JP4922845B2 - ループアンテナ実装装置 - Google Patents
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Description
例えば携帯電話機等の複数無線装置を搭載する装置の場合、回路のグランドとしてだけではなく、携帯電話機の筺体基板そのものをアンテナ又はアンテナ用の地板として使用するケースもあり、この場合、アンテナは導体板の近傍に配置される構成となる。また、ワイヤレス端末機を駆動させる電池は殆どの場合、金属に覆われた構造となっているので、この場合もアンテナが導体の近傍に配置される構成となる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ループアンテナと板状導体とが当該導体に鏡像電流が流れる近傍位置に配置されている場合に、鏡像電流の影響によるアンテナ特性の劣化を抑制することができるループアンテナ実装装置を提供することを目的としている。
この構成によれば、板状導体に、ループアンテナに流れるアンテナ電流に対して鏡像となるループ状の鏡像電流が流れるが、板状導体の切り込みが、その鏡像電流を横切って形成されている場合、鏡像電流が、切り込みのエッジ部分に突当って2方向に分流され、この分流電流が更に当該板状導体の周囲のエッジを伝って鏡像電流と逆方向に流れる。このように板状導体に、鏡像電流と逆方向電流が流れるようにしたので、この逆方向電流でアンテナ電流の磁界を高めることができる。これによって、鏡像電流の磁界によるアンテナ電流の磁界の相殺が低減されるので、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。
この構成によれば、キャパシタ手段にインピーダンスが発生し、高い周波数に関しては、ループアンテナと回路基板との間に介装されるアース板やシールド板などの地板として振る舞い、低い周波数に関しては高抵抗の切り込みとして振舞う。従って、前述のように切り込みによって板状導体が地板として十分な大きさを確保できなくなった場合でも、高い周波数に関しては地板として振舞うので地板として十分な大きさを確保することができる。また、低い周波数に関しては高抵抗の切り込みとして振舞うので、前述と同様に、鏡像電流がその高抵抗の切り込みのエッジ部分で分流されて当該鏡像電流と逆方向に流れる。この逆方向電流でアンテナ電流の磁界を高めてアンテナ特性の劣化を抑制することができる。
この構成によれば、ギャップ幅を可変調整することによって、地板として振舞う周波数を選択することが可能となる。
また、本発明の請求項4によるループアンテナ実装装置は、請求項3において、前記キャパシタ手段の前記ギャップ空間に誘電体を装荷したことを特徴とする。
この構成によれば、ギャップ空間に装荷する誘電体の誘電率や厚さに応じて地板として振舞う周波数を選択することが可能となる。
この構成によれば、板状導体の切り込みを自在に開閉可能なので、ループアンテナを使用する際に開状態とすれば、上記同様に、板状導体を流れる鏡像電流が切り込みのエッジ部分で分流され、鏡像電流と逆方向に流れ、この逆方向電流でアンテナ電流の磁界を高め、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。一方、ループアンテナを使用しない場合は閉状態とすれば、切り込みの無い一枚の板状導体とすることができるので、板状導体を挟んでループアンテナと反対側に配置されている例えば回路基板に対するシールド効果をより高める等、ループアンテナ使用以外の用途に使用することができる。
この構成によれば、板状導体に流れる鏡像電流が、切り込みのエッジ部分に突当って2方向に分流され、この分流電流が更に当該板状導体の周囲のエッジを伝って鏡像電流と逆方向に流れる。このように板状導体に、鏡像電流と逆方向電流が流れるようにしたので、この逆方向電流でアンテナ電流の磁界を高めることができる。これによって、鏡像電流の磁界によるアンテナ電流の磁界の相殺が低減されるので、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。
この構成によれば、板状導体をキャパシタ形状としたのでインピーダンスが発生し、高い周波数に関しては、ループアンテナと回路基板との間に介装されるアース板やシールド板などの地板として振る舞い、低い周波数に関しては高抵抗の切り込みとして振舞う。従って、切り込みによって板状導体が地板として十分な大きさを確保できなくなった場合でも、高い周波数に関しては地板として振舞うので地板として十分な大きさを確保することができる。また、低い周波数に関しては高抵抗の切り込みとして振舞うので、前述と同様に、鏡像電流がその高抵抗の切り込みのエッジ部分で分流されて当該鏡像電流と逆方向に流れ、この逆方向電流でアンテナ電流の磁界が高まってアンテナ特性の劣化が抑制される。
また、本発明の請求項8によるループアンテナ実装装置は、ループアンテナが、板状導体と平行又は概略平行に、当該ループアンテナに流れるアンテナ電流に対して鏡像となるループ状の鏡像電流が当該板状導体に流れるように実装されるループアンテナ実装装置において、前記板状導体に前記鏡像電流を直交に横切る少なくとも1つの切り込み部を形成し、前記切り込み部上で且つ前記板状導体との間にギャップ空間が形成される状態に、導体板の一辺を、当該切り込み部のエッジに接合したキャパシタ手段を設けたことを特徴とする。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るループアンテナ実装装置の構成を示し、(a)はループアンテナと板状導体との配置状態を示す斜視図、(b)はループアンテナの電流を示す平面図、(c)は板状導体の平面図である。
図1に示すループアンテナ実装装置の特徴は、ループアンテナ11の近傍に平行又は概略平行に配置された板状導体13に、ループ状に流れる鏡像電流i2を直交状態に横切り、且つ当該板状導体13の中央部を僅かに残して上下左右で十字状となる4つの切り込み13a,13b,13c,13dを形成した点にある。
即ち、図1(c)に示すように、矢印Y2方向に流れる鏡像電流i2が、各切り込み13a〜13dの部分、例えば切り込み13aのエッジ部分で矢印Y3とY4で示すように2方向に分流し、これらが更に矢印Y5と、矢印Y6,Y7とで示すように鏡像電流i2と逆方向に流れ、これらが合流して再度矢印Y2で示す流れとなる。
L1は板状導体13がループアンテナ11の近傍にない構成の場合のループアンテナ11の自己インダクタンスを示し、L2は図7に示した従来構成の場合の自己インダクタンス、L3は図1に示した本実施の形態の構成の場合の自己インダクタンスを示す。
ここで、ループアンテナ11の等価回路は、図3に示すように、電源14に抵抗器R、コンデンサC、コイルLを接続した共振回路15として表され、その良好度Q値は次式(1)で表される。
Q=ω0L/R …(1)
ω0:共振回路の共振角周波数
この式(1)より、ループアンテナ11は自己インダクタンスLが大きいほど、Q値も大きくなるため、効率良く共振することが分かる。
そこで、ループアンテナ11と板状導体13とを近傍に配置して尚且つ自己インダクタンスLを大きくするには、本実施の形態の構成とすればよく、この場合、L3で示すように、L2の従来構成の場合よりも、ループアンテナ11の自己インダクタンスLを大きくすることができるので効率良く共振させることができる。
このように板状導体13に、鏡像電流i2と逆方向電流が流れるようにしたので、この逆方向電流でアンテナ電流i1の磁界を高めることができ、これによって、鏡像電流i2の磁界によるアンテナ電流i1の磁界の相殺が低減されるので、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。
この場合も、板状導体13に、鏡像電流i2と逆方向電流が流れるので、この逆方向電流でアンテナ電流i1の磁界を高めることができ、これによって、アンテナ電流i1の磁界の相殺が低減されるので、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るループアンテナ実装装置の構成を示し、(a)はループアンテナと板状導体との配置状態を示す斜視図、(b)はループアンテナの電流を示す平面図、(c)は板状導体の平面図、(d)は板状導体の1キャパシタ型切り込み部の拡大斜視図である。
図4に示す第2の実施の形態のループアンテナ実装装置が第1の実施の形態と異なる点は、板状導体13の各切り込み13a〜13dの部分に、側辺がL字形状の導体板によるキャパシタ状地板17a〜17dを設けて成るキャパシタ型切り込み部16a〜16dを形成したことにある。
そのギャップ空間GによるキャパシタのインピーダンスZは次式(2)により定義できる。 Z=1/jωC …(2)
ω:角周波数
C:キャパシタの容量
この場合、キャパシタ状地板17と板状導体13との導体間のギャップ幅を調整することによって、地板として振舞う周波数を選択することが可能となる。
この他、第2の実施の形態の変形例として、図5に1つのキャパシタ型切り込み部を代表して示すように、ギャップ空間Gに誘電体19aを装荷したキャパシタ型切り込み部20aとしてもよい。
このような構成とすることで、装荷する誘電体19aの誘電率や厚さに応じて地板として振舞う周波数を選択することが可能となる。
図6は、本発明の第3の実施の形態に係るループアンテナ実装装置の板状導体の構成を示し、(a)は板状導体の切り込みをオープン状態とした平面図、(b)は板状導体の切り込みをクローズ状態とした平面図である。
図6に示す第3の実施の形態のループアンテナ実装装置の板状導体装置22は、上記の板状導体13の切り込み13a〜13dよりも一回り大きい形状(又は同形状)で、それら切り込み13a〜13dと同様に各切り込み24a〜24dを設けた円形板状導体(開閉手段)24を、板状導体13の裏面に互いの中心を合わせて中心軸26で回動自在に組み合わせて形成したものである。
一方、そのオープン状態から円形板状導体24を例えば右に所定角度ずらすことによって、(b)に示すように、板状導体13の切り込み13a〜13dを閉じる閉状態、言い換えれば切り込み13a〜13dが形成されていない状態とすることができる。
一方、ループアンテナ11を使用しない場合は閉状態とすれば、切り込みの無い一枚の板状導体13とすることができるので、板状導体13を挟んでループアンテナ11と反対側に配置されている図示せぬ回路基板に対するシールド効果をより高める等、ループアンテナ11使用以外の用途に使用することができる。
13 板状導体
13a〜13d 切り込み
15 ループアンテナの等価回路
16a〜16d キャパシタ型切り込み部
17a〜17d キャパシタ状地板
19a 誘電体
22 板状導体装置
24 円形板状導体
24a〜24d 切り込み
i1 ループアンテナの電流
i2 鏡像電流
Y1 ループアンテナの電流方向
Y2 鏡像電流方向
Y3,Y4,Y5,Y6,Y7 鏡像電流の分流電流
L1 板状導体がループアンテナの近傍にない構成時のループアンテナの自己インダクタンス
L2 従来構成時のループアンテナの自己インダクタンス
L3 実施の形態の構成時のループアンテナの自己インダクタンス
Claims (8)
- ループアンテナが、矩形形状の板状導体と平行又は概略平行に配置されて実装されるループアンテナ実装装置において、
前記板状導体が、前記ループアンテナの弧と直交して該板状導体の中心に向かって延びる1つ以上の切り込み部を有し、
前記切り込み部は、前記板状導体のうちのいずれか一辺と直交する向きに配置され、かつ、前記中心を含む前記板状導体の一部の領域が残るように形成されることを特徴とするループアンテナ実装装置。 - ループアンテナが、板状導体と平行又は概略平行に配置されて実装されるループアンテナ実装装置において、
前記板状導体に少なくとも1つの切り込み部を形成し、前記切り込み部上で且つ前記板状導体との間にギャップ空間が形成される状態に、導体板の一辺を、当該切り込み部のエッジに接合したキャパシタ手段を設けたことを特徴とするループアンテナ実装装置。 - 前記キャパシタ手段における前記導体板と前記板状導体とのギャップ幅を可変調整することを特徴とする請求項2に記載のループアンテナ実装装置。
- 前記キャパシタ手段の前記ギャップ空間に誘電体を装荷したことを特徴とする請求項3に記載のループアンテナ実装装置。
- 前記板状導体に、当該板状導体の切り込み部を導体で覆う閉状態と、その覆いを解除して切り込み部が見える開状態とを自在に形成可能な開閉手段を組み合わせたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のループアンテナ実装装置。
- ループアンテナが、矩形形状の板状導体と平行又は概略平行に、当該ループアンテナに流れるアンテナ電流に対して鏡像となるループ状の鏡像電流が当該板状導体に流れるように実装されるループアンテナ実装装置において、
前記板状導体が、前記ループアンテナの弧と直交して該板状導体の中心に向かって延びる1つ以上の切り込み部を有し、
前記切り込み部は、前記板状導体のうちのいずれか一辺と直交する向きに配置され、かつ、前記中心を含む前記板状導体の一部の領域が残るように形成されることを特徴とするループアンテナ実装装置。 - ループアンテナが、板状導体と平行又は概略平行に、当該ループアンテナに流れるアンテナ電流に対して鏡像となるループ状の鏡像電流が当該板状導体に流れるように実装されるループアンテナ実装装置において、
前記板状導体が、前記ループアンテナの弧と直交して該板状導体の中心に向かって延びる少なくとも1つの切り込み部を有し、前記板状導体を、前記切り込み部に加え、前記鏡像電流を更に阻害するインピーダンスを発生させるキャパシタ形状としたことを特徴とするループアンテナ実装装置。 - ループアンテナが、板状導体と平行又は概略平行に、当該ループアンテナに流れるアンテナ電流に対して鏡像となるループ状の鏡像電流が当該板状導体に流れるように実装されるループアンテナ実装装置において、
前記板状導体に前記鏡像電流を直交に横切る少なくとも1つの切り込み部を形成し、前記切り込み部上で且つ前記板状導体との間にギャップ空間が形成される状態に、導体板の一辺を、当該切り込み部のエッジに接合したキャパシタ手段を設けたことを特徴とするループアンテナ実装装置。
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