて作製される。適切なプロモーターは本明細書中に記載されている。ターゲッティング配列は、プロモーター−ターゲッティング配列の内因性配列との相同組換えを可能とするのに、内因性配列と十分に相補性である。ターゲッティング配列は、所望の内因性ポリヌクレオチド配列の5’末端の十分近くにあり、そこでプロモーターは、相同組換え時に内因性配列と作動可能に連結される。
【0312】
プロモーターおよびターゲッティング配列は、PCRを用いて増幅することができる。好ましくは、増幅プロモーターは、5’および3’末端上に別個の制限酵素部位を含有する。好ましくは、第1のターゲッティング配列の3’末端は、増幅プロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含有し、第2のターゲッティング配列の5’末端は、増幅プロモーターの3’末端と同じ制限酵素を含有する。増幅プロモーターおよびターゲッティング配列は、一緒に消化および連結される。
【0313】
プロモーター−ターゲッティング配列構築物は、裸のポリヌクレオチドとして、あるいは上記により詳述するようなリポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、全ウイルス、リポフェクチン、沈殿剤等のような形質転換促進剤と合わせて、細胞に送達される。Pプロモーターターゲッティング配列は、直接針注射、静脈内注射、局所投与、注入、粒子加速器を含めた任意の方法により送達することができる。この方法は、以下でより詳述する。
【0314】
プロモーター−ターゲッティング配列構築物は、細胞により取り込まれる。構築物と内因性配列間の相同組換えが起き、その結果内因性配列は、プロモーターの制御下に置かれる。次に、プロモーターは、内因性配列の発現を駆動する。
【0315】
好ましくは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、タンパク質分泌を促進する分泌シグナル配列を含有する。典型的に、シグナル配列は、コード領域の5’末端に向かって、または5’末端に、発現されるべきポリヌクレオチドのコード領域中に位置する。シグナル配列は、所定のポリヌクレオチドにとって同種または異種であってもよく、形質転換されるべき細胞とって同種または異種であってもよい。さらに、シグナル配列は、当該技術分野の方法を用いて科学的に合成してもよい。
【0316】
上述のポリヌクレオチド構築物のいずれかの任意の投与様式は、その様式が、治療効果を提供するのに十分な量で1つまたは複数の分子の発現をもたらす限り、使用することができる。これには、直接針注射、全身投与、注入、微粒子銃注射器、粒子加速器(すなわち、「遺伝子銃」)、ゲルフォームスポンジ堆積、他の市販の堆積物質、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、およびデカンティングまたは局所塗布が包含される。例えば、裸のリン酸カルシウム沈殿プラスミドのラット肝臓およびラット脾臓への、またはタンパク質被覆プラスミドの門脈への直接注射により、ラット肝臓での外来遺伝子の発現が生じた(Kaneda et al., Science, 243:375 (1989))。さらに、裸のDNAの直接注射が植物で報告されており、本発明に包含される(Davey MR, et al., Plant Mol Biol, 13 (3):273-85 (1989)、およびPotrykus I, Ciba Found Symp, 154:198-212 (1990))。
【0317】
局所的投与の好ましい方法は、直接注射である。好ましくは、送達媒体と複合体形成させた本発明の組換え分子を、生物循環系(例えば、師部、木部等)区域に直接注射により、あるいはその内部で局所的に投与する。生物循環系の区域内部に局所的に組成物を投与するとは、生物循環系内へ、センチメートル、好ましくはミリメートルで組成物を注射することを指す。
【0318】
別の局所的投与の方法は、外科的創傷または移植にて、またはその周辺に、本発明のポリヌクレオチド構築物を接触させることである。例えば、ポリヌクレオチド構築物を、創傷内部の組織表面上にコーティングすることができ、あるいは構築物を、創傷内部の組織区域に注射することができる。
【0319】
全身投与で有効な治療用組成物としては、本発明の標的送達媒体と複合体形成した組換え分子が挙げられる。全身投与で使用するのに適した送達媒体は、特定部位に媒体をターゲッティングするためのリガンドを含むリポソームを含む。
【0320】
全身投与の好ましい方法としては、注射、エーロゾル、経皮(局所)送達が挙げられる。注射は、当該技術分野で標準的な方法を用いて実施することができる。エーロゾル送達もまた、当該技術分野で標準的な方法を用いて実施することができる(例えば、Stribling et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 189:11277-11281 (1992)を参照、これは参照により本明細書に援用される)。局所送達は、皮膚を通過することが可能な親油性試薬(例えば、DMSO)と、本発明のポリヌクレオチド構築物を混合することで実施することができる。
【0321】
送達される物質の有効量の決定は、例えば物質の化学的構造および生物活性、植物または動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な状態およびその重篤性、ならびに投与経路を含む多数の要因によって決まり得る。治療頻度は、適用1回当たり投与されるポリヌクレオチド構築物の量、ならびにポリヌクレオチドおよびポリペプチドの半減期(すなわち、適用の有効期間)のような多数の要因によって決まる。正確な量、適用回数、および適用の適時性は、所望の適用ごとに決定されるであろう。
【0322】
本発明の治療用組成物は、任意の生物、好ましくは植物に投与することができる。好ましい植物としては、以下の非限定的な例:オオムギ、オートムギ、ライムギ、モロコシ、エンドウ、ヒマワリ、タバコ、ワタ、ペチュニア、トマト、ブロッコリー、レタス、リンゴ、プラム、オレンジ、およびレモン、より好ましくは、イネ、トウモロコシ(maize)、カノラ、コムギ、シュガービート(sugerbeet)、サトウキビ(sugercane)、およびダイズ、さらには当該技術分野で既知の他の化合物および本明細書中の他の箇所で(例えば、第3表)より具体的に言及した他の植物が挙げられ得る。
【0323】
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドをコードする遺伝子を導入した、種子、生物、および植物を含むが、これらに限定されないトランスジェニック細胞を含む。本発明のポリヌクレオチド、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、寄託物に含まれるcDNA、および/または断片、およびそれらの変異体を導入するのに適切なレシピエント植物の非限定的な例を、以下の第3表に列挙する:
【0324】
【表3】
Figure 0004932125
Figure 0004932125
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Figure 0004932125
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【0325】
生物活性
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストをアッセイで使用して、1つまたは複数の生物活性を試験することができる。これらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドが特定のアッセイで活性を示す場合、これらの分子はこの生物活性に関連する疾患に関連し得る可能性がある。したがって、このポリヌクレオチドまたはポリペプチド、もしくはアゴニストまたはアンタゴニストを使用して、関連疾患を治療することができる。
【0326】
過増殖性障害
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、過増殖性疾患、障害、および/または病態(腐爛、菌こぶ、腫瘍、付着器などが含まれるが、これらに限定されない)を検出し、予防し、かつ/または耐性を付与することができる。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、直接または間接的相互作用により障害の増殖を阻害することができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、過増殖性障害を阻害することができる他の細胞を増殖することができる。
【0327】
1つの好ましい実施形態は、本発明、および/またはそのタンパク質融合物もしくはそれらの断片を使用した遺伝子治療によって異常な細胞***を阻害するために本発明のポリヌクレオチドを使用する。
【0328】
したがって、本発明は、異常増殖細胞への、上記発現を抑制する本発明のポリヌクレオチドの挿入による細胞増殖疾患、障害、および/または病態の治療または予防法を提供する。
【0329】
本発明の別の実施形態は、1つまたは複数の本発明の活性遺伝子コピーを異常増殖細胞に投与することを含む、生物の細胞増殖疾患、障害、および/または病態の治療または予防法を提供する。好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドをコードするDNA配列の発現する際に有効な組換え発現ベクターを含むDNA構築物である。本発明の別の好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチドをコードするDNA構築物を、レトロウイルスベクター、より好ましくは植物レトロトランスポゾンベースのベクターを使用して治療する細胞に挿入する。最も好ましい実施形態では、ウイルスベクターは欠陥ベクターであり、非増殖細胞を形質転換せずに増殖細胞のみを形質転換する。さらに、好ましい実施形態では、増殖細胞のみか、または他のポリヌクレオチドと組み合わせるか融合した増殖細胞に挿入した本発明のポリヌクレオチドを、次に、コードしたタンパク質産物の発現を誘導するように上記ポリヌクレオチドのプロモーター上流で作用する外部刺激(すなわち、磁気、特異的小分子、化学薬品、または薬物投与など)を介して調整することができる。このように、上記外部刺激に基づいて本発明の有利な治療効果を明白に調整する(すなわち、本発明の発現を増加、減少、または阻害する)ことができる。
【0330】
本発明のポリヌクレオチドは、増殖遺伝子または抗原の発現の抑制に有用であり得る。「増殖遺伝子発現の抑制」は、遺伝子の転写の抑制、遺伝子転写物(プレメッセージRNA)の分解、スプライシングの阻害、伝令RNAの破壊、タンパク質の翻訳後修飾の防止、タンパク質破壊、正常なタンパク質機能の阻害と意図する。
【0331】
異常増殖細胞への局所投与のために、本発明のポリヌクレオチドを、当業者に既知の任意の方法(形質転換、エレクトロポレーション、細胞の微量注入、またはリポソーム、リポフェクチンなどの媒体中、もしくは裸のポリヌクレオチドとして、または本明細書中に記載の任意の他の方法が含まれるが、これらに限定されない)によって投与することができる。本発明のポリヌクレオチドを、既知の遺伝子送達系(レトロウイルスベクター(Gilboa,J., Virology, 44, 845 (1982); Hocke, Nature, 320, 275 (1986); Wilson他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85; 3014)、ワクシニアウイルス系(Chakrabarty他、Mol. Cell Biol. 5: 3403 (1985))、または当業者に既知の他の有効なDNA送達系(Yates他、Nature, 313; 812 (1985))などが含まれるが、これらに限定されない)によって送達させることができる。これらの参考文献は例示にすぎず、本明細書中で参考により援用される。異常増殖細胞を特異的に送達させるか形質転換して、非***細胞を省くために、当業者に既知のレトロウイルスまたは植物レトロトランスポゾンベースのベクター(当該技術分野においておよび本明細書のいずれかに記載されている)送達系を使用することが好ましい。宿主DNA複製はレトロウイルスDNAを組み込むのに必要であるので、その生活環に必要なレトロウイルス遺伝子の欠如によりレトロウイルスは自己複製することができない。本発明のポリヌクレオチドのためのこのようなレトロウイルス送達系使用により、遺伝子を標的し、異常増殖細胞に構築され、非***正常細胞を省く。
【0332】
本発明のポリヌクレオチドを、疾患部位に直接ニードル注入を誘導するために使用されるイメージングデバイスの使用によって植物体中の細胞増殖障害/疾患部位に直接送達させることができる。本発明のポリヌクレオチドを、移植時などに疾患部位に投与することもできる。
【0333】
「細胞増殖疾患」は、細胞、細胞群、または組織の単一または多局所異常増殖によって特徴付けられる器官、腔、または身体部分の任意の1つまたは任意の組み合わせに悪影響を及ぼす任意の疾患または障害を意味する。
【0334】
処理細胞増殖に対して生物学的阻害効果を有する限り、任意の量の本発明のポリヌクレオチドを投与することができる。さらに、1つを超える本発明のポリヌクレオチドを同一の部位に同時に投与可能である。「生物学的に阻害する」は、部分的または全体的成長阻害および細胞の増殖または成長速度の減少を意味する。生物学的阻害用量を、組織培養における標的もしくは異常増殖細胞成長、植物または細胞培養物における腫瘍成長に対する本発明のポリヌクレオチドの効果の評価、または当業者に既知の任意の他の方法によって決定することができる。
【0335】
本発明はさらに、植物に抗ポリペプチドおよび抗ヌクレオチド抗体を投与することを含む、1つまたは複数の記載の疾患、障害、および/または病態の検出、予防、および/または耐性の付与するための抗体ベースの治療に関する。抗ポリペプチドおよび抗ポリヌクレオチド抗体であるポリクローナルおよびモノクローナル抗体の作製法は、本明細書のいずれかに詳述されている。このような抗体を、当該技術分野で既知であるか本明細書中に記載の薬学的に許容可能な組成物中に含めることができる。
【0336】
本発明の抗体を治療で使用することができる方法の要網には、体内で局所的もしくは全身的に、または例えば補体(CDC)またはエフェクター細胞(ADCC)によって媒介される抗体の直接的細胞傷害性により、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを結合することが含まれる。これらのアプローチのいくつかを以下にさらに詳述する。本明細書中に記載の教示によって、当業者は、過度に実験を行うことなく診断、モニタリング、または治療のための本発明の抗体の使用法が分かるであろう。
【0337】
特に、本発明の抗体、断片、および誘導体は、本明細書中に記載の細胞増殖および/または分化疾患、障害、および/または病態を有するか発症している植物の検出、予防、および/または耐性の付与に有用である。このような治療は、単回用量または複数回用量の抗体またはその断片、誘導体、もしくは結合物を投与することを含む。
【0338】
本発明の抗体を、例えば抗体と相互作用するエフェクター細胞数または活性を増加させる、他のモノクローナル抗体もしくはキメラ抗体と、またはサイトカインもしくは植物成長因子と組み合わせて有利に使用することができる。
【0339】
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらの断片を含む)に関連する疾患、障害、および/または病態に関する免疫アッセイおよび治療のために、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、もしくはそれらの断片または領域に対して高親和性および/または強力なin vivoでの阻害および/または中和抗体を使用することが好ましい。このような抗体、断片、または領域は、好ましくは,ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(それらの断片を含む)に親和性を有する。好ましい結合親和性には、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10-15M未満の解離定数(すなわちKd)の結合親和性が含まれる。
【0340】
本発明のポリペプチド(タンパク質融合物を含む)またはそれらの断片は、アポトーシスの誘導を介した増殖細胞または組織の阻害に有用であり得る。上記ポリペプチドは、増殖性細胞および組織のアポトーシスを直接または間接的に誘導するように作用することができる。アポトーシスは植物で記載されており、これは動物におけるアポトーシス誘導に類似する機構を介して制御されると考えられる(例えば、LoSchiavo F.他、Eur J Cell Biol., 79(4); 294-8 (2000)、およびTian R他、FEBS Lett.、474(1), 11-15 (2000)を参照)。
【0341】
さらに、本発明の別の実施形態では、上記ポリペプチドは、アポトーシスを活性化する他のタンパク質(例えば、カスパーゼ3、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)など)の活性化などにおける他の機構によって、または上記タンパク質のみか、または小分子薬物またはアジュバント(アポプトニン、ガレクチン、チオレドキシン、抗炎症性タンパク質など)と組み合わせたタンパク質の発現の刺激によってアポトーシスを誘導することができる(例えば、Mutant Res、 400(1-2); 447-55 (1998)、Med Hypotheses. 50(5): 423-33 (1998)、Chem Biol Interact. Apr 24; 111-112: 23-34 (1998)、J. Mol Med. 76(6): 402-12 (1998)、 Int J Tissue React; 20(1); 3-15 (1998)(これらは全て本明細書中で参照により援用される)を参照)。
【0342】
別の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドを含む組成物(例えば、異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグに会合したポリペプチドまたはポリペプチド抗体を含む組成物)を、本発明のポリペプチドを発現する標的細胞へ送達する方法を提供する。本発明のポリペプチドまたはポリペプチド抗体を、疎水性、親水性、イオン性、および/または共有結合相互作用を介して異種ポリペプチド、異種核酸、毒素、またはプロドラッグに会合することができる。
【0343】
本発明のポリペプチド、融合するタンパク質、またはそれらの断片は、上記抗原および免疫原に対して、直接または間接的に増殖細胞または組織の免疫原性および/または抗原性の増強するのに有用である。
【0344】
感染症
感染作用物質は、植物の恒常性および/または細胞恒常性を維持する全能力を阻害し得る。例えば、感染因子は、植物の細胞***、分化、および発生;土壌からの水および無機塩類の吸収ならびにこれらの物質の植物全体への輸送;光合成および光合成産物の使用または保存領域への輸送;合成化合物の代謝;再生;および例えば越冬または再生のための植物栄養素の貯蔵を調節する能力を阻害し得る。
【0345】
疾患植物の罹患細胞および組織は、通常、疾患発症因作用物質によって脆弱化または破壊されている。したがって、このような感染細胞および組織の正常な生理学的機能を行う能力は、減少または完全に阻害されており、細胞死または植物死を招く。罹患組織の型により、罹患した生理学的機能が決定される。例えば、根の感染(例えば、根腐れ(root rot))は土壌からの水および栄養素の吸収を妨害し、木部導管感染(例えば、立ち枯れ病(vascular wilts)、枝枯れ病(cankers)など)は樹冠への水および無機塩類の転流を妨害し、葉の感染(例えば、斑点病(leaf spots)、葉枯れ病(blights)、モザイク(mosaics)など)は光合成を妨害し、皮層の感染(例えば、皮層枝枯れ病(cortical canker)、篩部のウイルスまたはマイクプラズマ感染(viral and mycoplasmal infections of phloem)など)は光合成生成物の下方輸送を妨害し、花感染(例えば、細菌および真菌による葉枯れ病(bacterial and fungal blights)、ウイルス(viral)、マイコプラズマ(mycoplasmal)、および花への真菌感染(fungal infections of flowers))は再生を妨害し、果実感染(例えば、果実の腐敗(fruit rot)など)は新規の植物のための再生または貯蔵栄養素の保存を妨害する。上記の感染特性および/または症状のリストは例示であり、本発明を制限すると解釈すべきではない。さらなる感染特性は当該技術分野で既知であり、そのいくつかを本明細書中のいずれかで記載する(例えば、Agrios, G. N.、「Plant Pathology」、第3版、Academic Press Inc., (1988)、(その全体が本明細書中で参照により援用される)を参照)。
【0346】
ウイルスは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出、予防、および/または耐性を付与することができる疾患または特性を発症し得る感染作用物質の1つの例である。ウイルスの例には、以下のDNAおよびRNAウイルスおよびウイルス科が含まれるがこれらに限定されない:アルボウイルス(Arbovirus)、アデノウイルス(Adenoviridae)、アレナウイルス(Arenaviridae)、アルテリウイルス(Arterivirus)、ビルナウイルス(Birnaviridae)、ブニヤウイルス(Bunyaviridae)、カリシウイルス(Caliciviridae)、サーコウイルス(Circoviridae)、コロナウイルス(Coronaviridae)、デング熱ウイルス(Dengue)、EBV、HIV、フラビウイルス(Flaviviridae)、ヘパドナウイルス(Hepadnaviridae)(肝炎(Hepatitis))、ヘルペスウイルス(Herpesviridae)(サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex)、帯状疱疹ウイルス(Herpes Zoster)など)、モノネガウイルス科(Mononegavirus)(例えば、パラミクソウイルス(Paramyxoviridae)、麻疹ウイルス(Morbillivirus)、ラブドウイルス(Rhabdoviridae))、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザA型ウイルス(Influenza A)、インフルエンザB型ウイルス(Influenza B)、およびパラインフルエンザウイルス(parainfluenza))、乳頭腫ウイルス(Papiloma virus)、パポバウイルス(Papovaviridae)、パルボウイルス(Parvoviridae)、ピコルナウイルス(Picornaviridae)、ポックスウイルス(Poxviridae)(痘瘡ウイルス(Smallpox)またはワクシニア(Vaccinia)など)、レオウイルス(Reoviridae)(例えば、ロタウイルス(Rotavirus))、レトロウイルス(Retroviridae)(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス(Lentivirus))、およびトガウイルス(Togaviridae)(例えば、ルビウイルス(Rubivirus))。さらなるウイルスの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:トバモウイルス類(Tobamovirus group)(例えば、タバコモザイクウイルス(Tobacco Mosaic))、トブラウイルス群(Tobravirus group)(例えば、タバコ茎壊疽ウイルス(Tobacco rattle virus))、ホルデイウイルス類(Hordeivirus group)(例えば、バーレットストリップモザイクウイルス(Barlet strip mosaic))、ポテクスウイルス類(Potexvirus group)(例えば、ジャガイモXウイルス(Potato virus X))、カーラウイルス類(Carlavirus group)(例えば、カーネーションラテントウイルス(Carnation latent virus))、ポティウイルス類(Potyvirus group)(例えば、ジャガイモYウイルス(Potato virus Y))、クロステロウイルス類(Closterovirus group(例えば、ビート黄斑ウイルス(beet yellow virus))、メイズクロロティック萎縮ウイルス(Maize chlorotic dwarf virus)、タバコ壊疽ウイルス(Tpbaco necrosis virus)、ティモウイルス類(Tymovirus group)(例えば、ダイコン黄斑モザイクウイルス(Turnip yellow mosiac virus))、トンブスウイルス類(Tombusvirus group)(例えば、トマト灌木矮化病ウイルス(Tomato bushy stunt virus))、ソベモウイルス類(Sobemovirus group)(例えば、サザンビーンモザイクウイルス(Southern bean mosaic virus))、ルテオウイルス類(Luteovirus group)(例えば、オオムギ黄萎病ウイルス(Barley yellow dwarf virus))、コモウイルス類(Comovirus group)(例えば、ササゲモザイクウイルス(Cowpea mosaic virus))、ネポウイルス類(Nepovirus group)(例えば、タバコ輪斑ウイルス(Tobacco ringspot virus))、エンドウ***生長モザイクウイルス(Pea enation mosaic virus)、ダイアントウイルス類(Dianthovirus group)(例えば、カーネーション輪斑ウイルス(Carnation ringspot virus))、ククモウイルス類(Cucumovirus group)(例えば、キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus))、ブロモウイルス類(Bromovirus group)(例えば、ブロムモザイクウイルス(Brome mosaic virus))、イラルウイルス(Ilavirus group)(例えば、タバコ条斑ウイルス(Tobacco streak virus))、アルファルファモザイクウイルス(Alfalfa mosaic virus)、トマト黄化壊疽ウイルス(Tomatto spotter wilt virus)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、レタス壊疽黄斑ウイルス(Lettuce necrotic yellow virus))、リオウイルス科(Rioviridae)(例えば、創傷腫瘍ウイルス(Wound tumor virus))、ジェミニウイルス(Geminivirus group)(例えば、メイズ条斑ウイルス(Maize streak virus))、カリモウイルス(Caulimovirus)(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower mosaic virus))。植物または動物に感染することができるさらなるウイルスは当該技術分野で既知である(例えば、上述のG. N., Agrios、およびJones, T. C.、「Veterinary Pathology」、第4版、Lea and Febiger, Philadelphia (1972)を参照)。
【0347】
これらの科に含まれるウイルスは、種々の疾患または症状を引き起こすことができ、一般に、モザイク(mosaics)、輪斑(ring spots)、矮化病(stunting)、萎縮(dwarfing)、巻葉(leaf roll)、黄斑(yellowing)、条斑(streaking pox)、瘡痂病(pox)、***生長(enation)、腫瘍(tumors)、茎のピッティング(pitting of stem)、無胞子(aspermy)、不稔(sterility)、果実のピッティング(pitting of fruit)、茎の平板化および歪曲(flattening and distortion of the stem)が含まれるが、これらに限定されず、特に、タバコモザイク(tobacco mosaic)、エンドウモザイク(bean mosaic)、リンゴモザイク(apple mosaic)、エンドウ輪斑モザイク(pear ring pattern mosaic)、メイズ萎縮モザイク(maize dwarf mosaic)、チューリップモザイク(tulip breaking)、タバコ輪斑(tobacco ringspot)、サクラ壊死輪斑(prunus necrtic ringspot)、ニレ輪斑(elm ringspot)、キク輪斑(chysanthemum ringspot)、ライラック輪斑(lilac ringspot)、ブルーベリー輪斑(blueberry ringspot)、ビート黄斑(beet yellows)、コムギ条斑モザイク(wheat steak mosaic)、タバコエッチ(tobacco etch)、葉脈***生長(vein enation)、ベインクリアリング(vein cleaning)、ベインバンディング(vein banding)、葉脈壊死(vein necrosis)、ジャガイモ巻葉(potato leaf roll)、ブドウ扇形葉(grape fan leaf)、トマトシューストリング(tomato shoestring)、矮化病(stunting)、バナナ萎縮病(banana bunchy top)、カンキツトリステザ(citrus tristeza)、カカオ肥大(cocao swollen shoot)、茎ピッティング(stem pitting)、リンゴ枝平板化(apple flat limb)、洋ナシ荒皮(pear rough bark)、茎壊死(stem necrosis)、接木褐色線(graft brown line)、チェリー黒色根瘤病(cherry black canker)、ニレ帯状根瘤病(elm zonate canker)、カンキツ樹木擦傷(citrus woody gall)、クローバー創傷腫瘍(clover wound tumor)、リンゴ茶褐色輪(apple russet ring)、リンゴ葉柄痕(apple scar skin)、洋ナシ岩状穴(pear stony pit)、黄化壊疽(spotted wilt)が含まれるが、これらに限定されない。ウイルスはまた、光合成の減少、葉あたりの葉緑素の減少、光合成の減少、葉あたりの葉緑素の減少、葉緑素効率の減少、植物ホルモン生成の減少、成長速度の減少、可溶性窒素の減少、炭水化物レベルの減少、呼吸の増加または減少、異常な植物代謝、水の転流の減少、栄養素保持時間の減少、蒸散量の増加、収率の減少、植物転写の調整、植物翻訳の調整および異常な細胞代謝を誘導し得る。ウイルス感染によって引き起こされるさらなる症状は、当該技術分野で既知である(例えば、上述のG. N. Agrios;Jones, T. C.、「Veterinary Pathology」、第4版、Lea and Febiger, Philadelphia (1972);および「Viral and Rickettsial Infections of Animals」、Betts, A. O. and York, C. J.編、Academic Press, NY (1967)を参照)。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、もしくはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、これらの任意の特性または疾患を検出し、予防し、かつ/または耐性を付与することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、植物中でトランスジェニックに過剰発現する場合に障害または感染を直接阻害することができる。あるいは、例えば、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、ウイルスのある植物から別の植物への感染を伝播する能力を阻害することによって障害または感染を間接的に阻害することができる。
【0348】
上記で推測するように、植物ウイルス感染は、多数の機構(栄養繁殖を介した伝染、樹液を介した機械的伝播、種子による伝播、花粉による伝播、昆虫による伝播、ダニによる伝播、線虫による伝播、真菌による伝播、およびネナシカズラによる伝播が含まれるが、これらに限定されない)を介して伝播し得る。本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、もしくはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、任意のこれらのウイルス伝播機構を検出し、予防し、かつ/または耐性を付与することができる。
【0349】
同様に、植物または動物に疾患または症状を引き起こすことができる細菌作用物質を、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出し、予防し、かつ/または植物に耐性を付与することができる。このような細菌作用物質の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:グラム陰性およびグラム陽性細菌ならびに細菌科および真菌:バチルス科(Bachillaceae)(例えば、炭疽菌(Anthrax)、クロストリジウム(Clostridium))、バクテロイデス科(Bacterioidaceae)、ブラストミセス症(Blastomycosis)、ボルデテラ属(Bordetella)、ボレリア属(Borrelia)(例えば、Borrelia burgdorferi)、ブルセラ症(Brucellosis)、カンジダ症(Candidiasis)、カンピロバクター属(Campylobacter)、コクシジオイデス症(Coccidioidiomycosis)、クリプトコックス症(Cryptococcosis)、デルマトシコセス(Dermatocycoses)、大腸菌(例えば、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic E. coli)および腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli))、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)(クレブシエラ属(Klebisiella)、サルモネラ属(Salmonella)(例えば、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)およびサルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi))、セラチア属(Serratia)、エルシニア属(Yersinia))、エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、レジオネラ症(Legionellosis)、レプトスピラ症(Leptospirosis)、リステリア属(Listeria)、マイコプラズマ目(Mycoplasmatales)、マイコバクテリウム・レプラ(Mycobacterium leprae)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)(例えば、アシネトバクター属(Acinetobacter)、淋病(Gonorrhea)、髄膜炎菌(Menigococcal))、メイセリア・メニンギチジス(Meisseria meningitidis)、パスツレラ科感染(Pasterurellacea Infections)(例えば、アクチノバチルス属(Actinobacillus)、ヘモフィルス属(Heamophilus)(例えば、ヘモフィラス・インフルエンザ B型(Heamophilus influenza typeB) )、パスツレラ属(Pasteurella))、シュードモナス属(Pseudomonas)、リケッチア科(Richettsiaceae)、クラミジア科(Chlamydiaceae)、梅毒菌(Syphilis)、赤痢菌(Shigella spp.)、ブドウ球菌(Staphylococcal)、髄膜炎菌(Meningiococcal)、肺炎球菌(Pneumococcal)、および連鎖球菌(Streptococcal)(例えば、ストレプトコッカス・ニュウモニア(Streptococcus pneumoniae)およびB群連鎖球菌(Streptococcus))。さらなる細菌作用物質の例には、例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、クラビバクター属(Clavibacter)、エルウィニア(Erwinia)、シュードモナス属(Pseodomonas)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、キシレラ属(Xylella)、マイコプラズマ属(Mycoplasm)、アコレプラズマ属(Acholeplasma)、およびスピロプラズマ属(Spiroplasmas)が含まれる。植物または動物に感染することができるさらなる細菌作用物質は、当該技術分野で既知である(例えば、上述のG. N., Agrios、およびJones, T. C.「Veterinary Pathology」、第4版、Lea and Febiger, Philadelphia (1972)を参照)。
【0350】
上記の科のいずれかに含まれる細菌作用物質は、一般に、以下に含まれるが、これらに限定されない種々の疾患または症状を起こし得る:葉の斑点(leaf spots)、葉枯れ病(leaf blights)、軟腐病(soft rots)(例えば、果実、根、および貯蔵器官など)、萎縮(wilts)、肥大(overgrowths)、瘡痂病(scabs)、根瘤病(cankers)、根粒(nodules)、菌こぶ(galls)、黄斑(yellowing)、篩部壊死(phloem necrosis)、X病(X-disease)、帯化(fasciation)、および毛状根(hairy root);特に、例えば、根頭癌腫病(crown gall)、小枝擦傷(twig gall)、茎擦傷(cane gall)、ジャガイモ輪腐病(potato ring rot)、トマト根瘤病および萎縮(tomato canker and wilt)、バナナ萎縮芽枯れ病(banana wilt bud blast)、挿し木腐敗(cutting rot)、葉脈の黒化(black venation)、球根の腐敗(bulb rot)、柑橘類の根瘤病(citrus canker)、ウォールナッツ葉枯れ病(walnut blight)、ジャガイモ瘡痂病(potato scab)、サツマイモ土壌腐敗(sweet potato soil rot)、タバコ野火病(tobacco wildfire)、インゲン葉焼病(bean blight)、キュウリ角斑落葉病(cucumber angular leaf spot)、ワタ角斑落葉病(cotton angular leaf spot)、穀物枯れ病(cereal blight)、芝草葉枯れ病(grass blight)、トマト斑点細菌病(tomato bacterial spot)、トウガラシ斑点細菌病(pepper bacterial spot)、石果斑点細菌病(stone fruit bacterial spot)、細菌青枯れ病(bacterial vascular wilts)、ウリ青枯れ病(cucurbit bacterial wilt)、洋ナシ火傷病(pear fire blight)、リンゴ火傷病(apple fire blight)、ジャガイモ輪腐病(potato ring rot)、ナス科植物のサザン青枯れ病(southern bacterial wilt of solanaceous plants)、バナナのモコ病(Moko disease of banana)、石果樹脂病(gummosis of stone fruit trees)、ブドウのピアス病(Pierce's Disease of grape)、アーモンド葉焼け症(almond leaf scorch)、アルファルファ萎縮病(alfalfa dwarf)、フォニー ピーチ(phony peach)、プラム黄条病(plum leaf scald)、わい化病(ratoon stunting)、クローバークラブリーフ(clover club leaf)、アスター萎黄病(aster yellows)、芽肥大症(big bud)、リンゴ無性芽繁殖(apple prolilferation)、モモ黄変(peach yellows)、リンゴのゴム状樹木(apple rubbery wood)、洋ナシの減退、ニレ篩部壊死(elm phloem necrosis)、ココナッツの致死的黄変(coconut lethal yellowing)、カンキツ タボーン(citrus tubborn)、光合成の減少、葉あたりの葉緑素の減少、葉緑素効率の減少、植物ホルモン生成の減少、成長速度の減少、可溶性窒素の減少、炭水化物レベルの減少、呼吸の増加または減少、異常な植物代謝、水の転流の減少、栄養素保持時間の減少、蒸散量の増加、収率の減少、植物転写の調整、植物翻訳の調整および異常な細胞代謝、およびトウモロコシ矮化病(corn stunt)。細菌によって引き起こされるさらなる症状および疾患は当該技術分野で既知である。(例えば、上述のG. N. Agrios、およびJones, T. C.、「Veterinary Pathology」、第4版、Lea and Febiger, Philadelphia (1972)を参照)。本発明のポリヌクレオチドもまたはポリペプチド、もしくはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、これらの任意の性質または疾患を検出し、予防し、かつ/または耐性を付与することができる。
【0351】
同様に、植物または動物において疾患または症状を発症することができる真菌を、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出し、予防し、そして/または植物に耐性を付与することができる。このような真菌の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:放線菌目(Actinomycetales)(例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルジア(Norcardia))、クリプトコッカス・ネオフォルムス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス症(Aspergillosis)、粘菌門(Myxomycota)(例えば、粘菌綱(Myxomycetes)(ススホコリ属(Fuligo)、Muciliago、モジホコリ属(Physarum)、モジホコリ目(Physarales)など)、およびネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)(ネコブカビ属(Plasmodiophora)(例えば、ピー・ブラシカ(P. brasicae))、ポリミキサ菌(Polymyxa)(例えば、ピー・グラミニス(P. gramminis)など)、スポンゴスポラ(Spongospora)(例えば、エス・スブテラネア(S. subteranea)など)))、真菌門(Eumycota)(例えば、鞭毛菌類(Mastigomycotina)、ツボカビ綱(Chrytridiomycetes)(例えば、オルピヂウム・ブラシカ(Olpisium brassicae)、フィソデルマ・メイデア(Physoderma maydia)、シンチジウム・エンドビオチクム(Synchytrium endobioticum)、ウロフィリクティス・アルファルファ(Urophylyctis alfalfae)など)、卵菌綱(Oomycetes)、ミズカビ目(Saprolegniales)(例えば、根腐病菌(Aphanomyces)など)、ツユカビ目(Peronosporales)、フハイカビ科(Pythiacese)、フハイカビ属(Pythium)(例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)など)、シロサビキン科(Albuginaceae)(例えば、アルブゴ・カンジダ(Albugo candida)など)、ツユカビ科(Peronosporaceae)(例えば、プラズモパラ・ウィティコラ(Plasmopara viticola)、ペロノスポラ・ニコチアナ(Peronospora nicotianae)、ブレミア・ラクトゥア(Bremia lactucae)、スクレロスポラ・グラミニコラ(Sclerospora graminicola)、およびシュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)他)、接合菌類(Zygomycotina)、接合菌綱(Zygomycetes)、ケカビ目(Mucorales)、クモソスカビ属(Phizopus)(例えば、コアネフォラ・ククルビタルム(Choanephora cucurbitarum)など)、アツギケカビ目(Endogonales)、エンドゴーン(Endogone)、子嚢菌類(Ascomycotina)、半子嚢菌綱(Hemiascomysetes)、エンドミケス目(Endomycetales)(例えば、サッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)など)、タフリナ(Taphrina)、ピテノミセテス(Pytenomycetes)、ウドンコカビ目(Erysiphales)(例えば、エリシフェ(Erysiphe)、ミクロスファエラ(Mycrosphaera)、ポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、スパエロテカ・パンノーサ(Spaerotheca pannosa)、ウキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)など)、タマカビ目(Sphaeriales)(例えば、ボツリオスファエリア・オブトゥサ(Botryosphaeria obtusa)、セラトシスティス(Ceratocystis)、ディアポルテ(Diaporthe)、エンドティア・パラシティカ(Endothia parasitica)、エウティパ・アルメニアカ(Eutypa armeniacae)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グノモニア(Gnomonia)、ヒポキシロン・ママタム(Hypoxylon mammatum)、ロセリニア(Rosellinia)、バルサ(Valsa)、クシラリア(Xylaria)など)、ニクザキン目(Hypocreales)(例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、ギベレラ(Gibberella)、ネクトリア(Nectria)など)、小房子子嚢菌綱(Loculoascomycetes)、ミリアンギウム目(Myriangiales)(例えば、エルシノエ(Elsinoe)など)、クロイボタケ目(Dothideales)(例えば、カルノディウム(Capnodium)、ディディメラ(Didymella)、グイグナルディア・ビドウエリ(Guignardia bidwellii)、ミクロシクルス・エレイ(Microcyclus elei)、プロウリグティア・モルモスム(Plowrightia morbosum)など)、プレオスポラ(Pleosporales)(例えば、コクリオボルス・サティブス(Cochliobolus sativus)、ガエウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)、ピレノフォラ(Pyrenophora)、ベントゥリア・インアエクアリス(Venturia inaequalis)など)、盤菌綱(Discomycetes)、パキジウム(Phacidiales)(例えば、リティスマ・アセリウム(Rhytisma acerium))、ビョウタケ目(Helotiales)(例えば、ディプロカルポス・ロザ(Diplocarpos rosae)、ヒギンシア・ヒエマリス(Higginsia hiemalis)、ロフォデルミウム(Lophodermium)、モニリニア・フルクティコラ(Monilinia fructicola)、プセウドペジザ・トゥリフォリ(Pseudopeziza trifolii)、スクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)など)、不完全菌類(Deuteromtcotina)、分生子果不完全菌(Coelomycetes)、スパエロプシス(Sphaeropsidales)(例えば、アスコチタ・ピシ(Ascochyta pisi)、コニオティリウム(Coniothyrium)、シトスポラ(Cytospora)、ディプロディア・マイディス(Diplodia maydis)、ポーマ・リンガム(Phoma lingam)、ポーマプシス(Phomopsis)、ピロスティカ(Pyllosticta)、セプトリア・アッピ(Septoria apii)など)、メラノコニアレス(Melanconiales)(例えば、セレトトゥリクム(Celletotrichum)、コリネイウム・ベイジェリンキ(Coryneium beijerincki)、シリンドロスポリウム(Cylindrosporium)、グロエオスポリウム(Gloeosporium)、マルソニナ(Marssonina)、メランコニウム・フリゲヌム(Melanconium fuligenum)、スファケロマSphacelomaなど)、糸状不完全菌綱(Hyphomycetes)、ヒファレス(Hyphales)(例えば、アルテルナリア(Alternaria)、アスペリギルス(Asperigillus)、ビポラリス(Bipolaris)、ドレスクスレラ(dreschslerea)、エクセロフィルム(Excerophilum)、ボツリティス・キネレア(Botrytis cinerea)、ケルコスポラ(Cercospora)、フルビア・フルバ(Fulvia fulva)、フサリウム(Fusarium)、ゲオトリクム・カンジダム(Geotrichum candidum)、グラフィウム・ウルミ(Graphium ulmi)、ペニキウム(Peniciuum)、フィマトトリケム・オムニボルム(Phymatotrichum omnivorum)、フィリクラリア(Pyricularia)、スピロカエア(Spilocaea)、テイラビオプシス・バシコラ(Theilaviopsis basicola)、トゥリコデルマ(Trichoderma)、ベルティキルム(Verticillum)など)、アゴノミセテス(Agonomycetes)、無胞子不完全菌目(Agonomycetales)(例えば、リゾトニア(Rhizoctonia)、スクレロティウム(Sclerotium)など)、バシドミコティナ(Basidomycotina)、ヘミバシディオミケテス(Hemibasidiomycetes)、クロボキン目(Ustilaginales)(例えば、スファケルテカ(Sphaceltheca)、ティレティア(Tilletia)、ウロキスティス・ケプラ(Urocystis cepulae)、ウスティロゴ(Ustilago)など)、ウレディナレス(Uredinales)(例えば、クロナルティウム(Cronartium)、ギムノスポランギウム・ユニペリ−ビルギニアナ(Gymnosporangium juniperi−virginianae)、メランプソラ・リニ(Melampsora lini)、フラグミディウム(Phragmidium)、プキニア(Puccinia)、ウロミケス・アペンディクラトゥス(Uromyces appendiculatus)など)、帽菌綱(Hymenomycetes)、モチビョウキン目(Exobasidiales)(例えば、エクセノバシディウム(Exobasidium)など)、アフィロコラレス(Aphyllochorales)(例えば、アエサリア(Aethalia)、コルティキウム(Corticium)、ヘテロバシドゥム(Heterobasidum)、レンジテス(Lenzites)、ペニオフォラ(Peniophora)、ポリポルス(Polyporus)、ポリア(Poria)、スキゾフィルム(Schizophyllum)、ステレウム(Stereum)など)、トゥラスネラ(Tulasnellales)(例えば、タナテフォルス(Thanatephorus)、ティフラ(Typhula)など)、ハラタケ目(Agaricales)(例えば、アルミラリア・メレア(Armillaria mellea)、マラスムウス(Marasmius)、フォリオタ(Pholiota)、プレウロトゥス(Pleurotus)など)、特に、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、接合菌門(Zygomycota)、卵菌門(Oomycota)、ネコブカビ門(Plasmodiophoromycota)、プッキニア・レコンディタ(Puccinia recondita)、リゾ・プスキネンシス(Rhizo puschinensis)、プラスモ・パラビティコラ(Plasmo paraviticola)、プラスモディフォラ・ブラシカ(Plasmodiophora brassicae)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)、エルシノエ・ファウケティ(Elsinoe fawcettii)、パエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)、ミコスファエレラ・アラキディス(Mycosphaerella arachidis)、ミコスファエレラ・ベルケレイ(Mycosphaerella berkeleyi)、ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)、ピイレモフォラ・トゥティキ−レペンティス(Pyremophora tritici−repentis)、ベントゥリア・カルポフィラ(Venturia carpophila)、アルテルナリア・ブラッシカ(Alternaria brassicae)、アルテルナリア・キクチアナ(Alternaria kikuchiana)、アレルナリア・マリ(Alernaria mali)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、ケロコスポラ・ベティコラ(Cercospora beticola)、クラドスポリウム・ククメリヌム(Cladosporium cucumerinum)、セプトリア・リコペルシキ(Septoria lycopersici)、ブルマリア・グラミニス(Blumaria graminis)、エリシフェ・キコラケアルム(Erysiphe cichoracearum)、ポドスファエラ・レウコトゥリカ(Podosphaera leucotricha)、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、ウンキニラ・ネカトル(Uncinila necator)、エメリケラ・ニドゥランス(Emericella nidulans)、ペニキリウム・ディギタトゥム(Penicillium digitatum)、ペニキリウム・イタリクム(Penicillium italicum)、ビベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、ネクトリア・ハエマトコッカ(Nectria haematococca)、フサリウム・クモルム(Fusarium culmorum)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・ロセウム(Fusarium roseum)、ギリクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)、ボツリオティニア・フケリアナ(Botryotinia fuckeliana)、モニリニア・フルクティゲナ(Monilinia fructigena)、スクレロティニア・ホモエオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa)、スクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、モリシア・ヤルンダ(Mollisia yallundae)、グロレラ・ラゲナリア(Glomerella lagenaria)、サッカロミセス・セレビシア(Saccaromyces cerevisiae)、ネウロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ガエマノミセス・グラミニス(Gaemannomyces graminis)、マグネポルテ・グリセア(Magneporthe grisea)、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)、リンコスポリウム・セカリス(Rhyncosporium secalis)、アテリア・ロルフシ(Athelia rolfsii)、ティフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)、タナテフォルス・ククメリス(Thanatephorus cucumeris)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)、プッキニア・ホルデイ(Puccinia hordei)、およびウロミセス・アッペンディクラトゥス(Uromyces appendiculatus)。さらなる真菌は、当該技術分野で既知である(例えば、上記G. N. Agrios、G. C. Ainsworth、「Fungal Diseases of Animals」、Commonwealth agricultural bureaux、Farmham Royal Bucks、England、(1959)、およびJones,T. C.、「Veterinary Pathology」、4th Edition、Lea and Febiger、Philadelphia、(1972)を参照のこと)。
【0352】
上記の任意の門、亜門、綱、目、属、または種に含まれる真菌葉、種々の疾患または症状を引き起こすことができ、一般に、以下が含まれるがこれらに限定されない:壊死(necrosis)、植物死(plant death)、細胞死(cell death)、発育不全(hypotrophy)、形成不全(hypoplasmia)、矮化病(stunting)、過形成(hyperplasia)(例えば、根こぶ病(clubroot)、擦傷(galls)、こぶ状***(warts)、天狗巣病(witches brooms)、巻葉(leaf curls)など)、腫瘍(tumors)、斑点病(leaf spots)、葉枯れ病(blight)、根瘤病(cankers)、立ち枯れ病(dieback)、根腐れ(root rot)、立ち枯れ病(damping off)、罹病(basel stem rot)、腐敗病(soft rots)、乾燥腐敗(dry rots)、炭疽病(anthracnose)、瘡痂病(scab)、衰弱(decline)、立枯れ病(wilt)、サビ病(rust)、ウドンコ病(mildew)、および黒穂病(smut);特に、結実(fructifications)、ジャガイモ粉状そうか病(powdery scab of potato)、アブラナ根こぶ病(clubroot of crucifers)、ジャガイモ黒色こぶ状***(black wort of potato)、アルファルファ根頭こぶ状***(crown wart of alfalfa)、トウモロコシ褐色斑(brown spot of corn)、種子腐敗(seed rot)、苗木立枯れ病(seedling damping off)、根茎腐敗(root and stem rot)、葉枯れ病(blight)、塊根腐敗(tuber rot)、白サビ病(white rust)、アッパーサイド(upper side)、べと病(downy mildews)、ダイズ種子上の卵胞子(oospores on soybean seed)、クモノスカビ腐敗病(rhizopus soft rots)、クモノスカビ果実腐敗(rhizopus fruit rot)、choanephoraカボチャ腐敗(squash rot)、パンカビ(bread mold)、芽腐敗(bud rot)、茎腐敗(stem rot)、頸領腐敗(collar rot)、根頭腐敗(crown rot)、幹腐敗(trunk rot)、黒莢病(black pod disease)、ジャガイモ疫病(late blight of potatoes)、炭疽病(Anthracnose disease)、Colletotrichum病、タマネギしみ状斑(onion smudge)、麦角病(ergot)、Botrytis病、葉脈萎縮(vascular wilts)、ニレ立枯れ病(Dutch Elm disease)、Gibberella病、Sclerotinia病、Rhizoctonia病、Sclerotium病、果実および野菜の収穫後腐敗、光合成の減少、葉あたりの葉緑素の減少、葉緑素効率の減少、植物ホルモン生成の減少、成長速度の減少、可溶性窒素の減少、炭水化物レベルの減少、呼吸の増加または減少、異常な植物代謝、水の転流の減少、栄養素保持時間の減少、蒸散量の増加、収率の減少、植物転写の調整、植物翻訳の調整および異常な細胞代謝;特に、柑橘類瘡痂病(citrus scab)、ブドウ黒腐れ病(grape black rot)、コムギ セプトリア・ノドルム(septoria nodorum)汚斑病、ピーナッツの初期斑点病(early leaf spot of peanuts)、バナナblack sigatoka病、コムギ セプトリア・トゥリティキ(septoria tritici)汚斑病、オオムギ網斑病(barley net blotch)、穀類黄褐色斑(cereal tan spot)、リンゴ瘡痂病(apple scab)、モモ夏日斑(peach feckle)、キャベツ黒斑病(cabbage blackspot)、リンゴ汚斑病(apple leaf blotch)、トマトおよびジャガイモ夏疫病(tomato and potato early bloght)、ビーツのcercospora斑点病、キュウリ瘡痂病(cucumber scab)、トマトseporial斑点病、コムギウドンコ病(wheat powdery mildew)、オオムギウドンコ病(barlet powdery milder)、キュウリウドンコ病(cucumber powdery milder)、リンゴウドンコ病(apple powdery milder)、キュウリウドンコ病(cucumber powdery milder)、ブドウウドンコ病(grape powdery milder)、saporphyte、柑橘類緑カビ病(green mold of citrus)、柑橘類アオカビ病(blue mold of citrus)、イネバカナエ病(rice bakanae disease)、穀類穂先瘡痂病(cereal neadscab)、キュウリfusarium立枯れ病、トマトfusarium立枯れ病、ハツカダイコンfusarium黄斑、イネ苗立枯れ病(rice damping)、トウガラシbotrytis葉枯れ病、インゲンマメbotrytis葉枯れ病、キュウリbotrytis葉枯れ病、ブドウbotrytis葉枯れ病、マリゴールドbotrytis葉枯れ病、石果褐色腐れ(brown rot of stone fruit)、芝生ドラースポット(turf dollar spot)、コムギ眼状斑点病(wheat eye spot)、キュウリ炭疽病(cucumber anthracnose)、pestalotial斑点病、イネ枯れ病(rice blast)、芝生雪腐れ病(turf snow mold)、オオムギの日焼け(barley scald)、typhula葉枯れ病、rhizoctonia苗立枯れ病、コーヒーサビ病(coffee rust)、コムギ葉サビ病(wheat lead rust)、オオムギ葉サビ病(barley leaf rust)、インゲンマメサビ病(bean rust)。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、任意のこれらの症状または疾患を検出し、予防し、そして/または耐性を付与することができる。植物または動物に感染することができるさらなる真菌は当該技術分野で既知である(例えば、上記G. N. Agrios、G. C. Ainsworth、「Fungal Diseases of Animals」、Commonwealth agricultural bureaux、Farmham Royal Bucks、England、(1959)、およびJones,T. C.、「Veterinary Pathology」、4th Edition、Lea and Febiger、Philadelphia、(1972)を参照のこと)。
【0353】
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出し、予防し、そして/または態様を付与することができる疾患または症状を引き起こす寄生虫には、以下の科および綱が含まれるが、これらに限定されない:アメーバ症(Amebiasis)、バベシア病(Bebesiosis)、コクシジウム症(Coccidiosis)、クリプトスポリジウム症(Cryptosporidiosis)、Dientamoebiasis、媾疫(Dourine)、外部寄生(Ectoparasitic)、ジアルジア症(Giardiasis)、蠕虫病(Helminthiasis)、リーシュマニア症(Leishmaniasis)、タイレリア症(Theileriasis)、トキソプラスマ症(Toxoplasmosis)、トリパノソーマ症(Trypanosomiasis)、ならびにトリコモナス属(Trichomonas)および胞子虫(Sporozoans)(例えば、Plasmodium virax、Plasmodium falciparium、Plasmodium malariae、およびPlasmodium ovale)。寄生虫のさらなる例には、例えば、ネナシカズラ科(Cuscutaceae)(例えば、Cuscuta、Dodderなど)、ヤドリギ科(Viscaceae)(例えば、Arceuthobium属(針葉樹の矮性のヤドリギ)、Phoradendron(広葉樹のアメリカヤドリギ)、およびViscum(欧州ヤドリギ))、ハマウツボ(Orobanche)(例えば、Orobanche(タバコのハマウツボ))、およびゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)(例えば、Striga(単子葉植物のゴマノハグサ))が含まれる。これらの寄生虫は、種々の疾患または症状を引き起こすことができ、以下が含まれるがこれらに限定されない:水貯蔵量の減少、無機塩類の利用可能性の減少、炭水化物貯蔵量の減少、植物防御の減少、および真菌、細菌、ウイルス感染への感受性の増大。さらなる寄生虫病は当該技術分野で既知である(例えば、上記G. N. AgriosおよびJones,T. C.、「Veterinary Pathology」、4th Edition、Lea and Febiger、Philadelphia、(1972)を参照のこと)。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用して、これらの任意の性質または疾患を検出し、予防し、そして/または耐性を付与することができる。
【0354】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用した治療法または予防法は当該技術分野で周知であるが、有効量のポリペプチドを植物、種子、組織、または細胞に投与することを含み得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドでの植物、種子、組織、または細胞の形質転換によって治療または予防するか、植物から細胞を除去し、形質転換し、操作細胞を植物に戻すことができる(ex vivo治療)。さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを抗原として使用して、特定の感染症の病原性を阻害する抗体を作製することができる(例えば、感染生物の病原性に重要な植物特異的遺伝子またはタンパク質の発現の阻害)。さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストを使用した感染因子の任意の検出法、予防法、または阻害する方法、耐性を付与する方法を、さらに改変するか改変しないで、ヒト、動物、哺乳動物、または他の生物中の感染因子の検出、予防、耐性の付与または阻害に適用することができる。
【0355】
害虫耐性
線虫は、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出し、予防し、そして/または耐性を付与することができる疾患または性質を引き起こすことができる害虫の1つの例である。線虫の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ティレンキダ(Tylenchida)、ティレンキナ(Tylenchina)、ティレンコイディア(Tylenchoidia)、ティレンキデア(Tylenchidea)、ティレンキダエ(Tylenchidae)、アングイナ(Anguina)、ディティレンクス(Ditylenchus)、ティレンコリンキダエ(Tylenchorhynchidae)、ティレンコリンクス(Tylenchorhynchus)、プラティレンキダエ(Pratylenchidae)、プラティレンクス(Pratylenchus)、ラドフォルス(Radopholus)、ホプロラミダエ(Hoplolaimidae)、ホプロラミヌス(Hoplolaimus)、ロティレンクス(Rotylenchus)、ヘリコティケンクス(Helicotylenchus)、ベロノラミダエ(Belonolaimidae)、ベロノライムス(Belonolaimus)、ヘテロデロイデア(Heteroderoidea)、ヘテロデリダエ(Heterderidae)、グロボデラ(Globodera)、ヘテロデラ(Heterodera)、メロイドギネ(Meloidogyne)、ナコビダエ(Nacobbidae)、ナコブス(Nacobbus)、ロティレンクルス(Rotylenchulus)、クロコネマトイダエ(Criconematoidae)、クリコネマティダエ(Criconematidae)、クリコネメラ(Criconemella)、ヘミシクロフォラ(Hemicycliophora)、パラティレンキダエ(Paratylenchidae)、パラティレンクス(Paratylenchus)、ティレンクイダエ(Tylenchuidae)、ティレンクルス(Tylenchulus)、アフェレンキナ(Aphelenchina)、アフェレンコイデア(Aphelenchoidea)、アフェレンコイディアエ(Aphelenchoididae)、アフレネンコイデス(Aphlenenchoides)、ブルサフェレンクス(Bursaphelenchus)、ダディナフェレンクス(Rhadinaphelenchus)、ドリライミダ(Dorylaimida)、ロンギドリダエ(Longidoridae)、ロンギドルス(Longidorus)、キシフィネマ(Xiphinema)、トゥリコドリダエ(Trichodoridae)、パラトゥリコドルス(Paratrichodorus)、およびトゥリコドルス(Trichodorus)。他の線虫門、目、亜目、上科、科、属、および種が当該技術分野で既知である。
【0356】
任意の上記の目、亜目、上科、科、属、および/または種に含まれる線虫は、植物の種々の疾患または症状を引き起こすことができ、一般に、以下が含まれるが、これらに限定されない:根瘤、根擦傷、植物成長の低下、植物栄養失調、黄化、立枯れ病、収量の減少、製品の品質低下、植物擦傷、壊死性損傷、腐敗、葉および茎のねじれまたは歪曲、異常な花器形態形成;肥大、発育不全、被覆体、退緑。本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、任意のこれらの症状または疾患を検出し、予防し、そして/または耐性を付与することができる。線虫によって引き起こされるさらなる疾患および/または障害は当該技術分野で既知である。
【0357】
昆虫は、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出し、予防し、そして/または植物に耐性を付与することができる疾患または性質を引き起こすことができる害虫の別の例である。昆虫の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:コレオプテラ(Coleoptera)、ディプテラ(Diptera)、ヒメノプテラ(Hymenoptera)、レピドプテラ(Lepidoptera)、マロファガ(Mallophaga)、モモプテラ(Homoptera)、ヘミプテラ(Hemiptera)、オルトロプテラ(Orthroptera)、ティサノプテラ(Thysanoptera)、デルマプテラ(Dermaptera)、イソプテラ(Isoptera)、アノプルラ(Anoplura)、シフォナプテラ(Siphonaptera)、トゥリコプテラ(Trichoptera)などから選択される昆虫(特に、コレオプテラ(Coleoptera))。
【0358】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、主要な穀類の昆虫害虫によって引き起こされる以下の任意の非限定的な症状または疾患を検出し、予防し、そして/または耐性を付与することができる:メイズ(Maize):Ostrinia nubilalis(アワノメイガ(European corn borer));Agrotis ipsilon(タマナヤガ(black cutworm));Helicoverpa zea(オオタバコガ(corn earworm));Spodoptera ftugiperda(ヨトーガ(fall armyworm));Diatraea grandiosella(南西部アワノメイガ(southwestern corn borer));Elasmopalpus lignosellus(マダラメイガ(lesser cornstalk borer));Diatraea saccharalis(サトウキビメイガ(sugarcane borer));Diabrotica virgifera(ウェスタンコーンルートワーム(western corn rootworm));Diabrotica barberi(ノーザンコーンルートワーム(northern corn rootworm));Diabrotica undecimpunctata howardi(スポッティッドキューカンバービートル(spotted cucumber beetle));Melanotus属(コメツキムシの幼虫(wireworms));Cyclocephala borealis(ノーザンマスクドチェイファー(northern masked chafer)(根きり虫(white grub)));Cyclocephala immaculata(サザンマスクドチェイファー(southern masked chafer)(根きり虫(white grub)));Popilliajaponica(マメコガネ(Japanese beetle));Chaetocnema pulicaria(トウモロコシノミハムシ(corn flea beetle));Sphenophorus maidis(メイズゾウムシ(maize billbug));Rhopalosiphum maidis(トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid));Anuraphis maidiradicis(トウモロコシ根アブラムシ(corn root aphid));Blissus leucopterus(ヒメオオメナガカメムシ(chinch bug));Melanoplus femurrubrum(足の赤いバッタ(redlegged grasshopper));Melanoplus sanguinipes(トノサマバッタ(migratory grasshopper));Delia platura(タネバエ(seedcorn maggot));Agromyza parvicornis(コーンブロッチリーフマイナー(corn blotch leafminer));Anaphotrips obscrurus(クサキイロアザミウマ(grass thrips));Solenopsis milesta(盗賊アリ(thief ant));Tetranychus urticae(ハダニ(twospotted spider mite));Busseola Jusca(アメリカンメイズステムボラー(African Maize Stem Borer))(AMB);Sesamia calamistis(アフリカンピンクボラー(African Pink Borer)(AP13));Eldana sacchharina(アフリカンシュガーケンボラー(African Sugarcane Borer)(ASB));Chilo partellus(ソルガム芯食い虫(Sorghum Stem Borer)(SSB));Ostrinia furnacalis(アワノメイガ(Oriental Corn Borer)(OCB));Sesamia nonagrioides(欧州/北アフリカアワノメイガ(Corn borer in Europe/N. Africa));Syrahum:Clilo partellus(ソーガムボラー(sorghum borer));Spodoptera ftugiperda(ヨトーガ(fall armyworm));Relicoverpa zea(オオタバコガ(corn earworm));Elasmopalpus lignosellus(マダラメイガ(lesser cornstalk borer));Agrotis subterranea(グラニュレートカットワーム(granulate cutworm));Phyllophaga crinita(根切り虫(white grub));Eleodes属、Conoderus属、およびAeolus属(コメツキムシ(wireworms));Oulema melanopus(クビアカクビボソハムシ(cereal leaf beetle));Chaetocnema pulicaria(トウモロコシノミハムシ(corn flea beetle));Sphenophorus maidis(メイズゾウムシ(maize billbug));Rhopalosiphum maidis(トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid));Siphaflava(ヒエノアブラムシ(yellow sugarcane aphid));Blissus leucopterus(ヒメオオメナガカメムシ(chinch bug));Contarinia sorghicola(ソーガムミッジ(sorghum midge));Tetranychus cinnabarinus(カルミンハダニ(carmine spider mite));Tetranychus urticae(ハダニ(twospotted spider mite));Schizaphis graminum(ミドリアブラムシ(greenbug)(アブラムシ(aphid));コムギ(Wheat):Pseudaletia unipunctata(アワヨトウ(army worm));Spodoptera ftugiperda(ヨトーガ(fall army worm));Elasmopalpus−lignosellus(マダラメイガ(lesser cornstalk borer));Agrotis orthogonia(プラエウエスタンカットワーム(plae western cutworm));Oulema melanopus(クビボソハムシ(cereal leaf beetle));Hypera punctata(オオタコゾウ(clover leaf weevil));Diabrotica undcimpunctata howardi(ハムシモドキ(spotted cucumber beetle));ロシアコムギアプラムシ(Russian wheat aphid);Schizaphis graminum(ミドリアブラムシ(greenbug));Sitobion avenae(イングリッシュグレインアフィド(English grain aphid));Melanoplus femurrubrum(足の赤いバッタ(redlegged grasshopper));Melanoplus differentialis(ディフェレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper));Melanoplus sanguinipes(トノサマバッタ(migratory grasshopper));Mayetiola destructor(コムギタマバエ(Hessian fly));Sitodiplosis niosellana(小麦虫(wheat midge));Meromyza americana(フィートステムマゴット(wheat stem maggot));Hylemya coarctata(フィートバルブフライ(wheat bulb fly));Frankliniella jusca(タバコアザミウマ(wheat bulb fly));Cephus cinctus(フィートステムソーフライ(wheat stem sawfly));Eriophyes tulipae(フィートカールマイト(wheat curl mite));ヒマワリ(Sunflower).Suleima helianthana(サンフラワーバドモス(sunflower bud moth));Homeosoma ellectellum(サンフラワーヘッドモス(sunflower head moth));Zygoramma exclamationis(サンフラワービートル(sunflower beetle));Bothyrus gibbosus(キャロットビートル(carrot beetle));Neolasioptera mur−feldtiana(サンフラワーシードミッジ(sunflower seed midge));Cochylis hospes(バンデドサンフラワーモス(banded sunflower moth));Rachiplusia nu(アゲンティナルーパー(agentina looper));Smicronyx julvus(レッドサンフラワーシードウィビル(red sunflower seed weevil));Cylindrocopturus adspersus(スポッテドサンフラワーステムウィービル(spotted sunflower stem weevil));ワタ(Cotton):Heliothis virescens(ワタオオタバコガ(tobacco budworm));Helicoverpa zea(オオタアコガ(bollworm));Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ(beet armyworm));Pectinophora gossypiella(ワタキバガ(pink bollworm));Anthonomus grandis(ワタミハナゾウムシ(boll weevil));Aphis gossypii(ワタアブラムシ(cotton aphid));Pseudatomoscelis seriatus(ワタノミハムシ(cotton fleahopper));Trialeurodes abutilonea(バンディドウイングドホワイトフライ(bandedwinged whitefly));Lygus lineolaris(ミドリメクラガメ(tarnished plant bug));Melanoplus femurrubrum(足の赤いバッタ(redlegged grasshopper));Melanoplus differentialis(ディフェレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper));Thrips tabaci(オニオンスリップス(onion thrips));Franklinkiella jusca(タバコアザミウマ(tobacco thrips));Tetranychus cinnabarinus(カルミンハダニ(carmine spider mite));Tetranychus urticae(ハダニ(two));イネ(Rice):Diatraea saccharalis(シュガーケーンボラー(sugarcane borer));Spodoptera ftugiperda(ヨトーガ(fall armyworm));Helicoverpa zea(オオタバコガ(corn earworm));Colaspis brunnea(グレープコラプシスgrape colaspis);Lissorhoptrus oryzophilus(イネミズゾウムシ(rice water weevil));Sitophilus oryzae(ココクゾウムシ(rice weevil));Nephotettix nigropictus(イネツマグロヨコバイ(rice leafhoper));Blissus leucopterus(コバネナガカメ(chinch bug));Acrosternum hilare(アオカムシ(green stink bug));Pseudoplusia includens(ダイズシャクトリムシ(soybeen looper));Anticarsia gemmatalis(ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar));Plathypena scabra(グリーンクローバーワーム(green cloverworm));Ostrinia nubilalis(アワノメイガ(European corn borer));Agrotis ipsilon(タマナヤガ(black cutworm));Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウガ(beet armyworm));Heliothis virescens(ワタオオタバコガ(cotton boll worm));Helicoverpa zea(ワタオオタバコガ(cotton bollworm));Epilachna varivestis(マダラテントウムシ(Mexican bean beetle));Myzus persicae(モモアカアブラムシ(green peach aphid));Empoasca jabae(ポテトリーフホッパー(potato leafhopper));Acrosternum hilare(アオカメムシ(green stink bug));Melanoplus femurrubrum(足の赤いバッタ(redlegged grasshopper));Melanoplus differentialis(ディフェレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper));Delia platura(タネバエ(seedcorn maggot));Sericothrips variabilis(ダイズアザミウマ(soybean thrips));Thrips tabaci(タマネギアザミウマ(onion thrips));Tetranychus turkestani(イチゴハダニ(strawberry spider mite));Tetranychus urticae(ハダニ(twospotted spider mite));オオムギ(Barley).Ostrinia nubilalis(アワノメイガ(European corn borer));Agrotis ipsilon(タマナヤガ(black cutworm));Schizaphis graminum(ミドリアブラムシ(greenbug));Blissus leucopterus(コバネナガカメ(chinch bug));Acrosternum hilare(アオカメムシ(green stink bug));Euschistus servus(クサギカメムシ(brown stink bug));Delia platura(タネバエ(seedcorn maggot));Mayetiola destructor(コムギタマバエ(Hessian fly));Petrobia latens(ブラウンフィートマイト(brown wheat mite));Oil Seed Rgpe;Brevicoryne brassicae(キャベツアブラムシ(cabbage aphid));ノミハムシ(Flea beetle)、Phyllotreta属;Bertha Armyworm;Mamestra configurata;コナガ(Diamondback Moth);Plutella xylostella;アルファルファ(Alfalfa):アルファルファシャクトリムシ(alfalfa looper)、Autographa californica;アルファルファスノートビートル(alfalfa snout beetle)(Otiorhynchus Ligusticii);アルファルファキャタピラー(alfalfa caterpillar)(Colias eurytheme);アルファルファブロッチリーフランナー(alfalfa blotch leafrunner)(Agronyza frontella);エジプシャンアルファルファウィービル(Egyptian alfalfa weevil)(hypera brunneipeonis);ホソアワフキ(meadow spittlebug)(Philaerius spumarius);スポッテドアルファルファアフィド(spotted alfalfa aphid)(Theriophis meculata);オオタコゾウ(clover leaf weevil)(Hypera punctata);エンドウヒゲナガアブラムシ(pea aphid)(Acyrthosiphon pisum);コンドウヒゲナガアブラムシ(blue alfalfa aphid)(Acyrthosiphor kondoi);グリーンクローバーワーム(green cloverworm)(Plathypena scabia);ケチビコフキゾウムシ(clover root curculio)(Sitona hispidulus);アルファルファシードカルチド(alfalfa seed chalcid)(Brachophagus roddi);ミドリメクラガメ(tarnished plantbug)(Lygus lineolaris);サイスティンクバッグ(Say stink bug)(Chlorochroa sayi);ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar)(Anticarsia ftiegiperda);アルファルファタコゾウムシ(alfalfa weevil)(Hypera postica);ヨトーガ(fall armyworm)(Spodoptera);ジャガイモヨコバイ(potato leafhopper)(エンポアカ・ジャバエ(Empoasca jabae));soybean looper(プスードルシア・インクルデンス(Psuedolusia includens));Three cornered alfalfa hopper(スピシスティルス・ジェスティヌス(Spissistilus jestinus))など。さらなる昆虫害虫は、当該技術分野で既知である。例えば、Manya B. Stoetzel、(1989)、Common Names of Insects & Related Organisms、Entomological Society of America(本明細書中に参照により援用される)を参照のこと。
【0359】
さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストは、他の植物害虫(昆虫、草本、真菌、細菌、ウイルス、および本明細書中に開示の他の害虫が含まれるが、これらに限定されない)の検出、予防,および/または耐性の付与に有用であり得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストは、害虫の生存に不可欠の栄養素の生合成、蓄積、および/または濃縮を直接または間接的に調整(好ましくは、減少する)することができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストは、害虫の生存に不可欠の栄養素の生合成、蓄積、および/または濃縮を減少させることができる代謝産物および/またはタンパク質の生合成を調整(好ましくは、増大させる)することができる。1つの例は、コレステロールオキシダーゼ遺伝子を保有する植物がワタミハナゾウムシ(boll weevil)(アンソノモス・グランディス ボーマン(Anthonomus grandis Boheman))の幼虫に耐性を示す所見に関する(Purcell, JP., Biochem. Biophys. Res. Commun., 196(3), 1406-13, 1993)。コレステロールは昆虫を含むほとんどの生物で必須の栄養素であるので、コレステロール分解酵素(コレステロールオキシダーゼを含む)のレベルおよび/または活性を調整することができる本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストは、植物害虫への耐性の付与に有用である。別の例では、一定のラチロゲン(latherogens)を発現する植物葉、いくつかの病原体への耐性の付与を示した。コラーゲン合成および/または凝集を妨害することができるこのようなラチロゲンを同定した。
【0360】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストを直接または間接的に使用して、保護が所望される植物への直接的局所適用によって本明細書中に記載の任意の害虫および/または疾患を検出し、予防し、かつ/または耐性を付与することができる。例えば、植物に直接散布した場合に害虫に広範な農薬耐性を示すいくつかのタンパク質および/またはペプチドベースの市販の農薬が最近市場に導入されている(Eden Bioscienceの「Messenger」およびNovartis Crop Protectionの「Actigard」)(Nat. Biotech., 18, 595, 2000)。Messengerは、エルウィニア・アミロバラ(Erwinia amylovara)ハーピン遺伝子に基づいている(Wei, Z., Science、257, 85-88, 1992)。このようなタンパク質/ペプチドベースの農薬を、植物の全身獲得抵抗性(SAR)経路を活性化することが示されている。本発明は、植物害虫への耐性を付与するためのさらなる作用様式を含むが、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニストによるSAR経路の直接または間接的活性化が好ましい。任意の処方要件を含む局所投与法は、本発明の各ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストの固有の特徴に基づいて変化する。さらに、植物病原体耐性を付与する本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストはまた、他の有利な用途(例えば、植物成長の促進など)を有し得る。
【0361】
植物防御
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、環境的または病原性ストレス(例えば、ウイルス、菌類、マイコプラズマ、細菌、線虫、除草剤、殺虫剤、酸性雨、干ばつ、化学製品等)に対する植物の防御メカニズムを増強するのに用いられ得る。このような防御メカニズムは、構造的特性(すなわち、病原体が、例えば、植物中に入って広がることを防ぐように作用するための)、および、植物全体または各細胞の規模のいずれかでの生化学的反応(例えば、病原体に対して毒性を有するか、または病原体の生存について非許容性の環境を創出するかのいずれかの物質を産生するといったもの)の組合せであり得る。
【0362】
構造的には、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、毛状突起の数を増大させ、ろうの分泌またはろう様層の厚さおよび/または組成物を増大させ、クチクラの厚さおよび/または組成物を増大させ、表皮細胞壁の構造を変化させ、気孔および皮孔のサイズ、形状および/または位置を変化させ、植物による、厚壁(thick-walled)細胞層(例えば、コルク細胞層等)の創出または増大を誘起し、外表皮細胞壁の厚さおよび/または組成を増大させ、離層の形成を誘起し、チロースの形成を誘起し、ガムの産生および/または堆積を誘起し、細胞壁の外柔組織細胞の厚化を誘起し、細胞壁の厚化を誘起し、細胞壁の内層中のカロース乳頭(callose papillae)の堆積を誘起し、細胞および/または組織中のネクローシスまたは過敏(hypersensitive)防御反応(すなわち、細胞死)を誘起し、病原体の広がりを構造的に阻止するための酸化されたフェノール化合物のリグニン様物質への重合を誘起し、かつ/または細胞質防御反応を誘起することに関して有用であり得る。
【0363】
生化学的には、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、病原体阻害因子を植物環境中に放し、菌類に有毒な滲出物を放し、かつ/またはフェノール化合物(例えば、プロトカテキュ酸(protocatechioc acid)、カテコール等)を放すことに関して有用であり得る。あるいは、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物の細胞および組織内の、フェノール化合物(例えば、クロロゲン酸、カフェー酸、スコポレチン(scopoletin)、フェノール化合物の酸化生成物、フィトアレキシン(Bellら、Ann. Rev. Plant Physiol, 32, 1981、フィトアレキシンの特定の例を参照)、ファセオリン(phaseolin)、リシチン(rishitin)、キエビトン(kievitone)、ピサチン(pisatin)、グリセオリン(glyceollin)、ゴシポール、カプシジオール(capsidiol)等)、タンニン、および/またはサポニン(例えば、トマチン、アベナシン(avenacin)等)の合成の増強に関して有用であり得る。あるいは、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、病原体の細胞壁等の分解を引き起こす植物の加水分解酵素(例えば、グルカナーゼ、キチナーゼ等)の発現の増強に関して有用であり得る。
【0364】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、宿主−病原体相互作用に不可欠な認識要因(例えば、特定のオリゴ糖、炭化水素部分、受容体、リガンド、タンパク質、糖タンパク質、レシチン等)の発現の阻害に関して有用であり得る。例えば、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、病原体の毒素に対する標的として働くことによって宿主に毒素に対する非感受性を付与するタンパク質の発現を阻害することに関して有用であり得る。
【0365】
別の実施の形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物の代謝機構の、コンピテントな病原体応答に必要とされる不可欠な段階を完成する能力を阻害すること(例えば、植物のリボソームの、ウイルスの核酸のような病原体の核酸を認識する能力を阻害し、かつ/または植物のDNAポリメラーゼ機構の、病原体のDNAを認識および/または合成する能力を阻害し、または植物病原体応答を引き出すのに不可欠な特定の酵素段階を触媒する植物の能力を阻害すること等)において有用であり得る。
【0366】
また別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、許容性病原体感染に必要とされる、不可欠な栄養素の産生または輸送または保持のいずれかを阻害すること(例えば、病原体応答に必要とされる、不可欠ではないミネラル類またはビタミン類の輸送を阻害するといったこと等)に関して有用であり得る。
【0367】
一実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、フェノール酸化酵素(例えば、ポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ等)の発現または活性を増強し、フェニルアラニンアンモニアリアーゼの発現または活性を増強し、ペクチン塩またはペクチン複合体を形成可能なタンパク質の活性または発現を増強すること等に関して有用であり得る。
【0368】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、感染の誘導に不可欠な病原体タンパク質の活性を、直接的または間接的に阻害すること(例えば、加水分解酵素についてのようなタンパク質の酵素活性を阻害すること、例えば、このタンパク質が受容体またはリガンドと結合する能力を阻害すること、病原体タンパク質の、タンパク質−タンパク質またはタンパク質−DNAの相互作用を阻害すること等)に関して有用であり得る。詳細には、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、野火病毒素、白化誘起毒素、タブトキシン(tabtoxin)、ファセオロトキシン(phaseoloyoxin)、リゾビトキシン(rhizobitoxin)、萎凋誘起(wilt-inducing)細菌多糖、アミロボリン(amylovorin)、グリコペプチド毒素、ペプチド毒素、シリンゴマイシン(syringomycin)、タゲチトキシン(tagetitoxin)、ヘルミントスポロサイド(helminthosporoside)、ビクトリン(victorin)、ヘルミントスポリウムマイディスT毒素(helminthospoium maydis T-toxin)、ヘルミントスポリウムカルボヌム(helmintspoium carbonum)毒素、連環状ペリコニア(periconia circinata)毒素、フィロスティクタマイディス(phyllosticta maydis)毒素、アルテルナリア毒素、フザリアル萎凋病(fusarial wilt)毒素、オプヒオボリン(ophiobolin)、ヘルミントスポラル(helminthosporal)、テルピノイド(terpinoid)毒素、フジコクシン(fusicoccin)、ピリキュラリン(pyricularin)、コレトチン(colletotin)、アルテルナル酸(alternal acid)、テントキシン(tentoxin)、植物毒素、ジニオール(zinniol)、テントキシン、アスコキチン(ascochitine)、ディアポルシン(diaporthin)、スキリン(skyrin)、ディディメラアプラナタ(Didymella applanata)毒素、ミロセシウムロリデュム(Myrothecium roridum)毒素、レプトスフェルリナブリオシアナ(Leptosphaerulina briosiana)毒素、アルテルナリアテヌイス(Alternaria tenuis)フェノール毒素、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)毒素、バーティシリウムアルボアトラム(Verticillium albo-atrum)毒素、フィトフトラニコチアネー種パラシチカ(Phytophthora nicotianea var. parasitica)毒素、フィトフトラメガスペルマ種ソヤエ(Phytophthora megasperma var. sojae)毒素、セラトシスティスウルミ(Ceratocystis ulmi)毒素、ペプチドラムノマナン(peptidorhamnomannan)、ステムフィリウムボトリオスム(Stemphylium botryosum)毒素、斑点病(stemphylium botryosum)毒素、ステムフィリン(stemphylin)、ステムフィロキシン(stemphyloxin)、ピレノフォラテレス(Pyrenophora teres)毒素、N−(2−アミノ−2−カルボキシエチル)アスパラギン酸、アスペルギローマラスミンA(aspergillomarasmine A)、およびリンコスポロシデス(Rhynchosporosides)毒素などを、直接的または間接的に阻害すること関して有用であり得る。
【0369】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、シアン発生性グリコシドまたはエステルの産生を増強または誘導し、シアン発生性グリコシドまたはエステルを加水分解可能な加水分解酵素の活性または発現を増強し、植物細胞または組織中にシアニドを放出可能な酵素の活性または発現を増強し、シアニドを無毒化可能な酵素(例えば、ホルムアミドヒドロリアーゼ等)の活性または発現を増強し、および/またはb−タンパク質(b-protein)の発現を増強すること等に関して有用であり得る。
【0370】
また、さらなる実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、本発明のポリヌクレオチド、および/またはその断片のいずれの非コード5’または3’領域の他に、ウイルスコートタンパク質、細菌または菌類のタンパク質、リポタンパク質、多糖、酵母RNA、ポリアニオン、ポリアクリル酸、サリチル酸、および/または2−クロロエチルホスホン酸等を例えば植物中で産生することに有用であり得る。このようなタンパク質および/または化合物は、全体にまたは局所的に植物に適用されたときに、植物の病原体に応答する局所的な耐性を引き出すことが示されている。
【0371】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、アセチルサリチル酸、アコニチン、アトロピン、シチシン、ジャーミニン(germinine)、強心配糖体(例えば、カロトロピン(calotropin)、オレアンドリン(oleandrin等))、リナリン(linarine)、キニン、アトロピン、タクシン(taxine)、シクトキシン、ヒヨスシアミン、ピレトリン、ロテノン、樟脳等が挙げられるが、これらのものに限定されない二次的代謝物の産生を増強または誘起することのいずれかに有用であり得る。
【0372】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、b−シアノアラニン(b-cyanoalanine)、アゼチジン2−カルボン酸(azetidine 2-carboxylic acid)、カナバニン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン等が挙げられるが、これらのものに限定されない非タンパク質アミノ酸の産生を増強または誘起することのいずれかに有用であり得る。
【0373】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、1,8シネオール(1.8 cineole)、樟脳、a−ピネン(a-pinene)、b−ピネン(b-pinene)、カンフェン、ツヨン等が挙げられるが、これらのものに限定されないテルペンの産生を増強または誘起することのいずれかに有用であり得る。
【0374】
さらに別の実施形態では、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物の防御メカニズムを必ずしも増強させることなく、感染性作用物質を直接的または間接的に阻害し得る。
【0375】
本発明は、本明細書中の上記および他に記載された、環境作用物質または感染性作用物質に抗する植物の防御メカニズムを増強させる任意の方法の、1,2、3、4またはそれ以上(これらの任意の組合せを含む)の適用を含む。植物の防御メカニズムを増強する他の方法が、当該技術分野において知られている。あるいは、植物の防御メカニズムを増強する、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの使用による増強された産生または発現のための標的として働き得る化合物および/またはタンパク質のリストが、当該技術分野において知られている(例えば、Agrious, N.C., 上述;Goodman, R.N.,「The Biochemistry and Physiology of Plant Disease」, University of Missouri Press, Columbia, 1986;Lambers, H et al., in 「Plant Physiological Ecology」, Spinger-Verlag, New York, (1998)を参照。これらはその全体が参照により本明細書に援用される)。
【0376】
植物ホルモン
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物(任意の細胞、組織、および/または器官等を含む)内部のホルモンレベルを調節することに用いられ得る。本発明により、直接的または間接的に調節され得るホルモンの例は、一般的に、オーキシン、インドール酢酸、ジベルリン(giberellin)、サイトカイニン、エチレン、アブシジン酸、ポリアミン、ジャスモネート(jasmonate)、テュベロン酸(tuberonic acid)、サリチル酸、システミン(systemin)、ブラシノリド(brassinolide)、ゼアチン;詳細には、インドール−3−酢酸、インドール−3−ブチル酸、4−クロロインドール−3−酢酸、インドール−3−アセチル−1−O−B−D−グルコース、インドール−3−アセチル−ミオイノシトール、ジャスモン酸、ジャスモン酸メチル、カイネチン、上記ホルモンの既知の誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。本文脈中、調節とは、任意の上記ホルモンの発現レベルの、量的または質的な増強、低下、誘起、または停止を意味するために適用されるべきである。植物ホルモンの他の例が当該技術分野において知られている(例えば、Davies, P.J., 「Plant Hormones: Physiology, Biochemistry and Molecular Biology」, Kluwer Academic Publishers, Boston, 1995を参照。これはその全体が本明細書中に参照により援用される)。
【0377】
植物のオーキシンレベルを調節可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、すなわち、細胞の拡大を刺激すること、幹の成長を刺激すること、形成層の細胞***を刺激すること、師部および木部の分化を刺激すること、幹切断時の根の開始(root initiation on stem cuttings)を刺激すること、枝の根の広がりを刺激すること、根の分化を刺激すること、重力および光に対する新芽および根の屈性(向性)反応を媒介すること、側生の芽の抑制、葉の知覚(senscence)遅延、葉および実の脱落(エチレンを介する)の阻害または促進、実の配置および成長の誘起、木部を介した輸送の同化の強化、実の熟成の遅延、アナナス類(Bromeliads)の開花の促進、花の成長を刺激すること、雌雄異株の花における雌性の促進、およびエチレン産生を刺激すること等を基本的に有し得る。
【0378】
植物のジベレリンレベルを調節可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、細胞***および細胞伸長を促進すること、超伸長(hyperelongation)を誘起すること、早咲き(bolting)を誘起すること、長い日数に応じて幹の伸長を誘起すること、発芽を誘起すること、層積貯蔵または硬化なしに種子の発芽を誘起すること、a−アミラーゼの産生を刺激すること、果実の結実および成長を誘起すること、および雌雄異株の花における雄性を誘起すること等を基本的に有し得る。
【0379】
植物のサイトカイニンレベルを調整可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物へ以下の効果(これに限定されない)、オーキシンの存在下で細胞***を誘起すること、冠状菌こぶ***(crown gall tumor)中の細胞***を誘起すること、先端形成層(apical meristem)中の細胞***を誘起すること、高速に分割する細胞中の細胞***を誘起すること、新芽の開始(shoot initiation)を促進すること、芽の形成を誘起すること、側生芽の成長を誘起すること、先端優位(apical dominance)から側生芽の成長を解放すること、細胞拡大を誘起すること、葉の拡張を誘起すること、小孔開口(stomatal opening)を拡大すること、クロロフィルの蓄積を刺激すること、エチオプラストの葉緑体への転換を誘起すること、および葉の知覚を遅延させること等を基本的に有し得る。
【0380】
植物のエチレンレベルを調節可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、すなわち、睡眠から植物を解放すること、新芽および根の成長および分化を誘起すること、外因性の根形成を誘起すること、葉および果実の脱落を誘起すること、開花を誘起すること、雌雄異株の花における雌性を誘起すること、花の広がりを誘起すること、花および葉の知覚を誘起すること、および果実の熟成を誘起すること等を基本的に有し得る。
【0381】
植物のアブシジン酸レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、すなわち、小孔の(stomatal)閉鎖を誘起すること、新芽の成長を阻害すること、種子中の貯蔵タンパク質の合成を誘起すること、発芽している穀物中のa−アミラーゼ産生の阻害、睡眠のいくつかの態様の誘起、およびプロテイナーゼ阻害剤合成の誘起等を基本的に有し得る。
【0382】
植物のポラミン(polamine)レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果、植物の細胞および組織の成長および発生の制御、高分子合成の調節、高分子活性の調節、細胞の形質膜を安定化すること、傷ついた組織からのベータシアニンの漏出を低減すること、切除したオオムギ葉中のチラコイド構造の保存、細胞膜へのホルモンが誘起した影響の拮抗作用、核酸との結合、アルキル化剤からの核酸の保護、染色体濃縮の制御、減数***初期間の核膜の分解、およびtRNAの構造および機能の調節等を基本的に有し得る。
【0383】
植物のジャスモネートレベルを調節可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、植物の成長の阻害、種子の発芽の阻害、知覚の促進、脱落の促進、***形成の促進、果実の熟成の促進、色素形成の促進、巻きひげのらせん形成の促進、プロテイナーゼ阻害剤の誘起、および昆虫の外寄生の阻害等を基本的に有し得る。
【0384】
植物のサリチル酸レベルを調節可能な、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、病原に関連するタンパク質の誘起を介する病原体に対する耐性を示すこと、花の寿命の拡大、エチレンの生合成の阻害、種子の発芽の阻害、傷害の応答を阻害すること、アブシジン酸に対する植物の応答に対抗すること等を基本的に有し得る。
【0385】
植物のブラシノステロイド(barssinosteroid)レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物への以下の効果(これに限定されない)、幹の拡大の促進、根の成長の阻害、根の発生の阻害、エチレンの生合成の促進、および上偏成長の促進等を基本的に有し得る。
【0386】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、上記のいずれかの組合せの、1、2、3またはそれ以上の植物中のホルモンを調節し得る。その細胞、組織および器官を含む、植物へのホルモンの他の影響が、当業者に知られており、上述した植物ホルモンの影響は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのいずれかの使用を制限するものとして理解されるべきではない。
【0387】
再生
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、細胞を分化し、増殖させ、かつ/または引き寄せ、組織の再生をもたらすために用いられ得る(Science 276: 59-87 (1997)参照)。組織の再生は、環境的外傷(例えば、除草剤、光退色、酸性雨、干害、線虫、昆虫、化学薬品等)、病気(例えば、菌類、ウイルス、細菌、マイコプラズマ等)、ネクローシス、過敏性反応、および/またはサイトカイン損傷により傷つけられた組織を修復し、置換し、かつ/または保護するために用いられ得る。
【0388】
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて再生され得る組織は、組織(例えば、先端形成層、側生新芽、側生芽、葉、ピス、管形成層、幹、師部、木部、皮層、表皮、側生根、根形成層、クチクラ等)だけでなく、細胞器官および組成物(空胞、ミトコンドリア、葉緑体、プラスチド、リソソーム、ペルオキシソーム、グリオキシソーム(glyoxysome)、細胞質、小胞体、リボゾーム、空胞膜、核、核膜、プラスモデスマータ(plasmodesmata)、シェロソーム(scherosome)、ミクロボディー、第一(primary)細胞壁等)を含む。
【0389】
栄養素
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、多くの異なるメカニズムを介して、植物の栄養状態を調節するために使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の栄養素を保持する植物の能力を調節すること、特定の栄養素を合成する植物の能力を調節すること、栄養素を同化する植物の能力を調節すること、特定の栄養素の吸収または取り込む植物の能力を調節すること、特定の栄養素を輸送する植物の能力を調節すること、特定の栄養素を貯蔵する植物の能力を調節すること、栄養の不足下で生存する植物の能力を調節すること、および、栄養不足の徴候および特徴に対してこれを予防し、検知し、かつ/または耐性に備えることに使用され得る。
【0390】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより、植物中で調節され得る栄養素の特定の例は、以下の栄養素を含むが、これに限定されない。すなわち、炭素、水素、酸素、窒素、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、セレニウム、ケイ素、ナトリウム、ニッケル、水、二酸化炭素、他に、代謝生成物等。植物の恒常性を維持するのに不可欠な他の栄養素が当業者に知られている。
【0391】
植物のホウ素レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物のホウ素不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、末端の葉のネクローシス、未熟な葉の脱落層の形成、末端の新芽の短縮、先端形成層組織の黒化および/または死、根の新芽の短縮、植物の矮小化、植物の生育阻害、開花の発生の欠陥、種子の発生の欠陥等。
【0392】
植物のカルシウムレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物のカルシウム不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、葉の白化、葉の萎縮、葉の起伏、幹および根における形成層組織の分解、形成層組織の死、減少した根の発生、減少した根の繊維含有率、減少した果実の発達等。
【0393】
植物の塩酸レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物の塩素不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、葉の先端のしおれ、葉の白化、葉の褐色化、しおれた領域近くの求基的な葉のネクローシス等。
【0394】
植物の銅レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物の銅不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、末端の新芽のしおれ、末端の新芽の死、葉の褪色、植物の細胞および組織中のカロテンの減少、植物の細胞および組織中の他の色素の減少等。
【0395】
植物の鉄レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物の鉄不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、最初の若い葉の交差状の白化、気生組織の白化、気生組織のネクローシス、葉の脱色、葉の縁または先端の枯化等。
【0396】
植物のマグネシウムレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物のマグネシウム不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、最初に老いた葉に起きる緑の管および葉の網状組織の黄色化または白色化を伴う斑点状の白化、葉のしおれ、しおれ段階の無い葉の脱落層の形成、植物細胞および組織のネクローシス等。
【0397】
植物のマンガンレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これに限定されないが、以下の植物のマンガン不足の徴候に対してこれを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能にし得る。すなわち、最初に若い葉に、その後老いた葉に広がる、緑色の葉脈および葉の網状組織に黄色味がかったまたは白色の斑点を形成する白化、黄色味がかった緑色の幹、幹の硬化および/または木化(wooding)、カロテンの減少等。
【0398】
植物のモリブデンレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下のモリブデン不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、葉の明黄色白化、葉の葉身の拡張不全等。
【0399】
植物の窒素レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下の窒素不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、若い植物の植物の成長を阻害すること、若い植物における黄色味がかった緑色の葉、その後黄化および乾燥または脱落が起こる、比較的老いた葉における明緑色の葉、葉脈中のアントシアニンの増加した蓄積、細い幹、植物のきゃしゃな外観、開花の減少等。
【0400】
植物のリンレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下のリン不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、若い植物の成長阻害、紫がかった色調を有する暗い青緑色の葉、細い幹、葉中のアントシアニンの増加した蓄積、葉のネクローシス、メリステムの成長の停止、果実の熟成の減少した速度、成熟期での植物の矮小化等。
【0401】
植物のカリウムレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下のカリウム不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、暗緑色の葉、薄い緑色の単子葉葉、単子葉葉の黄化の広がり、葉の縁の白化、最初に老いた葉に表れる葉のネクローシス、葉脈のしわ化(wrinkling)、葉脈の波型化(currugating)、葉脈の縮れ(crinkling)等。
【0402】
植物のイオウレベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下のイオウ不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、最初に若い葉の葉脈に沿って表れる、明るい緑色から黄色の葉、細い幹等。
【0403】
植物の亜鉛レベルを調節可能な、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、これらに限定されないが、以下の亜鉛不足の徴候に対して、これを予防し、検知し、緩和し、かつ/または耐性を付与することを可能とし得る。すなわち、最初に若い葉に影響を与える葉の白化および/または葉のネクローシス、ロゼットの形成、葉の離脱(ascission)層の早期形成、比較的老いた葉における葉脈間の白っぽい白化の広がり、単子葉における上方の葉の白色化、双子葉における下方の葉の白化等。
【0404】
植物の栄養素不足の他の徴候は当該技術分野に知られている(例えば、Noggle, G.R., 「Introductory Plant Physiology」, 2nd edition, Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, 1983)。
【0405】
特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、輸送タンパク質、イオンチャネル、および/またはイオンキャリアタンパク質の活性、速度論、および/または発現を強化することにより、直接的または間接的に、植物の栄養素レベルを調節し得る。
【0406】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、ミネラルの可溶化もしくはミネラルの安定化化合物またはキレート化合物(例えば、クエン酸、リンゴ酸、ピシド酸(pisidic acid)等)の分泌を、直接的または間接的に増強または誘起することにより、植物の栄養素レベルを調節し得る。また、分泌される化合物は、有機キレート化合物(例えば、フィトメタロフォア(phytometallophore)、例えば、Cakmakら、Plant Soil, 180: 183-189, (1996)を参照)であってもよい。また、分泌される化合物は、根の滲出物であり、例えば、有機酸(例えば、乳酸、酢酸、ギ酸、ピルビン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸(aconitic acid)等)、炭化水素、アミノ酸、または炭素を同化可能な多糖(例えば、Paul, E.A.およびClark, F.E.、「土壌の微生物学および生化学」("Soil microbiology and biochemistry")、Academic Press, San Diego, (1989)を参照)である。
【0407】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、ホスファターゼ酵素、窒素レダクターゼ(nitrate reductase)酵素、クエン酸合成酵素等の活性、速度論、および/または発現を、直接的または間接的に、植物の栄養素レベルを調節し得る。
【0408】
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物の能動的輸送および/または受動的輸送メカニズムを調節することにより、植物の栄養素レベルを調節し得る。また、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物中の栄養素の、組織間および組織内ならびに/または細胞の輸送を調節することにより、植物の栄養素レベルを調節し得る(例えば、師部、木部、デスモソーム等を介した輸送)。植物の栄養素の輸送を調節する他のメカニズムが、当該技術分野に知られている(例えば、Lambers, H. et al., 「Plant Physiological Ecology」, Springer-Verlag, New York, (1998)(これは、その全体が本明細書中に参照により援用される。)を参照)。
【0409】
生物的関連
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、他の生物との関連を、直接的または間接的のいずれかにより、開始および/または維持する植物の能力を強化し得る。このような関連は、自然中の共生、非共生、内共生、大共生(macrosynbiotic)、および/または小共生(microsynbiotic)であってもよい。一般に、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、菌類、細菌、地衣類、菌根、シアノバクテリア、ディノフラゲレート(dinoflaggellate)、および/または藻類、界、門、科、網、属、および/または種の任意の成員との生物的関連を形成する植物の能力を増強させ得る。
【0410】
植物との生物的関連を形成することが知られている生物の、これに限定されない特定の例は、エクトマイコリザ(ectomycorrhiza)(例えば、ジペロカルパセー(Diperocarpaceae)、ピナセー(Pinaceae)、ファガセー(Fagaceae)、ミルタセー(Myrtaceae)、サリカセー(Salicaceae)、ベツラセー(Betulaceae)、ファバセー(Fabaceae)等)、エンドマイコリザ(endomycorrhiza)、小嚢アルバスキュラー菌根(vesicular arbuscular mycorrhiza)(例えば、グローマルの成員)、非菌根(nonmycorrhizal)(例えば、tgeブラシカセー(tge Brassicaceae)、カリオフィラセー(Caryophyllaceae)、ケノポディアセー(Chenopodiaceae)、レシチデセー(Lecythideaceae)、プロエアセー(Proeaceae)、レスティオナセー(Restionaceae)、サポタセー(Sapotaceae)、ウルティカセー(Urticaceae)、ジゴフィラセー(Zygophyllaceae)等)、共生N2固定生物(例えば、リゾビウム(Rhizobium)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、アゾリゾビウム(Azorhizobium)等)、非共生N2固定生物(例えば、アゾスピリリウム(Azospirillium)等)、内共生生物(例えば、クラビシピタセー(Clavicipitaceae)の成員、アスコマイセテス(Ascomycetes)等)である。植物と生物的関連を形成可能な他の生物が当業者に知られており、本発明に包含される(例えば、Lambers, H. et al., in 「Plant Physiological Ecology」, Springer-Verlag, New York, (1998)、Raven, P.H. et al., in 「Biology of Plants」, 5th edition, Worth Publishers, New York, (1992)を参照(これらはその全体が参照により本明細書中に援用される))。
【0411】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、直接的にまたは間接的のいずれかにより、可変の生物的関連を開始および/または維持する植物の能力を増強し得るが、これは、有機酸、フェノール化合物、栄養素の調節された分泌、または、宿主−生物的生物の相互作用に必要なタンパク質の増強された発現(例えば、受容体、リガンド等)を含み得る。他のメカニズムが当業者に知られており、本発明に含まれる。
【0412】
他の実施の形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物と生物的関連を形成する植物の能力を低下させ得る。このような低下は、生物的生物が関連を介して植物に供給した不可欠な栄養素を利用し、獲得し、貯蔵し、かつ/または合成する植物の能力を増強することによることもある。
【0413】
植物が生物的に関連する生物のコロニー形成を阻害し得るメカニズムが当業者に知られている(例えば、Smith, S.E.およびRead, D.J. "Mycorrhizal Symbiosis"、Academic Press, London, 1997、等を参照)。例えば、低リン含有土壌中では、植物はリンを提供可能な種とともに、有益な共生コロニーを形成し得る。しかし、高リン含有率の土壌中では、このようなコロニー形成は、植物により阻害され得る。このため、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、例えば、元々(previouly)植物にとって内在性ではないメカニズムを介して植物にリンを同化させることにより、リンが枯渇した土壌中で生きる植物の能力を強化し得る。
【0414】
フェロモン
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、フェロモンを合成および/または放出する植物の能力を増強し得る。このようなフェロモンは、植物害虫または感染性病原微生物を餌とし得る、捕食性の生物を植物に誘引し得る。例えば、アブラムシアクリトシフォンピスム(aphid Acrythosiphon pisum)の最近の研究は、アブラムシを餌とすることは、植物が放出する揮発性物質の組成を変えること、および、これらの化合物がアブラムシを採集する捕食寄生者アフィディウスエルビ(Aphidius ervi)に関するシノモン(synomone)として働くということを示している。他の研究は、アブラムシ捕食寄生者への応答として植物によって放出される他のフェロモン、すなわち、(E)−β−ファルネセン((E)-beta-farnesene)は、同様に、他のアブラムシ捕食寄生者、例えば、クサカゲロウ クリソペラ・カルネア(lacewing Chrysopela carnea)および七点テントウムシ コッキネラ・セプテムプンクタタ(seven-spot ladybird, Coccinella seputempunctata)を誘引し得ることを示している。
【0415】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、フェロモン、フェロモン様の効果を有する揮発性物質、カイロモン効果を有する揮発性物質、カイロモン効果を有する揮発性物質の生合成および/または放出を調節し、かつ/または、詳細には(E)−β−ファルネセンを放出し得る。また、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、以下の非限定的な化合物の誘起を介して、間接的に、フェロモンの放出を調節することができ、このような化合物は、オクタデカノイド(octadecanoid)シグナル経路由来の化合物、細菌植物毒素コロナチン(coronatine)などの、構造的に関係しないアミノ酸共役物、合成インダノイル−イソロイシン(indanoyl-isoleucine)もしくはリノレン酸(linolenic)のアミノ酸共役物、および/または、セスキテルペノイドおよびジテルペノイドなどの揮発性テルペノイドである。好ましくは、植物から放出され、または、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストにより誘起される、任意のフェロモンおよび/または揮発性物質は、植物の捕食者および/または害虫に対する行動効果を有する。植物の害虫捕食者および/または植物の害虫に対する行動効果を調節する作用を有する、植物により放出される既知のフェロモンまたは揮発性物質の他の例が、当業者に知られている(Boland, W.ら、Novartis Found Symp, 223: 110-26 (1999)、Wadhams, LJ.、Novartis Found Symp, 223: 60-7 (1999)、Tumlinson JHら、Novartis Found Symp, 223: 95-105 (1999))。
【0416】
また別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、フラノン(furanone)の生合成を調節し得る。フラノンは、種々の生物に対して、フェロモン様効果、抗細菌効果、抗ウイルス効果等を有することが示されている多種の植物において、天然に存在する化合物である。例えば、5−メチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンは、ゴキブリ ユーリコリス・フロリンダ(Eurycolis florinda)ウォーカー(Walker)の、雄性のフェロモンであり、その2,5−ジメチル誘導体はイチゴにおける菌類の増殖を防止し、果実の誘因的芳香の重要な成分である。フジマツモ科イトグサ属デリシア・プルクラ(Delisea pulchra)グレビル(Greville)モンターニュ(Montagne)は、集団での感知に関する細菌により使用された、アシル化ホモセリンラクトン(acylated homoserine lactone)(AHL)シグナル系に干渉することにより、細菌による植物のコロニー形成を防止する一連の臭素化フラノンを産生する。加えて、フラノンは、細菌およびウイルスにおいて、変異原性を有し、このため、抗細菌剤および抗ウイルス剤として役立ち得ることが示されている(Colin, Slaughter J, Biol Rev Camb Philos Soc, 74 (3): 259-76 (1999))。
【0417】
走化性
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、炎症、感染、または超増殖(hyperproliferation)の部位などの、植物または動物の体内の特定の部位に、細胞を誘引または移動する。移動された細胞は、その後、特定の外傷または異常と戦い、かつ/または治癒し得る。
【0418】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の細胞の走化性活性を増強し得る。これらの走化性分子は、その後、植物の体内の特定の位置を標的とした細胞の数を増加させることにより、炎症、感染、超増殖、病気、疾患、および/または症状あるいは任意の植物の疾患を、検知し、防止し、かつ/または緩和することに用いられ得る。例えば、走化性分子は、傷ついた位置に細胞を誘引することによる、組織への傷および他の外傷を、治療し、防止し、かつ/または診断することに用いられ得る。
【0419】
本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性活性を阻害し得ることも、同様に理解される。これらの分子はまた、病気、疾患、および/または症状を検知し、防止し、かつ/または緩和することにも用いられ得る。このため、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性の阻害剤として用いられ得る。
【0420】
他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、植物の近隣にあるものを感知する植物の能力(すなわち、化学的知覚(chemoperception))を調節し得る。このような化学的知覚の調節は、植物のホルモン(例えば、ジャスモネート等)の存在を感知すること、熱交換の差、および/またはアレロケミカルの検知という形態で起こり得る(例えば、Boller, Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., 46: 189-214, (1995)を参照)。
【0421】
結合活性
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドに結合する分子またはポリペプチドが結合する分子のスクリーニングに用いられ得る。ポリペプチドおよび分子の結合は、結合したポリペプチドまたは分子の活性を、活性化し(アゴニスト)、増強し、阻害し(アンタゴニスト)、または低下させ得る。このような分子の例は、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば、受容体)、または小分子を含む。
【0422】
好ましくは、この分子は、ポリペプチドの天然のリガンド、例えば、リガンドの断片、または天然の基質、リガンド、構造的または機能的類似体に、非常に関係している(例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology 1 (2): Chapter 5 (1991)を参照)。同様に、この分子は、ポリペプチドが結合する天然の受容体、または少なくとも、ポリペプチドにより結合可能な受容体の断片(例えば、活性部位)に非常に関係している。いずれの場合にも、この分子は、既知の技術を用いて合理的にデザインされ得る。
【0423】
好ましくは、これらの分子のスクリーニングは、ポリペプチドを分泌タンパク質としてまたは細胞膜上のいずれか一方で、このポリペプチドを発現する適当な細胞を産生することを含む。好ましい細胞は、植物、酵母、または大腸菌由来の細胞を含む。ポリペプチドを発現する細胞(または発現されたポリペプチドを含む細胞膜)は、次いで、好ましくは、この分子を潜在的に含む試験化合物と接触させ、ポリペプチドまたは分子のいずれかの結合、刺激、またはその活性の阻害を調べる。さらに、このような分子の同定は、酵母の2または3ハイブリッド系(yeast 2 or 3 hybrid system)の適用を介して達成され得る(例えば、Wallach Dら、Curr Opin Immunol., 10 (2): 131-6, (1998)、Young KH、Biol Reprod., 58 (2): 302-11, (1998)、およびFernandes, PB., Curr Opin Chem Biol., 2(5): 597-603 (1998)を参照(これらは、その中で開示された方法および引用された参照を含め、その全体が参照により本明細書中に援用される))。さらに、このような分子の同定は、これに限定されないが、以下の発行された米国特許(第5,284,746号、第5,576,210号、第5,691,188号、第5,846,819号)および国際公開第95/34646号(これらは、その中で開示された方法および引用された参照を含め、その全体が参照により本明細書中に援用される)を含む付加的なスクリーニング技術の適用を介して達成され得る。
【0424】
アッセイは、候補化合物のポリペプチドに対する結合を簡単に試験することができ、ここで、結合は標識によって、または、標識競合体を用いた競合を含むアッセイにおいて検出される。さらに、アッセイは、ポリペプチドに結合することにより生成されるシグナルとなる候補化合物かどうかの試験であってもよい。
【0425】
また、アッセイは、無細胞調製物、固体支持体に固着させたポリペプチド/分子、化学的ライブラリ、または天然産物の混合物を用いて行われ得る。アッセイは、また、候補化合物をポリペプチドを含む溶液と混合し、ポリペプチド/分子活性または結合を測定し、ポリペプチド/分子活性または結合を標準と比較する工程から簡単に構成され得る。
【0426】
好ましくは、ELISAアッセイにより、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いて、試料(例えば、生物学的試料)中のポリペプチドのレベルまたは活性を測定することができる。抗体は、直接的または間接的にポリペプチドに結合することにより、または、基質に関してポリペプチドと競合することにより、ポリペプチドのレベルまたは活性を測定することができる。
【0427】
受容体の同定のための他のアプローチとして、標識ポリペプチドが、受容体分子を発現する細胞膜または抽出調製物と光アフィニティー結合により結合され(photoaffinity linked)得る。架橋された物質は、PAGE分析により解析され、X線フィルムに暴露される。ポリペプチドの受容体を含む標識複合体は、切断され、ペプチド断片に分解され、タンパク質のマイクロシーケンシングに供される。マイクロシーケンシングから得られたアミノ酸配列は、推定される受容体をコードする遺伝子を同定するための、cDNAライブラリをスクリーニングするための、縮重オリゴヌクレオチドの1組のプローブをデザインすることに用いられ得る。
【0428】
さらに、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エクソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリングの技術(総称的に「DNAシャッフリング」という)は、本発明のポリペプチドの活性を調節し、これにより、本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを効果的に生じさせることに用いられ得る。米国特許第5,605,793号、第5,811,238号、第5,830,721号、第5,834,252号、および第5,837,485号、およびPatten, P.A.ら、Cuur. Opinion Biotechnol. 8: 724-33 (1997)、Harayama, S. Trends Biotechnol. 16(2): 76-82 (1998)、Hansson, L.O.ら、J. Mol. Biol. 287:265-76 (1999)、Lorenzo, M.M.およびBlasco, R. Biotechniques 24(2): 308-13 (1998)(これらの特許および刊行物はいずれも、参照により本明細書中に援用される)を参照。cDNAのシャッフリング技術が、当業者に知られており、本明細書中のいずこかに、より詳細に記載されている。
【0429】
上記、および本明細書のいずれかで参照したすべてのアッセイは、診断または予後マーカーとして用いられ得る。これらのアッセイを用いて発見された分子は、病気を検出し、予防し、かつ/またはこれに対する耐性を付与すること、あるいは、ポリペプチド/分子を活性化または阻害することによる生物における特定の結果(例えば、道管の成長等)をもたらすことに用いられ得る。さらに、アッセイは、適宜操作された細胞または組織由来の、本発明のポリペプチドの産生を阻害または増強し得る因子を発見することができる。
【0430】
それゆえ、本発明は、本発明のポリペプチドに結合する化合物を同定する方法を含み、当該方法は、(a)ポリペプチドとの候補結合化合物をインキュベートする工程と、(b)結合が生じたかどうかを判別する工程とを含む。さらに、本発明は、アゴニスト/アンタゴニストを同定する方法を含み、当該方法は、(a)候補化合物をポリペプチドとともにインキュベートする工程と、(b)生物学的活性をアッセイする工程と、(b)ポリペプチドの生物学的活性が変化したかどうかを判別する工程とを含む。
【0431】
アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)
好ましい実施形態では、本発明は、配列番号Xに示すポリヌクレオチド配列、その相補鎖、および/または寄託クローン内に含まれるポリヌクレオチド配列に対応するアンタゴニストを含む。アンチセンス技術は、タンパク質mRNAの直接の阻害を介した特定のタンパク質の発現の調節(すなわち、完全な、または部分的な阻害)に帰着する。アンチセンス核酸は、DNA、RNA、PNA、三重らせん、四重らせん、これらの上記型の任意のキメラ混合物(例えば、DNA:RNA、PNA:RNA、PNA:DNA等)の形態であってもよく、そして、一本鎖または二本鎖であってもよい。アンチセンス核酸は、対象の遺伝子のRNAに結合することによる遺伝子発現を調節し、効果的に翻訳を阻害する。このような相互作用は、典型的なワトソン−クリック型の塩基対認識による場合があり、または、三重または四重らせんの場合には、フーグスティーン(Hoogsteen)型の塩基対認識による場合がある。
【0432】
アンチセンス核酸は、生物内で一時的に生成され(例えば、生物細胞中に導入され、誘導的または構成的に発現されたベクター内に含まれる配列)、生物内に定常的に生成され(例えば、ウイルスの組込み等を含む遺伝子組換え法を用いて生物細胞中に導入され、誘導的または構成的に発現されたベクター内に含まれる配列)、または外来的に与えられ得る。核酸がアンチセンスの役割を果たすためには、核酸が対象の遺伝子のセンスRNA産物に対する配列の相同性を有することのみが必要である。アンチセンス核酸を投与する多くの方法、その組成、およびデザインが、当業者に知られており、本発明により包含される(例えば、Agrawal S et al., Mol Med Today. 2000 Feb;6(2):72-81、Yacyshyn BR et al., Can J Gastroenterol. 1999 Nov; 13(9): 745-51, Mrsny RJ., J Drug Target. 1999;7(1): 1-10, Toulme JJet al., Nucleic Acids Symp Ser. 1997; (36): 39-41、Okano, Neurochem., 56:560 (1991)、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (1998)、Cooper SR et al., Pharmacol Ther. 1999 May-Jan; 82(2-3): 427-35を参照)。同様に、遺伝子発現を調節するための、三重らせんアンチセンス技術の適用について、多くの方法が開発されている(例えば、Gowers DM et al., Nucleic Acids Res. 1999 Apr 1; 27(7): 1569-77, およびChan PP et al., J Mol Med. 1997 Apr; 75(4): 267-82を参照)。
【0433】
アンチセンス技術は、植物において広範な適用性を有する。例えば、Shimada et al., Theor. Appl. Genet., 86:665-672, (1993)、Kullet al., J. Genet. Breed., 49: 67-76, (1995)、Slabas and Elborough, 国際公開第97/07222号, Knutzon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:2624-2628, (1992), およびBaulcombe DC., Plant Mol Biol. 1996 Oct; 32(12):79-88に記載されているように、アンチセンスRNAは、種々の植物遺伝子を効果的にダウンレギュレートすることが示されている。
【0434】
本発明のアンチセンス核酸は、対象の遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に対して相補的な配列を含む。しかし、完全な相補性は、好ましいけれども、必要ではない。本明細書中でいう「RNAの少なくとも一部に対して相補的な」の配列とは、RNAとハイブリダイズし、安定な二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を意味する。すなわち、本発明の二本鎖アンチセンス核酸の場合には二重鎖DNAの一本鎖がそれゆえ試験されるか、あるいは三重鎖の形成がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、本発明のRNA配列に不適合な塩基をより多く含み得るが、それでも、安定な二重体(または場合によっては3重体)を形成し得る。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定する標準的な手順の使用により、許容可能な不適合の程度を確認することができる。
【0435】
メッセージの5’末端に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、AUG開始コドンを含む5’非翻訳配列は、翻訳を阻害する際に最も効果的に働くべきである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に対して相補的な配列が、同様に、mRNAの翻訳を阻害する際に効果的であることが示されている。概して、Wagner, R., Nature, 372: 333-335 (1994)を参照。それゆえ、本発明のポリヌクレオチド配列の、5’または3’のいずれかの非翻訳、非コード領域に相補性のオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAの翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチにおいて用いられ得る。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの補体を含むべきである。mRNAコード領域に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、より効果の低い翻訳の阻害剤であるが、本発明に従って用いられ得る。mRNAの5’、3’またはコード領域にハイブリダイズするようにデザインするかどうかによらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、好ましくは6〜約50の範囲のヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
【0436】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはホスフェート骨格で修飾され得る。オリゴヌクレオチドは、ペプチド等の他の付加基、または細胞膜(例えば、Letsinger et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6553-6556、Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84: 648-652、PCT公開番号第88/09810号(1988年12月15日公開)を参照)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号第89/10134号(1988年4月25日公開)を参照)を介した輸送を容易とする薬剤、ハイブリダイゼーション誘発切断試薬(hybridization-triggered cleavage agent)(例えば、Krol et al., 1988, BioTechniques 6: 958-976を参照)または挿入剤(intercalating agent)(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5: 539-549を参照)を含み得る。
【0437】
オリゴヌクレオチドは、ノーマルのDNA塩基が付加された、結合されたN−(2−アミノエチル)グリシン骨格に基づく、ペプチド−核酸(「PNA」)(Egholmet al., 1993, Nature 365: 566-67)であってもよい。このPNAは、特定のワトソン−クリック型の塩基対形成に従うが、より大きい結合遊離エネルギーを伴い、これに対応してより高い融点を有する。適したオリゴマーは、完全にPNAから、または、PNAとDNAの混合物から、および/またはRNAオリゴマーから構築され得る。実際、PNA:DNAのキメラは、同一の配列を有するDNA:DNAまたはDNA:RNAキメラと比較して、増強された可溶性特性を有する。最も注目すべきことに、PNAは、DNAの二重らせんの一本の鎖を置換し、これによりアンチセンスの適用に高度に適するものとする特異な能力を有する(Uhlmann E., Biol Chem. 1998 Aug-Sep; 379 (8-9): 1045-52)。
【0438】
好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート(phosphoramidate)、ホスホスジアミデート(phosphordiamidate)、メチルホスホン酸エステル(methylphosphonate)、アルキルリン酸トリエステル(alkyl phosphotriester)、およびホルムアセタール(formacetal)またはこれらの類似体から構成される群から選択される少なくとも1つの修飾されたリン酸エステル骨格を含む。
【0439】
別の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルケオシン(beta-D-galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン(beta-D-mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、偽ウラシル(pseudourasil)、ケオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、および2,6−ジアミノプリンを含むが、これらに限られない群から選択される、少なくとも1つの修飾塩基部分(moiety)を含み得る。
【0440】
別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含むが、これらに限られない群から選択される、少なくとも1つの修飾糖部分を含む。
【0441】
また別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションに誘発される架橋剤(hybidization triggered cross-linking agent)、輸送剤、ハイブリダイゼーションに誘発される切断剤(hybidization triggered cleavage agent)等に結合され得る。。
【0442】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Biosearch, Applied Biosystems等から市販されているもの)の使用により、当該技術分野で知られている標準的な方法により合成され得る。例として、ホスホロチオエートのオリゴ体(oligos)は、Steinらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16: 3209)により合成可能であり、メチルホスホネートのオリゴ体は、制御された細孔性ガラスポリマー担体(controlled pore glass polymer support)の使用(Sarin et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 7448-7451)等により調製可能である。
【0443】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、触媒的RNA、またはリボザイム(例えば、PCT国際公開第90/11364号(1990年10月4日公開)、Sarver et al., 1990, Science 247: 1222-1225、Hasselhoff et al., Nature 342: 76-79 (1988)を参照)を含む。リボザイムは、遺伝子発現をダウンレギュレートするために、より最近は、植物タンパク質のダウンレギュレートするため(例えば、PCT国際公開第97/10328号を参照)に用いられている。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’−0−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15: 6131-6148)、またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue et al., 1987, FEBS Lett. 215: 327-330)である。
【0444】
他の活性
別の実施形態では、ポリペプチド、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、変異体、および/またはこれらの断片は、共抑制の方法論(co-suppression methodology)を用いる遺伝子発現の阻害に用いられ得る。共抑制のメカニズムは知られていないが、植物の遺伝子発現を阻害するためのその適用は、実証され、かつ記載されている(例えば、Seymour et al., Plant. Mol. Biol., 23: 1-9, (1993)、Brusslan et al., Plant Cell, 5: 667-677, (1993)、Vaucheret et al., Mol. Gen. Genet., 248: 311-317, (1995)、およびJorgensen et al., Plant Mol. Biol., 31: 957-973, (1996))。共抑制は、例えば、CaMV35Sプロモーター、その阻害された発現が所望される第1の遺伝子(R)のフレーム内および上流の5’コード領域、その阻害された発現が所望される第2の遺伝子(S)の完全なコード領域、およびターミネーターを含む、構成的に発現されたベクター構築物の創出を含む。このベクターを用いた植物の正の組換え(positive transformation)(すなわち、遺伝子組換え植物)の際、検出可能なmRNAの発現はRおよびSのいずれに関しても検出されないであろう(Seymour、上述、を参照)。
【0445】
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、また、プロトプラスト細胞、エミロブラスト(emyloblast)細胞等の分化または増殖を増強または低下させ得る。
【0446】
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、概して、植物、植物細胞、ならびに真核細胞および生物の、プログラムされた細胞死を調節することに有用であり得る。このような調節は、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストと、生物のプログラムされた細胞死の調節に重要な遺伝子またはタンパク質と、の間の直接または間接のいずれかの相互作用を介するであろう。特に植物における、プログラムされた細胞死についての相互作用の詳細な標的が、国際公開番号第00/04173号に提供されている(例えば、ポリ−ADP−リボースポリメラーゼ(PARP)遺伝子、詳細にはZAPクラスのPARP遺伝子、等)。
【0447】
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、また、植物の特性、例えば、幹の高さ、色素沈着、ストレス耐性等を調節することに用いられ得る。同様に、本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、エネルギーの異化作用、合成代謝、処理、利用および貯蔵に影響する植物の代謝の調節に用いられ得る。
【0448】
本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドおよび/またはアゴニストもしくはアンタゴニストは、また、食物の添加料または保存料として、例えば、貯蔵能力、脂肪含有量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、共同因子または他の栄養成分を増強または低減するために用いられ得る。
【0449】
他の好ましい実施形態
特許請求する本発明の他の好ましい実施形態は、配列番号X(Xは第1表に定義されている任意の整数)のヌクレオチド配列中の少なくとも約50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を含む。
【0450】
同様に好ましいのは、連続したヌクレオチドの上記配列が、配列番号Xに関して定義されているように、「クローンの5’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで開始し、「クローンの3’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで終わる、位置の範囲内で、配列番号Xのヌクレオチド配列中に含まれる核酸分子である。
【0451】
同様に好ましいのは、連続したヌクレオチドの上記配列が、第1表の配列番号Xに関して定義されているように、「クローンORFの開始コドンの5’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで開始し、「クローンORFの3’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで終わる、位置の範囲内で、配列番号Xのヌクレオチド配列中に含まれる核酸分子である。
【0452】
同様に好ましいのは、連続したヌクレオチドの上記配列が、第1表の配列番号Xに関して定義されているように、「シグナルペプチドの第1のAAの5’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで開始し、「クローンORFの3’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで終わる、位置の範囲内で、配列番号Xのヌクレオチド配列中に含まれる核酸分子である。
【0453】
同様に好ましいのは、配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約150個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0454】
さらに好ましいのは、配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約500個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0455】
さらに好ましい実施形態は、連続したヌクレオチドの上記配列が、第1表の配列番号Xに関して定義されているように、「クローンORFの5’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで開始し、「クローンORFの3’ヌクレオチド」の位置付近のヌクレオチドで終わる、配列番号Xのヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、核酸分子である。
【0456】
さらに好ましい実施形態は、配列番号Xの完全なヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0457】
同様に好ましいのは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で核酸分子とハイブリダイズする単離された核酸分子であり、ここで、このハイブリダイズする核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下では、A残基のみまたはT残基のみから構成されるヌクレオチド配列を有する核酸分子とはハイブリダイズしない。
【0458】
同様に好ましいのは、第1表にcDNAクローン識別子(Identifier)により特定され、cDNAのクローンを含むDNA分子を含む物質の組成物であり、ここで、このDNA分子は、American Type Culture Collectionに寄託した物質中に含まれ、上記cDNAクローン識別子に関して第1表に示すATCC寄託番号を与えられる。
【0459】
同様に好ましいのは、第1表にcDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンのヌクレオチド配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子であり、そのDNA分子は、第1表に示されるATCC寄託番号を与えられた寄託物中に含まれる。
【0460】
同様に好ましいのは、少なくとも50個の連続したヌクレオチドの上記配列が、上記cDNAクローンによりコードされる完全なオープンリーディングフレーム配列のヌクレオチド配列中に含まれる、単離された核酸分子である。
【0461】
同様に好ましいのは、上記cDNAクローンによりコードされたヌクレオチド配列中の、少なくとも150個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0462】
さらに好ましい実施形態は、上記cDNAクローンによりコードされたヌクレオチド配列中の、少なくとも500個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0463】
さらに好ましい実施の形態は、上記cDNAクローンによりコードされた完全なヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0464】
さらに好ましい実施形態は、配列番号X(Xは第1表に定義されているような任意の整数)のヌクレオチド配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるヌクレオチド配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有する核酸分子を、生物学的試料中で検出する方法であり、ここで、この方法は、上記試料中の少なくとも1つの核酸分子のヌクレオチド配列を上記群から選択される配列と比較し、上記試料中の上記核酸分子の配列が、上記選択される配列と少なくとも95%同一であるかどうかを判別する工程を含む。
【0465】
同様に好ましいのは、上記配列を比較する工程が、上記試料中の核酸分子と、上記群から選択された上記配列を含む核酸分子との間の核酸ハイブリダイゼーションの程度を判別することを含む、上記方法である。同様に、また好ましいのは、上記配列を比較する工程が、上記試料中の核酸分子から判別したヌクレオチド配列と、上記群から選択した上記配列と、を比較することにより行われる、上記方法である。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含むことができる。
【0466】
さらに好ましい実施形態は、生物学的試料の種、組織または細胞型を同定する方法であって、当該方法は、配列番号X(Xは第1表中で定義されるように任意の整数)のヌクレオチド配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるヌクレオチド配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、上記試料中の核酸分子(もしあれば)を検出する工程を含む。
【0467】
生物学的試料の種、組織または細胞型を同定する方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を含むことが可能であり、ここで、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一である。
【0468】
同様に好ましいのは、第1表中に特定されるタンパク質をコードする遺伝子の異常な構造または発現に付随する、験体中の病理学的症状を診断する方法であり、この方法は、配列番号X(Xは第1表中で定義されるように任意の整数)のヌクレオチド配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるヌクレオチド配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子(もしあれば)を、上記検体から得られる生物学的試料中で検出する工程を含む。
【0469】
病理学的症状を診断する方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を含むことが可能であり、ここで、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一である。
【0470】
同様に好ましいのは、単離された核酸分子を含む物質の組成物であって、ここで、上記核酸分子のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのヌクレオチド配列のパネルを含み、ここで、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、配列番号X(Xは第1表に定義されるような任意の整数)のヌクレオチド配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるヌクレオチド配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも50個の連続したヌクレオチドの配列に対して、少なくとも95%同一である。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含むことができる。
【0471】
同様に好ましいのは、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列中の少なくとも約10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0472】
同様に好ましいのはポリペプチドであり、ここで、上記連続したアミノ酸の配列は、第1表中配列番号Yに関して上述したように、「オープンリーデングフレーム(ORF)の全アミノ酸」位置の範囲内の、配列番号Yのアミノ酸配列中に含まれる。
【0473】
同様に好ましいのは、配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約30個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0474】
さらに好ましいのは、配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約100個の連続したアミノ酸の配列に、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0475】
さらに好ましいのは、配列番号Yの完全なアミノ酸配列に対して、少なくとも95%で同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0476】
さらに好ましいのは、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列中の、少なくとも約10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%で同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0477】
同様に好ましいのは、上記連続したアミノ酸の配列が、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質のアミノ酸配列中に含まれる、ポリペプチドである。
【0478】
同様に好ましいのは、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質のアミノ酸配列中の、少なくとも約30個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも95%で同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0479】
同様に好ましいのは、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質のアミノ酸配列中の、少なくとも約100個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも95%で同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0480】
同様に好ましいのは、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%で同一のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチドである。
【0481】
さらに好ましいのは、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する、単離抗体である。
【0482】
さらに好ましいのは、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを、生物学的試料中に検出する方法であり、この方法は、上記試料中の少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を、上記群から選択される配列と比較し、上記試料中の上記ポリペプチド分子の配列が、上記少なくとも10個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも90%で同一であるかどうかを判別する工程を含む。
【0483】
同様に好ましいのは、上記試料中の少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を、上記群から選択される配列と比較する上記工程が、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体に対する、上記試料中のポリペプチドが特異的に結合する程度を判別することを含む、上記方法である。
【0484】
同様に好ましいのは、配列を比較する上記工程が、上記試料中のポリペプチド分子から判別されたアミノ酸配列を、上記群から選択された上記配列と比較することにより達成される、上記方法である。
【0485】
同様に好ましいのは、生物学的試料の種、組織または細胞型を同定する方法であって、この方法は、配列番号Y(Yは第1表中で定義されるように任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、上記試料中のポリペプチド分子(もしあれば)を検出する工程を含む。
【0486】
同様に好ましいのは、生物学的試料の種、組織または細胞型を同定する上記方法であって、この方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネル中のアミノ酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を含み、ここで、上記パネルの少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸の配列に対して、少なくとも90%同一である。
【0487】
同様に好ましいのは、第1表に表わされるタンパク質をコードする遺伝子の異常な構造または発現を有する生物に付随する病理学的症状を診断する方法であり、この方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネル中のアミノ酸配列を含むポリペプチド分子を、上記験体から得られる生物学的試料中で検出する工程を含み、ここで、上記パネルの少なくとも1つの配列は、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも90%同一である。
【0488】
これらの方法のいずれにおいても、上記ポリペプチド分子を検出する工程は、抗体を使用することを含む。
【0489】
同様に好ましいのは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子であり、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択される配列中の少なくとも10個の連続したアミノ酸配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0490】
同様に好ましいのは、単離された核酸分子であり、ここで、ポリペプチドをコードする上記ヌクレオチド配列は、原核宿主中の上記ポリペプチドの発現に関して最大限に利用されている。
【0491】
同様に好ましいのは、単離された核酸分子であり、上記ポリペプチドは、配列番号Y(Yは第1表に定義されるような任意の整数)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0492】
さらに好ましいのは、任意の上記単離された核酸分子(複数可)をベクター中に挿入することを含む、組換えベクターを作製する方法である。同様に好ましいのは、本方法により産生された組換えベクターである。同様に好ましいのは、宿主細胞中に上記ベクターを導入することを含む、組換え宿主細胞を作製する方法、ならびに、本方法により産生された組換え宿主細胞である。
【0493】
同様に好ましいのは、この組換え宿主細胞を、上記ポリペプチドが発現され、上記ポリペプチドが回収されるような条件下で培養することを含む、単離ポリペプチドを作製する方法である。同様に好ましいのは、単離ポリペプチドを作製する本方法であって、ここで、上記組換え宿主細胞は真核細胞であり、かつ、上記ポリペプチドは、配列番号Y(Yは第1表に記載される整数であり、配列番号Yの「ORFの全アミノ酸」の位置は第1表に定義される)のアミノ酸配列、および、第1表中cDNAクローン識別子により特定されるcDNAクローンによりコードされ、第1表中上記cDNAクローンについて示されるATCC寄託番号を有する寄託物中に含まれるタンパク質の完全なアミノ酸配列から構成される群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質である。本方法により産生される、単離ポリペプチドも、同様に好ましい。
【0494】
同様に好ましいのは、タンパク質活性の増強されたレベルを必要とする人の治療方法であり、この方法は、このような人に、上記人の上記タンパク質活性のレベルを増強するのに有効な量の、特許請求する本発明の単離ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体を含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0495】
上に挙げた適用は、広範な種類の宿主における使用を有する。このような宿主は、オオムギ、オートムギ、ライムギ、モロコシ、エンドウ、ヒマワリ、タバコ、ワタ、ペチュニア、トマト、ブロッコリ、レタス、リンゴ、プラム、オレンジ、およびレモン、並びに、より好ましくは、イネ、トウモロコシ、コノラ(conola)、コムギ、シュガービート(sugarbeet)、サトウキビ、およびダイズ、さらに、本明細書のいずこかで参照した他の宿主を含むが、これに限られない。
【0496】
本発明を概括的に記載したが、同じことが、例示により示され、かつ限定として意図されない、以下の実施例を参照としてより容易に理解されるであろう。
【0497】
[実施例]
好ましい実施形態の説明
実施例1?フィスコミトレラ・パテンス培養物の成長
この研究のため、ハンブルグ大学の遺伝研究部門のコレクションより、フィスコミトレラ・パテンス(Hedw.)B.S.G.種属の植物を使用した。これらは、Gransden Wood, Huntingdonshire (England)でH. L. K. Whitehouseにより収集された株16/14(これはEngelにより胞子から継代培養された(1968, Am J Bot 55,438-446))に由来する。植物の増殖は、胞子により、および配偶体の再生により行われた。糸状体は、葉緑体に富んだクロロネマ(chloronema)および葉緑体の少ないカウロネマ(caulonema)として、単相胞子から発生し、約12日後に芽が形成された。それらは成長して造精器および造卵器を付けた茎葉体となった。受精後、短い剛毛および胞子莢膜をもつ胞子複相胞子体が得られ、その中に還元胞子が成熟する。
【0498】
培養は、気候室中、気温25℃および55マイクロモル-1m2の光度(白色光;Philips TL 65W/25蛍光灯)および16/8時間の明/暗変化で行われた。コケは、Reski and Abel (1985, Planta 165,354-358)に従いKnop培地を使用した液体培養に変えられたか、または1%オキソイド(oxoid)寒天(Unipath, Basingstoke, England)を使用したKnop固形培地で培養された。
【0499】
RNAおよびDNA単離のために使用される糸状体を、曝気液体培養で培養した。糸状体を9日ごとに細分し、新鮮な培地へ移した。
【0500】
実施例2?フィスコミトレラ・パテンスからの全RNAおよびポリ?(A)+RNAの単離ならびにcDNAライブラリー構築
転写物の調査のため、全RNAおよびポリ−(A)+RNAの両方を単離した。全RNAを、GTC法により野生型9日齢糸状体から得た(Reski et al. 1994, Mol. Gen. Genet., 244: 352-359)。
【0501】
ポリ(A)+RNAを、Dyna Beads(登録商標)(Dynal, Oslo, Norway)を使用して製造業者プロトコルの指示に従い単離した。RNAまたはポリ(A)+RNAの濃度決定後、1/10容積の3M 酢酸ナトリウム(pH4.6)および2容量のエタノール(ehanol)を加えて?70℃で貯蔵することによりRNAを沈殿させた。
【0502】
アラビドプシス種子からのRNA調製?「熱」抽出:
1.緩衝液、酵素、および溶液
?2M KCl
?プロテイナ?ゼK
?フェノール(RNA用)
?クロロホルム:イソアミルアルコール
(フェノール:クロロホルムは1:1;RNA用にpH調整)
?4M LiCl、DEPC処理済み
?DEPC処理水
?3M NaOAc、pH5、DEPC処理済み
?イソプロパノール
?70%エタノール(DEPC処理水で作成)
?再懸濁緩衝液:0.5%SDS、10mM Tris pH7.5、DEPC処理水で作成した1mM EDTA(この溶液はDEPC処理できないため) ?抽出緩衝液:
0.2M ホウ酸Na
30mM EDTA
30mM EGTA
1%SDS*(緩衝液2.5mlに対して250μlの10%SDS溶液)
1%デオキシコール酸(緩衝液2.5mlに対して25mg)
2%PVPP(不溶性−緩衝液2.5mlに対して50mg)
2%PVP40K(緩衝液2.5mlに対して50mg)
10mM DDT*
100mM?メルカプトエタノール*(新鮮なもの、ヒュームフード下で取り扱う?緩衝液5mlに対して35μlの14.3M溶液)
【0503】
2.抽出
抽出緩衝液を80℃まで熱する。液体窒素で冷却した乳鉢中で組織を粉砕し、組織粉末を1,5ml管に移す。緩衝液を加えるまで組織は冷凍されたままでなければならず、そのため試料を予冷したスパチュラで移し、かつ管を常に液体窒素中に保つ。350μlの予熱した抽出緩衝液(ここでは100mgの組織に対して。緩衝液の容量はより大量の試料に対して500μl程度であり得る)を管に加え、80℃でおよそ1分間ボルテックスおよび加熱する。次いで、氷冷する。試料をボルテックスし、さらに電動乳鉢で粉砕する。
【0504】
3.消化
プロテイナーゼK(0.15mg/100mgの組織)を加え、37℃で1時間ボルテックスを保つ。
【0505】
4.最初の精製
27μlの2M KClを加える。氷上で10分間冷やす。室温にて12.000rpmで10分間遠心分離する。上清を、新しい、RNAアーゼを含まない管に移し、フェノール抽出を1回、続いてクロロホルム:イソアミルアルコール抽出を行う。1容量のイソプロパノールを上清に加え、氷上で10分間冷やす。遠心分離(室温にて7000rpmで10分間)によりRNAをペレットにする。10〜15分ボルテックスすることにより、ペレットを1mlの4M LiClに溶解させる。5分の遠心分離によりRNAをペレットにする。
【0506】
4.第2の精製
ペレットを500μlの再懸濁緩衝液に再懸濁させる。500μlのフェノールを加え、ボルテックスする。250μlのクロロホルム:イソアミルアルコールを加え、ボルテックスする。5分間回転させ、上清を新しい管へ移す。界面が透明になるまで、クロロホルム:イソアミルアルコール抽出を繰り返す。上清を新しい管へ移し、1/10容量の3M NaOAc(pH5)および600μlのイソプロパノールを加える。20分以上?20℃に保つ。10分の遠心分離によりRNAをペレットにする。ペレットを70%エタノールで1回洗う。残留アルコールを全て除去してから、ペレットを15〜20μlのDEPC水で溶解する。1:200希釈物の260および280nmにおける吸光度を測定することにより定量および定性する。40μgRNA/ml=1OD260
【0507】
cDNAライブラリー構築のため、マウス白血病ウイルス逆転写酵素(Roche, Mannheim, Germany)およびオリゴ?d(T)-プライマーを使用して第一鎖合成を達成し、第二鎖合成を、12℃(2時間)、16℃(1時間)、および22℃(1時間)でのDNAポリメラーゼI、クレノー酵素、およびRNAseH消化でのインキュベーションにより達成した。65℃でのインキュベーション(10分)により反応を停止させ、続いて氷へ移した。二本鎖DNA分子を、37℃(30分)でT4-DNA-ポリメラーゼ(Roche, Mannheim)により平滑末端化した。ヌクレオチドをフェノール/クロロホルム抽出およびSephadexG50スピンカラムにより除去した。EcoRIアダプター(Pharmacia, Freiburg, Germany)を、T4?DNA?リガーゼにより(Roche、12℃で一晩)cDNA末端に連結し、ポリヌクレオチドキナーゼ(Roche、37℃で30分)でのインキュベーションによりリン酸化した。この混合物を低融点アガロースゲル上で分離にかけた。300塩基対よりも大きいDNA分子をゲルから溶出させ、フェノール抽出し、Elutip−D−カラム(Schleicher and Schuell, Dassel, Germany)上で濃縮し、Gigapack Gold Kit(Stratagene, Amsterdam, Netherlands)を使用して、材料を用い製造業者の説明書に従い、ベクターアームに連結してλZAPIIファージまたはλZAP−発現ファージ内にパックした。
【0508】
実施例3?フィスコミトレラ・パテンスESTの配列決定および機能アノテーション
実施例2に記載されるcDNAライブラリーを、標準方法に従い、特にABI PRISM Big Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Perkin- Elmer, Weiterstadt, Germany)を使用して連鎖停止法により、DNA配列決定のために使用した。ランダム配列決定が、引き続くin vivo質量切除を介したcDNAライブラリーからの調製用プラスミド回収、再形質転換、および続くDH10Bの寒天プレート上での平板培養に続いて行われた(Stratagene, Amsterdam, Netherlandsより材料およびプロトコル詳細。プラスミドDNAを、Qiagene DNA調製ロボット(Qiagen, Hilden)上で製造業者プロトコルに従い、アンピシリン含有Luria-Broth培地で成長させた一晩成長大腸菌培養物から調製した(Sambrook et al. (1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press: ISBN 0-87969-309-6))参照 。以下のヌクレオチド配列をもつ配列決定プライマーを使用した:
Qiagen1:5’?CAGGAAACAGCTATGACC-3’(配列番号:12)
Qiagen2:5’?CTAAAGGGAACAAAAGCTG-3’(配列番号:13)
Qiagen3:5’?TGTAAAACGACGGCCAGT-3’(配列番号:14)
Bio-Max (Munich, Germany)により市販されているソフトウェア・パッケージEST-MAXを使用して、配列のプロセシングおよびアノテーションを行った。そのプログラムは、タンパク質配列の機能および構造特性決定のために重要な生命情報科学法の全てを事実上組み込んでいる。参照として、http://pedant.mips.biochem.mpg.de.を参照のこと。
【0509】
EST-MAXに組み込まれている最も重要なアルゴリズムは:
FASTA:統計的有意性の見積もりと合わせた非常に高精度の配列データベース検索;Pearson W. R. (1990) Rapid and sensitive sequence comparison with FASTP and FASTA. Methods Enzymol. 183 : 63-98。
BLAST:統計的有意性の見積もりと合わせた非常に高精度の配列データベース検索;Altschul S. F., Gish W., Miller W., Myers E. W., and Lipman D. J. Basic local alignment search tool. Journal of Molecular Biology 215: 403-10。
PREDATOR:単一および複数配列からの高精度二次構造予測。Frishman, D. and Argos, P. (1997) 75% accuracy in protein secondary structure prediction. Proteins, 27: 329-335。
CLUSTALW:複数配列アラインメント。Thompson, J. D., Higgins, D. G. and Gibson, T. J. (1994) CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, positions-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Research, 22: 4673-4680。
TMAP:複数の整列した配列からの膜貫通領域予測。Persson, B. and Argos, P. (1994) Prediction of transmembrane segments in proteins utilising multiple sequence alignments. J. Mol. Biol. 237: 182-192。
ALOM2:単一の配列からの膜貫通領域予測。Klein, P., Kanehisa, M., and DeLisi, C. Prediction of protein function from sequence properties: A discriminant analysis of a database. Biochim. Biophys. Acta 787: 221-226 (1984). Version 2 by Dr. K. Nakai。
PROSEARCH:PROSITEタンパク質配列パターンの検出。Kolakowski L. F. Jr., Leunissen J. A. M., Smith J. E. (1992) ProSearch: fast searching of protein sequences with regular expression patterns related to protein structure and function. Biotechniques 13,919-921。
BLIMPS:アンギャップドブロックのデータベースに対する類似性検索。 J. C. Wallace and Henikoff S., (1992)。
PATMAT:配列、パターンおよびブロッククエリ(queries)、ならびにデータベースのための検索および抽出プログラム、CABIOS 8 : 249-254. Written by Bill Alford。
【0510】
実施例4?PrPaseに対応する、アラビドプシス、ダイズ、およびコーンORFの同定
フィスコミトレラ・パテンス、PpPrPase(配列番号:1)は、BLAST分析によってEST-MAXにおいて同定された。BLASTのトップヒットは、アラビドプシスの未知ORFである。第2および第3ヒットは、ヒトおよび酵母caaxプレニルプロテアーゼである。未知のアラビドプシスORFのさらなる分析は、それが、Genefinderプログラム(P. Green and L. Hillier, www.ncbi.nlm.nih.gov)を使用したコンピューター分析からの予測ORFであることを明らかにした。ORFは、BACクローンAF007269(GenBank アクセッション番号、gene="A_IG002N01. 21)の相補鎖上24979〜28076に位置する。
【0511】
このコンピューター予測によるアラビドプシスAtPrPase cDNAをクエリとして使用して、様々なトウモロコシおよびダイズデータベースにおけるBLAST検索が、1つのコーンZmPPase EST(配列番号:9)および1つのダイズGmPPase EST(配列番号:7)を同定した。
【0512】
実施例5?PrPaseをコードするアラビドプシスcDNAのクローニングアラビドプシス・サリアナからの全RNA単離
わずかに改変したVan Slogteren (1983 Plant Mol. Biol. 2: 321-333.)法に従い、14日齢の野生型アラビドプシス・サリアナから全RNAを得た。組織(200mg)を液体窒素で凍結し、乳鉢および乳棒で細末に粉砕した。粉末をマイクロチューブに入れ、RNAを予め90℃に加熱した500μlの抽出緩衝液(フェニル:0.1M LiCl、100mM Tris?HCl[pH8.0]、10mM EDTA、1% SDS(w/v)1:1)で抽出した。混合物を90℃でさらに1分間加熱し、次いで5分間ボルテックスした。250μlのクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を加えることによりタンパク質を抽出し、混合物をエッペンドルフ遠心分離5414中にて4℃で、5分間ボルテックスし、かつ13,000rpmで15分間遠心分離した。水層を除去し、タンパク質抽出をさらに2回繰り返した。1容量の4mM LiClを加え、4℃で一晩かけてRNAを沈殿させた。RNAを収集するため、混合物をエッペンドルフ遠心分離5414中、4℃、13,000rpmで15分間遠心分離した。ペレットを、250μlの滅菌脱イオン水に再懸濁させた。RNAを沈殿させるため、0.1容量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2容量の100%エタノールを加えた。アリコートを取り、エッペンドルフ遠心分離5414中、4℃、13,000rpmで20分間遠心分離した。ペレットから塩を除去するためにペレットを70%エタノールで洗い、speed vacを使用して乾燥させた。ペレットを25μlのDEPC H2Oに再懸濁させ、電気泳動で完全性を分析した。RNAはー70℃で貯蔵された。
【0513】
アラビドプシスAtPrPaseのRT-PCRおよびクローニング
BACクローン配列(GenBankアクセッション番号AF007269、gene= "A_IG002N01.21", complement 24979...28076)に基づき、合成オリゴヌクレオチドプライマー(MWG-Biotech)を設計した。
APP順方向:5'CCGTTAACAGCCATGGCGATTCCTTTCATGGAA3'(配列番号:15)
APP逆方向:5'GTCCCGGGACTTAATCTGTCTTCTTGTCTT3'(配列番号:16)
【0514】
プライマーは、クローニング目的のため、5’領域にHpaI部位を、および3’領域にXmaI部位を含むように設計された。
【0515】
第一鎖cDNAの合成は、AMV逆転写酵素(Roche, Mannheim, Germany)を使用して達成された。得られた一本鎖cDNAを、2つの遺伝子特異的プライマーを利用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。反応条件は、Expand High Fidelity PCRシステム(Roche)での標準条件であった。反応のパラメーターは:94℃で5分、続いて94℃で40秒、50℃で40秒、72℃で1.5分を5サイクル。これに続いて、94℃で40秒、65℃で40秒、72℃で1.5分を30サイクル行った。これらのRT-PCR条件下で生成した断片は、1.3キロベース長であった。
【0516】
断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出して、TOPO pCR 2.1 ベクター(Invitrogen)中に連結した。標準条件を使用して、組換えベクターをTop10細胞(Invitrogen)に形質転換した。形質転換細胞を、100μg/mlカルベニシリン、0.8mgX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)、および0.8mgIPTG(イソプロピルチオ-β-D-ガラクトシド)を含有するLB寒天上に選択し、37℃で一晩成長させた。白色コロニーを選択し、3mlの100μg/mlアンピシリン含有液体LBへの播種に使用して、37℃で一晩成長させた。プラスミドDNAを、製品の説明書に従い、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して抽出した。
【0517】
RT-PCRクローンアラビドプシスAtPrPasel-2を配列決定して、その完全cDNA配列を得た(配列番号:3および配列番号:5)。
【0518】
実施例6?SM3614酵母(PrPase)変異体のin vivo補完
アラビドプシスAtPrPase1cDNAを含む断片を、製品の説明書に従い、EcoRI(Roche)での消化により組換えPCR2.1TOPOベクターから切除した。続く断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(QIAgen)でアガロースゲルから切除し、酵母発現ベクターpYES2(Invitrogen)中に連結し、また連結前にEcoRIで切断して脱リン酸化した。
【0519】
Invitrogenのプロトコルに従い、酵母GAL1プロモーター下でセンス配向性にアラビドプシスAtPrPase1cDNAを含む組換え発現pYES2ベクターを、酵母変異体SM3614(MATa rcelΔ::TRP1 ste24D::LEU2)(Tam et al. 1998)に形質転換した。形質転換細胞を、完全補充混合物(CSM)からウラシルを除いた0.8%寒天(Bio 101, Inc.)上に選択し、30℃で2日間成長させた。形質転換コロニーを選択して、アラビドプシスAtPrPase1の発現を誘導するために、ウラシルを除いて2%ガラクトースを補充したCSMプレート上に、形質転換SM3614のパッチを含むマスタープレートを作成した。プレートを30℃で2日間成長させた。マスタープレートを、種々の交配条件下で、2%ガラクトースを補充したSDプレートの野生型酵母SM1068(MATa lysl)(Tam et al. 1998, The Journal of Cell Biology, 142,635-649)の上にレプリカ平板培養し、30℃で2日間成長させた。
【0520】
実施例7?PrPaseをコードするダイズおよびコーンcDNAのクローニング
ダイズおよびコーンのcDNAライブラリーの構築
ダイズおよびコーンからPrPaseをコードするクローンを単離するため、製品の説明書に従い、SMART RACE cDNA増幅キット(Clontech Laboratories)でcDNAライブラリーを作成した。実施例5に記載するようにに作成された全RNAを、鋳型として使用した。全RNA調製のため、3週齢のコーンの葉および茎ならびにダイズの葉がそれぞれ使用された。
【0521】
PrPaseをコードするダイズおよびコーンcDNAのクローニング
実施例4に記載されるデータベース検索から同定されたZmPrPaseおよびGmPrPaseのEST配列を使用して、RACEのためのオリゴを設計した。製品の説明書に従い、Advantage2PCRキット(Clontech Laboratories)およびBiometra T3 Thermocyclerを用いるSMART RACE cDNA増幅キット(Clontech Laboratories)を使用して、レースポリメラーゼ連鎖反応法(RACE PCR)を行うことにより、ZmPrPaseおよびGmPrPaseの延長された部分配列を得た。使用した遺伝子特異的合成オリゴヌクレオチドプライマー(MWG-Biotech)は:
ZmPrPaseに対して:
5'RACEオリゴ:5'AGCAGCCACGATTGGTGGCCCCAAT3'(配列番号:21)
3'RACEオリゴ:5'GGGCCACCAATCGTGGCTGCTATCA3';(配列番号:22)
GmPrPaseに対して:
5'RACEオリゴ:5'CGCAGCCAGTCCTCATTGGGCTCATC3'(配列番号:23)
3'RACEオリゴ:5'CGGATAGTTGAGGGAGGAAGCAAG3'(配列番号:24)
であった。
【0522】
RACE反応から得られた配列を編集して、部分GmPrPase(配列番号:7)および部分ZmPrPase(配列番号:9)のヌクレオチド配列を得た。
【0523】
実施例8?内因性PrPase遺伝子活性の減少による乾燥耐性アラビドプシス植物の操作
バイナリーベクター構築:pGMSGおよびpGMGG
pLMNC53(Mankin, 2000, PHD thesis)ベクターを、製品の説明書に従い、HindIII(Roche)で消化し、平滑末端をクレノー酵素および0.1mM dNTPs(Roche)で満たした。この断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出した。次いで、精製断片を、製品の説明書に従い、EcoRI(Roche)で消化した。この断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出した。得られた1.4キロベースの断片、ゲンタマイシンカセット(gentamycin casstte)には、nosプロモーター、aacCI遺伝子、およびg7ターミネーターが含まれた。
【0524】
ベクターpBlueScriptを、製品の説明書に従い、EcoRIおよびSmaI(Roche)で消化した。得られた断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出した。消化されたpBlueScriptベクターおよびゲンタマイシンカセット断片を、製品の説明書に従い、T4DNAリガーゼ(Roche)で連結し、2つの個別のEcoRI部位を結合させ、また平滑末端化HindIII部位をSmaI部位と結合させた。
【0525】
組換えベクター(pGMBS)を、標準条件を使用して、Top10細胞(Invitrogen)に形質転換した。形質転換細胞を、100μg/mlカルベニシリン、0.8mgX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)、および0.8mgIPTG(イソプロピルチオ-β-D-ガラクトシド)を含有するLB寒天上に選択し、37℃で一晩成長させた。白色コロニーを選択し、3mlの100μg/mlアンピシリン含有液体LBへの播種に使用して、37℃で一晩成長させた。プラスミドDNAを、製品の説明書に従い、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して抽出した。その結果生じたクローンの分析および制限酵素のマッピングを、標準分子生物学手法に従い行った(Sambrook et al. 1989)。
【0526】
pGMBSベクターおよびplbxSuperGUSベクターの両方を、製品の説明書に従い、XbaIおよびKpnl(Roche)で消化し、ゲンタマイシンカセットをpGMBSから切除し、plbxSuperGUSベクターからバックボーンを生成した。得られた断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出した。これらの2つの断片を、製品の説明書に従い、T4DNAリガーゼ(Roche)で連結した。
【0527】
得られた組換えベクター(pGMSG)を、標準条件を使用して、Top10細胞(Invitrogen)に形質転換した。形質転換細胞を、100μg/mlカルベニシリン、0.8mgX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)、および0.8mgIPTG(イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)を含有するLB寒天上に選択し、37℃で一晩成長させた。白色コロニーを選択し、3mlの100μg/mlアンピシリン含有液体LBへの播種に使用して、37℃で一晩成長させた。プラスミドDNAを、製品の説明書に従い、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して抽出した。その結果生じたクローンの分析および制限酵素のマッピングを、標準分子生物学手法に従い行った(Sambrook et al. 1989)。
【0528】
孔辺細胞特異的プロモーターKST1を含むpBinKベクター(Bernd Muller-Rober, 1999)およびpGMSGベクターの両方を、製品の説明書に従い、XbaIおよびSmaI(Roche)で消化し、KST1をpBinKから切除し、pGMSGベクターからバックボーンを生成した。得られた断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)でアガロースゲルから抽出した。これらの2つの断片を、製品の説明書に従い、T4?DNA?リガーゼ(Roche)で連結した。
【0529】
得られた組換えベクター(pGMGG)を、標準条件を使用して、Top10細胞(Invitrogen)に形質転換した。形質転換細胞を、100μg/mlカルベニシリン、0.8mgX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)、および0.8mgIPTG(イソプロピルチオ-β-D-ガラクトシド)を含有するLB寒天上に選択し、37℃で一晩成長させた。白色コロニーを選択し、3mlの100μg/mlアンピシリン含有液体LBへの播種に使用して、37℃で一晩成長させた。プラスミドDNAを、製品の説明書に従い、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して抽出した。その結果生じたクローンの分析および制限酵素のマッピングを、標準分子生物学手法に従い行った(Sambrook et al. 1989)。
【0530】
植物バイナリーベクターについてのさらなる例は、LMP遺伝子候補がその中にクローニングされるpBPS-GBlベクターである。このバイナリーベクターは、AtAct2-Iプロモーターの制御下で駆動されるカナマイシン耐性遺伝子、および候補遺伝子の前部にあるNOSpAターミネーターをもつUSP種子特異的プロモーターを含む。部分長または全長LMPcDNAが、USP種子特異的プロモーターの後方のセンスまたはアンチセンス配向性に、植物バイナリーベクターの複数クローニング部位中へクローニングされる。所定の遺伝子を含む組換えベクターを、標準条件を使用して、Top10細胞(Invitrogen)に形質転換する。形質転換細胞を、50μg/mlカナマイシンを含有するLB寒天上に選択し、37℃で一晩成長させた。プラスミドDNAを、製品の説明書に従い、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して抽出した。その結果生じたクローンの分析および制限酵素のマッピングを、標準分子生物学手法に従い行った(Sambrook et al. 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual. 2nd Edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press. Cold Spring Harbor, NY)。
【0531】
アラビドプシスAtPrPase1のバイナリーベクター中へのサブクローニング
アラビドプシスPPasecDNAを含む断片を、製品の説明書に従い、HpaIおよびXmaI(Roche)での消化により、組換えPCR2.1TOPOベクターから切除した。続く断片を、製品の説明書に従い、QIAquickゲル抽出キット(QIAgen)でアガロースゲルから切除し、バイナリーベクターpGMSGおよびpGMGG中に連結し、XmaIおよびEcl136IIで切断し、連結前に脱リン酸化してから、USPプロモーターpBPSGB01でバイナリーベクター中に連結し、それぞれ連結前にAsCIおよびPacIで切断した。得られた組換えpGMSGおよびpGMGGベクターは、構成スーパープロモーター下でアンチセンス配向性にアラビドプシスプレニルプロテアーゼ、および孔辺細胞特異的プロモーターKST1を含んだ。pBPSGB01ベクターは、種子特異的USPプロモーターの制御下で、センスおよびアンチセンス配向性にアラビドプシスPPasecDNAを含んだ。
【0532】
アグロバクテリウム形質転換
組換えベクターを、標準条件に従い、アグロバクテリウム・チュメファシエンスC58C1およびPMP90に形質転換した(Hoefgen and Willmitzer, 1990)。
【0533】
植物形質転換
アラビドプシス・サリアナ生態型C24およびCol-2を、標準条件に従い、成長させて形質転換した(Bechtold 1993, Acad. Sci. Paris. 316: 1194-1199, Bent et al. 1994, Science 265: 1856-1860)。
【0534】
形質転換植物のスクリーニング
標準プロトコルに従い、種子を滅菌した(Xiong et al. 1999, Plant Molecular Biology Reporter 17: 159-170)。種子を、1〜3%ショ糖および50〜150μg/mlゲンタマイシン(gentamycin)を補充した1/2MS0.6%寒天上に蒔いた。プレートの種子を4℃で2日間春化した。種子は、気候室中にて、気温22℃および55マイクロモル-1m2の光度(白色光;Philips TL 65W/25 蛍光灯)および24時間の明かりで発芽した。形質転換した実生を7〜14日後に選択し、1%ショ糖を補充した1/2MS0.6%寒天プレートに移して1〜5日間回復させた。
【0535】
乾燥耐性スクリーニング
記載されるスクリーニング法(実生を、乾燥した滅菌濾紙に移し、4時間乾燥させる。次いで、実生を取り出して1/2MS0.6%寒天プレートに蒔き、2日後を記録する)に従い、トランスジェニック植物の改善された乾燥耐性について、それらをスクリーニングする。
【0536】
塩耐性スクリーニング
記載されるスクリーニング法(実生を、600mM NaClを補充した1/2MS液に移し、2〜4時間インキュベートする。次いで、実生を取り出して1/2MS0.6%寒天プレートに蒔き、2日後実生の生存を記録する。)に従い、トランスジェニック植物の改善された塩耐性について、それらをスクリーニングする。
【0537】
種子貯蔵化合物スクリーニング
実施例34に記載されるスクリーニング法(以下を参照)に従い、種子貯蔵化合物(油、糖、タンパク質)の増加量について、トランスジェニック植物のT2およびT3種子をスクリーニングする。
【0538】
実施例9?内因性GmPrPase遺伝子活性の減少による乾燥耐性ダイズ植物の操作
クローンGmPrPase(配列番号:7)を、アンチセンス配向性にベクターpGMSGおよびpGMGG中にクローニングした。これらの構築物を、以下に記載するようにダイズの形質転換に使用した。
【0539】
ダイズの種子表面を、室温で連続振盪しながら4分間70%エタノールで、続いて0.05%(v/v)Tweenを補充した20%(v/v)Cloroxで振盪しながら20分間滅菌する。次いで、種子を蒸留水で4回すすぎ、室温で6〜39時間、ペトリ皿中の湿らせた滅菌濾紙に置く。種皮が剥けて、子葉が胚軸から分離する。***組織領域が損傷を受けていないことを確認するために、胚軸を検査する。切除した胚軸を半開の滅菌ペトリ皿に集め、その後使用するまで、密閉したペトリ皿中で水分含量が20%(新鮮な重量)未満になるまで風乾させる。
【0540】
アグロバクテリウム・チュメファシエンス培養物を、LB固形培地の単一コロニー+適切な抗生物質(例えば、100μg/lのストレプトマイシン、50μg/lのカナマイシン)、続くLB固形培地の単一コロニーの600nmで光学濃度0.8への成長から調製する。次いで、細菌培養物を、室温で7分間7000rpmでペレットにし、100μMのアセトシリンゴンを補充したMS(Murashige and Skoog, 1962)培地に再懸濁させる。細菌培養物を、使用前に室温で2時間、この誘導前培地でインキュベートする。約15%の水分含量のダイズ接合体種子胚の軸に、誘導前アグロバクテリウム懸濁培養物を、室温で2時間吸収させる。吸収培養物から胚を取り出して、2%のショ糖を補充した固体MS培地を含むペトリ皿に移し、暗中にて室温で2日間インキュベートする。あるいは、胚をペトリ皿中の湿らせた(液体MS培地)滅菌濾紙の頂部に置き、上記と同じ条件下インキュベートする。この期間後、胚を500mg/Lのカルベニシリンまたは300mg/Lのセフォタキシムを補充した固体または液体MS培地のいずれかに移して、アグロバクテリウムを殺す。液体培地を使用して、滅菌濾紙を湿らせる。胚を、150μmolm?2sec?1下かつ12時間の光周期で、25℃で4週間インキュベートする。いったん実生が根を張ったら、それらを滅菌メトロミックス(metromix)土壌に移す。植物を土壌に移す前に、in vitroの植物培地を洗浄する。植物は、環境順化に有利なように、プラスチックカバー下に1週間置かれる。次いで、植物を成長室に移し、そこでそれらを、150μmolm?2sec?1下かつ12時間の光周期で、25℃で約80日間インキュベートする。
【0541】
導入遺伝子発現が乾燥耐性を与えることを例証する実施例7において記載されるスクリーニング法に従い、トランスジェニック植物の改善された乾燥耐性について、それらをスクリーニングする。
【0542】
実施例10?AtPrPaselクローンをもつ内因性PrPase遺伝子活性の減少による乾燥耐性アブラナ植物の操作
以下に記載するように、構築物pBPSRC003およびpBPSRC005を使用してアブラナを形質転換した。
【0543】
実施例8に記載される植物形質転換の方法はまた、アブラナ属および他の作物に適用可能である。カノーラの種子表面を、室温で振盪しながら4分間70%エタノールで、続いて0.05%(v/v)Tweenを補充した20%(v/v)Cloroxで振盪しながら20分間滅菌する。次いで、種子を蒸留水で4回すすぎ、室温で18時間、ペトリ皿中湿らせた滅菌濾紙に置く。次いで、種皮を除去して種子を半開の滅菌ペトリ皿中一晩風乾させる。この期間の間に、種子はその水分含量の約85%を失う。次いで、種子はさらに使用するまで密閉したペトリ皿中に室温で貯蔵される。DNA構築および胚吸収は、実施例8に記載されるとおりである。第1のトランスジェニック植物(T0)の試料をPCRにより分析して、T?DNAの存在を確認する。これらの結果は、DNAを1%アガロースゲル上で電気泳動して正電荷を帯びたナイロン膜(Roche Diagnostics)に転写するサザンハイブリダイゼーションにより確認される。PCR DIG プローブ合成キット(Roche Diagnostics)を使用して、PCRによりジゴキシゲニン標識プローブを調製し、製造者により推奨されるとおりに使用する。
【0544】
導入遺伝子発現が乾燥耐性を与えることを例証する実施例7において記載されるスクリーニング法に従い、トランスジェニック植物の改善された乾燥耐性について、それらをスクリーニングする。
【0545】
実施例11?内因性ZmPrPase遺伝子活性の減少による乾燥耐性コーン植物の操作
クローンGmPrPase(配列番号:9)を、アンチセンス配向性にベクターpGMSGおよびpGMGG中にクローニングした。これらの構築物を、以下に記載するようにコーンの形質転換に使用した。
【0546】
乾燥した胚のアグロバクテリウム培養物での吸収は、トウモロコシ胚軸にもまた適用可能である。実験プロトコルは、実施例8に記載されるものと同様であるが、胚の供給源としてトウモロコシ種子を使用する。
【0547】
導入遺伝子発現が乾燥耐性を与えることを例証する実施例7において記載されるスクリーニング法に従い、トランスジェニック植物の改善された乾燥耐性について、それらをスクリーニングする。
【0548】
実施例12?AtPrPase1プロモーターの孔辺細胞特異的発現
AtPrPaseのプロモーター領域(配列番号11)を、スーパープロモーター(superpromoter)の代わりにpGMSG中にクローンし、レポーター遺伝子GUSを駆動した(Jefferson et al., 1987)。得られた構築物pBPSRC006を、実施例7に記載されるように、アラビドプシス植物に形質転換した。
【0549】
トランスジェニック植物を、孔辺細胞特異的染色についてスクリーニングし、導入遺伝子発現が孔辺細胞特異的プロモーター活性を与えることを例証する。
【0550】
実施例13?ストレス耐性および植物成長の増加に至る、植物のPrPase過剰発現
クローンAtPrPase1(配列番号:3)、AtPrPase2(配列番号:5)を、センス配向性にベクターpGMSG中にクローニングした。これらの構築物を、それぞれ実施例7、8、9、および10に記載されるようにアラビドプシス、ダイズ、アブラナ、およびコーンの形質転換に使用した。
【0551】
導入遺伝子発現がストレス耐性を与えることを例証する実施例7において記載されるスクリーニング法に従い、トランスジェニック植物の改善されたストレス耐性について、それらをスクリーニングする。
【0552】
トランスジェニック植物をさらに、その成長速度についてスクリーニングし、導入遺伝子発現が成長速度の増加を与えることを例証する。
【0553】
実施例14?寄託試料からの特異的クローン単離
任意所与のcDNAクローンに対する、第1表に記載されたATCC寄託番号を割り当てられた試料の寄託材料はまた、1つまたはそれ以上のさらなるプラスミド(それぞれが所与のクローンと異なるcDNAクローンを含む)を含んでいてもよい。したがって、同じATCC寄託番号を共有する寄託物は、第1表において同定される各cDNAクローンに対して少なくとも1つのプラスミドを含む。通常、第1表に記載される各ATCC寄託試料は、ほぼ同量(重量で)の約1〜10のプラスミドDNA(それぞれ異なるcDNAクローンおよび/または部分的cDNAクローンを含む)の混合物を含む。しかし、そのような寄託試料は、2つより多いかまたは少ないcDNAクローンのプラスミドを含んでいてもよい。
【0554】
第1表に特定のクローンについて記載されるプラスミドDNAの寄託試料からそのクローンを単離するために、2つのアプローチが使用され得る。第1に、配列番号:Xに対応するポリヌクレオチドプローブを使用して、クローンをスクリーニングすることによりプラスミドを直接単離する。
【0555】
詳細には、報告された配列に従い、Applied Biosystems DNA synthesizerを使用して、30〜40個のヌクレオチドをもつ特異的ポリヌクレオチドを合成する。オリゴヌクレオチドを、例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32P-(-ATPで標識して、日常的な方法に従って精製する(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring, NY (1982)。)プラスミド混合物を、ベクター供給業者により提供されるもの、または上記に記載される関連文献もしくは特許におけるもののような、当業者に既知の方法を使用し、上記のように(例えば、XL-1Blue(Stratagene))適した宿主に形質転換する。形質転換体を、1.5%寒天プレート(適切な選択剤、例えばアンピシリンを含む)に、1プレートあたり約150個の形質転換体(コロニー)の密度で蒔く。これらのプレートを、細菌コロニースクリーニングの日常的な方法(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edit., (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, pages 1.93 to 1.104)、または当業者に既知の他の方法に従って、ナイロン膜を使用してスクリーニングする。
【0556】
あるいは、配列番号:Xの両末端に由来する17〜20個のヌクレオチドのプライマー2つ(すなわち、第1表に定義されるクローンの5'NTおよび3'NTにより境界される配列番号:Xの領域内)を合成し、寄託cDNAプラスミドを鋳型として使用して、所望のcDNAを増幅するのに使用する。決められた条件下、例えば25μl、の反応混合物中に0.5μgの上記cDNA鋳型を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応法を行う。簡便な反応混合物は、1.5〜5mMのMgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、各20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、各25pmolのプライマー、および0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。35サイクルのPCR(94℃で1分間変性;55℃で1分間アニーリング;72℃で1分間延伸)を、Perkin−Elmer Cetus automated thermal cyclerで行う。増幅された生成物を、アガロースゲル電気泳動により分析し、予想される分子量をもつDNAバンドを切り出して精製する。PCR生成物は、DNA生成物のサブクローニングおよび配列決定により選択された配列であることが確認される。
【0557】
遺伝子の5’または3’非コードおよび/またはコード部分(これは寄託されたクローンに存在しなくてもよい)の同定のために、複数の方法が利用可能である。これらの方法として、フィルタープロ−ビング、特異的プローブを使用するクローンエンリッチメント、および当該技術分野で既知の5’および3’「RACE」プロトコルと類似または同じプロトコルがあげられるが、それらに限定されない。例えば、5’RACEと類似の方法は、所望の全長転写物の5’末端欠損の生成に利用可能である(Fromont-Racine et al., Nucleic Acids Res. 21 (7): 1683-1684 (1993))。
【0558】
簡単には、特異的RNAオリゴヌクレオチドは、全長遺伝子RNA転写物を推定上含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結したRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび所定の遺伝子の既知配列に特異的なプライマーを含むプライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅された生成物は、配列決定されて全長遺伝子を生成するために使用され得る。
【0559】
この上記の方法は、所望の供給源から単離された全RNAを用いて開始するが、poly-A+RNAが使用され得る。次いで、分解または損傷したRNAの5’リン酸基(これは後のRNAリガーゼの工程に干渉し得る)を除去する必要がある場合、RNA調製物がホスファターゼで処理され得る。次いで、ホスファターゼは不活性化され、メッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除去するために、RNAはタバコ酸ピロホスファターゼで処理される。この反応は、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残し、次いで、これがT4RNAリガーゼを使用してRNAオリゴヌクレオチドに連結し得る。
【0560】
この修飾されたRNA調製物を、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いて、第一鎖cDNA合成のための鋳型として使用する。第一鎖合成反応を、連結したRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび所定の遺伝子の既知配列に特異的なプライマーを使用して、所望の5’末端のPCR増幅のための鋳型として使用する。次いで、得られた生成物を配列決定および分析して、5’末端配列が所望の遺伝子に属していることを確認する。その上、さらなる5’または3’コードまたは非コード配列を単離する確率を増加させるためにRACEプロトコルを最適化することは有利であり得る。RACEプロトコルを最適化する様々な方法は当該技術分野で既知であるが、これらの方法を要約した詳細な記述が、B. C. Schaefer, Anal. Biochem., 227: 255-273, (1995)に見られる。
【0561】
実施例15?ポリペプチドの組織分布
本発明のポリヌクレオチドのmRNA発現の組織分布を、特にSambrookらにより記載されるノーザンブロット分析のプロトコルを使用して決定する。例えば、実施例1に記載される方法により生成されるcDNAプローブを、製造業者の説明書に従い、rediprime(商標)DNA標識システム(Amersham Life Scinece)を使用して、p32で標識する。標識後、製造業者のプロトコル番号PT1200?1に従い、CHROMA SPIN0−100カラム(Clontech Laboratories, Inc.)を使用してプローブを精製する。次いで、精製した標識プローブを使用して、mRNA発現について様々な組織で試験した。
【0562】
様々な組織の結合mRNAを含む組織ノーザンブロットを、製造業者のプロトコル番号PT1190?1に従い、ExpressHyb(商標)ハイブリダイゼーション溶液(Clonetech)を使用して、標識プローブで試験する。ノーザンブロットは、当該技術分野で既知の様々なプロトコルを使用して生成され得る(例えば、Sambrook et al)。ハイブリダイゼーションおよび洗浄に続いて、ブロットをフィルムに載せて?7℃で一晩露光し、フィルムを標準的な手順に従い現像する。
【0563】
実施例16?ポリヌクレオチドの染色体マッピング
オリゴヌクレオチドプライマーセットを、配列番号:Xの5’末端における配列に従って設計する。このプライマーは、好ましくは、約100ヌクレオチドのスパンである。次いで、このプライマーセットを、以下の条件セット下でポリメラーゼ連鎖反応法に使用する:30秒、95℃;1分、56℃;1分70℃。このサイクルを32回繰り返し、続いて70℃で5分のサイクルを1回行う。個体染色体または染色体断片を含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios, Inc)に加えて、植物DNAを鋳型として使用する。反応を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれかで分析する。染色体マッピングは、特定の体細胞ハイブリッド中の約100bpPCR断片の存在により決定される。
【0564】
実施例17?ポリペプチドの細菌発現
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、挿入断片を合成するために、実施例1に概説されるように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅させる。cDNA挿入物を増幅させるために使用するプライマーは、増幅された生成物を発現ベクター中へクローニングするために、好ましくは、BamHIおよびXbaIのような制限部位をプライマーの5’末端に含む。例えば、BamHIおよびXbaIは、細菌発現ベクターpQE-9の制限酵素部位に対応する。(Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)。このプラスミドベクターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌複製起点(ori)、IPTG-調節可能なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6?ヒスチジンタグ(6-His)、および制限酵素クローニング部位をコードする。
【0565】
pQE?9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、増幅された断片を、細菌RBSで開始されるリーディングフレームを維持するpQE?9ベクターに連結する。次いで、連結混合物を使用して、プラスミドpREP4(これはlacIリプレッサーを発現し、またカナマイシン耐性(Kanr)を与える)の複数コピーを含む大腸菌株M15/rep4(Qiagen, Inc.)を形質転換する。形質転換体のLBプレート上での成長能力により、それらを同定し、アンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離して、制限分析により確認する。
【0566】
所望の構築物を含むクローンを、Amp(100ug/ml)およびKan(25ug/ml)の両方を補充したLB培地中液体培養で一晩成長させる(O/N)。O/N培養物を使用して、1:100〜1:250の比で、巨大な培養物を播種する。細胞は、光学濃度600(O.D.600)の0.4〜0.6に成長する。次いで、IPTG(イソプロピル-B-D-チオガラクトピラノシド)を最終濃度1mMまで加える。IPTGは、lacIリプレッサーを不活性化することにより誘導し、遺伝子発現の増加に至るP/Oを掃除する。
【0567】
細胞をさらに3〜4時間成長させる。次いで、細胞を遠心分離(6000Xgで20分)により回収する。細胞ペレットを、3〜4時間4℃で撹拌することにより、カオトロピック剤6モルグアニジンHClに可溶化させる。細胞残屑を遠心分離により除去し、ポリペプチドを含む上清をニッケル?ニトリロ−三酢酸(「Ni-NTA」)アフィニティ樹脂カラム(QIAGEN, Inc.,上記から入手可能)上に付加する。6×Hisタグをもつタンパク質は、高い親和性でNi-NTA樹脂に結合するので、簡潔な1工程手順で精製され得る(詳細については、The QIAexpressionist (1995) QIAGEN, Inc.,上述を参照)。
【0568】
簡単には、上清を6M グアニジン-HCl(pH8)のカラムにかけ、カラムを最初に10容量の6M グアニジン-HCl(pH8)で洗い、次いで10容量の6M グアニジン-HCl(pH6)で洗い、最後にポリペプチドを6M グアニジン-HCl(pH5)で溶出させる。
【0569】
次いで、精製したタンパク質を、リン酸緩衝食塩水(PBS)または50mMNa-酢酸pH6緩衝液+200mM NaClに対して透析することにより、復元する。あるいは、タンパク質は、Ni-NTAカラムに固定化されている間、首尾良くリフォールディングされ得る。推奨される条件は以下のとおりである:500mMのNaCl中6M〜1Mの尿素勾配、20%グリセロール、20mM Tris/HCl(pH7.4)、を使用する復元、プロテアーゼインヒビター含有。再生は、1.5時間以上の時間にわたり行われるべきである。復元後、250mM イミダゾールを加えることによりタンパク質を溶出する。PBSまたは50mM Na-酢酸pH6緩衝液+200mM NaClに対する最終透析工程によりイミダゾールを除去する。精製したタンパク質を4℃で貯蔵、または?80℃で冷凍する。
【0570】
実施例18?封入体からのポリペプチドの精製
以下の代替的な方法は、大腸菌が封入体の形態で存在する場合に、大腸菌に発現するポリペプチドを精製するために使用され得る。他に記載されない限り、以下の工程の全てを4〜10℃で行う。
【0571】
大腸菌発酵の生成相の完了に際して、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、細胞を15,000rpmでの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)により回収する。細胞ペーストの単位重量あたりの予想タンパク質収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づき、適切な量(重量で)の細胞ペーストを100mMのTris、50mMのEDTAを含む緩衝溶液(pH7.4)に懸濁させる。高速剪断ミキサーを使用して、細胞を分散させて均質な懸濁液にする。
【0572】
次いで、溶液を4000〜6000psiでマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(Microfuidics, Corp. または APV Gaulin, Inc.)に2回通すことにより、細胞を溶解する。次いで、ホモジネートを最終的に0.5M NaClの濃度までNaCl溶液と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離する。得られたペレットを、0.5MのNaCl、100mMのTris、50mMのEDTA(pH7.4)を使用して、再び洗う。
【0573】
得られた洗浄封入体を、1.5Mの塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜4時間可溶化する。7000×gで15分間の遠心分離後、ペレットを廃棄してポリペプチド含有上清を4℃で一晩インキュベートし、さらにGuHClを抽出する。
【0574】
不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、激しく撹拌しながらGuHCl抽出物を20容量の緩衝液(50mMのナトリウム、pH4.5、150mMのNaCl、2mMのEDTA含有)とすばやく混合することにより、GuHCl可溶化タンパク質をリフォールディングする。リフォールディングタンパク質の希釈溶液は、さらなる精製工程の12時間前から混合することなく4℃に保つ。
【0575】
リフォールディングポリペプチド溶液を清澄にするため、先に調製した、適切な表面積をもつ0.16um膜フィルター(例えば、Filtron)を備え、40mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)で平衡化した接線濾過装置を用いる。濾過した試料を陽イオン交換樹脂(例えば、Poros HS−50、Perseptive Biosystems)にかける。カラムを40mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)で洗い、段階的様式で、同じ緩衝液中の250mM、500mM、1000mM、および1500mMのNaClで溶出させる。溶出物の280nmにおける吸光度を連続的にモニタリングする。分画を収集して、さらにSDS?PAGEにより分析する。
【0576】
次いで、ポリペプチド含有フラクションをプールして、4容量の水と混合する。次いで、希釈した試料を、先に調製した、強陰イオン(Poros HQ−50、Perseptive Biosystems)および弱陰イオン(Poros CM−20、Perseptive Biosystems)交換樹脂のタンデムカラムのセットにかける。カラムは、40mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)で平衡化される。両方のカラムを、40mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)、200mMのNaClで洗う。次いで、CM−20カラムを、0.2MのNaCl、50mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)から1.0MのNaCl、50mMの酢酸ナトリウム(pH6.5)までの範囲の直線勾配でのカラム10容量を使用して溶出させる。溶出物の定常A280モニタリング下で、フラクションを収集する。次いで、ポリペプチド含有フラクション(例えば、16%SDS-PAGEにより決定)をプールする。
【0577】
得られたポリペプチドは、上記のリフォールディングおよび精製工程後、95%より高い純度を示すはずである。5ugの精製タンパク質をロードした場合、主要な混入物バンドはクーマシーブルーで染色した16%SDS-PAGEゲルからは観測されないはずである。精製タンパク質はまた、エンドトキシン/LPS混入について試験され得て、通常は、LPS含量はLALアッセイにより0.1ng/ml未満である。
【0578】
実施例19?バキュロウイルス発現系のポリペプチドのクローニングおよび発現
この実施例において、プラスミドシャトルベクターpAc373を使用して、ポリヌクレオチドをバキュロウイルスに挿入し、ポリペプチドを発現させる。典型的なバキュロウイルス発現ベクターは、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリン(polyhedrin)プロモーターとそれに続く簡便な制限部位(例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718が挙げられる)を含む。効果的なポリアデニル化のため、シミアンウイルス40(「SV40」)のポリアデニル化部位がしばしば使用される。組換えウイルスの簡単な選択のため、プラスミドは、同じ配向性で弱ドロソフィラプロモーターの制御下にある大腸菌由来のβ?ガラクトシダーゼ遺伝子、それに続くポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿入された遺伝子は、野生型ウイルスDNAでの細胞媒介型相同的組換えに対するウイルス配列により両側で隣接し、クローンポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイルスを生成する。
【0579】
構築物が、転写、翻訳、分泌などのための適切に配置されたシグナル(必要に応じ、シグナルペプチドおよびインフレーム(in-frame)AUGを含む)を提供する限り、当業者が容易に理解するように、多くの他のバキュロウイルスベクターが、上記のベクター(pVL941およびpAcIM1など)の代わりに使用され得る。そのようなベクターは、例えば、Luckow et al., Virology 170: 31-39 (1989)に記載される。
【0580】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、挿入断片を合成するために、実施例1に概説されるように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅させる。cDNA挿入物を増幅させるために使用するプライマーは、増幅された生成物を発現ベクター中へクローニングするために、好ましくは、制限部位をプライマーの5’末端に含む。詳細には、寄託クローンに含まれるcDNA配列(AUG開始コドンおよび本明細書中他の箇所で同定される天然に付随するリーダー配列を含む(適用可能であれば))を、実施例1に記載されるPCRプロトコルを使用して増幅する。天然に生じるシグナル配列を使用してタンパク質を生成する場合、使用されるベクターは、第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、ベクターは、Summers et al., "A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures,"Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No. 1555 (1987)に記載される標準方法を使用して、バキュロウイルスリーダー配列を含むように修飾され得る。
【0581】
増幅された断片を、市販されているキット("Geneclean,"BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。次いで、断片を適切な制限酵素で消化して、再び1%アガロースゲルで精製する。
【0582】
プラスミドを対応する制限酵素で消化し、任意で、当該技術分野で既知の決まった手順を用いて、子ウシ腸管ホスファターゼを使用して脱リン酸化し得る。次いで、DNAを市販されているキット("Geneclean,"BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。
【0583】
断片および脱リン酸化プラスミドは、T4DNAリガーゼと一緒に連結される。大腸菌HB101またはXL-1Blue(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)細胞などの他の適した大腸菌宿主を、連結混合物で形質転換し、培養プレートに拡げる。個々のコロニーからのDNAを消化してゲル電気泳動により消化生成物を分析することにより、プラスミド含有細菌を同定する。クローン断片の配列を、DNA配列決定により確認する。
【0584】
5ugのポリヌクレオチド含有プラスミドを、Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417 (1987)により記載されるリポフェクション法を用いて、1.0ugの市販されている直鎖化バキュロウイルスDNA(「BaculoGold(商標)baculovirus DNA」、Pharmingen, San Diego, CA)で同時形質転換する。1ugのBaculoGold(商標)ウイルスDNAおよび5ugのプラスミドを、50ulの無血清グレース培地を含むマイクロタイタープレートの滅菌ウェル中で混合する。その後、10ulのリポフェクチン+90ulのグレース培地を加え、混合し、室温で15分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を、1mlの無血清グレース培地を含む35mm組織培養プレートに蒔いたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。次いで、プレートを27℃で5時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をプレートから除去し、10%ウシ胎児血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を加える。次いで、培養を27℃で4日間続ける。
【0585】
4日後、上清を収集し、Summers and Smith(上述)により記載されるように、プラークアッセイを行う。「Blue Gal」を加えたアガロースゲル(Life Technologies Inc., Gaithersburg)を使用して、青く染色されたプラークを形成するgal-発現クローンの同定および単離をしやすくする。(この型の「プラークアッセイ」の詳細な記述はまた、Life Technologies Inc., Gaithersburgにより配布される昆虫細胞培養およびバキュロウイルス学(baculovirology)のためのユーザーズガイド9〜10頁に見られ得る。)適切なインキュベーション後、青く染色されたプラークをマイクロピペッター(micropipettor)(例えば、エッペンドルフ)のチップで取り出す。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200ulのグレース培地を含む微量遠心分離管中で再懸濁させ、組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を使用して、35mm皿に蒔かれたSf9細胞を感染させる。4日後、これらの培養皿の上清を回収し、次いでそれらを4℃で貯蔵する。
【0586】
ポリペプチドの発現を検証するため、Sf9細胞を、10%の熱不活性化FBSを補充したグレース培地中で成長させる。細胞を、約2の感染効率(「MOI」)でポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスで感染させる。放射標識したタンパク質が望まれる場合、6時間後に培地を除去して、メチオニンおよびシステインを除いたSF900II培地(Life Technologies Inc., Rockville, MDから入手可能)で置換する。42時間後、5uCiの35S?メチオニンおよび5uCiの35S?システイン(Amershamから入手可能)を加える。細胞をさらに16時間インキュベートし、次いで遠心分離により回収する。上清中のタンパク質ならびに細胞内タンパク質を、SDS−PAGEとそれに続くオートラジオグラフィー(放射標識された場合)により分析する。
【0587】
製造したタンパク質のアミノ末端配列を決定するために、精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列のミクロシーケンシングが使用され得る。
【0588】
実施例20?ほ乳動物細胞におけるポリペプチドの発現
本発明のポリペプチドは、ほ乳動物細胞において発現され得る。典型的なほ乳動物発現ベクターは、mRNAの転写開始、タンパク質コード配列、ならびに転写停止および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを媒介するプロモーターエレメントを含む。さらなるエレメントとして、エンハンサー、コザック配列、およびRNAスプライシングのためのドナーおよびアクセプター部位に隣接する介在配列が挙げられる。効率の高い転写が、SV40由来の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(例えば、RSV、HTLVI、HIVI)由来の末端反復配列(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターで達成される。しかしながら、細胞エレメントもまた使用され得る(例えば、ヒトアクチンプロモーター)。
【0589】
本発明の実施において使用するのに適した発現ベクターとして、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、およびpCMVSport3.0などのベクターが挙げられる。使用され得るほ乳動物宿主細胞として、ヒトHela、293、H9、およびジャーカット細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCV1、ウズラQC1?3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0590】
あるいは、ポリペプチドは、染色体に組み込まれたポリヌクレオチドを含む安定細胞系において発現され得る。dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグロマイシンなどの選択マーカーでの同時形質転換は、形質転換細胞の同定および単離を可能にする。
【0591】
形質転換遺伝子はまた、増幅されて大量のコードタンパク質を発現し得る。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、所定の数百または数千コピーの遺伝子さえも運ぶ細胞系を確立するのに有用である(例えば、Alt, F. W., et al., J. Biol. Chem. 253: 1357-1370 (1978); Hamlin, J. L. and Ma, C., Biochem. et Biophys. Acta, 1097: 107-143 (1990); Page, M. J. and Sydenham, M. A., Biotechnology 9: 64-68 (1991)を参照)。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミン合成酵素(GS)である(Murphy et al., Biochem J. 227: 277-279 (1991); Bebbington et al., Bio/Technology 10: 169-175 (1992)。これらのマーカーを使用して、ほ乳動物細胞を選択培地で成長させ、最も高い耐性をもつ細胞を選択する。これらの細胞系は、染色体に組み込まれた増幅された遺伝子(単数または複数)を含む。タンパク質の産生のために、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞がしばしば使用される。
【0592】
本発明のポリヌクレオチドを、実施例1に概説されるプロトコルに従い増幅させる。タンパク質を生成するために天然に生じるシグナル配列を使用する場合、ベクターは第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に生じるシグナル配列を使用しない場合、ベクターは異種シグナル配列を含むように修飾され得る。(例えば、国際公開第96/34891号を参照。)増幅断片を、市販されているキット("Geneclean,"BIO 101 Inc., La Jolla, Ca.)を使用して、1%アガロースゲルから単離する。次いで、断片を適切な制限酵素で消化して、再び1%アガロースゲルで精製する。
【0593】
次いで、増幅断片を同じ制限酵素で消化して、1%アガロースゲルで精製する。次いで、単離した断片および脱リン酸化ベクターをT4DNAリガーゼと連結する。次いで、大腸菌HB101またはXL-1Blue細胞を形質転換し、例えば制限酵素分析を使用して、プラスミドpC6に挿入された断片を含む細菌を同定する。
【0594】
活性DHFR遺伝子を欠如するチャイニーズハムスター卵巣細胞が形質転換のために使用される。5μgの発現プラスミドを、リポフェクチンを使用して、0.5ugのプラスミドpSVneoで同時形質転換する(Felgner et al.,上述)。プラスミドpSVneoは、優性の選択マーカー、G418を含む抗生物質群に対する耐性を与える酵素をコードするTn5からのneo遺伝子を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補充したα?MEMに蒔く。2日後、細胞をトリプシン処理して、10、25、または50ng/mlのメトトレキセート(metothrexate)+1mg/mlのG418を補充したα?MEM中のハイブリドーマクローニングプレート(Greiner, Germany)に蒔く。約10〜14日後、単一のコロニーをトリプシン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキセート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して6?ウェルペトリ皿または10mlフラスコに蒔く。次いで、最も高い濃度のメトトレキセートで成長するクローンを、さらに高い濃度のメトトレキセート(1uM、2uM、5uM、10mM、20mM)を含む新たな6?ウェルプレートに移す。100〜200uMの濃度で成長するクローンが得られるまで、同様の手順を繰り返す。所望の遺伝子生成物の発現を、例えばSDS-PAGEおよびウェスタンブロットにより、または逆相HPLC分析により分析する。
【0595】
上記に提供される方法に加えて、ポリペプチド、好ましくは本発明のポリペプチドを発現させる他の方法が当該技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,066,781号(その全文が本明細書中に参照により援用される)は、所定のタンパク質(この場合、本発明のポリペプチド)のコードポリヌクレオチド配列に作動的に連結した、コメα?アミラーゼシグナル配列ペプチド(MKNTSSLCLLLLVVLCSLTCNSGQA(配列番号:20))の部分に対応するN?末端部分のためのコードポリヌクレオチドからなるキメラ遺伝子を記載する。このシグナル配列ペプチドは、異種シグナル配列として、本発明のポリペプチドの自然シグナル配列と操作的に置換され得る。本発明のポリペプチドの成熟した形態を生成するそのような方法は、本発明により包含され、単独で、あるいは、当該技術分野で既知の、かつ/または本明細書中に開示される他の方法と組み合わせてのいずれかで使用され得る。
【0596】
さらに、高等植物における組換えタンパク質のタンパク質生成の向上が、最近、ユビキチンまたはキュウリモザイクウイルスコートタンパク質ペプチドのN?末端融合によりなされた(国際公開番号第00/36129号を参照)。そのような方法は、適した植物宿主において、本発明のポリペプチドの発現を増加させるために適用され得る。
【0597】
実施例21?タンパク質融合
本発明のポリペプチドは、好ましくは、他のタンパク質と融合される。これらの融合タンパク質は、様々な用途に使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドとHis?タグ、HA?タグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトース結合タンパク質との融合は、精製を促進する。(本明細書中に記載さえる実施例を参照;また、EP A 394,827; Traunecker, et al., Nature 331: 84-86 (1988)を参照。)同様に、IgG?1、IgG?3、およびアルブミンとの融合は、in vivo半減期を増加させる。本発明のポリペプチドと融合した核局在化シグナルは、特異的細胞成分局在化に対してタンパク質を標的とすることができ、一方共有ヘテロ二量体またはホモ二量体は融合タンパク質の活性を増加または減少させることができる。融合タンパク質はまた、2つ以上の機能を有するキメラ分子を作成し得る。最後に、融合タンパク質は、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の溶解性および/または安定性を増加させ得る。上記に記載される融合タンパク質の全ての型が、ポリペプチドのIgG分子との融合を概説する以下のプロトコルを変更することで作成され得る。
【0598】
簡単には、以下に記載される配列の5’および3’末端にわたるプライマーを使用して、IgG分子のヒトFc部分がPCR増幅され得る。これらのプライマーはまた、発現ベクター、好ましくはほ乳動物発現ベクターへのクローニングを促進する簡便な制限酵素部位を有するべきである。ポリヌクレオチドは停止コドン無しでクローンされ、そうでなければ融合タンパク質が生成されないことが留意されたい。
【0599】
天然に生じるシグナル配列が、タンパク質を生成するために使用され得る(適用可能であれば)。あるいは、天然に生じるシグナル配列が使用されない場合、ベクターは異種シグナル配列を含むように修飾され得る(例えば、国際公開第96/34891号および/または米国特許第6,066,781号、上記を参照)。
【0600】
ヒトIgG Fc領域
GGGATCCGGAGCCCAAATCTTCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAATTCGAGGGTGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACTCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTAAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAACCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCAAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGAGTGCGACGGCCGCGACTCTAGAGGAT(配列番号18)
【0601】
実施例22?ポリペプチドからの抗体の生成
本発明の抗体は、種々の方法により調製され得る。(Current Protocols、第2章を参照。)そのような方法の1つの例として、本発明のポリペプチドを発現する細胞を動物に投与して、ポリクローナル抗体を含む血清の生成を誘導する。好適な方法において、タンパク質調整物は、それが実質的に自然の混入物を含まないようにするために生成および精製される。次いで、より大きな特異的活性のポリクローナル抗血清を生成するために、そのような調整物を動物に導入する。
【0602】
最も好適な方法において、本発明の抗体はモノクローナル抗体(またはそのタンパク質結合断片)である。そのようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製され得る。(Kohler et al., Nature 256: 495 (1975); Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6: 511 (1976); Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6: 292 (1976); Hammerling et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, Elsevier, N. Y., pp. 563-681 (1981)。)一般に、そのような手順は動物(好ましくはマウス)を、ポリペプチドで、または好ましくはポリペプチド発現細胞で免疫化する手順を含む。そのような細胞は、任意の適した組織培地で培養され得る;しかしながら、10%ウシ胎児血清(約56℃で不活性化)を補充し、また約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100ug/mlのストレプトマイシンを補充した、アール修飾イーグル培地で細胞を培養することが好ましい。
【0603】
そのようなマウスの脾細胞を抽出して、適したミエローマ細胞系と融合させる。任意の適したミエローマ細胞系が、本発明に従い用いられ得る。しかしながら、ATCCから入手可能な親ミエローマ細胞系(SP2O)を用いることが好ましい。融合後、Wandsら(Gastroenterology 80 : 225-232 (1981))により記載されるように、得られたハイブリドーマ細胞をHAT培地に選択的に維持し、次いで限界希釈によりクローニングする。そのような選択を通じて得られたハイブリドーマ細胞を、次いでアッセイして、ポリペプチドに結合可能な抗体を分泌するクローンを同定する。
【0604】
あるいは、ポリペプチドに結合可能なさらなる抗体が、抗イディオタイプ抗体を使用して2工程手順で生成され得る。そのような方法は、抗体がそれ自身抗原であり、したがって第2の抗体に結合する抗体を得ることが可能であるという事実を利用している。この方法に従い、タンパク質特異的抗体を使用して動物、好ましくはマウスを免疫化する。次いで、そのような動物の脾細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を生成し、ハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、タンパク質特異的抗体に結合する能力がポリペプチドにより遮断され得る抗体を生成するクローンを同定する。そのような抗体は、タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含み、さらなるタンパク質特異的抗体の形成を誘導するよう動物を免疫化するために使用され得る。
【0605】
本発明の抗体のFabおよびF(ab')2ならびに他の断片が、本明細書中に記載される方法に従って使用され得ることが理解される。そのような断片は、通常、パパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab')2断片を生成するため)のような酵素を使用して、タンパク質分解切断により生成される。あるいは、組換えDNA技術の適用によって、または合成化学を通じて、タンパク質結合断片が生成され得る。
【0606】
ヒトにおける抗体のin vivo使用のため、「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用することが好ましい。そのような抗体は、上記に記載されるモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞由来の遺伝子構築物を使用して生成され得る。キメラ抗体を生成するための方法は当該技術分野で既知である。(概観のために、Morrison, Science 229: 1202 (1985); Oi et al., BioTechniques 4: 214 (1986); Cabilly et al., U. S. Patent No. 4,816,567; Taniguchi et al., EP 171496; Morrison et al., EP 173494; Neuberger et al., WO 8601533; Robinson et al., WO 8702671 ; Boulianne et al., Nature 312: 643 (1984); Neuberger et al., Nature 314: 268 (1985)を参照。)
【0607】
さらに、より好適な方法において、本発明のポリペプチドに向いた抗体が植物で生成され得る。特定の方法が、米国特許第5,959,177号および第6,080,560号に開示され、その全文が本明細書中に援用される。方法は、抗体を発現する方法だけではなく、植物の外来性多量体タンパク質(すなわち、抗体など)を構築する手段、およびそれに続くそのような抗体の植物からの分泌も記載する。
【0608】
実施例23?抗体媒介型の植物タンパク質ダウンレギュレーション
特定の特性を調節するため、新規形質を導入するため、または内因性形質を阻害するために植物を遺伝子的に調節するプロセスは、農学分野における研究の重要(signficant)な領域を表す。最近、抗体を使用した、内因性遺伝子発現を調節する新規方法が解明された(国際公開番号第00/05391号を参照、その全文が本明細書中に援用される)。この例において、研究者らは、植物タンパク質に向けられた一本鎖抗体構築物の使用によって、内因性植物タンパク質の40〜70%の阻害を達成することができた。
【0609】
この方法は、植物中の内因性輸送ペプチドの定常状態レベルを減少させるために、植物内の内因性輸送ペプチドに特異的なモノクローナル抗体、特に一本鎖抗体の生成を指向している。この方法は、以下の工程を含む:I)特定の植物に対するモノクローナル抗体を生成する工程、II)上記モノクローナル抗体の遺伝子をクローニングする工程、III)上記モノクローナル抗体遺伝子下流のp67リーダーペプチドの重鎖および軽鎖遺伝子配列の融合を含み、構成(consititutive)植物プロモーターの制御下にある、発現ベクターを作製する工程、IV)上記重鎖および軽鎖融合ベクターをコードする遺伝子の植物における効率的な発現のため、そのコドンを最適化する工程、およびV)上記重鎖および軽鎖融合発現ベクターで植物を形質転換する工程。
【0610】
当業者は、その明細書中(国際公開第00/05391号)に記載される方法を理解し、任意の本発明のポリペプチド(それらの変異体および断片を含む)の定常状態の発現レベルを阻害する工程にそのような方法を応用する能力を有するだろう。当業者はまた、重鎖および軽鎖融合ベクターを作成する工程において、植物タンパク質由来の任意のリーダーペプチド(すなわち、シグナル配列)が使用され得ることを理解するだろう。当業者はまた、異なる植物種が異なるコドン使用用件を有し得るため、重鎖および軽鎖融合ベクターのコドンを最適化するための判定が特定の植物種に必要とされるコドンに応じて左右されることを理解するだろう。
【0611】
この方法は、輸送ペプチドだけではなく、分泌タンパク質、膜タンパク質、レセプター、およびリガンドに適用され得る。この方法はまた、植物における他の抗体生成法と組み合わせて適用され得る。例えば、本発明のポリペプチドを指向する抗体は、植物の病原に対する防衛機構を増加させ得る、植物中の特定の形質を阻害し得る。したがって、そのような抗体が発現される場合、別の抗体が、病原性タンパク質(例えば、エム・グリセア(M.Grisea)由来のBUF1遺伝子、ジー・ロストキエンシス(G. rostochiensis)由来のsvp30、scp31a、scp31b、scp32、scp32、scp39、およびscp49を含む第2段階幼若唾液腺(国際公開第96/22372号)などの、感染事象を開始させるのに決定的であるタンパク質)を指向する抗体の発現を導くことにより植物病原体の病原性を阻害するために、最初のものと組み合わせて発現され得る。そのような組合せはまた、第2の「抗病原性」抗体が、病原体を指向する抗体でありかつ毒性タンパク質(ここで、そのような毒素は、例えば、キチナーゼ、グルカナーゼ、リゾチーム、BT、またはコリシンFであり得る(国際公開第96/09398号を参照))と融合している場合に価値があるだろう。
【0612】
本明細書中の他の箇所で記載されるように、この方法はまた、植物中の植物抗原に対して特異的な一本鎖抗体構築物の生成を導く(遺伝子組換え法を介して)ことにより、ヒト、ほ乳動物、動物などにおける、上記植物抗原に対するアレルギー反応を阻害する手段として使用され得る。後者の例において、植物は食用植物に制限されず、これは、そのような植物抗原の生成の阻害が、たとえば植物を摂取したかどうかに関わらず、ヒトの環境から抗原を除去することによりヒトに利益をもたらすからである。
【0613】
この例で特に興味が持たれるのは、植物細胞の原形質膜を通した機能性抗体の分泌が、トランスジェニック植物から単離されたプロトプラストについて、および懸濁培養物に適合させたカルス細胞について報告されたという事実である(Hein et al., Biotechnol. Prog. 7: 455-561,1991)。しかしながら、両方の培養システムにおいて検出された抗体分泌の濃度は極端に低かった。他の研究において、培養タバコ細胞が、可とう性ペプチドリンカーにより連結されたインタクト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変ドメインの両方からなる一本鎖として発現される、合成抗体誘導体をコードする遺伝子で形質転換された(Pluckthun, Immunol. Rev. 130: 151-188, 1991; and Bird et al., Science 242: 423-426,1988)。この合成一本鎖抗体は、インタクト免疫グロブリンの抗原結合可能性を全て保持していたが、形質転換細胞の細胞外アポプラスト空間に蓄積されており(Firek et al., Plant Molecular Biology 23: 861-870, 1993)、抗体が細胞壁を通してではなく原形質膜を通して外部環境へ輸送されたことを示している。さらに、最近の研究は、植物における抗体生成の増加、および異種タンパク質発現が、一般に、植物培地にタンパク質安定化剤(例えばポリビニルピロリドン)を含ませることにより増加することができることを示した(米国特許第6,020,169号を参照、その全文が本明細書中に参照により援用される)。
【0614】
実施例24?小胞体における凝集制御を介したタンパク質分泌の調節
本明細書中により詳細に記載されるように、タンパク質は、急速な代謝変更から成長および分化に及ぶ、高等生物の多様な細胞プロセスを調節する。特定のタンパク質の分泌増加は、特定の疾患および/または疾患状態を予防するために使用され得る。類推によって、タンパク質がまた、環境的、病原性、除草性、および殺虫性損傷の間、植物防衛機構において重要な役割を果たすことが予想される。したがって、生物における特定タンパク質の発現を調整する能力は優れた利益をもたらすだろう。
【0615】
今日まで、誘導性、構成的に活性な、または内因性プロモーターのいずれかの制御下で、生物中に外来性遺伝子を導入するために、数多くの方法が開発されてきた。特に興味が持たれるのは誘導性プロモーターである(参照、M. Gossen, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 89: 5547 (1992); Y. Wang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 8180 (1994), D. No., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93: 3346 (1996); and V. M. Rivera, et al., Nature Med, 2: 1028 (1996);本明細書中の他の箇所で開示されるさらなる例に加えて)。1つの例において、エリスロポエチン(Epo)の遺伝子が、発現のための小分子インデューサー(例えば、テトラサイクリンまたはラパマイシン)の制御下で、マウスおよび霊長類に移入された(参照、D. Bohl, et. al., Blood, 92: 1512, (1998); K. G. Rendahl, et al., Nat. Biotech, 16: 757, (1998); V. M. Rivera, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96: 8657 (1999); and X. Ye et al., Science, 283: 88 (1999))。そのようなシステムは誘導剤(すなわち、テトラサイクリン、ラパマイシンなど)の添加に際して、生物における所定の遺伝子の効果的な誘導を可能にするが、発現レベルは24時間でピークを迎える傾向にあり、4〜14日後にバックグラウンド(backgrond)レベルに下がってしまう。したがって、制御された一過性の発現は、そのような制御が望ましくても、これらのシステムを使用しては事実上不可能である。
【0616】
導入遺伝子由来タンパク質(すなわち、安定および過渡的形質転換体を含む)の遺伝子発現レベルを制御する新規の代替的方法が、最近解明された(V. M. Rivera., et al., Science, 287: 826-830, (2000))。この方法は、上記のシステムのようにmRNAレベルで遺伝子発現を制御しない。むしろ、このシステムは活性な分泌形態にあるタンパク質のレベルを制御する。誘導剤の不在下で、タンパク質はER中に凝集し、分泌されない。しかしながら、誘導剤の添加は、タンパク質の脱凝集および続くERからの分泌をもたらす。そのようなシステムは、低い基礎分泌、誘導剤存在下の急速で高い分泌レベル、および誘導剤除去に際した分泌の急速な休止をもたらす。実際、タンパク質分泌は、誘導の30分以内に最高レベルに達し、誘導剤除去の1時間以内に分泌が急速に休止する。この方法はまた、膜タンパク質の生成レベルを制御するために適用可能である。
【0617】
詳細な方法は、V. M. Rivera., et al., Science, 287: 826-830, (2000))に記載され、簡単には:
融合タンパク質構築物を、当該技術分野で既知の、かつ本明細書中の他の箇所で記載される分子生物学方法を使用して、リガンド可逆性様式で(すなわち、誘導剤の存在下で)自らと相互作用する条件性凝集ドメイン(CAD)のドメインのコピーを1つまたはそれ以上(好ましくは、少なくとも2、3、4、またはそれより多く)もつ、本発明のポリヌクレオチド配列を使用して作成する。CADドメインは、ヒトFKBP12タンパク質から単離された変異体ドメイン(Phe36からMet)(V. M. Rivera., et al., Science, 287: 826-830, (2000)に開示されるように)、または代替的に、類似のリガンド可逆性自己凝集特性をもつドメインを有する他のタンパク質であり得る。設計の原則として、融合タンパク質ベクターは、本発明のポリヌクレオチドとCADドメインとの間に作動可能に連結されたフリン(furin)切断配列を含む。そのような切断部位は、本発明のポリペプチドからのCADドメインのタンパク質分解性切断を可能にし、続いてERから、およびtrans−Golgiへの浸入に際して分泌させ得る(J. B. Denault, et al., FEBS Lett., 379: 113, (1996))。あるいは、当業者は、置換配列が内因的(例えば、フリン配列)または外因的(例えば、分泌後、精製後、産生後など)のいずれかで切断可能ならば、任意のタンパク質分解性切断配列がフリン配列と置換されることを理解するだろう。融合タンパク質構築物の各特長のに好適な配列(5’から3’方向で他のものに作動可能に連結された各特色をもつ)は、プロモーター、シグナル配列、(CAD)xドメインの数「X」、フリン配列(または他のタンパク質分解配列)、および本発明のポリペプチドのコード配列である。当業者は、プロモーターおよびシグナル配列が、互いに独立して、内因性プロモータまたは本発明のポリペプチドのシグナル配列であり得るか、または代替的に、異種シグナル配列およびプロモーターであり得ることを理解するだろう。
【0618】
本明細書中に記載される、制御されたER凝集を通してタンパク質分泌レベルを制御するための特定の方法は、制限することを意図せず、一般に、変異体、相同体、オルソログ、およびそれらの断片を含む任意の本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに適用可能である。
【0619】
実施例25?本発明のポリペプチドの分泌特性を向上させるためのタンパク質グリコシル化部位の変更
多くの真核生物細胞表面およびタンパク質は、翻訳後にプロセシングされてN?連結または0?連結炭水化物を組み込む(Komfeld and Kornfeld (1985) Annu. Rev. Biochem. 54: 631-64; Rademacher et al., (1988) Annu. Rev. Biochem. 57: 785-838)。タンパク質グリコシル化は、以下に挙げられる種々の機能を担うと考えられる:タンパク質フォールディングの増強、タンパク質凝集の阻害、オルガネラへの細胞内輸送の調節、タンパク質分解に対する耐性の増加、タンパク質抗原性の調節、および細胞接着の媒介(Fieldler and Simons (1995) Cell, 81: 309-312; Helenius (1994) Mol. Biol. Of the Cell 5: 253-265; Olden et al., (1978) Cell, 13: 461-473; Caton et al., (1982) Cell, 37: 417-427; Alexamnder and Elder (1984), Science, 226: 1328-1330; and Flack et al., (1994), J. Biol. Chem., 269: 14015-14020)。高等生物において、グリコシル化の性質および程度は、レセプター媒介型取り込みおよびクリアランスを含む機構により、タンパク質の循環半減期および生物学的利用能に著しい影響を及ぼし得る(Ashwell and Morrell, (1974), Adv. Enzymol., 41: 99-128; Ashwell and Harford (1982), Ann. Rev. Biochem., 51: 531-54)。糖タンパク質の様々な炭水化物構造の認識を通して、血清タンパク質のクリアランスに主要な役割を果たしていると考えられるレセプター系が同定されている(Stockert (1995), Physiol. rev., 75: 591- 609; Kery et al., (1992), Arch. Biochem. Biophys., 298: 49-55)。したがって、末端シアル酸の不完全な付着をもたらす生成戦略は、糖タンパク質の生物学的利用能および半減期を短縮する手段を提供し得る。逆に、末端シアル酸付着部位の飽和をもたらす発現戦略は、タンパク質の生物学的利用能および半減期を延長し得る。
【0620】
薬学的生成物として使用するための組換え糖タンパク質の開発において、例えば、組換えタンパク質の薬力学が糖タンパク質一次構造からのグリコシル化部位の付加または欠失により調節され得ることが考えられてきた(Berman and Lasky (1985a) Trends in Biotechnol., 3: 51-53)。しかしながら、研究からは、N?連結グリコシル化部位の削除がしばしば細胞内輸送を障害し、グリコシル化部位変異体の細胞内蓄積をもたらすことが報告されている(Machamer and Rose (1988), J. Biol Chem., 263: 5955-5960; Gallagher et al., (1992), J. Viology., 66: 7136-7145; Collier et al., (1993), Biochem., 32: 7818-7823; Claffey et al., (1995) Biochemica et Biophysica Acta, 1246: 1-9; Dube et al., (1988), J. Biol. Chem. 263: 17516-17521)。タンパク質のグリコシル化部位変異体は細胞内で発現可能であるものの、有用な量を成長条件の細胞培地から回収することは難しいことが判明している。
【0621】
さらに、ある種におけるグリコシル化部位がどの程度別の種のグリコシル化機構部分により認識されるのかは明らかではない。タンパク質代謝、特にタンパク質の分泌および/または発現におけるグリコシル化の重要性のため、グリコシル化シグナルが認識されるかどうかは、別の生物において内因性または組換えのいずれかでタンパク質が発現される能力(すなわち、大腸菌でトウモロコシタンパク質、またはトウモロコシで大腸菌タンパク質を発現する、など)を大きく左右する。したがって、グリコシル化部位を付加、削除、または修飾する、およびおそらくある種のグリコシル化部位を別の種のタンパク質へ付加して、タンパク質の機能、バイオプロセス精製、および/または構造的特性を改善することが望ましい場合がある(例えば、本発明のポリペプチド)。
【0622】
いくつかの方法が、タンパク質中のグリコシル化部位の位置を同定するために用いられ得る。1つの好適な方法は、翻訳されたタンパク質配列をPROSITEコンピュータープログラム(Swiss Institute of Bioinformatics)に通すことである。いったん同定されると、その部位は、当該技術分野で既知の、かつ当業者に利用可能な突然変異誘発方法を使用して、好ましくはPCR指向性突然変異誘発を使用して、DNAレベルで系統的に欠失または障害され得る(参照、Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring, NY (1982))。同様に、グリコシル化部位は、同様な方法、好ましくはPCR法を使用して、DNAレベルで付加または改変され得る(参照、Maniatis、上述)。特定のタンパク質についてのグリコシル化部位の修飾の結果(例えば、溶解性、分泌可能性、活性、凝集、タンパク質分解耐性、など)が、次いで当該技術分野で既知の方法を使用して分析され得る。
【0623】
実施例26?双子葉類の形質転換
本発明のポリペプチドに対する抗体をコードするポリヌクレオチドに加えて、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドが、特定の形質を植物へ与える目的で、単子葉類の形質転換に使用され得る。そのようなポリヌクレオチドは、全長ポリヌクレオチド、断片、相補鎖、またはそれらの変異体のいずれかであり得、本明細書中の他の箇所でより詳細に記載されるように、自身で、または作動可能に、異種ポリヌクレオチドと融合し得る。
【0624】
双子葉類についての形質転換技法は、当該技術分野で既知であり、アグロバクテリウムベースの技法およびアグロバクテリウムを必要としない技法が挙げられる。非アグロバクテリウム技法は、プロトプラストまたは細胞による直接の外因性遺伝子材料の取り込みを含む。これは、PEGまたはエレクトロポレーション媒介型取り込み、粒子衝撃媒介型送達、または微量注入法により達成され得る。これらの技法の例は、Paszkowski et al., EMBO J 3: 2717-2722 (1984), Potrykus et al., Mol. Gen. Genet. 199: 169-177 (1985), Reich et al., Biotechnology 4: 1001-1004 (1986), and Klein et al., Nature 327: 70-73 (1987)により記載される。各場合において、当該技術分野で既知の標準技法を使用して、形質転換細胞は全植物を再形成する。
【0625】
アグロバクテリウム媒介型形質転換は、その高い形質転換効率および多くの異なる種での広い利用可能性から、好ましくは双子葉類の形質転換のための技法である。アグロバクテリウムにより日常的に形質転換可能な多くの作物種として、タバコ、トマト、ヒマワリ、ワタ、脂肪種子、アブラナ、ジャガイモ、ダイズ、アルファルファ、およびポプラが挙げられる(欧州特許第0317511号(ワタ),欧州特許第0249432号(トマト、Calgeneに対して),国際公開第87/07299号(アブラナ属、Calgeneに対して),米国特許第4,795,855号(ポプラ))。アグロバクテリウム形質転換は、典型的には、所定の外来性DNA(例えば、pCIB200またはpCIB2001)を適切なアグロバクテリウム株へ運ぶバイナリーベクターの移送を含み、これは同時常在(co-resident))Tiプラスミド上で、または染色体で宿主アグロバクテリウム株により運ばれるvir遺伝子の補体に依存し得る(例えば、pCIB200またはpCIB2001に対する株CIB542(Uknes et al. Plant Cell 5: 159-169 (1993))。組換えバイナリーベクターのアグロバクテリウムへの移送は、組換えバイナリーベクターを運ぶ大腸菌、pRK2013のようなプラスミドを運び、かつ組換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム株へ移動させ得るヘルパー大腸菌を使用して、トリパレンタル・メイティング技法により達成する。あるいは、組換えバイナリーベクターは、DNA形質転換によりアグロバクテリウムへ移送され得る(Hofgen & Willmitzer, Nucl. Acids Res. 16: 9877 (1988))。
【0626】
標的植物種の組換えアグロバクテリウムによる形質転換は、通常、アグロバクテリウムと植物からの外植体との同時培養(co-cultivation)を含み、当該技術分野で既知のプロトコルに従う。形質転換された組織を、バイナリープラスミドT?DNA境界の間に存在する抗生物質または除草剤耐性マーカーをもつ選択培地で再生させる。
【0627】
双子葉類の形質転換のための他の方法が当該技術分野で既知である。したがって、この実施例は、本明細書中の上記または他の箇所に例示される実施例に本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきではない。
【0628】
実施例27?単子葉類の形質転換
本発明のポリペプチドに対する抗体をコードするポリヌクレオチドに加えて、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む本発明のポリヌクレオチドが、特定の形質を植物へ与える目的で、単子葉類の形質転換に使用され得る。そのようなポリヌクレオチドは、全長ポリヌクレオチド、断片、相補鎖、またはそれらの変異体のいずれかであり得、本明細書中他の箇所でより詳細に記載されるように、自身で、または作動可能に、異種ポリヌクレオチドと融合し得る。
【0629】
大部分の単子葉類の形質転換もまた、現在日常的になっている。好適な方法として、PEGまたはエレクトロポレーション技法、およびカルス組織への粒子衝撃を使用した、プロトプラストへの遺伝子直接輸送が挙げられる。形質転換は、単一のDNA種または複数のDNA種(すなわち、同時形質転換(co-transformation))で行われることができ、これらの方法の両方が、本発明で使用するのに適している。同時形質転換は、複雑なベクター構築物を避けること、ならびに所定の遺伝子および選択マーカーのための連結していない座位を持ち、生成に続いて選択マーカーの除去を可能にする(これが望ましいとみなされる場合)トランスジェニック植物を生成するという利点を有し得る。しかしながら、同時形質転換の使用の不利点は、分離DNA種がゲノムに組み込まれる頻度が100%未満であるということである(Schocher et al. Biotechnology 4: 1093- 1096 (1986))。
【0630】
特許出願欧州特許第0292435号(Ciba-Geigyに対し)、欧州特許第0392225号(Ciba-Geigyに対し)、および国際公開第93/07278号(Ciba-Geigyに対し)は、トウモロコシの精鋭近交系からのカルスおよびプロトプラストの調製、PEGまたはエレクトロポレーションを使用したプロトプラストの形質転換、および形質転換プロトプラストからのトウモロコシ植物の再生の技法を記載する。Gordon-Kamm et al., Plant Cell 2: 603-618 (1990)) および Fromm et al., Biotechnology 8: 833-839 (1990))は、粒子衝撃法を使用したA188由来トウモロコシ系統の形質転換技法を公開している。さらに、出願国際公開第93/07278号(Ciba-Geigyに対し)およびKoziel et al., Biotechnology 11: 194-200 (1993))は、粒子衝撃法によるトウモロコシの精鋭近交系の形質転換技法を記載している。この技法は、受粉後14〜15日のトウモロコシの穂から切り取った1.5〜2.5mm長の未熟なトウモロコシ胚および衝撃のためのPDS?1000He遺伝子銃デバイスを利用する。
【0631】
コメの形質転換もまた、プロトプラストまたは粒子衝撃法を利用した遺伝子直接移入技法により行われ得る。プロトプラスト媒介型形質転換は、日本型およびインド型について記載される(Zhang et al., Plant Cell Rep 7: 379-384 (1988); Shimamoto et al. Nature 338: 274-277 (1989) ; Datta et al. Biotechnology 8: 736-740 (1990))。どちらの型もまた、粒子衝撃法を使用して日常的に形質転換され得る(Christou et al., Biotechnology 9: 957-962 (1991))。
【0632】
特許出願欧州特許第0332581号(Ciba-Geigyに対し)は、イチゴツナギ亜科プロトプラストの生成、形質転換、および再生のための方法を記載している。これらの技法は、カモガヤ属およびコムギの形質転換を可能にする。さらに、コムギ形質転換が、C型長期再生可能カルスの細胞に粒子衝撃法を使用するものについてVasil et al., Biotechnology 10: 667-674 (1992)により、また未熟胚および未熟胚由来カルスの粒子衝撃法を使用するものについてVasil et al., Biotechnology 11: 1553-1558 (1993)) およびWeeks et al., Plant Physiol. 102: 1077- 1084 (1993)により記載された。しかしながら、コムギ形質転換に好適な方法として、未熟胚の粒子衝撃法によるコムギの形質転換が挙げられ、遺伝子送達の前に高ショ糖または高マルトース工程のいずれかを含む。衝撃法の前に、任意の数の胚(0.75〜1mm長)が、体細胞胚を誘導するために、3%ショ糖(Murashige & Skoog, Physiologia Plantarum 15: 473-497 (1962))および3mg/lの2,4?Dを含むMS培地上へ蒔かれ、暗中で進行させられる。衝撃法の選ばれた日に、胚を誘導培地から除去して浸透圧調節物質(すなわち、所望の濃度、典型的には15%でショ糖またはマルトースを加えた誘導培地)上に蒔く。胚を2〜3時間原形質分離させ、次いで衝撃を与える。1標的プレートあたり20の胚が典型的であるが、決定的ではない。適切な遺伝子運搬プラスミド(pCIB3064またはpSG35など)を、標準手順を使用して、ミクロンサイズの金粒子上に沈殿させる。胚の各プレートをDuPont遺伝子銃、標準80メッシュスクリーンを使用して約1000psiの破裂圧を使用するヘリウムデバイスで撃つ。衝撃法後、胚を約24時間暗中に戻し置き回復させる(依然として浸透圧調整物質上)。24時間後、胚を浸透圧調整物質から除去して、誘導培地へ戻し置き、再生前の約1ヶ月間それらを放置する。約1ヶ月後、発生中の胚形成カルスをもつ胚外植体を、適切な選択剤(pCIB3064の場合10mg/lのバスタ(basta)、およびpSOG35の場合2mg/lのメトトレキセート)をさらに含有する再生培地(MS+1mg/リットルのNAA、5mg/リットルのGA)へ移す。約1ヶ月後、発生した根を「GA7」として知られるより大きな滅菌コンテナー(半分の長さのMS、2%のショ糖、および同濃度の選択剤を含む)に移す。
【0633】
単子葉植物を形質転換するさらなる方法が、国際公開番号第00/12734号に見いだされ、植物への導入遺伝子挿入へのAc?Dsトランスポゾンシステムの適用が記載される。
【0634】
単子葉類の形質転換の他の方法が当該技術分野で既知である。したがって、この実施例は、本明細書中の上記または他の箇所に例示される実施例に本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきではない。
【0635】
実施例28?分子進化を通した発明の生物活性/機能特性の向上法
既知である大部分の生物学的に活性なタンパク質の多くが、生物中でのその特定された機能について非常に効果的であり、それらはしばしば、自らを遺伝子組換え、治療上、農業的、および/または工業的応用のために望ましくないものにしている特性を有する。これらの形質のうち、短い生理学的半減期が最も顕著な問題であり、タンパク質レベルで、またはタンパク質mRNAのレベルでのいずれかで存在する。半減期を延長させる能力は、例えば、中でも遺伝子治療に使用されるタンパク質、トランスジェニック植物または動物生成、タンパク質のバイオプロセス生成および精製、ならびに化学モジュレーターとしてのタンパク質の使用(例えば、除草剤、殺虫剤など)にとって特に重要である。それ故、一般的な工業および農業用途に適用可能なタンパク質に加えて、植物および動物起源の両方の疾患を処置するための治療としてそれらの応用を向上させる特性を有する単離タンパク質の新規変異体を同定する必要がある。
【0636】
したがって、本発明の1つの態様は、指向性分子進化を通した発明の特異的特性を向上する能力に関する。そのような向上性は、非制限的な例として、キットにおける不可欠な成分としての本発明の有用性、その溶解性、構造、またはコドン最適化のような本発明の物理的属性、本発明の特異的生物活性の利益となり得て、この活性としては、任意の付随する酵素活性、タンパク質酵素動態、タンパク質Ki、Kcat、Km、Vmax、Kd、タンパク質?タンパク質活性、タンパク質?DNA結合活性、アンタゴニスト/抑制活性(直接または間接相互作用を含む)、アゴニスト活性(直接または間接相互作用を含む)、タンパク質抗原性(例えば、タンパク質の抗原可能性の増加または減少のいずれかが望ましい場合)、タンパク質の免疫原性、自身または他のタンパク質いずれかと二量体、三量体、または多量体を形成するタンパク質の能力、本発明の抗原性効率(疾患または疾患状態の予防処置への、または標的となる患部遺伝子に対するエフェクターとしてのその後のその使用を含む)が挙げられる。さらに、タンパク質の特異的特性を向上させる能力はまた、酵素の特性決定された活性を、その最初に特性決定された活性と全く関連しない活性へ変化させるのに適用可能である。本発明の他の望ましい向上性は、個々のタンパク質それぞれに特異的であり、したがって当該技術分野で既知であり、本発明により熟慮される。
【0637】
指向性進化は、複数の工程で構成される。第1の工程は、所定遺伝子またはタンパク質について変異体のライブラリーを確立することである。最も重要な工程は、次いで、これらの変異体について同定したいと思う活性を伴うものを選択することである。スクリーニングは有用ではない変異体を除去するのに十分選択的でなければならないが、全ての変異体を除去してしまうほどストリンジェントではいけないので、スクリーニングの計画は重要である。次いで、最終工程は、先のスクリーニングからのベスト変異体を使用して上記工程を繰り返すことである。各連続したサイクルは、次いで、必要に応じて、例えばスクリーニングの厳密さを増加させるなど、調整され(tailored)得る。
【0638】
長年にわたり、巨大分子に突然変異を導入するために多数の方法が開発されてきた。これらの方法のいくつかとして、無作為変異誘発、「エラープローン」PCR、化学的突然変異誘発、部位指向性突然変異誘発、および当該技術分野で既知の他の方法が挙げられる(現在の突然変異誘発法の包括的な列挙については、Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring, NY (1982)を参照)。典型的には、例えばタンパク質のコア機能領域(単数または複数またはタンパク質の特定ドメインの機能(マルチドメインタンパク質の場合)を同定するための道具として、そのような方法が使用されてきた。しかしながら、そのような方法は、近年、特定の、または向上した特性をもつ巨大分子変異体の同定に適用されてきている。
【0639】
無作為変異誘発は、今日まで最も広く認識されている方法である。典型的には、これは、「エラープローン」PCRの使用によって(Moore, J., et al, Nature Biotechnology 14: 458, (1996)に記載されるように)、または所定の特定領域に対応する無作為合成オリゴヌクレオチドの適用によって(Derbyshire, K. M. et al, Gene, 46: 145-152, (1986), and Hill, DE, et al, Methods Enzymol., 55: 559-568, (1987)に記載されるように)行われてきた。両方のアプローチが、得られ得る突然変異のレベルに制限を有している。しかしながら、いずれのアプローチも研究者が突然変異の率を効果的に制御することを可能にする。このことは、酵素活性に有利な変異がきわめてまれであるという事実を考慮すると、特に重要である。事実、高すぎる突然変異誘発レベルは有用な突然変異の望ましい利点をうち消すかまたは阻害し得る。
【0640】
上記の方法の両方が巨大分子変異体の無作為化プールを作成するために有効であるものの、「DNAシャッフリング」または「セクシャルPCR」と呼ばれる第3の方法(WPC, Stemmer, PNAS, 91: 10747, (1994))が、最近解明された。DNAシャッフリングはまた、「指向性分子進化」「エクソン?シャッフリング」「指向性酵素進化」「in vitro進化」および「人工進化」と呼ばれる。このような指示語は当該技術分野で既知であり、本発明により包含される。この新規の好適な方法は、それが、得られる子孫においてポジティブ形質を広めるだけではなく同時にネガティブ形質を除去する点で、先の方法の限界を明らかに超えている。
【0641】
DNAシャッフリングは、「エラープローン」PCR法と一緒に、in vitro組換えの主を組み合わせることにより、このタスクを達成する。実質的には、DnaseI消化により作成された、遺伝子の小さな断片の無作為に消化されたプールで開始し、次いで上記無作為断片を「エラープローン」PCRアセンブリー反応に導入する。PCR反応の間、無作為の大きさにされたDNA断片は、それらの同族鎖にハイブリダイズするだでけではなく、所定のポリヌクレオチドの異なる領域(ポリヌクレオチド全体のハイブリダイゼーションを介しては通常到達できない領域)に対応する他のDNA断片にもまたハイブリダイズし得る。さらに、PCRアセンブリー反応は「エラープローン」PCR反応条件を利用するので、断片全てについて、無作為の突然変異が、PCR反応のDNA合成工程の間に誘導され、反応のアニーリング工程の間に潜在的なハイブリダイゼーション部位をさらに多様化する。
【0642】
DNAシャッフリング反応を実行するために、様々な反応条件が利用され得る。しかしながら、DNAシャッフリングの特定の反応条件が、例えばPNAS, 91: 10747, (1994)において提供される。簡単には:
【0643】
DNAシャッフリング反応にかけられるべきDNA基質を調製する。調製物は、混入する細胞材料、化学物質、緩衝液、オリゴヌクレオチドプライマー、デオキシヌクレオチド、RNAなどからDNAを単に精製した形態であってもよく、また例えばQiagen, Inc.により、もしくはPromega, Corp.により提供されるもののようなDNA精製キットの使用を必要としてもよい。
【0644】
いったんDNA基質が精製されると、それはDnaseI消化にかけられる。約2〜4ugのDNA基質(単数または複数)を、室温で、100ulの50mM Tris?HCL(pH7.4)/1mMMgCl2中、10〜20分間、1ulあたり0.0015ユニットのDnaseI(Sigma)で消化する。次いで、得られた10〜50bpの断片は、当該技術分野で既知の他の方法に加えて、DE81イオン交換紙(Whatman)上の電気泳動により2%の低融点アガロースゲルを通して流すことにより精製し得るか、または適切な分子量カットオフ(cuttoff)のMicrocon濃縮機(Amicon)を使用して精製し得るか、またはオリゴヌクレオチド精製カラム(Qiagen)を使用し得る。DE81イオン交換紙を使用する場合、10〜50bpの断片は、1MのNaClを使用して上記紙から溶出し得、続いてエタノール沈殿する。
【0645】
次いで、得られた精製断片は、2mMの各dNTP、2.2mMのMgCl2、50mMのKCl、10mMのTris・HCL(pH9.0)、および0.1%のTriton X-100を、10〜30ng/ulの最終断片濃度で含むPCR混合物に再懸濁させることにより、PCRアセンブリー反応にかけられる。この時点ではプライマーは加えられない。100ulの反応混合物あたり2.5ユニットで、TaqDNAポリメラーゼ(Promega)を使用する。MJ Research (Cambridge, MA) PTC-150 サーモサイクラーを使用して、94℃で60秒間;94℃で30秒間、50〜55℃で30秒間、および72℃で30秒間のPCRプログラムを30〜45サイクル使用し、続いて72℃で5分間行った。アセンブリー反応が完了した後、得られたプライマーを含まない生成物の1:40希釈物を、0.8umの各プライマーを含むPCR混合物(アセンブリー反応のために使用されたのと同じ緩衝液混合物を使用する)に導入し、この混合物を15サイクルのPCRにかける(94℃で30秒間、50℃で30秒間、および72℃で30秒間を使用する)。関連するプライマーは、シャッフリング反応において利用されるポリヌクレオチド(単数または複数)の核酸配列に対応するプライマーである。上記プライマーは、当該技術分野で既知の方法を使用して、修飾核酸塩基対から構成され得、本明細書中の他の箇所で示されるか、またはさらなる配列(すなわち、制限部位を加えるため、特定の塩基対を突然変異させるためなど)を含み得る。
【0646】
シャッフルされ、アセンブルされ、増幅された得られた生成物は、当該技術分野で既知の方法を使用して精製され(例えば、Qiagen PCR精製キット)、次いで引き続き適切な制限酵素を使用してクローニングされ得る。
【0647】
いくつかのDNAシャッフリングの改変例が今日までに公開されてきたが、そのような改変は当業者に明らかであり、本発明により包含される。DNAシャッフリング法はまた、Zhaoらにより記載される方法(Nucl Acid Res., 25 (6): 1307- 1308, (1997))を使用して、所望のレベルの突然変異誘発に調節され得る。
【0648】
上記で記載されるように、いったん無作為化プールが作成されると、それは次いで特異的スクリーニングにかけられて、所望の特性(単数または複数)を有する変異体が同定される。いったん変異体が同定されると、次いで、変異体に対応するDNAが、DNAシャッフリングの別のラウンドを開始するためにDNA基質として使用され得る。シャッフリング、所定の最適化変異体の選択、および再シャッフリングのこのサイクルは、究極の変異体が得られるまで繰り返され得る。DNAシャッフリング技術を使用して作成された変異体を同定するために適用されるモデルスクリーニングの例は、以下の文献に見いだされ得る:J. C., Moore, et al., J. Mol. Biol., 272: 336-347, (1997), F. R., Cross, et al., Mol. Cell. Biol., 18 : 2923-2931, (1998), およびA. Crameri., et al., Nat. Biotech., 15: 436-438, (1997).
【0649】
DNAシャッフリングはいくつかの利点を有する。第1に、それは有利な突然変異体を使用させる。スクリーニングと組み合わせた場合、DNAシャッフリングは最適な突然変異性組合せの発見を可能にし、最適な組合せが集団中の全突然変異を含むと想定しない。第2に、組換えはポイント突然変異誘発で同時に生じる。小断片DNAプールから全長遺伝子を合成するようにDNAポリメラーゼを促成する効果は、バックグラウンド突然変異誘発率である。ストリンジェントな選択法と組み合わせて、酵素活性を、野生型酵素の16000倍に増加するまで進化させた。基本的に、バックグラウンド突然変異誘発は、組換えが活性を向上させるように作用する遺伝子変動性を与えた。
【0650】
組換えの第3の特徴は、それが有害な突然変異誘発を除去するように使用され得るということである。上記のように、無作為化のプロセスの間、有利な変異体1つごとに対して、少なくとも1つまたはそれ以上の中立的または阻害的突然変異が存在する。そのような突然変異は、先の選択から選択された突然変異体のサイズ無作為断片に加えて、アセンブリー反応に過剰の野生型サイズ無作為断片を含むことにより除去され得る。次の選択の間、ポリヌクレオチド/ポリペプチド/酵素の最も活性な変異体のいくつかが阻害的変異対を失うはずである。
【0651】
最後に、組換えは、平行プロセシングを可能にする。このことは、タンパク質をより望ましいものにする多重特性(例えば、溶解性、活性、など)がある可能性が高いことから、顕著な利点を表す。1つより多い所望の形質について同時にスクリーニングすることはますます困難であることから、分子進化の他の方法は阻害性の傾向にある。しかしながら、組換えを使用して、種々の形質に対する最適な代表的変異体の無作為化断片を組み合わせ、次いで複数の性質について一度に選択することは可能である。
【0652】
DNAシャッフリングはまた、特定された宿主における、ポリヌクレオチドおよび本発明のポリペプチドの免疫原性を減少させるために、それらに適用され得る。例えば、DNAシャッフリング技術を使用して、本発明の特定の変異体が作成されて単離され得る。そのような変異体は、その新規の固有構造のため宿主において非常に免疫原性であり得るが、所望の特性の全てを有し得る。詳細には、所望の特性は、もはや「自己」分子として認識されずにむしろ「異質」として認識される非天然構造をポリペプチドに持たせ、したがって新規変異体に対する宿主免疫応答を活性化させ得る。そのような限界が、例えば、DNAシャッフリングの1またはそれより多いサイクルにおいて、新規変異体遺伝子の遺伝子配列とともに自然タンパク質の生体異物オーソログの遺伝子配列のコピーを1つ含むことにより、克服され得る。オーソログと新規変異体のDNAのモル比は、相応に変更され得る。理想的には、同定された得られたハイブリッド変異体は、生体異物タンパク質が宿主免疫システムを逃れることを可能にするコード配列を少なくとも複数、およびさらに所望の特性を提供する最初の新規変異体のコード配列を含む。
【0653】
同様に、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの進化への、DNAシャッフリング技術の応用を包含し、ここでDNAシャッフリングの1つまたはそれより多いサイクルが、遺伝子鋳型DNAに加えて、既知の対立形質配列、最適化コドン配列、既知の変異体配列、既知のポリヌクレオチド多型配列、既知のオルソログ配列、既知の相同体配列、さらなる相同配列、さらなる非相同配列、別の種由来の配列、および上記の任意の数および組合せをコードするオリゴヌクレオチドを含む。
【0654】
上記の方法に加えて、多数の関連する方法があり、それらもまた適用可能であるか、または特定の場合において望ましいものであり得る。それらの中で代表的なものは、PCT出願WO98/31700およびWO98/32845において記載される方法であり、これらは本明細書により参照として援用される。さらに、関連する方法はまた、遺伝子治療、タンパク質工学、変異体を含む分子全体の進化、または本発明のポリヌクレオチドを含む酵素経路全体の進化における使用に理想的な変異体を作成するために発明を発展させる目的で、それぞれPCT出願WO98/13485、WO98/13487、WO98/27230、WO98/31837、およびCrameri, A., et al., Nat. Biotech., 15: 436-438, (1997)に記載されるように、本発明のポリヌクレオチド配列に適用され得る。
【0655】
「DNAシャッフリング」技術を、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに適用するさらなる方法は、それらの提案される適用を含めて、以下に見いだされ得る;米国特許第5,605,793号;PCT出願番号WO95/22625;PCT出願番号WO97/20078;PCT出願番号WO97/35966;およびPCT出願番号WO98/42832;PCT出願番号WO00/09727。特にDNAシャッフリングを除草剤選択的作物の同定に適用するための方法を提供し、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに適用され得る。さらに、PCT出願番号WO00/12680は、植物種に検出可能な表現型性質を与えるポリヌクレオチド配列を、生成、修飾、適合、および最適化するための方法および組成物を提供する。上記のそれぞれの全文が、本明細書中にその全目的のために、参照として本明細書により援用される。
【0656】
実施例29?マイクロアレイを使用したタンパク質の機能決定
DNAマイクロアレイの調製
YTK12酵母細胞中のクローンを、CMD-Wプレート上で30℃で成長させる。96ウェルプレートにおけるPCRを使用して、以下のように挿入を増幅する:1クローンあたり、80ulの滅菌水、10ulの10XRedTaq緩衝液(Sigma)、2ulの10mMdNTPMix(Boehringer Manheim)、2ulの本発明のポリヌクレオチドに対応する順方向プライマー、100ng/ul、2ulのT7プライマー100ng/ul、4ulのRedTaqDNAポリメラーゼ(Sigma)からなる100ulの反応混合物、および酵母コロニーのアリコートを混合して、95℃で2分(1回)、次いで94℃で30秒、続いて50℃で30秒、および72℃で30秒(35〜40サイクル)、および最後に7分間の72℃工程にかける。PCR生成物を、ゲル濾過カートリッジ(Edge BioSytems)を2回使用して精製し、過剰なプライマーを完全に除去する。全てのPCR生成物を、アガロースゲル電気泳動により評価する。ロボット(TECAN)を使用して、PCR生成物を384のウェルプレートに移し、次いで試料を減圧乾燥して、20ulの50%DMSOに再懸濁させる。
【0657】
DNA試料を、Molecular Dynamics/Amersham Pharmacia Biotech提供のマイクロアレイGENIIIスポッターを使用して、アミノシリカ化合(silinated)被覆ガラス鏡検スライド上に整列させる。試料を空気乾燥させた後、スライドを50mJ波長254nmの光パルスに露光させることにより、試料のスライドに対するUV架橋が行われ得る。
【0658】
cDNAのin vitro転写によるRNA単離および標識mRNAの調製
全RNAを、Qiagen提供のRNeasyキットを使用して、様々な組織(化学薬品で処理または未処理の、あるいは生物的または非生物的ストレスを受けたまたは受けていない、葉、根、花、茎、成長点、細胞培養物)から単離する。全RNAを、以下に記載されるようにcDNAへ転換する。第一鎖cDNA合成は以下のように行われ得る:
3〜5ugの全RNAを1ulのT7?オリゴ(dT)24プライマー5'?GGCCAGTGAATTGTAATACGCTCACTATAGGGAGGCGGTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT?3'(配列番号:19)と混合し、最終容量をDEPC-H20で12ulにする。管を70℃で5分間加熱した後、4ulの5X第一鎖緩衝液(Life technology)、1ulの0.1MDTTおよび1ulの10mMDNTPを加える。37℃で2分間インキュベートした後、3ulの逆転写酵素(SSII RT, 200-unit/ul, Life Technology)を加え、続けて37℃で1時間インキュベートした。
【0659】
第二鎖合成を以下のように行う:第一鎖反応混合物に、89ulのDEPC-H20、3ulの10mM dNTP、1ulの10U/ul大腸菌DNAリガーゼ、4ulの10U/ul大腸菌DNAポリメラーゼ、および2ulの2U/ul大腸菌RNaseHを加えて16℃で2時間インキュベートした。次いで、2ulの5U/ulT4DNAポリメラーゼを加えて16℃で5分間インキュベートした。フェノール/クロロホルム抽出1回により反応を停止させ、上清が2.5容量の100%エタノールおよび1/10容量の5MNH4Acの存在下で沈殿した。試料を混合した後、それを直ちに室温で12000gで5分間遠心分離する。ペレットを80%エタノールで2回洗い、風乾してから、2ulのRNaseを含まない水に溶解する。Cy色素標識をもつin vitro転写を以下のように行う:
1反応あたり、1ulのT7 10X反応緩衝液(Ambion)、3ulの25mM ATP、CTP、GTP混合物、1ulの20mMUTP(Ambion)、1ulのcDNA、3ulの5mMのCy3またはCy5(Amersham)、0.5ulの内部標準PCR生成物(すなわち、ヒトCCR5)、1ulの酵素混合物(Ambion、MEGAscript(商標))および1ulのT7RNAポリメラーゼ(USB、100ユニット/ul)を合わせて、暗下水浴中で、37℃で4〜6時間インキュベートする。次いで、1ulのRNaseを含まないDNaseIを用いて37℃で15分間インキュベートすることにより、鋳型cDNAを除去する。次いで、RNAプローブ精製のためのRneasyミニプロトコル(Qiagen)を使用して、RNAプローブを精製する。各プローブを光から保護してー70℃で貯蔵する。
【0660】
マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ分析
比較する2つのmRNAプールを混合し、50%ホルムアミド、5XS
SC、0.1%SDSを含むハイブリダイゼーション混合物36ulでマイクロアレイスライドにかける。ハイブリダイゼーションは、蓋付きの加湿されたプラスチック管中で、42℃で14〜18時間にわたり、ガラスカバースリップ下で行われ得る。次いで、スライドを、0.5XSSC、0.1%SDS中42℃で5分間で2回、0.25XSSC、0.1%SDS中42℃で10分間で1回、0.25XSSC、0.1%SDS中55℃で30分間で1回洗い、それからN2の穏やかな気流下乾燥させる。
【0661】
スライドのスキャニングを、Cy3標識プローブに対して665VのPMTおよびCy5標識プローブに対して685VのPTMで、Generation III Array Scanner (Molecular Dynamic)で行う。データの獲得および分析(バックグランド除去、規格化、および平均値・・・)を、ソフトウェアArrayVision(商標)(Imaging Research, Inc.)を使用して行う。Cy5/Cy3蛍光比およびlog10変換比を、規格化された値から計算する。ソフトウェアSpotFire(商標)(Spotfire, Inc.)およびGeneSpring(商標)(Silicon Genetics, Inc.)を、データ視覚化およびクラスタリング分析のために使用する。
【0662】
実施例30?真空浸潤を使用する植物の形質転換法
植物の形質転換は、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの生物学的機能を評価するのに欠かせないツールとして役に立ち得る。例えば、植物は、アンチセンス調節を介して、特定の遺伝子をダウンレギュレート可能なベクターで形質転換され得る(すなわち、ベクターはアンチセンス方向に、所定の遺伝子の転写物を発現し得る)か、または例えば、ベクターは単に特定のポリペプチドを過剰発現可能であり得る。得られた転写物の表現型を観測することにより、当該技術分野で既知のおよび本明細書中の他の箇所で記載される技法を使用してタンパク質の機能が誘導され得る。形質転換法として他に使用されるものは本明細書中他の箇所で記載される。
【0663】
以下の、植物材料を形質転換する方法は任意の植物種に適用可能であり得るが、アラビドプシスに使用するのに特に適している。
【0664】
アラビドプシスを、形質転換のために必要になるまで、20℃8時間明期、18℃16暗期で成長させる。週に1度、下から肥料を施す。1平方インチあたり細い植物約1。抽薹したら直ちに使用する。短日は、より強い栄養植物成長および種子収量の増加を可能にする。
【0665】
植物を、20℃16時間明期、18℃8時間暗期に移す。植物はすぐに抽薹するはずであり、最初の花序が10〜15cmの高さになり、第2の花序がロゼットに現れてきたら、植物をすぐに浸潤させる。
【0666】
その合間に、構築物をアグロバクテリウム・チュメファシエンス株EHA105に形質転換する(Koncz and Schell, 1986)(以下のアグロバクテリウム直接形質転換:凍結融解法を参照)。植物を形質転換する準備ができた時点で、1mlの一晩培養物を使用して、構築物に適切な抗生物質および50ug/mLのリファンピシン(C58 Agro_および、または25mg/mLゲンタマイシン(pMP90))を含有するYEB培地(2Lフラスコ)の培養物500mlに接種する。培養物を、28℃で2日間、およそ275rmpで成長させる。YEB培地は以下に記載される。
【0667】
OD600が2.0よりも大きい場合、培養物を30分3500rpmで遠心分離し、それを以下に記載される浸潤培地0.5〜1.0mlに再懸濁させる。
【0668】
再懸濁培養物を、大きなベルジャーをもつ容器におき、浸潤されるべき植物を含むポットを、植物全体が覆われる(ロゼットを含むが、多すぎる土壌を含まない)ように、浸潤培地中にひっくり返す。植物下の大きな気泡を全て除去する。真空に引く(およそ700Hg)。吸い込みを閉じ、植物を真空下で5分間座らせる。真空圧を直ちに解除する。ポットを簡単にドレン排出する。
【0669】
浸潤植物を上記のように20℃16時間明期、18℃8時間暗期で成長させる。抽薹が成長するように植物を杭で支える。植物の開花が終了した時点で、T0種子を収穫する。
【0670】
種子を滅菌し、以下に記載される選択培地で形質転換体についてスクリーニングする。発芽1週間後、暗緑色(耐性)植物を第2の選択プレートに移し、次いで6〜10日後土壌に移す。数日間、新しい移植片を覆われたままにする。
【0671】
植物培地
1Lに対して 真空浸潤培地 選択培地
MS塩 2.2g 4.3g
B5ビタミン、1000X 1.0mL 1.0mL
ショ糖 50g l0g
MES、200mg/mL
(pH5.7)KOHとともに 2.5mL 2.5mL
ベンジルアミノプリン
(BAP、lmg/mL) 44μL ?
SilweetL-77 200μL ?
Phytagar 8g
細菌培地 YEP
酵母抽出物 1.0g
ウシ抽出物 5.0g
ペプトン 5.0g
ショ糖 5.0g
MGSO4 0.5g
【0672】
当業者は、他の植物種に適用するために、上記の形質転換法が変更され得ることを理解するだろう。そのような変更は、新規工程の追加、任意の記載される工程の削除、および/または試薬の置換を含み得る。
【0673】
アグロバクテリウム直接形質転換:凍結融解法
適切なヘルパーTiプラスミドを含むアグロバクテリウム株を、5mLのYEP培地(YEP培地は、本明細書中の他の箇所で記載される)中、28℃で一晩成長させる。2mlの一晩培養物を、259mLフラスコ中、50mlのYEP培地に加え、培養物が0.5〜1.0のOD600に成長するまで、28℃で激しく振盪(250rpm)する。培養物を氷上で冷却する。細胞懸濁液を、4℃で5分間3000gで遠心分離する。
【0674】
上清溶液を廃棄する。細胞を、1mLの20mM CaCl2溶液に再懸濁させる(氷冷)。0.1mLアリコートを予め冷却したエッペンドルフ管に分配する。約1ugのプラスミドDNAを細胞へ加える。
【0675】
細胞を液体窒素中で凍結させる。試験管を37℃の水浴中で5分間インキュベートすることにより、細胞を融解する。1mLのYEP培地を試験管に加え、穏やかに揺すりながら28℃で2〜4時間インキュベートする。この期間は、細菌に抗生物質耐性遺伝子を発現させる。試験管をエッペンドルフ遠心分離中で30秒管遠心分離する。上清溶液を廃棄する。細胞を、1mLのYEP培地に再懸濁させる。
【0676】
細胞を、3〜5ug/mLのテトラサイクリンおよび10〜25ug/mLのカナマイシンを含むYEP寒天プレートに薄く広げる。プレートを28℃でインキュベートする。形質転換コロニーが2〜3日のうちに出現するはずである。
【0677】
当業者は、他の植物種に適用するために、上記の形質転換法が修飾され得ることを理解するだろう。そのような修飾は、新規工程の追加、任意の記載される工程の削除、および/または試薬の置換を含み得る。
【0678】
実施例31−代謝産物プロファイリングを使用したタンパク質機能の同定
本発明は、本発明のポリペプチドの遺伝子機能の同定のための代謝産物プロファイリングの適用を含む。1つの例では、本発明のタンパク質を発現できないか、本発明のタンパク質の発現レベルが減少したトランスジェニック植物を作製することができる。このようなトランスジェニック植物を、例えば、当該技術分野で既知の方法および本明細書中に記載の方法を使用して内因性遺伝子を不活化または欠失するためのノックアウト構築物の作製によって得ることができる。あるいは、トランスジェニック植物を、植物への本発明のタンパク質のアンタゴニストを発現する構築物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アニセンス遺伝子、抗体など)の挿入によって作製することができる。特異的ストラテジーを含むトランスジェニック植物の作製法の他の例は、当該技術分野で既知であり、そのいくつかは本明細書中に記載されている。
【0679】
いったん本発明のタンパク質が不活化されるかその発現が阻害されると、得られた植物の代謝産物プロフィールを確認し、タンパク質機能を割り当てることができる。植物における本発明のタンパク質発現の予想した代謝阻害または不活化プロフィールは、既知の栄養失調、病原性疾患、生物ストレス、または無生物ストレス(例えば、その多くが本明細書中に開示されている)に類似し得る。さらに、本発明のトランスジェニック植物の代謝プロフィールは、本発明のポリペプチドがその成員である特異的経路の同定、さらに、潜在的な上流および/または下流のエフェクターまたはアフェクターそれぞれの同定に有用である。さらに、本発明のポリペプチドの作用様式を同定可能である。
【0680】
植物の代謝産物プロフィールの多数の同定法が当該技術分野で既知である。非限定的な例は、Sauter, H.他、「Metabolic Profiling of Plants: A New Diagnostic Technique」、Synthesis and Chemistry of Agrochemicals II, Baker, D. R., Fenyes, J. G., and Moberg, W. K., 編、ACSシンポジウムシリーズ、433、第24章、頁288〜29、1991に記載されている。簡単に述べれば、本発明のトランスジェニック植物または本発明のポリペプチド発現が阻害または不活化された植物を、成長チャンバーで成長させる。シュートを採取し、さらなる処理まで直ちに凍結する。凍結植物試料を秤量し、3倍量(W:W)のエタノールを添加する。次いで、混合物をミキサー中で粉砕し、抽出のために得られた懸濁液を2時間静置する。次の工程は、濾過、蒸発、およびN−メチル−N−(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(MSTFA)でのシリル化である。内部標準アルカンも添加し、それにより保持係数を計算し、定量する。次いで、粗混合物を、メチルシリコンゴム融合シリカキャピラリーカラムでのガスクロマトグラフィーに供する(30m DB−1。注入温度:230℃、オーブン温度:100〜320℃、4℃/分;15分で320℃)。次いで、保持係数を内部標準(n−C10H22=1000、n−C28H58=2800)と比較して計算する。
【0681】
上記のプロトコールを、多数の試験植物、さらに対照に適用することができる。得られたプロフィール由来のデータを、1つのグループにし(すなわち、一方のグループは試験植物、他方のグループを対照)、各群について平均プロフィールを得る。後者の工程では、対応するピーク(すなわち、等しい保持係数を有するピーク)を、1つのグループにし、ピークの高さを統計分析に供する。
【0682】
試験植物と対照植物との間の代謝プロフィールの相違を、2つのグループの間の「プロフィールの差」の計算によって同定する。プロフィールの相違を、ピークの高さで割ることによって計算する。このプロフィールの相違により、1つの代謝の大きさの他の代謝に対する変化を半定量的に評価される。
【0683】
いったん上記が完了すると、ピークを特定の代謝産物と関連付けることができる(すなわち、各ピークの代謝産物同一性が同定される)。植物の特異的経路を調整することが既知のタンパク質の代謝プロフィールと本発明のプロフィールとの比較によって、本発明のポリペプチドの機能の手がかりおよび/または同一性を決定することができる。当該技術分野で他の方法が既知であり、任意の1つまたは複数の工程をこのような方法と同等にかえることができる。
【0684】
実施例32−生態学的表現型分類を使用したタンパク質機能の同定
本発明は、本発明のポリペプチドの遺伝子機能を同定するための形態学的表現型分類の適用を含む。1つの例では、本発明のタンパク質を発現できないか、本発明のタンパク質の発現レベルが減少したトランスジェニック植物を作製することができる。このようなトランスジェニック植物を、例えば、当該技術分野で既知の方法および本明細書中に記載の方法を使用して、内因性遺伝子を不活化または欠失するためのノックアウト構築物の作製によって得ることができる。あるいは、トランスジェニック植物を、植物への本発明のタンパク質のアンタゴニストを発現する構築物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンス遺伝子、抗体など)の挿入によって作製することができる。特異的ストラテジーを含むトランスジェニック植物の作製法の他の例は、当該技術分野で既知であり、そのいくつかは本明細書中に記載されている。
【0685】
いったん本発明のタンパク質が不活化されるかその発現が阻害されると、得られた植物の形態学的表現形を確認し、タンパク質機能を割り当てることができる。植物における本発明のタンパク質発現の予想した阻害または不活化表現形は、既知の栄養失調、病原性疾患、生物ストレス、または無生物ストレス(例えば、その多くが本明細書中に開示されている)に類似し得る。
【0686】
実施例33−トランスゲノム法(TGT)を使用したタンパク質機能の同定
本発明は、本発明のポリペプチドの遺伝子機能を同定するためのトランスゲノム法(TGT)の適用を含む(Cambia Biosystems, Bellevue, WA)。TGTは、ゲノム学および機能的ゲノム学の両方を組み合わせ、特定の表現型または形質を有する遺伝子配列(例えば、本発明のポリヌクレオチド配列)の会合が可能である。この技法は、植物(特に、イネおよびArabidopsis属)のゲノム中のレポーター遺伝子(例えば、βグルクロニダーゼ(GUS)、BoGUS、GFP)トランスポゾンの無作為な組み込みに基づいている。
【0687】
トランスポゾンは、転写アクチベーターおよびトランスアクチベーターに応答することができるレポーター遺伝子を含むエンハンサートラップベクターを含み得る。組み込みが無作為であるので、トランスポゾンは遺伝子調節エレメント付近で組み込まれてトランスアクチベーター遺伝子を有効にオンにし、この遺伝子の活性がレポーター遺伝子の活性化を促進すると予想される。したがって、上記のプロセスの反復により、固有の発現パターンを有する他の数の細胞系集団を作製することができる。これらの「パターン系」は、一般に、所望の発現パターンを有する系を選択する作業によって特徴付けられる。パターン系を逆遺伝子研究に使用して、所定の遺伝子中に突然変異を含む系を同定することができ、これを遺伝背景として使用して機能獲得型(GOF)突然変異および機能欠失型(LOF)突然変異を得ることができる。さらに、新規の発現(または発現の喪失)パターンは、新規の表現型および形質を対象とすることができない。さらに、所望の発現パターンを示すパターン系を遺伝子の基礎として使用して、標的組織中または所望の発生段階での遺伝子の発現を指示する。
【0688】
上記のTGT法を使用して、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの機能を同定することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチド配列を使用して、TGT法を使用して本発明のポリヌクレオチドの上流に正にタグ化した細胞系のスクリーニングおよび同定に適切なPCRプライマーを作製することができる。いったん同定されると、ポリヌクレオチド配列の機能を、TGT法でタグ化した本発明の遺伝子の、特定の細胞系(すなわち、パターン系)で認められる特異的表現型または形質への関連付けによって確認することができる。本発明のポリヌクレオチドへのTGTの別の可能な適用は、本発明の選択ポリヌクレオチドの遺伝子発現のターゲティングである。例えば、当該技術分野で既知の技術および本明細書中に記載の技術を使用して、上流調節配列に隣接した本発明のポリヌクレオチド配列を所望の発現パターンを示すパターン系に移入することができる。
【0689】
上記技術の多数の変形形態が当該技術分野で既知であり、当業者に認識される。例えば、当業者は、他のトランスポゾン、レポーター遺伝子、活性化配列などを置換するかTGT技術と組み合わせて使用することができることを認識する。特定のTGT技術適用法は、例えば、Wilson KJ, 他 , Microbiol, 141: 1691-1705, (1995)ならびに米国特許第5,879,906号、同第5,599,670号、および同第5,432,081号(その全体が本明細書中で参照により援用される)に見出すことができる。
【0690】
実施例34−所望の種子貯蔵化合物の生成に対する組換えタンパク質の影響についての分析
所望の種子貯蔵化合物(糖、脂質、および脂肪酸)に対する植物の遺伝子改変の効果を、適切な条件下での改変植物の成長および所望の生成物(すなわち、脂質または脂肪酸)の増産のための種子または任意の他の植物器官の分析によって評価することができる。このような分析技術は当業者に既知であり、分光学、薄層クロマトグラフィー、種々の染色法、酵素および微生物学的方法、および高速液体クロマトグラフィーなどの分析用クロマトグラフィーが含まれる(例えば、Ullman 1985、「Encyclopedia of Industrial Chemistry」、vol.A2、pp89-90and443〜613、VCH: Weinheim; Fallon, A他、1987、Application of HPLC in Biochemistry in:「Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology」、vol.17;Rehm et al.、1993、「Product recovery and purification, Biotechnology」、vol.3、ChapterIII、pp469-714、VCH: Weinheim; Belter, P. A.他、1988、「Bioseparations: downstream processing for biotechnology」、John Wiley & Sons; Kennedy J. F. & Cabral J. M. S. 1992、「Recovery processes for biological materials」、John Wiley and Sons; Shaeiwitz J. A. & Henry J. D., 1988、Biochemical separations in:「Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Separation and purification techniques in biotechnology」、vol. B3、Chapter 11、pp.1-27、VCH: Weinheim;and Dechow F.J. 1989を参照のこと)。
【0691】
上記方法に加えて、Cahoon他(1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 22, 12935-12940)およびBrowse他(1986, Anal. Biochemistry, 442, 141-45)に記載のように、植物脂質を植物材料から抽出する。脂質または脂肪酸の定性分析および定量分析は、Christie, William W.、「Advances in Lipid Methodology」。Ayr/ Scotland、Oily Press、(Oily Press Lipid Library 2); Christie, William W.、「Gas Chromatography and Lipids. A Practical Guide」、Ayr, Scotland: Oily Press, 1989, 1992再版、IX, 307S。(Oily Press Lipid Library; 1);「Progress in Lipid Research」Oxford: Pergamon Press, 1 (1952)-16 (1977)、「Progress in the Chemistry of Fats and Other Lipids CODEN」に記載されている。
【0692】
脂肪酸生成物の存在の決定的な証拠を、以下の標準的分析手法によるトランスジェニック植物の分析によって得ることができる:Christieおよびその参考文献に多様に記載のGC、GC−MS、またはTLC(1997、「Advances on Lipid Methodology」、4th ed.: Christie, Oily Press, Dundee, 119-169, 1998)。詳細な方法は、葉についてはLemieux他(1990, Theor. Appl. Genet., 80, 234-240)に記載されており、種子についてはFocks & Benning(1998, Plant Physiol., 118, 91-101)に記載されている。
【0693】
グリセロール骨格のC−1、C−2、またはC−3位脂肪酸組成の位置分析を、リパーゼ消化によって同定する(例えば、Siebertz & Heinz, 1977, Z. Naturforsch. 32c: 193-205およびChristie 1987 「Lipid Analysis」、2nd Edition、Pergamon Press、Exeter、ISBN 0-08-023791-6を参照のこと)。
【0694】
脂質および糖生合成経路に対するタンパク質活性の増減の影響についての典型的な情報収集法は、例えば、14C酢酸塩または14Cピルビン酸塩を使用した葉または種子を用いた標識研究による炭素溶解(carbon fluxes)の分析による(例えば、Focks & Benning, 1998, Plant Physiol., 118: 91-101; Eccleston & Ohlrogge, 1998, Plant Cell, 10: 613-621を参照のこと)。14Cの脂質および水溶性成分への分配を、14Cスクロースおよび14Cマルトースなどの標準を含む個別の分離(例えば、TLCプレート)後に液体シンチレーションカウンティングによって同定することができる(Eccleston & Ohlrogge, 1998, Plant Cell 10: 613-621)。
【0695】
分析すべき材料を、超音波処理、ガラスミル、液体窒素、および粉砕、または他の適用可能な方法によって崩壊させることができる。崩壊後に材料を遠心分離する必要がある。沈殿物を蒸留水で再懸濁し、100℃で10分間加熱し、氷上で冷却し、再度遠心分離し、2%ジメトキシプロパンを含む0.5M硫酸のメタノール溶液で90℃で1時間抽出して、油および脂質化合物を加水分解し、トランスメチル化脂質を得る。これらの脂肪酸メチルエステルを石油エーテル中に抽出し、最後にキャピラリーカラム(Chrompack、WCOT融合シリカ、CP−Wax−52CB、25m、0.32mm)を使用し、170℃と240℃の間で20分間および240℃で5分間の温度勾配のGC分析に供する。得られた脂肪酸メチルエステルの同一性を、市販(すなわち、Sigma)の標準の仕様によって定義する。
【0696】
標準を利用できない脂肪酸の場合、分子の同一性を、誘導化およびGC−MS分析によって示す。例えば、脂肪酸の三重結合の位置付けを、4,4−ジメトキシ−オキサゾリン−デリバテン(Christie, Oily Press, Dundee, 1998)を介した誘導後にGC−MSによって示す。
【0697】
標準的な糖、特にデンプンの分析する一般的な標準方法は、Stitt M., Lilley R. Mc. C., Gerhardt R. and Heldt M. W.(1989、「Determination of metabolite levels in specific cells and subcelluar compartments of plant leaves」、Methods Enzymol. 174: 518-552;他の方法については、Hartel他、1998, Plant Physiol. Biochem. 36: 407-417およびFocks & Benning、 1998, Plant Physiol. 118: 91-101を参照のこと)に公開されている。
【0698】
可溶性糖およびデンプンの抽出のために、50個の種子を1.5mlのポリプロピレン製試験管中の500μlの80%(v/v)エタノール中で均質化し、70℃で90分間インキュベートした。16,000gで5分間の遠心分離後、上清を新しい試験管に移す。ペレットを500μlの80%エタノールで2回抽出する。合わせた上清の溶媒を室温で真空蒸発させる。残渣を50μlの水に溶解し、可溶性炭水化物画分を示す。デンプンを含む可溶性炭水化物を含むエタノール抽出から静置したペレットを、200μlの0.2N KOH中で均質化し、懸濁液を95℃で1時間インキュベートしてデンプンを溶解する。35μlの1N酢酸の添加および16,000gで5分間の遠心分離後、上清をデンプン定量に使用する。
【0699】
可溶性糖を定量するために、10μlの糖抽出物を、100mMイミダゾール(pH6.9)、5mM MgCl2、2mM NADP、1mM ATP、および2単位の2ml-1グルコース6−P−デヒドロゲナーゼを含む990μlの反応緩衝液に添加する。グルコース、フルクトース、およびスクロースの酵素同定のために、4.5単位のヘキソキナーゼ、1単位のホスホグルコイソメラーゼ、および2μlの飽和フルクトシダーゼ溶液を連続的に添加する。NADPHの生成を、340nmの波長で分光学的にモニターする。同様に、デンプンを、Boehringer Mannheimのキットを使用して、30μlの不溶性炭水化物画分でアッセイする。
【0700】
葉中および種子中のタンパク質含有量の分析例を、Bradford M. M.(1976、「A rapid and sensitive method for the quantification of microgram quanitities of protein using the principle of protein dye binding」、Anal. Biochem. 72: 248-254)に見出すことができる。全種子タンパク質の定量化のために、15〜20個の種子を、1.5mlのポリプロピレン試験管中の250μlのアセトン中で均質化する。16,000gで遠心分離後、上清を捨て、真空乾燥ペレットを、50mM Tris−HCl(pH8.0)、250mM NaCl、1mM EDTA、および1%(w/v)SDSを含む250μlの抽出緩衝液に再懸濁する。25℃で2時間のインキュベーション後、ホモジネートを16,000gで5分間遠心分離し、200mlの上清をタンパク質測定に使用する。このアッセイでは、較正のためにγグロブリンを使用する。タンパク質測定のために、Lowry DCタンパク質アッセイ(Bio−Rad)またはBradfordアッセイ(Bio−Rad)を使用する。
ヘキソキナーゼおよびフルクロキナーゼの酵素アッセイを、Renz他(1993, Planta, 190: 156-165)にしたがって行い、ホスホグルコイソメラーゼ、ATP依存性6−ホスホフルクロキナーゼ、ピロリン酸依存性6−ホスホフルクロキナーゼ、フルクトース−1,6−二リン酸アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセラル−3−Pデヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、エノラーゼ、およびピルビン酸キナーゼの酵素アッセイを、Burrell他(1994, Planta, 194: 95-101)にしたがって行い、UDP−グルコース−ピロホスホリラーゼの酵素アッセイを、Zrenner他(1995, Plant J. 7: 97-107)にしたがって行う。
【0701】
グルコース−1−リン酸、グルコース−6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸、およびATPなどの炭水化物代謝の中間体を、Hartel他(1998, Plant Physiol., Biochem. 36: 407-417)に記載のように測定し、代謝産物を、Jelitto他(1992, Planta, 188: 238-244)に記載のように測定する。
【0702】
最終種子貯蔵化合物(すなわち、脂質、デンプン、または貯蔵タンパク質)の測定に加えて、化合物の全生成効率を同定するために、中間体または副産物などの所望の種子貯蔵化合物の生成に使用される代謝経路の他の成分を分析することも可能である(Fiehn他、2000, Nature Biotech. 18: 1447-1161)。
【0703】
例えば、本明細書中に開示の核酸またはそれらの断片を含む酵母発現ベクターを標準的なプロトコールを使用して構築し、Saccromyces cerevisieに形質転換する。次いで、得られたトランスジェニック細胞を、糖、油、脂質、または脂肪酸含有量の変化についてアッセイすることができる。
【0704】
同様に、標準的なプロトコール細胞を使用して、本明細書中に開示の核酸またはその断片を含む植物発現ベクターを標準的なプロトコールを使用して構築し、aアラビドプシス属、ダイズ、ナタネ、メイズ、コムギ、メディカゴ・トルンカトゥラ(Medicago truncatula)などの適切な植物細胞に形質転換することができる。次いで、それに由来する得られたトランスジェニック細胞および/または植物を、糖、油、脂質、または脂肪酸含有量をアッセイすることができる。
【0705】
さらに、本明細書中に開示の配列またはそれらの断片を使用して、細菌、哺乳動物細胞、酵母細胞、および植物細胞などの種々の器官のゲノム中にノックアウト突然変異を作製することができる(Girke他、1998, Plant J., 15, 39-48)。次いで、得られたノックアウト細胞を、種子貯蔵化合物中の組成物および含有量、および突然変異の表現型および/または遺伝子型に対する効果について評価することができる。他の遺伝子不活化法には、米国特許第6,004,804号、「非キメラ突然変異ベクター(Non-Chimeric Mutational Vectors)」およびPuttaraju等(1999, 「Spliceosome-mediated RNA trans-splicing as a tool for gene therapy」、Nature Biotech. 17: 246-252)が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タンパク質ファルネシル化経路の概要図。この図は、タンパク質ファルネシル化経路に関与する既知の酵素を、その機能的関連性と併せて特定する。説明の目的で、生じ得る標的タンパク質を点線で表しており、一方実線は、「CaaX」部位で標的タンパク質のC末端に付加された15炭素原子鎖を表す。15炭素鎖は、酵素ファルネシルトランスフェラーゼ(Ftase)による保存システイン(C)に付加される。最後の3個のアミノ酸残基(aaX)は、酵素プレニルペプチダーゼ(PrPase)により切断される。最後に、修飾システインが、メチラーゼによりメチル化されて、タンパク質ファルネシル経路の最終活性産物を創出する。
【図2】 本発明のフィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)由来の部分PrPaseのポリヌクレオチド配列(配列番号1)(クローン識別番号:PpPrPase1)を示す。このポリヌクレオチド配列は、1398個のヌクレオチド配列を含有する。
【図3】 配列番号1の推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。このポリペプチド配列は、394個のアミノ酸配列を含有する。標準的なアミノ酸の一文字略記を用いて、推定アミノ酸配列を示す。
【図4】 本発明のアラビドプシス・サリアナ由来の完全長PrPase(AtPrPase1)のヌクレオチド配列(配列番号1)(クローン識別番号:AtPrPase1)。このポリヌクレオチド配列は、1275個のヌクレオチド配列を含有する。
【図5】 配列番号3の推定アミノ酸配列(配列番号4)。このポリペプチド配列は、424個のアミノ酸配列を含有する。標準的なアミノ酸の一文字略記を用いて、推定アミノ酸配列を示す。
【図6】 本発明のアラビドプシス・サリアナ由来の完全長PrPase(AtPrPase2)のヌクレオチド配列(配列番号5)(クローン識別番号:AtPrPase2)。このヌクレオチド配列は、1275個のヌクレオチド配列を含有する。配列番号3および配列番号5は、ヌクレオチド位置:276、504、1046、1062、1068、1142、1182、および1190で8個のヌクレオチド差異を有する完全長アラビドプシスAtPrPaseである。
【図7】 配列番号5の推定アミノ酸配列(配列番号6)。このポリペプチド配列は、424個のアミノ酸配列を含有する。標準的なアミノ酸の一文字略記を用いて、推定アミノ酸配列を示す。配列番号4および配列番号6は、アミノ酸位置:349、381、および397で3個のアミノ酸差異を有する完全長アラビドプシスAtPrPaseである。
【図8】 本発明のダイズの完全長PrPase(GmPrPase1)のヌクレオチド配列(配列番号7)(クローン識別番号:GmPrPase2)。このポリヌクレオチド配列は、1434個のヌクレオチド配列を含有する。
【図9】 配列番号7の推定アミノ酸配列(配列番号8)。このポリペプチド配列は、400個のアミノ酸配列を含有する。標準的なアミノ酸の一文字略記を用いて、推定アミノ酸配列を示す。
【図10】 本発明のトウモロコシの部分PrPase(ZmPrPase1)のヌクレオチド配列(配列番号9)(クローン識別番号:ZmPrPase2)。このポリヌクレオチド配列は、1301個のヌクレオチド配列を含有する。
【図11】 配列番号9の推定アミノ酸配列(配列番号10)。このポリペプチド配列は、329個のアミノ酸配列を含有する。標準的なアミノ酸の一文字略記を用いて、推定アミノ酸配列を示す。
【図12】 配列番号2、4、6、8、10、ならびにサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisies)PrPase(Swiss-Portアクセッション番号第P47154号)およびヒトPrPase(Swiss-Portアクセッション番号第O75844号)の配列のアミノ酸複数配列のアラインメント(CLUSTAL Wアルゴリズム、Blosum62スコアリングマトリックス)。活性部位に、斜線を施した。
【図13】 アラビドプシスPrPaseのコンピュータ(Genefinder(P.Green and L.Hillier, www.ncbi.nlm.nih.gov))で予測したORFおよび実験的に実証したORF(配列番号4および6)のエクソン/イントロン構造の比較。エクソンは、両方のクローンにおいて、順次番号を付けた。対応するエクソンは、互いに下に位置している。イントロンを結ぶ線は、生物学的に意味をもたない。この図を作成するために、改行を配列に導入した。
【図14】 アラビドプシスPrPaseアンチセンス遺伝子の発現を制御する種々の植物プロモーターを含有する植物発現ベクターpBRSRC003、pBPSRC005、およびpBPSGB01の図。pBPSRC003では、アンチセンスPrPase遺伝子の発現は、構成的スーパープロモーター(Ni et al., The Plant Journal 7:661-76(1995))の制御下にある。それに対して、pBPSRC005では、孔辺細胞特異的プロモーターKST1(G, Plesch et al, 未公表の結果)が、またpBPSGB01では、種子特異的プロモーターUSP(未知の種子タンパク質、Baumlein et al, Mol Gen Genet 115:459-467, 1991)が、同じ遺伝子の発現を駆動する。成分は、aacCIゲンタマイシン耐性遺伝子(Hajdukiewicz et al., 1994 Plant Molecular Biology 25:989-94)、NOSプロモーター(Becker et al., 1992 Plant Molecular Biology 20:1195-7)、g7Tターミネーター(Becker et al., 1992)、NOSpAターミネーター(Jefferson et al., EMBO J 6:3901-7 1987)、およびnptII(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII)カナマイシン耐性遺伝子、AtAct2−iアクチンプロモーター、OCS3オクトピンシンターゼ(MacDonald et al., Nucleic Acids Res. 19:55875-5581)ターミネーター、種子特異的USPプロモーター、NOSpAターミネーター(Jefferson et al., EMBO J 6:3901-7 1987)。
【図15】 本発明のアラビドプシスAtPrPase1プロモーター(Promoter/AtPrPase1)のヌクレオチド配列(配列番号11)(クローン識別番号:Promoter/AtPrPase1)。このポリヌクレオチドは、2047個のヌクレオチド配列を含有する。
【図16】 本発明のPrPaseポリペプチド(配列番号2,4,6,8,10)の、酵母PrPase(Swiss-Portアクセッション番号第P47154号)およびヒトPrpase(Swiss-Portアクセッション番号第O75844号)とのアミノ酸配列比較(fasta:ペアワイズアラインメント、blosum62スコアリングマトリックス、ギャップ開始ペナルティ:10、ギャップ伸長ペナルティ:0.1)。%同一性および%類似性の値は、括弧内に示す。

Claims (12)

  1. プレニルプロテアーゼをコードする単離された核酸であって、
    a)配列番号3のポリヌクレオチド、
    b)配列番号5のポリヌクレオチド、
    c)配列番号4のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    d)配列番号6のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    e)配列番号3または5のヌクレオチド配列と少なくとも90%配列同一性を有するポリヌクレオチド、および
    f)配列番号4または6のポリペプチドと少なくとも90%配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む前記核酸。
  2. 前記核酸が、配列番号4のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のプレニルプロテアーゼをコードする核酸。
  3. 前記核酸が、配列番号6のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のプレニルプロテアーゼをコードする核酸。
  4. 請求項1に記載の核酸を含むベクター。
  5. 前記核酸が、タンパク質のファルネシル化において機能するポリペプチドをコードする、請求項1に記載のプレニルプロテアーゼをコードする核酸。
  6. 請求項1に記載のプレニルプロテアーゼをコードする核酸が導入されたトランスジェニック植物細胞。
  7. 請求項に記載の植物細胞を含むトランスジェニック植物。
  8. 前記植物が、単子葉植物である、請求項に記載の植物。
  9. 前記植物が、双子葉植物である、請求項に記載の植物。
  10. 前記植物が、トウモロコシ、コムギ、ライムギ、オートムギ、ライコムギ、イネ、オオムギ、ダイズ、ラッカセイ、ワタ、セイヨウアブラナ、カノラ、イモノキ、コショウ、ヒマワリ、マンジュギク、ナス科植物、ジャガイモ、タバコ、ナス、トマト、ソラマメ種、エンドウマメ、アルファルファ、コーヒー、カカオ、チャ、ヤナギ種、ギネアアブラヤシ、ココナッツ、多年草、および飼料穀物からなる群から選択される、請求項に記載の植物。
  11. 請求項に記載の植物により産生される植物種子。
  12. 前記種子が、前記種子の野生型種と比較して、環境ストレスに対する耐性増加のための純粋品種改良である、請求項11に記載の種子。
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