JP4929778B2 - 嵩高紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は紙用嵩高剤を含有する嵩高紙と、その製造方法に関するものである。
近年の活字離れを反映して、急激にコミック本やペーパーブックが普及してきた。これに伴い、紙にも軽量化が求められている。ここで紙の軽量化とは、紙の厚さは維持した上での軽量化、すなわち嵩高化(低密度化)のことを指す。環境問題が叫ばれている現在、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上でも、紙の軽量化は避けて通れない問題である。
紙を嵩高にする技術としては、紙に配合する原料面や、抄紙機や塗工機での設備面で従来から種々検討されている。原料面の検討としては、紙に配合する原料パルプや填料等の検討、更に発泡性粒子の配合等が挙げられ、設備面の検討としては、カレンダーを低線圧で処理する技術等の検討が挙げられる。紙を嵩高にする最近の新技術としては、いわゆる紙用嵩高剤を紙中に含有させ、紙を嵩高にする技術があり、特許文献1を始め、多数の技術が開示されている。しかし、これらの紙用嵩高剤に関する技術は、抄紙機のインレット前において、製紙原料である紙料中にこの紙用嵩高剤を添加混合し、これをインレットからワイヤー上へ噴出させ抄紙し、紙中に紙用嵩高剤を含有させることにより、紙を嵩高にする技術であり、いわゆる内添を前提とした嵩高技術である。
しかし、紙用嵩高剤を内添使用する場合、他の内添薬品の従来から知られている問題と同様の問題が発生する。すなわち、パルプ繊維への紙用嵩高剤の定着が、主にパルプ繊維への吸着作用とワイヤー上で形成される湿紙層による濾過作用に基づくものであるため定着が強固ではなく、剪断力や吸引力によるワイヤー上での脱水に伴い、紙用嵩高剤は容易にパルプ繊維から脱落しワイヤーを通過し、紙用嵩高剤のワンパス歩留りが低い。また、ワイヤーを通過した紙用嵩高剤が抄紙系で循環する白水中に次第に蓄積し、白水系での汚れ発生や発泡等の問題が起こる。更に、紙用嵩高剤のワンパス歩留りが低いため、抄紙開始直後は目標とする紙用嵩高剤の紙中含有率が得られず、紙の密度が目標値に達しない規格外品が発生する等の問題がある。
紙用嵩高剤を内添法によらない方法で紙中に含有させる技術としては、特許文献2に開示の技術が挙げられる。特許文献2は、十分な嵩高性と印刷適性を有し、更にしなやかさ、手触り感に優れた印刷用紙の提供を課題として、細孔体積が1.5〜4.0mL/gの填料を紙質量あたり3〜10質量%含有し、柔軟化薬品と水溶性高分子及び表面サイズ剤を含む表面処理剤を2〜6g/m2塗布し、密度が0.50〜0.65g/cm3であり、クロス方向のクラーク剛度が30〜55cm3/100である印刷用紙が開示されている。この技術では紙用嵩高剤の範疇に含まれる柔軟化薬品を、ゲートロールコーター、2−ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアナイフコーター等のオンマシン塗工設備で原紙表面に塗布する。この原紙は、抄紙機ワイヤー工程で抄紙した湿紙をプレス工程で圧縮・搾水し、次いでプレドライヤー工程で乾燥し水分を数%程度とした乾燥した紙であり、パルプの繊維間結合が既に形成されている密度が高い紙である。従って、このような原紙に柔軟化薬品を塗布して紙中に含有させても、紙を嵩高にする効果は低いという大きな問題がある。
以上のように、紙用嵩高剤の従来の内添法や表面塗布法における種々の問題を解決できる、紙用嵩高剤の使用方法あるいは嵩高紙の製造方法の確立が求められていた。
特許第3128248号公報 特開2005-256205号公報
本発明が解決しようとする課題は、紙用嵩高剤を含有する嵩高紙の製造において、紙用嵩高剤のワイヤー上でのワンパス歩留りが高く、白水系の汚れや発泡の問題が少なく、紙用嵩高剤添加開始から嵩高紙製品を得るまで時間が短く操業損失が少ない、嵩高紙の製造方法を提供すること、及びこの製造方法で得られる嵩高性に優れた嵩高紙を提供することにある。
長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上において、ワイヤー上の形成過程にある湿紙層へスプレー装置により紙用嵩高剤を噴霧し、紙中へ含有させる。
長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上において、ワイヤー上の形成過程にある湿紙層へスプレー装置により紙用嵩高剤を噴霧し紙中へ含有させることにより、紙用嵩高剤のワイヤー上でのワンパス歩留りが高くなり、白水系の汚れや発泡の問題が低減され、抄紙機の操業が安定する。また、紙用嵩高剤添加開始から嵩高紙製品を得るまで時間が短いために、密度が規格外の紙の発生量を少なくでき、効率よく嵩高紙を製造できる。また、オンマシン塗工設備で紙用嵩高剤を塗布し嵩高紙を製造する方法に比較して、紙用嵩高剤の同一紙中含有率で紙の嵩高効果に優れる。
本発明では、長網抄紙機又は長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上において、ワイヤー上の形成過程にある湿紙層へスプレー装置により紙用嵩高剤を噴霧し、紙中へ含有させることが必須要件である。長網部を有する抄紙機とは、具体的には、長網上にトップワイヤーを配置したオントップツインワイヤー抄紙機や、少なくとも1つの円網後に長網が配置された多層抄紙機等が挙げられる。ストックインレットのスライスリップから長網ワイヤー上へ噴出された紙料はワイヤー下に配置されたフォーミングボード、テーブルロール、フォイルブレード、サクションボックス等の脱水エレメントにより徐々に脱水され、ワイヤー上で湿紙層を形成後、次のプレス工程へは水分80〜85%程度で入っていく。形成過程にある湿紙層とは、このストックインレットのスライスリップ後から長網のエンドまでの間で、脱水により長網上でパルプ繊維が積み重なって層を形成しつつある状態の湿紙層のことを指している。
紙用嵩高剤を噴霧するスプレー装置については、特に限定されるものではなく、公知のスプレー装置を用いることができる。例えば1流体ノズルスプレー、2流体ノズルスプレー等が挙げられる。
スプレー設備は、紙用嵩高剤を長網上の形成過程にある湿紙層の全幅方向において均一に噴霧できるような位置に設置されることが必要である。抄紙機の抄紙速度や抄造する紙の坪量、紙用嵩高剤の添加量などに応じて、紙用嵩高剤の噴霧量が異なるため、必要な場合はスプレー設備を紙の幅方向に複数列設置することができる。また、長網とスプレー装置の垂直方向の位置関係は、長網の上方位置にスプレー装置を設置する。すなわち、紙のフェルト面側に紙用嵩高剤を噴霧することになる。
またスプレー装置は、ストックインレットのスライスリップ出口直後から水切れ線( D r y L i n e、固形分濃度7% 程度)の間に設置する。水切れラインとは、湿紙層からの脱水が進み、湿紙層表面の自由水が無くなる位置に発生し、自由水がまだ存在する水分が多い側では光の反射が強く輝いて見えるが、自由水が無く水分が少ない側では鈍くなって見える、この境界線のことを指している。水切れ線以後にスプレー設備で紙用嵩高剤を噴霧した場合は、水切れ線の前で噴霧する場合に比較して、脱水がかなり進行し湿紙層の固形分密度が高くなっているため、紙用嵩高剤のワンパス歩留は向上するが、紙用嵩高剤が湿紙層のZ 方向で不均一に分布する傾向が大きくなり、紙のフェルト面側により多く存在するようになるため、紙用嵩高剤の嵩高効果が低下する傾向がある。また、スライスリップ出口直後から水切れ線の間であっても、スライスリップ出口に近い場合は、脱水すべき水量が多くなり、脱水に伴い噴霧した紙用嵩高剤がワイヤーを通過する傾向が高くなるので、水切れ線に近いことが更に好ましい。
スプレー装置で噴霧する紙用嵩高剤の固形分濃度についても特に限定されるものではないが、長網上の湿紙層にできるだけ均一に噴霧するためには20%以下の濃度であることが好ましい。
紙用嵩高剤を具体的に化合物で例示すると、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、直鎖状脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸ジアミドアミンなどが挙げられる。
この紙用嵩高剤を特許文献で例示すると、次の通りである。特許第3128248号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3453505号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482336号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3537692号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482337号公報記載の紙用嵩高剤、特許第2971447号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3283248号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特許第3387033号公報記載の乾燥効率向上剤、特許第3387036号公報記載の平滑性及び透気性向上剤、特許第3517200号公報記載の抄紙用添加剤、特開2001-248100号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特開2003-336196号公報記載の紙質向上剤、特開2004-052216号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特開2005-187989号公報記載の紙質向上剤、特開2004-107865号公報記載の紙質向上剤、特開2004-091950号公報記載の紙質向上剤、特開2005-299010号記載の紙質向上剤、特開2005-299011号公報記載の紙質向上剤、特開2005-299012号公報記載の紙質向上剤、特開2005-089953号公報記載の紙用嵩高剤、特開2000-273792号公報記載の紙用不透明化剤、特開2002-129497号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-275786号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294586号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294594号公報記載の嵩高剤、特開2003-96692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-96693号記載の嵩高剤、特開2003-96694号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-96695号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-171897号公報記載の紙厚向上剤、特開2003-247197号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253588号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253589号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253590号公報の紙用嵩高剤、特開2003-328297号公報記載の紙用低密度化剤、特開2003-313799号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-11058号公報記載の抄紙用添加剤、特開2004-27401号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-115935号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-76244号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-176213号公報記載の紙用改質剤、特許第3521422号公報記載の紙用柔軟化剤、特開2002-275792号公報記載の嵩高柔軟化剤、特開2002-285494号公報記載の製紙用嵩高サイズ剤、特開2003-286692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-270074号公報記載の製紙用嵩高剤組成物、特開2004-285490号公報記載の製紙用嵩高剤、特開2003-221799号公報記載の不透明度向上剤、特開2004-308095号公報記載の紙用添加剤、特開2005-042278号公報記載の嵩高剤、特開2005-042279号公報記載の嵩高剤、特開2005-060891号公報記載の製紙用嵩高剤、特開2005-082943号公報記載の紙用低密度化剤、特開2005-082949号公報記載の紙用改質剤。
本発明でいう紙用嵩高剤とは、紙料に内添して抄紙した場合、紙の密度を低下させることができる、分子内に疎水基と親水性基の両方を有する化合物の総称である。その呼称は前記特許文献のように嵩高剤以外に、抄紙用紙質向上剤、乾燥効率向上剤、平滑性及び透気性向上剤、抄紙用添加剤、紙質向上剤、紙用不透明化剤、古紙再生用添加剤、紙厚向上剤、紙用低密度化剤、紙用改質剤、紙用柔軟化剤、嵩高柔軟化剤、製紙用嵩高サイズ剤など様々である。
紙用嵩高剤はパルプ繊維間の結合の阻害する要因となるために、紙用嵩高剤の紙中含有率が高いほど、一般に紙の強度が低下する傾向が見られる。また、ある一定以上に添加量を増やしても、その効果は頭打ちになることも散見される。このため、原料パルプ固形分重量に対して、紙用嵩高剤を0.1〜20固形分重量%の範囲で紙中に含有させることが好ましく、嵩以外の紙質をあまり変化させずに嵩高効果を十分に発現させるには0.2〜5.0固形分重量%の範囲で紙中に含有させることがより好ましい。
本発明の製造方法で抄紙する嵩高紙の原料パルプは特に限定は無く、紙の種類、銘柄、品質に応じて化学パルプ、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)等)、機械パルプ(グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、DIP等を単独または適宜混合して使用することができる。
本発明の嵩高紙の抄紙方法は、抄紙pHが酸性領域で抄紙される酸性抄紙、抄紙pHが疑似中性領域で抄紙される疑似中性抄紙、抄紙pHが中性領域で抄紙される中性抄紙紙、抄紙pHがアルカリ性領域で抄紙されるアルカリ性抄紙のいずれでもよい。また、酸性抄紙で抄紙された酸性原紙の表面にアルカリ性薬剤を塗布し中性紙とすることも可能である。
本発明の嵩高紙は填料無配合でも、配合しても良いが、不透明度、印刷後不透明度を高める観点や、裏抜けを低減する観点から、填料を配合しても良い。填料を配合する場合、填料としては酸性抄紙、中性抄紙あるいはアルカリ性抄紙において一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、疑似中性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙では、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ(ホワイトカーボン等)、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の嵩高紙の製造において、各種の内添サイズ剤を配合しても良い。また、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。
その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
本発明の製造方法で得られる嵩高紙には、必要に応じて表面処理剤を塗布してもかまわない。該表面処理剤に含有される成分は、紙の表面強度の向上を目的として使用される水溶性高分子物質や、紙の表面サイズ性の向上を目的として使用される表面サイズ剤などが挙げられる。水溶性高分子物質としては、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、熱変性澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用することができる。また、表面サイズ剤としてはスチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性表面サイズ剤などの公知の表面サイズ剤を単独または併用することができる。
プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定は無く、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレスや、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、嵩高にする観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧またはバイパスが好ましく、また、通常のキャレンダーよりもソフトキャレンダーが好ましい。
本発明の嵩高紙の製造方法は、紙用嵩高剤をスプレー装置を用いて湿紙層へ噴霧するものであるため、紙用嵩高剤を内添する従来の製造方法に比較して、紙用嵩高剤のワイヤー上のワンパス歩留りが高く、この効果として、白水系の汚れや発泡の問題が低減され、抄紙機の操業が安定する。また、紙用嵩高剤添加開始から嵩高紙製品を得るまで時間が短いために、密度が規格外の紙の発生量を少なくでき、効率よく嵩高紙を製造できる。
本発明によって製造する嵩高紙の用途は特に限定はないが、例えばオフセット印刷用紙、筆記用紙として好適である。その他にも凸版印刷用紙、電子写真用紙、あるいはインクジェット記録用紙、感熱記録紙、感圧記録紙、PPC用紙、フォーム用紙などの情報記録用紙の原紙にも使用することができる。また、塗工用原紙、新聞用紙、板紙、白板紙としても使用できる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中の%は全て固形分重量%を示す。紙用嵩高剤の添加率は原料パルプ固形分重量に対する嵩高剤の固形分重量%である。
実施例及び比較例にて製造した嵩高紙について下記の項目について測定し、評価した。
(1)坪量:JIS P 8124に準拠した。
(2)厚さ・密度:JIS P 8118に準拠した。
(3)紙用嵩高剤の紙中含有率:得られた嵩高紙を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析し、予め作成した嵩高剤の検量線から紙中の嵩高剤の含有率(固形分重量%)を算出した。
(4)嵩高剤ワンパス歩留り:下記の式から計算した。
嵩高剤ワンパス歩留り=100×(嵩高剤の紙中含有率%)/(嵩高剤添加率%)
[実施例1]
パルプ分としてLBKP(濾水度CSF=400ml)を使用した。パルプ固形分重量あたり、硫酸バンドを2.0重量%(50固形分重量の硫酸バンド製品)、カチオン化澱粉を1.2固形分重量%、アルキルケテンダイマー(AKD)サイズ剤を0.1固形分重量%となるように添加混合した紙料を用いてワイヤー幅50cmのテスト長網抄紙機を用いて抄速20m/minで坪量70g/m2を目標に抄紙した。この際、長網抄紙機のワイヤー上の水切れ線の直前に2流体ノズルスプレーを幅方向に5基等間隔に配列し、嵩高剤の添加率が0.3固形分重量%になるよう噴霧量を調整し、紙用嵩高剤(商品名:KB115、花王株式会社製)を固形分濃度0.45%で噴霧した。長網抄紙機のワイヤーパートに続くプレスパートで処理し、ドライパートで乾燥を行い、嵩高紙を得た。この嵩高紙の坪量、厚さ、密度、嵩高剤の紙中含有率を測定した。結果を表1に示した。
[実施例2]
2流体ノズルスプレーをワイヤー上の水切れ線とスライスリップの中間点に配列し、嵩高剤の添加率が0.6%になるよう噴霧量を調整した以外は実施例1と同様にして嵩高紙を得た。
[実施例3]
2流体ノズルスプレーをワイヤー上のスライスリップ直後に配列し、嵩高剤の添加率が0.9%になるよう噴霧量を調整した以外は実施例1と同様にして嵩高紙を得た。
[比較例1]
パルプ分としてLBKP(濾水度CSF=400ml)を使用した。パルプ固形分重量あたり、紙用嵩高剤(商品名:KB115、花王株式会社製)を0.3固形分重量%、硫酸バンドを2.0重量%(50固形分重量の硫酸バンド製品)、カチオン化澱粉を1.2固形分重量%、アルキルケテンダイマー(AKD)サイズ剤を0.1固形分重量%、となるように添加混合した紙料を用いてワイヤー幅50cmのテスト長網抄紙機を用いて抄速20m/min坪量70g/m2を目標に抄紙した。長網抄紙機のワイヤーパートに続くプレスパートで処理し、ドライパートで乾燥を行い、嵩高紙を得た。この嵩高紙の坪量、厚さ、密度、嵩高剤の紙中含有率を測定し、得られた結果を表1に示した。
[比較例2]
嵩高剤の添加率を0.6固形分重量%にした以外は比較例1と同様にして嵩高紙を得た。
[比較例3]
嵩高剤の添加率を0.9固形分重量%にした以外は比較例1と同様にして嵩高紙を得た。
[比較例4]
パルプ分としてLBKP(濾水度CSF=400ml)を使用した。パルプ固形分重量あたり、硫酸バンドを2.0重量%(50固形分重量の硫酸バンド製品)、カチオン化澱粉を1.2固形分重量%、アルキルケテンダイマー(AKD)サイズ剤を0.1固形分重量%、となるように添加混合した紙料を用いてワイヤー幅50cmのテスト長網抄紙機を用いて抄速20m/min坪量70g/m2を目標に抄紙し、プレドライヤーで乾燥後、2−ロールサイズプレスを用いて嵩高剤(商品名:KB115、花王株式会社製)の希釈液を塗布し、アフタードライヤーで乾燥し、嵩高紙を得た。尚、サイズプレスでの吸液量を予め測定し、嵩高剤希釈液の濃度を調整して、紙用嵩高剤の塗布量がパルプ固形分重量あたり0.3固形分重量%となるようにした。
[比較例5]
嵩高剤の塗布量をパルプ固形分重量あたり0.6固形分重量%となるように調整した以外は比較例1と同様にして嵩高紙を得た。
[比較例6]
嵩高剤の塗布量をパルプ固形分重量あたり0.9固形分重量%となるように調整した以外は比較例1と同様にして嵩高紙を得た。
Figure 0004929778
表1に示す結果から次のことが解る。実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、の嵩高剤同一添加率で比較すると、長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上においてスプレー装置を用いて紙用嵩高剤を湿紙層に噴霧して得られた嵩高紙は、内添により嵩高剤を添加して得られた嵩高紙に比べて、嵩高剤のワンパス歩留りが高く、この結果として嵩高剤の紙中含有率が高く、より低密度の嵩高紙が得られる。実施例1と比較例4、実施例2と比較例5、実施例3と比較例6、の嵩高剤同一添加率で比較すると、長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上においてスプレー装置を用いて紙用嵩高剤を湿紙層に噴霧して得られた嵩高紙に比較して、2−ロールサイズフレスを用いて紙用嵩高剤を塗布して得られた嵩高紙は、嵩高剤のワンパス歩留りは当然極めて高く、嵩高剤の紙中含有率は高いものの、密度はあまり低下しない。
表2は、スプレー噴霧の実施例1〜3(図1中の「1」)、内添法の比較例1〜3(図1中の「2」)、表面塗布の比較例4〜6(図1中の「3」)における紙用嵩高剤の紙中含有率と嵩高紙の密度の関係を示す図であるが、スプレー噴霧と内添法はほぼ同一の曲線に乗るが、サイズプレスで嵩高剤を塗布したものは、別の曲線となり、しかも密度は高い位置となる。従って、スプレー噴霧により紙中に含有された紙用嵩高剤の紙層中での分布は、内添法に近いと考えられる。サイズプレス塗布の場合、一旦プレドライヤーで乾燥されてパルプ繊維間結合が生成し紙層を形成した紙の表面に嵩高剤液を塗布すると、紙内部まで嵩高剤が浸透したとしても紙は若干膨潤する程度であるため、パルプ繊維間結合を開裂させパルプ繊維間に嵩高剤が介在し密度が低下するという作用が小さいためだと考えられる。しかも抄紙速度が遅いテスト抄紙機の実験でも、このような結果であることから、抄紙速度が極めて速い実際の抄紙機では紙の膨潤時間は極めて短く、嵩高剤を塗布して嵩高紙を製造しても嵩高効果は小さく、実用的な価値は殆ど無いと考えられる。
スプレー噴霧の実施例1〜3、内添法の比較例1〜3、表面塗布の比較例4〜6における紙用嵩高剤の紙中含有率と嵩高紙の密度の関係を示す図である。
符号の説明
1:紙用嵩高剤をスプレー噴霧して得た嵩高紙
2:紙用嵩高剤を内添して得た嵩高紙
3:紙用嵩高剤をサイズプレスで塗布して得た嵩高紙

Claims (2)

  1. 長網部を有する抄紙機の長網ワイヤー上において、ワイヤー上の形成過程にある湿紙層へスプレー装置によりストックインレットのスライスリップ以降、水切れ線までの間に紙用嵩高剤を噴霧し、紙中へ含有させることを特徴とする嵩高紙の製造方法。
  2. 水切れ線直前に紙用嵩高剤を噴霧し、紙中へ含有させることを特徴とする請求項1記載の嵩高紙の製造方法。
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