JP4931638B2 - エクササイズテスト解釈 - Google Patents

Description

本発明は、複雑なエクササイズテストを効率よく実施するためのシステム及び方法に関する

コンピュータ式の心電図（ＥＣＧ）解釈は医療分野において広く受け容れられている。担当医はこの技法をＥＣＧ結果の自身の解釈に対するバックアップとして、あるいは異常なＥＣＧ波形形態が確実に見過ごされないようにするためのチェックとして頻繁に利用している。ＥＣＧ波形の解釈は困難であり、また実施しなければならない解析の複雑さのために担当医でさえも誤りを冒すことがある。多くの例において、健全なＥＣＧと病的なＥＣＧの間あるいは異なるＥＣＧ病状間での正確な識別が単一のテスト結果ではできないことがあるために、複数のテストまたはアルゴリズムを使用し最終的な結果を得なければならない。

トレッドミルや固定自転車を利用したエクササイズテストは、心臓の健康を診断する有用なツールとしての評判が高まりつつある。安静式のＥＣＧテストと比べたエクササイズテストの利点の１つは、身体がストレス下に置かれ次いでそのストレスから回復する際に得られる生理学計測値の数が増加することである。これらの生理学計測値は、罹患率／死亡率、冠動脈疾患を予測する能力を有しており、またこれによればさらに、患者の機能的エクササイズ応答を記述することが可能である。理想的な担当医であればエクササイズ・ストレステストからこれらの生理学計測値のすべてを取得し、かつその計測を科学的実験による決定に従ったこれらの値の各々に関する既知の限界値と比較し、これによりエクササイズテストによる決定に従って患者の健康状態の完全な評価に到達することになろう。

有用な生理学計測値並びに適用可能な解析アルゴリズム及び限界値の数が最近増加したことに由来して、担当医がエクササイズテストの完全な評価に要するすべてのことを理解し適用することは非常に困難になっている。さらに、担当医がアルゴリズム結果の意味を理解し、複数の計測値の限界を比較する組み合わせアルゴリズムを用いた特定により病状を特定することも益々困難になっている。したがって、ＥＣＧ解析の分野においては、益々複雑になる診断アルゴリズムを用いて担当医がこの多くの数の生理学計測値を管理するのを支援するようにエクササイズテストに関する完全な評価を提供できるシステムが望まれている。

エクササイズテスト解析選択肢の数の増加及びこれらの診断アルゴリズムの複雑さがあるため、したがって本発明のようなコンピュータ式エクササイズテスト解釈システムを開発することが有利である。エクササイズテスト解釈規則からなるデータベースを作成し、これによって規則解釈器がエクササイズテストから記録された生理学計測値を追加の臨床医入力のデータと組み合わせて取り込み、所望のエクササイズテスト解釈規則を用いてこの情報を処理してエクササイズテスト解釈を作成することができる。この解釈には、解釈ステートメント、並びに得られた解釈の元になった具体的なエクササイズテスト解釈規則を詳述し指摘している追加の推論テキストを含むことがある。

本発明は、規則解釈器が解釈担当医によるさらなる探求を要する患者状態であることを指摘することによってエクササイズテスト計測を用いて担当医を誘導できること、エクササイズ計測値の担当医解釈に対するサポートを提供すること、並びに担当医による異常なエクササイズ計測値の見過ごしがないように保証すること、によってエクササイズ・ストレステストの実施を容易にする。本発明の一実施形態では、その解釈ステートメントはさらに、心臓の健全性に関する解釈ステートメントを補足するための生理学位置情報も含む。本発明のまた別の実施形態では、エクササイズテスト解釈は、担当医の選択に応じて解釈ステートメントと推論テキストのいずれを含むこともあり得る。

本発明の別の様々な特徴、目的及び利点は、添付の図面と共に以下の説明を読むことにより明らかとなろう。

図面では、本発明を実施するように目下のところ企図されている最も好適な形態を図示している。

図１は、本発明の動作に関する流れ図を表している。患者のエクササイズ・ストレステストから記録された結果に対する臨床医の解析は、本発明のエクササイズテスト解釈システム１０によって容易になる。この解析は規則解釈器１２を使用することによって提供される。規則解釈器１２は規則データベース１４内に保存されたエクササイズテスト解釈規則を用い、エクササイズテスト中に患者から記録した計測生理学データ１６、並びに臨床医により追加された追加の患者情報１８に基づいてエクササイズ・ストレステストの結果を解釈する。規則解釈器１２は、この生理学データ１６及び臨床医入力のデータ１８に対して規則データベース１４から選択した規則を適用し、エクササイズテストの結果に対する解釈２０を作成する。

図２は、本発明の一実施形態の解釈２０を表している。解釈２０は、本図においてステートメントＡ〜Ｃ（それぞれを２４〜２６で示す）で表した複数の解釈ステートメント及び複数の関連する推論テキスト（それぞれを２７〜３０で示す）を含む。本発明の一実施形態では、その解釈ステートメント２４〜２６は解析のために３つのステートメントグループに分類される。これらのステートメントグループは、リスク予測ステートメント、心臓機能応答ステートメント、及び冠動脈疾患ステートメント（ただし、これらに限らない）を含むことがある。さらに、全体要約ステートメント３２を解釈２０内に含めることもある。

エクササイズテスト解釈２０は、生理学データ１６及び入力データ１８の解析における規則解釈器１２による特定に従った任意のステートメントグループ分けからの任意の数の解釈ステートメント２４〜２６を含むことがある。規則データベース１４内に保存された各規則は、異常または境界線上のエクササイズテストを示すような１つの病的状態を意味する。この規則は、生理学データ値に関する値の限界及び／またはレンジを含むことがあり、また１つまたは複数の値及び／または値のレンジや限界値を組み合わせたブール型ステートメントを含むことがある。

ある規則が充足されると、解釈ステートメント２４〜２６のテキスト型表示が得られる。ステートメント２４〜２６の表示を誘導するように充足された規則は、関連付けされた推論テキスト２７〜３０として表示される。ステートメントＡにあるように多くの場合、各ステートメントは１つの推論テキスト（推論Ａ２７）を有する。しかし例えば、ステートメントＣ２６は２つの推論テキスト（推論Ｃ２９及び推論Ｄ３０）によって支持されている。これは、同じ診断ステートメントに至るように充足された規則が２つあるような状況を意味している。さらに本発明の一実施形態では、検出された異常の位置の決定が可能であるような冠動脈疾患の検出の場合、本発明の一実施形態ではこの位置も解釈ステートメント２４の位置ステートメント３４として表示される。例えば従来の１２誘導ＥＣＧを用いてエクササイズテストが実施された場合、前胸部電極の信号を比較することによって心臓の疾患部位が決定されることがある。本発明の一実施形態では、全体ステートメント３２によって、エクササイズテストによって何らかの異常または境界線上の状態が検出されたか、あるいは正常な生理学データが出現したのかが指示される。

図１に戻ると、エクササイズテストの解析で使用するために、臨床医は患者及びエクササイズテストに関する情報を規則解釈器に入力する。この臨床医入力のデータ１８は、年齢、性別、人種、身長、体重などの標準的な生理学データを含むことがあるが、本発明の一実施形態では、患者が現在ベータブロッカーを用いているか否か、あるいは患者がアンギナ（ａｎｇｉｎａ）を起こしているかまたはその経験があるか否かなどの患者情報を含むこともある。本発明の一実施形態では、実施中のテストのタイプ、並びにテスト装置及びテスト時間などの追加の情報を含めることがある。これらの追加のテスト情報値によって、目下のテストに適用するのに適したエクササイズテスト規則を規則データベース１４から選択するための情報が提供される。Ｄｕｋｅトレッドミルスコア（ＤＴＳ）や代謝当量（Ｍｅｔａｂｏｌｉｃ Ｅｑｕｉｖａｌｅｎｔ：ＭＥＴ）などの幾つかのエクササイズテストアルゴリズムではこれらのテストと関連付けされた値の計算にこの追加のテスト情報が必要となるため、こうした情報が重要となることがある。

患者がエクササイズテストを受けると、生理学計測値１６が記録されて規則解釈器１２に報告される。生理学計測値１６は、検出された５誘導ＥＣＧまたは１２誘導ＥＣＧ未処理計測値などの記録データを含むことがあるが、さらに追加の生理学計測値を示す多種多様な計算値を含むこともある。これらの計算値は、記録されたＥＣＧ波形から処理した情報も含むことがある。この処理済み情報は、ＳＴ下降、不整脈の検出、ＳＴ／ＨＲループの方向を含むことがあるが、別の多くの処理済み値も本発明の域内にあるものと考えられる。記録しかつ規則解釈器１２に送られる必要な生理学計測値１６は、エクササイズテスト規則データベース１４内にある規則の要件に応じて異なることが理解されよう。

上で述べたように、規則データベース１４内のエクササイズテスト規則は、具体的なある病状を示す生理学計測値の限界またはレンジからなる。これらの規則はさらに、１つまたは複数の生理学計測値限界ステートメントまたはユーザ入力のデータ値を含むブール型ステートメントを含むことがある。本発明の一実施形態では、その規則はその指示する病状タイプに基づいてグループ分けされる。リスク予測グループでは、ＤＴＳが−１０未満、あるいは心拍数回復が１２ｂｐｍ未満などの規則によって、罹患率または死亡率のリスクが示される。他方、Ｔ波交互脈が３０μＶを超えるかこれに等しければ、悪性不整脈のリスクの上昇が存在する。心臓機能応答を決定するための規則グループでは、本発明の一実施形態はＭＥＴが≦５であるか（この場合、その患者のエクササイズ能力は不十分であるとされる）などの規則を用いることがある。別法として、用いた心拍数が≦０．８である場合、その患者は変時性機能不全に陥っているとされる。最後に、冠動脈疾患の起こり易さを扱う規則は、ＳＴ下降が≧１ミリメートルであること、ＳＴ／ＨＲ傾斜が１ＢＰＭあたり≧２．４マイクロボルトであること、あるいはＳＴ／ＨＲループが逆時計回りであること、あるいはＳＴ／ＨＲヒステリシスが≧０．２５ミリメートルであることを含むことがある。冠動脈疾患の起こり易さの規則はさらに、この規則の充足によりＣＡＤの相対的位置も指示されるようなＥＣＧ誘導に基づいた具体的な位置インジケータを含む。これらの値や説明は本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、むしろ本発明で使用されることがある規則の例示とするように意図したものであることを理解されたい。

図３は、本発明の一実施形態のグラフィカル・ユーザ・インタフェース（ＧＵＩ）３６の一例の図である。ＧＵＩ３６は、臨床医入力のデータ１８、生理学計測値データ１６及び得られたエクササイズテスト解釈２０に関する各区画を備えている。臨床医入力のデータ１８は患者の年齢３８、性別４０、人種４２、身長４４、及び体重４６に関する情報を含む。臨床医入力のデータ１８は、ベータブロッカーの使用４８やアンギナ経験５０などの追加の情報、並びにテストタイプ５２やテスト装置５４などのエクササイズテスト情報を含む。生理学計測値データ１６は、総エクササイズ時間５６、並びに心拍数５８、血圧６０、不整脈検出６２、ＳＴ／ＨＲヒステリシス６８、ＨＲ回復７０、Ｍａｘｉｍｕｍ ＴＷＡ７２などのデータを含むことがある。

エクササイズテスト解釈区画２０は、図２に示した図を例示的に詳細に表している。この解釈２０を読むと、ステートメント２４は当該患者の罹患率／死亡率のリスクが上昇していることを示している。これに関連する推論２７は、エクササイズテスト解釈規則とし得ることを上述したＤＴＳが≦＝−１０であることにこの結論が基づくことを述べている。ＣＡＤリスク２６に関するステートメントには、複数のＣＡＤ検出規則が充足されたことを示す複数の推論ステートメント２９、３０が存在している。さらに、位置指示３４によって心臓のうちのＣＡＤの影響を受けた部位が特定される。最後に、全体ステートメント３２は、この患者が異常なエクササイズテスト応答を有することを特定している。

図１に戻り本発明の一実施形態では、臨床医及び／または病院管理者は、エクササイズテスト規則データベース１４に対してエクササイズ規則更新２２を含めることがある。これらのエクササイズ規則更新によれば当該分野の知見に従って規則データベースを改良することが可能となる。これによりさらに、同様な状況において実施すべき望ましい標準化テストを決定するための慣例が可能になると共に、臨床医が自分自身の追加的規則を含め得る自由度及び／または柔軟性を得ることが可能となる。

本発明のまた別の実施形態では、実施する各エクササイズテストごとに規則解釈器１２で使用する所望の規則を臨床医がエクササイズテスト規則データベース１４から選択することが許容される。これにより臨床医は、患者の状態及び／または当該患者の周辺の医学的懸念に基づいて各患者ごとにより個人別に調整されたテストを作成することができる。

本発明の別の実施形態では、そのエクササイズテスト解釈は、解釈ステートメント２４だけ、あるいは推論ステートメント２６だけを含むことがある。この選択肢によって臨床医は、患者の状態に関する自身の全般的診断に最も望ましい方式でエクササイズテスト解釈の結果を提示させることができる。

この記載では、本発明（最適の形態を含む）を開示するため、並びに当業者による本発明の製作及び使用を可能にするために例を使用している。本発明の特許資格の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、特許請求の範囲の文字表記と異なる構造要素を有する場合や、特許請求の範囲の文字表記とほとんど差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。

様々な代替形態及び実施形態は、本発明と見なされる対象を具体的に指摘しかつ別々に特許請求している添付の特許請求の範囲の趣旨域内にあるように企図している。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。

本発明のエクササイズテスト解釈の動作の概要図である。 エクササイズテスト解釈ディスプレイの一実施形態の一般化した図である。 本発明のエクササイズテスト解釈の一実施形態の図表示である。

符号の説明

１０ エクササイズテスト解釈システム
１２ 規則解釈器
１４ 規則データベース
１６ 生理学データ
１８ 入力されたデータ
２０ エクササイズテスト解釈
２２ エクササイズ規則更新

Claims (10)

1. 臨床医が患者に対して実施しているエクササイズテストの結果を解釈するための統合システム（１０）であって、
   前記エクササイズテストの間、前記患者から複数の生理学パラメータデータ（１６）を受ける患者モニタと、
   生理学パラメータデータ値クライテリアを有する複数のエクササイズテスト解釈規則を含む規則データベース（１４）であって、前記エクササイズテスト解釈規則の複数の組み合わせが病的状態を規定する前記規則データベース（１４）と、
   前記規則データベース（１４）から前記複数のエクササイズテスト解釈規則を受け、前記患者から前記複数の生理学パラメータデータ（１６）を受け、前記患者からの前記複数の生理学パラメータデータ（１６）を使用した前記複数のエクササイズテスト解釈規則を評価し、前記生理学パラメータデータ値クライテリアを充足するエクササイズテスト解釈規則の各々について解釈ステートメントと推論テキストを生成する規則解釈器（１２）と、
   前記規則解釈器（１２）から解釈ステートメントと推論テキストを受け、前記解釈ステートメント及び該解釈ステートメントに関連付けられた推論テキストを表示するエクササイズテスト解釈ディスプレイ（２０）と、を備えており、
   前記解釈ステートメントが、前記生理学パラメータデータ値クライテリアの充足によって特定される前記患者の病的状態のテキスト形式の記述であり、
   前記推論テキストが前記解釈ステートメントに至るように充足された前記生理学パラメータデータ値クライテリアのエクササイズテスト解釈規則の複数の組み合わせのテキスト形式の記述である統合システム。
2. 複数の解釈ステートメント（２４〜２６）と、
   複数の推論テキスト（２７〜３０）と、をさらに備えており、
   具体的なある解釈ステートメント及び具体的なある推論テキストが各エクササイズテスト解釈規則に関連付けされており、かつ該規則が充足された際に、エクササイズテスト解釈ディスプレイ（２０）は関連する解釈ステートメント及び関連する推論テキストを含む、請求項１に記載の統合システム。
3. 前記エクササイズテスト解釈ディスプレイ（２０）はさらに複数の解釈ステートメント及び複数の推論テキストを含む、請求項２に記載の統合システム。
4. 前記関連する解釈ステートメントはさらに、一般化生理学位置情報を提供する位置ステートメント（３４）であって、該位置情報は該位置ステートメント（３４）と関連付けさせた規則が充足されたことに関する情報である、請求項２に記載の統合システム。
5. エクササイズテストを受けている患者から収集した生理学データを解釈するコンピュータが実行する方法であって、
   患者から生理学データ（１６）を収集する工程と、
   前記コンピュータの規則解釈器（１２）がデータベース（１４）から複数のエクササイズテスト解釈規則を受ける工程であって、前記複数のエクササイズテスト解釈規則の各々が生理学データ値クライテリアの複数の組み合わせにしたがって病的状態を規定する、前記受ける工程と、
   前記規則解釈器（１２）が前記患者からの前記複数の生理学データ（１６）を使用した前記複数のエクササイズテスト解釈規則を評価する工程と、
   収集された前記生理学データ（１６）によるエクササイズテスト解釈規則の生理学データ値クライテリアの充足に応じて、前記規則解釈器（１２）が解釈ステートメントと推論テキストを生成する工程と、
   ディスプレイ（２０）上に前記解釈ステートメント及び該解釈ステートメントに関連付けられた推論テキストを表示する工程とを含み、
   前記解釈ステートメントが、前記生理学パラメータデータ値クライテリアの充足によって特定される前記患者の病的状態のテキスト形式の記述であり、
   前記推論テキストが前記解釈ステートメントに至るように充足された前記生理学パラメータデータ値クライテリアのエクササイズテスト解釈規則の複数の組み合わせのテキスト形式の記述である方法。
6. 患者と関連付けされたデータ及び実施されるエクササイズテスト（１８）を臨床医が入力する工程と、
   エクササイズテスト解釈規則のいずれかの充足に関して生理学パラメータデータ（１６）を解析する前記工程において前記患者と関連付けされたデータ及びエクササイズテスト（１８）を使用する工程と、をさらに含んでおり、
   エクササイズテスト解釈規則は、充足させる患者と関連付けされたデータを要求している、請求項５に記載のエクササイズテスト解釈方法。
7. 前記エクササイズテスト解釈は解釈ステートメント（２４〜２６）及び推論テキスト（２７〜３０）を含む、請求項５に記載のエクササイズテスト解釈方法。
8. 解釈ステートメント及び推論テキストがエクササイズテスト解釈規則に関連付けされている、請求項７に記載の方法。
9. 前記関連させた推論テキストは前記関連させた規則を特定しておりかつ前記関連させた解釈ステートメントは該規則の充足に基づいて結論を特定している、請求項８に記載の方法。
10. エクササイズテスト結果に対する比較並びに臨床医単独の診断及び解釈を容易にするために前記エクササイズテスト解釈（２０）を臨床医が使用する工程をさらに含む請求項９に記載の方法。
    
    

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